07/12/14 中央社会保険医療協議会薬価専門部会平成19年12月14日議事録 07/12/14 第45回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成19年12月14日(金)9:32〜9:53 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 土田武史委員 庄司洋子委員     対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員     松浦稔明委員          鈴木満委員 中川俊男委員(代理 石井) 渡辺三雄委員           山本信夫委員          向田孝義専門委員 長野明専門委員 渡辺自修専門委員         <事務局>          水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他 4 議   題   ○平成20年度薬価制度改革の骨子(案)について ○遠藤部会長 それでは、定刻を少し過ぎましたので、ただいまより、第45回中央社会保 険医療協議会薬価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況についてご報告いたします。本日は、白石委員が御欠席で、中川委 員の代理で日本医師会常任理事の石井正三さんがお見えです。また、松浦委員は遅れて御出 席する旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、これまでの当部会での議論を踏まえまして、「平成20年度薬価制度改革の骨子 (案)」が作成されておりますので、これについて御議論いただきたいと思います。  まず、事務局から御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 薬剤管理官でございます。本日の資料は、中医協薬−1を使 って御説明をしたいと思います。「平成20年度薬価制度改革の骨子(案)」ということで ございます。11月21日の薬価専門部会に提出させていただきました「薬価制度改革の骨 子(たたき台)」を、前回の製薬業界関係者からの意見聴取を踏まえて、一部修正を加えて ございます。特に本日の説明は、一部修正を加えた点を中心に簡潔に御説明をしたいと思い ます。  まず、全体の構成でございますけれども、「基本的考え方」と「具体的内容」。「具体的 内容」については、新規収載品の問題、既収載品の問題、その他の問題、こういうふうに分 けさせていただいております。なお、「具体的内容」につきましては、一部のものについて、 今回の20年度改革ではない今後の検討課題のものも含まれておりますので、いつの実施の 時期なのか、それを文書の最後につけ加えさせていただいております。  その上で、1ページでございますが、「新規収載医薬品の薬価算定」、「類似薬効比較方 式」というところでございます。ここの点につきましては、特に製薬業界の御意見も踏まえ まして、原則、比較薬については薬価収載後10年以内の新薬ということでございましたけ れども、ほとんどのものが後発品は出ていないわけでございますが、中には後発品が出て、 特例引き下げを受けるものもあるということもございまして、ここでは薬価収載後10年以 内の新薬であって後発品が薬価収載されていないものを用いることを原則としてはどうか。 また、この場合の適用の範囲といたしましては、類似薬効比較方式については(I)と(I I)ということで、薬理作用類似薬が3番目までの新薬の場合は類似薬効比較方式(I)、 それ以降、いわゆる新規性に乏しい新薬は類似薬効比較方式(II)ということでございます が、類似薬効比較方式(II)につきましては、現行のルール上、6年ですとか10年ですと か15年ですとか、いろいろそういった年限も含めて定義づけされていることもございまし て、今回のこの適用については、類似薬効比較方式(I)の場合に限るということで明記を させていただいております。  次に、若干修正を加えた点としまして、「原価計算方式」のところでございます。特に1 号側の委員から、今回、営業利益率について、物によって一部メリハリをつけるということ でございますが、それの基準をなるべく明確にすべきだと、こういった御意見もいただきま した。そういった点も含めまして、2行目でございますが、このメリハリのつけ方といたし ましては、類似薬がない場合でございますので、既存治療と比較した場合の革新性や有効性、 安全性の程度に応じましてメリハリをつける。現行、営業利益率の数値は、全製薬産業の平 均値の19.2%を使っておりますけれども、材料のほうの記載ぶりと合わせる観点から、 前回「±10ポイント」と書いてございましたけれども、最終的にはほぼ同じでございます が、「±50%の範囲内でメリハリをつけ」る、そういう言い方に修正をさせていただいて おります。  次の2ページでございます。続きまして、「既収載医薬品の薬価改定」、「再算定」のと ころでございます。(2)の補正加算の傾斜配分でございます。それの標準額を前回は参考 資料でデータだけをお示ししておりましたけれども、そのデータを用いまして、標準額とな る年間販売額は、内用・外用の場合は50億円、注射薬の場合は20億円、これを標準額と して傾斜配分を行う、そういうふうに入れさせていただいております。  なお、今回のこの市場拡大再算定のルール改正、これは2つございます。今の(2)で補 正加算の傾斜配分の見直し、実質的には、この傾斜配分、1日薬価から市場規模に切りかえ るということに伴いまして、特に1日薬価が安く、ただ長期間飲む薬で市場規模が大きい薬 につきましては、非常に補正加算の見直しの程度が大きいこと、それから(1)で今回市場 拡大再算定類似品の範囲を拡充すると、これまで対象にならない品目まで対象になると、そ ういう2つの項目についての措置をとる、そういうことでもございますので、激変緩和を考 慮いたしまして、平成20年度薬価改定に限り、今回の市場拡大再算定の対象となるすべて の品目につきまして、以下の[1]、[2]の算定する薬価改定率としてどちらか小さいほうを用い て計算してはどうかということでございます。  [1]といたしまして、今回の市場拡大再算定。類似薬効比較方式の場合、最大15%の引き 下げになります。原価計算方式の場合、25%でございますけれども、市場拡大率から計算 される改定率、これについては補正加算率を含まない改定率をまずおきまして、それといわ ゆる実際の市場実勢価から調整幅2%に計算される改定率、その改定率と今の市場規模拡大 率から計算される改定率との平均値で算定することとしてはどうかということでございます。  また、中には、先ほどの上記(2)の新しい見直しを行った上での傾斜配分で補正加算率 をつけた改定率との関係で、そちらのほうの改定率のほうが小さい場合については、それも 用いることがあり得るということで、一応2つのケースのいずれか小さいほうを用いてはど うか、こういうことを入れさせていただいております。  それから(4)でございますが、具体的には3ページに行きまして、今後、そもそも論と いたしまして、市場拡大再算定の在り方ということで、これについては、業界のほうではイ ノベーションの阻害になるのではないか、私どものほうからいけば、公的保険制度の配分メ カニズムとして機能していることはどのように考えていくのか、こういった意見、いろいろ あるわけでございます。これはいろいろ議論があるところでもございますので、そもそも市 場拡大再算定の在り方について、特にもともと考え方といたしましては、使用実態の著しい 変化ということが前提でございます。  こういう中で、例えば事務局的には[1]、[2]に書いているような、いわゆる販売額をベース に考えてはどうか、こういうことを、たたき台を例えばというふうに出させていただいてお りますけれども、そういった判定方法をどうやって考えていくのか、こういうことを中心に 議論をさせていただければと思いまして、少し加えさせていただいております。  続きまして、その次でございます。新たに加えまして、「後発品のある先発品の薬価改 定」ということでございます。いわゆる後発品が初めて薬価収載された後、その先発品の薬 価改定につきましては、市場実勢価格で算定される額、つまり、市場実勢価の加重平均値に 調整幅2%を乗せた額でございますが、それからさらに追加で引き下げを行っております。 これについては、平成16年度の段階では、追加の引き下げ率が、承認時期によりまして4 〜6%ということでございましたけれども、18年度薬価制度改革で、これは医療制度改革 大綱の中で、後発品のある先発品をより引き下げると、そういう決定を受けまして、この4 〜6%、2ポイント拡大いたしまして6〜8%の引き下げを追加で行ったところでございま す。これにつきましても、先般の製薬業界のヒアリングの中で、今回の薬価制度改革におき ましては、特に後発品使用促進の諸施策を総合的に講じるということで、特にイノベーショ ンの評価と並びまして、後発品の使用促進の具体策をまとめてきたところでございます。  その上で、先発品の薬価の引き下げがその当該後発品との薬価の差を縮小させて、検証の 結果でもございましたけれども、先発品を後発品との薬価の差が小さいとなかなか患者さん も後発品のほうを選ばないというような結果もある、そういったことも踏まえまして、業界 の意見からも、後発品への置きかえが進みにくくなるのではないか、こういう御指摘を受け たことも踏まえまして、この追加の引き下げ率につきまして、前回18年度、追加したとこ ろでございますけれども、その前の16年度の段階でございます4〜6%にとどめてはどう かということでございます。  なお、当然ながら、実際にその後発品がどの程度普及していくのか、また、後発品のある 先発品の市場実勢価格がどのようになっていくのか、これについては今後もきちっとフォロ ーいたしまして、次々回以降、また引き続き検討したいと、そういうことを入れさせていた だいております。  そのほか、「その他」のところにつきましては、具体的な、実質的な変更点はございませ んので、説明は割愛させていただきたいと思います。  以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  前回出されました骨子案につきまして、変更のあったところを中心に解説をしていただき ました。  それでは早速、ご審議いただきたいと思いますけれども、内容的に、新規収載医薬品の薬 価算定の話と、既収載品の話とが分かれておりますので、まず、「基本的な考え方」及びそ の「新規収載医薬品の薬価算定」というところで、ページ数で言うならば1ページから2ペ ージの真ん中まででありますが、これにつきまして御意見、御質問あれば承りたいと思いま す。どなたでも結構です。  前回議論された内容を反映したということでありますけれども、よろしゅうございますで しょうか。  それでは続きまして、「既収載品の薬価改定」について。「再算定」のところは少し大き な変更があるということですね。2ページから3ページまででありますが、これにつきまし て御質問、御意見ございますでしょうか。 ○対馬委員 ちょっと個別の話で申し訳ないのですけれども、3ページ目の「その他」のと ころの(1)、不採算品の再算定、従来ですと0%、これを営業利益率まで認めるというこ とですけれども、これは表現の問題でちょっと申し訳ないのですけれども、前回までは「ま では認める」と、こう書いてあったのです。「までは」ですから、1もあれば2もあれば5 もあると。今回「まで認める」と、こう言ってしまうと、普通の場合ですと5%まで認める というのは5%と、こういう感じもありますので、ちょっとここは正確に、例えば「平均的 な利益率を上限として」とか、そういった形で明確にされたほうがよろしいのではないかと 思います。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  それでは、この文言につきましては、またちょっと事務局と検討しますけれども、前回の 議論がそのまま反映されるような形で今の御指摘の趣旨で修正したいと思います。  ほかにございますでしょうか。 ○小島委員 3ページの「2 後発品のある先発品の薬価改定」のところですけれども、前 回は実勢価格よりさらに2ポイント拡大して引き下げたという経過がありますけれども、薬 価の算定については基本的には市場実勢価格を反映させるということが基本でありますので、 それをさらに引き下げるということは、まさにここは財政状況によって常に、恣意的なとい いますか、調整されるということなので、そこについては問題があるという発言を前回もし たのです。とりあえず今回は4〜6%の引き下げにとどめるということで、さらにこの問題 については引き続き検討するというふうになっていますので、ここは今回こういう表現でや むを得ないと思っておりますけれども、ここはまさに薬価の算定方式の基本にかかわるとこ ろだと思いますので、これは引き続き全体の中で検討すべきだと思っております。今、国の 財政が非常に厳しいということで、社会保障関係のところで2,200億円のシーリングがか かっているという状況があるかと思いますけれども、それ自体がいいかどうかという議論は 当然あるかと思いますけれども、とりあえず薬価の今回のことについてはこれでやむを得な いのではないかと思っております。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。これは重要な検討課題 という形で引き続き検討していきたいと思っております。  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。そうしますと、「第3 その他」が4ページに残っておりますが、これ について特段今回修正はないのですけれども、このような形でよろしいかどうか、特に御意 見ございませんか。  それでは、特に御意見ないようであれば、「平成20年度薬価制度改革の骨子」につきま しては、本日提示しましたこの案で当部会として了承することとさせて…… ○長野専門委員 部会長、よろしいでしょうか。すみません。 ○遠藤部会長 長野専門委員、どうぞ。 ○長野専門委員 全体を通じてちょっと一言だけ申し述べたいと思います。申し訳ございま せん。かなり長期間にわたりましてこの薬価専門部会で次回薬価制度改革に向けた御議論を いただきました。その間、専門委員として参画をさせていただいたわけでありますが、一言 今回の骨子について意見を申し述べます。  8月1日、それから12月5日と、業界代表が意見陳述をしたわけであります。今日も御 説明の中でも、業界代表として市場拡大再算定あるいは先発品の特例引き下げについて廃止 という意見があったわけでございます。今回の内容は、廃止を求める意見ではありましたけ れども、極めて保険財政事情が厳しい中、業界主張に一定のご理解を示されたものというふ うに感じております。しかしながら、実際に特例引き下げなり市場拡大再算定を受ける企業 は個別企業でございまして、受ける企業、受けない企業、さまざまでございます。その個別 企業につきましては、両項目とも、通常改定にさらに大きな引き下げを4月1日から受ける ことになろうかと思いますので、個別企業は経営上も非常に甚大な影響を受けるだろうと心 配をしております。  そういう面で、さまざまな御議論を今までもいただきましたし、さらに今後の予定として、 来年の4月以降、中長期の薬価制度改革の御議論の中で、今も御指摘のございました先発品 の特例引き下げあるいは市場拡大再算定の在り方につきましても、ぜひ業界の意見も十二分 に受けていただきながら御議論を進めていただきたいと、このように最後にお願いをしてお きたいと思います。  以上でございます。 ○遠藤部会長 長野専門委員、ありがとうございます。今後の御議論の中で参考にさせてい ただきたいと思います。  それでは、基本的にこの骨子をお認めいただいたということで、先ほどの5%のところだ け文言修正をさせていただきまして、この後に開催されます総会において、私から「平成2 0年度薬価制度改革の骨子(案)」という形で報告したいと思いますけれども、よろしゅう ございますでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり] ○遠藤部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきますので、よ ろしくお願いします。  本日は、これにて閉会いたします。  引き続き、保険医療材料専門部会が開催されますので、準備が整うまでの間、しばらくお 待ちください。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)