07/10/12 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成19年10月12日議事録 07/10/12 中央社会保険医療協議会          第101回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成19年10月12日(金)11:06〜12:08 (2)場所  KKRホテル東京瑞宝の間 (3)出席者 土田武史小委員長 遠藤久夫委員 小林麻理委員 室谷千英委員       対馬忠明委員(代 椎名) 小島茂委員(代 勝村) 丸山誠委員        高橋健二委員 松浦稔明委員       竹嶋康弘委員 鈴木満委員(代 中川) 西澤寛俊委員 渡辺三雄委員        山本信夫委員       古橋美智子専門委員        <事務局>       水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 他  (4)議題  ○後期高齢者医療について        ・後期高齢査医療の診療報酬体系の骨子について         (社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会)        ・入院医療について (5)議事内容  ○土田小委員長  それでは、皆様おそろいになりましたので、ただいまより、第101回中央社会保険医 療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について御報告いたします。本日の小委員会では、白石委員と前 田委員が欠席されております。また、対馬委員の代理で健康保険組合連合会理事の椎名正 樹さんがお見えになっております。小島委員の代理で勝村さんがお見えになっております。 鈴木委員の代理で中川さんがお見えになっております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日は、「後期高齢者医療」を取り上げたいと思います。  昨年の医療制度改革によりまして老人保健法が見直され、来年度から、75歳以上の後 期高齢者を対象とする「後期高齢者医療制度」が開始されることになっております。診療 報酬におきましても、これまで老人保健法に基づく「老人診療報酬」を定めてまいりまし たが、新たな制度のスタートによりまして、後期高齢者医療制度における診療報酬が新た に設定されることとなっております。  新たな診療報酬は、後期高齢者の心身の特性にふさわしいものとする必要がありますが、 そのために、社会保障審議会の特別部会におきまして、1年以上検討が進められてきまし た。その間、この4月には「基本的考え方」について、また8月には特別部会での議論に ついて中医協の総会で紹介されております。また、今月10日には、特別部会での意見集 約が行われまして、骨子が取りまとめられております。  本日は、その骨子について御紹介をいただくとともに、特に入院医療に関する資料が提 出されておりますので、それについて御審議をお願いしたいと思います。  最初に、事務局より説明をお願いします。 ○事務局(原医療課長)  医療課長でございます。  中医協診−1の資料をごらんいただきたいと思います。これは、10月10日付でまと められました「社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会」での「後期高 齢者医療の診療報酬体系の骨子」でございます。この骨子をまとめていきます過程におき まして、「基本的な考え方」でありますとか、骨子のたたき台については、適宜中医協に も御報告をさせていただいてきました。去る10月4日に、最終、第12回目の特別部会 を開きまして、そこでおおむね御了解いただいた上、若干の文言修正を加えて、10月1 0日付で最終的に取りまとまったということでございます。  内容について、大体たたき台のところとそれほど大きく変わっておりませんので、簡単 に紹介をしていきたいと思います。  まず、1ページ目の「1.後期高齢者にふさわしい医療(基本的事項)」でございます。 ここでは、「基本的な考え方」で取りまとめました後期高齢者の心身の特性を、3点その まま書いております。1つ目、老化に伴う生理的機能の低下により、治療の長期化、複数 疾患への罹患(特に慢性疾患)が見られる。2つ目に、多くの高齢者に、症状の軽重は別 として、認知症の問題が見られる。3つ目に、新制度の被保険者である後期高齢者は、こ の制度の中で、いずれ避けることができない死を迎えることとなる。  このような特性を踏まえた上で、さらに医療を組み立てるに当たっての視点、これにつ きましても「基本的な考え方」で述べました3点について書かせていただいております。 1つ目が、後期高齢者の生活を重視した医療。2ページ目になりますが、後期高齢者の尊 厳に配慮した医療。3点目が、後期高齢者及びその家族が安心・納得できる医療。このよ うな医療を求めて、それが実現すべく診療報酬を考えていこうということでございます。  そのあと2つ丸がございますが、ここでは、1つ目には、74歳以下の方と75歳以上 の方について、突然に大きく治療内容が変わることはないだろうと、その状態に応じて提 供されることが基本であるということ。それから、これらのことから、後期高齢者にふさ わしい医療は、若年者、高齢者を通じた医療全般のあるべき姿を見据えつつ、先に述べた 特性や視点を踏まえて、構築していくべきであるということで、74歳以下から75歳に なって突然大きく変わるものではないという認識を示しております。  「2.後期高齢者医療の診療報酬に反映すべき事項」ということで、ここからは各論に なっていくわけでありますが、そのときの、2つ書いてございます。これにつきましては、 今小委員会の方からもお話がございましたけれども、「老人診療報酬」という過去に積み 上げてきたものがございます。この中で積み上げてきた経験というものを、いいものは取 り入れて、それを生かしながらやっていくべきではないかということでございます。そう いうようなものを考えた上で、次の方針を基本としてくださいとまとめております。  3ページ目でございますが、ここから、4つの場面に分けて述べております。(1)が 外来医療、(2)が入院医療、(3)が在宅医療、(4)が終末期医療でございます。  まず、外来医療につきましては、ここでの外来医療といいますのは、外来に通ってこら れる患者さんを対象とした医療ということで、まだ患者さんがしっかりと動けるという状 態でございます。  そういう意味で、ここでは3点書いてございまして、1つ目が、後期高齢者を総合的に 診る取組の推進。繰り返しになりますが、患者さんはいろいろと複数の疾患も持っておら れたりしますので、複数の医療機関に受診するということが多々あるということがありま す。そういう中でも、やはりその患者さん全体を総合的にとらえていただける、そういう お医者さんをつくっていってはどうかということがこの1点目でございます。  2点目は薬剤管理。特に、やはり複数の医療機関からさまざまな薬をいただくわけです けれども、そのときの重複のチェックでありますとか、あるいは飲み合わせのチェックで ありますとか、そういうことがやはり重要になってまいりますので、それらの取組の推進 をしてはどうか。  それから、この外来患者さんにおきましても、介護や福祉サービスその他のサービスを 受けておられる方もたくさんございますので、その関係者との情報の共有と連携というこ とをやはりしっかりと考えておくべきである。  それから、入院医療についてでございますが、ここでも3点述べております。  1点目が、退院後の生活を見越した計画的な入院医療。もとより入院医療につきまして は、先ほど述べましたように、急性期の病気において、後期高齢者だからといって大きく 変わるものではないという下で、ただ、後期高齢者の場合は慢性化しやすい等々の問題も ございますので、やはり退院に向けてのいろいろなことを考える必要がある。1点目が、 退院後の生活を見越した計画的な入院診療をしていただいてはどうか。そのための計画に ついて評価をしてはどうか。  それから2つ目が、入院中の評価とその結果の共有ということでありますが、後期高齢 者、これは、ある時点において1つの病気を持っているかもわかりませんが、いずれやは り複数の疾患にかかっていく、あるいは複数の疾患が発症するということは大いに考えら れますので、そういう意味では、後期高齢者を、主たる病気だけでない、全体的にとらえ た評価というものが必要になるだろう。その結果、いろいろと例えば障害が見つかるとか いうことがございますので、そういう場合について、退院後にしっかりとサービスにつな げていくという必要がある。そのあたりの情報の共有化ということを考えているわけであ ります。  3つ目が、退院前後の支援ということで、退院直後が非常に高齢者にとっては不安な状 況になるということでありまして、この退院前後にどのような、円滑に退院できるような、 そのような仕組みというものを評価してはどうかということでございます。本日、後で、 この(2)の入院医療のところについては細かくお話をしたいと思います。  (3)が在宅医療でございますが、ここでも、一番の重要なのは情報共有と連携である。 ここでは、当然ながら多くの場合、介護サービスを受けておられる方があるわけですので、 その介護サービスとの情報の共有あるいはそのサービスについての連携について十分実現 していく必要がある、そのような取組を評価してはどうか。  それから、病院等による後方支援。在宅患者さんも病状が急変したときに入院が必要な 場面は多々ございますので、そのときに、在宅医療での治療方針等々が入院医療でも引き 継がれるような形での入院へのスムーズな連携というものを評価してはどうかということ でございます。  5ページ目でございますが、在宅歯科診療。さまざまな病気を持っている、それで寝た きりになった場合に、特に問題なりますのが口腔内の衛生の管理でございます。これがし ばしばできていないということで、その結果、誤嚥性肺炎などが生じたりするということ も言われておりますので、適切な衛生の管理ということが重要になります。そのほか、義 歯をつけておられる方も当然多いわけですので、その義歯の適切な調整なども含めて歯科 診療が重要になってくる。  それからその次は、在宅療養における服薬支援でございます。やはり後期高齢者でござ いますので、たくさんのお薬をもらっておられるのも事実でございます。そのようなとこ ろで、家の中で薬がばらばらになって何を飲んでいいかわからないというような状況もあ るということから、やはり飲み忘れということも多々ありますので、そういうことのない ような服薬の管理について支援をしっかりしていく必要があるだろう。  それから、在宅医療を進める上で、これはなくてはならないのが訪問看護でございます。 そのために、先ほどの出ておりました退院前後の支援やあるいは緊急時の対応、あるいは 患者の状態に応じた訪問など、臨機応変に対応できるような仕組みが必要ではないかとい うことでございます。  在宅の最後でございますが、これは、居住系施設等における医療。これから今後ますま す必要となってきます居住系の施設、このようなところでの医療のサービスをどのように していくか、これについて適正な評価を考えていくべきであるということでございます。  ステージとしては4つ目の場面で、終末期における医療について書いてございます。終 末期の医療、いずれ迎えることになるわけですけれども、そのときにどのような診療を希 望するのかということについて、十分にお話をして納得をしていただいた上で、どういう 内容にするかということを書面で記載して、医療関係者あるいはその他の関係者と状況を 共有しておく必要があるのではないか。そうすることによって、全体として安らかな看取 りができるのではないかということでございます。また、その場面における最期の特に看 取りの場面になってまいりますと、特に看護師による訪問というのが非常に重要な役割で ありますので、そこについて評価をしてはどうか。  それから、疼痛緩和ケアでございます。がんなどの末期における非常に疼痛が強い状態、 これをしっかりと緩和していく必要があるということで、これは入院、外来、在宅を問わ ず、しっかりと麻薬などを使いながら疼痛緩和をしていく必要があるだろうということで、 ここで在宅の場面で考えますと、当然ながら、麻薬というものを家の中でしっかりと管理 する必要があるということ等から、このターミナルケアの充実とともに、麻薬の管理等に ついてもしっかりと取り組む必要があるということでございます。  最後、「3.留意すべき事項」ということで、1つ目の後期高齢者を総合的に診る取組 の推進について。ここは、以前にはなかった部分でございます。これは、この骨子をまと めるに当たりまして、社会保障審議会の医療部会・医療保険部会の両部会に御意見を聞い たところでございます。その中で、この後期高齢者を総合的に診る取組について多々御意 見がございました。1つは、こういうもの、ここでは「主治医」と言っておりますが、こ れを登録制にすべきではないかという御意見がございました。ただ一方では、やはり登録 制というのは、患者のフリーアクセスの制限になるので適当ではないという指摘もござい ました。そこで、特別部会としては、この「総合的に診る取組」というのは、現段階では 普及・定着を進める段階である、そういう認識であります。したがって、主治医も、患者 みずからの選択を通じて決定していく形というものを考えておりますので、中医協では、 こういうところを考えながら具体的な診療報酬を検討していただきたいということが書い てあります。  それから、「また」以下は、実際にこういう「総合的に診る取組」といいますか、総合 的に診ることができるお医者さん、これを、しっかりとやはり研修をしていただいて育成 していただく必要があるということを期待をしているということが書いてございます。  その他、繰り返しになりますが、情報の共有と連携というのが、やはりこのどの場面に おいても非常に重要なことになるという認識を書いていることと、それからあとは、この 後期高齢者医療制度自体が制度として持続可能なものになるような、やはり効率的な医療 というものを求める必要があるということ等々について書かせていただいているところで ございます。  以上が、この骨子でございます。  続きまして、今回は、骨子の中で出てまいりました入院医療の部分について説明資料を つくっております。中医協診−2の資料をごらんいただきたいと思います。また、同時に、 中医協診−3の資料、横向きの資料でございますが、おめくりいただいて適宜参考にして いただきたいと思います。  それでは、診−2の資料でございますが、「第1 退院後の生活を見越した計画的な入 院医療について」。ここで「課題と論点」が書いてございますが、ここは先ほどの骨子か らほぼ抜粋をしたものでございます。そういう意味では、入院時から退院後にどのような 生活を送るかということを念頭に置いた医療を行うことが必要であるということでありま す。  四角で書いてございますが、現在このような部分についてどのように評価しているかと いうことでございますが、これは、入院基本料の要件として、入院診療計画を作成するこ と、これは必須要件になっております。  どのようなことを書いているかと申しますと、参考資料の1ページをごらんいただきた いと思います。場面においてだんだん内容が増えてくる、こう考えていただいたらいいの ですが、必須のものは、「急性期においては」と書いてある、少し色がついている部分で、 医師、看護師、その他の関係職種が共同してつくるわけですが、記載内容としては、病名 と症状と治療計画、当然ながら、これの部分について書面で書いて患者に説明する。さら に、その後のステージになって、亜急性期、急性期がある程度落ちついた段階になります と、これから退院へ向けての計画というものも書いてください。さらに、慢性的な状況に なった場合には、その全身状態の評価でありますとか、リハビリテーションの計画目標と か、あるいは栄養の問題等について書くように定められております。  本文に戻っていただきまして、2ページ目でございます。今回このような入院中の計画 について具体的な取組、どのようなものを考えたらいいのかということでございますが、 1つ目は、入院時に外来における診療や薬歴等の情報が提供され、入院先の医療機関にお いて確認できる仕組みを確保するとともに、地域の主治医からの求めに応じて、患者の病 状の急変等に伴い入院させた場合に評価することとしてはどうかということであります。  これは参考資料の2ページをごらんいただきたいと思います。やはり、医療機関の間の 連携につきましては、従来からもいろいろな形で評価もしてきております。この参考資料 のところでいきますと、まず、入院、慢性疾患を持っておられる患者さんが急性増悪をし て入院してこられる。そこのスムーズな連携をまず一つ図ってはどうか。この(1)と書いて ある部分でございます。これが先ほど本文で説明した部分でございます。  それから(2)でございますが、これは退院へ向けてのスムーズな流れというものをつくっ ていこうという部分で、これはまた後ほど出てまいります。(2)の場合はまだ動ける状態で、 外来、通院になってくるわけです。  3番目の、(3)と下に書いてありますが、これは退院して在宅医療に移る場合でございま す。このところは既に在宅医療のための点数が設定されております。  今回は、先ほど言いましたのは、(1)の部分の連携のスムーズなところを実現しようとい うことで評価してはどうか。  それから、本文の(2)でございますが、病状の安定後早期に、患者の基本的な日常生 活能力、認知機能、意欲等について総合的な評価を行い、退院を見越した入院中の診療を 行うための計画を作成する取組を評価してはどうか。  これは例えば参考資料の3ページになりますが、これはまた後で使う資料でございます が、病院をされて急性期の治療を当然されるわけでありますが、それは一定段階済みます と、そこの段階でまず全体的にスクリーニングといいますか、総合的な評価をまず第1段 階していただいたらどうか。  それを踏まえながら、参考資料の4ページでございますが、これは総合的な評価、どう いうようなステップでやっていくかということをちょっとシェーマにしたものでございま す。初めはスクリーニング的なところでございますので、例えば基本的な日常生活の能力 でありますとか、認知能力でありますとか、意欲があるかどうか、情緒や気分がどうか、 このようなところについてチェックをしていただく。ここで問題があるとなりますと、さ らに詳しい検査等々をしていただいて、そこで最終的に問題点を洗い出していただくとい うことになります。このあたりが総合的な評価の部分でありまして、その後、その結果に 従って必要なサービスが何かとか、そういうようなことを関係者間でカンファレンス等を しながら退院に向けていっていただこう、こういう流れでございます。  また、本文に戻っていただきたいと思います。第2の場面でありますが、「第2 入院 中の評価とその結果の共有について」。第1のところでは評価をしてはどうかと。ここで は、総合的な評価、その結果を在宅生活を支えることとなる医療関係者や介護・福祉関係 者と共有することが重要である、そういうような形になっています。そういう意味では、 そういうような総合的な評価やあるいはカンファレンスなどにおける評価の結果、これな どを含めまして、退院後の生活を支える医療、診療につなげてはどうかということでござ います。  それで、この退院に向けてのこういうような動き、退院間近といいますか、退院前後の 動きについての診療報酬上の評価でございますが、3ページをごらんいただきたいと思い ます。先ほど言いましたように、退院に向けて退院前に地域の関係者が集まってカンファ レンスという形式でいろいろやることにつきましては、四角の中でございます、「地域連 携退院時共同指導料」という中で評価をしております。指導料1の方は、診療所側、患者 さんを引き取る側の点数。この方が、共同指導、カンファレンスに来られるとこういう点 数がついている。それから共同指導料2の方は、これは送り出す側、病院側につく点数で ございます。  それから、病院から退院前に訪問指導した場合には、410点という退院前訪問指導料 がついている。それから、集まれないという場合には、やはり診療情報の提供をしていく 必要があります。申し訳ございません、この「B009 診療情報提供料I」、点数は2 50点でございます。ここの200点は間違いございます。250点でございます。こう いう文書で紹介を行った場合の情報提供料。退院時にまた詳しい情報をさらにつけ加えて 紹介を行った場合は、さらに加算がございまして、この加算の点数、250点となってお りますが、ここは200点でございます。  また、現在診療報酬といいますか、療養費でございますが、訪問看護ステーションにも この退院時の共同指導の管理療養費として加算がございます。訪問看護ステーションから 来た場合に、基本的には4,200円という訪問看護療養費がついてございます。  それから、具体的な取組でございますが、先ほど述べたようなところで、ここはさまざ まな職種、さまざまな機関の方々が一堂に会するカンファレンスにつきまして、それぞれ の場面で、このような点数なり加算がついているわけでありますが、例えばこれから在宅 なりに移っていく場合に、歯科医師あるいは薬局の薬剤師等が共同指導に参加する場合も ございます。この部分については現在評価されていないので、新たに評価してはどうか。 また、カンファレンス以外の取組による情報の共有。現在は、情報提供料という形でつい ていますが、これをもう少し工夫ができないか。  それに加えて、実は入院中の薬剤情報というのが非常に退院後も重要になってまいりま すので、このような薬剤の情報や栄養指導の情報、これについての評価を考えてはいかが かというのが2点目でございます。  次の4ページをごらんいただきたいと思います。「第3 退院前後の支援について」で ございます。この退院前後に、やはり患者は場面が変わりますと非常に不安になるという 指摘がございます。そのような意味では、円滑に在宅生活に移行することが必要になりま す。そのような意味では、この退院直後の時期というのは非常に重要だという指摘がござ いました。このときに、そのためにこの地域の主治医との連携の下で、この関係職種が連 携して退院調整をする、あるいは退院前の指導をするというようなことについて検討して はどうかという指摘でございます。  四角の中は、先ほどのものと同じでございまして、点数の間違いは同じようにここは間 違っております。申し訳ございません。後で御訂正を願いたいと思います。  具体的な取組でございます。5ページでございますが、1つ目に、まず、入院前の地域 の主治医が、退院後に引き続き外来において療養上必要な指導を行った場合に評価するこ ととしてはどうか。これは先ほどの参考資料の1ページにございました(3)の場面での部分 でございます。外来で通っておられる方、あるいは在宅でもいいのですが、そういう方々 が入院をされた、そのときにスムーズに連携するというのは第1のところで御説明いたし ました。そういうような評価をするとともに、退院後も引き続きもともとの地域の主治医 の方々が引き取って診ていただくと、そういうところを外来の部分でも評価してはどうか。  それから、訪問看護ステーションの退院前の指導と、それから、まさしく退院する日、 そのときの支援というもの、これが実は今評価されておりませんので、退院して家に着い たとき、その場面でのそういう支援が非常に重要だということから、そこを評価してはど うか。  それから、退院をする場合に、必ずしも自宅へ帰れるわけではない場合もございます。 そういう場合には、退院先の紹介、退院先との調整というものが必要になってまいります。 参考資料の5ページにさまざまな場面がかいてあります。例えばリハビリ病院へ退院後行 かれる場合とか、あるいは施設へ行かれる場合、そういうような場合にさまざまな調整が 必要になってまいります。このような場面で、今現在相当の経験を持っておられる看護師 や社会福祉士の方が調整をしておられるわけですけれども、このような方々が退院支援計 画を立てて、その計画に基づいて退院できた場合に評価してはどうかというのが3点目で ございます。  資料の説明は、以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  ただいま説明いただきましたように、診−1では全体の骨子の説明がありまして、それ で、3ページ以降、(1)が外来、(2)が入院医療、(3)が在宅医療、(4)が終末 期医療と、4つに分かれておりますが、そのうちの今回は、(2)の入院医療を取り上げ たということでございます。その入院医療につきましては、診−2及び診−3について御 説明をいただきました。  これにつきまして御意見、御質問を承りたいと思います。 ○松浦委員  今お聞きして、現行の後期高齢者の医療費の総額ですけれども、現行の診療報酬体系に よって直近のものがまずわかると思うのです。それについて、今まで内閣が示してきた改 定率、そういったものを当てはめて、また、医療費の総額を想定して、それから個別に入 っていくというようなやり方をやるのでしょうか。それとも、これから積み上げていって 老人医療費の総額を弾いていく。一番最後のところに、「制度の持続可能性に留意した、 効果的・効率的な医療提供の視点が必要である。」と書いてあるのですが、支払側としま したら、全員かどうかわかりませんけれども、やはり後期高齢者の医療費総額というもの は非常に気になるところでありますので、その辺はどうなのか、ちょっとお聞きしたいと 思います。 ○事務局(原医療課長)  基本的には、多くの部分は74歳以下の点数と変わりませんので、あえて変わる部分を 今回いろいろ議論していただくことになると思います。そこの部分でどれだけになるかと いうことですけれども、ただ、医療費としては、総枠としては予算で決まってきますので、 改定率をどの程度にするのかという議論がないと、最終的にはわからないということにな る。そういう意味では、おっしゃっている部分、もちろんその中でおさまるように積み上 げるならどこかを積み下げないといけないと思います。そういう調整は当然必要になるの だと思います。 ○松浦委員  了解。 ○鈴木委員(代理中川氏)  ただいまの医療課長の説明を聞いていますと、どうも後期高齢者というのは、入院とい うよりも、外来、在宅という流れが非常に強く感じます。2005年の国勢調査では、7 5歳以上の33%が単独世帯、もしくは御夫婦とも75歳以上の世帯なのです。あまり在 宅に偏った政策というものにしますと、いわゆる孤独死の急増といった部分の危険がある のではないかと非常に心配になります。  もう1つ、その上でお聞きしたいのですが、特別部会の骨子の2ページでありますが、 「後期高齢者にふさわしい医療(基本的事項)」の中に、「医療の基本的な内容は、74 歳以下の者に対する医療と連続しているもので、75歳以上であることをもって大きく変 わるものではない。」と書いてあります。この点は非常に重要なことだと思いますが、本 日の総−2の資料では、退院支援というものが中心になって、入院医療そのものの評価に ついてあまり触れられていないと思いますが、後期高齢者の入院医療が74歳以下と全く 医療の質、レベルが変わらないということをあえて再確認させていただきたいと思います が、いかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  今の松浦委員の質問にもお答えしましたけれども、多くの部分で点数を変える予定はご ざいませんので、その質が変わるというふうには思っておりません。 ○土田小委員長  ほかにございますか。 ○丸山委員  2つあって、1つは今の医療費のバランスの問題ですね。負担と受益のバランスの関係 で、74歳以下と変わらないし、プラスアルファの部分があるとおっしゃっている中で、 75歳以上の人への新しくつくる制度というのは、本人も保険料を払うし、病気になれば 本人負担の分がかかってくるということになる。基本的に75歳以上の人は、そんなに大 きなお金は対応できない、一定の限界があるという前提があると思うのです。だから、何 だか、これもあれもプラスという印象が実はあって、今、アップもあればダウンもあると いう説明もありましたが、ダウンのところが、例えば、この骨子の2ページの下から7行 目に、「検査、投薬等をみだりに行わない」とか、それから6ページに、「医療資源の重 複投入の抑制につなげていく」のだというような、非常に抽象的な表現で書かれていて、 最後に、患者の負担を考慮し、「効率的な医療」と書いてありますが、そちらの方がどう も見えないので、本当にこれはバランスしているのかなというのが第一印象なのです。そ の辺をもう一遍確認しておきたいというのが1つです。  それからもう1つは、この後期高齢者の医療問題のキーマンは主治医だというふうに思 えるわけです。「主治医」というのが、本文中何カ所も出てきて、これは本当にキーマン だろうと。時には、かかりつけのお医者さんだという表現をしたり、総合医というような 表現をしたり、いろいろ言っていますが、主治医というもののコンセプトをもうちょっと 明確にしてそれについて、お互いにコンセンサスがないと……。主治医というのは1人な のですか、あるいは複数名いていいのですか。それは患者が選ぶとしたら、「私の主治 医」というのをどう宣言するのか。主治医には、報酬上若干のプレミアムがつくわけです から、あいまいなコンセプトで「主治医」だと言っていると、報酬をつけるときに非常に 不都合になりはせぬかという気がしますので、もう少し明確な定義づけをする必要がある。  それから、プレミアムがつくということはオブリゲーションも伴うものがないとおかし いので、主治医となった場合には、これこれしかるべきことをしなければいけないという 何かがないとプレミアムはつけられないのではないかと思います。その2点でございます。 ○土田小委員長  大変重要な指摘だと思います。それで、ちょっと申し上げますと、後半の方の主治医に つきましては、当然ここでの審議にかかわる問題ですので、これから答えてもらいますが、 最初の負担と給付のバランス、つまり、保険料と、あるいは自己負担と、患者負担と給付 のバランス、これは中医協マターではありません。ですから、関連する範囲内で、答えて いただきますが、そういうことで御了解いただきたいと思います。 ○丸山委員  はい。 ○事務局(原医療課長)  1点目の方は、逆に言うと、枠を決めていただいた上で、その中で、先ほど言いました ように、バランスがその枠におさまらないといけないわけですので、最終的には、枠が決 まったときに何点にするかというところで全部決まってくるのだろうと思います。そうい う意味では、そこはその枠におさまるように、当然ながら私どもで計算して点数をつける ので、それで中医協で御了解いただくということになると思います。  それから、2点目の主治医についてなのですが、ここは実は骨子で言うと3ページです ね。外来医療のところで実は詳しく書いてあります。ここはちょっと説明は省略いたしま したが、例えば「主治医は次のような役割を担うことが求められている。」ということで 3点書いてございます。そのような役割をしていただくということが前提になって、その 方々について何らかの、ここでは外来において何らかの報酬をつけてはどうかということ であります。それは先ほど言われたオブリゲーションというところ、それがここの形をど う形づくっていくかは、中医協で外来のところをやるときにまた御議論いただいたらと思 いますが、このようなことをやっていただくということを前提にそういうものを考えてい る。だから、そこは当然ながら点数をつけるために何をするかということは決めなければ いけないと思っております。 ○土田小委員長  1人かどうかという質問がありました。 ○事務局(原医療課長)  基本的には、総合的に診る取組をしていただく先生は1人について1人に限っていただ くという予定でございます。 ○土田小委員長  丸山委員、よろしいですか。 ○丸山委員  1人というのが証明できないのですよね。患者さんが自分でいろいろなところにアクセ スしていくわけですから、それで、「この人は主治医です」と言えばなってしまう。どこ かに何かやはり枠決めがないと、1人というのが証明できない問題になるのではないかと。 まあ、その辺、細かい話ですから、また…… ○土田小委員長  後でよろしいですか。 ○丸山委員  はい。 ○鈴木委員(代理中川氏)  今の丸山委員の御意見は非常に重要なポイントだと思うのです。あまり細かくもないと 思います。例えば診−2の1ページの「課題と論点」に、「地域の主治医との適切な連携 の下」という表現があります。4ページの「課題と論点」のところに、「地域の主治医と の適切な連携」という言葉が出てきます。診療報酬の点数表を見ると、「主治医」という 言葉は無数のように出てくるのです。各点数それぞれ微妙にまた解釈も違います。それと 同時に、ちょっと考えてみると、地域医療計画における4疾病5事業、これは、がん、心 筋梗塞、脳卒中、糖尿病ごとに地域医療連携体制の構築をするということを今進めようと していますが、当然そのときの中心はやはりいわゆる主治医になると思います。例えば、 1人の患者さんに、がんの主治医がある、糖尿病の主治医がある、心臓の主治医がある、 こういう複数の主治医があって何がおかしいかということを考えると、全くそれは当然で はないかと思います。やはりこれは複数という主治医が想定されてもよいのではないかと 私は思います。  もう1つ、参考になると思うのですが、過去に、外総診という点数がありました。これ を廃止した経緯は、複数の疾患に罹患しやすい後期高齢者の特殊性というものを考慮せず、 1人の主治医というものを設定した制度設計だったのが廃止した重要な理由だったと思い ます。その辺のことも考えても、やはり主治医というのはきっちりここで議論するべきで はないかと思います。 ○土田小委員長  きっちり議論するということについては全く異存はありませんが、先ほど医療課長から、 主治医の問題は外来医療で議論したい、あるいは外来医療で取り上げるのでという説明が ありました。それで今丸山委員の方は、それでは、外来医療の方で議論しましょうという 筋になっておりますが、ただ今中川委員が発言されたことは重要な指摘ですので、答えら れる限りで一応答えてください。 ○事務局(原医療課長)  今いろいろ考えるのですが、主治医というのは、今中川委員のおっしゃったように、い ろいろな意味で使われますので、もし固有名詞として、その診療報酬上これこれやってく れる先生を何々と言う固有名詞が必要なら、その固有名詞を考える必要があるのかもわか りません。だから、そういう意味で、ここではよく使われている「主治医」という言葉を 使いながら骨子の方ではまとめてきたということであります。ですから、例えば診療報酬 上で、ここで想定されるようなことをしていただく医師を何々医と言うというなら、そう いう言葉を新たにつくるとか、紛らわしいなら、その方がよければ、そういう形で、いい アイデアが浮かぶかどうかはわかりませんが、整理をして、一般的に使われるようなイメ ージの「主治医」という言葉と、それから総合的にいろいろ取り組んでもらう人とは少し 区別しながら考えていきたい。そこはまた外来のときまでにいろいろ考えていきたいと思 います。 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。大分具体化してきたと思います。 ○西澤委員  主治医に関しましては、外来のところで私もちょっと言いたいことがあるので、後ほど 議論したいと思いますが、今回のこの基本的な提案ですけれども、基本的にはいいのでは ないかなという思いを持っています。というのは、やはりこれからのキーワードの「地域」 ということと「連携」ということは非常に大切だと思います。その中で抜けているのは、 それを継続して行うということがさらにそこに加わる、そうすれば、今回の参考資料の2 ページの図などは、かなりそのあたりをきちっとあらわしているのではないかなと思いま す。  よく見たときに、この入院のところですけれども、当然これは「急性増悪」などと書い ていますので、これは急性期だと思うのですが、このときの急性期のイメージというのは、 いろいろな機器があって重装備の、ある程度超急性期と言いましょうか、そういう病院と は違うのではないかなと思っております。ここはもっと身近にある地域の病院ではないか なと思っています。すなわち、今まで民間の中小病院が行ってきたところで、そういうよ うな急性期病院をイメージしているのではないかなと私は思っております。  ですから、今回のこの提案も3つの提案で、退院後の生活を見越した計画だとか、入院 中の評価、それから退院前後の支援等々ありますが、それをばらばらに評価するのもいい のですけれども、まとめてそういうものを全部やる病棟、病院というイメージがあるのか なと思っています。これに関しましては、私たち全日病が、今まで地域一般病棟というも のを提唱してございまして、まさしく非常に近いなとも思ってございます。  そういうふうな、それぞれの点数を評価するだけではなくて、一つのそういう病棟とい うものの形も今後考えていっていただきたい。現在ある亜急性期入院医療管理料等がござ いますが、それをもうちょっと発展して議論していただければなと思います。 ○土田小委員長  今病院のイメージ、あるいはその病院に関する診療報酬に関して御意見があったわけで すが、これは今ある程度答えられますか。 ○事務局(原医療課長)  いや、また後期高齢者については、入院と、4つの場面がありますので、何回か議論し ていただきます。最終的にはもう一回まとめた形でやりたいと思います。もう少し具体的 な、今西澤委員のおっしゃられたことを形づくれるのか、そのあたりは検討した上で再度 議論していただけたらと思います。 ○土田小委員長  よろしいですか。 ○西澤委員  はい。 ○竹嶋委員  先ほど松浦委員の御発言にもございましたが、いつもそこに行き着くのですが、財源に、 恐らく一生懸命厚生労働省はこういうふうになさったのですね。やはり言葉の言い方には、 むだをできるだけなくそうということはあるのだと思うのですが、そういう中で来るので すけれども、ちょっと心配するのは、できるだけ早く退院しても、そういう状況になれば いいのですけれども、それをいろいろなことでそういう仕掛けをやりまして、そして、今 日の説明でも、あるいは図を見ても、例えば急性期に入院したと、そこから帰るところは 老健とかリハビリテーション施設とか、それから在宅とか、そういう移行の過程で、いわ ゆる私たちがよく言う「はざま」といいますか、そういうところをお示しになっていない のです。  それで、会長もおっしゃいましたけれども、介護部分での給付と負担ということは、確 かに中医協のマターではないのですが、次年度はもうすぐ後期高齢者医療制度はこのよう にスタートするわけですね。御存じのように、療養病床の再編も既に進んでおりますね。 そういう中で、医療施設が介護施設の方に実際に移っております。しかしながら、よく考 えていただきますと、これは議論の本質にも関わることですが、例えば老人保健施設に入 院施設から移る、ところが、今の老人保健施設は実際に医療ができないのです。これはも う御存じのとおりです。だから、また新しいところをつくるとか言っているのですが、い ずれにしても、今そういう状況にはない。  そうしますと、一方では、例えば介護施設に移る場合は、これは今社会保障審議会の介 護給付費分科会、そういうところで協議をされているというのですが、いずれにしても、 そういうお年寄りの方は急変することもあるし、十分治り切ってないこともある。そうす ると、どうしても医療とのかかわりは切れません。中医協の中でも、各論をもちろんやっ ていかなければいけないのだけれども、基本的に、この後期高齢者の議論の中において、 やはりきちんと医療が出す部分、出さなければいけないような部分、そういうものも取り 上げて議論していくべきだと思うのですが、そこら辺のお考えはどうでしょうか。難しい でしょうけれどもね。 ○土田小委員長  基本的には、先ほど医療課長が答えましたように、予算が上の方から決まっているわけ ですから、その予算の範囲内におさめるということは、これは大前提ですので、その場合 には、基本的に考え方はやはり積み上げて考えていく。その中でもし間に合わなければほ かを削るしかないという、基本的にはそういうスタンスでやっていくしかないということ です。ただ、そこで何を削って何を足していくかというのは、ここで議論していただくと いうことになろうかと思います。それ以上にはここでは権限がありませんので、御了解い ただきたいと思います。 ○竹嶋委員  積み上げという御意見をいただいた、それは大きいです。 ○土田小委員長  僕は基本的にそうだと思っていますよ。これはもちろん異論があろうと思いますが、基 本的には医療というのはそういうものだろうというふうに、僕は基本的に思っています。 ○竹嶋委員  それから一つ具体的に、特別部会の「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」の4ペー ジの一番下のところの白丸のところで、「病院等による後方支援」とありますけれども、 この「等」というのは、これは入院、病床を持っているところとして有床診療所と考えて いいわけですか。 ○事務局(原医療課長)  ここは当然ながら、有床診療所を考えております。 ○竹嶋委員  ありがとうございました。 ○山本委員  診−3の2ページの部分ですけれども、後期高齢者に限らず、外来で通院をしていた患 者さんが急性増悪をして入院をされる、そうした際に、それまで通院されているわけです から、飲んでいたお薬を当然持って入院される。それらの持参薬をチェックすることは、 医療安全上、入院医療を進める上で当然必要な作業なわけです。実際今この議論にも出て おりましたけれども、多くの患者さんがお薬手帳を持っておりますので、その中には服薬 情報がきちんと記録されている。特に、診−2の方の資料では薬手帳本体の方もそうです が、薬歴等の情報を使って十分に確認が必要というような記載がございますので、そうし た中では、服薬状況が記録されているお薬手帳をまず参考にしていただいて、入院の際の 持参薬をチェックする作業がまず要るのだろうと考えます。その上で、具体的に患者さん、 外来患者では、医療用の医薬品以外にも、一般用医薬品があれば、サプリもあれば、さま ざまなものを使ったり飲んだりしているわけですから、そうしたものも、やはり持参薬と あわせて、飲み合わせも含めてチェックが必要です。そうした際には、やはり常日ごろ医 療機関の中で医薬品を扱っている、病院・診療所に勤務する薬剤師がそうしたチェックに 当たることが一番適切なのではないかというふうに考えています。  加えて、退院後の療養生活に配慮した医療提供をという観点からすると、退院後、在宅 医療を続ける患者さんについては、一体入院中にどんな薬物治療が行われていたのか、そ うした情報も、やはり薬局薬剤師が知っておくことは当然患者の安全につながります。そ うした意味では、退院時にカンファレンスを行ってそこへも参加したらどうだ、それを評 価してはどうかということがここに記載されてございますけれども、そうしたこともでき るだけ推進されるような評価が必要なのではないかと考えています。  もう1点、入院中の薬剤に関する情報については、当然関係者が共有することが大事で ありまして、外来あるいは在宅を進める上では、その情報が大変重要であると考えられま す。その退院時に、実際に入院の際にお持ちになった手帳があるわけですから、そうした 手帳に、今度は退院の際に医薬品に関連する情報を記載していただく、それを患者さんが 持参してさらに外来で治療を続ける、そうしたことが行われれば当然安全が担保されるわ けですから、そうしたことは医療機関に勤務する薬剤師が担当するのが一番適任であろう。 そういう業務についても評価するような方法がありませんと、連携がとれない。情報の共 有という意味ではそれが必要であろうと考えます。  さらに、手帳に書きにくい情報というのが実はございまして、例えば療養中にこの患者 さんはどんなふうな療養状況であったのかとか、入院中どんな行動をしていたのかという のはなかなか書きにくい面もございます。あるいは、開局薬剤師の方から医療機関からい ただいた情報では足りない、あるいはもう少し知りたいというようなことで、こちらから 情報をいただきたいというようなことをお願いすることがありまして、服薬状況やら、あ るいはどんな副作用が発生したのかというようなことにつきましても、開局の方から病院 の方へお願いするケースがままあるわけです。現在そうした情報については、仮に情報提 供されましても評価がされていないわけでありまして、今後連携、あるいは情報の共有と いう観点からしますと、そうした場合の評価も必要なのではないかと考えますので、そこ のあたりの評価も含めて、ぜひこの議論をしていただきたいと思います。 ○土田小委員長  先ほど西澤委員からお話がありましたように、一定地域の中で連携していくというのが 基本だと思いますが、そういうことに関して、薬剤の面でも、その連携あるいは共有を強 化していくという御意見に対して、どこまで診療報酬でそれを評価していくかということ については、また事務方の方で検討していただきたいと思います。 ○渡辺委員  後期高齢者の新規の医療制度全体のことでまずお話ししたいと思うのですが、地域にお ける医療の連携、そしてチームプレー、非常に重要で、しっかり踏まえて、この流れは十 分評価すべきだと思っております。そして、そのためには情報を共有するということ、そ れも非常に重要なことで、具体的なものをさらに進めていくべきだろうと思っております。 新しい制度ですから、これが十分検討してでき上がっても、やはりいろいろな問題点もま たいずれ出てくることも十分考えられますので、それは検証を常に重ねながら改善を進め ていくという基本方針を確認して進めていくということが、まず全体として言えることだ ろうと思います。  それで、今日の話題である入院についてちょっとお伺いをしたいところがあるのですが、 診−3の中で、患者の生活能力、生活をしっかり見るという医療ということからしまして、 この資料の3ページにありますように、入院されたときに、第1段階の総合的な評価があ る。またさらに、総合的な第2段階のさらに評価をしていく。資料の4ページを見ていき ますと、それがより具体的な文言で出ております。そうした総合評価のスクリーニング結 果を踏まえて、さらに次の評価をしていくということですが、この中で特に私たち歯科の 立場で申し上げますと、まさに、日常生活に関連したことに関しまして、どう食べられる のか、食事がどうかということは、非常に特に後期高齢者の「生きる」という基本的な問 題だと思っております。そういうことで、その後の嚥下障害の問題、あるいは口腔衛生管 理はどうかという問題がここに明記されておりますが、そういう意味で、この評価を進め ていく中で、そういう点がどのようにこれからチェックしていく中で考えていっているの か、事務的にどのレベルを考えられているのか、お伺いできればというふうに思います。 ○土田小委員長  これは今答えられますか、医療課長。 ○事務局(原医療課長)  嚥下訓練等々、既存のところで評価されている部分は特にこの本体の部分でいろいろと 書き込んでおりませんので、あるいは普通に診療するときのものを全部当然ながらやって いただくことになる。そういう意味で、特徴を持って新しく何かを考えなければいけない、 あるいは仕組みを変えなければいけないというようなところをちょっと取組として書いて おりますので、今言われたのは、恐らく嚥下の訓練については、通常、従来からやられて いる形のものをやっていただくことになるのではないかと。その中で、いろいろな職種の 方がかかわっていかれるのだろうと考えています。 ○渡辺委員  ちょっと1つよろしいですか。そこで…… ○土田小委員長  時間が超していますので、ちょっと簡単にお願いします。 ○渡辺委員  希望を簡単に申し上げます。スクリーニングされるときに、その入院先のお医者さんが チェックするときに、そうした項目がきちっとわかるようなチェック内容のものをぜひ検 討していただきたいというのが希望でございます。 ○小島委員(代理勝村氏)  この参考資料の2ページに、「後期高齢者における医療連携のイメージ」というのがか かれてありまして、これで外来から入院をして外来に戻るということのイメージとかをし っかりつくっていただいているわけです。高齢者は複数のいろいろな病気を持つことが多 い、疾病を持つことが多いということで、やはり総合的に診ることができることが非常に 大事で、専門的に1つの疾病しかわからなかったからその診断を誤ってしまって急性に増 悪して入院してしまう。逆に、いろいろな一個一個の病気ではなくて、一人の人間として しっかり診てくれたから、ほかの病気も早めに診断ができたので、取り返しのつかないこ とにならずに早めに入院できて、また生活に戻ることができたと、そういう形にしていか なければいけないわけです。  それで、そういう前提であるなら、このイメージは非常にいいと思います。そうなると、 やはり外来のときにということですけれども、今日のこんな議論をするにおいて、やはり 主治医というのは何かというのはもう一回大事になってきます。それで、骨子の6ページ の「留意すべき事項」の1つ目の丸の「また」以下ですけれども、例えばそんなところに 主治医というものの価値というか、質を上げていくということをすることによって、参考 資料の2ページにあるようなイメージもつくっていく前提として、本当に高齢者にとって 信頼できる総合的に診てもらえる主治医というものがこれからできていくのだという形の 関係は非常に大事だと思います。ここが「併せて期待したい」程度で終わっているので、 ここにもやはりしっかり何らかの具体案みたいなものが提示されてほしいなというふうに 思うわけです。  それで、こういうことに診療報酬で評価していくことによって、医療の質が高まってい くなというものであってほしいと思うのです。今回の骨子案もほとんどそうだと思うので すが、中には、別に質は今のままでも評価がついてしまうというような面もところどころ あると思います。特にこういうイメージというのが大事だと思うのですけれども、そのた めに、あわせて質も向上していくのだと。中には、先ほどの話にもありましたけれども、 評価をすることでかえって患者の負担が増えて、そちらの方に誘導できなかったみたいな、 生活習慣病みたいな話もあるわけです。高齢者の場合は負担が3割ではないかもしれませ んけれども、そういうことを見ると、やはり診療報酬だけで連携をつくるということでは なくて、それ以外での取組というものをあわせて総括的にできていくということを同時に 見せていただきながらこういう議論をしていけたらいいなと思いますので、そういう要望 をしたいと思います。 ○土田小委員長  重要な指摘だということで、要望として承りたいと思います。 ○鈴木委員(代理中川氏)  簡単に申し上げますが、総−2の「第3 退院前後の支援について」の5ページのとこ ろに、「具体的な取組の評価」というのがあります。ここの(3)ですが、「計画に基づ き退院ができた場合に評価することとしてはどうか。」という表現がございますが、例え ば慢性期に関すると、介護保険施設や在宅支援の受け皿の整備が不十分だということは皆 さん御存じだと思いますし、参考資料の3ページの図でも、やはり急性期治療が終わると 一気に老健施設、在宅というようなイメージがどうしてもわくわけですけれども、こうい う受け皿が不十分な場合に成功報酬的な評価をすると、無理な退院につながるのではない かということが心配になります。やはり私はこの点に関しては、例えばカンファレンスを 実施してはとか、情報を共有化したというような過程の評価にとどめるべきではないかと 思いました。 ○土田小委員長  今の指摘、いかがでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  計画をつくってさまざまなところと調整をして退院に持っていくということは、無理や り退院させているわけではなくて、退院できる環境を整えているわけなので、そこを評価 することは悪くないと思います。  退院できた場合に評価するのはいかがかということでございますが、そうすると、努力 をして退院調整をうまくやっているところはたくさんございます。そういうところで退院 できても評価しないというのではなかなか……。うまく退院調整をしているところは、退 院のやはり促進をさせなければいけない面がありますので、それがいきなり無理やりにな るとはとても思えませんけれども、行けるところがあるから退院できるので、それがうま くいった場合に評価するということについて、無理やりな退院につながるとはちょっと考 えてはいないのですけれども。 ○鈴木委員(代理中川氏)  もちろん努力は各医療機関はしているわけですが、地域によって受け皿が非常に厚いと ころ、薄いところ、地域差があると思うのです。そういうことを考えながらやっていかな ければならないということを申し上げたいのです。 ○土田小委員長  これはやはり地域差がございますので、そういう意見を踏まえて全体的なバランスをと っていくということで検討していただきたいと思います。ということでよろしいでしょう か。  ほかに御意見ございますでしょうか。  どうもいろいろ御意見ありがとうございました。今日から後期高齢者の審議が始まった わけでございますけれども、今日の議論によりまして、後期高齢者が入院されたときの医 療につきまして、退院後を見越した計画的な医療提供、あるいは院内・院外での他のいろ いろな職種間での情報の共有及び連携が重要であるということについては、ほぼ一致した 認識を得られたというふうに思っております。  事務局におきましては、今日の議論を踏まえまして、この入院医療に関する具体的な制 度設計に入っていただき、それをまたここで議論したいと思います。どうぞよろしくお願 いします。  それでは、今日の小委員会はこれで終わりにしたいと思います。  次回の開催についてお願いします。 ○事務局(原医療課長)  基本問題小委員会、次回は10月17日の水曜日を予定しております。 ○土田小委員長  テーマは決まっていますでしょうか。 ○事務局(原医療課長)  基本問題小委では、後発医薬品の使用促進の話と患者の視点の問題等をやっていきたい と思います。 ○土田小委員長  ということだそうです。  それでは、これで終了します。どうもありがとうございました。     【照会先】       厚生労働省保険局医療課企画法令第1係       代表 03−5253−1111(内線3288)