07/11/28 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年11月28日議事録 07/11/28 中央社会保険医療協議会          第112回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年11月28日(水)9:31〜11:11 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 白石小百合委員        前田雅英委員 室谷千英委員        対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 高橋健二委員(代 清水)        松浦稔明委員        竹嶋康弘委員 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 鈴木老健局老人保健課長 他 (4)議題  ○療養病床から転換した介護老人保健施設における医療サービスの給付調        整について       ○療養病棟入院基本料について       ○後期高齢者医療について(薬歴管理、外来医療(2))       ○介護保険における維持期リハビリテーションについて       ○リハビリテーションについて (5)議事内容  ○土田小委員長   ただいまより、第112回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、高橋委員の代理で全日本海 員組合の清水保さんがお見えになっております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、最初に「療養病床から転換した介護老人保健施設における医療サービスの給付 調整について」を議題としたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。「療養病床から転換した介護老人保健施設における医療サービ スの給付調整について」でございますが、中医協診−1−1の資料と診−1−2の資料を 準備しております。  平成18年の医療制度改革におきまして、患者の状態に即した適切なサービスを提供し て、限られた医療保険・介護保険の財政を効率的に活用するとともに、医師や看護師など 限られた人材の効率的な活用を図るために、療養病床の再編を行うとされたところでござ います。  その受け皿の一つであります「療養病床から転換した介護老人保健施設」におきまして は、そこでの医療サービスについての介護報酬上どのような評価をするかということにつ きまして、介護給付費分科会において現在検討がなされております。いろいろな御意見が 出ておりますが、主な意見につきましては、1ページ目の下に2点ほどまとめてございま す。  また、診療報酬におきましては、従来の介護老人保健施設の入所者よりも医療ニーズが さらにより高い患者が多分いるのではないかということで、特に緊急対応的に医療提供が 必要となる場合の医療サービスについて、診療報酬で検討していただけないかということ が求められているところでございます。  そこで、2ページ目でございますけれども、この転換をした介護老人保健施設におきま しては、新たに必要と見込まれる医療サービスのうち、例えば平日の昼間における医療ニ ーズが高まるだろう、それから夜間等への対応も必要だろう、あるいは看取りへの対応も 必要だろうということで、この部分につきましては介護報酬において評価をする。  しかしながら、介護老人保健施設、100床当たり1人の常勤医師が求められているわ けですけれども、この常勤医師がいない時間帯もございますので、こういう時間帯におけ る外部の医師による医療サービスの提供、これが必要になる場合があるということで、そ の部分について検討してはどうかということを考えております。  現在の介護老人保健施設と介護老人保健施設における医療サービスにつきましては、中 医協診−1−2の参考資料の1ページをごらんいただきたいと思います。  通常の日常的に必要な医療、介護は、当然ながら自施設で提供するということで、介護 保健施設サービス費などで評価がされているところでございます。  それに加えまして、緊急時等の処置や検査、あるいは治療管理、あるいは特定治療、こ のようなものにつきましては、基本の施設サービス費以外に評価がされているところでご ざいます。  その場合に、他の医療機関から往診がされる場合がございます。その場合につきまして、 医療保険で見ている部分がございます。平成18年度に、専門的な診断技術や機器を必要 とする診療行為ということで、眼科処置、耳鼻科処置等については医療保険で見るという ふうにしたところでございます。また、それに必要となります在宅でも算定可能な材料に ついても医療保険で給付するということといたしております。  ただ、この往診がやたら行われてはいけないということもありまして、「診療上必要が あると認められる場合に行う。この場合において、施設入所者に対する往診は、当該介護 老人保健施設の医師との連携に配意して行い、みだりにこれを行ってはならない。」とい うのが老人医療担当基準の中で定められております。  そこで、参考資料2ページ目、転換した介護老人保健施設では、従来よりも頻繁に緊急 な求めがある場合も考えられますので、新しくこれからは、左側が現在、下が介護保険、 上が医療保険でございますが、医療保険で評価する部分につきまして、まず緊急時施設治 療管理料ということ、それは介護保険で見ておられる緊急対応に対しまして、外から行っ た場合、夜間や休日にもともとおられる介護老人保健施設の医師が対応できなくて、その 医師が直接処置できないという場合、あるいは診療科の専門科にもよりますけれども、そ の場合に、そのオンコール医師が判断して求めた場合には、往診をして診療できるように してはどうか。その際、介護保険で定められている緊急時治療管理料相当のものにつきま して医療保険で給付してはどうか。  また、患者の状態によりまして、頻繁にさまざまな処置が必要になりますし、ある程度 従来の施設サービスで考えている以上の処置等も考えられますので、例えばここでは慢性 の呼吸器疾患の患者さんが悪くなった場合の心電図の判断料とか、あるいは転倒に対して 外科的な創傷処理をした場合とか、このようなものについて医療保険で算定してはどうか、 このように新しく考えてはどうかということでございます。  この点につきまして、「論点」として本文の3ページのところに書いてあるわけでござ います。  説明は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。 ○鈴木委員  まず、本来いわゆる社会的入院の患者がこういう介護施設に動くはずでございましたけ れども、医療ニーズの非常に高い入所者であるとか、急性増悪が見込まれるような患者ま でこういう介護施設に移すということは、もともと再編計画に対して無理があったという ことにほかならないと思います。したがいまして、移った入所者となる高齢の方々に対す る医療ニーズは十二分に見られるべきであると考えます。  ここで問題なのは、医師が1人でございますので、今までは3人だったわけですから、 そういうことで週は40時間きりおりませんので、24時間に7を掛ければ、そのうちの 40時間というのは何分の1、何%であるかといったら一目瞭然でありまして、これは夜 間とか休日いないというのではなくて、日中だってこれはいないわけですから、そういう 意味では、外部の保険医療機関の援助というようなものが非常に大切なかぎになってくる と思います。  オンコール体制もきちんと整備しなければいけませんけれども、当然オンコール医師が 対応できない場合の他の医療機関からの処置というのもしっかり行えるように考えられる べきだと思います。 ○土田小委員長   どうもありがとうございます。 ○西澤委員   今回の提案自体はよろしいかなと思うのですが、ここに「療養病床から転換した介護老 人保健施設」と書いてあるのですが、「老人保健施設」という名前がある以上、既存の老 人保健施設にもこれを認めるべきではないかなと思うのですが、そのあたりはいかがでし ょうか。 ○事務局(鈴木老人保健課長)   老人保健課長でございます。  療養病床から転換をした老人保健施設だけではなくて、現在の老人保健施設にも同様の ことを認めるべきではないかという、今の西澤委員の御質問ですけれども、医療制度改革 の中で、療養病床に転換をしていただいて老人保健施設になっていただきます。その場合 に現在の老人保健施設よりはかなり医療ニーズが高い場合が出てきます。もともと入って おられるのが療養病床ですから。また、療養病床は、現在、中で亡くなられる方が27% おりますけれども、現在の老人保健施設では2%にすぎませんので、転換した療養病床の 中でもしっかりある程度看取っていただくということになると、やはり医療ニーズを満た していただくということが必要だということになると思います。 ○西澤委員  確かに転換するのは今まで介護療養施設だったから、既存の老人保健施設とは差がある のはわかるのですが、少なくとも一般の利用者の方から見たら、両方とも老人保健施設で 区別がつかない。今後、恐らくその差はどんどんなくなっていくのではないかなと思うの です。そのときに、例えば老人保健施設に入所したいと言ったときに、うちは療養病床か ら転換した老人保健施設ですからこういう方は入れますけれども、既存の場合は、うちは そうではないですから同じ老健施設であってもあなたはちょっと合いませんとか、そうい うふうな非常にわかりづらいものになりはしないか。老人保健施設である以上同じ基準と するのが、国民から見て一番わかりやすいのではないかなと思いますので、そのあたりは いかがでしょうか。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  もちろん、やはり一番大切なのは、利用者の方にきちっとわかりやすくするということ だと思います。現在でもいろいろ提供しているサービスが異なる場合がありますが、そこ は入所される前に、この施設ではどういうサービスが提供されるかということをきちっと 開示をした上で、御納得いただいて入っていただくということが大事だと思いますし、そ こに混乱が生じないように、またこちらでも努力をしたいと思います。 ○竹嶋委員  今ちょうど御発言がございましたけれども、ここで本当にもう一度確認をさせていただ きたいのですが、私どもは、療養型病床群の区分1ですね、ここのところで、医療が必要 な皆さんがお入りになっていらっしゃる、そこの方々が出る行き場をということを何度も 私どもは心配して、「受け皿」という言葉の中で主張してまいりましたが、今日の厚生労 働省のほうから御提示いただきました「論点」の中で、「一部医療ニーズの高い入所者も いる」とお認めになっていらっしゃる。それから、「「療養病床から転換した介護老人保 健施設」においては、これまでの介護老人保健施設と比べ、急性増悪する患者も多くな る」ということですから、これはまさに私どもが言ってきたことを認めた。認めたのはど うでもいいのだけれども、そういう状況であることの再確認を私はここでさせていただき たい。後の議論にもまた加わってきますので……。 ○土田小委員長  今2号側の委員から出された問題は極めて重要な論点でありまして、それに対して老人 保健課長のほうから、利用者にわかりやすいようなそういう仕組みを講じるという回答が あったわけでございますけれども、これについて、対馬委員、どうぞ。 ○対馬委員  転換型の老健施設と既存の老健施設との関係については、介護のほうでも、介護施設等 の在り方に関する委員会でありますとか、給付費分科会等々で議論はしているわけですけ れども、何よりもまず、やはり療養病床から転換することについての対応をしっかり検討 しなくてはいけないということがございますので、ここに書かれている論点は、その方向 性でよいというふうには思うのです。  ただ、そういう介護においても今盛んに議論していますし、また、医療のほうでも今議 論されているわけですけれども、将来的にどういった形になるのかということを考えます と、これを未来永劫続けていくように思うのです。そういうことからしますと、どういっ た書きぶりをするかどうかは別として、やや時限立法的に、数年はこれでやっていくので はないでしょうか。例えばですけれども、介護と医療の次の同時改定は24年度になりま す。そのときにもう一回見直すということが必要ではないかと思うのです。 ○土田小委員長  ただいまの対馬委員のご意見に対してはいかがでしょうか。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  確かにいろいろな論点はあろうかと思いますけれども、一度転換をしていただいて、こ ういうサービスについてコストに見合う算定をさせていただくということで、そういうも のがかなり不安定になる、もしくは何年か後に必ず見直しがあるということになると、転 換をしていこう、それに基づいて経営計画を立てていこうということについて不安感が出 てくるおそれがあると思いますので、当面は、特に23年度までは転換計画をきちっとや っていくということでございますし、当面安定的に運営をさせていただければと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○事務局(原医療課長)  先ほどの竹嶋委員のほうからの御意見ですけれども、ここで医療ニーズが高いとかいろ いろと書いてありますけれども、これは相対的な問題だと考えております。医療区分1の 方々について、医療のさまざまな処置が行われていないということを言っているわけでは なくて、それが必ずしも病院という形態の中で行う必要はないのではないか。また、医療 の処置という面でいきますと、老人保健施設は医療を提供する施設として明確に規定され ておりますし、現に医療が提供されているわけです。ですから、そういう意味では、医療 の提供の密度の問題であると考えています。  そのような意味で、医療区分1の方あるいは医療区分2の一部の方については、その転 換型の介護老人保健施設で十分対応できるだろうと。ここで言っている医療ニーズが高い というのは、平均的な意味で従来の介護老人保健施設に入っておられる方々に比べて医療 ニーズが高い。相対的な問題であって、だから、その方々を病院で診なければいけないと までは考えていないということでございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○古橋専門委員  既にあります介護老人保健施設にも相当数医療ニーズの高い方がおられまして、ただし、 老健にいらっしゃるばかりに、受診というようなあたりで、特に夜間などの状況で、どう サービスを提供したらいいかとか受診したらいいかを老健側は大変苦慮する場面が相当ご ざいます。  ですから、こういう転換をするという大きな動きの中で老健施設での医療サービスとい うものが改めて検討されるということは非常に必要でして、転換型だけこういうサービス ということになりますと、今後の老健への入所の判定とか入所者の調整とかというので混 乱が生じまして、やはり一元的に老健というところの必要な医療提供はどういう形でどう いう仕組みでなされているかということが整っていく、統一されていくということのほう が重要のように思いますので、西澤委員の御発言に私なども同調するものでございます。 ○松浦委員  前回の診療報酬改定の議論から、ちょっと整合性のないような議論が今されているとい うような気がするのです。といいますのは、療養病床、数字は忘れましたが、20万か何 かあるものを何ぼやら減らして何ぼに持ってくる。その対象となる療養病床のベッドにい らっしゃる方は介護保険で見ても同じなのだ、こういうことから出発した政策だったと思 うのです。その療養病床を介護保険に持っていくというのは、医療保険で見ると介護保険 は3分の2程度に費用が安くなる、ここが無駄ではないかということからこの議論は起こ ったように私は思うのです。  それでは、実際に、療養病床から転換した介護老人保健施設には、いわゆる療養病床の 削減の議論をしたときの対象となる患者さんではない人が行っていらっしゃるわけですか。 その点はどうなのか、ちょっとお聞きしたいと思います。 ○事務局(鈴木老人保健課長)   療養病床から転換をした老人保健施設には、今の医療区分というのが慢性期の入院でご ざいますけれども、想定としては、医療区分の低いほう、1、それから2の恐らく2〜3 割のところの患者さんが入られるだろうという想定の下で、先ほどちょっと申し上げたよ うな医療ニーズがあるわけでございます。  したがって、何らかの新しい患者さんが入るというわけではなくて、今療養病床に入っ ておられる患者さんが転換をした老人保健施設に入られるということですが、18年4月 に医療制度改革の中で療養病床の再編が行われたときにもやはりさまざまな議論がござい まして、国会でも、今のままの老人保健施設の基準ではなかなか難しいところがあるので はないかと。療養病床から転換をした老人保健施設です。ですから、ここにある程度の医 療の在り方も考えるべきだということで、介護保険のほうでも去年からいろいろな形で検 討させていただきましたし、医療保険のほうでも一部今日御議論をいただいているという ことでございます。 ○松浦委員  問題は、これはデータを挙げて数字から出た話なのです。国会での議論となりますと、 これはいろいろ政治的な力も入ってきましょうし、我々がここでやるのは、やはりデータ に基づいた数字から議論を詰めていきたい。そのほうが恐らく国民の皆さんにはわかりや すいだろうと思いますから、そういう面から私は申し上げておるので、とにかく療養病床 を減らしたその対象の…… ○土田小委員長  ちょっと話の途中なのですが、今の発言については問題がかなり広がってしまいますの で、今ここで議論しているのは、つまり、介護型療養病床を廃止するという前提の中で、 療養病床に入っている患者さんの移行の過程における対応をどうしていくか。そこで医療 ニーズが非常に高まったものに対して、何らかの形で医療保険で適用しようということが 問題の趣旨ですので、したがって、介護型療養病床の問題そのものではありませんので、 そこは一応区分して議論していただきたい。 ○松浦委員  それは、その筋の立て方というのは私はちょっとおかしいような気がいたします。とい うのは、初めの問題の立て方が、療養病床にいらっしゃる患者さんというのは、本来介護 施設で当然介護で対応していける患者さんだという前提に立ってつくった話でしょう。だ から、現状ある老健施設に転換してください、こういうことを促した政策だったのでしょ う。それはうまくいっていないということなのでしょう。 ○竹嶋委員  私は、松浦委員のおっしゃることはわかるのです。こんな次々に新しい施設体系をつく っていく。前のこの会でも私は申し上げましたが、まさに療養型病床群の問題、これは恐 らく議論をずっと続けていかざるを得ぬだろう。事実私は手元に資料を持っておりますが、 平成19年6月13日の慢性期分科会、対馬委員のところの健保連の椎名常任理事が、医 療区分1、2、3とADL区分1、2、3からの9分類は妥当であると。これは妥当だけ れども、それに診療報酬の5分類はあまりにもコストの乖離が大きすぎるということで検 証の必要があるということをお述べになっていらっしゃるのです。  そして、実際に今度はその前の平成19年3月28日の中医協の診療報酬基本問題小委 員会におかれまして、包括調査分科会の委員長である池上直己分科会長がはっきり、医療 区分1は入院医療を必要としないとの政策判断がなされたと。9分類した後、整合性がな いと。政策判断が厚生労働省においてなされた。診療報酬においてコストに見合わない点 数が設定されたことは大きな疑問というふうに中間報告についての議事録があるのです。 そして、土田小委員長も、療養病床の点数設定の在り方は引き続き議論が必要、となって います。私は、恐らく松浦委員はそういうことをおつきになったと思うのです。次々に新 しいものが出てくるときに……。以上でございます。そういうことで極めて大事な発言だ と思います。  具体的には西澤委員、古橋専門委員がおっしゃったのと似ているのですが、現在の老健 施設も、例えば8年、10年前の方がそのままお残りになっていらっしゃって、本当に皆 さん、その当時に比べたら、当然機能も落ちますし、医療も必要な方もおられるのです。 ○土田小委員長  私が整理したかったのは、つまり、ここで議論しているのは、医療保険適用の療養病床 の問題ではありませんので、医療保険適用の療養病床の問題は、先ほど竹嶋委員がおっし ゃったように、まだまだ問題がありますから、そこはそれで詰めていこうと。今ここで話 をしているのは、療養病床が転換した老人保健施設をどうするかという話ですから、そこ はやはり区分して議論する必要があるであろうと。区分した上で、西澤委員の発言は極め て重要な指摘ですと先ほど申し上げましたので、それに対して老健課長から返事をいただ いたという関係ですから、ちょっときついことを言うようですが、また再び医療型老健施 設の話まで戻してしまうと話が広がり過ぎるという発言を僕がしたわけです。 ○松浦委員  いや、そうではないですよ。私が申し上げているのは、療養病床まで話を戻すというよ りも、前の18年の診療報酬改定のときに、どういう形のもの、とにかく介護施設の中で、 療養病床にいらっしゃる人は十分賄える。だから、この療養病床から転換した介護老人保 健施設は、そういう人たちが行っているはずです。そうあるべきなのです。それが違って いたということになると……。 ○土田小委員長  あのときのデータで、介護保険適用の人が4万人ほど医療保険のほうに移行するという ようなデータも出ていますし、全部で38万床の15万床残すという話が、15万床では 間に合わないだろうという話が今出てきているわけですから、そういう話の中で今老健施 設をどうするか、老健施設に入ったうちで医療ニーズが高い人に対してどう手当てするか、 そういう議論ですので。 ○松浦委員  それなら既存の老健施設も一緒ではないですか。私はそんなに違った患者さんが行って いるとは……。 ○土田小委員長  ですから、そこに対して、西澤委員から当然の質問が出て、それに対して老健課長から 先ほどのような返事があった。 ○松浦委員  ただ、私は今そういうぐあいに申し上げましたけれども、それでは、普通の既存の老健 施設も一緒にするのかということには反対なのです。どうしてかというと、介護保険だっ て、今物すごく増えていますから。だから、財政全体を考えますと、そんなに療養病床か ら転換した介護老人保健施設を新たに定義して、そこについて特別なことをやろうという ことにはならないような気が私はします。もう一度18年に返って議論……。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  松浦委員がおっしゃるように、データに基づいた議論というのは非常に大事だと思いま す。私どものほうで統計をとっておりまして、現在の老人保健施設、それから、療養病床 から転換をした老人保健施設に入られると思われる方、この2つの患者さんの群を医療ニ ーズという点でちょっと比較をしてみたのですけれども、例えば喀痰吸引、これですと、 現在の老人保健施設と、療養病床から転換をした老人保健施設で約4倍違いがあります。 それから、胃瘻も含めた経管栄養については約7倍の違いがあります。これだけ違いがあ ると、全く同じことでいいということにはやはりならない。  ただ、先ほど医療課長も申し上げましたけれども、だからといって入院が必要だ、3人 お医者さんがいる施設で診なければいけないということでは必ずしもないということでは ないかと思います。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。大分クリアになってきたと思いますが。 ○松浦委員  それでは、解釈としては、前の18年のときのデータは調査が足りないところがあった と、こういうことになるのですか。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  恐縮ですが、18年のときのデータとおっしゃっておられるのは、医療療養、介護療養、 それぞれに入っておられる方で、例えば医師の指示の見直しの変更の頻度がどのぐらいか と、そういうデータをおっしゃっていますか。 ○松浦委員  私は細かいデータというよりも、療養病床から、介護老人保健施設をつくってそっちへ 移そうということですから、対象の方々に対する、そこの判断が違っていた、こういうこ とになるわけですか。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  繰り返しで恐縮ですけれども、入院ということは必ずしも必要ではないけれども、現行 の介護老人保健施設のままでいいかということについては議論があって、そこについては 随時検討しながら若干修正をしていく必要があるだろうというのが当時の結論だと私は理 解しております。 ○小島委員  松浦委員が、大分その辺は、今までの経緯について混乱しているところがあると思うの ですけれども、私は、介護保険の給付費分科会のメンバーになっていますし、この間の経 緯についてはずっとフォローしてきたつもりでありますので、その関連からいいますと、 まさに今回の最大のポイントは、現行の介護療養施設をいわばなくす、23年には介護保 険で適用しないと。  それの前提の上に立って、では、今介護療養施設に入居されている方をどうするか。そ のまま既存の老健施設のほうに移すことができるかどうかということで、そこで介護保険 の施設検討会のほうでは、現行の介護療養施設に入居されている方の受け皿としては、転 換型の新しいタイプといいますか、既存の老健施設に入居されている方よりは、先ほど言 いましたけれども、相対的に医療ニーズがあるということなので、そこについては特別の 受け皿施設が必要ではないかという結論になったということなので、そこはそういう方向 で当面切りかえ時は必要だと思う。まさに今転換するという話なので。  そうしますと、今入居されている方、先ほど言いましたように、今の医療区分でいうと、 医療区分1ないし2の2割か3割という入居者ということなので、その人たちの受け皿施 設として転換型が必要だということなので、そこの医療ニーズに対してどうするか、医療 保険のほうでどうカバーするかという議論を今しているので、そういう意味では、とりあ えず今入居されている方が転換された場合ということなので、その方はずっとそこにいる かということになると、また将来的にはわからないということもありますので、そして、 では、転換されたところに新しい入居者が入った場合はどうするかということも、これは 本当は議論すべき課題であります。  そうしますと、将来的には既存の老健施設とこの転換型が2つ併存するという話には多 分ならないだろうと思っていますけれども、とりあえず今回の転換時における特例的な措 置として、そういう施設を位置付けるということ、それはとりもなおさず入居者のニーズ に対応するということだと思いますので、そこでは今回示されているようなことは、とり あえずはこういう医療保険を適用するというところを既存の老健施設よりは少し手厚くす るというのが必要だなと思っています。  そういう意味では、先ほど対馬委員が言われたような、ずっとそのまま残していいのか ということになれば、やはり一定の期限というのは必要ではないかと思っておりますし、 それから、古橋専門委員が指摘された既存の老健施設に対する医療保険の適用の問題をど うするかということについては、これまたもう一度そこは転換型とは別に老健施設の医療 ニーズについてどうあるべきか、あるいは介護保険との関係をどうするか。これは老健施 設ではなくて特養施設も含めて、少しずつ議論は別途考える必要があるだろうと思ってい ますけれども、それは、全体の介護施設における医療保険との関係というのはもう一度整 理する必要はあるのだろうと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。ほぼ大体整理できたような発言だと思います。 ○松浦委員  私もなぜここまで突っ込んだ質問をするかといいますと、この2本立てでずっといかな ければ転換が進まぬだろうというようなお答えがありましたね。療養病床から転換した介 護老人保健施設と、それから現在の老健と、これは時限立法で何年かに制限したらどうか と対馬委員が意見を言われたと思うのですが、それに対して、そういうぐあいにして何年 かで終わりにすると、これは転換が進まなくなるおそれがある、だから、この形態はずっ と続けなければいかぬというようなお答えだったと思うのです。そうなると、私が言った ようなことにこだわっていかなければいかぬようになるのです。  これは時限立法という考え方にすれば、時限的に考えるならそれでいいのです。ある程 度の暫定期間を置いてそういう激変緩和をやろうというのであれば、我々だってそれは構 わぬのですけれども、ずっとやるということになると、やはりちょっとおかしいのではな いかと思います。 ○土田小委員長  手短にお願いします。 ○鈴木委員  この療養病床問題は混沌としておりまして、その中で主張してまいりましたのは、私ど もは医療と介護のすみ分けということでお願いしてきたと思います。まさにこれが第一歩 で始まるわけでありますから、今御指摘のような問題も含めて、場合によっては、医療に 介護が入り込むという可能性だってあるわけなので、そのところをきちんと間違えずに、 これからスタートということに関しまして、本当にこのすみ分けというような目標をきち んと据えて対応していただきたいと思います。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。手短にお願いします。 ○西澤委員  今いろいろ議論が出たけれども、特に介護施設がわかりづらいということが原因だと思 います。ですから、老健も、今2つのパターンがあるのがどういうふうに違うのかとか、 今後どうなっていくかが見えない。さらに介護施設は、もう一つ特別養護老人ホームがあ ります。そこにおける医療はどうなっているのか、これも今全く議論されていない。全部 の介護施設における医療ということで、一回資料を整理していただいて出していただけれ ばありがたいと思っております。 ○土田小委員長  わかりました。事務局にお願いいたします。  それで、今日いろいろ御意見をいただきましたけれども、今日の意見を踏まえて、一た ん事務局のほうで成案を、制度設計をしていただきまして、それをもとにしてもう一度議 論したいと思いますが、よろしいでしょうか。  どうもありがとうございます。  それでは、次の議題に移ります。「療養病棟入院基本料について」を議題としたいと思 います。  事務局より資料の説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  「療養病棟入院基本料等について」ということで、中医協診−2−1の資料と診−2− 2の資料をつくっております。診−2−2のほうの資料につきましては、適宜御参照いた だきたいと思います。  まず、この療養病棟入院基本料につきましては、平成18年度の改定におきまして、医 療区分を導入するということと、ADLの状況による区分を設けて点数設定が行われたと ころでございます。  これにつきまして、医療区分の妥当性等につきまして調査専門組織の中の慢性期入院医 療の包括評価分科会で検討が行われて報告書がまとめられた。これについては既に御報告 しておるところでございます。  その報告書のほうからの抜粋でございますけれども、まず、患者1人当たりの費用は、 医療区分、ADL区分の順序と対応しておるということから、分類としては妥当であろう。  それから、医療療養病棟全体で見た場合の費用と収入については、全体としてほぼつり 合っていたが、医療区分で見ると、費用と点数の差というものが広くなっているところが あった。  それから、現行では、毎日医療区分やADL区分の評価・記録を行うということになっ ておりましたけれども、この評価や記録頻度について見直しを希望する医療機関が多かっ たとされております。  また、医療区分の評価項目の中身におきまして、例えば医療区分3の「酸素療法」につ いて、規定を見直して、適切な要件としてはどうか。  それから、医療区分2に該当する状態としての「うつ症状」があるとか、あるいは「他 者に対する暴行」があるということについては、適切な治療ケアの方法が必ずしも実施さ れていない可能性もあるとされておりまして、これについて現在の規定を見直して、適切 な要件を考えてはどうか。また、同じく医療区分2の状態の「脱水」や「嘔吐」について、 これを少し要件を変えて、「発熱を伴う脱水」や「発熱の伴う嘔吐」へ見直してはどうか との指摘があったところでございます。  また、医療区分1に設けられております認知機能障害の有無によるケア時間等でござい ますが、医療区分1の場合は若干の差がありましたけれども、医療区分2のところでは差 が見られなかったということがありました。  さらに、医療療養病棟での医療の質の評価という観点から、入院時から継続的にそれを 評価していかなければいけないのではないか。これについて取組を進めてはどうかという ことで報告されていたところでございます。  そこで、今回の「論点」でございますが、1番目、看護業務の軽減のため、先ほど申し ましたが、医療区分やADL区分の評価あるいは記録ということについて、原則として患 者の病態の変化時にこの記録を行うという形にしてはどうかということを御提案したい。  2番目、医療区分の評価項目につきましては、報告書の指摘に基づきまして、例えば 「酸素療法」につきましては、月に1回酸素療法を必要とする病態かどうか確認を行って 記録をしてはどうか。それから「うつ症状」や「他者に対する暴行」については、医師を 含めて原因や治療方針等について検討を行って、この治療方針に基づく必要なケアについ て実施した内容を記録することを求めてはどうか。また「脱水」及び「嘔吐」については、 報告書のとおり、「発熱を伴う脱水」、「発熱の伴う嘔吐」という状態に見直してはどう か。  3番目、認知機能障害加算については、現在医療区分2のところで設けられております が、これについては廃止をすることとしてはどうか。  4番目、将来的に医療の質の評価を行うということを目的としまして、ケアの質を反映 する褥瘡の発生割合やADLの低下など、これらの関連する項目につきまして、各病棟で 継続的に測定・評価をして、記録をすることを義務付けをしてはどうかということでござ います。  5番目、条件が整えば退院できるという患者さんにつきましては、本人の同意を得て退 院支援計画を作成して、この計画に基づいて退院するという場合に診療報酬上評価をして はどうか。  この5点について御提案申し上げます。  以上でございます。  なお、報告書は分厚いものですから今回つけておりませんが、お手元の青いドッジファ イルの8月8日の基本小委員会の資料のところにございますので、御参照いただきたいと 思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  御質問、御意見等ございましたら、お願いします。 ○鈴木委員  この「論点」の中に、医療区分による点数設定の見直しが出てこないのはいかがなもの かと考えております。この問題は、随分報告を受けてやりましたけれども、区分3のAD L1と、区分1のADL3の間には、時間ですとか、あるいはコストですとか、ケア時間、 処置時間も含めて、大きな矛盾があるということは報告書ではっきり指摘をされているは ずでありますのに、この問題というようなものが「論点」で出てこないというのはどうい う理由からなのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  点数全体をどうするかということでありますけれども、先ほど申し上げましたように、 療養病棟全体として、現在の状況として、コストに見合うだけの診療報酬がついていると いうふうに分析をしているわけでありまして、結果として、例えば医療区分1を上げると すると、2、3を相対的に下げるということになろうかと思うのですけれども、それは、 もともと一本の点数だったわけですので、これを分類していこうという方向としては、一 本化に近づくというのは必ずしも適切ではないと考えておりますし、それから、医療区分 1について、確かに低い点数をつけているということはございますが、これについては療 養病床全体の政策としてどういう方向を踏まえていくのかということを含めて検討をして いただきたいと考えております。 ○対馬委員  確かに今医療課長が言われたとおり、全体との財源の関係がありますので、なかなか 軽々に手をつけにくいという側面はあると思うのですけれども、ただ、ちょっと気になり ますのは、全体的に医療の観点からの整理がなされているような感じがするのですが、例 えば資料中、2ページ目の「第3 論点」の1、「患者病態の変化」というのは、医療の 必要度を念頭に置いているのではないかと思うのです。例えばADLが変われば、当然医 療の必要度も変わっていくと思いますし、論点の2についても、どちらかというと医療の 必要度を書いていると思うのです。  今回の私どもの認識としては、特徴というのはもちろん医療を1ないし3でやったとい うこともあるのですけれども、日常生活動作能力を入れたというのは非常に大きいのだろ うと思うのです。その点が評価されていないというか、書き込みがなされていないという ことで、その結果としてなのかどうかわかりませんけれども、特にADL3は、先ほど鈴 木委員も御指摘がありましたけれども、同じ医療区分3の中でも相当差異があった。そう いう意味からしますと、1、2、3をおのおの財源を調整していくのは大変難しいのかも しれませんけれども、ADLをよく考えて、それぞれの医療区分の中でどうであるか、も う少し検討する必要があるのではないかと思うのです。 ○事務局(原医療課長)  9つあるいは11に分けたときに、収入と費用の差が一番大きかったのは医療区分3の ADL区分1のところでございます。それは御指摘のとおりでございます。ただ、医療区 分3のところにつきましては、全体的な患者さんの割合が非常に少なかったということか ら、医療区分3については、ADL区分を設けずに1つの入院基本料Aという形で一本に まとめたということはございます。  現に、実はこの医療区分3・ADL区分1の患者さんの割合は、全体の中でも1.3%、 あるいは医療区分3の中でも5%程度ということで、それを明示的に区分をするのかどう かという問題があろうかと思います。そういう意味で、もともと包括評価の点数でござい ますので、その部分については全体の中で吸収していただくのが適当ではないかというこ とで今回も考えて、細分化することは今のところ考えていないと思います。 ○竹嶋委員  先ほども別なところでちょっと触れましたけれども、患者分類の9分類、これは妥当で ある。しかし、現在の診療報酬区分の5区分は妥当ではない、適切ではないということで、 コストに見合っていないという主張を私どもはしました。要するに、政策判断としてそれ は正しかったのかという疑問があります。やはりこういう見直しのさらに主張をしたいの ですが、いろいろなデータを出されましたけれども、医療区分1が本当に点数が少ないと いうことは、これはお認めにはなっていらっしゃると思うので、そこのところは何とか考 慮をしていただきたい。財源ということを言い出したら、これはできません。しかし、必 要なことは、何度も言うように、やはり積み上げていくということはやらなければいけな い、そういうふうに意見を申し上げます。 ○事務局(原医療課長)  医療区分1につきましては、先ほど御議論いただいた転換型の介護老人保健施設なり介 護保険の分野で対応できる方々というふうに考えているところです。ですから、今現在、 確かにコストに見合わない点数になっているのはそのとおりでございますけれども、その 結果として、医療区分1の患者さんは徐々に減ってきているという現状がございます。  したがって、この部分をコスト見合いにしますと、まだまだ医療区分1の患者さんが新 しくどんどん入ってくるという状況も考えられますので、そういう意味では政策的にその 部分ではコスト見合いになっていないけれども、療養病床全体としてやはり医療密度の濃 い医療区分2、3の患者さんが増えてきているというのは、私どもとしては正しい方向だ と思いますし、この部分について点数を増やす必要はないのではないかと考えております。 ○土田小委員長  極めて率直な回答だったと思いますが、同じような意見が1号側、2号 側から出ておりますけれども。 ○西澤委員  前回改定のときには、本当に医療区分1に関しては、実際かかっているコストと見合わ ない点数がついたということで、私たちも非常に驚き抗議したのですが、ただ政策的なも のを見ると、本当にそこは医療保険で見るのかという議論がその後されたと思います。そ の中で分科会でも議論して、恐らくこれは医療保険でない、介護保険なのだろうという結 論に至ったなと。とすれば、今点数は低いけれども、点数のことを言うよりも、そうした ら、いかに介護施設のほうにうまく転換させていくかということが重要になると思います。  それに関しましては、前の議題でもあったと思いますが、どうも議論が部分的すぎる。 例えばこの中医協を含めて、医療を検討するところ、あるいは介護保険を検討するところ が協力して意思の疎通を図った中で転換の議論をして、本当に利用者の方に適切なサービ スができるような方向に持っていっていただきたいなと思っています。  一つ問題は、今転換老健のことは言われているのですが、それ以外にもいろいろ有料老 人ホーム等々のメニューが言われております。地域においては、特別養護老人ホームに行 くのがふさわしいところもかなりあると思います。今度医療法人が特養の経営がオーケー になったはずなのですが、つい最近の報道でだめになったということであります。地方の 病院あたりでは、特養に行くことをかなり願っていたところもあると思うのですが、それ が急にまた方向転換とかということでは、私たちは何を信じていいのかわからないという ことですので、そのあたりはもう少し一貫性のある、これは中医協ではないと思いますが、 介護分野での議論をお願いしたいと思いますし、また、ここで医療法人による特養を、認 めていただくようにお願いしたいと思っております。  以上です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。非常に重要な指摘だと思います。この間から申し上げて いるように、医療と介護との連携をきちっとしていくということが前回改定から得られた 一つの教訓でございますので、ただいま西澤委員からあった話を踏まえて、医療課と老人 保健課と、お互いに連携しながら対応していただきたい。  それで、先ほど西澤委員から話がありましたが、全体的な図式がわかるような資料を次 回提出していただきたいと思います。 ○鈴木委員  簡単に済ませますが、医療区分1の話が今出ておりました。医療区分1で一番呻吟して いるのが有床診療所でありまして、有床診療所は区分1が多いということはよく認識して いただいておると思います。ちょうど今老健課長がおられますのであえて伺いたいと思う のですけれども、今転換型の話が出ています、これは皆病院からの転換です。病床からの 転換だと非常に合致しますけれども、有床診療所の療養病床の転換に関してはどう考えて おられるのか、ちょっと伺いたいと思います。 ○事務局(鈴木老人保健課長)  有床診療所は地域に非常に根差した柔軟な運営もしておられますし、貴重な医療拠点と して我々としても認識をしております。我々のほうの療養病床から転換をしたこのスキー ムについては、もちろん病院に限ったものではなくて、有床診療所も含めておりますし、 さらに有床診療所の場合は小規模ですので、小規模の特性に一定配慮をしたさまざまな形 も介護保険のほうではちょっと考えたいと思っております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。  どうもありがとうございます。それでは、本件に係ることに関しましては、事務局にお いて、今日の議論を踏まえてもう一度制度設計をしていただきたいと思います。  それでは、次の議題に移りたいと思います。「後期高齢者医療について」を議題とした いと思います。  後期高齢者医療につきましては、これまで3回ほど取り上げてきておりまして、今日の 外来医療につきましては、11月2日にも1度議題として取り上げたところでございます。  本日は、さらに踏み込んだ資料が事務局より提出されておりますので、説明をお願いい たします。 ○事務局(原医療課長)  「後期高齢者医療」につきましては、中医協診−3−1の資料と診−3−2をごらんい ただきたいと思います。  今回、ここでは「薬歴管理等について」、「後期高齢者の初・再診料」、「後期高齢者 の外来における継続的な医学管理について」の3点を御審議いただきたいと思います。  まず、「薬歴管理等について」でございますけれども、これについては、既に外来医療 における後期高齢者で服用している薬剤の種類が多い、あるいは関係する方々も多くなっ て、薬が多いということからの相互作用や重複投薬が問題があるのではないかということ が指摘されておるわけでありまして、これらについて、その薬について情報をうまく集約 してうまく活用していく方法がないかということで、お薬手帳というものを考えていくと いうことでございます。現在もお薬手帳を出しているということでありますが、これをさ らに徹底をしまして、この評価の在り方について検討していってはどうかということ。  また、院内処方の場合においても、薬剤を患者に交付する場合に同様の取組を進めてい ってはどうかということを考えております。  参考資料の1ページをごらんいただきたいのですが、「お薬手帳の活用状況」。お薬手 帳につきましては、その薬の名前、服用の仕方、効能・効果、あるいは副作用等々注意書 きも含めて書いているのですが、これの活用状況ですが、実は小さいお子さんを持ってお られるところではしっかりと見ている。相対的に真ん中あたりが低くなって、また高齢者 になればやはり増えてくる。こういうような状況で現在も活用されております。これをで きるだけすべての人に活用していただいてはどうかということでございます。  そこで、参考資料の2ページ目になりますけれども、例えば入院や外来あるいは在宅と いう場面場面、絵のほうでは上と下に分けておりますけれども、こういう中で、それぞれ かかわる医師でありますとか、あるいは医療機関、あるいは薬局、そういうところでこの お薬手帳という媒体を中心に、薬の情報について連携をしっかりしていくということで、 手帳の確認を義務化する、あるいは手帳への記載を算定要件とする等々、このような形で 重複投薬の防止でありますとか、あるいは相互作用のチェックでありますとか、そういう ことを全体としてやっていきたい、こういうことでございます。  これがお薬手帳についてのお話でございます。  本体のほうの1ページに戻っていただきたいのですが、このお薬手帳を使いました薬の 情報の連携にあわせまして、実は、後期高齢者のところでやはり認知症の問題もございま すので、そういうことも含めまして、実は認知機能の低下の方々についての服薬管理のと ころについても、今回御提案をいたしたいと思います。  2ページ目でございますけれども、具体的には先ほどの図で示しましたように、このよ うなお薬手帳への薬剤の情報や注意事項についての記載、これを調剤をする場合に義務付 けるということ。  2点目としましては、情報の確認。医師及び薬剤師について、処方あるいは調剤する際 に必ずこのお薬手帳を確認することを義務付けてはどうか。  3点目としましては、先ほど申しました認知機能の低下につきましては、自己管理がな かなか難しいということもございますので、処方せんに基づく調剤時の薬の一包化なども 現在やっておりますが、さらに進めまして、患者さんがほかのところでもらっておられる 薬についてもあわせて、こういう調剤済みの薬剤であっても、服薬カレンダーであります とか、そういうようなものを活用して服薬管理ができるように支援した場合に、新たに評 価してはどうかということが今回の御提案でございます。  それから、「後期高齢者の初・再診料」につきましては、前回提示した論点として、も ちろん75歳以上ですので、病歴やあるいは既往歴や家族歴等も含めまして、非常に長い 受診経過がある。それから、1つの病気ではなくして、複数の疾患を持っておられること も多いので、初診時に当たっては、医療上も必要なことが多いだろうということから、初 診料は引き上げてはどうか。ただ、逆に長期化する治療の経過観察や慢性疾患について継 続的な指導・管理が中心となることから、再診料のほうは相対的には引き下げてはどうか という御提案を申し上げました。それに対しまして、逆に75歳以下と差をつけるのはお かしいという意見や、あるいは再診料についても逆に評価を上げるべきではないかという 御意見をいただいたところでございます。今日は、新たな論点あるいは新たな資料を準備 しておりませんが、この点についても今回御議論をいただけたらと思います。  それから、「第3 後期高齢者の外来における継続的な医学管理について」ということ で、これにつきましては、文言上のことも若干混乱を招いたようなところがございますけ れども、具体的にどのようなことをしていくかということについて今回お示しをしたいと 思います。  参考資料の3ページをごらんいただきたいと思います。総合的に取り組んでいただく対 象者をどうするかでございますが、例えばここでは継続的な医学管理が必要となる、今現 在、特定疾患療養管理料という診療報酬の項目がございますが、そこの中に書かれており ます疾病、それを持っておられる方を対象としてはどうか。  ただ、悪性新生物、がんにつきましては、この体系の中で考えるよりも別途の管理をし っかりやっていただく。あるいは後で出てまいりますが、全体として一定項目を包括して 評価したいと思っていますが、悪性腫瘍の場合はやはりその中からは少し外れる場合もあ るだろうということで、これはこの体系からは外したい。また、もともと高齢者でござい ますので、思春期早発症や性染色体異常など、これは小児に出る病気ですので、こういう ものは外していくということで、また、どちらかというと高齢者に関係するという、認知 症やあるいは便秘症という、こういうような疾患については新たに追加していってはどう か。このような患者さんを対象として、総合的な取組を進めてはどうかということでござ います。  例えばこういうことをやってくださいということで、4ページ目でございます。ここは 継続して管理するということで、患者さんと話をしていただいて、その患者さんの主病の みならずさまざまなその他の病気についても、このような年間診療計画というものをつく っていただいてはどうか。ここでは、例えば1〜12月になっておりますが、当院での検 査や診療、それから他院での検査等ということで、例えば2月、この診療所で血液検査や 尿検査をする。3月は胸部の撮影をします。それから、2月の6カ月後の8月、もう一回 血液検査もあります。9月には総合機能評価をします等々、あるいは心電図検査が入って いる。それから、例えば腰痛があるということで、腰痛については、では定期的に何々先 生というところで3月にやってもらいましょうということで、こういう計画をつくってい くということになります。  全体としての治療方針、この方は糖尿病の例を書いておりますが、糖尿病の治療はこれ これだというようなことを書いておく。それから、定期的に受診される他科の先生につい ても書いておく。あるいは介護とのサービスの連携が必要な場合は、他のサービス担当者 としてケアマネージャーなども書いておく。最後に「患者署名」とございます。これにつ きましては、総合的に取り組む、あるいは年間を通してこういうような健康全体に関する 診療をしていただくということで、患者さんの同意を得ていただくということから、患者 さんの署名を年に1回もらってはどうか。  5ページでございますが、今のところ、大体月に1回来られるイメージを持っておりま すが、毎回受診をされた際に、本日の診療の結果、あるいは検査の結果等々、それから、 どういうことに留意をすべきか、よそで受けられた情報がありましたら、そういうところ に診療状況はこうでしたねということを書いていただく。次回はいついつ来てください、 それから次回の検査の予定、あるいは来月は、例えば先ほどの例でいくと腰の定期検査が 何々整形外科であるというような形で、そういうことも留意しておく。それから薬につき ましては、お薬手帳というものを媒体として使ってはどうかということで確認するという ことを書いてはどうか。このようなイメージを毎回のものを出していただいてはどうかと いうことでございます。  6ページでございますが、「総合的に診る取組」ということで、これは年間を通してや っていくものですので、全体として、基本診療料でありますとか、検査、画像診断、処置 の項目については包括をしていってはどうか。ただ、薬につきましては、慢性疾患ですけ れども、非常に幅広い疾患が対象となりますので、投薬、注射等についてはこの包括範囲 から外した形でどうか。また、患者の病状、後期高齢者でありますので、急に悪くなった りすることもございますので、必要な検査や画像診断のうち、例えば一定点数以上のもの については別途算定できるような形にして、検査が包括によって行われないということの ないように、早期発見のためにもやっていってはどうか。  申し訳ございません。この包括項目でずれておりまして、「基本診療料」は包括外とい うことで別途で取れて、「医学管理等」の部分がこの包括範囲に入るということでござい ます。図の訂正をお願いいたします。申し訳ございませんでした。  そこで、さらに「高齢者を総合的に診る医師」でございますが、いろいろな高齢者特有 の病態等もございますので、やはりしっかりと研修をしていただいたらどうかということ で、7ページでございます。「講義を中心とした研修」ということで、後期高齢者を中心 とした医療の考え方、医学的な特性、あるいは後期高齢者の診療計画をどうつくるか、あ るいは認知症の問題とか、あるいは総合的評価についてのさまざまな知識、それから「演 習を中心とした研修」ということで、実際、具体的なものを想定しながらやる演習であり ますとか、あるいは眼底検査等につきまして、これは医師で一応皆さんやっておられるわ けですけれども、しっかりと診ていただくということで眼底検査の実習等、こういうもの を組み込んだ研修を考えてもらってはどうか。講義と演習を合わせて4日程度の研修を受 講してもらってはどうかと考えております。  本体の5ページに戻っていただきたいと思います。真ん中の「(4)「お薬手帳」の確 認の義務付けについて」。先ほどの初めのお薬のところでも言いましたけれども、こうい う取組を行う医師というのはお一人ですので、こういうところで院内処方によって薬を交 付する場合もお薬手帳へ記載を求めるということとしたいと思います。  6ページでございますが、「3 名称について」。あえて名称をつけなければいけない のかどうかという問題もあるのですが、「主治医」という名称は以前使っておりましたが、 随分と御意見がございましたので、例えばということでここで書いてあります。これも事 務局のほうでいろいろと考えたものですが、「地域担当医」でありますとか、「高齢者総 合担当医」でありますとか、「高齢者顧問医」、「包括連携医」、「地域後見医」などな ど、どれがいいかわかりませんが、いずれこういう総合的に取り組む医師というのはなか なか難しいので、名称をつけるならこういうものはどうかということで、これは御議論い ただきたい、また、新たな名前がよければ御提案いただきたいと思います。  説明は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。ただいまの説明にありましたように、大きく3つに分 かれておりますので、順番に御審議をお願いしたいと思います。  最初は「薬歴管理等について」ですが、いかがでございましょうか。 ○山本委員  資料の2ページの最後の部分から3ページの頭にかけての部分でありますが、これまで も薬局の薬剤師が、特に訪問という状況でなしに患者宅を訪れたり、あるいは患者さんの 要請に応じて服薬状況を確認しておりましたので、今回こうした形で具体的な記載でござ いますので、この方向で進めていただくことが患者さんの安全の面からも必要だろうと思 いますので、ぜひよろしくお願いしたいと存じます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  ほかにございますか。よろしいですか、こういう方向で薬歴管理を進めていただくとい うことで。 ○鈴木委員  重複投与の防止というのは当然なことでありまして、そのことで診療報酬上医師に評価 するということは必要はないのではないかと思われます。  あと1点ですけれども、この薬剤師さんの認知症に対する評価ということでありますけ れども、その第1回目の算定の基準と申しましょうか、どういう判断でそれを決めるのか、 あるいは病名として診断がついているものに限ってそういう評価をするのか、あるいは症 状で薬剤師さんが勝手に算定をしていいのかというようなあたりのところはどう考えてい ますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  今の鈴木委員の御意見に関しまして、最初に重複投薬がないかどうか確認するのは当然 のことであるというお話がございまして、今の本体資料の2ページの(2)のところでご ざいます。ですから、お薬手帳に記載された薬剤の情報を確認するなど、患者さんの、ほ かの医療機関のことも含めて、「現在の服薬状況及び薬剤服用歴を把握することを義務付 けることを検討してはどうか。」ということで、この点については当然のことだと思って おりますので、単純に義務付けをお願いをしたい。ただ、実際にお薬手帳に書く手間がご ざいますので、そういった点については診療報酬上評価をして、算定要件としてはどうか と、こういう御提案でございます。  それから、2番目の点の(3)のところだと思います。実際に患者さんが服薬の自己管 理が困難な場合、これはどういう患者さんなのかという要件でございますけれども、それ については、例えば今の介護保険の要介護度の認定の中でも、実際に服薬の自己管理がで きるかできないかというのが要介護度を考える上での基準の一つに入ってございますので、 例えば要介護度1以上の患者さんとか、そういったことを決めれば、これではっきりする のではないかと考えている次第でございます。 ○鈴木委員  認知症の患者さんは非常に波がありまして、指導によっていいときは自分できちんとで きるのですけれども、だめなときは全くだめでありますし、なおかつ、これは外来ですか ら、独居の方やなんかが多くなってまいりますと、薬剤師さんによる往診みたいなことま で考えた評価かどうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)   ここで考えておりますのは、もともといわゆる寝たきりの方は在宅訪問の点数が算定で きるわけでございますけれども、そこまでいかない方、これについては、いわゆる訪問の 点数をつくるということは考えておりません。そうではなくて、ただ認知症等が進んで、 例えば要介護1の方、要介護2の方、そういった方で、自分で管理はされているのだけれ ども、なかなか管理が自宅で十分できないという方が、例えば薬局のほうに飲んでいる薬 をお持ちになられて、実際にはいろいろな医療機関からもらっているのだけれども、それ を整理して、飲みやすいための例えば一包化ですとか服薬カレンダーで、患者さんの状態 に合わせてそういう支援をする。ただ、当然それについては処方医のほうに御連絡をした 上でやるということはいかがだろうかということの御提案でございます。 ○鈴木委員  認知症はそんな簡単な話でおさまる話ではないです。私は認知症の専門家ではありませ んけれども、いろいろなところから聞いたり、介護の現場の話を聞いたり、とてもそんな 生易しいことで終わる認知症はおりません。 ○土田小委員長  これについては、もう一度薬剤管理官のほうで検討して、明確な基準を出していただき たいと思います。それでよろしいですか。 ○竹嶋委員  鈴木委員も発言いたしましたけれども、重複投与しないということは当然我々は自主的 にやっていかなければいかぬことですよね。私が一番反論したいのは義務付けということ です。「義務付け」と簡単に言われるけれども、これはペナルティーを課されるというこ とがあるわけで、よく考えたら、お年寄りの方々でそういうものをお持ちになってこない ような場合とかに、そういうときはどうするのですか、持ってきていないから出しません よとか、そうするのですか。現場のことをしっかり考えてほしいと思うのです。そういう 方向性は反対しません。ただ、簡単に「義務付け」という言葉を使われると、これには絶 対私は反論します。 ○丸山委員  竹嶋先生と同じ意見なのですが、私自身もお薬手帳を持っていますが、薬屋へ持ってい ったことがないので、多分これは義務違反になる可能性があるのだけれども、お薬手帳を 義務づけられますと、認知症もなかなか直ぐには判らなく、長い間にわかるという観点か らいって、患者が持参した調剤済みの薬剤、これはどこかよその薬局でもらったものとい うことでしょうが、それも一緒にして一包化してくれて、カレンダーにしてくれるという、 そんな親切な薬局には、一言もここに書かれていませんが、かかりつけ薬局という概念を あっさりつくらないと、今のお薬手帳の義務化だとか、認知症の方への対応とか、長い間 診ている薬局でないとできないのではないかと思うのですが、そういうコンセプトを新た につくろうとなさっているのかどうか、その辺をお聞きしたいのです。 ○事務局(磯部薬剤管理官)   今のお話の、まさしくこういうことを対応するのがいわゆるかかりつけ薬局のお仕事だ と認識をしております。  それで、実は、こういった御提案をさせていただいた背景といたしまして、特に医薬分 業が非常に進んでおります例えば上田市というのがございまして、そちらのほうでも大分 こういった活動で、実際今は全くボランティアでやっておられるようなケースが多いと聞 いておるのですが、そういうところで患者さんが非常にお困りになって、例えばPTPか ら出すのも非常に大変だと。それで、一個一個同じ朝でも二つ三つ飲む。なかなか大変な ことで、それを単純に1つのパックに入れてあげるということで大分服薬がしやすくなっ たというようなことで、非常に効果があったということもいろいろ聞いておりまして、そ ういったことの取組が、まだ一部の地域でございますけれども、そういったことを患者さ んのニーズに合わせて対応することが非常に意味があるのではないかということで、そう いう意味では本来のかかりつけ薬局というような機能だと思っております。 ○山本委員  今丸山委員からかかりつけ薬局をつくるのかという御指摘があったのですが、既に薬剤 師会と言うと変ですけれども、これまでもずっと日本薬剤師会の立場からしますと、かか りつけ薬局を進めようということで、なるべくお近くの便利なところへお持ちくださいと いう運動をしてまいりました。実は、別に医療部会のほうでもそうしたことで、地域医療 の中での薬局の役割というのは、医師の方々もそうであるように、薬剤師も薬局としては かかりつけ薬局になる。それがある意味では手帳も使ったものでもありましょうし、そう した方向に進んでおりますので、もし丸山委員が行かれている薬局でそうしたことがなけ れば、もしかするとかかりつけ薬局ではないところへ行かれているのかなという思いがい たします。  その一方で、今管理官から御説明がありましたように、私どもは鈴木委員の御心配のよ うに、往診というものを考えてみたり、あるいは治療ということは考えたこともございま せん。ただ、治療を進める上で医薬品を飲むということがまずあって、その服薬という大 事な部分を十分に履行できない、あるいは正しく飲めないということが結果としては治療 を進める上で大きな障害となるケースがあるのであろう。そこは私どもの責任だと思って おりますので、具体的に薬局にいらっしゃる方につきましては十分な服薬指導をいたしま すし、おいでになれない方は在宅訪問薬剤管理ということで、お宅にお邪魔をして十分な 服薬管理をいたします。  ただ、外来であっても、確かに鈴木先生がおっしゃるように、日々むらがあることは十 分承知しておりまして、そうした場合のことがきちんと服薬ができるような、その範囲の 指導あるいはお手伝いをするという範囲を超えておりませんので、認知症の方々だけに限 って何か治療をしようということではなく、それ以外の方ももちろんいらっしゃいますの で、そうしたことを含めてこの部分は考えていただければなと。もちろん、重複投与につ きまして、私どもは十分に認識しておりますので薬剤師の責任としてきちんと対応してお りますが、それも含めて御理解いただければと思います。 ○渡辺委員  1点確認させていただきたいと思います。この本文の2ページの(2)、ただいまお話 がありましたが、医師及び薬剤師は確認を義務付けるということがあります。それで、参 考資料の2ページを見ますと、「総合的に診る医師以外の医師・歯科医師」とあるのです が、これはどのようになっているのでしょうか。  それからもう1点、これは竹嶋委員と同じ考えなのですが、私たちも薬を出すときに、 手帳をお持ちですかと聞くのですが、なかなか持っていらっしゃらない。特に歯科の場合 に薬という感覚がないのかもしれませんが、非常に少ないということで、義務付けという のが果たしてできるのかどうかというところが問題だと思います。 ○土田小委員長  最初に、歯科医師が入っているかどうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  申し訳ございません。これは単純ミスでございまして、「医師、歯科医師及び薬剤師」 という意味で書かせていただきたいと思います。この場で訂正させていただきたいと思い ます。 ○土田小委員長  わかりました。それで、ここの(2)の義務付けの問題ですが、これは1号側、2号側 からも疑問が出されておりますので、これは、このままではなくて、具体的な実効性のあ るような形にもう一度案を練り直していただきたいと思います。 ○前田委員  ほかの部会というか、局面でもそうなのですが、「義務付け」という言葉の受け取り方 なのですけれども、ただ、これはやはり高齢者について薬をチェックするようにするほう が好ましいので、それをより確実にする方策をとろうという御趣旨なのですね。義務付け ると、すぐ罰則とか、それについてのサンクションと結びつけがちなのですが、いろいろ な段階のもの、ソフトなものがございますので、ここの御提案は、薬について手帳を有効 利用しよう、そのために医者の側もきちっと義務として、これはいろいろなレベルのもの がございまして、御心配はよくわかるのですけれども、これはやらなかったらとか、見落 としたらペナルティーがということとは必ずしも違う。その方向で検討したらどうかとい う御提案だと。私は別に医療課の側に立って発言をする必要はないのですけれども、法律 家としては、義務ということは、お医者様が特に、ほかの局面でもそうなのですけれども、 すごく負担を負わされるという意識をお持ちになるのですが、必ずしもそうハードにいく とは限らないのです。 ○竹嶋委員  ちょっとこれには反論しておきます、公益委員に申し訳ないですが。私は言葉の中で申 し上げたと思うのです。高齢者の方々がたくさんお見えになったときに、本当にお薬手帳 をちゃんとお持ちになってくるか。来ないときに、我々は義務付けられているから出せま せんよと、そういうことをやらざるを得ない。先生の言われる法的に何か罰則で縛られる とか、そういうことは私もないと思います。ただ、徹底化するとか、努めるとか、言葉の 使い方がどれだけ現場に大きな影響を与えるか。方向は私は反対していないです。 ○土田小委員長  恐らくそういうことだろうと思います。ですから、ここは先ほど申しましたように、一 応そういう方向は好ましい。ただ、義務付けというのがどの程度の縛りかということがお 互いに食い違っておりますので、そこを整理して、もう一度出していただきたいというこ とでよろしいでしょうか。 ○丸山委員  ちょっと余計なことを言ってしまって、変なところに議論が……。  あのお薬手帳は今流ではないのです。けっこう大きいし、今後ともあれを持って歩くの ですか。やはり電子化しないとだめだと思うのです。ICカードでも何でも。それで、今 さっき山本さんがおっしゃるかかりつけが現実に進んでいるならば、私が行く薬局、そこ は常に私がそのカードを出せば履歴がモニター画面にあらわれてくるべきなのです。一々 書いたり張ったりするというのは、それを全国民に義務付けるというのは、やはりちょっ と19世紀か20世紀の発想だ。そういう工夫をすると、義務という言葉が出てこないよ うな形で普遍的になる。必ずセキュリティーの問題は必要ですけれども、そういう工夫を しないといけないと思うのです。 ○土田小委員長  薬剤管理官、それでは、一応これをまとめるような形で発言ください。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今のお薬手帳のところで、本文の2ページ(2)のところで、今お薬手帳を皆持ってい ないではないか。特に一番その点が、その媒体がいいのかという御指摘でございました。 その点については、確かにまだ普及度は十分ではございません。大事なことは、患者さん が現在服薬をどうされているのか、服用歴はどうなのかを把握するということが大事でご ざいますので、そういった視点でその部分をしっかりする。それで、媒体については、今 一番普及されているものとしてお薬手帳をお挙げしておりますけれども、幾つかの媒体は 確かにあろうかと思いますので、大事なことは、今患者さんが何を飲まれていてどういう 状況なのかをきちっと把握した上で対応していただく。そういった理念に基づいて対応方 策を考えていきたいと思います。 ○松浦委員  私も方向は確かにいいと思うのです。現実的かどうかということをしっかり考えてほし い。特に私も来年ぐらいから後期高齢者になりますけれども、正気のときは、5種類ぐら い薬をもらっても自分で仕分けするのです。ところが、酒を飲んだりすると、飲んだか飲 まないかすぐ忘れてしまうのです。今痴呆の話が出ましたけれども、痴呆の方というのは、 分けて、ちゃんとカレンダーをつくってあげても、多分飲んだか飲まないか、すぐお忘れ になると思いますから、現実的なことを考えながら方向を進めていただけたらいいと思い ます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  それでは、次の「第2 後期高齢者の初・再診料」について、これも一応御意見をお聞 きするということですので、ある程度時間を区切ってしまいたいと思いますが、どうぞよ ろしくお願いします。 ○鈴木委員  前回の意見と変わりありません。 ○土田小委員長  1号側、いかがですか。 ○対馬委員  やはり私どもは、これはよく議論して提案を実現させる方向で、もっと議論を深めてい きたいと思います。鈴木委員だけの発言ですと、それでおしまいになりますので、よろし くお願いいたします。 ○小島委員  これは、次の第3の議題ともかかわるところだと思います。そういう継続的な管理を適 正に評価するというようなことがベースにあって、それとの関係で、初診料についてはそ ういうことを勘案して、評価を上げてということなので、初診料のところについては、ま さに継続的な医学管理をする、そこをベースにしているということなので……。 ○土田小委員長  それでは、第3とも絡めて。 ○小島委員  そういうことなので、やはり初診料と再診料ということは、そことの関連で検討すべき ではないかと思っています。 ○丸山委員  疑問というか、意見と質問があります。  年間診療計画、これは参考資料を見ると、自分も一人の患者の立場でもありますから、 これは大変ありがたいと思います。しかしものすごい文書量になってお医者さんを襲って いくだろうと思うのです。お医者さんがお忙しい理由の一つに、かなりの比率で文書作成 というのがあったので、これはよほど統一したフォーマットで、それこそ電子化して簡単 にやる必要がある。中身は簡単にというわけにはいかないが、そういう点を工夫しないと、 これは大変なことになると思います。  75歳以上には全員これを毎年つくるわけですから、そのためにはメディカルクラーク という、そういう職務を担う人の活躍がここにも期待されるのではないか。だから、この 帳票にはないけれども、この診療計画書、受診ごとに渡すもの、これはお医者さんの名前 のほかにそういうアシストする人の名前も入れないと、患者にはちょっとわからないので はないかという気がします。  もう1つは、これは質問ですが、継続的医学管理というのは、再診料を払っていくわけ ですよね。しかし、再診料を引き下げるというのは、簡素化という言葉は悪いけれども、 お年寄りが毎たび来ると、そう大きな変化がないから、簡素化することになるのではない か。そういう中にこれだけの計画書を書かせるというのはかなり負荷がかかるのではない か。その辺のバランスがどうなのか。これはむしろ2号側から言う意見かもしれないです が。 ○土田小委員長  医療課に答えてもらいましょう。 ○事務局(原医療課長)  全体としては、この継続的な医学管理については診療所でまずやっていただこうと思っ ております。そういう意味で、前回医師の負担感の問題の資料を出しましたが、あれはす べて病院の医師の話でございまして、文書が多いとかいうのもすべて病院での状況を調べ た結果でございます。  診療所の場合、別に暇だと言っているわけではないのですけれども、確かにこういう計 画書をつくるのはもちろん大変なわけで、時間もかかりますし、当然電子化とかそのあた りのツールも必要なのかもわかりません。だからこそ、逆に言うと、今まで再診の中で、 例えば指導管理を特に別に評価をしてきた。ここの場合は、逆にさらにもっと手間がかか るだろうということで、普通の再診料の中にさまざまな要因が入っているわけですけれど も、その中からこういう指導的なものを抜き出して年間のスケジュールに基づいてやって いただくという意味で、再診料を一部分離して、ある意味ではここでつけてはどうかと、 先ほど小島委員のおっしゃったところもそういうところだと思うのです。  では、これをつくるのは大変だから、あとは点数をどれぐらいに設定するか、それから、 平均的な検査とか、投薬量がどれぐらいか、これらも含めて点数設定をしていく必要があ るのだろうと思っております。 ○竹嶋委員  実は、医療側が5人おりますが、診療所は私1人でございまして、それで頑張らなけれ ばいかぬということです。今のお話でいいのですが、私はこのごろ、要らぬことですが、 来年の2月、3月の予定を言われたら、それまで生きているかどうかわかりませんよとう ちの秘書に言うのです。やはり1年間要りますか。すみません、高齢者の方々はすぐ亡く なるという意味ではないのですが、ただ、1年間というのは要るかなと思うのだけれども、 横にスペースが狭いから、簡単でいいということですか。つけてもらうのはありがたいの です。物すごく喜んでいます。そこら辺のところ、どうなのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  なぜ1年を出しているかといいますと、一番初めに申しましたように、例えば総合機能 の評価、これは年に1回ぐらいチェックをやればいいのではないか。あるいは確かに年が どんどんいくと、半年に1回でもいいのかもわかりません。そこはどれぐらいやるかとい う問題が絡んでくる。ただ、最低限年に1回やってもらってはどうかとか、あるいは血液 検査やあるいは胸部単純撮影、こういうような検査も恐らく年に1回やってもらうという ような形になるのではないか。血液検査は、物によっては年2回ぐらいチェックしてもら う。そういう意味で、やはり年という単位で全体の診療というものをくくっていきたいと 考えておりますので、ですから、やはり年間計画をつくっていただくということが妥当か なと。あと周期的に、例えば半年に1回これらの検査をやはりすべきだということである ならば、半年という単位でその方の医療あるいは健康に関する全体を把握するという意味 で、半年の単位で繰り返していく必要があるということであれば、半年という単位も考え られると思いますが、今のところ、特に75歳、後期高齢者の比較的早い段階の方々につ いては年に1回程度でいいのではないかということで、今こういうような形を考えている ということでございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。 ○鈴木委員  この問題で議論が非常に難しいのは、私どもの主張と違って、1人の医者というところ にあるわけなのです。がんですとか、心疾患ですとか、糖尿病ですとか、病気それぞれの 専門の主治医の先生がおられるわけですし、そこの相互の情報の共有化を十二分にやった 上で高齢者を診療しなさいということだったらわかるのですけれども、1人に絞り込んで ということなものですから、実はそこで話がよじれてしまうわけです。その辺のところを もう一回再考いただきまして、この問題は次回に持ち越しということでお願いしたいので す。 ○事務局(原医療課長)  今鈴木委員のほうからお話が出ました、それぞれの病気にそれぞれ前で言えば主治医が おられるのは別に構わないとは思います。ただ、しかしながら、そのすべてのところで、 では、胸のレントゲンを全部撮るとか、そういうことは全然必要はないわけですし、ある いは血液検査についても、あるいは重複してやる必要がないかもわからない。  そういう意味で、だれかお一人が、「管理」という言葉はなかなかよろしくないという 意見もあるのですが、その高齢者を全体としてしっかり診ておいていただくということが 多分今回のポイントなので、例えばその方が糖尿病を主として専門にされる先生でしたら、 糖尿病はしっかりと診るけれども、では、がんについてはどこそこの先生でやっていただ く。それは多分あり得る話だとは思います。ただ、では、高血圧もそれもまた別かという と、糖尿病の先生も高血圧ぐらいは診ていただけるかなとは思いますけれども、それを否 定するものではありませんけれども、ただ、トータルとして、患者さんの健康状態あるい は総合的な機能のチェックなどをやっていただくのはだれかお一人でお願いしたいと思っ ております。 ○西澤委員  この議論は恐らく持ち越しになると思うのですが、1つだけ聞きたいのは、再診料とい うのは、200床未満の病院にもあります。この2と3に関係するのですけれども、再診 料は下げるけれども、そのかわり「継続的な医学管理を適正に評価」と書かれていて、こ の継続的な医学管理は診療所だけということになると、200床未満の病院は再診料を下 げて、その下げた分を今度どこで評価していただくのか、教えていただければと思います。 ○事務局(原医療課長)  また御相談したいと思います。 ○土田小委員長  それでは、御相談したいということですので、先ほど鈴木委員から話がありましたよう に、一応これはこれで持ち越しにして、また次回検討したいと思います。  最後の名称の問題も、今日初めて示されたわけですので、これはそれぞれ持ち帰って、 どういう名称が好ましいか検討していただくということにして、ここの問題はこれで打ち 切りにしたいと思います。よろしいでしょうか。  それで、予定では、次にリハビリテーションの課題が2つございますが、この後総会が ございますので、今日は基本小委としてはここまでにして、このリハビリテーションに係 る問題は、次回、金曜日の基本小委で取り上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田小委員長  よろしくお願いします。  それでは、次に総会に移りますので、しばらく時間を下さい。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)