07/10/05 第3回介護事業運営の適正化に関する有識者会議議事録  第3回介護事業運営の適正化に関する有識者会議 日時 平成19年10月5日(金)13:30〜15:30    霞が関東京會舘シルバースタールーム ○古都振興課長 それでは、定刻より若干早うございますが、全員委員の方、お揃いで ございますので、第3回「介護事業運営の適正化に関する有識者会議」を開催させてい ただきたいと存じます。  本日はお忙しいところ委員の皆様にはお集まりいただきまして、誠にありがとうござ います。  本日の出席状況でございますが、神作委員におかれましては所用のため御欠席という 旨の御連絡をいただいております。  それから、私どもの事務方でございますが、小関計画課長、矢田企画官は所用がござ いまして欠席させていただいてございますので、申し訳ございませんです。  それでは、遠藤座長よろしくお願いします。 ○遠藤座長 委員の皆様、お忙しい中、御参集いただきまして重ねてお礼申し上げます。  それでは早速議事に移りたいと思います。本日はお手元に事務局から幾つか資料が出 ておりますので、その説明を事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○古都振興課長 それでは初めにお手元の資料の確認と御説明をさせていただきます。 本日、お手元に配付しております資料は2点ございます。  資料1が「株式会社コムスンの事業譲渡について」という資料と、資料2といたしま して、「第1回・第2回会議において出された主な意見」というもの2種類でございます。 このほか、第2回の議事録を御参考までにお手元に置かせていただいております。  それでは、初めに資料1につきまして御説明申し上げます。  株式会社コムスンの事業譲渡問題につきましては、前回コムスン社に対する処分等に つきまして御説明したところでございます。資料1の2つ目の「○」以降でございます が、7月31日にコムスンから事業移行計画が厚生労働省に提出されまして、計48法人 に分割して事業譲渡されるという方針が示されたところでございます。  具体的には有料老人ホーム・グループホームの入居系サービスにつきましては1法人、 訪問・通所系サービスにつきましては都道府県単位の47法人にして分割すると。  この譲渡先候補の選定に当たりましては、コムスンが設置いたします第三者委員会(弁 護士、公認会計士)、具体的には、堀田勉先生が座長を務められたという形でございます が、これらの委員会において候補者を選定するということが7月31日に示されたところ でございます。  それ以降、同第三者委員会で審査が行われ、併せて8月1日以降は事業者の公募が行 われまして、それらを審査した結果、まず8月27日に居住系サービスの移行先として株 式会社ニチイ学館が選定をされたところでございます。コムスンもその答申を受け入れ る。  9月4日に、第三者委員会が開催されまして、在宅系サービスの移行先、これは3枚 目をごらんいただきますと、各県ごとに承継法人が決まっております。なお、このうち 2カ所の県につきましては、当初の候補選定先から辞退等ございましたので、こういっ たところがございますが、おおむね47都道府県、このような承継法人になっております。  これら契約につきましては、既に居住系も在宅系も契約が終わったということで、現 在は移行に向けて準備作業を行っている段階でございます。  1枚おめくりいただきまして、その際、私どもとしましては、何よりも利用者のサー ビス確保の徹底ということが重要課題でございますので、事業移行計画を受けた後、各 自治体の御協力をお願いをいたしまして、サービス継続についての利用者、家族への説 明、あるいは不安解消等にも併せて努めていただいたところでございます。  更に事業移行計画が7月31日に出まして、それ以降、公募をするということでござい ましたが、これにつきましても、各自治体あるいは事業者団体も含めまして広く公募し ていただくよう周知、協力方要請いたしたところでございます。  その上で、先ほど1枚目で御説明いたしましたように、48の法人が決まりましたので、 9月10日に全国介護保険・障害者福祉事業者、コムスンの場合、介護保険法のみならず 障害者自立支援法の指定も受けておりましたので、これらの指定の担当者及び指導監査 の担当者の会議を開催いたしまして、これまでの経緯、事業移行のスキーム、更に諸手 続等について説明をし、併せてできるだけ利用者の立場に立ってやっていただくようお 願いをいたしたところでございます。  現在のところ、各自治体のほうから、移行については資料の提出、審査などを受けな がら鋭意急いでおるということでございますので、かなり早い段階に円滑に移行ができ るのではないかと考えております。  以上が、コムスンの事業譲渡の状況の報告でございました。  引き続きまして、資料2でございますが、こちらは第1回目、フリーディスカッショ ン、この問題の発端となりましたコムスンの不正行為の問題等、現行制度の状況につき しまして御説明をさせていただいたところでございます。その際のフリーディスカッシ ョンいただいた部分と、それから前回は団体ヒアリングということでヒアリングをして いただきました。  その際、委員の御発言及び関係団体の御発言等のうち、事務局がこの有識者会議に当 初お願いしております3つの論点、「広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り 方」、「指定事業者における法令遵守徹底のための必要な措置」、更に「事業廃止時におけ る利用者へのサービスの確保のために必要な措置」、こういった柱に照らしまして、事務 局の整理といたしまして、委員及び団体の御発言等をこの論点に沿って整理をさせてい ただいたところでございます。もちろんこれ以外にも人材の確保等さまざまな御意見も ございましたが、今回は特にこの3つの論点に合うものということで一応事務局で整理 させていただきましたので、分析等は事務局にあるということを最初に申しておきます。  その上で「広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り方」ということで「指定、 指導・監督権限」について幾つか御意見が出ております。  事業所単位の指定・取消の制度は維持すべき、法定根拠の明文化、役割分担の明確化 等々の御意見をいただいておりますし、国、都道府県も立ち入る仕組みをつくってはど うかとさまざまな提案をいただいたところでございます。  それから、2つ目の整理、この小見出しも私ども事務局の整理でございますが、「法人 に対する規制の在り方」ということで、法人のガバナンスの在り方、事業所単位の規制、 法人規制の関係の整理、役員、同一資本グループ内での事業譲渡の問題、国等への報告 が必要とかその他のお話が御提案をいただいたところでございます。  3つ目といたしまして「『連座制』の在り方」につきまして、連座制の効果、サービス 類型を超えた連座制の見直し、ランクづけ、行為と処分のバランス、更には地域的な問 題と組織的な問題に分けてはどうか。あるいは都道府県の判断、裁量の余地を入れては どうか等々の意見をいただいたところでございます。  そして「その他」と整理をいたしたわけでございますが、管理者、サービス提供責任 者の統一管理、「不正または著しく不当な行為」の解釈と適用基準の明確化、これも両論 意見があったということでございますので、そのように載せさせていただいております。  次に3ページをお開きいただきまして「指定事業者における法令遵守徹底のために必 要な措置」、この問題につきましては、幾つかカテゴリーを分けるといたしますと、1つ は「法人内の体制確保」と、事後規制システムを有効に機能させるためには内部統制を 確保する。そのためにはさまざまな仕組みを義務化してはどうか。法規制以外の方法に よるガバナンスの確保の必要性、更には事業者自身の指導、あるいは企業のトップマネ ージメントの資質向上、こういうことも言われてございます。  それから「指導・監督」、とりわけこの点につきましては、行政に対する御意見が多か ったわけでございますが、機動的に指導できる体制、運用の必要性、更には行政担当者 の資質の標準化・教育等が必要。多様な法律の行政指導・監査もできるだけ一本化して ほしいという御要望もありました。  3つ目「罰則等の在り方」につきましては、罰則規定を設けるべしという御意見もご ざいましたし、単に罰則だけではなくて、行政上の措置としての検討も必要ではないか。 あるいは徴収金としての徴収の仕組みを検討すべきではないか等々の罰則、それ以外の 方法についての御意見がございました。  それから、4番といたしまして「外部評価システムの活用」ということで、既存の情 報公表制度、都道府県等で行われております第三者評価制度の活用等の御意見もござい ましたし、決算書につきましても、わかりやすくした上で公表すべきではないか。ある いはあくまでも法規制というのは外形的な規制でございますので、専門職、同業者間の ピアレビュー的な仕組みも必要ではないかという御意見もいただいたところでございま す。更には利用者、市民の目も入れてはどうかという御意見。更に既存の仕組みも活用 してはどうかという御意見もございました。  それから「その他」として、介護の事業は営利、非営利の事業主体が入っているとい うことで、非常に特異な部分かございますが、これらが協調したり、適正な競争を行っ たりするという意味で、協調、競争関係もうまく機能するように柔軟な仕組みを考えた らどうか。あるいは行政と事業者団体が協力して法令遵守を促すような仕組みをつくっ てはどうか。また、制度や規制情報についてのできるだけ入手しやすい仕組み。更には インセンティブといったようなことも検討したらどうか。それから、かなめとしての介 護支援専門員によるケアマネジメントの徹底の仕組みも必要ではないかという御意見も ございました。  最後のページでございますが「事業廃止時における利用者へのサービスの確保のため に必要な措置」ということで、「事業廃止時の手続の在り方」につきまして、廃止につい ては、現在事後届出制ですが、事前届出制とすべきではないか。あるいは監査が入った 段階では、廃止届は拒否できるような仕組みにしてはどうか、こういう御意見もござい ました。  それから、いろいろ御意見ございましたのは「継続的なサービス確保の在り方」とい うことで、一義的には事業者責任ではないかということに加えて、行政があっせんする 仕組みを考える。市町村が責任主体となってケアマネージャーのネットワークを使った りしてはどうか。更には行政、事業者団体が協力して支援する体制をとったらどうか。 緊急避難的な人の派遣。更には業務代行事業者の制定制度の御提案。また類似でござい ますが、事業承継までの公法人の継続する仕組み、措置制度の活用。  「その他」、相談援助機関の活用等。  以上、これまでの議論でいただいたということでございますので、事務方の整理とし て報告させていただきます。  以上でございます。 ○遠藤座長 ありがとうございます。今までの御議論をまとめていただいたということ であります。  それでは、早速御意見をちょうだいしたいのですけれども、まず最初のコムスンの事 業譲渡につきまして、何か御質問、御意見ございますか。これは事実の報告ということ でありますけれども、よろしゅうございますか。  それでは、早速、今まとめていただきました資料2に基づきまして、皆様から追加の 御意見、御質問をいただきたいと思います。せっかく事務局からある程度分類をしてい ただきましたので、時間も余裕がございますから、どういたしましょうか。細かく分か れたものごとに御意見をちょうだいできればと思います。  したがいまして、まずは1ページの「1.広域的な介護サービス事業者に対する規制 の在り方」の中の「(1)指定、指導・監督権限の在り方」についていかがでしょうか。 いろいろな議論が出たわけですが、規制の主体が市町村なのか、都道府県なのか、国な のか、あるいは連携の話、いろいろと出て、両論というか、幾つかの案が出ているわけ です。この中には委員の皆さんの御意見も入っているはずですので、これをもう少し付 加して御意見をおっしゃりたいという方もいらっしゃると思います。御自由にお願いし たいと思います。山本委員どうぞ。 ○山本委員 とりあえず、まず感じたことというか、ざっと考えられることとしまして は、まず介護保険の業者が、人員基準とか、実際事業所における具体的な備えていなけ ればならない要件が必要な業種ですので、事業所単位の指定取消の制度は維持すべきと いうのは私も賛成でございます。そうしますと、今問題になっているのが事業者という レベルにおいては非常に広域的な活動を行っている業者がいるということでありまして、 しかも、それは例えば1つの県内にはとどまっているけれども、複数の市町村にまたが っていると。それだけではなくて今度複数の県にまたがっていると、分布の範囲につい てもいろいろだと思いますので、例えば県内におさまっているものについては新たに都 道府県知事の監督権限、そして複数の県にまたがっているものについては国の監督権限 というものを新たに整備する。  それを前提として、しかし、どのような具体的な問題があるのかというのは各事業所 レベルにおいてしか把握できないですし、そういった情報が入ってくるのは恐らく市町 村レベルでしょうから、各業者の問題ある活動状況について、それぞれ広域的な立場に おいて監督する立場にある都道府県なり国なりがその情報を共有できるような仕組みを つくっていくことが必要なのではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。そうすると、市町村につきましては情報を収集し て、それが必要であれば都道府県、あるいは国にそれを伝えるという役目をになうので あって、直接の規制の主体という形ではなくてということですね。 ○山本委員 市町村について直接の規制の主体の立場を否定するわけではありませんけ れども。 ○遠藤座長 ほかにございますでしょうか。私の前回の記憶では、たしか狩野委員が、 市町村への権限委譲についてはもう少し慎重であるべきだといった趣旨の御発言をされ たように思うわけですけれども、何かコメントございますか。 ○狩野委員 事業者指定については、この間、2回目のヒアリングの際に市町村に権限 委譲という御意見も出ましたが、将来的には一番住民に身近な自治体である市区町村が 指定権限を委譲するということについては、基本的な方向としては別にその方向で構わ ないと思いますけれども、今すぐということになると、地域密着型サービスの指定も18 年に始まったばかりですので、もう少し事務の委譲の定着状況等を見た上で改正をすべ きではないかと思います。それと単独の区市町村だけを営業エリアとしている事業所は 非常に少ない。複数区市町村にまたがっているということで、区市町村に事業者指定権 限をおろした場合に、営業エリアがまたがる区市町村からの調整は実務的には難しい問 題があるのかなと思っております。将来の方向性としては私はそういう方向で異論がな いと思っています。 ○遠藤座長 それ以外についても、例えば国との関係等々でも御意見ございますでしょ うか。 ○狩野委員 問題は事業所のレベルではなくて、事業者、いわゆる法人に対する立入検 査権限も含めてどういう規制をかけるべきなのか、現状でいいのかというところが一番 論点だったかと思うのですけれども、2回目の御提案の中に、例えば事業者の届出制を 制度に導入したらどうかというような御意見もありました。今も事業所の指定をする際 には、事業者が、法人の定款ですとか、法人の役員等は提出をさせているわけですので、 届出制を改めて導入をするということになると若干屋上屋を重ねるという面も否定でき ない。事務の簡素化という面では、ここら辺、改めて事業者の届出制までやるかどうか というのは議論をすべきではないかと思います。ただ、何か事業所で広域的に不正等が 発覚した場合については、都道府県がやるのか、あるいは地方法制局等も含めてどこが やるかは主体は別にして、事業者自身への立入権限をどこかに明記すべきではないかと 思っています。 ○遠藤座長 ありがとうございます。では小島委員どうぞ。 ○小島委員 介護保険でございますので保険者と指定権限を有する者が一致するという 意味では、基本的に市町村ということではありますし、また現場に近いところという意 味では市町村に権限を移したらどうかという話は前回もございまして、基本はそうかも しれませんけれども、今の制度を大前提で考えていったときに、先ほども狩野委員から もあったとおりでございます。今の事業者としては非常に広域的に事業展開している市 町村のエリアを超えて事業展開をしている事業者が多いわけでございますので、そうい ったものをそれぞれ市町村ごとに指定していくことになりますと、その単位で切ってい くことになりますので、非常に不合理が出てまいりますし、またもう一つ、この辺また 議論があるかもしれませんけれども、「連座制」の適用が、今回の場合でも非常に有効で した。そういうものを前提に考えていったときに、全国広域に展開される事業者が結構 多い中では他府県と連携とってその連座制にどう対応するかというようなことも必要で ございますので、そういった対応を市町村レベルでやっていくのはなかなか無理がある ということで、現在の制度を前提にした場合は、都道府県レベルで対応していくという のが合理的ではないか。  もう一つ、これも前回発言させていただいたのですけれども、体制的にもかなり監査 に入るという体制は相当なものが必要でございますので、市町村ごとにそういう持ち駒 をそれぞれ維持する、持つということはなかなか現実的には難しゅうございますので、 そういう面からして、都道府県で行うのが、現状維持ということになりますけれども、 それが最も合理的な選択かと思います。  問題は、それを超える広域展開の事業者が多い中で、今回の場合でも連座制がうまく 適用できなかったと。県が事業所をそれぞれ監督するだけではなかなかうまく連座制な ども適用できないことからすると、それを超える広域的な対応については何らかの国の 権限、指導・監督権限を付与する必要があると考えております。例えばですが、社会福 祉法人の指導といった場合、県内だけの場合は県で監査・指導等しておりますが、それ を超える場合は、国直轄で監査したり指導したりするというような形になっております。 それは社会福祉法人全体の話で、今回この介護保険の場合は事業所単位でございますの で多少違いますが、複数の県にまたがるような場合には、国に対しても届出して本社を 指導することができるとか、例えば、そういう条項を入れて、広域的に展開される事業 所に対して国が指導力を発揮することがやはり必要であったなというのが、今回の事件 からの反省としては言えるのではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。この件につきまして、ほかに御意見ございますか。 櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 既に御指摘もあったかと思うのですが、総論的なところでということで申 し上げますと、介護の話では、特徴の1つは、営利法人から自治体まで非常に事業主体 が多様性に富んでおりまして、違うものについてどうやって規制かけていくかという話 なので、なかなか事業者にストレートに行くというのはきついところがありまして、そ うすると事業者単位でまず1つスキームをつくっておくというのは合理的なのかなと思 っておりまして、そういう意味で、最初のところに書いてありますが、事業所単位の指 定取消の制度は維持すべきであるというのは私もこの線で差し当たりいくということな のだろうと思うのですね。  その上で何が足りなかったのかということを考えないといけないのですが、今の小島 委員のお話しにもございましたが、国が何をすべきかということを考えましたときに、 事業主体が多様であるということは、実際上の力関係ということもありましょうし、審 査能力とかいろんな執行能力も含めてなかなか市町村単位、都道府県単位でやりきれな いところがある。こういう規制も1つのシンボルみたいな要素だと思うのですけれども、 そうすると、国がある程度法人対応で、(2)の話にかかわるかもしれませんが、とりわ けコムスンのような大きな法人に対しては、法人を通じて、コンプライアンスに限りま せんけれども、ちゃんと事業をやりなさいと、そういうルートをもう一個つくっておく 必要性は実はあったのかなと思っていまして、その意味で、広域的な活動をしている法 人に対する働きかけの部分は、これは国の1つの役割として固有のものがあるのではな いか。  その場合に、法人のガバナンスそのものに干渉するというのも1つでしょうし、もう 一つは、具体的に事案が生じたときに、個別の案件についてちゃんと国が物を直接、間 接に言えるというような、そのルートについても考える必要が多分あるのだろうと。た だ、その場合には、現行制度の下で都道府県が基本的には指定権を持って対応すること になっていますので、一義的には既存の制度をちゃんと活用させるという意味での、何 かある種の勧告というか、強ければ指示ということになるでしょうし、そういうものが あってしかるべきだと思うし、もう一つは、更なる緊急時において、ある種それを飛び 越えて何かできるルートをつくる必要があるのかどうかというのは、これも可能性とし てはやっぱり考える必要性があるのかなと思います。  それから、市町村に指定権限をおろすかどうかという話なのですが、全体として言え ることは、この法制度は2000年に施行されて、2005年でしたか、2005年に法改正され たばかりですけれども、何か制度の仕組みがちょっと若いなという感じがありまして、 いま一つ完成度がまだ低いのではないかという気もしていて、走り始めたばかりの仕組 みなので、歩きながら考えていくというところもあるのだと思うのですが、そういう点 で言うと、指定権限をいきなり市町村に落とすのは厳しいという気がします。そこで、 重畳的な仕組みをつくっておくということもあり得るので、並行権限というような話で すけれども、住民から見ますと、どこがやってくれてもいいので、ちゃんとしたサービ スを提供してもらいたいということが目的ですので、そういう意味ではどっちがいいの かというような話でも必ずしもないのだろうと思うので、この点については様子を見な がら対応するというのでよろしいのではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。木間委員どうぞ。 ○木間委員 狩野委員と小島委員のおっしゃることはよく理解できます。その上で市区 町村に指定権限が委譲される場合のことを申し上げたいのですが、市区町村に権限が委 譲されると指導・監督において、スピーディーな対応ときめ細かな対応が望めることも あると思うのです。スピーディーな対応について言えば、例えば、現在、都は区や市と 役割分担をして実地指導を行っていらっしゃると思いますが、都道府県が指定取消権限 を持つ事業所に実地指導に行って、重大な不正・基準違反などを発見した場合、都道府 県の実地指導であれば、そのまま監査に切り替え、指定取消に向けてスムーズな対応が 可能であると思います。しかし区や市の実地指導では、不正・基準違反が明らかになっ た場合、その後の対応は都道府県にゆだねることになり、迅速な対応ができにくいので はないかという気がします。これは区や市の担当者の方から聞いた話であります。  それから、きめ細かな対応についてですが、指定権限が委譲されていれば、地域の実 情に合ったサービス量の確保、規制も可能になるのではないでしょうか。それから、指 導・監査後の事業者に対する支援・フォローも可能になるのではないかと市や区の職員 から聞いてきました。何より指定の段階から事業者とかかわり合いを持つことによって、 さまざまな情報共有や連携がに可能になるのではないか。すぐということは難しいかと 思いますが、今、櫻井委員が「並行権限」とおっしゃいましたので、そういうことで可 能であるのであれば、何か仕組みができないだろうかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。いろいろ御意見がございますけれども、この段階 で集約を図ろうというつもりもありませんので、もしほかの委員の御意見にまた意見を 加えたいという方がいらっしゃれば、御自由に御発言いただきたいと思いますけど、い かがでしょうか。よろしいですか。  それではまだ検討しなければいけない案件が山ほどありますので、何かあれば、また この問題に戻るという形で(2)の内容に移りたいと思います。「法人に対する規制の在 り方」であります。ここでは、特に具体的な課題として役員等の範囲を同一資本グルー プ内の法人の役員を加えるかというような役員の範囲の問題であるとか、あるいは同一 資本グループ内での事業譲渡に関する制限の問題、まさに実際起きた問題に関してどう 考えるかということでありますので、これについて補足の御意見ございます方いらっし ゃいますでしょうか。あるいは、ここに書かれている内容をもう少し詳しく御説明され たいというのでも結構です。委員の先生方の御意見が主に反映されているかと思います ので。山本委員どうぞ。 ○山本委員 これはまさに現実に起こった事例をもとに議論の対象になっているところ なわけでして、要はコムスンという会社があって、そこが一部の事業所指定取消を受け たときに、同一グループ内のほかの法人に事業譲渡をして、実質的に存続を図ったとい う問題だろうと思いますが、確かに同一資本グループですと、同じ人から支配されてい て、そういう意味では、実際には1つの会社の中の事業部門的な、実態としてはそのよ うな位置づけと変わらないところに一部が移るだけだと。そういう意味ではガバナンス は全然変わっていないから、そのような事業譲渡は認めるべきではない。なぜ認めるべ きではないかというと、そもそも指定取消などを受けた事業者については、本来、退場 しなければいけないのに、法人格だけ別だということを活用して事業譲渡することが、 いわば本来の規制の脱法になるからであるという批判であったと思うのです。  そうすると、もともと本来の規制が、一度指定取消などを受けた事業者がどうして参 入してはいけないことになっているかと。もちろんそれはそのような違法行為を行った 人が、例えば済みませんでした、反省しています、と言っても、また同じ過ちを犯すか もしれないわけですし、何ら改善措置が担保されていないのに引き続き事業継続を認め るということは相当でないからという、そのような発想に基づいているのだとすると、 確かに法人でいえば、やはりそのような違法行為を行うかどうかということについて、 責任を持つのは法人の経営を支配している法人なり、個人ということになりますから、 そういう意味ではある違法行為なり問題を起こして、指定取消になった法人があった場 合に、その法人と同じ支配関係にある他の法人の参入も防止すべきであるという考え方 は非常にわかるんですね。  それがここで書いてあるように、「同一資本グループ」という枠で括っていいのか、資 本といってもいろいろありまして、そもそも資本ということが観念できるのは、基本的 には有限責任形式をとっている会社だと思うのですけど、もちろん介護事業者にもそう ではない形式の法人もございますので、そういう意味では資本という形、例えば50%な り66%なりという数字で切るのはちょっと汎用性がないのかもしれない。  他方で、会社法などでも、親会社、子会社の関係は、基本的には以前は資本の関係で 決まっていたわけですが、現在は既に実質的な支配基準というものが用いられているの で、実質的な支配基準を用いることについては、前例もありますし、そのような基準を 用いたからといって必ずしも不明確であるという批判を受けることは余りないのではな いかと思うので、そういう意味では、同一資本グループというよりは、支配関係が変わ らない他の法人について、そのような規制を及ぼすというような方向性はあり得るのか なと思います。ただ、その支配関係を会社法なり金融商品取引法なりにおける支配とい う概念と全く同じと考える必要はなくて、それは介護保険法の趣旨に則って考えればい いところでありますし、また、それを更に細分化した具体的な基準をどのように設ける かということはまた別の問題ではあると思うのですが、そういうような支配という概念 に着目した介護事業法人のグループ規制を考えることは1つあり得るのかなという印象 を持っております。 ○遠藤座長 ありがとうございます。「支配」という概念で、普遍的にグループを評価し ていこうという、要するに経営主体の違うものであっても共通に適用できるように1つ の切り口を御提起いただいたということだと思います。ほかにございますでしょうか。 櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 ちょっと悩ましいところなのですけれども、同一資本グループ内で事業譲 渡の制限をすべきかどうかという話は、専ら今回の案件を念頭に置いているわけですが、 一般論として言いますと、まさにこの間の姉歯の事件で建築基準法を改正したときもそ うだったのですけど、ある事件がきっかけになって法制制度改正をするのですが、余り 個別の案件に引っ張られすぎると、あくまでも制度そのものは一般的につくらないとい けないので、かえってよくないといいますか、弊害もあって、建築基準法は早速二重規 制の話がきつすぎて実態に合わないとかという話になって、法改正もう一回しましょう かみたいなことも言われておりますけれども、ある種、熱い感じで制度をつくってしま いますと、ちょっとどうかなというところもあります。今回のケースのような大きな法 人が介護事業の中にどのぐらい割合としてあるのかということと、それから全体として 指定要件などにも何か札つきの悪い人がいて、その人がいろんなところで同じ事業を展 開するのを阻止したいということで、例えば支配力を持っているような人については、 これは指定しないという要件に入れたりしていて、そのこと自体は、ある意味で必要性 のあることではあるのですが、一方で事業譲渡をするということは仕事は継続していき たいということでもあります。  そうすると、成長過程の介護の世界ですので、仕事はなるべくやってもらいたいし、 拡大していくような方向性も一方で重要だと思うのですね。そうするとリセットする可 能性といいますか、そういうリセットする余地をそれなりには残しておいたほうがいい のかなという気もしていまして、個別案件に引っ張られすぎないということも含めます と、本当に同一資本グループの話を規制の側に入れてしまっていいのかどうかというの は私やや疑問といいますか、反対という意味ではないのですが、余り行け行けどんどん でいくのもどうかというのもあって、ほかの制度との関係だと思うのですが、ある法人 に対して、先ほど言いましたように、例えば国がある種関与ができて、それなりにウオ ッチしていますよという仕組みがあるとすると、事業譲渡制限という形で明確にやる必 要は必ずしもないのかなと思って、現に今回のケースも、実際には事業譲渡を同一グル ープ内ではやらなかったわけですね。それは何もそういうものがなくても、それなりに 国が関与してやってきたところがあるので、そこら辺の必然性については一考の余地が あるだろうと思います。 ○遠藤座長 支配関係と言葉を変えたとしても、そういう形で譲渡するということに対 して余り個別事例に引きずられた形で規制を強化することはいかがなものかということ ですね。小島委員どうぞ。 ○小島委員 同一資本グループ内での譲渡の制限ですが、これは一般論ではなくて、指 定取消の場合や指定取消に準ずるような場合にどうするかという、今回の場合も非常に 個別論でございまして、そういうことを前提には、こういう条文がどうしても私ども必 要だと思っております。今回も振り返ってみると、コムスンが同一グループ内で譲渡し ようと実際して、それは各県に事業所ごとですから、事業所ごとに申請が出てくるわけ です。出てくるところまで結果いかなかったのですけど、いきそうなところまで来たわ けです。その時に各県ではそれを拒否することは今の法制度上はできないということで、 私どもとしても出てきたら、これは覚悟して受けざるを得ないのかなと、そういう議論 もしていたのですけれども、結果はそこまではいかなかったのですが、某県知事さんは、 絶対にそんなことは出てきても超法規的にも受け付けんというようなことを言われたこ ともありましたけれども、そういう面では法律的にしっかりしていかないと、基本的に は私ども行政は法を守る立場ですので、それが制限ない中でこういう同一グループ内で 移したので申請しますと言って出てきた場合は、それは受け付けざるを得ません。問題 の事業者が世間で批判される中で、自主規制が今回は働いた場合だと思いますが、必ず しも自主規制が働くとは限りませんので、これは是非とも整備として明文化してほしい なと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。櫻井委員、今の小島委員のお話に何かコメントあ りますか。 ○櫻井委員 判断の違いだと思うのですけど、そういう対応を明文化するという形をと らなくても可及的に弊害を逓減することは可能なのではないかということと、そうはい っても、いなくなっちゃうと一番困るわけで、連座制とも関係しているわけですけど、 そういう意味で、コムスン事例というのはまさに脱法だったところが問題で、脱法的な 行為は阻止されなければならないのですけれども、ある程度、本当に完璧に100%きれ いな事業者でなければ介護事業はできないということだとするとちょっと理想論にすぎ てしまってかえって不都合がむしろバランスとしては生じるのかなという点がちょっと 気になるということで、これは後の事業の継続みたいな話とかかわってくるのだと思い ます。 ○遠藤座長 ありがとうございます。ほかにこの件について御意見ございますでしょう か。狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 この部分は都からの提案をした部分でもあるのですけれども、先ほど御意 見にあったように、必ずしも事業主体は株式会社だけではありません。NPO法人、社 会福祉法人、医療法人もあるわけですから、同一資本グループ内の譲渡というような表 現が妥当かどうかというのは専門の先生方の御意見を聞いて検討していっていただけれ ばいいかと思います。私は実質的な支配、非支配関係にある場合についてやはり制限を 一定すべきだなと。親会社、子会社、株式の保有率ということでいうと、いろんな事例 がありまして、100%株式所有から数%の株式保有までさまざまな形態があるので、そう いう形での規制は難しいのではないかと思っています。 ○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに御意見いかがでしょうか。山本委員どうぞ。 ○山本委員 若干補足させていただきますけれども、私も支配、非支配という形でいく か、同一資本グループという形でいくか、そういったグループ自体を規制対象に加える という方法をとった場合に、概念としては支配、非支配という概念を用いたほうがいい のではないかと申し上げているわけでありまして、そのようなアプローチを積極的にし なければならないとまで申し上げているわけではないのです。そういうアプローチをと らないとすれば、具体的に問題を起こした法人があって、コアの対処をしてもらわなけ ればならないときに、それをどこが受け継ぐかというときに、仮に同一資本グループ内 であっても、あるいは共通の持株会社の下にぶら下がっていても、具体的に事業を譲り 受ける側についてきちんとガバナンスも含めてデューディリジェンスをして、問題ない ということが第三者的な立場にある人などから、今回、実際コムスンはそういう方式を とられたわけですけれども、それで問題ないと認めた事業者であれば同一資本グループ 内でも譲渡していいとか、そういうアプローチをとることも可能であるとは思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。木間委員どうぞ。 ○木間委員 今の点ですが、グループ内での事業譲渡の制限は明文化しておいたほうが よいと思うのです。理由は、親会社と同一グループの消費者トラブルをみると、内容は 違いますが、同一グループの事業者は苦情が目立つのです。「組織ぐるみ」という言葉は 悪いですが、何か共通する経営方針があるのではないかと思うことがあります。  介護の問題以外の事業者について国民生活センターで見てきた苦情をもとに言えば、 悪いことをした人たちというのは悪いことを続けるんですね。今、L&Gの人がそうで すけれども、長年、悪質業者ばかり見てきたものですから、この辺の制限は必要ではな いかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。実態を踏まえてということでございます。それで は、小山委員どうぞ。 ○小山委員 済みません、3回目になっていろいろ勉強させていただいたのですけど、 最初のときに幾つかの対比点があったと思うのですが、今回の事案が、コムスンさんの ことを、不正なのか不当なのかという結論がまだ出てないのですけど、もう一回言いま すが、私は虚偽の申請をするのは不正だと申し上げているのですね。それが著しく不当 かどうかということではなくて、だって虚偽の申請、雇ってない人を雇っているように 見せかけて申請するというのが、これが著しく不当かどうかという議論なら、これは不 正なのだと申し上げているのですね。  その不正に対することと、もう一つ著しい不当という言葉が、著しい不当と書いてあ るから著しい不当が一体何なのかという議論になったのでしょうけど、今回の事案の再 発防止かかわるのだったら、今回は不正だったという頭をはっきりしておかないと、そ こがぐちゃぐちゃになっちゃうとぐちゃぐちゃだと。  それから幾つかの対比点があるのですけど、もし厚生労働省に落ち度があるとすれば、 18年4月1日から制度改正はしましたけれども、広域の展開とか、全国展開への制度設 計上の予見が不十分だったということになるのだと思うんですよ。まさかこんなに広域 展開で全国展開して、グループで意思決定をして、まずいことがあれば廃業すればそれ でいいのだというふうに決める会社が出てくるということを予見できなかったんですよ。 これはそうですよね。  ですから結論から言うと、ここだけでいえば、広域展開、全国展開で不正行為を行っ た場合に、不正行為を行ったグループの事業譲渡に対してというすごいいっぱいくっつ きましたけど、それに対して何らかの規定を設けることは必要だろうと言っておきたい と思います。  なぜそんなこと言うかというと、介護保険は規制緩和をいっぱいしてつくった制度で あるということなのでございますが、実質的な支配基準という議論は何年も厚生労働省 の中で私は少なくとも聞いてきました。これは医療保険の問題で、例えば診療所をお医 者様が開いていますと。診療所のお医者様の娘さんが診療所の前で調剤薬局開くんです ね。これを禁止しちゃうんですね。同族関係で支配関係にあるからそんなことしちゃだ めよということをするわけです。ですから、かなり個人レベルの支配関係といいますか、 家族・親族ならだめよとか、あるいは社会福祉法人というものに対する同族の理事が何 分の1じゃなければだめよというので、何かよくわからないのですけど、厚生労働省の やり方は、やめてみて気がつくのですけど、何でも事業所単位で属人的な単位で、なる べく家族で利益を回らないようにというようなことになっているのですが、多分制度的 に弱いのは人に着目するのはすごい得意なんですね。ですから理事とか役員は兼務して はだめよとか、6年間もさよならにしちゃうよという人に関しての規定はついているの ですけど、何しろ社会保障を中心的にやるような役所なので、資本関係については余り 知識がないというか、金の結びつきよりも、血とか人間に着目している役所なので、完 全に無頓着だったというので、きょうはそんなことで大変申し訳ないのですけど、同一 資本グループ内といった場合に、私のような者でも、例えば子会社、孫会社、連結決算 対応、強固な業務提携、役員派遣と全部思いつくこと言いますけど、何がグループなの ですかといった場合、グループといってもなかなか難しいのですよ。「三菱」という名前 がつくのが全部グループだとか言われると大変なこと、「トヨタ」がつくなら全部グルー プだという、そうでもどうもなくて、トヨタという名前つかなくても、アイシン精機と いう会社もありますし、一体何がグループなのだと。  資本関係を全部見るのかということになると、そうすると厚生労働省なり都道府県は 介護事業者の資本関係を全部知ってなければいけないということになるのですね。調べ られる方法があるということになってしまいますので、申請時に何か書いてもらうのは いいのですけど、その後、変わったらちゃんと知らせてくれ。どうやってやるのかよく わからないのですけど、コンピュータかなんかに入れて決済するならいいのですけど、 それをまた紙ベースで隣の県に聞いたりしていることは大変ですし、それから本社が、 全国展開しているものは本社は東京にあるわけではないんですね。静岡県にある場合も 北海道にある場合もあるわけでして、そうしますと、同一グループといった場合に、そ れを事業譲渡の制限を加えるという規定は、国がどうもやらなければいけないというの で、国に権限付与はしなければならないのかと思うんです。  したがって、私はよくわからないので、同一グループ内での事業譲渡に関して何か言 えるというよりも、同一グループ内での事業譲渡に対して厚生労働省が何か言えるとい う規定は設けざるを得ないのだろうけれども、どんなものでもグループ会社といったら、 医療法人が社会福祉法人持っていて、社会福祉法人が株式会社持っていて、株式会社で は有料法人ホームやって、社会福祉法人では特別養護老人ホームやって、医療法人は老 人保健施設と診療所やっているという、これは全部実はグループではないんだよね、み んな別々。こっちはグループではないんだけど、株式会社になると、みんな全部グルー プだというんですね。頭が悪いもので、これ以上はわからないのですが、「同一資本グル ープ内」という、この言葉がよくわからないので、もう少しお勉強をさせていただくか、 お勉強していただくか、資料出していただかない限り、ここの議論は結論が出ないので はないかと思います。  ちょっと長くなりました、済みません。 ○遠藤座長 小山委員の御意見としては、支配関係あるいはグループというようなもの 仮にあった場合の譲渡、それが仮にそれが規定できたとした場合は、その中での譲渡に 対して何らかの規制を加えるということはそれはよろしいのですか。 ○小山委員 はい。 ○遠藤座長 そもそもグループの定義ができないのだから、余り意味がない話なのかと いう話なのか、もう少し考えてグループの定義を考えなさいという、そういうことなの ですか。 ○小山委員 意味がないとは一言も言ってない。例えば全国とは言わないけど、広域に 展開する事業者であって「同一資本グループの」とつけないと、何でもかんでも同一資 本グループといったら、診療所と調剤薬局とヘルパーステーション持っていると、これ は同一グループだということになってしまうので、もし事案に沿って考えるのだったら、 先ほども言ったように、広域展開、全国展開をした何百という事業所を持つ事業者が、 こんな不正をするという予見をしてなかったということが問題ですから、やるときはや るんだなというのですから、今度やるときにはだめだぞと言えるようにはしておいても らわないといけないのですが、ただ、同一資本グループ内ということを言ってしまうと、 今後行政が指導する場合に何が同一グループなのかで、また有限解釈しろという形で、 明文化しろとか言われて、グループにはいろんな、交際の仕方にもいろいろあるようで すから、資本関係にもいろいろあって、「同一資本グループ」という言葉だけで議論を進 めてしまってはちょっと難しくなっちゃうんじゃないですかという意味で、やることは 明文化しておいたほうがいいと思います。 ○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 確認させていただきたいのですけど、先ほど小島委員が、知事が超法規的 措置とおっしゃったのは、それは事業譲渡されて、改めて指定が上がってきたときにど うするか、指定の申請が来たときにどうするか、そういう対応ですね。 ○小島委員 そうです。 ○櫻井委員 今は会社法的な御議論でやっていると思うのですが、多分理屈上は申請が 上がってきたときに、申請権の濫用というのは一般法理としては承認されているところ で、たしか土地関係の法律だと濫用が心配される場合は明文化していて、私人が申請し てきたときにはそのまま通さなくていいというような条文が幾つかあったと思うんです。 ちょっと私、条文を失念しているのですけれども、だから申請ベースのところでブロッ クできればむしろ問題ないわけで、そういう意味で超法規的にする必要は全然なくて、 やろうと思えば阻止できたということなので、そういう会社法的な、事業譲渡そのもの を制限しなければいかんかというのが1つ、それはそれとしてとりあえず置いておいて、 要するに指定されなければ問題は起きないので、そこの部分で考えると、そんなに大き な制度を改正しなくても足りるのではないかという印象をちょっと持ちました。 ○遠藤座長 わかりました。恐らくこの議論はまだ続くかと思いますけれども、ほかに も検討することがありますので次に進みたいと思います。  次は非常に重要な課題の「(3)『連座制』の在り方」ということです。ここにもいろ いろな意見が出ておりまして、ランクづけをつけるべきではないかとか、「地域限定的な 不正」と「横断的な不正」は分けて対応するべきではないか。いろんなことが書かれて おります。要するにより細かく対応する必要があるのではないかという意見があるとい うことですが、これらについて御意見いただきたいと思います。櫻井委員お願いします。 ○櫻井委員 たびたび済みません。「連座制」については、私も何で連座制なんて設けた のだろうというのがあって、本来ゼロベースで議論するとしますと、ほかの対応は幾ら でも考えられるのに、なぜあえてこんなに大きな影響をもたらすような仕組みをつくっ てしまったのか、何となく目的と手段がばらばらだなといいますか、比例原則に反して いるなという感じがしているので、ここは緩和をすることがいいのではないかと思いま すし、一定程度サンクションの効果あることは事実ですけれども、先ほど人の関係が強 いみたいなお話しをされていましたが、私も同じ印象をこの法律を見て思っていまして、 もっとドライにやったほうがよくて、こいつが気に入らないと、これが悪であるという ことで余りストレートに狙い撃ちしてもしようがない。その人がいい人か悪い人か余り 関係ないので、ちゃんとした事業をきちんと展開してくれればいいので、そういうスキ ームを客観的にドライにつくればよろしいので、俗人的な要素に引っ張られないという ふうに少し要素を変えていくとよいのではないかと思います。  70条1項の6号なんていう話も、括弧書きの中も、丸括弧の中の(支配力するには… …)ダーッと列挙されているのですけれども、いいのか悪いのか、そこまで言わなくて も別のもっと簡単な文案があり得るのではないかということを思ったりしております。  以上です。 ○小山委員 済みません。 ○遠藤座長 小山委員どうぞ。 ○小山委員 済みません、ヒアリングのときに、私は皆さんにお聞きした、議事録にも 残っていますけど、「今回の更新制の導入と連座制の導入には反対ですか」と言ったら「反 対はしていません」とおっしゃったんですよね。それでもう一回言いますが、今度の字 上がりで、もし100%厚生労働省のつくった制度が悪法であっても、法律ができていて、 それで違反する人がいて、社会的に大きな批判があったから、その法律を直すという話 になると、一体これは法治国家なのかどうなのかよくわかりませんけど、本質は違うと 思うんですね。  連座制がいいか悪いか、ここで議論するのかというよりも、制度は連座制を入れて、 それは多分連座制を入れておかないと大変なことになるという議論が前提であって、そ こまでして介護保険サービスを提供する事業者の質を担保させようというふうにして更 新制と連座制が導入されたわけですから、私はもう一回、まっさらに制度をつくる議論 をして、連座制の在り方を議論したところで、また大変なおかしな話で、この有識者の 考える会が、連座制に少し修正したほうがいいのではないかという話になってしまうと、 何のための有識者なのか、無知識者の集りだったのではないかという批判を受けること になると思うんですよ。システムとしてあって、おかしいですかと聞いて、事業提供者 のほうは連座制を更新しても別におかしくないと御発言いただいているのに、また連座 制についてはここでやめちゃうという議論をするのだとすると、何を根拠に連座制とか 更新制をやめてしまうのかということですから、「『連座制』の在り方」書いてあるのだ けど、在り方といっても、そうやってつくったのだから、それはそれでしようがなくて、 もう一回、連座制を見直すのだったら、連座制を見直さなければいけない明確な理由が ない限りその理論はなかなか難しい。  それから、連座制の中で更新の話で、更新は許してはいけないみたいな話が明文化さ れているけど、場合によっては許してやってもいいではないかみたいに直したらどうか という話がありますけど、これも厚生労働省がそういう意図で変更しなければいけない ような事案があるとか、都道府県で実際に監督・指導されている方が、この文章のまま ではとても自分たちはやりきれないという何か明確な理由があれば考えなければいけな いのでしょうけれども、そうでもなければ、連座制の在り方というのは、結論から言う とこのままではいいのではないですかと。それのほうが、国民から見れば、そうか、こ んなに連座制という……何ていうのですか、連座制というのはどうかわかりませんが、 一族郎党全部討ち死にみたいな強いことをやっているかもしれないけど、介護保険サー ビスという生活に密着したサービスを提供する事業者さんは、連座制とか更新制とかと いう非常に厳しい条件の中で事業展開して、私たちのために働いてね、というのが国民 の声だと思うんですよ。だとすれば、この在り方を緩和するというのは、何考えている のだという批判のほうが多いのではないかと考えています。 ○遠藤座長 ありがとうございます。基本的には連座制をなぜ考え直すかという議題に しているかというと、継続的なサービス提供に支障があったということと関連があるか どうかということで議論されていると理解しています。ですから1つの考え方としては、 連座制の問題はこのままにしておいて、むしろ継続的なサービス確保の在り方に何らか の対策をとるというようなアプローチもあるわけですし、あるいは連座制の在り方を緩 めるという考え方もあり得るし、いろいろ考え方があるという中で議論しているのだと 理解しております。小山委員は、連座制はこのままでよろしいのではないかと、そうい う御意見だったと理解いたしました。  ほかにございますか。それでは小島委員どうぞ。 ○小島委員 連座制を批判されていることは、この辺の中でといいますか、最近の評価 という意味ではないと思います。連座制があったことによって秩序が今回維持されたと いう評価にむしろなるわけではないかと思います。連座制ではなくて、連座制によって 派生する問題をどう処理、そのあたりはうまくいってない部分があって、その部分に対 する手当てについて検討していくというのがこの有識者会議の議論ではないかと私もそ ういうふうに思いまして、連座制自体を批判されているということは余り考えるべきで はないのではないかと思います。  それに関しては、前回の会議でもいろいろ意見があって、そこに幾つか書いてあるわ けですけれども、特に連座制に関連して都道府県知事がそれぞれ判断するといいますか、 今は全国一律更新しないということに対して裁量の余地を与えたらどうかというような 意見も出ていますけれども、そうしますと、実務の立場からすると、一律更新不可なん ていうよりも、利用者の立場に立てば、今の事業者にやってほしいということになって しまうわけで、それだけ連座制の効用は減退するわけで、1県の中だけは連座制は提供 されるけれども、そのほかの県はそれぞれ裁量でとなりますと、安全サイドに行くと、 現状の事業者でいこうという判断がかなり強く働くと思われます。そういったときに連 座制の効果は非常に軽減するわけですので、今回のようなインパクトのある形で市場か ら退場というようなことはなかったのではないかと思えば、こういうふうに緩めるとい うことではなくて、一律更新不可というのが、それでもって法秩序が維持されたと理解 すべきではないかと思います。 ○遠藤座長 御意見ありがとうございました。山本委員どうぞ。 ○山本委員 ちょっとだけ補足させていただきますけれども、2つ議論があって、連座 制をそもそも残すべきか残さざるべきかということと、残すことを前提として現在の状 態から変えるべきかどうかという議論でして、今までの御意見を伺う限り、残すべきだ という御意見が大勢のように思いますが、そうするとそれを前提としてそれを変えるべ きなのかどうなのかというところで、それについては私は小山委員も言われたとおり、 連座制のトリガーになっている問題事例が具体的にどのような事例なのか、要するに全 国一律更新不可というドラスチックな効果をやはり維持しなければならないような性質 の不正事例がたくさんあるのか、あるいはここに書いてあるような、もう少しフレキシ ブルな裁量的な対応が必要な事例になっているのかと。  そういう意味では「地域限定的な不正」と「横断的な不正」を区別するというのは1 つあり得るところなのだろうなと思います。ただ、その前提としては、その不正行為が どのように起こっているかということを正確に把握する情報の共有のシステムは必要で あって、横断的な不正が実際に起こっていることをきちんと認識できるようなシステム は必要なのだろうと思います。それを前提に横断的な不正だから全国一律に更新不可と。 地域限定的な不正の場合にはその地域に限って裁量的に都道府県知事なりが更新不可と することができるというアプローチをとる場合に、もう一点、留意するべきこととして は、同じようなことをやっているのにある県では更新不可になって、ある別の県では更 新が認められているというような地域間で余りにもひどいバラツキが出てくるようなこ とのないような措置は、もしこのような裁量的なフレキシブルな方向で改正を加えるの であれば、配慮すべきことではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。もしそのように弾力的に対応するのであれば注意 をする必要があるということですね。ほかにございますか。よろしいですか。連座制の 在り方は、先ほど申し上げましたように、その後の継続的なサービス確保の在り方の問 題と非常に表裏の関係にありますから、また、そちらの問題は後ほど議論させていただ きたいと思います。  あと2ページの「その他」というのがありますが、これはその他なので文章として示 されていませんが、「不正又は著しく不当な行為」の解釈、特に「著しく不当な」という ところの解釈をもう少し明確にする必要があるのではないかというような議論があった かと思いますが、これについては何か御意見ございますか。これは私の記憶では多くの 方が、特に「著しく不当な行為」、あるいは「不正」も入っているのかもしれませんが、 解釈と適用基準の明確化が必要だということに言及されたように記憶しておりますけれ ども、ここの不明瞭なところが、逆に行政の上で困っているというようなことはござい ますか。狩野委員もしくは小島委員。 ○狩野委員 よく条文の中の77条の取消をする場合に、ストレートに不正があったとき とか、虚偽の報告があったときという条文を使えるときには、わざわざ「不正又は著し く不当な行為をした者があるとき」という条項は使う必要がないわけですから問題は生 じないのですけれども、ほかの条文が使えないときにこの条文を使わざるを得ないよう な事態が生じたとき、若干この解釈が難しいというのは都道府県の立場としてあります ね。ここの条文を多分使うのは、本当に今回のような例外で、通常は虚偽報告ですとか、 不正があったときというふうに明確になっているわけですから余り生じない例だと思い ます。 ○遠藤座長 ありがとうございました。そのような行政の現場からの御意見です。櫻井 委員どうぞ。 ○櫻井委員 この「不正又は著しく不当な行為」は、ある種の受け皿条項です。これは 行政は困ることは余りなくて、むしろ申請者側といいますか、私人の側の事業者側のほ うが予測可能性がないのではないかということでむしろ問題は提起されるのだろうと思 うのですが、これは行政手続法からいうと審査基準をつくらないといけないという話に なっているから、多分ある程度具体化するということは本当はやらなければいけなくて やっておられるのかもしれませんが、幾つか典型例みたいな、仮に経験的にできるとす ると、そういうのはある程度下位規範で具体化すると。だけど、最終的には同じような 文言をそのほか、こういう「不正な場合」というふうに入れざるを得ないのと、あとす べての事案を想定できませんので、想定できないような、しかし本来想定していれば当 然条文つくったであろうというようなものについては残しておくのは当たり前のことで、 立法技術としてはこういうのはなかなか全部なくすというわけにはとてもいかないし、 あと多分ノンフィクションレターを使うと、私大丈夫ですかというのを聞くことはダイ レクトにできるのではないかと思うので、私人の側も恐らくそれを使われれば余り弊害 はないのではないかと思います。 ○遠藤座長 なるほど。実際に適用されるような案件も極めて少ないし、しかも立法上、 普通このようなものが必ず1項のり代のように入っているというのが一般的であるとい うお話しだと思います。ほかにこれに関して御意見ございますか。よろしいですか。  それでは少し先を急ぎたいと思います。3ページ、「2.指定事業者における法令遵守 徹底のための必要な措置」というところでありまして、ここは少し「(1)法人内の体制 確保」と「(2)指導・監督の在り方」、まとめて御意見いただければと思います。 ○櫻井委員 是非御検討いただきたいのは、2のところ、4ページになりますが、最後 の下から2つ目の「・」で「規制ばかりでなく……インセンティブを……」というとこ ろがあって、これは私は言った話なのですけれども、この仕組みの中で、指定制度につ いてどのように規制つくるかという議論されているのですが、この中で70条の2、「指 定の更新」の話があって、要するにすごく多様な事業主体がいて、なるべく介護事業が 少しでもよくなっていくような仕組みをつくる、そこを促していく、将来性のあるよう な、という流れが大事だと思いますので、芽をつむのではなくて、是非指定更新のとこ ろでインセンティブをつくれるのではないかと思うのですが、この間も言ったかもしれ ませんが、例えばどこか一文入れて、コンプライアンス体制が良好と認めるような事業 者については特例を設けて、指定の期間を6年ではなくてもうちょっと長くする。本来 6年は長いかもしれませんけど、例えば3年にして、で、良好と認める者については6 年とすることができるみたいな条文があると、ちょっとずつ促されるのではないかと思 います。指定取消とか、連座制とかというところだけではなくて、そういうのを入れら れると自然とというか、少し前に進むのではないか。ゴールド免許方式でやっていただ くといいのではないかと思いますので是非お考え方いただきたいと思います。 ○遠藤座長 今、4ページまで行ってしまいましたけれども、これは後の議論という形 で、今先取りして承ったということで…… ○櫻井委員 済みません。 ○遠藤座長 とんでもないです。(1)、(2)で、特に御意見ございませんか。それでは 小山委員。 ○小山委員 法人内の体制確保についてはもっといろんなことがあるので、いろんなと ころで検討してくださいという、ここに特に意見はないのですが、企業のトップマネジ メントの資質の向上が必要というのも、まさにそれ一言になってしまうので、それはそ れで何かつくって、法律以外にも関係団体とかもありますから、そこでそれはいいので すが、指導・監査の在り方で「行政がこまめに、かつ、機動的に体制づくり」というの ですけど、私が知る限り介護保険に関しての各都道府県さんの監督・指導の実態は本当 によくやられていると思うんです。御存じかどうかわかりませんが、すべての事業所を 3年に一遍ぐらいは必ず結構時間かけて回っていらっしゃるという実態で、医療機関な ど診療所だけで9万8,000ぐらいはあるわけで、医療保険よりは介護保険のほうが事業 処理行っている数ははるかに高いのが実態だと思うんですよ。何でもこまめにと、何か 知らないけど、公務員批判のある中で、こまめにもっと働けと、まめに働くのはいいの ですけど、私は介護保険事業の監査・指導に関しては、医療保険の悪口ではないのです けど、医療保険とか生活保護制度とかいろいろありますから、それから見ればかなり一 生懸命こまめに動いていますよということを一言言いたいのです。  2つ目に言いたいのは、監査を一本化するとかということがありますが、ここの議論 で欠けているのは、広域展開、全国展開の事業所については「国が直接指導・監督でき る」と書いておいてもらわないと、今、このままでいきますと、さっきの議論と同じで すけど、国といいますか、老健局さんの中で少しやってもらえるような仕組みをつくっ てもらわないと、今のままだと都道府県さんにみんな押しつけていって、何か後になる と国が出てきて、そんなに大変ですねみたいな感じになるので、その仕組みについては どうやってつくのかわからないのですが、御検討いただくということを意見にしたいと 思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。一番最初の議論したのと重なりますが、広域展開 している場合の国が監査の主体となるという意見であります。ほかにございませんか。  それでは大事な問題として(3)が1つあるかと思います。これは具体的な案が出て おりまして、似たようなアイディアなわけでありますが、制裁金を取りましょうという アイディアと、「保険給付+加算金相当額」を徴収金として取りましょうというアイディ アが2つ出ているわけありますが、このペナルティについてどう考えるか、御意見ちょ うだいできればと思います。 ○小山委員 済みません、罰則なのですけど、今度の場合は居宅の事業者だったのです が、たしかうろ覚えですが、介護保険制度で特別養護老人ホームとか、ほかにもありま すが、老人保健施設で一番大きい不正というか不当は職員がいないことなのですね。リ ハビリテーション職員がいないとか、看護師さんが足りないでも平気でやっているとか、 それをみんなで隠蔽していて、職員が全部いますよと言ってやっている場合は、実は職 員が減った、理学療法士や作業療法士どっちもいないとかということになると、100人 につき1人だから、あんたいませんねと。いませんと介護報酬を30%差し引いて請求す ることになっているのですね。それで30%差し引いて請求しなければいけないのに、し ないで満額もらっているとこれはかなり危ない。不正といえば不正なのですが、不正で、 それが5年前からやるとしますね。5年間の30%分だけの返還だけでもつぶれるのです が、その上に加算金がいきますから、5割ぐらいまで取られてしまって、特別養護老人 ホーム、老人保健施設に関しては、もし一発、今の不正が見つかれば、銀行も絶対お金 貸しませんから即日つぶれます。5年間うそをついているところについては。  それを知っていてもまだ不正をやっているという介護保険施設があるとすれば、毎日 刃物の上を歩いているようなものでいつ切られるかわからない。そういうのがあるかど うかということについては、ここで何とも言えないのですけれども、そういう形で施設 の場合には金額がでかいので、不正をするということは施設を実質的に経済的に運営で きないということなんです。  多分罰則強化といっていても、これ以上どうやって罰則するのかなという現実的な問 題と、あと今回の事案だけでいけば、虚偽の申告をした場合に罰金刑があるとかという のであれば、それはそれでお考えいただいていいのですけど、ただ、罰金すごく高くし たところで余り効果がないと。しかし、そういうふうに言ったら、警察に勤めている人 が、そんなことはないと。飲酒運転100万円といったら、みんな飲まなくなるのではな いかと。虚偽の申請をすると1,000万円とかということになれば、虚偽の申請をしなく なるかもしれませんが、行政的に見て虚偽の申請をしてくる人たちに何の罰則がないと いうのもちょっとおかしいのかなという意見であれば、介護報酬上の罰則ではなくて、 そっちのほうの罰則は何か検討、私、法律の専門ではないですけど、できるならしてい ただければと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。既に介護報酬減額という形で経済学的なサンクシ ョンがかかるようになっているという実態の解説があったわけです。これに関しまして 何かほかに御意見ございますか。櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 罰則の話は2番目の話で、罰則以外のものも考えたほうがいいというのは 私の意見なのですが、これを言ったのは、たしか東京都さんが罰則を設けるべきだと言 ったから、それ以外の方法のほうがいいのではないですかという、そういう文脈で申し 上げたので、行政制裁金は、介護の関係ですと、行政制裁金つくるのは大変なんですよ。 ちょっとB/Cが合わないかというのもあるのと、一般論としましては、制裁としては罰 則そのものというよりは、例えば更新をしないとか、インセンティブを含めてなのです が、取消をするとか、そういうサンクションのほうがずっと効くのですね。なので、そ ういう意味で事後的な制裁措置としての、罰則そのものは機能不全に陥っているという のは共通認識ですので、過大な期待を持つ必要はないのですけれども、その限りにおい て、私の意見を、これはむしろ書いていただかなくても結構なぐらいで、違う実効性確 保の手段を考えるべきだというふうに変えていただけるとありがたいと思います。 ○遠藤座長 わかりました。次回これをまとめる段階でそのような格好で修正したいと 思います。ほかにございますか。罰則等について。山本委員どうぞ。 ○山本委員 罰則に関しましては刑事罰ということになれば、これは一般予防的な観点 からももちろんなのですが、同種事例との横並びということはどうしても考えざるを得 ないところだろうと思うので、逆にいえば、ほかの法律で同じような虚偽届出とか、そ れで指定を受けたことが刑事罰の対象になっているのであれば、同様の刑事罰を設ける という選択肢は当然あり得るところだろうと思います。それに加えて行政制裁金である とか、そういったことは、これについては特別予防ないし一般予防的な効果をむしろ考 えるべきところで、そういう観点からいえば、今、既に何人もの委員の方がおっしゃっ ていただいたように、それがこの介護事業においては必ずしもそういった制裁金を課す ことが、特に効果がないわけではないのですけど、むしろマイナスの効果が多いという ことであれば、なくてもいいのかなと思います。確かに指定取消であるとか更新拒否で あるとか、そういった行政処分のほうが多分非常に大きなサンクションになるであろう と思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか、(3)につきましては、 小島委員どうぞ。 ○小島委員 意見になりますけれども、刑事罰というのは、基本的にはつくってもなか なか実効性が上がらないと思われますし、今のままでも他法で刑事罰に持っていくこと も不可能ではないといいますか、そういう道もございます。それよりも今の指定取消や 強力な連座制というようなものが、それにかわるシステムとなっていると思います。  あと、加算金のこともここに出ていますけど、今の仕組みでも加算金を取るという仕 組みが一部にはあります。それを更に拡大するとか、今の仕組みで結構仕組みとしては あるのではないかと思います。 ○遠藤座長 わかりました。ありがとうございます。  それでは、続きまして「(4)外部評価システムの活用」ということで、既にあります 情報公開のシステムの活用の話であるとか、あるいは決算書を開示するべきだという御 議論も出たわけでありますが、いかがでございましょうか。あるいはピアレビューの話、 市民による監視というような、情報公開についての課題ですが、何かコメントございま すか。小山委員どうぞ。 ○小山委員 1回目に狩野委員に、介護情報サービスも第三者評価も役に立たなかった と言われて、まだ恨みに思っているんですけど、余り抑止力はないと思うんですけど、 外部評価システムを東京都さんすごく苦労していて、東京都さんが実は、ほかの県もよ くやられているのですけど、第三者評価もとてもいいものをつくっていただいているん ですよ。あと、もう一つ、ここに抜けているとすれば、苦情対応についても、何万件も 東京都さん苦情を集めて整理して分析して第三者評価にも使っていらっしゃるので、い ろんな手を重層的に考えないといけないので、外部評価システムについては是非もっと ちゃんとした外部評価システムをやれというふうに言ってほしいのと、あと介護サービ ス情報の公表制度は去年の4月1日から始まって、その前、4年間も毎月呼び出されて つくって、何か役に立たないと言われると、自分も役に立たない人間のように思ってし まって、役に立たないですけど、でも介護サービス情報公表の制度は御理解いただきた いのは、ほとんどの事業所がWebサイト上に何か自主的に発言できるものもあれば、 調査員が確認した資料も載っているというシステムが提供されているわけですから、こ の内容を更に充実しろとか、私は済みません、コンプライアンスは守っていますという ところに何か花マルかなんかつけてもらって、つけていて本当に不正したら後でひどい 目に遭うぞみたいな方法もありますし、介護サービス情報とか第三者評価をすごく受け ているところは、監査・指導には6年に一遍しか来ないぞとか、何でもいいんです。そ れこそさっきのいろんなこともあるのですが、是非外部評価システムについてはほかに もいろいろあると思うのですが、重層的な外部評価システムをつくれと。  その外部評価システムについても、都道府県、国が一層その普及に協力しろみたいな ことをはっきりしてもらえると、今、既存でよちよち歩きしているいろんな制度が少し 元気になるかなと思います。 ○遠藤座長 狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 私も基本的に小山先生の考え方に別に反対ではありませんので、できるだ けうまく介護サービス情報公表制度などは活用したい。ただ、そのためには少しこの議 論とはちょっと外れるのですが、公表制度そのものの中で、例えば調査項目をそろそろ 何項目か見直して、例えばさっきの2の(1)の2つ目の「・」にありますが、事業者 としての例えばコンプライアンス委員会の設置とか法令遵守担当者が設置されているか どうかとか、そういう調査項目を入れて、利用者の方が点検できるような項目を入れて ほしいというのと、1年に1回の調査ですと、例えば管理者が変わったとか、職員の構 成が変わって欠員が生じているとかという情報が反映をされないものですから、もう少 しリアルタイムで情報が反映できるような仕組みになれば、小山先生おっしゃるように、 非常に牽制効果はあると思っております。  例えば我田引水で恐縮ですが、東京都の医療機関情報は「ひまわり」という名称でや っています。これは要は事業者に入力をさせる。事業者にパスワードを与えて、例えば 管理者が変更になったとかという場合は、事業者が自らパスワードを開いて変更届がで きるということを割とリアルタイムの情報が提供できるようになっています。ほかのサ ービス情報も将来的にそうなれば、わざわざ改めて管理者とかサービス提供責任者のデ ータを集めなくても、現在のこの制度上でチェックができるという意味では有効活用が 図れるのではないかと思います。今回のこの法改正のための議論とはまた別ですけれど も。 ○遠藤座長 ありがとうございました。これにつきましては、たしか私の記憶では木間 委員が決算書の話であるとか、あるいは介護相談員が現場に行って施設を訪問したらと いったようなこともお話しされていたように記憶しているのですが、何かそれに付加す ることございますか。 ○木間委員 追加することはございません。介護相談員は市町村にいるのですが、かな りの数がいますので、これを活用されるとよいと思います。介護サービス情報公表制度、 第三者評価制度は私もかかわってきたわけでありまして、この会議の議論とは違います けれど、より良いものにしていかなくてはいけないと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。確かに直接法改正とは関連しませんけれども、ガ バナンスの上で重要なものであるということだと思います。ありがとうございます。  それでは(5)、これは先ほど櫻井委員からインセンティブについての御発言いただい たわけですけれども、それ以外に何かこれに関連してございますか。狩野委員。 ○狩野委員 第2回目の関係団体のヒアリングの中で日本介護支援専門員協会の会長さ んもおっしゃっていますけど、最後の「介護支援専門員によるケアマネジメントの徹底」 というあたりを是非、法の中にどういうふうに入れられるのかというのは難しい問題は ありますけれども、やっぱりケアマネージャーさんが現実に居宅サービス事業所で御自 分が立てたケアプランどおりに適切にサービスが提供されているかどうかというのは今 でも点検・チェックをしているわけですから、彼らの役割をきちんと評価をしてあげて 居宅介護サービス支援事業所のケアマネージャーさんたちが、要は介護給付の適正化に も資するような位置づけをきちんとしていただきたいなと思います。  ケアマネージャーさんのインディペンデントという意味での自立と自律、その2つの 機能をしっかりと法の中に位置づけていただいて、独立した専門職としてきちんと適正 化の第一線で頑張ってやっていただけるように是非していただきたいと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。木間委員どうぞ。 ○木間委員 法改正につながることではないのですが、法令遵守のための事業者に対す る情報提供の在り方が気になっています。事業者にもよりますが、法令遵守が求められ ているという意識は、事業者によっては非常に今高くなっているように感じます。とこ ろが細々とした改正や基準、解釈通知などが出されると情報を紐解くことがとても事業 者にとって難しく、それらは国から都道府県、市町村には伝わるのでしょうが、事業者 は、どういうふうにこれを解釈するのか。解釈通知をどう解釈するかがわらなくて、社 会福祉協議会、市、区に問い合わせてきているようです。運営基準や解釈通知、Q&A を事業者に十分伝えることが必要だと思います。 ○遠藤座長 特に法改正とは直結しないかもしれませんが、非常に重要なことだと思い ます。いろいろ変えてはみたけれども、変更が伝わってないというのであれば何もなり ませんので、その辺のところは国と自治体が今いらっしゃいますので、よろしく御検討 のほどお願いします。  では次に5ページになります。ここも重要な課題が残っております。「(1)事業廃止 時の手続の在り方」、廃止のタイミングについての議論ですね。これも今回の事案などが 1つポイントになっているのかと思います。これについていかがでしょうか。 ○小山委員 済みません、毎回しつこいようですが、きょうの説明で、コムスンさんが 行き場所が決まったということで、一時こういう事件が起きると介護難民が出るみたい に言われたのですけど、ほかにも東京都さんが抱えているいろんなことが話し合われて いるのだと思いますが、今回は廃止時に利用者のサービスの質の確保はできたと判断し てよろしいのですね。 ○遠藤座長 これはどなたに対する質問ですか、東京都ですか、あるいは国ですか。 ○小山委員 国というか、はっきり言って何かよくわからないのだけど、オオカミが来 るぞと怒鳴られてオオカミが来なかったんですねと聞いているのですけど、課長さんで も、厚労省で情報を持っていればいいのですけど、今回は事業継承はうまくいったんで すね。ですからオオカミが来るぞって、今度はオオカミが来なかったけど、今度オオカ ミが来たときどうするかという議論をしているわけですけど、どうかということです。 ○遠藤座長 小島委員が手挙げておられますので。 ○小島委員 私もこの件で早くしていただかないと、「介護難民」というかどうか別にし て、そういう方が出てくるおそれがあるということは申し上げた記憶があります。現場 ではどうしてもスタッフの方々も不安になっていくものですから、もともと非常に流動 性の高い業界で、すぐやめてしまうというわけです。そういう中で事業所として大幅に 人がやめて、そういう関係の方に聞くと、新規に入ってくることはまずない。だからや めていくだけで、補給はありませんので、一定の線までいくと事業所としては成り立た なくなるから廃止するということになるわけですけれども、そこへ行く前に早く事業譲 渡をしなければならんということだったと思います。それが的確に割と短期の間に、事 業譲渡がなされそうである、事業譲渡の先が見えてくるということで、そう不安が拡大 しなくて事業譲渡がうまく進んでいくということでスタッフも維持できたと。全部かど うかわかりませんけれども、かなりの部分は維持できて、現在のところそんなに問題は 起きてないのではないかと思います。  ついでに、今の事業廃止時の手続の在り方についても、よろしいですか。 ○遠藤座長 続けてどうぞ。 ○小島委員 これは2つの意見が出ているわけでございます。事前か事後かというよう な話よりも、私ども本当に困るのは、監査に入ろうとすると廃止届を出されてしまい、 手も足も出なくなるところを、監査に入った以上は、そこに何か問題があるから監査に 入るわけですので、それを事業廃止で監査を受け付けないよということ、これはあり得 ない世界ですので、監査に入ると同時に廃止届は出せないという仕組みにしていただき たい。それさえしていただければ、どこに問題があるのか、どう直すべきかという勧告 や命令とかということにつないでいける。あるいはそれでゆくゆくは指定取消になると 連座制ということになるわけですけれど、その前に廃止届出されると手も足も出なくな ってしまうというのが今回の問題だったので、これを拒否できるようにするということ が必要だと思っています。 ○遠藤座長 ありがとうございます。今の小島委員の御発言に対して何かございますで しょうか。狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 私は基本的に事後届出制から事前にすべきだというのは、今言ったような 脱法行為を防ぐというのは、もちろん直接のねらいはそこにはありますけれども、それ よりも「利用者保護」という観点から廃止をする場合に、事前にきちんと御利用者さん に御説明をして、あなたが、次はこういう事業者さんにきちんと紹介をしますよ、とい う期間をやはりとるべきだ。それが事業者が事業を廃止するときの最低守らなければい けない企業としての責任ではないかなと思うのですね。それが事後でもうやめました。 一応利用者さんには説明しましたというだけではやはり問題があるのではないか。そう いう意味で事前届出制にすべきだと私は思っています。  施設サービスですと、2カ月前になっているのですけれども、そこまで前に設定する 必要はないと思いますが、事前にして説明責任をきちんと果たすべきだという観点で事 前届出制を考えたらどうかと思います。 ○遠藤座長 内容についての解説がございました。ただいま狩野委員のおっしゃられた ことにつきまして何かコメントございますか。その他でも、事業廃止時の手続の在り方 について何かあれば。よろしいですか。小山委員どうぞ。 ○小山委員 一番最後の「相談援助機関としての在宅介護支援センターの活用」という のは、お話しいただいた遠藤座長様が、以前の在宅介護支援センターは本当にきめ細や かに地域の方とも相談事とかに乗ってきて信頼関係もつくってきたから、もう一度考え 直したらどうかと言ったのですけど、要するに在宅介護支援センターということは、18 年だったか、17年だったか、在宅介護支援センターというところは主体規制の緩和をす る前、株式会社とかが入ってくる前につくったシステムで、介護保険法ではたしかいろ いろ不十分な点があるようですが、地域包括支援センターというものを今つくっていて、 それを中核にやろうとしているのですが、これは在宅介護支援センターの活用というの は、もう一回在宅介護支援センターを復活させるのですか。それともそういう機能が要 るという、ここに意見として出ていますが、何かちょっと違うのではないか。地域包括 支援センターできちんと介護予防や相談事とかいろんなことをやるし、ケアマネージャ ーは配置して、ケアマネージャーは、たしか介護関係に対して相談に乗る機能もあるわ けですから、在宅介護支援センターを活用すると、事業廃止時の利用者のサービスの確 保のために何か役に立つというロジックが私にはわからないので、余り関係ないのでは ないか。こんなこと言ってはいけないんですか。 ○遠藤座長 これはたしか団体からのそういう発言だったと思いますので、そういう意 見があったということで、それに対して小山委員の御見識からいうと余り的確ではない という御判断だということだと思います。  ちょっと(3)まで飛んでしまったのですが、「(2)継続的なサービスの確保の在り 方」が、これまた重要なポイントでありまして、これについて集中的に御意見賜れれば と思います。幾つかのアイディアが出ているわけでありますが、櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 最初から申し上げているように、私は継続的なサービス確保の在り方とい うのは非常に重要で、介護の場合は生身の人間を相手にしているので、あした来てくれ ないと困るという話なので、そこはやや特段の配慮が必要なのだと思うのですね。ただ、 民間の人も入っていただくことになりますと、場合によっては穴があくことはなかなか 避けえないというところはある種のリスクとしてはしようがないのですけれども、少な くとも今回の中で結構上手にうまくソフトランディングできそうな雰囲気ではあります が、2番目の「・」ですけど、承継事業者のあっせんのような仕組みは是非恒久的なも のとして、法律にする必要があるのかどうかというのはまた1つですけれども、仕組み はちゃんとつくっておく必要があると思います。  この法律の中で気になっているのは、この場合は事業の廃止の場合だけが挙がってい るのですが、事業者に対するサンクションとしましては、指定の取消というのもあるし、 効力の停止もありますし、指定の更新をしないというものがあるのですけれども、それ から連座制ももちろんかかわってくるんですね。連座制がちょっと問題があるのではな いのかというのは、ここの部分に継続的なサービスを中断させるというところに問題が あるわけですけれども、この三者の区分けはやや重なっているところが大分あるのと、 多分指定取消なんかやれば、もう少し規模は小さいけれども、似たような問題が常に出 てくるわけで、そのあたりのところを、サンクションやったつもりが本当に迷惑被った 人は別のところにいたというのではちょっと困るので、そこが悩ましいので、どう整理 したらいいのかというところがありまして、そうするとある程度時間的な余裕があって、 かつ、あっせんの仕組みがあるという前提で考えると、指定更新みたいなところで本則 のサンクションといいますか、設けていくと比較的弊害が少なくていいのではないかと いった感じをちょっと持っているので、御検討いただければと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。具体的なアイディアをいただいたということです。 木間委員どうぞ。 ○木間委員 (2)の点ですが、その前に(1)の「事業廃止の手続の在り方」という ことで、お二人の委員から御意見がありましたが、その両方を採用するということはで きないのでしょうか。私は、お二人の意見に納得できるのですが。  次に、「継続的なサービスの確保の在り方」のことですが、コムスンのサービスを利用 していた今回の障害者の方たちのことです。今回の件では、障害者の分野の地域のネッ トワークがとても有効に活用されていました。それは、お客様を取り合うということで はなく、障害者の分野のネットワークでは障害者福祉全体を底上げするという意識があ ったのですね。そのような意識がネットワークにあったからうまくいったのだと思うの です。  では高齢者の介護の分野をどうするかということですが、とても今忙しいのですが、 地域包括支援センターが中心となることが望まれます。地域包括支援センターにネット ワークをリードするゆとりというものが必要ではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。小島委員どうぞ。 ○小島委員 先ほどの(1)のほうを両方組み合わせるということも考えられると思い ますので、済みません、追加しておきます。(2)のほうでございますが、今までも指定 取消の事業者は、こんなコムスンのような大きなものはないわけですが、小さなものは 幾つもあるわけで、そのたびに私どもが指定権限を有する者として指定取消をする事業 者がありますと、譲渡する事業者をどこからか探してきて、移行させるようなことはも ともと正式な仕組みがあるわけではないのですが、やっているわけです。けれども、広 域展開をしている事業者になりますと、今までやってきたように、事業者を呼んで、ど こかへ譲渡できないかということをやっているだけでは当然対応できないわけで、そこ で仕組みをつくったらどうかということだと思います。  そういう意味で、県の中に、ここの案で言うと4つ目ぐらいの「・」にございます行 政・業者団体による委員会を設置して承継事業者を支援する体制を常時構築していくこ とも考えられるのかなと思います。一方でこういう事案はそういつもあるわけではない ので、体制をつくってもなかなか機動性を発揮する場面がないのかなということも思い ますが、いざというときのためにこういう体制をとりながら、ふだんはそれ以外の例え ば介護保険制度をどう運用していくかということを議論していただいたりとか、そうい う面では幅広に議論していただく委員会か検討会か、そういうものを設置しながら、い ざというときに広域なネットワークを生かして承継事業者を選定していくというような ことを体制として用意することが必要かと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。今までのお話の中で特に触れられていないものと いうことになりますと、「・」の下から2番目になりましょうか、「事業継承が行われる までの一定期間、公法人等が事業を継続する仕組みについて検討するべき」と、こうい うような意見も出ているわけでありますが、これについてはどのようにお考えになりま すか。 ○小島委員 今、発言させていただいたことと同様になってしまうのですが、今回の場 合でも、あえて公法人を設置して継承事業者になるというようなことはなく済むわけで ございます。きちんとした委員会等をつくって承継事業者を選定して、うまく委譲して いけばスムーズに進んでいくと思われますので、わざわざそのために公法人を設置する 必要まではないのではないかと思います。 ○遠藤座長 わかりました。ほかに御意見ございますか。狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 私も基本的には、今でも自らサービス提供が困難になったときにはきちん と他事業者を紹介しなければならないという規定があるわけですから、基本的には第一 義的に事業者の責任でやるべきだというつくりになっているわけですので、引継先の確 保についても当然だと思います。それは通常の廃止の場合にはそうですけど、それ以外 の例えば経営的な破綻とか取消処分とかいろんな事例があるわけですが、そういう場合 の破綻処理についても事業者責任ということをまず第一義的にきちんと明記すべきだと 思います。  その上で、今回の承継についても、行政側のサジェスチョンを受けながら、事業者と しても一定の第三者も入れた枠組みの中で承継先を決定するということでやっているわ けですから、あえて別制度をつくる必要は私は余りないのではないかと思います。  ただ、1つだけ私が気になっているのは、今回は基本的に居宅サービス事業ですし、 コムスンの居宅サービスのネットワークについては資産価値があるということで引受先 法人が出てきているわけですけれども、例えば経営破綻の場合ですと、施設等に資産価 値がないと手を挙げる法人がなければ破産するしかないというような場合も当然あるわ けで、いわゆる取消による継続的なサービス確保の問題とは全く別に、経営破綻処理を どう円滑にするかというのは課題としてはあるのではないかと私は思っています。ただ、 今回の問題とはちょっと切り離して議論すべきものだと思います。 ○遠藤座長 局長どうぞ。 ○阿曽沼老健局長 この検討会をつくる1つの大きな動機といいますのは、この局面で 基本的に3つあったのですけど、1つは、今回は不正だから取消をするということで、 それでどこまできつい連座制をやるかということの連動の問題が1つあったのですね。 もう一つは、同一資本グループと言っていますけれども、グループの中の譲渡問題につ いて明文な規定がなかったのでそれについてどう対応するかという問題です。最後は、 利用者サービスの確保について、これも今基本的に事業者がやるべきだという規定はあ るのですが、それしかなくてやろうと。この3つの事件があったと思うのですね。  実はその3つのテーマそれ自体、それぞれが実はかなり連動している問題がありまし て、まだ最終的な着地が今回していませんけれども、利用者サービスの継続、先ほど資 料1で申し上げた、10月、11月、12月のいつになるかわかりませんけれども、何とか 事業譲渡でソフトランディングできそうなところまで来ておりますけれども、私ども行 政側として一番苦慮、神経を使ったのは、利用者サービスをいかに継続できるかという ことなんですね。  先ほど来、お話しもございましたように、例えば指定取消をしますと言った瞬間に新 規の指定はしませんと、あるいは更新をしませんと言った途端に企業全体に動揺が走る。 その瞬間にもう事業が継続できないおそれが出てくるかのような状態に陥るわけです。 そのときに事業サービスをどう継続するかというのが一番難しい問題で、それは事業者 の責任だというだけではなかなか現実の問題としてはいきがたい面もあったわけで、実 はそこに厚生労働省としても最大のエネルギーを使って、何とか早く事業譲渡を円滑に 進めるという仕組みの構築について英知を絞らなければいけなかったという現実がある と思うんです。  それを実際、明文の規定はほとんどなくてやっているわけですから、そういうことが 繰り返されるということについて、私自身が危惧を持っておりまして、逆に言いますと、 利用者サービスの継続性と、いわゆる連座制の問題というのはコインの裏表でもありま すし、また、不正の判断ということも連動するわけでありますから、そこはサービスの 継続という問題を常にベースに置いて、その上で漸次その問題を考えていくと、そうい うことが必要なのではないかと思いますので、そういう意味で総合的に是非お考えいた だいて、意見を出していただけるとありがたいと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。そういうことでありますので、個別な議論をして きたわけでありますが、特に最後の利用者サービスの継続ということについてまだ御意 見をちょうだいしてない方もいらっしゃいますし、何かあれば承りたいと思います。基 本的には利用者サービスの継続が当然ある意味一番重要だというのは当然な話でありま すから、そういう視点からの整合性を持ったような規制を考えるということになるわけ でありますが、先ほどのような、今回は譲渡が比較的スムーズに済んだというわけです けれども、どのような場合でも大丈夫かどうかということは保障ないわけでありますの で、それに対してどう考えるかということになるかと思います。櫻井委員どうぞ。 ○櫻井委員 そうすると、座長から言われた公法人等に云々というところにかかわりま すけれども、公法人というのも何か妙にクラシカルな言い方ですが、最終的なセーフテ ィネット的なものを考えるかどうかということだと思うのですが、どうでしょうか。関 連事業者の中で自治体がやっている場合がありますので、順番としては最後責任持って もらうのはそこだという話はあり得るのではないでしょうか。と思っていまして、その 場合は、こういう仕組みないわけではなくて、本来は自主的にやっていただくのがいい のですけれども、なかなか手挙げる人がいないときに、やっていただくと、やらせると いいますか、そういう仕組みを、何か新しいものをつくるというよりは、最終的には自 治体の責任ということも出てくるでしょうし、正当事由がない限りあっせんを断れない というような仕組みをつくるとか、当然資金や人員などにも配慮してということはある のかもしれませんが、完全に同じサービスを提供しなければならないかというと、その 場合はそうでもないと思うので、そこも含めて完全にほったらかしにならないで、最低 ラインのところだけはつなぎとしてできるというぐらいのサービス水準に落として、か つ、そういうつなげる仕組みをつくるということはあるのかなと。やや思いつき的です けれども、思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。最終的なセーフティネットの考え方ですね。それ をどう考えるかということですが、例えば利用者の立場なのかどうかわかりませんが、 木間委員、何かこの辺についてお考えございますか。 ○木間委員 私は第1回目のときに有料老人ホームを例に、座長の問に、行政に責任が あると申し上げたことがあるのですが、やはり公法人というのは、私は法律をつくる過 程はよくわからないのですけれども、最終的には行政が責任を負うという立場を鮮明に しておいたほうがよろしいと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。ほかに、狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 要は廃止をする手順・手続をもう少し明確に明文化しておくべきだと思う んですね。届出をすれば事前であれ、今は事後になっているわけですが、事後・事前の 届出というときの利用者保護をどうするのかということをきちんと書き込まないといけ ないのではないかと思います。  それと、ほかの要は第三者が行政であれ、業界であれ、誰かがやらなければいけない という話の前に、きちんと事業者が自己責任としてどこまで最低限のことをやらなけれ ばいけないのかということをきちんと明記をすべきであって、その先、事業者責任でや れない部分は、それはセーフティネットでカバーをしていくという二重にしないと、事 業を放り出されたのでは利用者も困ってしまうわけですから、そこはきちんとしたほう がいいと私は思います。 ○遠藤座長 もちろん最終的なセーフティネットがある種のモラルハザードになってし まって放漫経営になってしまうようなことは当然避けなければいけない話ですけれども、 ただ、最終的なセーフティネットの形としてどういうようなものが法律の中に組み込め るかとそういう話だということだと思うんですね。ですから順番とすれば、基本的には 責任は事業者にあるのだということが大前提になることはそれは間違いないことだと思 います。  ほかにございますか。小山委員どうぞ。 ○小山委員 私はまずどんなことがあっても不正か不当かという議論はあるけれども、 プレーヤーの交代はあってしかるべきだ、プレーヤーの退場もあってしかるべきだと。 そうしないと質が担保できない。もう一つ、事業廃止時に利用者のサービスをどう確保 するかというので、公法人がというよりも、その2つ上のところで、緊急退避的に不正 を行った事業者に継続させると。要するに何か連座制が起きるとすぐに翌日から事業が できなくなるのではないよということが十分伝わらなかったというのが、今回のケース では、もう先に、コムスン問題と出ちゃって、みんな撤退して、もう来てくれないとい う感じですが、だって、更新ができなくなったということですから、幸いというか、6 カ月ぐらいあったから、時間的余裕があったのだと思うんですが、廃止するときに一番 困るのは1カ月もなくて本当に廃止されちゃうと大変だというのと、今回は在宅とグル ープホームとか、そういうのだったからよかったので、これが入所施設だとどうするの かという話になって、最近は日本の病院でも余り廃止させる方向ではない。病院を廃止 させると大変なことになりますから、廃止させることにならないように、何とか経営破 綻しても各都道府県でほかの人を探すとかというのでいろんな手を打っているので、廃 止時の利用者のサービスの確保というためには、廃止するときにある程度時間的な余裕 をとれる、とれるといっても、都合が悪ければ時間の余裕はいつまででもあげるという わけにもいかないから、実際には連座制をそのままにしておくということになれば、そ れによって廃止するまでの十分な期間を確保するようにできるとか、何かそういったこ とを明文化して入れておくということであれば、少し事業廃止時の対応としてはいいの ではないかと思うんですね。  コムスンの事件は、今までずっと2000年から指定を廃止されてきた事業者たくさんあ るんですよね、いろんなところで。それでもたまたま広域的で全国的で影響が大きかっ たら大騒ぎになっているのですけれども、私は廃止時の時間的余裕はとれるというよう なルールを1つ設けてもらったらいいのではないかと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございました。非常に多岐にわたった議論でありまして、かつ、 司会が非常に不手際でありまして、かなり時間をオーバーしております。このあたりで 本日は終わりにしたいと思いますけど、もし本日何か御発言したいという方がいらっし ゃれば、お一人くらいなら大丈夫ですが。山本委員どうぞ。 ○山本委員 先ほどのグループ規制について1点だけ補足をしたいのですけれども、グ ループ規制の在り方について、役員等の中に同一資本グループ内の法人の役員も含める べきという御意見があったわけですけれども、考えてみると、例えばある法人の事業所 が指定取消になったとして、同じグループ内の別の法人の役員に介護事業において専門 性を持っていて非常に評価が高い方がいらっしゃったときに、その方がこのグループで は仕事できないからほかのグループに移って仕事しようというような場合にまで制限が かかっちゃうと、それはそれでマイナスなのかと思うので、人材の流動性に対するマイ ナス面も1つこのグループ規制をかけるかどうかということについては考えるべきなの かなというふうに思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  それでは、本日いろいろな御意見をちょうだいいたしました。物によっては方向性の 見えたものもありますし、まだ議論が尽くされてないものもございます。本日いただき ました御意見を事務局でまとめてもらいまして、次回以降、むしろ総合的な視点でまた 御議論を続けていただきたいと思っております。  それでは、本日はこれで終了したいと思います。日程等について何か事務局からあり ますか。 ○古都振興課長 現在調整中でございますので、確定次第、御連絡をいたしたいと思い ます。 ○遠藤座長 それでは、本日の会議はこれにて終了したいと思います。どうもありがと うございました。 照会先  老健局振興課 辻  連絡先:03−5253−1111(3937) 4