07/11/21 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(作業部会) 第2回議事録 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(第2回作業部会)              1.日  時:平成19年11月21日(水)15:00〜17:00 2.開催場所:はあといん乃木坂(健保会館)地下1階「フルール」 3.議事次第:(1)開会        (2)意見交換         ・ 健康保健組合連合会         ・ 全国中小企業団体中央会         ・ 地方職員共済組合         ・ 日本商工会議所         ・ 日本生活協同組合連合会        (3)閉会 4.出席委員等    (委員)      大山永昭委員、駒村康平委員、田中滋委員、樋口範雄主査、南砂委員、      山本隆一委員                (五十音順、敬称略)    (オブザーバ)      山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官      塚田桂祐 総務省大臣官房参事官(企画担当)      望月明雄 総務省自治行政局市町村課住民基本台帳企画官    (厚生労働省)      黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室長    (意見発表者)      池上秀樹 健康保健組合連合会理事      中橋良二 健康保健組合連合会IT推進部長      原川耕治 全国中小企業団体中央会労働政策部長      岩田知也 地方職員共済組合地方共済事務局長      大塚隆人 地方職員共済組合保健課次長      近藤英明 日本商工会議所理事・企画調査部長      山内清行 日本商工会議所企画調査部調査役      山内明子 日本生活協同組合連合会組織推進本部長                            (団体名:五十音順) ○ 黒川社会保障カード推進室長    それではただいまより社会保障カードの在り方に関する検討会(第2回作業部会)   を開催いたします。今回の作業部会につきましては、大山座長より樋口先生に主査   をお願いしておりますので、樋口先生に議事進行をお願いいたします。 ○ 樋口主査    御紹介にあずかりました樋口です。今回と27日についてはこの検討会の中で班   を分けて、駒村先生、田中先生、南先生、山本先生と私を中心にした一種の作業班   というところで意見交換を行い、いろいろな団体の方の御意見を伺うことになって   おります。なお今日は大山委員も御出席です。前回までの検討会では、社会保障カ   ードについてまだどういうものになるかというのは完全な形が見えていないのです   が、論点の摘出を行っておりますので、それと特に関係のある団体の方々にこの段   階でまず御意見伺おうという趣旨だと理解しております。本日は健康保険組合連合   会、それから全国中小企業団体中央会、地方職員共済組合、日本商工会議所、最後   に日本生活協同組合連合会の代表にお集まりをいただいております。どうぞよろし   くお願いいたします。各団体はいろいろな御意見があると思いますけれども、10   分ずつということになっておりますが、まず事務局の方で、この資料の確認をお願   いした後、御説明を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○ 事務局    最初に資料の確認をさせていただきます。本日、資料を3点お配りしておりまし   て、最初に資料1「主な論点の整理のまとめ」という縦紙でございます。こちらは   前回、前々回の検討会におきましてご議論いただき、前回、大山座長に一任という   形になったものでして、委員の先生方にももう一度御確認いただいた上で、数点追   加をしております。主なものといたしましては、資料1の1枚目、検討の方向とい   う枠の中ですけれども、1つ目の○の4行目。サービス提供者についても事務効率   化が図られるということを強調するということで、保険者やサービス提供者等の事   務効率化にも資する仕組みとしております。また2つ目の○を追加しており、導入   のメリットをわかりやすく示していく。3つ目の○の2行目を追加しており、セキ   ュリティ対策についても具体的に示していく。こうした記述を追加させていただい   ております。また、昨日の作業部会におきまして、一部誤解されていた部分がござ   いましたので、簡単に御説明させていただきますと、この資料1の2枚目、一番上   の・でございます。ICチップやカード券面にどのような情報を収録するか。カー   ドの収録情報はできる限り本人確認のために必要なものに限定すべきではないかと   いうことで、この検討会の中では、カードの中にたくさんの健康情報を載せるとい   うことではなくて、できる限り情報は絞っていこうという方向で検討しているとい   うことで、何かたくさん健康情報を載せて、それが表に出るとまずいということで   はないということでございます。また2点目でございますけれども、真ん中に3番   「カードの発行・管理のためのデータベース」というところがございますけれども、   「各制度の保険者ごとに管理されているデータベースの資格情報を結びつけること   についてどう考えるか」ということで、カードに載っていない分、データベースを   外部に置いて、そちらにアクセスして資格確認を行うということでございますが、   こちらについても、あくまでも、資格情報について結びつけるということをどう考   えるかという話でございまして、何か1カ所、あらゆる健康情報を含んだ巨大なデ   ータベースをつくるということではないということで御理解いただければと思いま   す。念のため、御説明させていただきました。こちらが資料1になります。2枚目   が資料の2、横紙のものでございまして、「社会保障カード(仮称)導入により目   指す効果の例」ということで、第2回の検討会で配布させていただいたものでござ   います。また3点目が資料3「出席団体提出資料」ということで、日本生活協同組   合連合会様の方からレジュメをいただいております。   以上3点でございます。 ○ 樋口主査    それでは早速議事に入らせていただこうと思いますが、まず前半ですね。この5   団体の方にいらっしゃっていただいているのですが、1つずつを区切るのではなく   て、一応全体のお話を聞いてみたいということで、約10分という非常に短い時間   で恐縮ですが、御意見をどんどん伺っていく。その後、ここにおられる委員の方々   から御質問等をいただき、一緒に議論をしていただくということにしたいと思って   おります。トップバッターは健康保険組合連合会の池上様と中橋様ですが、よろし   くお願いいたします。 ○ 健康保険組合連合会(中橋部長)    本日はお呼びいただきましてありがとうございます。私、健康保険組合連合会の   IT推進部の部長をしております中橋でございます。本日は私どもの担当役員の池   上も出席させていただきまして、意見を述べさせていただきたいと思っております。   健康保険組合は御存じのように、1,500強ございます。これが保険者という形   でございますけれども、今、健康保険組合の方はレセプトオンライン、そして来年   から始まります特定健診、特定保健指導は、まさしくIT化という世界は紙が多い   中で、今度はレセプト、そしてレセプトの情報と同じように集合契約という形で、   電子のデータがどう受けるという状況になってきております。こういう中で、私ど   も本年2月に健保組合IT基本構想の取りまとめをいたしました。これはITを活   用した保険者機能の充実強化、そして加入者サービスの向上をITを使っていかに   できるかというものを事前からやっていかないと、これは経費もかかります。そし   て方向性についてのきっちりとした筋道を立てていかなければいけないだろうとい   うことで、まとめられたものでございます。その延長線上ということで、我々とし   ては特定健診・特定保健指導のシステムを今構築中でございます。これが一種健保   組合をつなぐ機能を今回有するというような、発展につなげるセンターの立ち上げ   を来年予定してございます。このような状況の中で、我々に関連するIT関係の検   討会が3つ大きく動いているという認識を持っております。1つは医療費の質の向   上のためのレセプト情報等の活用に関する検討会。それと電子私書箱の検討会、そ   してこの社会保障カードの検討会。これはそれぞれが我々としては大きく健保の世   界に影響するものだと認識してございます。これについては2つの検討会に我々と   しても委員を参画させていただいておりまして、積極的な意見を述べさせていただ   いて、いい形のものを進めていただき、私ども、基本的なスタンスがあると思って   おります。特にこの社会保障カードの検討会につきましては、データベース連携と   いうようなことが想定されてきております。そういう意味ではどちらかと言うとキ   ーになる機能を持った重要な検討会であり、これにどう使えるか。今、御説明があ   りましたように、いろんなものをどういう形でつないでいくか。まさしくこれから   我々としては非常に大きな興味を持ってまいります。そういうことで、期待という   ものをかなり持っているということを御認識いただきたいと思っております。具体   的に社会保障カードの導入によるメリットは、どういうものを考えているのかとい   うことでございますけれども、1つはこの社会保障カードのつなぎについては、住   基ネットをベースに考えられているようなことを聞いております。これは我々健保   の世界でいきますと、被保険者の住所は把握しております。被扶養者については特   定健診の場合、これから把握するということになってきます。こういう住所管理と   いうものが今後必要なくなるのかどうか。これも1つやり方によってはメリットが   あるのではないかという認識はございます。また、現在医療費の統計をとってござ   ます。これは国でやられているとおり、医療機関別の医療費がベースになってお   りますけれども、今度住所地を追えるということになりますと、住所地での医療費   そして診療動向、そういうものが比較的追えるというベースでは可能性があるので   はないか。これはそれぞれの中で議論していただく必要が十分あると思っておりま   すけれども、こういうものが出てくるということでございます。もう1つ。医療と   介護というところで、今回3つの年金・医療・介護をベースに動かれるということ   を聞いておりますので、その医療と介護の中に重複給付という問題が1つあるかと   思っています。ここは在宅サービスを受ける要介護者が医療を必要とする場合には、   訪問介護を受ける場合がございますけれども、介護保険で認められている訪問介護   や訪問リハなどは、介護保険給付が優先されるというふうになっておりますけれど   も、実際にいろんな面で両方から給付が出てくることがございます。これを保険者   がチェックできるということが可能になれば、それは大きな適正化につながると認   識してございます。もう1つ。この社会保障カード導入に当たり留意すべき事項と   いうものが多々あるかと思います。最大はやはり健康保険組合はかなりの今回特定   健診を受けまして、システムの経費をかけてやっていくわけですけれども、今後、   国とどういうつなぎ方をするか。この動向次第によってはかなり保険者に定期的に   負担がかかってくるということが想定されるとしたら、それはやはり大変な問題と   して認識しなくてはいけない。健保は必ずしも財政が豊かではございません。いろ   んな問題で今健保は苦しい立場に置かれております。そういう中でこれが本当に真   に意味があるものだということを認識されないということになれば、やはり賛同で   きない部分が多分出てくると思います。そこの経費というものは、そういう大きな   意味を持ってくるということを御認識いただけたらと思っております。それと健保   業務において健康保険の限度額適用認定証みたいに、今保険証とともに一定の書類   を提出することになっております。こういう紙レベルのものが解消されていくとい   うことを十分取り扱いについても御検討いただいて、そういうものがあわせて効率   的になるということを、ぜひ御検討いただければと思っております。それともう1   つ。特定健診情報をこれから我々は扱うわけですけれども、国民に対する個人情報   というものが大きく影響しております。ここは既に事務局の方で国として責任を持   って対応されると聞いております。これは基本的なこととして、今回データという   ところでは大きな意味を持ってまいりますし、社会保障カードという個人がアクセ   スするというベースでは、必ずクリアしていただかなくてはいけないし、国として   の大きな責任を持って対応していただく必要は十分あるということは、言わせてい   ただきたいと思っております。社会保障カードに対する私どもの提案事項で、まだ   私どもの組織として十分練った上での提案ということではございませんので、お聞   きいただきたいと思いますけれども、やはり社会保障カード、ICカードという形   でやられる。そして身分証明書の機能を有する場合、当面は券面上の本人確認ので   きる事項、各社会保障制度の現行の加入状況といった機能に限定すべきであろうと   いうふうには考えております。国の住民基本台帳のデータをどこまで入れるかとい   うことも1つの議論があるかと思いますけれども、やはりアクセスキーとかそうい   う機能を十分有するというところで、後をどうつなげていくか。ここが重要になっ   てくるのではないでしょうかと思っております。そしてこのアクセスキー、そして   どういう形、つまり個人の確定、資格確認という問題が出てくるかと思います。私   ども、今先行して進めております共同情報処理事業は、実は健保の適用情報を私ど   もでお預かりして対応するということで、このセンターに有効に機能すれば、やは   り資格確認の把握機能というものも十分実装できるというふうには思っております。   これは将来の問題としてあると思います。ただ、こういう民間の動きに対する大き   な視点で考えられるときに、これが活用できるように、後戻りしないように、ぜひ   そこら辺を十分に御認識して対応していただきたい。これは私ども健保として、こ   ういう形の進め方ということが後戻りすることになれば、やはり今後の進め方につ   いてもなかなか踏み込めないということも出てまいりますので、十分御認識いただ   ければと思っております。そしてこういうカードを使って、どういうときに事務的   に大きく有効性があるか十分認識できるものをぜひお示しいただきたいし、我々も   それに参画してお話をさせていただいて、いいものができるようにしたいというこ   とでございます。そして最後に本人が持つということでございます。本人が医療・   介護の利便性と同時に情報が見れる。これは私ども患者中心の医療という形で、常   に患者の視点での対応をさせていただいているところの重要な案件でございます。   ただ、ここについても、先ほど申し上げました情報というところについては、明確   にやっていただきたいと思いますし、そしてもう1つ。先ほどの介護とのこともご   ざいますけれども、保険者間の相互情報交換ができるようなかたちでも検討する場   というものが必要ではないかと。雑駁でございますけれども、私ども、今の状況で   のお話ということは、以上にさせていただきたいと思っております。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。後で質疑にぜひ御参加ください。次が全国中小企業団   体中央会の原川様、お願いします。 ○ 全国中小企業団体中央会(原川部長)    今御紹介いただきました原川でございます。お手元に組織のコピーがお配りして   あると思いますけれども、まずはじめに、私ども中小企業団体中央会についてご説   明したいと思います。我が国には、中小企業の組織、中小企業等協同組合法という   ような法律で定められております事業協同組合を初め、いろんな組合組織がござい   ます。事業主の組合組織でございますけれども、あらゆる業種にそういう組織が今   できております。現在、約47,000の事業協同組合や中小企業の社団法人がご   ざいます。私ども中小企業は、全国で430万企業ほどございます。中小企業は我   が国企業の99.7%を占めており、私ども中小企業団体中央会は、事業協同組合   というような組織を通じてその中小企業の振興・発展を図る組織でございます。そ   の組織としましては、各都道府県に中央会がございまして、その傘に約31,00   0の組合、あるいは協会があり、末端の中小企業の加盟者数は、305万企業ほど   でございます。事業は中小企業の連携ということで、中小企業者が協同してこうし   た組織をつくって、近代化、合理化等に取り組む際に支援をするという使命を帯び   ている団体です。今回のお呼びいただいたテーマでございますけれども、社会保障   カードにつきましては我々も十分勉強しているというわけではございませんで、あ   くまでも現時点での意見というようなことでお聞きいただければ幸いに思います。   このカードの導入については、こういった年金・医療・介護という一連的と言った   らいいのでしょうか。そういうカードができると、いろんなところで国あるいは企   業、国民共にメリットがあるというようなものであれば、これは導入する価値はあ   ると 思うのですけれども、いろいろ資料を拝見して、課題も多くあるというふう   に感じた次第でございます。7つほど課題を申し上げたいと思うのですけれども、   1つ目は、正直なところでございますけれども、年金あるいは医療保険、健康保険   介護保険を含めた、このようなカードを、全国民1人1枚配るということが、20   11年までに実際可能なのかという時間的な問題があると思います。また、今、年   金の管理の問題が取りざたされておりまして、このカード導入の1つの動機でもあ   ると思うのですけれども、年金管理もこれまで言われてきましたように問題がある   ところで、この3つのものを1枚のカードにして、一連的な管理をするようなこと   にした場合に、本当に実行可能なのかというところも、我々としては若干疑問に感   じるのであります。しかし、これは先ほど言いましたようなメリット・デメリット   をよく考えながら進めるということで、これができれば非常に有意義なものではあ   ると考えます。2つ目は、今後、社会保険番号あるいはそういうものを活用した納   税者番号というようなものの導入に、このカードが発展するのかというところは、   我々の非常に関心のあるところでして、その場合にも、十分な国民的な議論を行っ   ていただきたいというふうに考えております。その必要性も含めて、十分な議論を   行うべきだというふうに考えております。3つ目は、国民に広く活用されるもので   あるべきであるということでございまして、国民の年金の確認ができるのは結構な   ことなのですけれども、いろいろコストを費やしてこういう制度をつくって、どの   程度国民のニーズが潜在的にあるのかということもよく検討をして、国民にメリッ   トがあるような制度をつくっていただくようお願いしたいと思います。4つ目は、   個人情報保護の問題であります。先ほど出ましたけれども、この問題は非常に重要   であるというふうに認識しておりまして、安全・安心なシステムというものをやは   り追求をしていただきたい。今の住基ネットを巡る訴訟なんかも全国でかなり行わ   れていますし、アメリカでもこういう情報漏れ、あるいはシステムの悪用といった   ことが社会問題化しているというようなことも聞いております。ですからここはか   なり重要ではないかということでございます。5つ目は、費用対効果についてであ   ります。これによって例えば行政等あるいは保険者の事務の効率化とか、経費の削   減ということが望めるということであると思いますけれども、それ以上に費用がか   かっては元も子もないということで、こういう点も十分注意をする必要があるとい   うふうに思います。したがって完璧な制度を追求するというよりも、例えば先ほど   のカードの要件についても、必要最小限度のものがいいと論点にもありましたけれ   ども、必要最小限度のコンパクトな制度で、コストの低減を図りながら検討すると   いうようなことをお願いしたいと思います。6つ目は、費用分担の問題でございま   す。基礎年金の番号のときは400億円位かかったと聞いております。介護保険の   番号のときは720億円位初期費用でかかったと。社会保険番号の導入の試算を見   ますと、初期費用が1,240億円位で経常経費がさらに775億円位かかるんじ   ゃないかというふうに言われています。先ほどの費用対効果ということはもちろん   ですけれども、こういった費用をどのように分担するかということも非常に重要な   点だと思います。なるべく企業とか国民に負担をかけないような配慮をしていただ   きたいというふうに思います。最後に、このようなことから、社会保障カードの導   入についてはやはり非常に重要かつ難しい課題を抱えた作業であるというふうに思   いますので、国民に基本的な具体的な提案を示して、ぜひ議論を喚起するようにし   ていただきたいと思います。以上でございます。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。続いて地方職員共済組合から岩田様と大塚様、お願い   いたします。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    地方職員共済組合の事務局長の岩田と申します。よろしくお願いいたします。ま   ず説明に先立ちまして、当組合について少し紹介をさせていただきます。地方職員   共済組合は地方公務員の共済組合のうち、東京都を除く主として46道府県の職員   を対象としまして、医療給付、年金給付、福祉事業を行っている共済組合でござい   ます。東京に本部がございまして各道府県に支部がありますが、道府県庁の関係課   が支部を兼ねているような形になっております。加入者数は18年度末の組合員が   約33万人おります。被扶養者が44万人。年金受給者が約29万人ほどおります。   事務の現状ですけれども、まず組合員証なのですが、これは組合員には組合員証、   被扶養者には組合員被扶養者証というものを、お1人1枚交付をしております。以   前はよくある保険証の連名のものだったのですけれども、昨年の10月から1人1   枚になっております。この組合員証なのですけれども、医療の保険証としてのみ使   用されているというのが実態でございます。発行枚数ですけれども77万枚でござい   まして、これは4年に一度更新をすることになっております。新たな資格取得によ   る発行は年間約45,000枚ほど発行しております。この資格の取得と喪失に係   る手続というのも各支部で行っております。ということは、職場の中で道府県庁の   中でこれを対応しているということになっております。それから年金情報の話もち   ょっと出ておりますので、これについて触れます。公務員の場合は年金手帳という   のはなくて、年金の未納という問題もありませんので、この組合員であった期間が   厚生年金で言う保険料の納付済み期間に該当するわけでございます。これは道府県   の人事記録に基づいて作成しました組合員原票で管理をしております。組合員に対   します情報提供ですけれども、昨年度から58歳になった組合員に対しまして、見   込額を通知するということを実施をしております。また組合員から個別に年金につ   いて相談があったり、自分の将来の年金見込みを出してくれという場合には、この   職場の中で対応しておりまして、見込み額を提供したりそういうことはやっており   ます。それからこういった組合員のデータの管理でございますけれども、資格の取   得、喪失あるいは医療保険の関係のレセプトの管理、年金の履歴等の管理、これら   はすべて各道府県の支部で行っております。住基ネットの話もちょっと出ているよ   うでございますので、私どもの組合における住基ネットの利用について紹介させて   いただきますけれども、まず組合員についてはその生存確認とか住所確認というの   はほとんど問題になりません。年金給付につきましては受給者がいますので、この   生存確認につきましては住基ネットを利用させていただいております。それから来   年の4月からは、年金決定の際の請求、それから年金受給者の住所変更届けの場合   にも、住基ネットを利用できるということに決めていただいております。以上が現   状でございます。この検討会の資料を拝見した範囲でちょっと感想めいたことで恐   縮でございますが、何点か述べさせていただきます。まず第1点が、このデータベ   ースやシステムの問題でございます。先ほど事務局の方からもお話がありましたけ   れども、この各保険者のデータベースをネットワーク化するというのが現実的なの   だろうというふうには思っております。ただし、当組合におきましては、先ほど述   べましたように、道府県支部ごとにデータを管理しております。また、業務で日々   利用しているデータベースに、外部ネットワークを直接つなぎ込むというのは、や   はりちょっと情報セキュリティの面なんかでも、問題が出てくるのかなというふう   に思っておりまして、したがって、こういうことをやりますときには、組合として   何か外部と接続することを想定した安全性の高いデータベースというものを、別途   つくることが必要になるのかなと。それには相当なコストも要するのかなと思われ   るわけであります。それからデータの結びつけの話がございますけれども、当然そ   の対象者個人を確認して、これと我々保険者の有する各制度のデータを結びつける   必要があるわけでございますけれども、システムのことはちょっとよくわからない   のですけれども、保険者に負担の小さい方法を考えていただきたいというのが願い   でございます。既存のものが使えるのであれば、コスト的には軽減できると思われ   ますので、例えば住基ネットの利用なんかも、選択肢の1つかなというふうには思   っております。カードの発行でございますけれども、我々保険者がこのカードを発   行するということは、ちょっと考えにくいと思っておりまして、保険証や組合証と   は性格が違うんじゃないかなというふうに思っております。もし我々が発行しない   としても、ただ、その発行されたカードに保険者が資格情報として、組合員の番号   だとかそういうものを記録しないといけないということになりますと、我々保険者   において機器の整備費が必要なってきますので、コストが増えてくるなと。先ほど   キーとして使うというようなお話も健保連さんからありましたけれども、なるべく   簡便な、保険者にコストのかからない方法を考えていただきたいなというふうに思   っておりまして、その場合には、私も詳しくはわからないのですが、既存の住基カ   ードとかここにあります公的個人認証サービスとか、そういったものも利用するこ   とも想定できるのではないかというふうに思っております。それから加入者の便益   ということについてちょっと考えてみたのですけれども、先ほど健保連さんからも   お話がございましたけれども、医療保険においては組合員証とは別に、例えば高齢   者には高齢受給者証というような、別な書類と言いますか証明書を渡しまして、そ   れで窓口で使っていただいているのですが、こういう形になりますと、それについ   てもデータを管理するのであれば、その2枚を持ち歩かなくていいということには   なるのかなというふうに思っております。しかしながら、資格を取得したり喪失し   たりするそのときの手続自体は、個人の申告によって行われますので、このカード   が発行されたからと言って、その手続は変わるということはないだろうというふう   に考えております。もちろん保険証を出しませんので、保険証を提出したり返納し   たりという、その手間はなくなるわけですけれども、それは県庁の中でやっていま   すので、事務処理の時間の短縮ということには余りつながらないのかなというふう   考えております。それからレセプトのデータのことが出ているのですけれども、レ   セプトの開示については、本人の請求であっても、医療機関に事前に照会する必要   があるということもありますので、リアルタイムな電子的な閲覧というのはちょっ   と課題があるのかなというふうに思っております。なお、当組合の平成18年度に   おけるレセプト開示の申請件数を調べてみたのですけれども、年間8件ということ   なので、ごくわずかにとどまっているのが実態でございます。4番目に、我々保険   者の事務の軽減ということを考えてみました。被保険者証の発行事務、組合員証の   発行事務、発行費用は軽減されるわけです。ものの値段と印刷代だけなのですけれ   ども大体1枚当たり32円ほどかかっております。77万枚を4年に一度発行しま   すので、これは2,500万円ほどということになります。それから新規のものは   年間45,000枚発行で、年間150万円位ということになりますので、こうい   った費用の軽減は想定されますけれども、このことと新しい仕組みによって新たに   コスト負担がかかってくる関連で、コストを考えるということになるのかなという   ふうに思っております。それから資格のデータ管理において少し課題があるのかな   と。この資格の取得なり喪失というのが、特に医療の方で考えていただければと思   いますけれども、リアルタイムでデータベースに書き換えられるということになり   ますと、医療機関において資格確認が確実かつ迅速に行われるようになるのですけ   れども、それをどういうふうにやるかという問題はあると思います。例えば被扶養   者の資格の喪失は、今まで被扶養者だったのだけれど、就職して被扶養者でなくな   るというようなケースがあるのですけれども、そのときは届け出をしてもらうこと   になっているのですけれども、普通は事実発生よりも遅くなるわけです。保険者間   において、資格の取得喪失のデータの更新のタイミングというのがずれることが考   えられまして、そうするとネットワーク上のシステムが一時的に複数の保険者に同   一人の資格が存在するとか、場合によっては全くないとか、そういうことが発生す   る可能性がありますので、何とか事務システム上、これらを解消する手当てが必要   になってくるかなというふうに考えます。5番目として、費用負担なのですけれど   も、先ほど来、お話も出ていますが、我々保険者側にもこの仕組みに対応するため   に、データとかシステムとかそういった整備をしないといけないコストが発生する   だろうなと。それから全体のシステム運営のためのコストに対する負担がどうなる   のかなと。特にカードに対する記録とかそういうことを行うということになります   と、そういった面での機器整備などもまた必要になってくるなと。我々の保険者の   費用というのは、被保険者の保険料、事業主(我々の場合は道府県庁なのですけれ   ども)の負担で賄われることになりますので、その費用の問題というのが大きけれ   ば大きいほど、いろいろと課題になってくるわけでございます。もう一点は個人情   報の保護の問題でして、何よりも重要なことは個人情報の保護だと思っておりまし   て、特に外部ネットワークと何らかの形でデータをやりとりするということになり   ますので、これは組合員、被扶養者、年金受給者のコンセンサスというものが必須   でございます。最後にまとめとしてお願いをしたいと思っておりますけれども、こ   の構想というのは当然我々保険者の業務に大きな影響があるわけです。被保険者に   とって便益、コストの負担の面、それから今申し上げた個人情報の保護の問題、こ   ういった点について、我々保険者は被保険者たる組合員等に説明責任を求められる   立場になります。したがって、今後構想を具体化をしていただく御検討の過程では、   やはり保険者が中心となって、実務的な論点への対応策を検討しなければいけない   んじゃないかなと思っております。今後の具体的な検討に当たっては、保険者の参   画が不可欠ではないかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。   以上でございます。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。次は4番目になりますが、日本商工会議所の近藤様と   山内様、お願いいたします。 ○ 日本商工会議所(近藤理事)    日本商工会議所の近藤でございます。日本商工会議所では社会保障問題小委員会   が、こういう問題を検討する場でありますが、まだこの社会保障カードについて委   員会で議論はやっておりません。中央会と同じように、我々も全国に517の年に   商工会議所があり、会員数は143万で大部分は中小企業です。中小企業というの   は、コスト負担がどうなるのか、あるいは事務負担がどうなるのかということに一   番関心がありますので、今後、コスト負担あるいは事務負担のあり方も含めて、も   う少し輪郭がはっきり見えるようになった段階で、議論をしたいと考えております。   したがいまして、今日の意見はあくまでも事務局の意見としてとらえていただきた   いと思います。まず検討の方向でいろいろ書いてございますが、我々としてはこの   社会保障カード導入のメリットは、主として2つではないかと考えております。1   つは、保険者や行政機関の給付や資格管理等の効率化に資する。例えば、年金から   の介護保険の天引きも共通番号で本人確認できれば、市町村事務は相当効率化する   のではないかと考えております。2つ目は、利用者の利便性の向上。中でも特に、   情報の開示の拡充・拡大が、非常にメリットではないかと思います。年金の加入記   録あるいは診療履歴、みずから社会保障情報をタイムリーに確認できることは、極   めて重要な点ではないかというように考えます。特に今後、個々人の健康に対する   管理意識というものが高まっていく。これに伴って健康情報の個別化ニーズも高ま   っていくのではないかというふうに思っております。このため、国民の社保障情報   を一括した形でポータルサイト化して、個人のニーズに合ったサービスが行政のみ   ならず、民間からも提供されるような仕組みといったものも検討をしていただけれ   ばと思います。アメリカでは、既にマイクロソフトがヘルスケアポータルを立ち上   げていると聞いておりますので、こういった海外事例も参考にして、設計の段階で   検討をいただきたいと思います。それから個別でございますが、対象分野関連につ   きましては、特にレセプト情報あるいは特定健診情報は非常に利用者にとって有益   でございますが、やはりセキュリティの問題等がございますので、この克服を前提   に、医療機関等あるいは個人の了解のもとに、有効活用ができるようになることが   望ましいと考えております。カードの要件は、やはりセキュリティの問題がござい   ますので、先ほどの方向にも出ておりますが、カード上の収録情報はできるだけ必   要最低限の情報にとどめるべきだと思います。海外の事例も大体そのようになって   いるかと思います。それからデータベース関連でございますが、日商としてはやは   り社会保障の給付と負担の公正化を進める観点から、社会保障制度にかかわる情報   システム連携を低価かつ効率的に運用する意味で、1つの永久番号になるような仕   組みが望ましいと考えております。現時点で番号を一元化するには、費用負担を組   めていろいろクリアすべき課題が山積していることは理解しておりますが、今後、   社会保障番号を住基ネット等の番号とどう結びつけていくか、ぜひお聞きしたいと   いうふうに思います。利用制限関係では、やはり利用制限は極めて重要な問題でご   ざいますので、慎重に御検討いただきたいと思います。それから、費用負担の問題   でございますが、どうなるかは全くわかりませんが、少なくともカードの発行、あ   るいは特に個人認証などのベース的な基盤整備にかかわる費用負担は、原則として   国が責任を負って行うべきだと考えております。大体以上でございます。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。では最後に日本生活協同組合連合会から山内様、お願   いします。 ○ 日本生活協同組合連合会(山内本部長)    日本生活協同組合連合会の山内でございます。私どもは生活協同組合、生協、コ   ープといろいろ呼称がありますが、全国の499の生協を束ねております全国の連   合会でございます。それぞれの生協で個人消費者の会員の方を募っており、今のと   ころ全国で会員は1,652万人、世帯で申しますと全国の3分の1の世帯の方が   何らかの形で生活協同組合にお入りいただき、事業を利用していただいているデー   タを持っております。主な事業は店舗、それから配達のトラックを通じました商品   の供給でございますが、そのほかにコープ共済、それから近年、介護福祉事業など   もやっております。そういった事業のほか、もともと消費者がよりよいものを私た   ちの手でということで、出資をして始まりました運動的組織でございますので、始   まった当時から様々な消費者の課題に取り組んでおりまして、最近では例えば食品   の安全を守るために法律改正の提案活動ですとか、消費者被害を守るための学習活   動、環境を守る活動、食育、子育てなどの取り組みも行っております。こういった   社会的に消費者の方と一緒に課題を解決するために進めております観点から、また   何度かの政策提言もしておりますので、そういう観点から本日はこの社会保障カー   ドに関しまして、市民の立場から意見を述べさせていただきたいと思います。1,   600万人と申し上げましたので、考え方は様々な方がいらっしゃいます。生活協   同組合トータルとして、このカードについて意見を伺って論議をしている段階では   ございませんので、今までの経験から事務局でまとめた中身として御理解いただき   たいと思います。お手元にございますように、大きく3点申し上げたいと思います。   本日はこのカード導入についての意見を求められているということは承知はしてお   りますが、市民的感覚から申しますと、この社会保障カードを導入するとなったと   きに、やはり想起される様々な思いがあると思いますので、そのあたりのことも含   めて提案させていただいております。まず第1点目は、この間、年金問題様々ござ   いまして、いろいろな対策をとっていただいてはおりますが、社会保障制度への市   民不信はございまして、そういったことをきちんと対策を立てていただいて、その   結果、どのように改善が行われたのかということを検証していただいた上で、新た   な対策としてカードの導入を提案いただきたいと考えております。本検討会では、   ぜひ市民がわかりやすく論議をしたり判断をしたりするための、カードのメリット   ・デメリットについて整理をいただいて、御提案いただきたいところです。2点目   は、このカードを導入されるということになりましたときに、メリット・デメリッ   トがございますので、幅広くぜひ論議をしていただきたいということでございます。   カードを入れましたときのメリットにつきまして、私といたしましても幾つか考え   ておりまして、それはすでに検討会で提案いただいておりますように、1人1枚に   なるということですとか、年金、健康保険、介護保険の制度のそれぞれの保険証が   一体化するというようなこと。それから自宅でパソコンから記録やレセプト情報を   見ることができるといった機能は、非常に市民にとっても利便性が高まると思って   おります。年金が一体これから幾ら給付されるのか。そして社会保険料は私は一体   幾ら負担しているのかといったことが、自分で確認できるということも大切なメリ   ットだと思います。あわせまして、自分でアクセスをしてチェックをするという行   為そのものを通じて、社会保障の制度そのものを改めて学び直したり、それからア   クセスをすることで、自分自身が仕組みとつながっていることを、実感し直すとい   ったような学習効果もあるのではないかと思っておりますので、そんな点について   も期待しています。このように年金問題でも必要だと思いますが、私ども生活協同   組合としましても、行政や関係される方々から情報を出していただき、こちらから   も疑問を出し、それに答えるといったコミュニケーションが行われることが、新し   く進めようとしている仕組みに対する市民の信頼につながります。既にこのカード   につきましては、政府と与党の方針の方で2011年度に導入をするというふうに   決定されていると聞いておりますが、私自身もこのように明確に年が限られている   とは存じ上げませんでした。様々な議論が出るとは思いますが、社会保障カードの   必要性や意義について、ぜひ丁寧に説明いただければ、そのことが信頼につながる   と思いますので、丁寧に幅広い論議をかけていただきたいと思います。最後になり   ますが、説明責任について申し上げたいと思います。まずカードの導入に当たりま   しては、今までの発言の方からも様々出ておりますように、開発費用ですとかカー   ドが導入されるとどんな機能が付加されるのかというようなことにつきまして、わ   かりやすく御説明をいただきたいし、それに対するいろいろな市民からの意見につ   いても、申し上げるような仕組みをつくっていただきたいと考えます。とりわけ最   後に書いております3点につきましては、市民からも当然疑問、不安が出るという   ふうに思いますので、説明をお願いしたいと思います。1点目がプライバシー問題   です。この保障カードが導入されれば、各社会保障制度の被保険者番号が統一され   て、届け出や問い合わせが簡単になるといったことが期待される反面、病歴など非   常にセンシティブな情報も一体的に管理されるというふうに理解しておりますので、   何度も出ておりますが、ぜひ個人情報の目的外の利用や情報流出によるプライバシ   ー侵害は、市民にとっても大きな不安の元になりますので、どのようにセキュリテ   ィをとっていくのかについて、わかりやすく御説明をいただきたいと考えます。こ   のセキュリティ問題とは別にプライバシーの問題にかかわりましては、行政が個人   の各種の情報を統一的に管理することについて、国民の自己情報コントロール権を   脅かすことになるのではないかといった慎重な意見をおっしゃっている方もいらっ   しゃいます。プライバシーを巡る問題はセキュリティにかかわる不安の問題と、先   ほど述べました国民の自己情報コントロール権への介入といったようなことに対す   る思いをお持ちになる方もあると思いますので、論点をきちんと分けて整理して、   御呈示いただきたいというふうに思っております。2つ目の問題ですが、カードの   開発、運用主体について、十分御検討いただきたいと思います。年金記録問題や一   連の不祥事問題で、社会保険庁が解体して出直しをされることになりましたが、市   民の中には年金以上に複雑なこういう仕組みができることにつきまして、一体どこ   が開発や運用を担うのかということで、行政機関が担えるのかといった疑問は出て   くるかとは思います。ときに行政改革ということもうたわれておりますので、行政   の肥大化を防ぐという観点からも、またはほかの組織をつくりましたときにも、天   下りなどの問題が指摘されることがございますので、慎重に御検討いただき、わか   りやすく説明をお願いしたいところです。最後になります。費用と効果の問題です。   私が調べましたところ、社会保障番号制度の導入に当たって、初期経費1,240   億円、毎年の経常経費775億円というような数字がございましたが、2011年   には基礎的な財政収支、プライマリーバランスの黒字化を目指されているところで、   毎年社会保障給付費も2,200億円抑制という方向が出ておりますので、ぜひ今   までの方法を継続していく場合と比べて、どれだけ費用のメリットが出るのか、か   かる費用はどれだけなのかということについても、簡単にわかるような説明をお願   いします。最後に繰り返しになりますけれども、新しい仕組みを導入するという機   会は、やはり市民に対してもこのカードの意義ですとか、社会保障制度そのものの   仕組みをもう一度見直す機会にもなりますので、ぜひよい機会ととらえていただき、   わかりやすい情報提供そして市民とのやりとりが、制度や行政に対する信頼回復に   もつながるということで位置づけていただき、論議を展開していただきたいという   ふうに思っております。私の意見は以上のとおりでございます。ありがとうござい   ました。 ○ 樋口主査    どうもありがとうございました。5つの団体からこれまで簡潔に御意見等をいた   だいたわけですけれども、多分大きく分けて2つの論点があって、1つはそもそも   こういう社会保障カードを実現するためのプロセスとして、どういう形で議論を運   んでいるのだろうという問題提起があります。今回こうやってこの作業部会でこれ   らの団体の方から御意見をいただいているのも、そのプロセスの一環なのでしょう   けれども、そのプロセスが全体として国民に開かれたもので、どういう形で順を追   って行われているのだろうというのが、全体として国民としてはよく見えていなく   て、どういう形で今後とも進めていくのかという話が1つあります。それからもう   1点はもちろん内容にかかわるところで、このカード自体にまだ全体像ももちろん   わかっていないのですが、こういう点がいろんな問題点があるのではないかという   実体的な話のレベルで、いろんな御意見をいただいたというふうに理解しておりま   す。それではとりあえず、今まで御意見をいただいた方からもまた御発言をいただ   きたいと思っていますが、こちらにおられる委員の方からも御質問あるいはコメン   ト等もお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 駒村委員    いろいろと御説明いただきましてありがとうございます。幾つかありまして、ま   ず最初に基本的なことなのですけれども、地方公務員共済について教えてもらいた   いのですけれども、見込額の通知は58歳からとさっき御説明があったと思うので   すけれども、もっと若い世代に対しては、年金の加入記録の通知についてはどうな   るのかというのが1点です。2点目は、地方公務員共済の場合、やはり転職者は余   りいないということが組織の特徴としてあるのですけれども、それでもやはりある   程度の中途退職の方はいらっしゃると思うので、この方がどのくらいなのかが2点   目です。3点目は、97年以前の基礎年金番号を付加する前に中途退職された方に   ついては、どういうふうに加入記録を通知しているのか。その3点をお願いいたし   ます。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    若い世代への情報提供ということなのですが、これは政府の全体の方針の中で、   我々はもう組み込まれておりまして、社保庁と同じでございまして、来年度のねん   きん特別便、その後またねんきん定期便を出そうということがございますので、そ   のスケジュールに則って我々もやると。どういうふうに社会保険庁さんと役割分担   をしてやるかというのは協議をしておりますけれども、その枠組みの中でやってま   いります。当面今やっていることだけを御説明させていただきました。それから途   中で退職する人もおります。我々は待機者と言っているのですけれども、定年まで   いないで途中でやめた人がおりますので、それの総数が15万人ほどおります。そ   れが2点目。それから基礎年金番号前の記録なのですけれども、済みません、これ   はどういうふうに記録しているかということでございますか。   ○ 駒村委員    現時点でその方に対して、例えば97年に40歳になっていたと。その後はやめ   られてしまって別のところにいると。そうすると97年以前に基礎年金を割り当て   られる前のことについては、本人は今自分はどのくらいの標準報酬で働いて、どう   なっているのかと。途中でやめられている方については、一体どういう情報提供を   現時点で行われているかということを知りたかったのです。   ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    やめられてもう年金決定の直前の人には、こちらからいろいろ書類の送付をしま   すしいろいろ対応をしているのですけれども、もっと若い方が問い合わせなりやっ   たときには、これはそれぞれの元の支部の方で対応しているのですけれども、何か   一斉に全員に流すということは今はやっていないのですね。ただし、今度ねんきん   特別便、ねんきん定期便というものが始まりましたときに、そのデータをどういう   ふうにするかということは、課題になっております。共済過去記録と言っているの   ですけれども、平成9年1月前にやめた方の記録には、今基礎年金番号がついてい   ないものですから、今回の政府の方針では、それも基礎年金番号の方に統合しよう   というような形になっていますので、それはまた社保庁の方とデータの突き合わせ   とかそういうことをやっていくことになると思います。   ○ 樋口主査    よろしいですか。ほかの委員の方でも、どのようなことでもいかがでしようか。   どうぞ。   ○ 駒村委員    全然違う質問で申しわけないのですけれども、これは事業主に近い方のほうに、   これは一般常識的なこととして教えてもらいたいのですけれども。だから全国中小   企業団体中央会と商工会議所の方にお聞きするのが一番近いのかなと思うのですけ   れども、一般常識的なことなのかもしれないのですけれども、もし把握されていた   ら教えてもらいたいのですが、中途採用をする場合とか雇用延長をする場合は、一   般的には健康診断みたいなものはやるのでしょうか。   ○ 樋口主査    どなたか済みません、お願いします。   ○ 全国中小企業団体中央会(原川部長)    雇用延長するときは余り聞いていないのですけれども、中途採用も含めて、一般   的に採用するときは健康診断というのは最近は行わないようにしていると聞いてい   ます。 ○ 日本商工会議所(近藤部長)    健康診断は規模によって違うと思います。従業員20人以下の小規模事業ではほ   とんどやっていないと思うのです。中小企業でもある程度規模が大きくないと、採   用あるいは雇用延長のときの健康診断はやらないと思います。健康でないとやはり   雇用延長はなかなかできませんので、雇用延長の場合は健康診断をやる率が高いの   だと思います。   ○ 樋口主査    ほかに。どうぞお願いします。   ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    御指名でないのですけれども、つい数カ月前まである企業にいましたので。今の   雇い入れのときの健康診断の話ですけれど、採用前にという意味なのか採用後とい   う意味なのか、ちょっと大きく変わってくると思うのですが、採用後は安衛法の中   の雇い入れ時検診というのがありますから、基本的に要するに法律を守っていない   企業さんを除けば、やっているという御理解でよろしいのかなと思います。それか   ら採用前の話は、昔は確かに採用の1つの情報としてみたいなことでやっていらし   た企業が多かったのですが、法律ではありませんけれども、やっぱりそれは「そう   いうもので採用してはいけない」というような指導が大分浸透してまいりまして、   少なくとも内定後ぐらいでないと、やっていないのかなという感じです。それから   雇用延長の時は、多分これは法定検診で年1回の定期検診というのを義務付けられ   ておりますから、雇用延長の1つの条件として、健康上問題のない方とか、そうい   うことで労使の協議の中で決めて、特段の大きなあれがなければというような、そ   ういう扱いをされているところが多いんじゃないのかなというふうに思います。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。ほかの委員の方からも何かコメントないし御意見を伺   いたいと思いますが。   ○ 山本委員    保険者の方にお伺いしたいのですが、保険証を渡すときに、本人確認というのが   ある程度の精度でやられていると思うのですけれども、現状は多くの場合は直接保   険証を交換する、ないしは給付の際に御本人に会って渡す。御家族の分は一緒に渡   すかもわかりませんが、持っていくのだと思いますけれども、もしもこの社会保障   カードが実現された場合に、その本人確認をほかのことで代用するというふうなこ   とは考えられるのでしょうか。例えば公的個人認証サービスで厳格な本人確認を行   った上で給付されたカードであるというのであれば、もうそれを例えばオンライン   で保険証機能を付加するみたいなことは、「考えられない」「考えられる」のどち   らでしょう。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    今の点は私自身はこの社会保障カードでかなり大事な1つのポイントだというふ   うに認識をしておりますので、どういうやり方でやるという案が、正直なところま   だ提示されていませんので、それで保険者としてそういう案で納得できるかどうか   という御質問は、ちょっと回答しかねるのですけれども、私自身、例えば今大きく   介護・年金・医療ということで3つの証書を1つのカードでという時に、でき上が   ったカードに、今の制度で言うと要するに健康保険証が多分年齢的に一番幅広い、   1歳のお子さんを含めて全員だと思うのですけれども、ほかの証というのは国民全   員ではないという、その差を生じている中で、Aさんのカードにはこの3つの資格   を持ったカードです。Bさんのカードにはこの2つの資格を持ったカードというよ   うなことを明示されるのか。それともそういうことは一切明示されないようなカー   ドになるのかによっても、考え方が大分違うのかなと思うのですね。明示されない   とすると、例えば介護なんか、ある年齢になったときに初めて、もともと資格とし   て持っていなかった方が、カードの券面が何も変わらずに、資格を有したというカ   ードになってしまうという。要するにそういう考え方で本当にいいのかどうか。そ   ういうことも含めて、どういうセクションでどういう発行をされるのか。仮に今み   たいに、3つの機能を持ったカードの方、2つの機能を持ったカードの方という考   え方に立つと、これはこれでまた非常に厄介な話がいろいろ出てくるのかなと。そ   れは要するにカードの書きかえという形ですね。そのときに新たな機能を付加した   ためにカードを書きかえたときに、もともと持っていた、例えば健康保険証なら健   康保険証について、再発行をしたという概念になるのか、ならないのか。今の法律   はやっぱり保険証の発行というのは、保険者の券という形で法的にもはっきりして   いるわけです。その辺の法的な整備も含めてそこは整理をしないと、まずいのでは   ないのかなというふうに思っています。だから絶対ほかのところに発行するという   権限を渡すことに対して、絶対反対ですということを言い切るつもりはないのです   けれども、そこはしっかりした形が必要なのではないのかなと思っています。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    我々組合が「あなたが組合員ですよ」というのは、我々が認証するのだろうなと   いうふうにちょっと思っていたものですから、そのこと自体がよそでされるという   のは、ちょっと頭の中で想像ができないのですけれど、ちょっと御質問の趣旨を取   り違えているかもしれません。 ○ 山本委員    聞き方が悪かったのですけれども、組合員であるということを認証するのは当然   組合なのですね。ただ、そこにいる人が、例えばどこそこに住む誰々という、住基   情報に基づくような本人情報というのが確実にわかるのであれば、例えば直接対面   しなくても、それを組合員として認めることが容認できるかどうかという意味です。   健康保険も同じで、被保険者であることを認めるのは当然保険者ですから、これは   ほかのところが代行することは多分あり得ないと思うのですけれども、ただ、今は   直接相対してそれを確認されているわけですけれども、それをしなくても認めるこ   とが可能か、不可能か。感覚的なもので結構ですので。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    私のところは職場に保険者がいるのと同じなものなのですから、そういうことを   考える場面がないというのが実態なのですけれども。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    先ほどの回答でちょっと追加をしておきますが、保険証で言いますと、被保険者   と扶養者で今の御質問で言うと、大分考え方が違うのかなと思います。特に被扶養   者の場合は、保険者に扶養認定という各健康保険組合によって多少あれはあるかも   しれませんけれども、やっぱり就労の問題だとかいろんな条件で、この人は被扶養   者としていいかどうかという認定というのが大きな1つの仕事になっていますので、   そのステップなしで発行しますということは、まず今のあれで言うと、我々健保と   しては認められないということになろうかと思います。ただ、そのことと、カード   を発行する作業をするかどうかというのは、切り分けて考え得るかなというふうに   思っております。 ○ 大山委員    山本先生がせっかく聞いていただいていたので、もう少しわかりやすい例をあげ   てあらためて聞かせてください。電子政府や電子自治体が動いているのを御存じと   思いますが、例えば税の確定申告の場合には、電子署名を付して送れば受け付ける   ようになっています。これは誰が出したのかがわかる署名の機能を用いています。   皆さん、保険者の方たちは、誰が組合員かは当然のことながら把握なさっているの   で、カードが誰のものかがしっかり紐付けられていて、それが確認できるとすれば、   カードの券面にいろいろなことが書いていない場合にも、皆さんが発行している健   康保険証に書いてある記載の内容を電子的にカードの中に書いていただくことがで   きますかという質問です。言い換えると、電子的にカードの中に書くという行為が、   今は紙あるいはプラスチックのカードを出しているのと同等とみなせるかどうかと   いうことです。電子的にもしできないとなると、社会保障カードの券面に書くこと   を避けられなくなります。記載内容に変更が生じた場合には、券面に書いてある記   載内容を書きかえられるようにするということは、偽造変造に対して非常に弱くな   るので、これも避けたいというのが今言われている案であると思います。おわかり   いただけたと思うのですが、入れ物とそれが誰のものかが確認されていて、そのカ   ードの中身をもって皆さん方が、その人が被保険者としてあるいは被扶養者として   の資格を確認して、その後にカードの中に電子的に書いていただくことは可能です   かということです。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    そういうことを基本的に理解をしたつもりなのですけれど、冒頭申し上げたよう   に、どういう機関がどういうプロセスでそれをやっていただけるかというところが   やっぱりある程度見えないと、最終的なイエス・ノーは言えないとは思いますけれ   ども、それほど大切な問題という認識はございます。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    今のお話ですけれども、要はそのカードが保険証を兼ねることができるかという   ことにもなると思うのですけれども、我々とその職員との職場の関係では余りあれ   なのですけれども、例えばそれを医療機関に持っていって、そこで「その人です」   ということを証明されるということになると思いますので、それについては意義が   あるというふうには思っているわけなのですけれども、先ほど健保連さんもおっし   ゃったとおり、誰が発行して、どれだけ公的な認証力があるもので、コストがどう   なるかというような全体としての考え方が出てくれば、もう少し具体的に検討した   いなというふうに思います。 ○ 樋口主査    ほかにどうぞお願いいたします。 ○ 田中委員    医療保険者の方に質問が集中してしまって申しわけありませんが、特定健診と特   定保健指導の結果、特にとりわけ特定健診の結果については、社会保障カードで見   ることができるようにしてはどうかと、そもそも資料1に書かれています。レセプ   トの情報と並んで特定健診情報等を閲覧できるようにすることは、可能なメリット   の1つではないかと、ここでは整理しておられます。特定健診情報と特定保健指導   にかかわる情報を、社保カードを使って見ることができるようにすることに、保険   者の方々は賛成でしょうか。賛成だと思うのですけれども、賛成だとするとかなり   仕組みが必要ですね。検診情報と保健指導情報と、場合によっては医療費情報をど   うつなげるかとか、特定健診や特定保健指導を外注したときに、外注した相手から   どうデータを受け取るとか、そういう準備活動というのは今どのくらいまで進んで、   どんな意識をお持ちですか。 ○ 健康保険組合連合会(中橋部長)    まさに今作業の最中でございます。確かに特定健診情報は複雑でございまして、   実際に電子のデータを送るということが、1つ大きくスキームであるのですけれど   も、まだ紙の情報で来るというものが、個別の契約でやる場合という形が出てまい   ります。そこのところに国が示されている電子的標準様式に載らないもので返って   くる。これをどう突き合わせして入れていくか。これは非常に大きな問題でござい   ます。今最初の御質問にありましたように、電子の世界でセキュリティを完全に、   そしてそれを直接的に、共済さんもありましたように直接入れない。私どもはセン   ターの中で管理をするのですけれども、そういう仕掛けの中で個人をどうするか。   直接それに入れるという危険はあります。そういう仕掛けをどうつくるかでは、可   能性はあると思っております。ただ、何度にもなりますけれども、電子のデータで   今、実は非常に苦労しているのが、電子の標準化ができていない。これをぜひやっ   ていただかないと、いろんな健診でも、健康情報は特定健診外でも実は定健の中で   の一部特定健診という形で、定健もかなり変わってまいります。人間ドックも変わ   ってまいります。この情報もやっぱり保険者としては情報としては一緒でございま   すので、それをどういうふうにスキル化していくか、まさしくこれからの情報です   ね。そしてちょっと余談になりますけれども、電子私書箱構想の中にも健康情報を   見せるというようなことが言っております。そこのところはどう連携していくのか。   まさしくそこのところは大きく絡んでくると思います。その健康情報というときは、   特定健診情報以外も入ってまいりますね。そこのところを国がされるとしたら、や   はり電子の情報の一元化というか、フォーマット、項目、その辺をやはり精密にや   っていただかないと、単なる特定健診だけでいいのかという議論に戻ってくるので   はないかというふうに思っております。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    同じような状況でございますけれども、健診機関と団体で集合契約をしようとい   うことになっているのですけれども、まだそれが現在できていない状況でございま   す。それから電子データでもらうということを想定しているのですけれども、その   ためのシステム整備も、もう来年の4月から始まるのですけれども、いまだにかか   っている最中でございます。ただ、そうやって日々の処理を我々の場合、各支部で   そのデータを蓄積していくことになるのですけれども、それとまた外部からアクセ   スを認めるときに、そのシステム的なセキュリティの面もありますので、どういう   ふうになるのかということが、こちらが始まりますとまたダブルで考えていかない   といけないのかなというふうに思っています。 ○ 樋口主査    ちょっと今関連して一言申し上げます。ここに資料2というのがあって、今現在、   この社会保障カードを導入したら、例示ですけれどもこういうようなメリットがあ   るのだろうという点が示してあり、黄色い矢印で利便性と安全・安心という話と事   務の効率化という話になっています。ちょっと違った見方をすれば、同じことだと   思っているのですけれども、今日の各団体の御報告を聞いていても、生協連であれ   何であれ、1つにはまず国民の1人1人にとって一定の利便性というのがきっとあ   るだろうというご示唆がありました。それから国民自身も少し変わっていかないと   いけないというような話もありましたね。学習効果みたいなもの。これが1つ。そ   れが利便性向上とか安全・安心ということなのだと思いますけれども、ただ、それ   が費用対効果の中でどういう社会的なベネフィットがあるのかというのは、非常に   計算しにくいようなものですね。現状としては変わっていかなくちゃいけないと言   ったって、現状は地方職員共済組合の岩田さんのお話だったと思いますが、ではレ   セプトの開示を求めるのはどのくらいいるのかで、8件だけだったというような話   で、8件だけのためにこれをやるのかという疑問が生じます。もちろんこれがなく   たって、レセプトの開示請求は既にできるのですけれども、そういうような現在の   状況の話がありました。それから2つ目が安全・安心というのが、個人にとっての   安全・安心というよりは、システムが年金のシステム、医療保険のシステム、介護   保険のシステム全体が堅牢なもので、それこそ漏洩も防ぐような形で、かえって今   紙の情報だと、あるいは保険証だって誰かに盗られて悪用されるということは幾ら   でもあるようなことですから、やっぱりシステム全体の堅牢性ということがこれに   よってステップアップするのだという話があれば、これは1つの大きなメリットな   のでしょうけれども、これもまたはっきり何億円の効果があるのかというような形   では、なかなかすぐ数字には表せないようなものだと思うのです。しかしこの点は   大きなものだと思います。3つ目に事務の効率化というのがあって、そこへ医療機   関、保険者等の事務が効率化されるというので、資料にも3つぐらい書いてあるの   ですけれども、それから今日の御報告の中でもあったのですけれども、だからちょ   っと医療保険者側のところへ質問が集中して、先ほどの田中さんがおっしゃったよ   うなことになって恐縮なのかもしれないのです。ちょっとこの事務の効率化という   のが、なんか今のところのこの構想の初期段階のところでは、やっぱり余り大きな   話としては出てきていないような印象を受けるのですが、もう少し、つまりこれは   ステップ・バイ・ステップなので、当初はこの程度ということがあっても、いずれ   はというようなことを含みに考えると、それを事務の効率化と呼ぶかどうかもあり   ますけれども、もう少し保険者側あるいは医療機関側(今日はないのかもしれませ   んが)にとっても、やっぱりメリットとして考えられるところはあるのかどうか。   もし補足があれば、あるいは私の理解に見当違いのところがあれば、御指摘をいた   だきたいのですが。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    回答になるかどうかですけれども、要するにこのカードで幾つかの機能があって、   健保組合の立場で見れば、健康保険証の機能という範囲で限定して考えればいいの   だと思うのですけれども、事務の効率化という視点で考えると、いろいろな話は出   ていますけれども、私自身が数年前にある健保で、やっぱり保険証の紙からカード   化に踏み切ったときの議論と非常に似ているところがありまして、今おっしゃった   ように金額的なベースだけで対比をしたら、このプロジェクトも多分NGの判定に   なってしまうのではないのかなという気がいたします。ましてICカードですから。   ただ、そこに目に見えない定性的効果というか、要するに国民に対するサービスの   向上とか、そういったものを付加して考えたときに、これをやるべきかどうか。そ   ういう視点で私は考えればいいのかなというふうに思っています。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)     ここにある事務が効率化される例として、3点ほど挙げられているもの以外にな   いのかなということで、いろいろ考えたのですけれども、私が冒頭の中で述べた程   度でございます。それでステップ・バイ・ステップというのもあるのでしょうけれ   ども、それが一体どこに向いていくのかということがはっきりしませんと、なかな   かスタートするときに組合員なり被扶養者といった方の了解というのが、得にくい   のかなというふうには考えています。   ○ 樋口主査    ほかに委員の方、お願いします。 ○ 山本委員    この検討会の議論で、1つテーマにうたってていて、議論がまだ収束してないの   が、共通の識別記号として社会保障番号をつくるのか、それとも基礎年金番号と保   険者の記号番号と介護保険の番号とを、それぞれを1枚のカードに格納して、全く   独立にそれぞれの番号として使える。カードは1枚だけれど、中には独立した3つ   の機能が入っているというものなのかという問題です。その点に関してもし何か御   意見があれば、お伺いしたいと思います。簡単に言うと、社会保障番号のような1   つの番号に対してすべてを結びつける方法ですと、例えば保険者を頻繁に変わった   方に関して、その履歴を追うことも難しくないですね。それに対して保険証の番号   がただ単に入っているだけですと、それより以前の保険証の番号はわからないので、   保険者が変わってしまうと、その保険証情報だけでは、私は医者ですから医者の立   場で言いますけれども、その患者さんを後ろにたどることができない。もちろんた   どられたくないという方の自由は当然保証しなければいけないのですが、たどって   もらった方がありがたいと思っている人でもたどれないということが、現状です。   それをこういう社会保障カードで改善しようとすると、やはり何らかの統一の番号   をつくらなくてはいけなくて、それをそれぞれ時点での保険の記号・番号と結びつ   けておく情報を入れる。もちろんそうすると住基番号のときの議論のように、それ   以外の様々な情報が結びつけられるのではないかといったおそれとか、そういった   議論が当然あるわけで、その2つの結論は出ていないというふうに理解しているの   ですけれど、もし皆様方のほうで何かその点に関してお考えがあったら、お聞かせ   願いたい。 ○ 樋口主査    いかがでしょうか。どなたでも。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    当然また健康保険証を限定しての回答にさせていただきますけれども、1つのカ   ードの中にそれぞれの機能別に現状の番号を取り組む方法のイメージと、全く国民   1人に1番号を新たな考え方でつけるといういずれをとっても、私はその中に非常   に大きな問題が両方に存在しているような気がします。1億人を超える方々にユニ   ークな番号をつけるということにしたときに、今度その番号と既存の、我々では健   康保険組合のそれぞれの健康保険組合のシステムで、共済さんもそうですし、逆に   このカードを使う医療機関にも多分影響すると思いますけれども、全国の社会保障   関係のあらゆるシステムの中に、今存在しているキーとどう連携づけるのかという   のは、ものすごく大変な作業であるし、それは多分1回で済まないのだろうと思う   のですね。1回ひも付けして、新しく例えばお生まれになったお子さんについては、   もう国がつけた新たな番号でやりますと言ったときに、既存のそれぞれのシステム   が別のところで新たに付番された番号を、どのタイミングでどう入手できるのか。   そういうことも詰めてやらないと、既存のシステムが本当に動ききるのかどうか。   そうすると自分たちの考えの中で、今までと同じような記号番号というものを発生   させて、一方で別のところで発行された新たなユニークな番号というのをひも付け   をし続けていかなければいけないのかどうか。その辺もかなり実務的にやっぱり検   討しないと、判断は難しいのかなという気がしてきます。それから逆に、過去いろ   いろなシステムが動いている番号を重視する考え方でもしやったときに、例えば健   康保険証の記号番号というのも、今で言いますと1健康保険組合の中でユニーク性   が保たれていますけれども、A健保、B健保になったら、幾らでも重複はあり得る   という。そこは何の制限もかかっていないわけですから、そういったものを一括化   させると、多分システムとしては基本的に無理だと思いますのでね。そうすると保   険者番号なりいろんなものをくっつけて長い番号にして、ユニーク性を本当に保て   るかどうか。もっと言えば、1つの健保の中で事業所が変わったことによって、記   号番号が変わるという運用をされている健保さんも幾らでもありますので、そうい   った要するに実態論をかなり踏まえないと、既存の番号体系というものをこのシス   テムの中で取り入れることが可能かどうかというのは、非常に難しい判断なのかな   と。私は何となくだめそうな気がしますけれど。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    お答えになるかどうかわからないのですけれども、先ほどは健保連さんもおっし   ゃったかもしれませんけれども、何か新しい番号で統一するのだということになっ   て、それが我々の日々の処理をしている中にもということであれば、これはちょっ   とできなくなりますね。そうすると今我々が個人を認識している方法と、それから   今回の個人の認識しているものを、どこで照合するかということだと思うのですけ   れども、ちょっとその辺は技術的な問題も含めての検討になると思いますので、今   ちょっと私は知見とかいうものがないのですけれども。あともう1つの履歴を追い   かけるという話については、やっぱりその事務と言いますか、仕事ごとに要請とい   うのは様々かもしれないわけですね。年金なんかはずっと追いかけないといけない   ので、それをやろうとしているということなのですけれども、それはまたそれぞれ   の事務によって違ってくるのだろうなというふうに思います。 ○ 山本委員    現実に医療機関で医療をしていると、5年前に来た同じ名前の患者さんと5年後   に来た患者さんが同じ人かどうかというのは、確認のしようが今はないのですね。   それは全く御本人の言うことを信じるしかない状態でやっていて、なおかつそうい   うことを希望されている場合はそれでいいのですね。過去のことは知られたくない   ということであれば、いいのですけれど、希望をもされていない、なおかつ過去の   ことがわかればちゃんと診てほしいと思っている人に対するサービスとして、今す   る方法がないのですね。そういうことを可能にするようなことを、この社会保障カ   ードの導入に際して、考慮すべきか、すべきでないかというふうなところは、随分   大きな問題だろうと思います。池上理事のおっしゃっているように、どちらにして   も技術的な課題は非常にハードルが高いとは思うのですけれども、どちらかを実現   するとすると、両方では多分大変なので、片一方の方を重点的にやらないといけな   いと思うのですけれども。そういう意味でもしお考えがあれば、お聞きさせていた   だきたい。 ○ 田中委員    今の山本委員の言われたのは、カルテベースまで戻らないとだめな情報というこ   とですか。 ○ 山本委員    そんなことはないです。要するに人が同じかどうかがわかれば、あとはカルテが   保存してあればそれを検索できますし、御本人が持っている情報も、医療機関とし   てはそれを安心して見ることができるわけですけれども、ひょっとすると人が違っ   ているかもしれないと思うと、これはもう全く何の参考にもならないわけです。 ○ 田中委員    保険者が変わったような場合にということですね。医療機関の責任でよいと。わ   かりました。保険者は被保険者の住所を把握していると思うし、住所でなくても職   場が100%把握していると思うのですが、被扶養者の住所はどのくらい把握して   いるものなのですか。届け出が正しいか。届け出ベースは全部ある。しかし本当に   そこに住んでいるかどうかはわからないという感じでしょうか。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    そういう視点で全保険者の住所管理情報を調査したデータがありませんので、あ   れですけれども、今先生の方で被保険者はほぼ把握していると思いますがとおっし   ゃいましたが、残念ながら、そこもかなり危ない状況でございます。というのは、   比較的健康保険組合の書類の配布というのは、会社の組織を通じての配布というや   り方が一方であるものですから、必ず住所をすべての健保が把握しているかは、か   なり疑問です。まして扶養者も基本的に本人と一緒という前提で考えれば、それな   りのリストは把握しているのでしょうけれども、やっぱり別居されているとか、何   かいろいろなケースを分けて住所管理をしているというのは、逆にレアケースでは   ないかなと思います。唯一かなりの精度で住所を把握しているのは、特定被保険者、   いわゆるOBになって健康保険組合にまだ残れるという制度をやっていらっしゃる   60幾つの、大手の組合ですけれども、そういう方々とあと退職後の任意継続被保   険者という、そういう方々は御自宅とのやりとりになりますので、その集団だけは   ほぼ住所はきちっと把握しているというふうに理解しています。 ○ 田中委員    日ごろの健保の業務にとってみれば、職場さえわかっていれば、すべて大体のと   ころは済んでしまうということですね。 ○ 健康保険組合連合会(池上理事)    ただ、流れとしては、従来も完全にそうだったのですけれども、個人情報保護法   とかいろんな関係で、やっぱり職場を介した配布というのを嫌う方々も出てまいり   ます。一方で今度は事業所サイドも、そういったほかの組織の仕事で手を煩わせた   くないというような声もだんだん変わってきていますから、流れとしてはやっぱり   保険者としても住所をつかまなきゃいけない時代にもう来ているのかなという感じ   はしています。 ○ 樋口主査    さっきの特定健診なんかだと、被扶養者の住所がわからないと、どこの事業所と   契約していいか大ざっぱにでもわからないと問題かなと思ってお聞きしたのですが、   ありがとうございました。組合員資格の延長の方はもっとわかっていらっしゃるの   かもしれませんね。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    共済組合の方は、本人は問題がないのですけれども、被扶養者についても届け出   をしていただいているのですけれども、途中で変わったようなときに、必ず100%   変更ができているかというと、できていないこともあり得ると思います。それでも   今までのところですと、業務上は余り支障がないものですから、大体被扶養者が遠   隔地にいるときでも、いろんなやりとりは組合員経由でやってきたものですから、   余り問題にならなかったと。ただし、今お話がありました特定健康診査が始まりま   すので、今度は被扶養者の健診もしないといけなくなりましたので、その検査結果   を送るときに組合員に渡していいのかなと。見られてしまってどう思うかなという   ような議論は現場ではしております。郵送するのであれば、そうするともうちょっ   ときちっと住所を把握しないといけないというような議論はしております。 ○ 駒村委員    ちょっと医療の方から離れて、年金についてお聞きしたいのです。生協の山内本   部長にお聞きしたいのですけれども、パートをたくさん雇われていますでしょうか。   その場合、国民2号、3号、1号というこの切りかえの負荷はかなり重いのでしょ   うかね。それがまず1つと、それから先ほど自己情報コントロール権とは、どうい   うことを心配されているのか、少し教えてもらえればと思います。済みません、2   点です。 ○ 日本生活協同組合連合会(山内本部長)    1点目の件は、事務作業として生協の事業所が大変かという御質問ですか。ちょ   っと私はそのところはすぐお答えはわかりません。調べてみたいと思います。2件   目は生協で論議したとかそういうことではありませんけれども、個人個人の持って   いる情報に公がかなりコントロールをすることに対する反感と言いますか、感情的   な避けたいというようなお気持ちを持っていらっしゃる方もいて、こんな論議があ   るというふうなことは聞いているという範囲で申し上げているところです。 ○ 南委員    私も先ほど樋口先生が出された2つの論点の前半、このカードを実現していくた   めのプロセスをどのくらい国民に開示するかという部分で、生協連にちょっと伺い   たいと思います。まだとても議論が国民の間で浸透していないというのはおっしゃ   るとおりで、これは大変大きな問題だと思うのですけれども、何か最低限こういう   ようなプロセスは踏むべきではないかとか、やはり具体的な議論として国民的にこ   のぐらいのプロセスが必要とか、そういうことで何か具体的な御提言なりお考えが   あればお聞かせください。 ○ 日本生活協同組合連合会(山内本部長)    私もそれが一番いいかどうかわかりませんけれども、経験から言いますと、この   間例えば食品の安全などにかかわっても、BSEの問題とかも、問題が起きたとき   に、こういう問題があって政府としてはこう対応するということを説明をされる機   会をたくさん設けられて、そこの場に普通の市民が出かけていって説明を聞くと。   それでその場で気持ちも含めてわからないことも含めて、コミュニケーションする   という行為がされてきましたので、こういった新しいことに関する説明と、そのや   りとりの場というものをつくっていくというのは、可能ではないかなと思っていま   す。それはこの問題だけに限らず、社会保障制度そのものが変えられようというよ   うなときにも有効だと思いますので、ホームページですとか紙ベース等を通じた情   報提供と、それからそこに対するパブリックコメントはたくさんやられるようにな   りましたけれども、もう少し直接対話なども可能だと思いますので、学習会プラス   対話というようなことを、つくっていくことはできるのではないかなと思います。 ○ 南委員    例えば公聴会とかタウンミーティングとか、そういったものをお考えですか。 ○ 日本生活協同組合連合会(山内本部長)    はい、そうですね。限られると思いますけれど、もし協力する団体とかありまし   たら、もっと小規模なものをやって、少し本音を出せるような場があってもいいの   かなというふうに思います。 ○ 樋口主査    南さんの御意見に乗っかって言うと、今日ヒアリングあるいはプレゼンテーショ   ンをお聞きするということなのですけれども、その対象はまだ現時点では十分明ら   かになっていない構想段階のものであるため、御意見も回答もおのずからお互いに   限定がなされているのですが、逆にまだ構想段階であるわけですから、それこそ社   会保障カードの行政担当の方がおられるわけで、こういう点についてどうなのかと   いうようなことを、今日の5つの団体の代表の方のほうで、ぜひとも聞いておきた     いということがありましたら、先ほどの御意見の中にも本当はあったと思うのです   が、少しだけ残された時間がありますので、せっかくですので何かありましたら御   発言をいただきたいと思います。 ○ 健康保険組合連合会(中橋部長)    先ほどちょっと私は申し上げましたけれども、今3つの検討会が動いております   けれども、特にこの社会保障カードがどう使われるかということが1つのキーにな   ると。実は電子私書箱の検討会とこの見せるという意味では、同じ共通項があるよ   うに思うのですけれども、どういう関連性を持ってこれからやられるのか。今の段   階である程度わかるところがあれば、お聞きかせいただきたいと思います。 ○ 樋口主査     いかがでしょうか。 ○ 内閣官房     内閣官房IT担当室でございます。電子私書箱検討会につきましては、社会保障   サービス等の質の向上に資するという観点で開催しておりますけれども、現時点に   おきましてはコンセプトを詰めているという状況でございまして、そのコンセプト   を詰めていく過程の中で、社会保障カード構想にどのように活かしていただくかと   いうことをまた御議論いただくことがあるというふうに考えています。事務的な点   で言いますと、内閣官房IT担当室の中に暮らしの電子情報サービス推進室という   部屋をつくりまして、関係各省はここにいらっしゃる方、多くの方に併任にかかっ   てもらっていまして、それで日々の業務の中で情報交換させていただいていますの   で、少なくとも行政側の方では様々な検討会についての情報交換は完璧にさせてい   ただいているというふうに考えております。表の舞台でのその連携の方法につきま   しては、有識者の先生方とも相談しながら、これからやっていきたいと思っており   ます。以上でございます。 ○ 樋口主査    ほかにどなたでも御遠慮なく。お願いいたします。 ○ 日本商工会議所(山内調査役)    結構この社会保障カードにつきまして、各地の会議所からも会員から問い合わせ   があります。そのときに、この資料の2に基づきまして、私からも地方の会議所も   しくは会員企業に説明するわけですが、ぜひお願いしたい点といたしましては、今   まで社会保障制度というもの利用者に対する情報公開は非常に不十分でありました。   年金問題などは、非常にガバナンスが効いていませんでした。この社会保障カード   というものが、国民の側から意識を持って年金の加入状況とか確認できるという、   国民の側から働きかけるという意味合いもあるのだろうと思います。マル1の利便   性の向上とマル2の情報の入手管理で、事務の効率化につきましては、国民の目か   ら見まして、よくわからないところです。いろいろと御意見を聞きますと、どこま   で事務の効率化が進むのか具体的に見えておりませんし、また情報を純粋に連結し   ただけで、国民にどれだけの利便性が向上するかというのも、よく国民に見えてお   りません。このマル2の情報管理・入手のところで、アクセスキーがあって、見に   行くことができるようになっただけで、今回の年金が発端でこういう議論になって   きたのだろうと思いますが、マル1の利便性の部分、事務の効率化が本当に進むの   か。ただ情報を管理して、国民が見ることができるようになるだけの制度で、果た   して費用対効果はどうなのかと、非常に純粋なところで疑問に思っている国民が多   いと思います。公聴会がいいのかどうかわかりませんが、その辺が非常にわかりづ   らい議論になっていると思いますので、その辺をわかりやすく示していただければ   ありがたいと思います。 ○ 樋口主査    御要望です。どうぞ。  ○ 黒川社会保障カード推進室長    御意見と言いますか、御要望として本当にきちんと承っておきたいと思いますが、   この検討会の各委員の先生方からも、御指摘のようなことは御発言がありまして、   私どもとしてもこれは11月にはこういう形で意見交換を12月には基本構想の取   りまとめというところに進んでいくわけですが、各段階でできる限り、こうした効   用といったところをわかりやすく示すことができるように、工夫をしていきたいと   考えております。ただ、1つ申し上げたいのは、とりあえず今日資料としてお配り   してある資料2にも書いてありますけれども、社会保障カード導入後の次の括弧書   きで、幾つかの前提を置いたものとなっていまして、カード構想の仕組み方によっ   て効用の出方というのもいろいろ変わってくるので、その幾つかの選択肢があって、   こういう選択肢の場合はこういうことが実現できると。こういう選択肢の場合は、   この範囲であるとか、そういう形で整理するという形にとどまると思うのですけれ   ども、とにかく現在基本構想の検討ということで、大まかなたたき台のようなとこ   ろを整理するという段階ですが、さらにそれを踏まえて具体的に選択肢なりを具体   的に詰めていくという段階と、幾つかの段階があると思いますが、その都度その都   度こうして、この構想によってどういうことが実現できるのかというところについ   て、できるだけわかりやすい形で整理をしてお示しして、御意見を頂戴していきた   いと考えております。 ○ 地方職員共済組合(岩田事務局長)    その際、先ほども申し上げたことで、繰り返しで申しわけないのですけれども、   そういう詰めていく具体的な検討をされるときには、我々共済組合を含めて、保険   者をぜひとも参画をさせていただきたいということをお願いしたいと思います。お   返事は結構ですから。 ○ 樋口主査    それではまだ御意見もあろうかと思いますけれども、一応予定の時間が近づいて   きましたので、今日の作業部会はこのくらいにしたいと思います。 ○ 駒村委員    1つ切り口でお願いしたいことがあります。1つだけ済みません。資料1の2の   利用制限について少し私は気になることもございますので、これは親委員会の方で   議論すべきなのかヒアリングがふさわしいのか、ちょっと知りたいこともまだたく   さんあるのですね。というのは、今日、先ほど転職とかのことで、あるいは高齢者   の雇用継続について基本的にお聞きしたのですけれども、経済学の中では情報の非   対称性という言葉があって、これが解消されればいいかのように言われているわけ   ですね。今回、特定健診自体は情報の生産ですね。年金記録はもう既にある情報で   すけれども、このカードを導入することによって、本人が経済学的によると取引コ   ストを安く、自分の情報を入手することできるということになる。これは使い方に   よって情報の非対称性がなくなるのでメリットもありますけれども、場合によって   はデメリットが生まれてくる可能性もあるわけですね。というのは、転職とか保険   の契約のときとか、再雇用のときとか、金融取引のときに、本人は自分の情報を簡   単に入手できる。それでは、保険、転職、金融の契約のと時に、契約相手の民間企   業から、その情報を示すように、求められたらどうなるか。持っているのに出さな   いことになると、なにか不都合があると思われ、不利に扱われるかもしれない。そ   れをどうするのかというのがあります。本人が選ぶことができるということでは解   決できない。特定健診の場合などが、典型ですが、出さないこと自体が何かハイリ   スクの、あるいは悪い情報を持っていることの証明になってしまいますから、その   辺も関係するようなこういう情報がそういう意味では社会や市場で別の意味が出て   きてしまうのかどうかを、ちょっと検討する機会があればいいかなと。これは社会   システムとしてこれを見たときに、実は気になっているところです。以上です。 ○ 樋口主査    なるほど。ありがとうございました。それでは今日の5つの団体の皆様方からい   ただいた御意見については、来月開催される親部会というのか全体会に御報告いた   します。今後の議論にぜひとも反映させていくということにしたいと思います。ど   うも今日はお忙しいところおいでいただいて、ありがとうございました。深謝申し   上げます。では次回の作業部会について、事務局の方からお願いいたします。 ○ 事務局    次回の作業部会は、全体としては第3回になりますけれども、引き続き樋口先生   に主査をお願いしておりますこのグループで開かれます。11月27日、来週の火   曜日ですね。時間は同じく15時から17時。場所は変わりまして三田共用会議所   になります。以上でございます。 ○ 樋口主査    ありがとうございました。それでは今日の第2回作業部会を終了いたします。ど   うもありがとうございました。                                      以上 【照会先】   厚生労働省 政策統括官付社会保障担当参事官室                西川、釜崎    TEL 03-5253-1111(内線2244)