07/10/11 第5回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会議事録 第5回 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会 日時 平成19年10月11日(木)                          10:00〜12:00                          場所 九段会館 鳳凰の間     照会先:医薬食品局審査管理課  医療機器審査管理室 担当:広瀬・田中 電話:03-5253-1111(内2912) ○北村座長 おはようございます。早朝からの会議ですが、「第5回医療ニーズの高い 医療機器等の早期導入に関する検討会」を始めさせていただきたいと思います。御多忙 のところ御参集いただきまして、まことにありがたく思っています。  それでは、出席確認と配布資料確認を事務局からお願いしたいと思います。 ○事務局 本日は、田野委員、吉田純委員が御欠席とのことで連絡をいただいています。 また、吉田茂委員、それから笠貫委員は若干おくれてこられるかと思いますが、間もな く見えるかと思います。  本日の検討にあわせて、またワーキンググループの専門家として、2名の先生に参考 人として御出席いただいていますので、御紹介させていただきます。近畿大学医学部教 授、附属病院整形外科部長、浜西千秋様です。もうお一方が九州大学大学院、医学系研 究科講師、戸高浩司様です。よろしくお願いいたします。  続いて、配布資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第、座席表。資料1 として、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会開催要領。資料2とし て、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会委員名簿。資料3として、 医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会の進め方。資料4として、ワー キンググループの設置について。資料5として、ワーキンググループ報告書(植え込み 型ホルター心電計)。資料6として、ワーキンググループ報告書(骨セメント)。資料 7として、対象品目の現状です。  なお、委員の先生方の机上には、植え込み型ホルター心電計、骨セメントについての 資料と、前回の議事録を配布させていただいています。過不足等がありましたら、事務 局にお知らせいただければと思います。 ○北村座長 ありがとうございました。お手元の資料等、よろしいでしょうか。それで は早速、議事に入らせていただきたいと思います。本日の議事は、「早期導入検討対象 医療機器等について」ということになっていますが、議事に入る前に事務局から確認事 項をお願いしたいと思います。 ○事務局 では、本日の検討に当たって、利害関係の確認をさせていただきたいと思い ます。第1回目の検討会で、検討品目に関して関与、または特別の利害関係を有する場 合には、座長に申し出ていただくということで取り決めをさせていただいています。今 回は植え込み型ホルター心電計、それから骨セメントについて具体的な検討を行います が、委員の先生方から利害関係があるというお申し出はいただいていないことを御報告 させていただきます。もし、何らかの関係がある先生がいらっしゃいましたら、今お申 し出いただければと思いますが、事前に確認させていただいたところ、ないということ で御報告を受けています。以上です。 ○北村座長 ありがとうございました。それでは、議事に入らせていただきたいと思い ます。本日御検討いただく品目は2つあって、1つは先ほどから御紹介のあったように 植え込み型ホルター心電計の件ですが、まずワーキンググループ報告書の検討というこ とで、ワーキンググループの専門家である戸高浩司参考人より説明をお願いしたいと思 います。戸高先生、よろしくお願いします。 ○戸高参考人 九州大学の戸高です。植え込み型ホルター心電計について御報告します。 まず、資料5が報告書ですが、本品のイメージをつかんでいただくために、こちらの申 請資料、製品名RevealDXと書いてあるものを2枚めくっていただいて、ここに本品 の写真が載っています。これは実物大ではなくて、2割くらい大きな写真のようですが、 このように非常に小さな機器で、最小のペースメーカー本体よりも小さいような容積の ものだと思います。こういったものを患者さんに植え込んで、不整脈の診断を行おうと いうものです。  資料5に戻って、対象疾患は、精査を尽くしたにもかかわらず原因不明の再発性、あ るいは外傷を伴う失神のある患者で不整脈が疑われる場合。使用目的として、発生頻度 の低い重篤な不整脈の診断を行うものと考えました。これはワーキンググループの考え です。  検討医療機器は、RevealDXといった商品名です。  外国の承認状況ですが、今年6月にCEマークを欧州にて取得したばかりで、FDA はまだ承認を取っていないと伺っています。  概要ですが、繰り返しになりますが、左の前胸部皮下にペースメーカーの本体と同じ ように植え込み、それを年余にわたって不整脈をモニターするというものです。植え込 みに関してはペースメーカーと異なり、リードを植え込んだりといった非常に技術的な 部分が少なく、基本的には小外科手術が可能である医師であれば、だれにでも植え込み 可能というふうに推測されます。  外国の承認状況は、まずこの製品自体は3世代目なのですが、その前の第1世代、第 2世代といったものはCEマーク及びFDAでの510k制度(同等性による市販前届 出)による承認を受けています。  第3世代はまだ欧州で承認されたばかりではあるのですが、第2世代との主な違いは、 メモリー拡大がされたことと、電池寿命が3年というふうに約2〜3倍になったこと。 それから、MRI検査が一定の条件下で使用可能になったという改善点があり、小改良 を施したものということで、この検討会で検討することに格段の問題はないものと判断 しました。  対象疾患については、これも繰り返しになりますが、専門機関で精査したにもかかわ らず原因を診断できなかった患者に、不整脈の診断を目的に植え込むものです。  そういったものがどのくらいのニーズがあるかということですが、ある統計では、救 急病院の入院の3〜5%、全体の1%が失神によるものであるという推定もあり、その うちイタリアのある研究では、その18%が原因不明で終わってしまっているといった 数字もあります。したがって本邦においても、相当数の原因不明の失神患者が存在する ものと思われます。  本品の有用性ですが、本品はCEマーク、それからFDAでも510k制度で承認され ているので、いわゆる治験というものは行われていません。しかしながら、臨床試験が 幾つかあるので、その成績を御報告したいと思います。  1つ目はRAST試験というもので、原因不明の失神患者60例程度ではありますが、 その患者を2群にランダマイズして、従来型の検査法と、本品を用いた検査法でその成 績を比較したものです。結論としては、診断がついた割合が従来型では20%であるの に対して、本品を用いると52%に診断がついたということです。  この試験の続報が2003年に出ているのですが、経済性が調べられていて、1診断に 至るコストが試算されています。カナダドルでの計算なのですが、本品を用いると平均 で5800ドルで1診断に至り、従来型診断法では8000ドルかかるということで、本品 のコストがかなりのものがあるにはあるのですが、全体として見るとかえって経済的で はないかというような結論でした。  もう一つの重要な試験がISSUE2試験と呼ばれるもので、これはいわゆる失神患 者全体を扱ったものではなくて、神経調節性失神と呼ばれる患者を対象にしています。 そういった患者の中に本品を植え込み、どういった不整脈が検出できるかということを 調べています。3秒以上の無収縮、心停止が54%の方に記録されて、そういった方を 含めて約半数の方に、ペースメーカーを入れたり、カテーテルアブレーションをしたり といったことをしたところ、そういった特異的な治療をした方が成績が良好であったと いった報告です。  このスタディは、特異的な治療をするかしないかということに関して無作為化されて いるものではないように思います。はっきりとは書いていないのですが、無作為化され ていないと思います。このスタディの結論は、神経調節性失神でペースメーカーが有効 であるかもしれない患者群を本品により特定するものであるというふうに考えます。  こういった試験結果を受けて、欧米のガイドラインでは本品について、有用性が指摘 してあります。欧州心臓病学会のガイドラインでは、クラスIの適応として、再発性失 神で外傷を生じたことがある患者を十分に検査しても、失神の機序が明らかになってい ない場合は、植え込み型ホルター心電計の適応であるといったことが書いてあります。  米国心臓協会の失神の評価に関するガイドラインでは、このガイドラインはクラスI、 クラスIIといったはっきりしたクラス分けがしてあるようなレコメンデーションを書い ているガイドラインではなくて、全般にどういった考えで診断を進めればよいかといっ た概念のガイドラインなのですが、書いてあることは、電気生理学試験を用いる従来の 方法より、植え込み型ホルター心電計の方が、失神の機序を明らかにする可能性が高く 経済的であるといったことで、有用性を指摘しています。  諸外国における使用状況ですが、第1世代、第2世代のReveal、Reveal plusと呼 ばれる製品は諸外国で盛んに使われていて、かなりの使用経験があるようです。第3世 代の本品のRevealDXに関しては、6月28日付でCEマークを取得したばかりで、本 品そのものの経験はまだ多くはないと思われます。  現在までに9万台が販売され、その中で主な不具合の報告ですが、電気的なものが報 告されていて、IC内部の高電流漏れで内部のデータが壊れてしまって読み取り不能に なるという事象が、第1世界0.06%、第2世代0.1%生じているということでした。 これに関しては、外に漏れるような、患者が感電するようなものではなく、第3世代の 本品に関しては、ICを別の仕様のものに変更したため、今回は発生しないと申請者は 主張しています。  患者の健康に直接影響するものとしては、植え込み部位の感染が0.02〜0.04%に起 きるということで、これは現在のペースメーカーの感染症と比較しても特に多くないと 思われます。  我が国における開発状況ですが、本品と同様のものはありません。患者が携帯する小 型のもので、発作時に自分で胸などに押し当てて記録するといったエクスターナル・ル ープ・レコーダーというものも承認はされていますが、本品とかかなり有用性が異なる ものと思われます。  全体の検討結果ですが、頻度の低い不整脈を年余にわたってモニターする代替手段は 存在せず、本邦に導入すべき重要な医療技術、医療機器であると判断しました。本邦に おいては使用経験もほとんどなく、医療コスト構造も全く異なるために、導入当初は前 述の欧州心臓病学会でのクラスI適応にあるような、明らかな有用性を示す対象患者群 に適応を絞るべきであると考えました。適応を言葉にすると、「精査を尽くしたにもか かわらず原因不明の再発性、あるいは外傷を伴う失神のある患者で不整脈が疑われる場 合」としました。  この場合懸念されることとして、本品は診断のみの機器であるため、例えば直ちにI CDを植え込むべきような症例に本品が植え込まれて、無治療のまま長期間観察されて しまうようなリスクが生じないような方策が必要だと思います。例えば、本邦に多いよ うなブルガーダ症候群などのような失神例に安易に適応されると、防止できる突然死を 看過することにもなりかねません。  MRIについては、失神のときに非常に有用な検査なので、本品が植え込まれた後に 施行が制限されると、第2世代まではそれがかなり問題であったと思うのですが、第3 世代では植え込み後6週間以降、3Tまで30分以内なら施行可能であるという記載が あります。ただし、本品がMRIの画像に与える影響については、これは仕方がないか なと思います。  国内治験が必要かどうかということですが、本邦において失神の機序分布は大きくは 変わらないというふうに推測され、国内治験により新たに得られる情報は少ないと予想 します。また、植え込みに伴う感染症などの不具合については、ペースメーカー植え込 みの豊富な臨床試験の蓄積があります。しかしながら、承認後、上市後に予測されなか った有効性・安全性に対する情報収集のために、市販後調査を検討すべきであると考え ます。  先ほどの安易に適応されないような方策をとるために、関連学会の協力を得て、使用 に係る指針の作成をしていただき、当該指針に沿った学会講習等を通じて資格性、かつ 専門施設制限とするといったようなことも考えるべきではないかと思います。  最後に一つ、本品が上市された後は植え込み術に保険点数が付与されるものと思われ ますが、本品が不要になった場合、ペースメーカーが植え込まれる場合は、それと同時 に摘出されると思うのですが、そうではなくて何事もなかった患者さんで、摘出されな い。医師としては、不要になったものでも、別に置いておいても特別に問題はないだろ うという考えで、不要になったものを患者さんにそのまましておくというようなことが 生じるように感じます。  申請者に質問してみたのですが、そういったことの懸念もやはり欧米で起こっている ように伺っています。したがって、摘出に対する何らかの促進策といったものも、考え るべきではないかというふうに思いました。以上です。 ○北村座長 戸高先生、ありがとうございました。質疑に入る前に、事務局から補足は ありますか。 ○事務局 本品については、この検討会で13品目お選びいただいた中に入って以降、 今回この公募に対して手を挙げていただいた日本メドトロニックにおいて、申請に向け ての準備も進めていただいていて、最近ですが、既に申請をいただきましたので御報告 させていただきます。 ○北村座長 ありがとうございました。それでは、この植え込み型の心電計の第3世代 を対象にして。第1世代、第2世代はなぜ我が国では導入されなかったのですか。 ○戸高参考人 我が国は申請主義なので、企業が申請してこなかったということだと思 いますが。 ○北村座長 余り必要なかった? ○戸高参考人 いえ、必要ではあったと思うのですが、かなりテクニカルな話になるの ですが、FDAでの、欧米での申請時に治験がされていないので、承認のための臨床試 験がされていない。同等性の制度で通っているのでそういったことが起こるのですが、 そうすると、そういった機器は日本に導入するのが非常に困難になるというのが、それ は今また別の部署で問題になっていると思うのですが、そういったこともあって申請さ れてこなかったのだろうというふうに想像します。 ○北村座長 急に事情が変わってきて必要になったというわけではないのですね。 ○戸高参考人 そうではないと思います。 ○北村座長 むしろ制度上の問題で、日本導入を企業があきらめてきたのでしょうか。 ○戸高参考人 そうではないかと思います。今回、こういった会が開かれたことによっ て、やっと日の目を見た機器ではないかと思います。 ○北村座長 わかりました。それでは、委員の各位から御質問等をお願いしたいと思い ます。 ○笠貫委員 ただいまの座長の御質問について、少し加えさせていただくと、この機械 の必要性について今注目されてきた一つの理由は、失神の中で、心原性失神は突然死が 起こりえますし、これまで病院外での心停止について医療サイドも十分に認識していな かったと思うのです。  植え込み型除細動器が1996年、そして現在はAEDが普及して心肺蘇生ということ で、病院内ではなくて病院外で起こる心臓イベントについて非常に注目されてきたとい う時代的背景があると思います。そのため、日本では欧米に比べて、医療サイドからの ニーズが、欧米よりおくれたと認識しています。  この原因不明の失神発作は心臓突然死につながります。心臓突然死の8割は心室細動 という不整脈で、それに対しての対応としてAEDがあるわけですが、そういうものに 至らないように、どのように原因不明の失神発作を診断するかが、社会的に非常に求め られてきていると思います。そういう意味で、ぜひこの機器の認可を、今の日本のニー ズに合わせて早期導入をお願いするということは、大変に意義のあることだと思ってい ます。  ここで一つ気になるのは、これは観血的な診断法だということです。植え込み型とい うことで先ほど保険点数の話も出ましたが、植え込みをする、それから摘出するという 手術を伴うことから、適応についてどのように絞るかが非常に大きな問題になると思い ます。  ヨーロッパではクラスIですから、リコメンドとしてかなりはっきりと失神発作でも、 外傷を生じたことがあるとか、詳しく書いてありますが、失神についての原因を調べる 非観血的な検査法がたくさんあります。それについて十分に行われた結果、ここで「精 査を尽くしたにもかかわらず」というのはもう少し具体的に、どういう精査なのかもあ る程度触れてもよいのではないかと思います。  そういう意味では、精査とは何か、非観血的検査としてはここまでは最低やらなけれ ばいけないということがないと、これを安易に植え込みされてしまい、観血的検査がコ ントロールできないという危惧は十分に持たれるので、精査についてどこまでやるべき かについての考えはあるでしょうか。 ○戸高参考人 それはわざとこういう表現にしたのですが、ここではっきり、むしろ笠 貫先生のおっしゃるように、最低限の必要なものというのは、例えばVFの疑われる人 にはEPスタディを必ずするとか、そういったものは考えられるのですが、ここで余り がちがちに縛ってしまうと、後に運用に非常に困難を来すのではないかと思ってあえて こういう表現にして、関連学会の先生方の意見を集約するという形で、運用時に指針を つくっていただいて、その指針で具体的なことを決めていただきたいというふうに思っ て、こういった表現にさせていただいています。 ○北村座長 今まで導入してこなかった代替は、体外式のホルターなどでやってきたの か、あるいは直接的にICDを予防的に入れている場合もあったのでしょうか。これを 導入すると、どういう不整脈治療の医療上の改善とか。例えば、ホルターはやめになっ てしまって、日本中で全部これを入れだすという過剰な使用が進む可能性はないのか。 あるいは、入れて1カ月後にICD植え込みに入れかわっていくとなると、ペースメー カープラス、あるいはICDプラスこの機械という形になっていくのか。今までそれが 導入されずに来れたのは、体外的なホルターでできていたということですか。 ○戸高参考人 あくまでも、日本でのそういったデータはありませんので想像でしかな いのですが、先生がおっしゃるようなICDが入れられるかもしれないような症例とい うのは、恐らく本品の対象ではないと思います。それはやはり、ICDを植え込まなけ ればいけないという症例に本品が植え込まれると、次に発作が起こったときに患者さん は突然死してしまいますので、診断はできても、患者さんが亡くなっていては何の意味 もないということになります。  ですから、ICDを植え込まなければいけない患者さんは、現状の診断基準で診断す べきであるというふうに思います。この2つの大きな臨床試験での報告にもあるように、 もう少し自然に回復するような失神の方、いわゆる洞不全症候群とか、そういったもの で非常に発作の頻度が少ない方で、今までのホルターを繰り返してもなかなか、発作が ホルターを1日とったときに合わずに診断がつかなかった方とか、そういった方に有用 なのではないかと思いますので、普通のホルターにこれが全部置きかわるというふうに は思いませんが、そういった本品でなければ診断できない方というのは、ある一定の割 合で存在するのではないかと思います。 ○北村座長 それは適応の中に、体外式のホルターも含めて心電図で診断できないもの に限る必要があると。 ○戸高参考人 それはそうだと思います。 ○北村座長 そうでないと、心房細動で間隔が空いているフェインティングが起こるよ うなものまで「いっぺんやってみましょうか」ということになってきては、これは無駄 遣いもよいところになります。 ○戸高参考人 そう思います。 ○北村座長 その辺の適応が大事なのかなというのは、笠貫委員がおっしゃった。ほか に御意見はありませんか。 ○千葉委員 2、3お伺いしたいのですが、1ページに、「患者アシスタント」と呼ば れる外部機能を用いて患者自らが症状時などに起動するとあります。この「症状時」と いうのは失神のことですね。 ○戸高参考人 これは、こういったこともできるということで、患者が動悸を感じたと きに必ず起動させるということも、補助手段としてはできるということです。基本的に は、自動で完全に本品単独で記録するものです。 ○千葉委員 わかりました。そうすると、電池寿命が3年間というのは、ずっとつけっ ぱなしにしておいて、なお3年間と。 ○戸高参考人 そういう意味です。 ○千葉委員 もう一つは、2000数百ドルの費用であるということですが、これは外部 機器の「患者アシスタント」も含めた全部の費用がこのコストということでしょうか。 ○戸高参考人 これは、手術費用等を含めたカナダでの事情ですが、すべて含めた費用 だと思います。 ○千葉委員 わかりました。それから5ページに、第3世代に関しては電子回路に関す る問題とか、IC内部での高電流漏れとか、「そういったことが発生しないと主張して いる」という表現がありますが、これは例えば海外のデータ、あるいは会社の主張なの でしょうか。この主張の妥当性に関してはどのようにお考えなのか。 ○戸高参考人 これはなかなか我々としては検証が難しいのですが、まず海外のデータ は、向こうで承認されたばかりでほとんどない状態ではないかと思いますので、そうい った比較はまだできない状況かなとは思います。  会社が言っているのは、ICの仕様を変えたから発生しないと言っているのは言って いるのですが、それはこちらからはなかなか具体的な検証は難しいかなと思います。 ○千葉委員 メカニカルには、例えばこの主張は妥当らしいとか、そういうふうに大体 受け入れられつつある主張なのでしょうか。 ○戸高参考人 私はそういった方面には暗いものですから、むしろ申請が既に上がって いるそうなので、PMDAの内部でそういった専門の方に見ていただいたらよいかと思 います。 ○千葉委員 そうすると、これを申請する段階で、この主張の妥当性も当然検討に入る だろうということですね。 ○戸高参考人 もちろんそうです。 ○千葉委員 最後に、6ページに、MRIは第3世代は使用できると。3Tまで30分 以内なら施行可能という表現がありますが、その下に、「もしMRIが施行できなけれ ば」という表現が続くものですから、ここはどういうふうに解釈するのかなと思ったの ですが。施行できるということなのですか。 ○戸高参考人 済みません、非常にわかりにくい表現でした。会社が書いていることは、 施行できるというふうに書いています。これも先ほどと同じなのですが、こちら側で検 証できないものですから、実際に会社の資料に書いてあることは、確か動物実験の段階 ではできるというふうな表現でしたので、実際に人に植え込んで問題がなかったといっ た検証はまだされていなかったので、こういった表現をしています。 ○千葉委員 大変によく理解できました。ありがとうございました。 ○笠貫委員 先ほどの追加になってしまうかと思うのですが、ヨーロッパの心臓学会で もクラスIとクラスIIということで、クラスIIにするとかなり適応としては広がると思 うのです。クラスIIの中にもIIaとIIbということで2段階に分けられているのが普通 だと思うのですが、これはクラスIIと広い意味で、意見が分かれているけれども入れて もよいという段階に入りますから、かなり広くなるかなと思います。  クラスIIを日本で認めるかどうかは、専門学会の方で十分に検討をしていただきたい と思うのです。そのときに、先ほど植え込み型除細動器の話が強調されましたが、植え 込み型除細動器の場合には、今は予防的植え込みということで、適応が拡大され必要以 上に使われないかという問題としてとらえられます。それから、もう一つ、心臓以外の 非心原性失神、特に神経調節性失神が多いと思うのですが、この場合の24時間のホル ター心電図、あるいはイベントホルター心電図、それから携帯心電図、それから加算平 均心電図とか、そういうものの不整脈の非観血的なチェック以外に、今の神経調節性失 神の場合のtilt upテストをやれるところとかという最低限の心原性と非心原性のチ ェックすべき項目は、学会の方で挙げていただくことが必要かなと思いますが、いかが でしょうか。 ○戸高参考人 私も全く同じ考えで、ここに全部を挙げてはいないのですが、現在一般 の病院、専門施設が行っている失神の患者さんに対する精査というのは、全項目すべき であると思います。それをした上で、診断がつかないときに初めて本品が適応になると いうふうに考えています。 ○北村座長 これは、診断がついたら取り出すのでしょうか。そうすると、平均植え込 み期間というのは、データでは出ていませんか。あるいは、ペースメーカーに入れかえ るとか、治療機器に入れかえるということもあろうし、例えばニューラルなシンコピー であるということであれば、もう要らないということで外してしまうと。もちろん、バ ッテリーが消耗したら外すのでしょうが、平均植え込み期間というのはどのくらいなの ですか。 ○戸高参考人 そういったことを申請者に質問したのですが、どうもデータを持ち合わ せていないようでした。 ○北村座長 我が国では、1台も使用されたことはないのですか。 ○戸高参考人 症例報告では、何例かあるようでした。 ○北村座長 ありますか。何例くらい。 ○戸高参考人 私が見たのは1報告だけで、日本医科大だったと思いますが、それで診 断がついたといった症例報告がありました。 ○北村座長 未承認機器の個人輸入ですね。 ○戸高参考人 はい、そうだと思います。 ○北村座長 ほかにありませんでしょうか。今の御討議を拝聴していると、やはり適応 とかそういったものについてはよく考えて、過剰な使用、あるいは予防的な使用の制限 も必要ではないかという気がします。現在、先ほど俵木室長から御紹介のあったように、 メドトロニック1社のみが申請を既にしたという状況になっているようですので、医薬 品医療機器総合機構と相談していくことを前提ですが、今のような適応とか、どういう ときの使用を認めるのかというガイドラインの作成は、やはり専門家集団、学会等でき ちんと決めていただかないと思います。動いていないペースメーカーというのをよく聞 きますが、不必要な植え込みが行われることをやはり制限する必要があるのか。そのた めには、適応症の遵守を励行していただくということになろうかと思いますので、その 辺は学会との対応も含めて、総合機構との話し合いで企業が努力されることを規定する ところですが、このものの承認そのものについては、早期の導入ということで検討して いただくということで、御異存はありませんか。  よろしいですか。笠貫委員も、その辺をしっかりすればよいということで。 ○笠貫委員 はい。ぜひお願いしたいと思います。 ○北村座長 それでは、本検討会においては、適応症等を学会等を巻き込んで機構の方 で厳密にしていただくということで、そして企業もそれによく対応していただく努力を していただくということで、承認させていただきたいと思います。  それでは、2つ目の品目、骨セメントについての検討に移らせていただきたいと思い ますが、骨セメントの検討では、ワーキンググループ専門家の浜西千秋参考人より、ワ ーキンググループ報告書の御説明をお願いしたいと思います。浜西先生、よろしくお願 いします。 ○浜西参考人 それでは、資料6をごらんいただきたいと思います。お手元の報告書に 従って、かなり量が多いので端折っていきますが、どうぞついてきていただきたいと思 います。  資料の1ページですが、今回の医療技術名称と、対象として申請されている疾患が記 載されています。今回の検討医療機器は日本ストライカー社製のSpinePlex、オリンパ ス・テルモ・バイオマテリアル社のOSTEOPALV、カイフォン日本社製の椎体用骨セメ ント(HV-R)とIBT(インフレイタブル・ボーン・タンプ)、これはバルーンで すが、HV−RとIBTの組み合わせ、計3点です。いずれも北米で、骨粗鬆症や腫瘍 性病変による病的圧迫骨折によって経皮的に椎体内に注入する使用許可を得ています。  ここで資料に略図を載せるべきだったのですが、それを載せていませんので、 カイ フォン社の資料を見ていただきたいと思います。カイフォン社の資料の9ページをご覧 下さい。カイフォン社の場合はIBT、つまりバルーンを椎体の中に経皮的に刺し込ん で、椎弓根を通して椎体の中に刺し込み、圧迫骨折でつぶれている椎体をバルーンでふ くらませ、そのできた空間に骨セメントを入れるという手技です。  いわゆる椎体形成術としてほかの2社から出ているものも、手技に関しては、バルー ンを入れる以外は同様です。経皮的に挿入し、バルーンを入れるかわりにそのまま圧入 するということです。患者さんを腹臥位にすると、椎体はそれなりに膨れてきます。そ して、できるだけ膨れて整復された状態で、そこにセメントを圧入する。あるいはカイ フォン社のように、バルーンでもう少しふくらませてから入れるという手技が異なるだ けです。  資料6に戻りますが、2ページにそれぞれの製品の概要を述べています。いずれもP MMA、アクリル系の樹脂セメントを使用します。ですから当然、重合熱、硬化熱を発 生します。これは60℃以上、あるいは100℃というデータもありますが、タンパク質 なら固まってしまうようなかなりの熱です。  それぞれの製品には専用のセメント注入ガンが設定されています。カイフォン社のH V-Rにもセットとしてキット化された注入セットがついています。これらのコストが 実は非常に気になるところですが、3のカイフォプラスティでは、まずバルーンを椎体 内に挿入してふくらませますが、メーカーの申請書には、脊柱管内漏出など緊急対応を 必要とする場合が起こり得ることを考慮すると、脊椎手術に習熟した医師がカイフォプ ラスティを実施することが望ましいと、メーカーの申請書には記載されています。  また日本では以前から、椎体内に使用できる材料としては、既にハイドロキシアパタ イト顆粒、ハイドロキシアパタイトブロック、あるいはリン酸カルシウム骨ペースト (CPC)などが承認されており、私ども整形外科専門医によってよく使用されてきて いることを述べております。  そして、それらに勝る結果が今回のPMMA骨セメントによって得られるものかどう か、あるいはPMMA骨セメントでなければならない適応が果たしてあるかどうかなど に関して、私の意見を述べさせていただきます。  まず、外傷性椎体圧迫骨折に関して述べさせていただきます。単一椎体の圧壊であれ ば、入院の上、体幹伸展位で骨折を整復し、腹臥位にすると椎体は膨れて整復されてき ます。そこでギブス、あるいは体幹装具を装着することによって、疼痛の除去、骨折の 整復と固定を図ることができ、しかも固定期間が十分であれば、後述する偽関節を生じ ることはないと述べています。  あくまで可能性としてですが、受傷後3カ月を経過しても偽関節が存在し、疼痛によ って患者さんのADLが大きく妨げられている場合がもしあるとすれば、経皮的椎体形 成術の適応があると述べさせていただいています。  もし圧壊が高度で、偽関節部の不安定性が顕著な場合、あるいはもちろん神経症状が 出現しているような場合は、治療の目的は単なる疼痛除去ではなく、脊柱全体の安定化 に向けられるべきです。そのような場合は、金属インスツルメントなどを用いるような 大きな手術の適応となることを述べています。  続いて、骨粗鬆症性椎体圧迫骨折ですが、骨折による急性の疼痛は、入院安静と体幹 ギブス、あるいは硬性コルセットなどの体幹装具によって固定し、それによって鎮静化 します。およそ1〜2カ月で骨折は骨癒合するということを述べています。  主に整形外科医によって、これらの保存的治療でほとんどの患者を治癒せしめてきて いる。このように比較的リスクの少ない治療法があるにもかかわらず、治療当初から骨 セメントを骨折部に注入する技術が我が国で、しかも緊急に導入されなければならない 根拠はないと述べています。  そして、骨折治癒が遷延し、異常可動性を伴う疼痛性偽関節となりつつある状態でた とえ発見されても、できればまず整形外科医によって保存的治療がきちんと一定期間行 われ、やはりそれらが奏功しない場合にのみ、経皮的な椎体形成術は適応になり得ると 述べています。  しかしそのような場合であっても、なお我が国では、アパタイトブロックや独創的な リン酸カルシウム骨ペーストなどが既に利用可能であることを再び述べています。実際 に利用してきています。  受傷からの期間が短ければ短いほど、セメント充填圧を高圧にすればするほど、脊柱 管内への漏出や血管内流入の危険性が増します。頻度が41%に達するというレビュー もあることを述べています。また、漏出した場合には、先ほど申したように機械的圧迫 障害のみならず、重合熱によって組織が熱障害を受ける危険性も存在します。これらの 点から椎体形成術は、特に骨折の急性期には決して行われるべきではないと強調してい ます。  この点に関しては、(オ)にあるように、北米の民間保険機構であるブルークロス・ ブルーシールド・オブ・ノースカロライナのポリシーを見ると、治療適応として6週間 の基準治療にほとんど反応しないか、全く反応しない場合に限っており、骨折急性期に は行うべきではないと定めています。  この点ですが、日本では(カ)の合併症の報告にもあるように、これまで骨折の急性 期にも行われてきているのではないかと推察します。  (キ)ですが、もしも麻痺や脊髄症状、馬尾症状、神経根症状などを注入によって発 症した場合、緊急に脊柱管を開創し、除圧を図らなければならないこと。そのために、 経皮的椎体形成術を行うにしても、全身麻酔下に直ちに脊椎開創術を行える施設で、そ ういった準備をした後で、それができる医師が行うべきであること。あるいは、それが できる医師との連携が確立している場合にしか、行われてはならないことを述べていま す。また、当然BCBSAポリシーでも、脊椎外科医との連携なしに行われた本法は支 払いの対象にならないとはっきりうたわれていることなどを述べています。  3は脊椎腫瘍による有痛性椎体骨折に対してですが、結論を申せば、原発性あるいは 転移性悪性腫瘍が椎体に存在し、脆弱性に基づく骨折や不安定性により非常な疼痛がも たらされている場合、患者の無痛寿命の延伸を図るべき緊急性を鑑み、疼痛除去を目的 として本法の適用があると考えます。  (ウ)では、しかし、悪性腫瘍が充満している椎体へのカイフォンIBTなどにより キャビティ形成あるいはセメントの圧入は、静脈系に腫瘍細胞を押し出し、肺などに播 種させる危険があり、生命予後などに関して厳重なインフォームドコンセントが必要で あることを述べています。  申請書類による医療上の有用性及び安全性についてですが、(1)のSpinePlexでは、 2007年5月までの3年間で米国において患者へのかなりの有害事象が6例報告されて いますが、いずれの症状も当局への報告はしていないと記載されています。重篤ではな かったから報告はしていないと記載されています。また、PCD骨セメント注入器に関 する不具合情報が非常に多数報告されています。  (2)のOSTEOPALVに関しては、重篤な不具合などの報告は受けていないと記載されて います。  (3)のカイフォプラスティでは、基礎的に31万件という非常に多数の使用例を報告し ておられますが、セメントの漏出によって計4例の死亡例など、多数の有害事象が報告 されています。そしてそれ以外に注目すべきは、先ほど図でお示ししたように、椎弓根 の細いところに結構大きなカニューレを入れてバルーンを通すというふうなこと、ある いはそれを高圧でふくらませるというふうな手技によって椎体が破損する、あるいは椎 弓根が破損するといった、バルーン自体やその挿入操作に起因する合併症が多いという ことです。もし体格の小さな日本人に使用される場合には、やはり不安があります。申 請では、コース修了者のみが施行できるとし、脊椎手術に習熟した医師が実施すること が望ましいと述べていますが、当然です。  諸外国における使用状況については、2つ目の黒丸で米国FDAの2004年5月の安 全性情報に触れています。また3つ目の黒丸では、FDAが2004年10月に企業、あ るいはFDAのスタッフ宛に発出したガイダンスを紹介しています。すなわち、臨床試 験においてはコントロール群が非常に重要であること。コントロール群としては、薬物 と体幹装具・治療具も含まれること。保存的治療が行われた受傷後8週以降の例で臨床 治験は行われるべきであること。保存的治療には、鎮痛剤、ベッド安静、体幹装具、そ して理学療法などが含まれること。治験のフォロー期間としては、使用されたものを脊 椎の永久インプラントであると認識して、2年間必要であることなどを勧めていますが、 この治験理念はまさに日本における今回の申請に対しても求められていると考えていま す。  我が国における開発状況についてです。(1)のSpinePlexの場合、2007年7月、新た な治験を踏まえた治験計画の妥当性について、追加対面助言を受け、本機器群の治験開 始に向けた準備を行っているということです。  (2)のOSTEOPALVに関しては、国内治験の予定はありません。  (3)のカイフォプラスティに関しては、2005年8月に保存療法との比較も含めて治験 を開始され、2007年3月に81例の登録が完了し、2年間のフォローアップを行ってい るということですが、まずは術後3カ月のデータで審査申請するとしています。いずれ にしても、保存的治療群なるものの内容が一番重要であると考えています。  資料の9ページ以降に、私自身の検討結果をワーキンググループの御意見も聞きなが ら11項目に分けて述べています。項目1では、椎体形成術の論文では、入院治療を軽 視し、あるいは危険視して入院治療の短縮をうたうという論調が目立っていますので、 それはやはり危惧されます。  項目2では、本法はアメリカの民間医療による在院日数の非常に厳しい縛りにちょう ど適合した手技であり、原則として日帰り手術で済む点が爆発的な普及を見たのではな いかと述べています。  翻って項目3で、日本では数週間の入院加療が可能であり、しかも体幹ギブス、ある いは体幹装具を装着するという、低コストで患者さんにとってより安全な保存的治療体 系が圧迫骨折治療の主流として実施されていることを述べています。  項目4では、保存的治療と椎体形成術との比較試験が乏しく、少なくとも、ギブスや 体幹装具を用いてしっかりと実施された保存的治療の有効性に勝るデータはないという ことを述べています。  項目5では、欧米では椎体形成術は当初、骨折の急性期、折れた直後の方にも行われ ていたということですが、現在は項目6にもあるように、支払い側は、基準医療を受け、 受傷後6週以上経過した症例にしか適応を認めていません。危険率が高いということが 認識されたようです。  しかし、そこでアメリカの基準医療というものが、実は体幹装具すらも認めていませ ん。自宅療養と鎮痛剤だけというのですから、これは驚きです。項目7では、日本では 疼痛改善に必要な2〜3週間という期間は入院していることが多く、そのような症例か らは経皮的椎体形成術の適応例はほとんど発生しないはずであると述べています。  また項目8では、椎体骨折は非常に癒合しやすい骨折ですから、BCBSAポリシー の6週間や、FDAガイダンスの8週は我々にとってみれば、まだ遷延治癒という状態 に過ぎません。偽関節とは言えないわけです。ですから、たとえその状態で初めて患者 さんが医科を初診されたとしても、その段階でしっかりした保存的治療が行われれば、 偽関節形成は避けられる可能性があること。そのため、少なくとも受傷後3カ月が経過 しないと、偽関節の診断はつけられないことを述べています。  項目9と10で、3カ月以上経過しても疼痛が改善しない場合にのみ、椎体形成術が 適応となり得ること。しかし、何回も申しますように、日本ではアクリル系樹脂セメン トでなくても、ほかに承認された材料があり、これまで整形外科医によって安全な手技 が工夫され、行われてきたことなどを述べています。  我々は、皮膚を切開して椎体にアプローチし、スペースを十分に作成してCPCのペ ーストあるいはブロックなどを入れるというような工夫をして、行うにしてもリスクの 少ない方法を工夫してきました。  それから項目11ですが、もし本法が承認された場合に、円背を呈する患者さんはた くさんおられますので、もし背中が痛いということで受診された場合、レントゲンを撮 れば1つや2つの骨折ではなく、多椎体が既につぶれているという患者さんがたくさん おられます。しかしそういう症例が多発性骨折と診断されて、今までにも多椎体に注入 され、それによって合併症が多発するということがありました。こういったことがこれ からどんどん行われてしまうのでないかという危惧があります。  さらに多数の例で椎体に使用されることによって、先ほどキットの費用に関して述べ ましたが、大変な医療費のコストがかかる可能性があります。  当該医療機器を我が国に導入するべきかどうかという設問に対し、骨粗鬆症性及び外 傷性椎体圧迫骨折に対しては、保存的治療との比較治験結果が明らかになるまでは、当 該機器を導入することには慎重であるべきこと。ベネフィットがリスクを上回るような 適応から機器を導入すべきであり、そのため推奨される適応として、まず悪性腫瘍性病 変による激痛が病的骨折や安定性によると考えられるものがあります。それをまず適応 とします。それ以外に、もしも骨粗しょう症による脆弱性骨折、あるいは外傷性の椎体 骨折の場合であれば、入院加療を含めた積極的な保存療法を行ったにもかかわらず、受 傷後3カ月以上経過してなお偽関節などによる疼痛を生じているものを適応とすべきで あると考えています。また、多椎体には施行すべきではないと考えています。  また日本人特有の合併症を引き起こしてくることが問題になり得ますので、現在進行 中とされる海外の治験データや報告をそのまま安易に日本に持ち込むことはなく、我が 国独自の治験が必要であるという点は、(1)〜(3)について同様であると述べています。  以下、一部資料にはありませんが、意見も含めて要約します。治験は、保存治療の適 応である骨折急性期患者を対象としてはなりません。治験対象は、受傷後6〜8週の遷 延治癒状態の患者さんを対象にするべきと考えます。  現時点では、(1)のSpinePlexで進行中の保存療法による臨床試験は評価されますが、 保存療法の内容が入院加療を含めた適切なものであるかどうかが確認される必要がある と思います。(3)のカイフォプラスティに関しては、最初に申しましたように体格の小さ い日本人に使用された治験結果を、やはり詳細に分析する必要があると考えています。  最後になりますが、導入するに当たって、承認後の適正使用を確保するためには何を するべきかという質問に対して、欧米と治療体系が全く異なる我が国では、我が国独自 の基準の策定が必要であること。関係学会の協力が必要であること。安全性を確保する 観点から、本法は整形外科専門医により行われるべきであること。あるいは、整形外科 専門医との連携が確保された上で行われるべきであること。技術習練、ブラッシュアッ プの研修などが必要であることなどなどを述べています。  施設については、麻酔科医及び整形外科医が常勤し、これは当然、整形外科専門医の ことですが、合併症発生時などに連携して脊柱管除圧開創術などの緊急治療に当たるこ とができる施設であるべきことを述べています。  長くなりましたが、以上で報告を終わらせていただきます。 ○北村座長 浜西先生、ありがとうございました。今御説明いただいた3品目あるので すが、事務局から追加することはありませんか。もしなければ、ちょっとお聞きしたい ことがあるのです。ちょっと複雑ですよね。これは骨セメントと総称されるものの物質 は違うのですね。全部同じですか。 ○浜西参考人 いえ、アクリル系の樹脂セメントです。 ○北村座長 3種とも同じものですか。 ○浜西参考人 造影剤を入れてレントゲンで見えるようにするためのものが、バリウム であったり、酸化ジルコニウムであったりといった差はありますが、それ以外は変わっ ていません。同じものです。 ○北村座長 そうすると、この注入するものは医療機器として扱うのですか。それとも、 医薬品ですか。 ○事務局 医療機器になるというふうに考えています。 ○北村座長 医療機器として扱っているわけですね。それからもう一つは、注入する器 具の違いがあるのですね。 ○浜西参考人 そうです。それは各社が各セメントに対してつけているものですから、 基本的には同じことです。固まる前に入れてしまわないといけませんから。 ○北村座長 圧入の道具というのは、一種の注射器みたいなものですね。 ○浜西参考人 そのとおりです。強力な注射器ですから、よほど骨折が整復されて膨れ た状態でスペースがないと非常に危ない。高圧で注入されますので。 ○北村座長 バルーンを使うものが1社あると。 ○浜西参考人 そうです。 ○北村座長 それで、この注入する物質そのものの薬事承認というのは、ハイドロキシ アパタイトが薬事承認されていますね。 ○浜西参考人 椎体に使えるという意味で承認されています。 ○北村座長 それは、3種類とも承認済みですか。 ○浜西参考人 いえ、そうではありません。ですから、PMMA骨セメントが椎体への 使用を承認されていないので、実際に使っておられる先生方がたくさんおられて、早く 承認してくれというのが今回の申請の一つの骨子です。 ○北村座長 そうするとこれは、注入器具と注入するセメントの承認を同時にやるわけ ですか。 ○事務局 はい、そういうことになります。 ○北村座長 でも、バルーンを使わないでやる人もいるでしょうね。それは術者の選択 の項目になるだろうけれど、承認としては、セメントと器具と両方をやると。もう一つ 厄介なのは、この3種類が治験中、治験準備中、治験する意図なしと各社の姿勢が異な る。この3つをどのようにやるのですか、この検討会で。もう治験をやっているところ は、この検討会にかけなくてもよいのではないですか。どう扱ったらよいですか。 ○事務局 3種類ありますが、この手技というか、こういった種類の医療機器自体をニ ーズの高いものとして先に進めるかどうかということの御議論をまずいただきたいと思 います。もちろん、進行の度合いが各社違っていて、もう治験をスタートしているとこ ろもありますし、これからやるところもありますし、今のところ具体的な治験計画のな いところもありますが、この手技自体を。 ○北村座長 それは、ここの検討会の次の機構の方で考えてくれと。丸投げというか。 でないと、治験をやっているところと、治験をしないところを一緒にしては、企業の方 の姿勢として、それなら治験をやらなかった方が随分得をしてしまったというようなこ とになってもいけないので。 ○事務局 もちろん、きょうも御意見をいただいたように、日本国内での治験を実施し て評価することが必要ということで、ワーキンググループからは御意見がありましたの で、本品を進めていくには、国内での治験を実施していただくことになると思いますの で。 ○北村座長 そこは機構にお任せしてよろしいのですね。 ○事務局 その各社が、きょうの御議論も踏まえて各社が国内での開発をどう進めてい くかということは、会社のお考えもあるでしょうし、機構と治験の内容・治験の実施に ついては、個別に御相談いただくことになります。 ○北村座長 そうですね。ですから、この検討会としては、権限を超えているというか、 例えば治験をしなくても同じように早期導入するかどうかということを決定する必要は ない。ただ、早く整形外科の先生方のニードに応えるように決定すればよいわけですね。 ○事務局 はい。 ○北村座長 ということで、ちょっと複雑で、言い出すと切りがないくらい疑問がある のですが、承認という過程においていろいろな違うコースにあるような気もしますが、 御意見を伺いたいと思います。この検討会としては、骨セメントというものを一括して、 その方法には多少の違いがある、それからX線造影をさせるために入れてある混合物に 多少の差があると。本質的には、材料は同等のものであると。そして、注入機器と物質 も含めた形で、医療機器として早期導入を図るべきかどうかということの御審議をお願 いしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか、浜西先生。 ○浜西参考人 私の意見の骨子ですが、この骨セメントというものは我々整形外科医が 人工関節の固定などで30年前から使っているものです。それによる生物的な問題、た とえば発熱や、まれに肺塞栓も起こりますがそれらの問題はもう克服されています。た だ、椎体の中に注入するという場合に発生しうる問題や、一層の危険性を危惧している のです。整形外科医にとって、これまでにも椎体骨折の治癒が遷延して痛むといった症 例や適応はあったわけで、その様な場合はたとえばハイドロキシアパタイトペースト、 これは熱も発生しませんし、うまくいけば骨と置換してくれるというような独創的で既 に承認されている材料を実際に使ってきているわけです。今回の、椎体に骨セメントを 注入するという治療は主に欧米から来ています。整形外科医にとってはもともと無縁の 治療法であったものが、いつのまにか日本で広く行われるようになってきたのは、多く の場合、放射線科医が、「欧米でやっているのなら日本でも」ということで導入されて きたからです。それをやはり危惧しているのです。もし脊椎で合併症が発生してしまっ た患者さんが、様子をみるだけで適切に処置されないというリスクを一番危惧していま す。そういった内容を骨子として意見を述べました。セメントという物の承認より、適 応と場所の承認、どのような症例でどういった施設でやらねばならないのか、そういっ たことへの意見が求められていると考えます。 ○北村座長 技術研修をしているところも1社ありますね。 ○浜西参考人 それはカイフォン社です。椎弓根の細いところに結構太いカニューレを 通しますので、それで椎弓根を壊してしまうとか、骨折してしまうということが多発し ていますから。 ○北村座長 技術研修は、もしこの3種類を承認した場合。 ○浜西参考人 すべてに必要だと思います。カイフォンのこれ以外にも椎体形成術に関 する技術にはきちんとした研修が要ると思います。 ○北村座長 御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○平岡委員 今、浜西先生が言われたことは結構大きな問題で、欧米ではそういうイン ターベンショナルな手技がほとんど放射線科医で行われているのです。それは、いろい ろな部位すべてに当たることなのですが、その一方で日本では、主に外科の先生、ある いは内科の先生がおられるということがありますし。ただ、そうは言っても、日本の中 で放射線科医が非常に熱心になっているところというのは、やはりその数というのが非 常に問題になっていますし、IVRというのは一つの共通の手技という面もあって、そ のあたりの基準をきっちりすれば、必ずしも整形外科医がやるのが適正であるかどうか というところは、少し疑問があるのではないかと思います。  できれば、そのあたりの施設の基準とか、あるいは専門医に関して、整形外科医の学 会だけではなく、例えば日本のインターベンショナル・ベジオロジーの学会もあります から、そことも少し整合性を持たれてされるのがよいのではないかと思います。 ○浜西参考人 そのとおりです。日本整形外科学会も、厚生労働省からの依頼もありこ の技術に関するガイドラインをIVR学会の先生も交えて作っていこうとしております。 ○北村座長 ほかに御意見はありませんか。 ○笠貫委員 今の御説明で非常にたくさんの問題が含まれていて、十分に理解できてい ないところがあるかと思いますが、先生の整形外科医の立場として、現在の日本の治療 法というもの、それからこの経皮的といういわゆるインターベンショナル・ラジオロジ ーの考え方とのリスク・ベネフィットを考えた場合には、むしろリスクの方が高いので はないかというお話として私はお聞きしたのですが。そうすると、むしろなぜなのかと いうことでは、コストパフォーマンスの話として、入院滞在日数の話ですが、これは医 療経済あるいは保険制度の問題という話として、この必要性を説明なさったようにもお 伺いしたのですが、そういうことでよろしいですか。 ○浜西参考人 はい。 ○笠貫委員 そうだとすると、国民にとって、一番ベストな治療はどうなのか。現在の 医療制度の中でベストのものが、整形外科の専門の先生がそういうお考えなのだとした ら、やはりインターベンショナル・ラジオロジストと十分な検討をもう少し加えた上で、 これを早期導入すべきかどうかを検討してもよいのではないだろうかというふうな感じ がしました。 ○浜西参考人 そのとおりです。 ○笠貫委員 そういう意味で、ここで施設とか、あるいは術者を決める前に、本当にど うなのか、リスク・ベネフィット、コストパフォーマンスを含めてどうかということを もう少し詰めていただいてから、早期導入すべきかどうかを考えても、よろしいのでは ないかという感じがしました。  そのためにも、整形外科の先生方の先ほどの6週間という欧米の考え方と、日本では 3カ月という考え方、根本的な考え方の違いをどう解決するかということを、もう少し 詰めていただいた方がよろしいのではないかと思うのですが、先生のお立場から、ここ でもう結論を出した方がよいのか、もう少し御検討いただいた方がよいのか。お考えを お聞きしたいと思うのですが。 ○浜西参考人 激痛で来院された方が、セメントを入れるとたちどころに痛みがとれて 歩いて帰れるということが画期的であると欧米のIVR学会で喧伝されて、非常に広ま ってきました。ただ、先ほど申しましたように、現在はアメリカですら、骨折の初期、 急性期から注入するということはもうありません。初めは急性期の患者さんにもどんど ん行っていた有名な病院が、今は決してそういうことはしない。FDAのガイドライン でも、骨折後8週経過した人しかやってはいけないということです。しかし8週という のは先ほど申しましたように、まだ骨がつきかけている遷延治癒の段階なのです。です から8週であればまだセメントなどを椎体に注入する必要は全くありません。ギブス なり、体幹装具なり、あるいはベッド上の入院安静だけでも骨折は治癒します。それが アメリカのように入院などとんでもない、家に帰りなさいと言うと、無理に動いて遷延 治癒から本当に偽関節をつくってしまうということになります。日本の場合にはそうい った体にやさしい治療法がずっと認められてきました。ですから、日本でもしこの材料 が承認されるとしても、3カ月過ぎてもまだ強い痛みがあるという患者さんがもしあれ ば適応になるだろうと、そのように考えています。コスト的に考えると、もし骨折初期 からどんどん使用できるとなれば、あるいは多椎体に注入できるとなれば、患者さんは 無尽蔵ですから非常に高い医療費コストになることは確かです。しかし、アメリカでも 2ヶ月、日本では3カ月以降の症例に制限すればこういった手技をたとえ認めるにして も、あるいはこのキットが非常に高いものであったとしても、それほどは医療費のコス トに上乗せされることはないだろうと私は考えています。初期の治療は保存的に行うべ き骨折ですので、初期から患者さんにリスクを負わせる侵襲治療をしてはいけないとい うのが私の主張の骨子です。 ○北村座長 ありがとうございました。 ○千葉委員 お話を伺っていて、確かに少し複雑だなと感じる理由は、私の頭で考えて みると、一つは、従来存在するリン酸カルシウムやハイドロキシアパタイトというもの があって、それに今回、素材としては骨セメントというものがあったと。ここのところ がまず1点であり、それから、3つの骨セメントの会社の中で、使っている圧注器具や バルーンとか、機器の部分での安全性とか特性とかいうことが、私の頭の中で整理し切 れない。これが2番目の点であり、3番目には、レジオロジストとオルソペデイシャン の間の温度差というか、そういうことがどうもあるのかなということが3番目だと思い ます。  ですから、平岡先生や笠貫先生がおっしゃった意味において、私の質問は、ワーキン ググループの中でレジオロジストとオルソペデイシャンの間で、どのような議論。ある いは、今の先生のお話は、レジオロジストも含めた一致した御意見として、今回これが 出たのかというのがまず第1点です。  第2点の質問は、従来のリン酸カルシウムなどと比べて、60℃、100℃の相当の熱を 出す骨セメントを使う方がベターと、幾つかの適応を示しておられますが、熱が出ても、 熱が出てもその他の生物学的な意味もあるかと思いますが、こちらの方がベターと思わ れるのであれば、その理由をもう一度教えていただければという、これが第2点です。 よろしくお願いします。 ○浜西参考人 ワーキンググループの意見は、この最後のまとめに反映されているとは 思いますが、今回の意見のほとんど全ては私の考えで書かせていただきました。IVR 医は近畿大学にもおられ、椎体形成術で著名な先生も関西におられますから、現状に関 するデータは十分にいただきました。それから骨セメントに関してですが、PMMA樹 脂セメントが椎体の中に入ると、60〜90度という発熱により周辺の骨梁は壊死に陥り ます。また樹脂セメントは周辺の組織との適合性は全くありません。結果的にきわめて 硬いものが注入されますので周りの骨梁は必ずつぶれてきます。もともと円背という異 常な力学的状況が既にあることが多いので、椎体一つだけが硬くなったら、隣りの椎体 がつぶれてくるということは明白なわけです。ですから、一時的な除痛のために生体と 全く適合しない硬いものを注入することには賛成していません。その点、CPCであれ ば熱も発しませんし、生体に吸収されながら置換されていくというメリットがあります。 またハイドロキシアパタイトブロックは中でぎしぎし動き、硬さをやわらげます。です から私は、椎体内にPMMAの樹脂セメントを注入することに、基本的には反対してい るのです。 ○千葉委員 先生は、基本的には反対なのですね。わかりました。 ○浜西参考人 その線で意見書を書いたつもりですが。最後のあたりでもう一つ歯切れ が悪くなったのは、ワーキンググループの御意見もいろいろ入ったからというふうに考 えていただければ。 ○千葉委員 よく理解できました。どうもありがとうございました。 ○吉田茂委員 このワーキンググループの専門家の中に荒井先生がいらっしゃるので、 彼が意見書を書いたら違うコメントが出たかもしれない、と思うのは、恐らくこの圧迫 骨折と腫瘍による痛みの除去というのとは、緊急度が違うのではないかと思うのです。 ですから、適応症を3つ並べて、それでニードが高いと言えるかどうかということでや ると、難しくなってしまうだろうと思うのです。例えば、がんを診ている立場から言う と、骨転移の痛みで苦しんでいる人達が、この手技をやった瞬間、劇的によくなるとい うことを沢山見ているので、そういう人たちにとっては朗報であり、緊急度も高いとい うことになります。その辺を少し切り分けて考えた方がよいのではなかろうかという気 がします。 ○浜西参考人 私もそのとおりだと考えています。ですから、悪性腫瘍の椎体圧壊に関 しては適応があると考えます。ただ我々が経験するのは、レントゲン的には溶骨性変化 であってもMRIでみると椎体には腫瘍が充満していますから、痛みが圧壊による痛み なのか、あるいは腫瘍の浸潤による痛みなのか、これはなかなか区別がつきません。ま た、もしそこにセメントを圧入すれば、先生方は御専門ですが、腫瘍細胞を血管内に押 し込み遠隔転移や播種を引き起こす可能性、その結果さらに余命を縮める可能性がある だろうとおもいます。しかし家族や本人の了解を得た上で、今の強い痛みに対して、と にかく注入して除痛をはかるという適応はあるのだろうと思います。  そして治験データの学会発表抄録も見せていただいていますので、日本で新たな治験 なしにすぐに認めてもよいのだろうと考えます。ただ、余命に関する徹底したインフォ ームドコンセントがなされていないと、痛みはとれずに、肺転移だけが一気に増えたと いうことではいけないだろうと考えています。しかし、骨粗鬆症性、あるいは外傷性の 圧迫骨折に関しては、しっかりした治験があって、本当に優れているのだということが はっきりしないと、導入してはならないというふうに考えています。 ○北村座長 教えてほしいのですが、この3品目は、既に日本でどのくらいの数が。 ○浜西参考人 基本的には、こういった製品としてはまだ使われていないはずです。た だし人工関節用の骨セメントは同じものですから、IRV医あるいは整形外科医の一部 では骨セメントを使用した椎体形成術を随分行っております。ただ、適応外で使用して いるということになります。 ○北村座長 それは、この材料は適応外で使用されていると。 ○浜西参考人 椎体内に入れるということでは。 ○北村座長 これはもう何100、何1000という。 ○浜西参考人 そこまでは。実は昨年、脊椎病学会の指導医の間でアンケートをとりま した。7割は先ほど申しましたようにアパタイトのペースト、リン酸カルシウムペース トです。 ○北村座長 それは薬事承認されているのですね。 ○浜西参考人 はい。おして約3割が適応外で骨セメントを既に使っていました。 ○北村座長 大腿骨には承認されているのですか。 ○浜西参考人 もちろんそうです。 ○北村座長 大腿骨には承認されているけれど、椎体には承認されていないという意味 での適応外使用ですね。 ○浜西参考人 そのとおりです。 ○北村座長 その辺が難しいですね。 ○浜西参考人 そこが、あえて言えば、椎体の中に入れるのは非常に危険だよと言いた いわけです。 ○北村座長 むしろ外部の因子ですね。物質そのものに対する問題ではなくて。 ○浜西参考人 はい、骨折急性期には血管に入りやすいということと。すぐ近くに非常 に脆弱な脊髄や神経があるということで。 ○北村座長 今、申請項目に挙がっている3つとも、日本では均一的に使われています か。 ○浜西参考人 カイフォンに関しては、治験がやっと終了しかけたところです。ですか ら、カイフォンに関しては日本では使われていないはずです。治験以外には。それから ほかの2品も、これらはまだ日本には入っていないはずです。同じものがありますから。 ○北村座長 大腿骨用の骨セメントがあるわけですね。 ○浜西参考人 そうです。人工関節用のものです。 ○北村座長 そういう事情があるもので、このたびはっきりと椎体用に。適応の問題も ありましたし、悪性腫瘍の疼痛に対しては考え方を変えてはどうかという御意見も吉田 先生からあったように思いますが、笠貫先生、どうぞ。 ○笠貫委員 不具合の今までの報告でいくと、骨セメントの注入後の血圧低下、ショッ クは今の大腿骨の人工関節置換術でも、非常に大きな問題だというふうに認識していま す。そういう意味で、これが安易に経皮的に使われた場合は、非常にリスクが高いのだ と思いますが、先ほど吉田先生が指摘されたような緊急避難的な使い方として、これを 認めるということは一つあり得るのだと思うのです。そこのところの緊急避難として椎 体内へのセメント導入を認めるという、その1点に絞って早期導入するかどうかについ ては、先生は受け入れられると思われますか。 ○浜西参考人 緊急避難というのは、悪性腫瘍の場合ですね。 ○笠貫委員 そういうことですね。 ○浜西参考人 短い余命を激痛とともに過ごさねばならないことは本当にお気の毒です から、痛みがとれるものであれば、注入してあげたいという気持ちは持っています。た だ、先ほども申し上げたように、つぶれてしまう椎体転移性腫瘍というのは珍しいので す。腫瘍がそのままそこにあって、椎体を膨張させてくるというパターンが一番多いで すから、それによる痛みというものが、本当につぶれた痛みなのかどうかわからない。  ただ、報告されているように注入して痛みが直ちにとれるという患者さんが、しかも 高率にあるということであれば、ぜひ使ってあげるべきではないかという気がします。 ○北村座長 その適応については、整形外科学会として考え方を示すことはできるので すか。 ○浜西参考人 はい。 ○北村座長 つまり、外傷性のような場合は今回の申請から省いてよいのかどうか。 ○浜西参考人 私は当然省くべきだと考えています。しかし厚生労働省からの依頼で、 今IRV学会の先生も加えて、日本整形外科学会の中でワーキンググループを立ち上げ、 適応を検討する予定です。来週、その会合があります。 ○北村座長 そうですか。 ○平岡委員 本件に関する適応をどう考えるか難しいと思います。悪性腫瘍の骨転移に すると、疼痛コントロールに関して他の選択肢が少なくありません。例えば病変が限定 されていれば放射線治療がありますし、全身的な疾患ですから、抗がん剤が優先される べきことが多いと思います。そういう骨に骨セメントを注入することによって痛みがと れるということが期待できても、それで新たな脊椎圧迫骨折などを起こしてよからぬこ とが起こるというようなこともありえます。がん治療における役割に関してはもっと大 きなコミュニティでのコンセンサスが必要ではないかという気がするのですが、このコ ンセンサスづくりをどう進めていったらよいか、結構難しいのではないでしょうか。 ○四宮委員 私もかなりの数、転移性腫瘍の患者さんを診ます。やはり原発の外科の先 生や内科の先生に聞いて、3カ月以内の余命となると、どんなに痛がっていても、ある いは麻痺があっても、手術はできません。もう余命を手術によって何週間かつぶしてし まうわけです。ところが、6カ月くらいだと、手術して脊椎を固定することによって、 痛みをとってあげられるし、麻痺もとってあげられる。現状では助けることのできない 3カ月くらいの患者さんに対して、手術でないこのような治療法でもし痛みをとってあ げられたら、非常に有益だと思います。  ただ、先生も今おっしゃったように、どんな患者さんにこれを使ったら一番有効であ るかということが、まだ何のエビデンスもないのです。そこで、これを導入するために は何らかの治験というか、エビデンスをやはり作らないと、問題だと思います。  ですから、導入するにしても治験を条件にして、各学会が協力してでもよいですから、 転移性腫瘍の患者さんには使った方がよいと思います。その結果使った方がよい病態や 症例を、早く決めていかなければいけないのではないかと思います。 ○北村座長 カイフォンの治験は、対象は限られているのですか。 ○浜西参考人 それに関するデータはいただいていません。ですから、その結果がどの ような合併症が発生したかということも、私は海外のデータを見ているだけです。です から、日本人に本当にどのような結果が出ているか知りたいところですし、まして急性 期の方にやっているとは思いたくないので、そういったあたりはこれから明らかになっ てくるのだろうと思いますが。 ○北村座長 カイフォンの治験では、悪性腫瘍に限るとか、何か決めたことはありませ んね。 ○浜西参考人 それは全くないようです。 ○吉田茂委員 この資料の22ページに、急性期脊椎圧迫骨折を対象とした治験と書い てあります。カイフォンの説明書の22ページの国内開発状況のところです。ですから、 悪性腫瘍ではなさそうです。 ○北村座長 そうですね。22ページ中ほどに、疼痛を伴う急性期脊椎圧迫骨折を対象 としたIVTとHVRを用いた経皮的カイフォプラスティの治験を81例で登録を完了 したと。この文章からは、どう思われますか。 ○浜西参考人 はい。これはやはりコントロール群が気になります。おそらくこの方法 の有効性に関する前向きの、安全性も含めた治験だとは思います。しかし保存的治療を コントロールとして加えるという話を聞いていますので、その結果を知りたいと思って います。もし急性期圧迫骨折で治験が行われたとすれば合併症などその結果が非常に気 になるところです。欧米でも、急性期に行うということはもう認められていないわけで すから。 ○事務局 ここには急性期と書いてあるのですが、承知している範囲では、8週間の保 存的というか経過を見た後の処置だというふうに聞いています。悪性腫瘍については、 治験の対象にはなっていないようです。 ○北村座長 悪性腫瘍は入っていない。 ○吉田茂委員 先ほど少し御紹介した荒井先生たちのグループ、JIVROSGというIVR の臨床試験をやっているグループですが、そこでは、既に骨転移の除痛に関する臨床試 験、既に第II相試験が終了しているはずなのです。ですから、その意見を聞いた上で最 終的に判断するということでいかがでしょうか。 ○北村座長 ほかに御意見はありますか。 ○浜西参考人 今の資料の22ページですが、上から6行目あたりに、ここでは保存療 法との市販後の比較試験というものが乏しいと述べています。あるいは、状況安全性の データがないということでこの治験が始まっているものですから、当然、保存的治療が コントロールで入っているものと私は理解しています。 ○北村座長 なるほど。どうしましょうか。この検討会としては、患者さんはこういっ た大腿骨に承認されている注入剤を脊椎に用いる治療は必要としていると。この注入剤 も医療機器というカテゴリーに入れると、適応外使用というものについては多少、部位 による難易度などの差以外に、適応外使用をどうするかは今後大きく考え方を変える必 要もあるのではないかという気もしますが、いずれにしても、治験と治験準備中といろ いろな状況にある3種のものがあって、かつ治験終了後も整形外科の専門医の方々の中 でも少し意見が違うようにも承りました。このカイフォンの治験をやられた治験主任研 究者の御意見、あるいはカイフォン社の御意見もあろうと思いますが、その辺も踏まえ て導入に向かって、どういうものに使っていくべきか。既に薬事承認されているハイド ロキシアパタイト、あるいはリン酸カルシウム以外にこれを用いていくことには、適応 を絞るべきなのかどうするのかということは、多少御意見の違いもあるように拝聴しま した。  これは、こちらの治験等の意見、成績も踏まえて、どのように扱うかということでも う一度検討するという機会を設けてよろしいのですか。 ○事務局 今、吉田先生からも御意見がありましたように、荒井先生でしょうか、悪性 腫瘍についての治験の状況、これまでのデータ等についても少しお話をお聞きして、で きれば次回、その情報をもう一度バックさせていただければと思います。  それからまた、どういう適応にどう使っていくのかということについては、関係学会、 整形外科学会、IVR学会に御検討をお願いしているところでもありますので、そこで の議論もいただいて、その状況も御報告させていただければと思います。  きょうの御議論では、悪性腫瘍については適応を早く、緊急避難的に使用できる方向 へ進めることも、一つの方法としてあるのかなということですが、そこについては、今 どういう状況なのかの情報を次回、御報告します。それから、圧迫骨折については、き ょうの御議論でも極めて限定的な症例かもしれないけれど、保存療法が有効でない症例 について、適応があり得るけれども、そこについては保存療法との有効性、それからリ スクの問題をきちんとした治験を行って評価をする必要があるという御意見のようです。 そこは、既に始まっている治験もありますが、治験の進行を待ってデータを集める必要 があるのかなと理解しました。 ○北村座長 ありがとうございました。それでは、治験も、治験対象疾患が今申請され た新しいものの対象とどこが違っているのか、同じなのかも私どもはちょっとわからな いのですが、ストライカー社製のものですよね。それがどういう対象を選んだのかわか りませんが、できるだけ悪性腫瘍等に対する資料なり説明を次回にもう一度いただいて、 特に緊急的に導入してほしいという適応症を悪性腫瘍の椎体転移というようなものに限 ってでも、この3つを早く承認しようということにするのか。その辺の意見をもう一度、 検討する会を持っていただけるという事務局の御回答なので、その方針で先生方、よろ しいでしょうか。  それから当然、承認された暁にも、機構の方でぜひ専門にやっておられる先生方がど こを困り、どこをやらなければならない、どこを急いでいるのかということで、整形外 科の意見や学会の意見等、専門家の意見をよく重視して進めていただくことができれば、 大変にありがたいと。医療機器の審査の適応症については企業側が症例数を集めないと いけませんので、たくさんある症例ということで走ることがあってはならないとも思い ますし、そういった面でよく専門家の意見を反映させていただいた形で、この取り扱い をお願いできればということが、皆さんの御意見であったかと思います。  それでは、もう少し資料を収集して、適応を別にしても導入するという方向に行くか どうかの検討を次回に回させていただきたいと思います。それでは、続いて事務局から の報告事項がありますので、よろしくお願いします。 ○事務局 資料7です。本検討会で選定いただきました13品目について、本日で一応、 公募をかけたものについての審議が一通りは終わって、きょうは宿題もいただきました が、そのほかの品目の進捗状況の御報告です。  資料7に、お選びいただいた13の技術について、一番左側に医療機器等の名称、対 象疾患、一番右に現状の状況をまとめさせていただいています。現状のところに、例え ば一番上の胸部大動脈ステントグラフト、申請中となっていますが、ジャパンゴアテッ クスから申請中で、迅速な審査を進めているところです。その次の頸動脈ステントは、 ちょうど9月28日、2週間前ですが、承認させていただいたところです。  そのような形で、現状のところに「申請中」、または公募をかけた品目については 「治験を実施中」であるとか、「相談中」となっているのは機構で個別に治験、または 申請に向かっての相談に入ったということです。また「相談準備中」となっている品目 については、機構との正式な相談に向けて、その前段階の事前の準備を機構とも相談し ながら進めているところということで、13品目を選定いただいたものについては、半 分くらいが既に申請をいただいて迅速な審査の方に回させていただいていますが、その ほか、公募をかけて御検討いただいたものについても、治験に入ったり、または具体的 な申請手続きに向かって相談に入っていて、順次、先に進めさせていただいているとこ ろです。  一つ、先ほど御報告したように、9月28日付で頸動脈ステントについては承認した ところで、このニーズの検討会で御選定いただいた後、審査も優先的な取り扱いで進め てきたところで、3ページ目にあるように、承認条件として使用する医師、それから使 用する医療機関について、一定の体制または技術、経験のある医療機関で使われるよう に、必要な措置を講じるよう、承認条件をつけて承認させていただいたところで、この 品目については、この検討会でも御審議いただいたように、関係学会で必要な市販後の 適正使用のためのガイドラインを作成いただき、それに準じて使用していただくよう、 承認条件をつけて承認したものです。  相談中または相談準備中の品目については、個別に各企業と総合機構で話し合いが進 められているところです。以上、選定いただいた品目の進捗です。  きょう宿題をいただいた骨セメントについては、次回、もう一度情報を提供させてい ただきたいと思います。それからもう一つ、1ページ目の4番目の品目、血管内の塞栓 物質ですが、前回御議論いただいた品目ですが、前回の議論の中で、胃静脈瘤、消化器 領域で使用する適応については、十分なエビデンスを整理するようにということで、こ れも宿題をいただいていて、現在、梅田先生にもお願いして、学会でエビデンスを整理 していただいていますので、この品目についても次回、御報告させていただければと考 えています。 ○北村座長 ありがとうございました。何かほかに、委員の先生方から御質問、御意見 はありませんか。特にありませんか。それでは、少し時間を残していますが、活発な御 意見をいただき、一つ宿題が残りましたが、以前のものもあわせて血管塞栓物質もあわ せて、次回に回させていただきたいと思います。  次回の予定などについて連絡事項はありますか。 ○事務局 次回の日程ですが、12月18日(火)午後2時〜4時を予定しています。場 所等については、追って御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。 また、本日の議事録については、作成次第、御確認をお願いし、その後、公開させてい ただきますので、あわせてよろしくお願いいたします。以上です。 ○北村座長 次回は12月になるそうですが、お忙しい時期かと思いますが、先生方、 ぜひよろしく御出席いただきたいと思います。では、本日は閉会にさせていただきたい と思います。ありがとうございました。 [終了]