07/10/17 平成19年10月17日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会器具・容器包装部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具・容器包装部会 【日  時】  平成19年10月17日(水) 14:00〜15:16 【場  所】  三田共用会議所 大会議室A・B 【出席委員】  井口委員、河村委員、神田委員、棚元委員、         西島委員、早川委員、堀江委員、望月委員 鰐渕委員(五十音順) 【事務局】  國枝基準審査課長、光岡補佐、束野補佐 【議  題】  (1)おもちゃの規格基準の改正について  (2)器具・容器包装の一般規格及び製造基準の改正について  (3)ガラス、陶磁器、ホウロウ引き製の器具・容器包装の材質別規格の改正につい て  (4)その他 ○光岡補佐 それでは、定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 器具容器包装部会を開催させていただきたいと思います。  また、本日は菅野委員、品川委員、土屋委員より欠席の御連絡を事前に受けておりま す。現在、器具容器包装部会の委員12名中9名の委員の先生方に御出席いただいてお りますので、本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、以下の議事進行を西島部会長にお願いしたいと思います。西島先生、よろ しくお願いいたします。 ○西島部会長 それでは、始めさせていただきます。  まず初めに、恒例によりまして事務局より配付資料の確認をお願いいたします。 (配付資料確認) ○西島部会長 ありがとうございました。先生方、資料はよろしいでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。議題1、おもちゃの規格基準改正についてと いうことで審議をお願いしたいと思います。事務局より資料に基づいて御説明をお願い いたします。 ○光岡補佐 お手元の資料1−Aでございます。前回の部会で御審議いただいた内容を まとめたものでございます。簡単に御説明申し上げます。 (資料1−A「おもちゃの規格基準の改正に係る器具・容器包装部会報告書」1、2朗 読)  1ページの下の表に、前回お配りしました指定おもちゃの範囲の拡大案をつけてござ います。下線部分が、今回指定の範囲を新たに加えるものということでございまして、 現行の規制についての材質別の規制を廃止しているという案でございます。 (資料1−A「おもちゃの規格基準の改正に係る器具・容器包装部会報告書」3(1)朗 読)  「(2)基材の規格」は、前回の御報告と少し変えている部分がございまして、前回は 実は3ページのポリ塩化ビニルを主体とする材料をそのままいじらない形にしておいた わけですけれども、また、ポリエチレンを主体とする材料ということについて変更しな いという形にしていたわけですが、塗装については製品についての規格にしたわけでご ざいまして、その並びを考えますと、こうしたポリ塩化ビニルを主体とする材料、ポリ エチレンを主体とする材料についても、製品としての規制を行うという意味からも、そ の材料を用いて製造された基材という形に変更をお願いしたいと思ってございます。 (資料1−A「おもちゃの規格基準の改正に係る器具・容器包装部会報告書」3(2)(3) 朗読)  5ページ目以降は、おもちゃの試験法の新旧対照表を改めて報告書の別紙1として添 付させていただいたものでございます。  それから、大変恐縮でございますけれども一部間違いがございまして、資料1−Aの 1ページ目「経緯・改正の趣旨」でございますが、「このため、平成14年度より、これ らの改正について厚生労働科学研究」と書いてある部分がございますけれども、これは もう少ししっかり書く必要があるということで、「平成14年度より、これらの改正につ いて、厚生労働科学研究食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保に関する 研究」というものが一言抜けておりましたので、改めて訂正をお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○西島部会長 ありがとうございました。  ただいま、事務局から前回の部会で議論していただいた結果の報告書についての案と しての御説明がありましたが、この報告書につきまして、先生方何か御意見等がありま したら、お願いいたします。 ○神田委員 2ページ目で、繊維製のおもちゃについて触れていますけれども、前回の 資料を持ってこなかったので記憶の範囲でしかないんですが、繊維製のおもちゃについ ては、前回は調査するとおっしゃっていたように思うのですが、ここでは製品の切替え のための配慮と言っていおり、その辺がピンとこないんですが、どういうことを言って いるのでしょうか。切替えのために何年か必要と。 ○光岡補佐 そうですね、実は業界からお時間をいただきたいという要望がございまし て、そのための配慮をお願いしたいという話がございましたので、報告書の方に切り替 えていただくということを前提の上で、このような記載をさせていただいたということ でございます。 ○神田委員 そうしますと、製品の切替えをするということは決まっているということ ですよね。それはただ、いつまでにということがあるわけではないけれども、配慮して あげましょうという感じなんでしょうか。 ○光岡補佐 そうです。 ○國枝基準審査課長 今の部分については、この前御質問がありましたけれども、鉛の 問題もありますから、基本的にはできるだけ早くと考えております。ただ、今回範囲を 拡大したことで、従来STマークなどで対応されていた部分を変える、いわゆる食品衛 生法の規格基準で取り込む部分は割と速やかに済むんですけれども、それ以外の部分の 対応が難しいということで、ただ、これについては前回から時間が短かったものですか ら、業界と具体的にどのくらいの可能性があるかについて話しておりませんでしたので、 この部分についてはできるだけ早く玩具協会とも話をして、私どもとしてはできるだけ 早く変えてほしいという趣旨でございますが、その実態が把握できていないものですか ら、趣旨としては早くということですが、一定の配慮は必要だろうということだけ書か せていただいたということで、決してずっと野放しにするというような趣旨ではござい ません。 ○河村委員 私が知っている範囲で追加をさせていただきます。  この繊維製玩具については、今までの指定玩具では入っていなかったということで、 今回新しく増えたわけですけれども、指定玩具に入っていなくても玩具協会の方では3 歳未満の繊維製品については自主基準をつくっていて、着色料は溶出しないように管理 してこられた。けれども、3歳を超える繊維製玩具については今まで規制がなかったの で、まだちゃんと調査もされていないし、どれくらい時間が掛かるかわからないという ことでした。この間お聞きしたところでは、自主基準の方をできるだけ早く、告示を待 たずに改正をされるそうです。ただし、すでにST承認されている玩具については切替 えに何年かかかるので、これから厚生労働省と詰めていただく必要があると思います。 ○神田委員 わかりました。ただ、これだけでは今説明があったようなことは想像でき なかったものですから、この表現がこれでいいのかなという気はありますけれども、中 身的にはわかりました。 ○西島部会長 どういたしましょう。今のようなことをもうちょっと詳しく報告書に加 えた方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。 ○光岡補佐 もう少しわかりやすい表現で、先生の御主旨をなるべく反映させた形で報 告書案を直したいと思います。その上で部会長に御相談をさせていただきたいと思いま す。 ○西島部会長 そのほか御意見ございますか。 ○河村委員 私の報告書に絡むところで2点ほど微修正をお願いしたいと思います。  1ページの1段落目の下の方ですが、「平成14年度より、これらの改正について厚生 労働科学研究による検討が進められてきた」とありますが、正確に言うとここは「平成 14年度よりISO規格について検討してきた」のであって、即玩具の規格基準改正を検 討していたわけではないので、ここの表現は若干変えていただければと思います。 も う一つは、2ページの「(1)塗装の規格」の下から2行目に「国内に流通するおもちゃ の実態調査において、これらの5元素がISO規格を超えて検出された事例はなかった」 とありますけれども、私どもの調査では、国内で流通するおもちゃは8元素いずれも規 格を超えるものはなく、報告書に書いてあった幾つか違反例は、国内に流通する前のS T申請されたおもちゃです。鉛の規格を超えたものは勿論申請を却下され輸入されてお りません。ここは「輸入申請されたおもちゃにおいて」とか、そういった形で書いてい ただければと思います。国内ではISO規格を超えるようなおもちゃは鉛を含めて私ど もの調査では見つかっておりません。 ○西島部会長 では、その点の変更もお願いします。  そのほか御意見ございませんか。よろしいですか。  あと一点なんですけれども、今、報告書を御説明いただきましたけれども、5ページ からついております新旧対照表については、先生方には後から送られてきたものという ことでございますので、今ちょっと見ただけではわからないところもあるかと思います ので、もし、お気づきの点がございましたら、この部会の後、適当なときに事務局まで 御連絡いただきたいと思います。御連絡いただきました御意見の取扱いについては、私 に一任していただくということでよろしいですか。 (「異議なし」と声あり) ○西島部会長 それでは、この新旧対照表につきまして何か御意見がありましたら、後 日事務局に御連絡をお願いしたいと思います。  これにつきましては2つ意見が出ましたけれども、ほぼ了承されたということで、た だいまの2点につきましては事務局で修正案を作成の上、修正箇所の確認を私に一任し ていただくということでお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○西島部会長 それでは、適切に訂正されているかどうかということを私の方で確認し た上で、次の食品衛生分科会にこの件につきまして御報告することにしたいと思います。 ありがとうございました。  続きまして、議題2に移りたいと思いますが、器具または容器包装の原材料一般の規 格及び器具または容器包装の製造基準の改正について審議を行いたいと思います。これ につきまして、事務局から資料に基づいて御説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 資料2−Aの資料に基づきまして、御説明申し上げます。 (資料2−A「器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格及び器具及び容器 包装の製造基準の改正に係る器具・容器包装部会報告書(案)」1、2(1)朗読)  対照表として現行の告示内容と新たな改正案の内容を記載させていただいております。 ただ、今回は前回部会の中では抜けておりましたけれども、「食品と接触する部分に使用 する」という部分をそれぞれのものに加えて、改正案を御提示申し上げたいと思ってお ります。 (資料2−A「器具若しくは容器包装又はこれらの原材料一般の規格及び器具及び容器 包装の製造基準の改正に係る器具・容器包装部会報告書(案)」2(2)から朗読)  以上でございます。 ○西島部会長 ありがとうございました。  これも前回の部会における議論に基づく報告書の案でございますが、これにつきまし て御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。  私から一つ。鉛の基準が今までの5%から0.1%を超えてはならないということにな っていますが、この0.1%にした根拠というのは何なんでしょうか。ほかの基準だとも っと低くなっておりますので、これがどうして0.1%なのか。前回あったのかもわから ないですが、もう一度御説明ができましたらお願いいたします。 ○光岡補佐 例えば、メッキ用のスズでございますけれども、我が国で流通している実 際の金属地金や、米国の規格というのが実はあるわけでございますけれども、それらを 参考にしまして、実際に輸入ということも考え合わせまして、鉛を0.1%とう形にさせ ていただいているものでございます。 ○河村委員 今、座長がおっしゃられたのはメッキ用のスズの件だと思うんですけれど も、例えば、ハンダについてはJISで鉛フリーハンダ0.1%以下という規格のほかに、 米国で0.2%以下に規制されていましたので、それに合わせました。一方、メッキ用の スズに関しては、ここに書いてある数値はいずれも推奨基準であって、国の法律として 定められている規格はありません。0.05%とか0.01%というグレードの材質があります よということで、それを使わなければ違反になるというような基準ではありません。コ ーデックスにも問い合わせをしましたが、使用しないことについて数値で厳密には決め ていないということでした。私たちが調査した範囲では国として数値をきちんと決めて いるところは見当たりませんでした。メッキ用のスズは以前は鉛を入れないと技術が不 十分でメッキができなかったが、現在では鉛を使用しないでメッキをすることができま す。鉛を使用しないという意味での0.1%とお考えいただきたいと思います。もう一つ の製造修理用の金属についても使ってはならないという趣旨で0.1%以下としたのです けれども、こちらの方はアルミ合金等で0.1%以下というJIS等の規格があったので、 そのグレードの金属が使用できるようにしました。どちらも鉛をできるだけ使わないと いう意味で0.1%という同じ数値にするのがいいのではないかと考えています。  もう一つコーデックスの方で特に指摘しているのは、一般的なメッキ用のスズではな くて、缶詰用のメッキ用のスズです。我が国では金属缶の鉛溶出に関しては、材質別規 格でも溶出規格を決めており、二重に規制をかけています。ここでは缶詰以外の工場で 使う機械のスズメッキ等も含めてすべてということですので、0.1%以下で妥当ではない かと考えた次第です。 ○西島部会長 ありがとうございました。  ほかの低い基準というのは推奨基準ということですが。 ○棚元委員 私もこのメッキ用のスズを読んで同じような感触を覚えました。今の説明 で十分よくわかるんですが、この文章だけを読むとなかなか理解しにくいようなところ があるので、若干そういったニュアンスを含めた形で文章に書き直された方がいいのか なという気がします。 ○西島部会長 ありがとうございます。事務局そういうことでよろしいでしょうか。 ○光岡補佐 はい。 ○西島部会長 ほかに御意見ございますか。  あともう一点は、食品と接触する部分ということが加わったということですが、これ はこれでよろしいかと思いますが、これについても御意見は特にございませんか。  事務局から何か加えることはございますか。 ○光岡補佐 従来現行の告示内容には、あえて食品と接触する部分に使用するというこ とは実際には書いてございませんでしたけれども、運用上は食品と接触する部分で試験 をするということがルールですから、実際の形に整合性を合さわせていただいたという ことでございます。 ○西島部会長 ほかにはよろしいでしょうか。それでは、特にないようですので、これ につきましてもただいま出ました0.1%の表現について若干修正を加えていただくとい うことで、その修正の箇所の確認につきましては、これもまた私に一任させていただき たいと思いますが、よろしいでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○西島部会長 それでは、これにつきましても適切に修正されているかどうか確認の上、 次回の食品衛生分科会に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。  続きまして、議題3に移りたいと思います。ガラス製、陶磁器製またはホウロウ引き の器具または容器包装の規格の改正について審議を行いたいと思います。事務局から資 料に基づいた説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 大変恐縮でございますけれども、議題3に入る前に、金属製の食器の部分 でスズ合金を主体とする工芸品がございまして、これが材質規格ですとどうしても規格 に合わなくなるというものが実はございまして、この点についてはまだ調査中ではある んですけれども、次回に対応策について調査の結果も踏まえて御相談させていただけれ ばと思います。  それでは、議題3の御説明を申し上げます。 ○西島部会長 今のは議題2の追加ということですね。よろしいでしょうか。  それでは、御説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 それでは、資料3−1、資料3−2、資料3−3に基づいて簡単ではござ いますけれども、御説明申し上げます。  「ガラス製、陶磁器製又はホウロウ引きの器具又は容器包装に係る材質別規格の改正 案」という形で、資料3−2から御説明申し上げたいと思います。  現行のガラス製、陶磁器製及びホウロウ引きの器具及び容器については、昭和61年 に改正以降、今回が大きな改正になるわけでございますけれども、現行では旧ISO規 格に基づいて改正案が設定されておりました。その後、ISO規格が改正されまして、 私どもの方は今回これについての新たなISO規格に合うように改正案を御提示申し上 げるというものでございます。  現行ではガラス製、陶磁器製またはホウロウ引きの器具または容器の鉛とカドミウム の規格については、一つの材質別規格で設定されていたわけでございますけれども、現 在のISO規格では幾つかの規格に分かれてございます。今回は新しいISO規格を導 入するとともに、現行のガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きの器具または容器の規格を それぞれ分けまして、3つの材質別規格として設定するというものでございます。  溶出試験に方法等については従来の方法とは大きく変わっておりませんけれども、基 準値自体が従来よりも、例えば、陶磁器などと比較してみますと厳しくなっているとい う点、それから、あとは深さ2.5cmの容量で切っていた規格についても、それをもう少 し細かくして容量600ml未満、600ml以上3L未満、それから、3L以上という形で規 格を分けてそれぞれの基準を定めるというものでございます。  資料3−3ですが、ISO規格にはCooking wareという赤で示されているものが 実はございまして、ISO6486−2というものでございますが、ここにはCeramic ware とGlass−ceramic wareとGlass dinnerwareという形で、Cooking wareという 形で加熱を基本とする器具についても新たに基準が設定されてございます。したがって、 この基準についても新たに改正案の中に盛り込むという形を考えてございます。ただ、 これはCeramic wareとGlass−ceramic wareが6486では一緒の規格になっており ますので、材質別規格に分ける場合にはそれぞれ加熱用器具というものを新たに規格と して起こすという形での改正案になるだろうと思います。  ISO8391/2−1986(E)という3つ目のISO規格ですが、Ceramic cookwareと いう形になってございまして、これについては現在のところ採用している国が少ないと いうこともございまして、この規格については新たに改正案の中には含めないという形 にさせていただきたいと思います。このISO8391の規格については、試験方法が4% 酢酸を1杯量の3分の2ぐらい満たして2時間ゆっくりボイルするという形になってご ざいまして、条件としては今までの試験法に比べますと、非常に厳しい基準になってご ざいます。ただ、このボイルするという試験法については、煮沸試験でございますので 条件を均一化させるということも非常に難しいということもございますし、また、実際 にばらつきの多い試験になる可能性がございましたので、今回はその試験法も含めてI SO8391/2の採用については改正案の中には含めてございません。  それから、参考資料といたしまして今回の改正案の基礎なりました参考資料3−2、 参考資料3−3、参考資料3−4をつけさせていただきました。  簡単ではございますけれども、御報告申し上げます。 ○西島部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまのガラス製、陶磁器製、ホウロウ引きの器具・容器包装の規格の 改正案について御説明いただきましたけれども、これにつきまして御意見等ございまし たらお願いいたします。  私から。資料3−2の説明がわからないんですけれども、例えば、改正案のガラス製 器具のところで御説明していただきたいんですが、深さ2.5cm未満または液体を満たせ ないものとか、深さ2.5cm以上とあるんですけれども、ちょっとわかりにくいのでもう ちょっと説明していただけますか。 ○光岡補佐 説明不足で大変恐縮です。深さ2.5cm未満または液体を満たせないもの、 従来からもこういうものがあったわけですけれども、想定しているものは平皿のような ものであるとか、いわゆる底に液体を満たすということがないようなものを考えてござ いまして、実は鉛、カドミウムの溶出量は、いわゆる単位面積当たりの溶出量という形 で設定してございます。それに対しまして深さ2.5cm以上の容器については、底に液体 を満たす可能性もありますので、むしろ単位面積当たりの溶出量というよりは、その液 体を飲むということも想定できますので、試験溶液中の量という形で濃度設定をさせて いただいているということでございます。  また、これは容量に応じてそれぞれ規格が定められておりますけれども、容量が大き くなればなるほど規格値が厳しく設定されておりまして、これは当然、容積量が増えて まいりますので、試験溶液当たりの濃度を厳しくしないと安全性を確保できないという ことから、この規格値を設定しているということでございます。 ○西島部会長 ありがとうございました。  加熱用器具は容量と関係なく、こういう基準だということですか。 ○河村委員 先ほど事務局から説明されたことにもうちょっと補足させていただくと、 この2つの深さ2.5cm未満または液体を満たせないものと深さ2.5cm以上の区分という のは、試験をするときに、浸出用液を試料の中に満たして試験ができるかどうかという ことで分けられています。浸出用液を満たせる場合には、溶出してきた試験溶液の濃度 で規定されています。しかし、中に浸出用液を入れられないものについては、それより 大きなビーカーなどの中にそれを浸して試験しますので、溶出液の濃度は試験に用いた 容器によって変わってしまうので、表面積当たりという表記をしています。  加熱用器具については、ISOではmg/lという溶液濃度の単位で記載しており、表 面積当たりの単位ではガラス製とか陶磁器製の器具には記載されていない。ホウロウ引 きの方は2つに分けて記載されています。これがなぜかということについてはISO規 格にも記載がなく、事務局でも不明でした。これから見れば加熱用器具のうち液体を満 たせないものについては、一般的な深さ2.5cm未満の規格がそのまま適用されることに なると判断されます。 ○西島部会長 加熱用器具の場合に、溶出する温度は常温でいいんでしょうか。 ○河村委員 ISO6486など今回参照したものでは加熱用器具も常温で試験しておりま す。そのほかにISO8391という規格があって、ここにもCeramic cookwareというの がありまして、2時間沸騰させて試験します。浸出用液は4%酢酸で同じですが、いっ ぱい満たすとこぼれてしまうということで容量の3分の2まで入れます。この2つの試 験法のどちらがいいかということについて、参考資料3−4で検討しております。上絵 付けの焼きが十分でない土鍋と十分に焼いた土鍋について、煮沸試験と24時間静置の 試験を比較しているんですが、焼きが十分でない場合には水で煮沸しても全然溶出はし てこないんですけれども、4%酢酸を使うと24時間静置でも煮沸でもほぼ全量溶出し てしまう。けれども、ちゃんと焼かれたものであれば、常温24時間では少し出てきま すが、沸騰すると表面のガラス質を溶かして鉛が出てきてしまいます。実際の使用条件 からみても、4%酢酸の煮沸2時間は極めて過酷です。 試験値のばらつきも24時間静 置の方が非常に少ない。沸騰させる場合には沸騰条件をきちんとコントロールするとい うのは非常に難しいのです。陶磁器の場合は形も厚みも違いますので、一個一個コンロ に掛けて火力を調節しなければいけないのですが、沸騰を始める時間や緩やかな沸騰状 態を同じにすることは不可能です。また浸出用液を容量の3分の2までしか入れられな いので、例えば、前回話があった土鍋のように、ふちから溶出するという場合には、か えってきちんとした溶出を見られないという可能性もあります。4%酢酸で静置で十分 に問題があるものを検出することができると考えています。 ○西島部会長 ありがとうございました。  ただいま詳しく御説明いただきましたが。 ○神田委員 今の関連で、数字のところでわからないのですが、資料3−3で、常温の 条件がISOと改正案と違いますが、日本の場合は15〜25℃ということで非常に幅が広 くて、15℃というのは非常に低い温度かなと思ったりするんですが、それはそろえなく ても問題ないのかということと、ずっといろいろ御説明を伺っているんですが、ISO から回答がない御説明が多々あるように思いますが、どういう関係になっているのか、 そういう説明というのはもらえないものなんでしょうか。ちょっと疑問に思ったんです が。 ○河村委員 よくわかりませんけれども、ISOの組織というのは事務局はあるのです が、何か事案があるときにタスクグループが組織されて審議しているようです。ISO という団体は政府が入っているのではなくて、各国の業界団体が入っているので、私た ちは全くかかわりがありません。直接に事務局に連絡したり、ISOのメンバーである日 本の業界団体を通じて問い合わせていただいた場合もあるんですけれども、事務局では こういうことがわからないようです。座長をやっていらっしゃる先生を紹介していただ いたものについては、ちゃんと内容がわかったものもあるのですが、そうでないものに ついては、各業界に送られてきた資料以上の詳しいことはわからないということです。 ただ、ISO規格はWTOが国際標準として認めているので、ISO規格を導入するこ とが多くなってきています。そこで、どういう意向で規格を設定したのか疑問点があれ ば答えていただけるようなシステムをISOに整備していただきたいと思っています。 ○西島部会長 その辺はどういうふうに対応していただけるんですか。 ○光岡補佐 今、河村先生もおっしゃるとおり、私どもの方も一応座長だった先生がお 辞めになられて大学の先生をやっておられたとか後追いをしたんですか、その方本人か どうかがよくわからないとか、大分後追いもしにくいというのも実はありまして、我々 もISO規格に定められた値については推論せざるを得ない部分がございまして、また、 そういった点ではなるべく情報収集させていただいたつもりではありますが、なかなか これでは無理だったというのが正直な話でございます。 ○西島部会長 もう一点、温度の15〜25℃の幅について。 ○河村委員 これは、うちで試験をしたわけではないんですけれども、陶磁器の場合は 15℃であっても20℃であっても25℃であっても、それほど大きな差はないと聞いてい ます。実際22±2℃ということになりますと、きちんと温度コントロールができるチャ ンバーなどが必要になるんですけれども、陶磁器等では非常に大きなもの、例えば、こ の間問題になった3Lの土鍋とかそういうものになりますと、たくさんの試料を同時に 試験するというのは非常に難しい、しかも24時間ですから、我が国では常温すなわち 15〜25℃ということになっています。試験機関等では最近はエアコンも完備されていま すので、大体22℃前後の温度に保たれているのではないかと思っています。22±2℃は 20〜24℃ということになるので、若干日本の方が幅が広いことは確かなんですけれども、 それによって合否が変わるというようなことはないと思います。 ○神田委員 わかりました、ISOに聞いても説明がないでしょうけれども、こちらで は細かく決めているのは何か意味があるのかなと思ったものですからお聞きいたしまし た。 ○西島部会長 そのほか、先生方から御意見ございませんか。よろしいでしょうか。  河村委員、付け加えることはございますか。 ○河村委員 私からばかりで申し訳ありません。もう一つ説明させていただきたいのは、 ISO規格と今回改正案で若干相違があります。  ISO規格については資料3−3に書かれているんですが、ISO6486−2でCooking  wareの上にCups and mugsとありますが、今回の改正案には入っていません。  もう一つは、ISO4531−2にはドリンキング・リムという規格があるのですが、これ も入っていません。詳細については参考資料3−3に書かれていますが、まずカップ・ マグについてはISOでは若干厳しい規格値がつけられています。なぜカップ・マグに厳 しい規格が定められているかということについても問い合わせをしたんですが回答があ りませんでした。ISO規格では、カップ・マグの定義は、通常飲み物に使用されるもの で、例えば、暖かいコーヒーや紅茶に飲む場合に用いられるもの、取っ手つきの約240ml 程度の器であると書かれているんですが、では、なぜそれを低い値にしなければいけな いかという理由が書かれていません。一つは温度が高いものを入れるからかもしれない、 もしくは口をつけるからかもしれない、もしくは一日に何度も使う、普通の食器よりも 汎用するからかもしれないという推定はできたんですけれども、例えば、温度が高いと いうことであれば、カップ・マグよりもスープ皿の方が温度は高いでしょうし、ステー キを入れる皿の方が高いかもしれない。口をつけるということであれば、表面か外側か ということがあるんですけれども、この試験は内面しかしていない試験なので、外側は 全く見ていない。汎用するということになると、どこまでが汎用なのかと。口をつける 食器ということになると、ヨーロッパではカップ・マグしかないですが、日本の食器で は非常にたくさんあって、湯飲みとか茶碗とかどんぶり、それから、おちょことかいろ いろあるわけですが、それらすべて必要なのかどうか。また、口をつけることによって 鉛が移行する量というのは4%酢酸の溶出試験をする量よりもはるかに少ない。以上の ことからカップ・マグという曖昧な規格を導入するのは適当ではないと結論しました。    それから、飲み口についてですが、ガラスにも陶磁器にもなくてホウロウだけが飲み 口の規格が設定されています。ホウロウ製品が特に口を付けるものが多いかというと、 マグぐらいです。その飲み口について鉛の量として1個当たり2mgというのがついて いるんですが、この値は例えばWHOが定めているPTWIを一日当たりで計算すると 0.2mgという数字になっているんですけれども、これより高い数字です。こういった数 字を食品衛生法の規格に設定する、勿論4%酢酸という非常に過酷な試験ですから、こ れを超えているからといって直ちに人体に危険があるというものではないですけれども、 耐容量の10倍という数値を規格として入れると、ここまではいいということになり、 あえて数字を設定するということは望ましくないのではないかと考えます。    その2点が、ISOの7086、6486、4531と異なるところです。  以上です。 ○西島部会長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問等ござい ますか。  今、使用頻度によるという話がありましたけれども、これはいろいろ調べるときには 真新しいもので調べるわけですよね。だんだん使って古くなったものについての保障と いうのはどういうふうにされるのでしょうか。 ○河村委員 食品衛生法は製品を販売するときの規格ということになるので、使用中と いうのは入らないのですが、は一番溶出するのは最初です。私たちも溶出試験をすると きには1回しかできなくて、2度、3度と繰り返してももう出てこないという場合が多 いです。   ○西島部会長 ほかに御質問・御意見ございますか。 ○鰐渕委員 基本的なことなんですけれども、食品衛生法の抜粋で16ページ、17ペー ジが器具もしくは容器包装またはこれらの材料というところになって、「2.溶出試験」 でカドミウム、鉛が入っていると思うんですが、それ以外のところでは例えば重金属で あったりヒ素の溶出もやっているんですが、今回の改正に当たって鉛、カドミウムのと ころしか改正案の中にデータとしては入っていないんですけれども、これはそれでよろ しいんでしょうか。 ○光岡補佐 今回は、土鍋等海外から輸入されてくるものについて、非常に回収事例が 相次いだということから、とりあえずの措置として、鉛とカドミウム金属の規格基準を 急いでつくる必要性があるだろうと。それによって輸入時の検疫等の措置を強化すると いうことが急がれたということで、当面はこれを改正させていただきたいと思ってござ います。 ○河村委員 ちょっと補足させていただいてよろしいでしょうか。こういった陶磁器と かガラスとかホウロウでどういった金属が溶出する可能性があるかというと、圧倒的に 多いのは鉛なんです。陶磁器ですと着色料とフリットという溶けやすくし輝きを出すた めに鉛が添加される。それから、ほかのホウロウ引きの釉薬も同じように鉛が添加され る。それから、ガラスの場合はクリスタルガラスの場合に鉛が添加されるということで、 鉛を意図的に添加する可能性が非常に高い。カドミウムについても着色料として若干で すけれどもあります。それ以外の金属については、実際にはほとんどそういった例は見 当たらないということで、ISOでも鉛とカドミウムの規格だけを設定しています。 ○光岡補佐 先ほど私が少し勘違いをしていた面があるんですけれども、ISOの陶磁 器とガラス製の器具等は、今のところ重金属に関しては鉛とカドミウムしか規格が定め られておりませんので、今回それを導入するという考え方でございます。 ○西島部会長 ほかに御質問ございませんか。 ○望月委員 深さ2.5cm以上で容量3L以上のところですけれども、ガラス製器具と陶 磁器製、ホウロウとそれぞれ決まっておりますが、ホウロウの場合には単位面積当たり となっています。ほかの場合は容量当たりなんですけれども、これはどういうふうに設 定されたんでしょうか。 ○河村委員 ホウロウの方はISOでは3L以上の場合は試験片を使って試験をするこ とになっていて、陶磁器とかガラスですと試験片はつくれません。それとホウロウの場 合は非常に大きななタンクもありますので。試験片をつかって試験をするので単位面積 当たりの規格値になっています。 ○西島部会長 ほかによろしいでしょうか。  それでは、おおむね御意見・御質問等が出尽くしたように思いますが、本件につきま しては本日の議論を踏まえまして、先ほどの2つと同じように報告書を作成していただ いて、次回の部会で御審議をお願いしたいと思います。  事務局、審議事項は以上でよろしいでしょうか。 ○光岡補佐 はい。 ○西島部会長 それでは、ほかに何か事務局からございますか。 ○光岡補佐 前回御報告いたしました割りばしに係る監視指導の関係の通知を近日中に 発出したいというお話をさせていただいて、早川委員を初めいろいろと御意見をいただ いたわけでございますけれども、先生の御意見も踏まえさせていただいて、現在通知の 手続を行っているという最中でございまして、近いうちに通知を発出したいと思ってご ざいます。 ○西島部会長 どんな内容でしたか。 ○光岡補佐 割りばしについての漂白剤と亜硫酸塩と亜硫酸塩類を暫定的な規制値の限 度値を定めたものでございまして、またそれに試験法を定めていたものでございまして、 前回の数値は暫定的な限度値を厳しくするということと、試験法を鋭敏な方法に変える という改正の通知の内容になっております。 ○西島部会長 早川先生、それでよろしいでしょうか。 ○早川委員 はい。 ○西島部会長 そのほか、先生方から更なる御意見等ございますか。よろしいですか。  では、次回の予定につきまして事務局から御説明をお願いいたします。 ○光岡補佐 次回の器具容器包装部会につきましては、後日私どもの方から日程調整を させていただきまして、改めて御案内させていただきたいと思います。 ○西島部会長 ありがとうございました。それでは、以上で本日の審議を終了いたしま す。  どうもありがとうございました。 (了) 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2486) - 1 -