07/10/19 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年10月19日議事録 07/10/19 中央社会保険医療協議会          第103回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年10月19日(金)10:00〜11:54 (2)場所  全国都市会館ホールA (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 前田雅英委員       室谷千英委員  対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員 高橋健二委員 松浦稔明委員  竹嶋康弘委員(代 中川) 鈴木満委員 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員  山本信夫委員        古橋美智子専門委員        <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 八神保険医療企画調査室長        磯部薬剤管理官 他 (4)議題  ○医療安全対策について       ○救急医療について       ○心の問題への対応 (5)議事内容  ○土田小委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第103回中央社会保険医療協議会 診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。  最初に、委員の出欠状況について御報告いたします。本日は、白石委員が御欠席になっ ております。それから、竹嶋委員の代理で中川さんがお見えになっております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、前回積み残しになりました「医療安全対策」を取り上げたいと思います。  事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。お手元の資料、中医協診−1−1と、それから別冊ですが、中 医協診−1−2をお示ししております。診−1−2の方は、診療報酬改定結果検証部会に おける特別調査の平成19年度調査の結果を出しております。これは最近御報告をいたし ましたので、説明は省略させていただきまして、適宜御参照願います。  本文の方の診−1−1の資料でございます。まず、医療安全対策の現状についてでござ いますが、これは従来から病院を中心にいろいろと安全対策を講じるということになって おりましたが、平成18年の医療法及び薬事法の改正によりまして、すべての医療機関及 び薬局に対して医療安全対策が義務づけられることになりました。具体的には、医療機関 においては、医療に係る安全管理のための指針の整備、それから無床診療所以外のところ では委員会をつくって開催する、それから職員の研修をする、院内報告制度の整備、これ に加えまして、院内感染対策の整備が求められております。また、医療機器・医薬品の安 全使用についても、その安全使用のための体制の確保が義務づけられております。また同 様に、薬局に対しましても、医薬品の業務に係る医療の安全を確保するための指針をつく るということ、それから従業者に対する研修の実施が義務づけられております。  今回特に医療機器・医薬品の問題を取り上げたいと思っております。これに関します安 全管理につきましては、まず、先ほどの医療法改正によりまして、医療機器安全管理責任 者の配置や保守点検計画の策定などが義務づけられたところでございます。  また、医薬品につきましても、医薬品安全管理責任者の配置でありますとか、従業者に 対する研修の実施、業務に関する手順書の作成及び業務の実施というものが義務づけられ ております。  さらに、これは法律事項ではございませんが、医療安全対策検討会議というものがあり まして、その下に、「集中治療室(ICU)における安全管理指針検討作業部会」という のを設けまして、そこで安全管理指針がまとめられております。ここにおいても、ICU における安全のために、薬剤師や臨床工学技士の配置が望ましいとされているところであ ります。  お手元の4ページを少しごらんいただきたいと思います。これが今説明いたしました医 療安全確保体制のチャートでございます。左上、少し色をつけております「医療に係る安 全管理」という部分の、指針の策定、委員会の開催、研修の実施、これにつきましては、 既に診療報酬の入院基本料の中でこれらを実施することというふうにしているところであ ります。今般19年4月から、その色がついていない部分、例えば上の方へ行きますと、 「院内感染対策」に対します指針の策定でありますとか、委員会の開催、研修の実施、そ れから、医療機器に対する研修あるいは責任者の配置、また、医薬品に対します研修や責 任者の設置や業務手順書等々が新しく義務づけられた、こういうようなところでございま す。  お手元、2ページに戻っていただきまして、こういう中で、また違う観点でも動きがご ざいます。「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準について」ということで、 医療機器、非常に高度化あるいは高性能化、またはなかなか素人にはわかりづらいIT化 等に伴いまして、医療機器の適正かつ安全な使用のために、どうしてもその機械に詳しい 医療機器事業者が医療現場に立ち入って情報提供を行う、いわゆるこれが「立会い」と言 われておりますが、これが行われております。しかしながら、この立会いについて、これ まで具体的な基準がなく、新しく機械を設置したときのみならず、ずっと立会いをしてい たというようなこともありまして、公正取引委員会の方でも、公正な取引の確保及び適正 な医療の提供の観点から問題があるのではないかという、こういうような御指摘もありま して、業界の方で、「医療機関等における医療機器の立会いに関する基準」というものが 設定されまして、来年の4月1日から実施されることとなっております。  この基準につきましては、お手元の資料5ページ以降につけております。簡単に申しま すと、例えば新しく医療機器を設置した場合、当然その使用に当たって、当初はやはり詳 しい説明等が必要ですので、例えばそこは初めの4回まではいいとか、あるいは、定期的 なメンテナンスのために入る場合も、月に1回程度とか、そういうような形で書かれてい る。それ以上の立会いについては、具体的にその当事者間で契約を結ぶなり、あるいは病 院本体の中でその機器のメンテナンスができるような体制を組む、こういうようなことが 必要になってくるということになっております。  それで、お手元、2ページの現行上のこれらに関する評価でございますが、これは先ほ ど申しましたように、医療安全管理体制等の整備、これは基本的には基本診療料の中で義 務づけられているわけでありますが、さらにその医療安全対策に係る専門の専従の看護師 や薬剤師等を医療安全管理者として配置した場合等々におきまして、医療安全対策の加算 という点数を設けております。条件は、そこの枠で囲まれたところでありますが、このよ うなことをすることによって、入院患者さん、入院初日に1回50点という点数をつけて いるところでございます。  そこで、3ページの論点でございますが、医療安全対策の観点から、今回のさまざまな 充実という面を踏まえまして、新たな評価をする必要があるところは2点ほどあるのでは ないか。  まず1点目でございますが、医療機器の安全確保や適正使用、これを一層推進するため に、特に安全管理の必要性が高い生命の維持に直接関与する医療機器、例えば人工呼吸器 等々でございますが、これらの専門知識を有する臨床工学技士の配置について評価しては どうか、それが1点目でございます。  2点目は、現在、病棟における薬剤師の患者さんに対する指導、管理業務について評価 をしているところでありますが、特にその中でも、重篤な副作用が発現しやすいような薬 剤を使用する患者さん、これについてはより高く評価してはどうか、あるいはそれ以外の 薬剤等については、現在よりも少し適正化をしてはどうか、こういうような形で、より重 篤な副作用が出やすい薬剤について重点化してはどうかということ。それから、先ほどの ICUの安全管理のところにも出てまいりましたが、ICUやハイケアユニットなど非常 に患者さん自身も重篤ではありますけれども、それに対して機器等がたくさん設置される わけでありますが、そういうところも含めまして、あと薬剤も、たくさんさまざま、特に 注意を要する薬剤等も使われるわけなので、そこにおける薬剤の管理あるいは使用の適切 化というものを考えた上で、こういうところでの薬剤師の配置について評価をしてはどう かということ、この2点を今回出させていただいております。  説明は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞお願いします。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  診−1−2の資料の5ページなのですが、ここに医療安全対策加算の算定回数と、医療 安全管理者に係る人件費というデータがあります。これは、平均の算定回数、それから平 均の人件費というものを、今日すぐは無理だと思いますけれども、次回までにぜひ出して いただきたいと思います。可能でしょうか。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  保険医療企画調査室長でございます。  検証部会での調査の報告に関してでございます。平均という形で数字をとっていないの で、出せるかどうか、ちょっと調べてみますので。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  お願いの理由は、医療安全管理者に対する人件費に対してこの加算が見合っているのか どうかということは一つポイントだと思うのです。この辺をザックリで結構ですので、次 回までにお願いしたいと思います。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  ちょっと中で資料を精査いたします。それで、検証部会のときにも一回話が出まして、 この算定回数と人件費との関係ということで、そのとき御説明したのが、一定の回数がな いとなかなか1人の人件費というのは出すのが難しい。一定の回数があるということは、 それなりの規模が必要なのかなということを、そのときの検証部会の議論としてあったと いうことを御報告いたします。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  平成18年度の医療安全に関するコスト調査業務報告書というのが、中医協の専門組織 から6月18日に出されていると思いますが、これによりますと、病院の入院患者1日当 たりのコストは406円と出ているのです。今回この病院、初日のみの50点という加算、 あまりにもこれは乖離しているのではないかと思います。その辺のところもやはり検討し ていただきたいと思っております。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  ただいまの入院1人当たり406円と、恐らくこれは、医療安全に関するコスト調査の 結果の報告のことをおっしゃっておられるのだと思います。406円という、これもかな りいろいろな前提を置いて、かつ実は、このコスト調査分科会で御報告しましたデータの 数字、集まったデータサンプルの数とか、いろいろな若干問題があったところではあるの ですが、少なくともその406円というこの数字について、安全対策加算と関係するもの ではないということだけちょっとコメントさせていただきます。直接この安全のコストを 調べたものと安全対策加算がリンクをしたものということではないということだけ御報告 いたします。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  入院初日に50点というと、100床の病院が1月に患者さんが1回転した場合に、計 算上、トータルで10万円なのです。10万円の医療安全対策加算で医療安全に資するの かという問題があると思いますので、その辺の見直しも必要かなという気がします。 ○土田小委員長  この議論については、ある程度データがはっきりしていないと議論が進まない点があり ますので、ですから、この加算については、ある程度根拠を示しながら、次回、資料等々 をそろえていただきたいと思います。 ○事務局(原医療課長)  考え方の問題だと思うのですけれども、医療安全管理対策の加算の要件として、専従の 看護師または薬剤師というものを、条件としては当然あります。そのほか、委員会の開催 でありますとか、そういうもろもろのことが当然入っているわけであります。これについ て、個々のそれを積み上げて、その加算の点数だけで見ていくのがいいのか、そのほか、 例えば安全管理が進めば事故が減る、それによって訴訟が起こらないとしたら訴訟費用が 節減されるではないか、さまざまな視点があると思います。だから、基本的に医療機関総 体として、全体としてコストが賄われているかどうかという、そういう視点からも見るこ とは必要だと思います。  ここで加算をつけているのは基本的に専従者で、小さいところは専従者の配置は無理で すので、それは別に兼務でいいわけですけれども、そういう中でもやはり専従でやってい るようなところについて若干それを上乗せをしている。ですから、人件費とパラレルに、 ストレートに点数が結びつくというものではないのではないかと考えております。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○西澤委員  今、原課長のお話の中で、専従とそれから兼務でもいいけれどもという発言がちょっと 聞こえたのですが、そのあたりの解釈をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  加算の点数は当然専従ですけれども、ほかの病院で医療安全をやる方は専従で多分ない だろうと思いますので、だから、その点数がつくかつかないか、つく条件としては当然専 従という条件をつけていますけれども、病院で医療安全管理をやられる方は、別に専従で なければいけないということにはなっていないと思います。 ○西澤委員  わかりました。  ところで、今と結びつくのですけれども、今、専従が条件になっていると思いますが、 これをぜひ専任にしていただきたいと希望いたします。その理由は、やはり質の高い医療 を安全に提供するということは、これは全国民の願いでもあると思っております。病院に おきましても、規模の大小にかかわらず、積極的に医療安全に取り組んでいるところでご ざいます。そして、7月18日の、先ほど中川委員がちょっと触れました中医協の医療安 全に関するコスト調査の結果が出されましたけれども、そこでもたしか医業収入の2%ほ どを医療機関が安全にかけているというデータが出ております。しかも、規模が小さいほ どその比率は高いというのが出ております。  そうすると、今は、医療安全対策に取り組んでいる病院というのは、規模の大小にかか わらないということを考えますと、すべての小さい病院でもやはりこの点数をとれるよう にしたいと。そうすると、やはり専従ということは規模が小さいとなかなか大変なので、 専任にさせていただきたい。例えば、1,000ベッドの病院で専従がいるのと、200 床の病院の専任で、そこに2分の1かかわるので、どちらが安全に対策がとれているかと 考えると、決してこの専従というふうな条件でこだわる必要はないのではないかなと、そ のように考えておりますので、よろしくお願いいたします。 ○事務局(八神保険医療企画調査室長)  今御指摘になった医療安全に関するコスト調査業務の報告書の中でも、確かに病床規模 が小さいほど安全にかけるコストの医業収入比が大きいという傾向が見られる。こういう ことは報告書の中でございます。  ちなみに割合で申しますと、病院全体で医療安全のコストの対医業収入比ということで 1.37%、これが先ほどの406円という数字になってございます。ただ、先ほど申し ましたけれども、これに当たるものを医療安全対策加算でカバーをする、こういう趣旨で つながっているものではないということでございますので、その点だけは……。 ○土田小委員長  ただいまの問題については、先ほど八神室長が話されたことと重なりますが、この検証 部会でも確かに、ある程度規模が大きくなければこの加算がうまくペイしないという実態 が出ておりますので、それで、では、小さいところをどうするかということが当然問題に なってくるわけですから、ただいまの西澤委員の御意見などを参考にしながら、事務局の 方で後で整理していただきたいというふうに思っています。 ○小島委員  今のに関連して。これは前回の改定のときにこの医療安全対策加算というのが50点つ いたのですけれども、そのときの議論としましては、すべての医療機関で医療安全管理を するのは当然、前提である、なぜそれにあえて加算をつける必要があるかという議論が前 回あったのです。そういう議論の中で、そうはいっても、さまざまな今事故等もあるとい うことの中で、結果的にやはり、入院されている患者の立場からしても、きちっと安全対 策をするのが必要だということで、あえて専従ということに限定をして、そういう体制を 組んだところには加算をつけるという、そういうことで前回この加算がついたという経緯 がありますので、確かに、この加算がとれるところは大きな病院、機関でしかないという ことでありますけれども、本来はこの加算をつけることがどうかということもありますの で、中小のところでもとれるように緩和しろということは、そこはやはり議論があるとこ ろだと思いますので、そこはもう少し検討が必要ではないかと思います。 ○西澤委員  今、もうこれは当たり前のことだと言いましたけれども、私たちもそうとらえています。 でも、当たり前のことが、今、国民は要求していて、私たちが当たり前のことをするため に非常に費用がかかっているということはぜひ御理解いただきたい。安全ということは医 療の質の一番コアの部分なのです。当たり前のことをするのに全く経費がかからないので あれば評価しなくていいですけれども、医療の質を上げるために、どんどん、年々、私た ちは経費を、コストをかけているということはぜひ御理解いただきたいと思います。 ○土田小委員長  ただいまの西澤委員からの意見については、大体ここではそういうコス トがかかっている、ただ、そのコストの大きさは意見の食い違いがありますが、コストが かかっていることについては恐らく共通の認識になっているというように僕は理解してお ります。 ○古橋専門委員  論点の(1)についてでございますけれども、現場の声などを聞きますと、特に手術室 関係の管理者、看護の管理者などは、やはり臨床工学技士の配置というものを本当に切望 しております。医療機器の技術革新で、看護師がそれにかかわってというようなことは、 もう限界を超えた状態でございますので、ぜひともこれが進められるということが必要だ ろうと思います。  それで、今議論もございましたけれども、やはりここに注がれる人件費がペイされるよ うな状況でないと、評価をしていただいてもこれが推進力にならないということは、褥瘡 ハイリスクなどでも私どもは現場的に経験しているところですので、そのことも大きいと 思います。  もう1点は、ちょっと論点から外れますけれども、今日出ました資料を見ましても、専 従者は看護職が多いのですが、規模の多いところでも1人というようなあたりがもう8割 でございます。すると専従者は、業務的にはリスクのインシデントレポートの集計とか会 議開催準備等に追われまして、本質的な安全管理に向かう余力というようなことがなかな かないところも多いのです。そういう点では、施設基準としては、これこそ専任あるいは 担当でいいのですけれども、部門ごとにこうした安全管理を担う者の置かれ方というのが 必要ではないかと。そして、研修等も開かれておりますけれども、参加者数がままならな いというのが現実的にございます。そういう点で、部門ごとにそういう担当者が置かれる こと、努力はなされていますけれども、そうでないところもたくさんありますので、部門 ごとの具体的研修というようなものもそういうところで図られるというのが、実践の場で は大事な状況だろうと思っております。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  論点ですが、確かに臨床工学技士を配置している医療機関に評価するということは、も っともだと思います。さらに、ICUだとかハイケアユニット、これに対する薬剤管理の 適切な使用も、これも充実するのは結構なことと思うのですが、しかし、我々が考えるべ きは、やはり全国の医療機関全体の医療安全に対する底上げといいますか、その観点がま ず先決ではないでしょうか。人員配置が充実している医療機関だけ手厚くするということ ではなくて、全体の底上げがまず先決ではないかと思います。 ○土田小委員長  私の理解は、前回から底上げを図る施策が大分行われてきておりまして、今回もその一 環だというふうに理解しておりますが、事務局、その辺をもう少し詳しく説明してくださ い。 ○事務局(原医療課長)  究極的には、医療安全に係るさまざまなことを個々にすべて評価していくのはかなり難 しいことだろうと思います。そういう意味では、先ほど言いましたけれども、病院なら病 院総体としてコストをどう賄っているのかというところで見る以外は多分ないだろうと。 できるなら、個々のものに評価できるところは部分的に点数化していく、そういうような 方向を考えていきたいと思っております。 ○対馬委員  論点の(1)の臨床工学技師ですけれども、資料の限りでは良し悪しの判断がつかない のです。例えば、臨床工学技士は、現状で恐らく2万人以上いるのだろうと思うのですが、 そのうちどの程度が実際病院に勤務しているのか、どういった病院に勤務しているかが明 らかにならないと、いた方がいいという程度の話では、ちょっと議論にならないのではな いかと思うのです。  (2)のところも、それにやや似たところがあるのです。薬剤で重篤な副作用というの は、これはもちろん病院においても、また薬局においても起こり得るのだろうと思います が、ここでなぜ病院だけ病棟薬剤師の問題が出てきているのか。といいますのは、こうい った問題は、急に浮上したわけでは多分ないのだろうと思うのです。病棟薬剤師の問題に ついては、医療安全の問題もありますけれども、医薬分業に伴ってどういう形になってき ているのか、ないしは後発医薬品の問題等々さまざまな論点があるのだろうと思います。 いずれにしても、病棟薬剤師の現状、またここ数年来の変わり方、ないしは求められてい る役割の変化、そういった中で議論しないと、いい悪いと言うのは難しいのではないかと 思います。 ○土田小委員長  ただいまの対馬委員の発言について、臨床工学技士の配置問題あるいは2番目の方につ いて、事務局の方で。 ○事務局(原医療課長)  病院全体の中で何人いるかというのは、ちょっと手元にデータがありませんが、ここで 2005年に臨床工学技士の業務実態調査というのをやられている報告がございます。発 送7,300うち、回収率46%で、3,300余りが返ってきている。それのうちの9 0%以上は何らかの病院に勤めておられます。少なくともそれぐらいはおられる。例えば 具体的な業務として、ですから、先ほどの臨床工学技士の国家試験の合格者そのものは2 万3,000名余りということになっていまして、そのうち今どれだけがというのは、ち ょっと今手元にデータがありません。先ほど、これはアンケートですが、多分医療機関に 勤めている人が中心だろうと思いますので、9割ぐらいと言いましたけれども、全体がち ょっとわからない。  具体的に例えば、ペースメーカーの移植術でありますとか交換術、それから冠動脈・大 動脈のバイパス移植術とか、そのときの体外循環用の人工心肺のメンテナンスとか操作と いうのがやられているわけですけれども、そのほかにも、血液浄化装置、それからカテー テル、心臓カテーテルなど。それから、高気圧酸素療法の高気圧のタンクとか、そういう やはり機械・機器類についての関係の業務及びその機械のメンテナンス、そういうような ことを実際にやっておられるというふうな状況だと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  病院の薬剤師の業務の関係でございますけれども、このいわゆる病棟業務、薬剤管理指 導業務ということで、点数上はそういう名称でございますけれども、これについてはもう 過去10年以上前から点数化されておりまして、かなりの病院で実施をされている状況で ございます。ただ、現行の点数の設定が、どのような薬を使っても、また、患者さんの重 篤度によっても一律の点数になってございまして、どちらかというと、医療安全という視 点で考えていきますと、より使い方の難しい薬、副作用の発現しやすいような薬、また患 者さんの重篤度が高い、こういうICUの患者さん、そういったところになるべく重点化 をしていった方がより医療安全に資するのではないか、こういう発想でこのような提言を させていただいております。  それからあと、今の例えば病棟業務の実施状況ですとか、そもそも病院薬剤業務の在り 方といいますか、どういうことをやっていくべきなのか、こういうことにつきましては、 この夏に医政局の方で病院薬剤業務の在り方に関する検討会の報告書が出ておりまして、 どういうことをやっていくべきかということで、医政局でまとめていただいておりますの で、必要であればそういったものをお示しさせていただければと思っております。 ○対馬委員  もう一回ぐらいこういった議論の場があると思いますので、そのときでも結構ですから、 今言われた臨床工学技士の問題も、それから病棟薬剤師の問題もぜひお出しいただければ と思います。 ○土田小委員長  よろしいでしょうか。 ○山本委員  先ほど対馬委員から薬局の方のお話が出てまいりまして、大変ありがたいお話でござい ます。私どもも、点数の大小はともかくとしまして、現場では薬剤師が調剤をしますので、 100%かかわっていられるという意味では、その御懸念はなかろうかと思います。  もう1点、薬剤管理官のお話の中に、重篤度に重点を置いた評価をするという、それも 大変ありがたいことでありますけれども、その重篤度と同時に、意識のある患者さんにつ いては多分これまでの病棟業務で十分なのでありましょうけれども、時として意識のなく なっているような方に対してもやはり薬が使われているケースがありますので、そうした 部分も含めた評価というので理解してよろしいのでしょうか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  多分今の御質問は、結局、今の病棟業務の要件が、いわゆる直接服薬指導をすると。つ まり、患者さんの当然意識もあって、この薬はどのように飲むのかというベッドサイドで の、薬剤師が直接服薬指導を患者にするということが前提の点数でございますので、確か に重篤度が高い患者に重点化をするということになってまいりますと、では、直接的な服 薬指導はなかなか、患者さんも意識はないわけでございますので、そういった場合には要 件を満たせないではないかと、こういうお話かと思います。多分、総合的な薬学的な管理 というのが確かにいろいろあろうかと思いますが、そういったものについて、どういう形 で評価していくのか、これはまた議論の部分だと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの議論、大分、具体的なイメージがわかってきたような気がしますが、また議 論を煮詰めていきたいと思います。 ○遠藤委員  やや方向が違う話かもしれませんけれども、この医療機器に関して、立会いが公正な取 引の観点から抑制されるということ、これは20年4月1日より実施ということで、また、 もし今回の議論で臨床工学技士の配置が評価されるということになりますと、今まで特定 保険医療材料の中で、特に内外価格差の大きい材料については、その格差のある根拠とし て、これはメーカー側が幾つかの理由を挙げているわけですけれども、その中の一つにこ の立会いがあるということが頻繁言われていたわけでありますけれども、今回こういう形 で立会いが抑制されるということになれば、おのずとその内外価格差の縮小の方法も、や り方も、多少変わってくる可能性があると思いますので、ぜひそういう視点を入れながら、 20年4月より実施されますから、適当な時期に立会いの状況等々を検証していただいて、 それをベースに内外価格差の調整の仕方を改めて考えていただくというようなことを提案 したいと思います。 ○土田小委員長  大変重要な指摘だと思います。事務局の方で検討してください。  「医療安全」についてはまだ議論があると思いますが、ただいまいただきました御意見 等々を踏まえて、もう一度論点を整理していただきたいと思います。  今回、医療の基本政策を踏まえて、その診療報酬の評価を検討するということは、前回 の改定に際して、社会保障審議会の基本方針としても示されてきたことでございます。今 回の改定におきましても、このような医療政策の見直しを踏まえた診療報酬の検討という ことを基本的に据えながら審議を進めていきたいと考えております。  繰り返しますが、今日の議論を踏まえて、医療安全対策についての論点をもう一度整理 していただきたい。それから、今日出ました資料等々についても、次回に提出して議論を 深めていきたいというふうに考えております。  それでは、「医療安全」は一応ここまでにしまして、次の議題に移りたいと思いますが、 よろしいでしょうか。  次は、「救急医療」について議題としたいと思います。  救急医療に関しましては、今年の6月に救急医療用ヘリコプター、いわゆるドクターヘ リを全国的に整備するということを目的とする法律が成立しております。  これを踏まえた資料が事務局より提出されておりますので、説明をお願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  「救急医療について(1)−ドクターヘリ−」、中医協診−2−1の資料と、それから参考 資料として診−2−2の資料をつけております。  このドクターヘリにつきましては、参考資料の方にございますように、「救急医療用ヘ リコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法」という法律が制定をされました。  それに基づきまして、参考資料の4ページをごらんいただきたいのですけれども、附則 の中で、「健康保険等の適用に係る検討」の項目が定められております。「政府は、この 法律の施行後三年を目途として、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の提供の効果、 救急医療の提供に要する費用の負担の在り方等を勘案し、救急医療用ヘリコプターを用い た救急医療の提供に要する費用のうち診療に要するものについて、健康保険法、労働者災 害補償保険法その他の医療に関する給付について定める法令の規定に基づく支払について 検討を行い、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものと する。」、こういう定めがございます。既に今年施行されておりますので、3年後までに、 一応その診療に要する費用について検討していく必要があるということが法律上定められ ております。  それで、1枚だけの本体の資料、診−2−1ですが、このように定められたことに伴い まして、まずドクターヘリの現状ということで、少し御説明をさせていただきます。ドク ターヘリにつきましては、厚生労働省の補助事業として、ドクターヘリ導入促進事業とい うものを持っておりまして、その中で整備が進められてきたわけであります。現在10県 10機がこの補助制度の対象として運用されておりまして、年間4,000件余りの出動 件数になっております。  そのあたりの資料は、参考資料の6ページ、ここに事業の概要がございますし、それか ら19年度予算補助額として11億余りということになっております。それから活動の状 況、写真でコピーでちょっと見づらいですけれども、このようなヘリコプターの中で、さ まざまな機器・装置を備え、医師や看護師さんでしょうね、これがいろいろと活動してお られます。ヘリコプターは実際に乗りますとやはり相当うるさくて、直接そこで本格的な 診療はなかなか難しいわけですけれども、ドクターヘリが患者さんがおられるところへ直 ちに行って、そこでまず何らかの処置をする、そして、ヘリコプターでまた連れて帰って くる、そういうような一連の経過が生命予後に効果があると言われて、世界各国でも使わ れているわけであります。  9ページに、その搬送件数等々がございまして、年間このドクターヘリ事業の対象のヘ リコプターで約4,000件、これは一番右の欄が平成18年度でございますが、3,9 00件余りということになっております。大体1機当たり350回ということですから、 1日1回ぐらい使われている、そういう状況であります。  そのほか、搬送だけのために例えば消防防災用のヘリでありますとか、あるいは緊急の 場合は自衛隊等のヘリコプター等も使われております。  それから、実際にこの法律ができまして、現在、ドクターヘリの導入促進に係る諸課題 について省内で検討会を持って検討をさせていただいております。  それから、ドクターヘリの実際の効果ということでありますが、これは、かなり使われ 方自身が非常に緊急的なものでありまして、ケース・コントロール・スタディのように、 対象を置いてなかなかほかと比較しにくい分野でもございますが、限られたデータではあ りますが、一定の効果があると言われております。  例えば参考資料の13ページでございますが、現在、年間4,000回近く使われてい るうち、現場に出動するのが大体70%であります。そのほか病院間の搬送に約4分の1 が使われている。それから、実際に搬送した中で、ここでは2,000件を集計しており ますが、半数余りが外傷がやはり中心である。それから次いで、その他内因性疾患、脳血 管疾患、心・大血管疾患というような順番でございました。  さらに、その重傷度というのがありまして、14ページございますが、残念ながら亡く なられる方も約1割弱ですけれどもおられます。それから、重篤、重症、中等症、このよ うな分類をしているわけでありますが、重篤の方が22%、重症の方が38%ということ で、当然ながら、やはり相当重傷の方を対象に搬送等をしているということであります。  効果の方は15ページでございますが、ここの研究報告からちょっと引用させていただ きました。下の方に文章で書いてありまして、下線を引いております。ドクターヘリの要 請から医師が治療を開始するまでの時間、これが最短で11分、最長で17分、平均14 分ということでありました。これは従来の救急車搬送と比較した場合に、短縮効果が平均 で27分程度ある。先ほど申しましたように、医師が乗って現場に行きますので、そこで 治療を開始できると、そこのメリットが非常に大きいということであります。救急車の場 合は、行って、連れて帰ってきて病院で治療が始まると。こういうことから、非常に診療 時間の短縮というのは効果があるだろう。ただ、ここはあくまでドクターヘリの要請から の時間を書いておりますので、普通は119番をしてからドクターヘリが必要な場合にそ こに回ってきますので、その間のロスタイム等々もございますが、いずれにしても、治療 開始の時間は相当早くなっているのではないかと推察されます。  それから16ページでございますが、これも先ほど言いましたように、直接枠をコント ロールをとって調査がなかなかできませんので、これはドクターヘリに乗っておられた医 師の研究者の主観でございますけれども、下の図を見ていただきますと、中等症・軽症の 部分はあまり変わりませんけれども、実際に搬送した重症な患者さん以上の重篤さの患者 さん、その部分において、例えば救急車で搬送した場合にはやはり死亡したであろう、そ の部分がドクターヘリで救命できるという部分がこういう状態になっているのではないか。 ですから、相当やはり重篤な状態を早期に行くことによって命を救うということには効果 があるというような、これもなかなか客観的に評価は難しいところでありますが、そうい うような形でデータが出ております。  それから、費用関係では、例えば17ページでございますが、ここはざっと、いろいろ と補助金等を使いながら、いろいろ費用をやっておりますということで、やはり本体の減 価償却でありますとか、操縦のための人件費、あるいは航空保険等々、ヘリの固定費が約 1億3,000万円余り。それから、医師等の人件費、これが医師1名、看護師1名で1, 389万、やや安いかなと思いますが、そのほかの部分もあると思いますので。あと、ヘ リの燃料費等々、この運航のための費用、こういうような形で、今それを県と国の補助金 で賄っている。健康保険でも、実は、診療の部分を一部見ておりまして、診療報酬、ここ では1機当たり390万というふうに出ております。  本体の方の資料に戻っていただきまして、2ページをごらんいただきたいと思います。 今出てまいりましたこのドクターヘリの運航に伴います診療、それにつきましては現在、 救急搬送診療料という得点が設定されておりまして、これは患者を救急用の自動車等で搬 送する際に、診療上の必要から、同乗して診療を行った場合に算定できるということで、 これは自動車、いわゆる救急車のみならず、ドクターヘリの場合も適用する。さらに、当 然ながら、これは緊急を要する往診にも当たりますので、往診料の650点、合わせて1 回出動すると1,300点は一応診療の費用として見ているということであります。現状 では、早急にこれに対して結論を出さなければいけないというわけではありませんけれど も、とりあえずこの部分について今後どう考えていくのかということについて御議論をい ただきたいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして、論点は「どのように考えるか」ということになっており ますけれども、御意見を承りたいと思います。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  このヘリ特措法というのですか、これにも書いてありますように、まず3年後に見直す ということが決まっていますよね。さらに、「諸課題に関する検討会」を今開催中で、そ の検討会の内容、結果がある程度見えてきてからでもまだ遅くはないのではないか。現時 点において中医協で議論するという段階ではないのではないかと私は思います。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。 ○対馬委員  基本的には中川委員の意見に賛成です。  ただ、よくわからない点もあります。今日の資料にも出ていますが、参考資料の一番最 後の18ページ目のところ。今回議員立法で決まったわけですけれども、我々もヒアリン グなどを受けまして、その際に、救急車との関係はどうなのかといった議論を大分いたし ました。医療費は、救急車の場合であれば、お医者さんが同乗しなければかからない。そ れとの関係はどうなのだといった議論もしたわけです。  そういう意味からしますと、もう少し全体感が見えたうえでということになるのですが、 その前のページをごらんになっていただきますと、1億7,000万円ほどかかるという ことです。今の議論は、1機当たり診療報酬で390万円かかる部分についてどうしよう かということなのでしょうか。全体的に見ますと、総額の中で占める比率は小さいことは 事実で、今回の法案の中まで私もよくフォローしていなかったのですが、補助事業として やっていくけれども、一部基金を募るという話もあったと思います。そのあたりの全体感 がよく見えないところがある。そこはどうなのかという質問です。 ○事務局(原医療課長)  その問題につきましては、先ほど中川委員からも御指摘があった、参考資料の11ペー ジに、「諸課題に関する検討会」、今医政局の方で持っておりまして、この運航そのもの をどういうふうにしていくかということで、今さまざま議論がされていると聞いておりま す。例えば、この助成金を交付する法人をつくってやってはどうかとか、そういう議論が されているということでございます。  ということで、詳細な中身までちょっと私は承知していませんけれども、そのあたりで いろいろと検討されるのだろうと思います。  助成金の交付事業、これ自身が基金をもとにした助成金というものを想定されていると いうふうに聞いておりますので、その医政局の方の検討会で議論がされている。 ○土田小委員長  以上ですか。 ○事務局(原医療課長)  それと、ここで何を議論するのかというお話がございましたので、それはあくまで附則 にありますように、それを用いた診療に要する費用、その部分をどう考えるかと。それが 今の救急搬送診療料と往診料だけの評価でいいのか、あるいはその診療に要する部分とい うのは医者だけではありませんので、どこまで考えるのかということもあろうかと思いま す。そういう意味で、そこは検討を深めるときにどこまで考えていくかということの範囲 は、必ずしも人件費だけを考えればいいということではないのだろうと思います。 ○遠藤委員  それにちょっと関連しまして確認したいのですが、18ページのところにドクターカー とドクターヘリが書いてあって、診療報酬のところは、両方とも往診料と救急搬送診療料 が払われていて、診療報酬は1,300点ということで、これは、すなわちドクターカー とドクターヘリは現時点は同じだということですね。ということは、ドクターヘリをもし 増やすということであるならば、ドクターカーとの関係でどう違うのかという ような議論が一つ必要になってくる、そういうふうに考えてよろしいわけですか。 ○土田小委員長  恐らく整理はそういうことですよね、僕もそう思っていますが、だけど、そこを区分す るかどうかという、その議論だと思います。 ○事務局(原医療課長)  先ほどの救急車、医者が乗っていない救急車の場合は、行って、患者を連れてきて診療 が始まる。ドクターカーの場合は医者が乗っていますので、行ったところから始まる。ド クターヘリの場合も行ったところから始まるので、そこは同じなのですが、その距離的な 問題とか時間的な問題とか、そういう意味では、やはり実績などを見ながら、やはりドク ターヘリが効果があるというのなら例えば高く評価してもいいかもわからないし、そのあ たりはまた今後議論していただけたらと思います。 ○室谷委員  検討会で中身をお詰めになるというのは、その後で議論すればいいのですけれども、一 番最後のこの資料の中で、県が負担というのがございますね。都道府県が負担する場合は、 その地域の地域性を見なければならないということがあるわけです。ですから、それぞれ のどこに配置するかということになりますと、都市化しているところは救急車の方が早い という場合もあります。というのは、呼んでもヘリコプターが到着できる場所がないとい う場合があるわけですね。そういう意味で、この件数は、ドクターヘリに乗った人は大変 助かったということにはなりますけれども、平等性みたいなことがありますし、地域性み たいなことがあるわけです。だから、これから診療報酬を考える場合には、この平等性と いうのも考えていく必要がある。重篤の患者というのは、ヘリでも救急車でも、両方とも 同じことがあり得るわけですから、その辺の考え方は、これからの論点に入れていってほ しいなというふうに思います。 ○土田小委員長  重要な指摘だと思います。 ○鈴木委員  僕も室谷委員と同じことを考えていました。やはり救急車と乖離するような形ではどう いうものかと思いますし、なおかつドクターヘリの場合は、夜間運航できませんので、相 当制限された中での効果・評価になると思います。その辺もあわせていろいろまた検討を 深めていければいいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  ほかにございますか。 ○事務局(原医療課長)  先ほどの医政局で持っている検討会のことをもう少しお話をしておきたいのですが、こ の検討会で実際にやっておりますのは、基金をつくって、その助成金を交付する事業、そ れをどういう仕組みでやるか、だから、そのための法人をどうするかとか、候補の対象を どうするかと、そういうようなことを検討するということで、診療報酬の部分をここの検 討会で検討されるわけではございません。 ○土田小委員長  今のは下に書いていますよね。診療報酬にかかわることは取り扱わないと書いています から。  ほかにございますでしょうか。  それでは、このドクターヘリについては一応そういう意見が出たということで、次の議 題に移りたいと思います。  次はやはり「救急医療」の問題ですが、「脳卒中発症早期の対応」を取り上げたいとい うように思います。我が国の人口高齢化に伴いまして、脳卒中になる方の数は増えていく ことが見込まれておりますが、その一方で、科学技術の進歩によって高い効果が見込まれ る治療方法も出てきております。  これを踏まえた資料が事務局より提出されておりますので、最初に説明をお願いいたし ます。 ○事務局(原医療課長)  中医協診−2−3の資料をごらんいただきたいと思います。「救急医療」の2番目の項 目として、「脳卒中発症早期の対応」という項目を取り上げさせていただきました。  脳卒中の現状と課題でありますが、現在、日本人における死因の第3位が脳卒中、脳血 管疾患の死亡であります。それから、有病者数といいますか、患者の数は約137万人と いうことになっております。それから、年間12万8,000人が死亡されております。 それから、脳卒中につきましては、長年、戦後日本の死亡の第1位を続けていたわけであ りますが、その中ではやはり脳出血が多かったわけですが、最近は、脳卒中の中でも脳梗 塞の割合が死因の6割程度を占めているということになっております。  それから、今後死亡の状況等を見ますと、がんの死亡が当然1位なわけでありますが、 高齢者になればなるほど逆に脳卒中の割合が増えてまいりまして、今後後期高齢者等を含 めて高齢化がさらにどんどん進んでいくと、65歳以上というくくりではなくして、75 歳以上、あるいは85歳以上の方がどんどん増えていくとすると、患者数も当然ながら増 加するということは予想されます。そのために、非常に重要な疾患として考える必要があ るだろうと考えております。  それで、特に今回は、脳梗塞の治療について、最近t−PAという血栓の溶解剤が使わ れるようになりました。この薬は非常に強い効果があるものでして、脳梗塞、要するに、 脳の血管が詰まる方の病気ですが、詰まったところを溶解をするということで血流が再開 するわけですが、非常に強い薬ですので、発症後3時間以内に使う、そういう条件の下に 使うことによって後遺症の発生率を下げるということが、アメリカあるいは国内でも実証 されているわけであります。  これは非常にいい薬なのですけれども、使い方が非常に限定されております。発症後3 時間以内ということですので、そのためには、患者さんがまず発症したらすぐにできるだ け早く医療機関に到着することが必要ですし、病院に到着した後は、その見極めをした後 でこの薬を投与するということになります。先ほど言いましたように、非常に強い薬です ので、脳の血管が詰まった場合にこれを解かすわけですので、脳出血のように血管が破れ ているところにこれを投与しますと、逆に出血がとまらなくなりますので、脳出血か脳梗 塞か、その脳梗塞の診断というのが非常に重要になる。そのためにはさまざまな画像診断 でありますとか、神経学的診察でありますとか、その他の検査等が、常に24時間対応で きるような体制でなくてはいけないということで、これを常時対応できるようにするには 非常にコストがかかるということになっております。  また、医療計画を都道府県でつくっていただいておりますが、その中でも、特にこの脳 卒中につきましては、この発症のときの治療から、あるいは後、またいずれ議論していた だきますけれども、リハビリテーションの問題等々を含めまして、地域の中でネットワー クをつくって対応していこうというような計画がつくられることになっているわけであり ます。  1枚めくっていただきまして、3ページにシェーマを示しております。発症してから救 急車を呼ぶ、救急隊が着いて病院へ来る。発症から救急要請まで、患者さんによりさまざ まありますけれども、救急の要請を受けてから患者さんを病院へ連れていくまで、往復3 0分程度というのが平均的だと言われております。その搬送途中に病院側に受け入れの要 請をするわけでありますが、病院側では、その連絡を受けてから実際に到着するまでの受 け入れの準備、それからさまざまな神経学的検査や血液検査や画像診断等々を行って、最 終的にこのt−PAという薬を投与するという手順になってまいります。国立循環器病セ ンターの実績では、病院に到着されてから実際に投与されるまでの平均が約70分という ような状況であります。ですから、ぎりぎりのところを足していきますと約100分です ので1時間40分、その患者さんの発症からの連絡がどれぐらいかかるかとか、あるいは 院内での段取りの問題等々も含めますと、それでもおおむね体制を整えていれば3時間程 度で何とかできるだろうと考えられます。  2ページに戻っていただきまして、現在この薬そのものに着目した点数はなくて、現在 は救命救急入院料という中で当然ながら評価をされるということで、救命救急入院料、こ の点数が加えられております。今回の論点は、このt−PAという薬を使えるような体制 について高く評価してはどうかということが今回の御提案でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして御質問、御意見などございましたら、どうぞお願いします。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  私、実際のこの治療をしている者として、大変現場としてはありがたい評価だなと思い ます。今関連することとして、産科・小児科の医師不足というのが非常に言われています が、臨床研修を終わった後の選択科目として、実は産科・小児科よりも最も少ないのが脳 神経外科なのです。全国の脳卒中医療の急性期医療は、実はあまり知られていない方もい るのですが、神経内科、内科ではなくて、脳神経外科がほとんどの主体なのです。そうい うリスクの高い診療科の代表的なものの一つとして脳外科があって、この体制というもの を非常に苦労してやっています。  それで、この3ページの図がありますが、発症から救急要請してということで、ここで も大問題があります。だれかの前、御家族の前とか人の前で発症しなければ発症時間が正 確にわかりません。倒れているところを発見されて救急要請しても、これは不明なのです。 変な話ですが、例えば今この中医協の場でだれかがお倒れになって救急車を呼んだら何分 で来るでしょうか。15分、20分かかりますよね。多分ここから運ぶとすればお茶の水 か千駄木あたりに行くのだと思いますけれども、そこに到着して30分。それから速やか に画像診断して治療を開始すると。180分が絶対的な条件ですから、この体制というの は、救急車から病院に連絡して体制を整えるのではなくて、常に24時間365日この準 備をしなければいけないのです。そういう意味では、脳外科医不足も含めて、評価という のはぜひお願いしたいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○対馬委員  原課長の説明と、また今のお話も含めて少し理解が進んだと思うのですが、ただ、資料 の2ページ目の四角で囲った現行の点数は、救命救急入院料2ということで、特定集中治 療室管理料を算定できる施設であれば1万400点ですから10万円、かなり高額な金額 がついている。この体制と提案の体制とは一体何が違うかよくわからないのです。画像診 断あたりがちょっと違うのでしょうか。「体制について評価する」とあるのですけれども、 一体何が違うのか。医師の数なのでしょうか。ICUであれば恐らく24時間体制などは 当然のことながらやっているはずなので、そうしますと一体何がと違うのか。 ○事務局(原医療課長)  この救命救急入院料のところについては、都道府県がされる医療計画の基準というもの で定めている。明確に、例えば24時間CT検査とかMR検査ができなければいけないと か、そういう形での基準を決めているわけではありませんので、大もとに戻っていってど の程度の対応ができるようにというところはきっとあるのだと思うのですけれども、ちょ っと今手元に資料はございません。  それで、もし今回これを評価するとしたら、まさしくCTもしくはMRIが24時間常 にできなければいけないとか、そういう画像診断の体制、それから検査の体制、それから ICUの基準には当然クリアをしなければいけない、そういうようなところはつけていく 必要があるだろうと思いますし、それから、これ一応基準を満たしても実は数%には梗塞 後の出血が起こるという場合もありますので、それに対応できるためにはやはり脳神経外 科の対応ができるとか、そのような条件はいろいろとつけていかなければいけないと思っ ております。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  緊急性でありますとか必要性は十分よくわかるので、そういう方向で検討いただいてい いかというふうには思うのです。ただ、このあたりについては相当体系が複雑になってい るというふうに思うのです。前回の改定のときにもハイケアユニットの中に脳卒中だけは 高くつけたのですよね。脳卒中については、脳梗塞とか脳出血、くも膜下、こういったも のすべて高く評価していますし、あと特定集中治療室管理料なんかもあるのですよね。で すから、相当入り組んでいますから、またさらにここを入れますとなかなか複雑になって きますので、そこも、実際に評価するときにはよく配慮していただければと思います。  追加させていただきますが、t−PAの急性期治療の大事なのは、施設基準というより も確定診断までのスピードとそれに伴う治療開始までの迅速な流れなのです。それをあえ て施設基準というものを厳しくすると、せっかくt−PAで助かる患者さんの範囲が狭ま るというおそれが非常に高いのではないかと考えています。もう1つ、特定集中治療室管 理料というのは実は非常にハードルが高くて、第一線でやっている脳神経外科の病院は、 ICUに専従の医師というところが非常に苦労するのです。それで、大病院以外はこれが なかなかとれていないというのが実態だと思うのです。 ○土田小委員長  すると、中川委員は新しくt−PAをつける場合の従来と違う加算が欲しいという、そ の根拠はどこに一番あると考えていますか。今スピードとおっしゃいましたけれども、ス ピードというのは漠としてちょっとわかりにくいのです。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  スピードというのは、むだのない迅速な流れということで、日常診療から非常に高いレ ベルの診療体制をしていないとできない、発症した脳梗塞が初めて来るよというところで はなかなか難しい、普段からの整備が必要だということの評価という意味です。 ○小島委員  もう少し簡単に言いかえると、実際にt−PAを投与した場合に、そのときに加算をつ ける、あるいは評価しろと、そういう意味なのですか。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  結果としてそうなるでしょうね。先ほどの3時間という意味を御存じない方もいるかも しれませんけれども、3時間を超えてもし投与してしまった場合には、大出血でそれで亡 くなってしまうという場合もあるわけですから、その3時間というのが非常に大事だとい うことなのです。 ○土田小委員長  いかがですか。 ○事務局(原医療課長)  ここで、日本脳卒中学会がt−PAを使っていいだろうというような病院の基準を出し ておりまして、そういうところにCT、MRI検査が24時間可能であることとか、集中 治療のための十分な人員を中心とするストロークチーム(脳卒中チーム)、あるいはSC U(脳卒中のケアユニット)に準ずる設備、それからやはり大事なのは、不慮の事故があ りますので、それに際して対応できる脳神経外科的な処置が必ず行えること、それから経 験を十分積んだところであって、例えば発症後24時間以内の脳梗塞を年間50例以上扱 っていることと、そのような条件を学会の中で決めておられます。そういう意味で、これ らも参考にしながら決めていく場合には、ある程度基準は決めていかなければいけないだ ろうと思いますし、あと、先ほど中川先生がおっしゃられたけれども、ここで言っている 集中治療は診療報酬上のICUの基準とは多分想定は全然違いますので、そのあたりも含 めながら基準を考えるときは考えていきたいと思います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○松浦委員  軽い脳梗塞でもやるのですか、それともかなり重いやつにこれをやるのですか。 ○土田小委員長  いかがですか、中川委員。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  私が答えるのは申し訳ないですけれども、発症早期ですから必ずしも重症ではない場合 もあります。ただ、画像診断でどこの血管が詰まっているとかという確認は余裕があれば しますけれども、例えば下半身麻痺が出ていて、まずは出血でないという確認なのです、 CTをやる、もしくはMRIをやる、そこから始まります。ですから、重症度はあまり関 係ありません。 ○松浦委員  私の友達にもちょっと脳梗塞でしびれが残って、リハビリして何とか治ると、恐らくこ れ、t−PAとかいうのはやっていないと思うのですけれども。そういうあたりの患者さ んでもぱっと発見したときにこれをやれば全然治ってしまうというようなものですか。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  結果として後遺症がなかったという差が、優位に差があるという結果なのです。やれば 全部いいというわけではもちろんないです。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○山本委員  この疾患に対して考えれば、まさにその診断を早くして治療をするということで、その 後に3時間のうちに薬を投与する、それが効果的だという御指摘だと思いますが、この後 ろのポンチ絵の中にも「調剤」という部分が入っていますので、具体的にどういう形かな かなか難しゅうございますけれども、その24時間の体制できっとお待ちになっているわ けですから、そうした中に、迅速に診断が終わった後にすぐ必要な薬が提供できると、そ ういったものを準備するということも当然必要だと思いますので、この評価の中には、そ れを担当する医療機関に勤務する薬剤師の部分もやはり議論としては入れておいていただ ければなと思います。 ○松浦委員  それからもう1つ、この表の中に「インフォームド・コンセント」と書いてありますけ れども、これはやはり患者さんに説明されるのでしょうね。そのときにひょっとしたら危 ないですよということも当然言われるわけですよね。患者さんの反応はそのとき大体どん ななのですか。 ○土田小委員長  これは中川委員ですか、どうぞ。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  何か中医協でなくなってきているのですが……。もちろん、この薬を使って今どういう 脳梗塞が始まっていて、今どこの血管が詰まっていてこういう症状が出ていると。それで この薬を使って、いわゆる改善率はどのぐらいで、結果としてこうだと、後遺症が残る人 もいるとか、すべてのことをお話しするわけです。ただ、この3時間以内の流れの中でお 話しするわけですから、いろいろな反応がもちろんあります。ぜひお願いしますというの もありますし、ちょっと待ってくださいと、いろいろな方がいらっしゃいます。その結果 で納得された方にこういう治療を開始するということです。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。  ほかに御質問ないようでしたら、本件に係る質疑は一応このあたりにしたいと思います。  一般的に、患者のQOLの向上のためには予後の改善が望まれるわけですが、このよう な治療を広く進めていくということは非常に重要であるという点では皆さんの認識が一致 したというふうに思われます。事務局では、今日の議論を踏まえてもう一度論点の整理を お願いいたします。  次は、「心の問題」を取り上げたいと思います。  これについても事務局より資料が提出されておりますので、最初に説明をお願いいたし ます。 ○事務局(原医療課長)  「心の問題」について、ここでは大きく「自殺対策」と「子どもの心」の問題、2つ取 り上げております。中医協診−3と診−3−2の資料を準備しております。診−3−2の 資料の方は適宜御参照をいただきたいと思います。  まず、自殺対策についてでございますけれども、平成10年に自殺による年間死亡者が 3万人を超えまして、ほぼそのままその水準が続いております。それまでは2万人程度で あったものが急激にこのころ増えたわけでありまして、そのまま現在に至るまでも高どま りをしているという状況であります。  今年の6月に自殺対策基本法に基づいて「自殺総合対策大綱」というものが閣議決定さ れております。参考資料の1ページと2ページに図でもって示しております。この中で、 さまざまな国民への啓発の必要性、あるいは医療・福祉などの役割、また当然ながらのも のがさまざま書いてございまして、例えば参考資料の1ページで見ていただきますと、 「基本的考え方」の中に、「うつ病の早期発見、早期治療」、その右側の方にそのための 重点施策として、「適切な精神科医療を受けられるようにする」ことでありますとか、 「自殺未遂者の再度の自殺を防ぐ」等々が書かれて、施策として重点的なものとして取り 上げられているわけであります。  参考資料の2ページをごらんいただきますと、当面の重点施策、9つの枠の中のちょう ど真ん中に、「適切な精神科医療を受けられるようにする」ということで、まずはうつ病 の受診率の向上というものがございます。それから、その右上に行きまして、「早期対応 の中心的役割を果たす人材を養成する」、ここは精神保健福祉課でやっておりますが、か かりつけの医師等のうつ病等の精神疾患の診断・治療技術の向上ということで研修事業を 予定していると聞いております。  そこで、この自殺というものを診療報酬の中でどう考えていくかということになるわけ でありますが、参考資料の3ページをごらんいただきたいと思います。上の方に「(図 1)自殺者数の推移」が書いてございます。先ほど言いましたように、年間死亡が2万人 あたりから平成10年急激に3万1,000人余りに増えました。その後、13年だけ3 万人を少し切りましたけれども、大体3万人を超えた高い水準で推移しているというのが 現況でございます。この特徴は、ちょっとこれ色がついていないのでわかりにくいですが、 四角のドットが男性でございまして、三角のドットは女性でございます。女性でも10年 に若干伸びましたけれども、大幅に増えた感じではありませんが、男性が大幅に増えてい るというところが特徴であると言われております。  それから、3ページの下の(図2)でありますけれども、これは「自殺と精神障害」と の関係ということ、これはさまざまな統計がありますが、ここでは飛鳥井先生の資料を引 用させていただいております。自殺企図者、いわゆる自殺をしようとした人ですけれども、 この方々を見ると、約75%に精神障害があるという報告であります。そしてその75% の人の内訳を見ていきますと、約半数近くがうつ病等の気分障害と言われる疾患を持って いたというふうに言われております。そのほかさまざまな方の統計を見ましても、やはり 精神障害を持っている方が多かれ少なかれ相当数あると、ベースにそういうものがあると。 それから、中でもうつ病というのがよく言われております。  それで、4ページをごらんいただきますと、上の「(図3)気分障害」、この中にうつ などは含まれるわけでありますが、これは平成8年以降、3年ごとのグラフでありますが、 急激に増えているのがおわかりになると思います。  こういう状況の中でどのように考えていくかということでありますが、本体の方の2ペ ージに行っていただきたいと思います。現状と課題の中で今お示ししましたように、年間 の自殺による死亡者数が3万人を超えて引き続き高い状態であると。それから、うつ病を 含む気分障害の患者数は急激に増加して、自殺のリスクを抱える方が増大している状況に あるということであります。  実は、このうつ病の問題でございますが、精神的な問題よりも身体的な症状というもの を逆に自分では自覚をして、受診する先が内科などの診療科である方も多いと言われてお りまして、そういう意味では、そういう内科に限りませんが、普段自分が自分としては身 体的な不調を訴えてかかっておられるそこのお医者さんから、うつの疑いがある場合に、 速やかに専門の医師へつなげていただく必要があるだろうと考えております。  さらにもう1つ、自殺企図が見られた患者さんでは、再度の自殺がよく見られます。こ れは報告によってさまざまでありますけれども、いわゆる自殺未遂ですけれども、そのう ち未遂で終わった人が1年以内に半数以上が再度自殺企図を起こすという報告もあります し、そこまでは多くはないという報告もあります。数は大小でありますが、いずれにして も再度の自殺企図を図るということについては研究者の皆さん方の一致した意見でありま す。  そこで、自殺未遂をされた方はしばしば救急に運ばれてこられます。そういう方々に対 して、例えば身体を傷つけたらそれの処置は当然しなければいけませんけれども、身体的 な処置にあわせて心のケアをしてあげる必要がある。そういう意味で、救急の身体的な症 状の処置が終わった後に精神科医によるしっかりとした診療が必要ではないのかというこ とでございます。  そこで論点でございますが、今言いました現況から、何かと身体症状を訴えてきた患者 さん、これにうつ病の疑いがある場合には速やかに紹介していただくということで、こう いう速やかに紹介していただくことを評価してはどうかと。それから2点目は、救急医療 のそういう医療機関において自殺企図者に対する精神的なものも診断・治療できるような、 そういう診断・治療した場合の評価をしてはどうか、この2点を提案をさせていただいて おります。  それから、「子どもの心」の問題でございますが、現状、20歳未満の精神障害の方は、 やはり成人と異なる疾患にかかっております。器質性のてんかん、あるいはその他の精神 及び行動の障害という分類にされます摂食障害でありますとか、自閉症、多動性障害等、 こういうものが多く見られるということで、参考資料の4ページの(図4)に、20歳以 上と20歳未満における精神障害の傷病分類の割合を書いております。縦じまが20歳以 上、横じまが20歳未満でございまして、明らかに20歳以上の場合は、先ほど言いまし た気分障害も多いですし、続いて統合失調症、それから神経症性障害という順番になって おります。それに対しまして若い方々はてんかんというものが圧倒的に多くて、それから 次いでその他の精神及び行動の障害、中身としては摂食障害、自閉症等でございます、こ ういうものが多いと言われております。  続きに5ページの(図5)を見ておいていただければと思うのですが、実は、子どもに ついての診療時間になりますが、ここでは全国児童青年精神科医療協議会というところが 調べられた主要病院での外来の1人当たりの診療時間でございます。30分以上かかる方 が4分の1程度いるということで、非常に1人の方に対応する時間が長くかかっていると いう状況がございます。  本体の方の4ページに戻っていただきまして、現状と課題の(2)でございますが、外 来における子どもの心の診療においては、親子一緒の場合もありますし別々の場合もあり ますが、それぞれ面接することなども多くて、診療時間が長時間になるということ。さら には、実はこの治癒あるいは軽快に至るまでの診療期間というものが年を越えて長くかか るということが、平均的にここでは34カ月と出ておりますが、非常に長期にわたるとい うことがございます。  それから(3)、児童・思春期精神科入院医療管理加算、これは、こういう子どもの心 の問題として専門的にやれるところに対する加算を設けておりますが、実は、ここの届出 が9施設にとどまっております。このあたり、さらに充実が必要ではないかという問題意 識がございます。  次の5ページを見ていただきますと、診療報酬上さまざまなことがございます。子ども の心の問題ですので、小児科で例えば摂食障害等をやっておられる方もございます。そう いう場合には小児特定疾患カウンセリング料というものをつけておりますが、これらも1 年を限度にしている。1年を超えると普通の診察料に戻る。それから、精神科領域では通 院精神療法の中で見ているわけですけれども、20歳未満の場合は通院精神療法は6カ月 以内の加算にとどまっております。それから、入院では先ほど言いました児童・思春期精 神科入院医療管理加算、1日につき350点ということでありますが、実はここの施設基 準が、病棟の入院患者のおおむね8割以上が20歳未満、ほとんど子どもで占めると。そ れから、病棟に常勤医師を2名配置、うち1名が精神保健指定医である。看護配置は10 対1以上。このように、かなり手厚い配置をしなければいけないということで、実はその 伸びが下の段に表になっておりますが、平成18年では9施設・520床という状況でご ざいます。  そこで6ページ、論点でございますが、(1)、子どもの心の診療においては、診察時 間が長時間に及ぶ場合がありますので、この診療時間に応じた診療報酬上の評価を検討し てはどうか。(2)、治療期間、これが年余にわたるということもありますので、現在設 けられているカウンセリング料でありますとか、通院精神療法の算定上限について延長し てはどうか。(3)、子どもの心の入院医療を専門的に行う部分について、非常に厳しい この施設基準ではありますけれども、このうち例えば病棟全体ではなくして、もう少しユ ニット化ができないだろうか。確かに、大人の精神障害者と子どもの精神障害者を混合し てしまいますので多々問題ありますので、そこは物理的に例えば何らかのユニット化をす ると。ただ、看護師は両方見られるような配置みたいなものを考えて、何かそういうよう な条件緩和ができないか等々について考えてはどうかということを御提案いたします。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいま説明いただきましたが、「心の問題」につきましては、「自殺対策」というこ とと、それから「子どもの心」、2つの説明がありました。御議論いただくことになって いきますが、2つを区分して、最初に「自殺対策」の方から取り上げたいと思います。中 医協で「自殺対策」という項目で議論するのは恐らく初めてではないかと思いますが、非 常に重要な課題であるというふうに認識しております。どうぞ御意見を。 ○鈴木委員  論点の(1)でございますけれども、身体症状を訴えて内科等を受診するという、これ は早期発見として非常に役に立ちますし、それはとても大事なことだと思います。また、 救急医療等における精神科医の配置というのはなかなか配置するのが難しくて、精神科、 たとえ5床といえども精神科の病床をつくらないと対応できないことになりますので、非 常に医師の確保、それから病床数が限定される、なおかつ配置しなければいけないという ようなことで、対応できるところが少ないものですから、こういうところでの評価という のは私としては非常に大切なことだと思っております。  ちょっと関連なのでございますけれども、これは事務局に伺わなくてはいけないのかも しれません。自殺ですから評価ということですけれども、今でも例えば眼科の先生のとこ ろに行けば糖尿病が悪くなっているとか、腎臓が悪くなっているとか、あるいは脳腫瘍を 発見するとかというようなことがあるわけなのですけれども、そういうようないわゆる診 療情報提供というのでしょうか、そういうものとまた別途を考えられているのでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  診療情報提供は現在も当然あるわけでありますが、今回はこの自殺の問題にかんがみて、 実はその精神科へ行きなさいということに対する説得をしなければいけませんので、これ はかなり手間がかかると言うのはおかしいですけれども、紹介状を書いて「はい」という わけにはいきませんので、ちょっと時間的にもかかるだろうと。そういうことも含めて若 干のプラスは考えていかなければいけないかと思っております。 ○鈴木委員  わかりました。 ○対馬委員  2点目の論点は、今鈴木委員が言われたようなことかもしれません。1点目のところは、 相当議論しないといけないのではないかと思うのです。我々の友人・知人の中でも、身体 症状を訴えて病院へ行ったら、そこで「精神科に行かれたらどうですか」とか、「紹介し ましょうか」とか言われるのは、よくある話です。それでショックを受けるということは、 ある意味でごく普通の話なわけです。しかし、担当医やかかかりつけ医などは、まさにそ ういうことが仕事だと思うのです。先ほどの、脳梗塞の場合なんかですと、発見から3時 間以内でないといけないというのは、極めて重要で、また乳がんなどの検査もなかなか難 しいようですね。マンモグラフィーを使ったり目視したり。そういったものを全部個別に 評価していくということになれば、かかりつけ医や診療所の先生というのは一体何をやる のだろうかということになりはしないかと思うのです。極めて特殊だったら別ですけれど も。ですから、ここは相当慎重に議論すべきではないかと思います。 ○鈴木委員  こういうところに「自殺大綱」という一つの政策がなされたということで評価すること は仕方ないかもしれませんけれども、ほかに今回は4疾病5事業の推進ということもござ いますので、うつ病に対してやはりほかの疾患よりも自殺を防止という観点で評価をする ということにするのか、あるいは先ほど公平性というような話も出ましたけれども、ほか の疾患との兼ね合いというようなこともあわせてお話しいただきたいと思います。 ○丸山委員  対馬委員と意見が同じ観点でちょっと申し上げて、もう少し定義づけをはっきりさせな いといけないのではないかという観点から申し上げたいと思うのですが、精神病のアブノ ーマルな状態になる人というのは、職場生活の中でかなりの部分が発見されるというのは よく言われることで、我々も長い職場生活の中でいろいろなケースに当たるわけでござい ます。例えば内科の先生が精神科のほうに勧めるというのは、一つの非常に有効な説得ル ートではある。まず内科に行って、ちょっと精神科で相談したらどうかというのと、最初 から精神科に行って相談したらどうかというのでは、相手に与えるインパクトが違うので すね。前者はやりやすいわけです。日常こういうことはしばしば行われていることなので すね。会社での管理職も、まあとりあえず内科へ行きなさいよと言って、内科の先生と話 をしながらそっちへ勧めてもらうなんていう手法もないわけではない。ただ非常にやりや すいので、その事だけであまり特別評価しなければならない手法ではないように思う。  問題は、そういう精神的アブノーマルさが深刻な人に限って、例えば内科医が紹介して も精神科へ行かないのですね。行ってくれればもう本当に本人の助かる場面が出てくる。 結局、この自殺の問題がある人は深刻な人なのです。だから、効果が果たしてこれで上が るかといったら上がらない。むしろ、そういう日常的なことをやることは、それはそれで 普通の仕事だと思っていただいて、内科の先生なら精神科の先生とその後連携して対応す る体制を評価するというのならば、これは非常に定義がはっきりするのではなかろうか、 そっちの方がむしろ現実的に効果が上がる、こういうふうに思うのですが、いかがでしょ うか。 ○土田小委員長  非常に重要な指摘だと思います。これだけですと、確かに紹介したという段階で診療報 酬を払うという、そういうふうにも受け取れるわけですが、そうではなくて、一応そこで 連携チームをつくって初めて評価していくというような提案だったと思います。 ○西澤委員  今の丸山委員の提案は非常にいいなと思っています。当然、内科から行くときも、おっ しゃったように、患者さんも抵抗があるから、ほかの科に行くときは「行きなさい」と言 ったら、大体「はい」と行くのですけれども、なかなか行かないと。そこは慎重にしなけ ればならないということで非常に時間がかかります。当然それを評価する。しかしながら、 送っただけでいいとは限らない。やはりそこで連携が大事で、送った先どうなったか、ま たそこからは何かのフィードバックがある。そういうことでは、送る内科医も評価がある し、当然送った先の精神科医に対しても、今言ったようなお互いにやるということの評価、 これは非常に大事なので、両方を含めた評価をぜひつけていただきたいなと思っておりま す。 ○丸山委員  もう少し言えばよかったのですが、内科の先生が大変御苦労なさって本人を説得して精 神科へ仕向けるというのはよくわかるのですが、仕向けるだけではちょっとやはり特別な 評価はどうかと思う。そこからさらに進んで患者が精神科に行って、それから先、確かに 何かいろいろなほかに内科的な病気を持っている人がいるわけだから、そういう中での精 神科との連携という行為、それが僕は非常に貴重だと思う。患者を精神科へ送るぐらいは やってもらいたいなと思うのですけれどもね。 ○西澤委員  いや、同じことを言っているつもりでございます。全部そこを含めて評価ということで、 ぜひお願いしたいと思います。 ○丸山委員  具体的にはまた。 ○松浦委員  まず私、俗っぽい言い方をさせてもらうのですが、中医協で自殺を取り上げなければな らぬというのは、結局、自殺の件数がこのグラフで見ると3万を超したと。それで、こう いうグラフを見てみますと、9年から急激に増えていますね、短期間にずっと。あとは大 体また落ちついたような感じになっていますね。この原因というのが、だからいわゆるこ の診療報酬、いわゆる精神科にかかってとまる自殺かそうでない自殺か。例えば、会社で リストラされて生活の糧がなくなった、あるいは自分の会社が倒産して生活の糧がなくな る、そういう人たちの自殺というのがお医者さんにかかってとめられるのでしょうかね。 そういうことも考えてみながらこのグラフを読まなければいけないのではないかと思いま す。 ○土田小委員長  恐らく今の松浦委員の御質問に対しては、3ページの方の精神障害が「有」が75%で あるとか、うつ病等が46%という、先ほど医療課長の説明は、恐らくその根拠として示 されたのだと思いますが、もう一度説明してください。 ○事務局(原医療課長)  自殺の原因はいろいろなところでも分析されているのを見たことがありますが、その分 析の仕方が非常に難しいといいますか、重なった要因が当然あります。例えば借金があっ て、だけどそれがもとでうつ傾向になって自殺している、そういう場合も多々あるわけな ので、それを借金苦と分類するのか、あるいは心の問題と分類するのか、そこは実はいろ いろな統計を見たことがあります。  例えば、この10年に非常に上がったときにいろいろなことが言われていまして、当然 ながら、社会的な問題があるということははっきり言われております。ただ、だからとい って全員が死ぬわけではありませんので、そこで、主たるその外的な要因が何かという分 析で一番多いのは、実はやはり高齢者が多くて、健康問題というのが多いと言われていま す。2番目にその経済的な問題。それと重なっていろいろと見ていくと、やはり75%ぐ らいに心の問題があるのではないか。これは先ほども言いましたように、人によっては5 0%ぐらいと言う人もいれば、いやもう90%と言う学者もおられます。ですから、そう いう意味では、いろいろな外的な要因に加えて内的な問題としての心の問題というのは相 当程度持っているだろうというふうに言われています。それで、その中身をよく見ますと、 やはり半数程度はうつだというのが、そのほとんどの研究者の報告でした。  だから、やはり外の要因が何であれ、やはりその要因にさらされたときにその内的な問 題としてうつ傾向になって自殺してしまう。だから、その部分はその外的要因とは別の問 題としてしっかりとケアをしてやれば自殺を防ぐことができるというふうに考えられると 思います。 ○松浦委員  私は、この精神科のお医者さんというのは、これからますます重要になってくると思い ます。それは、この自殺というところからとらえるのがいいのか、重ねてこのグラフで、 この10年でスポーンと上がっていますから、これはまさに景気の動向と一致しているわ けで、それをそうとらえるのがいいのか、あるいは今精神科も、精神病の患者さんもちょ っとよくなったらすぐ在宅へと、社会の一員として生活させると、こういう流れがありま すね。そういう面で、いわゆるこの在宅の精神科にかかっている精神病患者というのは、 これは一つ間違うと犯罪にすぐ結びつきますから、そういうところをやはり余計精神科の お医者さんというのは緻密なケアをしていくと、そういう感じの方から精神科の重要性と いうのはとらえる方が正解ではないかと思うのですが。私はちょっと一例を申 し上げましたが。 ○事務局(原医療課長)  精神科の問題についてはまた来月精神科医療について項目を取り上げたいと思っていま して、その中でいろいろ、この問題だけでなくてさまざまありますので、それは取り上げ ていきたいと思います。  あと、精神障害を、何といいますか、一くくりにして断定してはいけない。やはり中に それぞれ全く違うタイプがありますので、犯罪傾向があるかないかとか、そこら辺は私と してはコメントできませんけれども、そのあたりは類型によって違うと思いますので、こ こで取り上げるのは、まず、うつの問題だというふうに考えます。  それで、先ほど言われた問題については11月になって精神科医療のところで取り上げ ていきたいと思います。 ○鈴木委員  恐らくこの自殺の防止という問題は診療報酬で相当数防止できるというようなことだけ ではなくて、先ほど丸山委員がお話しになった産業保健でございますとか、あるいは学校 保健なども絡んできますけれども、そういうものの整合性をとっての防止というところで ないと解決ができないので、松浦委員もそういう疑問を持たれるのではないかと思います。 ○土田小委員長  この問題について、ちょっとニュアンスが違うのですが、最近学生でもうつ病といいま すか、そういう精神的な不安定状態になるのが非常に多くなっておりまして、そういう学 生に対してカウンセリングを勧めると明らかに効果があるのですね。それで、教員は積極 的にカウンセリングを勧めていきますが、カウンセリングに行くというルートがなかなか ないのです。恐らくここでの医療課の方の問題意識も、そういう精神科のお医者さんにで きるだけ早く診てもらって、それで対応できるものは対応していきたいという、そういう ルートを確保したいという、そういう気持ちだろうと思います。なかなかその精神科にア プローチしづらいというところにもう少し積極的にアプローチできやすいような、そうい うルートをつくって、それで精神科のお医者さんと内科とほかのお医者さんとペアになり ながらそこを対応していきたいと、そういう意図だろうと僕は理解しておりますが、多分 そういうことですよね。 ○竹嶋委員(代理中川氏)  ちょっとこれはお願いなのですが、参考資料の3ページの飛鳥井先生の論文なのですが、 これは94年なのですよ。3万人を超えるよりずっと前なのですよね。松浦委員の御意見 とも関連がありますが、この分析、少し新しいデータがあれば教えていただきたいと思い ます。 ○土田小委員長  そうですね、それはありましたら次回示していただきたいと思います。よろしいでしょ うか。 ○事務局(原医療課長)  はい。 ○土田小委員長  それでは、次の「子どもの心」の問題に移りたいと思いますが、どうぞまた御意見をお 願いします。 ○鈴木委員  論点の(1)でございますけれども、「診療時間に応じた診療報酬上の評価」というの は、これは恐らく今まで随分議論されていることだったと思います。この診療時間が長時 間に及ぶという部分はですね。子どもの心の診療というようなことで診療報酬上の評価の 検討というのは、これは大変必要なことで、ぜひお願いしたいと思います。神経内科でご ざいますとか、あるいは心療内科と申しまして、ちょうど精神科と内科の間に位置すると いう説明が妥当かどうかわかりませんけれども、私はそういう位置づけだと思っておりま すけれども、そういうようなところもやはり非常に長時間にわたる診療が行われておりま すので、更年期での先ほどのコンサルティングみたいなことも非常に長時間を要するとい うのはともに聞いております。一般診療に対するやはり配慮というようなこともぜひ御検 討いただきたいと思います。  それから(2)でございますけれども、これは当然1年で算定ができないというような ことを私が小児の入院基本料のところでお話しした、あるいはNICUのところでお話し したと思いますけれども、やはり算定期間が切られても、とてもそれでは解決しないよう なところでは、この場合は3年、3倍以上かかるわけですから、その算定期間の延長をぜ ひお願いしたいと思います。それで十分な診療が行われるということなのだろうと思いま す。十分な診療が行えるような算定期間というのは、ちょっとどこにはかっていくのか不 安なところがありますのですけれども、基本的に賛成です。  また(3)におきましても、先ほどの御説明でございますので、ここでの見直しという のは具体的にどういう見直しかというふうに考えておりましたけれども、事務局からの御 説明がございましたので、見直しをしてその子どもの心というものに対して積極的な展開 をぜひお願いしたいと思います。 ○対馬委員  小児に関しては、自殺者数が全体で3万人という話もあり、全体的に増えているという ことですから、恐らく子どもの状況もかなり厳しいのだろうとは思うのですけれども、た だ、データがあまり出ていないので、もう少し出していただきたいというのが1つです。  また、資料の(1)は少しいろいろなバランスを見ながら決めていかなければならない と思うのです。といいますのは、数年前だと思いますが、大人についてもやはり診療時間 をどうすべきか随分議論して、結果的には、長くかかったといっても、見立てが必ずしも てきぱきとできない人もいるとか、いろいろな議論があって、なかなか難しかったわけで す。それで、大人と違って子どもの場合は時間が余計にかかるということはあるのだろう と思います。ただし、子どもの心の疾患の場合は余計かかって、それ以外の疾患はかから ないのか、というところもあります。確かに子どもの心の疾患であれば時間が余計かかる だろうとは思いますが、この問題は波及もしかねないところもありますので、少し全体感 を見た上で議論する必要があるだろうと思います。 ○松浦委員  子どもが精神科のお医者さんにかかるときには、どういうような状態で、親御さんが連 れてくるのか、あるいは学校の先生と親御さんと一緒に来るのか、そういういろいろな場 合、特に学校、教育がかなりかんでくると思うのですよね。それで、仮に精神に多少障害 があると、こう診断をした場合に、あわせて学校の対応をどうさせるのかということも考 えてやりませんと、この子は精神に障害がありますよと学校の先生は言えませんから、非 常に難しい問題を抱えてくると思います。だから、そういう問題もあわせて、この精神障 害の問題、治療もこれは大事なのですけれども、あわせてそれを発見したときにどう対応 するのかということも考えた議論をやらないといかぬと思いますけれども。 ○土田小委員長  今の問題、いかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  当然ながら、学校側でさまざまなカウンセラーの配置などをやっておられまして、それ は文科省の方でさまざまなことをやっておられるというふうに聞いています。うちとして はそこから診療側として来られた患者さんにどう対応するかということで、今おっしゃら れた部分については文科省サイドでいろいろな政策をやっておりますので、もし必要なら ば、資料を取り寄せて御紹介できるかもわかりませんけれども、ちょっと全体がどうなっ ているかはわかりません。  それから、実態として学校でいろいろと問題があるということになると、当然学校側の 方もついてこられるときはあるでしょうけれども、それは必ず保護者が、保護者抜きに学 校だけが対応することはあり得ないと思いますので、診療の場には基本的には保護者は必 ずついてきていると考えていただいていいのではないかと思います。 ○松浦委員  それで、今学校の話は文科省と、こういうお話ですけれども、やはり現場はまさに一緒 なのですよね。だから、そこは縦割りの政策をとりますと、これはいろいろな問題を抱え ていると思いますよ、ですから、文科省でいかなる対策をとられるのか、そういうことも あわせて聞きながら議論をさせてもらった方が私はいいと思います。 ○事務局(原医療課長)  ちょっと最後の方、申し訳ございません、聞き取れなかったのですけれども、文科省で さまざまやっておられる問題について私もコメントできないので、もし必要ならここで資 料は提供させていただきますけれども。 ○松浦委員  それでは、できるだけそろえてみてください。どういう資料かというのも実は私どもは わからない、非常に難しいことが書いてあると思いますから。 ○小島委員  論点の3つ目の(3)のところに関しての質問なのですけれども、この加算、小児の精 神科の医師自体が少ないという話も聞いていますけれども、この加算算定をとるための施 設基準が、その前の5ページのところに、入院の場合の下の方に3つほど要件が出ていま すけれども、結果的にそれがなかなか厳しいということで、この加算をとっているのが9 つしかないということですけれども、この3つの要件の中でクリアできない、一番のネッ クになっているのはどこなのでしょうかね、そこのところをクリアしないとなかなか加算 をとるところを増やすというわけにはいかないと思うのです。先ほど課長がおっしゃった ユニット化という形で言えば、5ページの1つ目の要件のところのいわば緩和というか、 ということになるのでしょうけれども、一番のネックは、この常勤の医師を2名以上抱え ているというのがなかなか難しいという気がします。その辺は、現状のところでなかなか とれないというところはどこなのでしょうか、こういう質問です。 ○事務局(原医療課長)  どの要因が一番きいているかというのはちょっとわからないというのが正直なところで す。一つのやり方は、児童だけを集めた病棟をつくるのもやはりその数の問題ですね、そ こは多分一番、一つは大きいだろうと思っております。あとは医師の方は、普通の通常の 精神科病棟に比べると若干厚めぐらいの話です。ただ、精神保健指定医を常勤でその病棟 に張りつける、ここはちょっとしんどいところかもわかりません。それからあと精神保健 福祉士または臨床心理技術者、ここもまた病棟配置ですので、その病棟にそれぞれ専従を 配置するというのは少し難しいかもわかりません。それからあとは看護は10対1以上と、 精神科病棟全般としては10対1がとれているところはほとんどありませんので、多くが 13対1どまり。ただ、こういう病棟に集中することは不可能ではありませんけれども、 そこは若干の困難さかなということで、やはり患者を集めて1つの単位をつくるというと ころが多分一番大きいだろうというふうには考えています。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○小島委員  はい。 ○土田小委員長  ほかにございますでしょうか。  よろしいですか。ほかに御質問ないようでしたら、本件に係る質疑はこのあたりとした いと思います。今日の議論でも出ましたように、心の問題というのは社会的にも非常に注 目されている重要な課題でありますので、事務局は今日の議論を踏まえてまた論点整理を お願いしたいと思います。  今日用意しました議題は以上でございます。これで終わりにしたいと思いますが、次回 の日程が決まっておりましたら、お願いいたします。 ○事務局(原医療課長)  次回は、基本問題小委員会につきましては来週26日の金曜日に開催したいと思います。 テーマは「後期高齢者医療」の2回目ということで、在宅医療を中心にやってみたいとい うことでございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。それでは、終了いたします。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)