07/11/08 介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム(第2回) 社会保障審議会介護給付費分科会第2回介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 : 平成19年11月8日(木) 午後4時から午後7時まで 霞ヶ関東京會舘(シルバースタールーム) 2 出席委員:池田、田中、堀田、村川の各委員 3 議題 <議題>  1.事業者等団体ヒアリング  2.その他 ○鈴木老人保健課長より資料1の説明 (池田委員)  平成18年の4月から生活援助がぐんと下がっているが、これはひょっとしたら、介護予防訪問介護の数字を足すと変わらない線になるのではないかと思う。これは多分、統計情報部のデータを使われていると思うが、ちょうどここで切り替わったもので、予防給付の方を見落としてしまって、介護給付の方だけであるとこういう数字になる。私も間違えたことがある。実は予防給付の方の介護予防、訪問介護の数字を入れると、微減だが、ほとんど横になるという感じであるはず。 (鈴木老人保健課長)  次回までに宿題事項として整理をさせていただく。 ○石原意見陳述人(有限責任中間法人「民間事業者の質を高める」全国介護事業者協議会)より意見陳述。   (村川委員)  それでは、私から4点ほど。  日ごろ大変御苦労なさっているということについては一定程度承知をしているが、まず1点は、従事者の方々の賃金が低くとどまらざるを得ないというような御指摘もあったわけであるが、民介協としては、傘下の事業所、事業者のデータというか、例えば人件費比率がどれぐらいであるのか、協会として、全体の平均が、あるいはそれがないということであれば、理事長さんのところでもよろしいし、おおむねこうだというような辺りを少し追加説明していただければと思う。  一般的な企業だと50%云々ということも言われているが、私はもっと、この訪問介護については高い水準で人件費比率を考えないと、この分野は成り立たないのかなという見解を持っている人間であるが、率直にどれぐらいを目安として民介協のグループは運営をしているかということが1点。  2点目は、陳述要点の2ページ目であるが、2ページ目の上から8行目ぐらいか、「国はあまりにも事業者に対し、『サービスの質』と『コンプライアンス』を求め過ぎ」だと書いているが、これは、民介協の少なくとも建前としては、質の向上ということをおっしゃっているわけなので、率直に言って矛盾しているのではないかという印象も持つわけである。一体、国が言っていることの中で、サービスの質、あるいはコンプライアンス、要するに法令遵守というのは私も非常に重要というふうに見ているが、一体何が求め過ぎということなのか、これは具体的におっしゃっていただく必要があると思う。それが2点目である。  3点目としましては、確かに話の中の大都市の従事者確保という事柄の御苦労があるということは私も幾つかの方面から聞いているが、現行制度では、標準的な報酬に比べて、特別区の場合、7.2%ぐらいか、高い水準というのか、そういう位置づけであるが、率直に見て、この大都市圏の単価、何%ぐらいの位置づけということが民介協としては妥当というふうにお考えになっているのか、それをできればおっしゃっていただくとわかりやすいかなと思う。  4点目、これはちょっと言いにくいことかと思うが、適正、不適正判断というのはなかなか微妙なものがあって、私個人としては、サービス提供責任者の欠落ということは重大な法令違反ではないかととらえているが、県によって、1か月でも厳しい対応があるところと、あるいは3か月でも緩やかな対応があるということで、これは口頭でははばかられるかもしれないので、後ほど追加資料ということでも結構であるけれども、都道府県による違いで、どんな問題点があるのか、それを示していただくと、我々としてわかりやすいなと、そんなふうに思っているが。 (石原意見陳述人)  1点目は、人件費比率、資料の中に協議会の数字も入れさせていただいてあるが、大体、私どもで70〜75となっている。 (堀田委員)  追加資料も多分人件費の話だと思うので、追加資料も絡めて、今の人件費の話をご説明いただけるか。 (馬袋意見陳述人)  村川先生の御質問に対してお答えさせていただきたい。  人件費比率について、今日、お手元にお配りした「ヒヤリング資料」の2ページに、人件費と利益率というところに、一部掲載をさせていただいている。2ページの介護サービス事業における事業モデルの(1)の質問の(2)の回答のところに、最低確保値というところであるが、売上げに占める人件費が75.8%という状態になっている。また、厚労省の経営実態調査の資料でも、人件費比率は84%になっている。  どれが適切かというところについては、先ほど理事長が申し上げたように、65ぐらいの数字が妥当ではないかと思っている。このことについては、3ページの(3)の(1)の回答のところに、人件費の割合については60%〜65%を目標にすべきだと認識をしている。それが1点、人件費のことである。  もう一つ、現在の報酬における人件費の割合というのをどう見るかということで、今日「追加資料」でお手元にお配りしたものについて、人件費の論点というのは、どこを人件費として見るかであるので、一番関係するのは、直接ケアを担当する者に対する人件費を報酬から見てみるというものをつくりました。  この表は、訪問看護、訪問介護、訪問診療という、在宅へお伺いしているサービスの中で、比較的プロセスとして似ている部分を挙げた。訪問看護を見ると、ここにあるように、単位数は60分未満で830単位。これは約1時間以内で1時間で8,300円の報酬になる。  それに対して、看護師の実質賃金が、これは介護労働安定センターのデータから取っているが、事業所別の内容からいうと30万5,000円、時間換算にすると、これに人件費の法定労働分を入れて、15%だとしても1時間2,100円の人件費になる。直接報酬費8,300円に対するところの人件費比率は25.4%になっている。  また、訪問介護は、ケース1、2、3で試算した。訪問介護の基本単価は、右にある身体、生活、予防とあり、その単位はここに記載されているとおりで、高い単価でも1時間4,020円の単位である。これは訪問看護100に対して48.4%の低い内容になっている。人件費は、訪問看護30万5,000円に対して、訪問介護員の人件費は20万9000円であり、これ訪問看護の68.4%である。48.4に対して68.4の人件費となっている。また、ケース1の場合、身体70、生活30で、予防は入っていないが、この場合でも人件費比率は41.9%となっている。  訪問診療は医療だが、在宅支援診療所及び一般診療所による在宅医学管理料プラス訪問診療という点数を月2回以上訪問し算定しないといけないので月2回の訪問として見た場合の単価から見ると、人件費は20.4及び31%。この表から、いかに訪問介護にかかわる人件費が低い報酬の上に、直接人件費が高い比率になっていることが言える。  もう一点は、これに関して、事務所には、それにかかわる間接人件費というのがかかる。管理者というのは、どこの訪問看護も介護も置かないといけない。これは同じだと思うが、訪問介護では提供責任者の配置を求められている。これは訪問看護、訪問診療にはない。よって、この間接人件費がサービス提供450時間当たり、もしくはヘルパー10名に対して1名配置というものが求められている。ということになると、報酬に対する人件費負担が高くある状態にありながら、なおかつ提供責任者の固定費をかけなければいけないというのが、実態である。  それから、もう一点、コンプライアンスだが、私どもの質に対する考え方に対して、矛盾するのではないかということだが、コンプライアンスに関しては、私どもは積極的にやっている。ただ、コンプライアンスという名称のごとく、不適切で行政担当者の個々の解釈での指導ということに対して、私どもはどこまでやればいいのかということに対して表現をしたものであり、守らないということではない。  それから、大都市の加算の件であるが、5ページ目を見ていただきたい。5ページ目の「地域格差」(1)のところの論点に書かせていただいているが、労働人件費、都市部と地域との格差は確かにある。これは、調査におけるところのデータから見ると、全国平均、東京平均から見ると、19%、時間給単価でも18%の差が今、発生している。現行報酬の特別区加算計算は、人件費は60%と見込んであり、国家公務員の地域係数0.12が掛かっているので、10.72円と計算されているが、人件費65%及び先ほどの地域係数をかけると11.24と想定をしている。このように賃金的には地域格差というのは見直しをしていただきたいという根拠である。 (馬袋意見陳述人)  サービス提供責任者の内容であるが、全国研修をしていると、本当に地域でサービス提供責任者に対して保険者が積極的に研修をやっている場所と、全く開いていないと言えるような場がたくさんある。それでありながら、求めていくことは、訪問介護はサービス提供責任者にかなりのことを求めている。様々な連携や調整をケアマネジャー、利用者、ヘルパー、これを含めて介護計画を作成し指導し、すべてを調整する、相当な能力を必要とする内容を求めている。実は、このサービス提供責任者に対する評価はなく、ここに対してどのように考えていくかというのも大きな論点であると思っている。 (堀田委員)  3点。1点目は「意見陳述要点」の最初、「現行単価よりも最低10%以上引き上げていただくようお願いします」ということについて。今回のヒアリングの論点の一つとして、どこまで経営努力で、どこまで報酬かということがあると思う。「ヒアリング資料」の4ページ(5)のa.を見ると、人件費割合が適正となるような介護報酬となっていないとも書いてあるが、ここを深めていただく形でもいいが、報酬10%以上引き上げという数字の根拠について、経営努力で何とかなる範囲と関連づけてお聞きしたい。  2点目、ヒアリング項目の中にもあり、人件費比率ということが何か所か触れられているが、職員の処遇確保ということを考える上で、人件費比率が持つ意味、人件費比率を一定確保しているということは、そこの事業所が介護職に対する処遇を確保しているということのメルクマールとして使えるのかを教えていただきたい。ヒアリング項目の人件費比率を公表することをどう思うかということの回答を見ると、余りプラスに作用しないんではないかということだったがどうか。  3点目、先ほどの答えを聞いても、サービス提供責任者の能力によって、職場づくり、あるいは定着率に影響があるという考えだったと思う。恐らくそれと関連して、4ページにサービス提供責任者の配置基準のことなども書かれていると思うが、サービス提供責任者が先ほどおっしゃったような役割を果たすために、適正な配置基準なり、要件なり、現任研修の在り方なりについての具体的な提案がもしあれば、あるいは報酬上のカバーでもいいが、具体的にお話しいただければと思う。 (馬袋意見陳述人)  人件費の10%についての、経営努力と、そこはどう考えるかという質問であるが、先ほどの追加資料でお示しした内容で見ていただいて、最後に身体中心の単価というのがあるが、この表のところに直接人件費比率を、仮に訪問看護と同等にした場合は141%の単価報酬を見直さなければいけない。ただし、直接人件費比率を30%とした場合は120%でというように、ここに記載してある。  私どもとしても、報酬は20%アップは必要だと認識はしているが、先ほどの経営努力とした場合に、やはり10%の経営努力というのが必要ではないかなということで、10%以上ということにした。どこが適切かというのは、事業規模でも変化する内容で、人件費だけとは言えない部分があろうかと思う。  それから、人件費を公表すること、そのメルクマールも基準にしてはどうかということだが、人件費の比率だけで質の担保ができるものではないと思っている。そういう面では、人件費という考え方は、経営者が自らその質を高めたり、そこの組織を高めていくのは、どのようにその人を評価し、給与を出していくかという経営のセンスの問題であるので、そのことをすべての評価にしていくものではないのではないかと思う。  もう一点が、サービス提供責任者の役割であるが、訪問介護はヘルパー派遣ではなく、介護というサービスをつくる業務というものをどのように設計して実施するかという業務供与の単位であるので、重要な仕事をする要としての位置づけがサービス提供責任者だと思っている。  現在の配置要件では、サービス提供時間450時間、もしくはヘルパー10名に対して1名配置ということで、1時間以上になるともう1名というように、突然固定費が上がるので、弾力的な措置として、基本的には1名常勤を入れて、それ以後は、パートであっても優秀な人材であればサービス提供責任者ができるように、弾力的にサービス時間や人員の比例で考えてはどうかという提案である。 (池田委員)  私の方から、おおむね5点ほどお聞きしたい。まず、サービス提供責任者がいないと介護報酬全額返せというのは確かにひど過ぎると思う。悪意で行われた場合は当然コンプライアンスに反するので、一定の処罰は当たり前だが、突然辞められて対応ができないよというのが続くということはある。例えば文京区のくすのきの郷は夜勤の配置の基準を不正申告したわけで、あれはちゃんと申告していれば3%の減算で済んだ。片方は100%。これは乱暴だとは思うが、一定の減算はあってもしかるべきだと思うがいかがかというのが1点目。  2点目、老計10号について、私も介護保険ができた中でも非常に重要な考え方を示しているものとして大変評価している。ただ、あれは使われ方次第で大変悪い使われ方をしてしまう。つまり、専門性のない人間がともにする介護というふうにやってしまったら、幾らでも広がってしまうという危険性を片方で確かに持っている。  そうすると、ともにする介護の専門性を担保するというのはどういうふうに考えればいいのか。例えば、老計10号に含まれている生活リハビリテーション的なともにする介護は、いっそ訪問介護から外して訪問リハビリテーションの方に持っていった方がいいのではないかという考え方も例えば成立する。つまり、よくやっているところは評価したいけれども、そこを評価すると、よくやっていないところも全部広がってしまう、これが介護保険の一番困ったところであり、その辺、何かいい知恵はないだろうか。  3つ目、地域差の問題だが、地域価格というのは、もともと国家公務員の調整給からはじき出した数字であり、根拠がないと言えば根拠がない。だけれども、それに取って代わる根拠というのは、一応出されているが、どこまで説得性があるのかというか、地域の一定の職種、産業の賃金みたいなもので見ていくとか、ある程度の客観的を持つ必要があると思うが、どう考えるか。  4点目、「ヒアリング資料」11ページの(5)「『調理は対象外とし、掃除は月2回、洗濯は月4回までとする』など月に使える回数を明確にする。それ以上にサービスを利用した場合は、相対サービスを利用していただく方向で考える」私はこれは賛成。  恐らく生活援助というのはこのような形でやらないと、認めれば無限に広がっていく。一方で、家族と一緒に暮らしているからそのサービスはあげない、家族と住んでいないからそのサービスはあげるというのは、これはどう考えても社会保険原理から外れている。社会保険というのは普遍的に給付するわけで、そういったことでやってはいけない。  ここまでおっしゃるというのはすごいが、ここの中で調理を除いているということ。実は調理が一番期待されているということがあるわけで、どういうサービスがあるかということをお聞かせ願えればありがたい。  相対契約はそれなりにやっているところもあるし、利用者の方も相対契約の方に踏み込んでくるケースは最近増えてきた。ただ、それが爆発的に広がらないのは、何らかの規制が邪魔になっているのかという気がする。例えば、30分なら30分身体介護をやって、その後、相対契約で家事代行的なサービスというのは基本的に認められない。また、一部NPOがエプロンの色を変えるようなことをしたけれども、あれは今、ほとんどだめになっているはず。そういう規制、邪魔になっている規制は何かあるのか。つまり、これを撤廃したら、もっと自由に動けるのにというのがあったら教えていただきたい。  5番目だが、これは話に出なかったので、むしろこちらからお聞きしたいが、今、使われているのは、身体介護は基本的に30分未満がほとんど。考えてみると、30分未満どころか15分未満でも十分ではないか。そうすると、もっと短時間に分割した時間に一定の介護報酬を付けると、回数が増える上に、非常にフレキシブルに使えるようになるので、うまく動くのではないか。今、たしか30分未満というのは20分以上でないといけないということが書いてあって、あれははっきり言っておかしいと思う。例えば15分未満をつくるとか、そういうような考え方は現実的なのかということ。 (馬袋意見陳述人)  まず、1番のサービス提供責任者の不在というのではないが、時間不足によって、そこはいなかったとして全額返還というのは現状、指導を受けている。やはりこれについては、ある程度、減算率という形でお願いをしたいというのが事実。というのは、その期間、例えば3か月間若干足らなかったら、3か月の全報酬を返せという形になるので、これは事業者にとっては、実際にサービスを提供しているし、提供責任者の少しの時間配置に問題は確かにあるにしても、その減算率は考慮いただきたい。  それから、老計10号に関して、老計10号の基本的な部分を読んでいただくと、確かにプロセスの項目が書いてあり、その前にアセスメントに基づいてという段階がある。したがって、問題は、アセスメントをしっかりして、その問題に対して、項目だけを見て、やっていいか悪いかという判断に論点が行っているところに問題があると思っているので、是非アセスメントというものがいかに項目と連動しているかという教育も含めてやらないと、市町村の方々は、ここに書いてある内容の項目だけの論点で入ってしまうので、そこのプロセスが足らないのではないかと思っている。  それから、生活リハビリテーションの問題があったが、ここについても、やはり本当にアセスメントがしっかりできれば、どういう方を入れるかというのは、ケアマネジャーとの連携になるが、介護として連携するときに、どこまでを私たち、どこまでをリハビリテーションのスタッフでやるか、連携してやるというようなことが考えられるのではないかと思っている。  また、地域格差の客観性というのは非常に難しい問題。ただ、今回、私どもが御提議させていただいたのは、そもそも地域格差を根底にされた根拠については、現在の枠でも当てはまっていないのではないかということを提示しているものであって、客観的な数字は、やはり御専門の方々により議論いただきたいと思っている。   (石原意見陳述人)  実は、私どものヘルパーたちが一番苦情を言われるのは調理。それは、80年とか90年、自分の味でずっと来た方が、若い人がちょっと行って、そこの家庭の味ができるはずがないわけであり、それに対して理解がないというケースが非常に多い。  私はよく、あなたたちは調理学校を出ているのではない、構わないと言っているが、現場というのはそれでは通らない。30分かけて調理を仮にしたとして、それで利用者に余り満足していただけなくても、その料金は非常に高いコストになっている。しかし、公的な支援を受けて生活をしていくというときに、一般の住民よりも高い食事を食べるということは普通はないはず。  日本は、どこでも大体、配食サービスが手に入るような状況になっている。そういったときに、配食サービスをすることによって、非常に調理という問題から解放されて、ヘルパーは、身体介護をやると2級から取るが、2級から介護福祉士に挑戦していくときに、常に調理学校に行くのではなくて介護福祉士の学校へ行くと、これは当たり前のことだが、介護の専門性であるということが自覚できる。  そして、未来志向で3年ほど調理の問題を、人的にも財源的にも無駄のないようにできるかということで、配食サービスをして、3段階に分かれるということがわかった。いわゆるボランティアのような形でお届けするだけで済むケース。もう一つは、専門性のあるヘルパーが10分入って環境整備をしたり、声かけをしたり、食事ができるような状況にして、それで十分済むケース。もう一つは、30分ぐらいかけてきちっと介助しなければいけないケース。  そういうことがきちっとできれば、財源的にも人手的にも非常に無駄が少なくて済むのではないかということと、苦情がそういったところから出てくるということはなくなる。そうすると、若いヘルパーたちが挫折せずに、継続して介護を目指していくことができる。こういったことは非常に大きいことだと思っている。  それから、相対に関してはいろんな制約がある。本来、相対に対して制約があるというのは非常に不思議なことで、相対というのはだれも公的なお金を使うわけでも何でもないわけなので、それに制約が入るというのはどういうことかなと常々思う。  それから、身体介護が30分ということで、20分以上を30分。やはり介護というのは生活の支援の中で時間でやっているわけではなくて、その中身で仕事をしている。しかし、ケアマネジャーたちはそれがわからないと、時間だけで組んだり、30分と言われると、家族や本人も、30分までまだ5分前じゃないのと、こういう声が現場の中で起こってくる。そこでいろんなトラブルが起こってくる。したがって、私どもは平成7年からいろいろと手がけてきたけれども、巡回で介護がずっと回っていけるような、そういった仕組みがもっと在宅に組まれていってほしい。ケアマネジャーたちが、まだ巡回のケアプランを立てられない方も非常に多いかと思うが、そこを誘導していただけると、非常に無駄のないケアが提供できるのではないか。 (池田委員)  もう一つだけお聞きしたい。利益率25%はすごく大きく見えるが、これは粗利のことか。 (馬袋意見陳述人)  粗利である。利益率をどこで包括するか、決めるかというところの問題で、事業所単位という内容で決めたときに25%必要だという考え方で見ている。その25%から、本部人件費、さまざまな管理費等を負担して経営しなければならないということである。 (池田委員)  事業全体では何%か。別に言質を取るつもりではなくて、イメージとして教えていただきたい。 (馬袋意見陳述人)  今の質問は非常に難しく、事業の形成期においても違うし、どこの利益率がいいか、例えば企業体でも、IT、または情報関係のところは、経常利益率40%台というのを出しているところもある。 (池田委員)  初期経費があるとすれば、こうならざるを得ないわけなのでそれはわかる。 (堀田委員)  人件費比率は処遇の確保のメルクマールにならないということで、それは私もそのとおりではないかと思っている。だとすると、どのような項目を公表していけば、ここの事業所は働きやすい職場づくりをやっているという情報になり得るのかということについて、もし意見があればお願いしたい。  もう一点。最初に意見陳述の適正と不適正判断の見解統一のところで、もう少し市町村が役割を担ってはというような意見があったと思う。先ほど、ケアマネジャーはまだ巡回サービスが組めるような力がないという話があった。監査とケアマネジャーの支援、両方の側面を含めてでもいいが、市町村、保険者レベルに訪問介護事業のより円滑な運営という上で、求めることが特にあれば教えていただけるか。 (馬袋意見陳述人)  まず、人件費比率ではならないという、先ほど先生からの質問に対して、では、何を担保にするかということだが、実は、昨年から始まりました情報開示という項目がある。これは、今やっているというところについて自ら公表する制度だが、具体的にどのようにやっているのかということを公表していくという、事業者自らのプロセス。そういった内容で、ここは教育に、または経営の中でどこを視点に、ということは、あの情報公表をもう少し生かしながら表現をしていくことで事業所を見ていただくというのも一つの案ではあるかと思っている。  それから、市町村のところだが、市町村に求めるところというのは、県、市町村、保険者によって解釈が違うということは、すなわち解釈をどうするかという基本的なマニュアル、標準のものがないのではないかと私は思う。したがって私たちも監査を受ける。監査をする人も監査を受けられる体制。認証機関も、認証機関を認定される場合は認証審査を受けるように、監査される方も監査をされるということが実証できる資格、またはそういった要件を明確に定めていただいて、この方に監査を受けて指導いただくのは納得するという状態にしていただきたい。行政の解釈の相違による不適正、適正の判断を事業所が悩んでいるところである。 (池田委員)  さっき25%の利益率にこだわったのは、1つは、相対サービスとの関係も絡むが、要するに、介護保険は社会保険なので、どうしてもそこの中の事業というのはローリスク・ローリターンにならざるを得ない。では、それでいいのかと言えば、そうではないのであって、ハイリスク・ハイリターンの部分だってあってしかるべきである。それが相対契約のサービスの中にあるだろう。その2つを足して、どのくらいが利益率なのかというふうに見る考え方と、介護報酬だけの場合は違う。ただ、今、介護サービス市場は成熟していないので、いきなりそれを出せと言われても無理なんだが、はなから介護報酬だけで25%というと、やはり何となく我々は、どこか違和感を感じてしまうということ。 (馬袋意見陳述人)  これはいろんな業態があると思うが、特に人が自宅へ訪問して事業を行う、例えば家事支援のメイド事業であるとか、そういった事業展開をしているところのフランチャイズチェーンのケースを言うと、フランチャイズはやはり5%ないし7%のフランチャイズのロイヤリティーを支払っても事業が成り立つ。と言うと、事業所利益で25%以上ないと、基本的に産業できない。25%以上ないと事業として、教育をしたり、投資をしたりという意欲ができないのではないかという論点である。 (古都振興課長)  介護のサービスをやる介護保険の給付と、相対サービスが連続でできないというのは、これはどこに規制があるのか。労働基準関係なのか、それとも介護保険法上の問題なのか。そこら辺、規制している理由がわかれば教えていただければと思う。 (対馬意見陳述人)  相対について、必ずしも都道府県が望ましいというふうにまず考えていない。都道府県によっては、まずは介護保険から漏れる横出し、外出しのサービスについては、地域の社会資源をまず使いなさいという指導をしている都道府県が多いということで、基本的には相対は使うなということである。  実際に今度は相対を使っている場合だが、基本的に相対でお金を幾らちょうだいするかという話になるが、私どもとしては、介護報酬の単価を一応、目安にして契約を結ぼうとするが、利用者もなかなか負担が増えるということで、できたら介護報酬の設定額より下げてくれと言われる。そうすると今度、ヘルパーから見れば、介護保険でやっているときは賃金幾ら、あるいは相対のときは幾らというふうになるので、働くヘルパーも相対を歓迎ということにはなっていないと、そういったことを含めて足かせになっているというふうに思う。 (田中座長)  規制だけではなくて、市場の未成熟の部分もある。  幾つか問題点が指摘されたと思う。減算の導入についての話など、社会保険制度の持っている本来の普遍性からすると、おかしい部分があると池田委員から言われた。また、今の相対の市場の、規制の問題なのか、未成熟なのか、両方だろうが、本来期待したようには相対が育っていない。調理と配食の違いを使い分けた方がよろしいなどがわかった。 (対馬意見陳述人)  池田先生の25%の話だが、私どもの会社でもやはり、売上げから介護原価を引いて、売上総利益で25%取らないと会社として成り立たないという状況である。これは販管費であり、管理部門だとか、あるいは介護報酬は2か月遅れて入ってくるので、この金利負担の問題だとか、あるいは今、国からも指導いただいているコンプライアンスの体制を強化するということになれば、内部監査室をつくって、そこにスタッフを教育して置くということになるので、かなり販管費が重たくなってきている。したがって、最低限25%ないと、まず会社として経営が成り立たないという状況である。決して私は25%が高いというふうに思っていない。恐らく30ぐらいないと、経常ベースで利益の確保は難しいだろうと、こう思っている。  今日のお配りしている資料の6ページ目だが、(1)に私どもの会員の制度改正前、報酬改定前の影響について記載をさせてもらっているが、18年の3月が制度改正前、報酬改定前。そして19年の3月で売上げベースで約17%減している。これはよく理解をいただきたいのは、決して介護報酬の改定だけで下がったのではなくて、実質、制度改正によって予防給付ができたということであるので、これが利用者減につながっているということである。  よって、この表からも、利用者数が6,129名いたのが、約1年半で5,187名ということになっている。取り分けこの事業者については、途中で特定加算を取っている。生き残るためには特定事業加算を取らなければならないというふうになるわけであるが、特定加算に移行するときは、利用者数はほぼ100%移行になるだが、その後、新規の利用者が増えない。これはほかの居宅から、あそこの会社は負担が増えるから新規の利用者は紹介できないよと、こういうふうになるわけなので、減る一方である。入院した、入所した、亡くなったという話になるので、特定加算を取ってしまうと、新規の利用者の増加がなかなか難しいという状況にあるので、是非そこも理解いただきたい。 (田中座長)  池田委員が言っていたのは、ビジネスモデルの話としては理解できるが、全部が介護報酬かどうかは別の話だとの指摘だったと思う。最後の説明もいただいて、また考えたい。 ○建部意見陳述人(有限責任中間法人日本在宅介護協会)より意見陳述。 (堀田委員)  4点お願いしたい。  1点目、1ページに特定事業所加算の話があった。この趣旨としては、いいところ、頑張っている事業所を評価しようということだったが、在宅協としては使いにくいということか。そうであれば、いい事業所の評価として、どういうやり方があるのかということに対して、提案があれば教えていただきたい。  2点目、これは確認だが、3ページ目、非常に興味深くこの事業モデルをお聞きしていたが、拝見していると、単純に利用単価を106.11%にすると仮定しているだけで、介護事業収入以外の人件費その他の費用は同じになっている。つまり、賃金の水準とか能力に応じた賃金の向上、キャリアアップや能力開発の推進とか、定着促進につながる職場づくりを現状よりも充実させるとどうなるかということはおりこまれておらず、労働条件や職場環境は現状と同じで、営業利益を5.01%プラスにするためには利用単価が106.11%になればよいということを示したいと理解すればいいわけか。 (堀田委員)  介護保険の改正前だが、こういった試算をしたことがあって、定着や能力開発促進のために必要な施策を講じると大幅な赤字になってしまうという結果になっていたので、もしここで定着促進のために必要な策を講じるとすると、労働環境は現状維持では106.11%だが、どれぐらいの利用単価の向上が求められるというふうに考えているのか。あるいは現状の職場でも、もっと定着促進が図れるというような考えでこういうモデルを出されたということなのか。  3点目、7ページ、サービス提供責任者の配置基準の緩和を求めるというのがあった。(6)のa.1つ目で配置基準緩和を求めるとあって、3つ目ですべての撤廃か、配置に対して報酬上のインセンティブを付加するかという二択で提案いただいているが、配置基準すべての撤廃、あるいは緩和ということと、配置に対して何らかのインセンティブをということと、サービスの質の向上ということを考えた上では、どちらがより望ましいと考えていらっしゃるのか。  4点目、9ページ、(3)キャリアアップの(1)で「加算報酬等によるリンクを図って給与水準を上げる等の対策が必要と考える」ということだった。もし、各事業所が働いている方々のキャリアアップをはかり、そのことがサービスの質の向上、結果として経営の安定につながるということであれば、あえて報酬で加算をしなくてもいいという考えも一方であり得ると思うが、それについてどういうふうにお考えか。 (建部意見陳述人)  忘れないうちにという意味で、4件目からお答えしたい。ここのところは確かにそういうのもあるが、仕事をする側から言うと、やはり報酬がついてこないと、ある意味、条項満足的なことになるし、それは幾ら私どもがそういった教育だとか、能力アップとかということをやって差し上げても、これが離職率の低下につながるとか、そういう効果というのは今のところは見えていない。すなわち、私どもが事業者として、しっかりとしたそういうサポートをしてもらえる、別の言い方をすると、ここの事業所にいたらキャリアアップが図れるというのをどうやって構築できるのか、報酬が伴うということを抜きにして、そういうことはあり得るのかということを考えると、なかなか難しいという意味で監査していただいている。  3点目のサービス提供責任者のことだが、これは実は非常に悩ましいところであり、報酬をつけた方がサービスの質が上がるのか、配置の基準を緩和するということの方がサービスの質を維持するという点から行くと、どっちがいいかという観点で考えると、非常にこれは難しいところがあり、基準の緩和をするとしても、配置の頭数、例えば10人に1人と、これを30人に1人だ、40人に1人だ、ないしは1事業所で1人だと、こういう緩和の方法もある。あるいは介護福祉士でなくてもいい、ヘルパー2級3年以上でなくてもいい、そういう緩和の仕方もあるでしょう。それから、この基準の緩和というのはかなり流動的な考え方ができようかと思う。  しかし、私ども事業者的な考えで行くと、どちらかというと報酬づけをしていただいた方がいいのかなという気もする。しかしながら、これも冒頭、紹介させていただいたように、全国に及んでいる。そうすると、採用の状況によっては、またこれ、協会でも判断がばらばらである。比較的高資格者の方々でも、採用がしやすい、まだそれほど窮していないというところは、基準を緩めなくて報酬づけの方がいい。ところが、都会地でなかなか苦労しているというところになると、むしろ配置基準をなくしてもらった方がいいということがあったりして、全体としてどこがミドルゾーンだというのもなかなかつかみにくいところがある。本当に正直に答えるとそういうことである。ただ、私どもの考え方として、どの道を取ったときにサービスの質が低下をするということがないと、それは念頭に置いてお願いしなければいけないなということは承知している。  2番目の訪問介護のところのモデルだが、これは委員の理解のとおりで、費用をそのまま横移動させているだけである。したがって、これは今の、少なくとも事業所ベースで収支が取れていないというところだけプラスに転じるためには、最低6%という数字をお示ししただけで、これを今の正社員であろうと、パートであろうと、賃金の引上げのために幾らのアップが必要であるかとか、または、キャリアアップのための教育研修のために幾らかけなければいけない、そのための部分は含んでいない。あくまでもそれは現状ベースにして、これぐらいでやっととんとんになっている。 (堀田委員)  特定事業所加算について、利用者からの理解が得られないとか、全体として厳しい評価だったが、よい事業所の評価をどう考えるのかという点については。 (建部意見陳述人)  一生懸命やっている事業所をどう評価するのかということだが、きちっとやっているところに対して加算をしようということは非常に方向としてはいいし、ありがたいと思う。ただ、今の仕組みを見ると、我々民間の一事業所で、平均的に300万ぐらいの売上げしかないとか、ケアマネジャーでも2人ぐらいしかいないとかいうのが平均的な民間の姿。  そうすると、例えばケアマネジャーのところなどだと、主任ケアマネジャーが1人いて、トータルで4人のケアマネジャーがいてという、もともと事業所の中でそれをクリアできているような居宅の支援事業所というのは、まず私どもの協会員でもほとんどない。考え方とか、それは非常に理解ができている。それもいい指標だとは思う。しかしながら、その中身が非常に厳しいなということである。ですから、この手法というか、この仕組みがふさわしくないということを言っているわけではない。私どもの協会員はなかなかクリアできないということ。 (村川委員)  4点ほどお尋ねしたい。まず、ビジネスモデル、大変よく整理をされているという点では、係数整理という点では評価できるが、ちょっと不思議に思うのは、3ページから始まる訪問介護事業、主にこの3ページのところでお尋ねしたいが、当面、この報酬改定、6%程度のものを要望というか、一つの目安というふうにされている。確認だがあくまでも2ページの下にある訪問介護の中で、担当レベルの訪問介護員は98%が非正規が前提で、サービス提供責任者については72%が非正規と、当然これを前提として、ぎりぎりというのか何というのか、6%という割出し方で、例えば積極経営として、この正規職員割合をいささか高めるということなどを通じて人材確保に資するような発想というのはないのかどうか、これが1点目。  2点目、この介護保険制度は社会保険方式の制度であるが、パートの方々に対する賃金が、決して私も無駄とは思わないが、いたずらに非正規労働を増やすという、こういう経営形態というものが、この従事者、あるいは福利厚生その他、妥当なのかどうかということがあり、社会保険の扱いが非正規、これは個々の事業体、会社によって、社会保険適用、労働保険その他、違うのかもしれないが、在宅協でやっているのところの平均的な従事者の方々の社会保険の加入に対する基本的な見解を示していただきたいというのが2点目。  3点目、仄聞するところでは、非常に大きな事業体を運営している、大変立派なことだというふうに思うが、訪問介護で、6%報酬改定で見ていくと、営業利益5%ということで、これは考え方によっては一つのビジネスモデル、適正利潤と言えなくもない数字かなという気もするが、もう一方で、これは会社のすべてではないかもしれないが、いわゆるフランチャイズ方式の手数料というか、実態というものをどう考えていくのか。そこの部分に対して、国民はどこまで保険料のつき合いをすべきことなのか。もし、そこについて何かお答えいただく点があったら御説明いただきたい。  4点目としては、私、説明の中でやや画期的に思ったのは、現時点では、国は今の現行基準から言うと無理だが、管理者の扱いについて、管理コストをできるだけ軽減していくというのも、これからの経営改革の一つの手法であって、確かに複数の事業所を束ねる管理者、大マネジャーみたいなのがいるのも一つのやり方かなと思う。勿論これは無制限にやると無責任体制になるので、事業所間の距離の問題、人数的なもの、いろいろな背景があるが、私個人の意見としては、むしろサービス提供責任者はサービスの質、内容という点で明確に正規職員中心に、もっと強力な配置をしていただきたく、管理者については、提言のようなことは注目に値すると思っているが、何かこの点について更に補足説明いただけることがあったらお願いしたい。 (建部意見陳述人)  人材の質を上げて、または、雇用形態を改善をして、もっと離職率を下げるとか、サービスの質を上げるとか、そういうことを反映させた報酬改定という視点はなかったのかというふうに理解しているが、これは先ほどの堀田委員の質問と非常に重なった部分があり、アップ率を策定するときに、おねだり的なことは少し控えようかというところで、少なくとも赤字になったんでは事業の継続はできない。とんとんであればということで、合わせたのが6%。したがって、雇用形態の改善とか、募集の改善とか、教育研修の向上とか、そういった要素を織り込むと、おのずからこの6%では収まらないということ。  それはどれぐらいが適正だということを今回、検討したのかということについては、そこまで踏み込んでいない。  それから、社会保険のところであるが、非正規の社員であろうと、パートであろうと登録であろうと、これはやはり労基の方から適切な指導をいただいており、正規に対して8割の労働時間の就労をしている者については社会保険に加入をするということの指導があるので、協会員は、その措置は全部取っていると理解している。だから、今、会社によっては週6日もあれば、毎週5日だけという会社もあるが、それの4分の3以上の就労をしている者については、社会保障の加入義務がある。その法規は守っているという状況である。  それから、フランチャイズについては、協会員では実はフランチャイズでビジネスを営んでいる者はないので、申し述べるような見解は持ち合わせていない。  また、管理者の配置について、これは冒頭、報告させていただいたような考えであり、指摘のとおり、野放図ではいけない。支障がない限り、どこまでが支障があるかないかというのも、これはまた所在により極めてドミトリー性の高いエリアであると、結構5つでも6つでもいけるという形かもしれない。しかし、地方へ行くととんでもない距離があるということになり、それはちゃんとした管理能力があるのかということもあるので、必ずしもそこのところは一律な提言は難しいが、ただ、考え方として、より生産性を高める、利用者のサービスの質の向上につながっていないような、いわば形式的な規制については、これはやはり緩めていって、それによって事業所の経営がプラスに転ずるのであれば、それは是非検討いただきたいという意味で説明させていただいた。 (池田委員)  2点ほど教示を願いたいが、先ほど300万ぐらいの売上げが平均的だよとおっしゃったように、恐らくかなり小規模の事業者がたくさん存在しているというのが、この在宅介護サービスの実態ではないかと思う。全国展開をしている少数と、中堅規模が余りなくて、非常に多数の小規模な事業者があるという実態の中で、恐らく事業の規模によって随分違いがあると思う。例えばキャリアパスをつくれと言っても、小規模のところはできるわけがない。そういった面で、実態として、一定の規模を持った事業所と、それから小規模がある意味で乱立をしているという、事業所の規模の違いによってどんなことが起きているかということを教えていただきたい。  2点目は、小規模事業所は、比較的軽度で生活援助に傾斜している可能性が強いんではないかと思う。軽度の生活援助はある意味で締められたわけで、私個人から見れば、将来的にそれが拡大するとも思えない。  5ページのところで「予防介護導入、報酬改正によって訪問介護サービス時間が短時間となり、全体のサービス量、規模が縮小して、働く人の収入も減少し」云々というのがあって、後段の方で外せという、要するに、従来どおり自由にやらせてくれればいいではないかというのがあった。おっしゃる意味はわかるが、それは現実的な提案になるだろうかという疑問を感じている。  つまり、これからの介護事業、介護サービス事業の展開を考えていくと、そういうふうに展開していくのか。むしろそこのところはすっきりと、例えば民介協の方の言うように、要支援というのは要介護ではないので、家事援助系のものをするにしても、例えば掃除は月2回、洗濯は月4回とか決めて、それ以外は相対契約でやるというふうにした方が事業としては非常に見やすいのではないか。むしろ軽度のこういった生活援助系を残していくと、ぶれが激しいものだから、事業体としても将来どうなるということで、安定感がないのではないか。そこのところはすっきりと制度で割り切ってやった方がいいではないかという考え方もあると思うが、それは小規模がかなりたくさんあるということから見ても無理なことと考えるか。 (建部意見陳述人)  事業所規模によって確かに経営の内容が違っている。私どもが320という数字を出したのは、ほかのデータを見ていると、大体2年連続で、平成14年が292万円、平成17年が295万円というのが公的なデータとして示されており、295万円のときも平成17年の3月においては事業所単位で月額2万円5,000円の欠損が出ているというデータもあった。 (池田委員)  これは事業所レベルでということか。 (建部意見陳述人)  そのとおり。 (池田委員)  たくさんの事業所を持っていることもありえる。例えば10個以上の事業所を持っているというのはどのぐらいあるか。 (建部意見陳述人)  私どもの会員で言うと50社未満かと思う。 (池田委員)  極めて少ないと理解してよろしいか。 (建部意見陳述人)  極めて少ない。2万6,000の訪問介護事業所がある中で、全国でとらえてみても、恐らく200台にとどまるのではないかというふうに推察する。それは統計の方のデータがあろうかと思う。収支の取り方が大きな事業所と小さな事業所とおのずから違ってきて、大きくなると、部分的にはスケールメリットが出る。  すなわち、地域の信頼があって、ネームブランドみたいなところだと、1事業所でこの場合の500万ぐらいやっているというようなところだと、それこそ損益分岐点が下がってくる。したがって、同じ単価でも経営の中身は変わってくる。  ただ、ある規模を過ぎてしまうと、これは適正に管理するために、ことにコンプライアンス等の点からすると、どうしても間接部門のコストがかかってくるかと思う。そうすると、必ずしも、1か所よりは10か所の方が楽だというのもなかなか、一律な形としては出せないかと思う。 (池田委員)  コスト的に大規模の方がたくさんメリットがあるよと言うつもりは全くない。ただ、コンプライアンスの問題であるとか、キャリアアップシステムの問題であるとか、サービスの品質向上の取組みであるとか、やはりある程度規模がある方がはるかにメリットがあるという、そういう理解でよろしいか。 (建部意見陳述人)  その点はそのとおりである。したがって、何を申し上げたかったかというと、やはりサイズが大きくなると、いわゆる粗利益率の中から可処分の利益というものが生じてくる。そうすると、小さなところよりは、より手厚い、十分な教育研修とかに回せる余裕が出てくるというのはそのとおりである。その点が小さな事業所と大きな事業所の、その辺の部分での違いかと思う。それが多分、一般論的に言って、小さなところよりは大きなところの方がコンプライアンスもしっかりしている、サービスの質もいいものを維持できる仕組みがあるはずという常識論につながっているのではないかと思う。  それから、家事援助について、確かにこれも大きなところと小さなところとか、事業形態について、営利法人なのか、非営利なのかとか、そういうことによってもまた違ってこようかと思う。ただ、私どもは家事援助の部分もしっかりと保険の中で維持していただきたいというふうに申し上げたのは、家事労働を社会化するという視点からしても、そこの部分は保険の事業と考えている。財源的に言えば、税で賄おうと保険料で賄おうと、トータルでは同じではないかという考えもあるし、そうであるならば、どちらが介護の苦労を社会化できるかというような視点で見た場合、これはやはり保険の中で維持するというのは、私どもの協会としては、それなりの意味もあるんではないかと考えているということである。  もう一つは、委員の指摘のあったような見方もある。小さな事業所はそれが頼りになっている、しかし、将来、保険の中からいろんな形で離れていくということを前提に考えた場合、事業所経営は非常に不安定ということは、それはそのとおりかと思う。ただ、今、いわば地域密着的に、そこの地域で小規模に、一生懸命まじめにやっている皆さんは、そういったリスクを含んだサービスをやっているということは事実である。 (池田委員)  誤解を避けるために、先ほどの事業の規模の問題だが、私は大きければ大きいほどいいとは言っていない。ただし、小さ過ぎると、かなりいろんな問題が起きてしまうのではないかということを聞きたかったということである。  もう一つは、介護の社会化というのは、私たちもスローガンとして使った。ただ、家事労働の社会化などと言ったつもりはない。家事労働の外部化は必要だと言った。家事労働の外部化は必要なので、外部化したときに、その費用を一体だれが負担をするのかという問題が次にやってくる。それは自分で負担するという考え方がある、保険で負担するという考え方がある、税で負担するという考え方がある。税でやる場合は恐らくは特定の人間に限られるということになるだろうというところで、介護の社会化と家事の社会化というのはちょっと意味が違う。これは別に論争の場ではないので、間違いがあるということだけ明らかにしておきたかったということ。 (古都振興課長)  さきほども同じ質問をしたが、混合介護を考えたときに、保険の給付と、相対でやる、契約でやるサービスと、これについて何かネックがあるのかどうか。先ほどの座長の整理も、規制の問題なのか、利用者がそう理解していないのかどうか、それで進まないのか。つまり、保険給付のサービスをやった後に相対サービスがもしできていないとするならば、それは何がネックなのかということを教えていただきたい。 (建部意見陳述人)  私どもの会員の平均的なところとしては、利用者の皆さんの財布が小さいということ。要するに、自分の出せる範囲で、それ以外のところは周辺に支えていただくということ。どうしても今の保険のサービスだけで自立ないしはADLが下がる、そういう恐れがあった場合、まず頼るのは実際に実物で労働としてサービスとして支えてくれる人にお願いをする。そういう方々が全然いない。しかしながら、経済的に余裕があるという方は、そういった相対の方を優先をするということになる。  非常に極端な例だが、都内のある地域では、これはまた極端な、しかしながら、現実に存在するので申し上げるが、介護保険のヘルパーのサービスはプライオリティーから言ったら2番目。最初にそのサービスを入れるのは自費の相対。そういうエリアもある。それは何と言ったら、要するに家計の余裕度の違いである。仕組みではない。 (古都振興課長)  もう1点、管理者について「他事業所への指導やフォロー、サポート、バックアップ等においても禁止され」というふうになっているが、これはどこでどう禁止されているのか。 (建部意見陳述人)  これは、今回の一連の検査、指導の中で、実際にそういう御指導をいただきました。新人さんの管理者なので、ベテランのお隣の事業所、歩いていける距離、これが指導に行くと、一定期間、立ち上げのときに。常勤とは認めがたいということで指導いただいている。現実にある。 (古都振興課長)  自治体ということですか。 (建部意見陳述人)  そのとおり。 (田中座長)  確かに一般の世の中で言ったらちょっと厳し過ぎるかもしれない。  サービス提供責任者、管理者をめぐっての議論があった。それから、今の生活援助を含めて、保険給付どこまでというのも議論していただいた。   ( 休 憩 ) ○佐々木意見陳述人(NPO法人全国認知症グループホーム協会)より意見陳述。 (池田委員)  グループホームは介護保険が生み出した、ある意味で認知症最大のサービスということで、高く評価しているが、聞きたいことが絞って2つ。  1つは、グループホームの介護報酬というのは、要介護1から5までフラットになっている。基本的に25万円〜27万円ぐらいに並ぶ。保険給付は25万円〜27万円支払われているにもかかわらず、そこで働いている人間の給料が16万円〜18万円というのはどう考えてもおかしい。社会的公正に欠ける。そうすると、何とかしなければいけないというのは絶対あると思うが、まず1つ聞きたいのは、フラットになっている介護報酬をそのままでいいのだろうか。これはなかなか難しい問題だと思う。厳密に言うと、認知症は不幸にして進行していくので、自立度2で入っても、そのうち3、4になってしまう可能性もある。最後までお預かりしてケアするというのであればフラットでもいい。しかし、軽いところだけでお金をもうけて、あとは知らないといったら、これは絶対に信頼されなくなる。ところが、当初、グループホームというのは軽度の認知症ということになっていた。そこのところの整理は一体どうなっているのかというのが一つの話。  データ的に言うと、グループホームを利用されている方は、半分が要介護1、2。 (佐々木意見陳述人)  概ね2.2ぐらい。 (池田委員)  ほかのデータで見たが、介護給付の分析をすると大体半分。要介護1、2というのは、今度は認知症の分布を見ると、自立度の2以下。認知症自立度2というのは、間違った対応をしなければ十分に在宅生活が可能な人たちである。3以降になるといろいろと問題が起きてくると思う。そうすると、ちょっと気になるのは、認知症で手のかからない人たちを入れておいて、そこでやっている人たちがいるとすると、今のようなフラットな傾斜ではなくて、むしろほかの施設のような傾斜、特養や有料老人ホームのような傾斜にした方がいいのかな、その判断、どっちがいいのかということが1つの質問。  2つ目は、グループホームに入っているお金は介護報酬25万〜27万と言ったが、それだけではない。当然のことながら家賃、食費、光熱水費がある。厚生労働省の調査のデータだったと思うが、大体、家賃が4万円で、食費が3万5,000円で、光熱水費が1万5,000円ぐらいが平均、ということは合わせて9万円払っている。9万円でいいのかということがある。なぜ9万円なのか、それはなぜ15万円ではないのか。  つまり、給付が25万〜27万受けている人たちをケアしているスタッフが16万〜18万というのは絶対おかしい。介護報酬も考えなければならない部分もあるかもしれないけれども、利用者も考えなければいけない部分があるのではないか。  介護保険は社会福祉ではなく、社会保険であるから、当然、利用者の方にも責任があるし、払えない人については別途の施策を置くべきであって、普遍的には9万というのはどう考えてもおかしいと思うが、それはどうにもならない問題なのか。それとも経過的な問題なのか。  ほかの在宅サービスだとか特別養護老人ホームのような介護保険施設と比べると、そういった意味では、自分の財布から出すお金についてはかなり自由度が高いのは有料老人ホームと特定施設とグループホームのはず。最初にその2つについて、基本的なお考えを聞かせていただきたい。 (佐々木意見陳述人)  2番目の方からでよろしいか。なぜ9万円なのかというところについて、私の解釈がもし間違っていたら教えていただければと思うが、住居費は少しは幅があると思うが、食費、光熱費等については、基本的に実費相当という考え方がまず取られているかと思う。したがって、これについて、実費相当という部分に幅が相当出てこないと、現実としてはその部分でいただくというのはまず一つ難しいのかと思っている。  それから、住居費の部分については、これは非常に地域差がある部分かと思います。都市部と、私は新潟県で行っているが、非常に田舎の場合と、住居に関するコストは相当違うので、そんな中では相当差があるということは認識しているが、やや自由度があるのは住居費の部分なんだろうと思う。したがって、少し違った考え方を整理していかないと、また、名目のないものをいただくということもおかしいので、そこら辺りの整理がまず基本的に入ってこないといけないのと考えている。  9万円か15万円かというふうな議論、確かに利用される方々の御負担、負担可能な部分に関して、必要なものに対して負担いただくということは考え方としてはわかるが、ただ、実費相当という整理をしていったときに、その辺、どういうふうに考えていったらいいのかなというところがある。  それから、第1番目の、比較的グループホームはフラット、これは前回の介護報酬の改定のときにも話し合いに出たというふうには聞いているが、先生おっしゃったように、適切な対応があれば家でも可能な方がいる、それは確かだと思うが、実際かかわりや見守りをしていくということが、労力も含めて非常にかかっているということは率直に感じている。そんな中で、基本的にはやはりフラットな形、確かに重度になったら出ていただいていいのかということには基本的にはくみしないし、かかわった以上、勿論、何もかも抱え込めばいいかという問題ではないと思うが、ただ、人が人として生活をしていくということを考えたときには、余分な移動ということ、またロケーションダメージを与えるようなことは避けるべきだろうと考えているので、その辺は先ほど先生がおっしゃったとおりではないかと考えている。 (池田委員)  私が率直に心配しているのは、要介護1、2のグループホームの介護報酬は在宅の支給限度額をはるかに突き抜けていること。在宅のサービスと完全にバランスが崩れている。したがって、例えば小規模多機能の場合は、在宅の支給限度額の8掛けみたいなところで線が引いてある。そこで突出しているのがグループホームということになる。そうすると、それなりに理屈を持たないともたなければならない。  もう一つは、介護保険はケアに関する部分は全面給付であって、一部給付であってはならないという思想は持っているが、では、ケアの必要性というのはどこまでかということ、これはなかなか科学的に立証しにくい部分もある。取り分け認知症の場合は。そうすると、内容のないものでお金をもらうわけにはいかないという佐々木さんのおっしゃることは100%わかるが、付加価値サービスを付けるような形でもってその部分の理屈が立つような話というのはできないのか、どうなのか。食費の場合も、実費とおっしゃっている中に調理費は入っているのか。 (佐々木意見陳述人)  今まで、調理そのものは、多くのグループホームの場合に、利用者と職員一緒に同じ調理場でつくることが圧倒的に多いかと思う。 (池田委員)  それをケアと呼ぶのか、調理と呼ぶかによって負担が違ってくる。というところの幅みたいなもの、要するに、グループホームはこれだけ費用がかかると線を引いてほしい。その下に介護報酬の線を引いてほしい。真ん中が空くわけだが、空く部分について、利用者の負担の線を入れていただく。それで本当に空いた部分が介護報酬にはね返るのか、あるいは介護報酬が下がる場合もあるが、それを1から5まで、いろんなシミュレーションがつくれるのではないか。角度をフラットにするのか、傾斜にするのかという、そういう議論をしないと、なかなか本当の意味での改善、改革にいかないのではないかということを感じる。 (堀田委員)  4点。1点目、12ページで離職率の状況をお示しいただいている。開設時期とか法人格によって離職率が違うということが出てくるが、離職率は、事業所属性による影響が大きいのか、それとも、事業所の雇用管理の在り方によるところが大きいのか、経営者や管理者の資質によるところが大きいのか、ここに出ているような事業所属性だけではなくて、離職率に与え得る要因として何が考えられるか。  19ページについて、住所地限定による弊害というのが挙がっているが、これを挙げられた趣旨として、住所地限定を取っ払ってしまった方がいいという趣旨なのか、この趣旨を確認させていただきたい。  3点目、20ページで、職員の不安要因のトップが「夜勤に何が起こるかわからない不安」ということだったと思うが、これは夜勤の体制の問題と考えるのではなくて、どちらかというと緊急時の対応の仕組みや能力開発が問題だというふうにとらえていると理解してよいのか。この職員不安に対応することとして、夜勤体制の検討はもう十分だということか。  4点目、21ページの賃金水準のところ、なかなか結婚して子どもをということにならない、続けたいけれども辞めてしまうという方が多いということだったが、どれぐらいの水準が妥当だと思っているのか。何とも漠然としているが、何を横で参照しながら考えれば妥当な水準だと納得がいくのか、目安として何かアイデアがあれば教えていただきたいということ。   (佐々木意見陳述人)  まず、離職率に与える要因について、今回、私どもの行った調査の中では、これ以上のものというのが実際出ていないというのが正直なところなので、これ以上のものについてはかなり憶測が入ってくるかなと自分の中で思っている。ただ、幾つかのヒントとして、後段の御質問とも関係するわけだが、職員が不安に抱える要因等々が一つのヒントにはなるのかというところで考えている。  今回、ここを少し強く出させていただいたのは、これはやはり放置できない状況と認識をしているというところ、そこをどう改善していくかに我々も取り組まなければいけないと思うし、制度としても、ただ、はっきりしない中では難しいとおっしゃる部分もあるわけだが、まず実態を出す中で一緒に考えさせていただければというふうな意味合いが大きいかと思う。 (堀田委員)  そうすると、現時点では、経営者の資質であるとか、あるいは雇用管理の在り方による影響というのは、データとしてない、感触としてもお持ちではないということか。 (佐々木意見陳述人) そこら辺りになると憶測がかなり入るかなと、全く影響がないとは思っていない。例えば、ここに職員が不安に思っている給与とか、それから夜勤体制というふうな2点に絞られるのかといったら、それだけではない部分もあるとは思う。決してそこを否定しているわけではないが、持たないものがあるということで理解いただければと思う。  あと、住所地限定に対する弊害についてだが、一つの弊害として申し上げたけれど、これは国の方では、住所地、その市町村に限るとはどこにも書いていない。その認識は保険者の方での了解が取れれば可能であるというふうなことはたびたび聞いているわけだが、残念ながら市町村単位に行くと、非常に住所地に限るという現実が起きているという意味にとらえていただければと思う。したがって、それを制度的に取っ払った方がいいというよりも、そこに利用者と家族の生活実態、その地域の実態の中で柔軟におえるような形がよりできていけばいいのではないかというとらえ方をしている。  それから、職員の不安要因について、特に夜勤の部分についてだが、これもこれ以上の資料を持たないということが正直なところではあるが、事業所体制として、1人で夜勤の段階で、サポートするスタッフがどんな形でとか、あと医療体制のことも含めてあるのかということは一つの課題としてあるかと思っている。  もう一つは、極めて単純に、夜間1人ということの圧迫感も含めた不安感、それが1ユニットではなくて2ユニットとなったときの大きさもあるのかなと、これは1ユニット、2ユニット限らず、1人ということの不安ということも一つはあるのかなというふうに考えている。  それから、給与水準、どれくらいの水準、どこを見てというところが非常に難しいが、ここは私の私見を言う格好で御了解いただければと思う。協会の総意かというと非常に難しいところがあるが、前の団体のヒアリングのときにも出ていたかと思うが、正規雇用、非正規雇用云々の件でいったときに、正規雇用が増やせる体制が何とか取れないのかなというふうに考えている。  ましてグループホームは24時間認知症をお持ちの方とおつき合いをしていく中でということで考えたときに、ケアの質を担保していくときに、例えばの話、夜勤だけのパートタイマーみたいな勤務そのものが現実的だろうか。そのときに、きちんとやはり正規で雇用できるようなもの、まず、そこの底上げということが一つ大切かなと思っている。ただ、冒頭に言ったように、では何%、どれくらいという部分に関しては、正直、ちょっとデータとして持っていないので、その辺で理解いただければと思う。 (村川委員)  今の堀田委員の質問とほとんど重なっているわけだが、私も確かに介護報酬改定という方向での改善策もあるけれども、現行の運用改善の中で御努力いただくべき面ということで、地域密着型のサービス自体は私も評価しているが、確かに弾力運用ができないために定員に空きができてしまったりというような指摘はやはり検討すべき課題だと思われるが、勿論、野放図に広域でいいというふうには私も思わないが、8名とか9名とか、非常に小さい定員の中で1割か2割か、そういうところは少し広域的な利用、この制度が都道府県指定から一挙に市町村指定で変わったので、関係者も戸惑っている面もあると思うが、何か運用改善の中でこうしてほしいというような要望があれば、少し補足説明をいただきたいというのが1点。  もう一つは、離職率に関連して、お出しいただいたペーパーの中で、21ページであるが、協会傘下の法人の調査対象の中で、社会福祉法人の方が定着率がややよい、あるいは医療法人の方がややよい、企業系がやや厳しいというようなことも出ているが、この辺りの解釈というのは、例えば福祉法人と、ほかに同じ法人が特養、通所介護など、別の事業所を持っていたり、医療法人であると老健施設とか、そういう含みというような辺りへの期待感なのか、それとも給料表というべきか、そういう基本的な組立てができているところと、そうでないところの違いというふうに考えるべきか、特に企業系で、もう3分の1近いと見ていいと思うが、この数字を機械的に当てはめれば、結局、3年に一遍は全員が変わってしまうみたいな、数字だけで単純化して言えば、そういうちょっと恐ろしい数字なので、いろいろと考えていかなければならないが、この法人主体別の辺りで何か分析されていることがあれば、少し教えていただければと思う。 (佐々木意見陳述人)  まず、地域密着型サービスの運用改善について、先ほどの住所地のことも一つの例かと思うし、例えばケアマネジャーは基本的に必置ということになっているが、その常勤換算のとらえ方等についても、かなり市町村、都道府県によって差がある。例えばある都道府県だと、ケアマネジャーさんが週40時間中、ケアマネジャーとしての勤務を要する時間が32時間というところもあれば、20時間というところもある。例えば人件費一つ取っても、これだけ小さい規模なので、相当差が出てくるという現実があるかと思う。  そこら辺りのことや、市町村も、地域密着になったということで、まだまだ慣れていないところがあるが、これは非常に言いにくいことを勝手に言いそうだが、市町村に行けば行くほど厳しい解釈が多くなるというのを率直に感じている。字面で追いかけられると、かなり厳しいところは正直に感じている。  先ほどの住所地のこと一つ取っても、例えば、私は新潟県で仕事をしており、今年、ケアマネジャーの専門研修の最初の講義は全部私が行ったが、そのときに、この住所地のことをケアマネジャーに話しても、ほぼ全員がだめではないのかというふうな解釈をしている。それはケアマネジャー側の問題もあると思うが、基本的にそういうふうにおっしゃること一つ取ってみても、住所地を、本当の生活実態、利用者サイドに立った上でどうなのかというところにかかると、さまざまな面で、市町村に対して働きかけていただけるとありがたいなと思っている。  それから、離職率等について、これもきちんとしたものを持っていない。株式・有限、医療法人、社会福祉法人、データを見るとそういう順になっているわけだが、これがどの程度の有意差で見たらいいかというのは非常に難しいところである。ただ、先ほども指摘があったし、申し上げた32%という数字は本当にびっくりしたというのが本音。  そんな中で、あえて今の段階で言えるかなと思っているのは、1つには法人格の給与水準と割と似てきている。その上の表にあるように、法人格の給与水準がやはりその順になっている。ただ、これが本当にきちんとそのままそっくり当てはまるのか。  もう一つは、グループホームで働いてくれているスタッフの多くは、認知症の方や、そこにかかわる喜びも本当に持ってくださっている人たちが大勢いるので、本当に彼女、彼らが働く喜びが持てるような給与だけではなくて、研修とか、彼らがより専門性を高められるような機会とか、それは事業所規模が小さい中でなかなかできていないのか、これらもきちんと見なければいけないと考えている。 (古都振興課長) 4ページの読み方だが、さっきちょっと気になったのは、2ユニットで1億円ぐらいの建屋で、償還が年額500万ぐらい。そうすると、2ユニットだから18人で割ると、2ユニットで1億で、年額500万。 (佐々木意見陳述人)  元金である。 (古都振興課長)  償還、元金がね。そうすると月40万強となる。そうすると、1人当たりどのぐらいか、頭割すると2万強ぐらい。無理なく負担できる額ではないかなという気がしていて、介護サービス収入の外に出ているわけである。そうすると、建物費用が経営に、人件費に影響を与えるとはちょっと思えないのかなという気がいたしたものだから、そうすると、人件費、この数字をずっとながめていたときに、一体どこに数字が行っているのかな、収入がというのをちょっと教えていただければと思う。 (佐々木意見陳述人)  正直なところ、私、一つひとつ精査はできていないというのもあるが、そんな言い方をしては失礼になるかと思うが、確かに住居費の部分に関して、どう考えたらいいかな、私の中で、全体の中で数えてきていたものだから、一つひとつ、それはどこに行っているという部分に関して、そうおっしゃると、そうですね。 (古都振興課長)  要するに、事業活動のところの経費がかなり高く見えてしまうので、経理率が35%。それでかつ事業活動収支で見れば7.8、更に粗利が出ているというのは、要するに、もう少し、平たく言えば人件費に回ってもおかしくないという気がちょっとしたもので、いったい経費はどこに消えているのか。さっき言った建物費用は既に外側として取っていて、先ほど500万であれば、平均でも大体、月4〜5万は払っているはずなので、1人2万円ずつ取れば賄えてしまうとするならば、この経費とは何かというのを教えていただきたいという趣旨。 (佐々木意見陳述人)  今日はちょっと持っていないもので、改めて別の機会に整理をしてきたい。 (田中座長)  答えられなければ、後日でも結構である。 (鈴木老人保健課長)  1点だけ。一番最初の全国介護事業者協議会の資料の中で1点訂正があり、議事録にとどめておく。  「ヒアリング資料」の5ページ目、地域格差の問題で、提案の方の地域係数が本来「0.19」であるところが「1.14」と誤って記載されていたので、そこだけ、後ほど訂正させていただきたい。   ○鈴木老人保健課長より次回開催の日程を告知。閉会。 - 1 -