07/11/29 第5回社会保障審議会医療部会議事録 第5回社会保障審議会医療部会  日時 平成19年11月29日(木)10:00〜   場所 厚生労働省省議室 ○企画官 おはようございます。ほぼ定刻でございますので、ただいまから社 会保障審議会医療部会を開催させていただきます。委員の皆様方におかれまし ては、お忙しい中をご出席いただきまして、誠にありがとうございます。初め に本日の委員の出席状況についてご報告いたします。本月は潮谷義子委員、田 中滋委員、樋口範雄委員、山本文男委員、渡辺俊介委員からご欠席との連絡を いただいております。なお、佐伯委員が若干遅れて、参加をされるというふう に伺っております。それでは議事に入ります前にお手元の資料の確認をさせて いただきます。お手元に議事次第、座席表、委員名簿をお配りしておりまして、 そのほか資料の1−1、及び資料の1−2を用意しておりますので、ご確認をお 願いいたします。それでは以下の進行を鴨下部会長によろしくお願いいたしま す。 ○部会長(鴨下) おはようございます。今日は朝からお集まりをいただいて、 ありがとうございます。議事に入りますが、前回は平成20年度の診療報酬改 定へ向けて、大変活発なご議論をいただいて、ありがとうございました。本日 は前回のご議論を踏まえて、平成20年度診療報酬改定の基本方針(案)を修 正いたしました資料を事務局に用意をしてもらいましたので、引き続きご議論 をお願いしたいと思います。本日は当部会としての議論の取りまとめをしたい と考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。早速事務局から平 成20年度診療報酬改定の基本方針(案)について、説明をお願いいたします。 ○医療課長 おはようございます。お手元資料の1−1と1−2を準備いたしま した。資料1−1は修正後の文案でして、資料1−2が前回お示ししたものから 修正を加えたところがわかるようにした資料ですので、1-2に沿ってご説明を していきます。  前回様々な所でご意見をいただきまして、また今週の月曜日には医療保険部 会でもご議論をいただきました。その中で、出ました意見につきまして、溶け 込ませて、文章を書いております。今回は、その変更した部分を中心にご説明 をします。  1頁、「基本的な考え方」で国民に提供する医療提供体制の構築と国民皆保 険制度の堅持という問題について、不可欠であるとともにそのための不断の取 組が求められるというふうにまとめております。そして、「したがって」とい う文言を加えまして、前回の医療政策の方向性をその視点等を基本的に継承し つつ、以下の現状を十分に認識して対応すべきであると。この辺りは現状認識 が非常に不足しているというご意見をたくさんいただきましたので、その辺り を詳しく書き込んでおります。(3)が全文的に加えたものですが、すなわち、 現在、産科や小児科をはじめとする医師不足により、地域で必要な医療が受け られないとの不安が国民にある。医療は地域生活に欠くべからざるものであり、 誰もが安心・納得して、地域で必要な医療を受けられるよう、また、地域の医 療に従事する方々が働きがいのある医療現場を作っていけるよう、万全を期す 必要がある。  さらに引き続きですが、その認識のところを続けまして、(4)平成20年度 診療報酬改定においては、保険財政の状況、物価・賃金等のマクロの経済指標 の動向、全国の医療機関の収支状況等を踏まえつつ、基本的な医療政策の方向 性や地域医療を巡る厳しい現状を十分に認識した上で行う必要がある。「具体 的には」ということで、前回の文章に続けています。  2頁、(診療所・病院の役割分担等)の項目です。ここでは診療所における 開業時間の延長という表現をしておりましたが、診療所の夜間開業については、 昼間から夜へシフトするとか、いろいろな多様な形態も考えられますので、こ こでは夕方から夜間の早い時間、この時間帯の診療所の活躍ということにする ということで、必ずしも延長という形ではないということもありますので、こ こでは「診療所における夜間開業の評価の在り方」という形に文章を変更して います。  3頁、(生活を重視した医療)というところで、サラリーマンという文言を 使っていましたが、そこら辺りは働く人と、もちろん自営の方もおられるとい うご意見もありますので、「勤労者、自営業者等が」としています。また、先 ほどの問題、ここでも出ていますので、「夕刻以降の診療所の開業の評価の在 り方」と変更します。また同じく保険薬局の部分でも文言を同様に修正しまし た。(2)の質の高い医療を効率的に提供するという視点ですが、そこの前書き のところで「患者が安心・納得するということが非常に重要だというご意見を 踏まえて、変更しています。  それから、(入院医療の推進)のところで、ここではいま医療法に基づく医 療計画を新しく作り直していただいているわけですが、その見直しとの連動と いうことが非常に重要でありますので、「医療計画の見直し等」という辺りを 強調したわけです。   4頁、ここでも(3)の前書きの部分で国民の安心・納得という「納得」と いう言葉を入れました。6頁、ここでも先ほどと同様、(4)の効率化余地があ ると思われる領域の評価の部分ですが、前書きのところで、「納得」という言 葉入れました。(7)頁ですが、「終わりに」の文章のところで、ここで「中医 協におかれては」という文章ですが、「国民・患者の医療ニーズに即した」具 体的な診療報酬の、という形で、文言を追加いたしました。4頁が抜けていた ようなので、4頁をご説明します。いちばん上ですが、包括の支払いのDPCの ところで、ここではDPCの拡大等だけではなくて、そもそも対象病院が広がっ てきている中で、在り方そのものを検討すべきだということで、「在り方や」 ということに文言を挿入させていただいています。変更点は以上でございます。 ○部会長 ありがとうございました。ただいまの説明や資料に関するご質問も 含めて、ご自由に意見交換をお願いしたいと思います。できるだけ、委員間の 活発な意見交換をしていただきたいと思いますので、お1人当たりのご発言は、 できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。毎回申し上げていることですが、 よろしくお願いします。では、どうぞ。 ○小山田委員 前回のものに比べまして、特に厳しい地域医療の現状、それか ら勤務医の労働過重といった面で、十分に配慮されていることに、まず感謝い たします。それから、これは文言の点ですが、資料1−1、あるいは資料1−2 でも結構ですが、1頁の1(4)、その下から4行、「地域医療を巡る厳しい状況、 具体的には地域医療の現状を踏まえて」ということですが、これは具体的なも のなので、重複しているので、下のほうは削除してもよろしいのではないかと いう感じを持っています。以上です。 ○豊田委員 1頁の「基本的な考え方」、先ほど小山田先生が言われた(4)の 部分ですが、私のほうでは日病協の資料をもって、現在の病院の厳しい状況を 説明してまいったわけですが、この(4)は、このとおりではあるのですが、 やや弱い感じがするのです。現在医師不足、看護婦不足とか、地域におけるい ろいろな問題もありますが、いちばんの問題は医療機関の収支状況が悪化して いる、そのために良質な医療提供体制が保たれなくなってきていると。その危 機に直面しているということを申し上げたわけで、その文言を是非ここへ、こ の(4)の2行目、「全国の医療機関の」の後に「全国の医療機関の医療収支の 悪化により良質な医療提供体制の確保が困難になりつつある現状を踏まえ」と いうふうに変更されることを希望します。 ○部会長 また後で事務局にまとめてお答えいただくことにしますので、ほか にご意見。 ○熊坂委員 全国市長会代表委員の宮古市長の熊坂です。前回欠席をいたしま して、申し訳ありません。今回新しく提案されて、修正されたものは、今日私 が言おうとしていたことがかなり盛り込まれ、その点では感謝を申し上げます。 私からは3点申し上げたいと思います。  まず1頁の1番ですが、(1)この基本方針を示すに当たりまして、1番目は いちばん目立つ所でありますし、その中でいま地域医療が崩壊しつつあります。 私ども市長会で集まると、いつもその話になるわけですが、そういったことを 考えますと、この文言だけではちょっと弱いと思います。すべての国民に等し く質の高い医療とか、そういった文言、あるいは均質とか、あるいは均等とい うような文言を付加していただきたい、この1番のところ、地域医療が厳しい ということをもう少し強くやっていただきたいというのが第1点です。  第2点目は、ただいまの豊田委員さんの質問にもからむと思いますが、自治 体病院は非常に大変で火の車です。どこも努力していますが、なかなか難しい。 また、来年度の決算から自治体財政健全化法が適用されますので、病院を抱え ている自治体が、今度は連結赤字収支で、もしかしたら財政再建団体になる所 がかなり出るのではないかという中で、6頁(4)についての話になるわけで す。  1頁の(4)にもからむのですが、医療費の配分について、いますぐに文言 を修正するのは難しいかもしれませんが、病院のほうに手厚くということで、 医師の数からいっても、いまの状況では、診療所に多くいっているのが現状で すから、これは中医協の皆さんにもここを理解いただいて、勤務医を助けるこ とになりますので、病院のほうに手厚くというような形のまとめ方をしていた だければ、私どもは自治体病院を抱えていますので、ありがたく思っています。  それから3点目ですが、7頁、いちばん最後の「終わりに」の所ですが、今 回中医協の委員の見直し、そしてこの医療部会、医療保険部会が新しく立ち上 がったわけですが、その際中医協は医療部会、医療保険部会の決めたことに、 まず従うということが決められたと思います。法律で決められたわけではなく て、そういうことでの発足というふうに聞いています。となれば、この「進め られることを希望する」という言葉はあまりにも弱いと思います。私とすれば、 「改定案の審議を進められたい」ぐらいのかなり強い、そういう文言にしてい ただければ、私どもの部会もやりがいが出るのではないかと思います。以上で す。 ○部会長 ありがとうございました。 ○辻本委員 「納得」ということを加えていただけたことを大変うれしく思い ます。今回訂正の部分ではないのですが、2頁の(1)「患者から見て、分かり やすく」の最初の文章ですが、「患者本位の医療を実現するためには」とあり ます。昨今私も患者の立場でしかないので、こういうことを申し上げるのは少 しためらわれるのですが、この「患者本位」という言葉を少し誤解している向 きの患者さんの声が私たちの電話相談にも届きますし、いろいろな病院にお招 きいただいて、お話をお聞きしても、一部ではあるのですが、かなりそういう 方のお声が強くなっていることで、医療現場の方たちが大変疲弊しているとい う話を頂戴します。  この「本位」という言葉が人心を惑わすというか、むしろ、ここで患者の安 心・納得ということに改めていただく、あるいは厚生省お得意の安全が1つも 入っていないのですが、安全・安心・納得ということが本当の意味で患者が望 むこと、そこには多少の妥協だって、諦めだって必要だということで、納得と いうことを前回強調したわけですが、この「患者本位」という言葉を少し時局 に基づいて考え直していただきたい。むしろ安全・安心・納得というところに 置いていただくことをお願いしたいと思います。 ○西澤委員 まず全体的には、前回議論したことがかなり入っているので、こ れでよろしいのではないかと思います。文言ですが、1頁の1(3)ですが、下 から2行目、「地域の医療に従事する方々が働きがいのある医療現場」、これは ちょっと変えていただきたい。まず、「従事する方々」という言葉は若干違和 感があります。これは「従事者」で十分ではないかと思います。それと「働き がいのある」というところもちょっと変えて、全体といたしましては、「医療 従事者が誇りと達成感を持って働ける医療現場」というふうにしていただける とありがたいと思います。 ○部会長 ほかにございますか。 ○佐伯委員 遅れて申し訳ありません。雑感といいますか、今後のことにも触 れたいと思います。1頁、本当の最初の(1)の3行目の「将来にわたる国民 皆保険制度の堅持が不可欠である」という、ここに私いちばん危惧しています。 というのは、2020〜2030年には労働人口が1千万人減る、このままだと十数 年ぐらいで日本はマイナス成長に入っていって、どんどんますます地方の経済 も破綻していくということが今日の新聞にも明らかに出ていますし、本当にひ たひたと生活の実感として感じています。  いまの30歳の方が30年後60歳のときに、どういう日本であるかというこ とを考えて、この会議は今後も進めなければならないだろうと思います。いま の30歳が安心して子どもを産もうと。その産んだ子どもがまた30歳になった ときに、これからも次の世代を産もうというふうに、自然に考えてもらうため の社会保障というか、私たちはそれをつくっていく、その基盤をいま審議して いるのだと思います。そうしますと、診療報酬というのは医療をした側がどれ だけ受け取るかというところに局限されるわけですが、そもそも医療はこの日 本でどういうことを根本に置いているのか、いま元気な人も全部万が一のとき のために保険という制度があるならば、そこにどれだけのそれぞれの世代から 出しているのかという自覚を持つような、そんな教育ですとか、マスコミのそ ういう働きも必要だろうと思います。  いろいろなところで、国民的な議論が必要だというのは最後の最後にいつも 書かれるわけですが、具体的にそれをどうやっていくかというのが、いまここ にテーブルに着いている、この世代の使命ではないかと思います。30年後に このテーブルにいる、あるいはこの会場にいる人はおそらくこの世にいないか、 あるいは現役を確実に退いているわけで、30年後に対して、私たちの責任を どう取るかということが求められている気がいたします。そうしますと、いろ いろな文言の中で、「国民」と書かれているところがあったり、「患者」と書か れているところがあったりして、ミクロで捉えているところと、本当にマクロ で捉えているところがあると思います。  やはり、今後は社会保障の中の医療ということを考えるのであれば、国民に とって、国民の安心ということがベースであって、地域であれば「住民」とい う文言になると思いますが、それで本当の当事者となれば、「患者」ですが、1 億2,800万のいろいろな立場のすべての人が医療に安心して、すべての人が基 本的人権として、あるいは生存の幸福追求権として、この医療という形がある と実感できる、そんなふうにしていきたいと思いますので、そんな具体的な議 論を今後も進めていただきたいと私は思っています。以上です。 ○中川委員 先ほど、ここの意見が中医協に影響を及ぼすのだというご発言が ありましたので、あえて発言させていただきますが、2頁の【緊急課題】イの 「診療所における夜間開業の評価の在り方や」という表現があります。これは 当然ですが、高齢者とか、農村、漁村だとか、そういう所は昼間は診療所を閉 めていて、夜やるというのは、非常に困ると思いますし、逆にそうではない、 仕事が終わってから通院という需要がある所はやはり夜間の開業が多いとい うことかと私は思います。そうなると、やはりトータルの開業している時間が どうなのかということや、もう1つは、もし夜間開業の評価をして加算をする と、患者負担も増えるわけです。そのことをどう考えるかということも含めて、 この表現だったというふうに理解したいと思いますが、そういうことでよろし いですか。 ○部会長 いままでの質問等について、事務局のお考えを医療課長からお願い できますか。 ○医療課長 たくさん意見をいただきまして、ありがとうございます。文言調 整のところは、最終的には、また座長ともご相談したいと思いますが、文意と して、少し変えなければいけない部分を中心にお答えをしたいと思います。ま ず豊田委員から出ました、「収支状況が悪化して」というところですが、この 部分については、ここでは悪くなった所もよくなった所も含めまして、収支状 況等を踏まえつつ、フラットに書いてあります。これは、やはり実際面として、 収支状況がどうかということについて、全部が悪化したかどうかについては、 たぶん異論もありましょうし、医療保険部会ではもっと議論になるのではない かと思います。そういう意味では、もちろん、悪化しているという認識は持っ ていますが、表現としてはそれも含めて、「状況を踏まえつつ」という形で書 かせていただきたいと思います。  それから、熊坂委員からいただきました中で、「医療費の配分を病院に手厚 く」というところですが、ここは病院が非常に大変であると。特に働いている 方々が大変である、という所は今回4つの視点を超えて、【緊急課題】として、 勤務医に対する状況ということで、負担軽減のための施策を出しているわけな ので、その辺りを含んでいただきたいと思います。  最後しめくくりの文章の「希望する」というところですが、実はこれは平成 18年度改定に向けての基本方針のくくりも中医協に対して「希望する」とい う形になっていたので、そのまま今回も「希望する」という形にさせていただ きました。中医協に従うということは、ちょっときついかなと思います。しか し、この基本方針を基に中医協で具体的な点数について議論するということに はなっていますが、決して上下関係というような形ではないので、ここでは「希 望する」という形で結んでいただければと思います。  辻本委員から出た「患者本位」の文言につきましては、また座長ともご相談 させていただきたいと思います。佐伯委員からご発言がありましたが、ご意見 として今後どうしていくかということで、それはまたこの医療部会でいろいろ と検討していただきます。中川委員から出ました、先ほどの「夜間開業」の部 分をどう考えるか、これは先ほど言いましたように毎朝だけでなく、毎夜間開 業をするということ、それから専ら夜間だけやればいいのかというと、決して そうではありませんので、当然そういうことも含めて、「夜間開業の在り方」 という形に書いてありますが、それは中川委員のおっしゃったことも含んで、 また中医協でも議論していただきたいと思います。 ○部会長 はい、ありがとうございました。 ○佐伯委員 いまの医療課長のお答えで、私の申しましたことが、また医療部 会でとおっしゃいましたが、前回のときに中医協の中に是非出産する世代の当 事者の、そのぐらい幅広い若い人たち、あるいは女性をもっと委員として入れ たらどうですかというようなことを申し上げましたが、それについてはいかが でしょうか。 ○医療課長 現在中医協の構成は法律で決められていて、その中で1号側、い わゆる支払側が7名、2号側、いわゆる診療側が7名、それから公益委員が6 名という構成になっています。現在支払側の7名の中に患者さんの立場を代表 する、あるいは被保険者の立場を代表するという形で患者さんの代表として委 員も入っていただいています。そういう制約された中で、網羅的にいろいろな 方を全部入れるという形には、ちょっとできないと思っています。そういう意 味で、委員の改選のときに、そういう視点をもって検討を進めていきたいと思 います。 ○佐伯委員 支払側というのは、やはりおかしいわけですね。いま、いちばん 経済的な理由で未受診であるという方、それからワーキングプアという方は国 民健康保険の方が非常に多いわけです。そういう方は支払側のところには、ど うやっても潜り込めもしないわけでして、やはりすべての人ということで考え るのであれば、どういう保険の種別であろうと、この国の医療を受けるという 立場で、公益委員という概念をもう少し幅広く捉えていただいて、本当の当事 者、ステークホルダーがきちんと入る形で、中医協ということを構成していた だきたいと、これは切に願っています。お願いします。 ○中川委員 3頁なのですが、(生活を重視した医療)のところで、「例えば、 生活習慣病に罹患した勤労者、自営業者等が無理なく」とあります。例えば、 これは昼間働く人は夜暇とか、逆もあるわけで、職種を限定するべきではない と思います。例を挙げると、生活習慣病に罹患し、働きながら通院する場合で も、無理なく継続して、という表現にしたほうがいいのではないかと思います。  それと、3頁の下から3行目、文言の問題で恐縮ですが、「安心・納得して」 というのが、この際何回か出てくるのですが、「納得し安心して」」ではないで しょうか。納得し安心するというほうがわかりやすいという気がいたします。  その次に4頁ですが、アのところの「DPCの支払対象病院の在り方や拡大等 について、引き続き検討するべきである」というところで、DPCのことに関し ては、前回の医療部会でいろいろ議論になったのは承知しています。「支払対 象病院の在り方等について、引き続き検討するべきである」という表現のほう が拡大等も在り方等に含まれるというふうに私は思うのですが、この辺はいか がでしょうか。以上です。 ○部会長 では、又お答えいただけますか。 ○医療課長 まず1点目ですが、ここは例えばということで、そういう文言を 入れていますので、先ほど中川委員からお話のあった形でいいのかどうか、そ れは文言として検討させていただきたいと思います。それから、安心・納得に ついても語感の問題等がありますので、これもまたもう少し検討した上で、座 長とご相談したいと思います。「DPC」のところにつきましては、前回もちろん 元々対象病院の拡大等についてということで一方的に拡大するような方向に 読めるということで、中川委員からご異論が出たと、それに対して、やはり基 本的には拡大基調ではないかというご意見もありましたので、それならという ことで、「在り方そのものについて」ということと、それから、やはり拡大と いう方向と、両方を検討していきたいと。やはり拡大という文言をここで消し てしまいますと、拡大する方向ということのご意見が表れないので、ここは並 列的にこう書いておきたいと考えます。 ○古橋委員 今回この基本方針が診療報酬を決めていくための、ある意味でプ ログラムテキストとして様々に網羅されていることが私としても納得できる ところです。格段に違う意見を言うものではありませんが、辻本委員のおっし ゃいました「患者本位」という言葉は、確かに的確なご指摘と思っていまして、 私も安全・安心・納得という言葉に置き換えられることが国民が患者本位とい う言葉をやや曲解されておられるということを徐々に医療現場で感じていま すので、文言修正は私もしていただければと思っております。  もう1つは、2頁ですが、(診療所・病院の役割負担等)です。ただいま中 川委員からご意見もありましたが、私は平成20年から動き出します医療計画 というものがこの診療報酬と並行して適切に動いていくことが非常に重要で、 機能分担、地域連携ということが動くわけです。そういう中で、国民の診療所 への期待というのは、やはり大きいものがあるはずですし、役割も大いに期待 をされるところです。そういう点からいきますと、「診療所における夜間開業 時間の評価の在り方や」というような言葉につきましては、やや玉虫色になっ ていまして、国民からしても、もちろん診療所の先生の業務の過重性というこ とはあるのですが、夜間開業ということへの期待は大きいだろうと思います。 そういう点からは、診療所における夜間開業を評価することや、続いて、「大 病院が入院医療の比重を高めていくことを評価することについて、検討するべ きである」という言い方のほうが国民にもわかりやすいし、是非とも診療所が 応分に機能分担していく中で、夜間の診療体制について、どのようにご参画な されるのか、そういうことが重要だろうと思っています。  そういう点からは、「在り方の検討」ではなくて、「そこを評価していくこと の検討」ということのほうがよろしいのではないかと思います。十分診療所の 先生の業務負担ということも検討しながら、でも是非とも夜間医療にご参画い ただくという方向が謳われていくことも大事ではないかという気がいたしま す。 ○部会長 いまのことに関して。 ○竹嶋委員 冒頭前回20項目ぐらいたくさんのご意見をいただきまして、本 当に感謝申し上げます。いま古橋委員からご発言がありましたが、夜間開業と か、延長というのは初めて、このようなことが実際にこういう場で上がってま いりました。これは診療所、いま8万数施設ありますが、これは地域性がありま す。そういう中で、それぞれ、私どもいまから、古橋委員が言われた期待に沿 って、やっていくというときに、いま取りかかったままですので、これをまさ にどういう在り方を、地域でやっていくかということをまずは私どもとしては、 検証させていただきたい。  それから、先ほどどなたかがおっしゃった部分、病院勤務医の方が大変過重 労働で、これは中医協の場でも、皆さんで確認したところでして、そういうき ちっとした仕分けというのは考えています。診療所に関しましては、まず私ど もはその在り方ということから始めたいと思います。それが永続するという形 に持っていきたいと思いますので、その辺りをご理解願いたいと思います。 ○中川委員 いまのところで、確認させていただきたいのですが、「診療所に おける夜間開業の評価の在り方」というところですが、診療所にとって初診・ 再診料というのはかけがえのない技術料で、これは患者さんをしっかり継続的 に診ていくためには、本当に大事なものなのですが、この夜間の評価のところ で、すでに昼間の初診・再診料を少し見直して、薄くして、夜間に持っていく という議論があったと思いますが、ここの文面に関してはそういう議論とは全 く関係がないということも聞いていますが、その辺を、医療課長、確認させて いただきたいのですが。 ○医療課長 この古橋委員のご意見もありますが、そこからお答えしたいと思 いますが、「病院勤務医の負担軽減や診療所と病院との機能分担と相互連携」、 ここは明確に書いていまして、ただ後の評価をどうするかという部分につきま して、実はこの文書全体、評価の部分については、「評価の在り方について検 討」という形で統一をしています。これはほとんどがどんど評価をしていくと いうことですが、そのためには当然ながら財源がありますので、そこは財源の 多寡にもよりますので、フラットな形で「評価の在り方」ということで文言を 統一させていただきたいと思います。  いま中川委員からおっしゃられたところ、まさしく前々回になりますが、お 示しをしたときには、診療所における初・再診料の体系全体を動かして夜間に ということを考えていましたので、その部分においては初・再診料も文言とし てそのときは入っていました。ただ、それ以降いろいろとご意見を伺う中で、 その初・再診料全体ではなく、病院勤務医の負担軽減につながる夜間のところ だけに着目して、その部分の評価を考えていこうと、いま現在は考えています。 したがいまして、午前や午後の昼間における初・再診料について、これと関連 して点数を動かすという予定はいまのところ考えていません。 ○部会長 ありがとうございました。 ○尾形委員 前回欠席しましたので見当はずれかもしれませんが、1点は質問、 1点は意見を申し上げます。  4頁のイの(質の評価手法の検討)ですが、3行ほどかなり重要なことが書 かれていると思います。「提供側が具備すべき要件を従来から設けてきた」、言 ってみれば、ストラクチャーあるいはプロセスの評価を中心にしてきたという ことだろうと思うのですが、それを「提供された医療の結果により質を評価す る」ということで、アウトカム評価的なものを考えていく方向が出ているよう に思います。方向としては、大変結構だと思いますし、納得できるものだと思 いますが、一方で、アウトカム評価を実際に行うことになると、いろいろな難 しい問題があると思います。現時点で結構なのですが、具体的にどのようなこ とを考えておられるのかということをお伺いしたいと思います。  意見ですが、エの(在宅医療の推進)のところです。これも結構だと思いま すが、ただ、在宅医療の実態をみると、医療サービスだけではなく介護サービ スとの連携も非常に重要ですし、それなしには成り立たないと思います。ここ には「医療関係者間の連携」と書いてありますが、介護の関係も少し配慮した ものにしたらどうかと思います。例えば、「医療介護関係者間の連携」といっ た文言にする等何か配慮したらどうかという意見です。以上です。 ○部会長 ありがとうございます。これは、すぐに答えていただいたほうがい いですね。 ○医療課長 まず、1点目の質の評価手法は、まさしくアウトカム評価をしよ うとする試みです。これについては、前回も質問が出ましたのでお答えしたの ですが、いま考えていることは、回復期リハビリテーション病棟における入院 時の状態から退院時の状態がどれだけ良くなったかを、どのように考えていく のかということを中心に評価をしていきたいと考えています。具体的には、中 医協でこの項目について検討していただきたいと思いますが、全体としてはそ のようなことです。  在宅医療の部分については、ここの最終のところに、後期高齢者医療につい て示しましたが、特別部会を作り診療報酬体系について骨子を作っていただき ます。その中で、在宅医療について非常に詳しく書いていますので、その部分 を考えています。当然、介護との連携も重要なファクターとして入っておりま す。ここでは医療保険部会ということでしたので、どちらかというと医療との 連携の部分を中心に書かせていただきました。介護との連携も当然必要となり ますので、その辺の文言調整はさせていただきたいと思います。 ○部会長 島村委員、お願いいたします。 ○島村委員 1つは要望、1つは気になっている点を申し上げます。  見え隠れ資料の6頁の冒頭のカの(オンライン化・IT化の促進)ですが、 私たち保険者としては、平成23年度からのレセプトオンライン化に大いに期 待をしています。しかし、現行のレセプト様式のままオンライン化しても、保 険者のメリットは限定的になってしまいます。レセプト様式そのものを見直す ことによって、審査支払いの円滑化、疾病動向や医療費の分析に基づく患者へ の情報提供等が可能になると思います。いま申し上げた観点から、前回の3委 員の連名の意見書でも申し上げましたが、診療報酬の評価の在り方に加えて、 レセプト様式等についての見直しに向けての検討をお願いしたいと思います。  もう1点、気になっている点ですが、前回のこの医療部会でも医療崩壊とい う言葉がよく使われました。我々保険者としても、その辺は、ある部分、承知 しているつもりではあります。ただし、それは産科、小児科の崩壊であるとは 聞いていますが、診療所の医療が崩壊していることについてはあまり聞いては いませんし、私自身もあまり感じていません。勤務医、病院の負担軽減のため、 また、産科、小児科医療を救うために、診療報酬を手厚くすることについては、 国民のニーズが高い分野でもあり、保険者として理解できるし、そのようにす べきだと思っています。ただし、診療報酬を手厚くする前に、病院と診療所の 間の資源配分を見直すことではないかと考えています。これまでも何度か申し 上げましたが、保険財源は限られており、国民の負担感も高いという現状から すれば、診療報酬を全体的に底上げすることが考えられないと思います。医療 を提供されている委員の皆様にも、その点をよく考慮いただきたいとお願いを 申し上げたいと思います。以上、2点です。 ○部会長 それでは、前のレセプト問題に関してはいかがでしょうか。 ○保険局保険医療企画調査室長 ただいま、レセプト様式等のお話をいただき ました。私どもが健保連からいただいているいくつかの要望の中でも、レセプ トに限らず、例えば、ITカードの検討を進めていたり、あるいは、コード化 について医療サービスの質の向上等のためのレセプト情報の活用に関する検 討会なども含めて鋭意やっています。レセプト様式の変更は単純に欄を設ける だけですぐに対応できるものではない点もありますが、いただいた意見を踏ま えて私どものできることからやっていく姿勢で臨みたいと思っています。 ○部会長 よろしいでしょうか。あとは、ご要望として伺っておくということ ですね。 ○中川委員 いまのご発言に対して、あえて発言させていただきます。診療所 が困っていることはないとのご発言だったと思うのですが、我々中医協の場で もデータを出して主張していますが、TKC全国会の医療系資料は、定点調査で 1年間の決算データで、TKCの加盟している会計事務所が毎月月次指導するし っかりしたデータを分析した結果です。損益分岐点が診療所でも94%を超え ているのですよ。これが、診療所は安心だ、楽だということではけっしてない のです。もちろん、病院は、国公立を除いた民間では95%を超えています。 このことは、しっかりと認識をして考えていただきたいと思います。 ○竹嶋委員 いまの委員にお話したいのですが、実は、私どもは2007年11 月19日に日本医師会の見解をまとめております。中川委員が言われましたこと は、資料として中医協にも出していますので、ご覧になっていただければと思 います。 ○佐伯委員 先ほど来、中川委員がおっしゃっていることには異和感を覚える のですが、7頁の最後に、「国民・患者の医療ニーズに即した具体的な診療報 酬の改訂案を」ということで、やはり真ん中にあるというか、やろうとしてい ることは国民・患者の医療ニーズですよね。だから、そこが崩壊しているか崩 壊していないかということを、まず中心にみるべきであり、診療所などが健康 的な経営ができるかどうかということは二の次で、むしろ、考えなければなら ないことは、規模として歳出として、まず国があって、それは国民の合意によ る基本方針があり、その次に地方自治体、例えば県の医療計画であり、そこの 中のきめ細かいのが熊坂委員がやっていらっしゃる市のところです。そこの市 に国民健康保険で保険料を納めている人はそこで住民税を納めたりするわけ ですが、そこがきちんと住民の立場として本当に納得して安心できることが確 保できるためには、かなり強力な連携をしていただく必要があるだろうと思い ます。それで先ほどの3頁の一番下のところに医療計画見直しの文言は、とり あえずは入りました。その次に続いている4頁のところ、つまり、結局、医療 計画の見直しがあってアというのが、県の単位であって、その次のイが質の評 価手法、これは個々の医療機関の質の評価だろうと思うのですが、このあたり から少しパブリックという視点が抜けていくのかなという気がするのです。単 体としての医療機関、診療所であるか病院であるかは別として、そこがどのよ うにしているかということに話がそれるというのは変なのですが、全体として その土地の安心感をどれだけ確保できているのかという評価が抜けていくよ うな気がします。是非、医療計画のところに、その土地の人がきちんと入って、 自分たちのニーズが満たされていることが、実践の場でも、あるいは評価の場 でもできるような仕組を考えていただきたいと希望します。 ○熊坂委員 いまの佐伯委員の考え方に賛成です。この場の議論は、私は開業 医でもありますが、また自治体の病院の開設者でもありますし、勤務医の経験 もありますが、病院と開業医の戦いをやっているわけではもちろんないわけで、 いかに安全安心な医療を提供するかということに医療部会は重点を置いて議 論すべきだと思います。その意味で、最近の話はまったくもっともだと思って おりまして、先ほど私が、最初に等しくとか安全などと一番目に謳っていただ きたいと言ったのは、そのような観点からです。そうなると、例えば、今回中 医協にお話を申し上げるにあたって(2)平成18年度診療報酬改定の基本方針 を基本的に継承すべきということですが、この別紙の8頁を見ると、「国民の 安心や制度の持続可能性を確保するといった視点、観点から見直しを行い」次 に、「経済・財政とも均衡がとれたものとする」ということは、かなり矛盾し てくるのではないかと思っております。医療費が増えるということは、医学あ るいは医療技術の進歩ということはわかっているわけで、それはまた国民のニ ーズでもあるわけですから、この文言について、私はむしろ「国民の安心や制 度の持続可能性を確保する」といったほうを強調して、もちろん経済財政が成 り立たなければ国民皆保険制度も成り立たないことはわかりますが、どうもこ こで引っかかってしまって、先ほどのゼロサムゲームみたいな話になってしま うのかなということを感じましたのでお話し申し上げました。 ○部会長 ありがとうございました。鮫島委員、どうぞ。 ○鮫島委員 1番の(4)のところですが、かなり文章を直しているので私も 随分いいと思うのですが、「全国の医療機関の収支状況を踏まえつつ、それか ら厳しい現状を十分に認識した上で行う必要がある」となっていますが、これ は何を行うということですが。文章としてもあまり良い文章ではないような気 がするので、ここのところに、先ほど豊田委員も発言されたように、厳しい現 状を十分に認識した上で、例えば、いま話に出たような「安心・安全な医療の 確保に配慮する」というような文言にしたらいかがなものかというのが1つで す。  それから、少し細かいことになるかもしれませんが、5頁で、(自殺対策・ 子どもの心の対策)は、私どもは非常に評価をしているわけですが、この中で、 確認、質問を申し上げたいことは、「内科等で身体症状を訴える患者で、うつ 病等の可能性がある場合に精神科医療と連携する取組」と書いてありますが、 これは、連携する取組ですから、たぶん、内科医から精神科医に紹介する場合 と、精神科医から内科医にそれに対する診療情報提供などのいろいろな形での 連携、双方の連携で評価すると理解していいのかということです。  もう1つは、下の子どもの心の問題なのですが、これは1回1回の診察にも かなりの時間がかかるということだけではなく、治療にかなり長期間かかると いうことなのですね。そのような意味で長時間や長期間にわたることを評価す るという意味で理解していいのかという質問をします。 ○部会長 お答えになりますか。「行う」ということは、診療報酬を変えて行 うということだと思います、そのように読みにくければ、どうでしょうか。 ○医療課長 この文書は、一番初めの平成20年の診療報酬改定においてはと いうことから始まりますので、この行うのは診療報酬改定を行うという意味で、 そこを若干変えるというご意見ですが、これはある意味で文言的なところなの で、座長と相談したいと思います。  5頁の(自殺対策・子どもの心)ですが、ここの2行目の「精神科医療と連 携する」というのは、具体的には主として身体症状を訴える患者の中にもやは り気分障害の方もおられるということです。その場合に、すみやかに専門的な 診療を受ける必要があるだろうということで、ここでは、内科から精神科への 連携を念頭に置いています。ただ、いまの鮫島委員のご意見等もありましたが、 その辺りは中医協でまた議論をしていきたいと思います。  それから、心の問題は、まさしく、いまおっしゃられたとおりでございます。 ○中川委員 4ページの(在宅医療の推進)ですが、私どもは後期高齢者を例 に挙げて、2006年度に後期高齢者の33%が75歳以上の単独世帯か労働世帯な のです。後期高齢者イコール在宅医療という限定された議論は危険だという話 を申し上げてきました。この最後に、「在宅医療は更に推進されるような評価 の在り方」という表現があるので、ちょっと細かいことで恐縮ですが、更に推 進の「更に」という表現はいらないと思うのですが、いかがでしょうか。 ○医療課長 よろしいでしょうか。ここは、実は、日本医師会が在宅医療を進 めるという方針を出しておられることも配慮して、更にを付けました。いまは、 ある程度、まだ進んでいませんので、環境は当然のことながら整えつつという ことですが、今後進めていくことは非常に重要だという認識をもっております し、医師会でもそのような方針を出されているので、私はそれでいいのではな いかと思っています。 ○中川委員 日本医師会も、在宅医療はもちろん進めていますが、在宅に限定 した議論は危険だということは、同時に、常に申し上げているということを、 まずご理解いただきたいと思います。  もう1つ、先ほどの熊坂委員のご意見にお答えしなければならないと思うの ですが、医療機関の収支状況や経営の議論をすることは、次元がいかにも低い ようなご発言に聞こえるとちょっと困るのですが、質の高い医療、安全性の高 い医療を提供することの大前提には、医療機関の健全経営はこれも本当に必須 の条件です。なにも左うちわの医療機関の経営などということは、誰も思って いません。いま、明日の経営も不安な医療機関がいい医療を提供することは、 なかなか難しいことは現場にいると本当にわかります。そのことから、最低限 の安定した経営という意味でこのようなことを我々は主張していることを、是 非、ご理解いただきたいと思います。 ○部会長 ほかにございますか。古橋委員、どうぞ。 ○古橋委員 ただいまの在宅医療の件ですが、私も現行の在宅医療の量では、 これから日本が陥っていく状況ではやはり不足があると思います。それで、「更 に」ということは大変重要な二文字だと思います。ここの部会では、我々が大 変だからやれる、やれないではなくて、いくつか議論が出ていますが、この国 の社会保障の医療として、この先2年間、何が重要であるかということをきち っとそこの軸足を中心に、見識ある意見を交わし合うことが非常に重要だろう と思っております。もちろん、医療提供者の疲弊や経営の問題などはあります が、やはり社会保障としての医療の在り方で、現実に大事なのは何であるのか という軸をぶれさせないことが非常に重要であろうと思っております。在宅医 療は、全部そっちに追いやることはとてもできませんし、そうではなくて、こ れからの高齢社会を迎えて多死時代を迎える中で何が重要か、その視点を軸に すれば、更に進むということは非常に重要だろうと思います。 ○部会長 中川委員の更にというのは、要するに、量的なことだけではなく、 質的な在り方も含めてというように解釈していただければという感じがしま す。 ○竹嶋委員 私は医師会の立場からですが、在宅医療を進めるということはほ かの場所でも言っています。いま古橋委員がおっしゃったように、医療関係者 が疲弊するなどという問題ではありません。私はこの「更に」の後に環境の整 備といったものを含めながら推進するというように我々としてはもっていって おりますので、その辺は一応発言をさせていただきます。 ○杉町委員 今回見せていただき、前回に比べて随分短時間のうちに、多くの 委員のご意見がよく集約されて大変いいものができていると、本当にうれしく 思っています。ただ、最後のところですが、7頁の「終わりに」というところ が、非常に結論というか、サマリーとして非常に大事なところですが、これで いいのかもしれませんが、やはり我が国では国民皆保険制度という世界に誇れ る制度があります。これは、ややもすると時々危うくなるのではないかという ことも耳にするものですから、最後のところで中医協云々の2行目ですが、国 民・患者の医療のニーズ等、国民皆保険制度の堅持を重視したと、この「国民 皆保険制度」というのをどこかにちょっと入れていただいたらまた良くなるの ではなかろうかと思います。そのようなことを感じました。以上です。 ○部会長 本文の前のほうには入ってはおります。 ○杉町委員 ええ、入っているんですけど。 ○部会長 堤委員、どうぞ。 ○堤委員 最終報告案を見させていただきまして、この、国民の納得などいろ いろな文言を入れていただきありがとうございます。先ほどの6頁で、経済財 政と均衡のとれたものにするといった観点を踏まえつつということについて トーンダウンをすべきとのお話もありましたが、是非ともここの部分は残して いただきたいと思います。30年後の社会保障や医療が本当に持続可能性があ るかどうかという話は、けっして医療だけの話で成り立つものではありません。 例えば、先ほど佐伯委員がおっしゃったようなマイナスの経済成長がこれから も続くとしたら、これは、まさしく経済の崩壊であり、成長の分配である社会 保障への分配もまた難しくなってきます。やはり、これからも成長していく中 での負担であると思います。先ほど、自治体経営の話があったと思いますが、 自治体経営をやっていればよくわかると思うのですが、そこで産業があり、そ こに労働者がいて所得を生むということがないと、その地域の地方自治体の経 営も税収が上がってこないことになる。従って、社会保障も経済・財政との整 合性は常に取るべきものだろうと思います。そのようなことで、この部分は、 是非、残すべきだと思います。以上です。 ○熊坂委員 いまの堤委員のお話に反論するようですが、確かにそのとおりか もしれませんが、経済で生み出した果実というものは安心・安全のために使う べきものであります。例えば、宮古市でもそうなのですが、医師不足、医療崩 壊が深刻ですが、GDPが2番の国が、医師の数が世界で63番であります。で すから、お金の使い方が問題だと思います。当然、経済の安定がなければ社会 保障ができないことはわかるのですが、このようなことを追及すると、先ほど 私が申し上げた中医協の持続可能ということと経済財政との整合性は矛盾を 生じることになります。それは、難しい話になりますが、このようなことは、 医療部会できちんと議論すべき点であり、先ほど皆さんがお話されたようなこ とを私も言いたいと思い発言いたしました。 ○部会長 ありがとうございます。西澤委員、お願いします。 ○西澤委員 いまのこの経済財政との均衡はとれたという文章は入っていて もかまわないのですが、いまの堤委員の説明の中で、どうも医料というものは 全部経済の枠の中で行うものだと聞えたのですが、そうではないと思います。 国民が望んでいるものは、何なのかという議論をもう一度この部会でもしてい ただければと思います。それから、いま医療崩壊という言葉がなぜ言われてい るのか、あまりにも経済財政の視点が強く、その中で抑制されてきた結果が医 療崩壊だということを、我々医療界だけではなく経済界の方々や国民の皆さん にも知っていただく必要があるのではないかと思います。 ○部会長 ほかにいかがでしょうか。前回、激しく発言されて、今回黙ってお られる方もございますが、大体、安心・納得されたのでしょうか。村上委員、 よろしいのですか。 ○佐伯委員 先ほどの中医協のメンバー構成について質問します。中医協がす べての医療の在り方を決定してしまうことをずっと引きずっているわけで。今 回も、されたいではなく、希望するに留めておきたいところも、そこをすごく 感じ取れるわけなのです。本当に中医協が医療を決めていることを1憶2千 800万の国民がみんな納得し安心しているのでしょうか。そのことを私はお聞 きしたいのです。 ○竹嶋委員 いまのお話は、厚労省に向けてのことかもしれませんが、いま私 は中医協におり、先ほど坂本さんだと思いますが、中医協にも強く言うべきだ と発言をされたときも私は発言を控えたのですが、中医協は毎週2回やってい ます。ただ、残念なことに私は前回のこの会で、あとは会長預かりでよいのか と発言したのは、この部会の回数が3回ぐらいでまとめに入っていいのかとと いう意味で発言をしました。それは、いまのようなお話があるとすれば、この 部会は、1カ月に1回の規模でやることも必要だと思います。中医協は、残念だ けれども政策や施策は論じることはできません。このようなところで決まった ことを受けて点数や比重を配分をしていくところですから、ここは根本的にご 理解いただいておかないと、中医協は何も決めるものではないという不満を私 どもも持っています。 ○部会長 ありがとうございます。本日もいろいろなご議論、ご意見を頂戴し ましたが、それを踏まえてもう一度、最終的に文言の訂正も含めて最終案をま とめさせていただきたいと思います。それについては、事務局と部会長に任せ ていただきたいのですが、よろしいでしょうか。 (異議なし) ○部会長 最後になりますが、私の感想を述べさせていただきます。私は、前 回平成18年度の改正もやらせていただきました、そのときは、今日のような 中医協の問題はなかったように思います。これだけいろいろな注文が中医協に 対してこの部会から出ると、むしろ、医療部会の本来は、医療提供体制の在り 方を検討するというのが任務であったと思うのです。今回、活発なご議論をい ただいて大変素晴らしいことだと思いますが、逆に、いままで、このようなこ となしに中医協がやっていたことになりますと非常に問題であったのではな いかという感想をもちました。  あとは個別的なことですが、夜間診療などは、初めて出てきたことだと思い ますが、私は小児科なものですから、病院の夜間の救急は小児科は、すざまし いものがあります。それが大変なので、小児科医は辞めていくのですが、もし 診療所が、小児科の先生も大変だとは思うのですが、夜間に診療所で受けると ころが少しでも出てくれば、随分緩和するのではないかと思いました。これは、 医師会の先生方に、是非、お願いしたいと思います。  最後に、医政局長から一言お願いします。 ○医政局長 本日は平成20年度の診療報酬改定の基本方針について、概ねま とめていただいたと思います。大変ありがとうございました。  1の基本的考え方にも記載しているように、誰もが安心・納得して地域で必 要な医療を受けられることは、大変重要であり必要であります。ただ、一方で 地域をめぐる厳しい現状もあります。このような中で、地域医療を確保し、将 来のさらなる高齢化に備えていくための医療提供体制を構築することのため に、いま医療制度改革も進んでいるところです。また、診療報酬改定も、医療 提供について影響する大変大きな要素であり、医療提供体制を支える仕組でも あると思います。今回、さまざまな現場に則したご意見、また将来を踏まえた 大所高所に立ったご意見をいただきご議論いただき、いま何をすべきか、何を 重点に置くべきかについて的確な方針をまとめていただいたと思います。この 後、中医協で具体的な議論が進んでいくことになりますが、この基本方針を十 分踏まえていただけるよう、医療提供体制を担当する立場からもよくフォロー していきたいと思います。本日は誠にありがとうございました。 ○部会長 どうもありがとうございました。  今日は、大変活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。先 ほど申し上げましたように、もう一度最終案をまとめさせていただきたいと思 います。場合によっては、各委員に問い合わせが行くかもしれませんが、その ときはよろしくお願いいたします。本日は、これで閉会いたします。 照会先 医政局総務課 高島、柳田 連絡先:03−5253−1111(内線2519)