07/11/09 「これからの地域福祉のあり方に関する研究会」第3回議事録 第3回これからの地域福祉のあり方に関する研究会議事録 開催日:平成19年11月9日(金)10:00〜12:00         場 所:商工会館6階 G会議室        ○大橋座長   おはようございます。お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。 まだ出席予定の方でお見えでない方もいらっしゃいますが、時間になりましたので始め させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。それでは事務局の 方から委員の確認等をお願いいたします。 ○事務局   本日でございますが、今田委員、木原委員、清原委員、榊原委員はご欠席でございま す。続きまして資料の確認をさせていただきます。次第、座席表、資料1としてこれま での意見の整理、資料2すずの会の資料、資料3常盤平団地の資料、それから常盤平団 地の新聞、資料4厚生労働省の民生委員・児童委員の資料、資料5全国社会福祉協議会 の民生委員の資料、それから別とじで資料編が準備されております。それから前回議論 があまり深められなかった社会福祉協議会についての資料、前回提出資料でございます。 資料7として前回の主な意見、資料8として議事録。それから一番最後でございますけ れども、前回報告者でございます岩渕さんから、メモをいただきましたのでそれを添付 しております。それから追加で、すずの会の方から別とじで白い横の紙をいただいてお ります。ご確認いただければと思います。 ○大橋座長   ありがとうございました。資料はございましょうか。 それでは第3回これからの地域福祉のあり方に関する研究会を始めさせていただきます が、前半部分は、できるだけ地域福祉のあり方に関することを考える上で現実の状況が どうなっているのかということを広くお聴きしたいということと、地域福祉推進に係る 既存の制度が今どういう状況なのかという共通理解を深めるということで作業をさせて いただいております。従いましてなかなか十分にまとめることができませんが、各々委 員の中で深めていただいて、後半部分でそれを集約する形で検討を深めたいと思ってお りますのでよろしくお願いします。そんな意味で、どうしても盛りだくさんのプログラ ムになっておりまして時間が足らないのですが、前回は全国社会福祉協議会地域福祉部 の渋谷部長に本当に端折って報告いただいてすみませんでした。今日後ほど、改めて社 会福祉協議会のあり方について簡単な意見交換をさせていただきたいと思いますのでよ ろしくお願いいたします。  今日は前半を地域の要支援者の支援のあり方ということで、川崎市宮前区野川地区す ずの会の鈴木恵子さんにおいでいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。鈴 木さんの事例は、今日は木原委員が欠席でございますが、木原委員の説明の中にも出て まいりましたのでそれと係らせてお聴きいただければと思っております。それからお2 人目は、松戸市常盤平団地自治会の中沢卓実さんにおいでいただきました。松戸の常盤 平団地で5年前だったでしょうか、白骨死体が見つかって孤独死の問題が非常に深刻に なった。それを契機に、孤独死ゼロ作戦を展開した中沢さんに今日はおいでいただいて おります。  それから既存制度の現状はどうなのかということで、前回長谷川委員からも意見がご ざいましたけれども、民生委員・児童委員の活動はどうなっているかということで、全 国社会福祉協議会民生部長の山田部長に来ていただいています。よろしくお願いいたし ます。そして最後に、先ほど述べましたように社会福祉協議会のあり方についての意見 交換をするということで、全国社会福祉協議会地域福祉部の渋谷部長に来ていただいて います。ということで4人の方のお話を聞くことになりますので、どうぞよろしくお願 いいたします。  それでは早速始めたいと思いますが、前回の討議の内容のまとめ等も含めまして中村 企画官からご説明をお願いします。 ○中村企画官   第1回、第2回で委員の皆様方からいただいたご意見を整理させていただきましたの で、資料1に基づいてご説明させていただきます。  まず1ページ目をお開きください。第2回のテーマでございました「地域福祉が取り 組むべき課題について」に関するご意見でございます。まず1つは地域の要支援者像と いうことでまとめますと、ひとり暮らしあるいは家族がいても支えにならず、その上地 域から孤立していたり判断能力が不十分等により、自ら問題解決に向かうことができな い状態にある方々となるのではないかと存じます。  2ページ目をお開きください。地域の問題としてあげられたことでございますが、4 つにまとめさせていただきました。1つは、制度の狭間にある方にどう対応するかとい う問題でございます。2つ目には、既存施策では応えきれていないニーズにどう対応す るかという問題。例えば、ひとり暮らし高齢者や障害者等のごみ出しや電球交換のよう な「時々」「ちょっとしたこと」のお手伝い。あるいは、要支援・要介護にならない軽 度障害や一時的な要支援状態などにある人々の買い物や外出支援などのニーズをどう充 足するか。3つ目に、地域の意識から生まれる問題にどう対応するか。自死遺児、難病 家族など少数者への地域の差別偏見、無理解。あるいは障害者の病院や施設からの生活 移行を受け入れる地域の受け皿づくりをどうするかという問題でございます。4番目に、 総合的な対応の不十分さから生まれる問題。例えば要介護者と精神障害者、DVと子供 というような複数の課題を抱えた世帯に対して複数の制度をどう組み合わせていくか、 誰がどうやって組み合わせていくかという問題でございます。  3ページ目をお開きください。本日のテーマでございます「地域の要支援者への支援 のあり方について」につながるご意見もいただきましたので、ここにまとめさせていた だいております。1つは、要支援者への支援において必要な視点に関するご意見でござ います。そもそも地域での自立とは何であるか。言いかえれば支援が必要な状態とはど のような状態のことか、ということについて明らかにしておく必要がある。あるいはケ ーパビリティを支援するという視点が大事。生活リスクのマネジメントという視点が大 事。あるいは、フォーマルなサービスが入ることによって近隣や家族の関係から離れて しまうことのないようにする必要がある。また、一人一人の持っているつながりの関係 を丁寧に見ていく必要があるという視点も出されました。  4ページ目をお開きください。要支援者への支援の具体的な方法に関するご意見でご ざいます。早期発見、早期予防が重要。助けを求める力のない状態にある人への対応が 必要である。孤立化はなぜ起きるのかという検討が必要。福祉サービスへのアクセスの 支援が必要。その人の生活全体をずっと見ていくような支援が必要。あるいは、福祉サ ービスに対して自分も役に立っているのだという気持ちで参加できるような形、何かを 「しに行く」という形で福祉サービスを利用していただくのも有効な方法であるという ご意見。それから、サービスと生活の総合性との関係について整理しておく必要がある。 あるいは、フォーマルサービスの利用に左右されない地域との関係づくりの方法も出さ れました。  5ページ目をお開きください。地域の人々に対する働きかけ、あるいは地域の活動の あり方に関するご意見といたしまして「助けられ上手教育」が必要であるというご意見。 知識の正しい周知が大切。日常の顔の見える関係づくりが必要。地域が持つべき機能を 情報の面から考え直すことが必要。あるいは、新しい互酬性の仕組みを現実的に考える ことも必要だ。あるいは、監視と見守りというのは紙一重であって、見守りというのを どうするのかというご意見でございました。  また具体的な支援事例といたしまして、社協の小地域見守り訪問、あるいはいきいき サロンでの顔見知り関係が日常の関係につながっているという事例。三鷹市の「ちょこっ とサービス」あるいは「訪問させてもらう」という取り組みについてご紹介がございま した。以上でございます。 ○大橋座長   ありがとうございました。それでは早速鈴木さんからご報告をいただきたいと思いま すが、先ほどもご紹介させていただきましたけれども、すずの会の鈴木さんは、川崎市 宮前区で実践をされているということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○鈴木氏   川崎市宮前区からまいりました鈴木です。よろしくお願いいたします。座って失礼い たします。こんなに高い席で話すのは初めてなのでうまくまとめられるかどうか、お聴 きいただければと思います。よろしくお願いいたします。  すずの会というのをご存じない方がたくさんだと思いますので、ちょっと紹介させて いただきます。すずの会というのは、もともと私が昭和61年から親の介護をしておりま して、4人の親の介護に携わりました。そのときに助けてくれたのがPTAの仲間でし た。その仲間たちが、私の介護が終わったときに、あなたがこれから地域のために何か やらなきゃいけないんじゃないと言って、PTAの仲間5人から出発したグループです。 平成7年から活動を始めております。  今は、すずの会の活動メンバーは59人です。すずの会を中心にした地域の中のネット ワークですが、地区社協とか町内会とか民生委員さん、それと介護事業者、施設、行政 なども含めた21団体がネットワークを組んだ「野川セブン」というグループに発展して おります。  ちょっと説明が遅くなりましたけれども、宮前区というのは川崎市のほぼ中央部にあ りまして、田園都市線の鷺沼駅または梶ヶ谷駅からバスで15分ぐらい入ったところです。 交通はあまり便利ではないところで、とても山坂の多いところです。人口は2万7,700名、 高齢化率が15.7%です。マンションなどもとても多くて、昔から住んでいる方もいる。 それから、東急が40年ぐらい前に分譲開発をしたところが一気に高齢化が進んでいると いう町です。団地は2つあります。県営と市営の団地が2つありまして、野川町という のは人口がとても多いのですが、中学校区になっております。そういう場所柄です。  私がすずの会を立ち上げるときに最初のメンバーの中心になってくれたのが、その中 の1つの小学校のPTAの仲間です。ちょっと困ったときに気楽に鈴を鳴らしてくださ いねという思いを込めて立ち上げたグループですが、できれば私たちだけではなくて地 域全体を巻き込んだ活動にしたいという思いがありました。身近に住んでいる人がどん なことに困っているのか、どんな必要があって私たちは活動をしたらいいのかを地域の 方々に教えていただきながら活動を進めていこう、ということを中心に今まで13年間続 けてまいりました。  続けていくうちに、やはり自分たちだけではだめだということで「野川セブン」とい うネットワークもつくってきているのですが、このきっかけは、川崎市が平成12年に介 護予防事業として「私の町のすこやか活動」というのを発足させました。自主活動団体 が中心となって地域の既存の組織、町内会とか民生委員とか地区社協などとネットワー クを組んで介護予防に取り組んでくださいという趣旨の活動でしたので、それを始めた ところです。私たちは全く自主活動団体中心で始めたグループですが、実は川崎市の中 で自主活動団体が中心になって「私の町のすこやか活動」というのを始めたのは当初私 たちの活動だけだったようです。  活動の内容としては最初は介護者のサポートから始めました。それを目的としてやっ たのですが、ある日私たちの活動拠点になっております老人憩いの家というところに、 50代の若年性認知症の妻の手を引いた男性がまいりまして、僕と家内が一緒に参加でき るところはどこかないですかと言いました。私たちの中にはなかったんですね。介護者 の会はあるけれども、お2人が一緒に参加できる場所がないということで始まったのが、 ミニデイサービスです。このように私たちは何かをきっかけに次々と活動を生んできて おります。  ミニデイをきっかけにたくさんの事業が始まったのですが、このパワーポイントの一 番左端になります。「ちょっと来てよ」というのがとても大事だと思っています。介護 保険のサービスではないけれども、「ちょっと来てよ」と。それもお隣近所に声がかけ られたら、何もどこどこを通さなくてもお手伝いができる。それから、「ちょっと来て よ」というのは、本当に「ちょっと来てよ」ということばかりなんですね。  実は私も介護保険制度が始まる前の介護でしたから「ちょっと来てよ」がなかったら 私の介護はなかったなと思っております。ホームヘルパーも何も使っていませんでした けれども、周りの人に、例えば「ちょっと出かけたいけれども私が出かけている間の真 ん中の時間だけちょっと来てよ」と言うと、それでもう十分間に合ってしまうというこ とを私自身が体験してきたので、ミニデイをきっかけに次々とサービスを生んでまいり ました。  最近はミニデイに来ている方も、月2回やっておりますけれども、1回につき70名を 超える参加者になっております。ボランティアも、実は最高齢者が92歳のボランティア がおりますので、どっちがどっちか全くわからない。どっちがどっちか区別していませ んので70名以上の人が動いております。右の写真では、小学校の子供たちが参加してお ります。  次のページの写真を見ていただきますと、とても元気な様子を見ていただけると思い ますけれども、小さな枠の中に3人の男性がいる写真があるかと思います。実は、どう しても在宅では難しくなって施設に入所する方もいらっしゃるわけですね。例えば私た ちの周りのケアハウスとかグループホーム、特養などに入所なさる方もいらっしゃるの ですが、入るときに彼らが「鈴木さん、俺たちあそこに入ったらもうあんたたちと会え ないのかい」ということを言われたんです。ですから「いや、そんなことないよ。いつ でも遊びにおいで」と言って約束をしてしまったものですから、本当に近くの施設にお 入りになった方はご自由に参加していただいております。  ケアハウスからのご依頼も最近あります。というのは、どうしてもケアハウスの中で 馴染めなくてどんどんうつ状態に入っていってしまう人たちを、どうやったらいきいき と生活させられるかということを施設側も悩んでおりまして、どうしてもだめな人をミ ニデイに参加させてくれませんかというご依頼があって参加しております。  そうしたら突然元気になったり、実はこの間も他のイベントでケアハウスから何人も いらしたのですが「シャバの空気はうまいね」と言って帰った方がいらっしゃいました。 「えっ、ここはシャバなの」と言ったのですが、そういう面白いことを言っていました。 じゃあ老人会が受け入れてくれそうだから老人会につないであげるよと言ってすぐにつ ないで、老人会に入らせくれますかと言ったら、いいですよと言うので、またそこで新 しいつながりができております。  中にはグループホームに入ろうと思って見学に来たけれども、私たちの仲間のケアマ ネジャーが、まだ在宅で大丈夫じゃないか、何とかならないかということで、ふっとミ ニデイにお連れになって途端にいきいきとした姿になり、施設を考えていた妻が、うち の夫はまだまだ捨てたもんじゃないといって、順番が来ても、もうしばらく家でみんな に助けられながら過ごしてみますという方もいらっしゃいます。  いろんなたくさんのふれあいがあって私たちは楽しくやっておりますけれども、ミニ デイでやっていることはその場限りのお付き合いではなくて、例えば入院したり施設に 入ったり何か悩み事があったらいつでも声をかけてください、いつでも鈴を鳴らしてく ださいと言ってありますので、実は先ほど他の方から、拠点はどこですか、連絡先はど こですかという質問を受けたことがあるのですが、全部我が家しかないんです。事務所 とかそういうものが全くないので、メンバーの家が全部連絡先なんです。ですからメン バーは連絡をそれぞれの自宅で受けていて、事務所的なものは全くありません。  来られなくなった方たちも多くなってくるのですが、その方たちも必ず訪問をしたり 施設へ私たちが出向いたりして、その方がその後どうなさっているかという様子は逐一 把握するようにしております。  おばあちゃんの写真がありますでしょうか。3ページのところにとてもいい顔のおば あちゃんがいらっしゃいますが、このおばあちゃんは98歳です。ミニデイに昨年まで来 ておりましたけれども、心臓の具合が悪くなって来られなくなりました。この方の介護 者は心に病を抱え対人関係につまづいていた息子さんです。なかなかサービスの受け入 れが悪くて、ホームヘルパーさんが入っても個人的なつながりをうまく結べなくて孤立 していたということから、保健師さんからのご相談で私たちが関わるようになった方で す。  しょっちゅうスーパーとか道で息子さんに会うものですから、その度に皆が、元気で すかという声だけをかけていきます。そのうち信頼関係が結べて、おかあちゃんがミニ デイに行って帰ってくるととても元気になってくる、その姿を見て自分もちょっとのぞ いてみたいなということでご一緒に参加するようになった方です。  今は何とその彼がかなり状態がよくなってお母さんの介護が自分の生きがいのように なっていますが、自分も辛い思いをたくさんしているわけですね。その当事者の気持ち を、私はできれば今当事者の方たちと一緒に共有してもらえれば嬉しいなと思っていま した。つい最近も、50代の息子さんが介護度4の認知症重度のお母さんの介護をしてい て、地域包括支援センターから、もう僕たちの手には負えないと言われたケースの方の ところに伺いました。とりあえず遊びに来ますかと言ったら来てくださって、そのとき にこの精神障害を抱えて介護中の彼に、来て一緒に話をしてちょうだいとお願いしまし た。何とその2人は2時間ぐらいあまりしゃべりもせずただ寄り添っていました。それ で何か今お母さんの介護をしている人がとても和んだらしくて、今は逆に心配な人を探 してきてくれます。鈴木さん、あそこにこんな人がいるらしいよとか、心配だよという ように、みんなが気を配れるような仲間づくりになっております。当事者の力を最大に 生かすようにしています。  老人ホームに入った方たちもやはり心配なので、特養の中で喫茶店をやったり、その 喫茶店には地域の方どなたでも入れるように工夫をしております。それから入所なさっ た方たちのご様子もいつも見たり、入所の方たちとの普通の会話が楽しめる場所になっ ております。ケアハウスにもこれから押しかけのデイサービスをやろうと計画し施設か ら受入れ許可をいただきました。要するに、私たちのデイサービスに来るのも満杯で入 れないよと言うから、じゃあ私たちが出向けばいいでしょうということでそんなことも やろうかなと。これからの取り組みです。  私たちはいつも「ヒラの住民」としてやっております。法人格も何もありませんので、 普通のおばさん、おじさんのグループです。そんなことをやっているのだけれども、地 域の中でもっともっと拾わなければいけない人はたくさんいるわけで、ミニデイだけやっ ていればいいというものではないということに気がつきまして、ダイヤモンドクラブ、 ご近所サークルというのを始めました。4ページに写真入りで入れました。  ご近所単位のつながりがなければ、地域の中の本当の小さなつぶやきを拾えない。拾 うために私たちが工夫しているのが、ご近所のつながりをもう一回つくり直してみよう ということです。ちょっと気になる人を必ず1人仲間に入れてくださいということを条 件にしているのと、5人ぐらい集まればいいですよということになっています。あまり 負担があるとご近所サークルなんてできませんので、開催も緩やかに3回から4回ぐら いやってくれればいい、そこで顔なじみの関係ができれば、要するに町の中でみんな会 うわけですからまたそこで気の合う仲間たちは勝手にお茶の飲みを始めるだろうという 希望があったのですが、まさにそのとおりになっております。  今はご近所サークルが21カ所ぐらい野川の中でできております。宮前区の区民会議と いうところでもご近所のつながりをつくり直したいということを言っておりますので、 これは区内全域にこれから広がるだろうと思っています。  4ページに「私もホステス役」となっていますが、こちらは介護度4のおばあちゃん の家をダイヤモンドクラブの中心に据えております。介護サービスを目いっぱい使って もう賄いきれないということで、どうしても週2回はご近所が見守らなければいけない ということになったので、じゃあ私たちがこのお家でお茶飲みをさせていただこうとい うことでやっております。実は、そのすぐご近所に80歳を超えたおばあちゃんでなかな か気持ちが晴れない方がいらっしゃるので、その方も巻き込んでおります。  5ページ6ページは、夫婦2人で具合が悪くなる方もとても多いので、ちょっと工夫 をしながらお2人を元気にしている姿です。今年の夏でしたけれども、お2人で具合が 悪くなって寝ているときに、俺は地域のために何もやってこなかった、何かできないか ということで、山の中腹にあるお宅にベンチをつくりました。ベンチをつくってそこで コミュニティが生まれておりまして、具合の悪かったお2人がベンチに座ってくる人に お茶を出してみたりお話をしたり、山坂の登り道を歩いているばあちゃんの姿が最近見 えなくなった、それは心配だというような、みんなが気配りできるような活動を今して おります。  6ページに発掘のルートなども書きましたけれども、やはりまだまだ私たちの活動も 発展途上ですので、これからもっと隙間を埋めるにはどうしたらいいのか、後継者をど うしたらいいのかというのはやはり課題になっております。でも、私たちの活動は主婦 を中心とした普通のおじさんおばさんたちが、みんなが1人ずつ気配り目配りができる ような地域づくりができたらいいねということで、今ちょうど木原委員とご一緒にこの 「すずの会流福祉活動の手法」をまとめさせていただいております。まだ途中ですので、 これに事例を載せながら1冊にまとめてみて、ほかの地域でも同じような活動がうまく つくれるようにということで頑張っております。以上です。失礼いたしました。 ○大橋座長   ありがとうございました。実践が豊かなのでどうしても15分というのは無理かもしれ ませんが、ありがとうございました。  3ページに、すずの会の「私たちの取り組み姿勢」というのがあって、何回も言葉が 出てきて最初「ヒラの住民」って何だろうかと思いましたが、「ヒラの住民」というの はここに書いてあるように、やりたいことをすぐできるとか、遠慮はいらないとか、お 金がかからないとか、私たちが主役とか、転んでもただでは起きないとか、この辺が1 つのポイントになるのでしょうか。それで、要介護度4の人も自分の自宅を開放してホ ステス役で役割を持つ。一方的に介護されるのは嫌だよという話ですね。ありがとうご ざいました。とてもすばらしい実践でございました。  意見は後ほどまとめていただくことにしまして、続きまして中沢さん、よろしくお願 いいたします。中沢さんも思いがいっぱいでしょうけれども、ひとつよろしくお願いし ます。 ○中沢氏   中沢でございます。今日は中村局長と大橋座長を前にお話しさせていただけるという ことで本当に光栄に存じております。そして地域福祉が中心でございますので、今日は 傍聴者の皆さんがその主役なんだろう、そう思っております。皆さんと一緒に考えてま いりたいと思います。  私どもの常盤平団地というのは、昭和35年の春に大きな公団住宅の第1号としてつく られました。昭和30年当時、松戸市は6万ちょっとの人口でございましたけれども、10 万都市になるのが夢でした。団地ができて松戸市も大きく都市化になっていったわけで すけれども、団地が2年間にわたってでき上がりまして、2年後に常盤平団地自治会を つくりました。  私も結成総会に参画しておりました。そのころからずっと団地自治会の役員として参 画しております。そういうことで45年間の役員歴がございます。その中で22年間、連続 して会長職を仰せつかっているということでございます。  従って私は今、松戸市の社会福祉協議会の理事もやっておりまして、行政との関わり もかなりありました。ご存じのように地域福祉計画のメンバーにも入っておりましたし、 私どもの社協の地域福祉活動計画、今は3次の活動計画をつくっておりますけれども、 1回目2回目3回目の策定部会長として取りまとめ役を果たしておりました。そういう ささやかな経験ではありますけれども、私どもは特に孤独死の問題等をやっておりまし て、資料の中に事例がいくつかございます。私が今日お話し申し上げるのは、資料3の 研究会の報告というのがありますが、時間がありませんので事前に担当者と打ち合わせ をさせていただきまして、事業のあれこれよりもどうしてこういう事業が展開できたの かという話をしてくれということでございましたので、かいつまんで項目別にご報告申 し上げます。  まず、地域福祉が最近、強調されております。これからの新しい時代というのは地域 福祉の新時代を迎えるのだろうと思います。従来、社会福祉ということでくくっており ましたけれども、これからは地域が主体にならなければいけない。これは私の持論でも ありましたし、時の流れはそういう方向に来ているのだろうと思います。  そうすると、地域を預かる者として地域をまとめていかなければいけないという課題 が出てまいります。地域力を深める、あるいは福祉力を地域で高める、これが決定的な 要素になってまいりますから、そういう意味では、地区とか地域を構成しているのは何 といっても基本は自治会、町会です。防災であろうと、防犯であろうと、ゴミ出しの問 題であろうと、行政と地域が協働し合うということになってまいりますから、基本的な 組織は町会、自治会だと私は思っております。  それをまとめるには役員会をきちんと開く。あるいは代議員会。棟ごとに1名ずつ代 議員がおりますけれども、代議員会をきちんと開く。会社であろうと団体であろうと、 どこでも役員会を成功させることが活動を成功させ、そして地域を変えていくことにな る。原点はそこだと思っております。そういう意味で私どものところでは、役員会をど う成功させるかということにかなり腐心しております。  それと、私どものところでは12年ぐらい前に団地地区の社会福祉協議会、いわゆる地 区社協をつくりました。市内でトップをきってつくった形ですけれども、この協議会と 自治会が一体になってやっていくことは非常に重要だと思っております。  そして私どもの自治会においては、皆さんのところに資料を提供しておりますけれど も「ときわだいら」という会報をつくっております。これは自治会結成して以来つくっ ておりますから541号、タブロイド版で全戸配布しておりまして7,000部つくっておりま す。関係者のところにもお配りしておりますけれども、松戸の市役所にも300ぐらい行っ ております。課長さん以上には全部見ていただいております。会報を発行するというこ とは、地域ぐるみで事業を展開することに欠かせないものだと思っております。そうい う意味で、自治会結成以来、毎月10日にこれを発行しております。こうすることによっ て本当に住民と一緒になってやる、また理解を共有していく、そういう1つの手段にし ております。  それから、団地の自治会と、団地社協、それから民生委員、これは地域を構成する3 本柱だと私は思っております。ここの3者がしっかりまとまっていないと有効な孤独死 の対策もとれません。ここがしっかりしているといろいろなことが展開できる。私ども のところでは、自治会の役員と民生委員の主な3役、それから団地社協の理事が兼任で 全部やっております。従って、それぞれ理事会あるいは役員会といろいろな会議があり ますけれども、大体皆さん兼任ですから、その課題については共有する形をとっており ます。地域の3本柱の団体がまとまっていくにはこれを無視してはいけないと僕は思っ ていますから、課題を共有しあって歩むという意味でこれは重要だと思っております。  地域を構成する主な団体をしっかりまとめることが、地域の団体サークルあるいはP TAとかいろんな団体がありますけれども、それをまとめていく中心になっていく。そ ういう意味で、地域のことを考えるときに、あるいは地域福祉を考えるときに、私ども の合言葉というのがありまして、12年前に地区社協をつくったときに「みんなで福祉の 心でまちづくり」をやろうよというのを合言葉にしております。まちづくりは、かつて はハードのことだったんですね。真の意味でのまちづくりというのは人づくりなんです。 この人づくりがまちづくりになっていく。私どもがいろいろ事業展開をする中で、やは り地域のコミュニティをどう再生するかということを抜きにしては、地域福祉の発展は ありえないと思います。  そういう意味で、地域住民の自覚を高め意識改革を成し遂げていく。この役割が自治 会や団地社協や地域のリーダーに課せられている重要なところだと思っております。私 は地域の幸せづくりは地域住民とともに考えてともに歩む、これを原則にしております。  そして報告の2ページに書いてありますけれども、地域をまとめていくには地域のリ ーダーの役割が非常に重要でございます。リーダーの役割を私の経験の中でかいつまん で(報告書の中に)まとめておりますけれども、リーダーたるものは、平たく言うと大 いに汗をかくこと、ときには恥をかいてもよろしい。そして大いに原稿を書くことだと 思います。原稿を書くということは皆さんと地域と一緒になってやるということです。  往々にして今、町会、自治会というのは形骸化して名誉職とか言われておりますけれ ども、地域を支えている町会、自治会がしっかりしていないと周りの関係団体もしっか りしないという関係になっております。  原稿を書くというのは、何も新聞の原稿だけではないんです。会議を開く、何を議題 にするか、私どものところは毎回9本から10本ぐらい報告と議題を設定しております。 この設定の仕方が大事なのです。いろいろな課題が多い中で何を具体的にやるかという 企画書をつくる。それから役員に対して招集状の原稿を書く。そういったことが大事な のです。そういう意味で、大いにリーダーたるものは原稿を書く、このことが非常に重 要だと私は思っております。  それから地域にはさまざまな人がおりますから、地域全体を目配りする、気配りする、 それから思いやりの心で接するということです。ここにも(報告書の)2番目に書いて ありますけれども、目配り、気配り、思いやり、この3つの要素をやり過ぎることはあ りません。これを粗末にすると運動が発展しない。  それから、リーダーの役割7つの心得というのを私なりにまとめてありますけれども、 複雑な世の中、あるいは高齢化一つとってみても急速に進展する、少子化も進むという 中で、我々がやるべき道を示すことが重要なんですね。小さなことも大きなこともわかっ ていなければいけません。道を示すこと。それから企画を立てること。企画を立てる能 力を磨くと言ってもいいと思いますけれども、企画を立ててそれをみんなでやる。そう いう配慮をすることが大事です。特にこの3つが非常に大事だと僕は思っています。  それから自分が一生懸命やるとやらない人が目立つことがあって、どうしても愚痴が 出てくる。人の悪口を言いがちなんです。リーダーたるものが人の悪口を言ってしまう と、百害あって一利なし。これは厳に慎まなければいけないことだと思っています。そ れから各政党との問題、女性に対して優しく思いやりを持ってやる。6番目に書いてあ りますけれども、昼間の主役は私は家庭の主婦だと思っています。子育て、教育、買い 物を通して昼間の地域の主役は家庭の主婦なんです。家庭の主婦の協力がなかったら発 展しません。  それから「補って、補ってもらう」という関係を理解しておく必要がある。会長だっ て何でも知っているかというとそうではありません。せいぜいやったって60%ぐらいで す。あとの40%は他の人たちから補ってもらう。また、他の役員の方を私どもが補って いく。みんな特技、得意な分野もありますから、この補い合うということはとても大事 だと思っております。  一番最後には、現場から学ぶということ。現場から学ぶというのは大事なことなんで す。ここに3つに分けて書いてありますけれども、住民のために福祉をやるということ は何といっても住民実態から学ぶということが基本だと思います。そういう意味で、経 験から学ぶ、あるいは現場から学ぶ、置かれている実態から学ぶ、そういう学ぶという ことが大事なことなんです。これは雲の上の話ではありませんからね、住民の中のこと ですから。  それから、住民と一緒に話をするときは難しいことを易しく説明するようにしていま す。偉い人は難しいことを難しく言いますけれども、難しいことを易しく、易しいこと を深く、深いことをおもしろくやる。大体こういう地域活動というのは楽しく、やりが いがないと発展しません。おもしろみがあるとみんなが一緒になってやる。そして大事 なことは、人の喜びをもって我が喜びとする。この精神を身につけていくと、みんなが 一生懸命やってくれます。人を泣かせて自分だけ潤うというのは良くないんですね。  そういうことで特に孤独死のことで申し上げますと、私どもが孤独死で一番学んだ基 本は、人間どう死ぬか。どう死ぬかということは、どう生きるかという課題だというこ とを学びました。だから生きるための「いきいき人生」というのをゼロ作戦の4番目に 書いてありますけれども、どう生きるかという課題で私どもがこの問題をとらえて、地 域の大きな力にしております。  繰り返しになりますけれども、これからは新しい時代に合わせた地域のコミュニティ をどう再生するか、このことが大きな命題だと思っております。これからも傍聴者の皆 さんと一緒にこの問題を考えてまいりたいと思っております。ありがとうございました。 ○大橋座長   どうもありがとうございました。都市化の典型である中層住宅団地においての住民活 動はどうあったらいいかというお話をいただきましたが、いただいた資料の確認も含め てですが、10ページに常盤平団地がやっている孤独死ゼロ作戦の1つの考え方でしょう が、孤独死しないために自治会役員、近隣、民生委員・児童委員、家庭推進員、棟の連 絡員、市政協力委員、こういう人たちがいて自治会と社協と両方の組織でつながってい るという図。それから11ページには、社協が「あんしん登録カード」をつくっている。 プライバシー保護が難しい中で、こういうのを出しながら確認していくということでしょ うか。そして13ページに1つの事例として、午前中に亡くなられた方を午後に発見する。 結果的にこういうネットワークで実際に対応していますよということをあげていただき ました。ありがとうございました。  それでは、先ほどの鈴木さんの報告と今の中沢さんの報告を含めてご質問をいただき たいと思います。 ○和田委員   大変興味深い発表をありがとうございました。鈴木さんに2つご質問ですが、1つは、 すずの会の活動をやっていてネットワークが本当に必要だと思ったと。それで区の呼び かけでしょうか、市の呼びかけにこたえるというか、そういう条件があってネットワー クをうまくつくられたというお話だったのですが、今の、すずの会とネットワークがあ ることの関係ですね。必要だと思われたことがうまくいっているのか、その辺のところ が1つ。  それからもう一つは、ニーズがあればサービスや活動をどんどん開発していくという お話だったのですが、そのニーズにすぐこたえていくということは、誰と相談してどん なふうにやろうということになっていくのか。あるいは始めるときに何か考えていらっ しゃる条件のようなことがあるのか、そのあたりのことを教えていただきたいなと。  それから中沢さんに1つ。さっき自治会と民生委員と団地社協の兼務で問題を共有す るようにしているとおっしゃったのですけれども、団地社協というものはどういう人た ちで構成されていて、自治会との兼務あるいは3者が協働することがどんな効果をもた らすのかということを教えていただければと思います。 ○大橋座長   他にいかがですか。三本松委員お願いします。 ○三本松委員   2つの組織のお話を伺って、1つは組織のあり方として強い組織のあり方と弱い組織 のあり方という感想を持ちました。  鈴木さんにお伺いしたいのですけれども、先ほど話題に「ヒラの住民」であり続ける というのが1つありましたけれども、リーダーのあり方との関わりで「ヒラの住民」で あり続けるというときにリーダーの問題はどういうふうになっていくのかということと、 「ヒラの住民」であり続けるというのはどのようにして可能になるのかということを教 えていただけたらと思います。 ○佐藤委員   似たような話になるのですけれども、今言われたように活動展開が、特に鈴木さんの ところはニーズを新しく見ながら展開していく、和田委員からは、どういうふうに皆さ んがやられるかということでしたが、そういう考える場をどういうふうに設定されてい るのか。考えられる場ですね。そういうことを考えられる場をどういうふうに持ってい らっしゃるのかということが1つ。  それともう一つ、専門機関との関係ということをあげられていて非常に重要な視点だ と思いますが、後の方を見ると関係機関を育てるというふうになっていて、私はとても いい視点だと思うんです。住民の皆さんの側から資源として専門機関とどういうふうに 関わっていくのか、どういうふうに協働の場をつくっていくのか、どういうふうに専門 機関を引っ張ってくるかという視点は非常に重要な視点だと思うのですが、具体的なや り方がありましたら併せてご説明いただきたいということ。  あと中沢さんの方ですけれども、拠点をお持ちになられているということと、例えば 相談を毎日やられていると資料の中では書かれているのですが、毎日相談をやるという ことになりますと、誰がその相談を受けていらっしゃるのか。その相談から出てくるニ ーズなりいろんなことを実際に活動につなげていく場を、鈴木さんのところと同じよう にどういうふうに確保していらっしゃるのか。要するに皆さんが課題を共有していく場 をどういうふうにつくられているのか、そこでどういう検討をされているのかというこ とを少し簡単にご説明いただければと思います。以上です。 ○金井委員   大変興味深いお話で勉強させていただきました。お二方にちょっと教えていただきた いのですけれども、一般に自治会、町内会というのはだんだん組織率も下がってきて体 力がなくなってきていると言われておりますが、しかしその自治会、町内会に頼らない と地域福祉は難しいのではないかという話もあります。力がなくなってくるところにさ らに頼るというのはますます地域が疲れそうだという話がずっと気になっていたのです が、いろいろお話を伺ってくると、PTAとか自治会と地域福祉が結びつくことによっ て、お互いに弱まっていくのではなくて相互にエネルギーを回転させることで強まって いくような印象を受けたのです。そこら辺の、既存のPTAとか自治会あるいは町内会 が弱まらないで地域福祉の活動をする中で強まっていく秘訣と言いますかメカニズムみ たいなものがもしあれば、ぜひ教えていただければと思います。よろしくお願いします。 ○大橋座長   では小林委員。 ○小林委員   論点になるのですけれども、お2人の今日の報告を伺っていますと、鈴木さんの方は 地域の普通の住民で、中沢さんの方はどちらかというと組織をベースにしてやっていらっ しゃるわけでね。この違いはどうなるのだろうか。同じ見守りとかサロンをやっている わけですけれども、どういう関係になるのかというのは論点かなと思いました。 ○大橋座長   あまり論点を深める時間がないのですが、先ほど金井委員の言われたこともとても大 事なことで、単体の組織だと力が弱ってしまうけれどもそれが結びつくことによってプ ラスアルファのエネルギーが出てくるとか、本体のもとの組織も活性化するというのは とても大事な問題だし、今小林委員が言われたのもそうですし、そんなことも含めてそ れではご意見をいただきましょうか。鈴木さんよろしく。 ○鈴木氏   難しいことはあまり考えてやっていないので、果たしてご参考になるかどうか。すず の会がネットワークが必要になってきたのは、私たちが幾ら頑張っても50人60人の組織 では地域全体を見守るわけにはいかないわけです。それと、やはり私たちの力には限界 があるのと、民生委員とか地区社協とかそれぞれの団体、それぞれの組織の中でつなが りを持っていらっしゃるので、その力をお借りしたいということで私たちが声をかけて、 ネットワークを組もうと。それでそこに入ってきてくださったんです。最初はあまり良 いお返事ではなかったのですが、同じ土壌であまり組織力のないところが中心になると いうのは、自由に話ができる。それは全く平らな関係で上下関係がないということでう まくいっているのだと思います。そのネットワークはニーズの開発にもつながります。 ネットワーク会議というケア会議みたいなものを毎月、いろんな団体それから行政とか、 介護保険の事業者とか、ケアマネジャーとか、地域包括支援センターとか、いろんなと ころが入ってやっております。そこで自主活動団体が活動内容の報告ですとか、各グル ープが抱えている問題をそこで毎月出します。そこで、例えばじゃあここは地域包括支 援センターが受けるとか、そういう橋渡し役の場が毎月1回。それから、すずの会の活 動報告定例会もやっておりますので、そこでもニーズを出し合う。緊急に問題が起こる こともしょっちゅうあるのですが、その会議はしょっちゅうやっております。全員が集 まらなくても、その周りだけが集まって話し合うということは1週間に2回も3回もと いうこともあるわけで、事があるたびにみんなで話し合う機会を持って、それは例えば 誰かのお家でやるとか、そういうことをやっております。それから強い組織と弱い組織 ですが、今言ったように強いところに入ってしまうと、そこに流されていってしまうと いうか物が言えないような状況になって、私たちも地区社協のメンバーだったりします けれども、「実はこうだったよ」とか、「あの人がどうだ」という話がなかなかできな いんですね。個人情報がどうのこうのというともっと言えなくなってしまう。私たちの ネットワーク、ケア会議みたいなところでは、個人情報ばんばん飛び交うというような 会議ですから、そこではみんなが同じ地域のことを考える場になっております。基本的 には当事者の立場に立つことです。それから専門機関との関係ですけれども、どうやっ て私たちが結べているかというと、介護者の方から介護の情報がないということを言わ れて、平成11年につくったのが「タッチ」という介護情報誌です。私たちが全事業所を 歩いて、それから地域のインフォーマルなサービスのところも全部集めてこういう情報 誌を出しているおかげで、どことも全部顔がつながっております。ですからこれはとて も強みだと思っています。利用者の視点でまとめた情報誌ですので、これが多分役になっ ているのだろうと思っています。それからインフォーマルだけをまとめたこんなサービ スの情報誌もつくっておりますので、これが多分専門機関とのうまい連携の1つの手法 だと思っています。 ○大橋座長   今の情報誌は1ページの一番左下の「ミニデイをきっかけに」の、介護者の会のとこ ろの介護サービス利用情報「タッチ」5冊1万9,500部という、ここのことでございます ね。気をつけなければいけないのは、野川地区といっても2万7,700人住んでいて、その 中でダイヤモンドクラブが21つくられているということで、2万7,700を全部フォローし ているわけではない。その中の気がついた住民が横につながって自分たちで活動するの だけれども、そのときにちょっと気になる人を仲間に1人ずつ巻き込んでいこうよとい う活動ですね。そう考えていいですよね。それで事務所をつくるわけでない、重装備で はない、自分の家をミニデイのサロンにして、という話ですよね。だからある意味で、 気がついた人たちが横につながれば結構できるということだと思います。これが2万7,700 まで全部組織できたらすごいなと思いますけれどもね。ありがとうございました。  地域福祉の実践としてはもっと深めて聴きたいことがあるのですが、とりあえずそう いうことで。では中沢さんよろしくお願いします。 ○中沢氏   1番目は兼務の問題ですね。例えば私は、自治会の会長であるけれども団地社協の事 務局長でもあります。それから私どもの団地社協の会長は、地区の民生委員の会長であ り自治会の副会長。副会長も4人おりますからね。そういう形でお互いに兼務し合って いる。大体役員の方も、自治会の役員でありながら団地社協の理事も兼ねてやっている。 民生委員もそうです。地区の民生委員は大体3役クラスが全部理事とか自治会の役員な ど何らかの形に入っております。  兼務することによってどういう効果があるのか。団地社協は福祉が中心の活動ですけ れども、自治会は運動会、盆踊り、もちつき大会という3大行事があるんですね。そう いったものにもお互いに参加し合っている。どういう形でこれが運ばれるのかというこ とも最初から皆さんで共有しているんです。だから足並みそろえて共通の理解で物事を 運ぶことができる。共通の理解を高めるということは成果も共有していくわけです。そ して問題が発生すれば、それをどうやって解決するか、これは1つの団体で考えるより 3つの団体がみんな考えていった方がいいんです。  民生委員は民生委員独自の守秘義務もありますし、上から与えられた課題もあります から、そういったことについても民生委員任せにしないで役員もみんなで理解し合って いく。最初からそれをやっていますから当たり前のようになってきております。そのか わり忙しさは出てきます。この忙しさというのは、皆さんがお手伝いしてくれるという ことでまた皆さんもやりがいを高めていく。そういう意味で兼務はだめだという声は全 くありません。  それから拠点は、地域で事業を展開する場合に拠点なしには発展しません。個人の限 界があるわけです。個人はあくまで限界がありますから。例えば私どもには自治会事務 所というのがあります。これは独自に当初からつくっておりますから、ここには職員が 大体3名プラス4名おります。常時3名おりますから、そこで自治会の問題を事務的に も処理していくことになります。  そしてその隣に団地社協という小さな事務所があったんですBもう5〜6人入るといっ ぱいになるようなところでした。それを、孤独死に取り組む中で、大きな会議室があり まして、それを思い切って2つに割って孤独死の予防センターと団地社協のオフィスを 一緒にしました。従来より4倍ぐらい大きくなったんです。そうすることによって何が できるようになったかというと、まず電話相談ができる、対面相談も別の部屋でやれる、 そしてそこに住民が出入りする。団地社協では、例えばお年寄りの70歳以上の「ふれあ い会食会」これも15年ぐらいやっていますからね。それから「いきいき大学」という講 座を毎月やっております。それからいきいきサロンをやっているし、敬老の集い、ホー ムヘルプ事業もやっていますから、そういう事業をやるとかなり事務量が多くなります から、それも皆団地社協の事務局と予防センターの事務局で全部こなしております。  何といってもそこに気軽に人が集まってこられる。そういう非常に大きな役割を果た しますから、拠点があるなしでは、事業活動の発展からみると個人の場合は限界があり ます。拠点を確保することによって地域コミュニティ再生を図っていく、あるいはまち づくりの拠点にもなってくる。そういう役割を果たしますから、拠点を抜きにした考え は私どもはとっておりませんし、そういうことによって課題をみんなで共有して事業活 動を発展させていく。そして地域包括支援センターではいろいろ具体的な事業がありま すけれども、その事業とも連携していく。あるいは自治会では防災とか防犯とかいろい ろなことがありますけれども、それも行政と私どもが共有していく。拠点があれば、そ こに連絡し合っていけば簡単に済みますからね。そういう良さがあります。  それから、組織が中心か個人が中心かということになってくると思いますが、組織と いうのは、組織も大事にするけれども個人を大事にするんです。個人を大事にしない組 織なんて僕はあり得ないと思っています。その団体が役員のための団体になっていると そういう傾向が出てまいります。ワンマン会長がいると、会長のための組織になってし まう。そういうことは厳に慎まなければいけないと思っております。そういう意味で、 組織と個人をあえて分断して考えるというのは、僕はあまりよくないと思っています。  拠点があり、行政なりいろんなところと一緒になって幅広くやっていくことが大事で すから、そういう意味では個人を非常に大事にする。私どものところでも老人クラブと かさまざまな団体、サークルがありますけれども、そういう組織は全部大事にする。そ れから評議員として参画してもらっております。地域のボランティアとか、老人クラブ とか、PTAとか、学校とか、そういった地域を構成するあらゆる団体の皆さんにも入っ ていただいて、皆さんでこういうことをやるんだという年次計画をつくっております。  何といっても、社会福祉協議会あるいは自治会も住民皆から会費をいただいています から、私どもの成果は住民に返していかなければいけません。だから、あえて個人とか 組織というものはあまり意識しないで、それは個人のためにやっているのですから。あ る意味では、私どものところは組織的にきちんとやっていますから個人のボランティア が育たない面もあります。そういう要素があると思いますけれども、とにかく個人個人 のために皆やっているわけですから、そういう視点に立っていますから、あえて個人対 組織という形の分け方はしておりません。 ○大橋座長   中沢さんの資料の5ページのところで確認をいただきますと、5,359世帯、人口がどの くらいでしたっけ。 ○中沢氏   団地をつくった当時は高齢者が一人もいなかったんです。みんな20代後半から30代で したから、年寄りがいなかった、ゼロだった。高齢化率がゼロ。それで、かつての最盛 期は1万5,000人から2万人近くいたのだろう。35年入居ですから大体入居して子供をつ くったということ。東京の住宅難解消の意味でつくった面がありますから、そうすると 最終的には50年代の初めごろになりますと、例えば団地の第一小学校の児童数はゼロか らスタートして一番多くなったのが1,700人。それが今では少子化の中で350名に減って おります。完全にひし形になっている。それから今度は第二小学校をつくりまして、そ れも大体300人からスタートしてどんどん増えて、やはり50年代に入ると1,800まで児童 数が増えたんです。今それが、隣にマンションができた関係もありますけれども、児童 数が600に増えたといって学校の先生は喜んでいるんです。580とか590とかになっていま すから。「中沢さん、今年は600名に増えた」と言って喜んでいました。そういう状況で、 小学校でも児童数がひし形になってきています。  人口は、市役所は基本台帳でやっていますから、外国人籍を除くという形でやってい るんです。これによると常盤平団地の人口は大体8,500。それで外国人籍の人が世帯数で いうと450いらっしゃいますから、全体で団地の人口は9,000人ちょっと超えているのが 現状となっております。 ○大橋座長   それで高齢化率がどのくらいですか。65歳以上の高齢者の率。 ○中沢氏   現在30%です。つまり、当初の入居当時はゼロから。今は30%に至っております。大 体65歳以上に仲間入りするのが年間で150名おりますから、どんどん高齢化率がアップし ています。 ○大橋座長   それでここに書いてございますように、団地の自治会だよりが出ていると同時に、地 区社協会報が年3回出ているということですね。6ページに行きまして、団地の社協の 理事会を毎月第2金曜日午後2時からやって、その都度事務局ニュースを出している。 大変なことですね。6ページの一番下の方に相談事業で、先ほど話がありました電話相 談を毎日、対面相談もしている。これは拠点があるからできることだという話をしてく ださいました。  まだ尽きないのですが次の項目がありますので、一言だけ鈴木さん、さっき後継者難 という話がありましたけれども、金井委員さんの質問になるのですが、典型的に鈴木さ んはPTAで一緒の仲間に支えられてそれで地域に還元となりますが、そうすると仲間 がやや閉鎖的になってしまうのか、もっと新しくPTAもどんどん後継ぎが出てきてい るのか、その辺を一言だけちょっと。 ○鈴木氏   仲間5人で始まりましたけれども、今は入っているのは全く違うメンバーです。それ からリーダーは私が続けておりますけれども、やはり新しいリーダーをつくらなければ いけないということで、地域の中でいろんなところで関わる人がいっぱいいますので、 その中からまたリーダーをと思っています。 ○大橋座長   それでは、まだ深めたいことは山々ですが、大きな2番目の柱に移らせていただきた いと思います。既存の地域福祉推進に係る制度の実態ということで、民生委員・児童委 員について今日は説明をいただき意見を交換したいと思います。まず中村企画官からご 説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○中村企画官   では資料4に基づいてごくかいつまんでご説明させていただきます。  資料4の1ページ目をお開きください。まず民生委員・児童委員の位置づけでござい ます。民生委員法において「民生委員は、社会奉仕の精神をもって、常に住民の立場に 立って相談に応じ、必要な援助を行い、もって社会福祉の増進に努めるもの」と規定さ れておりまして、市町村の区域に置かれます。また、児童福祉法に基づいて児童委員も 兼ねるとされております。性格でございますが、平成12年の民生委員法改正までは「名 誉職」とされておりましたが、平成12年の改正によって「給与を支給しない」という位 置づけになってございます。また、守秘義務と政治的中立が規定されております。民生 委員の委嘱は厚生労働大臣、職務に関する指揮監督は都道府県知事が行うとされており ます。  2ページ目をお開きください。要件及び委嘱手続き、定数でございます。このうち定 数についてご説明いたしますと、定数は厚生労働大臣の定める基準に従い、都道府県知 事が市町村長の意見を聞いて定めるとされております。平成18年3月31日現在の定数が 22万9,896名、実際の数が同じ平成17年度末で22万6,613名でございまして、全国ベース で定数充足率が98.57%でございます。指定都市で低い傾向にございます。  数やバックグラウンドにつきましては10ページ以下にございます。10ページをお開き ください。平成17年度末で22万6,613名。平成7年度に男性と女性の比率が逆転いたしま して、現在では約6割が女性になっております。  11ページ目をお開きください。年齢でございますが、60歳以上の方が全体の7割を占 めるという状況でございます。  12ページ目をお開きください。経歴でございますが、現在の就労状況としては無職が 5割、自営・経営が2割。前職といたしましては、サラリーマン、自営・経営、農林水 産業などの福祉未経験者が8割という状況でございます。  次に3ページ目にお戻りいただければと存じます。職務でございます。民生委員は住 民の生活状態に関する調査・実態把握、相談支援を行うほか、各種行事への参加協力や 自主的な地域福祉活動等、幅広い活動を行っておるところでございます。具体的な活動 例につきましては、次の4ページから9ページに掲げてございます。  5ページ目をお開きいただきますと、いろいろな法律において民生委員さんの位置づ けがなされているということがおわかりになると思います。6ページ目の一番下でござ いますが、最近は災害時の要援護者避難に関しても民生委員さんの役割が期待されてい るところでございます。  近年プライバシーの問題もございまして、個人情報保護法への過剰反応などでなかな か個人情報が入手しづらいという状況もございまして、これについて厚生労働省といた しましても、民生委員さんに例えばひとり暮らしの高齢者、あるいはひとり親家庭、あ るいは新生児のいる家庭の名簿など必要な情報を提供してくださいということで、市町 村の方にお願いもしているところでございます。  主な活動実績でございますが、13ページをお開きいただきたいと存じます。年間の総 活動件数は約3,000万件、相談支援活動については784万件という状況でございます。分 野別に申しますと、高齢者に関することが半数を超えている状況でございます。内容に つきましては、日常的な支援、在宅福祉、健康・保健医療等々幅広い相談を実施してい ただいておるところでございます。民生委員さんお1人の1カ月当たりの活動といたし ましては、相談支援件数が約3件、訪問連絡調整回数が約17件、その他の活動件数が約 8件ということになっております。1カ月当たりの平均活動日数が13.2日という状況で ございます。  14ページ目をお開きください。活動状況の推移でございますが、近年相談支援は減少 傾向にございますが、いきいきサロン等の地域福祉活動、自主活動は増加傾向にござい ます。  15ページ目及び16ページ目は、民生委員・児童委員の沿革でございます。お目通しい ただければと存じます。17ページ目は民生委員・児童委員活動への財政的支援でござい まして、地方交付税あるいは国庫補助事業合わせて約154億円という状況でございます。 18ページ目は、民生委員・児童委員の委嘱・解嘱の流れを図に示したものでございます。 お目通しいただければと存じます。  19ページ目でございますが、前回清原委員の方から地方分権改革推進委員会において 民生委員・児童委員の委嘱に関する問題提起が行われているというご発言がございまし たことから、今回その地方分権改革推進委員会における問題提起の概要、そして厚生労 働省の見解、及び全国民生委員・児童委員連合会の見解をそれぞれまとめておきました。 お目通しいただければと存じます。  以降20ページ以下は民生委員法及び児童委員法の概要でございます。以上でございま す。 ○大橋座長   ありがとうございました。それでは引き続きまして全国民生委員・児童委員連合会の 事務局の山田部長からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○山田氏   それでは、民生部は資料5と資料編の2つ資料を用意させていただいておりますので、 それに基づいてお話しさせていただきます。  まず資料5で1枚おめくりいただきまして、表題にある民生委員・児童委員活動につ いてということでございます。今ご説明がありましたように行政との関係の協力活動と いうことと、自主活動というのは、自主的に地域の福祉課題に取り組んで福祉のまちづ くりを進める、としております。  最近では一番下にございますけれども、自主的な活動というので、全国の児童委員活 動の強化推進方策――私どもは第2次アクションプランと呼んでおりますけれども、そ ういうものを推進して「地域の親子100人と知り合い、支えあおう」ということをテーマ に進めています。それから、「民生委員・児童委員発災害時一人も見逃さない運動」と いうことで、災害時の安否確認を平時からきちんと進めていくことが必要ではないかと いうことで、民生委員間のものですけれども緊急通報システムとか、要援護者との関係 で把握するためのマップづくりなどを進めています。それから児童虐待の取り組みとい うことでは、住民に対して児童虐待をなくしていこうという呼びかけをさせていただい ています。  民生委員の組織、2ページでございます。法的に位置づけられているところで、法定 単位民協と呼んでおりますけれども、そういう位置づけの組織と、そういうものとは違っ て任意で連合組織を持っております。その関係を図にしたのが3ページでございまして、 法定単位民協といいますのは、イメージとしては小学校区に組織されているとお考えに なっていいと思います。ただし小学校が全国で2万校ありますから、法定単位民協は1 万ですので、必ずしも一致した形にはなっておりません。あるいはかつての行政区です とか、自治会、町内会というレベルで民児協というのがございます。民生委員はどちら かといいますと自治会、町内会を区域として置かれているということですけれども、1 つの町内会というよりは複数の町内会を担当しているというところもございます。  4ページでございますけれども、ここでもレポートされておりますように非常に地域 社会に不安感が広がっているとか、大変深刻とか痛ましい事件が非常に増えているとい うことがございまして、今年は民生委員制度創設90周年という記念の年に当たっており ますので「広げよう地域に根ざした思いやり」ということで、先ほど思いやりについて 中沢さんの方からお話がありましたけれども、こういう思いやりを広げていこうという ことを宣言いたしました。  安心して住み続ける地域社会をつくろう。それから先ほどご発表がありましたけれど も、地域社会で孤立・孤独をなくす運動を提案して行動しよう。児童虐待とか犯罪被害 から子供を守ろう。大変多くの福祉課題を抱えている生活困難世帯というのがあります ので、そこに粘り強く接して地域社会とのつなぎ役を務めよう。それから災害時の要援 護者活動で安否確認を進めようということで、この運動が大変大きな反響がございまし た。私どもとしては第2次の「災害時一人も見逃さない運動」を進めていこうとしてい ます。  児童関係では、同じ「広げよう地域に根ざした思いやり」の行動宣言として児童委員 版を作成しておりまして、地域から孤立・孤独な子育てをなくす。問題を抱える親子を 発見して必要な支援につなぐ。児童虐待の早期発見・早期対応、それから子どもを犯罪 被害から守る連携・協働ということを宣言した次第でございます。  資料をおめくりいただきまして5ページですけれども、要援護者の発見・見守りと通 報・情報提供というのが大変大事だと認識しています。地域で孤立して疎外されている 個人世帯を発見して見守る、あるいは関わる。それから、ご紹介させていただきました 福祉マップをつくって日常的な要援護者の把握を進めるということが、災害時の運動を 進めてきて非常に効果が高いと実感しておりますので、こうしたマップづくりをさらに 進めていきたいということです。  それから市町村行政とか専門機関、社協とつなぐ、あるいは一緒になって進めていく というのがさまざまなケースについて大変大事でございますので、そうしたことを進め ていく。それから、地域社会にさまざまな団体がございますので、民生委員だけという ことではなくて連携協力をしながら進めていくということです。それはとにもかくにも 信頼関係大事ですので、守秘義務を徹底するということでございます。  次のページでございまして、全民児連の中でさまざまな議論がされている内容をまと めさせていただいたものでございます。民生委員が活動しやすい環境をつくるというの が大変大事だということで5点あげさせていただきました。  1つは、民生委員からの通報・情報提供を有効に活用して、また即応的に対応するよ うな行政それから専門機関の担当セクションを一元化するというのが極めて重要ではな いかということ。それから、行政や専門機関からの協力要請とか対応の指示を具体的に 明確に行うという双方向が非常に大事ではないかということです。  それから自主的活動ということで進めております「ふれあいサロン」とか「子育てサ ロン」、住民の皆さんと一緒になって進めております活動について「積極的に評価する」 と書いておりますけれども、何か点数化するというのではなくて、日ごろから民生委員 がこういう活動に熱心に取り組んでいることについてご苦労さんとかありがとうとか、 そういう気持ちが非常に民生委員の励ましになるのではないかということでございます。  3つ目が、困難ケースとか多問題地区に対して、できたら複数の民生委員の配置とか チームによって対応ができるような配置基準の運用と書かせていただきましたけれども、 この点は民生委員活動の中でも大分工夫が進んでおりますし、社協のふれあい委員との 協力などもできておりますけれども、大変地域社会の中で難しいケースが増えておりま すので、協力しながら進めていくという関係ではないかということです。  4番目ですけれども、民生委員の推薦が小地域単位、先ほどかつての行政区ないし小 学校区と申し上げましたけれども、小地域から行う仕組みとして自治会長さん、あるい は地区社協の会長さん、民児協の会長さんなどによる民生委員候補者の選出が必要では ないか。現在自主的に推薦準備会のようなものを設けて進めておりますけれども、これ を必置にするということが大事ではないかということです。  それから5番目ですが、行政、専門機関は民生委員の見守り活動が円滑に進められる ように要援護者情報を提供するということでございます。これは厚労省からこの視点で 通知を発出していただきまして、各市町村大分理解が進んできておりまして、民生委員・ 児童委員に対する情報の提供がかつてよりは円滑に進むという報告を各地から得ており ます。これがさらに強力に進むようにこれからのバックアップも引き続き必要ではない かということです。  7ページについては、地域社会のイメージと窓口の一本化ということで、民生委員を 通じて行政との関係をどういうふうにすればいいのかというのを図にしたものです。  8ページは市町村の民児協ということで、複数で進めるとかチームで進めるという話 を申し上げましたけれども、それをイメージにした図でございます。  9ページでございますけれども、活動しやすい環境づくりということで、民生委員・ 児童委員はやりがいを持って進めているという大変強い動機づけを持った方たちになっ ておりまして、こういう「やりがい」を高めるということが大変大事だということです。 そうはいっても、なかなか民生委員・児童委員は住民に活動を正しく理解されていない。 民生委員・児童委員という名称はよく皆さんご存じですけれども、その内容が正しく理 解されていないということがございます。それから、一緒に進めていくわけですから、 住民からの理解や協力、励ましということも民生委員活動を支える点では大事かなとい うことです。  10ページですけれども、これは後でデータとの関係で説明します。資料編とあわせて ご覧になっていただきたいと思いますけれども、先ほど民生委員・児童委員活動が理解 されていないということでございましたが、特に主任児童委員が理解されていないとい うのがございます。資料編では2ページになっておりまして、特に主任児童員が地域の 方々に知られていないという状況がございます。  それから後継者のなり手がいないということでございまして、これは次のページで、 法定単位民児協が約1万カ所ございますけれども、約2千の法定単位民児協にアンケー ト調査した結果、なり手がいないというのが64%でトップになっている状況でございま す。  次のページでございまして、要援護者とか地域住民のプライバシーにどこまで踏み込 んだらいいのかということについて、表3の一番左側ですけれども、これがトップになっ てどの層でも高い悩みとか苦労点になっています。  それから、いわゆるあて職が多い、多忙であるということについては、ある民生委員 さんの名刺の裏をコピーさせていただきました。これでも一部だと思います。この方は 県の会長さんもされていますので、県、市、それから地元、それから日赤、商工会議所、 商店街、町内会とか、さまざまなことをおやりになっていらっしゃる。  それから連携がとりにくいということでございますが、まず6ページですね。日ごろ から連絡・連携をとり合っている機関ということでは、社会福祉協議会、それから単位 民児協の会長さんとか先輩の委員、役員、それから福祉事務所、市町村の民児協事務局 などがございます。自治会との関係も約4割になっています。  7ページは、連携が取りにくいところでございまして、警察・消防、それから裁判所、 病院、学校、あるいはボランティア団体。主任児童委員との関係でいきますと、教育委 員会、PTA、役所の児童福祉担当課で、それぞれ割合は1割から2割程度ということ でございます。  8ページは最も頼りになる機関ということでございまして、これは役所の福祉担当課、 福祉事務所、それから民児協の事務局、先輩の会長や先輩委員ということでございます。  次に、委員を続けるために必要なことでございまして、左から2つ目にありますよう に、民生委員・児童委員は自分自身の資質の向上ということで研修が義務づけられてお りますけれども、民生委員・児童委員活動にとって自分自身の資質の向上というのが委 員を続けるために必要なものだと。それから地域の団体との連携ということがあげられ ています。  それから最後になりますが、要援護者支援に必要な個人情報が提供されないというこ とでございまして、右側の、あまり受けられていない・全く受けられていないというの が4割弱ということです。これは厚労省からの情報が発出前でございますので、この点 は少し改善が見られてきているのではないかと思います。  それから11ページでございますけれども、どんな情報が行政から提供されているのか ということについては、ひとり暮らし高齢者、それから生活保護受給者、いずれも6割 をトップにいたしまして高齢者関係が45%、36%、しかし障害者関係とか児童関係の情 報は民生委員の方には意外と届いていないという状況になっております。  12ページ以下は民生委員・児童委員活動の典型的な活動ということでご紹介させてい ただいたものでございます。これはお読みいただければと思います。  それから14ページは標準的な民生委員・児童委員の1週間の取り組みということでご 案内させていただきました。私からは以上です。 ○大橋座長   ありがとうございました。それでは少し時間をとって質問、意見交換をしたいと思い ますが、長谷川委員何か補足ありますか。いいですか。 ○長谷川委員   いろいろと当面する問題がたくさんあるわけですが、大きく分けて私は2つあると思い ます。その1つとしましては、今部長の方からもご説明がありましたように、民生委員・ 児童委員のなり手がいない。いわゆる欠員対策ですけれども、今年ちょうど3年に1度 の改選期ということですが、この12月1日付で厚生労働大臣より委嘱を受けることになっ ているわけです。3年ほど前の16年の改選時では、全国で約3,000名が欠員だったという ことを聴き及んでいるわけです。今の部長の説明にもありましたように、なり手不足と いう問題は、全国各地でいろんな工夫を凝らして人材発掘に努力をしているものの深刻 な問題として私たちも受けとめています。  その解決方策としましては、1つ目には活動にやりがいとか、あるいは楽しさとか、 こういうPRいわゆる広報活動にもっと努めるべきではないかと。それから2つ目には、 今説明があったのですが委員としてのいろいろな研修会があるわけですが、こうした研 修会の内容についても活動上の悩みとか負担感の解消とか、そういうものにつなげるよ うなきめ細かな参加しやすい研修会の機会をつくっていくべきではないか。3つ目には 役割の明確化ということですけれども、私たちが地元に戻りますと民生委員・児童委員 として、地域のさまざまなあて職というものを担っている部分が多いわけです。なかな か活動の範囲を明確に線引きすることができない部分もありますけれども、一定の考え 方としましては、そうした線引きをしてあげるような努力をしていくことが必要ではな いか。特に主任児童委員についてなかなか理解されにくい部分がありますので、ぜひお 願いしたい問題だと思っております。  このような民生委員の活動を、地域住民の特に推薦母体であるところの町内会、自治 会の方々により理解してもらうことが大事ですけれども、その活動の重要性をいかにこ れからより地域住民に理解してもらいながら、福祉とか、あるいは安全・安心な生活上 欠くことのできないことだということをお互いに共有しながら、地域の中でみんなで民 生委員・児童委員を選んでいこうよという機運をつくり出すようなことをやっていくべ きではないかと思っております。  横浜市におきましては、3年前の一斉改選では117名の欠員があったのですけれども、 今回公募等も含めて年齢を引き上げたということで改革いたしましたけれども、それで も先般審議会がございましたけれども197名という欠員が生じております。2倍とは言い ませんけれども、欠員増ということで非常に頭を痛めている問題です。これは全国的に もそういうことが言えるのかなと思っております。  もう一つが情報提供の問題ですけれども、個人情報保護法の施行によって今まで伝わっ てきたいろいろな情報提供が全く今はないという中で、民児協の活動そのものが影響を 受けているわけです。そこで今年中村社会・援護局長にご尽力いただき、厚生労働省か ら要援護者に関わる情報の把握、また共有及び安否確認の円滑な実施についてというこ とで通知を各都道府県・指定都市・中核市へ発信いただいたわけですけれども、各自治 体ですぐに対応してくれたところもあり、行政の情報と民児協の情報を双方で共有して 話し合いが円滑に進んでいると聴き及んでおります。大変良いタイミングで出していた だいたと思っておりますが、全国的に見るとまだまだその対応はさまざまで、非常に消 極的な自治体もあるわけです。  横浜市でも18区ある中で、今日おいでの河西委員さんの鶴見区というのは非常に前向 きに積極的に進んでいるところなのですが、その反面私の区では進んでおりません。市 の健康福祉局の方針であっても、各区に帰れば区長さんの責任で判断が大きく左右する ものですから、こうした実態を省みましてもこれからの民生委員・児童委員の活動環境 を整えていただくということで、環境づくりについてぜひ引き続いて国から各自治体へ 強く働きかけていただきたいと思っております。 ○大橋座長   ありがとうございました。確かに23万人の民生委員がいるからそれなりに安定してい る、安心していられるという部分があるのですが、逆に言えば民生委員を推薦したりす る立場の河西委員にお聴きしたいのですが、先ほど中村企画官が説明してくれた資料4 の2ページで、定数の充足率は全国ベース98.57で指定都市では低い。充足率の低いのは 川崎、沖縄、横浜、堺となっているのですが、指定都市で都市化が厳しい中で本当に孤 独死も含めてなくしていくためには隣近所は大変だと思いますが、町内会長の立場で民 生委員の活動はどう見ていらっしゃいますか。 ○河西委員   その前に定数で横浜の名前が挙がっていますので、私どもの近辺で見ますと、挙がっ てこないところは新しくできたマンション。200人から400人に1人という規定の中で、 400世帯以上のところにお1人はいなければいけないというところですけれども、なかな か挙がってこない。いわゆる自治会組織ができない。管理組合はできるのですけれども 自治会組織ができないという部分がありまして、うちにもありましたけれども、5年以 上たたないと近隣づきあいができないということで選べないという理由が1つあろうか と思います。鶴見区ではそうした中でいわゆる定員欠けというのがあります。  そして今お話にありましたように、地域の中での民生委員ということで理解、協力、 励ましというのがありますけれども、活動の内容を理解していただく。これは、民生委 員の委嘱方法は当然町から推薦しますので結構ですけれども、民生委員の役割の流れの 中でどうしても名誉職的なものがずっと残ってきている。そして選ばれた中でもその意 識がまだ残っている。実は今回、先ほど会長からお話がありましたように、90周年で一 人も見逃さない運動という中で要援護者の支援体制をどう構築するかということで、鶴 見区では研修部会を設けまして各ブロックから2名ずつ40〜50人集まりました。その中 で、横浜市は避難所の拠点が公立の小学校になっていて鶴見区には31カ所ありますが、 運営委員に入っている人は手を挙げてくださいとまず最初に聞きました。その中で入っ ていたのは1割足らずですね。  これが実は理解されない大きな点ではないか。ということは、さっきお話がありまし たように町組織の中に民生委員が積極的に入る、そして町の中の活動で1つの役割を担 う、それによって町を知りながら民生委員活動を進めるということが最低条件ではない か。その関係が実は民生委員の条件の中に入っていない。その辺が問題ではないかと思 います。 ○大橋座長   先ほどの中沢さんの報告の中に、町内会と民協と社協との関係という、忙しくなるけ れども必要だということがありましたが、そういうことを河西委員もご指摘いただいた と。確かにいろんな自治会で町内会の中に福祉部会をつくって、福祉部会は実は民生委 員がやって結構いい活動をしているところがたくさんありますよね。その関係が1つ課 題かもしれません。  次の社協の問題も含めてご意見をいただくということにしまして。それでは前回本当 に慌しくて、全社協の渋谷部長にコンパクトに説明いただいたのですが社協の論議がで きませんでしたので、民生委員問題も含めて社協のご意見をいただければと思いますが、 いかがでしょうか。では三本松委員。 ○三本松委員   社協と今の民生委員・児童委員ですけれども、総括的に全体の傾向はわかるのですけ れども、例えば都市部と農村部、大きな町と小さなところといったところでの特徴的な ことをご説明いただけるようでしたらお願いしたいと思います。 ○渋谷氏   予想いただいているとおり都市部と農村部となると、都市部の方が自治会活動等が弱 いということを反映して前回ご説明したような基礎組織のところが弱いということがあ るのですが、見てみると例えば大阪とか兵庫とか、大都市部でもかなりきちんと展開し ているところもあるので、もちろん違いはあるのですれども取り組み方かなと。むしろ 自治会が弱いところに福祉活動を入れることによって、先ほどのお話にもありましたが 自治会活動が活性化するということもありますので、違いはもちろんありますけれども 仕掛けるという点ではそれぞれできるのではないか。近年東京都も23区で地区社協づく りに取り組むということもありますので、困難ではありますが仕掛けるべきことは仕掛 けるのが基本ではないかと思っています。 ○大橋座長   大阪は小学校区ごとにすごく活発ですよね。あれは何で活発なのですか。佐藤委員に 聞いた方がいいのかもしれませんけれども。 ○渋谷氏   大阪はやはり歴史がありまして、あそこは校区福祉委員会と言っているのですが、校 区福祉委員会に非常に早くから取り組んでやってきた。それは取り組みだと思いますが、 実際の活動を見ているとちょっと形式的になった部分があって、ここ10年ぐらいかなり 活性化をやっているんです。それは何かというと、ふれあいいきいきサロンとか、小地 域ネットワークとか、さまざまな活動をとにかくモデル的にやることによって活性化し たということがありますので、それはそれなりの努力をしてきているということではな いかと思います。 ○大橋座長   大阪市と大阪府と違うのでしょうけれども、さっきの民生委員の充足率からいくと堺 が随分低いですよね。必ずしも大阪全体が校区社協などで頑張っているというわけでは ないのですかね。 ○渋谷氏   そうですね。校区福祉委員会で言えば当然、出来不出来がありまして、同じ市内でも 出来不出来がやはりあります。 ○山田氏   大阪の場合は、直接大橋座長のお話との関係になるかどうかわかりませんが、方面委 員を小学校区に置くという設置の仕方をしたというのが歴史的にありまして、それは圏 域をどういうふうに設定して誰をどういうふうに配置するかということでよくつくられ た仕組みと考えてもいいのではないかと。そのことが地区社協づくりにもつながってい るのではないかと考えております。 ○小林委員   資料4の10ページですね。これを見てみますと女性が増えているということですけれ ども、男性は若干減っていますけれども横ばいになっている。それで何を申し上げたい かというと、民生委員になるときに女性が入ってくる場合は大体PTAですね。最初に 地域でネットワークをつくるのはPTAが中心になると思います。その方々が、ちょう ど今日は鈴木さんがおいでになっていますけれども、民生委員活動みたいなところに入っ てこられて、地域で担い手は誰なのかという問題があると思うんですね。  従来はご承知のとおり自営業の方とかわりと地域の名望家と言われている方たちだっ たのですけれども、地域活動をしているところから民生委員の選出が行われてくると理 解していまして、そうするとその辺の担い手がどうなってきているから、ここで言えば 任命しにくくなってきていると考えたらいいのか。そこの担い手の問題ですけれども、 それはどういうふうにお考えですか。 ○山田氏   小林委員がお話のように、地域活動あるいは住民活動を担っている方たちが民生委員 になってくるという流れになっていますけれども、最近特に女性の割合が高くて、特に 都市部は女性の割合が高いという確保の仕方になっているのですけれども、そこが非常 に難しくなってきているという感じは持っています。  特に無職というよりも常勤とか仕事をお持ちになっている方を確保するというふうに しないと、なかなか難しいという側面が出てきておりまして、そこをどういうふうに確 保するかについて今回国の通知で新任の年齢を取っ払って確保するという手立てもつく られましたけれども、地域福祉活動でどういう活動の担い手を確保するかという点は、 民生委員・児童委員活動に限らず大変大きな課題ではないか。特に常勤の人たちを地域 活動の中で推進するという、推進の仕方の確保方法を考えることが大事なのではないか と思います。 ○小林委員   地域のスポーツクラブとか農園活動とか、いろんな活動が今出てきていますね。そう いうのは推薦の母体になり得るのでしょうか。 ○山田氏   推薦の母体にはなり得ますけれども、実際にそういう方たちが入ってきているかとい うと、先ほど言ったような自治会とかPTAという母体が中心になっているという姿だ と思います。 ○中村局長   今のことに関係してですが、資料4の12ページをお開きいただきますと、現職と前職 ということがあって、上の方にも出ておりますが、民生委員の活動経験はこの資料によ りますと、町内会や自治会の役員が7割、PTAの役員が5割、それから福祉関係団体 の役員が3割強、ボランティア活動等が3割ということで、確かに年齢の問題もありま すし、産業構造や就業構造の変化、あるいは小林委員が言われたように地域の名望家と 言われた基盤が細っているということを考えた場合に、どういう層がリクルートされる のかという問題。それと、鈴木さんがいらっしゃいますけれども、地域で活動されてい る女性の皆さんたちが民生委員になるという福祉活動の経験者のシェアが増えるのか。 あるいはここにも出ておりますように保健医療関係とか法曹関係とか他分野というか、 狭義の福祉でなく先ほど出たスポーツの指導をされている方、青少年関係の方とかいろ いろあると思います。むしろいろんなご意見をいただいて、これからの民生委員の確保 という観点で考えさせていただきたいと思います。 ○大橋座長   実はそれに絡むことですが、資料6ですが、前回の社会福祉協議会に係る資料の27ペ ージに市区町村社協の組織というものがあるんですね。先ほどの三本松委員の質問にも つながるのですが、農村と都市を考えた場合、都市は基礎の部分が随分変わってきてい るので、例えばこれは経済界は入っていないですよね、商店街とか経済団体とか。ごく わずかかもしれない。それから保健医療団体も、医師会か何かは充て職に入っているか もしれないけれどもどうだとか、今小林委員が言われたことでいけば、地域で活動して いる社会・教育関係団体というのも結構あるわけですよね。そういうふうに選出基盤を 少し意識して変えていくことによって、民生委員活動が逆に見えてくるようになるかも しれないし、民生委員としてふさわしい人が推薦されてくる可能性もあるのではないか。  だから社会福祉協議会のいろんな評議員などの選出基盤の考え方を変えることと、民 生委員の選出母体の候補者が挙がってくるルートみたいなものとの関わりなども…生協 なんて都市部では随分頑張っている人がいるわけだし、一応NPOがあるけれどもNP Oだって随分いて、公益というものもあるけれども地域でやっている人もいっぱいいる わけだから、経済界、商店街、生協とか、社会・教育関係団体とか、NPO関係という ところが広がってくると、もう一度地域づくりのエネルギーが出てくるのではないかと 思うんです。その辺は渋谷部長、どうなんですか。 ○渋谷氏   これを見ていただくと1%とかそういう形では入っているので、数ももう少し増やす ということもあるでしょうが、実質的なつながりをどうつくっていくのかということが 大事なのかなという感じがいたします。どうしても理事、評議員というと限られてきま すので、そういう協働できる場をどうやってつくっていくのかというのがおっしゃる意 味では非常に重要なのかなと思います。まだまだ努力が必要だと思います。 ○中村局長   あまり私が発言するのは会の趣旨からいって適当ではないかもしれませんが、座長か ら1回目に、社会福祉協議会で例えば自分は会費を払っているけれども発言権がないと いうお話がありましたが、今日の資料6の前回提出した資料で最初の方の私どもが配っ た資料14ページを見ていただきますと、社会福祉協議会の法律の定義が出ています。  読んでいただきますと、実は社会福祉協議会というのはその地域の、例えば15ページ では、都道府県の社会福祉協議会はその区域における社会福祉事業、更生保護事業を経 営する者の過半数が参加するということになっていまして、これは歴史もそうなのです がどちらかというと事業者団体のクラブみたいな性格が強いということで、これは地域 福祉のテーマだと思いますが、住民の方の地域活動の位置づけがあまりないんですね。  ですから社会福祉協議会というのは何ぞやと考えたときに、地域福祉の担い手あるい はユーザーの視点がないのではないか。つまりこの法律は社会福祉法になっていますが、 全身が社会福祉事業法で事業の法律なんですね。事業者のクラブとして社会福祉協議会 というのがある。もしこれからの福祉というのが利用者本位、住民のための福祉と考え ると、この社会福祉協議会の位置づけ自体がどうなのか。  それから今地域福祉の基盤として、今日のテーマでもありますけれども中沢さんの入っ ておられるような地域団体、自治会、町内会というのが1つ基盤になる。そこの組織力 が落ちてきているというのが小林委員のご懸念の点だと思いますが、そういう部分と、 もう一つは鈴木さんの活動されているようなボランタリーな、あるいは地域に立脚して いるけれども自治会組織とかそういう組織からは割合自由な形でやっているとか、いろ んな動きが地域福祉にある中で、社会福祉協議会の位置づけが現行のままでいいのかと いうのは、実はこの検討会のレビューのテーマにしていただきたいと思いますので、あ えて発言させていただきました。 ○大橋座長   非常に大事な論点に踏み込んでいただきまして、ありがとうございました。19ページ でも、我々は随分住民主体とかいろいろ言っているけれども法的には違うという歴史的 な経緯もあるものですから、その辺の整合性をどう持たせるかということをしないとこ れからの地域福祉が見えてこないと思っておりますので、本格的にそれは論議せざるを 得ないと思っております。部長何かありますか。 ○渋谷氏   資料6の27ページを見ていただくとおり、実態的にはかなり住民の方々が入っている のですが、それが十分整理されていないという問題とか、権利義務関係という問題があ りますので、そういう観点から整理すべきことかと思っています。 ○大橋座長   ありがとうございました。もっと論議をしたいのですがこれで終わらざるを得ないの ですみません。今日はお忙しい中を、鈴木さん、中沢さん、そして山田部長、渋谷部長、 どうもありがとうございました。それでは第3回目の研究会を終わりにさせていただき ます。事務局から事務連絡をお願いします。 ○事務局   次回ですが、11月19日月曜日、2時半から4時半で厚生労働省の会議室で行います。 以上です。 ○大橋座長   それでは今日はどうもお疲れさまでした。ありがとうございました。 (終了)             【照会先】              〔これからの地域福祉のあり方に関する研究会事務局〕                    厚生労働省社会・援護局地域福祉課                    TEL 03-5253-1111(内線2859)