07/10/22 平成19年10月22日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所    平成19年10月22日(月) 16:00〜 霞が関東京會舘「シルバースタールーム」 2.出席委員(16名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 五十嵐   隆、 川 西   徹、 澤 田 純 一   ○首 藤 紘 一、 千 葉   勉、◎永 井 良 三、 中 澤 憲 一、    西 澤   理、 野 田 光 彦、 長谷川 紘 司、 林   邦 彦    松 井   陽、 村 勢 敏 郎、 村 田 美 穂、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名)    鈴 木 洋 史、 土 屋 文 人、 成 冨 博 章    3.行政機関出席者   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、    豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全監理官)、 村 上 貴 久(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、    森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、「薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会」を 開催いたします。本日も、お忙しい中お集まりいただきまして誠にありがとうございます。 当部会委員数19名のうち15名の委員に今現在、御出席いただいておりますので、定足数 に達しておりますことを御報告申し上げます。西澤委員からは御出席という返事をいただ いておりますが、何らかの理由で遅れておられるのだろうと思います。なお、欠席は鈴木 委員、土屋委員、成冨委員です。  10月17日に、リタリンとコンサータの取扱いについて、第一部会を開催し、御参加、 誠にありがとうございました。現在、薬事分科会の先生方に御報告しているところですの で、了解が得られ次第、今月中にも対応を図りたいと考えております。  次に、事務局の人事異動について御報告します。医薬品医療機器総合機構の新薬審査第 二部長、長谷部和久でございます。また、生物系審査第二部長に鹿野真弓が着任しており ますが、本日所用のため欠席しております。  それでは、永井部会長、議事進行をよろしくお願いします。 ○永井部会長 それでは、事務局から配付資料の確認と、資料作成、利益相反等に関する 申出状況について御報告をお願いします。 ○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿 を配付しております。議事次第に記載されている資料1〜8を、あらかじめお送りしてお ります。このほかに、資料9として「審議品目の薬事分科会における取扱い等の案」、資 料10として「専門委員リスト」を配付しております。  次に、平成13年1月23日の薬事分科会申合せ及び本年4月23日の薬事分科会申合せ に基づく資料作成、利益相反等に関する申出状況については、次のとおりです。  議題1「シングレア錠、キプレス錠」については、退室委員なし、議決には参加しない 委員は五十嵐委員、永井委員。議題2「ロナセン錠等」については、退室委員は本橋委員、 議決には参加しない委員は五十嵐委員、千葉委員、西澤委員、村田委員。議題3「クレキ サン皮下注キット」については、退室委員なし、議決には参加しない委員は五十嵐委員、 西澤委員。議題4「アマージ錠」については、退室委員なし、議決には参加しない委員は 五十嵐委員、千葉委員。なお、議題1「シングレア錠、キプレス錠」については、座長を 首藤部会長代理にお願いします。 ○永井部会長 ありがとうございました。本日は、審議事項が4議題、報告事項が4議題 あります。早速、議題1に入ります。この審議については、首藤部会長代理に進行をお願 いします。 ○首藤部会長代理 議題1の審議に入ります。最初に、総合機構から概要の御説明をお願 いします。 ○機構 議題1、資料1、医薬品シングレア錠10他の製造販売承認事項一部変更承認の 可否等について、総合機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるモンテルカストナトリウムは、ロイコトリエン受容体拮抗作用を 有する抗アレルギー薬であり、本邦においては、「気管支喘息」を効能・効果として、成 人に対しては10mgフィルムコーティング錠、6歳以上の小児に対しては5mgチュアブル 錠、1歳以上6歳未満の小児に対しては細粒剤4mgが既に承認されておりますが、今般の 申請は、10mgフィルムコーティング錠に「アレルギー性鼻炎」の効能・効果を追加し、 さらに新剤型として5mgフィルムコーティング錠を追加するというものです。  本申請の専門委員としては、資料10にあります5名の委員を指名いたしました。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  本申請については、非臨床に関する資料のうち、薬物動態及び毒性に関する資料は提出 されておりません。  新規の剤型である5mgフィルムコーティング錠の規格に関しては、設定された基準につ いて特に大きな問題はないと判断しております。  薬理に関しては、アレルギー性鼻炎モルモットモデルを用いた検討等が実施され、シス テイニルロイコトリエン受容体の活性化を介する鼻閉を抑制すること等が確認されてお り、特段の問題はないと判断しております。  臨床成績に関しては、国内で実施された用量設定試験において、季節性アレルギー性鼻 炎患者に対して本剤5mg及び10mgを1日1回投与した際の有効性及び安全性はほぼ同等 であることが示され、さらにプランルカスト水和物(450mg/日)を比較対照とした第III相 比較試験においても、日中と夜間の鼻症状点数の平均である総合鼻症状点数の変化量につ いて、本剤5mg及び10mgのいずれについてもプランルカストに対する非劣性が検証され、 安全性も両用量ともにプランルカストと同程度であることが確認されております。これら の試験成績より、アレルギー性鼻炎に対しては、本剤5〜10mgを推奨用量とすることが 適当であると判断しております。  安全性については、アレルギー性鼻炎を対象とした国内臨床試験において1,678例中 70例(4.2%)に副作用が認められ、主なものは口渇、傾眠、胃不快感、ALT上昇等であ り、気管支喘息での臨床試験成績と大きな相違は認められておりません。なお、製造販売 後調査において用量別等でさらに情報を収集し、アレルギー性鼻炎患者での安全性を引き 続き検討するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、シングレア錠10及びキプレス錠10へのアレルギー性鼻炎の効能 追加及びそれに伴う用法・用量の追加、並びにシングレア錠5mg及びキプレス錠5mgの製 造販売を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当 と判断いたしました。本申請は新効能及び新用量医薬品であることから、再審査期間は4 年間、シングレア錠5mg及びキプレス錠5mgは毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物 由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会 には報告を予定しております。  よろしく御審議のほどお願いいたします。  ○首藤部会長代理 どうもありがとうございました。委員の皆様、御質問あるいは御意見 をお願いします。効能の追加ですが、いかがでしょうか。これまで10mgというのが引か れているわけですが、用法・用量をモンテルカストとして5〜10mg投与について、いか がですか。  それでは、特に御意見なしということで、議決を行いますが、五十嵐委員、永井委員に おかれましては、薬事分科会の申合せに基づき、参加を御遠慮いただきます。いかがでし ょうか。  承認を可とし、本件は、後ほど薬事分科会に報告とさせていただきます。 ○永井部会長 議題2にまいります。本橋委員におかれましては、本議題の審議の間別室 で御待機をお願いします。 ── 本橋委員退室 ── ○永井部会長 それでは、機構から概要の御説明をお願いします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品ロナセン錠2mg、同錠4mg、同散2%の製造販売承認の 可否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるブロナンセリンは、大日本住友製薬で開発されたシクロオクタピ リジン骨格を有する化合物であり、本邦で19□年より臨床開発がなされております。な お、2007年8月現在、外国では承認されておりません。  本申請の専門委員としては、資料10に記載されております10名の委員を指名いたしま した。  審査内容について、説明させていただきます。  品質、薬理、毒性については、特に大きな問題はないと考えております。なお、本剤の 作用機序としては、ドパミンD2受容体及びセロトニン5-HT2受容体の遮断作用が示唆 されております。  薬物動態については、本剤は食事の影響を受け、空腹時投与と比較して食後投与におい てCmax及びAUCが約2.7倍増加したことから、本剤の用法・用量は食後投与と設定さ れ、用法・用量に関連する使用上の注意で、食事の影響を受けるため、食後に服用するこ とを注意喚起しております。また、本剤はCYP3A4で代謝されることが知られており、ケ トコナゾールとの併用でCmax及びAUCが10倍以上の高値を示したことから、強力な CYP3A4阻害剤との併用については禁忌と設定し、他剤との併用による有害事象の発現状 況は製造販売後調査の中で検討するよう求めております。  次に臨床成績について説明させていただきます。  国内第III相試験として、ハロペリドール及びリスペリドンを対照とした臨床試験が実施 されており、これら対照薬に対する本剤の非劣性が検証されております。錐体外路系の副 作用についてはハロペリドールよりも少なく、リスペリドンと同程度又はやや高いと考え られています。また、52週間の長期投与試験も実施されており、本剤の有効性の維持と 安全性が確認されております。  本剤の安全性について、類薬では耐糖能異常との関連が認められておりますが、本剤の 第III相試験及び長期投与試験では、糖尿病性昏睡及び糖尿病性ケトアシドーシス等の重篤 な有害事象は認められておりません。また、耐糖能異常に関する有害事象は一部認められ ておりますが、ほとんどが軽度〜中等度であり、リスペリドン対照試験では、耐糖能に関 する臨床試験として血糖、HbA1c、インスリンの推移が検討されておりますが、いずれの パラメータに関しても大きな変動は認められておりません。さらに本剤の長期投与時にお いても、体重にほとんど変化は認められておりません。これらの結果を踏まえると、本剤 の耐糖能異常に関する注意喚起については、リスペリドンと同様とし、慎重投与、重要な 基本的注意及び重大な副作用の項で糖尿病及びその既往歴のある患者を記載することが 適切と判断しております。なお、製造販売後調査では、この点についてさらに検討するよ う求めております。  以上の審査を踏まえ、本剤の統合失調症に対する効能・効果を承認して差し支えないと の結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新 有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、 生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、 薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。こ の薬は、錐体外路症状が副作用として出てくるということですが、それに対して何かアン タゴニストを使う可能性があるわけですね。そうすると、薬物の相互作用は特に問題にな らないのですか。CYP3A4の代謝にかかわることはないのですか。 ○機構 錐体外路症状に関しては、一般的には抗パーキンソン剤を使用して対処されてお ります。これらの薬剤がCYP3A4に影響することに関しては、臨床試験では併用されてお りますが、そこで特に大きな有害事象は認められておりません。 ○永井部会長 薬物相互作用に関して、ケトコナゾールで濃度が10倍になってしまうと いうことですが、そのほかに似たような作用を示すものについては注意喚起されているの でしょうか。 ○機構 ケトコナゾールを含むアゾール系の抗真菌剤及びHIVプロテアーゼ阻害剤、通 常CYP3A4阻害に強く作用するものに関しては、今回添付文書の中でも併用禁忌としてき ちんと明記しております。それら以外のものに関しては、併用注意の所で書いております。 ○村田委員 枠組みとしては、錐体外路症状が比較的少なくて、しかもDMでも慎重投与 で使える薬ということになるわけですか。 ○機構 そうですね。 ○村田委員 そうすると、かなり有用性が高いということですね。 ○永井部会長 よろしいですか。よろしければ、議決に入ります。五十嵐委員、千葉委員、 西澤委員、村田委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づき、議決への参加を御遠 慮いただくことにします。それでは、承認可としてよろしいでしょうか。  承認可として薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。 ── 本橋委員入室 ── ○永井部会長 議題3にまいります。機構から御説明をお願いします。 ○機構 議題3、資料3、クレキサン皮下注キット2000IUにつきまして医薬品医療機器 総合機構から説明させていただきます。  本剤の有効成分エノキサパリンナトリウムは、ブタ由来の未分画ヘパリンを解重合した 平均分子量約4,500の低分子量ヘパリンで、未分画ヘパリンと同じくアンチトロンビンIII の抗トロンビン活性と抗活性型血液凝固第X因子活性を増強する抗凝固薬です。低分子量 化により、抗活性型血液凝固第X因子活性に対する選択性が高められており、未分画ヘパ リンと比較して出血リスクが低いとの報告もあります。今般、サノフィ・アベンティス株 式会社より、国内臨床試験成績等に基づき、国内静脈血栓塞栓症予防ガイドラインで、静 脈血栓塞栓症の発現リスクが「高リスク」とされる下肢整形外科手術後に使用し、術後の 静脈血栓塞栓症を予防する静脈投与用のプレフィルドシリンジ・キット製剤として、製造 販売承認申請がなされたものです。本剤は平成19年9月現在、米国、欧州を含む127の 国及び地域で販売されており、下肢整形外科手術施行後の静脈血栓塞栓症の発症抑制に関 して、効能・効果の範囲及び用法・用量は同一ではありませんが、それらのほぼすべての 国及び地域で承認されております。また、本品目の早期承認を求める要望書が日本血栓止 血学会等10の学会等から提出されており、優先審査品目に指定されております。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料10に記載されております委員が指 名されております。  本品目の審査の概要について、臨床成績を中心に御説明させていただきます。  国内静脈血栓塞栓症予防ガイドラインで、術後の静脈血栓塞栓症の発現リスクが「高リ スク」とされている下肢整形外科手術の、股関節全置換術、膝関節全置換術及び股関節骨 折手術施行患者を対象とした国内二重盲検比較試験又は国内の非盲検試験において、本薬 を手術終了24〜36時間後から14日間反復皮下投与したときの静脈血栓塞栓症の発現率 は、本薬2000IU1日2回群において2.8〜29.8%であり、これら3種の、いずれの術式に おいても本薬2000IU1日2回皮下投与の有効性は示されたと判断しました。  安全性に関しまして、いずれの術式においても、本薬の薬理作用に起因する出血関連の 副作用は懸念されましたが、本薬の薬理作用のモニタリングに適した指標は知られておら ず、投与中は出血等の臨床症状を注意深く観察する必要があります。また、腎排泄型の本 薬は、腎障害の程度により、重度では投与禁忌、中等度では出血のリスクも踏まえて2000IU 1日1回投与とすることも考慮すべきであると考えられますが、これらにつきましては、 他の注意喚起とともに添付文書に記載され、対象患者の選択も含め、適正に使用されれば、 承認の可否に影響するような重大な懸念は認められないと判断しました。  以上を踏まえ、また、本剤は海外では標準的薬剤の一つとして使用されている実績もあ り、製造販売後にさらなる情報収集をする必要はありますが、静脈血栓塞栓症の発現リス クの高い手術である、股関節全置換術、膝関節全置換術及び股関節骨折手術施行患者にお ける静脈血栓塞栓症の発症抑制に関して、本剤を承認して差し支えないと判断しました。 なお、製造販売後に、手術の術式の違いによる有効性及び安全性に関する調査等が実施さ れる予定です。この調査は、連続登録方式により実施され、手術術式、国内ガイドライン による静脈血栓塞栓症発現リスクの分類、出血に関するリスク因子、腎機能及び体重を含 む患者背景、投与量並びに投与期間等に関する情報が収集される予定です。  本剤は、新有効成分含有医薬品であり、再審査期間は8年とすることが適当であると判 断しております。また、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断し ております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいた します。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をお願いします。○ 中澤委員 17ページの薬物動態試験成績の概要の手前の所の「ヘパリンと質的に同様で ある可能性を否定できないものの、硫酸プロタミンにより抗Xa活性の約半分程度中和で きる等のメリットも考えられる」という意味がよく分からなかったのですが、御説明いた だけますか。 ○機構 これは安全性についての全般的な結びとなっており、項全体を見れば分かるので すが、ヘパリン起因性血小板減少症については、頻度等は少ないかもしれませんが、ヘパ リンと質的には同様なデメリットがあると考えられるというのが前半です。後半は、本薬 は抗Xa活性と抗IIa活性を合わせ持つことによって総合的な有効性を示しますが、抗IIa 活性の方はプロタミンでよく中和され、抗Xa活性は約半分中和できることとともに考え ると、類薬のフォンダパリヌクスは硫酸プロタミンで中和できないというデメリットがあ ることと比べると、その点についてはメリットと考えられるということです。言葉が若干 足りない部分がありますが、意味としてはそのような意味です。 ○中澤委員 この新しい薬の場合には、硫酸プロタミンによってIIの方は完全に抑えられ るけれども、Xの方は活性が残るので、残る分だけヘパリンよりも有用だという意味です か。 ○機構 そういう意味ではありません。言葉が足りなくて申し訳ありません。ここに書い てある本薬のメリットは、ヘパリンとの比較ではなく、類薬であるフォンダパリヌクスと の比較でして、フォンダパリヌクスはほとんどプロタミンで中和できませんが、こちらは 半分程度は中和できるということです。後で次の審査報告のところで言葉を追加したいと 思います。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。では、文章を直したらお知らせください。 ○審議役 少し補足しますが、今回のような下肢静脈血栓症に対する適応を持っているも のは、既存のヘパリンは適応を持っていなくて、フォンダパリヌクスが静脈血栓症に対す る適応を有している類薬です。フォンダパリヌクスの方は、いわゆる過量になって出血の おそれがある場合に、従来ヘパリンの場合であればプロタミンで中和するのが一般的です が、フォンダパリヌクスはそれができません。それに対して、同じ適応を今回取ろうとし ているエノキサパリンは、半分ですが、プロタミンで中和ができるので、こちらはコント ロールが少しできると、既存の方法でコントロールできるところがメリットだということ を、ここで説明をしているつもりです。 ○中澤委員 非常によく分かりました。ありがとうございました。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。繰り返しになりますが、HIT (heparin-induced thrombocytopenia)は起こり得るのですね。 ○機構 おっしゃるとおりです。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。御意見がなければ議決に入ります。五十嵐委員、西 澤委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づき、議決への参加を御遠慮いただきま す。承認可としてよろしいでしょうか。  承認可として薬事分科会に報告とさせていただきます。ありがとうございました。  それでは、議題4に移ります。機構から御説明をお願いします。 ○機構 議題4、資料4、医薬品アマージ錠2.5mgにつきまして医薬品医療機器総合機構 より説明させていただきます。  本薬は、ナラトリプタン塩酸塩を有効成分とするトリプタン系の経口片頭痛治療薬であ り、セロトニン1B/1D受容体に作用し、血管を収縮することにより片頭痛改善効果を示す薬 剤として、1997年にイギリスで承認されたのを始め、2007年9月現在、世界70か国以上 で片頭痛治療薬として承認されております。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料10に記載されております委員が指 名されました。  本品目の審査の概略について、説明させていただきます。  品質及び非臨床については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に 問題はないと判断しました。  臨床試験成績について説明させていただきます。  日本人片頭痛患者323例を対象に、本薬1mg、2.5mg又はプラセボを投与する無作為化 プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験がブリッジング試験として実施されました。その 結果、有効性については、主要評価項目とされた投与後4時間の片頭痛改善割合において、 プラセボ群42.2%、本薬1mg群71.2%、本薬2.5mg群77.1%であり、本薬2.5mg群のプ ラセボ群に対する優越性が認められております。安全性については、2.5mg群及びプラセ ボ群で有害事象発現率に大きな差はなく、臨床上特に問題となる副作用は認められており ません。ブリッジングについては、海外の試験と同様に2.5mgの有効性及び安全性が示さ れたことから可能と判断しました。  なお、1mgの必要性について専門協議において、2.5mgより有効性が劣り、安全性は同 程度である1mgを承認する臨床的意義を見いだせないとの結論で一致し、平成19年10月 11日付けで、申請者より取下げ願いが提出されております。  本薬2.5mgについては、スマトリプタンより有効性で劣ることが海外臨床試験成績で示 されており、頭痛改善作用が弱く効果発現が遅い薬剤であるものの、有害事象発現率が低 く、代謝特性から薬物相互作用の可能性が低いことから、片頭痛治療における新たな選択 肢になり得るものと判断しました。  本申請は、ブリッジングによる申請であり、国内臨床試験では確認されていない追加投 与及び長期投与における日本人の有効性及び安全性については、製造販売後に確認する必 要があると判断されたことから、製造販売後には、再審査期間中に、800症例の製造販売 後調査が実施される予定です。  以上のような検討を行った結果、本薬2.5mgを承認して差し支えないとの結論に達し、 医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本薬は原体、製剤ともに毒薬・劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に 該当しないと判断し、再審査期間は8年とすることが適当であると判断しております。薬 事分科会では報告を予定しております。  御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。 ○川西委員 特にないようですので、細かいことになりますが、報告書の13ページの組 織内の分布のところで、雄の白色ラットのほかに有色ラットで見ているのです。どうして このようなことをやったのか、メラニンへの蓄積とか、そんなことが疑われたということ がどこかにあるのでしょうか。私は読み切れなかったので、教えていただければと思いま す。 ○機構 後で確認して御報告します。 ○永井部会長 片頭痛の薬剤は、当然、血管攣縮させますから、冠攣縮性狭心症の可能性 がありますね。その辺りの注意喚起は十分されていますか。特に日本人では多い病態です ので、注意が必要かと思いますが、添付文書には書かれていますか。 ○機構 添付文書の禁忌の項の二番目に、心筋梗塞の既往歴のある患者や、虚血性心疾患 又はその症状・兆候のある患者、異型狭心症(冠動脈攣縮)のある患者に対しては、禁忌と いうことで対処しております。 ○永井部会長 御意見はいかがですか。よろしければ、議決に入ります。五十嵐委員、千 葉委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づき、議決への参加を御遠慮いただきま す。では、アマージ錠を承認してよろしいでしょうか。  承認可として薬事分科会に報告させていただきます。ありがとうございました。  報告事項にまいります。御説明をお願いします。 ○機構 議題1「医薬品ファスティック錠30、同錠90、スターシス錠30mg及び同錠90 mgの製造販売承認事項一部変更承認について」報告します。資料5を御覧ください。本剤 は、ナテグリニドを有効成分とする経口血糖降下薬であり、現在は、「本剤の単独使用」 又は「本剤とα-グルコシダーゼ阻害薬との併用」について承認されているものです。今 般、味の素株式会社及びアステラス製薬株式会社から、「本剤とビグアナイド系薬剤との 併用」について、効能・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされた ものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと 判断いたしました。  続きまして、議題2「医薬品レミケード点滴静注用100の製造販売承認事項一部変更承 認について」御報告いたします。資料6を御覧ください。本剤は、インフリキシマブ(遺 伝子組換え)を有効成分とする、マウス/ヒトキメラ型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体 製剤であり、現在は、既存治療で効果不十分な場合の「クローン病の治療」、「関節リウ マチ」及び「ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎」の効能・効果で承認されてお ります。今般、田辺製薬株式会社(現:田辺三菱製薬株式会社)から、「クローン病の維持 療法」の効能・効果を追加とする製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたもので す。なお、本剤の効能につきましては、平成8年4月1日に希少疾病用医薬品に指定され ているものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支え ないと判断いたしました。  議題3「医療用医薬品の再審査結果について」4件御報告いたします。  まずは、資料7-1の、医薬品再審査確認等結果通知書「ダルテパリンナトリウム」を御 覧ください。本件については、承認の効能・効果のうち、「血液体外循環時の灌流血液の 凝固防止(血液透析)」が、再審査の対象の効能・効果になります。当該品目につきまして、 市販後の使用成績調査の成績に基づいて、再審査申請が行われ、医薬品医療機器総合機構 の審査の結果、薬事法第14条第2項第3号のイ〜ハまでに掲げられている承認拒否事由 のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について 変更の必要はない「カテゴリー1」と判定いたしたものです。  資料7-2の、医薬品再審査確認等結果通知書「ダルテパリンナトリウム」を御覧くださ い。本件については、承認の効能・効果のうち、「汎発性血管内血液凝固症(DIC)」が、 再審査の対象の効能・効果になっているものです。当該品目につきまして、市販後の使用 成績調査の成績等に基づいて、再審査申請が行われ、医薬品医療機器総合機構の審査の結 果、薬事法第14条第2項第3号のイ〜ハまでに掲げられている承認拒否事由のいずれに も該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要 はない「カテゴリー1」と判定いたしたものです。  資料7-3の、医薬品再審査確認等結果通知書「L-イソロイシン他16成分」を御覧くだ さい。本件については、承認の効能・効果の、「低蛋白血症、低栄養状態、手術前後の状 態にある急性・慢性腎不全時のアミノ酸補給」が、再審査の対象の効能・効果でございま す。当該品目につきまして、市販後の使用成績調査の成績等に基づいて、再審査申請が行 われ、医薬品医療機器総合機構の審査の結果、薬事法第14条第2項第3号イ〜ハまでに 掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法 ・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定いたしました。  資料7-4の、医薬品再審査確認等結果通知書「L-ロイシン他16成分」を御覧ください。 本件については、承認の効能・効果の、「低蛋白血症、低栄養状態、手術前後の状態にあ る急性・慢性腎不全時のアミノ酸補給」が、再審査の対象の効能・効果でございます。当 該品目につきまして、市販後の使用成績調査、特別調査の成績等に基づいて、再審査申請 が行われ、医薬品医療機器総合機構の審査の結果、薬事法第14条第2項第3号イ〜ハま でに掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、 用法・用量等の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定いたしたもの です。 ○事務局 報告事項、議題4、資料8、エックスジェード懸濁用錠の優先審査品目指定の 審査結果について御報告します。2ページ目を御覧ください。優先審査の取扱いについて はここにお示ししているとおりですが、薬事法第14条第7項に、「厚生労働大臣は、承 認申請された医薬品が希少疾病用医薬品、その他医療上特に必要性が高いと認められるも のであるときは、当該医薬品の審査を他の医薬品の審査に優先して行うことができる」と いう規定があります。今回、この指定に当たり、(1)適応疾病の重篤性、(2)医療上の有 用性を総合的に評価して判断する、となっております。  1ページに戻ります。今回報告をする品目は、エックスジェード懸濁用錠、成分名デフ ェラシロクスです。今般、本剤について輸血による慢性鉄過剰症を適応疾患とする製造販 売承認申請がなされたものです。この適応疾病である輸血による慢性鉄過剰症は、再生不 良性貧血や骨髄異形成症候群等の難治性貧血患者にとって不可欠な支持療法である頻回 輸血により、赤血球が崩壊し、その結果、赤血球に含まれている鉄が肝臓、心臓などに蓄 積し、肝障害、心障害などの様々な合併症が発現するものです。この不可逆的な臓器障害 により、予後が極めて不良な疾病であることから、この対象疾患については生命に重大な 影響がある疾患であると判断しました。  また、本剤の医療上の有用性については、我が国において輸血による慢性鉄過剰症の治 療については、現在、注射用メシル酸デフェロキサミン(以下、DFO)が承認されており ます。しかし、この薬剤は半減期が短く、連日の投与が必要であることから連日の注射が 必要なので、実際の臨床現場での使用が極めて限定され、実質的に有効な手段となってい ないと考えられました。今回申請のあった本剤については、経口剤であり、DFOのコン プライアンス不良の欠点が是正されていることから、連日の通院や合併症のため治療に支 障を来していた患者にとって、新たな治療機会を提供できる薬剤となり得るものと考えら れました。  本剤の有効性ですが、欧米で実施された海外第III相非盲検比較試験において、本薬剤が 鉄排泄を促進し、血清フェリチンの低下、肝生検における鉄沈着を減少させることも示さ れております。安全性については、重篤な腎障害及び血球減少に対する懸念が指摘されて いるものの、総じて患者へのベネフィットがリスクを上回ると考えられました。  以上の点を踏まえ、本剤はDFOによる適切な治療が困難である患者に対して、新たな 治療機会を提供できるものであると考えられるため、本品目を優先審査品目に指定するこ ととしました。 ○永井部会長 ありがとうございました。ただ今の報告に関して、質問等はありますか。  最後の優先審査品目指定のデフェラシロクスは、血清鉄の低下を指標にするのでしょう が、臓器保護というところまで見る予定はあるのでしょうか。そこまでは審査の対象には ならないが、血清鉄の低下を検討するということでしょうか。 ○事務局 本品目は、まだこれから審査をする段階ですが、海外の臨床試験での有効性に ついて、主要評価項目としては、本薬1年投与時の有効率として、ベースライン時の肝鉄 濃度と52週時の肝鉄濃度を比較して、その有効率を出しています。肝臓における鉄の排 泄の様子を主要評価項目として見ていると考えております。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。御質問等がないようでしたら、ただ今の御報告は御 確認いただいたということにします。ありがとうございました。  本日の議題は以上ですが、事務局から連絡等がありましたらお願いします。    ○ 審議役 先ほど、ナラトリプタンのメラニンとの結合性について御質問があった件です。 時系列的な経緯をきちんと確認してお答えするのが筋だと思うのですが、この資料の2.4 非臨床試験の概括評価の2.4.3.薬物動態試験の分布のところに、「本薬は他の塩基性薬 物と同様に」ということで、メラニンとの結合があると書いてあります。これは塩基性の 化合物ですので、それを考えるとメラニンとの結合性の可能性はあると想定され、白色と 有色と両方やって、有色の場合に目に蓄積があったということです。その点は、米国の添 付文書にも記載があります。  そうした経緯があるので、想定される可能性が予見できていて実験をやったと思われま す。何でもかんでもやっているわけではありませんが、この化合物についてはそれが十分 予見できる知見がもともとあったことが、資料中に書かれております。 ○機構 一つだけ訂正をお願いします。御説明したときに毒・劇薬に該当しないと言った のですが、類薬同様にどちらとも劇薬に該当すると言うべきところを、間違えてどちらに も当たらないと御報告してしまいました。資料9の整理表はそうなっていますが、読み間 違えておりますので訂正します。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、事務局から連絡事項等をお願いします。 ○事務局 次回以降の部会ですが、次回は、既に御案内しましたとおり、11月22日(木) 午後2時から開催する予定ですので、よろしくお願いします。 ○永井部会長 それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 河野(内線2746)