07/10/29 第3回介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会議事録 第3回介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会 議事次第 日  時 : 平成19年10月29日 (月)   14:55〜17:07 場 所 : 全国都市会館 第1会議室 議  事 : 1.開  会        2.議  題         (1)市町村等における効果的な運動器疾患対策の在り方について         (2)その他        3.閉  会 ○天本課長補佐 それでは、定刻とはなってございませんが、少し早いですが、委員の皆様お集まりいただいておりますので、これから「第3回介護予防の推進に向けた運動器疾患対策に関する検討会」を開催させていただきます。  本日は、荒井委員及び中村委員から欠席の御連絡をいただいております。  本日の会議においては、市町村等における効果的な運動器疾患対策の在り方について検討いただければと存じております。  それでは、戸山座長に進行をお願いいたします。 ○戸山座長 座長進行をやらせていただきます戸山です。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず初めに、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○天本課長補佐 まず、お手元にクリップどめしております資料でございますが、表紙が議事次第でございまして、1枚おめくりいただきまして名簿がございます。おめくりいただきまして、資料1としまして「今後の調査研究の在り方について(平成19年8月)」の抜粋がございます。  次の資料として、資料2「骨折予防、膝痛・腰痛対策と要介護状態との関係」。  そして、資料3としまして「大渕委員プレゼンテーション資料」。  資料4としまして、「西参考人プレゼンテーション資料」。  資料5としまして、「斉藤参考人プレゼンテーション資料」。  最後に資料6としまして、「市町村等における効果的な運動器疾患対策に係る論点について」。  以上が資料となっておりまして、更に、本日御出席いただいております西参考人から2部ほどカラー刷りの資料を机上配付資料として配付させていただいております。「健康づくり活動情報誌」と「膝の痛みを和らげる軽やか若ひざ体操講座」というものがございます。以上でございます。 ○戸山座長 ありがとうございました。資料がたくさんございますけれども、御確認いただけましたでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、今御説明がございましたけれども、本日は「市町村等における効果的な運動器疾患対策の在り方」というものについて、これから御議論いただければと思います。御存じのように、この4月から「新健康フロンティア戦略」がスタートしまして、その中に介護予防力ということがございます。高齢化に向いまして、健康寿命延伸ということで、その中心であります骨折、膝痛・腰痛というものの対策というのはやはり急務ではないかというふうに思います。その中で、市町村に対して、このような骨折、膝痛・腰痛を効果的にどのように対策を盛り込んでいったらいいかというふうなものが本日の課題でございます。  今日は、お二人の参考人をお呼びしております。お1人は武蔵野市の健康づくり支援センターの西係長さんでございます。もう1人は霞が関南病院病院長の斉藤先生に参考人としてお越しいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。お2人とも大変お忙しい中、この会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。お礼申し上げます。後ほど、約20分程度になろうかと思いますけれども、プレゼンテーションをお願いしてございますので、よろしくお願いいたします。またその後、ディスカッションを用意しておりますので、それにも御参加いただければと思います。  その前に、ここのメンバーでございます大渕委員から、改めまして介護予防における運動器疾患対策の重要性、骨折、膝痛及び腰痛に向けた、これまでの骨折、膝痛及び腰痛に係る市町村の取組等について総論的にお話をいただくことになっております。大渕委員、よろしくお願いいたします。その後、西参考人の方から武蔵野市における膝痛対策について、そして最後に、斉藤参考人からは医療機関における転倒骨折予防への取組について御紹介をいただく予定になっております。  たしか7月でしょうか、運動器疾患対策に対する調査研究のあり方ということで2回ほど検討会を設けてきました。それから少し時間もたっておりますので、改めてき事務局の方から、運動器疾患対策、特に骨折、膝痛及び腰痛対策の重要性について、ここまでの経緯、背景等々について御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○天本課長補佐 それでは、資料1及び資料2を使って、これまでの検討の状況と今の問題点を改めて御紹介させていただきたいと思います。  まず資料1でございますが、こちらは平成19年8月に、まさに本検討会でおまとめいただきました運動器疾患に関する「今後の調査研究の在り方について」という中間報告をいただきましたが、そこから抜粋させていただきましたものでございます。  2.1と1枚目のタイトルにありますが、「運動器疾患の現状について」ということで、まず、「健康フロンティア戦略」で挙げられています骨折、そして膝痛及び腰痛の現状としまして、腰痛の自覚症状が非常に高いということ。そして、今、介護が必要となった主な原因として、関節疾患等、そして骨折・転倒を合わせると非常に高いということ。そして、5つ目でございましょうか、高齢者の骨折予防対策の対象となるものとして、大腿骨頸部骨折及び脊椎椎体骨折が挙げられるといった具体的な疾患名について、統計学的なものを含めて説明があり、そして2ぺージ目にいっていただきますと、膝痛対策の対象となる主な疾患として変形性膝関節症が書いておりまして、そちらについても統計学的に非常に高いといったことが書かれております。そして最後、腰痛に関しましては、腰部脊柱管狭窄症や骨粗鬆症性脊椎椎体骨折、そして変形性腰椎症などが挙げられておりまして、そういったものも非常に統計学的に非常に頻度が高いといったことが書かれております。  そういったことを踏まえて2.2としましてまとめておりますが、運動器疾患というのは痛み等による身体活動の低下をもたらし、その結果、体重の増加や筋肉量・筋力の低下を来す要因となるが、更には、外出頻度の低下等により閉じこもりや精神面での悪影響にもつながり、これら悪循環に陥ることが生活機能全般の低下をもたらす大きな要因となっているということでございまして、更には、2つ目としまして、高齢になるにつれてこういった運動器疾患は有病率が高くなり、そういったことで介護予防の推進の観点から、働き盛りから高齢に至るまで総合的な取組が必要であるといったことを本検討会でまとめていただきましたので、簡単に御説明いたしました。  そして、資料2は、今おまとめいただきましたものを簡単なシェーマ図で、もちろん、すべてを網羅しているわけではございませんし、わかりやすさを重視して典型的なものを挙げているといったものでございますが、先ほど御紹介いただきましたさまざまな運動器疾患によって膝痛・腰痛というものがあり、そして活動の低下、閉じこもり精神面の悪化というのもありますが、廃用症候群や筋力の低下、それによって転倒が引き起こされ、骨粗鬆症等のもともとの内的な要素もあり、骨折まで至るといったようなことがあります。そして、膝痛や腰痛と骨折はお互いに関連もありますといったことを事務局の方で作成させていただいているものでございます。議論のときの御参考にと思ってつくらせていただきました。  以上でございます。 ○戸山座長 ありがとうございました。今、事務局の方から、この会の経緯について御説明いただきました。何かございますか。よろしいでしょうか。  それでは、時間も限られておりますので、早速、大渕委員から御発表をよろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。 ○大渕委員 それでは、よろしくお願いいたします。私は、介護予防事業として、今、市町村が取り組まれている運動器の機能向上プログラムの内容と、特に骨折、痛みに関する現状について御報告申し上げたいと思います。  今回、平成18年の介護保険法の改正によりまして、予防重視型システムへの転換ということで介護予防の明確な位置づけがなされておりますが、この背景には軽度要介護者の増加ということがあります。こちらのデータは4年間のデータでございますが、重度の方々の増加の割合はそれほど多くないにもかかわらず、軽度の方々の増加の割合が非常に多いということがわかっていただけると思います。この4年間で2.2倍ということで、ほかの区分に比べて非常に増加の率が多いです。この背景には、先ほど御紹介がありましたように、運動器の機能低下ということがあるわけですけれども、従来の予防施策はこうした疾病予防を中心としてなされてきております。悪性新生物、心疾患、脳血管疾患、それから、この背景にあります糖尿病といったところが大切な予防のターゲットであったわけですけれども、要介護の原因ということでこれを見てみますと、こちらにありますように、脳血管疾患は残りますが、高齢による衰弱、転倒骨折、関節疾患、認知症といった、加齢に伴って皆さんにあらわれるのですが、ある心がけをしなければどんどん進んでいく。そして、人によっては比較的よく保たれるという老年症候群の割合が非常に多いことがわかると思います。この対策の遅れが、こうした軽度の方々の要介護状態の増加につながっているというふうな議論であったと思っております。  更に、これらのデータをまた細かくして、年齢階級別に分けたものと性別で分けたものを御紹介いたしますが、私どもが先ほどの高齢による衰弱、骨折、認知症、関節疾患等は病気とは分けて、加齢に伴う生活の不具合ということで老年症候群というカテゴリーで考えておりますが、65歳から69歳のこちらのデータに比べて、年齢が高くなればなるほど老年症候群の関与が非常に高くなるわけでございます。  また、御存じのように、女性の不健康寿命というのは長いわけでございますが、男性と女性で比べても、女性の方が老年症候群の割合が非常に大きいということで、こういった老年症候群の対策の立ち遅れというところがこういった状況を招いているのではないかと更に考えることができます。  そういうことで、今回の改正の中では、予防重視型システムへの転換ということで、生活機能評価による早期発見と、それから予防給付サービス、それから、地域支援事業のサービスによる早期対処のシステム、その間に、相談・調整を担当する介護予防ケアマネジメントを挟むことによって、老年症候群の悪化を防止していって、要介護の原因を少なくしようというような体制ができてきて、昨年始まったばかりですから、これからしっかりと根づかせていくという段階にあるわけでございます。  このような中で、市町村が運動器の機能向上を円滑に進めていくというような目的で運動器の機能向上マニュアルの作成班ができまして、かなり粗いものでございますが、アウトラインを示したところでございます。この作成したメンバーの中には、医師とか医学療法士、それから具体的に市町村で介護予防事業に携わっているもの、運動指導士、それから運動の専門の方、それから、これは県の方ですけれども、市町村事業として見てくださる方で幅広に研究会をつくりまして議論を進めてまいったわけでございます。  さて、運動器の機能向上の目的ですけれども、運動器の機能向上、機能を改善すること、向上を支援して手段的な自立を高め、ひいては高齢者のQOLを向上することをねらっております。対象ですが、新予防給付では要支援1と要支援2です。生活機能向上のために運動器の機能向上が必要と判断された者で、認知症等の運動器の機能向上に向かない者は除く形になっております。また、地域支援事業では、特定高齢者施策と一般高齢者施策という形で対象者が2つのゾーンに分かれておりまして、特定高齢者はいわゆるハイリスクアプローチで、地域の資源から運動器の機能向上が必要だと思われる虚弱な高齢者をいち早く見つけ出して、それらを改善するものでございます。また、一般高齢者施策というのは、地域住民に広く今申し上げたような運動器の機能向上の必要性を理解していただいて、具体的な実践に移っていただきたいというような2本立てになっております。  これからの説明は、新予防給付の部分と特定高齢者施策の部分を中心にお話を申し上げたいと思います。  このマニュアルの中で、まず対象者の除外基準でございますが、絶対除外基準と主治医の判断で相対的に除外や運動の制限を考えるべき基準として2つに分けております。絶対的除外基準につきましては、日本医師会の運動療法・処方のマニュアル等を、委員の中にメンバーがいらっしゃいますので、そういった形を中心に整理をしてまいりました。こちらに見ていただくとおりですけれども、この中には、急性期の関節痛、関節炎、腰痛、神経症状のある者が除外基準として盛り込まれております。こちらが主治医の判断で相対的に除外するものでございますが、先ほどは急性期でしたが、こちらの方では慢性期の関節痛、関節炎、腰痛、神経症状のある者。それから、骨粗鬆症で脊椎圧迫骨折のある者というふうに除外すべき基準として挙げさせていただいております。  この運動器の機能向上の中では、事前・事後のアセスメントをすることということが決まっておりますが、その中で特に痛みに関するようなものは、全般的な医学的な側面に対して心拍測定等はありますが、医学療法士等による評価として、痛み、あるいは痛みに関連する体のアライメント。アライメントというのは、静止維持の姿勢や動作時の体の動きでございますが、そういうものを見て痛みを起こさないように判断しましょうというのが新予防給付のサービスの中に盛り込まれております。また、地域支援事業の方でも、これほど詳しくはございませんが、この中でも痛みをみましょうということで入っております。  それから、後ほど整理をしますけれども、こちらで健康関連QOLというところがありますが、この測定指標については一定のものを定めたものではございませんが、痛みというのは高齢期のQOLに関連が深い項目でございますので、市町村が選んだ質問紙によっては痛みの項目がこちらの中にも入っているということになります。  今のを整理しますと、痛みについての記述としましては、最初の医学的な側面に関する評価のところで、痛みにより運動器の機能向上ができるかどうか、どういうふうな注意をしたらいいのかということを知るための評価があります。  それから、2番目に実施状況の確認ということがありますが、これは実施している最中に痛みがあるかないか、痛みが増悪しているかどうか、それをモニターしましょうという記述がございます。  それから、3つ目は個別内容の設定ということで、痛みや身体アライメントの不良はないかどうかを踏まえて、運動の種類であるとか、運動の順序、頻度、持続時間を調整することというふうに書いております。膝にストレスのない運動から入って徐々に段階的に踏んでいくとか、そういう個別の配慮をするようにということが趣旨でございます。  それから、これはまた繰り返しになりますが、評価表の中で理学療法士等による痛みの評価ですとか、下肢の伸展筋力をはかるということに新予防給付の方ではなっているのですが、そのときに痛みを起こさないような配慮についての記述が若干ございます。  それから、骨折についての記述ですが、これは極めて少ないです。まずは、先ほど申し上げたような要介護状態の原因の中で、骨折というのが要介護の原因になるのだということの記述が1カ所。それから、主治医の判断で相対的に除外や運動の制限を考えるべき基準として、骨粗鬆症で脊椎圧迫骨折のあるものという基準が1つあります。それから、これまでの介護予防・地域支え事業として行われてきた転倒骨折予防教室というのがございますが、それについての説明が若干あるといった程度でございます。  具体的な実施方法ですけれども、運動器の機能向上につきましては、各自治体でもうすでに取り組まれている運動器の機能向上のサービスが割と多くあるということで、それらのサービスをむしろこういうマニュアルによって制限することがないようにということで、細かい記述は避けて、大枠だけ示すような形で基準しております。新予防給付の場合ですと、機器を用いた場合は大体3カ月を1単位にして事前評価・事後評価をしながら進行を確認しましょう。機器を用いない場合には、6カ月を1単位にして事前評価・事後評価をして進めていくといいでしょうということが書いてあります。また、地域支援事業につきましては、一律に3カ月を1単位として見ていくというふうに書いております。例ですけれども、3カ月を1単位とした場合に、急に運動器の機能向上を必要な量で進めるというのは体がついていかない場合があります気ので、まずは1カ月間、コンディショニング、体の状態を整える期間を1カ月とりましょう。それから、2カ月目は体の基礎的な力を高めるための筋力向上の期間に充てましょう。それから、3カ月目は、せっかく得られた力を機能的に使えるように、生活で使えるようにということで、3つのフェーズに分けて考えたらいかがでしょうかというようなポイントのアウトラインを示しております。  これらに基づく実施状況ですが、こちらは平成16年度に東京都内の複数自治体で運動器の機能向上に関するものをした255名のデータの集計でございますが、こちらに挙げていますような歩行速度ですとか、バランス能力を見る片足立ち時間、それから総合的な動作能力を見るTimed up & go、膝伸展筋力、いずれも有意な改善を認めております。また、概ね3割ぐらいの方々が改善して、状態が悪くなる方は8%、6%ぐらいだったというような結果が出ております。  さて、痛みについてですが、先ほど申し上げたように、系統的に調べるというような体制にはなっていないのですけれども、私ども東京都の場合ですと、SF(セルフ・ファンクショニング)−36を使っている自治体が多くございました。この中で2つ質問があります。1つは、過去1カ月間に体の痛みをどのぐらい感じましたかという質問と、過去1カ月間にいつもの仕事が痛みのためにどれぐらい妨げられましたかと、このような質問がございます。これを調べたものでございますが、中にはSF−36を採用しなかった自治体がありますので、先ほどの259名より少し少なくなっておりますが、体の痛みについては、参加前が42点。これは50点が平均で、10点下がるということは1SD下がるという、いわゆる偏差値になっています。1SD低いところから43.6ということで、全体で見ますと有意に変化しています。事業に参加された方の22%が痛みについて改善を認めているというような結果を得ております。  このようなことで実施しておりますが、科学的には転倒予防教室の効果につきましては、こちらにいらっしゃいます鈴木委員の無作為化比較対照試験がございます。検討予防のための6カ月間の運動介入とパンフレットによるいわゆる教育をした場合の効果を比較しております。運動介入群では20カ月のフォローアップ時に13.6%の転倒率であったのに対して、転倒予防教育群では54.5%ということで、何もしないと増加していくのですが、介入をしていると抑えられている。運動介入は転倒発生を有意に抑制できるというような結論が出されております。  また、先ほどのは地域在住高齢者でございましたが、介護老人保健施設を利用する虚弱度の高い高齢者を対象に無作為化比較対照試験をやってものもございます。これで見ますと、トレーニングを行うとバランス能力、反応時間の有意な改善を認める。それから、統計的には有意ではございませんでしたが、転倒もコントロール群に比べて21%少ないというデータが示されております。一方、痛みについてでございますが、無作為化比較対照試験で地域在住高齢者を対象に行われたものは非常に少ないというふうに思っております。本日、参考人でいらしています武蔵野市でやられています研究的な側面からの報告でございますが、こちらでは変形性関節症により関節痛を有する高齢者を対象に、American Geriatrics Society Panel on Exercise and Osteoarthritisの推奨するプログラムを参考に、個別の身体状況に応じた運動療法を行ったところ、日整会の膝関節治療成績基準が有意に改善する。それから、持久性・反応性・強調性・筋の血行の改善に効果が期待され、膝関節痛の緩和に有用であると考えられたというような結論が出されていますが、無作為化比較対照試験等については非常に少ないというふうに私は認識しております。  これらを総合しまして、この委員会に市町村の介護予防プログラムを進めている立場から期待する期待でございますが、受入基準、除外基準に痛みの記載が十分ないということで、場合によっては、本来はできる対象が除外されてしまうこともあるかもしれない。逆に、危険な対象が含まれてしまうということもあるだろうというふうに思っています。  それからもう1つは、痛みは評価が難しいので、統一的な評価基準が必要ではなかろうかと。運動機能プログラムですと、専門の方よる痛みの評価が入っているということで担保しているわけですけれども、これを市町村事業としてやるときにもう少し整理ができないだろうか。先ほど申し上げたFS−36だとかなり大まかであります。  もう1つは、痛みがある場合に適当なプログラムは何かということについてもう少し整理が必要。科学的な根拠のあるプログラムはどうか。運動の種類、強度、頻度、期間はどれぐらいか。中止基準はといったことが余り示されておりません。また、これは非常に重要だと思うのですが、医療と介護予防との連携のことについて記述が全くなかったと思います。医療から介護予防事業の方へ引き継ぐ場合、逆に介護予防事業の中から医療を引き継ぐ場合、これらの整理がなされる必要があるのではないかと思っております。  最後になりましたが、1つ、私の提案として、地域で取り組むことのできる膝痛、転倒予防プログラムの必要性について少し説明させていただきたいと思います。  厚生労働省でも、今年は「介護予防のまちづくり」という言葉をお使いになっているようでございますが、少しまちづくりの観点から先生方のお知恵を拝借できないかということでございます。これは前回の委員会にも出ましたが、膝痛とか腰痛というのは有訴率が男性・女性とも非常に高いということです。1,000人当たり160人ですから、16%が腰痛で、10%が手足の関節が痛いということがございます。女性でも約20%は腰痛があって、また、手足の関節が痛むのは18%ぐらいの方があるということです。  そういうことで、かなた有訴率が高いので、地域の中で元気な人も含めて、みんなで取り組めるようなプログラムがやはり求められているのではないか。疾病型のプログラムじゃないという観点が少し必要かなと思っています。もちろん本人で自助ということで自分でがんばるところもありますが、介護予防を進める公助の部分とお互いに進める部分、この3つがなければ地域では進められないと思っております。地域の中では、介護予防を理解していただくように、地域の中で介護予防検診をしたりするような試み、これは巣鴨のとげ抜き地蔵尊ですけれども、片足立ち時間をはかったりという形で市民の理解を得るようなことを地道に続けてきております。  また、こういったことを受けまして、高齢者側の準備としてもかなり進んできておりまして、例えばこれは豊島区の「元気!ながさきの会」ですけれども、認知症にならないまちづくりを目指してということで、とはいえ、頭のことだけではなくて、太極拳とか、フィットネスとか、そういったものも含まれております。それで、自分たちが元気になるだけでなくて、地域貢献をすることによって、ますます地域の中で元気になってもらいたいという活動をしている方々も増えてきております。平成12年に開始して、16年で136名、この数はどんどんと増えております。  また、東京都の支部でございますが、「東村山いきいきシニア」というグループがあります。それは市内の11カ所、ここに新山手塾、秋津塾と書いてありますけれども、これは市町村ではなく、自分たちで拠点をつくって、その中で脳刺激訓練とか軽体操をする。メニューを3段階ぐらいつくっているのですけれども、体を鍛えるところから、楽しくおしゃべりをするというところまで、こういうプログラムをつくって定期的に活動しているグループもございます。このような活動を一緒に進めていくということは私、重要だと思っているのですが、また更に重要なことは、これは桜美林大学の芳賀先生のデータですけれども、こういったように社会貢献として運動指導ボランティアをされた方々が、ボランティア自身がどういう影響を及ぼすかというデータを見てみますと、例えば握力も活動前に比べて向上する。それから、片足立ち時間も活動前に比べて向上する。生活満足度もぐっと上がるというふうに、当然、弱い方々が元気になるだけでなくて、自分たちにも波及する効果があるということが示されつつありますので、このような活動を一方で取り組む中で、水間先生の専門でございますが、リハビリテーションではコミュニティベースド・リハビリテーション、地域の資源を利用しながら発展途上国等でリハビリテーションを進めるという手法がございますが、それと同じように、コミュニティベースド・介護予防ということで、介護予防を地域の資源を利用しながら進めていくような提案はいただけないかというふうに思うわけでございます。  最後になりましたが、ここまでをまとめると、まずは自治体で実施可能なマニュアルがぜひ必要だというふうに考えております。また、評価、特に中身についてはいろいろアレンジがあると思いますけれども、統一的な評価の手法についてお教えいただきたい。それから、医療と介護予防、介護予防と医療の連携についての御提案をいただきたい。それから、地域の資源を利用した介護予防モデルの提示ということ。ここが今までの現状として求められているというふうに感じております。  以上でございます。 ○戸山座長 ありがとうございました。総合的な討論は最後にやりたいと思いますけれども、ここでどうしても御確認とか、御意見、御質問がございましたら受けたいと思いますけれども、委員の先生方、いかがでしょうか。ございますか。よろしいですか。  では、また後ほど総合でお願いしたいと思います。ありがとうございました。  それでは、参考人の西さんから御発表をお願いしたいと思います。先ほども御紹介いたしましたけれども、武蔵野市における膝痛対策ということでプレゼンをしていただきます。では、よろしくお願いいたします。 ○西参考人 どうぞよろしくお願いいたします。武蔵野市の健康づくり支援センターの担当係長の西と申します。今日は、健康づくり支援センターについてちょっと説明をさせていただいて、それから私どもで実施しました「軽やか若ひざ体操」について御説明をしたいと思います。  武蔵野市は、新宿から12km、23区と多摩地区のちょうど境界線のところにあります13万4,000人ほどの市です。健康づくり支援センターというのをつくっております。これは、行政、民間、地域市民の連携をとることによって健康を支援する、そういう環境づくりをしていこうという、よく健康の坂道とありますけれども、この坂を落としていこうと、そういうことを目的にてしいるセンターです。それで、いろいろ計画、市民のアンケート、集会等を経ましてつくりました。機能としては、情報管理、調整機能、評価機能、開発機能といったようなものを目的にしておりまして、その中のプログラム開発ということで、後ほど紹介する「軽やか若ひざ体操教室」というものを行ってきたわけです。17年の7月にできまして、実際には事務職2名と保健師1名、健康運動指導士、管理栄養士といった5名で動かしているものです。  その中で私どもがうたっているものが、まちづくりを支える3本柱ということで、市民のコーディネーター、健康づくり推進員、それから専門職の人材バンク、それから自分の健康は自分で守ろうという意識を持ってもらう市民のネットワーク、はつらつメンバー、これを3本の柱ということで押し進めております。  18人の推進員というのは市民公募で、市が横長なところもありまして、3つの地区に分かれて地域のいろいろな活動の中に入って啓発活動をしているということです。市民の中に、17年に支援センターができまして、そして地域への働きかけを市民公募の健康づくり推進員を中心に行っています。そして、自分の健康は自分で守るという意識を持ったネットワークをつくって、市民の方に健康づくりの情報を行き渡りやすくさせようということをしておりまして、そのときに専門的な知識を持った人材バンクがバックアップをするという形で進めております。そして、健康づくり支援のネットワークをつくっていこうということで、地域の資源、行政の資源、そういったものを調整していく役割を求められ、今始めているところです。こういった中で、民間のスポーツクラブでプロポーザルをやって、高齢者の筋力向上トレーニングといったものを各地域で行ったり、そういうこともしております。  健康づくりについては、始めるというところでの支援、また、続けるというところでの支援、いろいろなチャンネルでの支援というものが必要になってくると考えております。まず、きっかけのところで代表的なものとして、出前講座というものを行っています。これは、健康づくり推進員という市民公募のコーディネーターが地域と調整をするわけですけれども、10名以上の市民の方から要望があれば、人材バンクが出向いて行って講座を行うということをしています。そして、より長く継続というところでは、既存の事業がたくさんあります。そういったものをわかりやすくしてつないでいこうということろで、健康づくりのネットワークをつくっていこうということで情報誌といったようなものもつくったりしています。人材バンクについては、現在54名、保健師からウォーキング関係の方まで登録をしております。そして、情報誌は40歳以上の方が参加できる市民のグループといったものを募集してつくっていっているものと、それから、市の関連の事業といったようなものをまとめてつくっております。  さて、武蔵野市の運動事業ですけれども、どうしても中心部に公共の施設が固まってしまっているという問題があります。そしてまた、武蔵野市には自治会がほとんどありません。そういった中で、コミュニティセンターというものを16ほどつくっております。その各地域で自治活動も含めて、コミュニティセンターを活用してもらうということをしています。そういった中で、平成元年から地域健康クラブというものをつくりまして、現在、1,000人以上の規模ですけれども、各地域で体操を継続してできるような形をつくっています。もう1つは、不老体操ということで、銭湯に協力をお願いして、そこで体操をして無料でお風呂に入るということを毎日市内のどこかで行っております。軽やか若ひざ体操教室をつくるきっかけとなったわけですけれども、そのときに市内の事業を調査したときに、自立している高齢者の方の運動というものは幾らでもある。相当数の支援施設はある。介護に入っている方に対するサービスもある。ところが、虚弱高齢者に対する部分というものがなかったというところで、今回のようなプログラムが出てきたわけです。軽やか若ひざ体操教室と筋力はつらつ若がえり教室というもので、これは運動を通じて高齢者の活力アップを図っていこうといういろいろなネットワークづくりも含めた中で、プログラムとしても考えていこうということで出てきたものです。  筋力はつらつ若がえり教室というのは、都老健さんのマシンを使った筋力向上トレーニングをやっております。これは15年度から始めましたけれども、先ほどありましたように、SF−36の体の痛みの部分もあるSF−36というようなものも評価の基準に使っております。  さて、軽やか若ひざ体操教室の話になりますけれども、先ほどのような事情と、それから実際に平成14年に高齢者の900名ほどのアンケートをしてみたところ、一番希望がありましたのが膝・腰の痛みの予防・改善のための運動事業というものでした。実際に医療機関の方で、運動した方がいいよ、悪くならないようにした方がいいよと言っても、どうしていいかわからないというようなアンケートもございました。そういった中で、膝の状態をよくして、最終的には生活の質(QOL)を高めていこうということがこの事業の目的です。これは15年度に始めたわけですけれども、武蔵野市と、今、中京大学の教授になっている種田行男先生、それから、いろいろなところで働いていらっしゃる理学療法士の方等に協力をお願いして研究班をつくりまして、膝痛をもっている自立高齢者の予防プログラムをつくりまして、武蔵野市の福祉に還元してもらおうということで、15、16、17、18年に研究委託ということで行いました。  さて、第1期、平成15年度ですけれども、教室型の軽やか若ひざ体操というものを行いました。特徴としては、膝の痛い人だけをスクリーニングして詳細な効果測定をして、そして個人の状態に合わせた負荷を設定してやってみようということです。そして、1カ月間、観察期間ということで、評価をした後に、1カ月何もしない状態にして、再度1カ月後評価をしてから、教室を始め、1カ月後、教室が終わった後評価をする。そして、どうなったかということを確認しようということになりました。1カ月で週3回、90分の教室を行いました。65歳から84歳の方が参加をされました。効果としては、膝痛の軽減になった。こういったような改善があったということが効果として上がりました。  さて、教室として効果はあったのですけれども、これを自宅で継続できるような形にもっていくことはできないかというのが翌年の研究目的になりました。自宅継続支援型プログラムということで行いました。これは、去年と回数はほとんど変わりませんが、まず1カ月目は週1回で行う。そして、2カ月目、3カ月目はどんどん離していって、隔週1回ということで行っていって、その間に日記をつけてもらい、理学療法士がサポートをしてアドバイスをして、そして体操の回数なども変えていったりということをして、最終的に自宅で自分でできるようにしようということでやりました。参加申込が100名ちょっとありまして、教室完了時には80名の方が完了いたしました。では、実際どうだったんだということで、半年後にOB会というような形で調査を行って集まってもらったりということをしました。そのときに、58名が体操をしていたということです。  いろいろな体操をしたわけですけれども、まず教室としては、メディカルチェックということで、最初と最後のところで血圧、脈、体調等を聞くということを理学療法士が行いました。それから、理学療法士から毎回、上手な膝痛とのつき合い方ですとか、いろいろな話をしてもらいました。そして、ふれ合いマッサージということで、受講者のコミュニケーションをとってもらうということをやりました。その後、基本体操ということで、タオルギャザーですとか、ボール蹴りとか、そういったことを全体で行いまして、そして最後に、このときにはエックス線も撮っておりまして、痛みの指標、WOMACも撮っておりますので、これをもとにして、膝の状態が軽い、中ぐらい、重いと3段階に分けて、それぞれの運動の回数等を決めて行いました。それがグループ体操というものです。こういったところから、通信教室の方にくるのですけれども、そういったものを行いました。それで、最初でありましたので、測定の項目はいろいろな測定をいたしました。今回、痛みというところが1つのテーマになっているようですが、質問紙による3つの代表的な方法というのを全部やりました。この中でWOMACというのは、通信講座でも使用しているのですけれども、本人がやるには一番やりやすいだろうということで、右足・左足の痛み各100点、それから動作機能100点、300点満点で、点数が高いほど状態がよいということになります。この16年度の教室は、やはり効果は上がりました。ここに挙げましたような膝通の軽減効果、膝筋力の改善、それから平衡機能の効果、生活動作能力の改善が認められた、QOLの改善傾向が見られたということになります。  ただ、この教室を3カ月間やりまして、課題として、教室型では一度にたくさんの人が参加できない。膝の痛い人の多くは外出をしたがらないのではないか。市内全域からの参加がやはり難しい。指導者の確保が難しい。効果的なプログラムを多くの人に知ってもらいたいということがあるので、やはり費用がかかり過ぎるというところがありまして、これを改善するために、では通信制ということをやってみようということになりました。通信制というのは郵送でということですけれども、65歳以上の在宅自立高齢者100名を対象として行いました。それが皆さんのところにお配りしたものです。ここに申込用紙というふうになっていて、WOMACをここに書いてもらうのですけれども、最初のところに、本講座に適した方、本講座に不向きな方ということで基準を設けております。対象者の基準は、日整会の膝痛疾患治療成績判定基準の質問項目のいずれかに該当する方ということにいたしました。  それで、医師会の協力等で医療機関に申込書を置かせていただき、健康情報取り扱い協力店というのをつくっておりますので、そういったところにも協力をいただいたりしながら、申込受付、情報発信をいたしました。これも50人・50人を時期を2期に分けて行いました。50名が参加して、介入群は41名、対照群は44名が残ったということです。こちらの白いところが参加者にやってもらうことです。応募用紙に記入をしてもらって、郵送で送ってもらいます。その評価の内容を見て参加の可否を決め、体操の回数を決める。それと一緒に教材を送って、1カ月間やっていただく。1カ月間やっていただいて、わからないことがあれば電話で相談をしてもらう。そして、1カ月間の体操日記をつけて、またWOMACを書いてもらって、そして、どうなったかというところで理学療法士のアドバイスを送り返すということを行いました。  体操は4つ。非常に簡単なものです。これをポスターにして何回ということを書いてお送りするのですけれども、教室で用いた基本体操及びグループ体操の中から、効果が高かったと思われるもの及び体操方法が容易に理解できる、ここが重要だと思うのですけれども、4つの体操を選んだということです。それで、日記に回数を入れて、本人には、どの体操は○、あるいは△、×、あるいは気になったこと等を書いてもらって1カ月後に送ってもらう。そして、レベルですけれども、こちらの方は実際に教室でやったときの3つのグループに分けましたレントゲンとWOMACの痛みのスコアで分けたわけですけれども、それに準じて3グループに分けております。結果としては、介入前、介入後で効果があったということでした。  18年度は、今度は1カ月ではなくて、3カ月の通信講座をやって、3カ月の教室と比べてどうなのか、効果はあるのかということを調べました。それで、先ほどの1カ月やったものを3回続けて繰り返していってもらうということを行い、途中で理学療法士がアドバイスをし、体操の回数等も変更が必要であれば変更する。申込みの時点で123名、3カ月継続の時点で3分の1、39名ということになっています。介入期間が延びるにつれて、WOMACの得点は増加する傾向を示しましたが、有意差は認められなかった。これは被験者数が少ないということもあるのかもしれませんけれども、傾向はあるということでした。では、通信型と教室型のプログラムはどうだったのかというところですが、結論を言いますと、WOMACが300点満点ですけれども、260点以下のものを対象にした場合には、通信制と教室型プログラムの効果が極めて類似しているということで、余り痛みがない方にとっては効果はなかった。ある程度の痛みがある方については効果があったということです。  この体操のメリットですけれども、通信型プログラムというのは、運動の実施に時間的制約がないために、誰もが気軽に参加できる。出て来てもらわなくてもできる。参加者が多数でも、場所の広さやスタッフ数に制限されずに希望者すべてを受け入れられる。教室型に比べれば、プログラムを実施する手間を削減でき、先ほどのようなものであれば、その効果は教室型と変わらないということで、費用対効果の観点からも、通信型プログラムの有用性、実用性は極めて高いだろうという結論に達しました。15、16、17、18と研究事業を行いまして、19年度以降は市の事業として通信教育、それから公開講座というものを実施しています。この武蔵野市で行った研究の成果を膝痛予防プロジェクトの研究班、中京大学の種田先生と理学療法士の方々のチームは、ほかのところでも教室を実施してみました。そういった中で、その効果を普及させようということで、膝関節痛予防軽減のための運動学習支援マニュアルというものを年明けに発売する予定です。これは、NPO法人の日本健康運動指導士会編ということで出します。それによって、日本健康運動指導士会では、これは一般に販売するものですけれども、マニュアルとして研修会を開いていくということで、来年2月に試験的なものをまず1つやってみようという話になっているようです。  武蔵野市としては、健康づくり支援センターの健康づくりの1つの手段として、この軽やか若ひざ体操教室を考えております。いろいろなチャンネルで、いろいろな人に、いろいろなところに働きかけをする1つの方法として、ケーブルテレビを使った体操というものをつくって毎日流したりもしていますけれども、こういった通信教育というものも1つの効果があるのではないかというふうに考えています。ただ、効果が出るというところでは、やはり教室型も通信教育もモチベーションがよほど高い型が、どちらでも多分続けられる方がやっているのではないかというところが担当者の私見としてはあります。ただ、こういったことをやることによって、そういう興味を持ってもらうというところが必要なことだなと思っております。  以上です。 ○戸山座長 ありがとうございました。武蔵野市の健康づくり支援センターが取り組んでいる健康寿命延伸、運動器疾患対策、本当に積極的に取り組んでいるところの一端を御報告いただきました。何か御質問、御確認等ございましたら受けたいと思いますけれども、委員の先生方、いかがでしょうか。 ○天本委員 特定検診とか介護予防給付のもっと前の人という捉え方でよろしいのですか。 ○西参考人 そうですね。これを始めた時点では、新予防給付であるとか、特定高齢者とか、そういった枠組みはありませんでしたので、虚弱高齢者というところで始めました。介護保険の中の予算でやっているわけではなくて、どなたでもということで行っております。ただ、こういった不向きな方は除外ということですけれども。 ○天本委員 例えば、武蔵野市がほかの市町村よりも予防給付で苦労しているかと思うのですけれども、受診率が高いとか、そういうデータは出ておりますか。 ○西参考人 高くないです。結局、特定高齢者というような形になってしまって、参加してくださいという呼びかけには反応が非常に悪いです。ですから、武蔵野市としては、一般高齢者施策の中に特定高齢者施策などを入れています。一般高齢者施策でみんなが入れるところに入れますよということで、要支援1、2までの方は一般高齢者施策だけでは健康づくり事業に何でも参加できますよという枠組みで動かしています。 ○戸山座長 ほかにまだございますか。  私からですけれども、運営といいますか、市の方がより積極的に、各論で言いますと、運営費といいますか、それは今どういう形ですか。もし具体的になければ結構ですけれども。 ○西参考人 軽やか若ひざ体操教室については、ここ数年は東京都の保健所の10割補助で行っています。3年間です。 ○戸山座長 場所とか、そういうふうなものは積極的に市側が提供して、かなり大々的にやっていただいているというふうに理解してよろしいわけですか。 ○西参考人 はい。市の事業としてやっていますので、市の施設を使って行っています。そこのところでは、経費というのは市の中での話です。 ○戸山座長 あと、これは医師等、医療機関との連携というのはどういう形で進めていらっしゃるのでしょうか。 ○西参考人 一番最初に教室型を行ったときは、整形外科の方にレントゲンを撮っていただいて、その判定をしていただくというところを絡めて行っていました。もう1つの筋力はつらつ若がえり教室という都老健方式のマシンを使ったトレーニングの場合は、当初はやはり整形外科の方に確認をしてもらって、意見書をもらってから行うという形をとっています。 ○戸山座長 わかりました。また後ほど総合討論の方でよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。  それでは、最後に斉藤参考人の方から御発表をよろしくお願いしたいと思います。御準備できましたでしょうか。では、よろしくお願いいたします。 ○斉藤参考人 よろしくお願いいたします。埼玉の川越で病院をやっております斉藤でございます。今回のお話は急にいただいたものですから、今回のためにつくってきた資料というのが間に合わなくて、今までいろいろなところでお話ししたものの中から一部を抜粋して持ってきた形であることをお許しください。  今、武蔵野市さんのお話がありましたが、私どもは逆にリハビリテーションを中心にして、それから在宅ケアというか、医療を展開しておりましたので、こういう取組をしていく、脳卒中の方が多いのですけれども、そういう方々にとって、障害のある方々がいつまでも私どもから提供するサービスに依存するのではなくて、何とか自立していっていただくような取組ができないかということ、そういうアプローチが入口だということを御承知おきください。  当法人における介護予防的取組ということですが、ちょうど平成12年ごろにマシンによる筋力向上トレーニングを導入いたしました。このきっかけとなったのは、後ほどお話ししますが、オーストラリアでありまして、このオーストラリア研修は1992年から毎年行き続けていて、行くきっかけになったのは、ここにいらっしゃる天本先生と一緒にオーストラリアに行ったのがきっかけで、それからずっと行き続けているのですが、そこで病院の施設の中、病院の外来でマシントレーニングをしているという場面に遭遇して、何とかそれが使えるかなというふうに思ったのと、実際にはマシンが中心ではなかったということは関わっていきながらわかったことですが、そういうことで導入する。それも、入院、外来、通所という形での取り入れ方だったのですが、保健に関わらず、SKIPトレーニングセンターと書いてありますが、42条施設として展開できないかということを考えて14年の7月にそういうものを病院に併設する形で開業いたしました。  15年度からは地域リハビリテーション広域支援センターの、埼玉県の場合は総合保健センターが広域支援センターになるという形をとっていますので、私どもはその協力医療機関として活動するということになりました。今日は付け足しで持ってまいりましたが、平成18年9月ごろからまた新たな取組で、介護予防的な取組というとこんな形で進めております。これがオーストラリアで触れたストロングクリニックという、日本ではパワーリハとかという言い方をしますが、こういうものを本当に地域の病院の外来を使って行っている場面に遭遇しました。  内容としてはどんなことをやっているかというと、運動エクササイズによって予防改善できないか。疾病を診るだけでなく、人間生活の全体を見てアプローチできないか。医療・治療を基本としたプログラムだけれども、外来プログラムの1つとして運営というのがストロングクリニックの特徴で、内容としては、レジスタンス・トレーニング、バランス・トレーニング、エアロビクス・トレーニングに、栄養指導等も入って、もちろん医師の診察も入っているという形で、これはまさに私たちが求めているものかなということで、ちょうど帰国したときに、そういうマシンが日本に入ってきたところでもあったので、すぐそれを実際に外来と実施しました。ストロングクリニックですが、チーム構成としては医師、作業療法士、運動療法士、栄養士、リサーチアシスタント、ボランティアということで、対象患者は関節炎やうつ病、歩行、バランス障害の方が非常に多い。特に注目すべきは、うつ病の方が非常に多く使われているということが印象的で、実際、うちの法人でも、その後、SKIPトレーニングセンターを始めて、そういうことにもかなり効果があるなということを感じています。骨粗鬆症やパーキンソン症候群の方も増えているということでありました。実際に、これは今日いらっしゃる方々にはお見せする必要はないものですが、Borgのスケールをちゃんと使って御本人が評価をするという方法をとっておりました。  そこでいただいたサマリーを見てみると、3カ月後の効果としては、約30%の方が筋力は改善され、歩行速度、連続歩行距離、メンタル面でよい結果が出ている。3年以上継続している方の経過も出ておりまして、筋力、耐力に関しての改善は一時的なものではない。継続すれば維持されるという結果や、初めの6カ月が一番改善される。それから、基本的に運動習慣のない方がこのストロングクリニックを利用するようにしているというのが非常に注目するところかなと思いました。それから、線上歩行速度に関しては、初めの3カ月にかなり改善して、その後徐々に下がってくるけれども、運動開始前より悪くなることはないというのが印象的でした。やはりあちらでもSF−36を使っていて、そこの部分での改善度もかなり高いというお話でした。  これが、今、私どもの施設で、下にある建物がちょうどトレーニングセンター、マシンが置いてあるところですが、病院の中にあるそのほかのいろいろな場所を使いながら、ここの場所に固執することなく、教室を開いたり、あるいはトレーニングセンターに通っている。ちなみに、ここには書いてありませんが、1回いらっしゃると2,000円という設定でやっておりまして、全くペイはしていません。なかなかうまくいかないところではありますが、何とか今、老人保健課の方々ともお話をしているところですが、短時間型通所リハ等に結びつけられないかなと。そうすると、収支が少し合ってくるかなという印象も持っているところであります。  当院での転倒骨折予防ですが、リハビリテーションサービスとして理学療法士、作業療法士が中心として関与。これは入院で行っているような内容のことですが、それに加えてSKIPトレーニングセンターで、位置づけとしては、体づくり、場づくり、仲間づくりというのを提供しようというふうに考えておりますし、あえて42条施設にしたのは、障害のある方だけでやるのではなくて、一般の方やうちの職員も使っていますし、健康な方と地域住民の方が入って来られる場所をつくりたいということで始めました。SKIPという名前の由来はここに書いてありますが、スタッフとしては健康運動指導士3名、トレーナー4名、それから理学療法士1名で、そこに入口として必ず医師が入って、そのトレーニングセンターを使うに当たっての入口として、運動負荷をしていいかどうかという評価等は行っております。利用者は、今、登録利用者が150名を超えていますが、そのうち、これが病院の特徴かもしれませんが、障害をおもちの方が62%いらっしゃるということです。徐々に徐々に利用者も増えてきているところであります。  そのマシンのトレーニング以外にも、あるいはSKIPトレーニングセンターとしてだけではなくて、法人全体で取り組んでいる、SKIPに通っている方が結構多いことは多いのですが、らくらくイス体操教室というようなものを開いたり、アロマストレッチの教室とか、一部お持ちしましたが、それからペットボトル体操教室とか、最近ではツボ踏みステップ教室とか、こんなこともいろいろ手を変え品を変え、飽きないようにというが一番大事なことなのでやっております。これは平成17年ごろから始めて現在まで至っておりますが、かなりの回数、特にらくらくイス体操に関しては、もう32回、322名が参加している。1回の利用者は本当に10名程度ですが、継続することに意味があるだろうということで続けているところです。  結果というところですが、生活習慣病の改善・管理目的の方が増加している。やはりこれは、生活習慣病外来というのを病院の中でやっているということもあってか、そういう方々が病院に来たときに、このトレーニングセンター等や教室を見て使ってみようというきっかけになっておるものですから、そういう方々が増えてきているということ。それから、非常にうれしいことは、SKIPを始めてから4割の方が3年以上利用されているということ。それから、8割の方は利用者同士の交流をもっている。実は交流会等もございますので、そういう仲間づくりの場になっているということであります。それから、9割以上の方が身体、心理的自覚度が維持・向上している。こういうところがよくなったのではないかという御自分での自覚ですが、そういうことを感じていらっしゃいます。それから、体力面で見ても、30秒片足立ちを筆頭に、9割の方の体力が維持・向上しているという結果であります。  転倒予防の普及のためにどうしたらいいのかということですが、できれば同じ圏域内で共通の方法でやっていくことが、うちの法人だけでやっているということではなくて、その方がいいだろう。それから、取り組める場の設定というのが、今日のお話としては、病院をうまく活用してください、医療機関をうまく活用してくださいということでありますが、そういう設定が必要だろう。それから、私たちのようにリハの専門職等もかなり多くいるところの人的支援というのを利用されたらどうか。技術的支援もそうです。それから、マンネリ化しないために、いろいろな情報交換をしていく。外も見ていくということが重要だというふうに思っています。ちなみに、地域包括支援センターも持っているものですから、そこが今、窓口として広がりつつあって、そこで今は出張して各公民館などでこれからお話しするようなことをやっております。  転倒予防教室 これならできる?と。身近な場所でできないかということ。特別な道具を用いないでできないか?。それから、簡単で覚えやすくできないか?。危なくない方法はないか?。少ないスタッフで可能?。これは先ほどの武蔵野市さんのお話と全く同じだろうと思うのですが、こうしていかないと普及していかないだろうということがありまして、こういうことで転倒予防教室については考えておりました。  そんなところに、これは一昨年になるでしょうか、これもオーストラリアですけれども、オーストラリアのタスマニアのホバートというところにCRU(community rehabilitation unit)といって、クルーと読みますが、まさに回復期リハの外来版というよりは、通所リハに近いような、そういうサービスをやっているところがありました。そこをのぞいてみたら、オーストラリア版の介護予防エクササイズというのが部屋に貼ってあって、幾つかのアクティビティーに近いような状況のエクササイズがレベル分けしてあって、個人の目標や達成度がわかるような、そういう運動というか、体操というか、体力測定というか、こういうものがあったので、これを何とか日本でもつくれないだろうかというふうに考えました。これは、向こうのスタンディングバランス(立位バランス)のレベル1から4というのをそのまま訳しただけですが、自分がどこまでできるのか。できるか、できないかだけではなくて、できないとしたら、レベルが上がるためにはどういう体操をしたり、どういうエクササイズをやったらいいかという次の段階へ進むという方法を立案できないだろうかということで、病院の中でプロジェクトを組んで実行してまいりました。  それでつくったのが、筋力は腕立て伏せ、立ち上がり、10cm踏み台というので、レベルでどこまでできるかというようなことを御自分で自覚していただく。バランスに関しても、バランスボールや立位バランス、これはうちの法人でこのイラスト等も職員がつくったものであります。柔軟性、敏捷性、持久力ということについても、可能な限り、ある程度実現できるような内容の、それほど難しくないものを持ってきて、レベルを決めてやっていこうと。  当院で進めている運動器の機能向上メニューは、マシンを使わないでもできるメニュー。それからレベルやランクを設定し、自己評価や目標を持てるメニュー。今お話ししたような内容です。それから、体力測定の項目を活用できるメニュー。これは、お元気レベル運動などというふうに勝手に名前をつけましたが、このようなことで御自分の体力ということを理解していただく。今日はビデオをお持ちしていないのですが、これがスキップ・ルンルン体操という当法人オリジナルで、ストレッチから始まって、体操、それから終わりのストレッチという一連の流れのDVDをつくりました。このDVDを必要な方は御自分のお家に持って帰っていただいたりしながら、あるいはSKIPトレーニングセンターで運動を始めるときには、このDVDを見ながら体操していただく。ある意味では、健康運動指導士が直接いなくても、このDVDを見ながらやってもらうような方法もとってやっています。それに合わせて、体力レベルに合わせた個人課題で、先ほどお見せしたお元気レベル運動。それで、こういう体操をやった後、またお元気レベル運動をやってみたらレベルがどうなったという自己評価をしていただくという方法をとっています。  当院での流れとしては、体力測定でまず自分を知っていただいて、体力測定にリンクした運動メニューとして、先ほどのスキップ・ルンルン体操を行って、それで体力レベルに合わせた個人課題でお元気レベル運動と。これをやっていっていただくというのが、慣れてくるとお1人でやっていってもらえるような、そういう形で実施しています。  介護予防についての私たちの考え方ですが、筋力向上だけが介護予防ではないということで、意欲、知識、自立、交流という場をどういうふうに設定するかということが重要だと思っています。  それから、介護予防は、今日のお話に合うかどうかわかりませんが、すべての人に当てはまって、軽度の人だけではないのではないかというのも考えています。それから、制度として位置づけられた介護予防事業と、本来の意味の介護予防というのも意識をするべきですし、特にうちの法人でリハビリと介護予防はどこが違うのという質問を利用者から受けるようなこともありますが、適当に答えておりますが、とにかくどこが違うのということに関して、保険医療、介護のシームレスな位置づけが必要だろうと。どういう時期の人でも体を動かすこと、仲間をつくること、そういう集まる場所があることが重要だというふうに意識しています。何しろ自治体との連携をこれからやっていかないと、うちの法人だけでやっているだけではなかなか効果がないということもあって、実は地域包括支援センターを通じて、このようなうちでやっていることもすべてお見せする、お渡しするという形をとって今普及していますが、この方法がいいのかどうかという問題もありますので、その都度、地域包括支援センターだけではなくて、リハビリテーション広域センター事業としても、埼玉県内というか、その圏域でいろいろお話をしているところです。何回も言うようですが、体づくり、場づくり、仲間づくりというのが大事だろうというふうに考えています。  ここからちょっと追加ですが、もう1つ、海外の話ばかりで恐縮ですが、昨年、オランダに行きまして、ナイメーヘンという市ですが、そこであるおもしろい家庭医のための研修というのを体験してきましたので、今日は天本先生もいらっしゃるので、ちょっと御紹介いたしますが、オランダではナーシングホームというのはイコールほぼ日本の回復期リハビリテーション病棟のような、そういう形でした。大学病院までが医療保険で、その後は介護保険、向こうではロームターム・インシュランスという名前だったのですが、あちらでもやはり大学病院、ナーシングホーム、それから家庭医というのをどういうふうに連携するのかというのは大きな課題だという話で、特に家庭医に対してどういうふうにリハビリテーションを理解してもらうかというのがポイントだということで、チェーンケア・プログラム、鎖のようにつながっていくプログラムの開発をしているというお話でした。そこで、ナーシングホームは全く回復期リハ病院のイメージだったのですが、これを私たちの病院でもできないか。うちも回復期リハの病棟が中心ですので、何とかできないかということもあったので、体験できたので、そのことをちょっとお話しします。  プログラムは、まさに家庭医の先生方に、ナーシングホーム、日本でいう回復期リハ病院に来ていただいて、大体2〜3時間のコースですけれども、初めにお茶を飲むところから始まって、まずは座学で今、オランダの脳卒中の状況はどうだとか、今、こういう連携プログラムを考えているのだけれどもというようなお話や、それから、コ・メディカルの人たち、OT、PT、STがどういう仕事をしているのか。看護も含めてですが、特に回復期リハでどういう関わりをしているのか。リハビリテーションといっても、専門職の役割というのをその場で見せてくれる、話してくれる。それから、ナーシングホームで関わる医師はどういう役割なのかというお話があって、その後、ディスカシッション。そういう流れでやっているそうです。これを私どもも体験させていただきました。  それで、家庭医のための研修として、まずは講義がありまして、ストロークケア、脳卒中のケア、病院、ナーシングホームに係る、そこの連携はどんなふうにやっているのか。あるいは、オランダの脳卒中の事情とか、そういうことを家庭医の皆さんにお話をする。本当に10分か20分のお話です。それから、ストローク・リハビリテーション・イン・ナーシングホームと書いてありますが、回復期リハの中ではどういうことをやっているのかというお話もありました。全部合わせても30分以内の座学でありましたが、その後、実は障害を知るということで、こういうビデオをお持ちしたのですが、外来に来ている患者さんが実際ボランティアでお手伝いしてくれるのですが、今、シュウホンをつけて歩いている姿を、これは周りには私たちがいますが、実際には家庭医の人たちがいるそうです。歩き方。シュウホンを取って、今度は杖歩行で歩くと足の運びがどんな形になるかということを見せてくださるんです。3グループに分かれましたので、この方は3回これをやってくださったので非常に申しわけなかったなというふうに思うのですが、こんなことをやってくれる。  なおかつ、例えばどちら側に介助するといいだろうと。こういうことから家庭医の方にもう一度ちゃんとお話しをするのだと。私は、これは非常に大事だなということを感じました。今、赤い洋服を着ている人はPTですが、横に白い洋服を来た人がSTで、患者さんによって、ここでお見せする内容は変わってくるそうですが、実際にこの人も高音障害があるというお話だったのですが、オランダ語だったのでよくわかりませんでしたが、示してくださる。  右の写真は、いろいろな種類の車いすが置いてあって、どういう車いすにはどういう人が適用なのかということを、やはりこれはPTの方が全部教えてくださる。このときは車いすでしたが、そのときによって杖であったり、補装具であったり、あるいはOTに関連するものだったりということを見せてくださるというようなことをしていました。  それからもう1つ、疑似体験がありまして、これはちょっとわかりにくいかもしれませんが、聞き手の方でお盆を持って、聞き手じゃない方で鏡を見ながら、下にお皿が置いてあって、その上にパンがあるのですが、鏡を見ながらパンを切るという、脳卒中になったときに高次脳も含めて、直接見られないので、なかなかすんなりいかないということを示すものです。これも実際に私たちも体験させてもらいましたが、なかなかうまくパンにバターが塗れないとか、あるいはパンを4つに切ったりということがなかなかうまくできないとか、そういうことをやっていらっしゃいました。これを家庭医の方々にやっていたというのが私は非常に印象深く、実はこの後、どうしてこういうことをやっているのかというお話を聞いたところ、この4つだと。スムーズな入院治療や在宅医療への移行とか、専門的な医療技術の提供とか、会議等に活用できるスペースの提供というのは病院のやる役割としては当たり前だと。しかし、赤字で書いてある専門的な知識習得の援助というのも、もう地域の病院はそういう役割を担っているということを意識した方がいいのではないかということを教えていただきました。  では、実際に日本の病院の役割はどういうふうになっていくのかということですが、私どもの法人でそれを見てきて、早速、地元の医師会、あるいはロータリークラブ、あとは介護される方々にもこのようなことを今提供し始めて、先ほどの教室につながっていくようなプログラムにできればいいかなと思っているところです。  これが私の今回御用意させていただいた内容でありますが、できれば医療をうまく巻き込んでいただいてやっていただくことがいいのではないかというふうに思っているところです。行政に対しての期待等は、後ほどまたお時間があればお話しさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。 ○戸山座長 斉藤参考人から御意見をいただきましてありがとうございました。何か御質問等ございますか。確認事項でも結構ですけれども、よろしいですか。  ありがとうございます。約40分程度残っておりますので、これから総合討論に向かいたいと思います。その前に、事務局の方から「市町村等における効果的な運動器疾患対策の在り方について」、資料を少し説明ください。よろしくお願いします。 ○天本課長補佐 それでは、資料6としまして、「市町村等における効果的な運動器疾患対策に係る論点について」という資料を御覧ください。  いろいろな論点があると思うのですが、まず本日の御議論の始まりとして、こういったことがまず挙げられるのではないかという観点でつくらせていただいたもので、いろいろそれ以外にもあると思いますので、それに限定したものではないということを前提に御覧いただければと思います。読み上げさせていただきます。  まず1点目ですが、どれぐらいの割合の市町村等が運動器疾患対策、特に骨折予防及び膝痛・腰痛対策を実施しているか。  そして2つ目ですが、先進的な取組を実施している市町村等はどのような経緯・背景で当該取組を実施することが多いのか。  3つ目ですが、市町村等と医療機関等との連携の実態はどのようなものか。また、どのようなものであるべきか。  4つ目、市町村等が対策を実施する際には、現状としてどういった評価指標を設定した上で実施しているか。また、市町村等が効果的な運動器疾患対策を実施するに当たってはどのような評価指標を設定する必要があるか。  次に、市町村等が運動器疾患対策に当たって国が担うべき役割はどのようなものか。  最後に、上記以外で何か検討すべきことはあるかといったことを挙げさせていただいております。  以上でございます。 ○戸山座長 ありがとうございました。冒頭で大渕委員の方からも少し同じようなことで、例えば統一的な評価基準というものが必要ではなかろうかとか、医療と介護事業との連携についてはどうだろうかというふうなこともありましたし、それから地域の資源活用、地域性の活用というふうな御指摘もあったかと思います。この辺を踏まえて、順次ディスカシッションできればというふうに思っていますので、よろしく御協力のほどお願いいたします。  早速ですけれども、このような問題にぶち当たったときに、やはり現状がどうであろうかというふうなものは当然把握が大事ですし、それに対して今、問題点はどうなのかなということがありますし、実際行っている施設に関しては、そのモデルケースとして検証し、その効果がどうであるかというふうなこと、これは参考人の方からも御提示いただきましたけれども、その辺のことがまずどうかというふうなことかと思います。  では、実際に具体的にどうなんだというふうなものは委員の先生方でも把握し切れていない点があろうかと思いますけれども、この辺に関してはいかがでしょうか。御意見がある方は。行政の方から見て、市町村となりますと、実際どの程度これが今動いていてというふうなことに関してはいかがでしょうか。何かデータ等ございましたら、お願いしたいと思います。 ○鈴木課長 現在の行政でいう新予防給付なり特定高齢者に対する予防事業の中で、例えば運動事業を具体的にやっているのは何%あるかということろはわかるのですけれども、ここで特に言っておられるような骨折予防とか、膝や腰の問題についてどうかということになると、申しわけないのですが、現状では把握をしていない状況です。今日、お3方のプレゼンテーションをお聞きしていても、やはり国で考えるよりも、よほど現場の方が進んでいる場合が多い。むしろ我々としては、現場の状況をきちんと把握をした上で、そういう先進的な事業を制度的にどう支援できるかということを、できますれば、これから少し、全市町村に直接聞くのがいいのか、それとも都道府県を介してお聞きするのがいいのかということはあると思いますけれども、把握をさせていただいた上で、その進んだ実態を、例えば新予防給付なり、特定高齢者施策なり、もしくは一般高齢者施策でうまく落とすためにどういう支援が必要かというところをしっかり検討させていただく。先生方にもまた御相談させていただければというふうに思っております。 ○戸山座長 ありがとうございました。特に運動器疾患ということになると、なかなかまだすべての把握というのは難しいということで、これから少しその辺に対するところの調査を行うということかと思いますけれども、どなたか御意見がございますか。今日は、ぜひぜひ活発に御意見をいただければというふうに思いますけれども、どのようなことでも結構ですので。また、参考人のお2人の方からも、特に現場でこれだけおやりになっているということで貴重な御意見をいただけるかと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○鈴木課長 ちょっと西参考人にお聞きしたいのですが、先ほど武蔵野市で実施しておられる事業について、東京都の保健所の方の補助金、これは都単だと思うのですけれども、ファイナンスをされておられるということをお聞きしましたが、具体的に、ちょっと役人的な質問で申しわけないのですけれども、そういったものを特定高齢者施策なり一般高齢者施策の枠組みの中でやることに何か具体的な困難性というか、難しさというのがやはりあるのでしょうか。 ○西参考人 実は私、平成15年は高齢者福祉課の方におりまして、16年に健康づくり支援センターをどうするかというときに、保健の方でやるのか、福祉の方でやるのかというところをちょっと悩んだんです。それで、保健の方に移ったんです。一番当初、若ひざとかの研究を始めたときは、福祉の方の先駆的事業ということで一部補助をもらって始めて、その後、保健の方の先駆的事業というのは、健康づくり支援センターの動きの中の一部として入れてやっていたんです。それで、健康づくりとして動くときに、私どもの方は子どもから高齢者までというところで、介護予防のところにも力を入れるよということでやっているわけですが、65歳というところ区切るのは、健康づくり支援センターの動きとしてはやりづらいというところがあります。 ○戸山座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  私の方から西参考人によろしいでしょうか。本当に積極的にこれだけ取り組んでいるということで、地域での横の連携というものも当然いろいろあろうかと思うのですけれども、武蔵野市と、どこか全国的ないしは都でも結構ですけれども、かなり連携してこういうふうなプログラムが動いているというふうなことはございますでしょうか。 ○西参考人 市外と連携して動いているというところまではまだ至っていないですね。市内の中で、武蔵野市の行政の中ですら、縦割りのところをどうやってつなげていこうかということをやっている状況ですので、今回の若ひざのようなものは実際に効果があるんだよと。なおかつ外部の研究機関、研究者と一緒にやっているわけで、そういったものについては武蔵野市が始めた後に、ほかの病院であるとか、ほかのところでも試して実際普及させようという試みはやってきましたが、自治体というところにはこだわっていなかったです。 ○戸山座長 ありがとうございます。もう1つ、通信制というふうなものを取り入れて、実際現場に来てもらっているよりも、家庭でやって通信制というものもある1つの試みではないかと思いますし、できるだけ全員参加型というふうなお考えということもあろうかと思うのですけれども、このようにいろいろ策を練ってやっている中で、ぶち当たる壁といいますか、問題点も多数出てきているのではないかと思うのですけれども、もしよろしかったら、この辺が一番広げるための壁、ネックだというふうなことがございましたら挙げていただけませんか。 ○西参考人 健康づくりですとか、介護予防の事業をやろうというときに、市で事業を行いますと、ある意味で金太郎飴といいますか、1つの事業に出てくる方はほかの事業にも出てくる。出ていらっしゃらない方は全く出ていらっしゃらないという、一部の層に対してのケアになっていってしまうということが非常に多いというのを実感しています。そういった中で、引きこもりというか、出てこない人に対してどういうものができるのか。参加しない人に対して、そこまで行かなくてもどういうことができるのかというところで、通信教育ですとか、ケーブルテレビでやってみたり、ビデオやDVDを貸し出してみたりということをやってみているわけですが、それでも、その効果というのはまだまだというところです。 ○戸山座長 そうすると、通信でも、より積極的に参加するグループと、それに対して全く離れてしまうグループがあるということですね。それは、痛み等々というふうなお話がありましたけれども、それの重症度によって、行きたくてもなかなか行けないとかというものではなくて、それはやはり個人のいろいろな差ということなんでしょうか。その辺までの分析は。 ○西参考人 分析までは言えないのですけれども、ただ、行政側としては、そういう要因があって来れないのであれば、来れるようにしてあげる、そういう支援をする必要はあると思っています。ただ、それを取り除けば来るのかどうかというところは、やはりその人のモチベーションというか、そういうものはあるんじゃないかというふうに個人的には感じています。 ○戸山座長 ありがとうございました。 ○天本委員 斉藤先生の制度として位置づけられた介護予防事業ということとか、それから、一番最初のお話の中にも、医療と介護予防事業との連携ということで、医療から介護予防事業、介護予防事業から医療という、ここら辺の流れの中で、特定高齢者ということになると、一応75歳以上ということでなしに65歳だと。特定検診が75歳ということで、これもまた市町村の必須事業になっているのですけれども、そこの橋渡しをする流れが最初のところからどうつなげていくかというのが、今お話を聞いていても、現時点の制度にある新予防給付、地域支援事業がスムーズに行われていない部分で、むしろもっと広げた方がいろいろな意味でやりやすいような、3者ともどうもそういう話のようなところが見られているんですよね。ですから、この辺のものをどのように仕掛けていくのかということが目に見えてこない。今までのこの会の話は、まず疾病をきちんと調査自体がまだないんだということのようなので、そこと並行してこれをどうつなげていくのかという点もまだ見えてこないなということころです。 ○戸山座長 ありがとうございました。まさにそのとおりかと思いますけれども、御意見を続けていただければと思います。 ○鈴木委員 先ほど委員長が西参考人にお尋ねになった一番大きな問題点とは何かということで、プログラムなどに出てこない方が問題になる。これは、どんな場合でも、保健施策の場合、一番大きな問題だろうと思います。例えば、介護予防に関して見てみますと、特定高齢者を選ぶいろいろなルートの中で、本来、生活機能が落ちて、この方こそ介護予防が必要だという方の基本健診の受診割合というのは、残念ながら高くはないわけです。ですから、こういった運動器疾患の予防対策をやろうとしても、多分同じようなことがおきると思うのです。それからこの問題に関して、受診される方とされない方のいろいろな特性というのもかなりよくわかっております。受診されない方というのは、受診される方に比べて、その後、生活機能の低下する可能性は非常に高いことや、つい最近、高齢者に対する包括的な介護予防検診の中で、受診者と非受診者の比較で、非受診者というのは死亡率が有意に高くなることも3年間の追跡したデータで、出ています。  もう1つ、私は今回大変参考になったのは斉藤参考人がおっしゃられた取組で、例えば一般の高齢者の中で、特に後期高齢者の方というのはどうしても虚弱が進みますし、さまざまな障害をおもちになりやすいのですけれども、先に申し上げましたように、基本検診だけではどうしても限界がある。けれども、その方々の多くは医療機関にかかっているだろうと思うのです。市町村としての限界をブレークスルーしていくためには、各々の医療機関が斉藤先生のところで先駆的に取り組んでおられるような介護予防の取り組みを少しでも取り入れていただく。例えば診療所に来たときに、待合室で無理なく取り組める体操などのビデオが流れている。そういったことによって、少しでも介護予防や運動器の痛みに対する取組が地域の中で根づいていくといったようなことが大切ではないかと私は思っています。  特に後期高齢者の方は、区市町村さんがよくやっていてがんばっているのだけれども、どうしてもなかなかプログラムなどへの参加率が悪いというのも知られていることですし、そこを何とかやっていくためには、今後かかりつけ医などの診療機関を通じてもっともっと生活機能向上のための取組としてなされるべきなのかなと非常に強く思いました。コメントです。 ○戸山座長 ありがとうございました。鈴木委員の方から2つ出たような感じがいたします。1つは、引きこもりといいますか、このような持っていった場合に来る方ではない,どうしてもそこに参加されない方の方がなかなか厳しい結果になるので、その辺の方々をいかにピックアップして運動なり、何かのラインに載せるということが非常に重要なのかなと。それから、医療機関に行っていても、その医療機関の中で予防というふうなものにできるだけ目を向けさせるような何かというふうなことがまた大事になってくるのかなというふうなお話だったかと思います。  そうしますと、市町村等と医療機関との連携は、少し鈴木委員の方からお話が出たかと思いますけれども、よりどんな形が一番望ましいかというのが出てくるかと思いますが。 ○斉藤参考人 鈴木委員のおっしゃるとおりで、このスキップ・トレーニングセンターを事業としてちゃんとやろうと思ったきっかけは、実は患者さんというよりも、患者さんの御家族なんです。介護をされていて膝が痛い、腰が痛いというようなお話があったり、それから、私はお父さんがこんな状況だからそうなるわけにはいかないから、やはり運動が大事だとかということを、まざまざとそれを体験されて、そういう運動をする場はないだろうか、何か教えてほしいと、そういうこともきっときっかけになって、入口として医療機関の役割というのは、もしかしたら市町村よりも直結するのかもしれないということ。  それから、市町村と連携をというときに、私のところのある市町村とは言いませんが、地域包括支援センターができて丸投げされてしまっているところが結構あるんです。もうそこに任せると。それで、市町村自身は余り動かないというような現状があって、丸投げされた方はされた方で、予算も少なく、なおかつ人員も3名で、何をやれと言うんだみたいな話もあって、制度としてでき上がってくるものはいいですけれども、それを押してくれるものがないものですから、私はリハに関連する、あるいは運動に関連する人が地域包括支援センターにスタッフとしているべきだというふうにずっと前から思っているのですけれども、そのあたりが少し考えどころなのかなということと、うちはリハビリを中心にしている病院ですが、形成外科の委員の先生方ともお話をしてみると、やはり外来の待合室をどういうふうにうまく使っていくかというのはすごく大事だという話を積極的にやっていらっしゃる方もいます。そこで来ている方々の情報が、いろいろ守秘義務のこともあるでしょうが、行政とどういうふうに関わっていくかということが大事なような気がします。 ○戸山座長 そうしますと、現場では落とされて、よろしくというのではなくて、かなり密にやって、落とした方もバックアップして、常にそういう関係の構築ということになりますでしょうか。 ○斉藤参考人 そうですね。実は先ほど、リハビリテーション広域支援センターに関して、埼玉というか、私の地区は非常にうまくいっていて、協力医療機関として私たちは関わるので、事務的なことなどは全部行政がやってくださるんです。ですから、出番だというときにお手伝いしに行くだけなので、これは非常に楽といっては何ですが、うまく回転している。でも、都道府県によっては、医療機関自身がすべてやらなければいけないということになると、かなり持ち出しがあったり、あるいは日常の業務以外の仕事が発生してうまく活動できないというお話も聞いているので、やはり役割りとして、行政がここまでやってくれて、そこから先は私たちをうまく使ってくださいというのがいいような気がしますが。 ○戸山座長 ありがとうございました。 ○大渕委員 今の議論の中で、連携の話と、それから今まで出てこない対象者をどういうふうに把握するかという話が出てきたと思うのですけれども、もともとは、西参考人が出されたように、市町村のサービスはたくさんあるけれども、元気高齢者の対策があって、それから弱くなって介護保険になればいろいろサービスがある。中間が抜けていますよというところから始まっていて、それまでは、中間のところに対する目というのはなかったというのがこの議論の先にあったことです。これが今のように、実際に特定高齢者というようなターゲットをつくったことによって、では、その人たちをどう出してきたらいいのかというような議論に進んでいるということは、私は全体的によいことだと。この施策が途切れてしまった感じになって不具合が出ている部分があるのでけれども、そこにフォーカスが集まってきたというのは大変いいことではないかというふうに逆説的に思っているわけです。  実は、この介護予防に対して元気な高齢者はどういう役割を持つべきだと私が考えているかというと、やはり一般高齢者はサービスをむしろ提供する側として、斉藤先生のところもそうですけれども、ボランティアとして入ってくださる方がいるとか、そういう中で活躍していただくという部分で、そして本当に今まで抜けていた人たちが安心してサービスを受けられるような体制をつくるのが大事ではないかというふうに私は整理しています。  それと、これを進めるに当たって、医療機関との連携で大事だと思うのは、やはり入口と出口のところですね。高齢期になりますと病気を抱えていますので、「無理しないで。でも動かないとだめだから」というような話が入ってくると思うのですけれども、そのときに、先生の方に、どの程度まで動いていいのか、どういう施設だったら先生が安心して「しぱらく診てもらいなさい」と言えるのか。そういう入口のところでの医療の連携があって、それからもう1つは、医療的なサービスがある程度終了したところで、介護予防サービスとの信頼関係をその中でつくっていただいて、ここまできたら今度は介護予防サービスの方でやれるよというような出口のところでの連携ができれば、今よりも対象者はもっと増えるし、市町村もおっかなびっくりやっている部分があると思うんです。それがもうちょっと安心した体制でできるのではないかというふうに考えております。  以上です。 ○戸山座緒 ありがとうございました。今、大渕委員の方からは、医療と介護というふうなことろで、出口・入口のところで少しお話をいただきましたけれども、当然そこも非常に大事なところになってくるかと思います。御意見を引き続きいただきたいと思いますけれども、今は市町村と医療機関といいますか、介護の方に関しても、関わりをどういうふうに構築するのが一番いいのかというようなものから、医療と介護というふうなものでの関わりをどういうふうにするべきか、どういう関係が一番よろしいのかというふうなものも入ってきましたけれども、その辺も踏まえて結構です。いかがでしょうか。 ○天本委員 斉藤先生がオランダで家庭向けのというようことで、やはりプライマリーのところで一番関わっている医師が、我々の反省とすれば、今までは疼痛コントロールだけで終わっていた。リハへの橋渡しというか、その受け皿もなかったということで、やはりこれからの施策とすれば、医療機関のいろいろな意味での意識改革というか、そういう部分と受け皿整備と並行してやっていかなければいけない。しかも、そこでの専門医との橋渡し。自殺予防が非常に多くなって、うつ病を結構かかりつけの先生が診ていらして、それをギリギリに、何かあってから専門医の方へ橋渡しというので、今、かかりつけの先生方に早くそこを見つけていただいて専門医との連携をとろうと。高齢者であれば、今日のあれにも出ていましたけれども、意外と運動疾患だけでなしに、精神的なものまでよくなるというものにつながっているようですので。だから、市町村だけでなしに、我々の医療機関もどのように対応していくかというのも非常に重要な役割で、これは逆に専門医の先生方から何か、どういうような家庭での教育をしたらいいのか。今、幅広い問題解決ということで、総合的な機能ということで、とかく内科的な総合的な見方をしていますけれども、そこにはやはり運動機能が入ってくることの重要性も、いろいろなデータから見ると大きいんだなという感じがしました。 ○戸山座長 ありがとうございました。そうすると、どういうふうにチェックをするというか、評価をするというか、どこで、誰が、どういう振り分けをしてというふうなものが基本で非常に難しくなってきて、その辺に関してはいかがでしょうか。大渕委員の方からも、統一的な評価基準というふうなものがやはり求められるだろうと。これは全国的にこういうふうな施策を広めていくということになると、地域ごとで、その地域のいろいろなものを見ながらやっていただくというのも1つですけれども、多分、行政というふうなことが今後これに介入なり進めるためには、ある程度評価というふうなものが全国的にしっかりしたものがあって、ある程度見やすいものがあって、それがどうかというふうなことになろうかと思いますけれども、いかがでしょうか。大渕委員、もしよろしければ追加をよろしくお願いします。 ○大渕委員 評価指標ですけれども、これは先生方の専門だと思うのですが、今、市町村の事業で西参考人の方からあったのは、日整会の膝の治療の指標と、それからWOMACですね。いった基本的には治療の効果判定をするために開発されたものであって、地域在住高齢者の膝の痛みに関する健康度をどうするかという観点については、やはりもう一段議論が必要ではないかというふうに思うのです。その辺のところを、今の現状と海外の状況等を調べつつ、こうした対象度の、ちょうど医療と元気高齢者の境にいる人たちが使えるようなものが、WOMACがよければそれで結構ですけれども、そういった議論が必要ではないかと思うのですけれども。 ○戸山座長 ありがとうございました。前の市町村との関わりも含めても結構ですけれども、評価等々を含めていかがでしょうか。 ○鈴木課長 ちょっと質問させていただきたいのですが、今の評価の指標とか、もしくは、先ほどありました自治体の運動のプログラム、処方であるとか、そういうものがある程度幾つか有力な候補があって、あとは、こういうフォーラムなりできちんと議論をしていけば一定のものにまとまっていくという現状にあるのか。それとも、もうちょっと研究的に一定の人たちについてデータも集めながら検討してなければいけない状況なのか。私も不勉強なのですが、今そのどちらに近い状況なんでしょうか。 ○大渕委員 これは大変難しいですけれども、海外のデータですと、いわゆるガイドラインみたいなものが出ているという部分があると思います。それから、日本国の中については、やはりガイドラインがまだ弱い部分があると思いますので、やはり海外の方々と大きさも違います、それから生活スタイルも違いますので、私の今の知識の範囲では、やはり国内外のいろいろな先進的な事例を調べて、国内でもう一度ちゃんと議論をして、対象像が先ほど申し上げた疾病のところではなくて、中間の方々のところにピッタリ合うようなガイドラインを、専門の先生、それから市町村の方々が入って、また先進的な取組をされている方々が入って議論をして整理するべきだというふうに考えております。 ○岩谷委員 今の評価尺度に関してですが、私たちもWOMACを比較試験などで使いましたが、あれは日本人にはあまり合いません。日整会の評価基準も、少し医者側に偏り過ぎているということもある。そういうことがあって、我々も変形性膝関節症と慢性腰痛の尺度を開発しました。今回は、膝とか腰とかの部位に限られた話じゃないと思います。生活機能不全に陥るリスクというのは、膝もあれば、腰もあれば、もっとほかにもあるわけです。生活機能不全ですから、ADLに介護が必要となる状態と言えば、それぞれのリスクの度合いを検証するためには、新しい尺度をつくる必要があるだろうと思います。そうしませんと、結局は疾患単位のものを持ち込むということになって、疾患単位のものをただ寄せ集めれば項目数が増えるだけです。大規模調査のデータベースなども実際あるわけですから、そういうものからリスクを抽出することをまずやるべきではないかと思います。 ○戸山座長 ありがとうございます。これが膝痛、腰痛等々ということでありますので、少しそれに目を向けているというふうなことはありますけれども、岩谷委員のお話のとおりで、運動機能低下といいますか、運動機能疾患全体というふうなことになれば、当然それをトータルで見てどうかというふうな判断は求められるというふうなものは然りかと思いますが。 ○水間委員 評価とは別の観点からですけれども、生活機能といいますと、身体機能向上と活動と参加ということで、その参加の部分が、先ほど来の被受診者とか、そういう部分での問題になっている。そこの評価というのは、先ほど斉藤先生の方からは、自覚度調査で外出とか行動範囲というところでの評価項目でその効果を述べておられたのですが、やはりそこの部分の評価というのは余り出てこないような気がするんです。私が品川区で3年ほど前に調査したのでは、地域のリハの事業で、評価項目としてはTUGとか、いろいろやっているわけですが、それがアップしていても必ずしもそれは外出が増えたとかに一致しないデータがあるんです。ですから、その辺をもう少し、参加という部分での評価というのは尺度としてはなかなか難しいとは思うのですが、その辺の要素で改善の指標というのは非常に大きいと思います。ですから、そこの事業に参加すること自体が確かに参加ということにはなるでしょうし、それが継続ということであればそれはそれでいいのかもしれないのですが、多分、斉藤先生の評価では、行動範囲、外出というのは、もっと広い意味の結果だと思います。ですから、そういうところは効果判定に重要な要素として考えてもいいんじゃないかなと。尺度としては非常に難しいかもしれませんけれども、どうしても活動レベルまでのところの評価というのが今まで多かったような気がするのですが。今、どういったアイデアがあるわけではないのですが。 ○戸山座長 ありがとうございました。 ○大渕委員 パティシペーションも含めた包括的な指標は賛成ですけれども、今回、運動器の膝・腰の痛みということに集中して、もう一度フォーカスさせていただきたいと思うのですけれども、市町村事業としてやる場合には、膝が痛い、腰が痛いという人たちは、本当にやってもいいの、やってはだめなのというまず第1があります。そこのところをはかれるようなこと。  それからもう1つは、今までの介護予防事業といいますか、例えばデイサービスなどの例がいいかどうかわかりませんけれども、知的な面を高めるアクティビティーがあって、お食事があって、そして口腔ケアをやって、お風呂に入って、そして運動してという、すべてパッケージでやってきたわけですけれども、そこに来て自分たちが何が変わったかというのがわかりにくかったのがもう1つの反省だったんじゃないと思うのです。だから、申し上げたいのは、例えば膝の痛みなどの教室へ来たときに、膝が痛いのがどう変わっていったのか。痛みがだんだん下がっていっているのか。痛みは変わらないけれども活動が上がっていったのか。そういうことを本人が自覚できるような評価指標というのが求められていて、ほかの全体的なものを否定するわけではないけれども、ここのところでちょっと議論の整理をしたいと思うのは、そういう入口のところの問題とか、膝・腰の痛みの整理が今までできていなかったというところの指摘と理解いただければと思うんです。 ○戸山座長 ありがとうございます。確かに、私も昨年、健康づくりの指針の方にも少し関係したのですけれども、高齢者で元気な方へのプロトコールと、実際になりますと、どうしても腰が痛い、膝が痛いという方がたくさんいらっしゃって、その人たちをどういうふうにするかというのがやはり一番ポイントになって、この人たちがたくさんいるんです。多分、一番のポイントはそこですね。その人たちに参加いただいて、しっかりしたスクリーニングをして、それに対して介入してやるというふうなことが一番なので、いい意見をいただきたいと思いますけれども。 ○斉藤参考人 実は、私が報告した中の、うちで開発した筋力とかバランスとか柔軟性のレベルというのがなぜ生まれたのかというと、今のお話につながるところなのですが、お互いに、こちら側と受けられる側と共有できる尺度がなくて、私たちはよくなったと見ているけれども、御本人はというのもあって、だったら体力測定をそういうことに使ってしまおうというふうに、それが出るだけで6カ月ぐらいかかったのですけれども、そういうふうにしたということが1つあります。実際に日常生活はお一人お一人が考えられている、何をもって質が上がったとか、維持できたとかというのは本当に違うので、評価が非常に難しかったというのがあったものですから、それなら、実際に来ているときの体力測定でこれだけよくなったよというのができればいいなというのと、それから体力測定で言えば、やはり高齢者というか、そういう方々向きの体力測定の正常値というか、枠というのがどうも余りないというか、成人レベルのは結構あるけれども、なかなかないので、それだったら来ている方々のそういうものをやっていきながら統計をとっていって、大体これぐらいの年齢の方だったらこれぐらいのレベルだねというのを自分たちで出していこうかというふうに今ためているところですが、できれば、それは全国統一したものがあればこんな苦労をしないで済むのかなというようなことは非常に感じます。 ○戸山座長 ありがとうございます。 ○西参考人 今の大渕先生のお話にもあったのですけれども、やはり事業をやっていく側にしてみても、参加者を募集するときに、エビデンスがある、これだけの効果があるものを実証していてやるんだよというところでPRするということはずいぶん違うなと感じています。それから、本人に実際にやる前とやった後でどういうふうに変わったということを提示できるということは、続けるというところにもつながってくる。どうしても自治体の今までやってきた事業というのは、効果はあると言っていますけれども、では実際にどうなのといったときに、ちゃんとしたものを提示できないものが多いというところがあるのかなと思います。 ○戸山座長 ありがとうございました。私もそのとおりだと思いますし、この運動器疾患対策をやっていくに当たっては、どうしてもエビデンスに基づいて、それがしっかりした形でマニュアルの作成というものに向かえれば一番というふうには思っております。ぜひその方向に向かいたいと思いますが。 ○岩谷委員 さっきから私の頭の中が大分混乱してまいりました。これはもともとは介護予防の話ですが、健康増進の話と本当の介護予防の話がどうも両方一緒に入っているんじゃないかと思われるのです。市町村がしておられることは、健康増進だろうと思います。ですから、ある程度健康な人しかそこには来ないのではないでしょうか。そうすると、本当に要介護状態になるリスクの高い人というのは、そういうところに行けないか、行かれないだろうと思うのです。むしろ介護予防に関連した施策には、医療機関で行うものが必要なのではないかと思うのです。  市町村がやることというのは、健康増進には非常に役に立つだろうと思います。健康増進を介して介護予防にいくのでしょうけれども、実際に要介護である非常にリスキーな人たちというのは、そこにはあまり含まれてこないのではないかと思いました。これは私の勝手な推論かもしれませんが、そうなると、市町村の役割というのは、全体的な健康を上げることと、そういうふうに要介護になるリスキーな人たちをどうやってチェックするかということではないのでしょうか。 ○鈴木委員 私も岩谷委員のおっしゃるとおりだと思います。実は議論が運動器の疾患対策に対する評価をどうするかという課題と、それから、保健施策としての入口のところの介護予防とか、健康増進とか、そのあたりからの評価をどうするかという課題とがちょっとごっちゃになってしまっているような感じを受けます。私が先ほど申し上げたのは、健康増進であれ、あるいは疾患のハイリスク者であれ、あるいは介護のハイリスク者であれ、入口のところでのスクリーニングがあまりうまく機能していない。それをどうするかという問題だと思うのです。健康な方は、確かに区市町村の実施するいろいろな催し物に興味のある人はいつも出てきますが、実際にリスクの高い人は出てこない。だから、そのブレークスルーとして、例えば先ほど申しましたように多くの方々がかかりつけ医なり、あるいは地域の信頼できる先生方をおもちになっているわけですから、そういう医療機関において、私が主張したいのは、そこで老年医学でいうCGA、つまり包括的な患者様に対するのアセスメントですね。それは、単に病気のみをアセスメントするのではなくて、やはり生活機能全体のアセスメントが大事だと思うのです。その中で生活機能をおとしめている原因が運動器であるとすれば、それは今ここで議論になっている運動器対策に対してのいろいろなルートに乗せていけばよろしいわけだと思うのです。  もし、その患者様が、実際には生活機能は落ちているけれども、その前にまず医療が必要だというのだったら、それはやはり医療に携わる先生方がきちんとカバーしてくださるべき問題だと思うのです。そういう意味で、まず生活機能の包括的な評価を通じて運動器の予防対策が必要かどうかということを最初にきちんとやらなければならない。実際のかかりつけ医の先生方や医療機関でまずそこをきちっとやっていただけることに非常に大きな期待がかかっていると思います。  実際多くの方々は、今、岩谷先生がおっしゃられたようなリスクのある方々ですから、医療機関には医療の面はきちんとサポートしてもらって、そのほかに介護予防の事業や、運動器対策が必要な人についても待合室で自分でできる体操などのビデオを流していく。ですから、議論が、運動器の評価と、先ほどからいろいろ出ているような入口についての議論を分けてしていけばいいのかなと感じております。 ○大渕委員 鈴木先生のおっしゃるとおり、そういう整理が大事だと思うのですけれども、もう1つ、今議論された中でつけ加えたいことが1つございまして、それは、介護予防に出てくるか出てこないか。今そういうところに入ってきた人は出てこないというような議論で今までの流れの中で進んできたように思うのですけれども、実際は、これは地域のコンセンサスと一緒に進むといいますか、例えば武蔵野市のように膝痛はこういう体操で予防できるんだよという地域のコンセンサスができれば、今まで興味なかった人も参加するんです。例えば具体的に、去年から特定高齢者施策が始まったことで、去年は地域包括支援センターが電話しても、どこの詐欺だみたいな対応だったものが、地域包括支援センターがしつこく情報を提供していって、そして今年は電話すると、電話がきたんだねという人も増えてきている。これは某自治体ですけれども、そういうところもだんだん増えてきています。だから、決して我々の今までのやり方が入口に到達しなかった、そういう人たちに到達しなかったんだというものではなくて、やはり幅広い意味で地域支援を活用しながら、膝痛であるとか、介護予防に関わる問題は我々が何とかできるんだという自信を地域の中に広めていくことができれば、今まで出てこれなかった人も出てくるんだという、長いスパンの話もあるんだというふうにちょっとつけ加えていただければというふうに思います。 ○戸山座長 ありがとうございました。時間も大分押してきたのですけれども、今日はかなり幅の広いところで、岩谷委員、それから鈴木委員のお話のとおりのような感じがいたします。確かに非常に広い中で、健康な方を更に健康増進というふうなところもありましたし、それから、本当に運動器疾患というものに関してのものをどうしようかというふうなものも確かに一緒に入っていたと思いますけれども、基本的には、やはり今後、高齢者の介護予防に向かわせないためというふうなものは一続きであることは間違いないと思うので、その間のグレーゾーンというものがかなりかぶっているということも事実だと思うので、どちらかに線を引いて、これでクリアというものも難しいかと思います。こういう意味でも、私は今日は非常にいいディスカッションをいただいたと思いますし、今後、国がどの程度これに関して担わなければいけないかというものも少しずつ出てきたような感じがいたします。行政の事務の方と御相談しながら、今後どのように進めていくかということでございますけれども、先ほど私がお話ししましたように、ある程度エビデンスに基づいて、西参考人からもありましたけれども、何か科学的な知見に基づいたマニュアルというふうなものを配付できればというのは確かかと思いますので、それに向かってこの検討会が進められればいいかなというふうに思っています。非常な作業が必要かと思いますけれども、それに向けていきたいというふうに思います。それで、次回までにある程度のまとめ案というところで、こちらから取りまとめ案を整理させていただいて、そしてまた、委員の方々から、場合によっては参考人の方々をまたお呼びして、更に煮詰めて、いいたたき台をつくっていただきたいというふうに思っております。  時間が少し過ぎましたけれども、御協力、本当にありがとうございました。また、この取りまとめに沿って、委員の方々、参考人の方々から御意見をいただいたものを参考にしながら、いい案をつくっていきたいと思いますので、どうぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。  最後に、事務局から何か連絡事項があればよろしくお願いいたします。 ○天本課長補佐 先生方、参考人の皆様におかれましては、精力的な御議論ありがとうございました。  次回の日程等につきましては、追って調整させていただきたく存じておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○戸山座長 本日は、お忙しい中、どうもありがとうございました。 (終了) 照会先:老健局老人保健課 連絡先:03-5253-1111 担当者:課長補佐 天本(内線3963)   保健指導係 大塚(内線3946)