07/11/01 「臨床的な使用確認試験」に関する検討会の議事録について 第3回 「臨床的な使用確認試験」に関する検討会         日時 平成19年11月1日(木)          10:00〜         場所 経済産業省別館10階1020号会議室 ○猿田座長  おはようございます。先生方におかれましては、朝から「第3回『臨床的な使用確認 試験』に関する検討会」にご出席いただきまして、どうもありがとうございます。  本日の構成員の出欠状況ですが、飯沼構成員と竹内構成員がご欠席とのご連絡をいた だいています。また、外口医政局長は当初出られる予定だったのですが、公務が重なっ たため、今日は欠席させていただきたいとのことです。  それでは、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局  配付資料についてご説明します。まず議事次第があり、次が座席表になっております。 資料1として開催要綱、資料2として構成員の一覧、資料3として「臨床的な使用確認 試験」の要件、資料4として評価結果の一覧表です。  資料5は5-1〜5-3まであって、資料5-1は番号1と番号11の評価表、資料5-2が番 号2、番号4-1、番号4-2、番号15の評価表のまとめと、その後ろに1枚紙で資料5-2 「藤原構成員提出資料」ということで、センチネルリンパ節の関係のコメントのペーパ ーをいただいております。資料5-3として、番号3の技術の評価表です。資料6は1枚 紙で、今後の手続き等についてです。  また、参考資料として、参考資料1が日本乳癌学会からの要望書、参考資料2がSNNS 研究会からの要望書です。  お手元に、青いファイルで今日ご審査いただく医療機関からの申請書の冊子を用意し ております。間に赤い紙で1医療機関ごとに区切ってあるので、評価表のご説明の際な どに適宜ご参照ください。過不足等ありましたらお知らせください。 ○猿田座長  よろしいですか。それでは、早速議事に入ります。事務局から内容についてご説明を お願いします。 ○事務局  資料4、評価結果の一覧表をご覧ください。こちらは、今回評価をいただくものの結 果を簡単にまとめたものです。1頁目から番号順になっていて、1頁目は番号1と11の 結果になっています。中央に評価結果の総合評価ということで、「保留」や「適」と書い てあります。右側に評価コメントが簡単に追記してあります。  2頁目は、番号2、4、15、センチネルリンパ節関係の技術の評価結果の一覧を示して おります。中央に医療機関名とあります。例えば、番号2の「悪性黒色腫におけるセン チネルリンパ節の遺伝子診断」ですが、これは「九州大学病院 他」ということで他に も協力機関があるということで、申請書の中に協力機関の記載があります。その部分が、 少し前回の一覧表と変わっているので、ご注意ください。  3頁目は、番号3、5、7、16の各技術の申請医療機関と評価結果の一覧です。  4頁目は、前回ご審査いただいたもののまとめの表です。こちらは今日の検討には使 いませんが、参考までに追加しております。以上が資料4です。  ご評価いただいた各内容については、資料5-1から順に医療機関の番号別に、評価表 を前回同様整理しております。  参考資料についてご説明します。参考資料1をご覧ください。こちらは、日本乳癌学 会から「早期乳癌手術におけるセンチネルリンパ節生検に係る要望書」で、内容はそこ にありますとおり、先進医療として従来から認められている医療機関のほかに、新たに 日本乳癌学会が推薦する医療機関において、センチネルリンパ節生検の有用性と安全性 を確認する「臨床的な使用確認試験への参加」を認めていただくことを要望するもので す。同内容のものが、保険局医療課宛にも提出されております。  参考資料の2頁目以降が、「臨床的な使用確認試験」に参加を希望する医療機関の一 覧になっております。すでに先進医療の届出を済ませている所とそうでない所の一覧に なっておりますが、それぞれ入っております。また、後ろから3枚目ですが、日本乳癌 学会の認定施設あるいは関連施設になる要件などを示した施行の細則が、参考までに付 いております。  最後から2頁目にありますが、参加を希望している施設については、第5条に「認定 施設として、次の各号に定めるすべての要件を要する」とあり、(1)として乳癌の診断・ 手術・薬物療法または放射線治療症例数がいずれか1つの領域で年間20例以上行われ ていること、(2)として専門医が常勤していることとなっております。このような施設 が、基本的に参加を希望してきているということで、ご要望をいただいております。  参考資料2についても簡単にご説明します。同じようなご要望で、SNNS研究会とは Sentinel Node Navigation Surgery研究会ということで、センチネルリンパ節の生検に 関係する技術を持っている医療機関が中心になっている研究会です。現在、代表世話人 は国際医療福祉大学三田病院院長の北島先生、幹事は慶應義塾大学医学部外科教授の北 川先生です。要望の内容も、先ほどとほぼ同様で、先進医療として従来から認められて いる医療機関のほかに、新たにSNNS研究会が推薦する医療機関においても「臨床的な 使用確認試験」への参加を認めていただきたいとのことです。2頁目に、希望している 施設の一覧があります。  今日は、この評価についてご審査いただいた後に、医療機関の追加についてどうする かを事務局からご提案したいと思っておりますので、そのときにもご意見をいただけれ ばと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたが、ご意見はありますか。 なければ次に進みます。  資料5-1について、伊藤先生からご説明をお願いします。 ○伊藤構成員  評価の対象として今回ご説明するものは2つあって、番号1と11です。両方とも、 甲状腺と甲状腺に近い頸部の手術に対する内視鏡を用いた技術についてです。両試験と も、ほぼ似たり寄ったりで対象が違うものですが、内視鏡を用いて頸部の良性腫瘍、特 に甲状腺と副甲状腺の腫瘍の摘出をすることを目的としているものです。内視鏡を用い ることによって、通常であれば頸部に広く傷が残るところを、傷が目立たない胸部等に 移した上でできることと、特に若い女性に多い病気なので、有用性があるということで すが、内視鏡を使って手術をすることについて正式の適応がないので、こういった形の 「臨床的な使用確認試験」が出てきていると理解しております。  資料の番号1を見ると、九州大学病院の資料ですが、前回のいくつかの議論と同様、 医療技術に関して問題がないにしても、試験としての適応がどうもはっきりしていない、 また「モニタリング体制及び実施方法」について、試験実施のための体制が十分でない と思われる部分があるということです。同様に、有効性の判定で腫瘍切除の的確性や患 者満足度等についても、検討したほうがいいのではないかとのご意見をいただいていま す。具体的には、試験としての的確性という意味では、対象症例数や症例数の設定根拠、 試験期間などは記載すべきではないか。このようなことが問題になっているので、直し ていただいた上で、資料を見た限りでは認めてもいい内容ではないかと思っております。  同様の資料を、日本医大、岩手医大、岡山大学、自治医大などからもいただいており ますが、内容的にはほぼ同一だと思いますので、同一の技術に関しては日本全体として まとまった、きちんとした資料作りをしたほうが望ましいのではないかという考え方が 1つあります。また、九州大学に比べると、体制整備や文章上の問題などいくつかの問 題に不備があるので、その不備について直していただいた上で、きちんとした審議をし たほうがよいのではないかというのが、委員の方々一同の意見と理解しております。  資料の番号11ですが、内視鏡下甲状腺がんです。今度は良性腫瘍ではなく、甲状腺 がんということで、もちろんリンパ節の活性なども含めて問題になるところだと思いま すので、別の技術としての詳細な審議が必要だと思われます。それを見ると、資料の番 号11にあるように、評価項目で何を評価するのか、単にやってみたということでは試 験としての体裁をなしていないのではないか。いつまで試験を続けるのか。コンフリク ト・インタレストといわれる利害の衝突についてのきちんとした記載がない。モニタリ ング体制についても、もう少しきちんとしたほうがいいのではないかということも含め て、同意説明文書を修正していただくという条件であれば認めてもいいのではないか、 というのが委員の方々の意見でした。その他、我々の見る限り、もう少し資料をいただ かないと評価が難しいので、差戻しとしているものが2件ほどあります。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いまご説明いただきましたが、番号1の「内視鏡下 頸部良性腫瘍摘出術」に関しては、九州大学が比較的書類が揃っているということです ね。ご意見はありますか。 ○事務局  少し追加の報告をします。資料5-1の3頁目の番号1の技術について、コメント欄に、 予定症例数が24例となっていますが、実績報告では17年度0件、18年度0件、19年 度1例となっているので、その試験期間や予定症例数の確保方法について確認してくだ さいとのご指摘をいただいております。この内容について大学に確認したところ、対象 となる症例の方はいるのですが、諸費用が10万円ぐらいかかるので、患者に説明をす ると、やるという方が少ないということで、症例数が0になっていたのが実態です。他 の医療機関とも協力をして、症例数を集めるようにしたいとのご報告をいただいており ます。その疾患の患者はいるということです。 ○伊藤構成員  試験として、ある程度妥当なところで折合いをつけて、費用の面などは委託するのだ ろうと思うのですが。 ○猿田座長  金子先生、何か意見はありますか。これは出血がかなり多いのですか。 ○金子構成員  技術としてはもう確立されているものだとは思います。手術時間が長くなるとかあり ますが、利点は多いので、このまま続けられればいいと思います。 ○猿田座長  例数に関しては、これだけやっているから。 ○金子構成員  そうですね。費用の問題等は、患者が選ぶ問題ですから。 ○伊藤構成員  資料を見ると、施設ごとに費用に多少違いがあるようで、皆さんにまとめていただけ ないかとお願いしているところなのですが、一方では50症例とか実際の症例が多い施 設もあるようです。その辺りも、ある程度均質化していただくほうが、試験としての体 裁上はよいのではないかと思っております。 ○猿田座長  ほかにいかがですか。このようなことでかなり確立しているから、例数の問題はいい だろうということと、不備な所は直していただくということです。よろしければ、番号 1に関しては九州大学の申請について修正していただければ、認める方向にします。保 留になっている機関は、九州大学と調整していくことになるかと思います。それでは、 番号1に関してはそのような形でいきたいと思います。  番号11の「内視鏡下甲状腺がん手術」に関しては、どなたかご意見はありますか。 こちらは、田島先生から同意書の問題が出ていましたが、いかがですか。金子先生から 何かありますか。 ○金子構成員  特にありません。 ○猿田座長  伊藤先生には先ほど言っていただきましたが。 ○伊藤構成員  筑波は、9名ぐらいの方ですでに経験があるので、試験としての体裁と同意文書をき ちんとしていただいて、これは悪性腫瘍ですので、本当に内視鏡と広範な可視下のもの と差がないかどうかもきちんとしないと、うまくいったというだけでは試験ではないの ではないかというのが、委員の方々のご意見だろうと思います。その辺りの意見を踏ま えて、体裁を整えたほうがいいのではないかとのご意見だと思っております。 ○猿田座長  これは内視鏡的で、他の至急の手術などでも出てきていますが、同じようなことなの です。 ○北村構成員  審査についてお聞きしたいのですが、良性腫瘍のほうも「医療技術の有用性」が「不 適」、悪性腫瘍のがんのほうも「医療技術の有用性」が「不適」となっています。良性と 悪性の「不適」に差があるのですか。良性腫瘍の場合は、非常に傷が小さく、よくきれ いに取れたということだけで済むような気がするのですが、悪性腫瘍になるとそれだけ ではいけないと思うのです。 ○伊藤構成員  そうですね。確かに傷口が小さくなって、同時にあとの障害も少ないかもしれないと 思う半面、再発も含めて、大丈夫かという意味で、悪性腫瘍に関しては心配があるので、 評価の方法について明記しておいたほうがいいのではないかと思います。  良性腫瘍に関しては、どちらかというと美容的な意味だけでもメリットがあるだろう と思いますが、書き方や同意説明文書の問題等で患者のメリットがどのようになるのか は、もう少しきちんとした書き方をしたほうがいいのではないかという意味で、「不適」 のマークが付いてしまっているのだと思います。委員の中でも、すべての技術について 不適と言っているわけではないと思っております。 ○北村構成員   この点について、田島先生は、同意文書は良性のほうは「適」、がんのほうは「不適」 とおっしゃっていますが、それは悪性腫瘍と良性腫瘍という観点でそうおっしゃってい ると。 ○田島構成員  そこまで念頭に置いて区別しているわけではありません。 ○猿田座長 北村先生、あとのほうの問題は施設にちゃんと言っていただいてというこ とでよろしいですか。 ○北村構成員  はい。 ○金子構成員  安全性確認試験の形での手術、簡単的な安全性を確認するという形で書かれているの です。施設によっていろいろな書き方をしているので、そういう意味では、がんの治療 としてどうかというのはあまり問うていない申請書だと思います。2つのものが混在し てしまっているので、それをはっきりしたほうがいいのかなと思います。 ○猿田座長 最初に先進医療として出てきたときに、一応ディスカッションしているの ですが。そういった点も踏まえて訂正していただくということで、筑波で例数もかなり やられているということですので、番号11に関しても認める方針でいきたいと思いま す。よろしいでしょうか。それでは、番号11も不備な所は適切に直していく形で、番 号1は九州、11は筑波を認めていただくことにします。ありがとうございました。  続いて、資料5-2について、藤原先生からご説明をお願いします。 ○藤原構成員  資料5-2ですが、青い資料のほうは番号2、4-1、4-2、15です。これは、すべてメラ ノーマ(悪性黒色腫)乳がん、早期胃がんにおけるセンチネルリンパ節生検を巡る申請 です。センチネルリンパ節生検は、日本語では見張りリンパ節といって、がんの関連領 域にある見張りリンパ節の転移が陰性であれば、従来なら広範なリンパ節郭清をしてい たものを省略できる、あるいは縮小手術も可能であるところから、悪性黒色腫や乳がん では全世界的に広く行われている手技です。  資料5-2に、各委員からのコメントをまとめております。番号2の九州大学等からの 悪性黒色腫におけるリンパ節生検等の申請ですが、これはなかなか難しいところがあり ますが症例数の設定根拠と、効果・安全性評価委員会にて、新しい手法を用いたものを 第三者的に、研究者とは独立して評価することに関してなど、若干問題は認められます が、同意・説明文書等に致命的な欠陥はないだろうとの意見でした。  番号4-1の聖路加国際病院からの乳がんに関するセンチネルリンパ節生検の申請です が、これは各委員に回った時点でまだフルプロトコールが配付されていなかったので、 4頁目の金子先生のご意見に書いてあるように、「プロトコールがないため」との記載も ありますが、そのあと大まかなプロトコールのドラフトバージョンが出ております。そ れを見ても、この前の九州大学のメラノーマの事例と同じように、症例数の設定根拠や 試験期間をどのぐらいにするかなどがあいまいになっているところもありましたし、田 島先生がご指摘のように、乳がんに関してはまだ作成途上なところもあったらしく、説 明文書が不完全なところがあるだろうと思っております。  7頁目は、信州大学他の施設からの悪性黒色腫のセンチネルリンパ節生検に関するも のです。田島先生の評価を見ると、同意・説明文書は完ぺきという評価をいただいてお り、その他は従前のリンパ節生検と同じコメントを各委員からいただいております。  10頁は、早期胃がんに対するリンパ節生検で、慶應義塾大学病院等から出ております。 これに関しても、説明文書あるいはプロトコール全体に関して致命的なものはなく、症 例数の設定の根拠や試験期間をもう少し詳細に書いていただければいいでしょうとの記 載でしたので、全体的に問題点は少ないのではないかと考えております。  ただ、5-2で、これはプロトコールの中では各申請者の先生方が調整等にとまどうこ とから、書きにくい、あるいはプロトコールで詳細にフィックスしにくいと思われたと ころがあったので、私のほうで気づいたところをまとめました。5-2の1)は「用法・ 用量があいまい」と書いてありますが、これは従前からいろいろな施設で幅広く行われ ていたので、施設間ごとに使う色素やRIの注射量、どこに注射をして、何分経ったら シンチグラフィをしてチェックするとか、その辺りは明確には規定されておりませんで した。したがって、臨床試験が1年で終わった時点で集めてみると、何が何だかわから ない結果になることを懸念しますので、試験が始まる前に、全国的に用法・用量に関し てはある程度統一しておいてほしいと思いました。  使用製剤についても、非常に幅広く、歴史的にいろいろなものが使われた経緯があり ます。例えば、RI法では99mTc製剤のうち、プロトコールの上では人血清アルブミン とフチン酸とスズコロイドの3種が載っているのですが、現場の意見と実態を見ると、 最近はフチン酸の99mTc製剤が使われる機会が多いことも聞いているので、どのよう な方向で調整するかは各申請者の努力が要るのではないかと思います。  色素法に関しては、実際にプロトコールの大半に載っているのはICGです。ジアグノ グリーンやインジゴカルミンなど、肝機能の検査で診断薬として使われているものが書 いてあるのですが、臨床現場の実態でリンパ節生検にいちばん使われているのは、そこ に書いてあるアシッドブルーやLymphazurinという青色の色素なのです。緑は同定率 が悪いので、昔は使われていましたが、最近はブルー系に変わってきていて、アシッド ブルーは医薬品ではなく試薬なのです。試薬を院内の薬剤部で水に溶かして、それを滅 菌して使っている施設が大半です。Lymphazurinは、手術器具のメーカーが間に入って 個人輸入されており、これはFDAでは承認されている品目ですが、それを注射したり、 プロトコールの上では公的に書きにくい実態があったのであいまいにされているのだと 思います。実際に試験期間の最中にあいまいなままで進んでいると、非常に難しいこと になるので、ちゃんとした調整が必要だと思います。  癌特異的なコメントは書きましたが、乳癌ではICGが書いてありますが、実際はアシ ッドブルーなどのブルー系統の色素が使われていることと、胃癌では厚生労働省のがん 研究助成金でやっているJCOGスタディで、ICGを使った試験が偽陰性率が高くて試験 中断になっているので、臨床的な早期胃癌におけるセンチネルリンパ節生検の意義に関 して、きちんと議論した上で試験をスタートしてほしいと思っております。メラノーマ に関しては、RIが単一企業のものにあまり言及しているのみで、ほかにもRI製剤を売 っている会社はあるので、その辺りは利益相反に配慮した計画書、あるいは企業との折 衝が必要だろうと思いました。これが、すべてのセンチネルリンパ節生検の申請書に対 する統一した私のコメントです。 ○猿田座長  ありがとうございました。非常に細かくご説明いただきました。特に、あとのほうの 共通点としての問題は、乳癌学会からの多数の施設のことや胃癌のことも出ていますの で、その辺りも含めて議論をしたいと思います。  今回の審査の、九州大学の「悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の遺伝子診断」 に関しては条件つきでということですが、どなたかご意見はありますか。悪性黒色腫に 関してはほかの施設からも出ていますが、九州大学の悪性黒色腫について条件つきで認 めていただければ、熊本大学、札幌医科大学等ほかの施設についても検討していただく ことになるかと思いますが、九州大学については認めてもよろしいですか。藤原先生は、 この九州大学に関してはいかがですか。 ○藤原構成員  九州大学は文科省の研究費でもともとやっていて、厚労省の研究費では信州大学を中 心にやっていた経緯があります。札医と熊大についてはわかりませんが、研究費の創出 や歴史的な経緯で別々にやっていたところがあるので、それを「臨床的使用確認試験」 でやる場合には統一していただきたいというのが私の意見です。 ○猿田座長  乳がんに関しては、聖路加国際病院から資料も出てきて、適切なものということです ので、そうすると聖路加国際病院も信州大学も認めていただいてよろしいですね。 ○事務局  乳癌については日本乳癌学会から、胃癌についてはSNNS研究会から来ていて、悪性 黒色腫に関しても日本皮膚科学会と日本皮膚腫瘍学会から、用法・用量や、やり方につ いて調整をやっていきたいとの報告をいただいております。今日藤原先生にご指摘いた だいた点は、そのような学会を中心に調整をしていただくようにお願いをしていきたい と思っております。 ○猿田座長  藤原先生がご指摘の用法・用量のあいまいな点や、使用製剤の問題、特に資料5-2で 挙げていただいた点は、施設が広がるとなると、施設の状況とこういったことを統一し てもらわないとますます混乱すると思うので、その辺りは細かい議論をしていただいた ほうがいいですね。 ○藤原構成員  はい。1つ追加すると、色素法と、色素とRI法の併用と、RI法と、大枠としては3 つあるのですが、RI法はできる施設が限られてきます。大きな病院はほとんどRI法を やっています。それが同定率も高いし、正確に判断できるのですが、色素法に関しては 偽陰性が多く、大病院でない所では色素法がやりやすいので広く行われていますが、集 計する場合は併用法、RI法、色素法について施設間格差がないとか、特に色素法につい ては要注意で見ておかないといけないと考えております。 ○猿田座長  次の早期胃がんに関しても、例数がかなり行われているということで、条件つきでよ ろしいでしょうか。これもSNNS研究会にだいぶ施設が書いてあるので、これもそうい った条件をきちんと書いていただければいいということで、ここに出ている所はお認め いただいてよろしいでしょうか。 ○藤原構成員  SNNS研究会は、日本医学会加盟でもありませんし、どのような研究会か実態が不明 なので、利益相反的に大丈夫かどうかはどこかで確認しておいたほうがいい気がします。 ○猿田座長  結構施設がありますからね。事務局はそれでよろしいですか。 ○事務局  承知しました。 ○猿田座長  ほかにご意見はありますか。特にないようでしたら、「悪性黒色腫におけるセンチネル リンパ節の遺伝子診断」は九州大学でやることを条件つきで認めていただく、「乳がんに おけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索」は聖路加国際病院、信州大学で黒色腫 のほうを条件つきで認めます。熊本と札幌に関しては、信州大学の申請と統一化をして 調整していただくということでお願いします。早期胃がんに関しては、慶應大学に条件 をきちんと書いていただいて認めることにしたいと思います。認めていただければ、こ のような形でこの施設は通して、乳癌学会とSNNS研究会で出てきている所に関しては、 もう1回施設をしっかり確認した上で認める形にします。  続きまして、5-3に移ります。これも藤原先生からご説明をお願いします。 ○藤原構成員  資料5-3、青いファイルでは番号3-2です。これは、「腫瘍性骨病変及び骨粗鬆症に伴 う骨脆弱性病変に対する経皮的骨形成術」と書いてありますが、一般では骨セメントと いわれるもので、技術的には専門病院では結構行っている施設もあります。各委員の評 価を見ると、あまり大きな問題点は指摘されていませんが、骨セメント自体はショック の事例が報告されていて、安全性に関してきちんとしたフォローをしておかないと、被 験者に対する責任を感じますので、そこを全体的に整備していただくことが大きな問題 点かと思っております。手技自体はちゃんとした先生方がやれば、ある程度確立してい るので、申請上の大きな問題とは理解しませんでした。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いま藤原先生にご指摘いただいた骨セメントに関し ては、いろいろな事故が起こっています。特に血栓症そのほか、肺梗塞などの問題があ って、1回施設を呼び出して中谷先生に相談したことがあります。それでいろいろな危 険性を聞いたので、そういった注意をしていただければ大丈夫だろうということで、私 としてはいいだろうと思いました。また、どうしても補償の問題があって、田島先生か らもその点をしっかりさせなければいけないとのご意見が出ております。全体的には、 いま藤原先生がおっしゃったように認めていいのではないかということですが、ご意見 はありますか。  金沢大学ではかなり例数も出てしっかりしているということですので、特に問題がな ければ、これは認めてよろしいでしょうか。これに関して、昭和大学病院と九州大学病 院は少し問題があるので、それは金沢大学の申請と統一していただいて、保留にします か。 ○事務局  骨セメントの経皮的骨形成術について、高度先進にあったときは、技術面にあるよう に転移性脊椎骨腫瘍のほか、骨粗鬆症、骨折などがあって、腫瘍のものと骨粗鬆症のも のと両方が入っていたのですが、骨粗鬆症のものについては治験を検討していることも あるので、今回の「臨床的な使用確認試験」に関しては、悪性骨腫瘍に対するものとい うことで対象を絞りたいと思います。申請されてきた内容がそのようになっているかと 思いますので、お願いしたいと思います。  また、医療機器等の早期導入に関する検討会でも、優先的に導入すべき品目となって いて、その場でも転移性の骨悪性腫瘍と良性腫瘍について取扱いをよく考えるべきとの ご議論もあるので、この場では申請されてきている悪性骨腫瘍に対するところを適応症 という形で、試験で実施しようと考えております。 ○猿田座長  藤原先生、よろしいでしょうか。 ○藤原構成員  はい。 ○猿田座長  いまお話があった形でいきたいということと、金沢以外の所は必ず調整していただく ことになると思いますが、よろしいですか。それでは、この件はそのような形で、金沢 に関しては認める、もう1つは、骨粗鬆症に関しては抜いておいて、腫瘍性骨病変に対 して認めたいと思います。  それでは、その他の番号5、7、16に関して、事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  資料4の3頁、番号5の「カフェイン併用化学療法」です。金沢大学他、福島県立医 大病院、大阪市大病院から来ておりますが、3件とも有効性の判断基準の記載が不明確 であるとか、条件つきにするにも少し不備が多い点があったので、3件とも一旦保留の 形で返戻し、修正があって上がってきたら、改めてご審査いただく形にしたいと思いま す。  番号7の「筋過緊張に対するmuscle afferent block治療」、番号16の「副甲状腺内 活性型ビタミンD(アナログ)直接注入療法」の2件の申請についても、ほぼ同様の判 断基準や試験の実施体制で不備な点が多いということで、こちらも保留の形で返戻し、 修正がされてきたら改めて審査をしていただくことにしたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。どなたかご質問等ありますか。いずれも高度先進に出てき ていたものですが、各大学から出てきていたものに不備な点があるので、もう1回そこ をしっかりしてもらってから、再検討するということです。よろしければ、番号5のカ フェイン併用療法、番号7の「筋過緊張に対するmuscle afferent block治療」、番号16 の副甲状腺活性型ビタミンD注入療法は、この次にもう1回検討することになります。  検討していただくことはここまでですが、議題2に移ります。臨床的な使用確認試験 の手続き等について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  資料6をご覧ください。「『臨床的な使用確認試験』の今後の手続き等について」です。 今回条件つきで、あるいは「適」の形でお認めいただいた申請については、条件つきに 関してはその部分の修正をしていただき、主担当の先生にご確認をいただいて了解が得 られれば、試験として実施していただく形にします。  1点目の「申請医療機関の追加等について」ですが、使用確認試験が開始された後に、 別の医療機関からもこの技術に参加したいと追加の申請があった場合は、また使用確認 試験の計画の内容を提出していただき、審査をしていただいて、使用確認試験の要件を 満たしている場合には追加できることにしたいと思います。  2点目の「使用確認試験の開始後の試験計画の変更等について」ですが、一旦使用確 認試験を開始した後に、材料を変更するとか適応を追加する、あるいは小さくするとい った計画に変更が必要となった場合には、事前に事務局に変更内容を届け出て確認を取 っていただきたいと思います。  3点目は「使用確認試験の終了について」ですが、実施医療機関は、使用確認試験の 終了後、本検討会にその結果がどうなったかを報告をすることとします。また、使用確 認実施中に適応外であった適応について、きちんと薬事承認が得られた場合には問題な いので、原則として先進医療の対象となるということで整理したいと思います。このあ と、試験の実施にあたっては、細かい手続き等を事務連絡や通知できちんと整理し、発 出して始めていただくという手続きを進めたいと思います。 ○猿田座長  いまご説明いただいた今後の手続きに関して、ご意見、ご質問等ありますか。これは 時間があまりないのですね。 ○事務局  来年の3月末までです。 ○猿田座長  今日は11月1日ですから、早く進めていかなければいけないので、こちらの対応は そのようにしますが、これはお認めいただいたということでよろしいですか。ありがと うございました。  それでは、補償の問題についてご説明をお願いします。 ○事務局  前回、田島先生などに、使用確認試験実施計画書の補償欄の記載方法で、補償「有」 と補償「無」の付け方が医療機関によって差があるのではないかとのご指摘をいただい ておりました。その点は、被験者において有害事象が発生した場合に、補償「有」とす る場合は医療保険の範囲以上の患者負担の軽減を図る、例えば患者負担分の費用は医療 機関が負担をする場合は補償「有」で、ただ単に医療保険の範囲で対応するものは補償 「無」という取扱いで整理したいと思います。医療保険の範囲でしか対応しないのに補 償「有」に○をするようなところは、きちんと整理をして直していきたいと思います。 ○猿田座長  一応その形でいいですか。保険だけでもかまわないということですか。 ○事務局  それは技術のリスクの大きさにもあると思うのですが、軽微なものは医療保険の範囲 での対応もということがあるかと思いますが、それも含めてご審査いただき、ご意見を いただければと思います。 ○猿田座長  この間、同じ施設で別々に書いたものがあったのです。 ○事務局  書き方はそのような整理をしたいと思います。 ○猿田座長  それぞれ重要な問題ですから、当然補償してもらったほうがいいのです。もちろん技 術によるのかもしれませんが、とにかく九州大学かどこかがそうだったのですね。1つ の案件に関しては保険だけ、片方に関しては補償すると書いてあります。 ○事務局  1つの技術を共通で複数の医療機関がやる場合は、そこはなるべく揃えたほうがよろ しいかと思います。 ○猿田座長  その点も、できる限りしっかり統一する形でやっていこうということです。他にご意 見はありますか。それでは、今後の手続きのことと補償の問題はそのような形でやって いきたいと思います。  今日のところはこういうことですが、今日ご議論いただいて決めた結果に関しては、 先進医療の専門家会議と中医協に報告することになります。今日はカフェインその他、 残ってしまった案件がありましたが、それに関しては、事務局から戻してもう1回書類 の差出しを変えてもらうとか整理するとなると、もう1回検討委員会をしなければいけ ません。それでよろしいでしょうか。  それでは、今日ご議論していただくことは以上です。日程について、事務局から何か ありますか。 ○事務局  次回の検討会については、改めて先生方の予定を調整し、医療機関からの修正の間に 合い状況も踏まえて調整します。 ○猿田座長  その点も期限があるので、できるだけ早くお願いします。 ○事務局  できれば年内ぐらいにはと思っておりますが、あまり時間もないので、よろしくお願 いします。 ○猿田座長  ほかにご意見がなければ、だいぶ早いですが終わらせていただきます。どうもありが とうございました。                          照会先                           医政局研究開発振興課                           03-5253-1111 内線4163