07/12/10 第6回原爆症認定の在り方に関する検討会議事録 第6回原爆症認定の在り方に関する検討会 議事録               日時:平成19年12月10日(月)15:30〜17:10               場所:厚生労働省 省議室(9階) 1.開 会 2.これまでの議論のまとめ(案)について 3.その他 4.閉 会 ○金澤座長 ほぼ定刻でございますので、第6回「原爆症認定の在り方に関する検討会」を開き たいと思います。  本日の御出席状況でございますが、大変ありがたいことに8名全員の御出席をいただいており ます。したがって、過半数を超えておりますので、会議が成立しております。  それでは、議事に入りたいと思います。議事次第に従いまして、進めたいと思います。  1番目は「これまでの議論のまとめ(案)について」でございます。  2番目が「その他」ということですので、議事に入ります前に事務局から資料の確認をお願い します。 ○佐々木課長補佐 資料でございますが、まず議事次第といたしまして、第6回検討会、資料一 覧のものが1枚ものでございます。それから、座席表。  資料1としまして「これまでの議論のまとめ(案)」でございます。  資料2としまして「鎌田委員発表資料−認定検討会私案−」でございます。  資料は以上でございます。なお、5回目までの資料につきましては、各委員の先生方のお手元 にブルーのファイルで閉じさせていただいております。  以上でございます。 ○金澤座長 ありがとうございました。資料の不足はございますでしょうか。ないようでしたら 始めたいと思います。  議題1のまとめの案について検討したいと思いますけれども、その前に委員の1人でございま す鎌田委員から、資料に基づいて御意見を発表したいという御希望がございまして、資料がある と思います。これに基づきまして、5分くらいということで、鎌田委員、どうぞ。 ○鎌田委員 初めに発表させていただく機会をくださいました金澤座長に、心からお礼申し上げ たいと思います。  私自身、臨床医として、また現場で患者さんを見ている立場として、何となくおかしいんだと いうところがありまして、この2点に関して、私なりの案を出させていただきました。  基本的なことは「疾病重篤度」「被曝線量」「これまでの身体的・精神的・社会的障害度」の 3つの面から障害度を判断する。この障害度を判断するというのは、昭和55年の原爆問題基本 懇談会報告の精神であります障害度に基づいて補償あるいは給与するというところに立脚して おります。  2番目に、それぞれのウェートを2:2:1とするというふうに重みを持たせました。  3番目に、疾病重篤度はどういうことかと言いますと、資料2ページになりますけれども、疫 学的な有意性を尊重し、傷害の程度別にグループ化するということでありまして、真ん中に20、 15、5というふうに、これは重みです。科学的と言いますか印象的な方向から見た重みでありま す。  4番目に、被曝線量は初期放射線と入市時被曝の線量を加味したものとするとしております。 3ページ目に被曝線量と書いて輪がありますが、この輪はそれぞれ1km、1.5km、2kmという形 で、それぞれの初期放射線に基づいた線量の大体の値を書いています。1km以内は3sv、1〜 1.5kmを1.3sv、1.5〜2kmを0.5svとしておりまして、入市時被曝に関しては入市日と入市場 所と入市期間の3つのファクターを考慮した上で、この図からごらんのように直接被爆者と入市 被爆者を同等のレベルで判断できると工夫しております。ですから、この入市被曝については. 3つのファクターを加味しましたので、3で割っております。  5番目にこれまでの身体的・精神的・社会的障害度を算定すると書いてありますが、これはP TSD、あるいはこれまでの病気の数、その質、社会的障害度に分けて、それぞれ算定する。こ れらのことは心理学とかいろんなところでスコア化されておりますので、これは可能だと思いま す。  6番目に書いてあります、これらの要素から得られる障害度を幾つかのグループにランクづけ して、この方の場合は一番上のランクなのか、その次のランクなのか、あるいはその次の次のラ ンクなのかというふうにランクづけするということであります。そのランクづけされた障害度に 応じた対応ないしは給付あるいは援助を行うというふうに考えたものであります。  5分になるかと思いますので、以上です。 ○金澤座長 ありがとうございました。1つのお考えだと思いますけれども、多分これからまと める中で、今、鎌田先生から御指摘いただいた幾つかのキーワードが出てくるかと思いますので、 中でまた御議論いただければと思います。ありがとうございました。  それでは、これまでの議論のまとめの案につきまして、先回、丹羽座長代理にお願いをいたし ますと申し上げました。大変な作業をしていただきまして、資料1にとりまとめの案をつくって いただきましたので、丹羽先生から御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○丹羽座長代理 それでは、資料1をごらんください。私はこれまでの議論を聞いておりまして、 まだ先生方の御意見が十分すり合わせができていない部分がままあるのではないかと判断いた しました。それを加味して、本日は項目立てをさせていただきたいと、金澤先生にお願いをして、 このような形のまとめにさせていただいたことをまず述べさせていただきたいと思います。  このまとめをやる上で考えましたことは、最初に○が2つございます。これはできれば審査の 過程というものと疾病、起因性の認定については、少しニュアンスが違うものが含まれておると いうことでありますので、科学的な知見というものから言えば審査というのは粛々と従来のこれ まで得られた科学的知見を十分取り入れて、放射線起因性というものを評価できるであろうと理 解しております。それが1番目の○です。  2番目に関しまして、認定というのは科学的な知見に基づいて行った審査というものの結果を まずは参考にしようと。しかしながら、既に委員の先生からも何度も出てまいりましたし、また そういう御意見を文書ではっきりいただいておりますが、個別の判定になると話が違うであろ う。個別の判定というのはあくまで単に距離とかいうようなことだけで行くものではなかろうと いうことなので、個別の判定を行うという2段階で考えていただければというのが私の基本にな っております。  そういうふうなことから多くの場合、審査と認定の1つ目の○の審査に関してでありますが、 まず放射線起因性ということを考える上で、やはり非常に大きな問題になるのは放射線の線量で あります。線量がなければ放射線起因性というものはなかなか言いにくいということになると思 いますので、放射線の線量についての評価をまず考えなければならない。  その放射線の線量については3つほど項目がございます。議論が既にありました。しかしなが ら、まだ十分ではない部分もあろうかと思いますが、初期放射線について、まずは考えなければ ならない。  最初の委員会のときにDS86とかDS02というものの妥当性に疑義を挟むという意見までいただ いたわけでありますが、私もこの辺りは物理屋ではございませんが、いろいろと資料を参考にし て、私なりに検討させていただいて、また委員の先生方の御意見もいろいろいといただきました。  委員の先生の意見としては、これについては余り大きな疑義はないとは思うんですが、DS86 ないしはDS02、とりわけDS02に関しましてはDS86を下敷きに更に精緻なものになったという のは国際的に認知されておると私は理解しておりますので、これの妥当性というものを認めて初 期放射線を評価するというのは、非常に妥当なやり方ではないかというふうに私自身は考えてお ります。  残留放射性に関しましては、既にこれは本委員会で誘導放射線について個人ごとの移動経路で 計算ができるということまでお示しいただいたということもございます。そのような残留放射線 がどれぐらいのものであるかというのは、これである程度指標になるであろう。ただし、これは 個々人の問題でございますので、あくまで残留放射線でそういうふうに計算したものというもの は1つの指標であろうというふうに考えられるかと思います。そういうふうなことで、これは非 常に大事なことなので、それで線量を評価するということであります。  内部評価について。これは内部評価と外部評価の被曝のリスクが随分違うという議論がありま した。これについてもこの委員会で何度か議論をいたしました。これはまた後から御確認いただ きたいんですが、私自身の理解としては内部評価と外部評価は放射線の原則ではあるんですが、 線量というものに換算して計算してよいというのが、これまた世界的にコンセンサスになってお るというふうに理解しております。  放射線起因性の判断でありますが、線量というものについて考えるのであれば、その被爆者の 疫学調査の結果というのは、ある意味で言うと線量と非常に相関しておるということが既に出て おります。  逆に言えば疫学調査から大体これぐらいのということが推定できるぐらいの制度をもって、少 なくとも100cv以上はそうであるということが、これまた非常に多くの論文でこれまで検証され ておるかと私自身は理解しております。  そういうようなことを考える上で、やはり初期放射線と残留放射線の両方の寄与を加味したも ので起因性というものを判断するということは、非常に妥当なものではないかというふうに思い ます。  原因確率というのは非常に悩ましい問題でありますが、個々人の問題とは違って集団というも のを相手にした疫学を考える場合は、この程度の線量ではこの程度のリスクというものが出てま いります。そのような形で、この原因確率というものは指標とするにはそれなりの合理性がある のではないかと、私自身は考えております。  疾病ではございますが、これはがんに関して言えば、放射線起因性というものは非常に明確に 示されております。既に副甲状腺機能亢進症についても同様でございます。  白内障に関しては、昔、閾値があって、1cvを超えると高い状態リスクがあったタイプのも のと老人性白内障というものを含むので、これは大体線量に対してゆっくりと直線的に上がって いくというものがございます。これについてはまたいろいろな議論が今後出るかと思いますが、 白内障というものの取扱いを、これについてはある意味で言うと従来のものから考えますと、白 内障については1つの指標としては取扱いができるのではないかと、私自身は考えております。  これ以外についての疾病でありますが、これの取扱いについては今後も研究はどんどん進んで いくので、当然それ以外の疾病が入ってくる可能性はあります。実際に循環器系の心疾患につい ては、既にいろいろな議論がなされておりまして、論文もたくさん出始めております。  逐次こういうのはこういう委員会の中で議論して、今後新たに取り入れていかなければならな いかとは思いますが、現在のところは即そういうふうなことが取り扱えるかというと、心疾患に 関してはたしか0.50ぐらいが閾値という論文がございました。そのようなこともありますので、 さらなる研究を待つということでございます。  急性症状に関しては、急性症状というのはやはり非常に大きなマーカーであって、それは十分 勘案するに足るだけのものであるということだと理解しております。これの取扱いに関しては、 やはりそれなりのデータがあれば、それを取り込んで急性症状を勘案して、線量で評価し切れな い部分を取り込んで考えるということであります。  「(3)審査の取扱いについて」になりますが、原因確率に関しては10%未満の取扱いとい うものが当然判断の大きな論点になるかと思います。ただ、10%未満であってもさまざまなデー タから、これはやはりあやしいのではないかということを判断できる場合には、これは当然なが ら取り入れるべきであろうと考えられます。  総合判断と経験則はなかなか難しいところで、私も言葉では経験則とか総合判断というのは言 いやすいんですが、これについては先生方のいろいろなお知恵を拝借して、議論ができればとは 思うんですが、まずは審査のデータについて十分勘案した上、急性症状とも勘案して、総合的あ るいは経験則に照らす、疾病の状況、重篤度ということも勘案してということになっている。こ れは文章化するのに非常に難しい。今後実際にまとめを文章化する上でちゃんとやらなければな らないと思っております。  次のポイントは、審査体制は非常に難しい審査体制であります。この学問の方もどんどん年々 進んでおりますし、それを新たに取り入れるというのは非常になってまいります。  もう一つは、今は分科会のシステムで動いておると思うんですが、分科会みたいな体制で対応 し切れるかどうかというのを私自身は非常に気になっております。審査体制についてはやはりい ろいろと見直して、足らないところを強化するということが必要になってこようかと個人的には 思います。これは簡単なんですけれども、原因確率は極めて高い場合の取扱いについては、審査 を迅速化するというのは当然のことであります。これまでの議論を聞いておりまして、大体この 項目について、このようなことを考えました。  これを基にして先生方の御意見をいただいて、更にちゃんとしたものにまとめていきたいと思 っておりますので、よろしくお願いします。 ○金澤座長 どうもありがとうございました。大変まとまった話をしていただきました。今まで の議論を踏まえたまとめでございます。  しかし、更にこれを肉づけしていかなければいけませんので、皆さん方とのディスカッション の中で確実なところを、まずは今日はそこまではいいだろうというようなことがもしいただける のであれば、それを骨子の一つに据えようと思います。  今、丹羽先生の話の出発点として最初の2行でありますが、審査というものはきちんとした科 学に基づいた放射線起因性を基本とする。しかしながら、認定となるとこれまた少しニュアンス が違っているので、審査の結果を参考にして個別の判定を行うものである。この考え方について はよろしいでしょうか。  青山委員、どうぞ。 ○青山委員 質問なんですが、この2行は審査と認定を対比する形で書いてありますが、つまり 審査が科学的な知見に基づくと、認定は個別の判定であると、なっているわけですが、その意味 は審査においては個別の判定は取り扱わないということなんでしょうか。  つまり質問は個別の判定というのは、個々の申請人ごとに認定していいかどうかを事前に検討 するのが審査だろうと思いますので、当然個々の人の事情を見ながら行うわけですね。2行目に 「個別の判定を行う」と書いてあるのはそのことではなくて、個別の事情、線量などとは違った 別な要素も加味して、個別事情を取り入れながら認定するかどうかを判定するというのは、審査 の段階ではなくて認定の段階で行いますという意味なんでしょうか。  そうすると、審査は審査会において行う、認定はその審査を経た後に大臣が行うという構造に なっているわけですけれども、今の個別の事情を審査して総合判定するというのは、審査会は関 わらない。大臣お任せだと、こういうことになってしまうんでしょうか。 ○丹羽座長代理 私自身はそこまでシステムを考えていたわではなくて、少なくともプロセスで 2つあると。それを1つの分科会がやるか、あるいは分科会の下にサブをつくるか。これはまた 別で、あくまでも分科会で、こういうことであろうと判断するというのを上に挙げて、大臣が最 終的には判こを押す作業が多分認定だと思うんです。  その実際の認定の作業ではなくて、その認定に関わる判断というものを、言葉がもしもよろし くなければ、変更していただければいいんですが、実際に我々が粛々と行われるのは科学でこれ これしかじかに違いないというのは細かい項目を全部挙げて議論できる。  あとは例えば疾病の重篤度とかそういうものは数値化は普通はなかなかできにくいものもあ ると私自身は理解しておりますので、そういうふうなことを含めての認定を切り離して、まずは サイエンスの方はきっちりできる限りやってくださいよということが1行目でございます。2  2行目と1行目の取扱いは別組織でやるかということになると、これは非常に錯綜してくるの で、私自身はそのような2つのシステムでとは考えておりませんでした。 ○金澤座長 続けて、どうぞ。 ○青山委員 御趣旨はわかりましたが、審査会の審査を経た上で認定をしなさいよと法律が言っ ている意味は、科学の専門的な知見を活用する必要があるので、科学の専門家に審査会の委員に なっていただいて、その意見を聞いて認定をしなさいよという意味でしょうけれども、これは単 に科学ということだけではなくて、要するに客観性、公平性が保たれるように外部の意見を聞き なさいという意味だろうと思うんです。  そういう意味から行きますと、純粋な科学的な判断では結論が出なくて、科学の知見も必要と するんだけれども、それ以外の個別の今おっしゃったような事情も考えた上で認定するかどうか の段階も、やはり第三者の参加があった方がいいのではないかと私は思うんです。それが法律の 趣旨に沿うところではないかと思います。  そうなりますと、審査が終わった後に認定というのではなくて、やはり審査の段階で更にそれ 以外の個別事情を加味して判断する必要があるとなったときには、その判断のためには科学の知 識だけではなくて、もっと広い意味での経験則を適用するというために、そういうことについて の経験のある方の意見を聴く必要があるということになれば、そういう人も審査会の中に入って いただいて、メンバーとして加えて審査をするという、前回の検討会でも私はそのことを申し上 げましたが、そういうふうにしていただくのであれば、そういう2段階方式というのも合理性が あるのではないかと思うんですが、切り離して、後は大臣あるいは事務当局にお任せというのは、 ちょっと具合が悪いなと思います。 ○金澤座長 わかりました。非常に貴重な意見をちょうだいしたと思いますが、その辺について はいかがでしょうか。つまり1つの委員会の中で両方を行うということで、担い手が違うという こともあり得るという御提案だと思いますが、いかがでしょうか。そういうことで次のステップ に進んでよろしいでしょうか。  ありがとうございました。それでは、次に進ませていただきます。  最初のまとめは「被曝線量の評価について」でございます。初期放射線の被曝線量の評価につ きましては、いろいろと御意見があったことがわかりますけれども、私も聞いている範囲でDS86 及びDS02というのは、特にDS02に関しては妥当ではないかという御意見が多かったかと理解し ております。先ほど丹羽先生もそういう御意見だったと思います。  これについてはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。何か問題がありそうだったら、途中 でも結構ですから、どうぞおっしゃってください。どうぞ。 ○鎌田委員 言葉が走ってしまうことがありますので、ヘディングは初期放射線についてという ことで、DS86とDS02の妥当性があるということになると、私自身も妥当性があると思うんです よ。だけれども、このDS86の中で第6章を除くとか、そういう言葉を入れておいた方がより明 確になるのではないかと思うんです。だから、第6章は初期放射線がありませんから、この文言 でいいんですけれども、使う場合に言葉が一人歩きしても困るので、ちょっと工夫が要るのでは ないでしょうか。 ○丹羽座長代理 ごめんなさい。それは非常に厳密に言うと先生のおっしゃるとおりです。この 場合、私が申し上げたかったのは、DS86というのが随分間違いだという議論から見直しが始ま ったと思っております。最終的に日米で、あるいはドイツも加わった委員会でそれを検討したと ころ、それほど間違ってはいなかった。修正はこれだけしましょうということで、爆発の地点と かそういうことを変更したということで、DS02ができ上がったと思っております。DS86という よりも、多分ここの委員会でこれがいいですよというのはDS02の方であろうと思いますので、 厳密には先生のおっしゃるとおりでございます。 ○金澤座長 ありがとうございました。何か御追加の御意見はございますでしょうか。  靜間委員、どうぞ。 ○靜間委員 今、丹羽先生からお話がありましたように、確かにDS86が見直されてDS02になっ ていますので、DS86よりはDS02の方がより正確になっているというわけですが、DS02で100%、 例えば2kmとかそういう距離まで実測データで確認されているわけではない。実測で確認され ているのは1,200mくらいまででして、それ以上は実測データでは確認できないから、後はDS02 の計算で行きましょうということが合意されておりますので、その意味でDS02を使うのは妥当 になるんだろうと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。それを含めてDS02を用いるということに関しての妥当 性は御評価いただいたということになるかと思います。  さて、それでは次にまいりまして、残留放射線についてでございます。これは議論の中にもご ざいましたように、プレゼンテーションの中にもありましたように、誘導放射線による被曝線量 につきましては、10分毎くらいの間隔で移動距離に基づく線量算定が可能な場合もあるようで ありますから、それを是非活用してはどうかということに一つはなるかと思います。  また、降下物については、現在評価されている地域よりも広いのではないかという御意見もご ざいました。しかしながら、一方では、空中での核爆発の場合には、核分裂生成物が成層圏まで 上昇して、かなり広い範囲に広がるから、集中的な被害は難しいという意見も一方ではあったか と思います。  この辺についてのお考えはいかがでしょうか。先ほどのように、個人ごとに移動距離がわかっ ている場合については、それを是非算定していただこうということに関しては、多分問題はない かと思います。  どうぞ。 ○靜間委員 残留放射線というと、いろんな意味があるんですが、今、座長が言われましたよう に、1つは中性子で誘導を生成した誘導放射能からの放射線という意味で、地上のものが放射化 して、その中を移動することによるγ線の被曝というのは、先ほど言いましたように、10分ご とでも評価ができますが、それに足らないのはγ線だけではなくてβ線からの影響と、その人の 経路によっては異常な土壌の上を移動したというふうには取れないということになりますので、 その辺を正確に評価するのはかなり難しい部分があろうと思います。  放射線降下物からの評価というのは、次とも関係してきますけれども、その地上に降り積もっ た、それによるγ線による被曝と降下物から出るβ線による被曝というものが考慮する必要があ りますので、その点がまず考慮しなければならない点であるということと、更にその効果範囲が どこまでであったかというのは、それを科学的な知見として正確な値を出すというのは難しい問 題だろうと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。何かございますか。 ○丹羽座長代理 多分先生のおっしゃることは、非常に厳密に正確であると思います。私自身そ ういう議論になったときに、いつもそのリファレンスとして考える上で指針にしているのが、逆 に言えば疫学データなんです。  私が唯一知っている疫学データで、しかも世界的に認められておるという放射線影響研究所の 疫学データを見る限りにおいては、少なくとも非常に遠距離でリスクが出ておるというデータは ないと理解しております。ということは、それはリスクがないということでは勿論ないです。リ スクがあったとしても数が少なかったから見えないということだけであると。  同様のことは入市被曝の方々についてもデータが幾らかあって、それについて考えるならば、 リスクが非常に高いかとか、その中に含まれておられた可能性が十分ある。だから、個別の判定 は必要であろうとは思いますが、全体に網かけするほどのものであったかどうかは、私自身はそ ういうことは余りないのではないかと個人的には考えています。 ○金澤座長 それでは、甲斐委員、鎌田委員と行きましょう。 ○甲斐委員 私は靜間先生に御質問なんですけれども、β線を強調されたんですが、そこでβ線 が問題だというのは内部被曝ということなわけですね。結局、外部被曝の場合にはβ線としては 皮膚障害といったものには影響をするわけですけれども、ここで問題となるような、例えばがん であるとか体内で被曝をすることによって疾患が生じる可能性のものについては、β線云々は外 部被曝の場合には問題にならないわけですから、それとも内部被曝によってβ線の評価が抜けて いるという御指摘ということでしょうか。 ○金澤座長 どうぞ。 ○靜間委員 β線につきましては勿論、皮膚線量に行きますし、フォールアウトを例えば被爆者 の方が直接皮膚に付けたという場合には、そういうのが皮膚に付いてきますし、皮膚線量に効い てきますし、この次の内部被曝についてですけれども、そういったものを呼吸したということに なると、それが今度は体内に取り混んだ場合の内部被曝の影響になったかなと思います。  その件につきましては、以前にも紹介しましたが、アメリカの退役軍人の報告書を見てみます と、2000年ぐらいにアメリカはそういうのを非常に精力的に調査しているんですが、その報告 書を見れば、外部被曝にはそういったβ線の影響も考慮していまして、考慮する方法は全部公式 として決めています。  具体的には99人のそういった人をランダムに選んで、その人の個別の行動をすべて調べて線 量を出しているんです。それを見ますと、状況によると思うんですけれども、例えばレムに対し て、裸足でいろいろとしたという場合でしたら、77レムという数値を出しています。そのほか に目とか手とか顔とか皮膚の線量にしても、はるかに一けたぐらい大きい線量を見積もっていま す。  それと肺がんで亡くなったという方については、外部線量4.2に対して肺線量が2.3。以前に セミパラの調査等で内部被曝と外部被曝は最大でも同程度ではないかという話をしましたが、最 大で同程度にしても、かなりそれを近いくらいの内部被曝には効いているのではないかと思って おります。 ○金澤座長 それでは、鎌田委員、どうぞ。 ○鎌田委員 今、靜間先生の方からいわゆり物理学的な線量の推定法を基にして議論をいただい たんですが、生物な線量推定法という方から意見を述べたいと思います。  私の発表のときに神谷先生の方が5分前に発表されていましたので、私はそれをスキップしま したんですけれども、生物学的な線量推定は、1番目は急性症状からできます。2番目は白血球 減少からできます。3番目は染色体の異常率からできます。結論を申し上げますと、生物学的影 響の方から見ると、0.5〜1Svの残留放射線があったのではないかということが考えられるとい うことを言いたいです。  まずはその根拠を申し上げます。3番目に申し上げた染色体異常の率ですけれども、これはこ の間議論になりましたように、地下室の中でほんどと初期放射線がゼロであるという方が逓信病 院の方に行って帰ってきた。それで0.9Svあったということがありました。ほかの症例について 見ても同じことが言えます。  第2番目に白血球の数が少なくなるというのは神谷先生も申し上げましたし、この間、私が当 時の白血球減少があって、しかもそれが回復したという事例が幾らもあります。たくさんの例と しては、昭和20年10月2日に出ている衛生速報第9号の中に136名の人を調べて89名、すな わち65%の人が白血球減少があったということを述べています。ですから、少なくとも0.5Sv 以上の被曝があったと考えられる。  別の報告では、それは初日に入った。だから、8月6日当時に入った人に白血球減少がひどく、 長くおった人に程度が大きく、遠方である人には少ないと明確に記録の中にされているんです。 ですから、それは信頼でき得るものである。白血球減少からも0.5Sv以上の場合は被曝があった と考えざるを得ないと思います。  今度は1番目に申し上げた急性症状ですが、急性症状の一番信憑性のあるのは脱毛です。その 次は出血です。その次が咽頭炎です。それはそれぞれに原因がありますが、簡単に申し上げます。  私が一番最初に気が付いたのはこの写真です。この写真は広島で有名な写真ですけれども、放 影研の言う3分の2以上の頭髪がなくなっているということで、間違いなくこれは脱毛と言える と思います。  この人が一体どうだったかというと、それぞれ弟が9歳、こちらの方が11歳、被爆した場所 は1.25kmです。番地から行きますと舟入町54番地を見てみました。その地点は1kmと1.5km のちょうど中間です。それを今度はDS86の線量を見たところが、脱毛は3sv被曝しないと出な いよと一般的に言われていますけれども、この方はどう考えたって3svないんです。せいぜい 1.5svです。  今度は放影研のデータを申し上げます。放影研のドクターストラムが1989年、これが一番新 しいデータですけれども、これは被曝して昭和23年にABCCができて、昭和25年までの聞き 取り調査をやった非常にメモリーの新しい段階にとった人たちを対象として、 DS86と比較し てみたんです。  そうしますと、ごらんになりますように、これはT65Dですから、こちらです。DS86でみて いきますと0.75cvまでは緩やかな増加がありますけれども、0.75〜2.5Svの間にはリニアな線量 関係がある。そして3Sv〜4Svにかけて同様であるということがある。すなわち、これは線量に 関して、脱毛というものが非常にしっかりした根拠になり得るということです。  私が申し上げたいのは、この間お話をしたように、後から入市してこられた人について、いろ んな調査機関で6ないし7%の人が脱毛があると。マンハッタンの報告書によると非常に高いん ですが、あれは除外をしまして、日本の東京大学、京都大学、医療班、診療班の報告を見ますと その8%の脱毛がある。その脱毛はどこの値だろうかと見た場合に、これは1Gyのところなん です。  リニアになっている段階のところで、6〜8%に脱毛が起こりますというのが明確に出ている んです。だから、こういうことを考えて、染色体と白血球減少、脱毛という最も信用できるよう な生物学的なものから、少なくとも0.5〜1Svの残留放射線があったということは言えると思い ます。  以上です。 ○金澤座長 どうぞ。 ○丹羽座長代理 先生のおっしゃるとおりだと思います。残留放射線か何か、実際にその線源が 何かというのは特定は難しいと思いますが、それで急性症状がそういうふうに出たり、脱毛が出 たりしたということは十分あるので、そこのところは勘案しなければならない。  ただ、私自身が先ほど申し上げたのは、それだけの線量が集団レベルで加えられたとなれば、 これは明らかにそれなりのリスクの上昇として出てこなければならない。そこのところが整合性 が今のところないということを申し上げて、逆にだからましてや各々の個別判定が大事であると 私自身は理解しております。これは私のコメントでございます。 ○金澤座長 どうぞ。 ○鎌田委員 入市者に関してのまとまったデータというのはあるのかないのかという御発言が 今あったように思います。実は放影研では入市被爆者についてもデータを取っておりました。し かも、それをコントロールにしておったんです。その不確かさのためにコントロールを今やノッ ト・イン・シティーという市外におる人を対照にしたわけです。  逆に聞きたいんです。これは1970年代の話ですが、放射線影響研究所はなぜ以前は入市被爆 者をコントロールにしておったのをノット・イン・シティーに変えたのか。これはあくまでも集 団的に何かおかしいということを感じたから、正確にするためにノット・イン・シティーを対照 にしたんだと。当時、広島におられなかった人をやはりコントロールとすべきであるということ になったんだと私は理解しております。  以上です。 ○丹羽座長代理 私は放射線影響研究所の人間でないので、私がコメントをするのかいいのかど うか、また私自身の知識が間違っておるかもわかりません。ただ、入市の方については近くは 2000年の『ランセット』でコローン先生とブレッソン先生が論文を書いております。それは普 通の2.5〜3というのをゼロ線量と取っておると理解しますけれども、それと比べて高いデータ ではございません。  レポート9で同じような解析が行われておって、それでもやはり高いというデータはないよう に思っております。ただ、これは疫学データであり、集団を相手にいたしますから、個々の方々 について高い方がおられたということは当然配慮できないし、おられて当然であろうと思いま す。 ○金澤座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○靜間委員 先ほど鎌田先生が見せられた写真なんですが、その方は屋外でフォールアウトの雨 とかそういうのに当たられたということはあるんでしょうか。 ○鎌田委員 まだその辺の黒い雨に当たったかどうかについては聞いておりませんが、ちなみに この方は、弟は4年後に亡くなっておりまして、お姉さんの方は1人の子どもを生んだ後、昭和 40年ですから20年後に亡くなっておられる方ですので、線量的に言っても妥当ではないかと思 います。だから、黒い雨云々については返事いたしかねます。 ○靜間委員 我々は仁科資料から、広島市内でのそういうフォールアウトの測定をやったんです けれども、仁科資料には高須地区での資料はなかったんです。ところが舟入の辺りのサンプルが ありまして、それは非常に高いんです。  ですから、いわゆる言われている高須ではなくて、フォールアウトの濃かった地区というのは、 もっと南の方に舟入とか観音とかその辺りに延びていたのではないかと思っていますので、もし その方がずっと屋内におられたのなら当たられていない可能性もありますけれども、原爆の後に 外に出て、そういうものを浴びられたということであれば、かなりの被曝量だったという可能性 があると思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。まだ議論はあるかもしれませんけれども、一部、内部被 曝にもお話が行っておりますので、内部被曝について一つだけ申し上げるとすると、靜間委員の 方からもありましたけれども、内部被曝と外部被曝の影響は基本的に同じではないかという御意 見がございました。わからない部分を含めてそういう御意見だったかと思います。非常に大事な 御意見だと思いますが、何かこの内部被曝についての御意見が改めてありましたら、どうぞ。 ○永山委員 内部被曝と外部被曝が位置的に同じだということですけれども、丹羽先生も以前、 いわゆる体内の均等分布という形で内部被曝を評価されていますけれども、やはりいろんな臓器 特異性がありますから、単純に均等分布というのは言えないのではないかと思います。実際に放 射線ヨウ素は甲状腺に集まりますし、ストロンチウムも骨に集まります。ですから、組織レベル で見るとかなりの分布の違いはあるのではないかと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。確かにそのとおりだと思います。後で言わなければいけ ませんが、やはり個別に考えるということがどうしても必要になってまいりますので、そのとき にまた話としては出てくるのではないかと思います。  ほかに御意見はございますか。甲斐委員、どうそ。 ○甲斐委員 今の点についてですけれども、結局線量といった場合に臓器ごとの吸収線量で投下 であると見ているのではないかと思いますが、世界的にもそう考えて、勿論LETが違えば、特 にαであるとかそういう核種であれば違ってくるわけですけれども、吸収線量で見ている限り、 βエミッターであってもγエミッターであっても基本的に違わない。若干変わる面があるわけで すけれども、ほとんど変わらないという知見が今の成果ではないかと思っておるんです。  先ほど靜間委員は内部被曝、β線を強調されたんですが、私の理解では、β線だけは特異的に 被曝するケースはなかなか少ないのかなと。結局β線が被曝するということはγ線も当然被曝を していますから、勿論ストロンチウム見たいにβ線だけ出す核種はございますけれども、多くの 場合にはβ、γを出すわけです。  そういう意味では、βの過剰な被曝がある場合には、当然γの過剰な被曝がある。そういう意 味でβだけが特異的に被曝する状況は非常に限られているということはあるのではないかと思 います。 ○金澤座長 ありがとうございました。神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 吸収線量の話ですけれども、甲斐先生が言われましたように、世界的な認識として は臓器別の吸収線量で線種は評価できるということになっておりますので、それは御指摘のとお りだと思います。  ただ、靜間先生が言われた内部被曝の量と外部被曝の量が同じということに関しては、今後議 論があるところではないかと思っています。 ○金澤座長 問題はいろいろと残ることは事実だろうと思いますが、先に進んでからこの部分を もう一度議論しろということであれば議論したいと思いますが、とりあえず先へ進ませていただ きたいと思います。  次は「(2)の放射線起因性の判断について」であります。線量及び原因確率に関しまして、 先ほど丹羽委員から御説明があったわけでありますけれども、原因確率につきまして、放射線の 影響を判断する目安として使うことに関しては、これは基本的に合理性があるとお考えの方が多 いかと思います。また、基本的な判断指標として用いることは適当ではないか。先ほどの鎌田委 員のお話の中にも出てきたかと思います。  問題は急性放射線障害、いわゆる急性症状でありますが、これにつきまして、典型的な発症時 期であるとか発症経過があるわけでありますので、典型的な急性症状の発症が明らかである場 合、これを評価する。これはいかがなものかということです。評価することにしてはどうだろう かということです。  これに関しては直接的に余り議論はしませんでしたけれども、いかがでしょうか。どうぞ。 ○鎌田委員 ポイントがつかみ切れませんでしたが、(2)に進みまして、一番下の行の「急性 症状の取扱い」について、今、問いを出されたと思うんですけれども、いきなり下の方から議論 するんですか。 ○金澤座長 そうですね。これから疾病の方に行くんです。済みません。  疾病に関しては、先ほどもお話がありましたように、がんと白血病と副甲状腺機能亢進症につ きましては、被曝線量及び原因確率による評価を基本にするということに関しては、合意が得ら れているのではないかと理解いたします。  ただ、白内障につきましては、どうも閾値という問題ではなくて確率的な影響ではないかとい う議論があったと思いますが、どうもまだ評価が固まっていないような気はしております。  また、がんと白血病と副甲状腺機能亢進庄及び白内障以外の疾病につきましては、いろいろ議 論がございましたけれども、疫学調査で発生頻度は放射線量に関連するという報告が確かにある ものもありますけれども、その一方で否定するような証明できないような論文があるというこ と、あるいは発生頻度がよくわからないということもあって、将来の問題はあるにしても、当面 今の段階では放射線との直接関係があるということが明らかになったとまでは言い切れないの ではないかということかと理解いたしました。  その他の疾患については、そんなまとめになるかと思いますけれども、いかがでしょうか。靜 間さん、それから永山さんと行きましょう。 ○靜間委員 私は病気については専門ではないんですが、たびたび恐縮ですけれども、アメリカ の退役軍人の無審査で認定される疾患というのは、この前も紹介しましたが1988年の13疾患で、 その後に増えて2002年には21疾患となっております。それに比べると今回の日本の認定の病気 が非常に少なく、半分ぐらいであるというのは、放射線影響研究所でのそういう放射線との関連 性があるものだけが取り上げられていることでしょうか。そうすると、もう少しほかのものにつ いては考えなくていいのだろうかというのが気になっております。 ○金澤座長 後で戻りましょう。永山さん、どうぞ。 ○永山委員 がんに関してです。先ほど鎌田先生が表の中で少し触れられておられましたけれど も、重複がんをどうするか。今まで恐らく一つひとつのがんが単独で原因確率を計算されていた と思うんですけれども、重複がんをどう扱うかということは、ここの疾病ではありませんけれど も、この疾病のところで考えないといけないことではないかと思います。 ○金澤座長 大変貴重な御意見をありがとうございました。どうぞ。 ○丹羽座長代理 実はその話は、私は鎌田先生と新幹線の中で議論したのを思い出したんです が、多分重複がんだから放射線ということはなかなか言いにくいと、私自身は鎌田先生に申し上 げました。理由は日本人の今のがんの罹患率が5割ぐらいだと理解しております。重複がんの方 は単純計算で2割5分です。三重がんになると1割2分5厘という形で、当然すごく多重がんに なる方はおられるであろう。  そうすると、それは指標にならないんですが、疫学者の方に実はこの話を聞いたことがありま す。あるがんになった方が次のがんになられる確率はどうなんですかと言ったら、それは掛け算 よりよほど高くなると。多分複数の理由があって、実際にそういう方の体質の問題があるかもわ からないし、もう一つは治療のときに必ず何かやりますので、それの影響もあろうかと思います。  そういうことで、多分重複がんは、私自身が鎌田先生と新幹線の中で話した議論は、指標にす るといろいろと問題が起こるのではないかと申し上げました。 ○金澤座長 鎌田委員、どうぞ。 ○鎌田委員 重大な間違いがあると思います。先生は罹患率と言われましたね。罹患率が5割で ある。どのデータを見ても5割というのはないです。今、広島県のものを見てきました。2年連 続です。そうしますと29%台です。先生は生涯のことを言っておられます。ですから間違って いますと言ったんです。罹患率といった場合には30%なんです。 ○丹羽座長代理 生涯罹患率であれば、それぐらいになるのではないですか。言葉が間違いなん ですね。 ○鎌田委員 前回のときに被爆者では、女性50%、男性38%という格好で平均50%だと出てい ます。では、一般の人で生涯罹患率が50%ですか。 ○丹羽座長代理 その場合、生涯ある特定の人ががんになる確率が半分ぐらいあるということで す。だから100人いたら50人ぐらいはがんになるであろうということを私は申し上げたかった んです。言葉の間違いがあれば、それは訂正いたします。 ○鎌田委員 私が申し上げたいのは、毎年毎年の人口の中でなくなっていく中で、あるいは病気 になる方で、何割ががんになっていくかということです。その3年後には、また別のがんになら れるというのが重複がんですから、それを合わせて考えていかないといけないところがあると思 うんです。ですから、私は生涯50%だから、2つがんは25%だという計算には納得できないん です。 ○丹羽座長代理 私はそこのところは理解できません。 ○鎌田委員 これは実際に数字で出せばわかりますから結構です。重複がんについては、次回に 議論をしましょう。 ○金澤座長 どうでしょうか。 ○神谷委員 先ほどの話題に戻るんですが、白内障以外の疾病というときにどういう疾病を考え ていらっしゃるかんですか。 ○金澤座長 それはこれから言おうと思っていたんです。ちょっと待ってくださいね。  今のはどうなんでしょうか。生涯罹患率でしょう。2つ重なっていると掛け算になるのではな いんですか。独立ならば、普通の確率からいくとそうなる。 ○鎌田委員 病理集計表というのがありまして。 ○金澤座長 それとは別なんです。今のは確率の問題だけですから、普通これは掛け算になるは ずなんですね。永山さんの御質問に関する議論は一応そこまでということにしましょうか。そう いう意見があるということですね。必ずしも一致した意見にはなりにくかったということだと思 います。どうぞ。 ○永山委員 詳細は覚えていないんですけれども、長崎の方でデータを出して、重複がんの定義 はよく覚えていないんですけれども、線量と相関があるというデータがあります。もうすぐ論文 として出ると聞いております。 ○金澤座長 ありがとうございました。積み残しにいたしましょう。靜間さんが出された意見と 神谷さんが出された疑問ですが、どういうものを入れるべきかというのを御提案いただくと議論 が進めやすいんです。いろんなデータがあって、それぞれプラスがあったり、必ずしもそうでな かったとかいうのがあったものですから、先ほどのようなまとめにしたんですが、具体的な御提 案があると議論しやすいんです。 ○靜間委員 今日は用意していないんですけれども、次回は用意いたします。 ○鎌田委員 データがあります。ないのを申し上げますと、多発性骨髄腫、喉頭がん、膵臓がん、 胆管がん、骨がん、唾液腺がん、尿道がんがないということだと思います。小腸がんというのが なぜかあるんですけれども、小腸がんも入っています。  以上です。 ○金澤座長 ありがとうございました。 ○丹羽座長代理 このがんという言葉は、がんの中でわざわざエクスクルードしているというこ となんですか。私自身はそれで全部含まれているのかなと思っていたんです。 ○靜間委員 審査会の方のがんは、胃がん、大腸がん、甲状腺がん、乳がん、肺がん、肝臓がん、 皮膚がん、卵巣がん、尿路系食道がんとなっています。 ○丹羽座長代理 多分それは当然ながら、ちゃんとデータが出てきたら、とりあえずなければな らないものだと私は思っています。それは非がん疾患も全く同じで、当然ちゃんとこれは放射線 起因性が明らかになる過程で、この分科会なり審査会なりというのはそういうのをどんどん取り 入れていかなければならない。だから体制をどうするんだというのは後ろの方であったものです から、そういうふうに思っております。 ○金澤座長 どうぞ。 ○佐々木課長補佐 事務局から事実関係で御説明をさせていただきます。審査の方針におきまし て、がんに関しましては、今、靜間委員から御説明があったとおり、個別のがんとして出してい るものと表記されていないその他の悪性新生物ということで適用表は決まっておりまして、基本 的にがんにつきましてはすべて、いわゆる審査の原因確率というものを適用して審査をする対象 になっているというのが現在の審査の方針でございます。 ○金澤座長 どうぞ。 ○鎌田委員 今の点に関して、悪性リンパ腫はどのようにしていますか。白血病と別個に確率論 をつくっておられますか。その他のがんになっていますか。白血病の項目に入っていますか。 ○佐々木課長補佐 現在、分科会におきましては、その他の悪性新生物ということで取り扱って いるということでございます。 ○鎌田委員 今のお答えでは、白血病は白血病、悪性リンパ腫は悪性リンパ腫と別々のグループ でリスクとして考えるというお考えです。私はびっくりしました。というのは、白血病と悪性リ ンパ腫はWHO2000年の報告において、もう同じ病気であると、いわゆるT細胞性であるのか B細胞性であるのかであって、それが塊をつくるかつくらないかの話ということである。  例えばバーキットリンパ腫は8、14転座があります。白血病の急性リンパ性白血病L3とい うのは同じ8、14があります。同じ染色体レベルでやりますと、リンフォーマ、悪性リンパ腫 と白血病は区別が付かないんです。それを違うカテゴリーでやっておったということで、今まで 悪性リンパ腫で申請しておった人は、別のカテゴリーでやっておったということだから、私は大 きな計算違いだと思います。 ○金澤座長 ありがとうございました。どうぞ。 ○佐々木課長補佐 事務局の方から更に御説明をさせていただきます。この審査の方針の原因確 率表を作成するに当たりましては、既に委員の先生方がお話をしたとおり、放射線影響研究所の 論文等を参考にしていまして、その際の疾病の分類というのがその時点のICTの分類というの を使っておりますので、その関係でデータの解析ができるものを分離して、その他のものは分科 会の意見交換の中で、どこで適用しようかということで運営してきておるところでありまして、 当然その先生のお話ですと2000年ということですから、更に新しい知見があれば御議論をいた だいて、見直しをしていくというものだと思っております。 ○金澤座長 ありがとうございました。それが1つの方針なのかもしれませんね。  神谷委員、どうぞ。 ○神谷委員 被爆者の皆さんに発生する病気についてですが、疫学的な調査で非常に線量効果関 係が認められる病気というのは、疑いの余地がないと思うのですが、一方でサブ・クリニカルと いいますか、まだはっきり顕在化していないような病態があるように思います。  これは放影研のデータでも非常にはっきりしていますが、被爆者の皆さんは免疫学的なパラメ ーターで調査をすると、免疫系のアンバラスがあることは、どうも間違いないらしいということ であります。そういうものが基盤となっていろんな病気の基になるといいますか、そういう可能 性も否定できませんので、それらもやはり考慮する必要があるのではないかと思います。  被爆者の皆さんをずっと調査をすると、非常に長い時間が経っていても、慢性炎症のようなパ ラメーターが陽性に出たり、あるいは免疫不全までは行かないのですが、リンパ球のサブポピュ レーションの異常があったりというようなことがずっと持続しておりますので、そういうものも 検討する必要があるのではないかと思っています。 ○金澤座長 ありがとうございます。具体的なことがいつか出てくるといいんですけれどもね。 いずれにしても、学問が進みますから、必ずやこの部分は進化すべきだと思うし、その進化が審 査にきちんと反映されるような仕組みは多分必要なんですね。これに関しては恐らくどなたから も反対はないんだろうと思いますけれども、きちんとした形でそれをどこかで盛り込みたいなと 思っております。大変貴重な御意見をありがとうございました。もうちょっと具体的になるとい いかもしれませんね。  それでは、次は「(3)審査の取扱いについて」であります。ここの部分はかなり大事な部分 であります。原因確率に関連いたしまして、放射線起因性が少ないと推定されている原因確率が 10%下回る場合についても、急性症状をも判断の中に入れて、総合判断の対象とすべきではない かという考えですね。先ほど申し上げたことになります。それについても先ほど申しましたよう に、恐らくお認めいただけるのかなと思っております。  もう一つですが、認定に関わる分科会でありますけれども、青山さんからのお話もありました ように、経験則も踏まえた個別の認定がすることができるような時間的、あるいは人的な整備を することが必要なのではないだろうか。人的まで行けるかどうかわかりませんけれども、とにか く個別の認定をきちんとする時間的余裕はつくらなければいけないのではないかということで あります。  もう一つ、これはある意味では当然かもしれませんけれども、原因確率がある一定の率以上の 場合、分科会の審査を省略して迅速に認定を行うべきではないか。これも先ほど丹羽委員からも お話がありましたけれども、恐らく議論がないのではないかと思っております。  「(3)審査の取扱いについて」に関して、何か御意見はございますか。  青山委員、どうぞ。 ○青山委員 (3)の中の最初に出てくる10%未満という10%の根拠は何か特別にあるんでし ょうか。 ○金澤座長 どうぞ。 ○丹羽座長代理 これは私自身が分科会の人間でも何でもないので、私が申し上げるのは間違っ ておる可能性があるんですが、従来の線量評価体系から発がんなり何なりがどれぐらい予測がで きるかということで、そのがんが多分これぐらいの線量を浴びたら、がんのリスクが10%増え ますよというふうな線量が大体今のところは1Svあるいは1Syという単位なんですが、それの 10%ならどれぐらいなんだというと、多分200mGyか何かではないか。そういうふうなラインで あろうと私自身は理解しておりました。今のところ、この10%というのは仕切りラインになっ ていると聞いております。 ○青山委員 実際の運用で10%を超えれば、できるだけ被爆者に有利に判定するという運用を しているというのは前にお話がありましたので、実際に10%というのはそういう意味で使われ ているということは知っているんですけれども、10%ということで分ける科学的な根拠があるか どうかということがちょっと疑問に思ったんです。要するに原因確率なので、ゼロでない限り、 また100でもない限りはあくまでも確率であって、当該個人にとってそのまま当てはまるもので はない。別の言い方をすれば、あるパーセントを境に質が違うというものではない。仮に10% を取っても、10%未満であるがゆえに10%を超える人と全く質が違うということは多分ないの ではないかと思うんです。  ですから、ここで取扱いを考えるときに、超える人と超えない人との扱いが全く違った扱いに なるのは具合が悪いのではないか。考えられるとすれば、これは一つの方法ですけれども、こ の前グレーゾーンについては何らかの補強証拠があったら認めるという考え方はどうだと申し ましたが、その補強証拠としてどういうものを考えるか。  例えば急性症状があったということが一つそれに当たるとすると、そのことがどの程度確実に 認定できるか。資料の面ですね。例えば10%以上の方についてはそういう症状があったという ことが信用できる何らかの補強証拠があれば認めましょうと。それは例えば御本人の供述でも、 その供述の内容からこれは信用していいと判断されるなら、それでいいでしょうと。しかし、10% 未満の方についてはもっと確実な資料を出していただきましょうと。例えば第三者の証言によっ て支えられるとか、あるいは書証その他のもっとはっきりした補強証拠があれば認めましょう、 しかし、それもなかったら認めませんと。  だから、10%を超えても超えなくても、資料さえあれば認めるという点においては同じなので、 質的に違いはしない、ただ、証拠方法については緩い、きついを分けましょう、ということだっ たらわかると思うんですけれども、質的な違いを認めるということになると、それが問題ではな いかということを申し上げたかったわけです。 ○金澤座長 鎌田委員、どうぞ。 ○鎌田委員 青山委員と同じ方向のことなんですが、原因確率というのは放影研でいろいろやっ て、ほかのコントロールと明らかに差が出ますよということが確認された病気について原因確率 論をやっているんです。  コントロールの1のレンジから最下限が1以上のバーの範囲があるものを取り込んできてい るわけですね。更にそれの10%云々というのはおかしいんです。あるいはバーの上にあるんだ ったら、全員確率があるということです。そこになぜ10%というのを分けなければいけないの かということですよ。根本的にはもう有意差があるというのがわかっているんです。 ○金澤座長 甲斐委員、どうぞ。 ○甲斐委員 そこの問題なんですけれども、PCの解釈の問題なんですが、リスクと言ってもい いわけですが、結局一定の確率があれば、その関連を認めるというときに、どの程度の確率であ れば関係を認めるのかというのは、確かに科学的な結論としてはなかなか出てこないわけです ね。  ただ、別にこの放射線に限らず、私たちがこういういろんな生活をしているときに、どの程度 の確率であれば、その関係を重視するのかという一定の社会的な常識的な判断というのはあるの かなと思うんです。  例えば科学では統計の判断だと、5%とか10%というのを1つの目安にしているわけです。 でも、あれも非常に任意なものなわけですが、5%確率が5%より小さい確率で起きるようなも のであれば、それはそういう起きる統計的なものは出発点の仮説が違っていると言うことで、仮 設をリジェクトするわけですけれども、そういう意味でどの程度小さければ、果たしてその関係 を認めるのかというのは、なかなか一意には決まらないわけですけれども、ただそういうものは あるだろうという前提には立っているのではないかと思います。  鎌田先生がおっしゃるように、確かに確率はあるわけですけれども、どこまでの確率なら認め るのかというのは極めて難しい問題で、そこは科学的には出てこないのかなと私は思うんです。 ただ、そこは一つの判断が必要なのかなとは思うんです。あくまでも確率として20〜30%のも のと2〜3%のものでは明らかに違うだろうという判断はあるのだろうと思うんです。 ○金澤座長 ありがとうございます。どうぞ。 ○鎌田委員 (2)の真ん中に「原因確率の合理性」ということが書いてあります。この原因確 率論自体が合理性があるんですよ。これは言葉が足らないのではないですか。原因確率を利用す ることの合理性ですね。 ○丹羽座長代理 おっしゃるとおりです。 ○鎌田委員 その原因確率を利用することの合理性があるかないかということをここで議論し たかったということです。まさに今その問題がここにあるわけです。今、甲斐先生がいみじくも 言われたように、物事には段階があるだろうと。だから、普通の場合だったら、統計的に言った ら5%というのを取るし、このレベルはこうだろう。私はこの原因確率を利用することの合理性 はないと判断しています。今のような議論が出てきたわけですから。  原因確率を利用することの合理性はないんです。なぜかと言ったら、今のような結果になるか ら。あなたは50%の確率がありますよというのを直接そのようにすればいいのであって、何も 10%で切る必要はないわけです。あなたは10%しか確率はありませんよということで、そのよ うに本人に言って理解してもらうしかない。 ○金澤座長 どうぞ。 ○甲斐委員 原因確率はかなりいろんなところでたたかれているんですけれども、ここの問題は むしろ原因確率の概念そのものより、勿論、原因確率も問題点はいっぱいあるんですけれども、 現在の一番の問題点は、そこで使っている線量の不確かさが結局は問題になっているわけで、線 量が健康に対する最もよい指標であることは、鎌田先生も恐らくこれはお認めになると思うんで す。問題はどの程度の線量であれば、それなりの疾患の優位性を考えるのかというのは、なかな か難しい。  そうすると、そこの疾患の可能性を認めることは確率的に考えざるを得ない。そうすると、確 率的なものして、一つの指標としてPCが出てくるんだと私は理解しているんです。PCの問題 は評価するために使っている線量の不確かさでありますので、その不確かさが大きい場合にはど うするかというのは、今回個別の議論をもっとしたらどうかというのが今日の議論なのかと私は 理解したんです。 ○金澤座長 そのつもりなんですが、ほかのファクターを入れて、その問題点を少なくとも軽減 しようとしたわけですが、いかがでしょうか。  永山委員、どうぞ。 ○永山委員 ですから、2つの問題は両方問題ではないんでしょうか。1つは、(1)で出てき たように、誘導放射線がどうしても不確かなので、それを無視したような原因確率がいかがなも のかというのが1つあるかと思うんです。  もう一つは、鎌田先生が言われるように10%を切っていいのか。1人の被爆者の人にとって はオール・オア・ノンですから、9%と11%がどう違うのかという。だから、両方問題があっ てということですね。 ○金澤座長 そのとおりだと思います。ですから、そういう不確かさをすべて吸収する形で総合 判断とか経験則などを利用することを分科会の方では考えてもらってはどうかということを審 査の取扱いの方で言っているつもりなんです。どこかでラインを引かざるを得ないということ は、一方では御理解をいただかなければならないかもしれません。  ほかにどうでしょうか。全体を通してでも結構です。今日で議論は終わりというわけではあり ません。カメラがたくさん来ていましたから、今日で終わりと思われたかもれしないけれども、 そんなことはありませんので、どうぞ。 ○鎌田委員 全体的というよりも「(3)審査の取扱いについて」ということで、下から3行目 の審査の体制と審査の迅速化という、この2つについてのコメントです。  原爆の一番最初の法律ができたのが昭和32年なんですが、34〜42年までは原爆医療審査会広 島小委員会というのがありまして、そこでまず第1次審査をやっておった時期があります。  そこではABCDという4つのカテゴリーに分けておりまして、Aはまず間違いないだろう。 Bは間違いないだろうけれども、中央の審査会に出そう。Cはどちらかわからない。Dは可能性 はない。この4つの判断を広島の小委員会から厚生省の方に出しておったんです。  だから、そういうことがもし今ここに提案されているように、審査体制は別なカテゴリーかも しれませんが、審査の迅速化ということに関しては、もし可能ならば、被爆者の目の前におる患 者さんをどう安心して治療してもらうかということをするためには、せめて中央でも当然認める だろうというようなことは、広島、長崎の方で即座に審査していただきたいと思います。 ○金澤座長 貴重な御意見をありがとうございました。ほかにありますか。  鎌田先生、それはどうしてやめになったんでしょうか。 ○鎌田委員 毎年毎年の審査に出てくる量が減ってきたために、昭和34年は年間640名の審査 で、認定の被爆者が出ておったんです。ところが昭和40年に入ってから二けたの台になりまし て、42年ぐらいから、これぐらいの数だったら中央でもできるだろうというようなことでなっ たと思うんです。  一方では、社会的に非常に認定審査に対して、申請することに対して本人らが抵抗を持つよう な時期があったものですから。結論は数が少なくなったので中止したのが実情だと思います。 ○金澤座長 長崎はどうだったのか御存じの方はいらっしゃいませんか。広島は広島でやってい て、長崎は長崎でやっていて、最初から全部中央でやっていたんでしょうか。何かちょっと妙な 話ですね。  事務局はわかりますか。どうぞ。 ○北波健康対策推進官 データだけ申し上げますと、認定件数は確かに昭和35年まで1,000件 台でございました。昭和36年からいきなり400件、37年に180件と減っております。その後は ずっと二けたの年もあり、また100程度の年もありというのが推移しておりまして、現在は大体 180件程度という感じになっているという推移になっております。 ○金澤座長 わかりました。ほかに全く別なことでも結構ですが、何か御意見はございますか。  まだ最終的に合意に至っていないところもあるかもしれませんけれども、データを含めて、こ れからもうちょっと皆さんでお持ち帰りいただいて、また考えていただいくという操作が多分必 要なんだろうと思いますので、このぐらいの議論にいたしましょうか。どうぞ。 ○丹羽座長代理 1つだけ。私は今日の議論で合意かどうかは別としても、相当十分な議論がで きたと、サブスタンシャルな議論ができたと実は思っておりまして、これがやりたいから実は項 目立てにしておいたという思いもあります。  多分個々についてはまだいろいろな議論は当然あるとは思います。それは最終的なまとめの段 階で更に取り入れる作業が必要とは思いますけれども、やはり我々が持っている知識で一番一生 懸命考えて、どうなるたんだろうということを今回は先生方からいただいているように私自身は 理解しております。  本当にこれがすごくやりかったというのが自分の思いであります。 ○金澤座長 どうもありがとうございました。まだちょっと時間があるようですから、妙なこと を伺いますが、最後の審査の取扱いのことで、実際にその審査が迅速化されないとどうにもなら ないんですね。例えば仮に50%としましょうか、この原因確率がある一定の限度、数字を変え た場合には、自動的に審査なしで認めるということにすると、どれぐらい早くなるんですか。ど れぐらいの方が審査なしで行くということは、起こりうるんだろうか。これは例えば年間に1〜 2人ということで、余りしようがないので、多分もう何人かはいらっしゃるだろうと予想します が、数字は急には出ないにしても。 ○北波健康対策推進官 事務局より、今のところは座長の御指摘のように、数字はにわかには出 ないんですけれども、例えば原因確率というもので7%以上とか、そういうふうなものを通じて、 例えばそれは放射線の影響というものを推認できるという取扱いにした場合は、例えば法律上は 明らかな場合については審査会の審査を省略することもできることになっておりますので、どの ラインを引くかということも考えますけれども、そういうことを取り入れれば、迅速化というも のができるのではないかと考えております。 ○金澤座長 わかりました。仮に委員の数が同じだとしても、それだけでも随分早く、1人にか ける時間が多くなりますね。個々の検討をする時間がね。それだけでも非常に大きいです。  さて、ほかに御意見がございましたら、お受けいたします。よろしいでしょうか。  鎌田先生の御提案には直接触れていないようですけれども、何か特別ございましたら。  それでは、今日はここまでということにさせていただいて、今日いただきました御意見を丹羽 先生と少しまとめさせていただきまして、事務局でまた案をつくってみることにいたします。  それでは、次回のことについて、事務局から。 ○北波健康対策推進官 それでは、事務局から説明いたします。次回の開催につきましては、12 月17日月曜日、午前10〜12時を予定しております。場所は追って御連絡したいと考えておりま す。決まり次第議案に御案内とご連絡させていただければと思います。  以上でございます。 ○金澤座長 どうもありがとうございました。何か御質問はございませんでしょうか。  それでは、12月17日月曜日の午前中にお会いいたします。  今日は終わりにいたします。ありがとうございました。(了)