07/11/29 第2回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会議事録 第2回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会 日時 平成19年11月29日(木) 14:00〜 場所 厚生労働省労働基準局第1・2会議室(16階) ○中村医事係長 これより「第2回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会」 を開催いたします。まず、資料の確認をお願いいたします。本日の資料は、資料1「第1 回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会の検討結果(案)」、資料2「検討 の論点」となっています。資料に不足のある方はいらっしゃいませんでしょうか。それ では、山口座長、進行をお願いいたします。 ○山口座長 では、早速議事に入ります。本日、議題は2つあります。1つ目は、先日 行った第1回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会の検討結果、2つ目は、 オンライン請求による医療機関等の事務処理の軽減化等円滑な事務についてでございま す。まず、議題1の第1回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会の検討結果 についてです。前回の検討会において、検討した内容をまとめるよう事務局にお願いし ました。事務局において、検討内容を資料1の第1回労災レセプトの効率的な事務処理 に関する検討会の検討結果(案)にまとめています。資料は、全部で6頁になっていま すので、いくつかに分けて検討します。まず、資料1の1の「レセプトのオンライン請 求に関する現状」を説明してください。 ○中村医療専門官 それでは、第1回労災レセプトの効率的な事務処理に関する検討会 の検討結果について説明します。資料1をご覧ください。前回の会議で議論された内容 をまとめています。まず1のレセプトのオンライン請求に関する現状について説明しま す。健康保険及び国民健康保険のレセプトのオンライン請求の状況ですが、まずレセプ トのオンライン請求への動きを記載しています。平成17年12月1日に政府・与党医 療改革協議会において医療制度改革大綱が策定され、平成23年度当初から、原則とし てすべてのレセプトがオンラインで提出されるものとすることが決定されたこと。これ を受けて、省令が改正され、平成18年4月から、これまでの紙又は電子媒体に加え、 オンラインによるレセプトの請求が可能となったこと。省令により段階的にレセプトの オンライン請求が義務化されることとなっており、平成23年度には原則として保険医 療機関及び保険薬局が審査支払機関に提出する全てのレセプトがオンライン化されるこ とを記載しています。  次に1ページ中段のイのシステム等の概要ですが、健康保険及び国民健康保険のオン ライン請求においては、保険医療機関等と審査支払機関、審査支払機関と保険者等を、 全国規模のネットワーク回線で結び、レセプト電算処理システムにおける診療報酬等の 請求データをオンラインで受け渡すためのシステムを整備していること。オンライン請 求システムのネットワーク、オンライン専用の認証局及び基本的なソフトウェアの構築 については、社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険中央会が共同で基盤整備を行 っていること。オンライン請求システムのネットワークに接続するための電気通信回線 及びパソコンについては、保険医療機関等が設置していること。1ページ最後の行です が、保険医療機関等は、支払基金が無償提供している送信用ソフトウェアを介してレセ プトのオンライン請求を実施することとなっていること。2ページ3行目ですが、レセ プトのオンライン請求に当たっては、審査支払機関の専用認証局が発行する電子証明書 が必要であり、その有効期間は3年、発行事務コストは4,000円となっていることを記 載しています。  2ページのウのレセプトのオンライン化のためのセキュリティについては、厚生労働 省保険局において、「レセプトのオンライン請求に係るセキュリティに関するガイドラ イン」が策定されていること。ISDN回線を利用したダイヤルアップ回線又は閉域I P網を利用したIP−VPN接続を用い、外部からの不正アクセスを防止していること を記載しています。エの健康保険におけるレセプトのオンライン化の状況においては、 平成19年9月30日現在の健康保険におけるレセプトのオンライン請求の実施率につ いては、400床以上の病院は42.0%、400床未満の病院は2.3%、診療所は 0.2%、調剤は2.0%であることを記載しています。  2ページ中段より下のオの健康保険における既存の請求とオンライン請求との違いで は、健康保険において、レセプトのオンライン請求を実施することにより、既存の紙又 は電子媒体による請求と比べ、(ア)の既存の請求に比べ受付時間が延長される等5点の違 いを記載しています。  次に3ページの(2)の労災保険のレセプトの状況については、2段落目ですが、平成1 2年度から労災指定医療機関が労災診療費レセプトの電子媒体による請求を行うことが できるように対応しているが、労災指定薬局については、電子媒体により請求すること はできないこと。3段落目には、医療機関で使用するレセプトコンピュータにおいて、 労災診療費レセプトの電子媒体による請求を行うことができるように対応されているも のがほとんどないという状況にあり、それは、健康保険等における電子レセプトの記録 方式と労災保険の電子レセプトの記録方式に互換性がないことが原因の1つと考えられ ること。4段落目には、アフターケア及び二次健康診断等給付のレセプトの電子媒体に よる請求は現在できない状況にあることを記載しています。以上です。 ○山口座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明について、何かご質問、 ご意見はありますでしょうか。ここは、現状をまとめたところですから、そんなに問題 はないかと思います。それでは、ご意見、ご質問がなければ、次に進みます。  次は、資料1の2労災診療費レセプトのオンライン請求の実施に係る検討の(1)と(2) を説明してください。 ○中村医療専門官 3ページの2の労災診療費レセプトのオンライン請求の実施に係る 検討について説明します。(1)のオンライン請求の実施の必要性については、健康保険等 において、国の方針として医療のIT化を推進しており、今後、レセプトのオンライン 請求が一層進むことが予想されるが、今後とも労災保険のレセプトのオンライン請求を 実施しないということになると、国が進めている医療のIT化の推進施策との整合性を 著しく欠くこととなること。3ページ下から2行目の「さらに」以降ですが、健康保険 等において、平成23年度には原則として全てのレセプトがオンライン請求されるとし ている中にあって、労災保険のレセプトを従来どおり紙レセプトにより請求を行うこと とすると、健康保険等のレセプトのオンライン請求を実施している労災指定医療機関等 において、レセプトに関する事務処理が非常に煩雑となり、非効率な事務処理を行わな ければならないこととなること。  4ページ5行目ですが、レセプトのオンライン請求を実現した場合、(1)レセプトの提 出前にシステムによる事前チェックが可能となり労災指定医療機関等において適正なレ セプト請求が図られること、(2)レセプトの搬送時における破損や紛失を防ぐことができ ること、(3)システムによる事前点検等により、国において的確な審査が実施できること、 (4)レセプトデータの集積により国において労災保険給付の迅速な事務処理ができること 等が可能となると考えられること。4ページの中段ですが、このような状況を踏まえる と、労災保険においても、健康保険等と同様に、レセプトのオンライン請求を実現する ための環境を整える必要があること。4ページの「しかしながら」以降ですが、労災保 険のレセプトのオンライン請求を義務化することについては、今後の健康保険等のレセ プトのオンライン請求の実績を踏まえて慎重に検討するべきであることが記載されてい ます。  次に4ページの(2)のオンライン請求を可能とする時期については、健康保険等におい ては、段階的に保険医療機関等から審査支払機関に提出するレセプトのオンライン化が 進み、平成23年度には原則として全てがオンライン化されることとなっていることか ら、健康保険等においてオンライン請求を実現している医療機関等において、労災保険 におけるオンライン請求の実施が求められた場合に対応可能となるように、遅くとも平 成23年度中にはオンライン請求が可能である環境を整える必要があること。「また」 以降ですが、アフターケア及び二次健康診断等給付のレセプトのオンライン請求につい ては、労災診療費レセプトのオンライン請求を可能とした後に、段階的に可能とする必 要があることを記載しています。以上です。 ○山口座長 ただいまの説明について、何かご質問、ご意見はありますでしょうか。 ○森先生 基本的なことなのですが、二次健康診断等給付という給付内容を教えていた だきたいのですが。 ○中村医療専門官 二次健康診断等給付については、事業所で行う一次健康診断におい て、血圧検査、血中脂質検査、血糖検査、BMI肥満度の測定の検査項目の全てにおいて 異常所見があると診断された場合に受けられることができます。二次健康診断等給付は、 労災保険の保険給付として給付しています。なお、この4つの検査項目のうち一部にお いて、異常なしの所見と診断された場合であっても、産業医が異常の所見を認められる と診断した場合には、産業医の意見を優先して二次健康診断等給付を受けることができ ます。 ○森先生 現在、二次健康診断等給付に関して、オンライン請求ができていないわけで すか。 ○中村医療専門官 そうです。 ○森先生 わかりました。ありがとうございました。支給件数は結構あるのですか。 ○山口座長 どのぐらいありますか。 ○中村医療専門官 すみません。今、手元に資料がありませんので、のちほど回答させ ていただきます。 ○森先生 わかりました。 ○山口座長 (2)の「また、アフターケア」の2行前ですが、遅くとも平成23年度中 にはオンライン請求が可能である環境を整える必要があると書いてあります。これは請 求が可能な環境なのですね。その上の(1)の下から4行目、オンライン請求を実現する ための環境を整えると書いてあります。うまくあっていない気もしますがいかがですか。 こちらは平成23年度と書いてあるから、かなり具体的な話で、その辺までに環境整備を しなさいという話でしょう。下はそういうのが入っていないから、むしろ実現する方向 で検討する必要があるとか、そんな感じだという気がしますが、これでいいのですか。 ○中村医療専門官 (1)のほうは、オンライン請求ができるようにするべきかどうかとい う話なので、(1)の場合は、やるべきだという言い方なのです。やるのだったらいつな のかは(2)になります。 ○神保課長補佐 第1回目の検討の論点で、先生方にご議論をいただくものとして、い まはオンライン請求が不可能な状態なのだと、それを今後可能とすべきかということで お諮りしていただいたところ、可能とするために環境を整える必要があるということで、 平仄を整えさせていただければ有難いと思います。 ○山口座長 これは微妙なところですから、石井先生、森先生、いかがですか。お2人 にご異存がなければ、これでよいと思います。清谷先生はいかがですか。 ○清谷先生 実現できる環境は可及的速やかにしていただけると、オンライン請求をし たいところができて、受益者に対してはある意味親切であると思います。あまり無理な 計画は難しいと思いますから、そういう意味では、ある程度の目安を作っておくことが よろしいと思います。確かに平成23年度で、診療所を含めて義務化という方向性が健康 保険側では出ているので、そういう意味では、それほどタイムラグなしに動くとなれば、 それはよいのかと思います。 ○石井先生 例えば、(2)の上から6行目については、(1)がオンライン請求を可能と する環境という内容だとすると、ニュアンスが変わってくるので、「請求が可能である 環境を整える」という書き振りを「請求を可能とする環境を整える」と変更してはいか がでしょうか。 ○神保課長補佐 いま石井先生がおっしゃったように、請求を可能とする環境というこ とで、こちらが最初お願いしていた論点とも平仄が合いますので、もしご異論がなけれ ば、そのような形でまとめたいと思います。 ○山口座長 文章表現としては「請求を可能とする」というほうがスムースですかね。 それでは、これでよろしいですか。 (了承) ○山口座長 他に何かありますでしょうか。 ○森先生 (1)の下から3行目「しかしながら、労災指定医療機関等に労災保険のレセ プトのオンライン請求を義務化することについては、今後の健康保険等のレセプトのオ ンライン請求の義務化及びその実績を踏まえて慎重に検討すべきである」というところ です。書いてある内容はもちろんですが、これだけですと、健康保険等のレセプトのオ ンライン請求の義務化とその実績を踏まえてとなってしまうので、「及びその実績等」 にしていただければと思います。環境的に、請求が非常に少ない薬局とか、当然義務化 されると困る所もありますので、これだけだとオンライン請求だけを検討して義務化と 読めないかと。ですから、「実績」の後に「等」をつけていただけるといいと思います。 ○山口座長 それはどうですか。 ○中村医療専門官 「実績等」とは、どういうことですか。 ○森先生 オンライン化だけではなくて、その他諸々のことを検討しながらという意味 です。 ○中村医療専門官 いろいろなことを検討して、総合的に判断してという意味ですね。 ○森先生 そういうことです。 ○中村医療専門官 わかりました。 ○山口座長 オンライン請求全体の進行達成状況だけではなくて、森先生がおっしゃっ たのは、個々の診療機関なり薬局の状況をよく見てと、そういうニュアンスです。 ○中村医療専門官 はい、わかりました。 ○山口座長 それでは、それは「等」という言葉を入れるのでよろしいですか。 (了承) ○山口座長 それでは、特にご異存がなければ、実績の後に「等」を入れることにした いと思います。 ○中村医療専門官 先生、すみません。 ○山口座長 はい。 ○中村医療専門官 先ほど回答できませんでした二次健康診断等給付の支給件数です が、年間約2万件です。 ○清谷先生 全体で約300万件でしたか。 ○中村医療専門官 診療費のレセプトが約300万件です。二次健康診断は、診療費と別 の保険給付になります。 ○清谷先生 わかりました。 ○山口座長 その他に、何かご質問、ご意見はありますでしょうか。よろしいですか。 それでは、ご意見がないようですので、最後に、資料1の2の(3)オンライン請求を実 施するに当たっての課題を説明してください。 ○中村医療専門官 4ページ下から2行目の(3)には、オンライン請求を実施するに当た っての課題を記載しています。5ページ2行目のアの労災指定医療機関等の負担の軽減 については、8行目の「しかしながら」以降になりますが、労災保険において、健康保 険等のレセプトのオンライン請求のために設置したパソコン等とは別に、労災保険のレ セプトのオンライン請求のためのパソコン等を用意することは、労災指定医療機関等に とって非常に不経済であること、中段の「また」以降には、国にとっても、先行する健 康保険等のシステムを活用することとした方が開発予算等の軽減を図ることができると ともに、開発期間の短縮を図ることができること、「したがって」以降には、先行する 健康保険等のレセプトのオンライン請求のシステムを活用する等により、オンライン請 求の仕組み等について可能な限り互換性を確保する必要があることを記載しています。  5ページのイのレセプトの電算化の促進については、レセプトのオンライン請求を推 進するためには、その前提であるレセプトの電算化を進める必要があるが、イの4行目 「対応しているが」以降、医療機関が設置するレセプトコンピュータにおいて、労災保 険の電子媒体による請求に対応しているものが非常に少ないという状況であること、 「また」以降、労災指定薬局においては、レセプトを電子媒体により請求することはで きないという状況にあること、「このような状況にあって」以降、労災指定医療機関等 における労災保険のレセプトの電算化を進めるための方策を検討し、可能な限り早期に レセプトの電算化の促進を図る必要があることを記載しています。  6ページのウの安全の確保については、7行目の「そのためには」以降、健康保険等 のレセプトのオンライン請求において実施しているセキュリティ対策を参考にし、ネッ トワーク、電子認証、システム等におけるセキュリティの確保に万全を期す必要がある こと、「そのため」以降、システムの安定性を確認するため、本格稼働に先行し、試行 運用を行うことが必要であることを記載しています。エのその他の課題としては、レセ プトのオンライン請求を実施するに当たっては、医療機関や国の事務の効率化、適正化 に資するだけでなく、被災労働者についてもその成果の一端を享受できるように検討す る必要があることを記載しています。また、レセプトのオンライン請求による受付時間 の延長等について検討が必要であることを記載しています。以上です。 ○山口座長 それでは、ただ今の説明について、何かご質問、ご意見等はございますで しょうか。これは課題ですから、重要なところかと思います。ご意見はありませんか。 ○森先生 5頁と6頁に関することですが、5頁のアの労災指定医療機関等の負担の軽減、 イのレセプトの電算化の促進とあります。現在、労災指定薬局は、レセプトを電子媒体 で支給することができない状況です。労災指定薬局においては、もちろんオンライン接 続用のパソコンとかネットワークも必要なのですが、そもそもレセコンにソフトが対応 していなければいけない。そういうことを考えると、ここで決まったことはなるべく早 く公開していただいて、レセコンメーカーが対応できるような形にしていただければい いと思います。早くきちんと開発できれば、それだけ請求側の負担も少なくなるかと思 います。これは医療機関にとっても同じかもしれませんが、是非、お願いしたいと思い ます。 ○山口座長 そうすると、森先生のおっしゃるのは、これが決まったら早くお知らせで きるようにとのことですね。 ○森先生 そうですね。可能な限り早く情報を出していただいて、負担を軽減していた だきたいのはもちろんです。 ○山口座長 他に何かご意見等はございませんか。それでは、1の現状のところではご 意見がありませんでしたが、よろしいでしょうか。2の実施に係る検討では、文章を2 箇所修正しました。(1)の「実績」に「等」を加える、(2)の「請求が可能である」を「請 求を可能とする」に修正するということでした。これで第1回の検討会の検討結果とす ることでよろしいでしょうか。 (了承) ○山口座長 次に、議題2オンライン請求による医療機関等の事務処理の軽減化等円滑 な事務についてです。資料2にありますように、検討を進めるに当たっての論点を事務 局がまとめていますので、事務局から資料を説明してください。 ○中村医療専門官 それでは、資料2の論点について説明します。論点は1点のみで、 資料にありますとおり、「労災保険のレセプトのオンライン請求を実施することにより、 労災指定医療機関等において事務の効率化等が図られるのか。」です。この論点を検討 していただくに当たり、3点を検討していただきますようお願いします。1点目が、健 康保険及び国民健康保険で既にオンライン請求している医療機関との関係です。これは、 健康保険等で既にオンライン請求している労災指定医療機関等において、労災保険のレ セプトのオンライン請求を実施することにより、医療機関等における事務処理が効率化 されることとなるのではないかです。2点目が、労災保険における業務の迅速・適正化 です。これは、労災保険のレセプトのオンライン請求の導入により、オンラインによる 形式チェックを行うことが可能になれば、医療機関等からのレセプト請求の迅速化及び 適正化が図られることとなるのではないかです。3点目が、医療機関における他の電子 化との関係です。これは、医療のIT化が進んでいる医療機関において、レセプトのオ ンライン請求は必要なものではないのかです。検討をよろしくお願いします。 ○山口座長 ただ今の説明について、何かご質問、ご意見等はございますでしょうか。 本日はフリートーキングでご意見を伺います。ご自由にご意見、あるいは質問でも結構 ですのでどうぞ。 ○森先生 1番目のところですが、薬局も既にオンライン請求をしていますので、健康 保険及び国民健康保険で既にオンライン請求をしている医療機関等ですよね。その他の 部分もよろしくお願いします。 ○中村医療専門官 申し訳ありません。 ○山口座長 「等」でいいのですか。ちゃんと薬局と書いてもらったほうがいいのでは ないですか。 ○森先生 他のと横並びで、前のと同じにしていただければ結構です。 ○山口座長 他に何かありますでしょうか。 ○清谷先生 1番というか2番にも関連するのですが、関東労災病院において、労災請 求がどうなっているのかをちょっと調べてみました。だいたい月当たりに外来が350件 ぐらいあって、入院が40件前後です。したがって、両方合わせると400件ぐらいの月当 たりの請求となっているそうです。  だいたいレセプトの編綴作業に半日かかって、その後、レセプトを職員が自分で提出 場所である横浜まで車で持っていっている、病院から横浜までの行き帰で3時間ぐらい かかるというでした。ある意味1人の1日分ぐらいの作業量になっている。おそらくオ ンライン請求になれば1時間程度で作業が終わるのではないかと思います。そういう意 味では、確かにそれが大きいのか小さいのかというと、難しいところですけれども、便 利になることは間違いないようです。特に今のところ、確実に届いていることを担保す るために、持っていっているということがあります。そういう意味では、オンラインで は届いていることは、一応返信結果が返ってきますので、そういう意味では持っていく ことと同じような形です。郵便や他の搬送手段では、届いているかどうかがちょっと不 安みたいで、そういう意味でオンラインですと届いているということも確認できるので、 よろしいのではないかという話でした。 ○山口座長 どうもありがとうございました。オンラインの請求は今のお話をうかがっ ていると、非常に合理化されますね。関東労災病院で労災請求が400件ぐらいですか。 ○清谷先生 月当たりです。関東労災病院では、だいたい年間千何百ぐらいの入院患者 さんのレセプトを請求しています。 ○山口座長 それは労災保険だけなのですね。 ○清谷先生 労災保険のレセプトだけです。 ○山口座長 健康保険は別ですね。 ○清谷先生 健康保険は、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会に持ってい くということです。 ○山口座長 他に何かありますでしょうか。 ○石井先生 1つよろしいですか。現在、オンライン化している医療機関を考えると、 前回も少し申し上げましたが、日本医師会が製作し、無料で配付しているORCAとい う請求ソフトがあるのです。普及は近々、1万件に届きたいという状態です。  それには労災診療費の請求に対応した内容が入っていて、あとは途中をどうするか、 受け手がどう対応するかという部分を整備してもらえれば、ORCAを利用している医 療機関はオンライン請求が可能となる状況にあります。ですから、将来オンライン請求 を可能とする環境が整備されれば、オンライン請求に対応できる状況にあります。ただ し、強制的にソフトを配るとか、他のレセコンメーカーと競合してということになると 別の問題が出てきます。普及は、あくまでも手挙げ方式で、任意による参加とすべきで す。  それと、折角ですから労災保険と健康保険について述べさせていただくと、労災保険 というのはやはりある種の特殊性があるのです。1つには保険と補償がワンセットにな っていることで、完全に治ってしまう治ゆであればいいのですが、そうでない場合には、 診療費の保険給付の後の補償というところまで出てくる。ですから、制度として設計す る場合に、この請求のデータは最後にそれを取りまとめた上で、補償とどうつながるか ということが出てくるわけです。診療費の審査についても、労災保険と健康保険では違 う形態になっています。社会保険は、社会保険診療報酬支払基金、国民健康保険中央会 というところが審査のうえ支払うという形を取るのですけれども、労災保険の場合には、 事務と審査が分かれていて、審査は労働局でやる。その手前のところの事務処理は、大 半が受託事業者が行っているという現実があるわけです。逆に言えば、事務処理のとこ ろで医療機関等の側からすれば、今度はどのようなつながり方をするかという制度設計 を考えないと非現実的な話になってしまうのです。その辺の違いを配慮しなければいけ ないかと思います。 ○山口座長 その辺は、事務局はどのように考えていますか。 ○中村医療専門官 事務処理について先生が言われるのは、オンライン請求の事務代行 を含めた意味でよろしいのですね。 ○石井先生 そうです、その視点が出てくるわけです。 ○中村医療専門官 今後オンライン請求を検討するに当たっての課題としたいと思いま す。 ○山口座長 健康保険も国民健康保険も、労災保険もそうなるかもしれませんが、当節 の状況では審査も今のままでいくかわからないですよね。 ○石井先生 社会保険では、例えば社会保険診療報酬支払基金が事務代行を受けるかと いうことを検討しています。というのは、結局100%オンライン請求を目指した場合、 医療機関で完全にセットアップできる状況は、なかなか想像しにくいのです。ですから どこかに手間の部分を介在していただくことが、最終的に100%の普及を目指していく 上で、必要になってくるのではないかと思うのです。それはいわゆるコンピュータのソ フトハードだけの問題ではなく、システムデザインの問題になりますから、そういうこ とを含めた検討を、この次の段階でやらなければいけないのではないかという感じがし ます。 ○山口座長 今石井先生がおっしゃった問題があるということを、この検討会で検討す るのはちょっと難しいですから、そういう問題が含まれていることをよく認識して、ま とめることだと思います。 ○中村医療専門官 わかりました。 ○山口座長 他に何かありますでしょうか。清谷先生は実際の医療に携わっておられて、 3の医療のIT化が医療機関で進んでいる関係の中で、レセプトのオンライン請求をどの ように考えていけばいいかというのが、3の問題だろうと思います。 ○清谷先生 いわゆる請求そのものと記録というものが、ある意味リンクしているので すね。医療機関にとってみると、申し訳ないというか必要な話なのですけれども、記録 をしないが故に、請求できていないことも結構あるのです。そういう意味では請求漏れ をなくすためにも、IT化は重要なことです。  なぜIT化するかという中に、もちろん医療安全の面もあるのですが、もう1つ出てく るのは、請求を適正に行うということです。それは1つのつながっているものなので、 そういう意味では医療機関の中で、IT化を進める1つの目的として、適正な請求事務と のリンクということは、十分にあり得る話です。 ○山口座長 それも1つの重要な点ですね。 ○清谷先生 ただ、それは減らすほうには当然いかなくて、請求を増やすというか、や っていることは請求しますということなのです。 ○石井先生 それは実は非常に大事な部分の1つで、やっていることを過少請求したり 記録していなかったりということは、最終的には患者さんにとって不利益なことなので す。行ったことはちゃんと記録して、その結果こうなったということで初めて請求が発 生する。これは社会保険、労災保険にかかわらず必要なことなのです。  たまたま今はそういう時節ですから、診療報酬改定の議論が行われていますが、効率 化だけではなくてメディカルクラークという存在を認めてはどうかという話が、むしろ 厚生労働省から出ていると聞いています。効率化、それから全体の圧縮だけではなく、 そういうことも含めて最終的には患者さん、国民のメリットを増やしていくという視点 です。ですからITをするからどんどん減らせる、圧縮されるということだけではなくて、 適正化というのは単純に減らすだけではない、患者・国民にとって意義のあることだと 思います。 ○山口座長 これは我々患者からすると、レセプトをもらって値段が書いてあるけれど も、自分が受けた医療と合っているかどうかはわからないのです。それはレセプトで何 かわかるようなことにはならないのですかね。それがわかるようになると、患者にもか なりのメリットがあるということになってくるのですが。 ○清谷先生 今、大規模病院については、いわゆるレセプトレベルのアイテマイズした、 個々の中身を書いた形での請求書を出すように、中央社会保険医療協議会で議論されて います。まだ結論は出ていないと思うのですけれども。ただこれは実はいろいろな問題 があって、いわゆる患者さんが理解できるものと、理解できないものがあるのです。 ○石井先生 実は日本医師会の長年の要望として、請求業務の簡素化というものが、一 方にあるのです。誰がどこから見ても、わかりやすいということです。ところが、画像 診断の1回目と2回目で評価が違う料金体系になっているわけです。そういう説明のつ かない項目がいっぱい入っていますので、窓口で明細を記した領収証を出しても、事務 レベルでは答えに窮するのです。そうすると、診察室にもう1回入ってくださいとなっ て、最後はこういう仕組みなのだから、後は厚生労働省に聞いてくださいというような 話になるケースが結構あるのです。 ○山口座長 それは、診療報酬の体系そのものの問題なのですね。 ○石井先生 そのものが、そういう仕組みになっていて、これはあまりにも小手先でい じり過ぎている部分があるのではないかという感じがするのです。これはあくまで、医 療機関や薬局などの医療現場に説明責任はあるのですが、説明しきれない部分が含まれ ているというのが、今の診療報酬体系のいささかの問題点であろうと思います。それを どうするかというと、これはまた長い議論になって、それこそ中央社会保険医療協議会 で現在もやられていると思いますから、ここまでにします。わかりやすさという点では、 IT化したからといってわかりやすくなるかというと、そうとも言い切れません。 ○山口座長 そこは問題があるわけですね。 ○石井先生 そこのところはご了承願わないといけないですね。 ○山口座長 他に何かありますでしょうか。 ○森先生 薬局も同様なのですけれども、薬局の場合、調剤報酬の算定項目が割と少な いのです。医科ですといろいろな項目があるので、かなり苦労されると思います。ただ 薬局でも明細書を出してから質問が来たりしていますから、そこはうちのほうでも丁寧 に答えるようにしているのですけれども、医科に比べて報酬自体の指導管理料も少ない ので、ある意味説明がまだしやすいのかもしれません。 ○山口座長 3については、いくつか議論が出ましたけれども、2の点はいかがでしょう か。 ○石井先生 しつこいようですが、適正化という言葉を最近は減額という意味で使われ ることが多いものですから、ちょっとアレルギーがあるのです。 ○山口座長 そういう言葉は使わないほうがいいということですか。 ○石井先生 では何と表現するのかと聞かれると、ちょっと悩むのですが。最近の状況 としては、飲み下しにくい言葉であることは事実なのです。ご検討いただければと思い ます。 ○清谷先生 正確化、それもちょっと変ですかね。 ○石井先生 本当はこれでいいのですよね。 ○清谷先生 本当はいいのですけれども。適正化というと、確かに何か値切られるとい うニュアンスがあって、確かにそちらのほうに。 ○石井先生 そうですね、8掛けにしろとかですね。 ○山口座長 それはありますね。他のことでも行動規範、理念のようなものでも、適切 に対処すると言ったら厳しくやるということで、普通ならちゃんとやるという以外の意 味はないのですが。 ○清谷先生 請求事務の適正化と言えば、だいぶ違うと思います。 ○山口座長 なるほど。 ○清谷先生 請求額というイメージが出ると、ちょっといやらしいのですけれども、作 業そのものというイメージが出ると、たぶんよろしいかと思います。 ○山口座長 わかりました。言葉はそういう点で注意をします。他に何かありますでし ょうか。それでは、先生方の意見を整理しますと、1のところは清谷先生が例を出して おっしゃったように、医療機関等における事務処理が効率化される側面があるというこ と、これはよろしいですね。2番目は請求の迅速化、事務の適正化が図られるのではな いかということ、これもよろしいでしょうか。  ご意見がないようでしたら、これまで出ました意見を事務局で取りまとめていただく ということでよろしいでしょうか。 (了承)  では、事務局で意見の取りまとめをお願いします。  スケジュールでは、次回の検討会において、検討報告書について議論する予定です。 したがって、本日の議題1の第1回検討会の検討結果、議題2の検討結果を踏まえ、検 討報告書案の作成を事務局にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (了承)  では、検討報告書(案)の作成を事務局にお願いします。今日の議事等は、すべて終 了しましたが、最後に何かご意見、ご質問等はございますでしょうか。次回は、検討会 最後ですので、進め方とか議論の仕方など何かありましたらお願いします。よろしいで すか。それでは、事務局から次回の日程等を伺うことにして、本日の検討会を終わりた いと思います。 ○神保課長補佐 本日は、ご議論いただきまして、ありがとうございました。会議の中 で座長からご依頼のありました検討報告書の事務局案につきましては、本日のご議論も 踏まえて作成させていただきます。作成した検討報告書の事務局(案)につきましては、 先生方におかれてはお忙しいところ、大変恐縮ではございますが、事前に先生方に送ら せていただきますので、ご確認をお願いします。なお、先生方に検討報告書の事務局(案) について、ご相談をさせていただくこともあると思いますので、その際はよろしくお願 いします。今日はありがとうございました。 ○中村医事係長 次回の日程は、12月21日金曜日、開始時間は14時を予定しています。 開催場所は追って連絡させていただきます。よろしくお願いします。本日はありがとう ございました。 (照会先) 厚生労働省労働基準局労災補償部補償課医事係 TEL 03−5253−1111(代)内線5565 FAX 03−3502−6488 - 1 -