07/11/29 第30回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第30回)議事録 日  時:平成19年11月29日(木)10:00〜12:00 場  所:霞が関東京會舘(ゴールドスタールーム) 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、牛丸委員、栗林委員、近藤委員、林委員、      宮武委員 議  事     公的年金財政状況報告−平成17年度−について ○村山首席年金数理官   定刻になりましたので、ただいまより、第30回「社会保障審議会年金数理部会」を 開催させていただきます。  審議に入ります前に、前回の部会開催以降に、事務局で異動がありましたので、御紹 介させていただきます。  年金局年金課長の塚本でございます。  大臣官房参事官資金運用担当の板谷でございます。  年金数理官の下島でございます。  なお、私は首席年金数理官の村山でございます。よろしくお願いいたします。  次に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  座席図、議事次第のほかは、次のとおりでございます。  資料1は、資料1−1、1−2、1−3と3つに分かれておりまして「公的年金財政 状況報告−平成17年度−(案)」でございます。  資料2は「公的年金財政状況報告−平成17年度−(要旨)(案)」でございます。  配付資料は、以上でございます。  次に、本日の委員の出欠状況についてご報告いたします。  本日は、熊沢委員が御都合により御欠席とのことでございます。  御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議が成立してお りますことを御報告申し上げます。  それでは、以後の進行につきましては、山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長   委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。本 日は、平成17年度の公的年金財政状況報告のとりまとめに関して審議を行いたいと思い ます。  それでは、本日の議事に入ります。  去る6月25日に行われました前回の当部会におきまして、平成17年度の公的年金各 制度の財政状況について、制度所管省から報告を受けましたが、その際に、これらをと りまとめた報告書を昨年と同様作成することになっておりました。  その後、事務局が作成したたたき台案につきまして、技術作業委員会で主に技術的な 面での検討をいただき、前回の部会で新たに設置された検討小委員会で、主に報告書の 内容をわかりやすくし、より一層有意義なものにするといった面での検討を行っていた だきました。  両委員会の委員の皆様には、大変御協力いただきまして、ありがとうございました。 両委員会での検討結果を踏まえまして、できました報告(案)が、お手元の資料でござ います。詳細につきましては、事務局から説明していただきたいと思います。  それでは、事務局から資料の説明をお願いします。 ○村山首席年金数理官   それでは「公的年金財政状況報告−平成17年度−(案)」について、御説明させてい ただきます。  これは、部会長からもお話がありましたように、6月25日に行われました平成17年 度の各制度の財政状況に関するヒアリングの資料を基に、公的年金制度全体の財政状況 についてまとめたものでございます。これからの御説明は、厚生労働省からの報告でな く、年金数理部会の事務局として、年金数理部会の報告書の内容を説明するものでござ います。  報告書の構成ですが、先ほど申しましたとおり、資料1が本体ということで、3分冊 になっております。  まず、資料1に沿って、内容の概略を御説明いたします。資料1−1をごらんいただ きたいと思います。  2枚おめくりいただきますと「目次」がございます。  本報告書全体についてもそうですけれども、部会長からもお話がございましたとおり、 技術作業委員会と検討小委員会の検討結果を全体的に反映したものとなっております。 この目次につきましても、小さい字ではありますけれども、検討結果を受けました内容 について書き加えまして、これまでより詳しくなっており、索引の機能も持たせたもの となっております。  全体の構成につきましては、比較対象が、これまでの平成11年財政再計算から、平成 16年の財政再計算に変わっているほかは、平成16年度版と同じです。資料としての価 値あるいは使いやすさ、連続性といった観点から、このようなことになっております。  なお、構成に影響するものではありませんが、一部新たな統計表等はございます。  まず、1ページ「はじめに」でございます。  ここには、年金数理部会についての説明と、公的年金財政状況報告とは何かというこ とを説明し、年金数理部会といたしまして、平成16年の財政再計算の財政検証を行った ということのあと、真ん中より下に、比較対象が平成16年財政再計算であることと、今 年度の報告書の特徴を述べています。  3ページからが「第1章 公的年金の概要」でございます。  平成16年の改正事項が、順次施行されておりますけれども、制度体系は変わっており ませんので、昨年とほぼ同じでございます。  4ページの「3 一元化の推進」の末尾の方に、現在国会に「被用者年金制度の一元 化等を図るための厚生年金保険等の一部を改正する法律案」が提出されていることが書 かれております。  5ページからの「第2章 財政状況」は、資料1−1の最後まででございます。平成 17年度の財政状況を中心といたしまして、今の年金数理部会が始まってからのヒアリン グによるデータを基にして、公的年金制度の現状とその動きについて分析したものでご ざいます。  6ページの図表2−1−1「財政収支状況」でございます。  これは、平成17年度の公的年金制度の財政収支状況をとりまとめたものでございます が、図表は、先般の6月25日の本部会で、参考資料として既にお示ししていたものでご ざいます。  説明は5ページからございますけれども、この図表をごらんになりながらお聞きいた だければと思います。  表頭には各公的年金制度、表側には収入支出の項目が並んでおります。  それぞれの制度の下の数値につきましては、前回の部会でも若干議論がございました 運用収入のところを少し見やすくしたほかは、ヒアリングの資料のままでございます。  それらを単純に制度ごとに横に合計いたしますと、右から2つ目の「合計」になりま す。  図表の下の注6に少し細かい字で書いてございますけれども、例えば各制度からの基 礎年金拠出金は、国民年金の基礎年金勘定の基礎年金拠出金収入に対応するといったよ うに、公的年金制度間でのお金のやりとりがございます。これらは、公的年金制度全体 を外から見る場合には、収支の両方に出てくるため、意味がないものとなりまして、こ れらを除いたものが、一番右端にあります「公的年金制度全体」でございます。  7ページの図表2−1−2で、このような制度間のお金の流れがわかるようにしてお りますので、ごらんいただきたいと思います。  まず、下から上に上がっている矢印の(1)基礎年金拠出金は、各制度が基礎年金拠出金 を支出といたしますけれども、それは基礎年金勘定の収入ということになります。そし て、それは図の右側にありますけれども、国民年金の基礎年金勘定の収入から白抜きの 矢印を通りまして、その下の支出になります。  支出は二通りのやり方がありまして、1つは基礎年金といたしまして、基礎年金勘定 から基礎年金の受給者である各制度の受給者に直接給付されます。  もう一つは、60年改正前の旧法の年金のうちの基礎年金相当給付費ということで、(2) の基礎年金交付金となりまして、各制度に配られ、各制度から給付費の一部として受給 者に給付されます。  (3)は、国共済と地共済との財政調整での収支でございます。  (4)は、JR共済等の支援のため、各共済制度から厚生年金への流れでございます。  6ページの図表2−1−1に戻っていただきまして、右端の公的年金制度全体を見て いただきまして、上の段の収入についてです。  「保険料収入」は26.3兆円。  「国庫・公経済負担」は6.8兆円。  「運用収入」は、簿価ベースでは3.7兆円、時価ベースでは14.0兆円でございます。  「保険料収入」は、昨年度の25.7兆円に比べまして、約0.7兆円増加しております。  支出でございますけれども「給付費」は42.8兆円でした。昨年度は41.6兆円でした ので、約1.1兆円増加しております。  下から2番目の「年度末積立金」は、簿価ベースでは193.2兆円、時価ベースでは204.9 兆円でございます。公的年金の全制度で時価ベースの積立金がわかったのは、平成14 年度末からでございますけれども、平成17年度末に初めて200兆円を超えたということ でございます。  昨年度の公的年金制度の財政収支状況と比べますと、厚生年金と国民年金の国民年金 勘定には、新しい収入項目として「積立金より受入」というものがございます。前回の ヒアリングの際に、厚生労働省から説明があり、この8ページにも書かれておりますけ れども、これは平成16年の年金制度改正により、積立金を活用する有限均衡方式での財 政運営に変わりましたので、必要な年度につきましては、年金保険事業の事業運営上の 財源に充てるため、あらかじめ積立金からの繰入れを「積立金より受入」として、その 年度の予算に計上して、財源を確保しまして、当年度の給付費等を支障なく行うための ものでございます。  事業運営の観点からは必要な項目でありまして、ほかの特別会計にもあり、また民間 の企業会計にも類似の扱いをする公式な書類がありまして、資金繰りあるいは資金の流 れを明らかにするものと言われております。  このため、年金数理部会といたしましては、6ページの図表2−1−1の公的年金財 政収支は、事業運営の観点からまとめたものとし、これとは別に前回の部会の御議論も 踏まえまして、委員会でも御検討いただきまして、図表2−1−1を年金財政の観点か ら、制度横断的に比較・分析した「単年度収支状況」もとりまとめることとなりました。  11ページの図表2−1−3「単年度収支状況」をごらんください。  説明は10ページにありますけれども、年金財政の観点から、収入と支出は当年度のも のに限定して、単年度の収入・支出としております。つまり、前年度末の積立金に単年 度の収入と単年度の支出の差引きであります単年度収支残を加えたものが当年度末の積 立金となるようにするということでございます。  具体的には、図表2−1−1「財政収支状況」から、厚生年金・国民年金(国民年金 勘定)の「積立金より受入」と国民年金の基礎年金勘定の「前年度剰余金受入」を除い て算出することになり、その結果がこの図表2−1−3の「単年度収支状況」でござい ます。  この図表2−1−3におきましても、右から2番目に制度ごとに横に合計した「合計」 があり、一番右の「公的年金制度全体」というのは、先ほどと同じように、公的年金制 度内でのお金のやりとりを除いたものでございます。  これをごらんいただきますと、平成17年度の公的年金制度全体の単年度の収入総額は、 簿価ベースでは42.5兆円、時価ベースでは52.8兆円ということでありまして、単年度 の支出総額は47.5兆円となっておりまして、単年度収支残は、簿価ベースでは5.1兆円 の不足・赤字、時価ベースでは5.0兆円の剰余・黒字となっております。  結果といたしまして、平成17年度末積立金は、簿価ベースでは前年度末より減少し、 時価ベースでは増加しています。  この単年度収支状況の各制度ごとの結果につきましては、10ページの真ん中から説明 しております。  年金財政の観点からのものということでございますので、平成16年の財政再計算にお きまして、今後、順次実施されます改正内容を織り込みまして、あらかじめ財政状況を 見込んでおります。それと比較して評価する必要があります。実績が赤字でも黒字でも、 あらかじめ赤字、黒字が見込まれていて、それと比べてどうなのかということでござい ます。  具体的な比較や乖離分析は、後ほど御説明いたします。  なお、この単年度収支状況の収入総額あるいは支出総額は、昨年度までまとめてきた 公的年金制度全体のものと連続しています。  6ページの図表2−1−1の「財政収支状況」と図表2−1−3の「単年度収支状況」 の関係を整理いたしますと、それぞれ公的年金の財政状況を事業運営の観点と年金財政 の観点という別々の観点から見たものでございますので、2つの図表でセットになるも のでございます。  民間の企業会計でも、それぞれの収支状況に類似するそれぞれに対応する2つの公式 書類がございまして、ほかの公式書類も含めてセットになっているという事情がござい ます。  このため、今、ごらんいただいている11ページの単年度収支状況の注1に、小さい字 でございますけれども、財政収支状況について決算という言葉を使っておりますが、単 年度収支状況と財政収支状況の説明をいたしまして、それぞれ別の観点からまとめられ ていることを示しております。  特に収入と支出の差引きにつきましては、前の方の財政収支では「収支残」と言って おりますが、こちらの方の単年度収支状況では「単年度収支残」となっており、名前も 異なっております。  この図表の一番右の「公的年金制度全体」の単年度支出の「その他」の欄でございま すが、これは昨年約四千億円余りとなっておりますが、それに比べますと、平成17年度 は大きな額となっております。  これは表の下の注5にありますように、厚生年金・国民年金の支出に財政融資資金繰 上償還等資金財源という、将来にわたる収入を伴う一時的な支出が、厚生年金・国民年 金も合わせまして、約4.3兆円あるためでございます。これは、6ページの財政収支状 況においても同じでございまして、この科目につきましては、9ページの中段のところ に注記ということで説明がございます。  12ページからは、ごらんいただきました図表の表側にあります各項目につきまして、 制度ごとの年次推移を見ております。  まず、収入項目でございます。  12ページは、保険料収入です。保険料収入は、被保険者数とその標準報酬、それと当 然ながら保険料率で動くわけですけれども、17年度のところをごらんいただきますと、 各制度とも増加しておりまして、13ページにございますように、各制度とも平成17年 4月あるいは9月に保険料率が引上げられておりまして、そのことが大きく寄与してい ます。  14ページからは、国庫・公経済負担の推移です。  基礎年金拠出金が増えておりますので、各制度とも増加しております。  なお、国庫・公経済負担につきましては、基礎年金拠出金の一定割合の負担のほか、 左下の○にもございますような目的でも繰り入れられております。  15ページの基礎年金拠出金の国庫・公経済負担は、平成16年度から引上げに着手さ れておりまして、平成17年度も引上げられております。  なお、言葉ですけれども「国庫・公経済負担」の「公経済負担」という表現ですけれ ども、地方公務員は地方自治体が、国家公務員も独立行政法人にいる方は独立行政法人 が負担するといったものなので、国庫だけではないということから、このような表現に なっています。  16ページは、追加費用でございまして、ごらんいただくとおり減少しております。  17、18ページは、運用収入でございます。  18ページに運用収入の推移がございます。かぎ括弧の中は時価ベースでございます。 全制度の年間の数値が得られました平成15年度以来、簿価より時価が高くなっておりま して、平成17年度が最大となっております。  なお、厚生年金と国民年金の積立金の運用は、年金資金運用基金の運用分と従来から の財政投融資への預託金からなっております。預託金につきましては、毎年の利息が簿 価ベースに収入として入ってくるのですが、年金資金運用基金の運用分につきましては、 少し複雑ということで、17ページの上半分ぐらいのところから、なお書きということで 説明しておりますけれども、簿価ベースの運用収入の制度間比較につきましては、注意 が必要です。  19ページも、時価ベースと簿価ベースが載っておりまして、これらから計算されます 運用利回りでございます。  20ページは、基礎年金交付金です。基礎年金交付金は、先ほど御説明申し上げました とおり、基礎年金相当給付費で、国民年金の基礎年金勘定から各制度に交付されるもの で、みなし基礎年金とも言っております。決算ベースの数字です。  21ページからは、支出項目になります。  21ページの給付費でございますが、制度ごとにごらんいただきますと、国共済はわず かずつ減少を続けておりますし、地共済はほかの被用者年金に比べてわずかな増加とな っております。  これらの制度は、過去の恩給等の制度を引き継いだ受給者も多く、年金額の大きい老 齢・退年相当の受給権者が高齢化し、徐々に減少しつつあるためと考えられます。  また、国民年金の国民年金勘定というものがここにございますけれども、主に旧法の 老齢年金の給付費ということもございまして、新規発生が少なく、減少しています。  22ページの基礎年金拠出金は、全体の必要額が増加しておりますので、各制度とも増 加しております。なお、この数字は決算ベースでございますので、後に見ていただく確 定値ベースとは異なっております。  23、24ページは、収支残の推移でございます。  23ページには、正確に御理解いただけるよう、先ほど御説明申し上げました収支残、 単年度収支残という二通りの見方について、再度説明させていただいております。  25ページからは、積立金でございます。  26ページに積立金の制度別の推移があり、27ページはヒアリングで報告を受けました 各制度の資産構成でございます。  26ページの積立金につきましては、先ほど申し上げましたけれども、公的年金制度全 体では、簿価ベースでは減少して193.2兆円ですが、時価ベースでは増加して204.9兆 円ということで、200兆円を超えています。そのうち厚生年金が約7割を占めておりま すけれども、厚生年金基金の代行部分はこの積立金には含まれていません。  ここまでが決算の状況でございます。  29ページからは、基礎年金拠出金、交付金に関しまして、確定値ベース、すなわち、 その年度に発生しました基礎年金給付費等のベースで見たものを観察しています。  29ページの中ほどに注記として書かれておりますが、先ほどごらんいただいた決算ベ ースのものとは異なります。  この29ページをごらんいただきますと、基礎年金交付金は各制度とも減少しておりま す。  一方、30ページの基礎年金拠出金は、各制度とも増加を続けています。  31ページに、算定の基礎数値の推移が載っております。真ん中ほどに基礎年金拠出金 算定対象者数合計(3)というのがございますけれども、この対象者数につきましては、平 成9年以来8年ぶりに増加しておりまして、被用者年金各制度でも、昨年よりは増加し ています。  この理由につきましては、33ページをごらんいただきたいと思います。  図表2−1−21でその内訳を見ていただきますと、一番右の合計の第2号被保険者の 総数も増えておりますし、その第2号に対する第3号の比率の全体も増えております。 各制度により違いますけれども、昨年よりも各制度とも増えているということでござい ます。  これにつきましては、32ページに書いてございますが、平成17年度からの第3号特 例届出措置の影響も寄与しています。  34ページからは、被保険者の状況でございます。  制度によりまして、被保険者、組合員、加入者と呼び名に違いがありますけれども、 ここでは総称して被保険者としております。  図表2−2−1は、制度別被保険者数でございます。  国共済と地共済は減少を続けていますが、厚生年金、私学共済は増加していますので、 結果として、被用者年金制度全体では3,762万人と増加しまして、公的年金制度全体で は、昨年の微増に続きまして、増加しています。  その動きは、35ページに図表でお示ししております。これは昨年までと少し変わって おりまして、制度ごとの規模の大小が誤解されないような図になっております。  36ページは、被保険者の年齢構成と平均年齢でございます。  37ページの図表は、年齢構成を男女別に示したものでございます。  厚生年金は、30代前半と50代後半に山があります。  国共済では30代前半が多く、地共済では50代前半が多くなっています。  私学共済では、若い年齢の女性が多くなっています。  右下のところに、公的年金制度全体がございますけれども、20〜59歳まで、合計でも そうですし、5歳階級ごとに見ましても、おおむね日本の人口と同じということになっ ております。  38、39ページは、被保険者の平均年齢の推移を見ております。少しずつ増加してきて おりますが、国共済と地共済は、平成17年度につきましては、若干低下してございます。  40ページ、図表2−2−7は、男女別の構成割合でございます。  制度ごとに見ていただきますと、女性割合は国共済が低く、私学共済が高くなってお ります。  その下の割合の推移を見ていただきますと、被用者年金各制度では、女性の割合が微 増を続けています。  図表2−2−8で、私学共済の14年度に「△1.2%」とありますが、これは中段にご ざいますような私学共済での適用拡大等の影響です。  41〜44ページまでは、標準報酬でございます。  平成15年度から総報酬ベースになっておりますので、標準報酬月額ベースと総報酬ベ ースの2つの数字が41、42ページにございますが、比較的均一な共済では高く、いろん な産業、職業のある厚生年金では低くなっております。  国共済と地共済では、男女差が小さくなっています。これは標準報酬額についても同 じ状況にあります。  44ページは、標準報酬総額の推移でございます。  これも総報酬ベースと標準報酬月額ベースの両方が載っていますが、厚生年金は、昨 年度に続きまして増加、国共済、地共済は減少、私学共済は増加を続けているという状 況でございます。  45ページからは、受給権者の状況でございます。  各制度の受給権者数は図表2−3−1のとおり、各制度とも増加を続けております。  ただ、この受給権者数の統計は、この文章にもありますように、1人の人が同一制度 内、あるいは幾つかの制度で複数の受給権を持っている場合は、それぞれで数えられる ということがございますので、重複があります。この重複を除きますと、何らかの受給 権を持っている人は3,287万人となっております。  受給権者数の動きは、46ページの図表2−3−2で示しているとおりでございます。 この図も、先ほどと同じように、制度ごとの規模の大小が誤解されないようになってい るものです。45ページの下の段の「対前年度増減率(%)」をごらんいただきますと、 被用者年金の伸び率は増えておりますけれども、伸び率に鈍化傾向が見られます。これ につきましては、46ページに少し書いてございます。  これは60歳に到達する日本全体の人口、昭和20年生まれごろの人口や、先ほどごら んいただきましたような被保険者等の各制度の人口構成によります新規裁定者数、ある いは受給者からの失権者数の状況によるものでございます。  47ページの図表2−3−3は、全額が支給停止になっている人を除きました受給者数 の状況です。動向等は、先ほどと同じでございます。  48ページは、年金受給権者を年金種別別に見たものでございます。  これらは従来と同じく老齢年金、退職年金という老齢給付を個々人の制度ごとの加入 期間の長さによりまして、老齢・退年相当と通老・通退相当という2つに分けまして、 あとは障害年金と遺族年金ということで、合計4つに分けて見ております。  老齢・退年相当などの説明は、48ページの注記にございます。  図表2−3−4では、制度ごとに4種類の構成を見ております。制度により構成は異 なっておりますけれども、昨年度と余り変化はありません。  この内容等につきましては、49〜51ページにかけまして、それぞれ説明を加えており ますが、昨年と比べ大きな変化はありません。  54ページの図表2−3−8は、今の年金種別別の年金総額を見たものでございます。  年金種別によりまして、一人当たりの年金額が違っておりますので、先ほどごらんに なっていただきました人数で見た構成とは違っています。  年金総額につきまして、上段は受給権者、下の方が受給者についてのものでございま して、上の方は裁定された年金額の総額ということで、この表の右端上の「公的年金制 度全体」にありますように、受給権者の年金額は、全部で47.3兆円となっております。 そのうち、中段の受給者の「公的年金制度全体」の計は全額停止されている者の分が除 かれたもので、45.6兆円となっております。  先ほど説明いたしました平成17年度中の給付費総額は、42.8兆円となっておりまし て、3つ数字が出てきておりますが、それぞれの違いにつきましては、資料1−3にあ ります用語解説の年金総額に触れておりますので、後ほどごらんいただければと思いま す。  この年金種別のうち、年金額で大きな部分を占めております老齢・退年相当について 見たものが、58ページからになります。  人数等につきましては、図表2−3−11にあるとおりです。ここに女性の割合が出て ございますけれども、これは、先ほどごらんいただいた被保険者での女性の割合をある 程度反映したものになっております。  59ページに受給権者の年齢構成を見ておりますが、国民年金は支給開始年齢が異なっ ておりますので、被用者年金と形が異なっています。  被用者年金では、厚生年金と私学共済のグループは前の方に高く、国共済、地共済の グループは後ろの方が高めになっているということで、2つのグループに分かれている ように見えます。  59ページの図表の下のところですが、これは昨年から掲載しております老齢・退職年 金の受給権者の平均年齢です。これを見ていただきますと、各制度とも伸びが大きくて、 5年間で増加幅が1歳を超えている制度もあります。特に男と女と計がありますけれど も、私学共済の男性が69.6歳ということのほかは計も含めて70歳を超えています。  60ページからは、老齢・退職年金の受給権者に関します平均年金月額でございます。 ここの数字は、基礎年金分や厚生年金基金の代行部分も含んだものを載せてございます。  図表2−3−14は、制度あるいは性別によりまして異なっています。これらはよく引 用される数字ということで承知しておりますけれども、比較する際に、表面的な数字だ け比べるのではなくて、60ページの表のすぐ上にあります留意点に注意する必要があり ます。  まず、(1)共済年金につきましては、いわゆる職域部分という部分がございまして、そ のため高くなっています。  (2)公的年金制度の年金額は、1階の部分も2階の部分も、原則加入期間に比例する形 になっていますので、加入期間の長短が年金額の大小に影響しています。  (3)男女の構成割合でございます。給付費を見る場合に男女の割合についても気をつけ る必要があるということですが、厚生年金では女子の加入期間が比較的短くなっていま す。  また、先ほどごらんいただきましたように、厚生年金や私学共済では、現役時代の標 準報酬も女子は男子に比べてかなり低く、年金額がどうしても低くなってしまい、女子 の割合が多い制度で見ますと、男女計の数字が低くなってしまうということがございま す。  この表の一番下の段の年金額でございますが、この内容を61ページで少し説明してご ざいます。  繰上げあるいは繰下げ、今、引上げ中ですけれども、60歳代前半の定額部分の支給開 始年齢の引上げの影響などを除いた数字でございます。  今、申し上げました定額部分の支給開始年齢の引上げに関しまして、62、63ページで ございます。  60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金、あるいは退職共済年金の定額部分の支給開始 年齢の引き上げの影響を見たものでございます。  平成13年度から61歳に引き上げられ、平成16年度からは62歳支給ということにな っておりますので、63ページの図表にありますように、61歳の方までは定額部分が出な いということで、年金額が低くなっております。  次は、男子と女子の関係ですけれども、共済の女子は男子と同じスケジュールで引き 上げられておりますが、厚生年金の女子は5年遅れということで、まだ引き上げは始ま っておりません。  平均年金月額の推移ということで、64ページをごらんいただきたいと思います。  被用者年金につきましては、ごらんいただきますように、平成12年から減少を続けて おりましたけれども、平成17年度は私学共済だけわずかに増加しております。ほかの制 度も、これまでに比べますと減少幅が小さくなっています。平成17年度は、物価スライ ドによる年金改定がなかったことの影響が考えられます。  なお、国民年金につきましては増加を続けておりますが、理由として65ページの平均 加入期間が国民年金では大きく伸びていることが挙げられます。  被用者年金が最近減少を続けている理由につきましては、66ページに、給付乗率の小 さい年金が年々加わってくることや、物価スライド等々、5点ほど要因を掲げておりま すが、これらの要因が重なったことによるものと考えられます。  67ページからは、各制度の財政状況を財政指標で見たものでございます。  67〜71ページまでは、財政指標の定義と説明ですので、省略させていただきます。  72ページは、年金扶養比率でございます。  年金扶養比率は、1人の老齢・退年相当の受給権者を何人の被保険者で支えているこ とに相当するかを示すものでございますが、73ページの図表2−4−2、あるいはその 下の図表2−4−3をごらんいただきますと、単調に減少しています。受給権者に比べ まして、被保険者の伸びが小さいということがわかります。  74ページは、この年金扶養比率を補足する指標としての年金種別費用率で、14年度か ら掲載しております。  75ページの上の方には実際の率、下の方で構成割合を見ております。  総合費用率の中には、年金種別費用率のほかに、拠出金の費用率も入っているという ことで、そういう影響も受けているということでございます。  76ページの総合費用率でございます。  総合費用率は、77ページにその推移がございますが、分母になります標準報酬が平成 15年度に総報酬制になり、分母が変わりましたので、標準報酬月額ベースと総報酬ベー スの2段書きで書いております。  各制度とも上昇しておりますけれども、ごらんいただきますように、国共済だけ16 年から減少しております。これは、76ページの本文のところにもございますが、国共済 と地共済の財政調整が始まったことによるものでございます。  図表2−4−8の注2にありますように、この前の年金種別費用率もそうですし、こ の総合費用率以降の財政指標もそうですけれども、ここの厚生年金には基金の代行部分 は含まれていないということで、制度間を比較する際には注意をしていただきたいと思 います。  79ページの図表2−4−11でございます。総合費用率は、上段にありますように、積 立金及びその運用収入がない状態で財政運用を行う場合の保険料率に相当するものであ り、それと、現在の積立金もあり、運用収入もあるもとでの保険料率との比較でござい ます。各制度とも最近は総合費用率が保険料率より高く、当年度の費用を賄うのに保険 料に加えて、運用収入等を充てているということをお示ししておりますが、このことは 既に各制度の財政再計算による見通しで示されておりますし、16年度の当部会におきま す検証の中でも、詳細な分析を行っているところでございます。  82ページからは、総合費用率を独自給付費用率と基礎年金費用率に分けて見たもので ございます。  83ページの図表2−4−14の独自給付費用率は、全体を示す総合費用率と同様に増加 しておりますれども、国共済につきましては、総合費用率と同じ理由で低下しています。  84ページは、総合費用率は独自給付費用率と基礎年金費用率を足したものですが、残 りの基礎年金費用率は各制度とも横ばいでございます。  85ページは、収支比率でございます。  図表2−4−18は、簿価ベースでは厚生年金も国民年金も100%を超えていますけれ ども、時価ベースではいずれも100%を下回っています。これは、86ページにあるよう に収支比率の分母である保険料収入と運用収入の合計が大幅な増加になっていることに よるものでございます。  87ページは、積立比率でございます。  積立比率は、国共済を除きまして、わずかに低下してございます。  先ほどの収支比率の場合は、運用に関しましては、運用収入そのものを使っていて、 簿価と時価で大分違いがあり影響が大きいのですが、積立比率の場合は積立金を使って いて運用収入ほど簿価と時価の差が大きくないということで、積立比率はその動きに影 響されて、そんなに大きな動きにはなっていないということでございます。  第2章の最後、88、89ページでございますが、これらの財政指標をまとめて見られる ように、レーダーチャートという形で示しております。それぞれの形は昨年と変わりま せんが、大きさは違っておりまして、厚生年金と私学共済は似たような形。また、国共 済と地共済は似たような形。これも88ページでコメントをしております。  続きまして、資料1−2をごらんいただきたいと思います。「第3章 平成16年財政 再計算結果との比較」でございます。  第3章では、これまで見ました平成17年度の実績と平成16年財政再計算によります、 平成17年度の見通しの2つの数値の比較、乖離状況について分析しているものでござい ます。  財政再計算は、おおむね現実をシミュレートしているものですけれども、細かな比較 をしようとすると少し違うところもあり、それらを90〜92ページまで、留意点というこ とでまとめてございます。これも例年と同様な留意点がほとんどですけれども、それ以 外に今回、2点ほどございます。  1つは、91ページの(6)でございます。  基礎年金拠出金の国庫・公経済負担が、平成16年再計算の数値をまとめる際の後に引 上げが行われておりまして、実績には入っておりますが、見通しには入っておりません ので、見通しにその改正を反映した数値に加工しています。  これにつきましては、資料1−3の補遺の1にございますので、後ほどごらんいただ きたいと思います。  もう一つは、92ページの(10)でございます。  国共済と地共済は、一体とした財政再計算を行っている一方、前回のヒアリングにあ りましたとおり、決算はそれぞれ個別に行っているという事情がございますので、年金 数理部会といたしまして、国共済と地共済の実績を合算した「国共済+地共済」という 数値も作成いたしまして、国共済、地共済別のほかに、国共済+地共済の比較もしてい るということでございます。  これから比較を見ていただきますけれども、92ページの一番最初の段落にありますよ うに、厚生年金、国民年金につきましては、将来見通しの作成の基となりますデータの 翌年度の平成15年度から、将来見通しの公表の初年度であります平成17年度までの途 中の将来見通しについても報告を受けておりますので、その実績との比較も行っていま す。  93ページからが、比較の結果でございます。  最初の93〜96ページは、保険料収入の乖離です。  93ページは、乖離の見方でございます。図表3−2−1の保険料収入額の厚生年金で 見ていただきますと、まず実績がございます。実績推計というのも留意点にございます が、再計算と比較するための実績推計でございます。それから、再計算、実績と再計算 の差、再計算に対する割合ということになっております。  保険料収入の乖離につきましては、財政再計算と保険料率は当然同じですので、96ペ ージのところの標準報酬総額の違いで見ていただきますと、厚生年金は実績が上回って いますけれども、標準報酬を被保険者数と一人当たりの標準報酬総額という見方で分け て見ますと、被保険者数の実績が上回ったことによるものでございます。  国共済+地共済、私学共済は、標準報酬の実績が見通しを下回っておりますけれども、 これは一人当たりの標準報酬の実績が下回った影響の方が大きかったためでございます。  97ページは、国庫・公経済負担でございます。  図表3−2−3の厚生年金の欄を見ていただきますと、再計算の欄の中に括弧書きが あります。これは先ほど申し上げました、平成17年の改正による基礎年金拠出金の国 庫・公経済負担の引き上げ分を反映したものです。再計算では織り込んでいない、それ 以後のものを反映した値を年金数理部会で推計して加工したものでございます。  以下、これと同じようなものが入っているといます。  98、99ページは、運用収入と運用利回りでございます。  いずれも、実績が上回っていることがごらんいただけると思います。  100ページは、実質的な支出額について比較しています。  財政再計算での推計項目は、制度によって違っております。給付といった項目では比 較できないということで、実質的な支出額で比較しています。  101ページは、受給者数でございます。国共済+地共済、私学共済は実績が下回りま したけれども、右下にあります国民年金は、実績の方が上回っています。  102〜105ページまでは、基礎年金関係の事項に関する比較でございます。  106ページは、積立金の比較をしています。簿価、時価の両方が載っておりますが、 すべての制度で実績が上回っております。  107ページの図表3−2−12ですが、これは今までごらんいただいた財政収支の項目 ごとの乖離につきまして、各制度からいただいた理由等をそのまま載せております。  この財政収支の中には、収支残という項目がございますが、厚生年金と国民年金につ きましては、区分のところにありますように、今回のような平成16年財政再計算と比較 するための実績推計に関するものでありまして、資料1−1で御説明いたしました財政 収支状況、単年度収支状況とは異なっているということに御注意いただきたいと思いま す。  108ページからは、財政指標についての比較でございます。  まず、年金扶養比率でございます。  109ページのところに動きがございますが、厚生年金、国共済+地共済、私学共済は、 それぞれ程度の差こそあれ、実績の方が見通しを上回っております。いわば支える側が 楽になっています。  図表3−3−3にありますように、その理由としまして、厚生年金と私学共済は被保 険者数の実績が見通しを上回ったということが主な要因で、国・地共済は、逆に分母の 老齢・退職年金の実績が見通しを下回ったということが主な要因と見られます。  図表3−3−1のところで、実績と再計算の数値を比べていただきますと、実績と見 通しの差が縮まってきているという様子も伺えます。  110ページからは、総合費用率と独自給付費用率についての比較でございます。  111ページに図表3−3−5がございますが、どの制度も実績が将来見通しをわずか に上回っておりますが、制度ごとに費用の状況の違いが線の高さでごらんいただけます。  114ページからは、収支比率でございます。  収支比率につきましても、運用収入を用いることから、簿価と時価がございますが、 図表3−3−8にその動きがあります。  どの制度も実績が見通しを下回りまして、見通しを下回るということは、収支比率が 下回るということで、財政状況がよいということなので、財政状況としてはよい方向に なっております。  それから、先ほど申しました厚生年金と国民年金は、実績の100%を下回っておりま すが、これはもともとの見通しの上では100%を超える見通しになっていましたけれど も、実績は100%を下回ったということでございます。  118〜120ページは、積立比率でございます。  積立比率の場合には、積立金を用いますけれども、これは17年度末ではなくて、16 年度末の積立金を使っています。  同じように簿価、時価がありますが、積立比率の推移は、119ページの図表のとおり でございます。  厚生年金と私学共済は、実績は将来見通しを下回り、国共済+地共済は上回っていま すが、いずれもわずかずつです。  121ページからは、これまで見てまいりました乖離について、どうして違いが出てき ているのかを分析しているものでございます。  本年度の乖離の分析は、例年行っております積立金と、昨年度初めて分析しておりま す収支比率と積立比率を今年も行ったということでございます。  まず、積立金の実績と将来見通しの乖離の分析でございます。  121ページのところにも書いてございますけれども、積立金は収入と支出のすべてが 集約された結果ですので、積立金の乖離分析を行いますと、それぞれの要因全体が財政 に与えている影響を見ることができます。  まず、120ページの図表3−3−12にありますように、17年度の積立金はすべての制 度で実績が見通しを上回っています。  16年度の場合には、国共済が下回っている以外、各制度は上回っていますが、一方、 17年度の積立比率は先ほど申し上げましたとおり、国共済に加えまして、厚年、私学の 実績が将来見通しを若干下回っているという状況で、積立金の額そのものの動きとも少 し違います。  121ページの第2段落に書いてありますように分析をしていますが、公的年金では財 政全体を長期的に見ますと、名目賃金上昇率に応じて増減すると考えられます。  例えば運用利回りが見通しより低くても、賃金上昇率の方も見通しより低ければ、実 績が財政再計算の見通しから仮にずれていたとしても、財政的には大丈夫と言える場合 がありますので、それは結局どうなのかというのをここで分析しています。  123ページの図表3−4−1をごらんいただきたいと思います。  名目運用利回り、名目賃金上昇率、実質的な運用利回りにつきまして、制度別に、実 績と平成16年財政再計算で使用したものを載せております。  この実質的な運用利回りといいますのは、この表の注2にございますけれども、名目 賃金上昇率を基準としたときの運用利回りということで、近似的には、名目運用利回り から名目賃金上昇率を引いたものが近い値になります。  124ページは、先ほどごらんいただいた積立金の実績と将来見通しの差を見ているも のです。  厚生年金では、平成17年度末の将来見通しは164.0兆円ですが、実績の方は174.2 兆円とで、乖離が10.2兆円でございます。乖離率は6.2%ですが、その発生要因を以下 で分析しています。  125ページの図表3−4−3に、まず第1段階の分析結果を載せております。  厚生年金で見ていただきますと、10.2兆円の乖離のうち、名目運用利回りが予定より も高かったことによるものが7.2兆円、それ以外は3.0兆円ですが、それ以外の中の名 目賃金上昇率以外の経済要素、例えば物価上昇率、年金改定率ですが、これと名目賃金 上昇率との比率によるものが△0.3兆円。  人口要素、たとえば被保険者の違いなどによるものが、△0.6兆円ということでござ いました。  制度別にごらんいただきますと、発生の要因の効き具合が少しずつ違うことがわかる と思います。  126ページの図表3−4−4は、これを少し詳しくしたものです。  図表3−4−3で一番影響の大きかった名目運用利回りの違いを「名目賃金上昇率」 と先ほどの「実質的な運用利回り」に分けてみるということで、127ページの図表3− 4−5をごらんいただきますと、この分析の仕方でございます。  17年度末におきます積立金の乖離分析は、まずは1)16年度末で足元のところでどれ ぐらい違ったか。2)17年度に関しては、名目運用利回りの部分とそれ以外の部分に分 けまして、名目運用利回りの分は実質的な運用利回りの分と名目賃金上昇率の分に分け るという枠組みでございます。  公的年金制度全体の財政の動きは、名目賃金上昇率の動きがベースとなっております ので、実績と見通しにおきます名目賃金上昇率の違いは考えなくてもいい。つまり、名 目賃金上昇率の違いによる分は、財政全体のふくらみ具合にしか効いていませんから、 その違いを除いた実質的な財政を見ていくということで、この127ページの枠組みに従 い計算した結果が、128ページの図表3−4−6でございます。上の段が実数、下の段 が構成割合ということでございます。  この厚生年金のところを見ていただきますと、17年度末の全体の乖離、16年度末積立 金の乖離分と分け、17年度に関する寄与分として、大きく「名目運用利回り」と「運用 収入以外の収支残」に分け、それぞれを更に分けるという形になっております。  このうち、名目賃金上昇率の違いによる影響を除いたもの、つまり、財政再計算で名 目賃金上昇率だけ実績と同じ数値を使って計算をし直した財政見通しを作ります。そう しますと、名目賃金上昇率は同じものを使っていますので、名目賃金上昇率の違う影響 というのは除かれることになります。その結果が、129ページの図表3−4−7という ことでございます。  平成16年度末積立金の乖離分はそのままとしまして、17年度のこれらの寄与のうち の名目賃金上昇率に関する分だけ抜いたものということで、例えば厚生年金で見ますと、 17年度分が8.7兆円とり、16年度末の分と合わせますと、実質的な乖離は3.8兆円と 8.7兆円を足して12.5兆円というプラスになっていると見られます。  名目賃金上昇率以外の要素や、人口要素による影響はマイナスで、実績の方が若干悪 くなっていますけれども、実質的な運用利回りが9.7兆円ということで、12.5兆円の8 割を占めています。これはほかの制度も同じ傾向になっております。  数字ばかりを述べておりましたが、この効果をグラフにしたものが130ページでござ います。これは各制度ごとに、実績の簿価、時価別に棒を3本ずつならべたグラフです。  130ページの厚生年金の左にグラフの見方がありますが、一番左の棒は、再計算の将 来見通しそのものでございます。ただし、各制度共通で見るために100に換算しており ます。  真ん中の棒は、実績でございます。  右端の棒は、見通しであります左端の棒につきまして、名目賃金上昇率の違いを除く ために、名目賃金上昇率を財政再計算の前提の数値から、実績の数値に置き換えて算出 したものです。ですから、「名目賃金上昇率の違いを除いた場合の推計値」と言っており ます。  ですから、実績と将来見通しの積立金につきまして、「実質ベースの乖離」というのは、 真ん中の棒と右端の棒の高さの差で、この図表の見方にあります上向きの矢印で示され ているということでございます。  額といたしましては、前のページで先ほど御説明しました名目賃金上昇率の影響を除 いた寄与分アとイの合計ということになってございます。  ごらんいただきますように、右端の棒は、一番左端の将来見通しよりも、各制度とも 小さくなっている。これは賃金上昇率の実績が見通し分より低いためですけれども、低 くなっているということで、実績の積立金の真ん中の棒との実質ベースの乖離につきま しては、単純に左の見通しと真ん中の実績を比べたよりも、更に大きいということがわ かります。  右下のグラフは、この実質ベースの乖離、真ん中の棒と右端の棒の高さの差を先ほど ごらんいただいた寄与分に分けて見たものでございます。  どの制度も実質的な運用利回りが将来見通しと異なった影響がプラスで最も高く、次 いで16年度末の積立金が実績と乖離した分がプラスで大きいという共通の状況になっ ています。  以上のことから、積立金から見た年金財政の観点からの評価は、128ページの末尾か ら9ページにかけてございますけれども、各制度とも年金財政の観点から見れば、実績 の方が将来見通しよりもよい方向に推移しているということを意味しているものでござ います。  132ページ、次は2つ目の分析、収支比率の乖離の分析でございます。  133ページの図表3−5−1が、実績と将来見通しの乖離の状況で、各制度とも実績 が将来見通しを下回っている、財政状況がよくなっているということです。厚生年金で すと、25.1%下回っています。  下のところに3つの○がありますけれども、この3つの要因に分けたというのが、134 ページの図表3−5−2でございます。  収支比率というのは、分子割る分母ということで、分子は総合費用。つまり、実質的 な支出から国庫・公経済負担を除いたものです。分母は自前財源であります保険料収入 と運用収入の合計です。それを頭に置いて見ますと、図表3−5−2の厚生年金ですが、 △25.1%の違いのうち、分子の総合費用がプラス2.7%、実績の方が見通しを上回った ということですが、一方、分母の保険料収入と運用収入がマイナス27.1%となっていま す。  保険料収入と運用収入は、どちらも実績の方が見通しよりも大きかったということで すけれども、計算式で言うと分母に出てきますので、収支比率を小さくする方向に働く ということで、マイナスの効果になります。  制度ごとにごらんいただきますと、保険料収入につきまして、実績が見通しを上回っ た国共済もマイナスの効果ですけれども、ほかの制度は保険料は実績が見通しを下回っ ているということで、収支比率を大きくする方向なのでプラスでございます。  どの制度にも共通なのは、ごらんいただきますように、実績が見通しを上回った運用 収入の大きなマイナスの効果ということでございます。  135ページは、運用収入が将来見通しと異なることを3つの要因に分けて見たものと いうことで、これも名目運用利回りが将来見通しを上回ったことが大部分ということで ございます。  136ページからは、3つ目の分析、積立比率の乖離分析でございます。  この積立比率の乖離分析は、実績と将来見通しの乖離は余り大きくなくて、実際に分 析しているのが137ページでございます。前年度末の積立金と総合費用に分けて見てい るものですが、厚生年金では総合費用の実績が見通しを上回りましたけれども、分母を 大きくして、積立比率を小さくする方向なので、マイナスの効果です。  前年度末の積立金の実績は、見通しを上回っており、分子になっておりますので、プ ラスの効果ですけれども、その上回る率は小さいということから、効果も小さいという ことでございます。  ほかの制度も同様でございます。  138ページは、収支比率と積立比率の乖離の状況を見たものです。  図表3−5−6ですけれども、収支比率につきましては分子として、積立比率の場合 には分母として総合費用が入っておりますので、その総合費用の乖離の寄与分を100と しまして、ほかの要因の寄与分がどうなっているかというのを見たものでございます。  各制度とも総合費用の違いに比べまして、運用収入の違いが大きいということで、収 支比率を大きく低下させることになっています。  それから、先ほどありましたけれども、前年度末の積立金の違いの寄与というのは、 この図表3−5−6の下の段にありますが、割合で見ていただきますように、総合費用 と比べて比較的小さく、総合費用の乖離もそれほど大きくなかったので、積立比率の乖 離は小さいものとなったということでございます。  139ページからは、補遺でございます。先ほど申し上げました3つの分析に使った方 法等をまとめております。  補遺1は、17年の改正によります基礎年金拠出金の国庫・公経済負担の引き上げの折 り込み方法等について書いています。  補遺2、3、4は、積立金、収支比率、積立比率の乖離の分析方法です。  149ページは、その分析の基礎データです。  150ページの補遺5では、先ほど積立金の乖離分析の前提で、経済要素の公的年金財 政の影響について検討を加えたもの。つまり、公的年金では、全体の財政が名目賃金上 昇率で動いていくという前提に基づいて分析を行っておりますけれども、それが正しい かどうかという検証を行ったものです。  昨年と同様に掲載しておりますが、若干御説明します。  150ページの中段辺りですが、年金数理部会で「平成16年財政再計算に基づく公的年 金制度の財政検証」の資料を基に見たもので、経済前提を変えた場合の給付費の見通し を各制度からいただいて、報告書にまとめております。  給付費ですので、運用利回りには関係がない。物価上昇率は同じ1.0%ですので、こ の給付費の動きというのは、賃金上昇率だけ動くということになっております。152ペ ージの図5−1は、経済前提が変わった場合の給付費の伸び率の比較です。具体的には 給付費ですので、賃金上昇率だけの違いです。このグラフは上と下と分かれています。 経済変更2の上のグラフを見ていただきますと、2040年以降のような定常的な状態にな りますと、給付費の伸び率の違いが0.4%程度ということになっております。これは経 済変更が賃金上昇率の2.1%から2.5%、0.4%変更したことによって、伸び率の違いが このぐらいになるということで、ほぼ同じということで、結局給付費の伸びと賃金上昇 率の伸びがほぼ同じになっていることがわかるということでございます。  次は、3冊目の資料1−3でございます。これは付属資料でございます。  公的年金に関しますこれまでの推移や統計表を載せています。156〜158ページまでは、 これまでの制度の推移でございます。  159ページからは、長期時系列表−1ということで、被保険者数などにつきまして、 制度横並びでの推移を見たものでございます。  166ページからは、長期時系列表−2ということで、制度ごとの収支の推移を見たも のでございます。  179ページからは、長期時系列表−3ということで、これは昨年から掲載されている 統計表でございますが、財政指標に関する推移を掲載しております。  179ページは、昭和45年からの年金扶養比率が載っておりますが、180ページの財政 指標については、昭和61年からになっています。これは基礎年金制度が始まった時点で あるということと、昭和59年度までは、共済年金の国庫・公経済負担は、現在は給付時 負担ですが、当時は保険料拠出時だったということで、厚生年金等及びその後の系列と 比較できないためでございます。  また、この財政指標につきましては、年金制度が長期の制度ですので、最近だけでは なく、長期の動向を見る必要があり、そのためにも有用ではないかと考えます。  182ページは、経済等の状況でございます。  183ページ以降の用語の解説につきましては、ページは引用しておりませんが、本文 に現れたときの用語が引きやすいように五十音順になっております。  また、下線が引いておりますが、これはこの用語解説に取り上げられていて、その説 明がこの中にありますということで、両委員会での検討によりまして、用語を追加した り、説明が詳しくなったりしています。  200ページ以降につきましては、被用者年金の給付構造、あるいは202ページの公的 年金制度の財政収支の概念図など、本文をごらんいただくのに便利な資料等が載ってご ざいます。  資料2は、以上御説明してまいりました資料1−1、1−2、1−3を要約いたしま した要旨でございます。  今回の平成17年度版に初めて載りました単年度収支状況を、2ページに掲げてござい ますが、それ以外は、昨年度版と大きく変わったところがございません。本文の要約に なっております。  最後の6、7ページに、先ほど御説明いたしました積立金等の乖離分析、6ページの ところには、棒グラフだけでエッセンスが載っていますが、こういったところの記述も 去年と同じでございます。  なお、新しく追加になった2ページにつきましては、先ほど御説明申しましたとおり、 単年度収支状況が年金財政の観点からのもので、財政再計算と比較して評価すべきこと と、 注記になっておりますけれども、単年度収支予算というのは、事業運営の観点から行わ れている決算の収支残とは異なるということを、本文から引用し、そのまま書いており ます。  なお、将来見通しの比較につきましては、国共済と地共済の合計は、昨年はありませ んでしたけれども、今年は載せてございます。  長くなりましたけれども、御説明は以上でございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。ただいまの事務局の説明あるいは報告書(案)につきまし て、御意見、御質問があればお願いします。よろしいでしょうか。  それでは、特に修文が必要との御意見はないようでございますので、これをもちまし て、本部会の平成17年度公的年金財政状況報告とさせていただきたいと思いますが、よ ろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○山崎部会長   異議がないということですので、これを本部会の報告とさせていただきたいと思いま す。  それでは、本日は、これをもちまして終了したいと思います。どうもありがとうござ いました。 以上 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)