07/12/12 第30回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第30回 労働政策審議会 障害者雇用分科会 1.日時   平成19年12月12日(水)13:30〜15:30 2.場所   厚生労働省 共用第7会議室(5階) 3.出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員   (労働者代表) 泉田委員、高橋委員、豊島委員、野村委員、長谷川委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、新澤委員、輪島委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、舘委員、松井委員   ○ 事務局       岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐       吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官       白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者対策課長補佐 4.議題     (1)意見書(案)について   (2)その他 5.資料    資料1 今後の障害者雇用施策の充実強化について(意見書)(案) 6.議事録経過 ○今野会長  時間になりましたので、ただいまより「第30回労働政策審議会障害者雇用分科会」を 開催いたします。本日は、佐藤委員、平木委員、松矢委員、斉藤委員がご欠席です。  早速議事に入らせていただきます。事務局より前回の分科会でいただいた意見を踏ま えて修正された意見書が提出されています。本日はこれを基にご意見を伺いたいと思っ ています。それに先立ちまして、舘委員から意見書が出ていると思います。資料の後ろ のほうだと思います。それをご覧いただければと思いますが、意見書の内容について、 舘委員から追加的に何かコメントがあればお願いします。 ○舘委員  お読みいただければそのとおりなんですけれども。1番は、これは論点にないことな んですが、今年雇用状況調査が発表をされて、精神障害者が4,000弱でしょうか。企業 内精神障害者、うつが主体の問題。新規参入の人は統合失調症の人が多いことで、なか なかうまく在職者が多いと新規参入ができにくいと。統合失調症の人の認定を緩和して ほしいと。これは単なる意見でして、次回以降の審議会のテーマになるかなと思います。  2から3は、これは働く機会の創出に関わることです。1つは、短時間労働の雇用義 務化を是非していただきたいと。これは精神障害の方は、短時間なら働けるという方が 多いのです。もう1つは、300人以下の中小の企業にも雇用納付金の対象にしていただ きたいと。実は、精神障害者は、小さい企業でたくさん働いていらして、大きい企業よ りも小さい企業のほうがアットホームで働きやすいということもありますので、是非そ ういう形で拡大していただきたいと。  除害率を撤廃することで働く場をより拡大していただきたい。特例子会社も作れるわ けですから、危険な職業、業種だからといって除害率というのは、もうそういう時代は もう去ったのではないかなと思います。  5と6は支援体制なんですけれども、この数年雇用、知的障害、精神もそうですけれ ど伸びているのは、ジョブコーチという尖兵というかそういう方々がいらっしゃって、 やはりそういう方をどんどん増やすという体制にもって行っていただきたいと。養成は ……でもやっているし、民間でもやっている。民間だと東京と大阪で。やはりお金がか かるということで、地元の例えば地域障害者職業センターに優秀な人材がたくさんいる わけですから、そういうところも含めて講習なりをしていただくと、地元の施設とのネ ットワークができていいのではないかと。そういうところでジョブコーチの研修を受け られやすいようにしてください。  これから精神・知的障害者の支援の拠点というのは、障害者就業・生活支援センター、 地域のセンターではないかなと思うんです、たくさんありますので。これももっともっ と増やして、気軽にできるように、気軽に支援をできるようにしていただきたいと。  7番8番が権利条約に関するものですけれども、できるだけ国内の法整備をした上で 早期 の批准を要望したいと思います。それに関わることですけれども、割当雇用をやっ ているところはヨーロッパにいくつかあるわけですけれども、精神を特別扱いにしてい ないんですね。そういうことも整備の一環と考えて早く、前回の改正時21年までに雇用 義務化を検討するとなっていますので、雇用環境を整えるようにしていただくのと同様 に、できるだけその問題に関して検討を始めていただきたいのが要望です。以上です。 ○今野会長  ありがとうございました。先ほども申し上げましたように、事務局から意見書が出て いますので、事務局から説明をお願いして議論に入りたいと思います。よろしくお願い します。 ○調査官  事務局から申し上げます。お手元の資料1のほうをご覧ください。「(案)今後の障 害者雇用施策の充実強化について−障害者の雇用機会の拡大に向けて−」という形でお 示ししています。2頁から本日は読上げをさせていただきたいと思います。  近年、障害者の就労意欲が高まるとともに、企業側でも、CSR(企業の社会的責任)へ の関心の高まりなどを背景とし、積極的に障害者雇用に取り組む企業が増加するなど障 害者雇用は着実に進展している。一方で、企業全体では未だに法定雇用率に達しておら ず、働くことを希望しながら就職が実現していない障害者も依然として数多く存在して いる状況にある。  また、障害者自立支援法の下、障害者がその能力や適性に応じて自立した日常生活や 社会生活を営むことができるよう支援が行われるとともに、特別支援教育により、障害 のある生徒等の自立や社会参加に向けた主体的な取組への支援も行われているところで あり、福祉、教育の分野におけるこうした動向を踏まえ、障害者の希望や能力に応じて 雇用を結び付けていく必要性が高まっている。  こうした中、政府全体としても障害者雇用に係る取組の充実が図られているところで あり、最近の各種の施策の取りまとめにおいても、障害者雇用に係る取組が重要な位置 付けとして盛り込まれているところである。さらに、昨年12月に国連総会において障害 者権利条約が採択されるなど、雇用の分野も含めた障害者の権利に関する国際的な関心 も高まっているところである。  このような状況を踏まえながら、障害者本人の希望に応じつつ、企業における取組を さらに進め、障害者の雇用機会を拡大していくため、様々な課題に対応した障害者雇用 施策の充実強化を図ることが必要である。  1、多様な雇用形態に対応した障害者雇用の促進。近年、短時間労働、派遣労働等雇 用形態が多様化しており、障害者のニーズを踏まえつつ、働き方の選択肢を拡大しなが ら、障害者雇用を進めるため、以下のとおり措置することが必要である。  (1)短時間労働への対応。短時間労働については、障害者のニーズが相当程度あり、 また、今後障害者の希望や適性に応じて福祉的就労から一般雇用への移行を進めていく 中で、短時間労働は、段階的な就業形態として両者をつなぐ道筋にもなり得ると考えら れる。さらに、高齢となった障害者等については、これまでどおりフルタイムで働くこ とが困難になった場合であっても、短時間労働であれば就業可能なものもいると考えら れる。  このため、短時間労働(週所定労働時間20時間以上30時間未満の労働。以下同じ。) については、障害者のニーズ等を踏まえ、雇用義務の対象とする(雇用義務の基礎とな る労働者数に短時間労働者を加え、雇用している障害者数に短時間労働の障害者を加え る)ことが適当である。この場合、現行の短時間労働の重度身体障害者及び重度知的障 害者、精神障害者の特例や、短時間労働への安易な代替の防止等についても考慮しつつ、 短時間労働者、短時間労働の重度以外の身体障害者及び知的障害者について、障害者雇 用率及び実雇用率の算定に当たってそれぞれ0.5カウントとすることが適当である。  また、短時間労働を障害者の雇用義務の対象とするに当たっては、短時間労働者の多 い企業への影響等を考慮しながら、各企業の円滑な準備・取組を促すため、一定の準備 期間を設けることとし、その期間は、短時間労働を障害者の雇用義務の対象とした場合 の影響や、障害者雇用率の見直しの在り方(下記4(4))等を考慮しつつ、定めるこ とが適当である。さらに、短時間労働者を雇用義務の対象とする場合、障害者雇用にお ける短時間労働に対する障害者雇用率制度の適用について、改めて、企業、障害者団体 等を始め、関係者に広く周知するとともに、週所定労働時間が30時間以上で働くことが できる、あるいは、働くことを希望する障害者が、その希望や適性に応じた働き方がで きるようにしていくことや、週所定労働時間が30時間以上の労働から短時間労働に代替 されることのないようにすることについても留意する必要がある。  (2)派遣労働への対応。派遣労働については、現在、派遣労働者として働く障害者 は少数であるが、派遣労働で働くことを希望する障害者もいることから、働き方の選択 肢の一つとして、適切に派遣労働により働くことができるようにすることが必要である。 このため、障害者の場合、職場定着に相当の配慮や時間を要することがあることも踏ま えつつ、障害者が派遣労働という形で安心して働き、能力を発揮することができるよう にするため、障害者の派遣労働に関して、派遣元事業主と派遣先の双方がともに配慮べ き事項、あるいは、いずれかが配慮べき事項について、明確化することが適当である。  また、紹介予定派遣については、障害者本人及び派遣先の企業双方が就労の可能性に ついて見極めた上で、派遣先における直接雇用に移行する可能性があるものであり、こ れが活用されることにより、障害者雇用が進むことが期待される。なお、障害のある派 遣労働者が働くためには、派遣先が受け入れることが必要であり、派遣先に一定のイン センティブを与えることも考えられるが、現時点では、派遣労働に対する障害者の理解 やニーズの動向を慎重に見極める必要がある。  2、中小企業における障害者雇用の促進。我が国において中小企業は雇用の大きな受 け皿であり、障害者雇用についても身近な地域で自立した生活を求める障害者に対し、 雇用の場を提供することができる重要な担い手である。一方、障害者雇用率制度発足以 来、全体として障害者雇用が進展している中、ここ十数年、中小企業における障害者の 雇用状況は低下傾向、あるいは、低い水準にあるなど、雇用の場を十分に提供すること ができていない状況にある。このため、中小企業における障害者雇用が進むよう、以下 のとおり、措置を講ずることが必要である。  (1)雇用支援策の充実強化。中小企業における障害者雇用に関する課題に対応する ため、障害者を雇用する前提となる理解促進、実際に雇用する場面でのマッチングに関 する支援、また、雇用後の職場定着に関する支援等、中小企業における障害者雇用に係 る各場面に応じて、障害者雇用の経験のない中小企業等においても積極的に障害者雇用 を進めるための支援策を充実させる必要がある。このため、中小企業における障害者雇 用についての理解促進のため、中小企業経営者の理解を進めるため直接の働きかけを強 化するとともに、中小企業団体等の自主的な取組、地域の関係機関との交流等を通じて、 障害者雇用の経験が乏しい中小企業に対する周知啓発等を進めていくことが適当である。  また、マッチングに関する支援としては、ハローワークによるチーム支援、トライア ル雇用等の充実強化のほか、障害者の採用や定着に関する情報やノウハウの提供、中小 企業、障害者それぞれの自己評価に資するチェックシートの作成、助成制度の中小企業 により重点を置いた実施等、障害者雇用に関する不安の解消、障害者を受け入れやすい 環境の整備のための支援を充実することが適当である。  さらに、障害者を雇用している中小企業に対しては、職場定着等に関する雇用管理に ついての情報、ノウハウの提供等を行うとともに、離職防止等のため障害者の雇用管理 について相談することができるよう、障害者就業・生活支援センター事業、ジョブコー チ支援等について、充実することが適当である。  (2)事業協同組合等を活用した障害者雇用に対する障害者雇用率制度の適用。個々 の中小企業が職務の分析・再整理を通じて仕事を切り出し、障害者の雇用機会を拡大す ることのほか、複数の中小企業が事業協同組合等を活用して共同で障害者の雇用機会を 拡大することも、中小企業における雇用促進のために有効であると考えられる。また、 これは、各地域それぞれの産業の特色をいかしながら、障害者にとって身近な地域にお いて、中小企業が障害者の雇用の場を提供することにもつながると考えられる。  このため、中小企業が、事業協同組合等を活用して共同して事業を行い、当該事業協 同組合等において障害者を雇用して事業を行う場合に、障害者雇用率制度を適用する仕 組みを創設することが適当である。また、具体的な制度設計に当たっては、実態上生じ 得る課題を把握、整理することが必要である。  (3)障害者雇用納付金制度の適用による経済的負担の調整。障害者雇用に伴う経済 的負担の調整である障害者雇用納付金制度については、創設以来約30年にわたって企業 規模300人以下の中小企業に対する適用(障害者雇用納付金(以下「納付金」という。) の徴収及び障害者雇用調整金(以下「調整金」という。)の支給)を猶予してきたが、 本来中小企業も適用対象となるものであること、近年の中小企業における障害者の雇用 の状況、障害者の雇用が進んでいる企業と障害者雇用が進んでいない企業との間での経 済的不均衡の調整を行う必要性等にかんがみ、中小企業に対する適用な在り方について 見直す必要がある。  このため、一定の範囲の中小企業(企業規模101人以上)に対し、障害者雇用納付金 制度を適用し、経済的負担の調整を行うことが適当である。この場合、中小企業の中で の企業規模別の障害者の雇用状況や経済的負担能力等を考慮し、一定範囲の中小企業の うち、当初は、比較的規模の大きい中小企業(企業規模201人以上)から、障害者雇用 納付金制度の適用対象とすることが適当である。  また、中小企業を取り巻く厳しい経営環境等に配慮して、適用の対象となってからの 一定期間(3年間)、納付金の額を減額(4万円)するとともに、併せて、調整金の額 を減額(2万2千円)とすることとする。さらに、中小企業における障害者の雇用がよ り効果的に進むよう、障害者雇用納付金制度の適用と中小企業に対する各種支援の充実 強化とを並行的に実施することが適当である。この点につきましては、いわゆる具体的 な数字等付け加わった部分がございます。  3、福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の推進。(1)地域の就労支援の ネットワークの構築。福祉・教育から雇用への移行を一層促進するためには、障害者の 希望や適性に応じた就職を実現し、働く障害者を支えることが重要である。障害者のラ イフステージやニーズに応じて、長期的な支援を総合的に行うために、雇用、福祉、教 育、医療等の各分野の関係機関が連携及び役割分担をしながら、地域ごとに就労支援の ネットワークを構築することが適当である。ネットワークの構築に当たっては、障害者 の多様なニーズに的確に対応するために、就労支援に必要な機関がお互いの役割を明確 にし、参画するとともに、就労に向けた意識や目標、情報についての共有化を図ること が適当である。  また、こうしたネットワークによる就労支援が地域に根ざすようになるためには、ネ ットワークを構成する機関の担当者が、地域に定着して活動できるように配慮すること が重要である。さらに、障害者の雇用を促進するためには、障害者本人、保護者、企業 等の幅広い層に対して、障害者の職業的自立や一般就労、中途障害等に関して広く理解 促進を図ることが重要である。  (2)地域の就労支援機関の役割と今後の在り方。主な各機関ごとの役割と今後の在 り方については、以下のとおりである。  ア、第一線の労働行政機関であるハローワークは、障害者に対する職業紹介及び企業 に対する指導を一層強化する必要がある。また、ハローワークが中心となって関係機関 と連携して支援を行う「チーム支援」を着実に実施するとともに、職場実習、トライア ル雇用等の支援策の充実・活用により、障害者と企業のマッチングを効果的に行う必要 がある。さらに、ハローワークは就労支援の中でも特に重要なマッチングを担う機関で あることから、地域のネットワークの構築に中核的な役割を果たすとともに、関係機関 と連携して支援を行うために、支援機関等に対するコーディネート力を高めることが適 当である。  イ、障害者就業・生活支援センターは、福祉から雇用への円滑な移行を促進するとと もに、障害者の身近な地域で職業生活の継続を支えるための支援を生活面も含めて行う 機関としての重要な機能を担っている。しかしながら、現在の設置状況は、全障害保健 福祉圏域のうち3分1程度の圏域にとどまっており、今後、計画的かつ早急な設置が必 要である。また、地域のネットワークの中で、地域の障害者を広く対象とし、就職準備 から職場定着に至るまで必要な支援を生活面を含めて幅広く行うことから、専門性の確 保、実施体制の充実・強化を図ることが適当である。  ウ、地域障害者職業センターは、各都道府県における中核的な職業リハビリテーショ ン機関として設置され、障害者職業総合センターを中心に全国ネットワークを形成し、 豊富な支援実績に基づくノウハウを蓄積している。地域のネットワークを形成する支援 機関において、質の高い就労支援が提供されるようにするためには、地域障害者職業セ ンターの専門性とノウハウをいかして、今後は、(1)地域において就労支援を担う専門的 人材の育成、(2)地域の就労支援機関に対する助言・援助の業務を本格的に実施し、地域 の就労支援力の向上を図ることが適当である。また、地域障害者職業センターは、就職 等の困難性の高い障害者(精神障害者、発達障害者、難病者等)に対する専門的支援を 積極的に実施することが適当である。  エ、なお、障害者雇用支援センターは、障害者自立支援法の施行に伴い、目的・機能 が類似している就労移行支援事業が創設されたことから、地域の実情を踏まえつつ、就 労移行支援事業に移行し、これまで先駆的に蓄積してきた訓練ノウハウや地域において 果たしてきた機能を継承することが適当である。エにつきましては、これまで分科会の 場では特段の意見がありませんでしたが、当初は、案のほうには記述しておりませんで したが、法律改正を伴う事項ですので、事務局のほうで改めてこちらのほうに編入をさ せていただいたというものです。  (3)就労支援を担う人材の育成・確保の在り方。就労支援の強化が求められる中で、 支援の担い手の育成と専門性の確保が追いついていないことから、人材育成を図ること が必要である。人材育成に当たっては、専門支援を行うジョブコーチを含め、就労支援 を担う人材に必要なスキル・能力をレベルごとに明確化するとともに、育成方法や能力 評価の仕組み等について幅広い見地から検討することが適当である。また、こうした育 成の機会は全国各地で求められていることから、就労支援のノウハウや研修の実績を有 する機関等が率先して専門的な人材の育成に取り組むことが適当である。  さらに、就労支援を担う人材については、就労支援機関における人材の安定的な確保 や専門性の向上を図ることが重要であることから、その処遇やキャリア形成について十 分に配慮することが必要である。なお、福祉系の大学の課程や、社会福祉士等の専門資 格取得に必要なカリキュラムにおいて職業リハビリテーションが盛り込まれることも重 要である。  4、その他の諸課題。(1)企業グループにおける障害者雇用の促進等。障害者雇用 率制度においては、個々の事業主ごとに雇用義務が課されているが、現行法上、障害者 の雇用に特別の配慮をした特例子会社が設けられている場合に、(1)親会社及び特例子会 社(2)親会社、特例子会社及び特例子会社以外の子会社(関係会社)をまとめて実雇用率 を算定する特例が認められている。一方、企業グループの中には、障害者が就労しやす い業務を行う子会社もそうでない子会社も様々存在し、子会社の業務内容に応じて雇用 し、グループ全体で障害者雇用を促進することが期待できる場合がある。  このような場合には、特例子会社がない場合でも、企業グループ全体として実雇用率 を算定することができる特例を設けることが適当である。その際、現行の特例と同様、 障害者に対する適正な雇用管理が図られるよう、要件を定めることが必要である。  なお、現行の(2)の特例に関し、現行制度では親会社又は特例子会社のいずれかに支給 することとされている調整金及び報奨金について、関係会社も相当程度障害者雇用に寄 与している場合もあることから、適正かつ合理的な支給事務の確保を図りつつ、親会社、 特例子会社又は関係会社のいずれか、又はこれらに対して分割して支給できるようにす ることが適当である(企業グループに対する新たな特例を設けた場合には、同様に適用 することが考えられる。)。  (2)障害者雇用に関する助成金の見直し。障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、 障害者雇用に伴う経済的な負担の調整の基本的な仕組みである納付金の徴収及び調整金 の支給に加え、障害者雇用に伴い作業施設・設備の設置、支援を行う者の配置等に一時 的に多額の費用がかかる場合に支援を行うものであり、障害者雇用の進展の状況、今後 の障害者雇用対策の方向等を踏まえつつ、適宜、見直しを行うべきものである。このた め、中小企業により重点を置いた実施、物的支援から人的支援の重点化を図るとともに、 助成金制度全体において支給期間、上限額及び対象となる障害者数等の適正化を図るこ とが適当である。  一方、個々の助成金の見直しに当たっては、それぞれの趣旨を踏まえつつ、各種支援 機関の整備状況、対象となる障害者の障害の種類・程度、事業主の雇用管理の状況等に ついて考慮しつつ、上記のような重点化を図りつつ、できる限り幅広い事業主が支給対 象となり、かつ、きめ細かい対応が継続的にできるよう見直すことが適当である。なお、 今後は、PDCAサイクルによる目標管理の手法等も活用しながら、助成金の見直しを行う ことを検討することが適当である。  (3)除外率の引下げによる障害者雇用の促進。除外率制度については、ノーマライ ゼーションの理念の下、平成14年の障害者雇用促進法の改正により廃止されたが、同法 の附則において経過措置として定められ、除外率設定業種における障害者雇用の状況等 を考慮しつつ、段階的に縮小することとされている。したがって、このような法律の規 定等に沿って、段階的に引き下げ、廃止を目指すという基本的方向に基づき、今回、一 定の引下げを行うことが適当である。また、この際、社会連帯責任の理念の下、前回( 平成16年)は一律10%引き下げたことを参考にしつつ、具体的な引下げの方法について、 検討することが適当である。  (4)障害者雇用率等の見直し。障害者雇用率については、障害者雇用促進法に基づ き、少なくても5年以内に、労働者の総数に対する障害者である労働者の総数の割合を 規準として設定することとされている。今回の障害者雇用率の見直しについては、今後、 短時間労働の雇用義務化(上記1(1))や除外率の引下げ(上記4(3))といった 制度改正が実施されることを前提とすれば、これらによる障害者雇用率への影響も考慮 した上で設定することとし、現行のとおりとすることが適当である。また、障害者雇用 納付金制度における調整金の額、納付金の額及び報奨金の額についても、現行のとおり とすることが適当である。  (5)精神障害者等に対する雇用支援。ア、精神障害者については、平成18年4月よ り、障害者雇用率制度において実雇用率の算定に当たってカウントすることができるこ ととなったが、現時点では、企業における精神障害者の雇用はそれほど進んでいない状 況にある。このため、精神障害者の雇用義務化の環境が早急に整うよう、精神障害者の 特性に応じ、予算措置などによる雇用支援の一層の推進、充実を図ることが適当である。  イ、発達障害については、現在の発達障害者の就労支援のための施策を推進しつつ、 今後、発達障害者支援法(平成17年4月施行)について、施行後3年経過後の検討が行 われる際、併せて、就労支援についても検討を行うことが適当である。  ウ、難病のある者については、当面、在職中発症した者について、雇用継続、職場復 帰等を図るため、雇用管理等について企業における理解を深めるとともに、今後、就職 支援の在り方について検討していくことが適当である。  エ、視覚障害者等の中途障害者については、就労支援機関等との連携に加え、必要に 応じ、医療関係者等との連携も図りながら、継続雇用支援を行うことが適当である。  (6)障害者権利条約の締結に向けた検討。本年9月28日に、「障害者の権利に関す る条約」について我が国が署名したところであり、今後、条約の締結に向けて、国内法 制の整備等が求められている。この条約は、障害者の権利及び尊厳を保護・促進するた めの包括的・総合的な国際条約であり、障害者自立、非差別、社会への参加等の一般原 則のほか、教育、労働等様々な分野において、障害者の権利を保護・促進する規定を設 けている。  雇用・労働分野については、公共・民間部門での障害者雇用の促進等のほか、(1)あら ゆる形態の雇用に係るすべての事項(募集、採用及び雇用の条件、雇用の継続、昇進並 びに安全・健康的な作業条件を含む。)に関する差別の禁止、(2)職場において合理的配 慮が提供されることの確保等のための適当な措置をとることにより障害者の権利を実現 を保障・促進することとされている。  これらについて、障害者雇用促進法制においてどのような措置を講ずべきかについて は、特に、(2)の職場における合理的配慮の提供というこれまで我が国にはない概念が盛 り込まれており、十分な議論が必要であることから、労使、障害者団体等を含めて、考 え方の整理を早急に開始することが適当である。  前回ご指摘を頂戴したところも含めて、修正点はポイントについて説明をさせていた だきました。以上でございます。 ○今野会長  ありがとうございました。今日は報告書を丁寧に見ていただきたいので、全文読んで いただきました。この報告書(案)についてご意見をいただきたいのですが、先ほど舘 委員からも意見書がございましたので、舘委員の意見書について何かご質問、ご意見が あれば併せて伺いたいと思います。 ○新澤委員  納付金の減額は大変ありがとうございます。3年ということではなくて、できれば恒 久的にお願いしたいということが1点。調整金については2万2,000円という話が出て おりますけれども、中小企業が障害者を意欲的に雇用するためにも、やはり大企業なみ の2万7,000円にできるだけ近づけて調整金をいただければ、という2点をまずお願い したいと思います。 ○今野会長  ご要望としてお聞きしたいと思います。ほかにございますでしょうか。 ○大島委員  同じ中小企業の件なのですけれども、今日は数字が出てきましたので、ご意見をさせ ていただきたいのです。商工会議所としては障害者の雇用の促進については、できる限 り協力しなくてはいけないというように基本的に考えております。ただ、何度も申し上 げているのですけれども、納付金の中小企業の適用拡大について言えば、中小企業を取 り巻く環境は以前として厳しくて、大手企業との体力の差を考えれば、かなりの負担を しいられる結果になるということを認識していただければと思います。  そもそも納付金制度の適用を拡大したとして、どの程度雇用率の上昇に効果があるの か、私どもとしては疑問がございます。軽度の障害者の多くは既に就労していまして、 中度、重度障害者の就業促進を主に想定しているとすれば、このような状況では、中小 企業にとってなおさら厳しいものがあります。相当の環境整備を行ってからでなくては、 雇用率の上昇に効果的に結び付かない。中小企業の経済的な負担が増すだけで終わって しまうと懸念しております。  それでも、中小企業への適用拡大がやむなしということであれば、納付金適用の範囲 とか、施行までの準備、周知期間について、より慎重に検討していただきたいというこ とで、納付金の金額については本来大企業と中小企業の負担能力に応じた差があって然 るべきであるので、今回提出された具体案については、こうした点が十分考慮されてい るとは思えないので、再考をお願いしたいと思います。  また、雇用調整金については、主たる目的が雇用率の向上のためのインセンティブで あるならば、大企業と同額であって然るべきと考えております。また適用範囲について は、最終的に101人の企業まで下げるという案になっていますが、現時点では101人を前 提とした制度改正を行うべきではないと考えており、ある程度の拡大を行うとしても、 それによる効果を検証した上で、改めて再検討をしていただけないかという要望でござ います。 ○松井委員  中小企業関係の皆さんのご意見をこの場で何回かお伺いをしていると、……の部分も あるわけですが、中小企業にも社会全体にあって、それなりの使命といいますか、役割 りは是非果たしてほしいという思いもございます。対象としては56人以上と前も思って 要望していましても、それは一変には大変になるかなということで、101人以上という ことで是非お願いをしたいと思います。それから3年という数字が出ているわけですが、 恒久的ということでは、この法の精神が全然生きてこないわけですので、是非このよう な形でご理解をいただきたいと思います。これはお願いを含めた意見になります。  前も申し上げておりますが、このことについての議論を聞いていますと、障害者雇用 をしてもらうと、障害を持った人たちは負の部分ばかりを持って就労するのかなという 印象になってしまいますけれども、ご縁があって働く機会を与えていただくならば、決 してそうばかりではないということを是非ご理解いただきたいし、私どもも組織を通じ て、法に甘えることなく自らを切磋琢磨して、本当に企業に貢献できるような努力をす べきであるということを、それぞれの団体を含めて、しっかりと皆さんにも徹底をして いきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。 ○新澤委員  お話ですけれども、私どもも経験から、障害者が大変いい場面もあるのはおっしゃる とおりです。ただ、やはりいろいろと問題が生じる場合があります。この傾向として中 小企業の障害者雇用率が減っているというのは、やはり景気の問題があります。前も話 したように、いまは人手がわりあいあるというところにあると。  そういう中で我々、国のため、やはり同じ人間として仲間のためにやろうということ てでが、現状は、私はいつもそう言うのですが、日銀、あるいは財務省とかは、景気は よくなっているとか、常にそういう話をしますが、とんでもないよと。現実は中小企業 の人は、もうだんだん悪くなっているのです。当然輸出に関わる企業の系列の仕事はい いですけれども、それも競争があって。建設業などは地方ではガタガタ倒産です。私も、 ……というところの理事をやっているのですけれども、もう毎月対前年比で3割は建設 業、あるいは中小企業の倒産、それに対する弁済、対前年比に120%という状況です。  この前言ったように、アメリカ経済はどんどん消費を上げて金利は上がったのだけれ ども、下げましたけれども、あれはあれでサプライ問題があっての話で、消費は増える わけですから、不景気でも。日本は、いくらやっても、しかも日に日に物価が上がって いる。この前通産省の方々が来て、原因はバブルだから、いずれまた戻ると。最近は戻 る話は持っていっちゃう話ですから。全部中小企業が重荷を背負ってしまうんですよね。 その中で、我々は、一生懸命努力して、高齢者や障害者の皆さんも、できるだけ雇用し たい、しようと思っていますので、その辺も十分ご理解いただきたいと思います。 ○今野会長  ほかにございますでしょうか。 ○副島委員  中小企業のそういう話を聞くと、なかなか私も言いにくくなるのですけれども、障害 者雇用に対して、前向きに義務雇用ということで進んでいることだけは、全体的に認識 しなければいけないと思うのです。特に、56人以上とか、もしくは56人未満の中小企業 でも、障害者の雇用について積極的なところを我々もよく知っています。そういうとこ ろでは、取組の仕方においては、それが延びる可能性があると思うのです。  そこで大きな問題なのは、障害者雇用に対しての感心のあり方、障害者雇用というの は何か難しいものだというような理解が、そこにあるのではないかと思うのです。そう いうところは、障害者に対する接点のなさで、障害者自身をどこまでご存じなのかとい うところも問題があると思うのです。  特に、雇用義務制というのは30年前ぐらいから経過措置になってしまって、要は300 名以下の企業については、適用しないということになっています。しかしその実態で、 調査をいろいろ見てみますと、障害者雇用率が後退していることは、やはり明らかにみ られるのです。それは社会的な面において大きな問題ではなかろうかと思うのです。特 に我々知的障害者の中にも働きたい人はいっぱいいるのだけれども、受ける場所がない。 やはり働く場所がなかなか見つからないということがどうしてもありまして、その面で は企業側の理解も特に必要だと思います。  障害者雇用の問題を我々が考えるときに、いままでは障害者が社会に近づく、つまり 障害者のほうにいろんなハンデを克服する状況を強いながら、社会に近づくということ をやったのだけれども、いま、福祉の全体等をみますと、社会が障害者に近づくという 方向に動いていると思うのです。そういう面から考えて、障害者の雇用というものに対 しても、そういう見方が必要ではないかと思うのです。  そういうことで、企業側だけに強いられることは、これはいけないと思うのです。全 体の社会的責任の下で、連継した、連帯責任の下にやらなければいけないから、企業側 も努力、当事者も努力、関係者も努力。社会の認識、そういうものもマイナスになって いますから、そういうところから追い上げていくことと、国の支援策の強化ということ もあります。いろいろな角度から障害者雇用というのを相対的に見ていく必要があると 思うのです。そのときに、あえて企業側には、是非障害者雇用に向けての積極的な取組 がほしいと思うのです。  そのときに、例えば今回弾力的に緩和策で201名とか、101名という線が出たのですけ れども、それを3年間の執行猶予とかいうことはいいとしても、恒久的ということにな ると、努力目標というところの中で、どうしても義務観念が欠けていってしまう。心的 にわかってくださいよという方法も確かにありますけれども、ある面では、障害者雇用 が義務観念だよということのところも理解していかないと、これは進んでいかないと思 うんです。そういう面では、今回の緩和策というんですかね、私はこの緩和策というの は、ある面では是非これを実行していただきたいなと思っています。 ○新澤委員  おっしゃるところよく私自身も認識していますし、中小企業の経営者も知っているの ですけれども、やはり現状では、なかなか厳しい面があるので、その点も考慮していた だきたいということです。話しておきたいのですけれども、中小企業では200人から300 人というのは、非常に食品工業の、いま話に出たように、24時間365日というところが 意外と多いのです。あとは、なかなかそういうところは、かなり、いわゆる大企業的と いうのはあるのですけれども、一般的には3交代体制ということになると、この場合、 どのように適用がされるかということは、我々としては、結構そういう企業というのは 多いので、話をしておきたいのです。  趣旨としては、我々も十分わかっています。景気によっては、もう、当然社会還元し なければいけないというのは、還元という言葉はよくないですけれども、協力して、お 互いに住みよい社会にしようという気持ちはありますので、その辺ご理解ください。 ○今野会長  ほかにございますでしょうか。 ○鈴木委員  その他の(5)のエのところなのですが、視覚障害のところを入れていただいてあり がとうございます。でき得れば、最後のほうなのですけれども、いわゆる視覚障害と言 いますと、一般的に通念上は全盲というか、全く見えない方たちを捉えられてしまうよ うな懸念もしているので、弱視者対策というような言葉。言ってしまえば、視覚障害者 に関する全体的なという部分では入るのでしょうが、もう一歩踏み込んでいただいて、 最後のほうに、1行ロービジョンケアとか、弱視者に関するというような、医療等との 連携をというような辺りに入れていただければ、ありがたいなというふうに思うのです けれども。 ○調査官   ご指摘の8頁の(5)のエのところでございますけれども、弱視者のことについても 入れるようにというようなご指摘でございまして、それについて、視覚障害者の中に、 必ずしも全盲という方だけではなくて、要するに弱視の方も含むという形で書かせてい ただいておりますので、そのように受け取っていただいて構わないというふうに思って おります。 ○鈴木委員  きっとこれは入っているのだろうなと理解しているのですが、ここを読んだ方がどう かなと思ったものですから。できれば入れていただければという程度のことなので、よ ろしくお願いいたします。 ○今野会長  それでは検討してみてください。ほかにございますでしょうか。 ○菊地委員  確認させていただきたいのですが、6頁のエのところに、障害者雇用支援センターと いうものが、就労移行支援事業に移行するということが書いてありますけれども、とい うことはつまり、例えば障害者就業・生活支援センターになるというようなことなので しょうか。 ○調査官  障害者雇用支援センターにつきましては、これは、就職に必要な職業準備訓練等につ きまして実施をしてきたものでございます。全国14箇所で行ってきたものです。内容的 には、自立支援法が施行されまして、その中に位置付けられております就業移行支援事 業という事業が、福祉のほうで就労支援の一環として全国展開をするということが決定 をいたしました。もう既に自立支援法上の就労移行支援事業は各地で展開されていると ころでございます。内容的にも類似しているものですので、この際、こういったものに 障害者雇用支援センターを移行させるということをやって、地域において、そこでのノ ウハウを継承していこうという施策をとろうというものです。  就労移行支援事業と就労・生活支援センター、これは異なるものでございまして、就 労移行支援事業のほうは、これは自立支援法上の事業でございます。また、障害者就労・ 生活支援センターのほうは、雇用促進法上の事業となっておりまして、それぞれ役割等 も異なりますので、念のためご説明を申し上げました。 ○今野会長  よろしいですか ○菊地委員  はい。 ○輪島委員  確認ですが、2頁目の1の(1)の短時間労働への対応ですが、雇用保険法が改正を されて、10月1日から雇用保険法上では短時間労働被保険者というカテゴリーがなくな っているはずですけれども、そのときに、週所定労働時間は20時間以上30時間未満とい うものの算定を、企業の実雇用率を算定するときにどのように把握をするのかというス キームを、10月1日以降であればどのようにするのかわからないので、そこをご説明を いただきたい。  2点目は3頁目の2段落目、「また」のところですが、3行目の「一定の準備期間を 設ける」と書いていますけれども、どのようなイメージなのかということを教えていた だきたい。それから4頁目の(2)の2段落目の最後ですが、「具体的な制度設計に当 たっては、実際上生じ得る課題を把握、整理する」というのを、どういうプロセス、ス キームで課題を整理するのか教えていただきたいと思います。  最後ですが、8頁の(3)の除外率のところですが、「前回は一律10%引き下げたこ とを参考にしつつ」ということで特に企業側で戸惑いがあるというか、よくご質問をい ただいたのは、実際に90%の除外率の業種が80%になるということをここでは示してい るのですが、10%引き下げたということは、90%が81%になるのでしょうという理解が わりと一般的だったので、そこは注意をして、10ポイント下がるとかというような理解 ができるような仕組みにしていかないと。前回の具体的な引下げ方法はあったので、今 回はあまり混乱がないのかもしれませんが、その点が気になるということなので、周知 について是非ご留意をいただきたいと思います。以上です。 ○今野会長  それでは4点ありましたが。 ○障害者雇用対策課長  まず雇用保険法改正で、短時間被保険者の制度がなくなったという点です。現在のシ ステムでは、なかなか対応できないのですけれども、システム効果に対しまして、短時 間労働についてもデータとして取れるような形で、いま調整をしているところでござい ます。いままでのような効果のあるものではありませんけれども、データとしてはきち んと把握できるというふうに考えています。  それから、短時間についての一定の準備期間についてのお尋ねがございました。これ につきましては、これまでの施行事例等々を考えた場合に、数回前の審議会でもご説明 いたしておりましたが、一定期間おく必要があるということで、大体23カ月の例がある ということです。国会の情勢等々が見通しがつかないということではありますけれども、 来年の通常国会に提出をしたいと。20年度の早いタイミングで法律が通るということを 考えた場合に、2年程度ということで、22年度の施行ということを考えています。  除外率については、事業協同組合についての課題でございます。それにつきましては、 法律に位置付ける必要があるということで、法制化の作業を進めているところでござい ます。枠組み自体は法律のほうで整理するというふうに考えていますけれども、具体的 な国家と企業と事業協同組合との関係等々、その辺り要件の設定ということで、法律が 通った段階、施行の段階の審議会等々でのご議論で、問題ないような形についてご議論 いただければというふうに考えております。  除外率については、考え方はご指摘のとおりでございます。誤解のないような形で修 文させていただきたいというふうに考えています。 ○今野会長  よろしいですか ○輪島委員  はい。 ○今野会長  ほかにございますでしょうか。 ○鈴木委員  1点確認というか、これは回答がなくてもいいかなという気がするのですが、自立支 援法との関係という部分で、ここは雇用率に関する検討会ということで、いわゆる就労 企業とか、就労部分についての率の検討をしてきたわけですが、いわゆる自宅でやって いる、障害のある個人事業者、そういった人は、どこがやるのかだけ確認をさせていた だきたいと思っています。ここは雇用率についての検討会なので、雇用率ということだ から、企業との関係だけなのですけれども、ほかにもそういう自営の方たちがおられる という部分の福祉施策は、この権利条約の関係からいうと労働という部分に入ると思う ので、そこはどこが担当されるのかということで、お願いをしたいのですが。以上です。 ○調査官  現状をご説明します。自営業についてはいろいろな観点がございます。例えばそれぞ れの業種の業種間の観点、起業、そういったような観点です。にわかに支援をどの部署 でどういう形でやっていくのか、一義的に定まるのかというと、なかなかそれは担当が どこであるかということについて、簡単には言いがたいというのがいまの現状です。  自営ですので、独立して業務を行うというような方々で、私ども自体は使用者との関 係で、雇用契約によって雇われている方々が対象の中心であるということはご案内のと おりなのですが、中には、雇用に結びつくという視点で支援できる制度とかもございま す。例えば、ご説明させていただいたと思いますが、在宅就業支援制度というものも作 っております。こういったものが、利用可能なところにあるのかなと思っております。 我々の役割との関係で、いろいろ整理しなければならないというようなところがあるの ですけれども、やれることはやっていきたいと思っておりますので、ご理解をいただき たいと思います。 ○今野会長  よろしいですか。 ○鈴木委員  はい。 ○長谷川委員  言いにくい雰囲気なのですが、私は、やはり障害者の人たちが、自分たちも働きたい という思いは、社会の発展の中で出てきたのだと思うのです。障害者であるために家の 中や福祉施設にいる人たちが、町の中に出てきたり、働きたいという思いを表に出して きたのが最近の特徴だと思います。そのときに、企業、行政ということをもっと乗り越 えた大きなところで、社会全体が障害者の雇用を促進していくということが、私はとて も大切なのではないかと思います。  そのときに、いろいろな障害があるのだと思うのです。企業は経営の問題があるでし ょうし、行政は行政の問題もあるだろうし、様々なところで問題を抱えているのだと思 うのです。しかし、やはり障害者の人たちも我が国の社会を構成している1人であって、 社会の中に参加していくということは、少し大きく言えば基本的人権だと思うのです。 そういう人たちが働ける環境を、お互いが持っている障害や壁を調整しながら乗り越え ながら、社会の環境を整備していくことが、とても大切なのではないかと思います。  この間、中小企業の皆さんも本当に大変だと思います。そういう意味では、下請代金 の問題や様々な問題を克服しながら、中小企業の企業経営を支援していくと同時に、中 小企業も、社会参加といいますか、社会の一員として、障害者の雇用にも取り組んでい くということが、社会で要求されているのではないかと思います。かつて日本の障害者 を大切にして雇用してきた中小企業が、いまこういう経済社会の中で大変な状況にある ことは、よく理解できます。  しかし、中小企業の皆さんも大変だと思いますが、この間の議論を重視していただい て、いろんな施策を組み合わせながら、障害者の雇用をもう少し延ばしていくというこ とが、社会にとって大切なのだということの認識を持ちながら、つらさと困難を克服す ることが必要なのではないかと思います。是非そういうことを検討してほしい。私ども も一歩職場に戻れば、企業の中で働いている労働者でありまして、労使交渉の中で、企 業の大変さはよく存じておりますが、そこはいろいろ知恵を出しながら、もう一歩進め ることが大切ではないかと思っています。みんなで頑張りましょうと、私は申し上げた いと思います。 ○新澤委員  おっしゃるとおり重々わかっているのですが、ただ私は先日、福島県は広いので5箇 所にわたってセミナーをやって、各業種ごとの理事長さん、社長さんにお話をお聞きし ました。特に運送屋さんは意外と201人とかに該当するんですね。運送屋さんに聞いた ら、去年の秋の燃料費と比べて3倍だというんです。一方、荷物をいただけるほうから は、やっぱり荷物もやるほうが厳しいから、おまえのとこもっと安くしないと別のとこ ろを頼むよと言われて、どうしてくれるのだと。もう明日がわからないと。その中で、 今度問題になったのは最低賃金の問題。これも労組の組合の方々は、もっと差があるの ではないかという話を、いま……、考えようという話になっています。そういうことで 我々も、同じ日本人としてよくその辺はわかっていますので、今後ともそういうことを 踏まえて我々も一生懸命やりたいと。何とか答えないとね、これもね。ご理解いただき たいと思います。 ○高橋委員  私も長谷川委員が考えていることを考えていたのですけれども、障害者雇用施策とい うところでの各論になると思うのですが、総論的には、共に生きる共生の視点というの が大きくあって、その流れの中で、分野ではどうするのかという話だと思うので、でき れば意見書の最初に共に生きるという視点を、是非入れていただきたいです。  それから、意見書の最後の部分になると思うのですけれども、雇用支援の今後の一層 の推進・充実に向けて、障害者の権利条約の国内法の整備として、今後どのようにして いくのかというところがもう少し狭いのかなと思ったのです。例えば環境整備や、行政 の役割、労使の役割、障害者団体の役割など、そういうところも入れ込みながら、予算 措置等も含めて今後、雇用支援を、どのように行っていくのか、検討が必要だというよ うなことも入れていただきたいと思います。 ○今野会長  ご意見として伺っておけばよろしいですね。またあとから対応を考えさせていただき ます。ほかにございますでしょうか。 ○岩村委員  一言だけ。中小企業のことでございますけれども、私は今回今日出てきた、まだフェ ンディングになっている部分も含めて、雇用率の問題については、基本的にはこの方向 で進めていっていただきたいと思います。特に今日はいろいろ留保はお付けになられて おりますけれども、中小企業の関係の方からも、大筋でのご理解ということと、ご協力 の表明があったということについては大変心強く思いますし、感謝を申し上げたいと思 います。このあと、最終的にどう取りまとめるかということなのですけれども、そのと き、いくつかの点を中小企業のサイドの方々もお考えいただきたいと思います。  1つは、これまでは法律上は雇用義務がかかっているけれども、しかし納付金、調整 金というのは適用しないという形にはなっていました。それでも現実には中小企業にお かれては、障害者雇用に非常に積極的に取り組んでこられたと。そういう意味では、ボ ランティアベースでの中小企業の努力というのが実を結んできたということは、確かな のだろうと思います。  ただ、実際の数字から見ますと、現実には、この間ずっと中小企業における雇用率が 下がってきてしまっていると。種々の要因はあると思いますけれども、やはりボランテ ィアベースでというところでの限界というものが、近年になってはっきり出てきてしま ったということが、1つの要因としてはあるだろうという気がいたします。もちろんほ かにも要因があるということ自体は否定はしませんが、1つの要因であることは否定で きないかなと思っております。  そうした中で、実は、おそらく中小企業サイドでもお考えいただきたいのは、このペ ーパーでも5頁の頭のところに出てきますが、中小企業間での不公平の問題というのが、 やはり出てくるのではないか。積極的に障害者の雇用をしているところが、競争上むし ろ損をしてしまう。そして、そうなれば全体としては、障害者の雇用に消極的になって いくという方向に進んでいってしまう。そこの点は、中小企業間でのコスト調整という ことをやって、なるべく不均衡がないようにするということは、考えなければいけない のではないかと思っております。  当然のことながら、もちろん経営環境は非常に厳しい中で、こういう形で納付金の対 象にするということでありますから、一定の準備期間とか、施行のための猶予期間とい うものが必要であるのは当然であります。その点についても、私の目から見ると、この ペーパーは、そういう意味では配慮がされているというふうに思います。納付金の額の 減額の恒久化ということは、先ほど障害者団体の方からもご発言がありましたけれども、 なかなか納付金というか、雇用義務というものがあるということとの全体構造というも のがマッチしないという部分はある。納付金の額の決め方自体が、一定の客観的な基準 で決まるという法律の枠組みでございますので、中小企業かどうかということは、そこ では考慮できないということからすると、恒久的に減額するというのは、やはり無理で はないかなというように思います。そういう意味で、一定期間ということで、今回3年 という程度ですが、減額という程度で、やむを得ないかというように思います。  もう1つ。これは少し長期的なところで考えて、中小企業の皆様にもお考えいただき たいと思うのですが、今日のペーパーでもいちばん最後の「その他」のところで、障害 者権利条約の締結に向けた検討というのが出ていますが、我が国は既に署名をしてしま っていますので、したがって、今後批准ということへ向けての作業という話になります。  そうしますと、いままで我が国の法制の中では持っていなかった障害者に対する差別 禁止とか、合理的配慮といったような、新しい要素が入ってまいりますので、そういう 意味で、かなりとは言いませんが、ある程度障害者施策、あるいは障害者の法制度のあ りようが変わってまいります。そのことが持つインパクトはたぶんあるはずです。そう しますと、今回いろいろ大変な状況の中での納付金制度への適用拡大ということもあり ますが、それはある意味では、少し長期的に考えると、権利条約の批准ということに向 けた地ならしという意味もあるのではないかという気もいたしますので、その辺も視野 に入れて是非積極的にご検討いただければと思います。  もう1つ最後になりますけれども、5頁のPの最後で、さらにということで、支援策 との並行的な実施ということが書かれており、前回も申し上げたとおりなのですが、や はり、単に納付金制度の適用拡大をしますよという話だけではなくて、このペーパーの 前の部分に書いてある、支援策の充実強化とのセットであるということについても、是 非十分なご理解をいただきたいと思います。  また、なかなか地方のほうに行きますと、障害者を雇用するというのは難しいという 実状もあると思いますが、他方で是非、中小企業団体の方々におかれては、こういった 地域の就労支援のネットワークの強化ということも、あとでさらに謳われているところ でありますので、中小企業の経営者の方々に、そうしたネットワークとの接触を持って いただいて、そして障害者の雇用の場というものが作れるような形で働きかけていただ くということを、是非進めていただければと思います。  とりわけ中小企業というのは、地域における雇用の受け皿としては大きなものがあり ますし、障害者の方々にとっても、地域の中で生るということからすると、中小企業の 場の雇用は非常に重要な意味になろうかと思いますので、是非積極的なご検討をいただ ければと思います。以上です。 ○新澤委員  何遍もお話しますけれども、中小企業はあくまでも皆さん、その、十分なんですよ。 過去において中小企業がなぜ上がったかという、それはネコの手も借りたいぐらい、い わゆるバブル期は人がほしかったのです。物が売れる時代があった。そのために人手が ほしかった。いまは全くデフレだから、いくら作っても売れない時代。しかも、障害者 どころか、健常者も場合によっては、倒産することによって辞めざるを得ないような中 での話なんです。  ですから私は、この納付金の問題は、前もやはり人間の心を説得したほうがいいとい うお話をしたわけです。先生のお話はよくわかるのですけれども、その辺の事情も、先 ほどお話したように、運送屋さんも燃料費が3倍も上がって、また下げてくれというよ うな、相手も、頼むほうも厳しいものですから。これは当然ゆとりがあれば、人間誰で もそういうことは率先してやりますよ、普通の人であるならば。ところがいまは、健常 者も仕事をなくしてしまうような状況化において、本当におっしゃることはよくわかる のだけれども、なかなかできないところに難しさがあるので、私はそういうことではな く心で訴えて、何とかそこをということで、納付金をお受けしてやろうと。調整金もむ しろ励みになるために、減らさないで同じくやってくださいと言ってみたり。重々おっ しゃることはわかります。わかりますけれども、こちらのほうの現状もおわかりをいた だきたいということなのです。 ○大島委員  すみません。申し訳ないのですけれども、大企業と中小企業というのは格差というの はものすごく歴然としているのです。今回上がってきた数字が、納付金制度の適用の拡 大とか、周知期間とか、そういった問題でその差が反映されているかというと、そうは 思えないのです。例えば、労働生産性という意味では、大企業の中小企業では3分の1。 利益率に至っては10分の1の水準であって、中小企業の4割が単年度赤字で、7割は累 積赤字を抱えているという現状で、そうした配慮をしている法律というか、中小企業に 対する法的な配慮をしている事例が、ほかにご存じだと思いますけれども、例えば独禁 法で、カルテルの談合などの不当な取引き制限禁止の違反に対する過超金の算定率。こ れは企業の業種によっても変わっていますけれども、製造業の場合は大企業が10%、中 小企業が4%と半分以下なのです。小売業については大企業が3%、中小企業が1.2%。 卸業については大企業は2%、中小企業が1%。  税制に関しては、留保金課税も、大企業は課税されますが、資本金1億円以下の中小 企業は課税なしということで、それぞれ言えばきりがないぐらいあるのですけれども、 中小企業投資促進税制とか、基盤強化税制、これも大部しっかり、大企業と中小企業の 差を多く取っていただいているわけです。それに比べると、今回の数字は、まだまだな のかなということなのです。もちろん中小企業は、障害者雇用の促進にできるだけ協力 はもちろんするのですが、今回の数字に関しては、ちょっと再考いただけないかなとい うふうに思います。 ○今野会長  ほかに意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今日は特に報告 書(案)全体を読んでいただいて議論していただいて、出た意見は、ほとんど納付金関 係の意見が多くて、しかもかなり対立した内容になっているという現状でございます。 ただ、私はちょっと楽観的なものですから、この報告書は論点が多いのです。にもかか わらず、残っている論点は納付金だけということです。ほかの多くの論点は、分科会で 同意をいただいているというふうに思っています。ただ、今日ありましたように、納付 金関係の論点は、まだ調整が仕切れていないという状況にあると思いますので、当初は 今日ぐらいで終わりたいなと思っていたのですが、その点が少し対立をしていますので、 もう少し調整をしたいというふうに思います。  もう既に予定していただいていますが、12月19日に分化会を開催したいと思います。 そこで引き続いてご議論をいただければと思います。今日はこれで終わりたいと思いま す。いま申しましたように、次回の分科会は12月19日10時からということで考えていま す。場所は、5階の第7会議室ということです。いつもと同じですが、次回の分科会の 出欠の確認の用紙を配付していただいていますので、机に置いていただくか、ファック スをいただければと思います。  議事録の署名ですが、労働者代表は豊島委員、使用者代表は輪島委員、障害者代表は 舘委員にお願いをしたいと思います。それでは今日は終わります。 <照会先>    厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2      TEL 03(5253)1111 (内線 5783)      FAX 03(3502)5394