07/11/01 管理濃度等検討会  第2回議事録         第2回 管理濃度等検討会議 日時 平成19年11月1日(木) 13:30〜 場所 中央合同庁舎第5号館2階共用第6会議室 ○古屋副主任 定刻前ですが、皆様お揃いですので、ただいまから第2回「管理濃度等検討会議」を始め  ます。   議事に入る前に、今回の会議から出席しております行政側メンバーを紹介いたします。化学物質対策課  の榎本課長と福井係長です。 ○榎本課長 榎本でございます。先生方には大変お世話になっております。私は8月24日付で化学物質  対策課長になりました。私どもの課については、化学物質のリスク評価の関係で、この委員会にも大変お  世話になっております。今後とも引き続きよろしくお願いいたします。 ○福井係長 福井でございます、4月1日から化学物質対策課の評価係長として、衛生対策班で四則  及び石綿について担当しております。よろしくお願いいたします。 ○古屋副主任 それでは、本日の配布資料の確認をさせていただきます。「次第」の次の頁に本日の配布  資料一覧があります。本日は全部で7種類の資料を配布しております。このうち資料番号-3、4、5、6、9  については、前回出したものですが、このうち3、5、6、9については、前回ご指摘をいただいた点を踏まえて  修正したものをお配りしております。資料番号-13、14は今回新規に出している資料です。   各資料について簡単に説明します。資料番号-3の「管理濃度の設定・見直しの検討について」ですが、  前回の検討会において、五酸化バナジウムについてご指摘いただき、管理濃度はバナジウムとして  0.03mg/m3、産衛学会の許容濃度は五酸化バナジウムとして0.05mg/m3ということで、換算すれば同じ  値となりますので、今回の検討対象から削除しました。具体的に修正しておりますのは資料番号-3の2頁  の上から3行目のdの部分ですが、前回は五酸化バナジウムを含めて2物質にしておりましたが、五酸化バ  ナジウムを削除しましたので、管理濃度が低い物質は1物質になっております。3頁の右の図も(3)を2物質  から1物質に変更しております。   資料番号-5は、五酸化バナジウムのご指摘と併せて、産衛学会の粉じんの許容濃度の記述が違ってい  るということで、五酸化バナジウムの欄を削除することと、粉じんの産衛学会の許容濃度の記載内容を修  正しておりま。す産衛学会については、提案の年度、ACGIHについては、提案年度と決定の年を併せ  て記載しております。括弧書きで記載された年が決定した年です。また、一番右に規制対象の欄を設け  て、粉じん、特化物、有機溶剤という区分を記載しています。   資料番号-6は、資料番号-5と同じ粉じんの産衛学会の許容濃度の指摘がありましたので、その部分の  記載内容を訂正しています。   資料番号-9は、前回の検討会で抑制濃度の値と管理濃度の値を比較するに当たって、管理濃度の変  遷がわかるようにしていただきたいというご意見を踏まえて、見直し・設定時期の欄、管理濃度の欄の見直  し前、分類の欄、抑制濃度要検討物質の欄を追加しています。以上が前回のご指摘を受けて直した資  料です。   資料番号-14は、今回の検討対象物質の有機溶剤7物質について、測定技術に関する資料ということ  で、小西委員から提出していただいたものです。   別のファイルでかなり厚めの資料番号-13は、今回の検討対象物質である有機溶剤7物質についての日  本産業衛生学会の提案理由書、ACGIHの提案理由書の原文と、その後ろに仮訳を付けたものです。  以上ですが、よろしいでしょうか。   それでは議事を櫻井座長、よろしくお願いします。 ○櫻井座長 それでは、今日の会議次第の2の「議事」で、7物質について、その管理濃度を検討、決定す  る作業に入りたいと思います。   まず1番目のエチレングリコールモノメチルエーテルについて、資料等に基づいて事務局から説明をお願いし  ます。  ○岸係長 資料について説明させていただきます。まずエチレングリコールモノメチルエーテルの基本的なデー  タを説明します。エチレングリコールモノメチルエーテルは、無色透明の液体で沸点は124.2℃です。主な有  害性の評価としては、資料番号-6の5頁を見ますと、ACGIHが経皮膚侵入の危険がある物質、日本産  衛学会では経皮膚侵入の危険がある物質として評価しております。   また、許容濃度等の設定状況については、資料番号-5の2頁です。日本産業衛生学会では許容濃度  として1985年に5ppmを提案しています。一方、ACGIHはばく露限界値として、以前は5ppmだったも  のを2005年に0.1ppmを新たに提案し、2006年に決定しています。管理濃度は1988年に5ppmを設  定しています。用途としては溶剤、皮革処理剤、合成化学工業原料があります。ACGIH及び日本産衛  学会の提案理由書については、資料番号-13の1頁より掲載されています。このうち2005年にばく露限界  値として、ACGIHより0.1ppmが提案された提案理由書訳文の「TLV勧告書」の箇所について朗読さ  せていただきます。資料番号-13の25頁です。なお仮訳であることにご留意ください。   「TLV勧告」。EGMEのTLV-TWAは、造血機能障害及び生殖機能障害の回避を目的としている。  これらの毒性は、EGMEにばく露させた実験動物およびヒトにおいて発生する。妊娠したウサギでは3ppm  の吸入ばく露で血液学的異常が見られた。ヒトの貧血と、皮膚ばく露を伴う形での35.7ppmのEGMEの  吸入ばく露には関連が認められた。吸入ばく露を0.55ppmに低下させ、皮膚ばく露を減少したところ、貧  血は解消した。   ウサギは妊娠中に10ppmにばく露すると骨化遅延が生じ、50ppmではさらに重大な先天性奇形が生じ  た。ラットでは胎児期における25ppmのばく露によって骨格変形が生じた。CD-1マウスでは、妊娠8日での  EGME単回投与によって外脳症を生じうる。ラットでは、交配前の雄か妊娠した雌かを問わず、25ppm  を吸入させた後の出生児に神経行動学的異常および神経化学的異常が生じることが報告されている。   ウサギでは、30ppmという低いレベルのばく露で精巣毒性が観察された。EGME毒性に関するある  PBPKモデルでは齧歯類において毒性効果を生じるばく露レベルの約13分の1のレベルでヒトに同様の毒  性効果を生じることが示唆された。0.55ppmではヒトに貧血が生じず、齧歯類では10ppmで生殖毒性  作用があることから、EGMEについてはTLV-TWAとして0.1ppmを勧告する。以上です。続きまして測  定技術に関する内容について、小西委員からお願いします。 ○小西委員 資料番号-14についてです。エチレングリコールモノメチルエーテルについては、現行の作業環  境測定基準による測定方法は、直接捕集、シリカゲル管による固体捕集、活性炭管による固体捕集と  3種類あります。直接捕集では、現行の方法ですと、定量下限が2mL注入で2ppmという状況です。管  理濃度が仮に0.1となった場合に、測定の可能性ですが、現行の測定基準で直接捕集法では難しいだ  ろうということです。   固体捕集のシリカゲル管を使ったガスクロ、あるいは固体捕集の活性炭を使ったものについては、できる  だろうということですが、私のほうで手持ちのデータがないものですから、確実なことは申し上げられませんが、  原理的に言いますと、可能であろうと考えます。ただ、一度検討してみる必要があるだろうということです。   測定可能、要検討、測定不可という考え方の基本は、現行の作業環境測定基準の測定では、管理  濃度の10分の1まで計測が必要だということがありますので、それを加味した上での測定可能と不可とい  う形で印を付けています。   参考までにいろいろな化学物質等については、吸引の空気量を増やすことによって方法論はそのままで  定量の下限濃度を下げることが可能です。その参考として、NIOSHのほうで出ているFLOW RATE  とVOL-MINとVOL-MAXを参考までに空気量として付けてあります。   固体捕集の活性炭法でいきますと、FLOW RATEが0.01〜0.05ぐらいで、6LからMAXでも50L  までで、それ以上は難しいだろうということです。   次の頁は検知管です。検知管については、現行では検知管法として認められておりませんが、この物質  について、販売されている検知管ではガステックの113LLで、測定範囲が20〜200ppmですから、この  ままの検知管では、もし管理濃度が低くなった場合には使えないだろうということです。以上です。 ○櫻井座長 それでは早速、質疑あるいは議論に入りたいと思います。いかがでしょうか。 ○松村委員 いまの測定法ですが、NIOSHの条件でやりますと、0.05L/minで50L吸引するとした  ら、1,000分かかるのですが。 ○小西委員 これは既存のNIOSHのものは個人ばく露なので、時間が長いときのデータです。 ○松村委員 だから、このままは使えないです。 ○小西委員 そうです。 ○松村委員 その場合に、日本の作業環境測定の制度で使う場合に、最高でどのぐらいまで可能なので  しょうか。 ○小西委員 サンプリング時間そのものは作業環境測定では、特段規定しているわけではないので、それ  で測定できるのであれば、必要空気量の計算をして、その時間を決めるというのが基本的なやり方です。  だからと言って8時間というわけにはいかないと思います。 ○松村委員 時間的なばらつきが出ません。 ○小西委員 そういう意味では作業環境測定は、測定点の測定の間隔としては1時間以上あけることに  なっていますから、長くても60分ぐらいが目安なのかと思います。手元に実際の実験データがないものです  から、これは検討してみる必要があるだろうと思っています。 ○松村委員 グリコールエーテル類というのは、ピークが寝てしまって、分析しにくいです。 ○櫻井座長 0.1という数字について、いかがですか。 ○中明委員 決めるのはいいのですが、実際の現場でそれが測れないというのではあまり意味がなく、どの  辺で判断するのですか。5ppmなら何とか測れるのでしょうか。 ○松村委員 これでも難しいのではありませんか。 ○中明委員 かなり難しいです。ある程度時間を余計かけてするしかないのですが、そうすると0.1は、確  かにACGIHのデータの中では、それなりに根拠はあるのでしょうが、それが現場サイドで本当にアプライド  できるかといったら、決めてもしょうがないという気がします。 ○小西委員 現行の5ppmの管理濃度の場合に、この測定法でできる範囲としては、その10分の1まで  ですから、0.5までは何とかできるわけです。さらに0.1にすると、0.01を測らなければいけないという観点か  らは難しいのではないかと思います。 ○松村委員 これは実際に塗料に使われることが多いと思いますが、そういう状況で0.1というのは現場で  管理できるのでしょうか。 ○小西委員 塗料でも、セロソルブというのは、蒸発を抑制するために加えている物質です。 ○中明委員 照りがよくなって、仕上げがきれいになります。 ○小西委員 ただ、直接作っている場所の直上で測定しても、我々の経験ではあまり出てきたことがない  です。 ○中明委員 何パーセントか入っているというのだったら、これをうんと厳しくしてやるよりも、別のもので管理  してもうまくいってしまうのかですね。その辺は、私は現場に出ていないから、何とも言えませんが。 ○名古屋委員 分析方法を溶媒脱着ではなく、例えば、テナックスを使って加熱脱着すれば全量出てくる  から定量下限はかなり下がります。 ○松村委員 分析装置から違うので、簡単ではないですね。 ○名古屋委員 テナックスを使えば脱着は簡単です。要するに活性炭を使っているから出てこないので、そ  ういう新しい方法が取り入れられればできる。どうしても0.1ありきだったとしたら、測定法の検討が必要です。  今はどうしても活性炭で採っているから、溶媒脱着しなければいけないということですが、溶媒脱着では薄  められます。加熱脱着は濃縮したら、全部が出てくるわけだから、簡単に採れます。そういう形で考えると、  この分析をしたことがないので分からないのですが。測定法のところがクリアできれば、可能性があると思い  ます。 ○松村委員 菅野委員は加熱脱着の経験がだいぶんおありですね。 ○菅野委員 できると思いますが、装置が数百万円もするので、すぐにはちょっと難しい。 ○名古屋委員 これではない方法でやるのだったら可能性はあると思います。ただ、今はこれで規定されて  いて、例えば、小西委員などがやっている据え付けるべきものの中で、それがオーケーになればできない方  法ではないと思います。 ○中明委員 ACGIHでは加熱脱着しているのですか。 ○菅野委員 60L捕集すれば、アメリカでは低い濃度のほうを正確に測れとは言っていませんので、ある  程度できるのではないかと思います。 ○中明委員 60Lはかなりの量です。 ○田中委員 これは現場では混合で使うときに、それのためだけに分析の試料を取るというのは難しいと  いう気がします。 ○松村委員 ほかの沸点の低いものが入っていると、60Lも取ると、そちらのほうが抜けてしまいます。そ  ういう場合には、現場では何本も条件を変えて取ることをやっているのだと思います。 ○田中委員 産衛では、5ppmですがいまから変える方向にあるのですか。 ○大前委員 見直し対象物質に、入っていたかもしれません。0.1と5では随分違いますから、見直さな  ければならないと思います。これは昭和60年ですが、このときはあまりデータがなかったと思います。動物  実験のデータはメインとして決めたと思うので、それ以降、ヒトのデータが出てきているようですから、検討  しますが、対象にしなければいけないと思います。 ○櫻井座長 20年ぐらい前の判断ですから。 ○大前委員 ACGIHによりますと、0.55で貧血がなくなったから0.1という、すごい決め方をしていると  思いますが、今までのパターンですと0.55で消えれば0.5というのが一般的なイメージです。 ○櫻井座長 やはり厳しめの方向に動いています。ほかのエチレングリコールモノエステル類に比べて、こ  れはとりわけ毒性が強いみたいです。ですから、実際にはこれでなければならないということがないとしたら  使わなくなる方向なのかどうか。 ○中明委員 酢酸性のセロソルブだったら、今は25ぐらいですから、そうすると、ほかのものが使えるのだっ  たら、そちらのほうがというのはあると思います。それなりの特性があるのだと思います。 ○櫻井座長 精巣毒性があるというのはナガノさんが世界で最初に発見しました。他のエチレングリコール  の類と比べて、これが最も毒性が強いというのは何人かの人が言っています。0.1下げるとして、5ではなく  て、何らかの安全を見て下げるとき、ACGIHが0.1を採用しているということを、そのまま受け取って0.1  にするのは厳しいかなとは思いますが、いかがでしょうか。 ○松村委員 分析法が可能かどうか確認する時間が1年ぐらいあってもいい。1年というわけにはいかず、  もう少し長いのかもしれませんが、まだ産衛のほうは変わっていないということで、それでもいいのかなという  気がします。 ○櫻井座長 この物質についてはペンディングにしてはというご意見ですか。 ○松村委員 はい。 ○半田室長 医学的な判断は私はわかりませんが、医学的な観点としては0.1ppmというのは、非常に  妥当だという先生方の見解と理解してよろしいでしょうか。その点が第1点です。   第2点は、現実的に汎用的な手法で、計測できるのかどうかです。現状の測定方法の中で、少し背  伸びをすれば手が届くぐらいのものでなければ法令をもって強制することは、極めて困難だと考えますの  で、医学的な判断、現実的な測定技術の辺りを判断して決めさせていただきたいと思います。 ○和田委員 TLV勧告の26頁で、0.55では貧血がこないが、齧歯類で10ppmで生殖毒性がくる。  生殖毒性というのは13分の1ぐらいである。それから計算している感じです。それで0.1というのを出してい  るわけですから、13分の1が示唆されたという論文も見ないとどれだけ信憑性があるかわからないです。  それをもってたぶん0.1と出したのだろうと思うので。 ○櫻井座長 PBPKモデルではヒト対しても毒性が示唆されたとあります。 ○和田委員 どの程度信用していいかですが、それだけで計算しているような感じがあるのです。その文  献の妥当性というのが非常に問題になると思いますし、0.55ppmで貧血がこないので、その辺のところ  でとりあえず押さえていくかということです。 ○大前委員 原文を読まなければわからないのですが、91番の文献が、いまの0.55という根拠なので  すが、通常、この物質は単独ではなくて、複合毒性の可能性があると思います。そうすると影響は強め  に出てきている可能性もあるので、そういう意味でも0.55を0.1にしたのは結構大胆な判断だと思いま  す。できれば、この原文を読んでみたいと思います。 ○和田委員 どの程度信憑性があるかということです。 ○櫻井座長 医学的あるいは中毒学的に0.1が妥当であるという結論は、いまは下しにくいということで  す。問題点がいくつか明らかになっておりますので、今日決めるのは無理だと思います。 ○半田室長 了解いたしました。それでは、また私どもで進め方などを先生とご相談させていだきまして、  検討させていただきます。 ○櫻井座長 それでは、この物質については、そのようにさせていただきまして、次はクロロホルムをお願い  します。 ○岸係長 続きまして、クロロホルムについてご説明いたします。まず基本的なデータです。クロロホルム  は、無色の液体で、沸点は61.3℃です。主な有害性の評価は、資料番号-6の6頁です。発がん性と  しては、IARCが2B、ACGIHがA3、日本産衛学会が第2群Bと評価しています。   また許容濃度等の設定状況については、資料番号-5の3頁です。日本産衛学会では許容濃度とし  て、以前は10ppmだったものを2005年に3ppmを新たに提案しています。   一方、ACGIHではばく露限界値として1976年に10ppmを提案し、1978年に決定しています。  管理濃度は1995年に50ppmから10ppmに改正しています。   また用途としては、医薬品(消毒剤)、抽出剤、溶剤、有機合成の原料、アニリンの検出、フッ素系  冷媒の製造、血液防腐剤があります。   ACGIH及び日本産衛学会の提案理由書については、資料番号-13の28頁より掲載しています。  このうち2005年に許容濃度として、日本産衛学会より3ppmが提案された提案理由書の「許容濃  度の提案」の箇所について朗読いたします。資料番号-13の31頁です。   「許容濃度の提案」。クロロホルムには遺伝子毒性がなく、動物実験における発がん性は細胞傷害  性と組織の再生の過程で引き起こされると考えられる。量反応関係を明らかにした疫学知見はないこ  とから、齧歯類の吸入毒性試験における肝臓または腎臓の非腫瘍性病変を予防すべき影響とし、  2年間の毒性試験の無毒性量から許容濃度値を求めることとする。肝臓を標的臓器とした場合、  無毒性量がマウス(雌雄)、ラット(雌)ともに30ppm(脂肪性変化)である。一方、腎臓を標的臓器  とした場合、雄マウスの無毒性量が5ppm(壊死を伴わない近位尿細管細胞の変化)、雌マウスの  無毒性量が30ppm(尿細管細胞の変化)、ラット(雌雄)では、無毒性量が10ppm(尿細管細胞  の変化)である。なお、齧歯類の鼻腔への影響については、これをヒトに適用する積極的な根拠に乏  しいと判断される。   クロロホルムの毒性の発現にはCYP2E1による代謝産物の生成が重要である。ミクロゾームを用い  た代謝実験や、生理学的PBPKモデルによれば、内部ばく露量としてのクロロホルム代謝産物生成  能は、肝臓、腎臓とも、マウス>ラット>ヒトであった。比較的低いばく露レベルでの動物実験では、特  にマウスの腎臓で代謝産物の生成能が高い一方、ヒトの腎臓ミクロソームでの実験ではクロロホルム  代謝活性は検出されておらず、腎臓のCYP2E1のmRNAの発現も、肝臓より相対的に低いとされ  ることから、ヒトの標的臓器は肝臓と考えられる。   以上、動物実験の結果は、種・性・ばく露期間による差が大きく、クロロホルムの毒性の原因である  代謝産物生成能はヒトで最も低いと考えられることから、許容濃度値3ppm(時間荷重平均値)を  提案する。ただし、種による感受性の差が大きいので、ヒトにおける低濃度ばく露域での疫学研究、  特に腎毒性の有無に関するデータの収集を待ってこの数値を再検討のすることが望ましい。以上です。 ○櫻井座長 測定のほうをよろしくお願いします。 ○小西委員 先ほど説明を忘れたのですが、この表を作ったときは、現行の測定法によってできるかと  いう観点で作りましたので、先ほどご指摘があったような新しい方法や、外国でやっている方法につい  ては、これについて特段加味しておりませんので、その点だけ付け加えさせていただきます。   現行では直接捕集のガスクロマトグラフ、固体のシリカゲルを使ったガスクロ、活性炭を使ったガスクロ、  液体捕集の吸光光度が測定基準の中で書かれています。液体捕集の吸光光度法については?が  書いてあります。これは私どもの委員会の中でいろいろ検討したのですが、現実的に液体捕集の吸光  光度分析はほとんどやられていないので、できるかどうかわからず結論は出せません。   基本的には、もし3ppmになったときに、ECDのディテクターを使えば確実にできるだろうということで  す。ただFIDについて、その程度の濃度までというのは、まだデータを持っていないので検討しないと結  論は出せないということで、ECDのディテクターを使えば特段問題はないだろうということです。   検知管ですが、現実にこれを測定に使うことになっていて、いま出されているのがガステックの測定の  範囲が0.5ppmからという検知管が市販されています。以上です。 ○櫻井座長 3ppmの妥当性は比較的新しく日本産業衛生学会で勧告しています。 ○大前委員 このときの議論を思い出してみますと、まずバイオアッセイの実験で発がん性が出たという  ことで再検討したというのが最初のきっかけです。ヒトの場合は遺伝子毒性がないということで、発がん  をアウトカムにして許容濃度を決める必要はないだろうということで、肝臓をターゲットにしました。ここに  ありますように、腎肝に関して、ヒトは腎臓ではあまり代謝活性がないらしいということ。それに比べて代  謝活性が弱いらしいということで、30を基にして不確実係数を10にしようか、あるいは3ぐらいでいいの  ではないか。10にしますと3ですし、3ぐらいで週3回ですと10という数になるのですが、そういう議論が  ありました。たしかこのときは、まだ腎臓のデータ等をヒトに入れたあとがよくわからないとか、いろいろな  ことがあって、安全側にということで、今回は不確実係数は10をとろうということで3にしたということだっ  たと思います。 ○櫻井座長 30を10で割って3になっているということです。3の不確実係数であれば10で前と同じと  いうことになるところですが、やや安全サイドを取ったということです。動物実験のデータから外挿をして  決める場合に、比較的明確に不確実係数を労働環境においても使うようになってきており、その流  れでこうなっていると思います。これはよろしいでしょうか。管理濃度3ppmということで特段ご異議は  ございませんか。分析はどうでしょうか。これも問題はないでしょうか。それはそのように決定させていた  だきます。 ○和田委員 関係ないことですが、表1の10ppmを1976年と書いてありますが、産衛のを見ると  2002年に文献が出ています。産衛の最後に、ACGIHは10ppmというところで、(18)の文献を  見ると、2002年の文献になっているので、2002年にしておいたらどうですか。 ○櫻井座長 産衛が2005年に出したときに、いちばん新しいのを見たということだと思います。実際に  見直したのがもっと前だということです。これは誤解を招くかもしれません。 ○菅野委員 訳の方になるのですが、36頁でクロロホルムの発がん性の物質ではA2と書いてありま  す。原文は33頁でA3になっています。 ○小西委員 化学式の下のところです。 ○櫻井座長 ACGIHはどうかということですが、A3です。和文のほうがおかしいです。 ○大前委員 1995年にプロポーズがA3になっていますから、1つ前のバージョンを書いたのかもしれま  せん。 ○櫻井座長 和文はやや前のものである可能性があるので、資料として整える場合、検討をお願い  します。決定に直接かかわることではないと思います。それでは先に進みます。3番目のシクロヘキサノン  についてお願いします。 ○岸係長 続きまして、シクロヘキサノンについて説明します。シクロヘキサノンは、無色又は淡黄色の  油状液体で、沸点は155℃です。主な有害性の評価については、資料番号-6の6頁です。発がん  性としてはIARCが3、ACGIHがA3と評価しています。許容濃度の設定状況については資料番  号-5の4頁です。日本産衛学会では許容濃度として1970年に25ppmを提案しています。一方、  ACGIHではばく露限界値として、以前は25ppmであったものを2002年に20ppmを新たに提案  し、2003年に決定しています。管理濃度は1988年に25ppmを設定しています。   用途としては、ナイロン・カプロラクタム・アジピン酸の原料、硝化綿・セルロイド・ワックスなどの高沸  点溶剤、ペンキ・ワニスのはく離剤、機械部品などの洗浄剤、染料の安定剤、ケトン樹脂、絹のつや  消しがあります。   ACGIH及び日本産衛学会の提案理由書については、資料番号-13の42頁より掲載されてい  ます。このうち、2002年にばく露限界値としてACGIHより20ppmが提案された提案理由書訳文  の「TLV勧告値」の箇所について朗読します。資料番号-13の56頁です。   「TLV勧告値」。シクロヘキサノンの目、鼻、喉の刺激を最低に抑制するために、25ppmの  TLV-TWAと50ppmのTLV-STELが勧告される。この数値は28日の亜慢性ネズミ試験で報  告された100mg/kg/dayの静脈NOELより著しく低い。これは10m3の呼吸容量と推定される  150ポンドのヒトでは700mg/m3(175ppm)に換算される。これはまた50日間、6時間/dayで、  繰り返しばく露されたウサギの肝臓と腎臓にちょうど明らかな変化を誘発すると報告された190ppm  の、最低の観察された作用レベルよりも低い。以上です。 ○小西委員 シクロヘキサノンの測定方法ですが、現行では固体捕集、シリカゲル管を使ったガスクロ、  活性炭のガスクロがあります。それから液体捕集の吸光光度です。いずれの固体捕集についても、仮  に20ppmになったとしても現行のままで十分対応できるということです。ただ吸光光度については、こ  れも先ほどと同じで、ほとんどやられていないものですから、データを持ち合わせておりません。   検知管についても、ガステックあるいは北川式の両者とも出ておりますが、ここの検知管でも十分計  測は可能だろうということです。 ○櫻井座長 それでは、いかがでしょうか。分析については全く問題はありません。25を20にするという  ことですが。25のままでも別にいいのですが、それを20にした理由はなぜかというと、最近2桁の数字を  使うのは避けていると思います。ですから、新しく決める場合、それだけの精度がなければ25ではなく  て20にする。だから、ACGIHは今回いろいろ見直し、20にしたというのがその判断だと思います。 ○田中委員 いまの分析データを信頼していないという話ですか。 ○櫻井座長 20とか30という、要するに有効数字2桁の元のデータがそれほど明確ではないのに、あ  たかも精度の高い数字であるように見える25という数字は良くない、かえって誤解を招くということです。 ○田中委員 有効数字は1桁しかないという話ですか。 ○櫻井座長 そうです。これにつきましては、20ppmで測定も問題がなく、25を20にするということで  決定させていただきます。次は4つ目のテトラヒドロフランについてお願いします。 ○岸係長 続きまして、テトラヒドロフランについて説明します。基本的なデータについては、テトラヒドロ  フランは無色の液体で、沸点は64〜65℃です。主な有害性の評価については資料番号-6の8頁で  す。発がん性としてはACGIHがA3と評価しています。また、許容濃度の設定状況については、資料  番号-5の4頁です。日本産衛学会は許容濃度として1978年に200ppmを提案しています。一方、  ACGIHはばく露限界値として、以前は200ppmであったものを、2004年に50ppmを新たに提案  し、2005年に決定しています。管理濃度は1988年に200ppmを設定しています。   用途としては、塩化ビニル系樹脂の溶剤、重合用洗剤、接着剤の溶剤、フィルムの製造、印刷イ  ンキ溶剤、抽出溶剤、その他有機合成原料があります。   ACGIH及び日本産衛学会の提案理由書については、資料番号-13の62頁より掲載されてい  ます。このうち、2004年にばく露限界値として、ACGIHから50ppmが提案された提案理由書の  訳文の「TLV勧告値」の箇所について朗読いたします。資料番号-13の82頁です。   「TLV勧告値」。100ppmから200ppmのときに試験動物のNOELsを調べた研究のように、  発生する作用の数や見られる作用の数の可能性を少なくするには、50ppmというTLV-TWAが  勧告される。これにはKatahira et alが明らかにしたラットの気道粘膜刺激も含まれる。肝臓と  腎臓の作用に関する懸念もこのレベルで生じる。NTPの2年間研究では、200ppmにばく露した  雄マウスの腎症発生率が有意に高くなることがわかった。NTPの14週間研究では、雄マウスの肝  重量増のNOELは200ppmであった。12週間にわたって200ppmにばく露したラットでは、肝機  能障害は血清グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼについては24%減少した。雌マウスの  肝臓および雄ラットの腎臓における細胞増殖誘発に関して、200ppmのNOELが確定された。   動物試験では、急性神経毒性作用を防止するためには、250ppmのSTELは高すぎることが  示唆された。短期THFにばく露して、免疫グロブリンA腎症を経験した労働者の症例報告がある。  したがって、高レベル短期THFで、ただしTWAとして160ppm以下(MEKは45ppm以下)の  混合溶剤にばく露したときに見えられるヒトの刺激症状やCNS症状は、100ppmのTLV-STEL  でも防げるはずである。以上です。 ○櫻井座長 いまの後半はSTELのことについて書いてあります。それでは分析のほうをお願いします。 ○小西委員 これに関しては、直接捕集と、シリカゲルと活性炭の固体捕集があって、いずれの方法  についても、仮に50ppmという管理濃度になっても特段問題はないだろうということです。   検知管については、計測そのものが認められておりませんが、市販されている検知管はあります。  ガステック、北川式で20〜800ppm、あるいは20〜400ppmという検知管が出ているということです。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。 ○中明委員 ACGIHの文献はデータとしてはかなり古いです。そんなに新しいのはないので実際には  あまり使われてないのではないかと思うのですが、そうでもないのですか。  刺激の問題は、ACGIHの文献でもKatahiraさんという方がおやりになっていますが、これでいくと  粘膜刺激などがありますが、刺激の問題を考慮するのかというのは気になるのです。これは必ずしも  ACGIHも根拠にはしていないのですが、測れるということでいけば、50にしてもいいのです。現場で  あまり特殊なものみたいな形になるのだったら、それでいいと思います。 ○松村委員 合成繊維などを製造する所では、定常的に使っているのだと思います。 ○櫻井座長 100から200のNOELの刺激以外の数字がどこかに書いてありませんか。刺激だけ  ではありません。 ○中明委員 ないとは思います。それと産衛もデータ的には古い文献です。 ○櫻井座長 産衛は1978年です。 ○中明委員 30年も前です。そういう意味では少し考えたほうがいいのかもしれません。 ○櫻井座長 当時、許容濃度を提案する十分な量の情報ではないが、当面の値としてと言ってい  るわけです。ですから、ACGIHも2004年まではたぶん200だったのです。2004年に50下げるこ  とを提案し、2005年に決定した。 ○松村委員 82頁のショートタームエクスポージャーリミットが100ppmで、中枢神経系の症状が  防げるというのですが、中枢神経系の症状はショートタームだけで出るのでしょうか。あるいはこれは  タイムウエイトアベレージは約半分で50ということが前提になっていると理解するべきでしょうか。  ここはあえてショートタームエクスポージャーリミットの値だけが書いてあるので、それは普通の時間過  重平均としては大体半分ならいい、ということが含まれているという意味かどうか。  なぜショートタームエクスポージャーリミットのことだけがCNS症状とか刺激症状に対して書かれてい  るのか。刺激は短時間でも急にピークが出れば影響があるとわかるのですが、CNS症状はもう少し  蓄積された症状の影響ではないかと思うのです。 ○櫻井座長 「急性神経毒性作用を防止するのには」ということがすぐ上に書いてあります。 ○和田委員 これは急性のことだけを言及しているのではないですか。 ○松村委員 100ppmでも短期間でそういう中枢神経系の症状が出るのですか。 ○櫻井座長 250で少しでも出るのではないかということが上に書いてあります。 ○松村委員 200では出るから、100ppmならいいということですか。 ○和田委員 大丈夫でしょうということだと思います。 ○櫻井座長 250ぐらいでも急性の中枢神経の影響はおそらく麻酔作用だと思います。急性といっ  ても4時間ないし2時間です。 ○中明委員 ACGIHの22の文献は、rats and mice、両方で48compoundsあります。  69頁の文献の所を見るとタイトルがそうなっています。 ○松村委員 短時間の急性神経毒性をやっている。 ○中明委員 48物質をマウスに一遍にやったから、テトラヒドロフランが出てきた。 ○櫻井座長 そうです。 ○櫻井座長 この前の10〜30%のディプレッションを起こし、それが190、10%の抑制のマウスで  190ppmだったというデータです。 ○松村委員 一般的に有機溶剤で臭いのあるものは200ppmというのは相当な臭いですから、  実際には作業環境としてはあまりない濃度です。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。50ppmでよろしいですか。それでは、これにつきましてはACGIHの  50ppmと同じ数字を採用するということで次に進みます。トリクロロエチレンです。 ○岸係長 続きまして、トリクロロエチレンについてご説明します。トリクロロエチレンは無色の液体で、  沸点は87℃であります。主な有害性の評価は、資料番号-6の8頁をご覧ください。発がん性として  は、IARCが2A、ACGIHがA2、日本産衛学会が第2群Bと評価しています。   また、許容濃度等の設定状況としましては、資料番号-5の5頁をご覧ください。日本産衛学会  では、許容濃度として1997年に25ppmを提案しています。一方、ACGIHは、ばく露限界値と  して以前は50ppmであったものを、2006年に10ppmを新たに提案し、2007年に決定してい  ます。管理濃度は、2005年に50ppmから25ppmに改正しています。また用途としては、金属  機械部品などの脱油脂洗浄、溶剤(生ゴム、染料、塗料、油脂、硫黄、ピッチ、カドミウムなど)、  殺虫剤、羊毛の脱脂洗浄、皮革・膠着剤洗剤、繊維工業、香料、抽出剤、繊維素エーテル  の混合剤があります。   ACGIHおよび日本産衛学会の提案理由書につきましては、資料番号-13の89頁より掲載  しています。このうち2006年にばく露限界値としてACGIH値より10ppmが提案された提案理  由書訳文のうち「TLV勧告値」の箇所について朗読します。資料番号-13の113頁のいちばん  下の行からご覧ください。   「TLV勧告値」。トリクロロエチレンは、蒸気脱脂に使用される不燃性溶剤である。トリクロロ  エチレンは、あらゆるばく露経路における急性毒性は極めて低い。トリクロロエチレンへの慢性ば  く露により、ラットでは主に腎毒性および腎腫瘍、マウスでは主に肝腫瘍と肺腫瘍を生じたが、  ほかの部位に腫瘍を生じたとの報告もいくつかなされている。   トリクロロエチレンは、チトクロームP450による生体内活性化とグルタチオン抱合後のin vitro  では、変異原性は弱い。   高用量のトリクロロエチレンは、妊娠したラットで若干の発生毒性を示した。ヒトがトリクロロエ  チレンにばく露した場合、100ppmを超える濃度ではめまいや倦怠感などの可逆的な中枢神  経系作用を生じた。トリクロロエチレンにばく露した作業者の広範囲にわたる疫学的コホート研  究では、がんの発生率に顕著な増加は見られないが、症例対照研究では高濃度のトリクロロ  エチレン(数百ppm〜数千ppm)への長期間のばく露による腎臓がん発生率増加の可能性  が示唆されている。   TLV-TWAとしては10ppm(54mg/m3)とすることで、トリクロロエチレンの中枢神経系への  作用、および腎毒性や、腎臓がんをはじめとするその他の悪影響は抑制できるはずである。  TLV-STELとしては、トリクロロエチレンの中枢神経系への作用がピークばく露濃度と関連性  が認められることから、25ppm(135mg/m3)を勧告する。以上です。 ○櫻井座長 測定はいかがでしょうか。 ○小西委員 測定につきましては、直接捕集のガスクロ、シリカゲル管のガスクロ、活性炭管の  ガスクロ、液体捕集と吸光光度ということですが、ガスクロ法についてはいずれも仮に10ppmと  なっても特段問題はありません。   液体捕集については、先ほど来何回も申し上げましたように、最近やっている方がいらっしゃい  ませんので、どこまで測れるかはデータを持ち合わせていないということです。   検知管につきましては現行でもこの検知管は使えるようになっていますが、現行でそれぞれ出  されている検知管の範囲からいっても、十分10ppmに対応できるということです。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。測定については特段の問題はないということです。 ○松村委員 その場合には2桁数字でもよろしいでしょうか。 ○櫻井座長 10です。 ○松村委員 10になるならいいのですね。 ○中明委員 産衛は、発がんのレベルはどうしているのですか。 ○大前委員 産衛は2Bにしています。   これは何年か前に検討しまして、まだ2Aには至らないだろうということで、2Bに残していると思  います。 ○櫻井座長 いまのこの資料の89頁から産業衛生学会、1997年の提案理由書がありまして、  当時としては非常によくいろいろと調べた結論だったです。IARCはそれよりも前にA2にして、発  がん分類は2Aにしたのですが、その根拠をよく調べると、コホートスタディー等、全部、95%信  頼区間が一応またいでいるということです。根拠は十分ではないということで、発がんについては  2Bにとどめるという判断で、未だにそうなっているのです。 ○中明委員 ACGIHはコホートスタディーはネガティブと書いてあります。 ○櫻井座長 そう書いてあります。 ○中明委員 ケースコントロールでいっぱい出ているからみたいな形になっていて、エビデンスの順  序から行くと逆みたいな気がするのですが。そこをもっと重視したほうがいいと思います。 ○櫻井座長 IARCはケースコントロールスタディーはあまり評価しないで、コホートスタディーだけ  評価して、結論を実は先ほど読んできたのですが、4つほどみんな到達してないのです。1をまたい  でいるのだけれども、全部引っくるめてみんな同じ方向なのでというのが判断のエッセンスです。で  すから、これは人によって判断が違うと思います。   しかし、100ppmで数値サマリーの所、ACGIHのサマリーの所などでも、あるいは先ほど読ん  でいただいた所でも、それ以外に数値として挙げているのは、短期間のばく露ですが、100ppm  で中枢神経系の抑制があるというのを挙げているのです。ですから、それに対して当時のACGIH  は50を取っていた、その50では高過ぎるから下げて10を選択したという感じです。発がん性のこと  も考えて、やや安全サイドを取ったということです。どうでしょうか。10でいいのかという気がします。 ○中明委員 10だったら問題ないと思います。ACGIHのは2007年の今年に決めておりいちばん  新しいです。 ○松村委員 オゾン層規制のかかってない塩化物ですので、非常に使用が多い。 ○櫻井座長 和田委員、大前委員、よろしいですか。分析についても特段問題がなく、10ppm  ということで、次に進みます。 ○岸係長 続きまして、トルエンの基本的なデータをご説明します。トルエンは無色の液体で、沸  点は110.6℃です。主な有害性の評価は、資料番号-6の8頁をご覧ください。発がん性としては  IARCが3と評価しています。   また、許容濃度等の設定状況としては、資料番号-5の5頁をご覧ください。日本産衛学会は、  許容濃度として1994年に50ppmを提案しています。一方、ACGIHは、ばく露限界値として  以前は50ppmであったものを、2006年に20ppmを新たに提案し、2007年に決定しています。  管理濃度は、1995年に100ppmから50ppmに改正しています。また、用途としては、爆薬・  染料・有機顔料・医薬品・甘味剤・香料・合成繊維などの原料および溶剤、塗料溶剤、石油  精製、その他有機合成の原料があります。   ACGIHおよび日本産衛学会の提案理由書につきましては、資料番号-13の116頁より掲載  されています。このうち、2006年にばく露限界値としてACGIHより20ppmが提案された提案理  由書訳文のうち「TLV勧告値」の箇所につきまして朗読します。資料番号-13の145頁をご覧く  ださい。   「TLV勧告値」。青-黄色の無症状の色覚変化、および女性作業者の自然流産の可能性か  ら保護するため、TLV-TWAとして20ppmを勧告する。色覚変化はフランスの輪転グラビア印刷  作業者の長期的研究で報告されており、この研究が実施された1993年初頭当時の呼吸域での  空気の個人サンプリングによる濃度は平均36ppmであった。これらの印刷作業者の平均雇用期  間は18年で、この間においてトルエンへのばく露は継続的に減少した。ゴム製造工場の作業者に  も色覚変化があり、測定時の推定ばく露濃度は42ppmであった。変化の無症状性に加え、これ  らの研究における過去のばく露レベルの高さには不確実性があるため、20ppmにおいて色覚症状  の防止が期待される。   個人面接による妊娠アンケートで特定された自然流産は、シンガポールのオーディオスピーカー工  場で88ppmのトルエン(範囲は50〜150ppm)にばく露していた女性55人で見られた。これらの  女性の自然流産率は、自元の対照群と比べ2.8倍高かった。ラットにおける生殖毒性研究では、  トルエンの生殖能力と繁殖成績への悪影響は500ppmでは生じなかった。20ppmのTLV-TWA  によって、自然流産からの保護が可能になると期待される。以上です。 ○櫻井座長 分析はいかがでしょうか。 ○小西委員 トルエンは先ほどと同じですが、数字が大幅に変わるということではありませんので、現行  の測定方法で、仮に20ppmになったとしても大丈夫だということです。   検知管についても、いま出されています。これは検知管の手法が認められていますが、これも十分可  能な範囲に入っているということです。 ○櫻井座長 どうぞ、ご意見ありましたら出していただきたいと思います。 ○大前委員 色覚変化でされているわけですが、サブクリニカルの色覚変化を100と見るのだったら20  でいいのでしょうが、それは大したことないと考えるのだったら20にすることはないかという感じです。産衛  の場合は、1997年の色覚の情報がある前だと思いますので。 ○櫻井座長 文献を見ると、2000年と2004年のデータです。これは新しい情報です。 ○名古屋委員 自然流産の可能性のほうです。 ○櫻井座長 これはシンガポールなどのデータでは私は気にはなっていたのです。80ぐらいの平均値で  しっかりしたデータなので、数年前に50で大丈夫なのか、30ぐらいにしたほうがいいのではないかという  のは、個人的な考えだったのです。 ○和田委員 シンガポールのトルエン濃度50〜150はそれでばく露した人だけで、それ以下の人はな  かったという意味ですね。 ○櫻井座長 そういう意味です。平均が80ぐらいだったと思います。ですから、それの50だと非常に近い  ですよ。そのデータについては必ずしも採用しない感じのところもあるようですが、少し気になります。 ○中明委員 気にはなります。 ○名古屋委員 使用範囲が広くいろいろな所で使われているから、影響はたぶん大きいかもしれない  けれども、逆に労働者にとってはいいことだと思いますよ。 ○櫻井座長 トルエンはとにかくいちばん有機溶剤中に入っているものですから。 ○中明委員 先ほど事務の方にお聞きしたのだけれども、例えば50が20になったときに、現状の現場  サイドの、管理区分がどのぐらい変わるのかというのは、少し気になったのです。例えばブースの中で吹  付けなどをやられていて、比較的短時間だけれども、10ppmとか15ppmとかいうオーダーになるもの  だから、50ppmはきついという気はしていたのです。 ○松村委員 私が前に見た印刷工場でインキに使っているトルエンなどは発散面が多いので、一応  回収装置はあるのだけれども、全体換気で、相当濃度が高く、50超えているところがあった。 ○中明委員 印刷屋で特にグラビアがあり密閉型になってしまうと、200とか、250とか、300ぐらいに  なるので、測定に入っても、大丈夫かという感じだったです。 ○和田委員 50のところだとかなり強い副作用ですから、20で大丈夫かという感じがします。 ○中明委員 20でちょうど基準のところがありますが、使われている範囲が広いわりにしては、トルエン  の生態系はあまり出てきてないという感じを持っているのです。あれだけ使われていたら、もっと出てきて  もいいのではないのというのがあるのだけれども、これぐらいの数字にしておいて、また様子を見るのも  1つかと思います。 ○櫻井座長 グラビア印刷などのデータが多いです。 ○中明委員 どうしても印刷屋は閉めきってしまっている。対策ができないわけではない。 ○櫻井委員 それと色覚異常、やはり両方考慮して、20ppmでよろしいでしょうか。それでは、そのよう  に決定します。最後、二硫化炭素に進みたいと思います。 ○岸係長 最後に、二硫化炭素の基本的なデータについてご説明します。二硫化炭素は、無色の液  体で、沸点は46.3℃です。主な有害性の評価は、資料番号-6の8頁をご覧ください。発がん性として  は、ACGIHがA4と評価しています。   また、許容濃度等の設定状況としては、資料番号-5の5頁をご覧ください。日本産衛学会は、許容  濃度として1974年に10ppmを提案しています。一方、ACGIHは、ばく露限界値として以前は  10ppmであったものを、2005年に1ppmを提案し、2006年に決定しています。管理濃度は、1988  年に10ppmを設定しています。また、用途としては、ビスコース人絹、セロファン、四塩化炭素の原料、  殺虫剤、溶剤、ゴム加硫促進剤があります。   ACGIHおよび日本産衛学会の提案理由書につきましては、資料番号-13の147頁より掲載されて  います。このうち2005年にばく露限界値としてACGIHより1ppmが提案された提案理由書訳文のうち  「TLV勧告値」の箇所について朗読します。資料番号-13の170頁をご覧ください。   「TLV勧告」。二硫化炭素へのばく露については、神経系およびその他のあらゆる臓器・器官を保護  するため、TLV-TWAとして1ppmを勧告する。二硫化炭素の職業ばく露限界を定めるにあたっては、  とりわけ作業者の中枢神経系への影響に留意しつつ、大量の文献について調査を行った。これら中枢  神経系への影響と作業場でのばく露との定量的な関連付けが、すべてにおいて常に可能ではなかった  ので、ばく露の評価については論文の推定に頼ることとなった。表1に要約を掲載した研究は、作業場に  おいて生じる影響の可能性を定量的・定性的に評価するにあたって、最も適した研究であると見られ、  TLVを決定するうえで重要性の順に並べてある。   1〜4の研究は、明確に定義されたばく露レベルと適切な構成の研究を通じて、二硫化炭素への職業  ばく露を原因とする運動神経伝達速度の低下について、最も説得力のある証拠を提示している。5〜8  の研究は、ばく露用量についての情報の網羅性でも、神経系に対する二硫化炭素ばく露の影響評価の  研究モデルの信頼性の点でも、上の1〜4の研究より劣るものの、TLVを決定するうえでの補足的な証  拠を提供するとみなされた。   動物実験においても、神経系障害をはじめ、二硫化炭素にばく露した後のさまざまな悪影響が示され  ている。ある代表的な研究では、50ppmの吸入ばく露で神経学的変化が生じ、各種の電気生理学的  エンドポイントは500ppmで変化した。以上です。 ○櫻井座長 測定はどうでしょうか。 ○小西委員 直接捕集のガスクロマトグラフ分析ですが、これはおそらくディテクターはFPDを使えばできる  だろうということです。これもまだ検証データを持っていませんので何とも言えませんが、たぶんFPDを使えば  できます。いちばん下の固体捕集のガスクロマトグラフ法でも、FPDを使えばできるということです。   液体捕集、吸光光度分析につきましては、?となっていますが、この方法は液体捕集の捕集液自体が  発色試験が入っているものですから、反応力が液体で決まってしまっているのです。ですから、難しいかもし  れないということです。   これは「U字型シリカゲル管」と書いていますが、いまほとんどこれは使われていません。直管のシリカゲル管  で捕集したものを上と同じ吸光光度分析をするという方法もあるのですが、これも上の吸光光度分析と同  じように定量下限としてはどうかということです。これも検証はしていませんが、難しいかもしれないのではない  かということです。   検知管ですが、いままでのものですと対応はできていたと思いますが、もしこれが1ppmになると検知管とし  ては厳しくなるかもしれないということです。測定範囲がガステックの0.63〜100となっていますが、1に対して  0.63ということになりますと、もう少し感度を上げないと使いづらいかもしれないということだと思います。 ○櫻井座長 いかがでしょうか。10で高いことは明らかですね。それを2にするのか一挙に1にするのかというと  ころですね。大前委員、どうお考えですか。 ○大前委員 10で高いのは間違いないと思いますが、それが1だと行き過ぎだという気もしないでもないので  す。では、いくつかと言われると、いま困るのですが、産衛から説明しますと、これは見直しの対象物になって  います。 ○中明委員 ACGIHの文献にタケバヤシ先生のはあると思いますが、あれはどれぐらいだったのですか。 ○大前委員 平均がたしか5ppmぐらいだったと思います。この中には慶應がやった文献が3つ引用されていま  して、みんな同じコホートスタディーですが、平均が5ぐらいでした。 ○名古屋委員 二硫化炭素は測定機関で脱着溶剤として使っているのがほとんどで、そこをやめるとほとんど  使っているのはなくなると言われています。 ○松村委員 アセテートの製造工場ではどうですか。 ○名古屋委員 ほとんどやってません。測定機関の溶媒しか使ってないです。 ○松村委員 繊維では使っていませんか。 ○小西委員 生産自体が日本ではほとんどなく、中国のほうに移ってしまっています。それから、セロファンを膜  にして出してくるのですけれども、これも減った理由はタバコの外側のがセロファンだったのが、使われなくなったと  いうことで工場がだいぶ閉鎖されたみたいです。 ○櫻井座長 二硫化炭素は使用をやめたほうがいいです。疫学的な情報が結構あるのも、測られているデー  タよりも、過去にもう少し高い濃度でばく露していた可能性は相当あるのです。だから、本当にこの濃度なのか  というのは客観的には疑問点が残るのですが分析さえちゃんとできれば、安全サイドに取ってもいいのかという  気がします。 ○名古屋委員 それを測るために溶媒脱着というのも変です。 ○櫻井座長 何か変です。 ○半田室長 大前委員のお話しですと、産衛学会でもこの再検討をなさるようなお話ですが、それはいつごろのご予定で  しょうか。 ○大前委員 10年前からのことですが、まだ具体的には進んでいません。 ○半田室長 では今年度中に何かに出るというような状況ではないのですね。わかりました。 ○大前委員 櫻井座長がおっしゃったように、測っているときの濃度と過去の濃度が違うので、随分環境はよく  なってきて、昔の濃度の影響が残っているのです。だから、研究時点の濃度が影響の濃度にひっぱれるかという  と、それは若干疑問があります。 ○櫻井座長 ただ、大量に使われていたときは、かなり精度を高く、ぎりぎりの線で予防しようとしていましたが、い  まの段階ではやや思いきって低目にしてもいいのではないか。 ○名古屋委員 影響自体は少ないです。ただ、分析方法がついてくるかだけです。 ○小西委員 上の直接捕集はFPDを使っても厳しいかもしれないです。  いま菅野委員から、濃縮はできても2倍か3倍ぐらいだということですから、それがどの辺まで行くか技術的に検討  をしなくてはいけないと思います。 ○櫻井座長 それは検討していただけますか。 ○小西委員 はい、わかりました。 ○櫻井座長 先ほど1つ残りましたので、それと一緒にですね。 ○松村委員 分析ですが、先ほどからFIDでできないけれどECDでやるとか、熱脱着でやるということで、手法と  してはあるのですが、それを導入すると、測定機関にとって標準装備になってくる可能性がありますが、測定機関  はどうでしょうか。 ○小西委員 大臣告示の中にそういった道具を、物質に限定して入れていくという形しかできなければ、ほかの方  法でやられたら困るわけですから、やっていかなくてはいけないのではないかと思います。そうすると、特殊なものにつ  いては、すべての溶剤をやるためにそれが要るのではなくて、これをやるものについては、限定的にこういうディテクター  を持ってなくてはいけないという形に、告示で決めるのか。測定基準は、ここに書いてあるとおりの方法の組合わせ  なので、ガスクロだってディテクターを指定しているわけではないわけです。 ○松村委員 それはそうです。 ○小西委員 それしかできなければ、それを持ってないとできないということになりますから、持っている所に頼むという  ことになるかもしれません。 ○櫻井座長 これで大体検討課題は終わりましたが、進行をそちらにまたお返ししてよろしいですか。 ○半田室長 全般的なことでお尋ねします。基本的に今日ご提言いただいた引下げなどにつきましては、しっかり  受け止めてまいりたいと思いますが、1点お尋ねします。引き下げられた管理濃度に対応し、具体的な工学的対  策等々を講じていくのに、どれぐらいの手間、経費、時間がかかるものなのか。特にトルエンなどは気になるわけで  すが、50を20とした結果、第1管理区分になっている事業場が一斉に第3管理区分になってしまい、それを放置  するというわけにはいきませんので、どんどん改善していただきますが、1年以内に十分対応できるレベルかどうか、  その辺がわかりません。その辺が難しいということであれば、適用施行にあたりましてそれなりの配慮が必要かと考え  ていまして、その辺のご見解をお尋ねします。 ○名古屋委員 前回は、日測協が管理濃度を変えたときには、どのぐらいの事業場が管理1から2に変わるという  ものも出していました。 ○松村委員 最近、精度管理は統計をあまり取られていないのでしょうか。 ○小西委員 平成18年で終わったのですが、いままで私どもは精度管理事業で報告書を集めていました。有機  溶剤ないしは粉じんの報告書という形で集めていましたので、その報告書の中には生データが全部記載されてい  たので、そういったものを何かあったときには集計をしています。前に粉じんの透過特性が前回の検討会に加わった  ときに、それが何パーセントぐらい変わってくるかというものも、そういうデータを基にして試算をしてみたことがあるので  すが、昨年度やりましたデータの中からそのまま計算できればしてみたいと思います。 ○松村委員 印刷工場を見たのは、溶剤の処理の装置の関係で見に行ったのですが、工場全面で印刷インキが  蒸発するような状態だと空気の処理がかなり大変です。いまはそれをそのまま外に出すと、環境条令で引っかかる  から、処理しなければいけないのです。それで燃焼にするとか吸着にするかいろいろあるのですが、一応それらしい  装置はあるのだけれども、実際には設計値に達していない状況で使っていたりしています。それは管理が悪いので  すが、管理をちゃんとやろうと思うと、すごいお金がかかる状況もあったように思うのです。だから、結構技術的に厳し  いかという気がします。 ○小西委員 有機溶剤に関しては管理区分が、第1管理区分、第2管理区分、第3管理区分という割合が、私  どもの精度管理事業を始めた時代からずっと集計をしてきていたのですが、区分の数の変化があまり変わらなかった  のです。平成18年ぐらいになって少し第1管理区分は前よりはよくなったということがあったように思いますが、ほかの  粉じんとかはどんどん管理区分はよくなっていったのですが、有機溶剤はもともと第1管理が80%以上あるというの  はずっと横並びできていたと思います。 ○松村委員 悪いところは改良しにくいのですか。 ○小西委員 そうなのかもしれません。 ○櫻井座長 今回、トリクロロエチレンが50から10、トルエンが50から20というあたり、比較的多く使われている物質  ですので、当然若干の懸念はあるわけです。 ○松村委員 トリクロロエチレンは機械の洗浄です。そうすると、局所でためて使っているので、まだ可能性があるかと  思うのですが、トルエンは溶剤なので外へ出てしまう使い方を結構されている気がするのです。 ○櫻井座長 混合溶剤の中心成分になっています。 ○松村委員 そうです。 ○小西委員 トリクロロエチレンは一時期使用量が減った時期があるのです。 ○松村委員 発がん性が疑われるとさんざん叩かれました。 ○小西委員 トリクロロエチレンに測定義務がかかったものですから、1・1トリクロロエタンにみんな替えてしまったが、  1・1トリクロロエタンも測定義務がかかったら、またトリクロロエチレンに戻ってしまったという時期がありました。あと、オゾン  層の破壊の問題があって、洗浄としてはだいぶ減っていたのは事実だと思います。 ○松村委員 いま使えるのが塩素系だと、トリクレンとジクロロメタンですよ。 ○小西委員 そうです。 ○櫻井座長 ただ、トルエンなどは50ではどうも高いというのは一致した感覚ですので、これを50のままでいいだろうとは  なかなかいかないと思います。30にするか20にするかぐらいのところで、今回、ACGIHも20なので、20でいいだろうと  判断します。 ○半田室長 そこはそのように受けとめています。ただ、適用にあたって何らの配慮が必要かどうかということです。関係  方面ともまた意見交換などをして対処してまいりたいと存じます。ありがとうございました。 ○中明委員 半田室長の危惧もわからないわけではないのです。例えばトルエン50から20にすると、影響するエリアは  すごく広いのです。そうすると、本当にいけるかどうかは、私も懸念を持っていることは確かです。 ○半田室長 今日は委員の方々にこういうことできちっと20ということを出していただきましたので、それらをご説明しまし  て、あとは適用の仕方です。経過措置を設けるとか、そういったことを配慮すればよろしいのかと思います。そこの部分を  関係方面と協議したいと考えます。 ○櫻井座長 これで司会をそちらにお返しします。 ○古屋副主任 次回につきましては資料番号-4にありますが、年明け2月ということで、本日、保留になった分を確定  するということと、特化物4物質を予定しています。今回の7物質は非常に順調にご審議していただきましたので、場合  によっては5月に予定しています粉じんにつきまして時間が許せば次回2月にやらせていただければ大変ありがたいと考え  ています。ありがとうございました。 ○岸係長 日程のことにつきましては近いうちにメールかファックスで日程調整表を送らせていただきますので、調整をよろ  しくお願いします。 ○櫻井座長 これで終わります。どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 環境改善室      電話03-5253-1111(内線5501)