07/12/10 平成19年12月10日医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会       日時 平成19年12月10日(月)       13:30〜       場所 厚生労働省共用第7会議室 ○医師臨床研修専門官(井内) ただいまから医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 を開催いたします。本日は、先生方にはご多忙のところご出席いただきまして、誠にあ りがとうございます。本日の議事ですが、「医師臨床研修制度に係る検討について」とい うことで開催いたします。それでは議事の進行に入ります。これ以降は部会長、よろし くお願いいたします。 ○齋藤部会長 まずはじめに、本日の議事の進め方及び資料を事務局から説明をお願い します。 ○医師臨床研修専門官 本日の議事の進め方ですが、平成19年11月19日〜12月3日 までの間、国民からのご意見という形で、この臨床研修に係る報告書(案)につきまし て、ご意見を募集いたしました。本日はそのご意見の内容につきまして、いただいたご 意見を順次ご説明しようと思っております。その意見を踏まえまして、報告書(案)の 変更について、この部会においてご議論いただければと考えております。その結果に基 づきまして、医道審議会医師分科会医師臨床研修部会報告書としたいと考えております。  資料につきましては机上に配付いたしました。まず本日の議事次第、座席表、委員名 簿、その下に資料1といたしまして、「医師臨床研修制度に係る報告書(案)に関するご 意見について」ということで、いただきましたご意見を系統ごとに分けて分類したもの として、資料1として準備しております。さらに資料2といたしまして、報告書(案) ということで配付しております。不足している資料がありましたら、事務局までお申し 付けください。以上でございます。 ○齋藤部会長 まず、医師臨床研修制度に係る報告書に対するご意見、いわゆるパブリ ックコメントの説明をお願いしたいと思いますが、資料1のように意見が1番から68 番までありまして、それぞれ、ある整理がされていると思いますので、部分ごとに説明 いただけますか。 ○医師臨床研修専門官 それでは区切りのいい所までご説明します。資料1の1番から いきたいのですが、ここにつきましては、これからお話しすることにつきましては、「研 修プログラムの改善」、いわゆる項目としまして、報告書(案)の2につきましてのご意 見です。左のほうに番号とともに、いただいたご意見、いちばん右側にご意見に対する 考え方の案ということで、事務局で少し準備させていただいております。この両方につ きまして、いろいろご議論いただければと考えております。順番に1からやりたいと思 います。最初、この「研修プログラムの改善」の所につきましては、1から20番まで同 じ系統ですので、ざっと20番までご説明します。  ご意見1、かいつまんでご説明しますと、公衆衛生の見学に時間を割く必要はないと いうこと、さらに産科、小児科を1カ月ずつローテートする現在のシステムは単なる見 学でしかないと、社会の役に立たない、内科と救急と外科をやるということで十分であ る、というご意見が1番目です。  2番、産婦人科が研修医に必要不可欠というのであれば、1カ月でなくて、3カ月以上 を必修とすべきではないかというご意見です。  3番、小児科研修ということですが、小児科研修も必修の期間をせめて2カ月という ことで、2カ月以上と長くするべきではないか、というご意見です。  4番、保健所が初期研修というのは、なかなか難しいということで、保健所自身につ いての是非ということでご意見をいただいています。  5番、現在の研修で、より幅広い臨床経験とエビデンススキルに基づく的確な診断と 治療の検証を日々積み上げている研修医は、国民患者から見て信頼できる医師に育って いると実感しているという前提です。その中で、この項目のいちばん下の行ですが、中 小病院での研修も重要であり、位置づけを明確にすることというようなご意見です。  6番、文書の意味がわからないというのがあります。上段の部分は報告書の抜粋なの ですが、ここの所の意味がよくわからないというご意見です。ここまで、1番から6番 までに関しまして、回答を準備いたしましたので、読み上げます。  新医師臨床研修制度においては、基本理念に基づき「臨床研修を行う分野ごとの研修 期間は、それぞれ1カ月以上とし、臨床研修病院の実情及び研修プログラムの特色を考 慮して定めること」としており、1カ月間に限定しているものではありません。各病院 の研修プログラムで対応するものと考えます。また、地域保健・医療を研修することは、 中小病院、保健所、老健施設を含め重要なことと考えています、という回答(案)です。  同じ項目について少し続きますので、先に進みます。2頁の7番、3行目にありますが、 小児科、産婦人科は現行どおりに2年目が適切と考えるというご意見です。  8番、2行目の後半以降です。少しでも早く小児科を体験すると、小児科の素晴らしさ を理解すると思う、というご意見です。  9番、臨床研修制度の中で、2年目から社会人入学の形でもよいので、正式に大学院に 入学できることも考慮していただければと思います、というご意見です。  10番、3行目の後半です。外科研修にある外科系の科を含むか含まないかは、はっき り明示したほうが現場はやりやすい。当該科を入れる、入れないということを施設内で 話し合うのは意味がない、というご意見です。  11番、後半にこうすべきだというのがありまして、6行目ですが、「望ましい」や「考 えられる」または「○カ月以上」の表現は曖昧である。はっきり決めて施設での無駄な 話し合いを減らすべきである。当該施設での自由度は選択の部分で発揮できればよい。 研修期間は2年間と期限が限られているので、施設における裁量、自由度の部分は少な いのが当然である、というご意見です。  以上、この7番から11番のご意見に対しての、いわゆるこの部会の考え方といたしま して、臨床研修病院や大学病院におけるプログラム作成や指導体制の確保をより柔軟に 行えるようにするとの観点から、それぞれの病院の実情を踏まえ、プログラムを作成で きることとしたところであり、必修科目については、1年目から研修が可能となるよう にしていきたいと考えています。なお、大学院制度の中で、臨床研修プログラムを組む ことが可能か否かについては、今後の検討課題と考えます。また、到達目標を達成する ためには、研修科目や期間について、ある一定の柔軟性が必要であり、どの診療科で研 修するかも含め、病院内で話し合うことは必要不可欠なものと考えています、という答 えを作っております。  12番、3行目の後半、細切れでともすると、お客さんと化しかねない。精神科、小児 科、産科研修というご指摘をいただいております。さらにこの研修を維持するとすれば、 内科医養成に関しては、個々の病院に任せないで、後期研修も含めた研修プログラムを 作成すべきだと思う、というご意見です。  これに対する回答ですが、新医師臨床研修制度は「医師が、医師としての人格をかん 養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識 しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基 本的な診療能力を身につけることのできるものであること」を基本理念としています。 臨床研修修了後の研修については、各学術団体や医療機関において取り組まれていると ころであり、専門医認定機構で議論していると承知しています、ということです。  13番、現在の研修はただひたすら広く研修しているというところで、いちばん最後の 所ですが、もう少し絞った目標を概ねではなく、完全に達成できるようにするべき、と いうご指摘です。  これに対しての回答ですが、新医師臨床研修制度においては、基本的な診療能力を身 につけることを目的に「臨床研修の到達目標」を定めています。なお、到達目標につい ては適宜見直せる仕組みを構築いたします。以上でございます。  さらに「研修プログラムの改善」のところが続きます。3頁の14番です。14番のご意 見は必修とされる「内科」「外科」の定義が曖昧であり、プログラム作成上混乱を来して いるというところで、いわゆる外科の必修に何が入るのかというところで、Q&Aではな くて、研修プログラムに明示してほしい、というご意見です。  ご意見に対する考え方としては、到達目標を達成するために必要に応じて、外科系診 療科で研修することは重要と考えており、Q&Aに示していますが、様々な機会を通じて 理解を深めていきたいと考えております、という回答です。  15番、これも分離している上の部分は報告書(案)の抜粋です。その下の部分で、文 書の意味がわからないというものです。これの最後の3行の括弧の中に入っているとこ ろ、「概ね目的は達成できており、現状のプログラムを続行するが、細部における内部調 整等は中長期視点で、その都度修正を加えていく」ということにすべきではないか、と いうご指摘です。  15番に対する回答ですが、ご指摘の趣旨については報告書(案)に反映されているも のと考えます、という回答にしております。  16番も同じく文書の意味がわからないというものです。これも最後の3行をお読みし ますと、「医学的に本質を理解する研修になりにくいため、各種文献調査等を基に対応で きるプログラムにするよう努める」にすべきである、ということです。  これに対する回答としましては、様々なご指摘がある中で、報告書(案)においては、 種々の文献を検索し考察するなど、医学的に本質な理解を行った上で、医療が行われて いることの重要性について、改めて指摘しているものです、という回答です。  17番の1行目ですが、16年度制度開始に当って、当院は麻酔・救急2カ月のプログラ ムを作成ということで、現在「プログラム変更を余儀なくされている」というところで す。最後の3行で、制度開始時に周知されていなかった項目について、「必須としない」 という配慮が必要ではないか、というご指摘です。  回答ですが、内科においては6カ月以上研修を行うことが望ましいこととされており、 外科、救急(麻酔科を含む)については、それぞれ3カ月を目安として、Q&Aで示して います。また、目標数などについては、できるだけ明示したいと考えております、とい う回答にさせていただいております。  4頁の18番、保健所、血液センターも選択肢というところで、いわゆる僻地の病院で の研修を行えば、本人の研修ばかりでなく、医師不足に悩む地域に恩恵をもたらし、そ こでやりがいを見出せば、将来地域医療で活躍する人材になりうるかもしれないという ようなご指摘です。  さらに19番の2行目ですが、医師不足地域では、指導医も不足していることは明らか。 そういう病院で教育ができるとは思えないというご意見です。  さらに20番、これも文書の意味がわからないというものです。ここでのご指摘は、こ れも下の3行かと考えております。研修医の当直、アルバイトを禁じている現状では僻 地の医師不足を加速させるだけになる、というご指摘です。  18番から20番までのご意見に対する考え方は、研修医の段階で地域の医療機関を経 験することは必要なものと考えており、プログラム責任者養成講習会等を通じ、実践あ るプログラムが作成されるよう努めていきたいと考えています。なお、医師不足地域で あっても、研修の質は必要不可欠なものと考えていますので、指定規準を満たす病院を 指定しています、ということです。  1番から20番までが、「研修プログラムの改善」というところでのご意見でした。そ れにつきましての考え方の(案)を併せてご説明いたしました。以上です。 ○齋藤部会長 ありがとうございました。一旦ここで切って、ご意見を伺いたいと思い ます。当然パブリックコメントの中には相反するものも入っていますし、いろいろな角 度からたくさんのご意見をいただいていますが、そのご意見自体に対する感想、あるい は、それに対する考え方につきまして、何かご意見、あるいはご質問がありましたら。 ○山下委員 実際にこれを読ませていただいて、2つのことを感じました。1つは、こち らから答えを出すときに、もちろん趣旨を説明されるのはいいのですが、やはり今後の こととして、この報告書(案)に書いてありますが、要するに検証をした上で変えてい くんだということのフレキシビリティを強調していただきたいように思います。ここの 部会でもちろんお決めになることですが、私の意見としては、やはり前からも申し上げ ていますが、検証して変えていくんだというのをきちんとアピールしているわけですか ら、こういういろいろな意見が出てきているのは、要するにいろいろなお立場で言って おられると思います。もちろん、それを全部盛り込むことはできないわけですから、ど こで落し所をつけるかというと、やはり研修医が満足するとか、その人たちがすごくい いお医者さんになるというところでけりをつけるわけです。それを強調していただきた いと思います。  もう1つは、いろいろな懸念の中には、もちろん長期研修は終わらないわけで、後期 研修にどうやって繋げていって、そこでどういう専門の、例えば小児科、産婦人科、外 科などのいいお医者さんをつくるかということですから、それに対して、どういうこと をこちらが用意しているか。ちょっと書いてありましたが、その辺のことを、要するに 初期研修をあまりガチッとソリッドなものにしてしまうと、最初から決めて、そのまま 変わらなかった人が厚生労働省の調査では半分いるということは、そういう人たちは研 修が始まったときと終わったときで同じことを目指しているわけだから、その人たちが 結局は外科へいきたいと思っていた人たちが外科をずっと、自分の将来にわたって有益 な研修をしたというようなことがあると、やはり満足度が上がると思います。結局、い まのようなソリッドな、1年目は何をやる、2年目は何をやるではなくて、順番をいろい ろ変えるとか、フレキシビリティをつくってほしいというのは私の意見なのですが、少 なくとも、パブリックコメントを聞いていますと、そういうようなこともアピールポイ ントにはなるのではないかと思います。以上です。 ○齋藤部会長 ほかにいかがですか。報告書の(案)ですと、いずれも7頁、8頁の「今 後の対応」に関する具体的なご意見だと思うのですが。中には文章の意味がわからない というご意見もありますが、これはよろしいでしょうか。文章は大体わかりますよね。 ○冨永委員 保健所の研修が効果的でないという意見が出ておりますが、保健所も一生 懸命やっておられる所もあり、研修医が満足している研修もあると思います。全国保健 所長会等でいろいろ検討されております。臨床研修についてはほかの科目につきまして も病院によって違うとか、都道府県でも多少異なるということはあると思います。保健 所の考え方を少し盛り込んでもらってはどうだろうかと思います。医療行政とか、いろ いろな意味で必要なこともあるわけです。もちろん、大学6年間の教育とも関連はする と思いますが、現状では保健所の研修は必要だと考えていますので、どういう研修をや っているので必要だということを、少し具体的に書いてもらったほうがいいと思います。 ○齋藤部会長 いまのご意見は1番に対するものでしょうか。 ○冨永委員 1番、4番です。 ○齋藤部会長 ここで地域保健・医療というカテゴリーなんですが、飯沼委員、医師会 のほうでは、この辺りで何かご意見ありますか。 ○飯沼委員 4頁の(3)にも記載があるので、しっかりやってほしいということを遠回し に表現しているのだろうと思いますので、保健所のカリキュラムの内容をしっかりして もらえば、見学だけで済むという問題ではないと思います。 ○齋藤部会長 ほかにいかがでしょうか。これは、まだたくさんありますが。どうぞ。 ○相川委員 いろいろなご意見があって、なかなか大変ですが、このご意見に対する考 え方の(案)についても、非常によく出来ていると思いますが、1点だけよろしいです か。4頁の20ですが、この文章の意味がわからないということの中の(1)です。「地域の 診療所でなければ全人的医療を行っていない(身につかない)とは話がおかしい」、ここ が指摘されていますが、おそらくそれは報告書(案)の8頁の上から2つ目の○の所な のかと思います。この○の所、「患者やその家族に対して全人的に対応することの重要性 について理解を深めるために」となっている、この「ために」ということが、地域の診 療所でやらなければ、重要性について理解できないんだということなので、原案の「た めに」という所だけは、少しワーディングをお考えになったらどうでしょうか。 ○齋藤部会長 はい、わかりました。それでは、まだ先は長いですので、次のブロック にいきまして、また後から必要とあれば、いつでもご意見をいただきたいと思います。 それでは井内さん、お願いします。 ○医師臨床研修専門官 それでは、4頁の21番、ここは3の「臨床研修の到達目標の改 善」になっております。21番のいちばん上に、脳卒中(脳血管障害)は、重点的に改善 が図られる国策としての「4疾病5事業」の中核の1つであるという指摘がまずありま す。このパラグラフの下のほうですが、脳卒中領域の研修において、医療技術習得レベ ルは不可能となると。脳神経外科あるいは脳卒中内科の研修参加が必須というご指摘で す。さらに例も挙げていただきました上で、いちばん下、研修プログラムへの脳神経外 科の参加は必須と考える、というご意見です。  これに対する考え方としまして、ご指摘のとおり、研修目標を達成するためには、当 該診療を行っている医師が研修医の指導に参加することは大変重要なことと考えていま す、という考え方を示しております。  5頁の22番、ご意見は、義務化した新制度が、確実に良質な医療提供体制につながっ たとの事実が明確にわかる方策を導入すべきではないかということで、ここのいちばん 下になりますが、早急な可視化定量できる修了基準の設計を望むものである、というよ うなご指摘です。  ご意見に対する考え方としまして、現時点においては、実際の実施機関の評価及び臨 床研修の到達目標の達成度の評価に分けて評価を行っていますが、今後評価の質を高め ることにより、到達目標の達成度が明確に分かるようにしていきたいと考えています、 という考え方を示しております。  23番、研修修了時における到達目標が明確にされておらず、これが研修先における差 異につながっている、というご指摘です。これのいちばん下の行ですが、国が最低限必 要レベルを示すべきであると考える、というご指摘です。  24番、報告書のこの部分に関しまして、主語が抜けているというご指摘です。これは どこをどう変えるべきなのかというのがちょっとわかりにくかったのですが、要はここ に書いているようなことは難しいのではないかというようなご指摘です。  25番、到達目標という言葉を使用するには違和感が大きいということで、いちばん下 から2行目ですが、「臨床研修における経験すべき内容の項目」と言い換えればどうか、 というようなご指摘です。  23番から25番までのご意見に対する考え方(案)ということですが、臨床研修制度 の到達目標については、国で定めているところです。今後、適宜適切に見直していく必 要性について、報告書(案)で指摘しています。また、指導については、新医師臨床研 修制度に係る指導ガイドラインに示しています、という考え方を示しております。  26番、EPOCの事前登録指導医を、研修医1人に対して複数許可するシステムにしてほ しいというご意見です。  ご意見に対する考え方としましては、EPOCは厚生労働省が管轄するシステムではない ため、管轄する国立大学病院長会議と連携していきたいと考えています、というご意見 に対する考え方です。ここまでが、項目3の「臨床研修の到達目標の改善」というとこ ろです。 ○齋藤部会長 いかがですか。当然このご意見、それからご意見に対する考え方は、こ の部会の資料の一部として公表されますので、考え方についてももう少し書き込ただほ うがいいのではないかとか、具体的なほうがいいのではないかということがあれば、是 非伺いたいのですが。例えば、いま24、25番のところの考え方で「また、指導について は、新医師臨床研修制度に係る指導ガイドラインに示しています」という所に、ではそ のガイドラインはどこに言えば手に入るのかとか、どこから出しているのかとか、そう いうこともたぶん書き込んだほうがいいと思います。いかがですか。  26番のEPOCの問題は、大橋委員あるいは医学教育課の三浦さん、ここにありますよ うに国立大学病院長会議で管理されているという理解でよろしいですか。 ○文科省医学教育課長 管理というよりも自主的に動かされているということだと理解 しています。別に所管という構造があるわけではなくて、オープンに広く使われて差し 支えないものではないかということです。 ○齋藤部会長 実際、現場の声としては1対1、1人しか駄目なので、内科の研修でも内 科の中でいろいろな人に指導医をお願いするときに、その人が入力できないということ で不便であるという声が強いようです。 ○文科省医学教育課長 ご意見、これは病院長会議なりにお伝えをして、使える工夫を していただくことについては取り組んでいくことを検討していただきたいと思います。 ○齋藤部会長 大橋委員、何か補足はありますか。 ○大橋委員 実は国立大学法人には病院長会議、医学部長会議の2つありまして、病院 長会議は自主管理をやっています。ですから、そういう形を非常に全国医学部長・病院 長会議からもお願いするといいますか、いま医学教育課長が言われた形でお願いすると いう形でするしかないかと思います。 ○齋藤部会長 ほかにいかがですか。それでは先へ進みます。 ○医師臨床研修専門官 資料1の6頁に戻ります。27番のご意見です。臨床研修病院の 指定基準の充実として、例えば「必要な診療科の確保、救急医療の提供」ということで、 最後の2行ですが、管理型臨床研修病院として行っている中小病院での研修が不可能に なってしまう、ということのご指摘をされています。  これのご意見に対する考え方としましては、臨床研修の質の向上を図るためには、必 要な診療科の確保等は研修協力施設ではなく、指定基準を満たした協力型病院での研修 が必要と考えています、という考え方を示しています。  28番に進みます。研修病院が多すぎるというご指摘がありまして、下の3行で、基準 を満たした研修病院の診療報酬を加算する方法をとるべきである。指導医に対する補償 が必要である、というご指摘をいただいています。  29番、指導体制充実のため、指導医に対する報酬を設定すべきである。  30番、指導医に過度の負担をかけさせないために、補助金の増額による指導医の増 員・選任化などで体制を強化させることが重要である、ということです。  28番から30番ですが、報告書(案)にも示しているとおり、すでに指定されている 臨床研修病院の取扱についても検討すべきこととなっています。研修医の報酬について は、各病院の実情によって定められているものと思われます。  なお、診療報酬については、現時点においても「臨床研修病院入院診療加算」として 加算されています。指導医については、「臨床研修費等補助金」において必要な経費を補 助しています、というご意見に対する考え方となっています。  31番の意見に行きます。臨床研修病院の指定、病院群の変更等についてということで、 上から4行目です。都道府県にも情報提供をいただきたい。早い段階で情報を把握でき ることで、各事業が円滑に実施できる、ということです。  これに対してご意見に対する考え方として、地方厚生局、都道府県と連携しながら進 めていきたいと考えています、という考え方を示しています。  32番です。指導医については、「原則として、指導医講習会を受講していることを指 導医の要件とすべきと考える」ということにつきまして、いちばん下の所です。「指導医 講習会」の規定には幅を持たせてほしい、というご指摘です。  ご意見33番になります。講習会を形式上受講しただけで指導医の要件の1条件を満た すのは、問題が多いと感じられる、というご意見です。これの下から3行目で、包括的 に解決する手段を今後検討することということで、医学的知識・技術、医学的解釈とい うところを統一化することという意味だと考えています。  ご意見34番です。ここでは2行目の後ろのほうです。指導医の臨床経験年数5年以上 との経過措置になっているが、指導医講習会の受講を条件として、指定基準の「7年以 上」を正式に「5年以上」としていただきたい、というご意見です。  32番から34番までのご意見に対する考え方としては、指導医講習会は原則として厚 生労働省医政局長通知「医師の臨床研修に係る指導医養成講習会の開催指針について」 に基づくものと考えていますが、例えば医学教育者のためのワークショップ、プログラ ム責任者養成講習会等の受講者等にも幅を持たせたいと考えています。  なお、指導医の要件は、臨床経験7年以上としか定められていないことから、指導医 講習会の受講を追加したところです。今後も指導医の要件については、検討課題と考え ています。  7頁に移ります。ご意見35番です。臨床研修制度の経過措置について廃止した場合、 研修医の募集定員数がどの程度になるか試算するべき、ということです。  ご意見に対する考え方としては、経過措置を廃止した場合の募集定員数の影響につい ては、逐次把握していきたいと考えています、という考え方の案を示しています。  ご意見36番です。「将来的には」の2行目です。研修病院機能評価機構を設立して、 客観的に評価する必要がある。これは早急に確立すべきであり、その延長線上に各専門 医研修病院機能評価システムが必要である、というご指摘です。  ご意見37番です。ここで3行目の後半からです。「病院機能評価と同様、基準を満た すかどうかのみの評価をしないでいただきたい、というご要望です。  これについて36、37につきましてのご意見に対する考え方ですが、ご意見のとおり臨 床研修病院の評価については必要であり、報告書(案)についても示していますので、 今後検討していきたいと考えています、というご意見に対する考え方としています。  ご意見38番です。現体制では指導医の負担が過重でありということで、指導医に対す る負担軽減を病院が講じることなどを新たな要件として提案のすべき、というのが38 です。  39番ということで、先進的取組が必ずしもベストとは限らない。結果的には新しいだ けで問題の多い研修方式になる可能性も多い、というご指摘の中で、2段落目ですが、 研修プログラムは独自としておきながら、理想的モデルを周知徹底させるのは趣旨から いっておかしい、というご指摘があります。  このご意見、38、39番に関しましては、病院内の指導体制に係る、全国の様々な取組 を集約・提示し、それぞれの研修病院において、研修医の処遇改善や指導体制の充実に 活用していただきたいと考えています、ということです。  ここまでが4の「臨床研修病院の体制等の充実」につきましてのご意見と、ご意見に 対する考え方です。 ○齋藤部会長 ご意見はいかがですか。最終的にはこの報告書の案に修正すべきところ、 あるいは取り入れるところは取り入れないと、パブリックコメントに対して答えただけ では済まないわけでして、また、報告書を読んだ人は同じことを思うわけですから、ど うしても必要なことは直していきたいと思いますが、いかがですか。 ○山口委員 指導医の講習会も原則として指導医は講習会を受けていいと思うのですが、 現実的な問題として、しかも7年以上の経験者が従来の講習会を済ませた人が、例えば 8,000人で5人に1人というと1,600人以上要りますよね。すでにそれだけの人数が確 保できているのですか。 ○医師臨床研修推進室長 ここに記載してある開催指針に基づいて平成15年からこの 講習会を受けられた人が、平成19年度当初の段階で18,000人いらっしゃいます。ただ、 この指導医講習会を開催したときには逆に指導される立場、その講習会を指導される立 場の人で、ほかの医学教育者のためのワークショップとか、何十年も昔からやられてい るのを受けられている方もいますので、そういうことも加えるとかなりの人数になるの ではないかということです。 ○矢崎委員 ちなみにプログラム責任者講習会は今年でも2回目ですが、トータルで 1,100人近くプログラム責任者の講習も厚生労働省のもとで医療研修推進財団講習会で も実績がありますので、体制は随分整っていると思います。 ○齋藤部会長 いまの点ですが、指導医講習会を受講しているということは、もちろん 管理型とか単独型の病院はそうですし、協力病院もそれが必要ですよね。協力施設はい いのですね。協力施設まで広げると、例えば診療所のドクターとか保健所のドクターが それを受けていないといけないということになりますよね。 ○医師臨床研修専門官 受けていないといけないというわけではないのです。 ○齋藤部会長 いかがですか。ここで指導医の処遇、指導医の負担が過度だというご意 見がかなり出ていると思うのですが、それについては14頁で「指導体制の充実」という ことで書いてありますが、どうですか、この程度でいいのか。ここで書いてあるのは、 14頁の下のパラグラフですよね。「指導医に過度の負担がかからず、効果的な指導が行 える体制(いわゆる屋根瓦方式、チーム主治医制など)については、一部の先進的な臨 床研修病院で取り入れられているが、全国の病院で導入されているとは言い難い。そこ で、まず、具体的にどのような取り組みを行うべきかについて、理想的なモデルが集約・ 提示され、全国的に周知される必要があり、併せて、それぞれの臨床研修病院及び大学 病院においても、その体制を検討することが必要である」ということですが、この程度 でいいのか、あるいは指導医の教育に対する努力をもっと評価すべきであるとかいうと ころまで踏み込んで言うかどうかですよね。いかがですか。 ○長尾委員 できれば部会長が言われたように、もう少し踏み込んだ形で。指導医のい ろいろな過重な負担に対してのある程度の手当的なものとか、そういう財政的なものも 本当はもう少しあるべきかという面もありますので、できればその辺も若干踏み込んで。 ○齋藤部会長 そうですね、手当だけではなくて、その評価ですよね、全体的な。 ○長尾委員 財政的な負担、評価の部分ね。いろいろな面も負担がありますので。 ○齋藤部会長 コントリビューションをいかに病院として評価するかということですか ね。たぶんその程度の、現場の実情を聞きますと、そこはやはり入れたほうがいい気が しますね。相川委員、いかがですか。 ○相川委員 私どもの病院の例で申し上げますと、指導医の仕事がかなり多くなってき ていて、それを臨床研究教育の片手間でやるということに私は非常に危険を感じたので、 必修の基本診療科に関しては有休枠を1つずつ付けてしまったのです、これは我々の例 ですがね。有休枠を付けることによってその診療科では有休が1人増えますので、そこ でその分研修指導をしっかりやってくださいということなのですが、問題はその指導医 が1年間、診療、外来も離れる、手術もしない、入院患者を持たないということになる と、実際に指導もできなくなってしまいますし、またその医師としてのキャリアにも影 響するので、結局はタイムシェアリングです。ですが、例えばその診療科に有休枠を付 けて、それで労働をほかの人に分散することは必要かと思います。ですから、これはど のような表現でここに書き込むかということですが、方向性としては是非それをやるべ きだと思っています。 ○齋藤部会長 余裕のある病院はいいと思うのですが、例えば矢崎委員、あるいは山口 委員の所は指導医に対してどのようにされていますか。 ○山口委員 とても専任者を置くというわけにはいきませんから、いちばん有能で指導 者の適当なところは、たぶんいちばん働き盛りの先生方の所に集中してしまうので、な かなかその先生を臨床から離すことは実情とても難しいと思いますから、いまおっしゃ られたタイムシェアリングみたいなことができればよろしいのかと思います。そうかと いって人員を1人ずつ各科に増やすのもなかなか難しい話なので、現場では非常に苦労 しているという実情だと思います。 ○矢崎委員 座長がおっしゃられたように、教育に対する我が国の臨床の現場での評価 が低いのではないかと思います。ですから、例えば指導医として活動したことが病院内 のキャリアパスなどに活用して評価するなど、もう少し強い文言を入れると拠り所にな る可能性があるので、先生がおっしゃるように評価がポイントではないですか。もちろ ん待遇もそうですが、長い目で見た場合には評価のポイントが重要かと思います。 ○齋藤部会長 では、そこは何とか少し、もし工夫できれば。 ○医師臨床研修推進室長 いまの14頁は、具体的に語句は座長とご相談させていただけ ればと思うのです。例えば、いちばん下の○で「指導医に過度の負担がかからず効果的 な指導が行える体制については」といま書いてありますが、体制や指導医の評価とかそ の教育に対する評価についてはということで、若干その部分を加えて書く形でよろしい でしょうか。 ○齋藤部会長 ほかの所はいかがですか。もしなければ、またあとで伺うとして、次に 進んでください。 ○医師臨床研修専門官 ご意見の40番から行きたいと思います。基本的に4の「医師の 地域偏在と研修医の募集定員」ですが、少し内容がかぶる所もありましたので、40番を、 2の「研修プログラムの改善」のご提案ではありますが、ここに入れさせていただいて います。  40番のご意見ですが、2段落目です。新任医師は専門科選択までに多くの科のローテ ーションを義務づけられる結果として、労働条件が悪い科を避けたり、訴訟リスクの軽 減できる科へ流れるなど、研修終了後に小児科、産婦人科並びに脳外科等の科を希望す る医師が激減しているのは、現行医師臨床研修制度の失敗ではないか、というご指摘で す。  ご意見41番です。研修医が集中し、かつ全体の医師数の多い地域の臨床研修病院、大 学病院に対しては、募集定員の上限を設け規制すべきである。複数年にわたりいない都 市部の研修病院の指定の見直しについては、少なくとも3年間ぐらいは猶予すべき、と いうご指摘です。  ご意見42番です。募集定員数の総数見直しと地域バランスを配慮という方針であるが、 指導体制の充実も述べられており、研修の質の問題を優先すべきではないか、というご 指摘です。いちばん下の3行です。2年間研修医が都会に集まろうと、指導力のある病 院で実力をつけることのほうが大切。その後の研修で地域バランスを考えた配慮も考慮 すればいいと思う、というご意見です。  43番です。これが下から4行の所です。医師数が少ない地域で研修などあり得ないと 思う。医師数を増やしたいのであれば、研修医ではなく、後期研修を終えた専門医こそ 増やす施策をなすべき、というご指摘です。  44番です。地方に必要なのは研修医ではなく、指導医クラスの医師である。ここの下 の3行ですが、指導医が何を求めているかを基準にしたほうがよい。それは各地方が考 えるべき、というご指摘です。  45番です。上から3行目で、小児科医の過労問題、産科医や小児科医への訴訟問題が 解決すれば、(括弧の中を飛ばします)小児科の徹底的な集約化があれば簡単に人が集ま る。救急医療については、徹底的な集約化と、夜間初診料を病院で自費で取り、なおか つ、その最低初診料を国が決めれば、簡単に勤務医不足も防げる。そのような努力をし ないで、臨床研修ばかり責めても何も解決しない、というご意見です。  46番です。研修医が確保できていない研修病院こそ、なぜ研修医を集めることができ ないのか、その理由を自問するべき、というご指摘です。ここのいちばん下で、過去実 績のない研修病院こそ廃止すべき、というご指摘です。  47番です。これは医師の地域偏在への対応として、研修医の地域毎のバランスが図ら れるよう配慮することを明記したことは評価するとしていますが、いちばん下で、研修 医の地域定数制の導入等踏み込んだ提言の明示を要望する、というところです。  8頁でご意見に対する考え方を読み上げますと、研修体制の質を確保・向上する観点 から、臨床研修病院の指定基準の見直しなどを行い、その総数について調整すべきと考 えています。一方、研修医の段階で地方を経験してもらい、地方の魅力を知ってもらう ことも必要と考えています。なお、全体の医師確保対策としては、別途、「緊急医師確保 対策」として総合的に取り組んでいるところです。また、例えば複数年にわたって研修 医の受け入れがない場合など、すでに指定されている臨床研修病院の取扱いについても 検討をしていきたいと考えています、というのがご意見に対する考え方(案)として示 しているものです。  9頁、ご意見の48番です。新医師臨床研修制度は、一部地域における医師の減少を招 いたきっかけでもあり、医師の地域偏在の是正を図るシステムを盛り込む必要がある、 というご指摘です。下から3行、医師不足地域などの地域医療を研修するシステムを臨 床研修制度に組み込むことを要望する、ということです。  ご意見に対する考え方として、地域保健・医療については、各地域の実情を踏まえ、 それぞれの地域にあった研修(システムを含む)が行われることが適当と考えています。  ご意見の49番です。「研修医の募集定員の改善について」で、10万人対医師数ではな くて、10万人罹病率で計算すべきではないかと。さらにいちばん下に、面積なども考慮 すべきである、ということでご意見をいただいています。  ご意見に対する考え方として、医療圏の面積など各都道府県の実情に配慮しながら進 めていくことは必要だと考えています、ということです。  ご意見50番です。医師の偏在の問題は複合的な要因から来るもので、研修制度だけの 問題ではないという所で、下から3行目で、選択されなかった病院、特に大学病院は体 制の整備を充実することこそ大切なのである、というご指摘です。  このご意見に対する考え方ですが、プログラム責任者養成講習会等を通じて、各病院 で魅力あるプログラムが作成されるよう努めていきたいと考えています、ということで す。  ご意見51番です。新医師臨床研修制度によって大学の医師派遣システムの崩壊、研修 医の「選択の自由」という一見合理的な施策が行き過ぎ、「自由な過当競争」に大学を巻 き込んでしまった、というご指摘がまずあります。この結果、大学自体が疲弊化したば かりか、地域医療の崩壊を招き、基礎医学希望者も激減し、日本の基礎医学が衰退して いる原因となっている、というところで、大学病院の研修枠が充足できるような誘導的 な政策をつくるということと、財政援助を行う、というご指摘をいただいています。  52番です。研修病院先が自由選択になったため、基本的に条件の悪い地方、研修病院 の基準を満たすのに苦労する地区に若い医師が来なくなった、というご指摘があります。 いちばん下のほうです。5行目ですが、全国平均の医師数から判断して研修医枠を適正 配置する、というご指摘をいただいています。  51、52番に関して、ご意見に対する考え方(案)として、医師法第16条の2では、「診 療に従事しようとする医師は、2年以上、医学を履修する課程を置く大学に付属する病 院又は厚生労働大臣の指定する病院において、2年以上臨床研修を受けなければならな い」と規定されていますが、研修場所に係る規定については、必修化前も必修化後も何 ら変わりありませんので、ご理解いただきたいと考えています。また、研修医の募集定 員については、報告書(案)にも示しているとおり、地域の実情に配慮しながら考えま す、というご意見に対する考え方(案)を作っています。  ご意見53番です。臨床研修制度について、大学病院の研修医数の減少を招き、現在の 一部地域における医師偏在を顕在化させたとの指摘があり」。これは本文でした。この上 段の本文で、ここの指摘がわからないのですが、「現状の課題」で「医師の偏在を課題」 としておきながら、対応として「医師偏在の対応を無視する」という文章は理屈が合わ ない、というご指摘です。  このご意見に対する考え方として、医師の偏在に対しては、「緊急医師確保対策」とし て総合的に取り組んでいるところですが、本報告書(案)では、臨床研修制度における 対応を示しているものです、ということです。ここまでで「医師の地域偏在と研修医の 募集定員」という項目でのご意見と、ご意見に対する考え方です。 ○齋藤部会長 いかがでしょうか。この部分は地域枠の設定とか、非常に大きい問題を 含んでいると思います。 ○山下委員 おそらくいちばん不満のフォーカスはここだと思います。研修制度が悪い と言っている人は誰もいないわけで、これを契機にして日本の医療制度が大きく変わっ てしまったということで、これに対しては先生が言われたように、これだけの不満がワ ーッと出てきているということは、かなりきちんとした答えを出さなければいけないと 思います。  ただ、本当に研修制度だけをいじってなくなるものではありません。前の会議で山口 先生が、医師の偏在と臨床研修は別の問題だから分けなさいと。こういう見識を絶対に 出しておかないと、研修医を医師不足のために使われてしまってはたまらないのです。 教育をして、日本の宝になる人たちですから。  もう1つは、これが本当にできるかどうかわからないのですが、「緊急医師対策云々」 という文言がありました。大きな枠組みで医療制度や教育の制度などを全部変える中で、 これを考えていくという1つのグランドデザイン的な方向性を示していただかないと。 例えば地域枠を作ったり、どうのこうのという小手先では絶対になくならないと思いま す。  それから最初の医師の地域の偏在というか、科の偏在に関していうと、研修制度のプ ログラムとか、大学病院が減ったというのは、プログラムの中で動いている問題ではな くて、それ以外の問題で動いていることですから、それをきちんと全体の中で見直して いくということで、どこまで踏み込めるのかはわかりませんが、ビジョンを示していた だいたほうがいいのではないか。そうしないと個々の問題に応えることは事実上は不可 能ですし、しかも問題として社会的にも医療の現場でも、とにかくいちば槍玉に挙がっ ているわけで、いい制度を作ったのだったら、いいところをアピールすると同時に、ネ ガティブな面はどこかで大きく変えていくというビジョンだけは示していただきたいと 思います。 ○齋藤部会長 吉田委員、何かご意見はありますか。 ○吉田委員 なかなか難しいですね。医師の地域偏在がどうして生じたか、起きたかと いうのは、そんなに単純なことではないように思うのです。いま言われたように、新臨 床研修医制度にばかりそれを求めている傾向があるような気がしますが、もっとほかに いろいろな要因があるのではないでしょうか。  それから、専門家の偏在にしてもどこの国でも起こっている傾向があるようです。韓 国辺りでもかなりその傾向が強いという話も聞いています。専門家の偏在で地域偏在か ら横道に逸れましたが、偏在の問題は2つの側面があります。偏在の問題をあまり単純 に、どこに原因があるか、このように対応したら解決するのだというものではないよう な気がします。 ○齋藤部会長 いかがでしょうか。1つのご意見として47ですが、「募集定員減の要請」 という言葉では弱いということですが、どうなのでしょうか。例えば、非常にたくさん の研修医を集めている大学病院に対してお願いするということをやっていただくと思う のですが、これは時間がかかりますね。事務局として、どのぐらいのうちに、そういう ことをやろうとしているのか。もしお考えがあったらお願いします。 ○医師臨床研修専門官 現時点でこういう形でというのはないのですが、まさにここに 書いてある要請という形です。例えば、多い所もあるでしょうし、受入れのクロスをし ている襷掛けのような仕組みもありますので、そのような所にいろいろお願いをしてい こうか、何らかの形でできないかというイメージでいるところです。 ○齋藤部会長 大橋委員、これは全国病院長・医学部長会議でも大きいテーマだと思う のですが、皆さん同じご意見ではないですよね。 ○大橋委員 違いますね。いま吉田委員が言われたように、研修制度が引き金になった ことは否めない事実だと思いますが、研修制度を直しても、この問題は改善できないと 思います。非常にマルチファクターというか、しかも地域によってファクターがかなり 重さが違うという問題が含まれていますので、指摘するということでは可能だと思いま す。私はこの間の病院長会議は欠席しましたが、この問題については、むしろ統計処理 などの事実をもう少しきちんと把握して、どのぐらいファクターが絡んでいるかも、我々 も統計処理を出しますが、大学側のフォローアップだけではなく、今の資料は大学側は 半分の卒後研修生のフォローアップデータを持っていますが、あとの半分は持っていな いわけです。厚生労働省が持っているのも2,000云々で、間の抜けている部分がありま す。そういう部分も含めてきちんと全員の調査をしないと。その問題が単にこの研修だ けなのか。もっと言うと、待遇あるいは学生気質などの世代的違いなど、さまざまな要 因を我々は考えておりますので、それをここだけの結論にするのはいかがかと思います。 ○西澤委員 考え方ですが、今回の臨床研修制度で医師不足や偏在などが起きたとされ ていますが、そういうことを非常に懸念する時代になったからこそ、それを改善するた めに、この臨床研修制度が始まったのであって、逆ではないかと思っています。ですか ら、臨床研修制度をしっかりやることによって、ここに書いてある問題を逆に解決でき るのではないか。そのことはもう少ししっかり書き込むなり、ご意見に対する考え方で 示してもいいのではないかと思っています。 ○齋藤部会長 ほかにいかがでしょうか。多くの点は、報告書(案)ではある程度触れ ていると思います。 ○相川委員 9頁の51が多くの大学で、特に地方の大学で強調されているところだと思 います。このような現象が急激に起こってきたがために、かなり大きな問題が出てきて、 例えば、この中のいくつかの意見の中にも、大学病院の持つ医師派遣システム自身が、 本当に今までよかったのかどうか。それで一応医師の偏在がなかった、あるいは病院の 医師不足がなかったことが綿々と続いてきたのですが、大学病院の持つ医師派遣システ ムが完璧なもので、それがいいのかどうかというところに意見がいろいろあるのではな いかと思っています。  今回のプログラムを公開し、そのプログラムを研修医が選び、また研修施設は研修医 の面接、試験、成績などで選ぶというマッチングシステム自身は、決して悪いものでは ありませんし、自分の働く場所、研修を自由に選択できるということでは、これはかな り大きな進歩だと思いますので、ここ数年間起こっている状況をもって、このシステム を悪いものだという考え方、あるいは大学病院の持つ医師派遣システムは、全くいいも のだという考え方にはかなり抵抗があります。 ○大橋委員 これまではあえて発言しなかった理由は、この一個一個のパブリックコメ ントに、そういう形で対応するのは、極めて難しいのではないかと思います。  これは最終的には最終案を出しますが、その報告に基づいて、いかにそれを具現化し て、何がどういう形で変わっていくのだろうかということについて、私どもというか全 国の医療機関においても、そこに非常に注目をしています。そういう視点において、も う一度個々のパブリックコメントに応えるような趣旨にしないと、パブリックコメント と最終の結論に齟齬を生じると思います。  そういうことで、今回はカリキュラムの中にどのようにして自由裁量という部分を認 めていただくかは、重要な問題だと思います。地域と都会での医師の偏在において注意 しなければいけないのは、この研修制度がいいとか悪いとかの問題ではないと思います。 逆に医師配置機能というのは、今まで大学には責任がなかったわけです。本来は誰かが しなければいけないものを、あえて医育機関に多くの医師がいたという形もあってして きたわけです。それがその時代背景において、ある程度うまく合理的に動いていました。 ところが、社会の成熟によって、若い医師の時代背景が多少変わってきたために、自由 に選択できるというのは、ある意味では魅力ですが、果たして国税を使って、医師をあ る程度配置した中で、本当に将来、自分の意思だけで医療圏を決定していいのか。いい 意味のエリートということで社会的に問題なものに対して、どのような配慮をするのか というのは、自らの意思だけではなく、それだけの国税をかけて育てたものについては、 ある程度の責任があるのではないか。  もう1つは、大学は法人化しました。そして地方には1大学しかないために、医師を 育てることと同時に、高度医療を保たなければならない。最後の砦としての役割があっ て、その両方によって、教育と診療に重点が行ったために、いろいろな意味の問題点が 逆に見えて、そういうので学生が選びづらくなっているので、そういう問題点の解決の 努力も大学はかなりし始めています。ですから、そこをさせていただくためにカリキュ ラムの選択の自由度、あるいは教育病院の質的向上と出口保障をきちんとしてからとい うことと、もう1つは、ここの問題でないことは承知しているのですが、グランドデザ インの中で、イギリスは8%国税を使っても、医育機関の教育研究者を育成していると いうプログラムは、その内側にセットされていますので、そういう部分まで考えないと いけないと思います。いちばんの弊害は、将来の日本の高度医療、センター医療を推進 する人がいなくなってしまいます。それが今までの日本の事実としては、医学部出身者 が医科学研究者に非常に多い。そこに本当の医学研究の基本があって、欧米では、MD、 PhDがほとんどではなくて、PhDがやっている。そのためにトランスレーションリサーチ などが必要だと言っているわけです。本来それはPhDがやっているから必要で、MDがあ ったらそんな必要はないわけです。そういういくつかの問題を解決していくためには、 この研修だけではどうにもならないと我々も認識しておりますし、我々もグランドデザ インを提示しました。そういう観点から、これは進め方ですが、後ろの報告書の最終の 今後のところで議論をさせていただきたい点がいくつかあって、相手国の点について、 今まで黙っていたのですが、そういうこともあります。 ○齋藤部会長 それはもう一遍戻って、時間があればやりたいと思います。それでは、 先へ進んでください。 ○医師臨床研修専門官 それでは、ご意見54番です。これ以降は報告書の項目に関して は、5の「臨床研修制度を含む医師養成のあり方」です。  ご意見54番としては、いわゆるマッチング制度ということで、研修先を自由に選べる ようになった悪影響ということで、都市集中という指摘があります。最後のところです が、根幹となる本項目に関する具体的な今後の対応を望むということで、変えるべきで はないのか、という指摘と考えています。  これに関して、ご意見に対する考え方(案)として、研修先が自由選択になったとあ りますが、それは必修化前も必修化後も何ら変わりがありません。また、救急部門での 研修については報告書(案)のとおり充実されることが望ましいと考えています、とい うご意見に対する考え方(案)です。  ご意見55番です。新医師臨床研修制度の研修医が「後期研修」を受けなければいけな いと思い込むおそれがあるため、後期研修という言葉を取り除き、という指摘をいただ いております。ご意見に対する考え方として、ご意見を踏まえ、「後期研修」という言葉 を使用しないようにいたします、ということです。これに関しては、本日の報告書の中 で後期研修という言葉を置き換えてあります。  ご意見56番です。大学での基礎研修が衰退するのではないかと心配しているというこ とで、基礎研究のあり方ということで指摘をいただいております。  ご意見57番です。上のパラグラフが報告書(案)の一部です。ここでは臨床研修2 年間が義務化されたことによる痛手であり、文部科学省と連携し、基礎医学に取り組む 大学院生を支援する方策を検討すべきである、という指摘をいただいています。  ご意見56、57番に対する考え方(案)ですが、報告書(案)にも示しているとおり、 臨床研修制度において考えることが難しい基礎医学振興の方策についても、大学院教育 の充実やキャリア形成への支援等について、文部科学省を中心に具体的な検討をするこ ととなりますが、その際には厚生労働省も協力することとしています、ということにし ています。  58番です。上の部分が報告書(案)の本体です。ここに書いてあるとおり、個人の科 学的な分析能力、思考能力の養成を個人ではなく、制度として何か作るべきではないか。 それが地方と都会の偏在につながっているのではないか、というご意見です。  ご意見に対する考え方(案)としては、現在でも臨床研修病院の指定において、臨床 研修の実施に必要な施設及び設備を有することが基準の1つとなっていますが、このよ うに臨床研修中に、ただ機会を提供するだけでなく、研修医個人が医師として生涯を通 じ科学的な分析能力、思考能力を主体的に学んでいく姿勢が重要であると考えています、 ということです。ここまでが5の「臨床研修制度を含む医師養成のあり方」です。 ○齋藤部会長 この部分についてはいかがでしょうか。後期研修という言葉をやめて、 これはその案のところで変えてあるのですか。 ○医師臨床研修専門官 はい、この案の中で、「いわゆる後期研修」という形になってい たのですが、資料2の報告書でご説明いたしますと、18頁の「臨床研修制度を含む医師 養成のあり方」の(1)現状と課題の1つ目の○の最後の行に、「一般的には3〜5年程度 の専門医資格を取得するための研修と順次行われている」という表記をしていますが、 これがもともと「一般的には3〜5年程度の専門医資格を取得するための、いわゆる後 期研修と順次行われている」という記載になっていました。これを研修という形に置き 換えました。  さらに19頁の(2)今後の対応で、「卒前教育、医師国家試験、臨床研修、その後の研 修といった一連の医師養成過程に対する」という文章ですが、「その後の研修」というと ころが、もともと「いわゆる後期研修」という記述になっていたのを、「その後の研修」 と書き替えています。  20頁の2つ目の○の下から3行ですが、「臨床研修後の大学病院や地域の医療機関で の情報を集約し一元的に提供できるような仕組みを検討すべきである」とありますが、 もともとが「臨床研修後の大学病院や地域の医療機関での後期研修の情報を集約し」と なっていたのを削除してこういう形にしました。ここについてはこの3点です。 ○齋藤部会長 この部分についてご意見はございますか。もしなければ最後のブロック の説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 それでは、ご意見59番です。報告書では6「その他」です。現 在ではプログラムの変更は2年前に申請することとなっている、という指摘があって、 下から2行目、プログラムの研修期間短縮など、弾力的な運用を可能としてほしい、と いう要望です。  ご意見60番です。へき地医療での理解を深めるため、医師不足地域へ勤務する医師の 要請・確保のため、シニアレジデントを医師不足地域にある地域の病院へ派遣していま す、といったプログラム、いわゆるシニアレジデントですが、これに合わせて研修医を というプログラムをやろうということで、これをするときに、これも申請が2年以上前 でなければならないということで、協力病院・施設の追加変更期限の見直しを早急にお 願いします、という指摘です。  ご意見に対する考え方として、報告書(案)にも示しているとおり、病院群の変更や 研修プログラムの変更、研修協力施設の変更等については、弾力的な運用を行うことが 可能となるよう、早急に対応したいと考えています、というご意見に対する考え方(案) としています。  61番が「はじめに」、62番が「おわりに」ということで、63番以降はどのカテゴリー にも入りませんが、このまま最後まで読み上げたいと思います。  ご意見61番です。「新制度の導入に伴い、基本的な診療能力(後略)」とあるが、評価 は一定ではないため、評価される項目、評価されていない項目、評価困難な項目を明記 すべきである、というご意見をいただいております。  ご意見62番です。上の離れている所が本文の「おわりに」の一部です。今回の制度施 行後の短期間の中で、一応の評価を下しているのに対して、最後の文で「中長期に検証 しなければならない」とするのは辻褄が合わない、というご指摘です。それから、今回 の検討の中で、公募委員も入れず、特定の団体、有識者のみで検討している結論にもか かわらず「すべての関係者が結論を認識する必要がある」と押し付け的文面にするのは おかしい、というご指摘です。  ご意見63番です。委員からの意見でも多く出ているが、今回の案の文書構成の流れが 悪く、見解や対策が統一されていない、という指摘です。  61〜63のご意見に対する考え方(案)ですが、本報告書(案)は、医師臨床研修部会 において、医師臨床研修制度にかかわるさまざまな立場の方からのヒアリングを踏まえ、 制度の改善・充実方策について検討を重ね、現時点における意見の集約を行ったもので す、というご意見に対する考え方を示しています。  12頁のご意見64番です。現在実施されているマッチングシステムは、詐欺、談合シ ステムであり、早急に改善すべきである、ということでマッチングシステムに関しての ご指摘をいただいております。  ご意見65番です。マッチングシステムの検証のためには、科学的なアプローチも必要 である。施設を限定してでも、大学病院の研修と臨床研修病院での研修のアウトカムを 比較するようなトライアルを実施するべきである、という指摘です。  このご意見に対する考え方(案)としては、マッチングシステムは、日本医師会、医 療研修推進財団、全国医学部長病院長会議及び臨床研修協議会からなる協議会で運営さ れています。マッチング前の仮契約等については、マッチングの規約に違反しています ので、マッチング協会に情報提供いたします。  また、マッチングシステムは、研修希望者及び研修病院の希望を踏まえて、一定の規 則、アルゴリズムに従って、コンピューターにより組み合わせ決定を行うシステムであ り、研修医を特定の病院に誘導するものではないと考えています、ということです。  ご意見66番です。いちばん下の行ですが、「医師会」を協力施設に認めていただきた い、ということです。  ご意見67番です。2行目の、研修医1人1日いくらと全国で統一し、この基本的な補 助金に個々の病院が追加するような給与システムにしてはいかがか、というご意見です。  ご意見に対する考え方(案)としては、臨床研修を推進するために必要な経費の補助 を行っており、交付要綱は適正な執行を行うために定めているものです、ということで す。  ご意見68番です。いわゆる保健所に1人1日いくらと払っているということで、全国 的なルールを検討いただきたいというご指摘です。  各都道府県において、地域の実情に応じた規定を設けていると思われます、というの がご意見に対する考え方(案)です。ご意見と、ご意見に対する考え方(案)は以上で す。 ○齋藤部会長 いかがでしょうか。篠崎委員、最後の保健所実習をするときに、研修病 院が保健所に費用を支払うというのは、あまり聞いたことがないと思うのですが。 ○篠崎委員 一部の所で非常勤職員です。 ○医師臨床研修推進室長 これはたまたま保健所であって、たぶん研修病院が協力施設 に研修医をお願いするときには、一定の契約に基づいて某かの謝金というかお金が動い ています。そのときに保健所では、ある県ではこういう単価でやっているということで 全国統一にしてほしいというご意見です。 ○齋藤部会長 そうしますと、一応パブリックコメントに対して説明を終えて、いろい ろご意見を伺ったのですが、これを今後の問題として、どこまで報告書に反映するかと いうことと、先ほど山下委員あるいは大橋委員からもご意見がありましたように、これ を基に将来はどう動いていくのかについて、今から約30分ありますがご意見をいただき たいと思います。 ○山下委員 質問ですが、例えばプログラムを設定のときに、研修病院の基準を変える という提言に基づいて、今後のタイムスケジュールはどうなっているのか教えていただ きたいと思います。 ○医師臨床研修推進室長 報告書に具体的にご指摘をいただいた点、あるいは考え方を お示しいただいた点を踏まえて、最終的にどう、いつ固まるかというのはありますが、 事務局のイメージとしては、できれば年度内に関係する省令、通知の見直しに着手して、 新しい年度からは新しい仕組みで動けるようにできればと考えています。 ○齋藤部会長 実現できるところは来年4月から実行ということですね。最初のころに 山下委員から、検証して変えていくことを強調してほしいと言われましたが、これを見 ますと、最初のところでは3頁の上から2つ目の○に、「引き続き検討を要する事項につ いては、今後とも中長期的に制度の施行状況の検証を行う必要性を認識する」というこ とが書いてあるのと、さらに23頁の「おわりに」の下の2つの○ですが、「今後も、医 療をめぐる状況は急速に変化することが予想されることから、引き続き制度の施行状況 の検証を行い、必要に応じて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる必要 があると考える」というところと、いちばん下の○で、「本制度の下で研修した医師が将 来さまざまなキャリアを重ねた段階で、当該医師に対してどのような影響・効果をもた らしたか、ひいては、国民からどのような評価を受けるかは、中長期的に検証しなけれ ばならない重要な課題である」ということが一応書き込んであります。 ○山下委員 報告書の文言ということで具体的にイメージしていたのが、いろいろな意 見があって、それに対して、今後の対応ということで、7頁、8頁辺りに書いてあること で、例えば1週間後どうするなどいうかなりソリッドなことしか書いてないのです。で すから、今いろいろな検証をして、2年間をどのように割り振るかとか、必修化をどう するかということを検討するとはどこにも書いてないのです。要するに、これを検討す るという、あまりにも具体的に書いてあるものですから、それを含めてもう少し広げて、 例えば研修の項目に関しても、地域の医療をどうするかとか、何かを入れるか、入れな いかという意見はかなり出てきているわけで、それに関してどうなるかはわかりません が、検討はしなければいけないと思います。ですから、ここに「検討します」とか、研 修プログラムの柔軟性云々と書いてありますが、こういうことに関して柔軟性を出しま すという、あまりにも具体的に書きすぎているので、もう少しぼやかしてほしいのです。 検証が起こって、そのあとにまた検討して、短期的に来年4月からするだけではなく、 それ以降も継続的に検討する枠組み、それによってはまた何年後かに変えていくという 方向があったほうがいいかなと思いました。それを盛り込むかどうかはここでの議論だ と思います。 ○齋藤部会長 例えば、いまの「おわりに」の部分とか、具体的にどのように書いたら いいですか。 ○山下委員 例えば、7頁の2番目の○に、研修プログラムの指導体制云々と、次のと ころと併せたような形で研修プログラムの内容を、根本的に検討するような枠組みをど こかで作るという文言が、私としてはほしいのです。ここに書いてあるのは、研修プロ グラムの指導で、当初の12カ月において必修科目をどうするかとか、それを行うための 認定方法と書いてあるわけで、ここの文言からいうと、必修科目をどうするかというこ としか書いてないのです。例えば、自分の選択科目を前に持ってくるとか、内科や外科 のとか、もう1つは必修科目がこれでいいかどうかということに対して検討するという 文言はないのです。ですから、できれば今後、検討していただくような文言をそこに入 れていただければと思います。 ○医師臨床研修推進室長 7頁は山下委員はじめ、何人かの委員からご指摘をいただい て、その前段のところで、今後の対応の基本的な考え方みたいなことで改めてずっと書 いてあります。現時点においては現行の方式を継続することが妥当というか、いろいろ あると思いますが、「今後、研修を修了した者に関する調査を実施するなど」ということ で、何をやるかの例示として、こういうことをやるなどということで検証していく必要 があるということで、全体については当然検証していくということを指摘した上で、2 つ目の○で、現時点では必修科目をどうするなどという書き方にしていますので、是非 ご理解いただければと思います。 ○山下委員 わかりました。 ○大橋委員 基本的には年限を含めて、前にここの議論になったときには卒前、特にコ アカリキュラム、文部科学省のそれをいかに見直して、患者に対する臨床実習のコアカ リキュラムをいかに充実するかが課題であるということが前提で議論されてきたことも 踏まえて、そういう問題、あるいは先ほど言ったように、カリキュラム自身が文部科学 省のを恒久的にコアカリキュラムを考える委員会ができて、定期的にある程度それが出 てくるでしょうし、国家試験自身もひょっとしたら検討委員会が検討されている。そう すると、そういうことも踏まえて、連続性の研修というシステムから、そういうものが 文部科学省あるいは厚生労働省のそういうものと連動して、この研修制度のあり方、あ るいはそのことをきちんと考えていくようなものが、法律上、5年で見直しするという からできたものではなくて、ある程度恒久的にそれをやるようなものを作ってほしい。 どこへ文言的に入れればいいのかは、最後のときに文部科学省あるいはそういうものと の連動の下に、研修のあり方全体を検討するような常置委員会か何かを作っていただけ ないかを要望したいと思います。 ○齋藤部会長 いまの点は、19頁の「今後の対応」に臨床研修制度を含む医師養成のあ り方にある程度は触れてありますよね。 ○大橋委員 はい、真ん中のパラグラフにありますよね。ですから、「体系を整理するこ とが必要である」という言葉を。 ○医師臨床研修推進室長 これは項目立てしたときに、場所をあえて分けて書いてしま ったので、少しわかりにくくなっているのですが、まず臨床研修の2年間で何をやるか という到達目標を定めております。その関係については10頁の○に、「今後、医学の進 歩に伴い、医学的知見や医療制度が変化することは不可避であることを踏まえて、臨床 研修における到達目標についても適時、必要な改正が可能となるシステムを構築する」 とあります。医学的知見や医療制度だけではなく、卒前の教育の状況に応じても当然対 応する必要があるということで、諸々の状況に応じて、この到達目標をいろいろ見直し ていかなければいけない、という記載をしています。  それに連動する形で19頁の先ほど部会長が言われたところで、卒前については、例え ばモデル・コア・カリキュラムをどうするかという仕組みがありますし、国家試験につ いても改善検討委員会があります。今回のこの報告書でも卒後の目標ということを10 頁で指摘してありますので、その3つがうまくちゃんといくようにということを19頁に 書いてあるという構成になっていますので、是非ご理解いただければと思います。 ○大橋委員 文章は結構かもしれませんが、実質作っていただきたい。それだけです。 ○齋藤部会長 そういうことですね。 ○吉田委員 基礎医学振興あるいは大学院教育の充実という点に関して、パブリックコ メントに対する答えとして書かれている文章が、大変いいように思います。ただ、19頁 〜20頁に書かれている文章は、「文部科学省を中心に進めてもらうことが望ましい」と いう書き方なので、こちらのほうもそれに協力するという、パブリックコメントの答え がそうなっていますね。そちらのほうが本文に書かれているものよりも、姿勢として何 か突き放すような感じがするのです。 ○齋藤部会長 それは何番に対する考え方ですか。 ○吉田委員 56、57番でしたか。そこの回答の考え方のほうがいいと思います。それか らもう1つ、これもパブリックコメントの中にあった大学院の入学に関して、社会人入 学が認められているのだから、臨床研修の2年目ぐらいからは大学院入学も認めたらど うでしょうかという提案がありました。それに対しては、まだ具体的に検討されていま せんね。そういうコメントをやったというのは頭に残りましたね。  もう1つ、これはちゃんと書いておられて、かねがね言っていることですが、プライ マリーケアのほうに振子が振られすぎているので、広い意味での分析能力、解析能力な どを研修プログラムの中で、それを養うようなものを入れるべきであるということで、 ここに書かれていますが、その中で広い意味での研究というかリサーチという言葉もち ょっと入れておいたほうがいいのではないでしょうか。ここの中には「研究」という言 葉は全く入っていません。狭い意味での研究ではなくて、広い意味での研究、リサーチ マインドというか、そういう言葉も多少入れておいたほうがいいのではないでしょうか。 これは20頁の最初の「医師としての実践基盤である、科学的な分析能力、思考能力につ いては、すべての医師が身に付けること、また、生涯を通じて研鑽を積むことが大切で あり、云々」と書かれています。これは私どもの主張が大変取り入れられていると思い ますが、もう一歩踏み込めないかなという気がします。それは研究というかリサーチと いう意味でのタームが入ればいいのではないかという気がいたします。 ○大橋委員 もう1つ、全体の流れの中で、医師はこういう論理的思考というか、ある いはそういう患者についてもエビデンスベースドというものが必要である、ということ をかなり言っているわけです。それが技術と知識だけのプライマリーケアでということ が研修のバイヤスとしてかかっいるように見えるのですが、最終的な臨床実習の6頁の CPCレポートの剖検報告の作成、症例研修ができることが必修項目という形で、臨床実 習の中の6頁の内科のところにあります。これはこの前の議論でも、かなり形骸化して いるのではないかということがありました。そういう視点からいうと、報告書の10頁に は、退院時のサマリー記録などを活用して、いろいろな形で評価しなさいとありますが、 あえてもし許せばCPCレポートも必修科目ですよということは、ちゃんと認識して、そ ういうことがプライマリーケアにおいても必要なのだということを、きちんと再確認し ていただく。その辺はいかがなものでしょうか。 ○相川委員 私もいまのCPCに関しては賛成です。これは関連したことですが、研修病 院の審査というか評価をさせていただいたときも、CPCに関して、しっかり確立してい ない施設に関しては、私は大変厳しい評価をした経験があります。CPCなどでレポート をまとめる、あるいは意見を出すことは非常に大事なことなので、文章に具体的にCPC と書くかどうかは別としても、その方向性は非常に大事だと思っています。 ○齋藤部会長 ほかにいかがですか。それでは、7頁の説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 資料2の報告書(案)の7頁で1点、ご議論をお願いしたいと 思います。7頁の「今後の対応」の2つ目の○で、「一方」以下ですが、下から2行目で、 いわゆる「一定期間に限って可能とするよう変更することが、より実情に合っているも のと考える」ということで、必修科目の研修を一定期間に限って、当初の12カ月で可能 とするというところの「一定期間」の相場感というか、一定期間がどのぐらいなのか、 12カ月のうちの6カ月なのか、3カ月なのか、1カ月なのかということをご議論いただ ければと思います。 ○齋藤部会長 そうですね。これはここに数字を入れるという意味ではなくて、了解事 項として大体どのぐらいかということですが、いかがでしょうか。  ○山口委員 感じとしては3カ月ぐらいだと思います。もう1つは、いつからというこ とも大切なので、少なくとも半年以降であるとか、最初は内科を中心とした研修がまず 行われて、それから移行されるべきかと思っています。 ○冨永委員 私も3カ月ぐらいが妥当かと思います。必修科目のうち、何科目まで認め るのか、必修科目の研修期間は1カ月以上、3カ月ということになっていますので、お よそ3カ月を目途にしてはと考えます。3カ月の間に自分が将来、専門とするべき科目 に限ってとか、そうではなくても興味がある2つの科はいいとか、その辺をどうするか ということだろうと思います。内科の研修が修了した段階でということが妥当と思いま す。最初に研修したところの重みは非常に大きいものですから、内科を先に研修するこ とによって、産婦人科、小児科に行く人が少なくなっているという言い方をする産科・ 小児科医もいます。 ○吉田委員 いま山口委員が言われたとおりです。しかし、そうは言うものの、いきな り産科・婦人科を研修するというのはおかしな話で、やはり最初は内科ということです。  もう1つは、3カ月は必要ではないでしょうか。1カ月から3カ月、1カ月から2カ月 などということになると、それこそお客様みたいなことになってしまい、本当にそれを 理解できないままに終わってしまうこともあるので、少なくとも3カ月ではないかとい う気がします。 ○齋藤部会長 そうしますと、3カ月というのが皆さんの合意が得られたようですが。 ただ、必須科目は小児科、産婦人科、精神科および地域保健・医療と4つありますから、 4つを3カ月ずつやると1年が終わりますよね。でも、それはちょっと極端でしょうね。 ○冨永委員 自分がいちばん興味を持っている必修科目を3カ月間研修するというのが 妥当かと思います。 ○齋藤部会長 あと10分ぐらいですが、全体を通して、報告書の修正あるいは書き込み、 削除について、ご意見がありましたらお願いします。 ○山口委員 先ほど山下委員からもありましたが、後期研修という言葉がなくなって、 専門医資格のための臨床研修でいいと思うのですが、地域への医師の偏在の大きなファ クターは、研修医がどこに偏在しているかということが大きな問題ではなくて、それ以 降の医師がどこに偏在しているかが非常に大きな問題で、そちらこそ、むしろ検討され なければいけません。  そうなると、1つは後期研修へ向けての情報の開示はもちろん大切ですが、ある程度 地域における研修に誘導できるような、後期研修に対するサポートみたいなものを、も う少し初期の臨床研修からの提案として、例えば「今後の方針」の中に、そういう文言 を組み込むことは難しいのでしょうか。 ○齋藤部会長 それは20頁の下の○で、「さらに適切にキャリアを重ねることが重要で あり、臨床研修後の大学病院や地域の医療機関での情報を集約し一元的に提供できるよ うに」で。 ○山口委員 これは20頁かあるいは16頁の地域のことに触れた後に、医師の偏在に関 して、1つの提案として、専門医資格を取るための研修についても、ある程度政策的な サポートをするようなことも1つ考えられるべきだ、ということが入れられるともう少 し後期研修に力を置いた提案ができるかと思います。 ○齋藤部会長 医政局長、いかがですか。 ○医政局長 ご期待はいろいろありますが、これからこの制度をどうやって発展させて いくかについて避けては通れない議論だとは思います。ただ、それをやる場合でも、も う少し現状分析のエビデンスが要るのかと思います。いま必要なのはそこを少し集めて、 整理をして、その中でいろいろ検討していくのかと思います。 ○大橋委員 地域にある大学の医学部長として、山口委員のご意見は、まさしく的を射 ていると思います。基本的に長野県の実例を申しますが、地域研修の数自体は研修が入 る前、入った後も110名で総数はほとんど変わりません。その3年目が、今の4年目と いうか、60名以下で、半分以下、翌年も70名以下です。それをいかに地域にそのまま 研修のまま残せるかが、地域の医師の偏在を解くいちばんの鍵です。それの大きな条件 は、社会的云々と待遇面があまりにも地域と都会の病院では格差があるから、研修をし て、良い所、悪い所を見て選ぶという自由度がそこで効いてきているので、それが基本 的に地域の医師の偏在の根源だと思います。  ですから、厚労省にお願いしたいのは、初期研修ではなくて、そこを地域が。文科省 にも概算でいろいろお願いしているのもそこだと思うのですが、そういうところを総合 的にやっていただく施策を厚労省にもとっていただくことが、私ども地域にある医科大 学にとって、地域偏在の医師の問題を解決する先決問題だと思います。 ○矢崎委員 卒後の医師の臨床研修制度が、極めて円滑に進んだ1つのポイントは、研 修病院協議会が20年間にわたって情報を集約して、詳しい受入体制の条件や、細かい情 報を医学生に医療研修推進財団のホームページで配信しています。しかも毎年アンケー トをとって、あなたたちはどういう情報が知りたいのかということで、毎回ディバイズ してやっているわけです。  先ほどのお話のように、それではそのあとの大学を含めた専門医資格取得するための 研修病院の情報は、大学を含めてあまり客観的なものがないのではないかと思います。 ですから、医師臨床研修制度でやったような、まさしく20頁に書いてあるような、情報 を集約して一元的にみんながアクセスできるようなシステムを何とか検討すべきである ときに、是非これを実現するように。仕組みは難しいでしょうが、例えば臨床研修病院 は全部会費を集めて大きなホームページに関しては厚労省の補助金で作られていると思 います。実際のホームページは会員の会費で自主的に運営しているので、こういう仕組 みが出れば、皆さん臨床研修が終わったあと、適切な判断ができると思いますので、是 非、情報を集約し、一元的に提供できるような仕組みをお願いします。 ○齋藤部会長 それでは、時間になりましたので、この辺りで終わりたいと思います。 報告書の字句の修正などについては部会長にご一任いただけますでしょうか。                  (異議なし) ○齋藤部会長 ありがとうございました。事務局から何かございますか。 ○医師臨床研修専門官 今回ご議論いただきました内容は、報告書(案)に反映した上 で医道審議会医師分科会医師臨床研修部会からの報告書と最終的にはさせていただきた いと思います。  それでは、最後に医政局長より、ご挨拶申し上げます。 ○医政局長 先生方におかれましては大変お忙しいところを、去年の12月からほとんど 毎月といっていいほど熱心にご議論をいただきました。改めて厚く御礼申し上げます。  お蔭様で現時点における制度の改善充実方策についての報告書が、一部文言修正は残 っておりますが、とりまとめられる運びとなりました。今後はこの報告書を基にして必 要な省令改正や通知の改正をできるだけ年度末までに行って、各項目ごとに実行可能な ものから順次取り組んでまいりたいと思います。  この報告書の「おわりに」にも記載してありますように、今後も引き続き制度の施行 状況の検証を行い、必要に応じて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずる 必要があると考えております。また制度の検証や今後の検討については、文部科学省と 緊密な連携をとって進めていきたいと考えております。先生方には引き続きのご支援と ご協力をお願いいたします。どうもありがとうございました。 ○齋藤部会長 それでは、これで終わります。ありがとうございました。 (照会先)                   厚生労働省医政局医事課                      医師臨床研修推進室                    (代表)03−5253−1111                   (内線4123)