第3回今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会
議事要旨

日時:平成19年11月29日(木) 15:00〜17:00

場所:厚生労働省共用第8会議室(6階)

出席委員:佐藤座長、岩品委員、大石委員、大津委員、久保委員、中窪委員、脇坂委員(座長を除き五十音順)

欠席委員:両角委員

議事:

委員及び有識者からのヒアリング

(1)介護休業制度について(独立行政法人 労働政策研究・研修機構 就業環境・ワークライフバランス部門 研究員 池田心豪 氏)

(2)株式会社伊勢丹における取組について(岩品委員)

(3)電機連合における取組について(久保委員)

議事概要:

○ 池田研究員発表後の主な発言

・  (池田研究員からの、介護休業中の経済的保障を充実すべきとの説明を受けて)資料1−1の図表9及び10だけでは介護休業給付の引き上げが必要との論拠にならない。「介護休業を取得するとしたら、次のようなことは予想されますか」という問いに対して、「収入が減る」と回答するのは当然である。また、年収300万円未満でも、半数以上の人が「介護が原因で、家計が苦しくなる」と答えていないのはなぜか。

→  「収入が減る」については、報告書の81ページの図4.4.2において、「休業したい」人と「休業したくない」人がともに高くなっている。もう少し詳しく分析する必要はあるが、制度的に考えれば当然収入は減るが休業を取得したい人と、経済的理由で休業を取得したくない人の両方がいると考えられる。
  「介護が原因で家計が苦しくなる」は、過去1年間の世帯収入との関係を配付資料に示したが、それ以外の要因として、要介護者自身が介護費用を負担していることが影響している。世帯収入とともに、要介護者の資産も経済的負担感に関係していると考えられる。

・  給付は育児休業は4割から5割になったが、介護休業は4割のままで、介護休業には社会保険料免除もない。その点政策上やや差があるように思われる。介護休業はまだ取得者が少ないが、今後取得者が増えてくれば議論になるかもしれない。

・  同居せず通い等で介護を行っている人に対しては、調査はしていないのか。

→  別居者も対象にすると、自分は介護を担っていない家族・親族にまで広がってしまうため、今回は同居者のみを対象とした。

・  別居していても、キーマンになると介護保険サービス利用の手続き等において負担が大きく、また、将来的に介護者になる可能性もある。同居の介護者のみでなく、もう少し幅広に影響が出る問題かと思う。

・  介護によって仕事の生産性が落ちると思われるため、勤め先に介護をしていることを言いたがらない人も多いのではないか。

→  確かに。ヒアリング調査では、特に男性において、介護をしていることを職場に言わず年休等で対応するケースがあった。仕事とプライベートを分ける規範意識が介護の支援ニーズを見えにくくしているようだ。

・  介護休業を取らない要因は二つあって、一つはスポット的なものだから休業は必要ない場合。もう一つは長期の休業が必要なのにとらない場合で、育児休業の場合と職場側の対応は実は同じなのに取らないということは、そこに別の要因が働いている可能性がある。

・  家族の介護や本人の療養、育児等を理由に取得できるアメリカの休暇制度のような一日単位で休めるようなものを検討してもよいかもしれない。

・  介護者・要介護者に対して、企業からだけでなく、母子手帳に育児休業制度について書くようにしたように、介護休業に関する情報を伝える工夫が必要かもしれない。

・  介護のための連続した休みが必要ではなかったにも関わらず、16.7%の人が退職しているのはなぜか。そのような人たちがフルタイマーからパートタイマーになり、またフルタイマーに転換できるようになればよい。

→  さまざまな理由があると思うが、要介護者が認知症の場合、連続した休みは必要なくても、症状の進行とともに徐々に介護の疲労が蓄積して仕事との両立が難しくなるようだ。

○ 岩品委員・久保委員発表後の質疑応答

・  (岩品委員に対して)積み立てることができる失効年休を使わずに退職した場合、この積み立てた年休の扱いはどうなるのか。

→  退職前に一括して取得する(ただし上限あり)か、会社側に買い取ってもらうこともできる。

・  (岩品委員に対して)子どものいる社員に対する制度を充実する一方で、子どものいない社員に対しては、何か配慮をしているのか。

→  子どものいない社員が担わなければ会社が成り立たない部分も大きいので、ある程度理解していただいていると考えている。


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