07/10/30 介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム(第1回) 社会保障審議会介護給付費分科会第1回介護サービス事業の実態把握のためのワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 : 平成19年10月30日(火) 午後1時から午後4時まで 霞ヶ関東京會舘(シルバースタールーム) 2 出席委員:池田、田中、堀田、村川の各委員 3 議題 <議題>  1.事業者等団体ヒアリング  2.その他 ○阿曽沼老人保健局長より挨拶 ○鈴木老人保健課長よりワーキングチームの運営について説明後、田中委員が座長に指名された。 ○田中座長より挨拶。 ○鈴木老人保健課長より資料に沿って説明。 (池田委員)  訪問介護事業の動きだが、平成15年10月から1年置きにずっと直近の平成19年3月までとってみると、身体介護だけというのは減っていない。これは一月の総給付単位数で見ている。だから、身体介護だけについては売上げはほとんど減っていない。その次が、いわゆる混合介護と言われている30分身体介護をやって、その後生活援助をくっつけていくというものだが、これも微減だが、それほど減っていない。ところが、生活援助だけだと、介護保険法が改正されて報酬が改正されてから大きく落ち込んでいる。ちなみに、平成17年10月と平成19年3月を比べると4割減となっている。だから、そこのところを見ていくと、訪問介護も身体介護と混合介護と生活援助、それがどういうふうに動いているかということを分析する必要があるんじゃないかという気がしている。  しかも、恐らくその分析でいくと生活援助の部分が非常に大きい。だから、生活援助を中心にやっている事業所というのは、売上げが4割減ってもおかしくないし、実はそういった事業所はたくさんあるわけである。だから、事業所の性格によって随分事情が異なるのではないかということが考えられるが、その辺はいかがか。 (鈴木老人保健課長)  確かに、生活援助と身体介護、そして、その混合型ということでかなり違うので、できれば次回に、その辺の分析を含めて出させていただきたいと思う。  また、それぞれ生活援助と身体介護がどのくらいの割合で来ているかというのは要介護度によって傾向が違うので、それも含めて次回に出させていただく。 (堀田委員)  2点。1点目は訪問介護介護費への介護報酬改定の影響について。訪問介護だけやっている事業所とほかの事業も展開している事業所とで、影響の違いが見られるのかもしわかれば教えていただきたい。  2点目。資料3の6ページ、離職の状況について。介護労働安定センターの調査で離職率を見ると、平均するとこのとおりだが、離職率が高い事業所と低い事業所で二極化している。平均だけでなく、そもそも二極化しているという事実も大事。離職率が高い事業所と低い事業所の属性や雇用管理の在り方などについて特徴をつかんでいるようであれば、今後でも結構なので教えていただければと思う。 (鈴木老人保健課長)  1点目の御質問の資料2の3ページの訪問介護の給付費の変化について、他事業も含めてということだが、我々が経営実調をとるときには、オーバーヘッドコストをどう分割するかというのはあるが、基本的には各事業ごとにやっているので、合わさったものについては別個にはとっていないということ。ただ、これと同じようなものが通所、特養それぞれにあるので、それはそういう特集の回のときにそれぞれ出させていただきたい。  2点目の高低については申し訳ないが、それぞれの事業所の特性については現在のところ把握していないので、もし、ヒアリング等を通じて意見陳述も含めて何かあれば、我々の方でもできる限り調べさせていただきたい。 (村川委員)  先ほどの御説明で、資料2の4ページ辺りだが、訪問介護事業者の動向について御説明いただいて、おおよその傾向はわかったが、課長のお話の中で過当競争かということだったが、厚生労働省としてそういう認識があるのかどうか。これは介護保険の初期においては、むしろサービスが足りないというようなことから、基準該当のサービスの位置付けをしてみたり、あるいは今から考えると、1週当たり32時間のマンパワーが基準上2.5だから、1週当たり80時間の事業をこなすことができれば事業者指定が受けられるということで、これは今すぐ結論の出る話ではないが、雇用上の受給関係の問題もあるが、事業者のそもそもの基本的な位置付けという辺りに何か問題があるのかどうか。これは我々も検討していかなければならない課題であり、それが1つ。  2つ目として、同じ資料2の5ページだが、訪問介護で一事業所当たりの受給者の減少ということで、事業所が増えた結果、利用回数が割合として減ったと見てよいのか、それだけなのか、あるいは2年前の制度改正以降、施設の方の利用者負担も若干あったが、訪問介護についても何か利用者の側の費用負担等の背景の中の変化要因ということが考えられるのか、そういうことは全く見当たらないと考えてよいのか、その辺りを補足説明していただければと思う。 (鈴木老人保健課長)  まず、最初の過当競争ということだが、おそらく各事業所も最低配置数2.5人というのが決まっており、あとは、平均的なサービス回数もあるが、具体的に一事業所で何人くらいの受給者がいるかというところで、一定程度の損益分岐点のようなものがあって、ある程度以上の規模がないと経営的に安定しないということだと思うので、それを超えて事業所ができてしまうということになると、やはり過当競争ということになりがちだということなので、あとはサービス事業所本体とサテライト等の関係でどうやって権益を考えていくのかということではないかと思う。   (古都振興課長)  基本的に、大きな制度改正は、平成12年に介護保険法が施行されてから後、平成15年に報酬改定を行い、次に平成18年の改正法の施行と報酬改定ということだろうと思う。この図を見てわかるのは、平成14年の途中で変化しているということだが、今後若干の分析が必要ではないか。そういう意味では、最初は訪問介護について、身体、混合、家事という区分だったものを、身体と生活で再編したのは平成15年4月からだったので、その影響は平成14年には余りないのではないかということも考えられる。  また、平成18年4月の改定を考えると、予防給付と要介護者への給付とに分けたということもあるだろうし、特定事業所加算という形で、非常に体制が整ったところは高く評価しようということで、同じ時間を使っても質がいい分は利用者の負担も違うという報酬の仕組みも入ったということはあるかと思うが、だからといって長期右肩下がりという傾向を、利用者の負担のあり方だけから推測するのはなかなか難しいのではないかと思っている。 (池田委員)  2005年改正の後で要支援1、2ということになって、旧要支援の人たちが訪問介護を一人平均どのくらい使っていたのかと見たら、統計情報部のデータでは2万1,500円。それが改正後、大きく生活援助が減ったわけだが、利用額そのものを見ると2,400円でほとんど下がっていない。ということは、要支援のレベルで介護予防になって、ある程度給付というものが抑えられたというのはあると思うが、実際に使っている平均額はほとんど変わっていない。つまり、それが生活援助サービスというものを減らした原因ではないようである。  主要な原因は何かというと、実は要支援1、2グループは、サービスを完全にやめた人がものすごく増えていること。そもそも当初からサービスが行われたのかどうかという疑問が沸くわけである。というのは、2005年改正以降というのは要支援1、2の人たちというのは週1〜3までの訪問介護という形での一つの枠組みの中に縛られてはいるが、使ってはいけないということはどこにも書いていないわけで、そうすると、その変化をどう読むか。要するに、同じ事業所でも、さっき言ったように身体中心なのか、家事援助が中心なのかということと絡むが、はっきり言って今、中・重度の身体介護系というのは絶対的に不足していると思う。利用料から見ても絶対的に不足している。逆に、過当競争ということをさっきおっしゃったが、それは一体どこで起きているのかということである。恐らくそれは生活援助のところで起きているという可能性が高いので、その辺のデータをもう少し突っ込んで見てみると、やはり事業所によって経営の状況というのは随分異なった性格を持つのではないかというのが1点。  もう一つ、これからの議論全体にかかわる問題と思うが、経営が苦しいということとホームヘルパーの賃金が安過ぎるという問題は、私は別の問題だと思っている。経営が苦しいから低賃金だというのは、一見非常に耳に入りやすいが、本当にそうだろうかという疑問を持っている。例えば、ホームヘルパーの時給は1,300円ぐらいである。では、介護報酬は生活援助で2,080円、そのうちの1,300円であれば、ヘルパーへの配分はそこそこ合理性があるかもしれない。しかし、身体介護は4,020円である。これを例えば1,500円の時給にしたとしても、では後の差額は一体どこに行っているんだろうという疑問が尽きない。片方でいろいろな資料を見ると、ホームヘルプ事業の人件費比率は非常に高いということはわかる。しかし、その人件費比率は、時給から見てホームヘルパーだけの人件費だとはとても思えない。その辺をきちんと分析しないと、たとえ介護報酬を上げてもホームヘルパーに回るお金が同じだったということが起きかねないという問題意識を常に持っている必要がある。後半は私の意見である。 (田中座長)  最初の方も御意見としてお聞きすればよいか。 (池田委員)  調べてほしい。 (田中座長)  用語について、経済学からすると過当競争と始めに言わない方がいいのではないか。競争環境が厳しくなったことは事実だけれども、「過当」とは価値判断が入っている言葉なので、緩い競争から厳しい競争に変わったというのが多分客観的で、その方が正しいのではないか。  それから、資料2の5ページの4の(2)、訪問介護一事業所当たりの費用額と書いてある。この費用とは保険からの給付額の意味か。 (鈴木老人保健課長)  費用額というのは保険からの給付に自己負担を加えたものである。10分の10になっている。普通、給付額と言うと10分の9だが、それに自己負担部分の0.1を足したものである。 (田中座長)  それをどうして費用と呼ぶのか。一事業所当たりの収入額ではないのか。誰にとっての費用なのか。 (鈴木老人保健課長)  ただ、収入額と言うと、介護保険以外からも自己負担部分で10分の10をとっているところもあるので。 (田中座長)  では、介護保険給付にかかわる収入額ということか。 (鈴木老人保健課長)  細かく言うとそういうことである。今まで用語としてそういった使い方をしてきている。 (田中座長)  普通、事業所当たりの費用とは、事業所が払っている外に出すものを経済学では費用と呼ぶ。受け取るものを費用とは呼ばないので。厚労省にとっては費用かもしれないが。 (古都振興課長)  制度改正の話でもう一点。介護予防と要介護者の給付に分けたときに、平成18年4月以降、予防給付については訪問介護の身体・生活という区分をなくして、月単位・定額ということになっているので、ますますケアマネージャーの力量が問われて、利用者に真に必要なサービスは何かということが求められたと考えられる。この場合、利用者からすれば、月単位の自己負担額になっているということである。  それから、要介護者1〜5の方の生活援助については、長時間利用の適正化ということもやっているので、生活援助については90分までの中でサービスを提供するということもある。  いずれも、適正化を図っていこうという流れの中で設定しているということである。 (堀田委員)  先ほどお答えいただいたことに関連して一点だけ要望として。現時点では事業別でしかこういうものが出ていないということはよく承知しているが、全体として訪問介護を見るのではなくて、法人全体としてのサービスの組み合わせであるとか規模、正社員・非正社員の組み合わせ、それから、このデータでは見られないと思っているが雇用管理の在り方とか、同じ訪問介護をやっていても様々なタイプによって経営面での足腰の強さ、離職の状況、報酬改定の影響の受け方というのも違ってくると思う。そういった視点での更なる分析が欲しいところ。 (田中座長)  では、リストにある3つの団体からヒアリングを行うこととする。分科会の方で大森先生がよくなさっているように、途中で休憩を入れたい。3時間緊張を保つのはつらいので、真ん中辺りで休憩を入れて行うもつもり。  各団体にお願いしたいが、大体30分間程度でお話しいただき、その後で委員からの質疑が20分という目処で続けてまいりたい。  では、早速だが意見陳述をお願いしたい。 ○三橋意見陳述人((社)日本介護福祉士会))より意見陳述。 (田中座長)  質問が2つ。黄色い報告書の59ページに転職経験の有無がある表について。これで見ると、転職といっても介護の分野での転職を除いて、よそに出て行った方というのは4%しかいない。これは福祉士会としてはどう考えるのか。私には4%しかないと、介護に多くの方がとどまっていると読めるが。一つの業界に96%とどまらせておく数値は、なかなか立派だと思う。 (三橋意見陳述人)   先ほどからも言っているように、この調査自体、会員の方限定でさせていただいており、なおかつ、このアンケートに答えられた方、実際1万配って2,330返ってきて、23.3%であるが、結局志の強い方に返していただいたということがあるので、このような結果になったと思われる。 (田中座長)  志が高くない方は答えていないと読んでほしいとの意味か。  もう一つ。座長が先に聞いてしまって申し訳ないが、後から御説明いただいた3枚もののアンケートの2ページの問3について。介護報酬改定が2回あると仕事が増えるとは、どういうロジックか。人が減るということか。   (三橋意見陳述人)  結局、記録・書類の作成等、介護以外の業務が増えてきたこともあるが、全体的に人手が足りないと思われる。 (堀田委員)  今の座長の1点目の質問と関連して1点と、残り2点である。  1点目、59ページの転職経験の有無について、介護関連から介護関連に転職という方が35%ぐらいとある。介護から介護へ転職先を選ぶ基準は、賃金の水準なのか。データがなくてもよいので、感触として、何を求めて次の介護の仕事に移られると考えているか。  2点目、60ページの転職理由に関連して。話をお聞きしても、非常に意欲が高い、仕事に対する意識が高い方々が介護福祉士として働いていると思うが、転職理由をみると、給与が低いというのが一番多いが、「仕事にやりがいを感じられない」という方が2割近くいるというのは、結構大きな数字だと感じる。現任の方にいかに働き続けていただくかということと関連してくるが、もともと意識が高かった方が仕事自体にやりがいを感じられないとなってしまう大きな要因というのはまとめると何だと思っていらっしゃるか。途中で経営者の質とか、キャリアアップのこととか、賃金以外のキーワードもいろいろとあったがどうか。  3点目、新しい人の確保という観点で。今回特にお話はなかったが、潜在介護福祉士に働いていただくにはどうしたらいいか。それから専門学校などでも、なかなか人が集まらなくなってきたと聞くが、資格を持っているのに仕事に就いていない方、あるいは若い人たちをどう介護の仕事に向けてくるかというところについて何か御意見があればうかがいたい。 (三橋意見陳述人)  まず、最初の介護関連から介護関連に転職ということだが、アンケートの結果から、施設とか法人等の考え方とか、人間関係というものがあるかと思う。施設の方針と経営者の質も大きな要因と考えられる。あと、給与も大切な要素だが、その職場において自分の能力が発揮できないなど、仕事にやりがいが感じられないというのも、含まれてくるのではないか。  3点目の潜在の介護福祉士の方をどうしたらいいか、この点はずっと課題になっているが、実際にそういう方をバックアップするようなシステムが必要かもしれない。しかしながらやはり介護職の現場においては、他産業と比較して給料が安いとかキャリアアップの仕組みがないなど、生涯意欲を持って働けるような環境になっていないのが一番の要因であると思われる。   (池田委員)  黄色い冊子とアンケートについて、黄色い冊子の方はn=2,330人ということで、アンケートの方は800ちょっと。この808の構成というのは、冊子の方を見ると施設医療系と在宅系と大体半々という感じだが、同じような構成と見てよろしいか。 (三橋意見陳述人)  どちらも介護福祉士会の支部を通して会員に調査したものでありほぼ同じであると思われる。 (池田委員)  多分、在宅と施設ではかなり、言ってしまえば変化の質が違うという感じがしたもので、クロスできないにしても、その点についてデータが欲しかった。  もう一つは、非常に重要なことを言われたが、キャリアパスとキャリアアップシステムというものがないと、なかなか仕事にモチベーションを持ちにくいというのがある。おっしゃるとおり、この世界は零細企業が非常に多いと言っていい。介護福祉士の場合は結構大きいところに入っていらっしゃる方もいると思うけれども。そうすると、例えば10人、20人の従業員の事業所で、キャリアアップシステムなんかはっきり言ってつくれない。だから、一定のスケールメリットがないと、キャリアアップシステムというのは事業の中で非常につくりにくいというのがあるが、その辺についての問題意識は持っているのか。 (三橋意見陳述人)  キャリアアップについてだが、うちの日本介護福祉士会においても、生涯研修というものを構築しており、そちらでキャリアアップというものを進めている。 (池田委員)  そういう意味ではなくて、最初は20万円そこそこの初任給で入って働く。それで経験を積んで25万円になる。そして、係長職になっていくら、施設長になっていくらという一つの職業階層的なキャリアアップシステム、そういうものは、介護の世界は無関係であるということなのか。キャリアアップシステムというのは、自らの専門知識、技能を高めるということのほかに、そういうものも含まれているので、そちらの方をお聞きしたつもりだが。 (三橋意見陳述人)  それはおっしゃるとおりだと思う。 (池田委員)  具体的に、従業員が何人以上いないと、そういうシステムというのはつくりにくいなという、漠とした印象でいいがあるか。 (三橋意見陳述人)  私としては承知していない。 (村川委員)  お二人の委員からいろいろと質問があったので、重なるところは避けるが、会としてこの分野の特に専門職の重要性ということを位置付けた団体としての活躍は評価するものであるが、率直に言って、まだまだ会員になってくださる方が少ないとか、会員の方々が年齢的にやや高いというようなことも黄色い表紙の報告書ではおっしゃっていたが、何といってもこの分野に若い世代が続いて参加・参入できるような明るい見通しというか、イメージアップをするためにはどうしたらよいか。差し当たり最近の人材確保のアンケートで、現在の従事者の方々の感想はよくわかった面もあるわけだが、若い世代、17〜18歳あるいは20歳前後、そういう方々に介護に魅力を感じて参加・参入してもらえるような、そういう働き掛けというかメッセージを、行政であったり、施設等を含めた経営者側であったり、あるいは関係者としてどういうことが考えられるのか。ややもすると3K云々というようなマスコミ等の評価もあるわけで、しかし、そうではなくこの分野に意味があり魅力的なんだということを訴える、そういう正しいPRと言うか、今日のヒアリングの主題とは外れるように聞こえるかもしれないが、若い世代に対して、この分野に参入してもらえるためにどうしたらよいかということを、団体としてどうお考えなのかということが1点。  2点目として、それに関連して、これも今日の主題とはちょっと外れるかもしれないが、最近になり全体の国策、自由貿易協定等の関係でフィリピン、あるいはインドネシアだろうか、そういう諸外国との新しい協定の中で、外国人労働者とも言える立場の介護従事者がくることになる。絶対数は少ないので、全体に影響はないのかもしれないが、しかし、この分野で働く方々にとっては、言語と文化を異にする方々が大幅に参入するということから、いろいろな不安なりあるいは懸念があるのか。勿論、私も排外主義はよくないと思っているし、開発途上国の福祉につながるのであれば、開かれた発想も必要かと思うが、別の見方をすると、やはり開発途上国の方が大勢やってくるということは、この分野があたかも低賃金というような、途上国の経済水準に結びつきかねない、そういう一つの発信というのか、これは言っている私の考え過ぎなのかもしれないが、むしろ団体周辺の方々がその辺をどう思っておられるか。ただ、2点目の質問は急な質問なので、後日ペーパーでお答えいただくということでも結構だが、要するに、私としてお伺いしたいのは、この分野の代表的な団体であるので、特に若い世代がもっとこの分野に参入できる、私どもの大学もそうであるし、専門学校等も特に介護部門への希望者がこの数年減っている傾向、いろいろな要因が作用しているのだろうと思うが、その辺を心配しているということもあり、何かお気づきの点があればおっしゃっていただければと思う。 (三橋意見陳述人)  私どもの施設で具体的なことを申し上げると、職員が病欠で休んだりとかそういう方がいた場合、そのときの勤務が回らなくなることがあるが、無理して出てきたりして、結局は体調を壊してしまって長期に休んだりとかする者も出てくる。今度は別の者にも負担が掛かってくるというような問題もあり、ゆとりを持って仕事ができないのも大きな課題と考えており、人材配置の基準の見直しも必要と考える。また、介護は女性が多い職場であり、女性の方は子どもが生まれて、小さい子どもを抱えて夜勤などしているが、結局見てくれる人がいないので辞めざるを得ないという方も結構おられるので、日本介護福祉士会でも訴えている。もちろん国等も一緒に考えていく問題である。  あと、外国人労働者のことについては、詳細についてペーパーで回答する。 (堀田委員)  若い人の確保については、私からも先ほど質問させていただいたと思うが、今のお答えは、働きやすい環境職場づくりが若い人に対しての介護の仕事の魅力のアピールにもつながるというような意味か。 (三橋意見陳述人)  そう思っている。 (田中座長)  介護福祉士会から介護事業の経営者に対する注文は何かあるか。先ほど報酬のことには触れていたが、基本的に介護業界内の転職が多いとすると、それは制度論よりも先に、経営者に対して文句を言うべきだと思うが、何かあるか。 (三橋意見陳述人)  アンケート結果にも出ているが、上司の理解や経営者の質が職場環境に大きな影響を与えていると思われる部分もあるので、働きがいのある職場環境を作るためには給与の向上だけではなく、リーダーや経営者の質を高めることが必要である。 (田中座長)   補足があれば短めにどうぞ。 (柴田氏)  柴田と申します。  介護保険制度が始まって当初のころは、かなり介護職に意欲を持ちながら、いろいろな方々が仕事の場としてきたかと思うが、制度改正のたびに現実的に働く方々が少なくなってきたことは事実である。その上で、先ほど三橋がお話したように、介護現場で意欲を持っていても、介護の職場それぞれの中で人材が不足していて、どうしても無理が生じてしまうということは事実であるということを御理解いただきたい。  更に、先ほど子育ての問題等々が出たが、今後それを職場の中でどう取り組んでいくのかということとともに、働きやすい環境というのは職場だけではなくて、もしかしたら職能団体としてもどういう取り組みをするのかを今後考えていかなければいけない一つの材料なのかなと私自身は思いながら今話を聞いていたところ。  更に、何人くらいの職場の人材であればキャリアアップが可能なのかという質問があったが、私自身今小さな事業をしているが、人員30人でも非常に厳しいと思っている。とすると、50人以上ぐらいなのかなということを感じはするが、介護保険制度は小さくてもやれるということで民間企業を進めた背景があるはずであり、小さな組織であってもキャリアアップができるような仕組みづくりというものが、今後何かの形で取り組みが必要なのではないか。特にグループホームだとか、今小さな地域の中で出先機関がたくさんあるかと思うが、そこで働いている方々は決してしんどいので辞めるのではない。一つは、しんどくてもやりがいがあると続けられる。だけれども、実際に生活ができない状況があるために、くやしいけれども辞めざるを得ない状況というのを私は事例としてたくさん見てきているので、そういう意味で発言をさせていただきたいと思った。  それから、これから若い方々を育てなければいけないという大きな課題がある。今後の取り組みの中では、職能だけの努力ではなくて、更に教育の中でも福祉・介護というのは非常に意義深いものである、福祉・介護を実際に仕事の場としている方々は、そういう思いを持って入ってきている方々がたくさんいるが、今後若い方々についても、教育の中でそういう意識付けというのが大変重要なのではないかと思っている。先日大変厳しい現場についてのテレビ放映があり、学生にリアクションペーパーを書かせたら、こんなところで絶対働きたくない、福祉分野には行きたくない、介護分野には行きたくないという意見が多かった。しかし、190人の学生の中で30人、40人の学生は、そういう状況であっても介護の現場を変える力になりたいというリアクションペーパーもあった。だから、職能団体と教育の現場が一緒になって仕組みづくりをしていかなければいけないのかと思った。  更に、今、若い方々も含めて相談し合える場がないというのが大きいのかと思うので、それについても今後、職能団体として取り組みをしていきたい。 (休  憩) (田中座長)  それでは、再開する。  次は、日本ホームヘルパー協会からのヒアリングである。因会長にお越しいただいている。先ほどは30分、20分と申し上げたが、30分、15分ぐらいの時間割でよろしくお願いいする。 ○因意見陳述人(日本ホームヘルパー協会)より意見陳述。 (田中座長)  では、委員の先生方、質問をお願いする。 (堀田委員)   2点。  要件けnもせきにんしゃいうところで 1点目は、サービス提供責任者について。私もサービス提供責任者がヘルパーの定着や能力開発に及ぼす影響を研究してきており、非常に重要な役割を担っていると思っている。9ページで御紹介いただいたが、今年私どもが行った調査でもいま40人の利用者さんを担当しているが、残業なしだと26人ぐらいしか持てないとか、月に50時間ヘルパーとして稼働しているということがわかっており、サービス提供責任者が本来の責務を果たせる環境整備は重要と考える。ここでは介護報酬が設定されていないということを一つ問題にされているが、報酬以外の面でサービス提供責任者が働きやすい環境整備というものがどういうことがあり得るか。サービス提供責任者の要件や配置基準、現任研修についてもご意見があれば。  それから、全部まとめてサービス提供責任者についてということで話していただければいいが、サービス提供責任者が通過点というお話があった。私どもの調査でも、サービス提供責任者は内容ややりがいについてはすごく感じていて能力開発意欲も高いにもかかわらずケアマネに抜けたいという方々が6割ぐらいいて、衝撃を受けたのだが、サービス提供責任者は、介護職の1つの通過点としてあればいいのか、それともサービス提供責任者として活躍し続けるというキャリアのあり方も必要だと思っていらっしゃるのか。  2点目、最初にもお話ししたが、ヘルパーが比較的安定している事業所と、どんどん辞めていく事業所というのがある。同じ制度の下でやっているわけだが、ヘルパーの目から見て、賃金の水準も含めてだが、働き続けたいと思う事業所と辞めてしまう事業所というのはどういう特徴を持っていると思うか。感触で結構だが、話していただければ。 (因意見陳述人)  1点目は、サービス提供責任者の資格のことをおっしゃったのか。 (堀田委員)  要件と配置基準、現任研修。それから、通過点としてでいいのか、それらを含めて報酬の設定以外に、サービス提供責任者が活躍しやすくするような環境づくりということについて。 (因意見陳述人)  サービス提供責任者の調査を長寿社会開発センターで行って、委員長は橋本先生だが、私も委員として携った。その中で、報告書として挙げているのが、サービス提供責任者が現場に出て働かなくていいという制度にならなければ、訪問介護計画等がつくりにくいと。実際に自分がヘルパーとして働きにいって、しかも、8項目の仕事をするというのはきついということを報告書に挙げている。最初にサービス提供責任者がなぜ現場に行くのかと。行くことが望ましいと書かれているわけだが、ただ、そのことに関しては、もともと2級で3年以上現場経験のある人、もしくは介護福祉士、1級のホームヘルパーというのが任用資格なので、現場のことは知っているはずだと思っている。現場をわかるために現場に出てほしいという思いはわかるが、サービス提供責任者の実態から見ると、現場に出るよりむしろ8項目の課せられた仕事をやることの方がいいのではないかと思っているところである。  それから、ここで心配しているのが配置基準だが、経営側から見ると、ホームヘルパー10人当たり1人のサービス提供責任者は多過ぎるという話が出ているが、先ほどから述べているような実態からすると、もうちょっと配置基準を厳しくしてもいいんじゃないかと思っている。サービス提供責任者一人がヘルパー10人を抱え、利用者40人相当を教育したり管理したりするのはかなり厳しいと私は思っている。先生が調査された内容と同じだと思う。  それから、現任研修だが、日々刻々変わっていっている福祉・介護の事情は、やはり一定期間、例えば2年に1回だとか、3年に1回だとか、そういう現任研修が必要なのではないかと思っている。  次が、通過点としてそれでいいのかというお話だが、私は現場のわかる人がケアマネになることは大変いいことだと思っているので、ヘルパーからサービス提供責任者、そしてケアマネになることは反対しない。ただ、ケアマネを取ってもサービス提供責任者でいることもまた重要だと思っている。ケアマネの現場をわかったサービス提供責任者も重要だろうと思っている。ただ、なぜケアマネに多くの人が移るかというと、一つは上位資格のように受け取られているということ、それから、ケアマネも決して給与は高くないが、サービス提供責任者よりも高いというところで動いていっているのかなと思っている。  ヘルパーが安定して働き続けるためにはということで、事業主の姿勢もあるし、今ヘルパーたちは、例えば2〜3人の利用者を長いことずっと受け持つわけだが、その方々との相性もあるだろうし、現実的にはそういうことがあると思う。しかし、基本的にはそういうことを乗り越えるだけの労働環境と職場づくりがなされていないのではないかと思っている。 (田中座長)  今の点は、サービス提供責任者に報酬をつけろとの要求になるわけか。医療の世界で言うと、例えば院長に診療報酬や看護部長の存在に診療報酬をつけることはないと思うが。 (因意見陳述人)  確かにそのように聞いている。 (田中座長)  トータルな報酬が高いか低いかは別な議論として、院内の職制が何かあるとそれについて報酬という構造になっていないが、言わば管理体制に対して別口で払った方がよいとのお考えなのか。 (因意見陳述人)  そうは思わない。サービス提供責任者だけということは難しいかもしれないが、何か方法がないか。現実には、ここが圧迫しているわけだから、例えば訪問介護計画書1枚つくると幾らとか、ほかのいろいろな方法がないのか。 (池田委員)  時間を掛けられているので端的に1つお聞きしたいが、介護報酬というのは俗に言えばホームヘルパーが稼いでくるのに、何でこんな低賃金しか来ないんだというのが一番あると思う。そうすると、生活援助は2,080円だから、その65%はおおむね1,300〜1,500円ぐらい。1,300円も来ていない。身体介護に至っては4,020円で、その65%は2,613円になる。そうすると、私はいつもおかしいという感じがするのだが、多分さまざまな要因で事務的な経費が要るというのはわかる。しかし、一般的に介護保険が始まったとき、ホームヘルパーの人件費が65%で、事務費が30%ぐらい掛かると。収益は5%ぐらい用意してやらなければもたないじゃないかという議論は覚えている。今は人権費比率が90%を超えている訪問事業者が圧倒的に多いと思う。ところが、実際にヘルパーに渡っているお金は非常に低い。ここでお聞きしたいのは2つだが、端的に言って介護報酬の何パーセントがホームヘルパーに還元されるべきだとお考えか。ざっくりでいい。別に後で「言ったじゃないか」なんてばかなことは絶対に言わないので。 (因意見陳述人)  報酬のどれくらいかと言われると、正直言ってわからない。ただ、先ほども言ったように、一般職を上回る報酬を設定してほしい。 (池田委員)  一般職とおっしゃっているのは、例えば行政職一表のことを想定していらっしゃるのか。 (因意見陳述人)  昔はそんなことも言った、行政職一表とか。そういうことは言わない。介護労働安定センターが報告している一般の賃金というのがあった。新聞等でも報道されているし、厚生労働省もその資料をよく使っているが、その職員給与を下回らないでほしいと思っている。訪問介護は一番下なので。 (池田委員)  専門職的な給与の体系というのは、入り口が高くて出口がそれほど高くない、したがって、いわゆる事務職のように経験とともに上がっていくというのが、言わば右肩上がりだと、専門職の給与体系と比べると挟み状の賃金になる。そういうことを想定されておっしゃっていると理解してよいか。 (因意見陳述人)  今は経験給加算がないわけだから、入り口が高くて、その後クロスして余り伸びないよと言われても。入り口が高ければなおいい。今が全く低くて経験給加算もないわけだから。 (池田委員)  私が聞いているのは、現実をどういうふうに変えていくかということと、システムとしてどういうことが望ましいかということを一応区別して聞いているのだから、いわゆる挟み型賃金というのが専門職のパターンで、そういったことでいけば、言ってしまえばモデル的な介護職給料表みたいな、ちょっと公務員的になってしまうが、そういうものを一つのモデルとしてつくった方がいいと理解してよいのかということなのだが。 (因意見陳述人)  いいと思う。 (村川委員)  御説明のあったうち、先ほど座長もおっしゃっていたように、御要望の趣旨と実際の介護報酬体系上の工夫というか対応ということがなかなか難しい面もおありかと思うが、現場のホームヘルパー、訪問介護員のお立場が抱える問題について2つほど。  1つは、別添資料1、東京都支部がおつくりになったものの4ページ目だが、課題(1)ヘルパー職は生活を支える職業になっていない云々という見出しがあり、その説明の中に「通過点職場、一時的職場、副次的職場におちいり」ということで、確かに私もこの分野で伺う話として、1〜3年働かれてまた次に移られてしまう。これは賃金水準あるいは労働条件いろいろなほかの要因も作用してということかと思うが、なかなか現代社会において1人の方が例えば30年とかずっと勤め続けられるという、従来の地方公共団体だったり社会福祉協議会のお立場の運用とは少し違うものがあることは明らかだが、常識的に考えてというのか、確かに私も1〜3年で辞めてしまうような仕事というのは、働いている方にとってもよい蓄積ができないし、事業所にとっても関係者にとっても、せっかく介護のお世話もあるし、関係づくりもできたのに、またゼロに戻ってしまうような面があるということを考えた場合に、やはり持続可能な職業生活、働く側もそうだが、事業所としてもそこは一体何なのか、あるいは事業所によっては数年で辞めてもらってもいい、これは失礼な言い方になるかもしれないが、それぐらいひどい事業所もあるのかどうか、その辺を明らかにしていただく必要があると思う。  それから、課題(2)納得のいかないサービス、これは後で御発言される方の資料にも出ていたが、ハラスメントの問題であるのか、あるいはそれもあるけれども、別のところに出ていた認知症への対応というものに、新しい現状の介護の中では明らかに重点が移ってきているから、先ほど御指摘があった平成12年当時につくられた老計10号通知という、時代とは少し、当時は従来の制度から介護保険への移行期で、寝たきり介護がまだまだ重要視されていた時代というようなことから、はっきり言えば身体介護にやや重点が置かれ過ぎた嫌いがあるのかと思っているが、特に認知症の方のことを考えれば、コミュニケーションの取り方とか生活援助などが実は重要ということも、これは私の意見になるが、納得いかないサービスという辺りをもう少し補足説明していただけるとありがたい。 (因意見陳述人)  まずは、事業所によって違うのかということだが、それはわからない。ただ、介護の現場は施設も在宅も含めて、より報酬の高いところを求めているというのはある。例えば、この施設よりあっちの施設の方が報酬が高く、しかも働きやすいとか、施設長に理解があるとか、そういうことで転々と動いていっているという実態もある。実際、私はわからない。  それから、課題(2)について実際に具体的にどうなのかというお話だったが、通院介助・外出介助等については先ほどお話ししたが、訪問介護というのは実はすごく難しい仕事だと思っている。なぜ難しいかというと、ただ単に炊事、洗濯、掃除、介護をやっているというのではなくて、その人の生活歴だとか生活のこだわりだとか、その人の生きてきた存在そのものを支えていかないと満足感が得られない仕事だととらえている。ただ単に私のやり方の掃除、洗濯、炊事をやっていても、その方の満足度が得られない。在宅を選んでいるのはなぜかというと、私らしく、私の生活を継続させたいと思って在宅を選んでいるわけだから、そこの満足度をどうしていくかというのが実は訪問介護の大変難しいところで、苦情が訪問介護に多いというのはそういうところなのかなと思っている。その家の洗濯の仕方、その家の料理の味付けということも含めて大変難しい。よって、国が進めておられるように、もっともっと質を高める教育に移っていかなければいけないのかなと思っている。 (池田委員)  1つだけよろしいか。今、因さんがおっしゃったように、生活援助は大変重要だと。満足感というのがある。それはよくわかるが、それは介護保険で、社会保険で負担すべきものなのか。 (因意見陳述人)  ある程度は介護保険で。なぜなら、日本は尊厳ある介護と言っている。最低の介護とは言っていないので。 (池田委員)  いや、論争するつもりではなくて本音の話。つまり、2005年改正から介護報酬改定まで、そして、現実の報酬の売上げの推移を見ていると、身体介護は減っていない。しかし、複合はなくなったから身体介護プラス生活援助というのが残っているが、それもほとんど減っていない。生活援助は4割減った。これはある意味で政策的誘導でそうなったわけである。ということは、その政策的誘導というのは政策があるから行われて、その政策というのは簡単に言えば、先ほどおっしゃったようなことは、保険給付の対象は何かという守備範囲に基づいて言っているわけである。その政策を全部ひっくり返してという形で介護報酬の議論を論じるのか、それともそういった政策というものをある程度前提としながら、どう介護報酬を変えていくのかというのではちょっと議論が違うと思うので、その辺を率直にお聞きしたかっただけである。 (因意見陳述人)  私は、利用者の望む暮らしの実現ということが介護の前提になっていると思うので、やはり生活のこだわりには焦点を当てて、可能な限りやっていくべきではないかと思っている。 (池田委員)  政策を転換しろということでよいか。 (因意見陳述人)  どういうふうに転換と言われると、私もよくわからないが。 (田中氏)   日本ホームヘルパー協会東京都支部の田中と申します。  今回のシンポジウムに用意するために緊急にアンケートをとったが、そこで514名の方の御意見を見ると、納得いかないというのが大変出てきている。その内容だが、多分ここに書いてあるように、必要なのにやってはいけない、それから、必要ないのにやらされているという現実が大変多くなってきている。例えば、外が見えないほどガラスが汚れているのに窓ふきはしてはいけないとか、それから、車いすの生活で、その方の手の届かないところを掃除してくださいと言われてやっていたのに、手の届かないところは日常的な汚れではないからやってはいけないとか、それから、カーテンの洗濯はできないとか、そういう細切れの指導が現実に大変はびこっているので、そうかと思えば、必要じゃないと思われる、ある程度できている方へのサービスはやらされているというような現実を多分反映しているかと思う。 (田中座長)  時間である。 (因意見陳述人)  是非私どもの意見をくみ取っていただき、議論していただきたいと思う。   (日本ホームヘルパー協会 退席) (日本労働組合総連合会 着席) (田中座長)  ちょっと時間が遅くなってしまったが、3つ目の日本労働組合総連合会よりお願いする。  時間が遅れてしまったので、できれば少し短めに。 ○小島意見陳述人(日本労働組合総連合会)より意見陳述。 (田中座長)  では、委員の先生方から質問をお願いする。 (堀田委員)   趣旨を確認させていただきたいところが2点と、質問が1点。  まず5ページ、雇用形態が基本的に正規職員であるべきとある。短時間正社員のお話もなさっていたが、これは「適正な」正規と非正規の組み合わせを考えるべきという趣旨ととってよろしいか。  それから、6ページ、事業者に対する要望なのか、制度に対する要望なのかという仕分けを頭の中でしたいと思っているのだが、キャリアアップにつながる研修機会について。事業者に対してそれを要望していらっしゃるということなのか、こういう事業所を報酬上評価してほしいとか、何か制度的な手当を意図していらっしゃるのか。以上が確認。  質問だが、2ページの介護労働者の悩みの「どうすれば離職率が減ると思うか」について。これまでの団体の方々も賃金のお話をなさっていて、勿論実際に賃金は問題だと思うが、一方で介護職は、仕事そのものに対するやりがいを求めてこの仕事に入ってくるという方が多く、仕事を始めるときは労働条件がいいからというのが大きな理由になっていない。だが、離職率を減らすためには賃金が上がることという。このギャップは結構大きな意味を持っていると思っているのだが、始まりはやりがいで、辞めてしまう理由や離職率を減らす対策としては賃金が一番に来ているということを、労働組合としてどう考えているのか。趣旨として、制度上「十分な賃金が払える報酬の水準」ということを主に主張されたいのか、それとも賃金以外に、人間関係のことなどもあげられているが、働きがいを求めて入ってくる方がやりがいを感じ続けられるための経営や雇用管理面での工夫が足りないということを事業者に対して主張されたいと思っているのか。この結果をごらんになって、組合として制度に対する要望と事業者に対する要望と多分仕分けがあると思うが、それをおうかがいしたいということ。 (小島意見陳述人)  1点目の御質問、5ページ目の雇用形態について基本的に正規職員であるべきということだが、これは介護従事者に限らず、最近全産業を見ると、雇用労働者のうち3分の1が非正規という状況になっている。これは、ずっと進められてきた労働分野の規制緩和が行き過ぎた結果であり、やはりもう一度派遣法の問題も含め見直しが必要だろうという全体的な思いがある。これ以上、非正規を増やしていいのかということである。そういう意味では、介護分野、特に訪問系については非正規の比率が高いということがあるので、中でもフルタイムあるいは短時間勤務というものも含めて、正規を基本に考えるべきではないかという、労働組合としての基本的なスタンスということで主張しているところである。  2つ目の6ページ目の御質問については、キャリアアップにつながる研修に対する経済的支援ということである。これは介護職員、ヘルパー等に対する機会をきちんと保障しろという、それも当然労働時間としてカウントするということも含めて、事業者に対して主張している。  もう一つは、そういうことに対して訪問系がどうしても規模が小さいということがあるので、そこですべて研修を十分にやれるかというと不十分なところがあるので、そういうところについては直接財政支援するか、あるいは別途そういう機会を公的なものでつくるということも含めての支援という、広い意味で考えているということである。  3つ目の御質問について、介護職の職場での問題としてはやりがいということが指摘されて、実際に辞めるときには賃金が低いということで辞めていくが、やりがいと言った場合、当然その中には労働条件、賃金も含めてのやりがいだと思っているので、ストレートにやりがいと言った場合に賃金とは別で答えているかというと、そこは峻別する必要があるのだろうと思う。やりがいと言った場合には、当然労働条件、キャリアアップの問題、賃金も含めてという、広い意味で使ったのではないかと思っているので、まず、やりがいが一番に挙がってくるというのは、そういう広い意味で答えているのではないかと思っている。  そういう意味では、労働組合の立場からすると、まさにやりがいが一番に挙がってくるというのは職場段階で改善すべきことがいっぱいあるということだと思う。ここに指摘されているような研修あるいはキャリアアップというようなことを職場段階でも保障するということが必要だろうし、もう一つ、賃金改善ということもある。その場合には、なかなか事業所だけでは解決できなければ、介護報酬も含めて検討していくというようなことで考えるべきではないかと思っている。 (村川委員)  2点ほど。まず1点目は、労働条件を改善すべきという中の、介護・福祉分野における産業別最低賃金創設の検討が必要ということで、私もある部分共感を覚える部分があるが、この分野は準市場というとらえ方もあるが、私は、保険者は基本的に市町村であって、そもそも財源の根拠が保険料と人々が納める税金が裏付けとなっている明確な公設市場であるから、運用によっては確かに産業別最低賃金創設の検討もあってよいかなと思っているが、これは小島さんの個人のお考えなのか、組織的なお立場から産業別最低賃金創設という方向付けを今後更に追求するというお考えであるのかどうかということを、もう少し詳しく説明いただきたいというのが1点である。  2点目は、一番最後にある、勤務シフトは少なくとも1か月前提示ということで、私も現場のことをいろいろ聞いていると、よくわかる面もある。実際、今回、指定打ち切りとなった大手事業者で働いていた方が、いろいろないきさつから今日はあっち、明日はあっちというような非常に大変な指揮命令を受けて、はっきり言って体がボロボロになってしまって、もう一回勉強したいということで私どもの大学に入ってきた例もあった。これはつい最近のことではなくて、平成12年当時から聞いていたわけで、この勤務シフトの問題というのは、確かに施設系などある程度わかっているところもあるし、訪問系とか医療にも近い面もあるが、緊急突発的なニーズということを全部拒んでしまうというわけにもいかない面があるので、なかなか難しい面はあるが、何かよいお知恵があれば。どういう契約関係というか、経営者側と労働者側でどういうルールづくりというか、合理的な根拠というか、何かよいお知恵があったら、これも補足説明いただければと思う。 (小島意見陳述人)  1点目の産業別最低賃金についてだが、今も福祉分野、介護分野にはないが、ほかの産業については地域別の最低賃金というのは幾つか設定されている。都道府県ごとに設定されている地域の最低賃金は、東京とか神奈川辺りでは時給にするとそれに100円ぐらいプラスしたものとして、鉄鋼業の産業別最低賃金あるいは塗料製造業の産業別最低賃金というようなものが設定されている。製造業が多いが、中には自動車小売業として産業別最低賃金を設定している例もある。同様のものを全国一律にというのは、今は産業別では1本しかないが、都道府県あるいは地域ごとにそういう産業別最低賃金ということで介護職というものを検討していくということは、まさに全体の底上げからいえば必要ではないかと。  連合としても、そういう方向性については従来から検討している。私どもは、本当はヘルパー、介護職の前に、看護職の産業別最低賃金というのはどうかということを検討した経緯もあるが、そこは労働組合の組織率の問題もある。まさに労使協定というか、そこをベースにするということもあるので、介護福祉分野、特にヘルパーについて、連合関係では10万人ぐらいで組織しているが、全体からするとまだまだ組織率が低いということがあるので、この産業別最低賃金を地域ごとにつくるといっても、そう簡単な話ではない。ここは労使が同じ思いを持って、どう考えるかということが課題ではないかと思っている。しかし、そこはこれからの大きな検討課題だと私どもは思っている。  2つ目の御質問の勤務シフトについても、本来であれば正常な労使関係があれば、労使で自分たちの働き方を決めるというのが通常なのだが、ここも労働組合の組織率がこの分野は低いということ、特に、訪問系については登録型が多いということもあり、ここはなかなか難しい。それと、登録型なので、常に恒常的に一つの事業所で働くということもなかなか保障できないということがあって、1か月前のシフトというのは難しいという面がある。そういう意味では、ここは労働組合の立場から言うと、まさに労使協議の中できちんとするというのがベースだが、それだけでは不十分な点については、登録型と言われる人たちの雇用の在り方をもう少し変えていくということと、労働条件・賃金を改善するということで継続的にその事業所で働いていくということがないと、なかなかシフトは1か月前に組めないということだと思う。今はそこが悪循環になっているのだと思うので、改善することが必要ではないかと思っている。 (田中座長)  私から最後に一言だけ。介護報酬を何とかしなくてはとは、保険料が上がってもいいと理解してよいか。答えにくかったら答えなくてもいいが。保険料が上がってもやむを得ないと。 (小島意見陳述人)  そこは考え方が幾つかあると思うが、やはり利用者の立場から言っても、今のままで行くと、まさにほかの雇用条件が改善すると介護分野に入ってくる人材が少なくなる。結果的にサービスが提供できない、人手不足になるということになってしまうので、サービス水準を確保・改善するためにはやむをえないと思っている。それから、今の40歳以上からだけの保険料でいいかという、これもまた被保険者・受給者範囲の問題もあるので、そういうことも含めて国民的な議論が必要になってくると思っている。 (田中座長)  連合は最後までお待たせして、しかも、少し短くなってしまい、大変申し訳なかった。 (日本労働組合総連合会 退席) (田中座長)  では、予定されていたヒアリングはこれで終了する。  次回について、老人保健課長からお願いする。 (鈴木老人保健課長)  第2回だが、11月8日木曜日、16〜19時、ここの東京會舘シルバースタールームで行うので、よろしくお願いする。 (田中座長)  大変タイトで連続的なスケジュールだが、先生方、どうぞよろしくお願いする。  本日は5分ほど超過したが、これにて会を終了する。 - 1 -