07/10/12 社会保障審議会介護給付費分科会第43回議事録 社会保障審議会 第43回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成19年10月12日(金) 午後2時から午後5時まで 明治記念館(東館2階「蓬莱の間」) 2 出席委員:天本、池田、石川、井部、大島、大森、勝田、川合、神田(代理:牧野参考 人)、木下、木村(隆)、齋藤、高橋、田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬(代理:椎名 参考人)、中田、村川、山本の各委員 3 議題 <審議事項>  1.(仮称)医療機能強化型介護老人保健施設について  2.小規模介護老人保健施設について <了承事項・その他の事項>  3.介護サービス事業の実態把握のためのワーキング・チームの設置について  4.「介護施設等の在り方に関する委員会」における論点整理について  5.「福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会」について ○鈴木課長より資料1から資料3までを説明。 (大森分科会長)  議論を区分けして、最初の(仮称)医療機能強化型老健の在り方について、しばらくの間、 議論をさせていただきたい。  介護施設等の在り方に関する研究会の方の論点というか、整理をしたときにも問題になり、 そちらの委員の方々は御存じかと思うが、この頭に「(仮称」」が付いて医療機能強化型とな っている。この「(仮称)」を付けた意味は、こちらに戻ってきたときにこの言い方は変え得 る、変えることもありうべしという御了解だったと記憶しているが、今日はそのとおり出て いるので、これは変え得るという了解で今日も出ていると理解してよいか。 (鈴木老人保健課長)  この名称はまだ仮称であり、1月、2月に、最終的に転換をした老人保健施設の名称につ いてきちんと皆さんで合意をしていただければと思っている。 (大森分科会長)  これは医療機能強化と言っているから、事情のわからない人が聞くと、今の療養病床より はるかに強まるという印象を場合によると与える。しかし、これは改めて私どものところで 答申をするときには直すということでよろしいか。事務方も直すという認識か。 (鈴木老人保健課長)  確かに医療機能強化型というと今、分科会長から言っていただいたように、かなり医療機 能が付加されて、もしかすると療養病床よりも医療サービスの程度が強いものができるので はないかという受け止め方をされている方もいるようなので、誤解がないようにユーザーに 正確なイメージが伝わるような名称というものを御相談しながら決めていきたい。 (大森分科会長)  それでは、御意見のある方からどうぞ。では、天本委員。 (天本委員)  確認の意味で今、委員長がおっしゃったことをもう一度この委員会でも明確にしたい。こ の医療強化型というのは、要するに介護療養型医療施設から転換型に関しての名称であるの で、明らかに介護療養型医療施設よりも医師数が100に対して2人減る。看護職員もかなり 減るということで、給付の中身そのものについては、医療はむしろ低下型であり、この名称 では利用者に混乱を招くということであるので、この名称は省いていただきたい。あえても う一度意見を出させていただく。 (大森分科会長)  井部さんどうぞ。 (井部委員)  (仮称)医療機能強化型という文言はいろいろな雑誌や新聞などでも「(仮称)」を落とし て医療機能強化型老健と出回っているので、あらかじめこれを修正する見込みがあるならば なるべく早いうちに文言の修正をしておいた方が一層の混乱を招かないのではないかと思 う。 (大森分科会長)  今日は多分いろいろな御関係の方々がおいでで、最終的にはここでどうしようかというこ とを決めていただくことになるものと考えているが、いろいろな方々からもう少し幅広く御 意見を伺ってみたらどうか。今の御意見もあるので、余り長々と置いておかないでなるべく 早い時期に取りまとめてここに諮っていただくということで、次回ぐらいには何となく見当 がつくような話にならないか。 (鈴木老人保健課長)  こういう療養病床が転換した老人保健施設を何と呼ぶかという問題と、もう一つは最終的 には1月か2月に介護報酬改定の諮問をする際に、もし加算とするのであればその加算の名 称と、加算を受けているところをどう俗称として呼ぶかという問題があるので、誤解がある ということであれば、次回以降、こうした老人保健施設については例えば療養病床から転換 した老人保健施設という中性的な名前にしておいた上で、その後、更に議論いただいて、最 終的には1月、2月に決めるということにさせていただきたい。 (木村(隆)委員)  ここですぐ決めることではないのかもしれないが、資料2の1ページ目の「具体的な論点」 で、先ほど鈴木課長から説明があった「介護報酬体系において新たな施設サービス費を創設 するのか」、それとも加算で評価するのか。ここのところを先に御議論いただきたい。  というのは、創設であれば、薬剤師の配置、介護支援専門員の配置、栄養士、支援相談員 などの人員基準の問題、また今日の議論の中に看護職員の人数ということが出てくるわけだ が、今までどおりのものの中で加算となると、先ほど天本委員からお話があったが、医師が 2人減って、あとは看護職の人数をどうするか。ほかは今までどおりの老人保健施設の人員 基準でいくのかというところの方向性がある程度なければ、次の議論にならないのではない か。 (鈴木老人保健課長)  私どもとしては、確かにやり方としては2つあると思っている。1つは、施設サービス費 という、例えば特別養護老人ホームなり老人保健施設で要介護度の刻みで階段を付けている 施設サービス費。それを新たに療養病床から転換をした老人保健施設に設けるというやり方 で、もう一つは現在の老人保健施設の施設サービス費の上で加算を設けるやり方ということ だが、私ども事務局としてはむしろ後者の方が妥当ではないかと思っている。  理由は、例えば入所者像の変化等にあるように、ある一定の期間がたつと、転換をした老 人保健施設であったところがもしかしたら今の老人保健施設に移りたいということもある かもしれない。そういう場合に、もともと施設サービス費の体系が違うということになると、 申請をし直して施設体系として新たなものとして位置付けるという事務的な手間がかかる。 それから、そもそも法律上も転換をされた老人保健施設というのは老人保健施設であるとい うことであり、それが療養病床と比べて医師数が少ないという観点から見るか、現在の老人 保健施設から見ると、例えば夜間の看護が多いという観点で見るかということはあるかもし れないが、むしろ施設サービス費の体系を新たにつくるよりは、現在の老人保健施設の施設 サービス費の上に加算として評価をさせていただいた方が妥当であろうと思う。  ただ、加算の中身をどうするかというのは実は次回以降、具体的に議論をしていただきた い。 (木下委員)  資料1の枠の中の1番目の丸の2行目に、「医療の必要性が比較的低く、状態が安定して いる者」というふうに対象者は書いているが、一方、次の資料では、医療の必要性の高いも のを一定程度入院させる、入所させる必要があるのではないかと記述がある。入所者の形が 変わってくるということで、そこら辺のバランスがどうなのかというところが1つある。  それから今、出ていた医師の配置がどうなるかということで、老人保健施設は100人に1 人という前提で話があるが、それはもう決定事項ということで話を進めるのかどうか。介護 医療型医療施設は100人に3人という数字になっているが、実際は48人に1人である。最 低基準の配置は96人に1人くらいであり、100にしたら3人という数字になるが、その辺の 違いをどう見るかというところがあると思う。  それから、看取りの場合で常勤医のオンコールとなっているが、どの程度オンコールに常 勤医師が対応できるか。今の在宅療養支援診療所もあまり機能していないというところで、 現実的にどの程度の看取りが可能かということも議論しておく必要があるのではないか。  それから、資料2の最後の3ページの「入所者の看取り等への対応について」に4つほど 条件が書いている。これは、ある程度亡くなるという想像がついてターミナルということだ と思うが、急に亡くなるような方もいるので、その辺の対応はどうか。  それから、前回から申し上げているように、特にポツの2つ目で「入所者又は家族の同意 を得て、当該入所者のターミナルケアに関する計画が作成されていること」について、もち ろん計画は必要であろうが、これをまた文書にして利用者の同意を得て判子をもらえとか、 複雑なシステムにならないことが必要かと思うので、記録にはっきりあればいいというよう な事務手続の簡素化というか、これ以上複雑にならない方策を考えるべきではないか。現場 で働ける時間をちゃんと確保していくという方向、介護保険が変わる度にいろいろな人の意 見でがんじがらめになって身動きがつかないというようなことも現場であると思うので、そ の辺の配慮が必要かと思う。 (大森分科会長)  今の最後の点だが、ターミナルケアに関する計画を作成するときに事務は煩瑣にならない 方がいいが、何か確定したものをつくっておかなければいけないように思うが、何か簡素化 できるか。 (木下委員)  医療保険の場合、診療録にそのことをしっかり主治医の記名入りで、家族のだれと話をし てこういう結論を得たということを書く方法がとられていると思う。それを一々文書にして 利用者に渡して判子をもらって、そのコピーを記録に添附しておくというようなことでは非 常に繁雑になる。 (大森分科会長)  今、何点か指摘があったが、事務方から答えをいただけるか。 (鈴木老人保健課長)  最初は、こういう療養病床から転換をされた方たちの医療ニーズを低いと書くのか、高い と書くのかということについて。文章でお読みいただくとわかると思うが、資料1の1ペー ジ目は「療養病床の入院患者のうち」なので、全体としてみればそれは低い方になる。ただ、 高いと書いてあるのは現在の老人保健施設の方々の医療ニーズと比べれば高いということ であるが、間にあるから上から見れば低いになるし、下から見れば高くなるということで、 もしわかりにくいということであれば、個別に後で御指摘いただければ修正したい。  2点目は、医師の配置について。これは、6月までの在り方委員会でも紙で議論いただい たと思うが、基本的にはやはり医師の数を基準として増やすのではなくて、今いる常勤の方 に原則的にはまずオンコールで対応なり、判断をしていただいた上で、あとは医療保険の方 で対応していただくということで、医師の具体的に判断をしなければいけない、もしくは処 置をしなければいけない頻度がどのぐらいかということによると思うが、少なくとも現在、 私どもで算定をさせていただいた範囲では、新たに基準として医師を増やすのではない形で 対応していただくことで可能ではないかと思っている。  それから、3番目のオンコールの看取りとも関係すると思うし、最後のところにもあると 思うが、実はここに書いている4要件、これは特別養護老人ホームにある看取り介護加算と パラレルの関係になっている。もちろん若干書きぶりは医師がコミットするので少し変えな ければいけないと思うが、趣旨は実質的にきちんと計画がつくられていて、それが本人、も しくは家族の同意を得られているということが大事なのであって、形式的に書類を多く整理 してやるということではないだろうということである。現在の看取り介護加算とのバランス もあるが、趣旨がきちんと生かせる範囲で、全体として少し過剰な書類があれば若干減らし ていかなければいけないと思うが、やはりきちんと書類の整理をして記録として残すという ことは大事だと思う。 (大森分科会長)  では、川合さんどうぞ。申出書もあるので、それなどにも言及しながらどうぞ。 (川合委員)   8月1日に我々はこの申入書を本分科会あてに提出をしているが、今日は、実は余り詳し くこのことについて口角泡を飛ばして発言するつもりはない。お持ち帰りいただいて、何を 主張しているのかということをじっくり見ていただきたい。  名称のことで、来月か、あるいは事務局の方から1月くらいまでにはということなので、 それとパラレルな時間経過で御理解を賜れば、早急に今まで我々はこうしていたというよう なことを言うつもりはない。  現在のところから、人数が減ったとか、廊下幅は狭いけれどもそのままの名称ではなくて 老健という名称になるとか、我々の議論の中で今までお聞きしていて若干足らないかなと思 うのは、御利用の方々あるいは御家族の方々が見られてどうなんだろうかということ。私た ちは管理する方、経営の方を議論しがちですから、入院の方が入所に変わったとき「強化と いうのは本当にこれが強化なのかな」という素朴な疑問は持たれるだろうとは思う。  以上。またいろいろ御指定がありましたら発言させていただきたい。 (中田委員)  今日の資料を説明いただいて、資料2であるが、結局(仮称)医療機能強化型老人保健施 設、新しい類型の老人保健施設ができるのかなと私は思ったが、報酬については新たな類型 の体系はつくらないで、加算であるというような案であるが、どう考えてもこの新しい医療 機能強化型をつくる根拠がだんだん薄れていくのではないかという感じがした。  ということは、今の老健に加算を付ければ医療機能強化型になる。そうすると、現状の老 健もその機能を強化したいというのであれば、加算を取るような要件を満たすこともできる のではないか。その方がわかりやすいと私は思っており、その辺も考える必要があるのかな と私は個人的には思うので、(仮称)医療機能強化型介護老人保健施設は名称も含めて随分 議論があったようだが、加算で行うのであればそれほど議論する必要はなかったのかなと個 人的には思う。  それからもう一点、これから加算でやるならお願いしておきたいことは、昨年の4月の介 護報酬、介護保険制度改正で、特養にもいろいろな加算ができた。その加算をつくる場合に は、それだけ加算という基準、要件が厳しいわけですから、それに見合う報酬単価というも のを十分議論していただかないといけない。  例えば、特養の場合は50名施設が圧倒的に多い。そうすると、一人ひとりの加算であれ ば、100名施設だったらある程度その人員を確保できるけれども、50名では確保できないと いうような問題が実は出てきており、その辺も十分勘案していただきたい。  それから、3枚目の入所者の看取りへの対応について。参考資料の3で、特養における看 取り加算の取得状況ということで順調に伸びているというような報告があるが、現場ではや はりこれはいろいろな問題点がある。例えば期間の問題で、今は1か月だが、この辺が非常 に短過ぎるのではないかというような問題もあるし、それからもちろん加算の単価で入院し た場合は一気に半分の80単位になる。それで、施設でなくなった場合は160単位だという ような問題もある。いろいろ条件が厳しいが、実際に特養が今やっているわけなので、その 辺も少し参考にしていただきながら十分御検討いただきたい。  それからもう一点、最後であるが、3ページ目の「入所者の看取り等への対応について」 の2つ目の丸のところで、「こうした医師、看護職員等」となっているが、結局はポツの3 つ目は「医師、看護師」ということ。そうすると、准看護師はだめになってしまう。特養は 非常にこの問題で困っているが、この辺も少し整理をしていただきたいし、緩和していただ きたい。「看護職員」となっているので、このポツのところも「医師、看護職員、介護職員」 としていただくと大変ありがたいかと感じているのでよろしくお願いしたい。 (鈴木老人保健課長)  先ほどのお話に戻ってしまうかもしれないが、加算か施設サービス費用を創設するかとい うこと。先ほど申し上げたような理由で今回、加算として整理をさせていただいた方がいい のではないか。ただ、加算も、今回議論をしていただいているのは療養病床から転換をして いただいた老人保健施設についてであるので、要件も当然そういうことにさせていただけた らと思う。  それから、実際に要件をさまざまな規定をさせていただいた上で、具体的に額を来年にな ってから御相談させていただくわけだが、その際には是非我々としても要件との見合いとか、 規模の関係とかにも意を用いていきたい。  それから、最後の看護師について、実はここは「医師、看護師、介護職員等」と「等」が 入っている。細かい話であるが、行政的に言うと「等」が入っていると当然それ以外でもい いということになるので、もちろんここの「看護師」というところの書きぶりを少し変えた 方がいいという御指摘であれば、少し書きぶりは検討させていただくが、「等」であるので それを排除するわけではないということだけ申し上げておく。 (池田委員)  まず名称の問題であるが、名称の問題を考えるときは2つ考えなければいけない前提条件 があるのではないか。  1つは今まで出ていた施設類型でやるのか、加算方式でやるのかということで、施設類型 方式ではなくて加算方式に反対するということは余りないので、多分全体としてそういう流 れになるかと思うが、そうであるとするならばわざわざ誤解を招くおそれのある医療機能強 化型というものを頭に付けるのはいかがかという結論に自動的になるのではないか。  もう1つは、仮に加算方式にするとして、それは療養病床から転換する老健だけに限定さ れたものであって、既存の老健はそちらにいきたいと言ってもだめだよというのであれば、 実はそれは余り公平ではない。ただし、療養病床の老健への転換を図る上での一つの政策誘 導として経過的に使われるということは、これは否定するべきものでもないだろうと思う。  今の老人保健課長の話を聞いていると、療養病床が転換するものに限られているというこ とになる。そうすると、ますますその名称を医療機能強化型にして、なおかつ既存の老健施 設がそちらの加算を選ぶことができないというのは、ちょっとロジックの整合性がないので はないかという感じがせざるを得ない。  そういうことで、私はこの冠に付いている医療強化型というのはそういった面から見て余 り望ましくないというのは全体として理解できるのではないか。そうすると、経過型と言う と怒られるから転換型くらいしかないかと思うが、それを付けるということで、なるべく早 く誤解を広げないためにも名称を変えるべきだというのが一つ。  もう一つは、歯科のような他の診療科目ではなくて、ある意味で深夜あるいは緊急のとき に往診を認めてそれが診療報酬から出されるということで、そのことを否定する気は全くな いが、特別養護老人ホーム入所者に対する往診との整合性というのはどうなっているのか。 かつては、みだりに行ってはいけないという話でいろいろと問題が指摘されたが、その辺は もう解決されたのだろうか。もし解決されていないとするならば、転換型の老人保健施設で それを認めるとすると、ややバランスが崩れるのではないかという疑問を持っている。 (大森分科会長)  大切な問題指摘だが、今日は即答しにくいでしょう。 (鈴木老人保健課長)  名称問題については、池田先生の今の御意見もあるので、少なくとも次回の資料にはこの 名称ではなくて転換ということを言った上で、先ほど御意見もあるのでユーザーサイドの方 の意見を伺う方法など、少し検討させていただいて、来年加算について御議論いただくまで には、もしくはそのときに、名称についてしっかり御議論いただけるようにしたい。 (大森分科会長)  なるべく早めにという御意見が出ているので、少なくとも(仮称)医療機能強化型という ことはやめるのであればやめる。違う名称を考えるというのは相当重要な了解になるが、最 後まで言っていていろいろあったけれども、やはりこれにするという余地を残すような議論 にするのか。これは少なくとも採らないということでは相当違ってくるので、今日それが決 心できるかどうかというのは難しいが、もうこの医療機能強化型ということを言い続けるの はやめた方が、皆さん方が少し安堵するというか、違う報道をしていただけることになるが。 (鈴木老人保健課長)  先ほどの私の説明が舌足らずだったかもしれないが、少なくとも今日以降、厚生労働省が 使う資料では「療養病床から転換した老人保健施設」を仮に使わせていただいて、その上で もう少し短いきちんとした名前があればそれに変えさせていただく。いずれにしろ、どうし ても付けなければいけないのは、加算方式であれば加算の名称である。あとはそういう加算 を取得している施設の俗称という整理にさせていただく。 (川合委員)  私は今日10月12日は、実は年に1回の全国大会を名古屋で開いているが、そこで協会会 長が、不在の閉会式とは「何だ」ということで非常にしかられて新幹線に乗ってきたが、来 てよかった。涙が出るぐらいうれしい。お味方の先生方が本当に増えてきた。6月20日の この「(仮称)医療機能強化型老健」の名称が突然出現したときは、私はびくびくしながら、 「仮称」を後ろに付けると事務方がいったときは、前に付けてくれというような話をしたが、 その後で大森先生が引き取られて、上の委員会に上げればきちんと議論をするとおっしゃっ ていただいた。努力はしてみるものだということで、先生方に感謝をしている。 (大森分科会長)  今、課長がおっしゃっているのは散文的であるが、療養病床から転換する、転換した、そ ういう老健施設という言い方に暫定的にしたい。そして、改めて適切な名前が皆さん方のお 知恵で出れば、それで収めるという御了解でよろしいか。   (高橋委員)  確かに転換するということではいいと思うが、川合さんのおっしゃる、これを経過型にす るか、それとも永続するかというのは非常に大きな問題で、老健施設に2つつくって消費者 に選ばせる。例えば医療機能強化型がなくなったとしても、転換型の方は医療サービスを付 けられて、既存のものは付けられないとなれば、恐らく消費者は必ず付ける方を選ぶ。こう いう類型を永遠に残していくという考え方がいいのかどうかということは議論していただ きたい。 (大森分科会長)  それも、実は在り方のときに議論が出たが、そのときの答えは、併用でいくというか、両 方走るんだという御説明だったように私は記憶しているが、それ自身についても今のような 問題提起が高橋委員からなされたという御了解でよろしいか。 (高橋委員)  はい。その場合、資料2の一定の医療サービス等を必要とする者を入所させるということ は、何か判断基準があって必要な人を判断すると思うが、それはだれが判断してどういう基 準でもって、この人は老健、この人は医療強化、転換老健というふうに振り分けるのか、ち ょっと理解できないが。 (鈴木老人保健課長)  具体的な基準についてはこれから先生方に御相談をしなければいけないと思っているが、 今、我々の方で考えているのは、医療区分という医療保険で慢性期の医療について判別をし ていただく項目を活用する方法。ただ、これだけではなかなか医療区分1のところでしっか り拾えないようなところがあるので、どの程度現在ある資料の中からこの施設に入っていた だくのが適切な人たちを選べるかということを次回出させていただきたい。 (山本委員)  お尋ねするが、転換のやり方が当初考えていたのと大分違っているような感じがしている。 もう少し柔らかく、しかも転換のしやすいことを考えた方がいいのではないか。それで、医 療側はある意味では打撃がないわけである。18万人分がなくなるので、それだけ喜ぶわけだ が、介護の方では私どもはまだ聞いていない。だから、今後介護保険料がずっと上がってく ることになる。  御承知のように、来年の4月から高齢者医療保険制度が設けられることから、被保険者の 負担というのは今の何倍にもなる。そうすると、必ずこれは不平が起こることになる。その 場合はどうするのか。  今、自公の委員会でいろいろ言われているが、それはよくわかっている。わかっているが、 考えてみるとたった1つの例を挙げても、制度を変えることによってコンピュータの制度を 変えなければならない。3回やらなければならない。転換をする度に費用がたくさんかかる。 そういうような準備の費用も、保険者に出せなどと言っても到底できない。そうすると、こ れもやる、医療もやるということになってくると、反対せざるを得ない。  私どものところでは、広域連合が月曜日に会合をすることになっているが、これは御承知 のように保険料をどうするかという議論である。しかし、その保険料そのものが根底からま た変わろうとしている時期でもある。あるいは、実施をかなり先に延ばせと言っているよう な時期である。だから、介護のこの転換の仕方が今以上に、何か特別な18万人分のものを つくってやっていくような印象を与えると、保険者側としては賛成し難いことになりかねな い。  当初はこの18万人の人たちが介護の方に移るにはどうしたらいいかということも考えな いで2つに分けましょうという話になった。だから、行き先のない18万人、社会的入院の 人たちが出てくるということから今日の議論になっていった。  ところが、これならばいいだろうと思ってつくったと思うが、新たな施設をつくって、新 たな考え方で、新たなもので実施をするというようなやり方で、当初の考えとは全然別のも のをつくろうということになる。そして、その負担をまた被保険者の皆さんに強いることに なる。強制することになる。そこら辺りをどう考えているのか。  今のままだったら、私ども保険者としては、はいよろしゅうございますとは言えなくなる。 介護と医療を分離することはいい。しかし、そんなことで一挙に18万をこちらに移します、 こちらをこういうふうにやります、こうしてこうしますと、そういうようなやり方をするよ りも、なだらかな転換の方がいいのではないか。  最初はそうだった。それが1年か2年しかたたないうちにこんな言い方になってしまった が、これは恐らく保険者側も受け入れ難いところがたくさんあると思うので、それを一体ど うするかということ。  例えば、介護保険の方ではこれを協議したかどうか。私はまだ聞いたことがないから、恐 らく協議をしていないと思う。介護保険側としては負担が増加することになる。医療はどん どんその負担を減額していっている。それにもかかわらず介護保険へ持ってくるなどという のは、考え方としては間違っていると思う。そこら辺りが明確ではない。部分的に議論をす ると、そうですか、こうですかになっていくが、全体的な福祉の関係を考えていけば、それ は連携が全部あるので、そういう連携をきちんとした上でこういう方策でいきますというこ とを言わなければ、なかなか納得できない。  私は反対しているのではない。反対するのではないけれども、しかしスムーズに移行がで きるようにすることこそ、あなた方の仕事じゃないかと私は思うが、いかがか。 (鈴木老人保健課長)  山本委員が御指摘のように、転換をしやすくするというのはまさに我々はやらなければい けない仕事だと思う。  ただ、その中で具体的に、例えば医療保険の給付が全体額として最後にどうなるのか、介 護保険でどうなるのかというのは、もともとこの制度を設計したときの試算はある。4,000 億減って、介護で1,000億増えるので全体として3,000億円という試算はあったが、具体的 にどうなるかということについては現在、都道府県で地域ケア整備計画をまとめていただい ているので、具体的に医療療養病床でどのぐらい残られるのか。それで全体として医療区分 はどうなるのかというところからきちんと算定をさせていただけたらと思う。  後期高齢者の医療制度と広域連合の話は私どもの所轄外ではあるが、確かに高齢者の方、 それからさまざまな都道府県なり市町村なり各セクターの方の全体的な整合的な社会保障 の負担というのは非常に大事だと思っているので、そのセクターごとの試算も含めて我々と して是非、透明的にしたいとも思っているし、今お申し越しの趣旨は是非生かしていきたい。 (大森分科会長)  都道府県の方も少し別のところで心配だそうで、これについて牧野参考人から知事会とし て御発言はあるか。 (牧野参考人)  費用の負担ということからすると、今回、介護保険で給付するということになってくるの で、負担割合の違いから、財政的な影響について危惧している。 (山本委員)  こういうものは徐々にやればいい。当初はそうだった。ところが、だれがどこで何を言っ たかは知らないが、それが変わってきて今説明されたようなことになっていった。  あなた方はそれで済むかもしれないが、市町村はそうはいかない。それは負担がたくさん 出てくる。負担に耐えかねないから、恐らくそれは困りますということの返事が返ってくる に違いない。介護保険だって、今は限界いっぱいに負担をしているわけである。18万人もま た新たに費用負担しなければならないのだから。  それからもう一つは後期高齢者の関係もあるし、老人が負担をさせられるだけ負担をさせ られるというような時代ができつつある。それはとてもじゃないけれども、皆さんが黙って いいですよということにはならない。  その辺りは、今、入っている人たちで医療は関係ない、この人は介護だけでいいという人 をセレクションして、少しずつ介護の方に移していくというやり方をするものだと思った。 だから、私はそれがいいと言って当初は賛成をした。ところが、残りはこれだけですとやり ますとなると大変である。そこら辺りの具体的なものが今日のペーパーの中には書かれてい ないので、そこをきちんと出して、提案するというならばわかるが、数字の上で25対18と か、簡単に出されて一挙に18がくると、介護の方ではとてもじゃないけれども負担に耐え かねるということになる。  もう少し計画的に実施をしていくというやり方こそ大事ではないか。一挙にここで議論を して、そしてあなた方が提案したらそれでよろしいということだけであるならば、何の協議 かわからない。いつも私は申し上げるが、決めるのは国で、実施をするのは市町村である。 その市町村がやれないような制度をつくって、さあやれと言われても市町村はできるわけが ない。しかも、今のような財政状況の中で新たな財政負担をしろなどと言われても到底でき るものではない。   私は、最初は賛成でそれでいいと言ったが、今日の案では私は賛成できない。 (天本委員)  今、山本委員が言われたのは非常に重要なことで、18年改正のときに医療制度改革と介護 保険制度改革が同時に改革されて、介護療養病床は廃止ということが突如出てきて、そして 50%も医療の療養病床から移行するという政策が打ち出されたわけだが、そのときは今、御 指摘のように全く受け皿整備、機能も数も目安が立たない、計画性がないところで進んでい るということが今回の大きな問題点だと思う。これから議論を進める際にはやはり段階的な 計画的な推移ということには注目をしながら現場に混乱がないようにすべき。というのは 我々サービス提供側もだが、利用者、被保険者において難民が生じないようにという視点が 非常に重要だからである。   今回は、介護療養病床廃止に伴って介護施設の医療の在り方を附帯決議によってもう一回 きちんと議論しようということで今日の議論にいたっていると思うが、9月28日にこれま での発言のあった意見というものの中にも、やはり介護サービスや医療サービスの使いやす さは差がないように、そして地域ケアの一環として必要に応じて外部サービスを導入するこ ととしてはどうかといったような意見が出された。  その際に、今回の転換型の老健におけるいろいろな医療サービスというものを介護保険の 給付という視点のみで議論されている。介護給付の視点のみとなると、また介護保険の財源 圧迫という問題においてサービスの底に抑制がかかってくる可能性がある。そうすると、介 護療養型を廃止したこととの整合性というか、新たによくなることを考えないと、またこの 介護保険の財源を圧迫することになる。もう4,900円くらいに介護保険はなっているので、 介護給付の中に医療を導入したことで介護療養型という新たな類型が、今までの福祉サービ スと医療サービスという違う概念として介護が導入されたのだと思う。  しかしながら、前回で介護療養型、要するに介護給付の中に医療サービスを導入している ことにおいての無理が生じている。これは財源においても、医療の在り方も、そういうこと から出発しているわけなので、今まで在り方委員会でしっかり議論をされたものを受け入れ た形での加算の問題についても、介護給付で加算なのか、医療保険で加算なのか。現時点の 介護施設の福祉サービスでは、特別養護老人ホームでは医療保険から加算というものも、あ るいは給付もされているわけである。薬も同様である。  そういう実態を前回の在り方委員会で私も主張したが、やはりそこの検証をした上でこれ から目標に向かって段階的に進む上においても、また介護保険の中に医療を持ち込むことに おいて財源を圧迫するサービスの医療の在り方としても制限が加わる。特に介護保険の給付 というのは、介護必要度しか見ていない。そこに医療必要度をどう見るかというのは、介護 給付の報酬の決め方の中に物差しがないわけなので、その点も含めてこれからは十分な議論 をしていただきたい。 (石川委員)  山本委員が保険者としていろいろと不安、危惧を持たれているのは私どもも全く同じだが、 特に後期高齢者医療保険制度がまた来年の4月からスタートするということで、これもまだ 制度がいろいろと動くのではないかということの不安もあるし、不確定部分もある。  ただ、いずれにしろ市町村とすると介護保険も、あるいは広域連合も、連合とは言っても 実質的には市町村が保険者ということになるわけなので、そういう意味ではトータルで見て いく必要はあるだろうと思う。そうすると、やはり社会的な入院等によって非常に大きな国 民負担をせざるを得ないという状況で、これを解消していくということは絶対に進めなけれ ばならないことだろうと思っており、今回のこの提案についてはそういう意味での前進につ ながっていくと思っている。  ただ、先ほどの山本委員のお話にもあったように、トータルに本当にどのくらいの給付費 の上でのプラスマイナス、例えば介護保険から見たときに、あるいは医療保険から見たとき の枠を見ていくのか。あるいはまた、実際の転換病床がどのように推移をするのかが議論と 同時に見えていかないと保険者としては非常に不安があるので、この辺りについては是非議 論のプロセスの中でお示しをしていただきたい。 (大森分科会長)  今のような発言があったが、全体の中でいろいろなことを考えなければいけないので、繰 り返しになっても結構なので、最初の出発点のときにどういうふうに考えて、全体がどうい う中でこの議論が行われているかということをもう一度次回におさらいしたい。そして、そ の段階で動いていることで説明いただけるようなことがあれば加えていただくということ で、確認でも結構であるので、もう一回それをやって具体的な議論に入っていきたい。 (勝田委員)  利用者の側から言うと、大きく懸念されることが2つある。  まずその1つは、医療区分の中で新しくできる方に移るのが、認知症などにある人はやは りほとんどが医療区分1とか2の3割部分に該当するのではないか。今まで医療療養病棟に 入っていても、残念ながらだれにも看取られないまま冷たくなっていたという訴えが、私た ち利用者の側の介護家族から結構ある。  そういう状況から、今回は医療体制が少なくなる。医師なり、そういう看護師も少なくな る中で看取りもやる。では、本当に入所された方々が尊厳ある死を迎えられるのだろうかと いう懸念がとてもある。もちろんオンコールですぐお医者さんが駆け付けてくるということ にはなっているが、実際に本当にそうなんだろうか。現在の体制でさえ看取られないまま冷 たくなっていて家族に連絡がくるというような状態がある。全部とは言わないが、残念なが らそういう訴えが結構ある。そういう中で、私たちは認知症があってこういうところに入っ ていたからと言っても、やはり尊厳ある死を迎えられるような施設であってほしい。  もう一つは、今、介護保険料なり利用料なりの問題が大きく懸念されている。今この体制 のままでいくと、県や市町村に介護者にかかってくる部分というものが多くあるし、今後入 ってくるであろう後期の高齢者医療制度も含めてやはりぎりぎりのところでやっていて、私 たちが実態調査をやっている中では貯金を取り崩して何とかやっているという形もある。そ れから家族の限界というか、家族の形が大きく変わってきている中で、こういう施設に頼ら ざるを得ない現状がある。そういう中でぎりぎりのところで頑張っている介護家族が本当に この費用負担に耐えられるのだろうかという不安、この2点について利用者側としてはもっ と論議していただきたいと思う。 (川合委員)  実は総論的なところで、各論的なところに私はまだ今日は触れるつもりはないが、山本委 員がおっしゃった点については、私はまさしくそのとおりだと思う。我々サービス提供側が 絶えず考えなければいけないのは、保険者と利用者・国民がどのようにお考えなのかという ことを勘案しながら論理性のある結論に導いていただきたいと思うが、その中で2点申し上 げたい。  1点は、私は今年の3月31日まで急性期病院の院長を兼務していた。そこでDPCをや っていたが、その中でつくづく思ったのは、今回申し上げるには失礼かもしれないが、今、 御議論にあった医療保険の救済の一途として療養型を一部転換、廃止する方向であるならば、 DPCというのは私は入院日数14日から20日というふうなことに関しては財務省がどのよ うにお考えか。あるいは厚生労働省の方々にエールを大いに送りたいが、間違いなくDRG −PPSを導入することで、大体1週間前後に入院日数が短くなっていく。そうなってきた ときに、大きな枠としてDPCでもいい、あるいは財務省が将来主張するであろうDRG− PPSのその後の医療供給体制を療養型から在宅に至るまでどういう医療体系にするのか。  私は、実はこの給付費分科会にふさわしくない議論であろうと思うが、ただ、こういう資 料がある。社保審介護給付費分科会、平成18年5月26日付社会保障の在り方に関する懇談 会というところの文章が10枚程度出ている。私は恐らく頭が悪いんだろうが、読んでもわ からない。このことを、今回資料1で出していただいているようなポンチ絵や箇条書きで、 この給付費分科会にそぐわないとおっしゃるならば、これを出した意味をお尋ねしたい。非 常に総論的な高邁なことを書いておられる。  全体の中でどうなんだという議論は、やはり山本委員、天本委員がおっしゃったような、 あるいは各保険者、利用者側がおっしゃったような危機感は当然持たれると思う。我々はこ ういう設計図の中のここを今触っている、そのことに関して将来こういう分科会との連携が あるから、それは安心しろよとおっしゃっていただくならば大いに賛成だが、天本先生がず っと主張しておられた今回の転換の医療度1、あるいは医療度2の何十%かはわかないが、 そのことに対する医療度の検証が終わったのかという議論がずっとされてきた。私は前回、 9月20日過ぎのこの会議でどなたかの御説明の中で、その医療度1、医療度2、医療度3 の分析の報告は出ていないけれども分科会長報告案というものが出そろったとのうわさが あるということで、公式の議事録に載っていると思うが、私は次回のこの委員会ではそうい う医療度の検証に関する文書を出していただきたいというお願いをしたつもりであるが、そ れをお願いできればと思う。  もう一度申し上げる。当然のこととして我々は介護給付費分科会であるので、保険者の方、 御利用の方々、あるいは我々サービス提供者側が眉間にしわを寄せることなく、にこやかに 議論をして制度改正を進めていきたいと思っているが、その中で我々はこのポジションをし ているということを明確にポンチ絵で教えていただきたい。それであるならば、昨年の5月 26日の「今後の社会保障の在り方について」の御報告の解説であるが、私の不勉強を棚に上 げて非常に恐縮だがお願いをしたい。こういう議論をできる分科会であるならば、私は御説 明はもっとしていただくべきだろうと思っている。  それからもう一つ、分科会は違うかもしれないけれども、お願いした資料が不可能である ということでも結構であるし、可能だということでも結構なので、医療度1、2、3の検証 は非常に重要なことだと思っているので、是非とも次回、あるいは次々回までにはその検証 をお願いしたい。 (大西保険局総務課医療費適正化対策推進室長)  医療区分1、2、3が18年7月の診療報酬改定で導入されてから、その後どのように考 えるかということは、慢性期入院医療の包括評価分科会で御議論をいただいてきたが、8月 8日に最終報告として中医協に上がってきている。その中では、今の医療区分1、2、3に ついてはおおむね妥当という結論が出たと伺っている。資料については、どのような段取り で御説明を差し上げるか、事務局と御相談させていただければと思う。  せっかくいただいた機会なので、先ほど山本委員から御指摘いただいた点について、状況 の報告をさせていただきたい。高齢者医療の関係では、自民党・公明党の政権合意において、 前期高齢者70歳から74歳の方々の自己負担の1割から2割へのアップ、後期高齢者の方々 で新たに保険料をいただくことになる被扶養者の方々の保険料について、それぞれの凍結に ついて検討をして早急に措置を講じるという合意がなされた。  それを受けて、与党両党の議員から成るプロジェクトチームが設置をされて、10月2日と 9日と週1回ペースで10月中には結論を出されるということで精力的に議論がなされてい るところである。  そういう中で、第2回目の議論では論点の一つとされていたが、自治体において、既にい ろいろ準備が進んでおり、迷惑をかけるようになってはいかぬというところはプロジェクト チームの先生方のほぼ共通認識という状況であることは報告をさせていただきたい。  私は本件の直接の担当ではないが、そのような状況になっていることは申し上げさせてい ただければと思う。 (天本委員)  保険局から今、医療区分の妥当性について話があったが、これは順序性については妥当と いったことで、政策的な判断で医療区分1を50%も、コストの半額の値段で病院から追い出 すような構造自体については、入院の必要性がないということについては慢性期分科会でも それはおかしいという意見がきちんと出て報告されたはずなので、正しく伝えていただきた い。  それは報告だけであって、これは中医協でその政策が正しかったのかどうか。山本委員が おっしゃったように、受け皿も整備されていないのに50%もそれを出すというのは、日本医 師会からは医療区分1の中の20%も医療難民が生じるというような指摘をしているので、そ れについては今から議論、検証されるわけである。それはあくまでも池上委員長の報告でこ れから検証されるわけなので、間違った印象を与えないようにしていただきたい。 (大西医療費適正化対策推進室長)  慢性期入院医療の包括評価分科会の報告を受けて、具体的な診療報酬の設定の在り方につ いてはこれから中医協で御議論をいただくということになっているのは確かであるので、そ の点訂正する。 (天本委員)  まだ検証が終わっていないということ。 (大西医療費適正化対策推進室長)  医療区分1、2、3の区分の妥当性については、おおむね妥当という結論をいただいてい るというところは確かである。 (天本委員)  順序性ということ。 (大西医療費適正化対策推進室長)  タイムスタディによる順序性のことを検証した結果としてはおおむね妥当という結論と いうことである。詳細については、また次回以降、事務局とも相談の上で必要なら御報告を させていただければと思う。 (天本委員)  あくまでも慢性期分科会というのはデータに基づくものを報告しているということで、そ の政策的な判断が正しかったかというのはこれから中医協で議論してもらうことなので、そ れを受けてから報告してほしい。 (池主委員)  池田委員の発言にもあったが、最初の課長のお話にもあったように、我々歯科の立場とい うのは医療には入っているわけである。介護保険に歯科も医師としての参画が基盤になって いるわけだが、現実の流れからすると介護保険施設に対し歯科はなかなか中に入って協力す る体制がない。  ただ、病院医療等において口腔ケアが入ることによって入院期間が短くなる等の実績が報 告されている。今、大島先生のところでやっておられる高齢者医療の在宅訪問診療の在り方 に歯科も関与してくるわけだが、簡単なとらえ方をすれば、最終的に国民の多くの方が自分 の家で幸せに亡くなるという流れを構築していくことに歯科の果たせる役割がかなりある ということである。  当然、こういうものは市町村が絡んで実施されるわけであるが、そういう地域での体制が まだ明確ではない。非常に我々が入りにくい状態になっているので、やはり総合的な流れの 中でとらえていただいて、地域でそういうことを主体的にやっていくのは医師会であり、歯 科医師会がそこに協力できやすい体制をつくるということを考慮していただきたいという のが我々の願いである。 (大森分科会長)  18年改正のときに口腔ケアのことも議論しているが、実際に現場の方は相当大事なことに なっており、介護全体のサービスや介護給付費の在り方は全体の中で従来以上に口腔ケアと か、物を食べて維持することがどれほど大事かということの基本的な認識は少しずつ広まっ ていると思うが、なおまだ不足しているようなことがあるかもしれない。   (木村(隆)委員)  今日の資料2の2ページの下から2つ目のところについて少し提言したい。説明の中で、 医薬品費、医療材料費といった物品費は高額となることが想定されるということだが、医療 保険から医薬品を出すか、それとも介護給付費の中で医薬品費を出すかという形でいったと きに、特別養護老人ホームの場合は医療保険で出ている。それで、もともとの今の老人保健 施設の場合、介護報酬は定額で出て、その中で薬代とかもろもろの人件費を賄う形になって いる。また今、院外処方箋を出せる薬は抗悪性腫瘍剤とエリスロポエチンだけである。  現場で今、起きている問題点を指摘したいが、先ほど天本委員の公平な医療をどういうふ うに提供するかという中で、特別養護老人ホームの中ではアルツハイマー型の認知症治療薬 であるアリセプトが当たり前に使われている。  ところが、現場の介護支援専門員等に聞くと、老人保健施設に入るとアリセプトが処方さ れない場合がある。その理由は、やはり薬価が高くて原価が非常に高くなってしまうので、 どうも処方されていないようだという指摘がある。これはやはり仕組みの問題だと思うので、 必要な人に、特にアルツハイマー型の認知症治療薬の場合はアリセプトがオンリーワンとい うか、これ1つしかないわけで、今回中重度者に使うという適用拡大もしているわけなので、 認知症の方が本当に必要な薬が飲めるような仕組みに今回こういう機会に変更するべきで はないか。  というのは、入所者の尊厳として必要な薬が飲めないような仕組みというのはやはり問題 だと思う。これは代表的な例の一つである。仕組みを改善するということを提案したい。   もう1点はターミナルケアの問題であるが、現存のものもこれから転換型のものも、恐ら く麻薬の使用量というのはものすごく多くなると思う。そして、麻薬管理の関係ということ で、現状の介護老人保健施設は薬剤師は300対1という配置になっているが、その配置基準 を変えてほしいということではなくて、麻薬の管理をどういうふうにしていくか。その中で 医師と薬剤師がどういうふうな連携をとっていくかなど、非常に麻薬の管理というのは問題 が起きるので、そういうことも考慮していただいてこれからの検討の材料の中に入れていた だければと思う。 (齊藤委員)  初めて発言をさせていただく。資料の2ページで、医師の夜間と日勤帯以外の時間対応に ついての件である。先ほど勝田委員からも話があったが、急性の状態、それから緊急の状態 が発生したときに、オンコールだとか、それから他の医療機関から往診などというようなこ とが本当にこの現場として間に合うと想定した話なのかということは大変疑問に思う、また、 心配に思う点である。  名前の方は先ほどから議論があったように、誤解のないようにという話であるが、ある意 味では医療を少し整備し、強化をする。しかし、一方ではこういう実態がある。利用者から するとイメージから懸け離れている話ではないかという感じがする。  本来であれば、これは転換をするということが前提なので、ああいう名称が付くわけだが、 むしろ医療軽減型の療養病床と言った方が利用者にとってみれば大変わかりやすい話であ り、その辺は極めて誤解のないような名称であるべきだと思う。  更に、これも利用者の側から申し上げたい点であるが、転換型の老健施設にだけ特別なも のを付加すると、旧来の老健施設とそこに入っておられる方の状態に大きな差が明確にでき るのかというと、これも非常にわかりにくい話だと思っており、利用するサイドからもわか りにくい。旧来の介護保険施設の3類型が、ある意味では非常にわかりやすい形だったとは 思う。  ただ、それでも実態とすると医療病床や社会的入院があり、老健施設でも在宅復帰がなか なか難しいという方々が一定数いる。そういう意味では、同じような立場の方々がいらっし ゃるということがあったわけで、同じような方々がどう整理すると自分がどこを利用できる のかがわかりにくい。そのわかりにくさをどう解消するかというのは、今回の中ではコスト を削減する一方で理解をしておく必要がある。また、利用者の判断というものもそこにでき るようにしていただくことは大変大事だと思う。  冒頭であるような名称の問題というのは誤解を招く一番の問題であるので、むしろ余り名 称でこだわるよりは、A型、B型と言った方がわかりやすいようなところもあるかと思うの で、3類型が2類型になるのか。2類型の中にまた更に整理がつくのか。ペーパー上もわか りやすく、介護保険の施設のサービス体系というものがもっとこの機会に明確になるように していただきたい。 (椎名参考人)  私も、医師の往診について、今お話があったように実態的にはいろいろな問題があるので はないかと思う。  そこで、ペーパーの中では保険局と調整中とあるが、これは具体的にいつごろまで調整し て結論が出るのか。  また、これは中医協マターだと思うが、当然中医協で議論される事柄であることを確認し たい。 (鈴木老人保健課長)  今、最後に椎名参考人からお尋ねのあったことについて、保険局医療課とは、他の医療機 関からの往診の問題について現在協議中であり、時期は私の方から明示することはできない が、中医協にかけて一定の結論を中医協で得るという方向で医療課では検討していると聞い ている。 (大森分科会長)  時間が相当進んでいるので、田中滋委員までで休憩としたい。 (田中(滋)委員)  先ほどの齊藤委員の発言も含め、多くの方の御意見を伺っていて、本日の論点の中で何が 一番大切かと考えると、資料2の2番目の丸の療養型病床からの転換老健施設については一 定の医療サービス等を必要とする者を入所させるよう求める。この基準にかかっていること が分かる。  先ほど池田委員も指摘したが、新たな施設類型をつくるのではなくて加算による。これは 賛成だが、そうなるとどうしても既存の老健施設で同じような厚い人員配置をしているとこ ろはどうして加算を取れないのかという公正さに関する疑問は出てきてしまう。それを、そ うではない、これは転換したものに限るとの決定を正当化する理由は、入所者の状態像が違 うからだということに尽きる。  したがって、入所者の状態像がどういうものであるかを第三者、市民、住民が納得できる ような形で、こういう人たち向けだと言えないと、さっき言った既存の老健との人員配置は 同じなのにそちらは加算できないという不公正性を打ち破ることができないと思う。何と言 っても今までの議論を伺っていておわかりのように、医療区分1だけではちょっと弱いので、 何らかの客観的な、ケース・バイ・ケースではなくルールとしてどういう人が入所するのか、 比率の問題でいいと思う。何%であるといったことをつくっていく点こそが、この全体の政 策体系の肝であると私は感じている。 (大森分科会長)  私もそう思うが、それはきちんと出していただかないといけなくなるので、今は相当強い 御意見であるが、それはもう覚悟しているだろう。そうしないと皆、納得できない。 (鈴木老人保健課長)  次回にお示しをしたい。 (休憩) (大森分科会長)  それでは、そろそろ再開する。  休憩前にお手が挙がっていた方はどなたか。では、田中委員からお願いする。 (田中(雅)委員)   先ほど勝田委員の方から大変悲しいというか、だれにも看取られず死を迎える病院であっ たというお話があった。本当に悲しく痛ましいことだと思っているが、既に特別養護老人ホ ームでは終末期における看取り介護体制を行っているわけである。  今後、療養病床から転換した老人保健施設においてもそのような看取り介護体制を行うと なれば、夜間等においてはすべての施設に看護職員が配属されているわけではなくて、介護 職員もそういった看取り体制の中において、患者さんの方々の最期をお見送りするという状 況になってくると思われる。既に特別養護老人ホームにおいて介護職員の質の確保という問 題が生じている。これまでのような単なるお世話をするような介護職員ではなくて、看取り を含めた質の高い専門性を備えた介護福祉士を始めとする介護職員の養成と配置を実施し なければ、先ほどおっしゃったように悲しい痛ましい最後の旅立ちとなるのではないか。看 取り体制をとった以上は人が死を迎える厳粛な事態について生理的精神的身体的な理解と 教育といったものを行わなければ、医療職の配置と対応ということでは十分できないのでは ないかと思っている。よって、今後この分科会において議論していただくにあたって、介護 職員の質の確保についても議論を十分深めていただきたいと思っている。 (大森分科会長)  後ほど、それについては議論したい。  では、川合委員どうぞ。 (川合委員)  大森会長に休憩を入れていただき、名称の問題、総論の問題、各論の問題に移ってきたと 思うので、各論を申し上げる。多少細かくなるかもしれないが、記録の方をよろしくお願い する。  まず今日お示しいただいた3つの資料の中で、資料1の2ページの1のところに丸が3つ ある。そのうち(1)に「平日昼間における」云々というものがあるが、御記憶だと思うが、そ もそも論になるが、介護保険が始まるまで老人保健施設においてケアプランを付けたら3対 1を取れば療養費が少し高くなりますよという制度があった。そのとき我々全老健では、全 国平均で2.5対1の割合で配置していた。従って2.5対1の新設を強く要望していた。どう いうわけか、介護保険が始まったときに2.5 対1ではなく3対1になった。その後、今、直 近のデータはないが、半年くらい前のデータでは2.2対1を切ろうとしている。よって、昼 間の対応ということが転換型の老健に本当に独占できるものなのか。我々はもうすでにこの 条件を満たしている。これが1点である。  2点目は(2)である。今日お帰りになって各委員方にはよく御理解いただきたいと申し上げ たのはこの点だが、参考資料5の2ページ目にいろいろ数字も入れてデータをお示ししてい る。85%の施設が夜勤看護を介護報酬がないにもかかわらず付けている。組織率90%あるい は95%の協会が、85%も夜勤看護を付けているという実態の重さを御理解いただきたい。   3番目は(3)で看取りへの態度である。このことについても説明を付けているので8月1日 付けの申し入れ書をご覧になっていただきたい。  本当に多岐にわたって申し訳ないのだが、同じく資料1の5ページ目である。決して大意 はない。他科のところの説明で、「歯科受診等も含めて」という表現を担当課長はされたた。 「等も含めて」の表現を、今日は御返答を求めないが、老人保健施設では他科受診は中に含 まれている。外出しではない。我々の方からその担当診療科に払わなければいけない。改善 されたところもある。これは長年の我々の主張を御理解いただけたのかなと感謝をしている。  4番目、資料2の2ページ目で「医師による対応(往診等)」とある。この間の会議のと きに私は申したが、医療機関については併設がほとんどであるが、独立のタイプでも協力医 療機関ということで対応をしている。夜勤、日勤以外の時間帯、急性憎悪により、先ほどの 各論の御議論の中で急変が起こったらどうするのかというような御心配も多々あったし、老 人保健施設ではないことを祈るが、死亡しているのが数時間のうちに見つかってしまったと いうような御家族の御懸念、そういうことは極力ないような体制をしいているつもりである。  次だが、3ページ目で質問がある。これは御返答いただきたい。丸の2つ目のポツの4つ 目でアンダーラインのところである。「入所施設又は当該入所者の居宅において死亡した」 の「居宅」の意味である。狭義の自宅なのか、広義の自宅なのかによって我々の考え方が若 干変わってくる。  それから、パーセントはいくらだと言われたらそこまでだが、昭和60年の「中間施設に 関する中間報告」の『ニーズの多様性』というところで老人保健施設においては多機能な職 種、指折り数えても8職種がケアカンファレンスをしている。そういうことも含めて現実に 医療を要求される地域もある。過半数の施設では必要な濃度の高い医療をやっているのでは ないかとは思う。  次に、資料3である。これこそ今日、私がお願いした申し入れ書にあるが、まず「具体的 な論点」の丸の1つ目である。「在所期間が6か月以上の者の割合は33.2%となっている」 と表現されているが、単純に引き算をしたら老人保健施設の在宅復帰率は67%であるという ようにうぬぼれていいのか。まずそれが1つである。  2つ目の丸については、同じことが申し入れ書の2ページ目に書いているが、確かに死亡 退院(退所)の2.2%と27%では13倍の差がある。しかし、我々はここまで窮鼠というか、 隅に追いやられると必死に調査をした。大体、同時期に調べた。分母の問題である。算数の 問題である。療養型の27%については、分母が少ない。我々の調査では出たり入ったりを入 れているので、分母が大きい。それを実数で調べた。それが申し入れ書の2ページ目に書い てある。1対4である。1対13ではない。このことが、この申し入れ書の1ページ目に書 いている、「今までやってきたことを正しく御理解いただきたい」という切なる思いである。  ポイントを申し上げたが、御発言の中から先ほど田中委員やいろいろな方々から、名称も 含めてどうもおかしいのではないか、時期はいつまでなのかと、本当に御理解いただく委員 方が過半数だと思うのだが、増えてきたということに関して私は感謝を申し上げる。  それともう一つ、これは御議論をこれから賜りたいと思うが、アリセプトは確かに当初は 高額であるという理由でいろいろお断りしていた施設があった。しかし、我々も多様なニー ズに対してどう認知症に対応していこうかという中で、いろいろ学術的な専門的医学団体と 協議をさせていただきながらご指導をいただいているので、アリセプトの処方を断る施設の パーセントはかなり下がってきたのではないか。会長としての思い上がりかもしれないが、 減ってきているのではないか。  それから、急性対応はおっしゃるとおりである。  今10くらい申したが、私の性格として細かいことを多々言うのは余り好まない。大きい ことをぼんと言いたいのだが、それだけ熱い思いがあるということを御理解賜われればと思 う。 (大森分科会長)  簡単にお答えできることをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  今、御質問事項は3点あったと思う。  1つは、昼間の医療ニーズの高まりというのは2.2対1を切ろうとしているとおっしゃっ ている意味がよく分からなかったのだが、それは現在の老人保健施設の施設サービス費にお いてそういう位置付けを次回の改定で外そうとしているということか。 (川合委員)  そうではなくて、先ほど資料の説明の中で、昼間のことに関して我々のところがあたかも 少ないのが前提のように御発言になっていたが、実はもともと老人保健施設は全国平均で介 護保険に入るときは2.5対1をクリアしていた。それが3対1という制度になったから、老 人保健施設でそろばんをはじいて2.8対1に下げたかというと、そういうことではない。直 近のデータはないので、半年前現在で2.2対1である。  そのような日勤帯でも対応できるような医療とはどういうことをイメージされておられ るのか分からないが、2.2対1あるいは2.1対1に達しようとする中で看護基準、介護基準 はもう満たしている。介護保険制度が始まるときに2.5対1が3対1に収束された。2.8対 1になったという現実はない。むしろますます努力をして、現在2.1対1に近付こうとして いるとの主張である。 (鈴木老人保健課長)  観点の違いかもしれないが、要は3対1という基準の世界と、2.2なり2.1なり、実配置 の議論とはちょっと違うので、そこはご理解いただきたい。 (川合委員)  「実配置に見合った点数を付けてくれ」といった具体的なことは今この段階で一言も言っ ていない。現状を御理解いただきたい、これまでの我々の実践を評価せずして屋上屋を架す ような制度をつくるなら、「今」を評価してからということである。 (鈴木老人保健課長)  そこは、分けて議論をさせていただいた方がいいかと思う。  2点目は居宅とは何かということでターミナルケアの基準の話だが、厳密な意味での自宅 だけではなくて、例えば有料老人ホームとか高齢者用の専用賃貸住宅等も含めており、つま り病院に転院する場合等以外ということを言っている。  3点目は、33.2%が6か月以上ということは、それ以外の66.8%については、在宅復帰さ せているのかということだが、これはそういうことではなくて、実際の在所期間を見るとそ れだけ退所しているということであるから、亡くなっている場合も、病院に転院されている 場合も182日間の中に全部入っているので、自宅に戻っている場合だけではない。 (川合委員)  非常にありがたい御回答である。本当にそうである。やはり大きな意味での居宅というこ とであるならば、我々はこの4つ目のポツは完全にクリアしている。 (大森分科会長)  御議論が小規模老健の方にわたってちょうどいいタイミングなので、小規模老健の人員基 準の広い意味で言えば緩和について論点が示されているので、これについて御意見を伺いた いと思うが、まだその前にあるか。  では、木下委員で一応切りって小規模老健の方に移る。 (木下委員)  参考資料2−2の下に介護療養型医療施設と老人保健施設の現在の報酬の基本単位が棒 グラフになって書いてある。このグラフの高さが必ずしも数字と合っていないところはある が、もともと老人保健施設は在宅復帰施設ということでこの傾斜が緩やかになっている。要 介護度別の差が50単位程度ということで、平均要介護度も3・いくつというあたりで在宅 復帰施設ということで報酬が設定されていると思う。介護療養型医療施設はそれよりも重度 の要介護度の方を見るということで、前回改定のときに要介護4、5を中心に報酬が決めら れたという経緯があると思っている。それで、要介護度別の差というのも老人保健施設の倍 程度になっている。この辺りが今、言われている加算だけで、要介護4、5の人を重点的に 見ていくのを解決できるかという疑問が1つあるので、その点を御理解いただきたいと思っ ている。 (鈴木老人保健課長)  今の最後の意味がよく分からなかった。 (木下委員)  介護療養型医療施設は要介護4、5の人を多く見ているので、そこに重点的に費用を分担 しようということで、要介護1は老人保健施設と同じような報酬に現在なっている。重度の 人を中心的に見ていくということ。それで、先ほどから議論があるように、介護療養型医療 施設から転換した老人保健施設は医療度の高い人を見ていく。そういう要件も設定しろとい うことになっているので、当然要介護4、5の方をまた見ていくような、それプラスある程 度の医療行為がある方を見ていくという場合、現在の老人保健施設の単位数に加算というだ けでそこの部分が十分クリアできるかどうか。加算の項目や額にもよると思うが、そのあた りの疑問点が1つあるので御配慮いただきたいということである。 (鈴木老人保健課長)  そこは、大きな方向性として基本施設サービス費は既存老人保健施設のものを使い、プラ ス加算として評価するということがあれば、先ほども御意見があったが、全体的な予想され る医療のニーズなり要介護度にきちんと見合ったお支払いになると考えている。 (大森分科会長)  小規模老健の方について御意見はあるか。 (中田委員)  小規模老健の基準緩和の件については、基本的には私は賛成するが、ちょっと心配なこと がある。  というのは、医療機関併設型小規模介護老人保健施設というのは転換型、いわゆる医療機 能強化型だと私は理解しているが、そうなったときには当然看取り、ターミナルといったこ とも期待される訳だが、一気に支援相談員と介護支援専門員の配置が非常勤でいいというこ とになってくるとちょっと心配ではないかということが1点である。  それで、これは特養などもそうだが、小規模だとか、あるいは地域密着型についての基準 もある訳なので、そのあたりの整合性をどうするのかということもある。  それから、課長は介護施設の在り方に関する委員会の中で転換のメリットとして3点おっ しゃっていた。そのうちの1点が、いわゆる療養環境がよくなる、面積が広くなるとか、人 的な面では介護相談員が必ずいることがメリットなんだということをおっしゃっていたが、 そのあたりとの兼ね合いはどうなのか。ちょっと意地悪な質問かもしれないが、お答えをい ただければと思う。 (鈴木老人保健課長)  私の説明が舌足らずだったかもしれない。小規模老健については、もちろん療養病床から 転換をした老人保健施設についても中に含んでいるが、それだけではなくて、医療機関に併 設している小規模の老人保健施設が全て対象ということである。  それからもう一点、人員についてだが、私どもは今回こうしたらいかがかと思っているの は、必要な職種をゼロにするということではなくて、もちろん医療機関本体にどの程度配置 されているかにもよるが、実際に医療機関本体にいて、その方が併設の老人保健施設につい てもきちんと手当てができるのであれば、その場合に常勤は求めない。これは、今の様々な ケースにおけるPT・OT、医師についても同じ考え方なので、一応整合性をとらせていた だきたいと思っている。 (大森分科会長)  村川委員、どうぞ。 (村川委員)  今の中田委員の発言の趣旨とほぼ近い訳だが、小規模施設特有の運営課題ということもあ るので、現実論としてはやむを得ない緩和かと思う。  しかし、小規模施設といえども、やはり入所者の方々の入退所の事柄に関わる相談である とか、ケアマネジメント、これは両面において欠かせない機能であるから、これは最終的な 段階の話かもしないが、通知・通達等をお書きになるときには決して留意事項がなくていい という話ではないので、人員配置の意義を明らかにしたうえで老人保健施設にも御努力いた だく面、それから今の課長のお話で関係医療機関ということもあったので、そちらの方の医 療ソーシャルワーカー等の協力、連携などは一つ丁寧に進めていただきたいという気がした。 (大森分科会長)  では、石川委員どうぞ。 (石川委員)  小規模介護老健の設置については、介護保険の基本的な考え方として居宅に近い状態で介 護が受けられる、そういう考え方を踏まえても、当然推進されるべきことだろうと思ってい る。  ただ、実際問題として今回のこの資料を見ると、実際に小規模老健の設置が進まなかった 理由としては職員配置の問題と180日の上限の介護報酬算定問題という指摘をしている訳だ が、本当にこれだけの理由で、特にサテライト型については進まなかったのか。  それから、もう一方で介護保険のサテライト型が制度化されている訳だが、これも実際に はなかなか進まない。サテライト型も、今言ったような理由で、より地域密着型で居宅介護 に近いような状態ということで制度化された訳だが、実際にはほとんど普及していないとい うのが実態な訳で、このあたりはどのように進まない理由を分析されているのか。是非教え ていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  1点、先ほど御説明の中でも申し上げたが、小規模の老人保健施設には2種類あり、医療 機関併設のものとサテライト型というものがあるが、今回御議論させていただいているのは 医療機関に併設している方なのでサテライト型ではないのだが、今回特に許可申請のないこ とについて我々の方でもいろいろ検討を進めさせていただいた。老人保健施設ではなくても、 もともと小規模の施設をつくるときにやはりどうしても一定程度コストが高くなる。もちろ ん規模に応じた経済があり、小規模ほどコストがかかる傾向があるということで、実は小規 模の施設の点数体系の方が昔は高かった。  ところが、それでは高コスト構造というものをいわば是認することになるということで、 そこは一般より少し要件を緩和した上で点数を同じにしましょうということで進んできた 訳だが、医療機関併設型の老人保健施設については本体が医療施設だということで、必ずし も例えばケアマネとか相談員がいないこともあるのではないかということで、前回の18年 4月には常勤にしたのだが、結果として現在の老人保健施設でも100人に1人いればいい、 支援相談員なり専門員というのが29人でそれぞれ1人いなければいけないという、全体の 要件を緩和しながら値段を下げるという方法とは少し逆の方向にいってしまったので、そう いうところも含めて今回見直しをさせていただければと思っている。 (大森分科会長)  ほかに何か御意見はあるか。 (高橋委員)  常勤2人の問題はこれでいいと思うので、私は賛成である。  もう一つの180日上限の件は、今おっしゃったように医療機関併設型の方を変えていくと いう趣旨であれば、これはやむを得ないと思う。しかし全部撤廃していいものかどうかとい うのは議論があるところだと思う。もともと180日にするというのは何か政策的意図があっ たと思うので、私は180日を超えた分については若干の減算もあり得るということで措置し た方がいいのではないかと思うが、そこについては180日の上限を置いた意図がそもそもよ く分からないので教えていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  180日は、こういう小さい形の老人保健施設は地域に密着してあって、結果として非常に 地域に帰る率が高くなる。したがって、平均在所期間は短いはずだから、平均の入所期間は 230日だけれども180日で十分できるはずだという論点で、恐らく180日という区切りを入 れたのだろうと理解をしているところである。  しかし、実際上医療機関併設と言っても、老人保健施設全体でではあるが、平均として入 所期間230日ということになるし、今回その中に更に療養病床から転換をした老人保健施設 も入ってくるということになると更に看取りをするので長くなるということなので、実際上 180日で区切りを入れるということになるとなかなか難しい面が生じてくると思っている。 (大森分科会長)  しかし、改めてこの論点で示されているから、本日はそうやって全部撤廃すると決めた訳 ではないので、今のような問題提起を受けて議論をさせていただくということになると思う。 小規模の老人保健施設については、よろしいか。   では、これで最後にするので、どうぞ。 (木村(隆)委員)  今、最後のところで支援相談員と介護支援専門員のどちらかという感じであるが、運営基 準、人員基準を見るとほとんど同じような仕事をする形になっている。これは職能団体とし ての提案なのだが、介護支援専門員は今、資格更新の研修などが義務付けられており、今の 介護保険の中でどのように地域と連携するかなど、いろいろと研修を受けているところであ る。よって、介護支援専門員を小規模の老人保健施設に非常勤でも配置していただけるよう に要望したい。 (大森分科会長)  御希望は承った。  それでは、もう一つの方の塊として了解事項、その他の事項があるので、そちらに移って よろしいか。  それでは、それらを一括して説明していただいて御了解を求めていく。 ○鈴木老人保健課長より資料4について説明。 (大森分科会長)  では、1つずついきたい。堀田先生について簡単に、どういう方かということを一言御説 明いただけるか。 (鈴木老人保健課長)  堀田先生は東京大学の社会科学研究所というところにおられ、介護労働の御専門というこ とで、かなりさまざまな論文も発表されておられるということで、厚生労働省の社会援護局、 労働担当部局においてもかなりお世話になっているということなので、今回是非御協力いた だければと思っている。 (大森分科会長)  御苦労をおかけすることになるが、いつぐらいまでに給付費分科会へ御報告いただくよう な心積もりか。 (鈴木老人保健課長)  後でちょっと申し上げるが、この給付費分科会を次回は11月に予定しているのだが、次 回に報告するのはちょっと無理だと思うので、その次、恐らく12月の給付費分科会に御報 告いただくということになろうかと思う。 (大森分科会長)  という提案になっており、私も給付費分科会の中にワーキングチームを設けて早急に検討 すべきではないかと思っているので、この提案になっているが、これはよろしいか。早速に も検討していただいて御報告いただければと思う。御苦労をおかけする委員方、よろしくお 願いする。 (天本委員)  確認だが、以前、在り方委員会でも議論になったと思うが、介護職員の方々の間で、今ま での実態調査、特別養護老人ホームと連合でも出たのだが、医療措置などの対応を迫られて いる不安な職場という面もあるのだが、それについては給付費分科会で議論されることなの か。それとも、在り方委員会の方で議論されることなのか。 (大森分科会長)  どうか。 (鈴木老人保健課長)  後で出てくるが、前回の9月28日の在り方委員会のときに委員が今、指摘された点が入 っていたので、その点は在り方委員会で持ち越しということで、分科会ではむしろ介護サー ビス事業の実態と労働に特化した議論にさせていただければと思う。 (大森分科会長)  よろしいか。  それでは、2番にいきたい。前回の在り方委員会の論点整理である。 ○矢田地域ケア・療養病床転換推進室長より資料5について説明。   (大森分科会長)  1ページ目の四角い枠の中については、前回の在り方委員会において、理念レベルと中長 期的なことと比較的早くきれいに分けて整理をせよという田中委員からの御指示があった ことを受けて入っているが、具体的に議論をしていただくためには、あまりこの場で細かく は指摘せず、介護保険部会の方で御議論いただくための論点整理として差し上げ、整理をし ていただくのが順当ではないか。あまりこの場できれいに整え過ぎてしまうと、介護保険部 会の方も何となくやりにくくなるのではないか。よって、このくらいかなということで今日 は御提示申し上げているが、田中委員、よろしいか。 (田中(滋)委員)  結構である。 (大森分科会長)  まじめに私どもは議論したので、仮に社会保障審議会の介護保険部会が立ち上がってそち らで御議論を始める場合には、是非ともこの論点について十分御議論いただきたいという私 どもの希望を付け、この論点整理でよろしいかお諮り申し上げたいと思うが、これでよろし いか。いろいろなことが投入されており、何となく介護保険部会は気の毒で、これを全部こ なせというと相当大変になるのだが、このくらいのことをきちんと議論していかなければい けないのではないかということで、介護保険部会へ差し上げるということでよろしいか。  それでは、そうさせていただく。  では、もう一つ、福祉用具についての検討会について、御説明いただく。 ○古都振興課長より資料6について説明。 (大森分科会長)  何か御質問等はあるか。田中委員から、何かあるか。 (田中(滋)委員)  今、課長が御説明になったように、価格のずれをどう見るか、それから、販売すべきか、 貸与すべきかなどの論点を専門家の方々と一緒に議論して、急いで答えを出すべきものにつ いては早目にまとめ、もう少しデータを得なければ分からないものについてはデータをとる 作業を9月に行い、年内にあと何回か分科会があるはずなので御報告する。 (大森分科会長)  この分科会への御報告はいつごろになるのか。 (古都振興課長)  前回も、短期にやるべき課題と中長期の課題があったので、できれば年内に短期的な課題 については当給付費分科会の方に御報告できるようにしたいと考えている。 (大森分科会長)  それは基準というか、どういう方式をとるかについて検討することになるのか。 (古都振興課長)  そういうことになる。 (大森分科会長)  よろしいか。  それでは、これも御苦労をお掛けするが進めていただき御報告いただくことにする。  では、次回について事務方からアナウンスメントをお願いする。 (鈴木老人保健課長)  次回は第44回目だが、11月12日月曜日午前9時半から12時半である。場所や議題等に ついては追って御連絡を差し上げる。 (大森分科会長)  大体何が議題にあがるという心積もりか。 (鈴木老人保健課長)  今日、田中委員からも御指摘いただいた、どういう要件で療養病床から転換をした老人保 健施設に入る人を定めていくか、要件をどうするのかということや、あとはいくつか来年1 月、2月の介護報酬の改定や省令等の改正に向けて積み残し事項を消化させていただければ と思っている。 (大森分科会長)  よろしいか。何か御発言があればどうぞ。 (川合委員)  今日8月1日に提出した申し入れ書(参考資料5)でお示ししたものについて、我々は本 当に窮鼠である。ネコをはむつもりはまるっきりないが、お示しした実態を御理解いただき たいと思っている。  それから、前回の在り方委員会のときに、ここまで議論してきたのはあくまでも3分の1 でと発言したが、残り3分の2は何かというような問合せがジャーナリストを始めいろいろ な方々からあったので述べておく。「医療の問題」、それから「人員確保の問題」、この2つ が残りの3分の2だが、もうデータは集めているので、しかるべき時期に提出したいと考え ている。 (大森分科会長)  どうぞ。 (木下委員)  前回の在り方委員会で訪問看護が進んでいないというお話もあったが、リハビリに関して も介護療養型医療施設がなくなると医療から介護へのリハビリの円滑な流れが途切れる可 能性があるということで、慢性期のリハビリは介護保険でやれというような医療保険の意向 もあるようなので、そのあたりの流れが途切れないようなシステムを今後、長期的には考え ていかないと、リハビリでも訪問看護と同じような問題が出てくると思うので、その点を今 後の課題として検討していただきたい。  それからもう一つ、施設をやめて在宅へという流れがあるが、最近私どもで経験した例で、 がんの末期で麻薬を処方して在宅支援療養所の方が見ていて、本当の最期のときに家族がパ ニック状態になって救急車を呼んでしまったという例が2件あった。  1件は救急病院に着いたときに既に亡くなっていたということで、それを見た医師が、こ れは24時間以内に見ていないから死体検案書だというので警察を呼んで、そのときに在宅 療養支援診療所の医師がそこに着いて、私か診断書を書きますと言ったが、そうならなくて 死体検案書になったという事例がある。  もう一つは、救命救急センターに着いて、救命救急センターだから救命処置をやるという ので挿管されて点滴を数本入れられて30分で亡くなったという例である。これも、家族と はしっかりターミナルについて合意がされて書類もあったのだが、いざとなるとパニックに なって救急車を呼んでしまうことがあるということで、現場では在宅というものが絵に描い たようには進まないということもあったことを御報告しておく。 (大森分科会長)  それでは、お開きにさせていただく。次回もよろしくお願いする。 照会先: 老健局 老人保健課      TEL 03(5253)1111 (内線3949) 33