平成19年12月25日





薬事・食品衛生審議会
医薬品等安全対策部会
安 全 対 策 調 査 会





リン酸オセルタミビル(タミフル)について

当調査会は、リン酸オセルタミビル(タミフル)の服用と異常な行動等の副作用との関係について結論の取りまとめを行うため、本年4月4日、6月16日及び11月11日に会議を開催した。本年6月16日にはタミフルの安全性について希望団体等からの意見陳述の聴取を行った。また、本年6月16日及び11月11日にはリン酸オセルタミビルの基礎的調査検討のためのワーキンググループ(基礎WG)及びリン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ(臨床WG)から調査検討の状況について報告を受けて検討を進めてきた(注1)。

(注1)タミフルの安全対策の経緯等については、別添「参考資料(PDF:289KB)」参照

本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGにおける調査検討の結果について、それぞれ別添1(PDF:408KB)及び別添2(PDF:366KB)のとおり報告を受けて検討を行った。タミフルの服用と異常な行動及び突然死との関係についての現時点における当調査会の検討結果等は、以下のとおりである。

○  本日、当調査会は、基礎WG及び臨床WGから非臨床試験(動物実験等)、臨床試験、疫学調査(現時点では、明確な結論を得るために必要な解析には至っていない)等の結果について報告を受けた。現時点において、直ちにタミフルの服用と異常な行動及び突然死との因果関係を示唆するような結果は得られていないが、特に、疫学調査及び臨床試験については、十分かつ慎重な検討や分析を進め、可及的速やかに臨床WG及び当調査会に報告することが適当である。

(1)  非臨床試験
  バインディング・アッセイの結果、臨床用量投与時に推定されるタミフルの未変化体及び活性代謝物の脳中濃度では多くの中枢性の受容体やイオンチャネル系への作用を持たないとされたこと 等

(2)  臨床試験
  睡眠検査室試験の中間解析によると、タミフルについて、睡眠異常を起こさないこと、心電図検査において著明な変化が認められないことなどが確認されたこと 等

○  このようなことから、当調査会としては、引き続き基礎WG及び臨床WGにおいて、現在実施中又は解析中の非臨床試験、臨床試験及び疫学調査等の結果を含めた更なる調査検討を進め、できるだけ早期に最終的な結論の取りまとめを行うこととする。

○  インフルエンザによって異常行動が起こり得ることに対し、改めて医療関係者及び国民の注意を喚起する必要がある。

○  以上を踏まえ、タミフルについて現在講じられている措置(注2)は、現在も妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。

(注2) 平成19年3月20日の緊急安全性情報:

10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。

また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。

なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。

○ さらに、ザナミビル水和物(リレンザ)及び塩酸アマンタジン(シンメトレル等)について、次の点を添付文書の使用上の注意に記載し、インフルエンザに罹患した小児・未成年者の異常行動発現のおそれについて改めて医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当である。

・  因果関係は不明であるものの、本剤の使用後に異常行動等の精神神経症状を発現した例が報告されている。

小児・未成年者については、異常行動による転落等の万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、(1)異常行動の発現のおそれがあること、(2)自宅において療養を行う場合、少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて患者・家族に対し説明を行うこと。

なお、インフルエンザ脳症等によっても、同様の症状が現れるとの報告があるので、上記と同様の説明を行うこと。


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