07/10/10 第25回労働政策審議会障害者雇用分科会議事録 第25回 労働政策審議会障害者雇用分科会 議事録 1 日 時   平成19年11月6日(火)13:30〜15:30 2 場 所   厚生労働省 安定局第1会議室(13階)   東京都千代田区霞が関1−2−2 中央合同庁舎第5号館 3 出席者   ○ 委員   (公益代表)  今野委員、岩村委員、菊池委員、平木委員、松矢委員   (労働者代表) 泉田委員、高橋委員、豊島委員、野村委員、長谷川委員   (使用者代表) 飯ヶ谷委員、大島委員、斉藤委員、新澤委員、輪島委員   (障害者代表) 鈴木委員、副島委員、舘委員、松井委員   ○ 事務局       岡崎高齢・障害者雇用対策部長、長門企画課長、田中企画課長補佐       吉永障害者雇用対策課長、濱島障害者雇用対策課調査官       白兼障害者雇用対策課主任障害者雇用専門官、手倉森障害者雇用対策課長補佐 4 議 題     (1)障害者の派遣労働について(関係者からのヒアリング)   (2)難病患者に対する雇用支援   (3)発達障害者に対する雇用支援   (4)今後の障害者雇用対策について検討すべき具体的論点(素案)   (5)その他 ○分科会長  時間になりましたので、ただ今から第25回労働政策審議会障害者雇用分科会を開催い たします。本日は佐藤委員が欠席でございます。  それでは、まず、福祉、教育等との連携による障害者の就労支援の強化についてです が、今回は研究会の報告を踏まえて、改めて分科会の委員の皆さんに御議論をいただき たいと思います。  この議題については、お手元の資料の1-1を見ていただくと分かるんですが、大き く3つの部分に分かれております。第1の部分は、地域の就労支援のネットワークの構 築、第2の部分は、地域における各分野の就労支援機関の役割と今後の在り方。第3は、 就労支援を担う人材の分野横断的な育成確保の在り方。このように、3つに分かれてい ますので、今日はそれぞれの部分に分けて議論をしていただきたいと思っております。  まず、事務局から第1の部分の、地域の就労支援のネットワークの構築について説明 をしていただいて、議論を始めたいと思います。それでは、よろしくお願いいたします。 ○事務局  事務局でございます。資料1−1の雇用、福祉、教育等との連携による障害者の就労 支援策の今後の在り方についてと、資料1−2、雇用、福祉、教育等の連携による障害 者の就労支援に関する施策、平成20年度予算要求事項等というペーパーを対比させなが ら御説明をさせていただきたいと思いますので、お手元の方に御用意をお願いしたいと 思います。  資料1−1の方は報告書の抜粋でございます。御提言の内容につきまして抜粋をさせ ていただいたものでございまして、これに関連をいたしまして、平成20年度予算要求等 におきまして、私どもの方で予算要求をさせていただいている事項等を資料2の方に記 させていただいています。こういったものを踏まえながら、今日は改めて御議論をいた だきたいというものでございます。  まず、資料1−1の方の、第1のところでございます。研究会報告書の内容のなかの 第1は、地域の就労支援ネットワークの構築ということで御提言を頂戴いたしました。 就労支援ネットワークの意義・目的といたしまして、障害者一人ひとりの希望に応じた 就職を実現し、働く障害者を支えていくためには、雇用、福祉、教育等の各分野の連携 が不可欠であり、各支援機関の役割分担の下、個々の障害者のニーズに対応した長期的 な支援を総合的に行うためのネットワークを、障害保健福祉圏域等の障害者にとって利 用しやすい身近な地域毎に構築することが必要であるとしておりまして、支援を直接担 う機関といたしましては、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、就労移行支 援事業者、特別支援学校を位置づけております。  更に、丸の2つ目の下から3行目のところでございますけれども、都道府県レベルで 設置される機関といたしまして、障害者能力開発校等がございますが、その役割やノウ ハウに基づき、より専門的な支援を直接担うという面から、地域のネットワークの一員 として機能を発揮することが必要であるという形で位置づけております。  又、地域のネットワークを支える機関といたしまして、都道府県レベルにおいて労働 局、都道府県の労働・福祉部局、それから都道府県の教育委員会、地域障害者職業セン ターといったようなところを位置づけておりまして、相互の連携を密接に図りながら、 地域の支援機関の育成や地域の支援機関のみでは対応が難しい問題への対処等の支援を 行うなど、その役割を果たすことが必要であるという形で御提言をいただいております。  更に、個々のニーズや地域の実状を踏まえたネットワークの構成といたしまして、貴 意気における実状等がかなり異なりますので、地域毎に各機関の強みを活かした効果的 な役割分担やネットワークの構成を検討していくことが重要であるといった御提言を頂 戴しております。  そして、最後のところでございますが、連携による就労支援のための共通理解の促進 といたしまして、就労支援に関する情報やノウハウを蓄積している労働関係機関から福 祉・教育関係機関等に対して積極的に働きかけをして、就労に関する共通理解を醸成す ることが重要であるということでございます。  又、2つ目の丸では、障害者本人、保護者に対しても職業的自立や一般雇用に関する 理解を深める観点から、より積極的に働きかけることが重要であるといったようなこと。 最後になりますが、ネットワークの支援機関の間の共通理解を促進し、各分野の連携に よる支援を効果的に進めるためには、必要な情報や支援ツールを共有できるようにする ことが重要であります。こういったようなことにつきましても、御提言をいただいたと いうことでございます。  こういった点を踏まえまして、資料1の方に移らせていただきますが、平成20年度の 予算要求等におきましては、私ども、資料1−1の下線を引かせていただいた部分に相 当する予算要求等をさせていただいておるところでございます。  まず、第1のところでございますが、特に連携による就労支援のための共通理解の促 進という観点でございまして、第1番目といたしましては、地域の福祉施設の特別支援 学校における一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進といたしまして、ほぼ前年同様 の予算要求を、障害者就労支援基盤整備事業として要求させていただいております。こ の施策は、都道府県の労働局が主体となりまして、福祉施設や特別支援学校と連携しな がら、施設の職員、それから特別支援学校の生徒・保護者といったところを対象といた しまして、一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進を図るセミナーや事業所見学会、 職場実習のための面接会等を実施するというようなことを通じまして、利用者や特別支 援学校の生徒の就職促進を図るという施策を要求しているところでございます。  又、2番目でございますが、新規の予算要求といたしまして、2億3,000万円ほどの 要求をしております。これは、障害者雇用の底上げのための意識改革支援ネットワーク 形成推進事業という事業でございます。近年、障害者の就労意欲が高まりを見せるなか で、むしろ周囲の者、例えば関係者ですと、国民一般、こういった方々の障害者が当た り前に働くということに対する理解がなかなか進んでいないというようなことから、そ の意識改革を図るため、インターネットを通じて、情報の共有・流通、これは例えばメ ールマガジンなどを発行していくということを通じまして、そのなかで優良企業に積極 的に働きかけをしていただこう、又、働く障害者御本人からメッセージを発信していた だこうといったようなこと等を通じまして、障害者の雇用の取り組みの推進を図ってい こうというものでございます。  内容的に、第1番目につきましては以上でございます。 ○分科会長  ありがとうございました。それでは、今の御説明について、御意見、御質問がありま したらお願いをいたします。どうぞ。副島委員。 ○副島委員  知的障害の育成会です。今の説明のなかで、私も是非強力にやっていただきたいと思 ったのが、意識改革支援ネットワークの形成です。丸で言えば、一番最後のところの、 共通認識の促進というところなんですが、結局、我々の障害種別について言えば、障害 者に対する就労についての意識づけが、すごく弱いと思っているんです。もちろん、本 人もそうだし、それを援助する親もそうです。親もやはり我が子が就労するということ に対する意識づけはすごく弱いです。それから、就労支援をする専門の福祉的集団のと ころも、本人の就労に対する意識づけが、まだまだ弱いと思います。それから、今度は、 地域の方々です。障害者はやはり何かかわいそうな存在だという意識がどうしてもあり まして、どうしてもこの就労に向けての取り組み、賃金を対象とするような就労に対す る取り組みは、すごく意識的には弱い方なんです。もちろん、企業関係についても、や はりそれまでの接点がなかなかないものだから、前向きに取り組みたいと思っても、ど ういうふうにすればいいかというところで止まってしまいます。  そういうことで、歴史的なものをみれば、どうしても障害者、知的障害者は特にです けれども、やはり何らかの差別のなかでずっと今まで対応されてきたというところが強 く残っているんですね。だから、表面的には仕事をする一般の人であるという理解はあ ったとしても、やはり底辺にどうしても差別意識のところが残っているんです。だから、 ハードのところは結構解決しているけれども、ソフトである心のところが、なかなかク リアされていません。  そういうところから、是非この一番最後のところの、共通認識のところです。全国民 レベルにおける理解を広げていくということが一番大事だと思うんですね。それがなく しては、なかなかどんな施策を打ったとしても、就労の結果は出ないと思います。是非、 ここのところはもっともっと強化していただきたいと思います。以上です。 ○分科会長  今の御意見に何かございますか。 ○事務局  国民あるいは関係者の意識改革をより一層強化していくということにつきまして御意 見を頂戴いたしました。まずもって、この予算要求について全力で取り組んでまいりた いと思っております。又、副島委員の御意見も踏まえまして、仮に予算が認められたと いうことになりますれば、その執行の中身においてどのような工夫を凝らして、強化を していくかということについて、いろいろな方々の御意見を拝聴しながら、取り組んで まいりたいと思っております。 ○豊島委員  私の意見は2つあります。1つ目は、今の説明のなかで、予算要求実現の取り組みに 向けて一生懸命取り組むと言われましたが、予算が取れるということが前提であると思 います。今回、雇用保険法の改正のときに、財務省は国が負担すべき部分を減らしてき た経過もありますし、今、財政改革でかなり厳しい環境にあるのは事実ですから、その なかでの予算獲得に向けて、結果として削られたということのないようにということが 1つです。  もう1つは、今、私自身は職場で共に働くことというのが、意識改革にとって決定的 な大きな要素だと思うのです。企業の生産性の観点からいえば、多少のマイナスがあっ ても、できる仕事を切り分けるということも悪いことではないと思うのです。何よりも 同じ職場で働く。そして、同じ職場で働いた経験をもって、それが少しずつ広がって行 く。ある程度ゆとりがある職場環境が必要だということは、同じ職場で働く労働者にと っても、人間性を高めることになるわけです。そのような趣旨で、仕事のなかにできる 限り入っていただくようななかでの意識改革の推進です。これは、何らかの形で推進し ていかなければならないし、推進していただきたいというのが私の意見でございます。 ○分科会長  よろしいですか。第1点目は、予算通過するように頑張れという話ですね。第2点に ついては、これがもし通ったらば、そういう工夫が必要ではないかということです。御 意見がありますか。どうぞ。 ○障害者雇用対策課長  厚生労働省の特に労働関係予算は、雇用保険特別会計がかなり多くを占めております けれども、障害者の関係は雇用保険の特別会計ということではなく、かなりの部分が一 般会計ということになっております。これは、雇用に結びつくケースが最終的になかな か難しい面もあるということで、それに向けて全国民的な支援をしていく必要があると いうことだろうと思っております。これまで、財務省に対して、私が説明してまいりま したけれども、全体の財政状況が厳しいなかで、項目についてそもそもおかしいという ような指摘は全くございませんでしたので、それなりの予算立ては頂戴できるのではな いかと一応期待しているところでございます。十分な額が確保できるかどうかという問 題がございますけれども、何れにしても必要な事業については、必要な対応をしていき たいということで、全力を上げて取り組んでいきたいと考えております。  又、企業のなかに入っての意識改革ということの重要性というような御指摘がござい ました。まさに御指摘の通りだろうと思っております。就労に結びつけるというところ の意識改革というところが難しいわけでございますが、企業のなかに入ってからの意識 改革ということで、私どもは今御説明したような予算立てで、一般的な意識改革につい ていろいろと取り組んでいるところでございますが、就業・生活支援センターというよ うなもの、あるいはジョブコーチというもの、あるいはハローワークの職員が定着指導 で企業のなかに入っていくということで、現在は積極的に対応したいというふうに考え ております。そういうなかで、企業の方々の御理解も得ながら、障害者の方の能力が最 大限発揮されれば、労働生産性の低下というものも最小限に食い止められるのではない かと考えております。そういう意味で、企業を始めとしまして、国民一般、あるいは、 先ほど障害者の御両親の方ということもありましたけれども、そういった形での意識啓 発に重点的に対応することによって、障害者の方がより能力を発揮できるような形での 就労ができるように、取り組みを強化していきたいと考えております。 ○分科会長  どうぞ。 ○鈴木委員  今のお話しに関連して2つあります。1つは、就職をする前までのハードルというの が1つあります。もう1つは、就職をしてから、なかでどうやって継続していくかとい う、この2つのハードルがあります。それぞれ理解がないと、どっちも進まないという ことだと思うのです。この後の議題にあるように、自立支援法のなかでも、就労につい て、働くんだというようなことも定義されている部分もあります。それと先ほど、全国 民的にというお話しがあったのですが、やはり障害のある人たちもそうして働くのが普 通の社会なんだというところの啓蒙をきちんとしていく必要があるかなと思っています。 ○分科会長  御意見として伺っておけばよろしいですか。何かコメントをもらいますか。よろしい ですね。では、館委員どうぞ。 ○館委員  精神の方からちょっとお願いです。このネットワークなんですけれども、精神保健福 祉法のなかに、精神障害者社会適応訓練事業という前就労訓練、いわゆる職親の訓練が あるんですね。事業所に預けて、それで訓練を受けるという制度です。そういうのが旧 厚生省の制度なんですが、今全国で数千人やっています。保健所が主体になっています。 なかなか具体的に現場では、安定所とかそういうところとリンクしていかないんですね。 ですから、訓練に終わってしまっているということがあります。それをもうちょっとネ ットワークのなかで、うまくお互いに連携し合っていけないのかなと思います。という ことは、もっと保健部門とか、職親さんとかとのネットワークも、このネットワークの なかに入れてもいいのではないかと思いまして、是非入れて欲しいというのが私のお願 いです。 ○分科会長  これについては、是非コメントをいただきましょう。 ○事務局  今、社適訓練等の関係で保健所等との連携が重要であるという御指摘を頂戴いたしま した。第1の、地域の就労支援ネットワークの構築のところにおきましては、ネットワ ークの概説的なことを記させていただいていますが、後ほど、ハローワークを中心とい たしました地域の関係機関との連携によるチーム支援というようなことを打ち出させて いただいております。そのなかで、地域のハローワークが中心となりまして、地域の行 政機関でありますとか、就労支援機関でありますとか、こういうところとしっかり連携 をしながら、相手のやっていることも十分にハローワークがよく理解しながら、総合的 に支援を進めていくというような取り組みを展開しているところでございます。こうい ったなかで、十分に職親会等との連携も果たしていきたいと考えておりますので、御承 知おきをいただきたいと思っております。 ○館委員  ありがとうございます。 ○分科会長  どうぞ。 ○菊池委員  働く前の段階での意識改革ということに関連してなんですけれども、それも卒業の時 期が来ていきなりということではなくて、やはりなるべく早く、早めの、それこそ特別 支援学校の小学部、中学部においてでも、もう少しずつ意識を親御さんにも持っていた だくということも大事です。そういう意味では、特別支援学校などの先生方に対しての いわゆるキャリア発達支援に関する教育、そういうものも更に充実させていっていただ けたらと思います。 ○事務局  特別支援学校の在学中からの支援というようなことにつきまして御質問を頂戴いたし ました。私どもは、そういうところは大変重要なことでありますので、若干取り組んで おりまして、資料1の2で申しますと、第1のところの1番目に、地域の福祉施設、特 別支援学校における一般雇用や雇用支援策に関する理解の促進ということで、障害者就 労支援基盤整備事業というものに取り組んでいるわけでございますが、関係資料のなか の5ページのところをご覧になっていただきたいと思います。参考資料の5ページの一 番最後のところです。そのなかで、都道府県労働局がこの事業を実施していくわけです が、就労支援セミナーといたしまして特別支援学校の先生方、生徒、保護者の方々、こ ういった方々を対象として実施をさせていただいたりしております。事業所見学会であ りますとか、そういったこともさせていただいているというようなことですが、当然、 在学中からこういったものというのはサポートすべきであるというようなことで、こう いったことは我々はできるだけ在学中から取り組んでまいりたいと、既に手をつけてい るところでございます。又、こういったものの取り組みの詳細につきまして、御意見等 ございましたら、頂戴いたしまして、より良いものにしていきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。 ○分科会長  はい。どうぞ。 ○松井委員  特別支援学校に対して、今のようなお話しは是非お願いをしたいと思うのです。でも、 どんなに努力をされても、さっき共に働く喜びを感じてとおっしゃっていましたが、そ こは特別支援学校では、共に学ぶ喜びなり、共に遊ぶ喜びというのは、そのなかにはな いわけですよね。ですから、私はやはり生まれてずっと生きていく過程のなかで、障害 があってもなくても一緒に遊ぶ。一緒に学べる。一緒に生きる。そういう喜びを感じな がら成長していって、そして共に働く喜びを、障害をもった人もそうでない人にも本当 に感じてもらえるようなものを実現するためには、支援学校に対する対策と、それ以前 にもう1つ、やっぱり一緒に学びながら、そういうものを世の中全体が体感していくと いうか、そういう社会を是非お願いしたいと思います。 ○分科会長  御意見ということでよろしいですか。今回の予算だと、先ほどの意識改革のいろいろ なプログラムのなかにそういうアイディアを入れていくということはあり得ると思いま す。鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  今までこのなかで、特別支援学校などからの新規での就職が考えられているようです けれども、今まで働いていた人たちが中途で障害を負ったいわゆる職場復帰の関係のと ころというのは、このなかではどのように反映されているのですか。 ○分科会長  どうぞ。 ○事務局  職場復帰の関係ですけれども、今まで働いていた方をどのように職場に復帰させてい くのか、していただくのかということについては、プロセス的にはいろんなプロセスが 多分あると思います。1つは、どうしても職場適応上、職場に復帰するための準備的な ところというものを高めていくためには、地域障害者職業センターに行っていただいて、 職業準備訓練をやっていただくといったようなケースもあると思いますし、又、障害者・ 就業生活支援センターですとかで、相談レベルでかなり解決しながら、ハローワークの 職業紹介で新たな就職をしていく。あるいは、そのまま職場に復帰していかれるという 方もあろうかと思います。何れにしても、中途で障害になられた方についても、まず相 談や訓練といったもののメニューというのを用意はさせておいていただいております。 そういったところを通じながら復帰をしていただけるように、我々はいろいろな手はず を整えておりますので、御相談をいただければと思っております。内容的には、ちょっ と今の段階ではネットワークの概説のところになっておりますので、後ほどの各就労機 関の役割のところで、そういった機能がどういうふうに含まれているのかということに ついてやや御説明をさせていただきたいと思いますので、そちらの方でまた聞いていた だければと思います。 ○分科会長  よろしいですか。では、松矢委員どうぞ。 ○松矢委員  今、働く前の子どもたちの意識をどうするかということが出ております。先ほど菊池 委員からキャリアエデュケーションという用語が出てきました。特別支援教育は特別支 援学校のみならず、小中学校、高等学校を含んだ全体のインクルージョンを進めていく という流れですので、やはり幼稚園などの幼児もそうですけれども、要するに集団のな かで自分の役割を発揮していくというキャリアエデュケーションの考え方を、これは文 科省だけではなくて、やはり厚生労働省の方も一緒に進めていく必要があるのではない かと思います。そういう施策をこれから打っていかないと、特別支援教育の意義も半減 してくるのではないかと思います。これから、一般の高等学校でいわゆる発達障害の方 々が、高等学校へ進んでいきますから、その進路指導とか、就業促進をどうするかとい うのが大きな課題となってきます。その辺のところもやはり視野に入れた全体のネット ワークの在り方ということをしっかり進めていかないといけないのではないかと思いま す。 ○分科会長  副島委員、どうぞ。 ○副島委員  関係資料の5ページのところですが、実習所の見学と職場実習ということへ進めてい くときに、おそらく福祉施設にしても、企業にしても、実習受け入れということで、ま だトライアル雇用の前の段階の取り組みがあるんですよ。そのときに、実習を受け入れ をするための支援策というのは何か考えられているかどうか。結局、全く自由に受けて くださいというだけでは、これは就労の意識づけというのはなかなかできないと思いま す。そこのところに、やはり1つの手がないといけません。受け入れるための支援策で すからね。まだ実習の段階ですけど、そのところの支援策はどう考えておられるのか、 是非お聞きしたいと思います。 ○分科会長  どうぞお願いします。 ○事務局  実習に対する支援策につきましても、研究会の席上でいろいろ議論をいただいており ました。1つ我々の雇用納付金の事業におきまして、グループ就労助成金というものを つくっております。精神障害者でありますとか、知的障害者の方等を対象といたしまし て、グループで実習をしていただくようなケースに助成金をお支払いをするという仕組 みでございます。こういったものにつきましても、次回以降、助成金の見直し等で御議 論等をいただくという予定となっておりますので、そういったなかで又、この辺りも御 議論いただければと思いますが、とりあえずこういう施策はあるということでございま す。 ○分科会長  御意見はあると思うのですけれども、まだいくつか議題があるので、また時間があっ たら戻りますので、そのときでよろしいですか。それでは、資料1の1の3ページ目に なりますが、第2の地域における各分野の就労支援機関の役割と今後の在り方というテ ーマに入ります。まず、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  事務局でございます。資料1−1の3ページの地域における各分野の就労支援機関の 役割と今後の在り方のところについて御説明いたします。  地域における就労機関は、まず第1番目はハローワークでございます。ハローワーク は第一線の労働行政機関として障害者の雇用機会の確保というセーフティーネットの機 能を十分に発揮すべきであるといったことがあります。それから、就労支援のプロセス のなかでも特に重要な、マッチングを担う機関として、ネットワークの構築に中核的な 役割を果たすべきであるといったような位置づけを御提言していただきました。  そして、3番目の丸でございますが、やや一歩踏み出しまして、先程来御説明をして おりますチーム支援といったところをハローワークの業務の一環として明確に位置づけ て、各ハローワークにおいては、行政機関でありますとか、支援機関への積極的な働き かけを通じて、顔の見える人間関係を十分に作っていき、そして、それぞれ各機関の得 意分野を活かした役割分担によってチーム支援を着実に展開することが重要であるとい う御提言を頂戴しております。  その際、こういうチーム支援を展開するに当たって、やはりハローワークは支援機関 等に対するコーディネート力を高めていくことが必要であるという御提言も頂戴いたし ました。  更に、3番目の丸でございますが、やはりその職員の資質の向上といったものも重要 であるというようなことから、十分な実施体制の確保も必要であるというような御提言 をいただきました。  更には、施策といたしまして、これまで活用していただいていると思いますが、トラ イアル雇用でありますとか、障害者の委託訓練等の効果を発揮している支援策の充実を 図っていくといったようなことも重要であるといった御提言を頂戴いたしました。  ハローワークの部分につきまして、資料1−2の第2のところに、ハローワーク関連 の20年度予算要求事項等が記されておりますので、御説明をいたします。  まず、ハローワークの新たな業務の一環というようなことで御提言をいただきました。 チーム支援につきましても十分な体制を整えていく必要があるというようなことから、 これは、内容的には、ハローワークが関係機関との連絡調整を行う、具体的には、ハロ ーワークには窓口業務等いろいろな業務がありますので、外回りを十分に対応していた だいて、関係機関と密接な関係づくりといったものをやっていただけるような就労支援 コーディネータを配置していくといったようなことを通じまして、体制の機能強化を図 るという予算要求をしております。  又、その他、マッチング機能の充実・強化のために、就職ガイダンスでありますとか、 管理選考、就職面接会を抱負に実施していくという要求をさせていただいております。 これが3番目の予算要求でございます。  又、支援策との関連につきましては、4番でございますけれども、新たに精神障害者 の特性に応じた支援策の充実・強化といたしまして、精神障害者ステップアップ雇用奨 励金の創設について要求しているところであります。これは、精神障害者の障害特性を 踏まえまして、10時間程度の志向雇用から、20時間以上への常用雇用を目指して、一定 程度の期間、具体的には1年程度をかけて段階的に就業期間を延長していきながら、常 用雇用に移行していくといったような奨励金を要求しているところでございます。  又、これとは別に、精神障害者就職サポーターをハローワークに配置することにより まして、精神障害者のカンセリング機能を強化していくといったようなことなどを通じ まして、精神障害者の雇用促進のための包括的な支援を実施する要求をしているところ でございます。  それから、もう1つ、5番目でございますが、ハローワーク関連で、若年コミュニケ ーション能力要支援者就職プログラムの推進ということで、前年同様の要求をさせてい ただいております。これは、主に発達障害の方を対象としているものでございまして、 コミュニケーション能力に困難を抱えておられる求職者について、こういった方々が必 ずしも障害者専門の窓口の方にお越しいただけるとは限りませんので、一般窓口の方に 就職チューターを配置をいたしまして、御本人の希望や特性に応じながら、専門支援の 窓口に誘導、あるいは専門支援期間に誘導するといったようなこと、あるいは、専門支 援を希望しない方につきましては、一般窓口において就職支援を実施するといったよう な内容となっております。  6番目でございますが、引き続きトライアル雇用を拡充してまいりたいと考えており ます。  又、7番目につきまして、障害者の職業訓練につきましても拡充してまいりたいと考 えております。  8番目につきましては、求職者と企業とのマッチング支援ツールの整備といたしまし て、雇用納付金の事業として実施したいと考えております。これは、障害者と企業との ミスマッチを解消するため、障害者の適性・能力や適切な支援方法、それから、アピー ルポイント等を記述できるマッチングシートでありますとか、特に中小企業において今 の障害者雇用に係る状態がある程度把握できるような自己診断チェックシートを開発す るといった内容となっております。  引き続きまして、資料1−1に戻っていただきまして、3ページの地域障害者職業セ ンターの方に移らせていただきます。地域障害者職業センターにつきましては、中核的 なリハビリテーション期間として全都道府県に設置されておりまして、全国的なネット ワークを持っているということと、これまでの抱負な支援実績のノウハウを蓄積してい るというようなことから、その高度な専門性とノウハウの実績を活かした業務展開を図 るべきであるというような御提言をいただいております。  この機関については、先ほど鈴木委員の方からも御質問が若干ございましたが、参考 資料の方をちょっとご覧になっていただきたいのですが、専門的な機関としていろいろ なことをやっております。内容的には、8ページのところをご覧いただきたいと思いま す。独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の設置及び運営となっておりまして、一人 ひとりのニーズに応じて、職業評価でありますとか、指導、準備訓練、適応援助等のリ ハビリテーションを行っており、事業主に対する支援なども行っています。先ほど、中 途の障害者がどういう相談を受け、そして、どういう支援を受けていけるのかというよ うなことでございますけれども、こういったところに御相談をいただきながら、更に適 切な支援をこの場で受けていくことができるということで、御紹介させていただきたい と思います。  内容的にはやや専門性の高い支援ということでございますので、中途の方で、障害の レベルが相談レベルで対応可能というようなことになりますと、また別途の、次に御説 明をさせていただきます障害者就業・生活支援センターなども御利用していただけると いうこととにります。  さて、資料1−1の方に戻らせていただきますが、では、地域障害者職業センターに ついて、どのような御提言をいただいておりますかと申しますと、3ページの下から2 つ目の丸の下線が引かれているところでございまして、地域の支援機関による質の高い 就労支援といったものがどの地域においても提供されるようにするために、地域の専門 的な人材の育成や支援機関に対する助言・援助というものを基幹業務の1つとして位置 づけていき、これを本格的に実施しながら、地域の就労支援力の底上げを図ることが必 要であるといったような御提言を頂戴しております。  次のページでございますが、1つ目の丸でございますが、その他、このような新たな 方向性を踏まえながら、障害者職業カウンセラーといったものを、この職業センターに は配置しているわけですが、こういったものの資質の向上を図ることが必要であるとい ったような御提言も頂戴しております。  尚、当該職業センターに関する予算関連部分でございますが、多くが人材育成に関す ることでございますので、これは後ほど人材の育成に関する部分で御説明をさせていた だくことといたします。  続きまして、3番の、障害者就業・生活支援センターでございます。障害者就業・生 活支援センターにつきましては、就職に向けての支援や仕事を続けていくための支援を、 日常生活面や社会生活面を含めて行う身近な地域の職業リハビリテーション機関として、 相談から就職準備、職場定着に至るまで個々の障害者に必要な支援をコーディネートす る役割といったものが求められているという位置づけを御提言いただきました。そして、 こういった機能を活用していただきまして、中途障害になられた方というものにつきま しても相談に応じることとしておりますし、又、対応させていただきたいと考えており ます。  そして、このセンターに関する提言でございますが、まず、次の丸のところで、非常 に効果的にその支援が行われているというようなこともございますので、障害保健福祉 圏域については、すべてのところでの設置を計画的かつ早急に進めることが必要である といった御提言のほか、次の丸の下線のところで、必要な支援をコーディネートする機 能を十分に発揮していくために専門性の高い人材の育成・確保を図ることが重要である といった御提言、その他専門性の高い人材をより安定的に確保していくことができるよ うに、国から今の委託費によって人材を謝礼金という形で確保しているわけですが、こ ういったところについて、その在り方を見直すといった御提言もいただいております。  その他、次の丸の下線部でございますが、今のところ、就業担当者2名の固定的な配 置をしているわけですが、地域の支援ニーズや実績を勘案しながら、各センターの実状 に応じて実施体制の充実を図っていくことが必要であるといったような御提言、更には、 障害者就業・生活支援センターの大きな1つの機能であります定着支援の機能の強化を 図っていくことが重要であるといったような御提言をいただいております。このような 御提言を数多く頂戴したところでございます。  これは、予算面におきましては、資料1−2の2ページをご覧になっていただきたい と思います。障害者就業・生活支援センター事業の拡充といたしまして、要求額をほぼ 倍増以上させる形で要求をさせていただいているところであります。内容的には、次の ページをめくっていただきまして、設置個所数といたしましては、現づい400弱あると 言われる障害保健福祉圏域のうち135センターの設置に留まっております。これを100セ ンター増要求をいたしまして、235センターにするという要求をさせていただいており ます。又、もう1つは、専門性の高い人材の安定的な確保というようなことでございま す。現在、謝礼金として対応させていただいております就業担当者2名のうち、1名分 につきましては、人件費の対応ということとさせていただきまして、当然費用の単価も アップさせて、人材の確保ができるようにしていくといったようなことを要求させてい ただいているところでございます。  又、地域のニーズや実績に応じまして、就業支援担当者を現在2面が基本でございま すが、場合によっては、1名ないし最大で2名加配ができるような要求をさせていただ いております。  その他、定着支援を強化するために、在職者の交流活動を実施するといったようなこ とも要求させていただいているところでございます。  引き続きまして、資料1−1の4ページにお戻りください。最後になりますが、4番 目の障害者雇用支援センターについて御説明いたします。障害者雇用支援センターにつ きましては、就職が特に困難な知的障害者を就職に結びつけるための長期的な準備訓練 の場といたしまして、全国14カ所に設置されてきたところでございます。研究会の席上 におきましても、大きな役割を果たし、実績を上げてきたというような評価がなされて おりました。しかしながら、障害者自立支援法の施行によりまして、目的・機能が障害 者雇用支援センターと極めて類似している就労移行支援事業が創設されたところでござ いましたので、制度的な位置づけを見直す巣必要が生じているという御提言をいただき ました。具体的には、地域の実状を踏まえながら、就労移行支援事業に移行し、果たし てきた機能を継承することが適当であるというようなことから、今後適切な措置をとっ ていくことが必要であるというようなことを御提言としていただいたところでございま す。  第2番目の、各地域における各分野の就労支援機関の役割と今後の在り方の研究会の 概要と、それから予算要求等の概要について御説明をさせていただきました。委員の皆 様に、分科会におきましても改めて御議論をいただければと思います。以上でございま す。 ○分科会長  ありがとうございました。それでは御意見なり、御質問をお願いいたします。どうぞ。 ○長谷川委員  障害者就業・生活支援センターの委託の在り方を見直すということで、委託費につい て、この間2名について謝礼金であったものを、1名については人件費になるというこ とですが、私はいつもこの委託費というのは不可解なものだと思っているのです。委託 費の2名分の謝礼金というのは、年収でいうとどのぐらいなのか。謝礼金だと1人当た りの年収と人件費になるとどのくらいなのかということをお聞かせ願えないでしょうか。 ○事務局  現在就業担当者2名ということで、その1名分につきまして謝礼金から人件費見合い の要求にするというものでございます。謝礼金対応の場合には、年収ベースに直します と、260万円ぐらいということになります。人件費の対応ということになりますと、諸手 当を含めまして480万円ぐらいの対応ということになります。 ○長谷川委員  年収約260万というのは、月額にするとどのくらいかということが明らかになりました。 最近の問題は、日本の労働者は二極化が進んでいて、300万以下と1,000万以上が増えて いて、真ん中が減っているというのが、いろんな各種統計から明らかになっています。 この後に、次の項目のところで、人材育成のことが議論されると思いますが、年収260 万で何ができると思いますか。年収260万の人が自分のスキルアップのために、自己投 資することは厳しいのではないかと思います。生活していくことでカツカツだと思いま す。だから、委託費が人件費ではなくて謝礼金であることは、これは、すごく大きな問 題だと思うのです。本来は、謝礼金ではなくて、2名を配置するのであれば、2名はあ くまでも人件費で、1人480万ベースで予算を措置するということが重要だと思います。 私は、本当に障害者を支援するということであれば、専門的な能力のある人材が必要と なります。就業担当者の委託費は謝礼金ではなくて人件費でお願いしたい。次の制度設 計では、人件費でやっていただきたいと思っています。そうしなければ、専門的な能力 のある人材と言っても、年260万で、どのように専門性を高めさせるのか。そこは矛盾 している内容になっています。 ○分科会長  事務局から何か、よろしいですか。 ○事務局  我々も1名については専門性の高い人材を確保したいということで、こういった要求 をしていることにつきまして、御理解を願いたいと思っております。元々この障害者就 業・生活支援センターを謝礼金で要求したことの経緯ということもございますので、若 干御説明をいたしますと、こういった身近な相談機能でありますとか、関係機関との連 絡調整の機能というものをどのように効率的に地域において国が事業を展開していくか というときに、現在存在している福祉施設やNPOの人的や物的な資源といったものを活 用しながら、効率的に委託をしていくということが1つの予算の売りとなっていたとい うところがあります。こういった経緯からすると、地域において配置されておられるよ うな方々の能力を生かしながら、謝金というものを使って事業を展開していくというこ とから、経緯としてはスタートしたというものでございます。こういったものが徐々に 役割が向上して、実績も上がっていき、専門性というものもかなり求められるようにな ってきました。障害者の内容も、身体障害者中心から知的障害者や精神障害者といった 非常に難しいと言われる方々の支援に軸足が移っていくなかで、専門性の確保というも のがより一層充実される必要から、このような経緯を辿ったということについては御理 解をいただきたいと思っております。 ○分科会長  はい、どうぞ。 ○副島委員  事務局の説明は分からないことはないんですけれども、今、現場の方で就業・生活支 援センターの職員の状況を見ますと、やはり4年、5年をしたら辞めていくんですね。 結局、今の人件費の保障が十分ではないからだと思うのです。ある程度の技量を積んだ のに、結局、自分の将来設計ができないから辞めていってしまうんです。これは、先ほ ど専門性、それから人員の確保、定着ということを考えたときには、今の予算ではそこ まではいっていないし、260万では到底そこまでいっていない。この480万でいくのかと いうことだって疑問ではないかと思うのです。そこのところは、就労ということを本当 に定着し、強化していくのであれば、そこに対する身分保障はある程度は十分にやって いただきたいというのが1点あります。  あと何点かあります。障害者雇用支援センターの14カ所の方向性で、これが制度の見 直しによって就労移行支援事業に移行していくんだと言われています。14カ所の取り組 みというのは、すごくいい結果を出しているところがたくさんありまして、その就労支 援事業に移行することによって今までの進んだ取り組みが後退していくということがあ ったのではいかんと思うのですよ。だから、移行していきながら、やはり、更にその内 容はいい結果を出していくというところが、どう位置つけられているのか。そのところ が心配です。  それから、就業・生活支援センターの方が障害保健圏域全域にセットするということ で、全国に400カ所という数字が出ています。これをどういうようなスタンス、数字目 標で、400カ所を確実に全国に展開していくような策略があるのかということを少しお聞 かせください。  それから、もう1つは、就労継続はどうしても就労を継続することは、生活の安定が なかったら就労継続は不可能です。やはり、生活支援と就労支援というのは伴っている ものです。だから、就業・生活だと思うのですけれども、今回、この就業・生活のなか に職場定着促進のための交流活動、余暇活動ですね。こういう項目が謳われています。 すごくこれはいいことだと思うのですね。こういうところの、心のケアとか、日常いっ ぱいストレスを貯めたままでおられる本人さんたちのやはりストレス解消の場も、やは り強力に取り組みを進めていただくことが就労継続に更に繋がるのではないかと思いま す。是非、その点、よろしくお願いいたします。以上です。 ○分科会長  今4点ほどおっしゃいました。御意見と御質問があったと思いますので、特に、2点 目と3点目にコメントをいただければよろしいですね。では、お願いします。 ○事務局  まず雇用支援センターの関係です。就労支援事業に移行するということでございます が、移行して、これまで果たして来た機能を継承できないということではいけない。良 くならなければならないという御意見を頂戴いたしました。私どもも就労移行支援事業 に移行するということに当たりまして、雇用支援センターに対しまして、制度を調整す るための支援といったものはきちっとやっていこうと思っております。こういったこと を通じまして、地域におきまして、より良い就労移行支援事業ができていくように進め ていきたいと思っております。  それから、もう1つですが、障害者・就業生活支援センターの400カ所といったこと の計画ですが、結論からしますと、我々の気持ちとしては本当にできるだけ早くという ことが気持ちでございます。そのとき勘案しなければならないのが、財政上の問題と、 もう1つは地域における準備の問題といったものがあろうかと思います。それで、ちょ うど成長力底上げ戦略の集中取り組み期間が19、20、21年の3カ年というふうになって おりますので、この期間にできるだけ400に近づけたいとは考えております。その後、 全国の準備の状況にもよりますが、底上げの期間というものが22、23年の5カ年という ことになりますので、その間の整備といったものに全力で取り組んでいきたいと思って おります。以上です。 ○分科会長  鈴木委員、どうぞ。 ○鈴木委員  ネットワークの関係でいきますと、今、機関毎のいろんな連携というのが出ていると 思うんですけれども、いわゆる担当する職員といいましょうか、学校で言えば進路担当 だと思いますし、そういった部分のそれぞれの機関の職員が集まって会議をするなんて いうようなことは、このなかには書いていないようなんですが、その辺はどうなんでし ょうか。 ○分科会長  お願いします。 ○事務局  このなかには書かれていないんですけれども、個別の自立支援法の体系でありますと か、学校の方の決まりとかで、そういう連絡会議というのがそれぞれ作るということに なっております。連絡体制というのは、まずそれぞれの機関の体制のなかで作るという のが第1点です。それから、チーム支援などでは、ハローワークを中心としたチーム支 援等におきましては、個別の支援担当者が障害者を支援していくに当たって、アドホッ クでそういう会議というものを開くということについて書かれているというものでござ います。  研究会の報告書の方ですけれども、自立支援法の体系のなかでは、自立支援協議会と いったものを作ることとなっています。その各分野それぞれの観点で、関係機関を召集 する会議があるわけですが、こういった会議を効率的にやっていくということを工夫し ながら、各機関の情報を共有化を図るといったことを研究会の報告書のなかでは書いて おります。そして、担当者が交替しても、組織として継続的に支援が実施されるように することが重要であるといったようなことを、ネットワークの目的、あるいは目的の共 有化といったところで、研究会の報告書のなかで御提言をいただいておりまして、こう いったものをハローワークを中心といたしまして、各分野で取り組んでいくということ になろうかと思います。 ○鈴木委員  まだ分からないんですけど、というのは、確かにそういう会議が召集されるでしょう が、執行部というのでしょうか、障害者の就労支援についてどこがイニシアをとってや っているのか、やっていないのかということについて、進んでいるのかどうかというの は、誰がチェックしていくと位置づけられていますか。それを作るならば、ハローワー クなりがすべきだという気がするんですけれども、地域支援会議というのは、ちょっと 性質が違っていて、その辺のところは、企業の担当者、あるいは学校の先生とか、それ から、その支援センターの職員というようなことを含めて、定期的に開くかといったよ うなことを、誰が中心になってやるのか、よく分からないんですね。 ○松矢委員  ちょっと関連して発言します。私はこの連携研究会の座長を務めさせていただきまし た。そういう点で、今の鈴木委員の御発言もちょっと関連させながら、3点ほど述べた いと思います。  1つは、先ほど人件費云々の点で、実際にこの連携の研究会は非常に意見交換が活発 でした。意見を戦わしたという感じであります。自己点検と総合点検を相当して、かな り、場合によってはガリガリやったという感じがあります。そのなかで、やはり人材育 成で人件費の問題が出まして、そういう意味では、一歩前進だっただろうと思います。 とにかく1人の経費について、人件費という考え方が入ってきて、次への段階というこ とで、就業・生活支援センターが専門機関として、これからどれだけ活動をフルにやっ ていくかという点で、ある意味では、実績が評価されたわけですが、まだまだ地域差が あるんですね。ですから、その辺の専門性のアップというのが、職業センターも絡んで 進んでいくなかで、おそらくちゃんとした人件費の配置というふうに進んでいくだろう と思います。そういう意味では一歩前進で、活発にやっているところは、そういう対応 をしてもらわないと活動できないという御意見があって、そういうものが入ったんだと 思います。  2番目は、就業・生活支援センターとハローワーク、いわゆる圏域です。人口30万と か、あるいは15万とかという大きい圏域ですね。ですから、そこにはいくつかの市町村 が入ってきます。ですから、ハローワークと就業・生活支援センターは、そういう意味 では重なり合うんですね。ですから、そこでのネットワークがすごく進んでいくと思い ます。  問題は、自立支援法は市町村単位なんですよ。そこはシステムが違うのです。ですか ら、市町村単位でいわゆる支援会議とか、そういうものがどういうふうに機能していく のか、特別支援学校だと割合に大きいですから、圏域に近いんです。でも、もっと市町 村レベルになってくると、小さいんですね。ですから、在宅者の移行支援事業をどうい うふうに活発にしていくのかというのは、市町村単位なんですね。ですから、この連携 の難しさというのは、相当ありました。やはり、これは国の施策ですからね。圏域まで いくのですけれども、市町村のところで、さっき誰が見ていくのかということで、鈴木 委員がおっしゃいましたけれども、まさにそれは市町村のなかにもコーディネータが育 ってこないと、噛み合ってこないという課題もあります。ですから、今、大きく自立支 援法とかいろんな法律が市町村単位になってきていますけれども、そこのシステムの切 り換えというのは、やはり市町村単位から積み上げていくような、そういう施策をうん と練っていかないと、うまく整合しないという感じを持っています。  ですから、その辺のところは、いろんな研究事業をやりながら、そういう市町村レベ ルの基盤整備を、これはまさに連携ですよね。障害福祉課、雇用対策課、それから文科 省等、そういったところがしっかり市町村レベルのものを、国単位ではマクロに施策が 進んでいきますけれども、実際にそこに障害のある子ども・者の方がいらっしゃる地域 の基盤整備をどうするのかというところまで浸透させるには、やっぱり地道に研究会、 そうしたモデル事業をやっていくとか、そういう積み上げが必要なんだろうということ をつくづく感じています。ですから、連携の会議は成果がありましたけれども、市町村 レベルというところでは、まだ課題がたくさんあるなというふうに感じております。 ○鈴木委員  なんでそういうことを言っているかというと、やっぱり、特に私が思うのは、中途で 障害を受けた人たちが、せっかくリハビリテーションをやって、かつ、仕事ができるい ろいろな技術を身につけても、最終的に受け入れてもらえないというか、元の職場では 復職を認めてもらえず、辞めていかざるを得なかったりする。そういうことをちゃんと 面倒見て上げられるような体制を作らないと、せっかく技術を身につけて、就労できる ようになっても難しいというところがあるので、やっぱり末端のところでの誰がという ところが結構重要だなと思っていて、どこが責任を持って行うのかということです。 ○事務局  ちょっと補足をいたしますと、まず、先ほど申しました自立支援協議会でありますと か、地域の支援の体制や連携に関する協議を、やや地域のマクロレベルというとおかし いんですけれども、地域のなかでこういうふうにやっていこうというようなことを概略 的に協議をするというような機関につきましては、これは都道府県レベルと市町村のレ ベルで、それぞれ設置するということになっております。それで、誰が管理するかとい う話になると、都道府県や市町村が一義的には責任があるということになるわけであり ますけれども、あくまでそういった協議会の状況というのは、全国を見てみますと、今、 松矢先生からもお話しがありましたように、進んでいるところと、進んでいないところ の温度差というところもあると思います。そういう意味では、私どものハローワークや 労働局に、なかなか進捗状況が思わしくないということを御相談いただきながら、我々 の方でも働きかけをしながら、そういう協議会、こういったものを地域々々でうまくワ ークするように、いろんな形で協力させていただくということは、おそらくできるので はないかと思っております。概略的なネットワークについては、まずそういうことが1 つあります。  それから、もう1つは、先ほど、どちらのことかなかなか受けとめ難かったので、答 え方が変になって申し訳なかったのですが、個々の障害者の支援のレベルということに なりますと、ハローワークを中心としたチーム支援を行っていく上での個々の関係機関 と、それから主査であるハローワークとの担当者との会議が、ミクロレベルでは存在す るでしょうし、その他、地域毎に実状に応じて、そうした支援のための集まりといった ものが出てくると思っております。こういうところにつきましては、ハローワークの方 のチーム支援というものを全国展開をして、地域の各支援機関の力を引き出しながら、 個々の障害者を支援していくんだということを我々も言っております。そういう意味で は、チーム支援がしっかりとワークしているかどうかということについては、我々がし っかりと見ていく必要があるだろうと思っております。  従いまして、ちょっとマクロのレベルでのネットワーク会議と、一人ひとりの支援に 関する支援といったものを、やや分けて考えると、こういうことになるのかなと思いま すので、前者に関してもできることをやらせていただきますし、後者のチーム支援に関 しては少なくともうまくワークしていくようにしっかりとしていくというようにお答え をさせていただきたいと思います。 ○分科会長  よろしいですか。では、輪島委員、どうぞ。 ○輪島委員  資料1の1のところのハローワークのチーム支援ですけれども、顔の見える関係とい うふうに書いてあります。予算のところを見ると、関係機関との連絡調整を担うコーデ ィネータを配置すると書いてあります。コーディネータを配置するということは、人件 費になると思いますが、顔の見える関係を作るのはハローワークが主体なのか。それと も、このコーディネータが主体なのか。それはどちらの方になるのかということです。  それから、長谷川委員ではありませんけれども、コーディネータは多分人件費なので、 謝金がどういう水準になるのかということをお伺いしたいと思います。  それから、顔の見える関係ということで重要なことは、むしろハローワークの職員が 人事異動をしないで、少なくとも2年とかで変わらないということが重要で、もし、障 害者雇用の担当をしたいのであれば、少し長く地域でできるような体制を作ることの方 が、余程顔の見える関係ができるので、お金を付けることではないのではないかと思っ ています。  それから、チーム支援の4つ目のポツのところの障害者委託訓練等ということで、ト ライアル雇用と委託訓練を並べてありますが、委託訓練は実は能開局の施策で、能開局 は都道府県に落としています。トライアル雇用は労働局でやりますけれども、委託訓練 は県で落とす。ですから、ここに書いてあるように、ハローワークにおいて積極的にか つ効果的な活用というのは、トライアル雇用ではできますけれども、委託訓練ではでき ない体制になっています。そこはもう少し委託訓練もハローワークが中心となってやる 仕組みを作らないと、実はうまくワークしません。委託訓練をかまして、その後トライ アル雇用をやって、それから採用になっていくというような戦略的な活用ということが、 今はできない体制になっていると思います。  それから、就業・生活支援センターのところで、就業・生活支援センターという名前 の表現通り、就業は労働関係の予算、生活は福祉関係の予算で持っています。特に、就 業というのは、労働の関係で、財源は雇用保険二事業から出ているというのが実態です。 ですから、そこのところで言うと、雇用保険二事業も財政的には非常に厳しいチェック がかかっていますので、そういう観点で、就職率だとか、効果がどの程度あるのかとい うようなことを非常に見られる状況に最近はなっています。しかし、この事業は非常に 重要な事業なのですけれども、指標、例えば就職率とか、そういうもので見ると、やは りなかなか数字が出にくいものがあります。ですから、施策としては非常に重要ですけ れども、そういう物差しで当てると、なかなか事業として、予算を確保することが難し い状況になっていると思っています。そういう指標を当てないやり方というのもあると 思いますから、その点で、雇用保険二事業の使い方も含めて、検討していただきたいと 思っています。以上です。 ○分科会長  よろしいですか。今、質問が4つありましたので、順番はどうでもいいですから、対 応してください。 ○事務局  チーム支援について御質問をいただきました。謝礼金の水準でございますけれども、 就労支援コーディネータの謝金につきましては、日当1万円程度の謝金となっておりま す。  それから、次に就労支援コーディネータとの関係づくりといったところですが、就労 支援コーディネータといったところがどういった役割を担っているかと申しますと、福 祉施設でありますとか、特別支援学校におられます障害者の方々というのを一般雇用の 場の方へできるだけ多くの方に来ていただくということ、要するに、人を引っ張り出す というようなことをやっていこうということの中核業務をやっていくということでござ います。そういう意味では、こういったコーディネータを配置したからといって、そう いったことがすべてできるかというと、そうではないわけでございます。その関係を作 っていく上では、要所々々にもやはり職員がしっかりと関与して対応していきながら、 福祉施設等との関係を作っていかなければならないと認識をしております。その意味に おきまして、このコーディネータが配置されたからといって、全然職員の関与がないと いうか、要するにハローワークの関与がないという訳ではなくて、これに加えて適宜適 切にハローワークの方でも関与をしながら総合的にいい関係を作っていくといったよう な内容のものにしていきたいと思っております。 ○障害者雇用対策課長  今のことに追加して御説明いたします。まず1つは、報酬単価については、今ほど御 説明した通り、コーディネータの単価は日当ということになっております。これは、フ ルタイムということではなくて、必要な時期に月何日という形で就労するという形での 予算立てになっております。  その仕事の中身については、関係機関との連携ということも1つございますけれども、 メインとしましては、福祉施設なり養護学校にいらっしゃる方で、実際に就職可能な方 という者がどんな形でいらっしゃるのかということを、いろいろ情報を収集をして、こ ういう方であれば、こういう形で就職できるのではないかというようなことの情報提供 を行うことを考えております。  そういう意味で、施設あるいは養護学校とハローワークとの全体というよりは、そう いう個別の情報収集を行った上で、ハローワークが中心となって、組織としてはハロー ワークが中心となってチーム支援というものを追求していくということで考えておりま す。  もう1点ですが、トライアル雇用についてはハローワークが中心となって展開できる けれども、委託訓練については都道府県の所管ということで、なかなか活用できないの ではないかというような御指摘でございました。これについては、所管という意味では 御指摘の通りと考えております。トライアルについてはまさにハローワークのなかで処 理されているということでございます。ただ、訓練を実施するに当たっては、当然訓練 情報等々はハローワークに集約されておるということもございますし、様々な訓練関係 の手当というものはハローワークの所長の受講指示等ということもございます。そうい う意味で、所管が違うからといって、せっかくの委託訓練の機会がない、あるいは、そ れが就職に結びつかないというようなことのないように、訓練機関との関係での連携と いうものも十分に対応していく必要があるのではないかと考えております。  もう1点、財源の問題についての御指摘がございました。御指摘の通り、就業・生活 支援センター事業につきましては雇用保険特別会計で運用されているものでございます。 事業としては、私どもは非常に高く評価しており、積極的に展開したいと思っておりま す。又、御指摘のように、実際の成果をどういう形で見ていくのかということは非常に 重要だろうと思っております。そういうなかで、就業・生活支援センター事業は、例え ば定着率について見ると、極めて高い定着率で、大体8割近いような水準にあります。 こういった指標を考えますと、この事業の有効性というものは説明できるのではないか と考えます。具体的に、どういう形で成果水準を考えていくかということは、二事業の 運営の検討委員会等々の場で御議論いただくことになるかと思いますが、そういう意味 で、そういう実績を出しつつ積極的に展開をしていくということが重要ではないかと考 えております。  更に、もう1点、若干戻りますけれども、コーディネータ事業との関係で、実際にコ ーディネータを配置するよりもハローワークの職員の異動の時期について少し考えた方 がいいのではないかという御指摘がございました。これは私どもも全く同感でございま す。ハローワークの人事異動の状況は、通常のペースですと、正直申しまして、2年サ イクル、あるいは3年サイクルということだろうと思っております。これにつきまして は、専門性の向上というものがハローワークのなかの職員について非常に重要な課題と なっております。私どもとしても、研修制度の在り方も含めていろいろ考えていきたい と考えているところでございます。具体的に、どのぐらいの期間その担当を置けるかど うかというところがございますので、何れにしても専門的な能力向上と併せましてこう いった人的、あるいは機関とのネットワークという意味での能力の向上という意味も図 っていきたいと考えております。以上でございます。 ○分科会長  まだ御質問があるかと思いますが、実はもう1つの第3分野がありますので、先に第 3分野を説明していただいてから、もし全体がありましたら、第3分野と全体も含めて 御質問をいただくということにしたいと思います。それでは、まず第3分野について御 説明いただけますか。 ○事務局  事務局でございます。資料1−1の6ページと、それから資料1−2の3ページの方 をご覧いただきたいと思います。就労支援を担う人材の分野横断的な育成・確保の在り 方についても御議論をいただいたところでございます。  提言といたしましては、1番目の丸にございますけれども、就労支援の強化が求めら れているなかで、なかなか就労支援の知識、ノウハウを習得するための基礎的な研修や スキルアップの機会等が不足しているということでございます。そして、支援の担い手 の育成と専門性の確保が追いついていないというようなことから、人材育成の取り組み を強化することが不可欠であるといったような認識で、そういったなかで、やはり3つ 目の丸でございますが、人材育成の方策の具体化に当たって必要な知識、スキル等の能 力要件でありますとか、それを満たすためのカリキュラム、資質水準を確保するための 能力評価の仕組み等について、幅広い見地から今後検討していくことが必要であるとい った御提言を頂戴しております。  又、ある程度人材像が確立しておりますジョブコーチにつきましては、支援機関と雇 用の現場を繋ぐ重要な役割を担うジョブコーチの育成と専門性の確保の両方が重要であ るといった御提言を頂戴いたしました。そして、現在、独立行政法人高齢・障害者雇用 支援機構の他に、民間の研修機関に厚生労働大臣が指定をすることによって、その養成 研修をやっていただいておりますが、その養成研修については一定の水準を確保するこ とが重要であり、その基準を踏まえた的確な運用が求められるといった御提言を頂戴し ております。  尚、地域障害者職業センターにつきましては、この資料1−1の3ページ部分につき まして、今後質の高い就労支援がどの地域においても提供されるためには、専門的な人 材の育成や地域の支援機関に対する助言・援助を基幹業務の1つとして行っていくべき といったような御提言も併せていただいているところでございます。  資料1−2の3ページの方に移らせていただきまして、この人材育成の関係で要求を させていただいております施策等につきまして御説明申し上げます。  まず、10でございますけれども、障害者の就労支援を担う人材の育成・確保の在り方 に関する調査研究といたしまして、やや実務的な検討を行うための予算を要求させてい ただいておるところでございます。又、ジョブコーチによる支援及び養成につきまして は、高齢・障害者雇用支援機構の交付金事業ないし納付金事業に基づく助成金といたし まして、これらは職場適応のためのきめ細かな支援をジョブコーチによって支援してい くということと、それから、高齢・障害者雇用支援機構における養成研修を実施する。 それから、養成ノウハウを有する民間機関が行う養成研修について、厚生労働大臣によ る指定を引き続き行っていくということを通じまして、ジョブコーチの養成を進め、数 を増やすことと、それから質を確保していくということの両面に取り組んでまいりたい と考えております。  人材の育成の分野につきましては、以上でございますので、改めて御意見を頂戴でき ればと思います。 ○分科会長  ありがとうございました。御意見、御質問いかがでしょうか。どうぞ。 ○菊池委員  私の大学では作業療法士も養成しておりますけれども、作業療法のカリキュラムとい うのは、約3,000時間のなかの1,000時間ぐらいが身体障害か精神障害、それから発達障 害に関する医学的な基礎知識と、それから1,000時間ぐらいがそれぞれの領域の作業療 法の専門知識、そのなかには、職業リハビリテーションに関しても、養成校によっても 違いますけれども、30時間から60時間のきちんとした職業リハビリテーションの科目も 教えております。ということで、では何故作業療法士が就労支援にあまり関わっていな いかというと、先程来出ておりましたように、例えば学生のなかには就業・生活支援セ ンターに就職したいという学生もいるんですが、お給料のところで愕然とするのですね。 結局、作業療法士は現在のところは医療職ですので、病院で勤めればこれだけだと、そ れに比べて就業・生活支援センターではというと、これではこんなに4年間頑張って勉 強して、資格も取得したのにということで、結局はみんな医療機関に就職してしまいま す。ということで、非常にもったいないという気がしております。資料1の2に、精神 障害の方の就労を支援するということで、精神障害者就職サポーターを配置すると書か れておりますけれども、例えばこれなどにも精神保健福祉士以外に作業療法士なども、 この精神障害者就職サポーターとして加えていただければ、それこそ病院、デイケア、 そして就労という、きちんと段階を追って支援していけるのではないかと思います。そ の辺について、この精神障害者就職サポーターの専門性の内容が分かれば教えていただ きたいということで、作業療法士についてもよろしくお願いいたします。 ○分科会長  いかがですか。 ○事務局  このサポーターですけれども、主に臨床心理士を対象として検討しているところです。 専門性の高い方でございますので、大体日額20,000円ぐらいの謝金を考えているところ です。 ○菊池委員  今、臨床心理士の方というお話しですが、もちろん専門性が非常に高くていいと思い ますけれども、多分、カリキュラム的には臨床心理士の方だけではやっぱりちょっと不 備なところもあるのかと思います。要するに、臨床心理士の方が職業リハビリテーショ ンの講義などをきちんと受けていらっしゃるのかどうかということもありますし、それ から、作業、就労、体力的なところ、身体機能的なところ、そういうことも踏まえてき ちんとサポートできるかというと、例えば作業療法士などももう少し加えていただけた ら有り難いと思います。いかがでしょうか。 ○事務局  すみません。ちょっと訂正させていただいて、臨床心理士ではなくて精神保健福祉士 でございました。これは、ある程度職リハの知識とかも有する資格職でございますので、 それにつきましては私の間違いでございますので、御理解いただきたいと思います。単 価等につきましては同様でございます。今後、作業療法士等の活用等につきましてです が、病院、特に精神科等での精神障害者が対象ですので、こういったところでの実績を 踏まえた上で、どういうふうにできるのかというようなことについて、考慮、検討して いきたいと思っております。 ○菊池委員  よろしくお願いいたします。 ○分科会長  どうぞ。 ○松矢委員  座長をやった関係から少し補足させていただきますと、かなり人材については、専門 性、人材育成ということが議論されて、基本的にはこの概算要求の調査というところで、 そこに全部流し込まれたという感じであります。実際に今、精神保健福祉士の例が出ま したが、精神保健福祉士も社会福祉士もほとんど職業リハビリテーションの内容が科目 に入っておりません。ですから、今そのカリキュラムの改訂が社会福祉の養成の方の委 員会で進んでいるはずです。いわゆる障害者自立支援法で就労移行支援事業が入ってき ました。これはもう直結して、企業就労等一般就労に参加していくわけですから、当然 職業リハビリテーションとか就労支援の内容がきちっと入ってこなければならないです ね。ですから、そういうことも議論されました。それから、外国と比べてジョブコーチ とか、そういう職業関連の専門職の位置づけというのは日本では非常に弱いので、一度 きちっと議論しようではないかということであります。その点がここに入ったと思いま す。当然、処遇の問題とも関連してくるわけですね。先ほど出ていますように、どのぐ らいの、要するに今菊池委員がおっしゃったように、理学療法士あるいは作業療法士が、 病院だとこれだけの処遇であるけれども、実際に福祉機関に行くと、とても及ばない。 そういうことで、大学で学ぶ若い人材をどうやって育てて、よりよい日本の職業、教育、 福祉のそういう力を蓄えていくのかという、そういう将来展望をなかなか描くことがで きません。そんなことで、ここに予算化されたことは一応私は評価しております。以上、 補足でございます。 ○分科会長  今のお話しは、予算の10番の調査研究のところですね。そうすると、我々は来年はこ の調査研究の素晴らしい成果を期待して待っていましょう。はい。鈴木委員どうぞ。 ○鈴木委員  視覚障害の人たちの特性として、今発生する割合は、盲学校などから上がってくるケ ースというよりは、どちらかというと中途失明で視覚障害になるケースが非常に多いわ けですね。それで、既に先ほどから言っているように、そういった中途で視覚障害にな った人たちがいるよというようなことを、仕事側というか、企業の担当者の人たちに啓 蒙したり、そういう機会というのはどこで提供したらいいのかと思っています。いろん な障害の理解というところで納まってしまうのかなというところがあることはあるんで すが、どういう啓蒙というか、どんな仕方があるのか。あと、精神の方たちも働いてい るときに精神障害になったというケースも結構あったりするので、その中途から障害に なることもあり得るんだよというような話というのは、どこでされるのでしょうかね。 ○分科会長  今の御質問はそういう方がいるんだよということを、企業のなかの従業員にどう伝え ているんでしょうかというお話しですか。あるいは、社会全体を含めてということです か。 ○鈴木委員  企業にということです。企業の担当者が分かっていただかないと、いわゆるリハビリ というか、本人が努力しても、再び職場に戻ることを認めてもらえない。職場復帰する ことができないというようなケースが多いんです。 ○分科会長  そういう意味での企業に対する啓蒙はどうしていますかという御質問ですか。はい。 ○事務局  これまでにも事業主向けにいろいろ私どもの方も、それから高障機構の方も、職場の 雇用事例集などを発行しながら周知をしてまいりました。そういったものだけでなくて、 今回は予算要求の事項のなかで、これは広く国民一般ということになるわけでございま すが、資料1の2の第1の2のところで、インターネットを通じた情報の共有、流通と いうことで、関係者から国民一般に至るまでの意識改革を図っていくというようなこと で、実際に働く障害者の方にメッセンジャーになっていただいて、それでこういう中途 の障害者という者が存在していて、働いておられるといったようなことを、メッセージ としてアピールしていただくというようなこともやっていきたいと考えております。こ の事業は必ずしも事業主だけで、あるいは障害者だけでやっていくというものではなく て、最終的にはセミナーを開いたり、シンポジウムをやったりもしていきます。そうい った相互の理解も進むようなやり方で、うまく仕掛けていきたいと考えておりますので、 また御意見を頂戴できればと思っております。 ○長谷川委員  私どもも障害者雇用の問題を今後取り扱っていくための取り組みを行っているときに、 中途視覚障害者になった方たちに会う機会がありました。その人たちは就労継続が非常 に難しいということが分りました。前回の法改正のときに、精神障害者の問題は、例え ば職場におけるメンタルヘルスの問題などと一緒に考えながら、リハビリをしてどのよ うに職場復帰させていくのかということと、精神障害について雇用率に入れようという 議論をしました。今回、この審議会が始まる1年ぐらい前から、中途視覚障害者になっ た人たちの話を聞いてきたなかで、職業生活をしている途中に、障害者になるというこ とは、あるとわかりました。身体障害者の場合、企業も組合も配置転換をしたり、職場 環境を変える等ということを努力してきたと思います。様々な障害者がいるということ について、企業も組合ももう少し認識しなければならない。そして、そういう人たちが どうすればリハビリを受けながら職場復帰できるのか。職場復帰をさせるときに、職場 環境をどのように整備したらいいのか。そのようなことについて、高齢・障害者雇用支 援機構等でもう少し研究していただいて、シンポジウムや事例集などで研究結果を出し ていただければ、もっと認識していくことができるのではないか。私どももこの問題は すごく重要であると思っていまして、冬のシンポジウムのときにはいろんな方たちを招 いて、障害者の人たちが職場で働くときの問題について考えていきたいと思っています。 こういうことを契機にして、事務局の厚労省も頑張ってもらうと同時に、労使の今後の 取り組みとして、就業規則等の問題にも関わってくると思うので、積極的に取り組むこ とが必要なのではないかと思っています。 ○分科会長  中途で障害になられるような方たちの対応というのは非常に重要なんだということや、 あるいは、そういう人たちが存在するということの啓蒙とかをしっかりするということ は非常に重要なんだという御意見だと思います。ですから、今日はその御意見をお聞き して置くということにさせていただきたいと思います。  実は、今日もう1つの議題を用意してありまして、議事次第にありますが、障害者権 利条約についてという最後の議題でございますので、まだ意見がたくさんあるとは思い ますが、これに移りたいと思います。それでは、まず事務局から説明していただけます か。 ○事務局  事務局でございます。資料2−1をご覧になっていただきたいと思います。障害者の 権利に関する条約の概要につきまして書かれたペーパーがございます。  名称でございますが、「障害者の権利に関する条約」です。概要の中身でございます けれども、障害者の固有の尊厳、個人の自律及び自立、差別されないこと、社会への参 加等を一般原則として規定をいたしまして、保障されるべき人権や基本的自由について 規定した上で、人権や基本的自由を確保し促進するための措置を締約国がとることを定 めているといった内容になっています。  先般、3の(4)のところでございますが、9月28日に高村外務大臣がニューヨークの 国連本部において署名をしてまいりました。現在、10月9日現在の署名国は117カ国と ECで、そして、締結国は7カ国となっております。条約は20カ国の締結後、1カ月で 発効するというものとなっております。  この内容につきまして、次のページの条文構成をご覧になっていただきたいと思いま す。50条から成る条約でございまして、例えば第5条の平等と非差別でありますとか、 13条の司法手続の利用でありますですとか、22条のプライバシーの尊重、24条の教育、 27条の労働及び雇用、28条の相当な生活水準及び社会的な保障、33条の国内における実 施及び監視等々、簡単に言いますと、あらゆる分野について、包括的かつ総合的な内容 の条約となっております。  次のページでございますが、これまでの経緯と今後のスケジュールについて御説明い たします。これまでの経緯といたしましては、2001年の12月に、「障害者の権利及び尊 厳を保護・促進するための包括的総合的な国際条約」決議採択と書かれておりますが、 これは、こういう条約を作っていこうという決議が国連総会の場でなされたということ がきっかけとなっております。その後、8回のアドホック委員会を経まして、2006年9 月には起草委員会が開催され、2006年12月に5日、アドホック委員会第8回会合再開会 期において採択されました。そして、12月13日、国連総会本会議で採択され、2007年3 月30日には署名のために開放なされたところでございます。そして、9月28日には、条 約にわが国が署名したということでございます。  ここで署名と申しますのは、各国がこの条約の下に国内実施措置を行っていくという ことの意思表示であるという行為でございます。従いまして、今後締結に向けていろい ろな措置を検討していき、そして実施をしていくということになります。  これからの流れでございますが、条約の国内実施措置の検討及び確保等を行いまして、 条約でございますので、国会の承認が必要となってまいります。国会に提出するための 閣議決定を行い、更には条約の締結を御承認いただくための国会の御審議を得まして、 国会承認後、締結の閣議決定を行いまして、締結という運びとなるわけでございます。  では、資料2−2に基づきまして、障害者の権利に関する条約の抜粋部分につきまし て、ポイントを御説明させていただきたいと思います。  目的のところでございますが、人権と基本的自由の完全かつ平等な共有を促進し、保 護司、確保すること。それから、尊厳の尊重を促進することを目標とするということで す。それから、障害者には長期的な身体的、精神的、知的又は感覚的な障害を有する者 であって、その様々な障壁の相互作用により他の者と平等に社会に完全かつ効果的に参 加することを妨げられることのある者を含むという形で謳われているということです。 こういったことが目的に書かれております。  又、第2条の定義の項におきまして、重要な言葉として、「障害を理由とする差別」 という言葉と「合理的な配慮」という言葉が定義されております。  「障害を理由とする差別」といたしましては、障害を理由とするあらゆる区別、排除 又は制限であって、他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を認識し、享有し、又 は行使することを害し、又は妨げる目的又は効果を有するものをいうということが書か れております。又、「合理的配慮」につきましては、他の者と平等にすべての人権及び 基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整 であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度 の負担を課さないものをいうという定義となっております。特に「合理的配慮」という 概念は、我々にとっても新しい概念であります。  次に関連の条文につきまして2つほど御紹介したいと思います。  まず、第5条でございます。平等及び差別されないことということでございます。ま ず、1番目でございますけれども、法律の前に又は法律に基づいて平等であるという法 の下の平等であります。又、いかなる差別もなしに法律による平等の保護及び利益を受 ける権利を有することを認めるといったような内容です。それから、2番目には、差別 禁止と法的保護の保障といったような内容です。3番目には、先ほど定義のところで出 てまいりました合理的配慮を確保するための適当な措置をとるといったようなこと、4 番目につきましては、事実上の平等を促進したり、達成したりするための促進的な措置 については、差別とは解してはならないといったようなこと。こういったことについて、 第5条には書かれております。  引き続きまして、27条でございます。労働及び雇用のところでございます。  最初のところでは、障害者が他の者と平等に労働についての権利を有することを認め る。そして、解放される利用可能な労働市場及び労働環境において、障害者が自由に選 択し、承諾する労働によって生計を立てる機会を有する権利を含むとされております。 そして、特に、以下のことに関する適当な措置をとることによって、労働者についての 障害者の権利が実現されることを保障し及び促進するということを謳っております。  aから個別に見てまいりますと、aのところでは、あらゆる形態の雇用に係るすべての 事項といたしまして、募集、採用、雇用の条件、雇用の継続、昇進等、障害を理由とす る差別を禁止することでありますとか、bでは、公正かつ良好な労働条件ということで、 例えば均等な機会や同一について同一報酬、安全かつ健康的な作業条件、苦情に対する 救済などの権利の保護。それから、cでは労働組合についての権利を行使することの確保。 その他、dでは技術や職業の指導に関する一般計画や職業紹介サービス、継続的な訓練を 効果的に利用することを可能にすること。それから、eにつきましては、労働市場で求職、 就職、定着、復職といったようなことを促進するといったこと。その他、若干飛ばさせ ていただきまして、hでは適当な政策及び措置、積極的差別是正措置、奨励措置その他の 措置を含めることができるというようなことを通じて民間部門における障害者の雇用を 促進するといったようなこと。そして、iでは、職場において合理的配慮が障害者に提供 されることを確保すること。こういった諸々のことにつきまして謳われていることにな っております。  以上、権利条約の要点でございますが、先ほど御説明申し上げました通り、現段階で は、手続き上、政府が署名の段階でございますので、今後締結に至るに当たりまして、 いろいろな国内措置を正式に検討していくという段階にあることから、審議会の分科会 の皆さんに、現段階での御意見等を頂戴いたしたいと考えておりますので、よろしくお 願いいたします。以上です。 ○分科会長  ありがとうございました。今ありましたように、これについては今後本格的に検討す るということですので、今日の場では皆さんの意見を言っていただきたいと思います。 それを参考にしてまた事務局で検討させていただくということにしたいと思います。で すから、言いたいことがあったら、どんどん言ってください。どうぞ。 ○輪島委員  質問でもいいですか。厚生労働省にお伺いをしたいんですが、この権利条約を日本政 府としては批准を前提に考えているのかどうかということと、それを批准することによ って、今の国内法制である障害者雇用促進法、特に雇用率制度という企業に対する割り 当て制度がありますけれども、この条文で見ると、障害を理由とするあらゆる差別を禁 止をするということのいわゆる差別禁止法の法体系と、割り当て制度である雇用率制度 とが条約上、国内法上、矛盾をしないのかどうか。それから、将来的にこれを批准する ことによって、障害者雇用促進法を変えて、例えばアメリカやイギリスのように差別禁 止法の法体系に変わっていくような基本的な考え方があるのかどうか。ということをお 伺いした上でないと、意見を言えというのも、なかなか今の時点では言えないのではな いかと思います。 ○分科会長  では、よろしくお願いします。 ○障害者雇用対策課長  3点ほど御質問がございました。1つは、この条約について批准の方向性についてと いうことですけれども、1つはわが国として署名をしたということでございます。署名 につきましては、基本的には批准に向けた努力、取り組みを行うということを対外的に 表明したということですので、何時の時点になるかということは別にして、批准に向け て努力をしたいと考えております。  2点目は、割り当て制度の問題についての御指摘がございました。割り当て制度と差 別禁止法との整合性については縷々議論があるかと思います。ただ、この割り当て制度 を取っている国はわが国だけではございませんで、諸外国で、ドイツ、フランスなどの 主要国も同様の制度を持っておると考えております。これらの国々の批准の状況等を見 極める必要もあるかとは思いますが、現時点において、私どもで雇用率制度があるから といって、この条約に違背するということはないのではないかと考えておるところです。  3点目といたしまして、差別禁止法制へ展開していくのかということでございますが、 これはかなり将来的な課題として、障害者雇用の情勢(醸成?)というものを見極めつ つ全体として考えていくべきものだということで、現時点で直ちに差別禁止法制という ことを考えているという状況ではないということで考えております。以上でございます。 ○分科会長  どうぞ。 ○鈴木委員  内容的なものではないんですが、全般的に国内法がいろいろと見直されていくと思う のですが、これにつれて、どのような状態になったら批准するのか。この流れというの は、できたらやりましょうということなのか。2年を目途とか、3年を目途とか。何時 頃までの目途が立ったらするのかということが1つです。  もう1つは、これらのところの罰則ですね。これらを決めたときに、罰則はあるのか、 ないのか。 ○障害者雇用対策課長  2点御指摘がございまして、この条約の批准に向けた取り組みについて、どのぐらい の期間で考えるかということの御指摘でございました。1点は、先ほど御説明いたしま した通り非常に広範な内容を含むものでございます。従いまして、私どもだけで批准す る、しないということではなくて、政府全体としての取り組みが必要になると考えてお ります。そういうなかで、おそらく内閣府を中心にその辺りのスケジュールも議論する 必要があるかと思っておりますが、現時点においてそういった議論にはなっておりませ ん。何れにしても、署名をした以上、然るべきタイミングでということは基本的な取り 組みとして必要だと考えておりますので、その辺りは、政府全体の動きも御報告しなが ら進めていきたいと考えております。  又、罰則についてのお尋ねがございました。条約の履行に、措置として罰則が必要か どうかというところは、その辺りも含めまして、今後御議論をいただく必要があると考 えております。罰則がないから批准はできないということでは必ずしもないと思います けれども、条約の履行を担保する上で、必要であるものについては必要になるというこ とだろうと考えております。 ○分科会長  他にございますか。どうぞ。 ○菊池委員  教えていただきたいのですが、障害者欠格条項というのがありますね。それとの関係 でどうなるのか。例えば、この第27条の、a項などはまさにそうです。あらゆる形態の 雇用に係るすべての事項として、募集、採用及び雇用の条件などと書かれています。欠 各条項との関係ではどう考えるのでしょうか。 ○企画課長  たまたま私は前に内閣府にいて、この関係を少しやっていたので御説明しますと、欠 格条項の規定ぶりによって、例えば、丸々障害者であることというに、能力の有無と関 係なく、障害であることを理由に欠格とみなすような条項というのは差別に当たるとい うことで、この条約に抵触いたしますが、わが国政府はこれに先んじて既に欠格条項の 見直しというものをやっております。法律の数にすると63あったかと思いますが、既に 実施しておりまして、一番最後のものが平成16年、確か出入国管理法の改正だったと思 いますが、それで、少なくとも文言的にな見直しは基本的にはできているのではないか と思います。今回の条約批准に当たっては、再度、当然外務省を中心に各省庁でここの 条項に該当する箇所についても検討されると思いますが、基本的には欠格条項は差別的 な条項はなくすということで改正されたと認識しております。 ○分科会長  他にどうですか。どうぞ。 ○長谷川委員  何年か前の女性差別撤廃条約が批准されて、その後、勤労者婦人福祉法を改正して男 女雇用機会均等法ができてきた状況とよく似ています。そうすると、この条約を批准す るに当たって、国内法をおそらく内閣府が中心になって総洗いするのだと思います。例 えば、今日出された27条の雇用及び労働のところで、労働関係の法整備が必要なのかと いう検討はすべきではないか。先ほど輪島さんがおっしゃったように、雇用の分野にお ける障害を理由とする差別を禁止する法律などを全く検討しないということではないと 思います。私どももまだ結論を持っていませんが、それらのことも検討することは必要 なのかという気がします。おそらく女性差別撤廃条約、男女雇用機会均等法の状況と似 ているということです。 ○分科会長  はい、どうぞ。 ○高橋委員  今の長谷川委員と関連するものが、確か児童の権利に関する条約の部分で、日本は94 年に採択をしました。採択から13年ぐらい経って、国連の子どもの権利委員会から確か 政府は2度にわたる国内法の整備について勧告を受けています。障害者の権利条約につ いても、やはり国内法の整備が問題です。ある一定期間を決めながら、国内法を整備し ていくという見通しを持って、着実に整備をしていくということが必要ではないかと思 いました。 ○分科会長  他にございますでしょうか。どうぞ。 ○輪島委員  現在、この障害者雇用分科会を開催していて、基本的には障害者雇用促進法の改正を 議論しているわけです。前回までの項目と、今度の権利条約の批准に向けての地均しに ついての法改正が何かあるのかどうか。今は明確にお話しがなかったということは、今 度の法改正の議毛論のなかには入ってこないと考えていいのか。それとも、入ってくる 可能性はあるのか。足下の今直近で議論しているところではどのような考えがあるのか ということをお伺いをします。 ○分科会長  どうぞ。 ○高齢・障害者雇用対策部長  この条約について、政府全体でどういうスケジュール感でやるかということはまだ決 まっていません。従いまして、現在これを完全に批准するために、今回御議論いただい ている障害者雇用促進法のなかで、これを全部満たすためという観点で御議論いただく ということは必ずしも今考えていません。しかしながら、批准に向けた検討が行われる 段階になるわけですから、かつ、相当広範かつ総合的な条約だということになった場合、 これを一挙にそうするのか。あるいは、今回、法改正なのか、法改正に絡んでのいろい ろな取り組みのなかなのかはありますけれども、何らかの状況の改善に向けた取り組み なんかを何かするべきかどうかという御議論は、法改正の議論との関わりのなかでもあ り得るのではないかと思っております。従いまして、そこは全体のスケジュール感がな いなかで、どこまで御議論が進むかということがありますけれども、一方では一定の方 向性はあるということも頭に描きながら、今回の制度改正の御議論もしていただく必要 があるかなと思っております。少なくとも、たまたま署名がこのあいだされましたので、 今日御説明したわけですが、そういう状況であるという前提で、当面何をするかという ことは、場合によっては議論の対象になるのではないかと考えております。 ○分科会長  どうぞ。 ○松矢委員  さっき欠格条項が出ましたけれども、その流れでは、例えば除外率の段階的な縮小・ 撤廃ということがあって、こういうものは今度は一番関わるわけですね。それをどうい うふうなスケジュールでやっていくか。でも、取りかかっていたということは非常に良 かったことだと思います。子どもの権利条約も全体ではいろいろ問題もあって、先ほど 御案内のように勧告があるんですけれども、かなり、どういうところでチャレンジが必 要なのかというところは、事務局の方で、この辺とこの辺はちゃんと考えていかなけれ ばいけないのではないかということを出していただけると、割合と助かるかなと思いま す。これは、おそらく教育の方も特別支援教育になったけど、何処と何処をどうすれば いいか。例えば、就学指導委員会、就学支援委員会とか、いろいろしていくというよう な、その辺のところをどうするか。おそらく大きなポイントだと思いますが、やっぱり、 その辺のところは詰めて欲しいというようなところがあれば、我々も考えやすいと思い ます。 ○分科会長  それでは、そろそろ時間もまいりましたが、もうちょっとお待ちください。その他が あります。以前こちらでいただいた宿題がありますので、事務局から説明をしていただ きます。お願いします。 (事務局説明別途) ○分科会長  ありがとうございました。何かございますか。どうぞ。 ○館委員  早見表のところなんですけれども、私が休んでいるときに議論があったのかも知れま せんが、精神障害者の重度ですが、手帳で言うと、多分1級相当なんだと思うんですけ ど、知的、身体も重度というのがあるんですが、精神障害者については重度というのが ないんですね。調べてみましたら、1級でも働いている人はいるんです。ですから、こ こまで理論的にちゃんと整合したものができているのでしたらば、精神にも重度者概念 を入れていただきたいと思います。是非、再考していただきたいというお願いでござい ます。 ○分科会長  それでは、この資料についてはよろしいでしょうか。それでは、今日はこれで終わり たいと思います。今日の議事録の署名ですが、労働者代表が豊島委員、使用者代表は斉 藤委員、障害者代表は館委員に、それぞれお願いをいたします。  それと、次回の分科会の日程ですが、10月24日、10時からです。今日と同じようにこ この6階の共用8会議室です。お手元に今、出欠の要旨が配付されていますので、御記 入の上、置いておいてください。よろしくお願いします。それでは、今日の会議は終了 します。ありがとうございました。 <照会先>    厚生労働省 職業安定局 障害者雇用対策課 調整係     〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2      TEL 03(5253)1111 (内線 5783)      FAX 03(3502)5394