07/11/05 第14回 医薬品・医療機器等対策部会の議事録について 第14回医薬品・医療機器等対策部会         日時 平成19年11月5日(月)         14:00〜16:00         場所 霞ヶ関東京會舘ゴールドスタールーム ○ 事務局   開会に先立ちまして、傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、 既にお配りしている注意事項をお守りくださいますようよろしくお願いいたします。  定刻になりましたので、ただいまから「第14回医薬品・医療機器等対策部会」を開 会いたします。本日の部会は従来の取扱いと同様公開で行うこととしております。カ メラ撮りは議事に入る前までとさせていただきますので、マスコミ関係者の方々にお かれましては、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。  本日ご出席の委員の先生方におかれましては、ご多忙のところ出席いただきまこと にありがとうございます。本日は岩月委員、原田委員は欠席との連絡をいただいて おります。したがいまして、本日は本部会委員13名中、11名の出席をもちまして部 会を開催させていただきます。  また、事務局に変更がありましたので、紹介させていただきます。医薬食品局安全 対策課松田安全対策課長です。続いて、安全対策課安全使用推進室長の倉持で すが、本日は急な用にて欠席です。続いて、独立行政法人医薬品・医療機器総合 機構の川原安全管理監ですが、本日急用で欠席の連絡がありました。同じく、独立 行政法人医薬品・医療機器総合機構安全部の三澤安全部長です。  それでは、以後の議事進行は桜井部会長にお願いいたします。よろしくお願いいた します。 ○ 桜井部会長  では、僭越ですが司会をさせていただきます。最初に資料の確認をお願いします。 ○ 事務局  それでは、資料の説明をさせていただきます。お手元に第14回医薬品・医療機器 等対策部会の議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表があります。座席表に ついては若干、人員の記述が異なっている部分があります。申し訳ございません。  続いて資料1、A4縦の右上に四角で資料1と書いてあるもので、「第19・20回ヒヤ リ・ハット事例収集結果」についてです。その下に、別添1とA4横の右上に四角で書 いてあるもので、別添1が1綴り、別添2、別添3、があります。続いて別添4からは、 医療機器に関するもので、別添5、別添6となっております。資料1はこのような構成 になっています。  続きまして資料2、A4縦の右上に資料2「医療法改正の概要」と書かれている1綴 りのホッチキスで止めてあるものです。資料3、こちらは「医薬品類似性検討ワーキン ググループ検討結果」と書かれた題で、全部で21頁まであります。資料4「医療機器 安全対策検討ワーキンググループでの対策状況」と書かれており、途中でカラー刷 り等がありますが、最終は、右下に18頁となっているものです。  最後に参考資料です。こちらは当部会の設置要綱、次の頁に模式図、それから、 医療安全対策検討会議の設置要綱等であり、全部で4頁です。資料の乱丁、過不 足等がありましたらお申し出ください。資料の説明は以上です。 ○ 桜井部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、議題の1ヒヤリ・ハット事例 の収集結果の説明を事務局からお願いします。 ○ 事務局  それでは、議事次第に従ってご説明申し上げます。まず資料1、「第19・20回ヒヤ リ・ハット事例収集結果-医薬品・医療機器情報について-」をご覧ください。  次の頁に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構の平成19年度第1回医薬 品・医療機器安全使用対策検討会結果報告です。今般、検討いただいたヒヤリ・ハ ット事例の範囲としては、財団法人日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等 事業の第7回及び第8回の報告書の中で、医薬品及び医療機器に関するヒヤリ・ ハット事例の記述情報及び医療事故事例を収集範囲としております。ヒヤリ・ハット 事例の発生年月日は平成18年1月から平成18年6月まで、報告期間は平成18 年2月14日から平成18年8月14日までとなっています。また、医療事故事例は 平成18年7月1日から平成18年12月31日の間に報告された事例です。  今般、この検討方法については、医薬品・医療機器に起因するヒヤリ・ハット事例 について、医薬品・医療機器としての観点から安全管理対策に関する専門的な検討 を行うため、いわゆる、各種職能団体や学識経験者及び医薬品・医療機器製販業 者の代表から構成される「医薬品・医療機器安全使用対策検討会」を開催し、医薬 品、医療機器等のものの要因に係ると安全対策について、検討いただきました。  この検討会について説明させていただきます。資料1の最後の頁をご覧ください。 これまではヒヤリ・ハット検討会という有識者の会議で検討をいただいておりましたが、 総合機構において、検討する情報ソースをひろげ、医療関係職能団体や医薬品・医 療機器製造販売企業団体の関係者にも参加いただき、医薬品・医療機器安全使用 対策検討会という検討会を本年6月に発足させております。まず、公表されますヒヤ リ・ハット事例記述情報について、製販業者の団体による安全使用検討ワーキング を形成して、また、情報ソースとしては、ヒヤリ・ハット、医療事故情報のほかにも、不 具合報告等の中からヒヤリ・ハット等と考えられるものについても検討をいただいて おります。安全使用検討ワーキングで検討された内容を医薬品・医療機器安全使用 対策検討会に提案いただき、こちらで従来のヒヤリ・ハット検討会と同様に有識者等 の皆様で検討いただき、報告いただきました。  また、位置づけの図で、安全使用対策検討会から、医薬品・医療機器安全使用情 報(仮称)となっておりますが、総合機構医療安全情報として、使用上の注意のポイ ント等の説明を総合機構インターネットホームページに掲載する情報提供の仕方を 考えています。この安全使用対策検討会の位置づけの説明は、以上です。  1頁目にお戻りください。3.医薬品・医療機器安全使用対策検討会における検討結 果です。今般、検討いただいた事例については、対象記述事例総数は292件でした。 そのうち、医薬品に関連する事項が170件、医療機器に関連する情報が122件でし た。  その内訳は、1)医薬品・医療機器の安全使用に関する製販業者による対策が必 要または可能と考えられる事例が医薬品では4件、医療機器では7件でした。  2)製販業者等により既に対策がとられているもの、もしくは対策を既に検討中の事 例について、医薬品については18件、医療機器については25件でした。  3)情報不足のため製販業者による検討対策が困難と考えられた事例、もしくはヒュ ーマンエラーやヒューマンファクターに起因すると考えられた事例について、医薬品に ついては148件、医療機器については90件でした。対策が必要と考えられた情報に ついては、前回、前々回と少し数字が減っている状況です。  2頁目と併せて別添1をご覧ください。(A)医薬品関連について1)医薬品の安全使 用に関する製販業者等で対策が必要または可能と考えられた事例です。  (1)浣腸後のショック症状等に関する事例です。具体的な事例については、別添1 の1〜3に記載してあります。こちらは、グリセリン浣腸液を施行したときに、トイレで ショック症状で倒れてしまったという事例です。この事例については、グリセリン浣腸 に限らず、浣腸による強制排便時には、迷走神経反射による血圧低下、ショック等 が起こる可能性があるということで、浣腸による手技を伴う有害事象と考えられ、注 意喚起が必要と検討会で検討されました。  こちらにつきましては、添付文書の中にグリセリン浣腸におけるショック症状等の事 例を記載する旨、検討をしております。なお、記載方法については、グリセリン自身 のショック症状ではなく、グリセリン浣腸液という容器を含めたもののショック症状とい うことであり、その点を使用上の注意等で注意喚起したいと考えております。  (2)ヘパリンの1mL当たりの単位誤認に関する事例が別添1の2頁の4番にあり ますが、ヘパリンを1mL当たり100単位と勘違いして投与してしまったという事例です。 ヘパリンについては、ヘパリンロックの適応しか持たない製剤、血液凝固阻止の適応 を持つ製剤、透析専用の製剤の主に3つに分けられます。それぞれ1mL当たりの単 位数が異なり、ヘパリンロック用は1mL当たり10単位または100単位、DICや血液 塞栓症等の効能効果をもつ製剤、ここでは仮称としてマルチ用と略しておりますが、 それについては1mL当たり1000単位の製剤です。また、透析用のヘパリンについて は、1mL当たり150から500単位の製剤です。このヘパリン製剤の名称の記載等に ついては、本日の医薬品類似性検討ワーキンググループの報告の方でヘパリンの 販売名について検討した内容を報告します。  続いて、資料1の3頁目と併せて別添4をご覧ください。医療機器の安全使用に 関する製販業者等による対策が必要または可能と考えられた事例は全部で5件で した。1件目は人工呼吸器の電源に関する事例であり、具体的事例は別添4の1番 目です。、人工呼吸器をAC電源に挿し込んだつもりでずっと使っていた事例で、実 際はバッテリーで動いていて、8時間後にバッテリー切れのアラームが鳴ってしまった というものです。人工呼吸器の使用に関しては、まずその使用に際してAC電源を取 ることが基本ですので、使用前の点検や使用中の点検について、きちんと電源を確 認することが必要です。なお、本件については日本医用機器工業会人工呼吸委員 会の協力を得て、人工呼吸器がバッテリーで作動するものか、バッテリーなしで作動 するものかについては調査をしており、その内容については精査して総合機構のホ ームページ等で情報提供して医療機関へ注意喚起をする予定です。  続いて(2)のリークアラームとウォータートラップに関する事例が別添4の2頁目の2、 3、4です。こちらの事例は、人工呼吸器の回路の途中にウォータートラップといって 水が垂れてくるところを作っているものです。こちらをご覧ください。ここがネジ式にな っていて、ここに溜まった水を空けて捨てるという構造になっています。ただ、キャップ を取っても中の空気の流れを保つために、ここにバネが付いていて、いわゆる押した 状態で開いて下に水が溜まって、引いた状態では閉じて、このまま、中の空気は流 れていくという状態になっています。ですので、ウォータートラップの水を換えるために 下を取っても、リークといって漏れが発生することはなく、そのまま人工呼吸回路が 正常に使えるというものです。  今回、ここに挙げられている事例については、ウォータートラップの、水を空けた後 の閉じ方が緩いばかりに、いわゆる空気の隙間が先に空いてしまい、ここからエアー が漏れているということです。それでいろいろ注意喚起がされているところではありま すけれども、キャップがしまっているように見えるところがあり、ここから漏れているの がなかなか気が付かないという事例でした。  続いて3番目の加温加湿器と人工鼻の併用に関する事例、別添4の5番目、4頁 をご覧ください。前回も加温加湿器についてはご説明申し上げましたが、人工呼吸 器の中で、患者さんの口に酸素を送る際にそこを加湿してあげるのが加温加湿器で すが、これは暖かい蒸気が患者さんの口に寄ってくると。その口元に人工鼻といって、 いわゆるフィルターが付いているものですが、そこに湿気がたくさん溜まってしまうとフ ィルターが詰まってしまうという事例です。加温加湿器やネブライザーを人工呼吸の 回路の中に付けている際は、人工鼻のようなフィルターを付けてしまうと、湿気で詰 まってしまうという事例です。これについては再三そういう注意喚起がなされている状 況です。  こちらの事例については、人工鼻と加温加湿器の併用禁忌ということで添付文書 にも記載されておりますが、なぜ併用禁忌なのかその理由等も明確に記載するのか など、もう一度添付文書の内容について検討して、正確に記載するなどが必要と考 えます。  続いて4番目のシリンジポンプとシリンジの適合性に関する事例、別添4の5頁を ご覧ください。いわゆる、シリンジポンプを使用する際には、そのシリンジポンプに適 合したシリンジを使うことが原則です。今回の場合、フローランを入れたシリンジが、 使用したシリンジポンプと適合性がなかったということです。ですので、シリンジポンプ はシリンジとの適合性がシリンジのメーカーやサイズによって異なるため、使用者が 該当するシリンジ名やサイズ等の適合性を確認した上で装着が必要となります。  医薬品のシリンジ製剤については添付文書の中で何社製のシリンジポンプを使う よう書かれておりますし、また、シリンジポンプについても何社製のシリンジを使用す るよう、もしくは専用のシリンジを使用するよう記載はされています。医薬品側のシリ ンジ製剤についてはシリンジ製造会社が不明な製品や、使用できるシリンジポンプ、 もしくは自社のプレフィルドシリンジが何社製かということの情報が必要になるかと考 えています。そのようなことを製販業者に確認できるよう総合機構で検討いただいて おります。  続いて5番目の人工透析回路における抗凝固剤のフリーフローに関する事例、別 添4の6頁、事例の7番をご覧ください。これは、透析をする際の抗凝固剤を投与す る場所についてです。本事例の原因の詳細はこの具体的内容だけでは不明な部分 も多くありますけれども、抗凝固剤の投与ルートが透析回路の動脈側のポンプよりも 動脈側にあるか、もしくはダイアライザ側にあるかでこのような事例がおこるというこ とでした。動脈側にあるタイプでは回路内が陰圧のため、シリンジポンプとシリンジの プランジャーが正しくセットされないと落差に関係なく、透析回路内の陰圧に引かれ て急速注入が発生したことなどが考えられます。  また、現在財団法人日本臨床工学技士会がまとめた「透析用血液回路の標準化 に関する報告書2006」の中では「抗凝固薬注入ラインの設置部位は、抗凝固薬注 射器のセットミスやライン断裂時に、エアーの吸入を防止するため、血液ポンプと動 脈側エアートラップチャンバーの間に設ける。」とされており、添付文書等における注 意も必要と考えております。通常、血液ポンプと動脈側チャンバーの中に抗血液凝 固剤が注射されるということで、この事例はある程度回避できると考えております。 以上簡単ですが、資料1について説明させていただきました。 ○ 桜井部会長  どうもありがとうございました。それでは、ご意見、ご質問あればお願いします。 ○ 寺井委員   最初の1頁に、件数の中で3)情報不足のため、または、製造販売業者による検討 対策が困難と考えた事例もしくはヒューマンエラー、ヒューマンファクターに起因する と考えられた事例が、70%から87%あるということでしたが、情報不足というのは、入 力側の問題なのでしょうか、また、これがどのぐらいの件数なのかを、ちょっと教えて いただきたいと思います。と申しますのは、各施設記述情報は、かなり入力を、しっか りやっている、労力をかけていると思いますので、そこのところをお教えいただきたい と思います。   ○ 事務局  今回、記述情報の総数292件に対して、情報不足のため、いわゆる製販業者等に よる検討対策が困難もしくはヒューマンエラー、ヒューマンファクター等のものと分類 した事例については、ここに掲げておりますとおり、148件、90件でした。これらは、日 本医療機能評価機構が公表いたします記述情報の公表情報を基にしております。 各事例の情報としては、資料別添3にありますように、具体的内容、背景・要因、改 善策についてです。ですので、これ以外の情報につきましては、やはりわからないと いうところが実際です。 ○ 寺井委員   情報不足とされた事例は、どのぐらいですか。   ○ 事務局   報告書によりますと、情報不足のものと、それからヒューマンエラーのもの、ヒュー マンファクターのものを合わせて148件もしくは90件としておりますので、何件が情報 不足のためとされたのかは聞いておりませんでした。   ○ 寺井委員   意見になるかもしれないのですが、よろしいでしょうか。各施設それぞれ労力を払 って入力をしていると思いますので、もし、情報不足ということでしたら、さらにどのよ うな情報が必要なのかということをフィードバックしていただくことが重要かと思います。 と申しますのは、もし、この中の大半が情報不足であれば現場の労力も無駄というこ とになると思いますので、是非そこのところはご検討いただければと思います。      ○ 事務局  記述情報につきましては、以前、日本医療機能評価機構にお聞きした際、報告さ れた内容をそのまま公表しているということでしたので、記述情報ではない全件コー ド情報等につきましては、きちんと集計されていることだとは思いますが、記述されて いる内容につきましては、公表されている内容と思います。ただし、いま先生が言わ れましたように、追加できる情報があるのであればその点につきましては、評価機構 に検討いただくようお願いしたいと思っております。 ○ 桜井部会長   これはやっぱりこの席に評価機構の方とか、総合機構の方がいらっしゃらないとい うのは、ちょっと問題ですね。いまのような質問が出たときに的確に答えられないので はないですか、どうなのでしょうか。   ○ 事務局  評価機構のほうは、ヒヤリ・ハット事例や事故情報を収集、分析することが仕事な ので、その結果を公表しております。また、その公表された内容につきまして、総合 機構のほうで、医薬品や医療機器の専門的観点から対策が必要かどうか検討して います。今回、結果報告をいただいた総合機構のほうからは、安全部部長に出席い ただいております。 ○ 桜井部会長  そうすると、いまのご質問は、その情報不足がどのぐらいあるかということは非常に 大事なことだと思うのですね。 ○ 安全部長  数については、後ほど調べます。 ○ 桜井部会長   要するに何が重要か、何がポイントかということをわきまえないでただ数字だけず らずら並べても何の意味もないのですよ。   ○ 安全部長  私どもといたしまして、評価機構からいただいている情報を最大限に生かして、分 析した結果はこういうことですので、これ以上の対応となると評価機構の方と話し合 う必要が出てくるかと思います。 ○ 桜井部会長  だから、分析するときに何が大事かということをよくわきまえて、情報不足がどのぐ らいとか、あるいは、その対策がヒューマンファクターがどのぐらいとか、そういうこと をやはり数として分類されないと解決につながってこないわけですよ。くそも味噌も一 緒くたにされたのでは、どれが味噌だか、どれがくそだかわからないというのと同じで す。 ○ 木下委員  この別添3で、具体的に見てみますと、本当に情報不足だというのはどれかなとい うぐらい少なくて、ほとんどがヒューマンエラーやヒューマンファクターということが圧倒 的に多いみたいです。「情報不足のための」という事例と後半の「ヒューマンエラー」と はちょっと意味合いが違いますので、それを分ければいまのような問題は、限られて くるように思います。そこを分ければ、いまご意見のようなことを考えればいいので、 あまりそのこと自体大きな問題にはならないと思います。それを見ていただけません か。今度分けて出されればこれは減ると思います。 ○ 桜井部会長  ありがとうございました。ほかございませんか。どうぞ。 ○ 吉澤委員  グリセリン浣腸の浣腸後のショックの事例ですが、これは単純に医療事故というか、 過誤ではなくて、副作用の問題が最初にあり、そのあとの患者さんへの対応の問題 と、2つに分けて考えたほうがいいと思います。グリセリン浣腸の添付文書を調べて みましたところ、まだ記載が不十分であると考えられますので、今後は業界のほうと 行政当局とでお話させていただいて、添付文書をまず整備していくという方向で進め ていきたいと思っております。 ○ 桜井部会長   ほかよろしいでしょうか。 ○ 目黒委員   シリンジポンプのところで、シリンジポンプが本来使うべきシリンジポンプではなか ったという別添4の6の事例なのですが、これは6番に限らないのですが、臨床工学 の現場としては、そのシリンジポンプにこの注射器が合わないという事例はたぶん把 握していると思うのですね。ところが、こういうふうに内容を病院の中で、発信する場 所に発信がうまくできない。当院でもあったのですが、輸液ポンプに合わない輸液セ ットが採用されているとか、そういう事例が時々あるのです。  こういうふうな材料とか、医療機器に関わるもの、薬などが変る場合に、必ず臨床 工学部門の人たちに、MEの人たちにもちゃんと声が届いて、その届いたときの反応 が病院の中にまた、フィードバックできるようなシステムづくり、あるいは、そこら辺の 対策も合わせてやっていっていただきたいなと思います。  というのは、実は1例としてここでKCl(塩化カリウム)の濃度の高いアンプルがほぼ なくなってきて、私たち人工心肺でよく高濃度のカリウムを使うのですが、通常の三 方活栓、あるいは注入ポートから入れられないシステムになっているのですね。我々 は高濃度のものを使うために、直接容器の中に混注ができないような状況ができて、 非常に困るという事態が実は起こっているのです。  わざわざ注射器の針の部分のキャップを取り外して、また注射針をつけてその注射 器から必要な用量だけひいて、それで混注するというふうな、我々は使うところが心 臓血管外科関係で限られているのですが、非常に不便を感じているところがありま す。  ですから、そういうふうなものが変わるときには、使っている現場とか、いろんなとこ ろの意見が反映されて変わっていくというのがすごく助かるのですが、確かに、これで 事故はかなり減るとは思うのですが、その分、不便なところも出てくるので、そこら辺 を考慮した意見交換する場があればいいなと思います。  先ほどの話では、きちんとその機械に合うものが買われるようなシステムを、病院 の中できちんと構築していかなければいけないなというふうに、ものと関わりない組織 とかいろんなところで考えなければいけないこともあるということを、一応考えていか なければいけないと思うのです。以上です。 ○ 桜井部会長  どうもありがとうございました。 ○ 石川委員  石川です。1つだけ、ちょっと定義の確認をしたいのですが、いまの「製造販売業者 等による対策が必要または可能」と書いてあるその「等」というのは、どこまで含んで いらっしゃるのか確認をしたいのですが、これには使用者も入っているということでよ ろしいのですか。 ○ 事務局  はい、両方入っていると思います。 ○ 石川委員  一応、そういうお答えだと想定して、私は問答表を作ってきたのですが、そうすると、 ここの中でやはり例えば添付文書を直した方が良いとか、具体的な例とか、それが やはり病院の中で、目黒先生がおっしゃったように、どういう情報をうまく必要なとこ ろに展開するのか、というところも合わせて、コラムを2つに分けておいた方が本当は 見る方がわかりやすいのではないかと思いました。  例えば、先ほど言った別添4の7件だけを見ますと、私からすると、7件のうち1番 目はたぶん検討済みなので、別添5に入るべきではないかと思うのですが、2番、3 番、4番は、使用者に対しての確認の行為を要求しているわけなので、使用者側気 をつけてくださいねという意味合いを持っているし、あと例えば6番とか、5番とか7 番は、メーカー側も添付文書を含めて手当てした方が良いということだと思うので、そ のように2つ明確に分けていただけるといいのではないかと思いました。  そのことと同じことが、別添5のほうはまだお話になってませんが、同じようなことが 言えて、どちらかというと、使用者に対する案件というのは、この25件のうち約半分 は、私からするとありますので、そういう意味では、この場でちょうど両方でお使いに なる方もそれから作る側も両方で注意しましょうね、という意味合いがあると思います ので、良いのではないかと思いました。  もう1つ、最後の意見は「詳細は不明ですが」と書いてあるところ、先ほどの目黒委 員がおっしゃったところのシリンジポンプなのですが、やっぱり詳細が不明であるとい うのは、なんとなくあまり気持いいものではないので、推定するとこうこうこうだというこ とで、限定されてもいいのかと思うのですが、こういう場なので、できれば、こういう推 定原因がこうだったということで、お話されたほうがいいのではないかと思うのですが、 いかがでしょうか。 ○ 事務局  いま石川委員のほうからご指摘のありました件につきましては、1つは製販業者だ けではなく、医療関係者も注意換起が必要ということで、先ほど申し上げましたように、 両方とそのように記載させていただきました。どちらかだけで十分だということではな いという意味合いで、一応あげさせていただきました。  それから、本事例の原因等の詳細不明であるがという事例をあげていく点につきま しても、1つは、こういう事例があったということの問題提起といいますか、もしくは皆 様方に事例として、詳細不明でわからないという分け方でしてしまうのではなく、あえ てこういうこともありましたということも、皆様方に事例として報告しておきたいというこ とで、あげさせていただいているものもございます。なお、いま委員からご指摘いただ きました点につきましては、十分検討させていただきたいと思います。 ○ 桜井部会長  よろしいですか。 ○ 石川委員  いちばん大事なのは「等」ではなくて、たぶん役所に行くから書きづらいのかもしれ ませんが、せっかくの場なので製造販売業者及びとか、または、使用者においてもと 書いていただくと、たぶん、見ていらっしゃる方とかいいのではないかと私は思います ので、是非、タイトルから考えていただければありがたいと思います。 ○ 桜井部会長  ほかに何かございますか。 ○ 土屋委員  この4月から医療機器の安全管理責任者と医薬品の安全管理責任者が各病院に できたということは、1つにはこういう情報をどう伝えるかということについての、明確 な情報の伝達先は決まったのですが、こういう今回の結果とか、そういうものというの が何か仕組みとして、そういう人たちに伝わりやすくなるようなことは、何かお考えな のか、それとももう既にあるのか、それともホームページ等へ各自が見に行きなさい というような形になっているのかということです。 ○ 事務局  まず、いま土屋委員が言われましたように、この4月から医療法が一部改正になり まして、医薬品の安全管理体制が強化されております。医薬品もしくは医療機器の 安全確保の責任者の設置が義務付けられておりますので、まず、製販業者等にお いては、提供する情報の伝達先を明確なところに伝達していただきたいこと、それか ら、医療機関においては安全確保のための責任者について、院内の必要な部署・人 員に情報が伝達されるように、注意徹底していただきたいと思います。  それから、先ほど出てましたように、総合機構等の情報提供のホームページ等で、 情報提供する方法もあると考えております。 ○ 土屋委員  こういうことに対して、例えば、総合機構は確かプッシュ型の情報提供というのを、 メールアドレスを登録しておいたように思うのですが、この種の情報についても、そう いうような機能はお持ちなのでしょうか。 ○ 安全部長  このような情報に基づいて、添付文書を改定されたり、あるいは、仮称ということで ご紹介させていただいているのですが、医薬品・医療機器安全使用情報ということで、 特に添付文書を改定されたものの中で、イラスト等についてわかりやすくお示しした ほうがいいと思われるものについては、そういう情報を、私どものホームページ上から 提供させていただくこととしております。  そのような新しい情報がホームページに載った場合には、プッシュ型メールというこ とで、登録していただいた医療関係者の方々に対して、メールを配信させていただく というサービスもしております。ただ、残念ながら登録者数が少ないものですから、こ れを増やすという努力を今しているところです。 ○ 土屋委員  おそらく、そういうプッシュ型のものがありますよという宣伝といいますか、その情報 が例えば、医薬品安全管理責任者、医療機器安全管理責任者の方へという名目が はっきりしたタイトルでくると、いま医療機関は、その人たちにいろいろ回すということ をやると思うのですが、医療機関のほうにそれがきてもなかなか現実としては回らな いということもあります。  是非、そういうふうに明確な相手を指名した形でこういうものがありますよということ をやると、かなり実際安全管理責任者、何していいのかというのがまだわからない部 分というのもかなりあって、よく質問をされるものですから、そういうような形で、こうい う出てきた情報をフィードバックしていくというような、あるいは情報をとりにいくという ことの仕組みをきちんと作っていくことが必要ではないかということです。 ○ 望月委員  いま資料1のいちばん最後の「総合機構医薬品・医療機器安全使用対策検討会 の位置づけ」のことが最終的にどこにどのようにつながっていくのかということが、非 常に重要であるというご意見がほとんどですね。そういう目で見ると資料1では、 PMDAのホームページで公開するとまでは書いてあるのですが、例えば、その先は 各職能団体のホームページとのリンクまでしか行ってなくて、その先がどこまで行った のかが見えません。  あるいは、厚生労働省の安全対策課が対策等を通知、これは、どのような形でどこ に行くのかがよく見えない。以前からここの部会で話した内容が、通知の宛先が大き な所に行ってしまって、その先どこに行くのかわからないということは、何回もここで議 論になっていたと思うのですね。  やはり、せっかく委員の皆様がここでご議論され、その前にPMDAでいろいろな対 策についてご議論され、その結果出てきた対策情報というのが有効に活用されるよ うに、もう一段階次の行き先をきちんと明確化しておくといいのかなと思います。 ○ 桜井部会長  ほかいかがでしょうか。何か対策というかありますか。 ○ 事務局  今ご指摘がございましたが、対策等の通知について具体的にどうなるのかとか、 PMDAのホームページから実際どういう形で、さっきプッシュ式の云々というのがあり ましたので、そこもうちょっと明確にわかるように、少し仕度させていただきたいと思い ます。 ○ 桜井部会長   このシェーマーでわかるように、次回お書きいただければと思います。毎回出てい る話だと思うのですが、やはりフィードバックがいちばん大事で、それが的確でないと、 非常に労作をまとめていただいても、空振りになってしまうので、是非、その辺は1つ 考えていただければと思います。  そのほか、よろしゅうございますか。ありがとうございました。  それでは、その次の報告事項ですが、最初が「医療法改正の概要」ということで、 説明をお願いします。 ○ 医療安全推進室長  それでは、医政局のほうから説明させていただきたいと思います。お手元の資料2 をご覧いただきたいと思います。「医療法改正の概要」というものです。これ自体は、 既に本年の4月から施行されているものですので、先生方よくご存知のものかと思い ますが、報告をさせていただきます。  1頁めくって最初の2枚は、平成18年の医療制度改革の中で、医療法等の一部を 改正する法律として改正が行われたものの全体像です。  このうち2枚目の4「医療安全の確保」ということが項目としてあがっております。具 体的な内容としましては、大きく2つ医療安全支援センターの制度化、医療安全の 体制確保の義務づけと、それから、ここでは行政処分を受けた医師等の再教育の義 務化等があります。  次の頁4番目の「医療安全の確保」ということですが、基本的な考え方としては、医 療法において、医療安全の確保に係る医療機関の管理者の義務をきちんと規定す るということによりまして、医療安全の確保という施策の方向を明示すること。それか ら、都道府県等が設置する医療安全支援センターについて医療法に位置づけるとい うことです。  もう少し、詳しい改正の内容は、その右下、「改正内容」とあります。まず、最初医 療安全の確保に関する法律上の規定を新設するということで、従前まで、医療法に は医療安全の確保ということについての規定はありませんでしたので、今回法律に 明確に位置づけました。何を位置づけたかについては、次の四角ですが、医療機関 の管理者に医療安全確保の義務づけということです。  具体的な内容は、その次のスライド、あるいは3頁目を開けて下に書いてあるもの になりますが、「医療機関の管理者が為すべきこと」ということで、1つは医療の安全 を確保するための指針を策定する。2つ目、医療の安全を確保するための委員会の 開催。3番目、この医療の安全を確保するための従業者に対する研修の実施という こと。  次の頁のその他の措置として、医薬品・医療機器の安全使用のための責任者の 設置。それから院内の事故報告制度と医療の安全に係る確保を目的とした方策の 策定と、それから、医薬品の業務手順書、医療機器の保守点検計画の策定といっ た内容になっております。  具体的に、通知につきましては、その次の頁に添付しているとおりです。既に今回 の医療法改正の前から、施行規則によりまして、病院、有床診療所までは、やって いただいている内容プラスアルファーですが、今回の改正によりまして、すべての医 療機関及び助産所でこのような安全管理の体制を整えていただくということが決まっ ています。以上です。 ○ 桜井部会長  何かご質問、ご議論、ご意見ございますか。3頁目の下の表の(※一体的に対応す ることも可)というのは、どういう意味なのでしょうか。 ○ 医療安全推進室長  その研修につきましては、その上に下のほうからポツで5個目ぐらいの所にある「医 療安全に係るための職員研修が2回、それから、院内感染のための研修が2回と やりまして、更に、医療機器等についてもやってくださいということなのですが、これは、 それぞれ年に2回というわけではなくて、年に2回やる中で、トータルとしていろんな 内容をやっていただければいいという意味です。 ○ 桜井部会長  この指針の策定で、一体的に対応するというのは、どういうことですか。 ○ 医療安全推進室長  これも従前、例えば「医療安全管理指針」というものと、それから、「院内感染のた めの指針」というものが別々に作成されている病院もありますが、それを別々にする ということではなくて、1本の指針の中で書いていただいてもよいということです。 ○ 桜井部会長  何かご質問、ご意見ございますか。この指針というのは、各医療機関が個別に設 定するということなのですか、それとも何かスタンダートというか、基準というか、そう いうものがあるのでしょうか。 ○ 医療安全推進室長  各医療機関で、個別に設定していただきたいと思っておりますが、それを作成する 際に、いろんな団体のほうで、作成されているモデル指針のようなものがあるようで すので、そういうのを参考に、しかし、各病院の実情に合わせて作っていただきたい と思っています。 ○ 桜井部会長  よろしいでしょうか。 ○ 目黒委員  いま病院のほうで、私は医療機器安全管理責任者ということで、保守点検の計画 とかをいまやっているところなのですが、マンパワーが足りないところで、結局具体的 に始めますと、保守点検等は添付文書に従ってやるとか、いろんなことを考えますと、 とてもできそうでないことがたくさんありますので、そこら辺をいまどういうふうにして、 どこを大事な所と見て、それでどこの項目の所を点検していかなければいけないかと か、それから、あとはきちんと全部やる場合には、臨床工学士なり、あるいはそれか ら機械がきちんと揃っていれば、定期点検もそれに合わせてできるのですが、できな いところは、当然他のメーカー、あるいは、そういうふうな保守点検ができる所に出さ ざるを得ないというのが現状なので、法律は施行されて逐次行われている所はある とは思うのですが、まだまだ試行錯誤であるのが、当院の場合もそうなのですが、現 状だというのがいまの状況だと思います。ちょっと意見が現状報告みたいな形になり ますが、一応、そういう状況です。 ○ 桜井部会長  ありがとうございました。別にいつまでにという期限はないのですか。 ○ 医療安全推進室長  この体制は、本年の4月から各病院で整えていただくということになっています。経 過措置も設定いたしましたが、それも3カ月間でしたので、既に切れているという状 況です。 ○ 桜井部会長  よろしゅうございますか。それでは、もしご意見がなければその次にいきたいと思い ます。その次は、医薬品類似性検討ワーキンググループの報告、土屋委員お願いし ます。 ○ 土屋委員  資料3をご覧ください。表紙にございますように、医薬品類似性検討ワーキングが 過去2回開催されまして、その中で大きく注射薬の容器の施用部位の表示について の話と溶解液で、実は溶解液を溶解液と思わずに、本薬だと思って投与したという 事例があったものですが、そういうものに対する対策をどうするかという話と、3つ目 のポツから5つについては、名称の付け方についてのルールの原則をきちんと定め たというものです。  既に平成12年の935号通知というもので、一般則として、ブランド名プラス剤型プ ラス規格というような一般則は決まっておりましたが、今回、ここに載っておりますの は、それのちょっと例外的なことになる場合があり得るので、そこについて、今回原則 を決めたということです。  まず、1頁目ですが、これは業界では、親切表示というような言い方をするのだそう ですが、「静注」とか「点滴」とかという言葉が、ラベルの所に四角で囲って載っている 施用部位を表示する際の表示方法についてです。これは、法定事項ではないのです が、いわゆる、これに主に使うということで載せているわけです。  実は、その用語が多数あって、そこでまた誤解を招いてはいけないということで、今 回、基本的な標準について、原則ということを決めました。いちばん大きいところは、 従来「点滴静注用」というような書かれ方をしていましたが、「点滴静注」という言葉 は、静注というものと点滴静注というものが、何か似たような所があるのではないかと いうことで、「点滴」あるいは「点滴専用」という言葉を使うことによって、静注をされな いようにしようというようなことを、言葉としては大きく変えたのは、そこの「点滴」「点 滴専用」という所に新しく言葉を作りまして、「点滴静注」という言葉が消えると、静注 をするものは静注、両方やるものは点滴というものと、静注というものがございますが、 少なくとも点滴静注という不安ワードのものは今後なくすというようなことです。  次は2頁です。部位を示す場合に、今度は何々をしてはいけないという意味での 「禁何々」という表示が現在されているのですが、そのときに、さまざまな事例がござ いまして、必ずしも統一がとれていないということもございます。そして、ここで今回は 4の所にございますように、当該注射薬の特殊な事情として特に用法・用量等で禁 止施用部位がある場合は、禁止の施用部位のみを「禁○○」という赤字で表示する ということで、それを目立たせるということです。  ただ、そうは言いましても、1mLのアンプルというのは、大体2cm×3cmのラベルで すが、その中に法定事項を含めてさまざまなことを書きますと、必ずしもすべてを書き 尽くせるものではないということですので、そのときには、何々等とか、他とかいうこと が出ておりますので、こういうことについては、ラベルで書いてあることがすべてでは ないということを、薬剤部等では、例えば病棟に払い出すときとか、そういうときに、 情報を付加してそもそも処方せんが来たときには、その投与方法がまずい場合には、 その疑義照会が行われると思いますし、それから施用にあたって、注射薬を出すとき には、そういう誤用が起きないよう薬剤部の方で追加すると。ラベルの中にすべてを 盛り込むと、また何が書いてあるのかがわからなくなってしまうことがあるものですか ら、そこには代表的な話は書いてあるが、すべてではないということを薬剤部のほう が十分理解をした上で、そういう払い出しを行うことが必要かと。ものに関してはルー ルが決まることが大事ではありますが、その他に医療機関の中の部門間での情報 伝達といいますか、そういうことを確実にするための情報の追加を行う必要があると 思います。  3頁の3.の(1)です。先ほど申し上げましたように、溶解液を本薬と間違えるヒヤリ・ ハット事例があったために、今度は溶解液という文字を非常に大きく書いたのですが、 そこにまだ本薬の名前が書いてあったために、また本薬だと思ってしまう事例が発生 したことがあります。  そこで今回は、他の記載事項や溶解液という字は、本来溶かすべき主要薬剤の名 称よりも、もし表示するのであれば、それは大きく強調して、視認性の高い表示にし てくださいということで、メリハリのある表示方法をするべきだと。  溶解液の入れ方には、一つのトレーの中に溶解液が左右に分かれて、例えば5本 ずつ入っていて、それは一目で溶解液と本薬があるということが分かるのですが、中 には上下2段式のトレーになっていて、上の段に主薬、下の段に溶解液が入ってい る薬があります。いずれもヒヤリ・ハット報告されたのはそのような形で起きています ので、上下2段のトレーが同じ色であると、我々は同じものが2段あるのかなと思っ てしまうことがありますので、そういうトレーがもし主薬、あるいは溶解液ということで 別々に格納する場合は、識別性というか、両者が違うもので、同じものが2段入って いるのではないということがわかるような識別性を、向上することが必要だろうという ことです。  以上が溶解液、あるいは注射の部位の表示についてのことですが、溶解液につき ましては、溶解液というものが付いていながら調剤の段階、いわゆる病棟へ出す段 階で、必ずしも常に溶解液を付けるわけではないと。医療機関によって異なることが ありますので、ここもまた薬剤部側が自分の所の調剤の仕方、その他を検討しなが ら、主薬と溶解液を間違える事故防止のために調剤方法で工夫をすることが、引続 き必要であろうと思います。  キット製剤ですと、必ず1個の中に主薬と溶解液の二つが含まれているのでいいで すが、添付されている溶解液は特にアンプルが別に分かれていますので、それを輪 ゴムで止めている病院はほとんどないと思われますので、どうしてもそこで両者が分 かれてしまうことに伴うエラーだと思いますので、そこら辺を気を付けるということで す。  今度は4頁、名称に関してです。インスリン製剤の販売名の命名の原則です。先ほ ど申し上げましたように、通常基本的には医薬品の販売名については、原則ブランド 名がある場合にはブランド名+剤型+規格、あるいはブランド名がない場合には、一 般名+剤型+規格+会社名という基本的なルールがすでに通知で出ており、またそ れに伴う医薬品の名称変更が、多々行われているところです。  ただインスリンにつきましては、あまりにもさまざまなものや規格があるものですから、 そこをどうするかということは従来から問題ではあったのですが、インスリンにつきま しては、まず単位数が40単位と100単位が混在するものを100単位に統一すること があるので、名称の変更をその途中でいろいろ行うとかえって間違いが起きるといけ ないということで、まず移行をきちんとしようということで、無事移向して100単位だけ になりました。  そこで今回インスリンの販売名の命名の原則として、バイアル製剤は患者さんに渡 るというのではなく、医療関係者が主に使用する場合でありますが、いちばん下にバ イアル製剤の例として「ヒューマリンR注U-100」や「100単位/mL」とか、例えばラン タスですとバイアル1000ということで、このような数字がいろいろな意味でエラーを起 こし得ることがあったので、U-100とは一体何なのかということをきちんと分かるように しました。  5頁のまずブランド名ですが、速効型、あるいは中間型を示しながら、規格のところ はバイアル製剤については、U-100という表示ではなくて100単位/mL、あるいは総 量の1000ではなく、100単位/mLというようにmL当たりの単位数をきちんと入れる ということです。  それに対して自己注射用のカートリッジ製剤、あるいはキット製剤がありますが、調 剤のときにエラーがなければ、その後で総量が何単位かということは、患者さんは個 人個人で使用量が決まっていますので、総量を記載することはあまり必要性がない であろうということです。下にカートリッジ、あるいはキット製剤の名前で300という数 字がありますが、これは総量を示しているわけですが、そこら辺についてどうするの かということです。  今回のルールでは、基本的にカートリッジ製剤かキット製剤かを区別する情報をき ちんと加えた上で、6頁にあるブランド名、組成の情報、あるいは剤型としてここには キットと入っていますが、そういう名前をきちんとする。即ち先ほどの例でいきますと、 例えば300は取るということで、これにはさまざまな種類がありますので、そこについ てカートリッジ製剤なのかキット製剤なのかを区別し、なおかつそれが速効性なのか どうなのかをミックス型もありますので、どのようになっているかがわかる表示にしま す。  これにより、インスリンについての販売名の付け方の基本的なルールが決まります と、インスリンは、前から注意が必要だということでさまざまな指摘がありますので、こ れは教育というか、基本的にこういうことになっているということをきちんと医療機関、 あるいは教育機関においてそれをきちんと示すというルールの明確化というのは、そ ういうことを意味すると思いますので、是非教育にも反映させた上で、この徹底を図 っていくことが必要であろうということです。以上がインスリンです。  7頁の医療用配合剤は、最近また増えつつあります。以前は医療用配合剤は結構 あったのですが、その後配合剤から単味のものに移るという形がありました。このとこ ろまた海外を中心として、配合剤がいろいろ出てくるようになりました。その場合に果 たして規格をどのように書くのかと。二つの種類のものが入っているので、そこをどう するかということです。  まず原則として、配合剤にあっては含量はいいのですが、含量の単位の記載はし ないということを基本とした上で、多くのものがブランド名+剤型の後に接尾字が付 いて処理をされていることが多いです。したがいまして、そういったものについては2 文字以上の接尾字が望ましいとありますが、いちばん大きなところは剤型の所に例 えば配合錠とか配合顆粒というように、医薬品が配合剤であることが明確にわかる ような剤型に当たる所にそのような表示をするということです。  今海外に出ている薬の事例をいろいろ考えますと、配合剤の接尾字の所に(1)、(2)  とありますが、同じ成分が同じ量入っていながら、ここでいえばXは同じだがYの量が 違うという形のタイプの配合剤と、(2)にあるように、それぞれがバラバラというものが、 大きく分けるとあるだろうと。その場合でX成分が同じ量入っているものならば、名前 を付けるときには違いがわかる数字を出すということで、同じ部分の数字を出すこと はしないということで、その表示はむしろ違うところだけを数字として表示をします。  また、有効成分が(2)のようにバラバラの場合には、結局は同一のブランド名でこれ を区別することはなかなか難しいので、原則異なるブランド名にする。即ち比率が全 く違う2種類のものがあったときには、ブランド名を変えるというルールになります。こ れはまだ今というよりは、これからおそらく出てくるであろうことに対する対応の基本 的な方針を決めたということです。  9頁.ヘパリンは、先ほどの審議事項のヒヤリ・ハット事項にもありましたが、ヘパリン の単位を間違えて出してしまったという事例がありました。それについては10頁の表 を見ていただくと分かりますが、大きく分けてバイアルのもので1から6まであるいわ ゆるマルチ型と、透析用あるいはヘパリンロック用と用途によってさまざまに分かれ ていることがあります。例えば単一用途製剤の場合には、透析用とかヘパロック用と いうように、使用目的をきちんと名称に反映させることが、今回決めた販売名の命名 の法則にあると。そして単位当たりの含量の数字の後には、必ず何単位/mLという 正確な表記をするということです。 一番上の、人に直接注射する適応を持つバイアル製剤は、全て1mL当たり1000単 位ということで、濃度表示ではなく含量表示の情報が重要です。そこで単位当たりの 含量と容器当たりの含量との混同を回避するため、基本的には総量表示としておく と。バイアルにはそこから何cc引くのかということがありますので、そこで総量表示と することを決定しました。  11頁のワクチンですが、ワクチンの販売名については、ほとんどのものはどちらか というとブランド名を持たずに、何々ワクチンという名前が多く見られます。これについ ては混合製剤でもありますので、規格の表示を有しないものに該当すると考えられま すので、規格の追加は行わなくていいということで、基本的には先ほどの935号通知、 あるいは平成16年の通知及びそのQ&Aに則って、局方収載医薬品等で販売名を 表示せず、局方名か一般的名称を医薬品の名称として表示している医薬品に、ワク チンの場合はこれに当たるわけですが、剤型及び規格が名称に含まれていない医 薬品では剤型及び規格を別途表示する、いわゆる販売名に含まなくてもそれをラベ ルの中に表示しておけばそれでいいということです。  ですから、基本的にワクチンにつきましては使われ方が特殊であるということもあり まして、ワクチンは期限切れを使ってしまったという事例は多くありますが、取り違え が起きた例はまだ少ないこともありまして、そのような対応にしたということです。  最後16頁に、アレルゲン製剤があります。分類上は10個に分類してありますが、 約200近くのアレルゲン何々という名前で、品目があります。例えば分類番号の1の アンダーラインを引いたアカマツ花粉があります。ここがそれぞれのものによって変わ っていくという構造です。右にあります計72品目というように72、物が変わるというこ とで、名前はそういった意味でいろいろ付いています。そこで今回、治療用なのか診 断用なのかということによって大きく分ける、あるいは治療用であればそういったもの をどのように使うのか、あるいは皮内反応として使うときには皮内反応用ということを きちんと明記するというルールを決めました。  具体的には18頁にありますが、スクラッチエキスについては変更しないのですが、 例えば2番の診断用のものについては、18頁のいちばん下の行にありますように、 診断用アレルゲン皮内エキスということで、これが何にどの用途で使われるのかを明 確にする。例えば19頁の4.ですが、皮下注であるときには治療用で皮下注と明記す るということです。  あと対照液や希釈液がありますので、それも今回のルールに則ってよく分かるよう にすると。ただ21頁の10.は、治療用アレルゲンエキスの希釈液で治療用アレルゲン エキスというワンワードになりますので、希釈液を大きく表示するという先ほどの溶解 液を間違えないようにというものと同じような対応策を採ったと。表示の仕方によって そのエラーを防止しようということです。基本的には以上の点で、いわゆる医薬品の 名称の付け方についてのルールがほぼ出尽くしている感じがあります。  ただ新しい製剤がいろいろ出てきますのでそのときには少し考えなければいけない 部分もありますが、原則のルールはこのように決まりましたので、このようになってい ることをきちんと教育、あるいはいろいろなことで説明すると。  インスリンが40単位から100単位に変わるときに、インスリンは3社しかないので、 3社が合同で講習会を開いたり、印刷物を作ることをしました。それぞれ各社が別々 にやるのではなく、全体がどうなっているのかをユーザーにきちんとわかりやすくする ような情報提供の仕方を、今後考えていく必要があると思います。以上です。 ○ 桜井部会長  ただ今の報告に対して、何か質問はございますか。 ○ 木下委員  これからの取組みに関してはよくわかるのですが、今まで問題になっていたのは、 すでにある商品名が極めて類似しているために起こっている事故です。それに関す る対応については、何か議論はなさったのでしょうか。 ○ 土屋委員  まず新薬につきましては、現在類似名称を回避するためのシステムが動いていまし て、そこで入口で閉じて、これ以上類似した名称が起きないようにしていると。  あと後発品については通知が出ていまして、今後は新たなブランド名は付けないこ とが決まっています。ただ、現実に今世の中に出ている例えばタキソール、タキソテ ールというものにつきましては、今度は名称を変えることによってまた新たなエラーが 起きる可能性もあると。これは心理学の先生とも相談したのですが、以前の検討の ときに名称を変えることはなかなか難しい。人は記憶を忘れているだけで、何かの機 会に思い出してしまうと、またそれが発生してしまう可能性があると。  これは現実にキシロカインの2%と10%で起きた事例ですが、キシロカインの2%は ある別のブランド名のものにし、10%はキシロカインにして、患者さんが来たときにつ い昔の方でキシロカインと医師が指示してしまいました。その場合は10%が通ってし まいました。したがいまして、すでに発売されているものの類似を一気になくすことが できないことがどうしてもジレンマでして、そこについては例えばタキソール、タキソテ ール等は一般名の表示を大きくすることで回避を図っています。 ○ 木下委員  東大の沢田先生の所で類似薬品に対する名称について、それぞれをいろいろなパ ートを分けてマッチングさせていったときに、何パーセント以上一致しているものという のが極めて類似品として事故が多いというきれいなデータを出されていたのですが、 そういう手法も参考にしてはどうでしょうか。新たに名称を付ける場合どういう基準に するかということは、少なくとも全く関係ないものでないとおかしい。この手法を採用す るという考え方はどうでしょうか。 ○ 土屋委員  先ほど申し上げた類似名称検索システムというのは、客観的に10の指標を使って 数値化して、それを変更するかどうかというフローチャートも公開しまして、判断基準 を明確にした上で今は運用を図っているところですので、おそらくこれは近々システ ムそのものも公開されると思いますが、そういった対応になっています。 ○ 桜井部会長  今説明のあったことは、国際基準はないのですか。 ○ 土屋委員  意外とないと言いますか、これは7月にヒューマンコンピュータインタラクション学会 があって、そこでもちょっと議論をしたのですが、むしろそういったルールが決まらない、 あるいはそういうことがないために混乱をしている例はいっぱいあります。  例えば今日ちょうどアイルランドで会議をやっていますが、ある注射薬についての 表示のラベルがどうなっているかという調査が来まして、それについては各国バラバ ラです。そのときに出た話としては、私どもが発表したときには、そういうことを実際ア イデアとしてやっているのか、現実として実施しているのかということを聞かれて、日 本では例えば全量表示の100mg/5mLという表示は、事実上義務づけられているの と同じですという説明をしましたら、世界の企業をすべてそのように統一させたらどう かと言うので、一応日本の薬しか管轄にはないのですが、ただ間違えるとしたら同じ だろうと。計算ができないことはみんな同じなので、そういうことをもっと広めるべきで はないかと言われました。  これはFDAへ行ったときも、向こうではまだそこまでの規制はできないと。ある意味 こういうことをきちんと表示して守らせることが定着してくれば、さまざまなエラーはゼ ロにはならないと思いますが、かなり減るだろうと思います。 ○ 桜井部会長  輸入品、インポートについてはレギュレーションというか、これのほかになるわけで すね。 ○ 土屋委員  輸入のものも名前を付けるときには、日本の名称を付けます。ただ多いのは、今は 世界共通ブランドにしたいというのが、すでに日本で発売されているものと、先ほどの フローチャート等でバッティングをして、それでどうするかというような事例はあります が、基本的に英語のスペルではなくカタカナ名でいくものですから、そこに少し工夫の 余地があるということです。 ○ 桜井部会長  何か吉澤委員ございますか。 ○ 吉澤委員  今回ワーキングのほうで検討していただいた内容は、かなり標準化された結果に なってきているのですが、製薬企業の力だけで、すべての医療関係者に十分理解し ていただくのは難しいと思います。  先ほど土屋委員が言われたインスリンを40単位/mLと100単位/mLを100単位 /mLの方に統一した際に、製薬企業3社がやったと言われましたが、実際は日本薬 剤師会が徹底的にサポートし、それで初めてできたことかと思います。こういうことに ついては製薬企業と業界団体だけで徹底するのはすごく難しいことで、是非とも日本 医師会や日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本病院薬剤師会や日本看護協会が これを伝達する役割分担を明確にしていただき、例えばそれぞれの雑誌に掲載して いただくとかをお願いします。  日本製薬団体連合会としては、それぞれの施設に文書で明確にしたものをダイレ クトメールで送ることを今後やっていく方向で検討していますので、それぞれの団体も 是非協力をお願いしたいと思います。 ○ 木下委員  今の話に関連しますが、今は事故を防ぐためにいろいろな工夫をしてくださってい て、薬の名前の間違いや量の間違いをこのようにしていけば防げるという、スプーン フィーディング的に親切にしていただいていますが、最後に使うのは結局医師や看護 師、歯科医師です。人のせいにするわけではなくて、最終的には我々でいかに守る かにかかっています。  先ほど寺井委員から話があったと思いますが、いろいろな事例を具体的に現場サ イドでどう活かしていくかを考えるとシステムとしては非常に難しくて、特に薬等に関し てはヒューマンエラー等も含めて、一体どうやったら一つ一つの事例をみんなに徹底 させられるのかというのは、ほとんど不可能に近い。  つまりどんなに良い情報が来ても、残念ながら全部のドクターたちが見ることは非 常に難しい。添付文書に書けば安心かというと、決して安心ではないわけです。そう いう意味で私たち日本医師会としては、すべての団体でもそうだと思いますが、これ だけのご尽力をいただいていることに対してそれなりの姿勢で臨まなければいけない と痛感しています。 ○ 桜井部会長  ICHには、このような委員会はないのですか。 ○ 吉澤委員  ICHでは、このような委員会は設置されてないと思います。医薬品の名称について は検討されていますが、販売名ではなく、成分の一般名等の付け方で、医療事故全 体を扱う委員会はないと思います。 ○ 桜井部会長  外国では、あまり問題にならないのですか。 ○ 土屋委員  世界的な問題で、特に米国ですと電話処方があるためにルック・アライクだけでは なくてサウンド・アライクの問題も出てきて、そういうリストがいつも出されている状況 で、なかなか難しい問題です。薬が多すぎることが根本にあるものですから。 ○ 桜井部会長  これは医療界全体として協力願わないと、なかなかうまくいかないかもしれません ので、よろしくお願いします。それでは、この件に関してよろしゅうございますか。  それでは、その旨を承認可、といたしたいと思います。  次は医療機器の安全対策です。事務局から説明してください。 ○ 事務局  資料4は「医療機器安全対策検討ワーキンググループでの対策状況」です。その 前に、平成19年6月15日付で「経腸栄養用チューブ等に係る添付文書の改訂指 示等について」という添付文書の改訂指示を出しています。これは前回のワーキング で、経腸栄養用チューブのスタイレットといって、芯で詰まりを改善するために突っつ いてしまったり、あとはチューブで腹等を傷つけてしまう事例がありましたので、それ に対する注意事項として添付文書の改定を指示したものです。まず警告欄の所に、 スタイレットまたはガイドワイヤの操作は、慎重に行う旨、記載させました。  2頁(2)の禁忌・禁止の項に、スタイレット等はチューブが正しい位置に留意されたこ とを確認するまで引き抜かないこと。またスタイレット等の再挿入は行わない旨の記 載といたしました。また2)に、スタイレット等はチューブ詰まり等を解消する等、本来 の使用目的以外の用途に使用しない旨、明記いたしました。  (3)は、操作方法、使用方法等につきまして、添付文書の改訂を指示し、また、(4) の重要な基本的注意等について、注意を追加いたしました。簡単ですが、経腸栄養 用チューブの改訂指示については以上です。  4頁は、医療機器安全対策検討ワーキングで、人工呼吸器の操作手順の標準化 の一環として、各人工呼吸器の機器に即した操作手順をクイック操作と言って、4頁 と5頁を合わせて1枚の下敷き状のものにしたものですが、そのようなクイック操作手 順書を作って、各人工呼吸器に取り付けるというか、その機器に設置することを行っ ているものです。現在人工呼吸器については、日本医用機器工業会人工呼吸委員 会で調査いただいた結果、現在は92機種があることがわかりました。そのうち販売 中のものは73機種でして、それらの販売中のものについて、クイック操作手順を付 けることにしています。  また平成13年3月27日付けの、「生命維持装置である人工呼吸器に対する医療 事故防止対策について」という通知があります。その中に簡易取扱説明書を添付す るように指示していますが、今回はそれよりもっと簡単に、操作手順に限って、各機 種に限ってどうするかというもの。何枚か見本として付けさせていただきましたが、12 頁は使用前点検、使用中点検、使用後の点検の手順をまとめたようなもの、これも 一般的なものではなく、各機種に特有の形でそれぞれの機種に付けていただくように お願いしております。  これらを見本として、ほんの数機種分だけこちらに付けさせていただいておりますが、 それらは先ほど申しました機種について付けるように指示をして、実際にすでに付い ているものです。現在ワーキンググループのほうで検討をしていただいた中で、より 簡便な取扱いの説明書なりクイックマニュアル等があって、それを機器に直接ぶら下 げるようなことで取扱いの間違いを防ぐ方法も一つの方法ではないかというご提案が ありまして、このようなことをさせていただいている次第です。簡単ですが、以上です。 ○ 桜井部会長  この件についてはいかがでしょうか。 ○ 目黒委員  では、一言。臨床工学の立場、看護師や先生たちも人工呼吸器を使うし、監視モ ニタリングはいろいろなことが大変ですが、たぶんまとめて全部の機種を統一するこ とはとても大変なことだと思います。  では、このように簡単な操作説明があれば本当にいいのかというのもまた疑問の 部分があります。というのは、操作が非常に難しいので先生方、看護師から「もっと 簡単にわかるようなものはないですか」と言われて、でも人工呼吸器は、実はものす ごく複雑な動作をしているのです。  前にも委員会で言ったかもしれませんが、アメリカや台湾では、呼吸療法の専門の 方がいるので2年間の教育機関があります。日本の場合には看護師、先生、臨床工 学の方々が、そういう系統的な教育がない中で機械を目の前にして右往左往しなが らやっているのが現状ですから、ここはもう少し基本的な方針を立てていかないと、 人工呼吸器のいろいろなトラブルはなくなっていかないような気がしてなりません。  これは業界がやろうがものをいろいろ変えてやろうが、本当に人工呼吸器療法をど のようにやっていくかというのは、学会レベルではいろいろな勉強会を開いています が、真に必要な系統的なやり方をもう少し考えるべきではないかなと私は思います。 以上です。 ○ 桜井部会長  これは機械があまり難しくなっても一般に広がらないと、患者さんの治療という面か ら考えるとあまりよくはないです。 ○ 目黒委員  一つ私の経験から言わせていただくと、あまり簡単にこれをこうやればできるのです よとやってしまうと、先生たちが簡単に使えるという形で安易に導入されると、それは 患者さんにとっては非常に大変な問題が起こってくるわけで、例えばガス分析なり呼 吸器のデータが悪いからといって安易に導入されると、かえって機械の操作がわか らないために悪い結果を生んでしまうと。  場合によっては急にやると感染の機会を生む。感染を起こすとまた治療費が多くか かることもありますので、この場で議論できるのか、機械だけで議論できるのかという ことはここでは私も答えは出ないだろうと思うし、もう少し全体で考えていかなければ いけないのではないかなと思います。 ○ 桜井部会長  外委員、何か御支援ください。 ○ 外委員  私もすごく同感するところです。人工呼吸器はここ20〜30年で進歩して、いろいろ な電子機器を使って性能もアップしました。だから非常に使いやすくなったと思います。 人間がその分機械に依存してしまうために、スイッチを押せば使える。ほとんど患者 の状況に応じて機械がコントロールしてくれるところまで進歩しているように思いま す。  ただ、それはその裏に危険性をはらんでいるというのはそのとおりでして、今日の人 工呼吸器の事故は決してなくなっていないので、死亡した患者さんが何人かいらっし ゃいます。今日出ていない数の患者さんが、人工呼吸器関連で亡くなっているだろう と思います。その数はたぶん一向に減っていないだろう。それは人工呼吸器の使用 が広い所に及んでおり、以前は集中治療室に限定されていたと思います。  ただいろいろ機能が良くなったこともあって、病棟レベル、あるいは在宅でももちろ ん使われるわけです。それによって恩恵を被っている患者さんが非常に多いのはわ かりますが、それは今目黒委員が言われたように、危機をはらんでいる機械だという 認識をどのように植え付けるかということだと思うのです。ですから一つの方法として は、ある資格を持たせることや、ある講習を義務づけることが必要だと思います。  もう一つは、もう一回その危険性を周知するための締め付けが必要かもしれません。 使用場所が安易に広がってしまいました。これは渡辺敏先生もずっと言われているこ となのですが、病棟レベルで安易に、人の目から離れた所で使われていてアラーム が鳴っても気づかないし、アラームの意味しているところも理解してない人がいる現 場で使われている。そこは何かメッセージを発していかないといけない。ヒヤリ・ハット だけではなくて死亡事例が起きているわけですから、このまま放っておくわけにはい かないだろうと思います。  ですからその利便性と言いますか、広く流布して患者がいろいろな所で恩恵を被っ ていると同時に、危険性も広がっているわけですから、それを教育や全体の組職の 中での位置づけ、いろいろなことをヒューマンの側面や組織の側面から考えていかな ければいけない。ここはずっと議論になっているところですが、いま言われたように潜 在する危険性を早く何とかしていかないといけないだろうと、私も思っています。 ○ 菊地委員  日本看護協会では、看護師の継続教育として、衛星通信を使って人工呼吸器に 関する研修を計画しています。危険な事故につながりやすい人工呼吸ケアに関する 知識や技術を、できるだけ多くの看護師に周知すべく、平成20年度は「人工呼吸ケ アに生かす理論と実際」のテーマで企画しています。 ○ 桜井部会長  普通免許とか大型二種とか、それは決めたほうがいいかもしれません。 ○ 石川委員  いつも私が言っていることを委員の方々が言ってくださいました。もう一つ気にしな ければいけないのは、たぶん技術というかテクノロジーの進歩の話と医療技術の進 歩と両方あって、看護師さんたちもそうかもしれませんが、どんどん進歩しているので すが、まだ病院の中で使っている機械が前のもので、購入したその当時はいちばん 良かったのかもしれませんが、現在のレベルから見ると少し精度が落ちるというもの が現場に混在しているのが現状だとするならば、何か仕組みというか組織で考えて いかないと使う方も大変ですし、長く使うのは非常にいいことですが、そのことによっ て逆にリスクが増えてくるのです。  当時は良かったかもしれませんが、今になると逆のリスクが出てくることも考えなけ ればいけない。そうすると、どうやって情報をメーカーや医療機関内でシェアーしてい くのか。これは使う側の環境も整えなければいけないのと同時に、重要な課題になる のではないかと思います。 ○ 桜井部会長  将来はロボットを使うとか、そういうことになるのですか。 ○ 石川委員   ロボットにしても、古いロボットと新しいロボットでは出来なくなってしまうので、どこ かで技術が変わってくるものに対する何か対応を、人間はどこかで知恵を絞らないと、 いつまでたってもずっと追い駆けっこになるのかもしれませんね。   ○ 桜井部会長  これだけいろいろの機械が増えてくると、とても人間では賄い切れなくなりますね。 ○ 目黒委員  今の話の中の呼吸器だけではない大きな問題としては、新しい機械と古い機械の 混在で、それは避けて通れないことだと思うのです。というのも、そういうことで少し取 扱いがよくなかったことがあります。だからそこら辺の周知徹底を医療現場でどのよ うにやっていくか。当然使うのは一般的には看護師が多いです。それと機械を出した りするのは我々がやることが多いので、先ほどの医療安全の中でも医療法の中で研 修が非常に大事だというのはわかるのです。  例えば1台の機械で年に2〜3回やるとすると、何十種類の機械があるのかなとい うことを考えれば、今いるマンパワーの中で研修をどれだけ出来るかが自ずとわかっ てくるわけで、無理なものは無理で出来ない施設も、結構あるのかなと思います。  とても大変だと思いますので、何かその辺をいつも桜井部会長が言われるように、 ITなりを使って効率よく皆さんが出来るように、先ほどの看護協会で衛星放送を使っ たり、要するに同じ土俵の中で同じ条件の下でみんなが使えればいちばんいいので すが、それは今後も模索していかなければいけないことなのかなと思います。 ○ 桜井部会長  何かコンピュータ・アシステット・サージェリーというのが最近ありますが、そういった ような仕掛けが必要かもしれませんね。 ○ 目黒委員  そうですね。急にどういうふうにやっていくのか。 ○ 外委員  逆の意味で、この医療機器がどんどん進歩したためにリスクが広がったのだ、とい う認識が必要だと思うのです。  人工呼吸器とは一体何なのか。それは呼吸できない人がその機械で生きているわ けですから、呼吸器が外れれば、あるいは漏れれば、ストップしたり電源が外れれば、 当然それは死の危険がそこに迫るのです。ですから、迫ったときに誰かがそれを守っ てくれる人なり環境があるかというと、そういうことがない所で実際に使われている。  だからその環境やヒューマンの側面がちゃんと整った所だけに限定して使用するこ とは一つの考え方だと思うのですが、それが現時点で可能かというと、いろいろな問 題があるから解決しないと思うのです。でもどこかで折合いをつけていちばん安全な ところを探していかなければいけないと思います。それを今度は別の環境の中に、コ ンピュータシステムをうまく導入することも一つの方法かなと思います。 ○ 桜井部会長  ヒヤリ・ハットには、歯科領域にも入っているのですか。 ○ 安全対策課長   はい、そうです。   ○ 桜井部会長  稲垣委員、何かご発言はありますか。 ○ 稲垣委員  ございません。 ○ 桜井部会長  その他について、事務局から何かございますでしょうか。 ○ 事務局  事務局からは、今回の部会では委員の皆様方にはお配りいたしませんでしたが、 平成19年6月27日及び平成19年9月18日に、財団法人日本医療機能評価機 構から医療事故情報等収集事業の第9回及び第10回報告書が、ホームページ等 で公表されております。公表の際は、毎回医政局総務課長及び医薬食品局安全対 策課長の連名の通知で、都道府県をはじめ関係団体等へ報告書の公表を連絡して います。  またその際、同様の事例の再発の防止及び再発の未然防止のために報告書の内 容を確認いただいて、共有すべき医療事故情報等の内容に留意されるとともに注意 喚起を促すように周知を依頼しているところです。  第9回及び第10回の報告書の中には、ヒヤリ・ハット事例の技術情報がありまして、 またこれについては医薬品医療機器総合機構が医薬品医療機器に起因する観点 から、専門的な評価、対策等を加えた報告書を次回の部会でご審議いただきたいと 思います。以上です。 ○ 桜井部会長  ほかに何かございますか。 ○ 事務局  次回の部会の開催の予定につきましては、委員の皆様方の日程を調整して、ご連 絡させていただきたいと思います。  また本日の議事録につきましては、後日委員の皆様方に送付いたしますので、内 容の確認をよろしくお願いします。これを修正、確認いただいた後に、厚生労働省の ホームページの方に掲載したいと考えていますので、よろしくお願いします。以上で す。 ○ 桜井部会長  特にご発言がなければ、これで終了したいと思いますが、よろしゅうございますか。  では、長時間どうもありがとうございました。これで終了します。 照会先 医薬食品局安全対策課安全使用推進室 電話 03-5253-1111(内線2751) 1/30