07/11/29 第107回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第107回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給青銅部会 1 日時  平成19年11月29日(木)9:30〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室(13階) 3 出席者    委員  公益委員 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        田中派遣・請負労働企画官、松原需給調整事業課長補佐、        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)その他             ○清家部会長  ただいまから「第107回労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、最初に公 開で「労働力需給制度について」をご審議いただきます。またその後、一般労働者派遣 事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮問に係る審議を 行いますが、許可の諮問につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を 取扱いますことから、これについては、「公開することにより、特定の者に不当な利益 を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開とさせていただ きますので、傍聴されている方には、始まる前に退席をお願いすることになることを、 予めご了承ください。  それでは議事に入ります。最初の議題は、「労働力需給制度について」です。まず、 事務局からこれまで労働者側代表の委員、使用者側代表の委員、公益代表の委員それぞ れから出された意見について、とりまとめていただいておりますので、事務局から説明 をお願いいたします。 ○松原補佐  おはようございます。資料の確認からお願いしたいと思います。配布資料ですが、資 料No.1「労働者派遣制度に関する検討課題に係る労働力需給制度部会における公労使意 見について」5頁ものです。参考として「労働者派遣制度に関する検討課題」2枚組が1 点ございます。皆さん、お手元にございますでしょうか。  ます、資料No.1に基づきまして、ご説明させていただきます。前回の部会において、 部会長より事務局のほうに労使の意見を中心にとりまとめてほしいという指示がござい まして、その後、労使のほうからメール、文書等によりまして、新たに加えられた意見 もまとめた形で、今回とりまとめさせていただいております。  それでは、基本的に読上げの形で、ご説明に代えさせていただきます。  「I派遣労働者の雇用の安定」の部分です。「(1)登録型の派遣労働」、これにつき ましては、労働者側代表委員のほうからは、「登録型は雇用の不安定さ、処遇の低さ、 日雇派遣の温床となる等問題が多い。原則として禁止する等、抜本的に見直すべき。少 なくとも、当面は専門26業務のみに絞るなど、非26業務は禁止する方向で検討すべき。」 「登録型は、細切れ雇用が問題。雇用契約期間を派遣契約期間に合わせることを義務化 すべき。」登録型・非26業務をどうしていくのかという議論が必要。」というご意見が ございました。これに対しまして使用者側代表委員からは、「登録型については、業務 や職務の内容により、一時的な対応要員としての活用を求める企業側の声は強い。また、 登録という形で広く門戸が開かれ、自由に働く機会が与えられる登録型を希望する労働 者側の一定のニーズもある。登録型を多様な働き方の1つとして尊重すべき。」「登録型 について、短期契約でも反復更新が常態化し、長期で雇用継続されているケースも多々 ある。制度・手続の煩雑さが契約の細切れを助長している面も考えられるため、一律に 規制することの議論ばかりでなく、派遣労働者の雇用の安定については雇用対策全体で 考えるべき。その上で結果としてなるべく雇用が長期安定する仕組みを考えるべき。」 「26業務は派遣受入期間の制限がなく、実質的に雇用の安定が図られており、また、今 後も派遣労働者としての就労を望む者が多い。非26業務については、実態の問題点を整 理をすることが必要。」というご意見がございました。  次に「(2)日々雇用の派遣労働」です。労働者側代表委員からは、5点の意見がござ いました。「日々雇用は直用が原則と考える。」「派遣法の趣旨に照らして、日々雇用 の派遣というものが本当にありうるのか。派遣なのか、職業紹介なのか検討が必要。」 「日雇派遣での問題は、派遣法上の問題と労働基準法上の問題の整理が必要。」「派遣 法施行規則で電子メール等による就業条件明示を認めたことが日雇派遣の拡大につなが ったのではないか。就業条件明示について、見直しを含めた検討が必要。」「日雇派遣 の場合、派遣元による教育訓練は行われておらず、単なる労務供給となっているのでは ないか。」という5点のご意見がございました。これに対しまして、使用者側、これも 同じく5点ございます。「日々派遣でも適正に運営され、有効に機能している業務もあ ることから、日々派遣というだけで全面禁止という考え方は不合理。」「日々派遣につ いては、従来の日々雇用の問題と区別して整理し、何が問題なのかの整理が必要。その 上で、問題となっていることをしっかり見極めて規律の強化等について議論することは 反対ではない。職種・業務内容によって整理するのか、雇用契約の内容によって整理す るのかは十分な議論が必要。」「日雇派遣の教育訓練については、一律に訓練といって も仕事内容によって全く異なる話になる。」「日雇派遣は、派遣先の要請に応じて迅速 かつ円滑に一定量の労働力を提供できるところにメリットがある。また、日雇派遣の場 合、例えば、イベント関連業務のような超短期かつ身体を使うような仕事もある。この 場合の「教育訓練」とは、どのようなものを指すのか明確にすべき。」「日雇派遣につ いては、労働者の状況や職種等、様々に異なる実態を把握するべきである。」  公益代表の意見も2点ございまして、「日々雇用の派遣に固有の問題は何か、整理が 必要。」「日本の派遣法制度は、派遣元が派遣労働者の雇用の不安定を安定化させる義 務があるわけではないが、とりわけ日雇派遣については、派遣元の雇用主としての雇用 の安定に対する責任というものをどう捉えるかが1つの大きな論点である。」というご 意見でした。  次に2頁です。「(3)常用雇用型の派遣労働」です。まず、労働者側の意見です。「 常用雇用型であっても雇用期間の定めのあるものもあり、雇用契約申込義務が不要とは 言えない。」使用者側ですが、2点ございまして、「常用雇用型は、派遣元において雇用 の安定が図られているため、雇用契約申込義務などの諸規制は撤廃すべき。」「派遣元 が常用雇用した上で教育・訓練を施した派遣労働者を派遣先が登用することは、派遣元 にとって人材流出につながるおそれがある。」というご意見です。  次に「(4)派遣受入期間・派遣労働者への雇用申込義務」についてのご意見です。ま ず、労働者側代表意見です。「派遣は臨時的・一時的な需給調整制度であるという原則 から、派遣可能期間の上限は延長するべきではなく、活用事由を限定することも検討す べき。」「雇用申込義務は必要。」「常用雇用型であっても雇用期間の定めのあるもの もあり、雇用契約申込義務が不要とはいえない。」これは再掲です。「無許可・無届事 業者や許可基準を満たしていない事業所から受け入れた場合、派遣先が特定行為を行い、 当該派遣労働者を受け入れた場合、偽装請負や禁止業務への派遣の場合は、派遣先での 期間の定めの無い直接雇用とみなす制度を設けることを検討するべき。」「雇用申込義 務については、派遣先の社員登用制度の状況も踏まえた検討が必要。社員登用制度を設 ける派遣先が少ない現状のまま雇用申込義務を撤廃すれば、派遣労働者が正社員となる 道が閉ざされるのではないか。」  続きまして、使用者側代表意見です。「受入期間制限については撤廃し、当事者間に おいて規定するべき。」「26業務においては、派遣期間制限がないにもかかわらず、雇 用契約申込義務を避けるために、派遣先が契約を打ち切らざるを得なくなっているとい うことがあり、かえって派遣労働者の雇用が不安定になってしまうため、26業務の雇用 契約申込義務は撤廃すべき。」「法第40条の5があるために契約を3年で切っている例が あり、整理が必要。」「一定期間を超えれば派遣先での雇用とみなすことについては、 企業がその前に契約を打ち切ることが予想され、労働者の雇用がかえって不安定になる ため反対。派遣期間制限超過後の受入れについても、違法派遣についても、まずは法律 に基づいた是正を前提とし、即座に派遣先の直接雇用とみなす制度は不合理。個別のケ ースごとに判断し、その上で直接雇用するよう是正勧告が出された場合は従うというの が合理的な在り方だと考える。」「派遣元にとっては、人材流出につながる面もあり、 社員登用制度は難しい。少なくとも法律により制度導入を義務づけるべきではない。」 「派遣先企業にとっては、業務遂行能力だけで人を採用するわけではない。組織的な都 合だけでなく、本人が将来にわたって組織責任を負うことができるかどうかなど、様々 な要素を勘案して採用を決める。このため、直接雇用とみなす制度や社員登用制度のよ うに、一律に雇用義務を課すべきではない。」  3頁です。「II労働力需給調整機能の強化」です。「(1)事前面接等の派遣労働者の 特定を目的とする行為」についてです。労働者側代表意見です。「派遣労働者が派遣先 の業務内容や社風について知るために、自分の意志で派遣先の訪問等を行うことも可能 であり、事前面接を解禁する必要はない。」「実際に、面接で年齢や容姿等で選別され たという声も聞いている。」「「選抜」、「特定行為」を行ってはならないことを明確 化するべき。」「派遣労働者が希望した場合は事前説明等が認められてもよいという意 見もあるが、派遣会社からの圧力で行かざるを得ないケースもある。」使用者側代表意 見です。「派遣先とのミスマッチから生じる中途解約等のトラブルを事前に回避する観 点からも、是非事前面接を解禁すべき。」「中小企業では、派遣労働者が集まりにくい 中で、事前面接は、企業が労働者にアピールするための場としても必要である。」「労 働者が派遣先の社風等を知ることは大事なことであるが、派遣先が派遣労働者の採否を 決めるのはおかしな話という認識はある。」公益代表意見ですが、「「特定行為」と「 特定を目的とする行為」の違いについて、整理するべき。」というものです。  「(2)紹介予定派遣」についてです。労働者側代表意見ですが、「紹介予定派遣は、 直接雇用後の雇用形態や処遇等についてトラブルもあると聞いている。直接雇用後の雇 用形態は期間の定めのない雇用で、派遣就労時の労働条件を下回らないことが原則では ないか。」「直接雇用となる際の労働条件明示の時期を明確化し、試用期間を設けるこ とは禁止すべき。」「紹介予定派遣の派遣可能期間の延長はすべきではない。」  使用者側代表意見ですが、「求職者が望む雇用形態は多様であり、正社員、非正規社 員、いずれも可能な制度であるべき。」「直接雇用を見据えた紹介予定派遣にとって、 派遣期間を一律に規定することは合理性がない。労働者の能力・適性の見極めのため、 業務の実態にあわせ設定すべき。少なくとも、一般的な業務サイクルである1年以上に 延長するべき。」「従業員の年齢層に隔たりがあるなど、放置していると企業の存続に 支障が出る場合があり、そのような場合、年齢を一つの要件とせざるを得ないのが実態 であるため、紹介予定派遣については、現行法規を踏まえた上で、できるだけ柔軟に対 応すべき。」  4頁です。「III派遣元事業主・派遣先事業主の講ずべき措置」です。労働者側代表意 見です。「派遣労働者の教育訓練の責任は派遣元にある。派遣元で一人前になる訓練を して、どんな企業の求めにも応じて派遣できてこそ、人材ビジネスと呼べる。現状は単 に労務供給になっており、派遣先もそれを安易に利用してしまっていることが、トータ ルとして労働者の質の低下を招くことになる。」「日雇派遣の場合、派遣元による教育 訓練は行われておらず、単なる労務供給となっているのではないか。」これも再掲です。 「教育訓練については、派遣元が体制を整備してしっかりと取り組むところと、そうで ないところの差が大きい。」「直接雇用の正社員などは、採用後の集合訓練や階層別教 育訓練等を受けるのが通常だが、派遣労働者はそうではない。派遣労働者の能力開発を 誰の責任で行うのか、しっかり位置付ける必要があるのではないか。」「欧州では、派 遣元が社会保険未加入の場合、派遣先が責任をもって保険料を支払う制度がある。社会 ・労働保険は派遣元・派遣先の連帯責任とするという検討も必要。」「派遣先が就労場 所であることから、時間外労働、労働安全衛生、労災補償責任等について、派遣元・派 遣先の重複規定とするべき。」「派遣元倒産時の未払い賃金を派遣先が立替払いするこ とも検討してはどうか、。」「欧州では均等・均衡は当たり前であり、派遣労働者の賃 金を含めた均等・均衡待遇について積極的に研究・検討するべき。」  使用者側代表意見です。「派遣先が派遣労働者に求める能力が多様化しており、派遣 元で体系的な訓練を行うことは難しい。また、派遣労働者についても、複数の派遣元に 登録しているケースが多いため、どのように訓練するのが合理的であるか、検討する必 要がある。」「派遣元がお金をかけて教育をしっかりやった人が外に出てしまうことも あり、派遣元が安心して教育ができる体制作りを検討しても良いのではないか。」「時 間外のOJT、eラーニングなどの取組を行う派遣元もあり、こういったサービスを提 供する派遣元にスタッフが集まっていくような仕組みが必要ではないか。」「日雇派遣 の教育訓練については、一律に訓練といっても仕事内容によって全く異なる話になる。」 再掲です。「福利厚生と一口に言っても、多種多様な項目があり、企業にとって水準が 大きく異なることを考えると、どの項目にどういった内容・方法で配慮するのが合理的 であるかの検討は、具体的個別に検討する必要がある。また、企業側の配慮については、 企業差が大きいことから、法律での義務づけは適当ではない。」「均等・均衡は、どこ を基準にどうやって比べる必要があるのか、よくわからない。」  「IV適正な労働者派遣事業の運用の確保」についてです。労働者側代表意見です。「 歴史的な経緯からも、適用除外業務は派遣解禁するべきではない。医療関係業務につい ても、政省令改正等により徐々に緩和されてきていることは問題だ。」「実態として建 設業界は法令遵守の意識が低く、労働者派遣を解禁すると強制労働のようなことが起こ ってしまう。」「派遣元の情報開示は必要。」「行政の指導・監督をいっそう強化する とともに、法違反に対する罰則を強化し、違反した事業者の企業名公表の対象を拡大す べき。」「偽装請負など派遣法違反があった場合は、受け入れていた労働者を派遣先で 期間の定めのない直接雇用とすることとしてはどうか。こうしたみなし規定を導入すれ ば派遣先は優良な派遣元しか利用しなくなる。」  次に使用者側代表意見です。「派遣労働者の業務・職種選択の自由を担保するために も派遣適用事業を原則全面解禁すべき。」「派遣料金に占める賃金の比率をHPで公開 している派遣会社もある。このようないい派遣元を育てていくことが必要。」「情報開 示については、派遣元事業主の適正な事業運営を阻害するものにならないよう慎重に議 論すべき。」「偽装請負等の指導監督に関し、企業が有効なコンプライアンス対策を取 れるよう、都道府県労働局ごとの判断基準・対応方針を具体的かつ実務に沿った内容で 統一すべき。」「違法行為に対しては厳正に対応すべき。」公益代表意見ですが、「利 用者が派遣事業者を適切に選択できることに資するよう、情報公開などの形で、派遣元 事業主の事業の状況等の透明化を図っていくべきではないか。」  最後の5頁ですが、「その他」ということで整理させていただいております。労働者 側代表意見ですが、「派遣労働者が加入した労働組合に対する派遣先の団体交渉応諾義 務を明確化する等、派遣労働者をめぐる労使関係の在り方について検討するべき。」「 派遣期間が1年を超える場合は派遣先の労働組合の意見を聴くこととなっているが、全 ての派遣に関して期間、業務、人数、賃金、社会・労働保険の加入、派遣料金、事業者 名等の派遣先組合への通知を義務付け、意見を聴くこととしてはどうか。」「派遣契約 単価と労働者に支払われる賃金の差(マージン)について規制をかけるべきである。」 「派遣元・派遣先の共同雇用責任について、積極的に検討するべき。」「労働者派遣事 業適正運営協力員制度の権限・機能強化について検討するべき。」「労働者派遣事業の 許可基準を厳格化すべき。」使用者側代表意見ですが、「いい人材であれば派遣料金が 高くとも導入したい、ということもあり、上限規制は不適当。」以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの資料の説明を踏まえまして、各委員 からご発言をいただきたいと思いますが、前回の部会でもお話いたしましたように、た だいまのとりまとめに当たりましては、当部会で各委員から直接発言があったものに加 えて、事務局のほうからとりまとめを行う際に、各委員個別にご意見を伺い、そこで補 足されたご意見も、いまの資料の中には反映されていますので、それらのご意見につい て、関係の各委員から簡単にご説明をいただくことができればと思いますが、いかがで すか。 ○山崎委員  それでは1頁の(2)日々雇用の派遣労働についての下から2つ目のポツの所なのです が、これは、日雇派遣における教育訓練については、具体的にどのような訓練内容を指 すのか、とてもイメージしにくいところがありまして、事務系や専門職などの日雇派遣 だけでなく、記載しているような超短期のイベント要員なども、実際多くおりますので、 そういった職種の特性なども調べた上で議論したほうが良いのではないかというので、 この点を出させていただきました。一応、そのような日雇の教育というと、どのような ことをイメージしていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思っております。  それから、2頁(4)の部分ですが、ここでいう派遣労働者の業務遂行能力だけではな い、という意味を一応ご説明申し上げたいのですが、一般的な仕事の能力という以上に、 本人のそれまでの職務経験や組織人として務められるだけの意思、人間性や個性、ある いは協調性など、より広い意味を含んでいるわけでして、組織では単に与えられた仕事 をこなせれば良いという考えだけで採用しているわけではございませんので、そういっ た意味をお含みおきいただけたらと思っております。やはり、将来を背負っていく人物 の適性とか人間性というのは、企業としてはそういうところを見てみたいと思っており ます。  次の3頁(2)の紹介予定派遣についてです。紹介予定派遣は、派遣期間後、派遣先企 業に直接雇用される制度です。その雇用形態については、正社員・契約社員など労使双 方の合意によって、柔軟に決めるべきものではないかと思っておりますので、出させて いただきました。ですから、いまのままで良いのではないかと思っております。  それから、従業員の年齢層に隔たりがあるというところなのですが、これは、紹介予 定派遣の場合、直接雇用を念頭においた場合には、人材を募集・採用する際に、一応経 営上の課題に対応するためには、年齢層を限定した募集・採用が必要となるケースが多 いです。これは、雇用対策法でも募集・採用時の年齢制限が原則として、禁止されては いるという一方で、技術ノウハウの継承の観点などから、一定の要件を満たせば、年齢 層を限定して募集・採用できることを踏まえて、制度を運用していただきたいと思って おります。企業といたしましては、20代〜40代の人たちがいる企業において、例えば30 代の人が、次代を担う社員たちが非常に少ないというときには、やはり、30代の能力あ る人間を募集したいということもございますので、その辺をもっともっと強く、アピー ルさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○清家部会長  最後の点の確認ですが、これは雇対法が例外として、認めているような種類の年齢の 制限については、紹介予定派遣についても、認めてはどうかというご意見ですか。 ○山崎委員  はい。 ○清家部会長  よろしいですか。では、ほかにありますか。 ○市川(佳)委員  十分この場で言わなかったと思われる所を、更に補足させていただきますが、3頁の 紹介予定派遣のところですが、この部会で、十分ヒアリングなどもさせていただきまし て、紹介予定派遣を活用されたという方の直接のお話も伺ったところですし、私どもの 連合に関係する派遣関係の労働組合の皆さんからの声もあるわけですが、やはり、紹介 予定派遣というのを利用する労働者というのは、直接雇用を希望しているわけです。し かし、直接雇用のしかも正社員になれるという希望を持った方が直接雇用されたが、や はり、2年か3年は契約社員で、それをクリアしたらようやく正社員になれるという実態 もある。紹介予定派遣ということでハードルを設け、有期契約雇用でまたハードルを設 けるというようなズルズルズルといっているケースがあるのは、非常によろしくないの ではないかと思っています。紹介予定派遣ということで、いろいろ面接をしたりしてい るわけですから、ここはきちんと雇用形態は期間の定めない雇用であり、しかも、この 労働条件も派遣時よりも下回らないということを原則として、きちんと確保することが 必要であると思います。それと直接雇用となるときの労働条件の明示の時期、それがわ からないで紹介予定派遣で働いていると、直接雇用の可能性はあるのだが、いつ労働条 件が明示されるのか、ギリギリまでわからないということもありますので、これは、き ちんとある一定の早い時期に、明示をすべきだということを、ルール化すべきであると 思います。  先ほどの話を繰り返すのですが、紹介予定派遣で、試用的に働いている、更にそのあ ともまた試用期間というのは、やはり合理的ではないのではないかと、また、そこで、 自分の希望しているような雇用形態でないということで、紹介予定派遣を、本人から断 ってしまうケースもある。契約が成り立たなかったという場合の方が、第二新卒扱いに もならなくて、次の就職をみつけるときに、非常に不利になってしまう。紹介予定派遣 でやったことが、何かかえって次のステップにならないということもありまして、新卒 の方で、直に紹介予定に行った方は、そういう問題が特にあるのですが、そういう意味 で、紹介予定派遣には、きちんとしたルールを置くべきでありますし、派遣可能期間も、 いま以上延長するべきではないということです。  それと、もう1点、5頁でその他のところの下から2番目ですが、いまある労働者派遣 事業適正運営協力員制度ですが、私どもの組織でも、各地方でこの協力員になっている 人たちがいます。連合の地方連合会でも、そういう方たちのご意見を聞くのですが、あ まり、やることがないというのでしょうか、何のために設けているのか、実際に権限と か機能がないものですから、名前だけではないのか、というようなご不満がよく出てく る。ここはやはり、労災防止指導員みたいに、一定の権限を持った形で、積極的にそう いう方たちを活用することによって、いろいろな所で起きている派遣に関するトラブル ですとか、違法なことが行われていることとか、そういったものを少しずつ是正をする、 というために協力員をもう少し活用するということが必要ではないかと思います。 ○清家部会長  ほかには、何かありますか。 ○輪島委員  資料1頁(2)の上から3つ目の日々雇用の日々派遣の所ですが、労動者側意見で、派 遣法上の問題と基準法上の問題の整理というのは、使用者側も言って、そういう認識が あるのではないかと思っているのですが、使用者側の意見にも入れていただければ、あ りがたいなと。2頁目(4)の上から3つ目ですが、たぶん、これは審議会で言った話な ので、口語体で書いてあります。「3年で切っている例があり」とここが誤解を招くの ではないかと思いまして、上の2つ目の「期間制限がないにもかかわらず、申込義務を 避けるために、派遣先や契約を打ち切らざるを得ない」、これと同義だと思いますが、 ここが分けてある必要があるかどうかというようなことで、分ける必要があるのであれ ば、上の2つ目のものと同じような趣旨で、正確に書いていただければありがたいなと 思います。とりあえず以上です。 ○長谷川委員  私は使用者側意見の1頁のI(2)の黒ポツ4つ目の所で、「教育訓練」とは、どのよ うなものを指すのか、明確にすべきとあるのですが、使用者側の意見だから、それはそ れでいいのですが、でも、この日雇派遣の問題というのは、この教育訓練のあり方とい うよりは、そもそも派遣法の趣旨と照らしたときにどうなのか、ということではないか と思うのですね。この日雇の問題は、教育訓練という形の問題ではなくて、派遣法のそ もそも持っている趣旨と、それから逸脱しているというか、そういうところに表れてい るのではないかと。従って、いま使用者側が言っていた話なのですが、基準法の問題な のか、派遣法の問題なのか、この整理をする必要があるという、そういうことだったの ではないかなと思うのです。ただ、ここで使用者側が言っている1日単位の仕事のニー ズがあることは、私どもも否定しませんよ。だから、日雇というものがあって、日雇健 保なんかもあるわけですから。ただ、1日単位の仕事というのは、派遣でやるのか、そ れともいまの日雇の直接雇用でやるのかという、ここのところが問題なのではないかと 思って、教育訓練の話ではないですよねというのを、ちょっと聞いてみたかったのです。 ○山崎委員  そうですね、日商でも、簿記検定というのをやりますよね。そうしますと、そのとき に試験官がみんな日雇の方なのです。ですから、そういう方を使ったときに、特別な教 育がどうこう、ということではないのではないかと、ただ、日雇検定をする試験官が、 簿記の認定証を持ってなければということはなく、ただ、その会場を見回るというだけ の日雇の方々なので、だから、そういうところの教育を特に言ってらっしゃるのかとち ょっと先ほどお伺いしたかったのです。 ○長谷川委員  日雇派遣の問題は、その教育訓練という話はなくて、そもそも日雇派遣というのは、 派遣の中で扱うべきものなのかどうなのか、もう少しそもそも論の議論ではないかと思 ったので、ちょっと聞きました。 ○輪島委員  日雇派遣のところで、1頁(2)ですが、いま長谷川委員がおっしゃったように、日雇 労働と日雇派遣というものを、どう整理するのかということだと思っていて、これまで 審議会でも申し上げてきたとおり、その日雇労働というものがあって、それを派遣制度 が上に乗っかると、たぶん、それが日雇派遣だと思うのですね。しかしながら、日々で 派遣で行くということでは通訳や添乗員とかという話もありましたし、いまの試験会場 の監督だというようなことも含めてここにあるように、一定量の労働力の提供を、それ をマッチングする仕組みとしては、派遣を使うということは、非常にメリットが大きい。 特に最近は、携帯電話を使ったりして、マッチング機能を高めるという意味合いでは、 非常に効率がいいものだろうと、なので、そのこと自身を規制するというのは、非常に 問題、課題があるのではないかと思っています。  ただ、事務局のほうで、実際に実態調査をしてみたところの数字ですが、男性が6割 弱いて、35歳未満の人がこれも68%、7割弱いて、平均の月収が13万3,000円ということ。 それから、現在の状況というのを見ると、半分の53.2%が短期派遣のみでやっている。 それ以外は、他の職業があったり、それから、学生であったり、主婦であったりという 実態があるということになると、日雇派遣で就労しているということについては、前段 で申し上げたマッチング機能を高めるというような意味合いでは、非常に効果があるも のだろうと。ただ、課題があるとすれば、その13万3,000円で短期派遣のみで、半分の 53.2%の人が就労している。たぶん、今日現在そこで働いているということが問題なの ではなくて、後ろを振り返って例えば、半年とか1年間ずっと日々の派遣でやっていた ということのほうが、問題は大きいだろうと思うわけです。  そうなると、先ほどの基準法の問題と派遣法の問題と、それから短期の人たちの派遣 を、派遣法上、どうやって規制するのかというのは、むしろ難しくて、その人たちはど うやって救い上げるのかということを、どういうふうに考えるのかということだと思う と、派遣法で規制するというよりは、違うものでむしろ、雇用政策全体ですくい上げて いく必要があるのではないか。雇用政策だけではなくて、おそらくネットカフェ難民と いうような言葉があるとすれば、むしろ社会政策もしくは具体的に言うと、住宅を用意 したり、きちんとハローワークに行って、キャリアコンサルタントでガイダンスを受け て、仕事をしていく。特に日々の日銭で暮らしていかざるを得ないのであれば、1カ月 のお金を例えば融資をするとか、そういうトータルなところで救い上げていくというこ とが必要で、これは、労働者側も派遣法上の問題と基準法上の問題の整理ということは、 私どもがそういうふうに思っているのと、かつ、その派遣法でどうやって規制すると、 いわゆる日々派遣というものが、救われるのかということは、非常に難しいのではない か。ただ、そこについて、課題があるというのも、私どもも承知をしているつもりなの で、2ポツに書いてありますが、何某かの整理をして必要であれば、しっかりと見極め て規律の強化等について、議論をするということが必要だと思っているということです。 ○清家部会長  ほかにご意見はありますか。頂きました各ご意見を見ますと、いまのご両者のご意見 も含めて、まず日雇派遣につきましては、全面的に禁止するかどうかについてはともか くとして、何らかの措置を講ずる必要があるのではないかというようなこと、あるいは 事業規制に当たらないようにする配慮が必要ではあっても、派遣元事業主の事業状況等 について何らかの情報公開を進めるような措置が必要ではないか、さらに当然ですけれ ども、違法事案については、厳正に対処しなければならないといったことについては、 労使の意見の一致を見る部分もあるかと思います。  ただ、その他多くの点につきましては、ここに書かれてありますように、まだ労使の ご意見はかなりかけ離れている部分もあるかと思いますので、これを踏まえて、各意見 に対する双方からのご質問、あるいは全体的な補足意見、その他今後の議論の方向性な どについて、ご意見がございましたらお願いしたいと思います。 ○輪島委員  この審議会で、前回の法改正のフォローアップということで、ずっと議論を重ねてき て、各検討項目について、資料1にあるように、それぞれの項目について話をしてきて、 ようやく整理がされたと思っています。整理されたものを見比べると、改めてこんなに 労使で違いがあるというところが、これまでいくつか審議会を経験しましたけれども、 あまりないですね。非常に辛いなと思っています。  まず個別の項目ですが、4頁の適正な労働者派遣事業の運用の確保のところですが、 使用者側のところのいちばん下に、「違法行為については厳正に対応すべき」と。この ことは当然にそのように思っているわけで、労働者側も行政指導・監督をいっそう強化 するということについて、同じような表現、考え方なのではないかと思っています。た だ、その上のところのポツですが、昨年の10月30日のQ&A、今年4月に出されました請負 の関係でガイドラインが出ておりますが、その関係で企業は去年の秋以降、相当請負と 派遣の区分や、製造現場での整理というようなことの優先順位を上げて対応してきたと いうところがあります。  そこで最近聞こえてくるのは、いろいろな指導・監督を受ける部分と、事前にこうい う状況になっているのだけれども、こういうことについてどのように考えるのかという ようなことを、各労働局に問合せをしているケースが非常に増えている。そういうとこ ろで、ある意味では全国的な事業展開をしている、各所に工場があるところは、本社部 門でそういう対応をしろというようなことで、各事業所が対応すると。それぞれの状況 に応じて労働局に話を聞くと、労働局のほうの解釈というか行政指導の考え方というも のに若干ではなく、かなりずれがあるケースも散見されるというようなことを聞いてい ます。そういう意味で、都道府県ごとの判断基準、対応方針というようなことではなく て、統一した対応を、是非お願いしたいと思っています。  それから、2頁目ですけれども、受入期間、雇用申込義務との、いわゆるみなし雇用 のところですが、労働者側のご指摘の実効性の担保、実効性を上げるという観点から、 派遣先に対してのみなし雇用というようなものの制度を入れることによって、実効性を 確保しようというお考えというのは、わからないわけではないですけれども、しかしな がら下から3つ目のポツに書いてありますように、派遣期間制限超過後の受入れ、違法 派遣についても、まずは派遣元での管理、法律に基づいた是正ということが、必要であ って、派遣先への直接雇用、直接雇用ではなくて期間の定めのない雇用とおっしゃって いるわけですけれども、直接雇用とみなすというのは、受け入れられるものではないと いうことです。個別ケースごとの判断ということは、別途あるだろうというように思っ ています。  それから2頁目の(3)の、常用雇用型の40条の5のところの規制ですけれども、常 用雇用型については、一定程度ご理解をいただいているものだというふうに思っており ますけれども、派遣元において、雇用の安定が図られているとすれば、雇用申込義務な どの撤廃、これは大変重要な点だろう。その理由は(4)の2つ目のポツ、先ほど申し上 げたとおりで、26業務において、期間制限がないということですけれども、基本的に3 年超えの雇用申込義務を避けるために契約を打ち切らざるを得ないというようなことで す。せっかく26業務で人を基準にして受入れをしているのに、人を大切にすることがで きない。結果として労働者保護や雇用の安定に資することができないという制度は、や はりここは労働側から見ても、不合理なのではないかと思うので、是非ご理解をいただ きたいということです。 ○長谷川委員  こういう審議会は珍しいと思っております。これだけ何回か議論してきたわけですけ れども、労働側委員と使用者側委員の意見が全然寄ってこない。普通は大体寄ってくる のですけれども、寄ってこないというのは、なかなか難しい審議会だったのだと思いま す。世の中を少し見てみると、例えば国民生活審議会が新たに検討部会を立ち上げて、 そこのテーマがパート労働者や有期労働者、派遣労働者の問題が取り上げられているわ けです。この間この審議会が開催されて、フォローアップの議論をしている間に、世の 中で格差が拡大して、労働者の格差の原因の中の主要なところに非正規労働者がいて、 非正規労働者の中の派遣労働者が問われている。派遣労働者の雇用の安定、労働条件と いうのはどうあるべきなのかというのが、労働政策の場ではなくて、国民生活というと ころからも議論されている状況になっているということについては、認識しなければな らないと思っています。  これまでの労働者派遣法の見直しのときは大体使用者側が言うことが盛り込まれてき て、労働者側が譲歩するというのがあって、規制緩和がずっとこの間続いてきたのでは ないかと思うのですけれども、これだけ派遣労働者の問題が非常に大きな社会問題にな っているときに、使用者側の意見というのはなかなか納得できないものであると思いま す。例えばいま輪島委員から指摘されました、登録型で言えば、99年の改正以降、やは り問題が起き、製造業で言えば2003年の改正が問題を起こしたと言われています。そう いう意味では登録型派遣について、労働者側の意見も原則として禁止し、抜本的見直し というような立て方をしているのですが、それはこの問題の複雑さ、問題が非常に深い からこういう言い方になるのですけれども、この登録型の派遣労働者の雇用の不安定さ と、処遇の低さというのは、どのように解決しなければいけないのかということは、考 えざるを得ないと思います。  それから日々雇用の派遣は、これは何としてでも早く手を打たないと、ネットカフェ 難民やそういうことで、特に若者のところでそういうことが起きているということが、 これからの我が国を担う人たちのところで起きている雇用の重大な問題なので、ここは 早急な検討が必要なのではないかと思います。先ほど輪島委員のほうから、労働基準法 の問題なのか派遣法の問題なのか整理をしなけれればいけないというのは一致している ことなので、まさにそうではないかと思っています。  それと、直接雇用みなし規定なのですが、日本の法律から見るとみなし規定制度の導 入は難しいと言われているのだと思うのですけれども、ヨーロッパを見たときに、ヨー ロッパの派遣法の中では、フランス型、ドイツ型がありますが、みなし制度を設けてい るわけで、世の中で実現していないというわけではないので、派遣という非常に特殊な 制度を使った場合、使ったほうも連帯責任を負うということが必要なのではないかと。 そういう意味では、違法なことが起きているわけですから、派遣元だけではなくて派遣 先、派遣元の共同雇用責任ということも考えなければいけないのではないかと思ってい ます。  それから、4頁の均等・均衡待遇ですけれども、雇用就業形態の多様化、これは否定 できないと思います。これは経営者のほうも多様化を希望しているし、労働者の中でも 全くないとは言えないと思います。これだけ広がった多様化に対してどのような働き方 をしたとしても、同じ仕事をしたら均等・均衡の考え方は、これから多様化をいう限り においては、私はこの制度は導入していかなければならないと思います。パートについ ては、パート法が審議会でも議論されて、法案もできたわけですけれども、派遣の中で 均等・均衡をどう考えるかということは、この制度がある限りは、これは着手せざるを 得ないと思います。したがって、雇用の安定とか、処遇の改善ということであれば、均 等・均衡についても着手をするべきではないかと思います。  これは労使一緒なのですけれども、行政の監督指導、これはきちんとすると。しかし 私が行政の監督指導を強化しろと言っても、厚生労働省の公務員の定員が削減されてい るわけで、監督官が増えるとは期待できないわけです。そうすると先ほど市川委員が言 ったように、派遣協力員みたいなものにどういう権限を与えて、どういう仕事をしても らうのかという検討は必要なのではないかと。やはり公務員のところでできないところ を、労使の人たちの地域の中で適正な派遣事業が運用されるように、関わり方について、 もう少し積極的にこのことについても検討すべきではないかと思います。  大きなところで言うとそういうところが非常に重要な点ではないかと思いますし、な かなか意見が寄ってこないというのも、非常に難しい。しかし労働者側とすれば、派遣 労働者の問題がこんなにいろいろ言われていて、国会ではしょっちゅう集会が開かれて いるわけですけれども、そういうところを見ると、労働者保護という視点が派遣法には 必要なのではないかと思います。 ○古市委員  いま労働者側から意見が出て、意見の隔たりが大きいということについて、4頁目の IVの使用者側の皆さんに私は素朴にお尋ねをしたいのですが、原則全面解禁にすべきだ と、こういうご意見です。建設業の実態について申し上げたのですが、国土交通省が毎 年設計労務単価を決めるために、建設業の20万事業者も調査をする。毎年やっていて、 年によっては2回調査をするわけですが、その中で、労働基準法違反でサンプルとして 採用できないサンプルが、ほぼ半分、45%を超えて毎年あるわけです。要するにほぼ半 分は労働基準法違反を犯しているわけです。そういう業界にも、派遣を全面的に原則解 禁すべきだと使用側の皆さんがおっしゃる理由が、よく理解ができないのですが、そう いったことも含めて、派遣を解禁すべきだというのはどういうことなのでしょうか。 ○輪島委員  前回も含めて古市委員からご指摘をいただいた点はよく理解をしているつもりです。 ただ派遣制度の原則からすれば、派遣法全体が事業規制法になっているわけなので、そ ういう意味では年来の考え方ですけれども、基本的には全面的に派遣ができるようにす るべきだと思っています。ただ、おそらく2段階方式、濃淡があると思っておりまして、 派遣法で禁止をされている港湾建設、警備というものと、政令で規制されている医療関 係業務というものがあるのだろうと思います。そのことから言うと、私どもは医政局が 言うチーム医療というようなものは、医療関係業務を基本的に守ろうというようなとこ ろの屁理屈だろうと思っていますので、まず医療関係業務について基本的に解禁という ようなことが必要だろうと思っています。その次の段階では、建設等々の派遣の解禁と いうのが必要だろうと思います。もう1つ、ほかの法律で基本的に港湾労働法や建設労 働者確保法等々で、派遣に類似した仕組みになっていますから、その推移も見ながらと いうようなことも、一方で考えています。全体的にはバランスを見ながら対応していく ことだと思います。原則は事業規制法はあまり好きではないというところから、年来の 主張で全面解禁ということを申し上げているという意見です。 ○清家部会長  ほかによろしいですか。 ○鎌田委員  感想なのですが、先ほどから労使双方で、非常にこれほど対立が多い審議は珍しいと いうお話だったのですが、私も同じような感想を持っているのですが、どういった点が 複雑なのかと私なりに考えてみますと、アクチュアルな問題、例えば日雇派遣なども1 つですけれども、その問題について、労働者保護の観点からどのようにするかという問 題のみならず、それが同時に派遣法の根幹に係る問題と非常に密接に結びついていると いうのが特徴であるのではないかと。申し上げれば、例えば登録型を廃止するとか、あ るいは期間限定を撤廃するとか、均衡・均等待遇。これらが非常にレベルの異なる、あ る意味では派遣法の根幹に係る問題が提起されているという点で、問題を根本的に解決 しないと、なかなか納得してもらえないということだと思います。このフォローアップ は、一貫して前回改正に対してどういった問題があるかということで、私も考えてきた のですが、ここに至って根本的な問題が改めて出てきているということで、戸惑いを感 じているというか、これからどのように検討すべきなのか、やや腰を据えてじっくりと 考えていく必要があるという感じがしています。以上です。 ○清家部会長  よろしいですか。いま各委員からもお話がございましたように、当部会におきまして は、平成17年5月以降、約2年間にわたって平成15年改正のフォローアップ等を行っ てきたところでございますが、現在のところ一部労使のご意見の一致を見ているところ もございますが、かなりの部分について、労使のご意見がまだ相当隔たっている状況に あると見ざるを得ないかと思います。したがいまして、このままこれまでと同じように 議論を進めていくということも、あまり効率的ではないと私としては判断いたしますの で、できれば今後の議論の進め方等も含めて、これまでの議論のとりまとめについて、 次回に公益委員としての案をお出しして、ご議論をいただいてはどうかと思いますが、 そのような取計らいでよろしいでしょうか。                 (異議なし) ○清家部会長  それではそのようにさせていただきます。では、いまご了承いただきましたような形 で、次回の本部会におきまして、今後の進め方についての公益委員の案を提示させてい ただき、その場でご議論いいただくことといたします。  次に一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思います。冒頭申し上げましたよ うに、傍聴されておられます方につきましては、ここでご退席いただくことになります ので、よろしくお願いいたします。また、大槻職業安定局次長につきましても、所用に より退席されると伺っております。 (傍聴者、大槻次長退室) ○清家部会長  何か事務局からございますか。 ○松原補佐  次回の日程でございますけれども、現在日程を調整中ですので、各委員の方々に対し ましては、別途事務局からご連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○清家部会長  事務局からご連絡があると思いますので、また日程調整等よろしくお願いいたします。 以上をもちまして第107回労働力需給制度部会を終了いたします。なお、本日の署名委 員は雇用主代表は輪島委員、労働者代表は長谷川委員にお願いいたします。委員の皆様 どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)