07/10/24 中央社会保険医療協議会薬価専門部会平成19年10月24日議事録 07/10/24 第42回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成19年10月24日(水)11:35〜12:47 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 土田武史委員 室谷千英委員 白石小百合委員     対馬忠明委員(代理 椎名) 小島茂委員 丸山誠委員     松浦稔明委員          鈴木満委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員          向田孝義専門委員 長野明専門委員 渡辺自修専門委員          <事務局>          木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                   4 議   題   ○薬価基準制度の見直しを行うに当たって論点 ○遠藤部会長 それでは、まだお見えでない委員もいらっしゃいますけれども、今回、資料 の説明等にかなり時間がかかるかと思いますので、開始いたしたいと思います。ただいまよ り、第42回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、対馬委員が御欠席で、代理と して椎名さんがお見えの予定ですが、もうしばらくするとお見えになると思います。  なお、保険局長は、公務のため欠席の旨の連絡を受けております。また、松浦委員が途中 で御退席の御予定ということであります。  それでは、議事に移りたいと思います。  前回、10月3日に引き続きまして、薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点につ いて検討したいと思います。  今回は、お手元に中医協薬−1という紙がございますけれども、これを見ていただくとわ かりやすいかと思うのですが、「2.採算性に乏しい医薬品の評価」のうちの「[4]古くても 医療上有用で必須な医薬品の評価」、「[5]その他、採算性に乏しい医薬品の評価」というと ころ、それから「4.後発医薬品の使用促進」のうちの「[3]後発医薬品の薬価基準収載頻 度」、「5.その他」の中の「規格間調整」、「キット加算」、「薬価改定の頻度の在り 方」について議論をすることにしたいと思います。  今回も事務局が検討事項に関連する資料を準備しておりますので、その説明を受けた後に、 薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点についての御検討をお願いしたいと思います。  主要検討事項のうち、薬価改定の頻度の在り方につきましては、未妥結・仮納入など医薬 品の流通改善方策について、「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」からの報告をもと に検討することとしたわけでありますけれども、経済課長からその報告についても御説明を お願いしたいと思います。  事務局から資料について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 薬剤管理官でございます。それでは、私のほうから、中医協 薬−2の資料の御説明をさせていただきたいと思います。  1ページ目でございます。「不採算品再算定について」ということでございます。現行の 薬価算定ルールにおきまして、かなり年月がたって実際に薬価が下がってまいりまして、あ るところで不採算になる場合がございます。ただ、不採算になっても、ここに書いてござい ます、例えば「代替薬がない等の理由」で医療上どうしても供給を続けてもらわざるを得な い医薬品がございますけれども、そういったものについてこのような不採算品再算定という 引き上げの再算定ルールがございます。  どういうものを選ぶかということでございますが、まず、やはり医療上の必要性が高いと いうことでございまして、特に関係の学会などから、医療上の必要性からどうしてもこれは 継続供給していただきたい、そういったもの。それから、これは医薬食品局のほうでまとめ ている公定書がございます。日本薬局方といいますが、医療上もともと汎用されておりまし て、その薬についての規格書でございますけれども、そこに収載されている医薬品について は、それが幾つもメーカーさんがつくられていたものが最後の1社しか供給されていない状 況になってしまった、そういった場合については、そういったものの位置づけを考えまして 選定を考えているということでございます。最終局方品と申し上げております。  それから、当然ながら、薬価が非常に低額になっているということでございますが、これ については原価計算方式で算定をするわけでございますが、実際の市場実勢価が非常に乖離 が大きいような場合には認めないという扱いをさせていただいております。その原価計算に ついては、通常私どもは「営業利益=0%」で算定をさせていただいているというものでご ざいます。  品目数は下にございます。  具体的にどんなものをやっているかということで、2ページをお開きいただきたいと思い ます。非常に古い薬でございまして、私どもが例えば学生時代に教科書で習うような薬がほ とんどでございますけれども、このような抗毒素のたぐいですとか、ツベルクリンでござい ますとか、狂犬病のワクチン、アセチルコリンとか、そういったものから始まりまして、前 回ですと、ここに書いてございますこのような23品目について不採算品再算定で引き上げ を行ったというものでございまして、全体的特徴としましては、非常に長期間使用されてき て、もう医療上はどうしても要るということが確立されている、ただ、引き続き供給が求め られているものが不採算になっているという状況でございます。  次に3ページでございますけれども、それにちょっと類した制度でございますが、最低薬 価制度というものがございます。これについては、剤形も例えば錠剤とかカプセル剤、散剤、 顆粒剤、いろいろございますけれども、そういった剤形ごとにある一定の製剤化をするコス トがございます。そういったものについては、ある一定の共通的なコストがあるだろうとい うことで、特に成分に関係なく剤形ごとに最低の薬価を決めておりまして、これよりは下が らないというようになっているものでございます。  これについては、日本薬局方医薬品の位置づけをかんがみまして、これまでの中医協での 議論も踏まえまして、若干の上乗せをしているところでございます。前回の改定におきまし ては、いわゆる外用の殺菌消毒剤と漢方製剤についても最低薬価制度を適用するということ になっておるところでございます。  続きまして4ページでございます。こちらは後発医薬品の収載頻度の問題でございます。 今年度から後発医薬品の収載頻度を年1回から年2回にさせていただいたところでございま すが、前回の議論でも、年4回を検討すべきではないか、こういった御意見があったわけで ございますが、それに関する資料を御提出させていただいております。  現在後発品の収載は、見ていただきますと、毎年7月に収載させていただいておりますが、 品目数で大体400品目、それから先発品の特許が切れて初めて後発品が出てくる。これは 成分数で見ますと大体20成分というような形でございます。それに比べて新薬のほうは、 最近18年度、19年度は非常に多い状況でございますが、成分数で大体40〜50成分が 出ている、こういう状況でございます。ちなみに、今年度、年2回やっておりますが、一応 11月に収載する予定でございますが、今回については19品目の申請の希望があるという ようなことでございます。  続きまして5ページでございます。前回の議論のときに、事務局のほうから、後発医薬品 の薬価算定もいろいろ手間がかかる部分があるのですということを御説明させていただきま したが、それについて、では、実際にどういう算定の作業をしているのかを図示したもので ございます。今、後発医薬品メーカーは本社数で見て大体100社ございます。それが先ほ どのもので年間400品目ぐらいございますけれども、収載希望が厚生労働省に届きまして、 それについて、算定根拠ですとか、安定供給はしっかりできるのかとか、そういうことにつ いて企業からのヒアリングを行い、また、資料が十分でないものもございますので、必要な 確認や資料要求をしております。  それで、私どもは非常に手間がかかる部分といたしまして、後発医薬品でもキット製品も 幾つもございます。そういった場合に、これは中身の薬剤費に部材費を足すわけでございま すけれども、その部材費の根拠はどうなのかとか、それから、剤形間比といいまして、例え ば錠剤とカプセル剤とか、錠剤と散剤とか、同じ投与経路の中での剤形違いというものがご ざいますが、そういった場合にどういった剤形間比をとるのか。  それからあと、規格追加という場合がございます。例えば、汎用規格を10mgとした場合 に、5mg錠ですとか15mg錠を追加する、こういった場合がございますけれども、当然同じ 先発品に対する後発品の銘柄が非常にございますので、どれをどうとっていくのかというこ とについて算定するために、いろいろと販売データ等も見る必要がある。  そういったことがございまして、その上で算定案をつくりまして、伝達し、不服もあった りもしますので、そういった御意見も聞いて官報告示する。こういったことで、現行4カ月 程度の時間も使っているということでございます。  そういったことで、新薬に比べれば、1品目当たりの作業時間はそれほどでもございませ んけれども、それなりに大変な部分があるということを御理解いただければと思います。  続きまして6ページでございます。それでは逆に企業側から見て、こういった後発医薬品、 ジェネリック医薬品の開発はどういうような状況で進んでいくのだろうかということでござ います。当然どの先発品の後発品をつくるのかの品目選定から始まりまして、実際にはそれ の原薬を、大体原薬メーカーは違うメーカーでつくったものを調達しますので、それをどこ から調達するかとか、原薬が適正なものかどうかとか、そういった評価から始まりまして、 先発品の製剤の分析をし、例えば実際に同じ挙動を示すような製剤がつくれるかどうか、添 加剤はどうなのか、試験法としてどういうふうに設定できるのか、そういうことについて製 剤の研究、ここに少し時間がかかります。  その上で生物学的同等性試験ということで、健常人、ヒトでのバイオアベイラビリティー、 血中濃度がどのくらい先発品と同じように上がるのかという試験を行いまして、その上で販 売承認申請をして、承認して、薬価収載ということで、実質的にも原薬評価から考えまして も、薬価収載まで4年ぐらいかかっているという状況でございます。そういった点から、例 えばすぐさま収載頻度を変えても、その効果が出てくるのが若干時間が遅れて出てくるとい うようなことが言えるかと思います。  続きまして7ページでございます。規格間調整の上限ルールということで、その他の事項 でございますけれども、前回の薬価改正におきまして、外国の薬でフラットプライスといい まして、特に内服剤でございますけれども、5mg錠、10mg錠、15mg錠とあった場合でも 同じ価格になっているというようなケースがございます。そういったものについて我々も調 査をいたしまして、それとの関係で新たに導入したルールでございますけれども、実は私ど ももこの調査の際には、錠剤とカプセル剤、いわゆる内服剤の調査をさせていただいてやっ たわけでございますけれども、実際に出てきて、このルールで通常最大用量を超える規格で 制限がかかったものについては2製剤とも注射薬だったということもございまして、我々の 意図したような形で適用が今できていないという状況でございます。  続きまして8ページでございます。キット製品でございます。これも前の薬価部会におき まして、キット製品のキット加算についてどう考えるかというというような御意見をいただ きまして、少しまとめさせていただいております。  具体的には9ページをごらんいただきたいと思います。キット製品については、基本的に は中身の薬剤の価格にキットとしての特徴を示す部分の原材料費を足し込んで算定をいたし ますけれども、その上で、例えば感染の危険を軽減するとか、調剤過誤の危険を軽減するな どの、こういった理由がイ、ロ、ハ、ニございまして、そういった要件を満たす場合には 3%の加算をするということをやっております。有用性加算との比較を横に置いてあります。  具体的にどんなものが実際に加算をされてきたのかということをお示しをしたいと思いま す。10ページでございます。「キット加算の対象となった新薬・報告品目・後発品につい て」ということで、このキット加算の場合には、後発品でも加算が認められますので、実は 実際に見ていただきますと(1)のプレフィルドシリンジということで、通常はバイアルか ら注射で吸うわけでございますが、既に注射器に薬剤が入ったものでございます。こういっ たものがたくさん出ているわけでございますが、中身の違いがございますけれども、ほぼ同 じ構造、機能のものが後発医薬品メーカーも含めて数多く出ているという状況でございます。  それが10ページ、11ページと続きまして、12ページをごらんいただきたいと思いま す。今のように同じようなものが扱われている場合もございますけれども、逆に12ページ の[2]の事例でございます。これはカリウム製剤の医療事故防止の対策を目的としたキット製 品ということでございます。資料ではわかりにくいのですが、実際に出た製品は、この注射 針の部分がプラスチックになっておりまして、人には刺せないようになってございます。か つ先端から薬液が出ないで、その途中の部分から薬液が出るようになっております。  このようなものをなぜ開発したかと申し上げますと、カリウム製剤をこのプレフィルドと いいますか注射針に入れて、これは本来輸液バッグに入れて薄めて人に投与するわけでござ いますが、それを濃い濃度のものをそのまま人に打ってしまう事例がけっこうございまして、 実はカリウム製剤を人に打ちますとすぐ死亡に至る、こういうものでございますので、そう いった死亡事例もたくさん出まして、そういった医療安全対策の視点から、輸液バッグにの みしか刺せないようなキットというものが開発されまして、そういうような非常に工夫を施 したキットもあるわけでございます。  続きまして13ページでございますが、ほかにも、成長ホルモンのカートリッジ式のペン タイプの注入器でございますとか、輸液バッグのものもございます。  それから、14ページをお開きいただきたいと思います。輸液で二槽式のものがございま す。事前からまぜますと配合変化等で使えなくなってしまうというものを使用直前にバンと たたきまして、薬液[1]と[2]をまぜ合わせて使うというものでございますが、これも医療の現 場で、まぜ合わせないでそのまま薬液[2]だけを注入するような形の医療事故といいますか、 そういったことが出まして、完全にまぜ合わせた後でなければ投与できないというような工 夫を施したものが[2]でございます。左側のほうが刺しても出ないというタイプでございまし て、右側のほうが、ちょっとわかりにくいわけでございますが、ボンとたたいて外れないと、 そのままだと刺せないというような構造になっておりまして、こういうことで医療安全を確 保するというような二層バッグ式のキットもあるということでございます。  それから15ページは、最後でございますが、外用の噴霧製剤でございまして、最近承認 された、例えば[2]のケースでいきますと、シューッと出るわけでございます。それを中心部 にスポット的に行くような形にしておりまして、有効成分の肺への到達度が高まった製剤、 こういったものも出ているわけでございます。  全体を申し上げていきますと、戻っていただきまして10ページでございます。事務局と しての問題意識を上に書いてございますが、キットそのものの構造・機能に新規性が非常に あるもの、ないもの、そういったものはいろいろあります。それが現行の加算では、新規性 の有無にかかわらずキット加算の対象になっているということについての問題意識を事務局 としては持っているということでございます。  私の説明は、以上でございます。 ○遠藤部会長 では、経済課長、お願いします。 ○事務局(武田経済課長) 経済課長でございます。お手元の資料、中医協薬−3を見てい ただきたいと思いますが、「医療用医薬品の流通問題に関する改善策について」、御報告を 申し上げます。  まず、恐れ入りますが、5ページをあけていただきますと、「参考」とついておりますが、 これが5月30日にこの専門部会にお示しをしたものでございます。経緯だけおさらいでご ざいますけれども、「議論の概要」のところにございますように、未妥結・仮納入問題、そ れから総価取引問題について、この流通改善懇談会の中で、異常な取引であるとか、経済不 合理性であるとか、決して望ましくない、こういう議論をしてございまして、5月の御報告 の段階では、6月ごろからこの問題について議論をし、秋ごろには流通改善の取りまとめを 行う予定であり、その結果について本中医協に御報告をすると申し上げた経緯でございます。 本日、その結果がまとまりましたので、資料としてお出しをしたものでございます。  その具体的な中身に入ります前に、その次の6ページ目を見ていただきたいと思います。 これが一番最近の状況まで含めた価格の妥結状況でございますけれども、この中医協でも御 議論いただきましたように、平成18年7月段階では、例えばチェーン薬局のところが妥結 率が10%に届いていないというような大変低い妥結率で推移をしていたところでございま す。  平成19年3月が年度末でございましたが、多くの取引におきまして、年度末まで価格交 渉がずれ込み、私どもは流通改善懇談会を緊急開催いたしまして、かつ3月末に年度内妥結 ということで指導通知を出させていただいております。その結果、年度をまたぎまして、1 9年7月取引分というのが一番右の欄に出ておりますけれども、チェーン薬局につきまして も48.6%まで妥結率が向上し、全体では75.1%まで価格の妥結が上がってきている という現状でございます。したがいまして、平成18年度は大変難航した年でございました が、薬価改定年につきましてはかなり低い段階で推移をいたしまして、年度末を越えまして 妥結率が上がったというような状況でございます。  そういうふうな、年度末までなかなか決まらないという状態をいかに考えるかということ でございまして、今回報告書をまとめさせていただきましたが、またちょっと後ろのほうに なりますが、未妥結の話で、なぜメーカーの話が出てくるのかということなのでございます が、16ページをおあけいただきたいと思います。大変恐縮です。  資料が前後いたしますが、16ページに「留意事項の取りまとめに当たり各流通当事者か ら聴取した指摘事項」ということで、なぜこのような未妥結が横行しているのかということ につきまして、1の(1)、ポツが4つありますが、4つ目のポツを見ていただきますと、 メーカーから卸に渡される販売促進のためのアローアンスというものがございますけれども、 このアローアンスの割合がどんどん拡大をしておりまして、メーカーから幾らもらえるかわ からない段階では、その卸さんの利益体系としてはなかなか見極めがつかない。したがって、 医療機関の側からすれば、「卸売業者を叩けばメーカーから値引財源が引き出せる」、ちょ っと砕けた表現になっておりますが、聞いたままをそのままつけておりますので、「との思 惑を生じさせ、これが長期にわたる未妥結・仮納入の要因となっているのではないか」。  それから、(2)の1つ目のポツのところにございますが、「一部に期末に締めてみなけ れば分からない割戻しや高率なアローアンスなどが依然として存在」しているという御指摘 もございまして、いわば卸の側からも医療機関の側からも、薬局も含めてでございますけれ ども、年度末まで引っ張る、そこでアローアンスなどによりまして値引をかち取ることがで きる、こういう認識が一部にあったということでございますので、まず川上と言ってもいい のかもしれませんが、メーカー、卸の段階の体系にメスを入れさせていただく必要があるの ではないかということでございます。  1ページ目に戻らせていただきます。「(緊急提言)の概要」という欄がございますけれ ども、メーカーと卸さんの取引における留意事項といたしましては、[2]のところにございま すが、割戻し・アローアンスといった事後的に渡されるものにつきましては、可能な限り取 引の最初の段階、仕切価の段階に反映をする。それから[3]のところにございますが、高率な アローアンスはできるだけ整理・縮小すること。それから、先ほど見ていただきましたよう に、年度末までならないと決まらない、こういうふうに現場から受けとめられているような 期末におけるアローアンスの見直し、可能な限りこうした運用は廃止することが望ましいと いうことで留意事項をまとめさせていただいたところでございます。  こういうメーカー、卸の関係の改善とともに、前提といたしまして、卸さん、医療機関、 薬局の取引につきましても、次の2ページ目をあけていただきますと、未妥結・仮納入につ きましては改善をしていく。その際、原則として6カ月を超える場合は、これは明らかな長 期にわたる未妥結・仮納入ではないか。それから、「上場企業に義務付けられる四半期報 告」と書いてございますが、購入側も、それから販売側も、上場企業が多くなってきており ますし、上場企業である以上は四半期決算を報告しなければなりませんので、こういったこ とを考えますと、四半期、すなわち3カ月という単位で価格が決まるということが望ましい のではないか、こういう報告書をまとめさせていただきました。  さらに、総価取引につきましては、[2]の2つ目のポツでございますが、この専門部会にお きまして、新薬の評価、イノベーションの評価という観点も議論されているわけでございま すので、流通におきましても、個々の医薬品の価値、それが価格に反映をされるということ が医療保険制度全体としては望ましいだろうという観点に立ちまして、個々の医薬品の価値 と価格を踏まえた取引を進めることが望ましい。  こういった観点から、総価取引ということが実態としてございますけれども、例えば、流 通過程に特別なコストがかかっている医薬品、それから、ほかに代替品がなく重要な医薬品、 「(希少疾病用医薬品等)」となってございますが、希少疾病用医薬品のみならず、新薬に つきましても、競争のないものにつきましてはこういった概念に当てはまると考えられます けれども、こういったものは総価ではなく個々に価格交渉するのが望ましい、こういった点 をまとめたことでございます。  それでは、国の役割はということになりますので、私どもといたしましては、取引当事者 双方に対し、今後理解促進に努めるとともに、定期的に実情把握調査を行い、必要に応じ指 導を行うなど、さらなる流通改善に向けた取組を推進をすることとしております。  この懇談会報告がまとまりました後、メーカーまたは卸売業者の団体に私のほうも直接出 向いて御説明もしておりますし、また、関係者に通知という形でこの報告書をお配りをさせ ていただいているところでございます。  また、妥結状況につきましても、先ほど見ていただきましたような年3回やっております が、こういったことを引き続き行ってまいりたいと考えてございます。  なお、「(4)その他」でございますけれども、流通改善懇談会の場では、医療保険制度 下の取引ということで、民間の取引ではあっても、薬価制度または薬価調査というものの存 在が影響しているということで、そういった点の議論というのも本来必要ではないのかとい う意見がございましたので、「今後の議論が望まれる」というようなことを懇談会の中に書 き加えているところでございます。  「3.今後の流通改善に向けた取組等」でございますけれども、19年10月10日付で 周知のための通知をお出ししております。ちょっと見ていただきますと、7ページ目が、こ の10月10日に私どものほうから出しました流通改善に関する通知でございますが、見て いただきたいのはその次の8ページでございまして、この医療用医薬品の流通当事者という のは大変多くの団体にまたがっております。したがいまして、私ども、医師会、歯科医師会、 薬剤師会をはじめといたしまして、個々の病院を設立しておりますところも含めて、この関 係通知を出させていただいているところでございますので、御参考までにつけてございます。  さらに、また2ページに戻りますが、通知を発出いたしますとともに、現在平成19年1 0月取引分に係る妥結状況調査を各医薬品卸売業者に依頼をしているところでございます。 引き続き年3回程度の定期的な妥結状況調査を実施するほか、引き続きこの調査の結果に基 づきまして、改善に向けた指導を行っていくこととしてございます。  私からは、以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございました。  それでは、これから御議論に移るわけでありますけれども、とりあえず前半と後半、2つ に分けて御議論いただきたいと思います。まず最初の資料、薬−1、ここに書かれた内容の 御説明がありましたので、これについてまず議論をしていただきたいと思います。  ただいま事務局から報告がありましたけれども、御質問、御意見ございますでしょうか。 ○鈴木委員 全般でよろしいですか。 ○遠藤部会長 はい、結構です。 ○鈴木委員 まず、「不採算品再算定について」でございますけれども、これはリストを見 させていただきますと、リスク管理的な薬が相当多いのではないかと思いますので、そちら のほうはやはり大事にすべきだと思います。  それから、キットに関しましてですけれども、やはり工夫がされているものは評価されな ければいけないと思いますが、(1)は3%が妥当かどうかと思いますけれども、(2)と か(4)とか(5)とかというのは、これはやはり加算が考えられてもいいのではないかと 思います。  ちょっと話はずれますけれども、これはこの場をかりてのお願いなのですが、キット製品 でメーカーによって含有量で色分けがばらばらなのです。A社は例えば10mgが赤で、B社 は10mgが青みたいなところがありますものですから、そちらのほうをきちんとしてもらう ほうが安全使用には資するような感じがいたします。余計なことですけれども。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  ちょっと私も不手際がありました。説明がありましたが、この説明を確認をさせていただ きたいと思います。  まず最初に、「不採算品再算定について」、これは資料として上がっているわけですけれ ども、ここでは実際には不採算品については原価計算方式で算定し直しているというわけで ありますから、そういう意味で一応価格を上げる仕組みがあるわけです。そこが問題がある かどうかということでできているのだと思うのですけれども、そこで事務局としてはどこに 問題がありやと思っておられるのかという点がもしあれば、議論としてやりやすい。  それと絡みまして、最低薬価制度が出てきましたけれども、最低薬価制度と不採算品再算 定の問題は関係がよくわからなかったので、なぜゆえに最低薬価制度の話がここで議論され ているのかということが1つ。  それから、キットの話、鈴木委員からありましたけれども、ここのキットの話は、現状で キット加算と有用性加算とがそれぞれ評価されてしまっているという話がかつてこの審議の 上で出てきたものですから、それをここで御説明したということで、ある意味でキット加算 というものが、新規性がないにもかかわらず加算されているのではないか、こういう趣旨の ことがここに書かれている、そういう趣旨で事務局から上がってきているということだと思 うわけですが、ちょっと最初のところの御説明をお願いできますか。 ○事務局(磯部薬剤管理官) ちょっと説明が足りませんで申し訳ございませんでした。  不採算品再算定は、私どもの問題意識としては、1ページでございますが、原価計算方式 で算定をいたしますけれども、私どもは営業利益は認めないという扱いをしておりまして、 そういう形でありますと、非常にぎりぎりのところでずっと推移をしていきますので、安定 供給上は、例えば若干の営業利益というものも考慮する場合もあるだろうと。すべてがすべ てよくわかりませんけれども、経営効率とかいろいろ議論があるのでしょうけれども、そう いった問題意識を持っているところでございます。ですから、そういった不採算品再算定で 営業利益というよりも、若干の営業利益を認め得るかどうかというところが問題意識でござ います。  それから、最低薬価は、特にデータもなくおつけして申し訳なかったのですけれども、薬 価を古い薬を下支えするルールとしては類似しているところがございますので、こちらのほ うは必ずしも医療上必要性があるかないかでやっているわけではございませんけれども、剤 形としての最低限の供給コストを見ているというもので類似したものということで、現時点 では、一応ここにお出ししたという程度のものでございます。  キットのほうは、先ほどのお答えです。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。 ○対馬委員(代理椎名氏) まず、「不採算品再算定について」ですけれども、先ほど鈴木 委員が言われたように、大切なお薬なのです。なくてはいけないお薬です。ワクチンとか抗 毒素とか、そういった状況なので、私も「営業利益=0%」、これで実態、現状は一体どう なっているのかということをお尋ねしたかったのですけれども、私どもとしてはやはり一定 の考慮をしてあげられないか、そんなふうに思います。  次に、最低薬価制度についてですけれども、平成12年度にルールが明確化されたとあり ますけれども、これはどうやって決めるのか、最低薬価をどういうふうに決めるのか、その 辺を教えていただきたいと思います。  それから、キット加算についてですけれども、ルールとして、下のほうに加算率が3%と。 これは確認なのですけれども、「算定された薬剤の価格+キット製品の特徴部分の原材料 費」、この合計に対して3%を掛けるのかどうか。  さらに、このルールはいつから導入されて、導入後の実績、例えば年次推移等がわかった ら教えていただきたいと思います。  一応質問は以上です。 ○遠藤部会長 今すぐお答えできないものもあるかと思いますけれども、最低薬価制度の決 め方、それから、キット加算につきましては3%がどうかかるのかということと、経緯及び 実態、推移に関してということですが、あともう1つありましたか。 ○対馬委員(代理椎名氏) いつから導入されて、実績は年次的にどうかと。 ○遠藤部会長 推移と。では、もちろん今すぐお答えできないものもあるかと思いますけれ ども……。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 最低薬価制度でございますが、いつからかは、実は我々も大 分調べたのですが、大分古くからございまして、実は12年にルールを文書で明確化しまし たが、その以前も調べたところ、徐々に徐々に上げてきているという状況がございます。そ れがその当時どういうふうに決めたのかは、記録上ちょっと残っておりませんで、それを私 どもは確認することはできなかった状況でございます。基本的には、実際の販売の価格も見 て、この程度は最低限かかるだろうということでやったものと理解をしております。  それから、キット加算でございますけれども、キット加算は、初めてこれを導入いたしま したのが昭和61年という理解をしております。こういったキット製品でも、当時新規性が 高いものについて、キットとしての新規性があるものもきちっと薬価上評価をすべきだとい うこともございまして、その点について、そういった御意見を踏まえてこういう加算をつく ったというものでございます。  それから、3%は、ベースの価格は椎名委員がおっしゃるとおりでございまして、9ペー ジでございますが、「算定された薬剤の価格+キット製品の特徴部分の原材料費」をまず出 しまして、それに3%を掛けます。これについても一応傾斜配分が3%かかりますので、1 日薬価の大小で少し差がございますけれども、基本的にそういう計算式で算定するというも のでございます。 ○対馬委員(代理椎名氏) まず、最低薬価制度についてですけれども、大分古い話らしく て、どうしてこういう価格になっているか、エビデンスがはっきりしないということで指摘 しておきます。きちんとした形で考える必要があるのではないかと思います。  次に、キット加算ですけれども、キットの外見を評価することには一応合理性があるとし ても、中身の薬剤費まで評価する、つまり、3%を掛ける理由は一体どこにあるのか、その 辺を教えていただきたいと思います。 ○遠藤部会長 おわかりになるかどうかわかりませんが、お答えできる範囲でお願いします。 ○事務局(磯部薬剤管理官) そこは加算率をどう考えるかということでございますけれど も、基本的にはキットも含めたものが医薬品という扱いになっておりますので、その全体の 医薬品の最初に算定した額に加算を掛けるというのは、ほかの新薬でも基本的には同じ考え でやっておりますので、キット製品の場合は、これがキットで一体化したこれで医薬品でご ざいますので、それについて加算を掛けるという自然な考え方でこういう算定をされたもの ということでございます。 ○対馬委員(代理椎名氏) いろいろ工夫して、外身を評価するというのは一応合理性があ るのではないかと思うのですけれども、中身の薬価です、ジェネリックとかいろいろあるの でしょうけれども、それを評価するのはいかがかと。そういう意味で違和感を持ってござい ます。したがいまして、実績とか実態を見て、やはり適正な評価というか、あるいは必要に 応じてきっちりした適正化を行う必要があろうかと思います。  それから、同じような話になってしまいますけれども、新規性が認められなくてもキット 加算の対象と、やはりこの辺はきっちり整理してもらって、メリハリをつけた評価をする必 要があるのではないかと思います。  以上です。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。要件のところですね。特に現行の要件ですと、「治 療の質を高めること」というのがあって、何とでも解釈ができる要因が入っておりますから、 キット加算になりやすいということですので、この辺を整理する必要がある、そういう御意 見だと思います。  ほかにございますか。 ○山本委員 まず、不採算品の部分でありますけれども、皆様の御発言がありましたように、 私も原価計算で「営業利益=0%」というのはいかにもかわいそうな気がしますので、営業 方面からでありますけれども、これは先ほど管理官もお話しになったように、私が生まれた ころからつくっている薬もありますので、それをずっと50年間もきちんと供給することに ついては、営業と言わず何と言ったらいいのかわかりません。それをゼロにしてしまうとい うのはいかにも酷でありますので、そのあたりはどのぐらいがいいかは正直わかりませんけ れども、ぜひ組み込んでいただいてもいいのかなという気がいたします。  最低薬価につきましては、確かにいろいろ御意見があるのかもしれませんが、先ほどの不 採算と違いまして、長く使っていてよい薬というのは、結果としてはその評価をしてあげな くてはいけないという意味では、下げどまりをするというのは一定の意味があると思ってお りますので、特に薬剤師は局方については極めて思い入れがございますので、そうしたもの を踏まえてみれば、局方に載ったもの、あるいはそうしたものについては、ぜひこの最低価 格についても十分な御検討をいただいて、どうエビデンスをとるかはお任せいたしますけれ ども、価格があまり下がってしまわないような方向をお考えいただきたいと思います。  それと、後発品に関してなのですが、私どもはこの場でも申し上げておりますように、後 発品の使用を進めるということについては賛成をしておりますし、それに協力するという立 場をとっておりますが、今日の資料を拝見しておりまして、1つは、事務方の手間が大変だ ということはよく理解できました。  そのことだけではなしに、具体的に新しい薬が出てまいりますと、私どもはそれを整理し そろえることにして、けっこう手間がかかってまいります。その手間もなかなか容易ではご ざいませんし、とりあえず後発品でありますので、後発品を進めていこうとなると、その辺 にどうしてもポイントが移っていきますので、現在、回数が1回から2回に増えたというこ とでありますが、片方でドラッグラグ、あるいはイノベーションを評価しろと言いつつ、片 方では早く後発品を載せろという、二律背反とは申しませんけれども、事務方の手間が数倍 に増えるようなものとあわせて考えてみますと、早く上市をするということについては賛成 はいたしますが、前回1回から2回に変えたということで、後発品の使用促進という観点か らすれば、一体2回に変えてどれほど後発品が進んだのかということがまだ十分に評価され ていない段階で、さらに回数を増やせということについては、薬を扱う者としてはちょっと 苦しいなという感じがいたします。  もう1点、キット加算でありますけれども、特にここに記載がございますように、医療安 全という観点からしますと、例えば12ページの同じプレフィルドでありましても、目的あ るいは安全度が違いますので、こうした部分に対して評価をすることについては私も賛成で ありますが、先ほど御質問がありましたように、注射器に入っているものはまさに医薬品と して扱われますが、そこに置いておくことも確かに大変なので、単純に外見だけで評価して いるわけではないと思いますけれども、少なくとも医薬品として扱ったもので、しかも片方 は極めて安全性が高いということと、ある意味で利便性とまでは申しませんが、間違いは減 るのでありましょうけれども、そうした部分とを同じ尺度ではかって比較をするというのは、 少し物事、道具立てを開発する意欲もなくなってしまうのかなという気がしますので、その あたりの整理はぜひお願いしたいというのが私の考えであります。 ○丸山委員 今の山本さんの御意見に関して、ちょっと私も意見を申し上げたいのですが、 まず1つは、この不採算品の再算定、「営業利益=0%」というのは、これはやはりおかし いと思うのですが、山本さんがおっしゃるように、「かわいそうに」という発想はおかしい のです。経済合理的な表現でいかないと、そういうルールの決め方は存在しない。ただ、現 行の原価計算方式というのが、ある一定の非常に架空の数字を用いた全産業の何とかとかコ ストの面で、あの辺で、これはきっと長期なものだと思いますから、新規の原価計算方式と あれをそのまま持ってくるのはどうかなと思います。その要素の中に「営業利益=0%」と いうのは、これは社会貢献をやっているわけでは、やっている面もありますが、すべてがす べてというわけにはいかないので、それはやはり工夫すべきだということです。  それから、後発品の問題もありましたが、これは大変だということはよくわかったのです が、これは1回から2回にしてどれだけ使われるようになったかという検証というのはそん なに大きな問題ではなくて、後発品を促進していくという姿勢から言って、これは新規の先 発品の収載と後発品の収載の収載頻度に差があることが果たして中医協の姿勢としていいの かという観点から言って、これはやはり年4回なら4回、合わせてやっていくべきでしょう、 こういうことを申し上げておきたいと思います。  以上です。 ○山本委員 ありがとうございました。「かわいそう」というのは、ちょっと言葉を議事録 上直させていただいて、「経済的合理性に欠ける」という言葉に文言を訂正させていただき ます。  それと、今御指摘がありました必ずしも4回ということではなしに、ただ回数を増やせば いいという議論になりますと、これは少し問題があるのかなということでありますので、決 して後発品使用促進に反対する立場でもございませんし、そこは誤解のないようにお願いい たします。 ○遠藤部会長 そのように理解してはおります。また、今後議論を進めていきたいと思いま す。  あと、特に御意見がなかった規格間調整、上限ルールについてはいかがでございましょう か。事務局としましては、注射薬のみが対象になっているということで、そもそもがこの上 限ルールをつくったときのフラットプライスの決め方の資料では注射薬は対象になっていな かったにもかかわらず、実際には日本で適用したのは注射薬が対象になっていたのであまり 合理性がないのではないかと、そういった趣旨のことがここに書かれていると思うのです。 ○対馬委員(代理椎名氏) 上限ルールで、そもそも実際のコストの関係はどうなっている のか、それを1つお尋ねしたい。例えば1mgと10mgで、それをつくるコスト、これは一体 どういうふうになっているのか、その辺がわかれば教えていただきたいと思います。  それから、実際これが18年度に導入されたようですけれども、そこに囲ってありますよ うに、実際に適用された事例は、内服薬はゼロで注射薬のみであった。こういった結果につ いて、事務局としてどのようにお考えになっているのか、その辺を教えていただきたいと思 います。 ○遠藤部会長 お願いします。コストのところで、つまり、注射薬であるとなぜいけないの かという議論は、多分コストの問題と絡んでくる話だと思いますので、その辺をもし関連づ けられれば、その辺も含めて御説明いただきたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官) コストの点は、企業のほうでこういう原価計算をどういうふ うにやっていくのかということだと思いますけれども、少なくとも今まで注射剤の場合は、 いろいろ海外の事例でも日本の事例でもそうでございますが、ほぼ規格間比が1に近いもの が非常に多いということが現状ございます。そういうところにもともとは内服剤を念頭に置 いていたこの議論がたまたまかかってしまったということで、特にソマバートのケースは非 常に難病の薬でございまして、通常最大用量を超えて使う患者さんが多いということで規格 を出したものがかなり下がってしまったという問題意識でございまして、私どもとしては、 もともとのフラットプライスの問題意識から考えますと、内服剤のみに限るという考え方は どうなのだろうかということも含めて考える余地があるのではないかなと思っているところ でございます。 ○遠藤部会長 椎名委員、いかがでしょうか。 ○対馬委員(代理椎名氏) 製造コストとの関係はどうなのですか。例えば1mgをつくった 場合の製造コストと、その10倍の10mgをつくった場合に、製造コストが10倍になるの か。その辺がわかったら教えていただきたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 私どもはいろいろな原価計算で注射剤を見ている限り、それ 以上私どももなかなかはかるものがございませんけれども、先ほど申し上げましたが、その いろいろな共通的なコストもございますので、そういったものをどういうふうに割り振って いくのかということだろうと思います。それについては、正直私どももどういう形なのかと いうのは、出てきたもので見ると、大体用量に応じて配分しているケースが多い。その結果、 実際に先ほど申し上げたように規格間比が1に近いものが注射剤は多い。外国を見てもそう いう形になっているということを先ほど申し上げたわけで、そういう点ぐらいしか私どもの ほうからは申し上げる部分がございません。 ○長野専門委員 専門委員から、御質問の趣旨のすべてをお答えはできませんけれども、若 干関係するところを申し述べさせていただきます。  1mgと10mgという議論の前に、御承知のように、そもそも医薬品開発、そして、そのと きにどういうミリ数の錠剤がいいかというのは、その成分の有効性と安全性で1日用量が決 まってまいります。例えば100mgで、物によりまして、体の中の溶け方とか、そういった ものも違ってまいります。そういうことを総合的に基礎臨床で検討いたしまして、例えば1 日用量が100mgである、そうした場合に、その薬の成分の特徴からいって1日1回で済む。 効き目が24時間持続します。それも早朝がいいのではないかという薬剤の場合は、患者さ んの使用性も当然考えまして、100mg錠1錠を開発のコンセプトとして設定をいたします。  一方で、使い方の幅がもしある場合、例えば100〜200mg1日用量が臨床用量として 想定される場合、あるいは基礎臨床で証明しつつある場合は、そのときの剤形というのは、 当然1回でいい血中濃度、効き目が24時間続きますという場合と、あるいは1日2回は必 要だ、12時間しか効かない、あるいは8時間しか効かない、いろいろなケース、バリエー ションを組み合わせまして、剤形開発を2種類とか3種類とか、含量のものを規格してまい ります。  そういうことで実際に必要な剤形というものが決まりまして、例えば1mg錠と10mg錠、 あるいは100mg錠と200mg錠、あるいは100mg錠だけとか、それはその薬の効き方に よって、あるいは患者さんの使い方によって、一番いい使い方によって、その剤形のミリ数 あるいは1日の剤形というものが決まってまいります。  では、そこで原価はどうなのだと言われますと、今の薬価制度は、御承知のように、1日 薬価を基本に薬価制度を公定価格として設定をされております。したがいまして、では、翻 って原価がどうなのだというお話になりますと、ちょっとお答えしづらい。100mgと20 0mgは倍かかるのかと言われましても、そうですとはなかなか言いがたいところがございま す。  それからもう1つは、御承知のように、米国市場、自由価格市場におきまして、一般的に フラットプライスが薬剤で導入されているケースというのは、マーケティングの価格戦略と いう形で、例えば2番手あるいは3番手、競合品との価格戦略上フラットプライスが設定さ れる場合が一般的に多い、私はこのように承知しております。それと日本の今の薬価制度、 公定価格である薬価制度をどういうふうににらんでいくのかという問題はあると思いますが、 現状そんなところかなという気がしております。  以上でございます。 ○遠藤部会長 フラットプライスの背景について、専門委員の立場から御発言いただいたと いうことですけれども、まだそういう意味では議論がどれも十分尽くされてはおりませんけ れども、時間の制約もございますので、もう1つ残っております頻回改定の問題です。流改 懇の報告を待って議論を開始するということになっておりましたので、これについて御意見 を賜れればと思いますけれども、いかがでございましょうか。 ○土田委員 1つ単純といいますか、基本的なところを確認したいのですが、例えば総価取 引で出てくる価格というのは薬価調査にはどういう形で反映していきますでしょうか。 ○事務局(武田経済課長) 総価取引におきまして交渉が行われた場合でありましても、私 どもは価格調査をいたします際に、卸売業者さんのほうで一つ一つの製品に価格がついてい るものにつきましてはすべて薬価調査に含めて集計をしてございます。 ○土田委員 そういう場合、仮に7割ぐらいに設定された場合は、単品で単価をつける場合 も7割というふうに考えられますか。 ○事務局(武田経済課長) 私どもが卸売業者さんからデータをいただいているところで申 しますと、場合によってはおおむね価格水準を交渉した後、個々の医薬品につきましては多 少価格に差をつけているケース、それからそうでないケース、さまざまあるようでございま すけれども、いずれにいたしましても、単品の価格をいただきまして、私どもはその平均を 集計させていただく、こういうことになってございます。 ○土田委員 やはりそこが大事で、つまり、薬価を決めていく場合に、市場実勢価格をベー スにしながら決めていきますよね。その場合に、市場実勢価格が総価取引が多い場合はそれ が反映されていないということであれば、それはベースになる価格がしっかりしていないと いうことになるわけですから、そこがもし反映されているならばそれほど問題ないのですが、 そこはきちっと把握していただきたい、あるいはきちっと答えていただきたいというところ なのですが、いかがでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 今の点でございますけれども、実は、昨年この改定頻度の問 題を議論するときにも少し申し上げたことでございますけれども、取引はいろいろあろうか と思います。あろうかと思いますけれども、前回の薬価改定の結果を見た場合に、薬効群別 の乖離率というものを私どもはこちらのほうでも提出させていただいておりますが、その結 果を見ると、競争の非常に激しい薬効群、これについては乖離が大きいという結果が出てお りますし、あまり競争がなくて品目が少ない、競合品が非常に少ないような分野はそれほど でもないというようなことが大きくは読み取れる乖離率になってございますので、取引はい ろいろあるかと思いますけれども、実際にはそういったことが結果としては出ているという ことが読み取れるかと思っております。 ○遠藤部会長 それは、今の議論とは直接どう関係するのかよくわからないです。要するに、 総価取引はそういう意味では個別の価格交渉ではないので、薬効と価格との対応関係がゆが んでしまうというところで問題視されているわけで、そこの報告の段階で、その薬剤につい て多少何かあれがあるかもしれませんけれども、それでも個別交渉よりは皆同じ価格になっ てしまう、同じ割引率になってしまうという、そういう傾向があるということだと思うので す。実態がどうなのかというのは、そこのところは微妙なところです。ただ、そうはいって も、ある程度競争的なことがあって、反映されていることは事実だと。すべてが総価取引で やられているわけではないですから、それが薬剤管理官が言われたように、競争が激しいも のについては価格が違うのだと、そういうお話だったと思うのです。 ○土田委員 この流改懇の報告を見て感じるのですが、つまり、取引については中医協では どうのこうのと言う範囲ではありませんので、ただ、中医協として関連してくるのは、総価 取引が実勢価格にどう影響してくるか、あるいは未妥結・仮納入がどういう形で入ってくる かというところが一番問題だろうと思うのです。それについては、今回の報告書を見ますと、 つまり、これは好ましくない、改善が望ましいということは初めからわかっているわけで、 結局報告書もその域を出ていないわけです。だから、流改懇の調査結果、あるいは審議の結 果を待ちましょうというところで、出てきた結果は前と全く変わっていないというのが基本 的な印象なのです。  基本的には、先ほど武田課長からの話ですと、行政指導的な形でやっていきたい、できる だけ早く妥結に持ち込みたい、そういう意図はわかるのですが、ただ、この報告書を見た限 りでは、先ほど申しましたように、あまり参考にはならないという印象が強いと思います。 ですから、こちらとしては、単品に対して単価を決めていくというのが基本的なスタンスで すので、したがって、そこに対してはっきりベースになるような形の取引に持っていってい ただきたいとしかここでは言いようがないと思うのです。そこについて、行政指導なりにど こまで有効性が持てるかということについて、もう一回確認したいのです。 ○事務局(武田経済課長) 私どもは、ただいま御指摘のありましたような観点を踏まえて、 この7月、8月、9月と、3カ月議論させていただきました。私どもは、この価値と価格と いう表現がございますように、可能な限り個々の医薬品の価値が価格に反映されるというこ とが望ましいという出発点に立ちまして、どこまで流通当事者に御協力いただけるかという ことでやってまいりました。一方で、これは民間取引という限界もございまして、私どもは、 その自由取引を担当する関係省庁もございますので、逐次協議をさせていただきましたが、 行政指導といえども民間取引を過度に拘束することは違法性がある場合がある、こういう御 指摘もございましたので、私どもといたしましては、現在の民間取引、ただし、流通当事者 として医療保険の中で活動しているということを考えた際に、どこまで書けるかということ で、最大限私どもとしては、関係者の御理解をいただき、かつ流改懇の場では、それぞれの 当事者がこの線に沿って今後流通改善に取り組むという決意も表明をしていただいておりま すので、そういう線に沿ってこれから改善を図ってまいりたい。なかなか画期的な形に見え ないという御指摘はそのとおりかと思いますが、そういう限界点なり難しい点もございまし たということを御報告を申し上げたいと思います。 ○土田委員 最後ですが、多分そうだと思うのです。取引については自由ですから、そこは 官庁としては関与できないというところはわかります。ただ、価格を決定する場合の立場と しては、例えば総価取引なり未妥結・仮納入が非常に大きくなって、想定として、実際の単 品単価に比べて、実際の取引価格が8割ぐらいだと、あるいは7割ぐらいだということをや って、ただそれが実勢価格に反映されないとすれば、ここでの価格決定は、加重平均値はそ れは計算できますから計算して、さらに市場実勢価格からまた2割下げましょうというよう なことも、実態としてはこういうことはあり得るわけです。ですから、それは本当は好まし くないことですけれども、そうせざるを得ないような状況であれば、またそこは考えなけれ ばいけないと僕は思っていますけれども、そこのところをよく踏まえてお願いしたいと思い ます。 ○遠藤部会長 基本的には民間の間の取引ですから、行政介入というのは、取引の公正上か らも限界が当然あるわけでありますので、したがって、今回はできる限りにおいて、できる だけ未妥結・仮納入を減らして、できれば3カ月以内にしたいとかそういうようなことを言 って、できるだけ拡大していくことを抑制しようとする、そういう動きを一方でやっていた だいているということなわけです。  もう1つは、どうしても個別の銘柄がゆがんでしまうのだと、総価取引があるからという 話はそのとおりで、そこは容認できないという話であれば、銘柄別の薬価収載というか、銘 柄別に原価を測定してというやり方ではなくて、例えばトータルとしての引き下げにしてお いて、あとは個別に価格交渉が行われているものだけで相加平均をとるとかなんとか、そう いうような何がしかの方法はあり得るという話ですね。今までのやり方と多少変わる話なの で、そういうやり方を中医協としてとるかどうかということだと思います。  何かこれに関連して、どうぞ。 ○山本委員 今部会長がおっしゃった御意見もまさにそのとおりだと思いますが、そういう ことであれば、薬価制度と薬価調査の関係になると思うのです。そういう意味では、今土田 委員のおっしゃったこともまさにそのとおりだと思うのですが、もともとこの議論が始まり ましたのは、だから頻度を上げれば減るだろうという論点がありましたので、そのことに入 ってしまうと、例えば今日いただいた資料を拝見するのもそうですし、問題点の指摘の中に もございますけれども、我々だけではなくて、多分医科のほうもそうだと思うのですが、比 較的小さな規模の薬局はどんどん決まっていく。そこは資料の中の16ページにありますよ うな販売価格をずるずると引っ張っているケースがあるではないかという指摘もあったとい うことからしますと、当然経営基盤を考えてみれば、高どまりしているものを拾ってきて、 それを全体に広げるという形になってしまいますので、それで頻度を上げるということでは なしに、むしろ今お二人の委員がおっしゃったようなことを十分に担保した上でないと、単 純に、だからやはり頻回だという議論については、薬を扱う者として、のみにくい意見だな という気がいたしますので、ぜひその辺だけは御理解いただきたいと存じます。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  そもそもが総価取引の話、未妥結・仮納入の話というのは、頻回をやるときにちゃんとし たデータが集まるかどうかというところから始まっているわけでありますから、当然その視 点は必要だと思います。 ○中川委員 今の議論ですけれども、こういう議論の根源に、やはりメーカーから卸へのア ローアンスだと思うのです。そのことについてあまり触れられていないのですが、こういう 実態というか、データといいますか、そういうのはまずないのでしょうけれども、このこと にさわらないで何かこういう問題を解決していこうというのは、どうも靴の上から足をかい ているような感じで、先に進まない理由の大きな一つではないかと思うのですけれども、こ の辺については実態の把握というのはされているかどうか。 ○遠藤部会長 経済課長、おわかりになりますか。 ○事務局(武田経済課長) 恐らくさまざまな形態があると思いますし、メーカーによって も、リベート、アローアンスの体系はかなり違うと伺っておりますが、この医薬品流通全体 として、一次買差、それからリベート、アローアンスのパーセンテージがどれくらいかとい うのは、流通改善懇談会にも数字を出した上で議論させていただいておりますので、ちょっ と今手元にございませんけれども、御指示がございましたら、後ほど提出させていただきた いと思います。  ただ、総体的に見ますと、アローアンスの割合がだんだん拡大をしてきている、そこが流 通の不透明さを生んでいるのではないかという御指摘もありましたので、今回私どもとして は、この報告書の中でアローアンスの在り方について切り込みを行った報告であると考えて おります。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  製薬メーカーの専門委員が何人かおられますが、アローアンスについてのお考えがもしお ありになれば……。 ○渡辺専門委員 何人かの方々の御意見に関することにかかわると思います。  1つは、「医薬品の価値と価格」と経済課長がおっしゃったのですけれども、その意味か らいうと、総価取引はこれは全くそぐわない取引だと思っておりますので、改善に努力すべ きだと思います。  それから、今御指摘のアローアンスの問題なのですけれども、メーカーと卸の取引の基本 的な関係というのはかなり文書化されておりまして明確になっておりますが、アローアンス の決定というのが、取引の結果として計算される要素がございますので、それで率が後にず れ込む、決定価格が後にずれ込むという要素を持っております。ただし、全体として傾向を 見た場合にどうかというのは、今経済課長がおっしゃいましたように、アローアンスの全体 に占める割合は少し増えてきております。  以上でよろしいでしょうか。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。 ○対馬委員(代理椎名氏) 違う話でよろしいでしょうか。この流改懇のレポートの一番最 後、11ページです。締めの言葉の中で、これは中医協から離れる話かもしれないのですけ れども、大変重要な点を指摘されているのです。それが、「公的保険制度下における卸売業 者の位置付け」、そういう問題提起があるのですけれども、これは単なる民間の取引ではな いと思うのです。医療保険の財源から支出されるわけなので、そういった観点から、「今後 の議論が望まれる」とありますけれども、これは引き続き流改懇で議論されるのか、あるい はまた、別なところで議論されるのか、その辺がわかったら教えていただきたいと思います。 ○事務局(武田経済課長) この懇談会報告をまとめるに当たりましては、いただいた御意 見を最後にこういう形でまとめさせていただくにとどまっておりまして、いつ、またはどこ でというところまでは、合意というものはとりあえずない。報告書はこの形でまとめさせて いただいたというところにとどまってございます。 ○遠藤部会長 よろしいでしょうか。ほかに。 ○鈴木委員 ちょっと極端な話になるかもしれませんけれども、現場から見ますと、ブラッ クボックスがあって、なおかつ、半年たっても半分程度きり決まっていないというところで、 毎年の薬価の改定というのはとても耐えられないところがございますので、この問題は白紙 ということでお取り扱いいただきたいと思います。 ○遠藤部会長 白紙というのは。 ○土田委員 頻回改定について白紙。 ○遠藤部会長 そういう御意見ですね。現状においては適正なデータが得られないからとい うことですね。  ほかにも御意見はあるかと思いますけれども、予定していた時間を大分過ぎておりますの で、本日の御審議はこのぐらいにしたいと思います。  事務局から具体的資料を出していただきまして、多くの方々の合意を得られた、あるいは 少なくとも問題点の共通認識は得られたものも多かろうと思います。ただ、中にはまだまだ 今後議論を続けなければいけないというものもありますので、本日の議論を踏まえまして、 また次回以降、事務局に論点を整理していただきたいと思いますので、よろしくお願いいた します。  次回の日時及び場所につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、本日はこれにて閉会いたします。ありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)