07/10/15 第105回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第105回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成19年10月15日(月)9:00〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者     委員  公益代表 :鎌田委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長        田中派遣・請負労働企画官、松原需給調整事業課長補佐        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  労働力需給制度について ○清家部会長  それでは定刻より早いのですが、委員の皆様方お揃いになりましたので、ただいまか ら、第105回労働力需給制度部会を開催いたします。本日は、北村委員が所用のためご 欠席されます。  では、本日はすべて公開で、「労働力需給制度について」をご審議いただきます。さ っそく、審議に入らせていただきます。  最初の議題は、「労働力需給制度について」です。まず、最初に事務局から前回、皆 様方からご質問があった点について、回答をいたします。 ○松原補佐  おはようございます。まず、資料の確認をお願いしたいと思います。資料1「日雇い 派遣について主に指摘されている事項」、資料2のいちばん上が「派遣先による事前面 接の実施について」、それからそのあとに参考としまして、「労働者派遣制度に関する 検討課題」、次に、資料3-1「労働者派遣法施行令等の一部改正について(概要)」、 資料3-2「労働者派遣制度における適用除外業務(案)」というもの、資料3-3のいちば ん上が「医師派遣における派遣元について」という構成です。皆様ございますか。  それと、本日、机の上に「労働力需給制度部会所属委員等名簿」というものをお配り させていただいております。清家部会長が、商学部長に御就任になりまして、また使用 者側の山崎委員は、会社の名前を変更させていただいております。よろしくお願いいた します。  それでは、まず資料1につきましてご説明させていただきます。日雇い派遣について 主に指摘されている事項です。こちらは、第103回におきまして鎌田委員から、第104回 におきまして、輪島委員のほうから、さまざま日雇い派遣についてマスコミ等で指摘さ れているが、それについての労働基準法や労働者派遣法、そういうものの規定がどうな っているのか、整理を行ってほしいというご発言がありまして、これについて、事務局 のほうで整理させていただいたものです。簡単にご説明させていただきます。  事務局のほうで、雇用が不安定というものと、賃金等について指摘されているもの、 それと安全衛生、社会保険等の加入、労働条件の明示、教育訓練の機会の確保という形 で、指摘されている事項を整理させていただいております。  まず、雇用が不安定というところですが、雇用契約期間が短いということにつきまし ては、労働基準法に基づきまして、雇用契約期間の上限の定めがございますが、上限3 年、一定の場合5年ですが、下限の規制はございません。それと派遣法の規定ですが、 派遣元事業主は雇用契約期間を、派遣契約期間に合わせるようにするという規定が派遣 元指針にございますが、派遣契約期間そのものにつきましては、下限の規制はございま せん。それと仕事があるかどうかが前日までわからないということにつきましては、基 準法等の他法令、また派遣法の規定、これは特段ないという状況にございます。それで、 右のほうの派遣法との論点ですが、ここは全体にかかることですが、派遣制度は、雇用 関係と指揮命令関係が分離することに伴う構造的不安定さを、派遣元事業主が雇用の安 定を図ることによりまして、バランスをとらせているが、雇用契約期間が極端に短い場 合には、その仕組みが機能していないのではないかという論点があるかと思っておりま す。  次に、当日キャンセルがあるというものです。労働基準法第26条におきまして、使用 者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づく休業手当の支払い義 務があります。この使用者の責に帰すべき事由はかなり幅広くなっておりまして、天変 地異など以外につきましては、基本的に休業手当を払うべきということになっています。 それと派遣法の規定ですが、派遣労働者の責に帰すべき理由以外の事由によって、派遣 契約が解除された場合には、新たな就業機会の確保を図る等の規定が派遣元指針にござ います。派遣法の論点としましては、この指針が十分に機能しているかどうかというこ とであろうかと考えております。  次に賃金ですが、労働者の賃金水準が低いというご指摘、これにつきましては、ご承 知のように最低賃金法におきまして、最低賃金が定められております。地域別それと産 業別がございます。ただ、それは最低基準でして、それを越える賃金につきましては、 労使の間で決定するということになっております。派遣法上の規定は特段ございません。 それと給与からの不透明な天引き、移動時間、待機時間中の賃金の不払い、物品購入の 強制、遅刻等のペナルティーによる賃金カットというご指摘につきましては、こちらも 労働基準法に基づきまして、賠償予定の禁止、賃金の全額払い、作業用品等を負担させ る場合の就業規則記載の義務、それと制裁規定の制限の義務がございます。こちらも、 派遣法につきましては、特段規定はございません。  次の頁をご覧ください。次に、安全衛生等についてです。安全衛生措置が適切に講じ られない。派遣元事業主による雇入れ時教育が未実施、労災が起きやすい、こういうご 指摘がございます。こちらですが、労働安全衛生法と政省令等によりまして、安全衛生 措置等の実施の義務がございます。また、派遣法におきましては、こちらの労働安全衛 生法に基づきます措置につきまして、派遣元それから派遣先がそれぞれ責任を負う。ま たは、共同で責任を負うように、特例を規定してございます。論点としましては、派遣 元と派遣先の責任分担が適切かどうかということになろうかと考えております。  次に、社会保険等に適正に加入されていないという点です。こちらにつきましては、 各法はカッコ内にございますが、雇用保険法、健康保険法、国民年金法それぞれにより まして、日雇労働者としての適用があり得るという形になってございます。当然、一定 の条件がつくという形になっておりますが、その条件に合致すれば適用されることがあ り得るということです。これにつきまして派遣法の規定ですが、派遣元事業主は、派遣 時に派遣労働者に関する社会保険等の被保険者の資格の取得を確認し派遣先に通知する 義務が第35条にございます。  次に、労働条件の明示が適正になされていない。書面等による明示がなされていない という点です。  まず、労働基準法第15条におきまして、労働条件、賃金や労働時間等ですが、こうい うものについての書面による明示義務がございます。それと派遣法の規定ですが、派遣 元事業主が雇入れ時の派遣労働者である旨の明示義務。それと派遣時の派遣契約内容等 の書面等による明示義務。これがございます。論点としましては、明示義務の実効性が 確保されているかどうかということになろうかと思います。  次に、教育訓練の機会が確保されていないというものについてです。特段他法令の規 定はございません。派遣法の規定につきましては、派遣元事業主は教育訓練の機会の確 保等の措置を講ずる努力義務がございます。派遣法の論点としましては、教育訓練の存 り方が適切かどうかという論点になろうかと思っています。以上です。 ○清家部会長  どうもありがとうございました。それでは、前回委員からご質問があった部分につい て、事務局から資料を作っていただき、ご説明をいただいたところですが、何かただい まのご説明について、さらにご質問、ご意見等ございますか。 ○長谷川委員  資料1の「雇用が不安定」というところの、雇用契約期間が短いとか、仕事があるか どうかという点までわからないという部分ですが、派遣法等の論点として、「派遣制度 は雇用関係と指揮命令関係が分離することに伴う構造的不安定さを、派遣元事業主が雇 用の安定を図ることによりバランスさせているが、雇用契約期間が極端に短い場合には その仕組みが機能していないのではないか」と書かれていますが、この部分が何を言わ んとしているのかよくわかりません。雇用関係、要するに使用者と雇用者が分離する。 分離するということに伴って、構造的不安定さがあって、「それを派遣元事業主がバラ ンスさせている」というところがよくわからないので、これはどういうことか説明して ほしいのです。それから、もう1つは、派遣元指針の派遣契約に関する部分ですが、例 えば1年の派遣契約をしているときに、その派遣労働者について、雇用契約を1カ月にし て1年間反復更新したり、そういうのはやめましょうという話でしょう。しかし、日雇 派遣というのは、派遣契約期間も1日しかないわけです。1日しかないから、この指針は 全く関係のない話です。  それともう1つは当日キャンセルです。基準法の第26条というのは、使用者の責に帰 する休業の場合は休業補償するわけですね。派遣の場合に、派遣先から当日キャンセル されたときにでも、基準法第26条の使用者は派遣元になり、休業手当の支払い義務が発 生します。しかし、派遣元について「使用者の責に帰すべき事由」かどうかという判断 は、どのようにしてされるのですか。そこは、ちょっと理解ができません。  あともう1つ、「日々雇用」というのは、実際、派遣でない形でも、行われています よね。一般的に行われている日々雇用と、日雇派遣はどこがどう違うのか、今回の資料 ではよくわかりません。派遣でない日々雇用は行ってもよくて、派遣の日々雇用がなぜ いけないのかというところが、まだ、この資料では明確ではありませんね。 ○清家部会長  それでは、事務局から。 ○松原補佐  長谷川委員から4点、ご質問がございました。まず、資料の雇用が不安定のいちばん右 の所、「派遣法上の論点」というところで、申し上げたところですが、まず、そもそも 派遣制度自体が、まず三者構成になっておりまして、派遣元、派遣先、労働者という形 になっておりまして、通常のいわゆる事業主と労働者の関係ではないということです。 まず、これで一般的にいって、構造的に不安定になっていると認識しております。その 構造的な不安定さを解消といいますか、安定にむけて一定の担保するために、派遣元に 対して、雇用主たる義務をかけている、また派遣先からもきちんと協力をうけて責任を 負うという形になっております。もちろん、構造的な不安定さという点は派遣元に義務 をかけても解消されるわけではないですので、派遣先についても一定の義務を課してお ります。  このため、労働基準法等の既存の労働者保護法規についても、その適用について、特 例の措置を講じております。これで、構造的な不安定さを解消しようという考え方で、 法律的にはできております。また、雇用期間が短いということ、これに伴う問題ですが、 これにつきましては、いわゆる日雇い派遣のように、雇用契約期間が極端に短い場合に、 就業条件の明示がなされているかとか、教育訓練の機会の確保、こういうものがなされ ているか、あとは、派遣元責任者の選任による派遣先との連絡調整とか、安全衛生の措 置、こういうものが、履行されているのかどうか議論がある。このように考えておりま す。  構造的な不安定さに、日雇いであるということが重なった形で日雇い派遣というもの が構造的にはあると認識しております。ここに書いておりますのは、以上の考え方で、 構造的な不安定さが派遣法上の問題としてありまして、その上に日雇いであるというこ とがダブルでかかっているのではないかという考え方を紹介したものです。  次に当日のキャンセルについてです。責に帰すべき事由による休業の場合のところで すが、長谷川委員がご指摘の点は、たぶん、派遣元が突然キャンセルをして、本当にこ の休業手当の支払いというのがなされているのかというご指摘かと思っています。この 担保が確実になされているかどうかということは個々事案をみないとわかりませんが、 基本的に雇用契約を結んだあとにキャンセルした場合には、当然この第26条の適用があ るというものです。ですから、雇用契約を結んでいない段階では、当然、この条文は履 行されませんので、雇用契約は結ばれたとそのあとの段階においてのことと考えており ます。  次に、日々の直用と日雇い派遣というものは、根本的に何が違うのかというご指摘で あったと思います。最初に申し上げましたが、雇用期間が短いということに伴う関係法 令の適用につきましては、ほとんど差がないというふうに考えております。日雇い直用 であろうと、日雇い派遣であろうと、労働基準法上、それから安全衛生法等の措置、こ れは当然適用があるものですが、ただ、その派遣法の中におきましては、さっき申し上 げましたように、派遣元、派遣先、労働者という形で、三者構成という形を反映し、派 遣元、派遣先を分けて義務がかかっております。そういう意味で、雇用期間が短いとい うことに伴う違いというのは、さほどないと思っておりますが、やはり、構造上派遣制 度であるが故の構造的な不安定さがあるということ、これが大きな違いでなかろうかと いうふうに考えております。  最後に、派遣契約と雇用契約期間の一致についてです。おっしゃるように、指針にお いてこれをそのまま詠みますと、派遣契約と雇用契約期間を一致させるよう求めており ます。例えば、1日単位であっても、その1日に合わせればよいということになります。 長谷川委員もご指摘のように、これはもともと想定していなかったのではないかと言わ れるとそうなのかもしれません。現行の指針におきましては、雇用契約と派遣契約期間 を合わせる等、雇用の安定を図るための必要な配慮をするよう求めておりますので、こ れをそのまま読み表すと、そのように考えられると思います。ただ一般的には派遣契約 が長いのに雇用契約が短いというような場合をなおしてもらおいう考え方であると思い ます。 ○清家部会長  長谷川委員、どうでしょうか。 ○長谷川委員  最後にもう一言。日々雇用のところで言えば、派遣での日々雇用であろうと、派遣を 使わない日々雇用であろうと、日々雇用の問題がまず1つあります。両者で決定的に違 うところは何かというと、派遣法の趣旨から見て、「日雇派遣」というのは、本当にあ り得るのかどうかということだと思います。  それは、2頁目のいちばん最後の部分が端的に示していると思うのですが、そもそも 労働者派遣というのは、自分のところで雇用している労働者を職業訓練して、派遣先が そういう労働者が必要なときに、派遣元から派遣労働者を出してやる。しかし、実際は 訓練も何もせず、その日に雇って訓練も何もしてない。単なる労務供給でしかなくなっ ているのではないか。ちゃんと訓練した労働者を、派遣先に出すという形になっていな いのではないかということは、資料からわかります。しかし、やはり資料1では、日々 雇用と派遣の日々雇用で何が違って、どこが問題なのかというのがよくわかりません。 三者間の雇用関係という構造的な不安定さにプラスして日々雇用というダブルの不安定 さがあるというのはわかったのですが、抽象的です。例えば日々雇用であっても派遣で はないところの日々雇用の労働者というのは、意外と継続して雇用されているケースも あります。派遣での日々雇用というのは、おそらくそういうところとちょっと違うのだ と思うので、もう少しここを精査してほしいですね。 ○輪島委員  いまの長谷川さんと同じ話だと思うのですが、先ほどの4つ目の質問の所の説明で、 雇用期間の違いはあまりないが、三者間雇用関係において、課題があるのではないかと いうことですが、その中で、三者間雇用関係の中で限っていても、その中で26業務の通 訳だとか、添乗だとかは日々で1日の契約でいく場合があるわけですから、いま言われ ている問題と三者間雇用関係だから、問題が発生するという中で、実は違いが出てくる と思うのです。直接の日々雇用とそれから、いわゆる日々の派遣のところというと、何 が問題なのかというのは、直接的にはこの資料1では、やっぱり出てこないのではない か。  8月に発表した実態調査の所と、この資料1に載せると何が課題なのかというのが出て くるのだと思うので、法令上の整理はこうなのかもしれませんが、法令上言われている ことと世の中で言われていることとの整理というのは、もう少し必要なのではないかと 思います。 ○山崎委員  私も輪島委員のおっしゃったことと似ているのですが、日雇い派遣という働き方の形 態で、正社員が休日などを利用して働いているケースもあると伺っております。それか ら、いま出ましたように通訳とか、同時通訳の方などの職種によりましては、個別の業 務単位で雇用されるというケースが結構あるということです。それで、一括りにして議 論はやはりできないのではないかと思いますので、そうした意味からいまおっしゃった ように、もう一度実態調査を行ってから、課題を整理していっていただければわかりや すいのではないかと思っております。  状況によりましては、場合分けをして検討することも必要ではないかと思っておりま すが、いまのところはどうしてということはないのですが、たまたまこの日雇いのとこ ろで、意外と学生さんが多いということを聞いております。ものすごく、学生さんが多 かったり、主婦の方が結構多くて、このままでいいという先だっての調査もありました とおり、そういう方々は、そういうことをおっしゃって、学生の方がいらっしゃるので、 労使双方のニーズがいろいろあるのではないかと思いますので、その辺をもう一度、調 査の課題を整理していただければと思っております。 ○清家部会長  ほかによろしゅうございますか。市川委員、どうぞ。 ○市川(佳)委員  先ほどのご説明の所で、当日キャンセルがあるというところで雇用契約が発生したあ とにキャンセルしたら云々という説明があったと思うのですが、いわゆる日雇派遣の場 合、雇用契約や派遣契約は、いつ発生するのですか。例えば、派遣元に登録していて前 の日に、明日の何時に××へ集合せよ、というような連絡があった場合です。それが当 日になったら、「今日は仕事はなしよ」と言われることがたぶん、ここでの問題だと思 うのですが、その場合の雇用契約が成立した時点というのはいつなのですか。 ○松原補佐  まず、4方からお話がございますが、市川委員の御質問についてです。雇用契約が発 生したのはいつになるのかということですが、登録型のことを念頭においていらっしゃ るのだと思いますが、杓子定規に申し上げますと、労働条件が明示されたときなど雇用 契約が実際上結ばれたと判断されるときとしか言いようがないことは御理解下さい。労 働基準法に基づく労働条件が提示され労使が同意したとき、労働契約が結ばれたとされ ることが多いのではないかと、このように考えておりますが、実態を見ての判断となり ます。契約を結ばずに突然キャンセルされた場合にどうなのかということは、論点にな ろうかと思っております。 ○市川(佳)委員  実態はよくわかりませんが、登録型で登録をしておいて、前日あたりに連絡が来たと きに、労働条件の明示がなくて、ただ、単に「明日、何時だよ」というぐらいのことで して、通常は直前に携帯なんかに労働条件の明示があるという場合は、休業補償はどう なるのか。法的には補償されないということになるのですか。 ○松原補佐  個々別々に判断することになりますし、一般的に、それは雇用契約が結ばれたという ふうに考えられる場合については、当然救っていくことになろうかと思いますが、やは り、きちんと契約を結んでいるのかいないのかということが争いになるのではないかと 思います。いつの時点で雇用契約を結んでいると判断できるのかというのが、やはり、 大きなポイントになってまいりますので、委員がおっしゃるような場合において、これ は救われないということも、当然ありうると思います。 ○松原補佐  続きまして、長谷川委員、輪島委員、山崎委員の3方からお話がございました。長谷 川委員からお話ありました教育訓練のところ、ここも大きな論点であろうと思っていま す。派遣法上で、基本的には教育訓練の確保は派遣元が行うことになっています。これ は、当然履行されなければならないのですが、日雇いのとき、これが履行されているか どうかというのが、大きな論点の1つになろうかと、このように考えております。  それと、輪島委員と山崎委員からお話がありました。少し実態に応じた形の整理をし ていただきたいということでした。実態調査をもう一度行うということにつきましては、 適正な調査を行うためのやり方をどうするかなど考えなくてはならず、また調査自体に も時間がかかりますので今は考えていません。前回行った調査ですとか、他の調査など で、少し工夫できないか、これは、考えさせていただきたいと考えております。以上で す。 ○清家部会長  ちょっと1つだけ質問したいのですが、この2頁目の所の「労働条件の書面による明示」、 多分、1つ問題になるのは、いわゆるビジュアル的によくネットカフェとかで、携帯電話 でやりとりする様子など出てきますね。それは、おそらく書面等による明示で、この「 等」を入れたところです。記憶ですとたぶん、IT制度を進めるためになどの理由でこ れを入れたような気がします。やっぱりこれは、問題視されている。ここは問題かなと いう気もするのですがどうですか。 ○松原補佐  今、承知している範囲では、今おっしゃった点が他方面から指摘を受け問題視されて いるというようなことはございません。ただ、前回の部会でも長谷川委員からお話があ りましたように、問題点の1つとして考えておられる方はいらっしゃると思います。た だ、今、そのことが大きな問題事案となっているようなものは承知していないというこ とです。 ○鈴木課長  携帯の部分については、こちらの派遣法に基づく明示というよりも、どちらかと言う と基準法上の明示を携帯なんかでやってていいのかどうか、それよりも基準法のほうが 書面のみで、本来携帯などの電子メディアではやってはいけないのですが、それを脱法 的にやっているということ。それが不十分だということで、どちらかというと、派遣法 の明示の話よりも、基準法の明示がそういう形で、安易にやられていて十分でないとい う考え方もあるかと思います。 ○清家部会長  わかりました。 ○長谷川委員  ただ、それを言い切るのはどうかなと思います。やはり、派遣法の施行規則第25条、 これをどうとらえるかということが必要です。基準法での労働条件明示の面ともう1つ は、この第25条をどういうふうに見るかと、両方から考えることが必要なのではないか と思います。 ○輪島委員  先ほどの実態調査の関係ですが、いまの携帯モバイルで通知をされるのが労働条件な のか、「明日、東京駅に8時に行きなさい」というそういうものなのか、どっちなのかと いうのが、実態調査でわかるのかどうか。それから、2つ目は、雇用保険で日々の雇用 保険を払うことになりましたが、あれは、派遣元が日々変わっていくことを条件にして いるように理解しましたが、そのことといまの派遣元は一緒で1日ずつ派遣先が変わっ ていくこととの整理は、どういうふうになるのかという点も教えてください。 ○松原補佐  まず労働条件の明示と就業条件の明示のところですが、実態調査でそのどちらが行わ れているかということまでは、正直言ってわかりません。 ○輪島委員  東京駅に来るというのは、就業条件の明示になるのですか。集合場所だけでしょう。 ○松原補佐  就業条件の明示の一部になるかと思います。。確かに一般的に申し上げて労働条件と 就業条件とで重なる部分があるということはご存知かと思いますが、やはり、労働条件 と言いますと、賃金とか労働時間などがメインになってくると思います。派遣法の就業 条件といった場合に、契約の期間ですとか、あとは働く場所とかそういう一般的な就業 の中身を明示するという形になっております。 ○清家部会長  これから調査するのであれば、それもやってもらえますか。 ○松原補佐  先日日雇い派遣調査を行いましたので、その中でどこまでできるか考えてみたい思い ます。また新たに調べるとなると、相当期間がかかってまいりますので事務局内で検討 させていただければと思っております。  それと雇用保険のところですが、輪島委員の認識でよろしいかと思うのですが、これ を担当の雇用保険課のほうに、きちんと確認をとったほうがよろしいかと思いますので、 また後日に回答させていただきたいと思っています。 ○鎌田委員  話がかなり前に戻って、派遣法上の論点について長谷川委員から、ちょっとどういう 趣旨かというご質問があって、それでご回答いただいたのですが、こういったような表 現で、論点を整理するかどうかをまとめて含めて検討させていただきます。つまり、構 造上の不安定があるから、三者関係というそれはそのとおりだと思うのですが、その登 録型に関して言えば、派遣先から発注があって、そしてそれに対して、その期間につい て派遣労働者を派遣元が雇い責任を負うという性格なものでして、そこにある雇用の不 安定については、それを派遣元がそういった雇用の不安定を安定化させるという義務が あるわけではないですね。これは、ドイツははっきりそれは安定させなければいけない という常用型だという理屈になっているわけですよ。つまり、不安定なテンポラリーな ものに発注しても、派遣元は常用で雇って安定させなければいけないという発想になっ ているわけですね。日本は、そういうふうになっておりませんので、では派遣元が雇用 主であるということの趣旨は何かというと、それはまずは、労基法上、あるいはさまざ まな法令上の使用者責任を誰が負担するのかということを明確にし、そして、法令上の 義務をしっかりと派遣元は果たしてくださいという趣旨で、ここで言う安定を図るとい う意味であって、私の理解ですね。いま言ったようなドイツ的な発想で雇用主として、 不安定なそういう就業形態に対して安定を図るという趣旨ではないですね。ただ、いま ずっとここまで常用型というものは、その登録型と違うようなルール規制も考えたほう がいいのではないかというのは、まさに雇用主が努力して雇用の安定を図っている者に ついては、ルールにおいても適切な差を設けてもいいのではないかということなので、 こういったような今までの部会での議論の中で言えば、雇用主の派遣元の雇用主として の雇用の安定に対する責任というものを、どうとらえるかというのが1つ大きな論点で、 とりわけこの日雇いについては、それが極端な問題に進んできているということだと、 そういう論点で私は考えていて、ご説明は別に違っているとは思いませんが、登録型の 派遣元がこの事業にこういうような不安定性を安定化させる義務を負うというような発 想でこの法制が作られていないというところが、ちょっとご確認というか、そういう趣 旨で法制では理解したいなというふうに思います。以上です。 ○鈴木課長  まさに先生おっしゃるとおりでして、現行法で派遣元に求められるのは、いわゆるち ゃんとした雇い主であるということで、許可制をとっているわけですが、それ以上では ないということはその通りです。ちゃんとした派遣元であれば、ある程度雇用の安定も 図ってくれるだろうという制度ですので、それ以上のものについて、いまのところ、義 務はかかってないのですが、おっしゃられたように、この日雇い派遣という形は、これ だけでいいのかということが、論点だろうというので、ここにいくつか例示を書かせて いただきました。そういう意味です。 ○清家部会長  ほかによろしゅうございますか。  それでは、またこのところに戻ることがあるかと思いますが、事務局において、今後 の検討課題のIIについて、資料を作成していただいておりますので、その点について、 次に資料の説明をお願いし、また、議論を進めていただきたいと思います。では、事務 局お願いします。 ○松原補佐  まず参考をご覧ください。いわゆる検討課題です。いま部会長からお話がありました ように、II労働力需給調整機能の強化の(1)と(2)について今回資料を用意させてい ただいています。(1)が事前面接等の派遣労働者の特定を目的とする行為で、○で論 点を3つ提示しています。次頁(2)が紹介予定派遣です。こちらも論点を3つ提示して います。  資料を御説明いたします。資料2は派遣先による事前面接の実施についてです。下に 派遣元事業主、派遣先事業主、派遣労働者と3つ並べてあります。事前面接については、 派遣元、派遣先、派遣労働者共に8割前後が認められてよい、または場合によっては認 められてよいという回答が多くなっています。  下の真ん中横の部分に事前面接が認められてよい理由が書かれています。これは認め られてよいと、場合によっては認められてよいという方を取り出した回答です。派遣元 においては事前面接が認められてよい理由について、「派遣労働者への業務内容を教え られる」がいちばん多くなっています。また、「派遣先の社風を教えられる」、「派遣 先が派遣労働者の能力を選考できる」との答えが続いています。一般と特定に大きな差 異はない状況です。  派遣先において事前面接が認められてよい理由として、「派遣労働者へ業務を教えら れる」が多くなっています。また、「派遣先の事業所が派遣労働者の人物を選考できる」、 「また、派遣先が派遣労働者の能力を選考できる」という回答が続いています。  派遣労働者が事前面接が認められてよいとする理由として、「派遣先の業務内容がわ かる」、「派遣先の社風がわかる」、「自分の人物がわかってもらえる」という回答が 多くなっています。  一方、8割が認められてよい、場合によっては認められてよいとしていますので、残 り2割が認められるべきではないということになります。派遣元事業主では、「派遣先が 選考するのであれば、派遣元の存在意義がない」という回答、また「派遣先による派遣 労働者の選別が増大する」という回答が多くなっています。派遣先についても、「派遣 先が選考するのであれば、派遣元の存在意義がない」、「責任の所在が不明確になる」 という回答が多くなっています。派遣労働者は「派遣先は雇用主ではない」、「派遣先 が適切に選考するか疑問である」という回答が多くなっています。  2頁は派遣労働者が決定される前に行われていることについてきいたものです。派遣 先事業主においては派遣労働者が希望した場合の事前訪問、事前面接(簡単な実技試験 を含む)が多くなっています。下図派遣労働者においては事前面接(簡単な実技試験を 含む)、あとは派遣先への履歴書の提出と答える方が多くなっています。  3頁は紹介予定派遣です。紹介予定については派遣された労働者は約3万3,000人、前 年比約7割増です。また、職業紹介を実施した労働者は3万3,000人のうち約2万6,000人 です。これも前年比約7割増、その後直接雇用に結びついた労働者は約2万人です。 こちらは前年比約9割増です。この直接雇用について、正社員か正社員でないかは特段 調査を取っていません。  4頁は紹介予定派遣の利用状況です。いま派遣労働者でいらっしゃる方のうち紹介予 定派遣の経験がある方の割合は3,2%となっています。ただ、この紹介予定派遣経験者 では88.0%は職業紹介を受けまして、75.0%が採用に至っています。図の真ん中点線部、 職業紹介に至らなかった理由としては、「自分が派遣先で働くことを希望しなかったた め」、「自分の知識・技術が派遣先の要望と異なっていたため」などとされています。 いちばん下の点線部、採用に至らなかった理由としましては、「自分が派遣先で働くこ とを希望しなかったため」が66.7%、「自分の知識・技術が派遣先の要望と異なってい たため」が33.3%です。  5頁のアンケート調査は、紹介予定派遣のメリット及び要望です。紹介予定派遣のメリ ットについては、まず派遣先がどう思っているかですが、「労働者の適性・能力を見極 めてから雇用することができる」がいちばん多く上がっています。次に派遣労働者は、 「就職先の仕事が自分に合うかどうか見極めることができるため」という回答をする方 が多くなっています。また、紹介予定派遣の派遣可能期間に対する要望として、下図で 派遣元、派遣先、労働者を取っています。こちらは、このままでよいという方が多くな っていますが、やはり労働者については6ヶ月より短くして欲しいとなっていて、あと は派遣元、派遣先については長くして欲しいという回答が多くなっています。1点注釈 ですが、いちばん下、米印のところですが、労働者の方は長くしてほしい、短くして欲 しいと書いてありますが、実際の調査では、この前に「自分にとってその職場が合って いるかを見極めるための期間が長いのがよいので」長くして欲しい、また、「雇用の身 分が不安定な期間が長くなるので」短くして欲しいとしています。こういう形でアンケ ートを取っていることを追加させていただきます。以上です。 ○清家部会長  どうもありがとうございました。ただいま事務局からご説明がありました点について 皆様からご質問、ご意見を承りたいと思います。どなたからでもどうぞ。 ○山崎委員  平成19年度の東商の実施しましたアンケート調査結果では、61%の企業が事前面接 の解禁を希望しているのは前から申し上げています。この資料にもありますとおり、派 遣労働者の85%が認めるべきと回答しています。そもそも最近では特に、中小企業にお いては、派遣労働者をなかなか回していただけないということがあります。大企業にば かりどんどん行きまして、中小企業は結構零細企業を含めて苦難しています。また、中 小企業の場合は派遣労働者からいやですと断られることが多いと聞いています。こうい うことで意外と面接をしていただいたり、ミスマッチが事前に防止できるという意味で は、事前面接を解禁するのが労使双方にとってミスマッチがなくていいのではないかと 思いますので、解禁していただければと思います。 ○清家部会長  はい、わかりました。ほかにご意見はありますか。 ○長谷川委員  基本的には労働者派遣の仕組みは、派遣元が自分のところで、「こういう仕事ができ ますよ」という労働者を日頃から教育訓練して、派遣先から「こういう人が欲しい」と いうことではなくて、「こういう仕事ができる人が是非欲しい」と言われたときに、派 遣元が派遣するわけです。そのときの「事前面接」というのは何なのでしょうか。例え ば、派遣労働者が派遣先の業務内容を知りたい、派遣先の社風を知りたいということが、 事前面接なのかということです。事前面接というのは、一般的にこの社会で言われてい るのは、長谷川裕子はどういう人だろうか。姿、形はいいのか、目つきはいいのか、姿 勢はいいのか、態度はいいのか。だいたい面接のときの面接官が行うことはそういう話 だと思います。業務内容がわかる、社風がわかるなどということは事前面接の話ではな いと思う。派遣先の事業主や経営者が求めているものと、おそらく労働者が求めている ものは、「事前面接」という表現を使っていても内容は違うのではないかという気がし ます。  もう1つは、派遣制度の中で事前面接の解禁というのは本当に必要なのかどうなのか。 労働者が業務内容が知りたい、どういう会社か、どこにあるかなどが知りたいというこ ととは、ちょっと違うのではないかと思うのです。 ○松原補佐  派遣法上確かに事前面接という言葉は出てまいりません。派遣労働者を特定すること を目的とする行為という言葉が出てくるのみです。ですから、検討の課題についても事 前面接等と言っていますように、事前面接に限ることではありませんが、派遣先が派遣 される労働者を特定することを、法律上努力義務として禁止しているものです。現行法 の説明になりますが、今申し上げましたように派遣先が派遣労働者を特定することは禁 止しています。ただ、指針にありますように、労働者が自ら履歴書を派遣先に送付する、 労働者の意思に基づいて会社訪問するなどが事前面接に当たらないとしておりますので、 そこで一定の線引きをしている。つまり、労働者の意思によるかどうかで、基本的な一 定の線引きをしていますが、派遣先が派遣先の意思に基づいて派遣労働者を決めること については、派遣法上は禁止されています。 ○長谷川委員  したがって、私は事前面接を解禁しなくても、派遣労働者がその企業の中にいて、ど ういう企業なのかと見にくることなどは、いまだってやっていますし、これからも行え ます。長谷川裕子はどういう人なのかという人物評価をあえてする必要はないのではな いかと思います。 ○清家部会長  ほかにご意見どうでしょうか。 ○市川(佳)委員  派遣先とはそもそも雇用関係を予定しないという仕組みです。長谷川委員が言ったよ うに、面接という言葉が紛らわしい。禁止しているのは何故かというと、派遣先が採用 するわけではないからです。もっと言い方を変えると、派遣先がそういうことをしては いけないとして特定行為が禁止されている。しかし、こういうアンケート調査では、派 遣労働者が「事前面接で認められたい」という項目に丸をしたときは、派遣先に選ばれ るか選ばれないかは、あまり意識しないで答えていたのではないかと思います。どんな 会社かわからないところは嫌である。どんな人がいてどんな雰囲気か。具体的に業務の 内容も、派遣元に聞かされたのではあまりにも漠然としてるから、もっと知りたいとい う意味で、たくさんの人が面接したいと答えていると思う。この「面接」という言葉が 非常に紛らわしいのです。  「特定行為」という言葉も一般的にわかりづらい。採用行為をしてはいけないという ことがもう少しきちんとされて、労働者が希望した場合の説明会や事業所訪問は、その ままでいいのではないかと長谷川委員は言いました。  しかし、私が問題に思っているのは、希望しなくても圧力で行かざるを得ないケース も多いと、我々の派遣労働者のアンケートに出ています。要するに、断れないのです。 結果として選定行為が行われているケースもあります。私は派遣労働者が希望した場合 にはよい、ということではなくて、もっと明確にきちんとルール化をして、特定行為と は違って認められるのはどのような場合なのか、きちんとした線引きが必要なのではな いかと感じます。 ○松原補佐  まず、アンケートの取り方について解答します。委員がおっしゃるとおりですが、派 遣先との事前面接についてお答えくださいという設問になっています。実際に派遣する 労働者を決定する前に行われていることについて丸を付けてくださいと書いてあって、 あとは認められてよい、場合によっては認められてよいなどを並べておきまして、それ に丸を付けさせています。委員おっしゃるように、事前面接について詳しくどういうも のかを書いている調査になっているわけではありません。以上です。 ○清家部会長  よろしいですか。ほかに何かありますか。 ○山崎委員  長谷川委員が先ほどおっしゃった事前面接について、個人的に男性か女性か、また意 識がどうのとおっしゃった。そういうことで選ばれる可能性を言っていらっしたと思い ますが、中小零細企業の場合には、あまりそういうことは考えていないと思います。で すから、そういうところに来てくれて、そして実力がありますます勉強していいという 方が来てくだされば、それはそれなりに助かります。そういう意味で、断られないよう なやはり会社のその人に対するアピールなどは、そういうときにお話して、情熱を買っ ていただくようなことも必要なので、紙1枚で来るのではなく、男性か女性か、美しい かどうかなどとは、全然それは中小企業零細には入れないと思っています。その辺は考 えていただければと思います。 ○長谷川委員  このアンケート結果で、労働者はこの問題に正直に回答していると思います。派遣先 の業務内容がわかる、派遣先の社風がわかるというのは、やはり派遣労働者だって自分 がだいたいどこの場所に会社があって、どういう雰囲気なのか、働く人であれば本当に 見たいと思います。いまは本人が申し出れば、行ってもいい、見てもいいとなっていま す。これは苦肉の策で何かゆがんだ作りだと思いますが、個々の派遣労働者の気持は正 直に出ているのではないでしょうか。ただ、問題は要するに年齢、容姿、などに伴って いろいろ選別される。例えば、派遣労働者が並ばされて、選別されたなどという声は、 私どものところにも寄せられます。これはやはり行ってはいけないですよ。ですから、 派遣元はどういう気持なのか、派遣先はどういう気持なのか、派遣労働者はどういう気 持なのかを考えて、実態は何が起きているのかを整理するのがいいのではないかと思い ます。中小企業は顔の見えるところで本当にいいと思いますが、問題は中小企業ではな いところでさまざまトラブルが起きています。そういう意味では中小企業の人たちがお 気の毒です。 ○輪島委員  いまおっしゃったことはそのとおりだと思う。いままでずっとフォーローアップの中 でも整理をしてきたとおり、事前の打合せ等、事前の面接というところをワーディング を分けていく。その中で先ほどの日々雇いもそうですが、労働条件というか、労働契約 がいつ結ばれたなど、契約が結ばれた以降であれば、それは打合せだと思います。その 中で社風を知る、それから自分の仕事は何なのかを知ることは労働者にとっても重要な 点だろうと思う。そのところがやはり契約の成立時がどうなっているかがどうもうまく いかなくて、労働者本人が理解していない部分であり、それで、面接になるとか。基本 的には採否について派遣先が決めてしまうのは、それは違う話だろうと思う。そこの整 理はどうするのかができるのであれば、基本的にはマッチング機能を高めることが重要 だと思う。その目的に資するような制度の見直しが必要なのではないかと思う。 ○清家部会長  ほかによろしいですか。 ○鎌田委員  この話題は結構何度も議論しているのですが、改めて特定行為と、特定を目的とする 行為とこの事前面接というと、例えば事前面接でも複数の候補者が来て、そこで派遣先 が、ではあなたと言う。これは特定を目的とする行為ではなく、まさに特定している。 だから、特定する行為と特定を目的とする行為、それからいま輪島委員おっしゃったよ うに契約後の打合せなど、法律上の言葉と具体的にそれにあたると思われる行為を少し 整理していただいたほうが議論がしやすい。  私もよくわからないといつも思うのは、特定する行為と特定を目的とする行為です。 年齢で特定するのはいけないと言いますが、例えば20歳の方というのはいわゆる特定行 為なのか、特定を目的とする行為なのかなどです。具体的に目の前にいて、この人と言 えばこれははっきりしている。私がよくわからなくていつも悩んでいることですが、も し整理できれば、そういうところも整理して欲しい。以前、かなり議論しているので、 もしかしたらそういう資料もあるかもしれません。ちょっとお願いできればと思います。 ○松原補佐  鎌田委員がおっしゃいました特定行為、特定目的行為、それと法律的には抵触しない もの、こういうものについて時間をいただいて少し整理させていただきたいと思います。 ○輪島委員  派遣先が派遣元に、多分メインには営業の方だと思いますが、20歳の女性が良いと言 うことと雇対法のような年齢制限や均等法のようなことにどう抵触するのか、しないの かというのがよくわからない。そこも一緒に整理して欲しいと思っています。 ○松原補佐  特定行為等を整理する中で整理できればしてみたいと思います。 ○清家部会長  ほかによろしいですか。それでは、この点についての議論はこの辺りにさせていただ きまして、次にここ3回くらい議論をいただいています緊急医師確保対策について前回 の指摘事項へのご回答も含めて、事務局からご説明をお願いします。 ○竹野補佐  資料3−2は、これまでの議論を踏まえまして、現行の適用除外業務、それから今回の 案を図にしたものです。囲いの上は労働者派遣制度における適用除外業務(案)です。 現行では港湾運送業務、建設業務、警備業務、それから医療関連業務について適用除外 業務となっています。下の囲みの医療関連業務については、以下の場合に労働者派遣は 可能で、現行では(1)紹介予定派遣、(2)社会福祉施設等、(3)産前産後休業、育児休業、介 護休業中の労働者の業務、へき地の病院等、ここまでが現行で派遣が可能とされていま す。現行でへき地の病院については医師確保の観点から、派遣が認められています。今 回、これまでご議論いただきました地域医療の確保はここの下線部です。地域医療の確 保のため都道府県(医療対策協議会)が必要と認めた病院等は、へき地と同じように医 師確保の観点であり、ここを少し広げる形で整理をさせていただきました。  資料3−1は、労働者派遣法施行令等の一部改正について(概要)です。2、3枚目が政 令案、省令案の要綱になっていますが、同じ内容を1枚目の概要にまとめてありますの で、1枚目で説明させていただきます。趣旨は「緊急医師確保対策」に盛り込まれた医 師不足地域に対する医師派遣システムについて、労働者派遣の形態によることも可能と することにより、地域医療の確保に資するということです。2番目の改正の概要は、政 令の改正と省令の改正と2つあります。政令の改正はその業務の実施の適正を確保する ためには、業として行う労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でない業 務とあります。長くなっていますが、ここまでが適用除外業務です。適用除外業務とし て定められている医師法第17条に規定する医業の範囲から、派遣就業の場所を「地域に おける医療の確保のためには医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事さ せる必要があると認められるものとして厚生労働省令で定める場所」とする医業を行う 場合を除くものとすることとして省令に委任をしています。  (2)労働者派遣法施行規則一部改正では、派遣を可能とする場所を次に掲げる場所と します。1つ目は都道府県が行う医療法第30条12第1項の協議です。これがいままでご議 論いただきました医療対策協議会の協議です。医療対策協議会の協議を経て、同項の必 要な施策は都道府県が医療法上定めることになっていますが、必要な施策として地域に おける医療の確保のためには、医業に業として行う労働者派遣により派遣労働者を従事 させる必要があると認めた病院又は診療所であって、厚生労働大臣が定めるものです。 この厚生労働大臣が定めるものですが、資料3−2の2枚目に、派遣先となる病院等の定 め方についてとあります。これは具体的に派遣可能となる病院を告示をするイメージで 考えていまして、そこが告示のイメージですが、都道府県医療対策協議会が協議を行っ た日や協議の場、病院等の名称、派遣期間が協議会においても議論されますのでそれを 定めるとして、地域医療の確保のために必要なものだと認められることに限られること にしています。  資料3−1に戻ります。(2)の(2)です。(1)の病院等に係る患者の居宅について書いて いますが、(2)は(1)の病院に派遣されて、そこから先に往診に行く場合等がありますが、 これを認める趣旨です。ほかのものは該当しません。3番目の施行期日は公布の日で予 定をしています。以上がこちらからの説明です。 ○中村企画官  併せまして資料3−3について説明します。今回、労働者派遣法の施行令あるいは施行 規則について改正のお願いをしていますが、それと併せまして医療法の施行規則につい ても改正を行いたいとして1枚資料を用意しています。今回、派遣の対象を医療対策協 議会の議を経て決定されるケースについて拡大を従来よりお願いしています。そうした 場合に、派遣元となるところが医療機関であることが前提だとこれまでご説明してきて います。したがいまして、医療対策協議会が話合いをしていただくときに、実際に派遣 元となるところについて病院又は診療所を開設する者が、派遣元となることについて医 療法施行規則において明記をしたいという趣旨の改正です。  併せまして、下に今回の医療対策協議会の決定を経て、派遣を実際に受け入れること ができる派遣先の病院について、その派遣の労働者を受け入れるという場合には、医療 対策協議会の協議を経て受け入れることについて明記をしたいと考えており、今回の改 正に併せまして医療法施行規則についても改正をしたいとご報告をさせていただきます。 以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまのご説明及び本日配付されています資 料等ご参考に委員の皆様方からご質問、ご意見をお願いします。 ○長谷川委員  まず今日の資料3−3医療の派遣元と派遣先について、医療法施行規則において規定す るという書き振りです。例えば、この資料3−2の2枚目で派遣先となる病院等の定め方 についてとあります。ここに告示のイメージ図が書いてありますが、このイメージ図か ら派遣先はわかります。適当と認めた日、協議の場、これは派遣先の病院等の名称で期 間もわかったのですが、派遣元が病院または診療所を開設するものに限るというのを、 このイメージ図の中からは、どこで読み取るのかが1つです。  もう1つは、診療所についてです。私は医療関係が専門ではないのでわからないので すが、病院はだいたいわかるとしても、診療所というのは医師を派遣する余裕がある施 設なのかどうなのかだけをちょっと聞きたいと思います。 ○竹野補佐  まず、告示のイメージについては、これは派遣先ですので、派遣元が書いてあるわけ ではありません。 ○中村企画官  2点目のご質問ですが、医療法上、診療所というのは、ベッド数が19床以下、20床以 上が病院です。法律上というか、医療法の世界では1人以上医師がいればいいということ ですので、実際には1名というところも多いかと思います。ただ、19床までは診療所で すので、医師を多く抱えられて診療行為に従事されている診療所もあると思っています。 ○長谷川委員  納得していないのですが、診療所というとだいたい私も19床以下だと思っていました。 ○中村企画官  19床以下だと診療所で20床以上だと病院です。 ○長谷川委員  診療所ではむしろ医師不足のところが多い。最近では儲かっている都心の診療所があ るから、そういうところかなと思いました。また、派遣元については、今日は医療法規 則については出ていないのですか。医療法規則ではどこかに後できちんと書くという約 束ですね。 ○中村企画官  資料3−3で改正の内容について資料としてお示ししています。実際に条文上の書振り について現在まだ作業をしているところです。 ○長谷川委員  基本的には派遣元も派遣先も双方医療機関であることは、この医療法の施行規則で見 ることができるのですね。 ○中村企画官  医療法施行規則で明らかにしたいと思います。 ○長谷川委員  派遣法だけ見ると、いろいろなことができるように見える。しかし、実際は医師法の 施行規則で派遣元も派遣先も双方病院等だということで、病院、診療所以外はできない と読めるということを確認してよろしいですか。 ○中村企画官  医療法の中で、今回医師確保対策の一環で、医療対策協議会で調整を経て、その結果 協力をいただく病院が派遣元となって、医師を派遣していただくという場合を考えて改 正をお願いしています。医療対策協議会が決定するときには、派遣元を病院又は診療所 を開設する者に限ることを省令上明らかにします。 ○長谷川委員  私の基本的な考え方は、これでも納得はしていないのです。これで本当に歯止めがか けられたかどうかというのは、非常に不安なので、1年くらい経った後に実施状況など についてはこの審議会にご報告していただきたいと思います。なお言いますと、これは 厚生労働省にお願いしたいのですが、資料3−2で医療関係業務は、やはりこれを解禁す るときにいろいろ議論があって、徐々に(1)、(2)、(3)という形で、緊急度や必要性の高い ものについてその都度議論してきたのですが、私はそれについて審議会委員として非常 に反省しています。私は医療のところは途中からだったので、仕方がなかったのですが、 本来医療についてはやはりチーム医療や高度な専門性などといろいろなことを言われて います。ある意味では建設と同じように、新しい医療のスキームをつくるべきだったと 思う。それはすごく時間のかかることで、大変だと思うのですが、是非このことは検討 しておいて欲しいと思います。  もう1点は医政局に言いたいのですが、前回のへき地もそうですし、今回もそうです が、自分たちの所管のところで医師不足だからと言って、さっさと派遣でやると決めて きて、これで認めてくれというやり方は私はフェアではないと思う。我が国の医療体制 をどのように考えるかきちんと考えた上で、本当に派遣でやっていいのか、その他のス キームがあるのかどうなのかを、需給調整事業課ときちんと調整しながら、世の中の動 向を見ながら、こういう制度を作っていただきたいと思います。私は納得しているわけ ではありませんが、この間のさまざまな審議会の議論と経過、あと医療法の規則の中で 歯止めをかけるということなので、これ以上はしょうがないと思っています。しかし、 是非今後に向けて準備をしていただきたいと思います。 ○清家部会長  では、事務局お願いします。 ○鈴木課長  ただいまいろいろご意見いただきました。特に1年後にご報告という話もありました。 もし、本日お認めいただけましたら、このスキームについて当然どういう運用になった のか、その点についても当部会にご報告申し上げたいと思います。また、医療派遣全体 についても医政局と職業安定局、両方でいろいろと検討しているところです。それにつ いてもただいまご意見がありましたので、私どもでも検討したいと思っています。 ○清家部会長  医政局にもご要望がありますのでお願いします。 ○中村企画官  医療法における運用ついては安定局とも相談させていただいて、また時期を見てご報 告したいと思います。それから、医療派遣全体を巡る議論には様々なご議論があろうか と思っています。また、今後の運用状況等を見ながら我々としても検討してまいりたい と思います。 ○清家部会長  ほかにありますか。 ○輪島委員  医師不足問題についても地域や診療科ごとの偏在が問題ではないか。本当に医師不足 なのかどうかという点についても少し議論があると思っています。私どもの理解は、基 本的には偏在が顕在化しているのではないか。特に地方におけるものが深刻だというこ とについては、非常に心配をしています。ただ、全体に医療行政の点ではなくて、労働 政策の議論をする場ですので、基本的には今回の見直しは、概ねそういう意味の解決の 一助になるという位置づけとしては妥当だと思っています。ただ、抜本的な解決策では ないのも明示されている点だと思いますので、メリハリのある診療報酬の改定や地域内 の医療関係の連繋強化について、引き続き努力をしていただきたいと思っています。 ○清家部会長  これについても事務局から何かありますか。 ○中村企画官  今輪島委員からもご指摘がありましたように、医師不足対策、医師確保対策、これを やれば全てが解決するということではありません。政府としても医学部の定数増を含め て、様々な取組を進めています。予算面でも前回もご報告したかと思いますが、少し多 めの予算もお願いをしようという状況になっています。様々な取組をさらに進めていく 必要がある状況には変わりはないと思っています。今回の改正を認めていただいたので あれば、このスキームも活用したいと思っていますし、当然それ以外の医師確保対策も 併せて進めていく必要があるという認識には変わりはないことを申し上げたいと思いま す。 ○清家部会長  ほかによろしいですか。それでは、当部会としては、ただいまご説明がありました労 働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件等に関する法律施行令の一 部を改正する政令案要綱について、これを妥当と認め、その旨今月23日の職業安定分科 会に報告することとしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。 (了承) ○清家部会長  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。なお、いまいろい ろ委員からご要望がありました点については、事務局においてしっかりと受け止めてい ただいて、また今後それに沿った対応をお願いしたいと私からもお願いします。それで は、そのほか事務局より何か連絡事項がありますでしょうか。 ○松原補佐  次回の部会は10月25日木曜日、また今日と同じ朝9時からです。大変恐縮ですが、同じ 13階の職業安定局第一会議室で予定しています。どうぞ、よろしくお願いします。 ○清家部会長  次回の部会は10月25日木曜日の9時から開催させていただきます。日程の確保等よろ しくお願いします。それでは、以上をもちまして、第105回労働力需給制度部会を終了 します。なお、本日の署名委員は、雇用主代表市川委員、労働者代表は古市委員にお 願いします。では、委員の皆様どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)