07/11/20 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(作業部会) 第1回議事録 社会保障カード(仮称)の在り方に関する検討会(第1回作業部会)              1.日  時:平成19年11月20日(火)14:00〜16:00 2.開催場所:はあといん乃木坂(健保会館)地下1階「フルール」 3.議事次第:(1)開会        (2)意見交換           ・ 社団法人 国民健康保険中央会           ・ 有限責任中間法人 全国介護事業者協議会           ・ 社団法人 全国老人福祉施設協議会           ・ 社団法人 日本病院会        (3)閉会 4.出席委員等    (委員)      大江和彦主査、高山憲之委員、辻本好子委員、堀部政男委員                            (五十音順、敬称略)    (オブザーバ)      伊藤 仁 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官      山内 徹 内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官      塚田桂祐 総務省大臣官房参事官(企画担当)    (厚生労働省)      薄井康紀 厚生労働省政策統括官(社会保障担当)      黒川弘樹 厚生労働省社会保障カード推進室長    (意見発表者)      田中一哉 社団法人国民健康保険中央会理事      扇田 守 有限責任中間法人全国介護事業者協議会専務理事      太田二郎 社団法人全国老人福祉施設協議会      池澤康郎 社団法人日本病院会副会長                           (団体名:五十音順)   ○ 黒川社会保障カード推進室長     それではただいまより社会保障カードの在り方に関する検討会の第1回作業部会を   開催したいと思います。今回の作業部会については大山座長より大江先生に主査をお   願いしておりますので、大江先生に議事進行をお願いします。    ○ 大江主査     それでは本日及び28日につきましては、主に大山、高山、辻本、堀部、そして大   江の各委員を中心に意見交換を行いまして、私が主査を務めさせていただきます。よ   ろしくお願いします。本日、大山委員は御欠席であります。本日は意見交換というこ   とで、先日の検討会でまとめました主な論点の整理などを元にしまして、論点と特に   関係のある団体方々と意見交換をしてまいりたいと思います。本日お越しいただきま   したのは、国民健康保険中央会、全国介護事業者協議会、全国老人福祉施設協議会、   日本病院会の方々です。なお、国民健康保険中央会様におかれましては、40分ほど   遅れて御参加されます。よろしくお願いします。それでは、事務局から資料の確認を   お願いします。    ○ 事務局     本日の資料は3点ございます。まず一つ目ですが、「資料1 主な論点の整理のま   とめ」ということでございまして、第2回と第3回の検討において委員の先生方に御   議論いただき、前回、座長に一任という形にしていただきましたが、委員の先生方に   も御確認をいただいた上で、いくつか追加をしております。具体的には、「検討の方   向」の1つ目の○の4行目、「保険者やサービス提供者等の事務効率化にも資する仕   組み」ということで、「サービス提供者」を明示しております。また、2つ目の○を   追加しておりまして、「導入のメリットをわかりやすく示していく」こと、また、3   つ目の○の2行目、「セキュリティ対策についても具体的に示していく」と追加する   という修正をしております。こちらが資料1の主な論点の整理のまとめでございます。   2つ目が「資料2」横紙のカラーのものでございます。「社会保障カード(仮称)導   入により目指す効果の例」ということでございまして、こちらは第2回の検討会に提   出させていただいた資料でございます。資料の3つ目が縦紙の「資料3 出席団体提   出資料」ということでございまして、全国介護事業者協議会様から資料を御提出して   いただいております。以上、3点でございます。よろしいでしょうか。   ○ 大江主査      資料についてはよろしいでしょうか。それでは議事に入らせていただきます。本日   の意見交換の進め方ですが、まず前半は各団体の方々から10分間ずつ御意見を伺い   たいと思います。その後、委員の方々から御質問などをいただきまして議論をしてい   きたいと考えております。まず最初に、全国介護事業者協議会の方から御説明をお願   いします。 ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)    全国介護事業者協議会の扇田と申します。私ども全国介護事業者協議会というもの   は平成14年、介護保険が始まりました平成12年の後、2年ほど経ちましてから、   介護の民間事業者が勉強会をしたいというようなことから、平成14年の9月に立ち   上げました。当初、日本全国で200社ぐらいの会員からスタートしたわけですが、   現在は約500社の会員を擁しております。北海道から九州・沖縄まで各県に会員が   おります。500社の会員のもとで、要は介護の質を高めていこうということが本来   の目的でスタートしております。そういうことで、今日は、この席に私が専務理事と   して来ているわけですが、協議会としてのコンセンサスは全くとっておりません。今   までこの御検討会をやっておられるということも知らないで、今日はお伺いさせてい   ただいたと。こういうものがカードで一枚化するということについて、先日、社会保   障カードの室長さんからお話を承って、それで今日は来たと、こういうことでござい   ますので、ややトンチンカンの発言があるかと思いますが、お許しいただきたいとい   うように思っております。話を聞きまして、確かにカードを一元化するということは   非常に効率的な問題からも非常にいいのではないかというように、私としては賛成し   ているわけです。年金、医療、介護の社会保険関係を統一化して管理できるというこ   とは極めていいのではないかなというように思っておりますが、片方で私どもの資料   の2枚目、デメリットにも書きましたが、今、医療・介護の分野において医療の保険   証、介護の保険証等々、何のデメリットもないのではないかと、問題になっているの   は年金の問題ではないのかなと。その年金の問題をこのカードにすることによってど   ういうメリットになるのかな、というのが私の一番最初の、この話を聞いた時の率直   な意見というように聞いていただければいいのかなと。しかし、いろいろな適応が今   は散乱しておりますから、それを統一化していくことについては非常にいいのではな   いかなというように考えております。それに対して、2つ目として、国民にどのよう   に、十分に理解されてからこれはスタートすべきではないかなというように思ってお   ります。平成11年だったと思いますが、私にも住民基本台帳というのが来ておりま   す。これは平成11年の8月にできたと思いますが、住民基本台帳法により国民一人   一人の住民票コードを追加するというようなことで、私にも番号がありましたので、   これとこのカードとの位置づけがどういうようになるのかなというようなことも考え   ておりました。そういう意味で、国民に対して十分に理解を得られるような形でこれ   を推進していただければと、このように思っております。それから、やはり一番これ   で心配になったのは、セキュリティの問題ではないかなというように思います。特に   年金手帳とか介護保険の証書というものは、ふだんは持ち歩きはしないはずです。要   は病院に行く時に健康保険証を持っていくということで、健康保険証というものは必   ず普段から持ち歩きが多いと思いますが、年金手帳を普段からかばんに入れて持ち歩   いているということはほとんどないのではないかと思います。こういう意味から、こ   の3枚のカードを一緒にした場合の紛失、その他が発生した時にいろいろな問題が起   こるのではないかなと。そういう意味で、要望事項のところにもちょっと書きました   が、カード紛失時、再発行手続を簡素化してほしいとか、そういうようなことが私と   しては一番痛切に感じたところだと思っております。それから、そういう意味で運用   面で、要はコンピュータということが全面的に出てくるかと思います。高齢者、ある   いは子供等々にもカードが一枚ずつ発行されるわけですから、そういう意味でのセキ   ュリティを問題とした管理・監督等々をどのように、やはりこれから考えていってい   ただきたい。それとコンピュータを使えない人、パソコン等々が使えない高齢者に、   どういうように情報を公開していくのかというようなことを御検討いただければ幸い   かと思っております。以上でございます。    ○ 大江主査     ありがとうございました。現在は特段のデメリットは特に感じておられないけれど、   統一する方向で助かる面もある。しかし、いろいろ検討してほしいことが残っている   と、そういうようなことでございますね。    ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)    はい、その通りですね。 ○ 大江主査     では、後ほどまた委員の方でも議論を進めさせていただきたいと思います。それで   は次に全国老人福祉施設協議会の方から御説明をお願いします。   ○ 全国老人福祉施設協議会(太田氏)    全国老施協の太田でございます。私どもにこのような発言の機会を与えていただき   まして、まずもって御礼を申し上げたいと思います。私ども全国老人福祉施設協議会   は社会福祉法人の特別養護老人ホーム、軽費ケアハウスといった施設サービスの事業   と、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所、訪問介護事業所といった在宅福祉   サービスの事業所をそれぞれ運営する業界団体でございます。会の歴史は大変古く、   もう60数余年の創設ということで、非常に長い歴史を持っている団体でございます。   今回のこの社会保障カードに介護保険証の機能を加味するということで、私どもも大   変関心を寄せているところでございます。ぜひ、介護保険制度が利用者本位、利用者   最優先の視点で成り立っておりますことから、この社会保障カードもその人、御本人   のものとなるような仕組みをぜひ御検討いただきたいというように思っております。   さて、多くの高齢者の方々は年金手帳、医療保険証、介護保険証それぞれをまとめて   保管・管理をしている方が大変多うございます。先ほど介護事業者協議会の専務理事   様からは、日頃これを3つまとめて持ち歩くことはないだろうけれど、というように   おっしゃっておられましたが、皆さん巾着袋に入れてこの3点セットをしっかり管理   ・保管をされている方が多いように思います。今回の社会保障カード、この一元化は   単純に考えればそういう意味では非常に利便性が図られることになり、総論では大変   便利になるということが言えるのではないでしょうか。しかし、便利になるのは行政   か、それとも家族か、はたまた高齢者を取り巻く周りの人が便利になるのであって、   先ほども申し上げましたとおり高齢者自身の方が本当に便利になるかどうかはこの先   の工夫次第ではないでしょうか。まず、周りが便利になるという点では、ケアマネジ   ャーは介護保険情報がICチップに満載されることから極めて便利になることは間違   いないだろうと思います。しかし、便利との裏腹に不便なことも当然ございます。一   つ考えられますことは、介護度認定が変更された場合に、利用者から社会保障カード   をお預かりしその変更手続等をする必要が出てまいります。その際に社会保障サービ   ス、これが一時でも利用できなくなり不便が生じることはございませんでしょうか。   特にケアマネが預かっている間に通院の支障が出ることがあるとするなら、それはや   はり現に避けなければならないことではないでしょうか。また、情報が満載されてい   るICカードをケアマネジャーが預かり文書もなく預かるということでは、やはり責   任重大でございます。また、施設サービスに目をやれば、特養入所者のカード、特養   に入所されている皆様方の社会保障カードは恐らく施設が一括管理をすることになる   だろうと思います。家族が年金を引き出す際にカードの貸し借りがもしそこで発生す   るとすれば、施設と家族との間でカードが行き来することになり紛失の原因にもなり   かねません。一体だれがこのカードを保管・管理するのか、情報満載のICチップが   埋め込まれたこのカードの保管・管理の責任分担が今後の一つの課題となっていくよ   うに思います。認知症の高齢者のカードはだれが、独居老人のカードは一体誰が、本   人に渡せば紛失の可能性は大でございます。また一括預かりする特養ではICカード   の読取機を施設に設置するのでしょうか。事業所としては正直、本人確認証であれば   それで十分ではないでしょうか。それ以上のデータを管理する責任というものは実に   重いものがあるように思います。正直、預かりたくない、というのが本音の部分では   ないでしょうか。事業所が情報をコピーして悪用するというようなそういう問題は懸   念はないんでしょうか。高齢者の立場に立って話を今一度進めてまいりたいと思いま   すが、例えばキャッシュカードの暗証番号を忘れる高齢者は非常に多いと思います。   無くす、忘れる、これが生じれば当然再発行の手続となるわけですが、本人は恐らく   その手続はできないでしょう。では、誰が代行するのか。日常生活に直結するカード   です。速やかな再発行手続が必要となるはずであります。こうして考えてまいります   と心配ばかりが先に立ってしまいます。4けたのキャッシュカードの番号、暗証番号   を忘れる高齢者が多い中で、当然社会保障カードの番号を忘れる、間違える、こうい   うお年寄りは後を絶たないはずであります。一つ忘れることで3つの社会保障すべて   の機能が停止する、これは尋常ごとではございません。社会保障は憲法第25条、生   存権の保障に直結するものであります。高齢者は新しいことを覚えていくことに極め   て苦手でございます。よって発行の際にカードの重要性、価値が十分に認識・理解さ   れる必要があるのではないでしょうか。ひょっとしましたらカード機能の大切さを理   解されないままに、これがお年寄りの手に渡ればどうなりますでしょうか。つまり、   カードの大切さがわからない、まさかこのカード一枚に自分の生き様すべてが書き込   まれているとは誰も夢にでも思わないのではないでしょうか。場合によっては発行時、   捨てられてしまうことも考えられます。多分、あり得るでしょう。介護保険制度導入   の時のように、よほど国民に重ねての説明会を開いて、何度でも説明をしていかなけ   ればこのカードの重要性というのは認識されないと思います。郵送ではだめでしょう。   本人手渡しが必要になるはずです。さて、社会保障カードを身分証明書がわりとして   顔写真を添付して御利用いただくという案も出ておりました。これはかなり高齢者に   とっては便利な機能になるのではないでしょうか。なぜならば、今、お年寄りは身分   証明書というものを持っていないからであります。社会保障カードがお年寄り自身に   利便性を実感できるとしたならば、この身分証明書機能がかなり有効な手立てではな   いでしょうか。私どもが最も一番社会保障カードの導入で懸念をいたしますことは、   セキュリティの問題でございます。すべてはこのカードにどこまでの力、情報を持た   せるかで決まってくると思いますが、個人確認に止めるべきか、それともすべての情   報を満載すべきなのか、間違ってもATMのキャッシュカード、磁気カードのような   安っぽいカードにはならないと思いますが、そのようなカードにすれば改ざんが安易   にできることは間違いございません。ICカードというのは素人でも相当のデータが   インプットできるというように思います。でも高齢者は落としたり、紛失する、そう   いうリスクが高いということへの配慮は絶対的に必要でございます。このカードは必   要なものであるとは思いますが、高齢者への交付・運用となるとその方法・対策が非   常に難しく思われます。これからの年代層は恐らく活用ができると思います。しかし、   現在の後期高齢者の方に対してすこぶる扱いの難しいカードになることは間違いない   んではないでしょうか。いずれにしましても、情報を一元化することのメリット・デ   メリットはあります。新しいデータベース管理機関も場合によっては新設する必要が   あろうかと思います。そうしないとセキュリティは恐らく担保されないでしょう。こ   のカードは構築されれば生涯活用が可能となります。そのために変更や不備が生じた   時には、速やかに変化・対応できる形にしておく必要があるのではないでしょうか。   まして身分証明書ということになれば住所変更、氏名が変わってもデータに適切に反   映されるようシステムを構築していただくべきだと思います。ただ単に事務の簡素化、   効率化だけを追い求めるよりも、まずは被保険者の運用効果を考えていただきたいと   思います。現在、別々の交付団体によって発行・管理されております年金手帳や雇用   保険証、健康保険証、介護保険証が統一されるのであれば、社会保険事務所、公共職   業安定所、市町村の関係部署の統合や廃合も場合によっては検討されていくのでしょ   うか。行政の効率化だけが優先したカードの導入、また国が個人情報を一元管理する   ことはよほどしっかり国民に周知・理解の上でお進めいただきたいというように思っ   ております。私たちは常日ごろ、利用者のサービスの向上を目指しております。より   良いサービスというのは過不足のないことを言います。サービスが過剰であっても、   不足であってもいけないのです。この社会保障カードがどうか過不足のない情報提供   できるカードになりますことを御期待申し上げて、私ども全国老祉協からの意見とさ   せていただきます。ありがとうございました。 ○ 大江主査     どうもありがとうございました。特に高齢者の視点からいろいろな御意見をいただ   きましてありがとうございました。後ほどまた議論をしたいと思います。それでは続   きまして日本病院会の方から御説明をお願いします。   ○ 日本病院会(池澤副会長)    日本病院会の副会長の池澤でございます。本日はこのカードについての検討会に於   いて、私どもの団体に意見はどうかということをお尋ねになることにつきまして、大 変光栄に存じます。私どもの日本病院会は現在9,000からある病院のうちの約2, 700の病院が加入しておりまして、これは国立、自治体、あるいは日赤、済生会、 厚生連、あるいはそのほかの大学病院、それから民間のいろいろな医療法人や個人に 至るまであらゆる設立母体が入っております。それで1,000床以上の巨大病院も あれば、20数床の小病院もあるというそういういろいろな病院が入っているところ   でございます。そして全体として日本病院会の中でのIT化ということで見ますと、   電子カルテという点では非常に少ない。まだまだ数10%でしかないと。これはオー   ダリングシステムとなりますとある程度は行きますが、それでもやはり特にここのと   ころIT化の足が鈍っているのは、診療報酬のマイナス3.16%の改定ということ   があってどこの病院も非常に赤字の状態がひどくなってきたために、そういうものを   整備するだけの能力が非常に不足してきているということが大きな問題でございます。   それで、そういう中でこの社会保障カードが出てくるのはどういう意味を持つかとい   うことについてですが、これは非常に端的に言えば、すぐに考えられる問題は、診療   をしてもその診療行為に対して未収金が発生することがだいぶあります。未集金の内   容によっては、もちろん堂々たる踏み倒しもあれば、それからいろいろクレームをつ   けて払わないようにするとかいろいろな問題がありますが、しかし非常に良心的な未   収金も発生します。良心的なというとヘンですが、それは本人が例えば勤め先を辞め   ても、健康保険証を返すことを忘れてしまったと。それで保険証をそのまま持ってい   ると。実は私も昔、大学病院に勤めておりまして、返すはずだったものを半年ほど返   すのを忘れてしまったことがございましたが、催促も何もなかった。それはだいぶ昔   の話でございますが、このことについて病院が、患者さんに聞いてみますと、特に催   促されなかった、というようなことをおっしゃる患者さんの割合が多いということな   んですね。それは今度の場合には、企業の側で記録を抹消してしまえばいいわけです   から、記録上で、これはうちの社員ではございません、というようなことで割合に簡   単にそれはできると思います。しかし、現在の状況についていうと、そういう方の場   合には、最大限1ヶ月経ってわかります。つまり、保険請求をすればわかるわけです。   それから、ほぼ1週間か2週間の後にはほとんどが解決します。ちゃんと支払われま   す。これに関する未収金問題というのはそんなに大きな問題ではございません。未集   金の今の最大の問題というのは、初めから払うつもりのない人たちとの争いでござい   まして、これは非常に厄介な問題です。それはそれとして別の問題ですから、今日こ   こで議論するのはやめますが、したがって、いわば良心的な未収金の発生、それにつ   いては解決は今までのシステムでもできます。一方、多額の未収金は始めから計画的   であり、踏み倒しの問題ですから、どうしてこれを改めて入れる必要があるのかなと   いうことを考えてしまいます。病院としてはカードを読み取るものを、簡単なもので   あってもシステムを作らなければばなりませんし、ましてやそれに何か健康データを   入れるとなると、どこまでどういう形で入れるかによりますが、それについても新し   くソフトを入れ替えなければならないかもしれない。そういう意味では、これを今の   段階で入れるということは病院の崩壊にさらに拍車をかけていくということに、大げ   さに言えばなりかねないという問題でもあろうかと思います。それに対してちゃんと   した保障がないと困る。もう一つ非常に厄介な問題としてあるのは、国民健康保険の   関係です。国民健康保険の方が、ちょっと健康保険より厄介なことがございます。と   いうのは、例えば東京で言いますと、杉並区に住んでいた方が中野区に移ってきたと   いう時に、すぐに住民票を切りかえないことがある。その上に国民健康保険証を別の   係に出さなければならない。これを忘れる人の割合が多い。そうすると役所の方で住   民票の係と国民健康保険の係が別になっていて、係の間の連絡がとれていないものだ   から、そのままになっているわけです。督促もされない。ですから一方では住民票の   変更をしたとしても、健康保険の方を忘れてしまうと、そのままでも一方では役所は   気がつかないし催促もしないという状態が続くわけですね。したがいまして、本来は   杉並区の住民なのに中野区の保険証を病院に示し、そのまま通用してしまうというよ   うなことがしばしば起こります。そうしますと、住所の方は変わったけど保険証の方   は変わっていないというような食い違いが起こるわけですね。これは病院が区の方に   言わなければならない問題なのかと、そういう問題は。それは本人がやるべき問題で   あるというのは当たり前です。しかし、本人が忘れてしまって放置されている状態に   気がつくのは、区役所の方でそういうシステムでちゃんと気がつくような体制をつく   ってもらわないと困る。それぞれの課が独立してその中でもってやっているという、   分掌して仕事をしているということそれ自体はいいように見えますが、そういう点で   はやはり大きな穴があるんじゃないだろうかと思います。したがいまして、私どもの   方としては国民健康保険というのはかなり都会でも多いですから、地方に行きますと   やはりもっといろいろな問題があるんじゃないか、市町村別で見ますと市町村ごとに   国民健康保険の番号は違いますから、だからそれがたまたまほかのところに引っ越し   てしまったという時に、それをちゃんとそういうことまで含めて届け出るかどうか。   そういうことははっきりしていないと国民健康保険の番号と住所が食い違っていくと   いう問題は大きく残るんじゃないかと思います。そういうことをやっていく責任は本   人にあると言えば簡単ですが、本人が先ほどのお話にもありましたように、認知症で   あればそういうことについて周りが気がつかなければ役所の方で気がつくというシス   テムを持っていないとそういう食い違いが起こってしまって、誤った情報のままでシ   ステムが動いていくというようなことになりかねない。そういう点が非常に残念に思   うわけです。現に今でもそういう問題は起こっているから申し上げておきます。それ   で、そういう意味ではプラスの面はある意味では簡単に幾つか挙げられるんですが、   マイナスの意味での面を、デメリットの面をきちんとしておかないと、これは御指示   するならその辺はきちんと正した上でやっていただきたい。それには、先ほどのおふ   たりともおっしゃいましたように、やはり十分に徹底させるという、地域の住民の方   々に十分に徹底させるという努力をしないといけない。これは今までのシステムより   ももっと複雑なという印象を与えます。これはそういう点を特に、現在の後期高齢者   の中にはそういう機器を扱ったことがない人たちが多数いるわけですから、超高齢化   社会を迎えつつあるそういう中でこの機器を今、導入する必要が果たしてあるのか。   あるとすれば、それにはどれだけの周知徹底の機会をたくさんふやしていくかという   点が問題だろうと思います。   ○ 大江主査     ありがとうございました。本来ならば国民健康保険中央会の方からも御説明をいた   だく予定でありますが、まだお見えになっておられませんので、まず今、御説明いた   だきました3団体の方々の御説明を元に委員の方々から質問などございましたらお願   いしたいと思います。いかがでしょうか。どなたからでも結構です。   ○ 堀部委員     御出席いただき、また貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございま   した。ここの検討会で議論していますのはもっと全般的な問題でして、そういう中で   今日は特に高齢者の取り扱いについて具体的にお話をいただきまして、そういう問題   があるということはわかりました。そこで、これまでそれぞれのところでいろいろ経   験をされているかと思いますが、既に幾つか論点は出てきていますけれども、仮にこ   ういうカードを導入した時にそれに適合するような何か方策というのはそれぞれの分   野で考えられるのか、確かに後期高齢者でカードの扱いができないとなると、これを   どうするのかということもあるし、お聞きしながら、あるいは全員ということではな   く段階的に年齢に応じてどうするかわかりませんが、それぞれの判断能力に応じて導   入していかなければいけないのかなと思ったりしました。仮に全員にカードを持って いただくという時に、デメリットはよくわかりましたが、それを解決する何か方策の ようなことをもう少し具体的にお話をいただけると参考になるかと思いますが、いか がでしょうか。 ○ 高山委員    反論してよろしいでしょうか。確かにカードを導入した場合に、認知症で苦しんで   いる人とかひとり暮らしの老人の場合にカード紛失の恐れが高いという御指摘だった   と思いますが、その人たちは現在の健康保険証とか年金手帳はそれでは紛失しないと   いうように考えることができるのかということで、私はカードに固有の問題というよ   りは、そういう認知症で悩んでいる人の固有の問題のような気がするんですね。カー   ドに固有というよりは、健康保険証だって、あるいは年金手帳だってもしかしたらど   こかに紛失しているかもしれない。番号等も忘れてしまうとか、その他もろもろのと   いうことが認知症とかひとり暮らしの老人の場合には起こっているわけで、カードに   固有の問題というように考えるべきなのかどうかということについて、何かもうちょ   っと詳しい情報があったら教えていただきたいという気がします。 ○ 大江主査     それでは若干、共通する話題でもありますが、特に高齢者の方々がこういうカード   化した時に、3つの従来別々に管理されているものを一枚のカードにした時に、それ   を持ち歩く管理上の不安というような問題と、それからふだんそれをどのように管理   されているのか、あるいはカード化した時にはどういう管理の仕組みに変えていくと   問題が解決できそうかというような具体的な何か、こういうようにしたらどうかとい   うようなことがありましたらちょっと教えていただけますか。   ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)     この話を聞いた時に、一番最初に私の頭にパッと浮かんだのは銀行の通帳とカード、   通常はふだんは家に置いてあります。カードは財布のポケットに入っております。こ   ういうような形のカードで年金手帳がありますよ、介護保険の証書は自宅にあります   よ、それを一枚のカードになったものが付属であるのであれば、これはいいんじゃな   いかなと。直感でしたのがそういう発想です。その中にはそれほど重要なものがなく   てもいいのではないか。年金の番号とかその程度のものが入っていればそれでいいの   かな、というのが一番最初にこの話を耳にした時に発想したのは、原本になるものが   きちんとあって、それに付属するカードを各人が持っているというようなことは、こ   の議論の中で今まで考えられたことはないんですか。   ○ 大江主査     では事務局の方から御説明ください。 ○ 黒川社会保障カード推進室長     いろいろ御意見をありがとうございました。ちょっとこれまでの議論を十分に御説   明していなかったのかもしれませんが、若干理解していただけてない部分もあるかと   思いますので、ちょっと私の方から補足させていただきますと、今日は、まず、カー   ドに収録する情報の話ですが、これは本人の確認のために必要最小限のものというこ   とで、そこにいろいろな、確かにICチップというのは容量があっていろいろな情報   を入れようと思えば入れられるのかもしれませんが、これまでの検討の中ではカード   にはいろいろな情報を入れるのは止めましょうという方向で整理しております。だか   ら名前とかそういう基本的なところは収録するにしても、介護の認定の話とかそうい   うところや、いろいろな診療情報のような話とか、そういうものを収録するというこ   とは今のところ、これまでの議論では想定はしていないわけです。そういう意味では、   そういう情報というのはいわゆるデータベースの側で、今も加入者の資格情報という   のはそれぞれ保険者がいて、保険者がいろいろ加入者の情報というのは管理されてい   るんだと思いますが、そちらの情報にアクセスする形で確認ができればいいだろうと。   だからカードにいろいろな情報を入れる必要はないんじゃないかというのがこれまで   の議論でございます。そういう意味から言うと、例えば今は健康保険証にしても、介   護保険証ですともっとですが、いろいろな情報が紙面に書かれていると。それをカー   ド化して、カードの表面には書かないということにすれば、落とした場合の配慮とい   う御指摘をいただきましたが、落とした場合にも紙の保険証とか介護保険証を落とす   とそこに書かれている内容というのは漏れるわけですが、カードには大したことは書   いてない、表面には書いてないとすれば、落とした場合にもむしろ安全になるのでは   ないかと。そういうメリットがあるだろうということを考えておりまして、確かに後   期高齢者の方ということで考えると、パソコンを使って自宅でいろいろなことをする   とかそういうことは余り考えられないからメリットがないということがあるのかもし   れませんが、例えば、今、申し上げましたような紛失した時はより安全になるとか、   そういうメリットをむしろ出せるのではないかというようなことを考えているところ   でございます。それからもう一点、なぜ今というか、年金はわかるけれど医療・介護   はなぜかというお話がありましたが、ここもやはり年金をいろいろ転職したり住所が   変わったりして、その御本人の経歴というかそれがわからなくなって年金記録問題の   話が出てきていると。医療にしても介護にしても保険者が変われば新しく番号が付番   されてまた別に管理されていくという話で、短期保険であるんですが、過去どこの保   険者だったかというところが現状の仕組みだとわからないわけです。そこがカードに   よってデータベースの側でいろいろ情報連携のようなことが確立されるようになると、   そういう保険者間の移動のようなところも今よりも把握できるようになるんじゃない   かというようなこともございますし、保険者が変われば健康保険証にしても再発行と   いうことになるわけで、それは保険証を預けるとか返すとかそういう話が出てくるわ   けですが、先ほど申し上げましたようにカードの側では必要最小限で余り変更されな   いような情報しか入れないということにしておけば、いろいろ保険者が変わってもデ   ータベース側で必要な情報を書きかえておけば、そこにアクセスすることによってカ   ードをそのまま使えるというか、保険者が変わっても。そういう意味で、利用する方   についてもそういうカードの再発行という手続が不要になるとか、いちいち返さなく   てもよくなるとか、そんなようなメリットも出せるのではないかということで、これ   まで議論していただいているところでございます。 ○ 大江主査     今、事務局の方から御説明いただいたことを御確認いただくこととしますと、資料   1の2ページ目の上の方の2つのポツの一つ目のところに、ICチップやカード券面   にどのような情報を収録するか。カードの収録情報はできる限り本人確認のために必   要なものに限定すべきではないかということで、主要な本人を確認するための情報以   外のどういうサービスを受けてきたかとか、そういうような情報はむしろデータベー   スに保管して、それを必要な時に一定の権限で呼び出すようにすると、そういうよう   なことが議論されてきたという経緯であります。それから、資料2の色刷りの資料の   右側の「社会保障カード導入後」という枠の中の真ん中の枠の一つ目、紛失・盗難の   場合でもプライバシー性の高い情報が盗まれたり悪用されることはない。これが左側   にありますように、従来の被保険者証であれば紙の被保険者証にいろいろ個人の情報   が見える形で書かれていますので、それを悪用するというリスクがあるわけですが、   それよりは一段とセキュリティが高くなるのではないかというようなことが議論され   てきたということだと思います。それを踏まえて、今、介護事業者協議会の方と老人   福祉施設協議会の方の両方から、3つの情報が一つのカードになって持ち歩いた場合   の紛失のリスク、特に老人福祉施設協議会の方から御説明をいただきましたが、特養   などで現在はあれは預けているという、一括管理するという形がカードになると、ど   のようになるのかということを御懸念されておられるというような話が出ましたが、   これは先ほど堀部委員の方から、具体的にもし、そういうカードにした場合にどうい   うような管理が考えられるかという、そういうことをお聞きしたいということだと思   いますが、どういうことが想定されますか。もしこれがカードのようなものになった   場合には。   ○ 全国老人福祉施設協議会(太田氏)     今回、社会保障カードにすることによってICチップを埋め込み、そのカードの面   に相当量の情報がもし満載されるとするならば、ということで考えた時のリスクとい   うのは計り知れないものがありますよねというお話を幾つか羅列したわけですが、今、   室長さんから御説明を伺う限りにおいては、本人資格確認証のかわりにするんだとい   うことであれば、私どもが懸念している個人情報、重要なデータをお預かりするとい   うところでの負担というのは相当半減どころか、随分気が楽になるということは間違   いないだろうと思います。そういう意味で、例えば認知症高齢者の方が紛失、または   更新する時の手続というのは恐らく委任という形で行われるでしょうから、その辺は   カードになっても問題はなかろうかと思いますし、もしそのカードの面にいろいろな   情報が載せられるということであれば、これはもう後見人を立てて云々という、非常   に法律的に難しい罰則規定から制度そのものを構築していただかないと大変なことに   なるというような思いを持っておりましたが、個人資格確認証程度の機能で、あとは   データベースにアクセスしていくということであれば、かなり私どもも安心できます   し、認知症の高齢者の方への対応というものも懸念が払拭されるのではないかなとい   うように思っております。以上でございます。 ○ 大江主査     それから高山委員の方から、紛失のリスク、あるいは発行されて受け取ったものが   どういう重要なものかというのを認識することに関しては、現在の紙の保険証の場合   でも同様の懸念なり、同じような扱い方になるのではないか。カードにしたからとい   って何かが違うということではないのではないかというような御質問だと思いますが、   そのあたりで何か御意見はございますか。    ○ 全国老人福祉施設協議会(太田氏)    特に、おっしゃるとおりだと思います。カードだから、紙だからという問題はとり   あえず無くなるかなと思います。 ○ 大江主査     ほかにございますか。 ○ 辻本委員     患者の立場ということで検討会に参加させていただいております辻本と申します。   検討会のメンバー全員がいけいけどんどんの推進派でないとご理解ください。私は常   に検討会の時に、こんな時はどうなるんですか、こういう不安があるんですけれどと   、議論の足を引っ張る役割でもございます。そういう立場から、今日は、お三方のお   話を具体的な項目で不安というものを改めて教えていただいたということは、私自身   もそのことを解決していくための方向性を見出すために大変勉強になったお話を伺わ   せていただくことができました。それで、扇田理事のペーパーの中の2つ目のところ   に「国民総背番号制のイメージになるわけで、個人情報の保護の観点から国民の理解   を十分にとる必要が出てくる。」という、大変重要なポイントがここで挙げられてお   ります。先ほど、お話をお聞きした中で、限られた時間ということで、はしょられた   のかもしれませんが、このことにお触れになっていらっしゃらなかったように思いま   すので改めてそこをもう一度どういう御意見なのかをお聞かせ願いたいと思います。 ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)     このメリットのところに書いたんですが、アメリカの社会保障の番号のように終生   不変の番号をつくって、これが健康保険証等々になれば生まれた赤ちゃんにも一枚の   カードができるわけですから、そういう意味では国民が皆、番号制になるというよう   に言ってもいいのではないかなというように思ってここに書いたわけです。それと、   先ほどもう一つお話をしたように、住民基本台帳というのが我々にはございますね。   それとの位置づけと、この位置づけとがどのような形に、それとこの社会保障カード   がどのようになるのかなというのが私の率直な質問だったんです。   ○ 辻本委員     理事会のコンセンサスということはないという上で、個人の御意見、疑問という意   味での素朴な幾つかを羅列なさった一つということで、むしろ今後のそのあたりの議   論の充実を願いたいという思いがおありなわけですね。 ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)     先日お話をいただいて、私の個人的な意見ということで、今日は発言させて頂いて   おります。 ○ 堀部委員     よろしいですか。住民基本台帳との関係は総務省から説明した方がいいのですが、   私もいろいろ住民基本台帳にかかわっていますので、必要があれば後でまた説明をし   ます。国民健康保険中央会から来られていますので、そちらの方に移るのかなと思い   ますが、むしろ今、辻本委員が挙げられたことで言うと、この議論が出てきた時に、   国民総背番号制との関係で論ずる方もいるわけでして、ここに書かれている「いわゆ   る国民総背番号制のイメージになるわけで、個人情報の保護の観点から国民の理解を   十分にとる必要が出てくる」、こういう指摘が一つあるわけですね。この話を聞いて   そのように考えたということですが、これをもう少し敷衍して、そのあたりはこうい   うところに問題があるのではないかという指摘をしていただければと思いました。も   う少し後でもいいのですが、意見を伺いたいところですね。   ○ 辻本委員     お立場ということでなく、個人の御意見でも結構なんですが、私もそこのところを   どのようにお考えになっているのかということをもし聞かせていただけたらというよ   うに願いました。   ○ 全国介護事業者協議会(扇田専務理事)    皆、国民が番号制になる、このカードが発行されることによって一人一人が番号制   になることに何ら大変問題が生じるのではないかと思っただけで、具体的には、それ   がどういう問題に発生するかは考えておりません。 ○ 大江主査     このいただいたペーパーの2のところの最後の方に書いてあるようですが、カード   利用者の番号をつける形にならざるを得ない。というようにお考えだということだと   思いますね。事務局の方から何か補足説明はありますか。 ○ 黒川社会保障カード推進室長    これも私どもの事前の説明が不十分だったのかもしれませんが、資料1の「検討の   方向」の中の3点目に、プライバシーの侵害や情報の一元的管理に対する不安を解消   する、そういう方向で考えていきましょうということで整理をしておりまして、それ   を受ける形で1以下で整理しているんですが、特に3のところで、「カードの発行・   管理のためのデータベース」というところで、各制度の保険者ごとに管理されている   データベースの資格情報を結びつけることについてどう考えるか。それで、プライバ   シーの侵害、情報の一元的管理に対する不安を解消するため、必要最小限の結びつけ   方法を検討するべきではないか。各保険制度ごとに付番されている被保険者番号の扱   い等についてどう考えるか、というように書いてございまして、番号という意味で言   いますと、既に年金も医療も介護も各保険者において何らかの番号を付番する形で加   入者の管理をしているというのが現状でありまして、今回、3制度をまたがるカード   ということになると、各制度で管理されている加入者の資格情報について、一人一枚   のカードにするためにそれを並べて、どれが同じ人なのかということを結びつけると   いうようなことが必要性としては出てくるんですが、おっしゃるように国民総背番号   制というのは何もかも一つの番号で管理されているというようなイメージだと思いま   すが、そういうことではなくそれぞれの制度ごとに付番されている番号を基本的に考   えながら、必要最小限の結びつけ方法を検討していきましょうということで、各制度   別々の番号というものを統一の番号にしてしまうということを前提に議論しているわ   けではないということをまず御理解いただきたいと思います。それからもう一つ、出   発点としては年金、医療、介護にまたがるカードということですから、住民基本台帳   カードとは、別物のカードということで整理をしていまして、その意味では直ちに住   基コードと結びつくことになって4つの番号が一つになるということを考えているわ   けでは当然ながらないということでございます。ただ、カードを発行する時に、5の   「発行方法等」というところで、一番目のポツで、費用対効果にすぐれた方法ですと   か、それから一時的に発行が集中することへの対応を検討すべきとかこういうことが   ございまして、既存のインフラとかそういうものを活用するという視点で考えるとい   うことも必要だと。だとすると、例えば住基カードというものは現実問題、各市町村   で発行されていてシステム整備などもできているので、それを活用するというのも一   つの論点ではあるかと思います。だから、そういうインフラを使うという意味では検   討課題かなと思いますが、番号という意味では直ちに統一番号ということを前提に考   えているわけではないということを御理解いただきたいと思います。   ○ 大江主査     それでは今3団体の方々から説明をお聞きしたところですが、国民健康保険中央会   の方がお見えになりましたので、続きまして少し今の意見交換の議論を中断しまして、   国民健康保険中央会の方から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いしま   す。 ○ 国民健康保険中央会(田中理事)     国保中央会の田中でございます。遅参しまして申しわけございませんでした。ひと   つよろしくお願いします。私どもの方は提出資料も整えないままにこの議論に参加す   るということで、これもあわせておわび申し上げます。私どもは、日ごろこういう社   会保障カードというか、カード問題について余り意識していないテーマであったもの   ですから、今日のヒアリングというか、検討会についても十分に理解ができないまま   で話をする点もあろうかと思いますが、ひとつ御容赦願いたいと思います。国保の立   場から極めて簡単でございますが、今日の動きに対して思うところを1〜2点申し上   げさせていただきたいと思います。一つは、国民健康保険にとって被保険者の資格を   証明する被保険者証というのがございますが、この被保険者証問題について現在の対   応で格別問題がないというのが一つであります。基本的には改めて労力を費やさなく   ても十分に対応できているということであります。ただ、被保険者の資格という意味   では非常に大きな問題を抱えております。この問題がこういうカード化によって解決   するとすれば魅力的な仕掛けではないかと思っておりますが、これは昭和36年の皆   保険体制以来の国保サイドからの念願ということで、政府の方に多年要望をしてきて   おりましてまだ解決していない問題が一つございます。これは被用者保険の資格を喪   失した方が、また被用者保険の方に移られるならそれはそれで対応されていると思い   ますが、そうじゃなくて、国保の被保険者となるべき者が、これは届出制度になって   おりまして、結局は資格を喪失した後に速やかに当事者が住所を有するところの市町   村に届出をするということになっておりますが、なかなかそれが徹底していないとい   うことが資格確認という意味で問題がございます。いずれにしろ事が起きた時には国   保の被保険者なんですね、法的には。要するに隠れ国保被保険者というか、そういう   方々が結局どういう時に問題になるかというと、健康の間はほとんどこの被保険者証   というのは使用されることはないと思いますが、いざ病気になられた場合に国保の窓   口に飛び込んでこられて、保険証が欲しいと。そうなりますと、これは当然、法的に   は保険証をお渡しすることになりますが、治療を受けてもらうというのが法の建前で   すが、やはりそういう事務的な問題が一つ。それから保険料をその間お支払になられ   ないものですから、結局1年経ち、2年経ち保険料を払っていない者に治療を提供す   ると。これもそういう医療を提供するのは保険者の義務でございますからそれはそれ   でやりますが、そこにはどうしても財政的な問題で処理しなければならない問題が発   生したりして、事務的に現場は戸惑うことが多いんですね。ですから、被用者保険の   資格を喪失された者がどういう状況であれ、本人届出ということがなくても国保の方   に情報が届くというか、そういう仕掛けができるとこの問題は一気に解決すると思っ   ておりまして、このカード化というのはそこまでのことが対応できるのかどうか、そ   の問題が一つございます。それからもう一点は、この今日の話題はそもそも何から発   生したかということもないんですが、要するに年金の管理業務の不備から発生したい   ろいろな問題、そういうことに対応しようじゃないかということではないかと思いま   すが、この際だから社会保障全体で一元的なカード化ということかもしれませんが、   何でも一元的にやればことが済むのかということなのかということが一つ。似たよう   なことで言えば、健康施策の中で健診というのが行われていますが、今度は医療保険   者が特定健診をやるようになりますが、この健診にしてもいわゆる学童健診もあれば、   母子もある、いろいろな健診があります。そういう健診というものを一元的にという   ことが一時議論されましたが、これも雲散霧消してしまっています。やはりそれぞれ   制度的に対応されている問題を、一定の理念的な枠で片づけて一元化しようというと   ころはなかなか無理があるような感じもしております。特に今回、「年金」と「医療」   と「介護」ということを横並びにした場合に、年金というのは長期的な管理、給付な   んですね。長く保険料を払い、且つまた給付を受け始めたら長く給付を受ける。これ   はやはりかなり期間を長くした管理体制を敷かなければいけない。それに引きかえ医   療保険とか介護保険は短期給付というか、要するに管理は当然大事ですが、給付管理   、それから保険料や税の徴収管理いろいろありますが、結局、日常的には被保険者証   があれば事足りるんですね。もう一つは情報の閲覧というのが言われていますが、我   々が日常的に管理している中で被保険者みずからが自分がどういう病気で、どういう   治療を受けたかというところを、いわゆる過去に遡って承知したいというそういう情   報要求というのは殆んど出てこないんです。ですから今度のカード化というのが資格   証の問題、それから情報の閲覧に有効だとかいろいろおっしゃっているようですが、   やっぱり年金の必要性と医療なりの必要性というのはちょっと必要性が違うんじゃな   いかという感じがしておりまして、そういうものを一元的に取り扱うことは、結果的   にこれを管理していくということは非常に多量な情報を集めなければいけません。医   療保険というのは、いわゆる医療保険者が変わる確率が非常に高い制度です。だから、   そういう意味でこういうことを取り入れたばかりに非常に壮大な事務処理システムと   いうものが必要になってくるのではないかなと、お互いに情報管理が。そういう感じ   もしまして、これはコストの問題等も関係あるかもしれませんが、なかなかそこあた   りの理解がいく対応ができるかどうかということを感じます。要するに我々国保にと   ってみると、今のシステム、被保険者証でそう不自由を感じていないというのが率直   な意見で、いささかこういう年金の問題で一気にカード化の話に走って、社会保障全   体をひっくるめてやろうじゃないかというのは、いささか強引な印象を持つものであ   ります。私は決してIT化の流れを否定しているわけではありません。やはりこれか   らはいろいろな意味で、それぞれの制度で事務的な業務的な対応でIT化というのは   ぜひとも必要だと思っておりますが、社会保障カードについてはそういうようなこと   だと思っております。それから、人口が1億を割っていく中で、お年寄りが3,50   0万人から3,600万人いらっしゃると。こういう社会においていかにIT化、パ   ソコンになじみがあると言っても、そこに対応できない者が結構いらっしゃるんじゃ   ないかと思うんです。私自身も全くパソコンはできませんし、かといって仕事はでき   ない方かもしれませんが、何とかやっているわけでございますが。要するにカード化   は資格証としての意味はあっても、今度は閲覧という意味ではそこは「閲覧」という   ことを条件に設定されて環境をつくられても、そこにアクセスできるかどうかという   のは必要性とはまた別にあると思っています。それと情報の話ですが、情報というの   はよほどうまく整理しませんと、ゴミの集積のような話になるわけでございまして、   要するにこういう医療とか介護の情報、健診情報もそうですが、だれにとって必要な   のか。個々人にとってどの程度必要なのか、制度運営や管理責任のある人たちにとっ   て必要なものもあるわけですね。だから、それはこういうカード化という中で対応す   ることなのかどうか。そういう必要性というものをだれが最も感じているのかという   ところも、一つ方向性の議論の中にあっていいんじゃないかということ。それから、   十分に承知しないで申し上げているかもしれませんが、こういう非常に制度全体、国   民の生活に密着し、かつまた関心のあるところの議論というのが余りにも議論される   時間が少ない。どこまで議論されるかということが一つあるかと思いますが、年内に   というような話もお聞きしておりますし、先生方は大変な方々ばかりですから時間的   な問題なくおできになるかと思いますが、いかにも時間的な制約があり過ぎるんじゃ   ないかなという感じがしております。とりあえず以上のようなことを申し上げてみた   いと思います。失礼しました。   ○ 大江主査     ありがとうございました。それでは4団体からの御説明がすべて出そろいましたの   で、最後の説明も含めて改めて委員の方々から御質問や御意見をいただきたいと思い   ますが、何か補足してお聞きになりたいことはございますか。 ○ 辻本委員     ありがとうございました。今のお話の中で一点、医療情報、カルテとかレセプト情   報の閲覧のニーズはそれほど高くないのが現実だというお話があったように拝聴した   んですが、私どもは御存じのように電話相談ということで、もちろんごく一部のかな   り意識の高い、問題意識を持った患者の声が届いているところなのかもしれませんが   、最近、コスト意識というものが高まりを見せているということに、むしろ目を見張   る思いをしております。それで、それほどニーズは高くないんじゃないかとおっしゃ   ったお言葉に、そういう感覚的なレベルの問題ではございますが、そうでもないです   よ、ということを申し上げたいことが一つ。そして多くは、逆に今までそう簡単に見   られないという思い込みのあきらめが、そうしたニーズにつながっていかなかったこ   とも考えられます。閲覧というアクセスがもっとフリーに、可能になれば、自分の受   けた医療、あるいはそこにかかった費用、そうしたものへの関心というものが高まり   を見せることにもなるでしょう。それが健全な医療費につながっていく一点について、   私はこのカードには大いなる期待を持っている人間なんですね。そのあたりをもう少   し御意見を伺わせていただきたいんですが。 ○ 国民健康保険中央会(田中理事)    要するに必要な情報という意味では辻本先生がおっしゃるとおりかもしれません。   ただ、私はどこにデータベースをつくってそこにアクセスするかということは別にし   まして、情報というのは治療内容についての情報が一つ、もう一つは先生がいろいろ   な方から相談を受けられる中でやっぱり費用面の情報がありますね。この情報という   ものを、いわゆる一ヶ所に全治療行為の情報を集積するということがいいのか、私は   結局、患者と医者の関係というものがもっとフランクといいますか、そういう関係が   できていく中で、そういう関係をしっかり構築していく中で自分がどういう治療を受   けたのか、それからこれは費用面については格別難しい話ではないですから、どのぐ   らいかかったのかとか、ここはそう遠慮なく言えるような関係をつくることの方が好   ましいのではないか、もっと医者と患者という身近なところでそれを解決する方策の   方を僕は選択すべきではないかなという気がするものですから。ただ、今でも一定の   そういうデータはございますから、そこはそこで今のシステムを改めて壮大なとは言   いませんが、社会保障全体のデータベースのような話で進めなくても対応できるんじ   ゃないかなと。そういう要請には対応できるんじゃないかなという気がしております   ので。必要性を感じていないということではなく。 ○ 辻本委員     ごめんなさい、途中で退席させていただかなければならないものですから。今のと   ころでもう一点だけ。おっしゃられるように医療現場における信頼関係の再構築とい   うことは緊急の課題だと私も感じています。ただ、ここまで漠然とした医療不信とい   うことに陥ってしまった国民患者たちが、以前のような盲目的な信頼ということを寄   せることはもう不可能だと思うんですね。そうすると新しい形での信頼関係というよ   うなことを構築していく必要がある。その時に安心して納得できる医療情報にアクセ   スできるという、そういう点においては先ほども申し上げましたが、ほかの不安材料   というのは山ほど抱えているんですが、情報アクセスというところについては少しの   期待を私は抱いております。   ○ 国民健康保険中央会(田中理事)    同じようなことなので説明はしませんが、やはり医療というものは医者があって患   者があるわけですから、医師不信というものが現にどの程度あるかはわかりませんが、   いろいろなお医者さんもいらっしゃいますし、患者さんもいろいろな方がいらっしゃ   るから、そこからお互いに信頼というのはなかなか築かれないというのも事実かもし   れません。ただ、その結果であるデータというものは、今あるデータ管理の中で対応   できる部分がかなりあるんじゃないかという気が私自身はしておりますので、これは   今そういう要求があったらすべてのそういうニーズに対してすぐさま対応できるよう   なシステム設計ができているかどうかは別として、そう難しい話ではないと私は思っ   ているものですから。 ○ 高山委員     今、国保中央会の方から「隠れ国保被保険者」の話が最初に出てきました。それか   ら先ほどの日本病院会の方から、杉並から中野区に転居した場合のお話が出ました。   基本的な構図は同じだと思うんですね。要するに被保険者資格を喪失した段階で、そ   の後の手続問題が結局、本人の申請とか届出を待っている形だということでして、資   格喪失のところと住民票コードが必ずしもうまくつながっていなくて、新しい人たち   にうまく伝達する手段が今のところうまくできていない。それで今回、新しいカード   をつくって住民票コードと何らかの形で連動させると。しかも、被保険者資格喪失者   のリスト一覧等が関係者によって閲覧可能になるようなことがあれば、恐らく問題は   一歩前進なのかなという気がするんですが。考えてみれば国民皆保険ということで、   公的な健康保険には加入義務が課されているにもかかわらず、いろいろな理由で加入   する義務を果たしていない人たちの問題をどうするかという問題だと思うんですね。   それで、それはカード問題とは別の問題としてやっぱり議論してもらわなければいけ   ないんですが、カードを導入し住民票コードとそれとを連動させることによって問題   が一歩前進する可能性があるというような理解を私自身はしているんですが、そうい   う理解でよろしいでしょうかということを念のために確認させていただきたいと思い   ます。   ○ 日本病院会(池澤副会長)     今おっしゃった点については、それだけは極めて不十分だと私は思うんですね。と   いうのは現実に今までの長い長い生活の、昭和36年以降の50年間の歴史の中で現   実にそれが行われていないというのが実態でしょう。それが単にカードをつくったか   らといって、そのカードもそのままにしておけば、それは健康なうちは済んでしまう   わけですから。何もどこにも何も起こらないわけですからね。だから、本人が申請す   るということができていない限り、そしてまたもし住民票だけ出したとして、その場   合には役所の中のシステムがきちんとできていて、それが自動的に他の方に行くとい   うシステムができていない限り、自動的にできない限りそれは機能しないと思います   ね。だから今おっしゃった点では、カードをつくったから解決する問題ではないと思   います。というのは、そういうことをしたくないという人もいるわけですよ。そうい   うことをやりたくないという人が。特にお金がなくて、いま健康なんだからしばらく   このままでいこうという人は、今のこの経済状況の中では少なくないと思うんですね。   そういうことの中で当然発生する問題だというように思います。もう一つ、やはり先   ほどの国保中央会の方がおっしゃっていたことに私も非常に賛成なんですが、やはり   現在の病院や診療所のドクターというのは原則としてはかなりよく説明をし、かなり   よくデータを提供している。大概の病院はその日の検査をやったとすれば、血液の検   査や尿の検査についてはその場で全部患者さんに説明してお返ししているというよう   なことまでやっているわけですね。だから、それだけが情報の開示ではない。結局、   最終的には先ほどおっしゃられたように、ドクターと患者との間の人間関係の回復、   それが基本だと思うんですね。それにはまず何よりも大切なことは、ちょっと古いこ   とかもしれませんが、やはり医師が専門職としての規範に立って患者さんに対して献   身的に常に努力しているという姿勢であることだと思います。そういうことで貫いて   いけば、結局はそのほかにどういう思想や原理が入り込んできたとしても、私は患者   さんとドクターとの関係というのは健全に保たれていくというように私は信じていま   す。 ○ 国保健康保険中央会(田中理事)     要するに私が申し上げましたような被保険者というか、医療保険の世界だけですよ   ね。介護保険は行政の方で全部キャッチしますし、制度間の移動というのはありませ   ん。それで、これは前から言っていますが、要するにそれぞれの事業所に資格を喪失   した者に対する報告を、一定の方式をもって一定のところに到達できるという、そう   いう仕掛けをつくるというのが一つですね。要するに事業主にそのことを課すという   ことが一つで、今それは課していませんからね。そういうような方向の知恵を出した   らできると思います。だから、これはカード化以前の話ですね。それと要するに、こ   のような総合的なカードをつくってというようなことでお進めになるとすれば、やは   りこういう自分の身分というか、資格が変更した時の届出というものをやらないと、   要するに義務づけるというか、そうすると全体的なカードが機能しないと思います。   そういう当事者がいわゆる届出をしないとカード全体が機能しないというそういう仕   掛けが、余り難しいペナルティがあると困りますが、国民が納得するようなそういう   仕掛けができれば、このカード化を設定して全体でやることの意義が一つあるかなと   思いますが。そう難しい話ではないと思いますが、少し義務化というか、どこかが責   任を持たなければいけない、そういう体制がしっかりとれればこの問題はそう難しい   とは思いませんが、今までずっとそれは皆避けてきたものですから、今日、市町村国   保の方だけがちょっとそこが辛い目にあっているということだと思いますね。   ○ 高山委員      私自身、カードを入れればそれが切り札になってすべて解決するということを申し   上げたつもりではないので、ただ「一歩前進」という表現を使ったんですが。本人の   届出を待つシステムだけでは、いずれにしてもいろいろ問題が起こることは確かで、   行政サイドから働きかけるよりは、従来の被用者保険サイドから働きかけるというか、   そういう双方向性というのが非常に大事なんだということをこういう議論をする中で   確認していき、そちらの方向に向かっていくということが大事ではないかと思ってい   るところです。    ○ 大江主査     一委員としての発言ですが、今、2団体から御指摘いただいた御意見、「隠れ保険   者」という言葉をお使いになりましたが、必要が生じるまで本来は加入すべきなのに   加入しない、届出をしないままになっている方がおられるということで、これは確か   に社会保障カード、ICカードを配ったそのカードそのものがそれを改善するわけで   はないけれど、そのカードシステムを動かすために必要ないろいろなデータベースを   含めた仕組みをうまく活用すれば、そういう方々に加入を促すということができる、   やりやすくなるという、それをする時の事務的な作業の効率が従来よりもはるかに高   くなって現実化するというそういう視点で考えると、単なるカードそのものは機能を   持たなくてもカードを入れる仕組み全体としてそういうことが可能になるんじゃない   か、という高山委員のお話ではないかと聞いておりました。そういう理解でよろしい   でしょうね。それともう一つ、ちょっと委員として教えていただきたいのは、日本病   院会と国保中央会の両方から、現在の医療保険証が資格確認がその場で必ずしもでき   ていないことは、それほど現実問題として大きな問題になっていないというような趣   旨の御発言があったように思います。一方で、これまで私が聞いていたところでは、   医療保険証が実際には医療を受けた後、請求すると資格が移動されていたりしてその   保険証は有効でなかった、資格が必ずしも有効でなかったために、非常に大きな医療   費の支払いを医療機関側が受けられないということが起こっているというような指摘   をいろいろなところで聞いていたものですから、少し意外な気がしたんですが、この   あたりは現実の問題としては1〜2カ月は遅れるけれど、それほど大きな問題にはな     っていないというような発言と理解してよろしいんですか。    ○ 日本病院会(池澤副会長)    それは私が申し上げましたとおりに理解していただければいいんですが。つまり、   そういう良心的な被保険者でない人というのはいいんです。問題は先ほども申し上げ   ましたが、初めから払うつもりはない、そういう人たちです。これは現に、ある関東   地方の話ですが、市立病院でお産をする。それで料金は払わない。払ってくれと言う   と、少子高齢化に対して何とかして改めようと協力しているんだから、自治体立とし   ては当たり前だと言って帰ってしまう。そういう人さえもいるような状態です。そう   いう意図的な人たち、そういうのは何としてもやりようがないんです。そういう意味   で申し上げているわけで、確かに私のミスですと言って、改めてくれる人はかなりい   ますから、そういう人たちの場合には問題は全くないというように言っているわけで   す。全体として、保険証を間違えたから起こっているわけではなく、初めからそうい   う意図でその時には行動しているという、そういう人たちが一番未集金の発生には多   額な問題を起こしているということなんです。先ほど挙げたお産の例は、これは自由   診療ですから問題は少し違いますが、そういう問題さえも起こっているわけです。そ   ういう考えの人がやるわけですから、これは初めからやはり無理ですね。未集金とし   て必ず生じることになります。今ある4つの病院団体が例えばいろいろ動いている問   題も、そういう人たちの問題に対してどう処理するかということで動いているのが現   状です。それからもう一つの問題ですが、やはりそういう問題はお金の問題だけです   から、我々としても極端に言うと構わないんです。しかし、そういうことに対して実   際にはほかが十分に動いてくれない、いまだに法律上の問題が解決しないで保険者の   方が動かないという問題もあります。それから、取立てを引き受けましょうかという   企業も来ます。現にクレジット会社なんかのところで起こっているところはそういう   組織を持っていて、そこだけでは仕事が余ってしまうものだから、ほかのところに仕   事を広げていくという意味で、病院の未集金の発生の問題を話しましたら、すぐに幾   つかの取り立て業者が来ました。そういうところに我々は頼む気は一向にございませ   ん。しかし、病院の側にも、ドクターの側にも患者・ドクター間の信頼を十分に築い   ていくということに対して不十分なドクターがいることは確かです。しかしながら、   大多数のドクターはそういう人の命を何とかして助けたいという、そういう意味では   純粋な気持ちからの動機でもって動いている、そういう集団があるんだということに   ついての御理解だけはしていただきたいと思います。   ○ 大江主査     ありがとうございました。「良心的な」という言葉をお使いになりましたが、要す   るにオンラインでなくてもそういう方は後で連絡すれば、それほど医療機関にとって   は負担になっているわけではないというそういう御趣旨だと思います。国保中央会の   方も同じような状況でしょうか。    ○ 国民健康保険中央会(田中理事)    今、病院会の先生の方でお話しになった問題は一つ大きな問題で、今の未集金の問   題は別の委員会で検討されておりますが、要するに私がそれほど大きな問題として認   識していないと申し上げましたのは、要するに医療現場で医療機関側が請求した者が   当該保険者としての被保険者でなかったと、そういう事例が発生することはこれはあ   り得る話です。ただ、これは未集金問題の事例の一つとして挙がってくるわけですが、   これは時間的な余裕を少しいただければ、そこはある程度解決が可能な世界だと思っ   ております。払えるものがあっても払わない、こういう者はどこの世界にいらっしゃ   るようでございますが、国保の世界にも国保の保険料、税の収納という点では、未納   者が経済的な困窮の度合いが極めて厳しいということだけでない、ある程度余裕のあ   る方でも払わない方もいらっしゃることは事実でありまして、制度的にはパーフェク   トということはあり得ないわけで、ある程度そういうものの存在というものは共有し   ながら制度というのは進めなければいけない点もあるかもしれないなと思っています。   そこは財政的にもそういうようなところは、当然想定をしながらそれぞれの制度は動   いていくんじゃないかと思っております。それほどの問題意識を持っていないという   ことです。   ○ 大江主査     ありがとうございました。堀部委員、何かございますか。 ○ 堀部委員     今日の意見交換会というのは討論する場ではないように思いますので、今日お話し   ていただいたことを伺って、この検討会としてどのように考えていったらいいかとい   うことを考えていました。大体、趣旨はよくわかりましたので、それをどうするか。   感想として言いますと、意外にこのカードの問題について知られていないというよう   に思いますね。先ほども田中理事から、この議事録をお読みになったのかもしれませ   んが、この議論は第1回が9月27日でした。私は欠席していますが、その前からい   ろいろ報道もされたりしておりますけれども、意外に知られていないという印象を持   ちまして、むしろメリット・デメリットを含めて、これは厚生労働省としても、ある   いはこの検討会としてももっと情報を提供し理解を深めていく必要があるのではない   かと思います。そういう意味では、今日は大変いい検討会だったかと思いますので、   今日の意義は非常に大きかったと思います。   ○ 大江主査     確かに堀部委員のおっしゃるとおりで、非常に急ピッチで夏以降に始まっている検   討ですから、今日はこういう機会に情報交換をして、いただいたいろいろな意見をま   た今後の検討会にどのように議論に生かしていくかまとめていきたいと思います。ほ   かに、せっかくの機会ですから、お聞き逃しのないように、もちろん後からもお聞き   になれますが。事務局からはいかがですか。 ○ 黒川社会保障カード推進室長     ちょっとその前に一つ補足をさせていただきたいと思います。先ほど来、壮大なデ   ータベースを構築するとかそのような御議論をいただいているんですが、先ほどちょ   っとごらんいただきました「主な論点の整理のまとめ」というところをごらんいただ   きますと、先ほどの3の「カードの発行・管理のためのデータベース」というところ   を先ほどごらんになっていただきましたが、ここで2つ目のポツで、資格情報のデー   タベースについての云々ということで、あくまで資格情報のデータベースなんですね。   閲覧情報という、レセプトのデータベースとか特定検診のデータとかそのデータベー   スを新たにつくるとか、全国に集めて一本化してどうのこうのという、そういうこと   をこのカードの検討会では検討しているわけではなく。繰り返しになりますが、カー   ドに収録する情報というのは名前とか必要最小限にする。さらに、カードの発行・管   理のためのデータベースというのも、あくまでも資格情報のデータベースということ   でありまして、それ以外のカードを使って閲覧する方の話は、それぞれの医療機関な   り保険者なりでデータが蓄積されてそれがデータベースになるんだと思いますが、そ   こにあくまでもアクセスするためのカードとして利用できるカードを導入しましょう   ということでございまして、壮大なデータベースをつくるということを想定している   のではないということを御理解いただきたいと思います。それから、健康保険証なり   介護保険証として機能できるようにするというためには、確かに全くインフラを整備   しなくてもいいということではないと思いますが、これもできるだけ費用対効果にす   ぐれた仕組みというのを検討していこうということにしておりますし、あとはさらに   申し上げれば、現在はまだ途中かと思いますが、レセプトのオンライン化とか特定検   診の関係でいろいろ端末なりネットワークが整理される部分があるので、基本的には   それに乗っかる形でできるだけ追加費用が生じないような仕掛けを考えていこうとい   うような検討をしているところでございます。あと、さらに申し上げますと、ごく大   ざっぱに言うと、基本的には資格情報の確認というのは端末と安全なネットワークが   あればいいわけで、あとはカードリーダーというのが確かに必要になるんですが、カ   ードリーダーそのものについても今は随分安くなってきているというように伺ってお   りますし、23年度の導入ということですので、23年度ということになるとかなり   カードリーダーつきのパソコンとか、地デジ対応のテレビなんかにもカードリーダー   があるという話を聞いていますが、世の中でそういういろいろ基盤的なものが整備さ   れていくだろうということを踏まえた上での、追加費用をできるだけ少なくする形で   こういう構想を検討していこうということでございますので、御理解いただきたいと   思います。 ○ 大江主査     今の説明で何か追加の御発言は。   ○ 国民健康保険中央会(田中理事)     不勉強で今の室長さんの説明で、そういうことであるということがわかりましたの   で、「壮大な」という表現は修正しますが。ただ、勢いでこういうカード化というも   のが進みますと、当然そこにはいろいろな要求や要望が出てくるのも事実であろうか   と思います。その場合に、そこを効率的、合理的、経済的なそういうシステムをとい   う願いが一つあります。それと、やはりカード化は結局、年金は既に一元化されてい   ますが、かつての制度は幾つも分解されておったわけですが、そういうものを背負い   ながらのデータ整理、それから医療保険についてはこれまたいろいろな制度に分かれ   ていると。要するに、ひょっとしたら議論があったかもしれませんが、同一人物に対   して番号が多岐に、いくつもあるということの問題ですね。これは住基番号の問題も   ありますでしょうし、何をベースにするかということは別にしまして、やっぱりそこ   はせっかくそういう方向に進むのであれば、そこを余り放っておかないで一元化的な   方向で対応していただくと、市町村現場では、また地域住民にとってみても非常に落   ちこぼれがないというか、そういう対応ができるんじゃないかと思っております。    ○ 大江主査     ありがとうございます。ほかにもまだ御意見がおありかもしれませんが、まだ若干   時間がありますので、これまでの事務局からの説明も含めてほかの団体の方々も追加   発言がありましたらお願いしたいと思います。 ○ 日本病院会(池澤副会長)     私もこの社会保障カード、それに当面のところ今までの紙の3つに分かれていたも   のと変わらない程度の、保険証とかその類のデータしかないと、非常に簡単な情報し   かその中には入っていないという御説明をお聞きしまして、その程度のものだとわか   りました。要するに、それを中心にしてこれからどれだけのいろいろな情報のシステ   ムをつくっていけるかという、そういう構想を慎重にいろいろ考えて組み立てていた   だければと思うわけです。それで、つまり世界で一番、健康問題についての評価が高   い日本において、統計的なきちんとしたデータがつくられていくように、また厚生労   働省なり、あるいは担当の幾つかの省庁が十分な理解と方向づけができるように期待   したいと思っております。ただ、今日のところの議論としては、私もこういうものは   必要だということは理解できますが、それが今、医療のいろいろな厄介な問題には余   り役立ちそうもないということだけは申し上げます。 ○ 大江主査     ありがとうございました。今、御意見にいろいろな意味合いが込められているので   はないかと、私もこの立場でお聞きしていて思いました。5年後、10年後を考えた   時に、これが一人一人にカードが配られるということだけでなく、この仕組みを動か   すいろいろな、それを支える枠組みがこれからの社会保障サービスにどのように役立   てていけるのかという視点で今後も議論する必要があるのかなと、個人的な意見です   が、感じました。それで、まだ十分に各団体の構成される方々にこの情報が行ってい   るとは限りません。行っていないと思いますので、また、今日の議論や説明などもお   持ち帰りいただきまして、また、この機会に今日は短い時間でしたが、また後ほどで   も追加の御意見とか是非いただきたいと思いますので、御検討いただきたいと思いま   す。それでは予定の時間も近づいてきましたので、本日の作業部会を終了したいと思   います。関係団体の皆様からいただきました御意見については、来月開催される検討   会に報告いたしまして今後の議論に反映させていきたいと思います。関係団体の皆様   方におかれましてはお忙しいところ御参加いただきましてありがとうございました。   次に次回の作業部会について事務局より説明をお願いします。 ○ 事務局     今回、第1回の作業部会ということでございましたが、第2回、第3回につきまし   てはもう片方のグループ、樋口委員に主査をお願いしておりますが、そちらのグルー   プでお願いしております。日にちは21日、明日の3時〜5時。第3回が27日、火   曜日の3時〜5時となっております。こちらのグループ、大江先生にお願いしている   こちらのグループにつきましては、次回は第4回になりますが、11月28日水曜日   の2時〜4時、場所は三田の共用会議所になります。以上です。よろしくお願いしま   す。 ○ 大江主査     それでは社会保障カードの在り方に関する検討会、第1回作業部会を終了させてい   ただきます。本日はお忙しい中ありがとうございました。                                     以上 【照会先】   厚生労働省 政策統括官付社会保障担当参事官室                西川、釜崎    TEL 03-5253-1111(内線2244)