第4回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会
議事要旨

日時:平成19年12月25日(火) 15:00〜17:00

場所:厚生労働省共用第7会議室(5階)

出席委員:佐藤座長、岩品委員、大石委員、大津委員、久保委員、両角委員、脇坂委員(座長を除き五十音順)

欠席委員:中窪委員

議事:

有識者等からのヒアリング

(1)ドイツにおける両立支援制度について(城西国際大学 人文学部 教授魚住明代 氏)

(2)フランスにおける両立支援制度について(日本大学 法学部 教授 神尾真知子 氏)

(3)男性の育児参加の促進について(株式会社ニッセイ基礎研究所 生活研究部門 副主任研究員 松浦民恵 氏)

議事概要:

○ 魚住氏発表後の主な発言

・ 家族政策の転換と失業率に何か因果関係はあるか。

→ 失業率を低くするために「多世代の家」等において、技術の伝授等の支援が行われている。また、連邦政府が各地で作っている「家族同盟」に企業が参加しており、若者や女性に対する職の斡旋等を地域レベルで行っている。

・ 家族政策の転換を使用者側はどのように受け止めているか。

→ 第2次シュレーダー政権の時から出生率や女性の労働力率の低さが企業にとってマイナスであることについて企業に理解を求めてきている。また、連邦政府のホームページに、家族同盟に参加している企業や家庭に優しい企業のコンテストで表彰された企業等が公表されており、企業の取組が促進されている。

・ 保育のインフラは整備されているか。

→ 3歳児未満の子どもが保育園に入ることができるようにする法律を作って、整備をしている段階であり、設定された目標に向けて多額の資金が投入されて保育園の設置が行われているため、数年後には保育園が完備されていくという状況。

・ 無給であった両親手当が2007年1月に従前所得の67%になり、養育手当も残っているが、財政的にどのようにそれを可能にしているのか。

→ 消費税の引き上げ、母子家庭や失業者の支援の削減等によって可能にしている。高所得者が高額の支援を受けることになるが、高学歴者が子どもを持たないという問題に対応するため、一律に給与の67%を保障する制度としている。

・ 男性が父親休暇を熱心に取る背景として、普段から有給休暇に対する意識は高いのか。

→ 有給休暇を取らせないと上司が責めを負うという事情があり、有給休暇取得の意識が高い。

○ 神尾氏発表後の主な発言

・ きめ細かなサービスがどのように周知され、国民にとって利用しやすいものになっているか。

→ パンフレットが分かりやすいこと、身近な窓口があること、インターネットで手続きができることに加えて、国民の側の権利意識の高さもあって、よく利用されている。補足すると、政府と契約を結んだ民間の女性団体が、女性や家族に関わる様々な情報を提供していることも周知に貢献している。

・ 育児親休業における労働時間の短縮についての決定権は労働者と使用者、どちらにあるのか。

→ 話し合いで決定するということになっているが、判例では双方が合意に至らなかった場合、使用者に決定権があると解されている。

・ 両立問題に関する団体交渉は各職場で行われるのか。

→ 企業レベルで年1回団体交渉をする。労働法典に団交事項が規定されており、しない場合に処罰規定がある。

・ 労働組合の組織率が低くても、団体交渉をする労働組合に対し、働く女性の利益を代表するということについて、信頼が高いのか。

→ 男女職業平等に関しては、5つの代表的労働組合、3つの使用者団体によって男女職業平等を進めていこうという全国的な協定が結ばれており、信頼は高い。

・ フランスの事例が日本の政策に対して示唆するものはあるか。

→ まず労働時間の問題。また、育児休業の類型としてパート就労型の法定化が必要。さらに選択の自由を保障するサービスのきめ細かさも重要。

○ 松浦氏発表後の主な発言

・ 個々の従業員のプライベートな情報をどのようにして把握しているか。

→ 出産祝い金の届出や普段のコミュニケーションによって把握する企業が多い。妻の出産予定調査を行っている企業もある。

・ 短時間勤務制度について、男性も取っているのか。また、その利用のための環境整備はどうか。

→ 非常にレアケースで、1社に1名いたかどうかという程度。管理職や中核的なポストでは短時間勤務もなかなか取りにくいようだ。


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