07/10/04 平成19年10月4日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成19年10月4日(木) 9:30〜10:59 ○場  所:厚生労働省 共用第7会議室 ○出席者: 委 員  青木委員、大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、斉藤委員      佐々木委員、志賀委員、山内委員、鰐淵委員 事務局  國枝基準審査課長、光岡課長補佐、河村課長補佐、束野課長補佐、江島専門 官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官 1.開  会 2.議  題  ((1) 食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について     ・フェンヘキサミド(農薬)     ・オキサジアルギル(農薬)     ・チアジニル(農薬)     ・ニトラピリン(農薬)     ・ノバルロン(農薬)     ・メタアルデヒド(農薬)   (2) その他 3.閉  会 ○事務局 それでは、先生方がおそろいになりましたので、ただいまから「薬事・食品 衛生審議会 食品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。 本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願い いたします。 本日、吉池委員におかれましては、所用により11時ごろに到着される旨、また、井上 委員、豊田委員、米谷委員、山添委員より欠席される旨の御連絡をいただいております が、既に農薬・動物用医薬品部会の委員14名中、8名の御出席をいただいており、部会 委員総数の過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告 いたします。 なお、鰐渕委員におかれましては、所用のため11時以降に中座されますので、あらか じめ御連絡いたします。 まず始めに、事務局で異動がございましたので、ごあいさつ申し上げます。 近藤専門官が監視安全課輸入食品安全対策室に異動になり、後任に江島専門官が着任 いたします。 ○江島専門官 江島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局 それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審 議、よろしくお願い申し上げます。 ○大野部会長 わかりました。それでは、江島さん、どうぞよろしくお願いいたします。 今日は14名中、今のところ8名ということですが、過半数に達していますので、成立 しているということだそうです。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、議事に入らせていただきますけれども、「フェンヘキサミド」「オキサジ アルギル」「チアジニル」「ニトラピリン」「ノバルロン」「メタアルデヒド」、この 6品目について審議していただくということで、それらの資料は、あらかじめ先生方に お送りしてごらんいただいているところでございます。 それでは、それぞれについて審議を始めたいと思います。まず配布資料の確認をお願 いします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。 まずお手元の配布資料といたしまして、資料1が農薬フェンヘキサミド「農薬・動物 用医薬品部会報告(案)」。全部で18ページの資料でございます。 資料2がオキサジアルギル。資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価 結果(案)」が1ページよりございまして、続きまして資料2−2「農薬・動物用医薬 品部会報告(案)」が37ページからでございまして、資料2が全部で48ページの資料 になっております。 資料3が農薬チアジニルでございますが、資料3−1は「食品安全委員会における食 品健康影響評価結果(案)」でございます。資料3−2は31ページからでございますが 「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」全部で41ページの資料でございます。 資料4が農薬ニトラピリンの資料でございまして、資料4−1が「食品安全委員会に おける食品健康影響評価結果」。23ページから資料4−2が「農薬・動物用医薬品部会 報告(案)」。全部で30ページの資料でございます。 資料5がノバルロンになります。資料5−1が「食品安全委員会における食品健康影 響評価結果」。33ページから資料5−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」でござ います。全部で42ページの資料でございます。 資料6がメタアルデヒドでございまして、資料6−1「食品安全委員会における食品 健康影響評価結果」。37ページから資料6−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。 全部で45ページの資料でございます。 その後に、参考資料といたしまして、全部で27ページ、参考資料1といたしまして「国 民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂取量」の表。 参考資料2といたしまして「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果 について」まとめている資料でございます。 配布資料の不足等ございましたら、事務局までお願いいたします。 ○大野部会長 皆さん、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、審議に入りたいと思います。 今回は、前回御指摘いただいた確認事項についてまず審議していただいて、その後に 農薬5剤について御審議していただくことになっております。 それでは、まず継続審議になっております農薬のフェンヘキサミドについての御説明 をお願いいたします。 ○事務局 それでは「フェンヘキサミド」につきまして、資料1に基づきまして御説明 申し上げます。前回の部会の方で2点ほど御指摘ございました。 1点目は、フェンヘキサミドにつきまして、代謝物のメチル体について規制対象とし て考慮する必要はないかという御指摘でございます。そのことにつきましてメーカー等 に確認したところ、植物代謝試験の結果、この物質についてメチル体の代謝物は確認さ れていないということが確認されましたので、規制対象といたしましては、この報告書 (案)のとおり、これを含まない形で考えたいと思っております。 2点目でございますが、資料の別紙2、15ページの基準値案でございます。中段から ちょっと下の方に「もも」の基準値がございます。 前回の部会の報告案では、今回「もも」につきまして、コーデックスで10ppmという 基準ができました。現行は米国の基準を参考に6ppmということです。これは過去に御 審議いただきまして、ポジティブリスト以前から本基準として置いているものでござい ますけれども、今回コーデックス基準が10ppmということで、前回の案では10ppmと上 方修正する案を御提出させていただきましたけれども、コーデックスの10ppmと設定さ れたという基準の検査部位が「もも」の果実全体ということになっている。 我が方の食品衛生法の告示で示しております「もも」の検査部位につきましては、果 皮を除いた果実ということになってございまして、その検査部位の差異があるというこ とがありまして、このまま採用してもいいものかという御意見をいただきました。 この問題につきましては、この剤に限らず「もも」につきましてはたくさんの農薬に ついて基準がございまして、今後それらについても網羅的に見るという作業もございま すので、その検査部位のコーデックス基準との差の部分につきましては、それらの検討 結果を踏まえて対応、またこの場でも御検討させていただきたいと思っております。今 回はそういったところが整備されてございませんので、現行の6ppmという値をそのま ま維持するという案にしたいと思っております。 以上、2点について御説明させていただきました。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、代謝物としてメチル化体を残留の 測定対象としなくてもよろしいのではないかという理由として、植物体内に残留しない からということですけれども、まずそれについて御意見いかがでしょうか。 特によろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では次の問題で「もも」に残留するものについて測定対象が日本と欧米、 コーデックスと違う。現在のところは、一般の問題もいろいろあるので今後検討するけ れども、国内外の情報を調べてやるということで、当面はこのままにしていきたいとい う方針ですけれども、それについていかがでしょうか。 よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。 それでは、全体として、この「フェンヘキサミド」の当部会としての結論ですけれど も、今回の報告書に示された残留基準、当部会報告の案でよろしいと考えてよろしいで しょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、そのようにさせていただきます。どうもありがとうございま した。 それでは、次の品目オキサジアルギルについての御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料2−1、2−2に基づきまして、農薬オキサジアルギルにつ いて御説明申し上げます。 資料2−1は、食品安全委員会の農薬評価書ということでございまして、現在、パブ コメを取っている状況のものでございます。10月5日までということでございます。 資料4ページ、この農薬の「審議の経緯」ということでとりまとめてございます。 この農薬でございますけれども、平成14年に農薬登録がされてございますが、その際 は非食用作物ということで芝に使用するという観点で農薬登録がなされているというこ とでございます。15年11月に、食用作物「米」について適用拡大するということに伴 って、農林水産省から当省の方に基準設定について依頼があったということでございま す。 また、下の方にございますけれども、平成19年6月でございますが、魚介類への基準 設定ということについても追加で要請があったということでございまして、今回は、米 の基準の設定、また魚介類への基準の設定というところについて御審議いただくという ものでございます。 食品安全委員会の評価でございますが、資料26ページに「III .総合評価」というこ とでまとめていただいてございます。この剤につきまして、動物体内運命試験について はラットで行われてございます。主な排泄は糞尿中だったということでございます。 植物体内運命試験につきましては、水稲、ひまわり、レモンを用いたもので行われて いるということです。また、土壌中運命試験、水中運命、土壌残留についても見て行わ れているということです。 毒性試験につきましては、26ページの中段からになりますけれども、毒性試験につい てはラット、マウス、ウサギ及びイヌで実施されております。急性毒性についてはラッ トとマウス。慢性毒性についてはイヌを用いた試験。慢性毒性及び発がん併合試験につ きましては、ラットで行われてございまして、ラットについては発がん性がなかったと いうことでございます。マウスについての発がん性試験で、肝細胞腺腫または肝細胞癌 の増加が認められたということでございますが、これらにつきましては、発生機序も別 途考察されてございまして、26ページの下の方でございますけれども、細胞の初期増殖 活性の増大、持続的肝障害、細胞再生及びチトクロームP-450 等の肝薬物代謝酵素の変 化が関与しているということでございます。 その後に掲載されてございますけれども、遺伝毒性はないということで判断されてご ざいますので、この肝臓に対する発がんについても、遺伝毒性メカニズムではないと考 えられてございます。 27ページにまいりまして、2世代繁殖につきましては、ラットで繁殖への影響はない ということです。発生毒性でもラット、ウサギで催奇形性がないということでございま す。先ほど申しましたように、遺伝毒性は陰性ということでございます。 28ページから、これら毒性試験の結果をまとめたものが、無毒性量の一覧表で掲載さ れてございます。 ADIの根拠といたしましては、ラットの試験のうち上から3つ目でございますが、2 年間慢性毒性/発がん併合試験の雄の無毒性量0.8mg/kg体重/日という値をADIの設定 根拠としてございます。これを安全係数100で割ってADI 0.008mg/kg体重/日というこ とで、29ページの方にまとめてございます。これが食品安全委員会の評価書の評価結果 でございます。 これに基づきまして、事務局の方で部会報告をとりまとめましたのが、37ページから の資料2−2でございます。 この剤につきましては、品名オキサジアルギルということで、「用途」としては除草 剤でございます。作用機構といたしましては、植物の細胞内に進入して、クロロフィル、 ヘムの生合成を阻害するということでございます。 「化学名」「構造式」についてはここに記載のとおりでございます。 先ほど申しましたとおりこれにつきましては、今回適用拡大の部分といたしまして、 米、魚介類への基準の設定という部分で御審議いただくことになります。 38ページから使用方法ということで、水稲への使用方法について掲載してございます。 作物残留試験につきましては、45ページに表でまとめてございます。水稲での試験で、 玄米等の結果を参考に基準の設定を検討してございます。 42ページに戻っていただきまして、下の7番でございます。「7.魚介類への推定残 留量」ということで、本農薬につきましては、水田で使用されるということで、水系を 通じた魚介類への残留が想定されることから、農林水産省から魚介類に関する個別の残 留基準の設定について要請がございました。 43ページの方にまいりますが、以前御審議いただきました魚介類への基準の設定手法 に基づきまして、まずはこの農薬の水産動植物被害予測濃度と生物濃縮係数を求めて、 以下のとおり推定残留量を算出してございます。 水産動植物被害予測濃度につきましては、そもそも水田だけではなくて非食用作物で ございますけれども、芝への適用があるということで、水田以外の使用場面もあるとい うことでございますので、水田PECと非水田のPECそれぞれについて算出しました。 水田PECにつきましては0.0056 ppb。非水田PECにつきましては0.0027 ppbと いうことで、手法によりますと、どちらか大きい方を取るということでございますので、 この剤につきましては、水田PECの0.0056 ppbを採用したということでございます。 生物濃縮係数(BCF)につきましては、ブルーギルを用いた濃縮試験が実施されて おりまして、その実測値として658 という値が得られてございますので、それを採用し てございます。 手法に基づきまして式に入れて計算したところ、推定残留量といたしましては、0.01 7024 ppmということで試算されてございます。これが基準設定の基になる数値というこ とでございます。 「8.ADI の評価」でございますが、これは先ほどの食品安全委員会の評価書どおり でございまして、ADI0.008mg/kg体重/dayというものでございます。 「9.諸外国の状況」でございますが、コーデックス、または主要な5か国につきま して基準の設定はないということでございます。 44ページにまいりまして「10.基準値案」でございますが、規制の対象といたしまし ては、オキサジアルギル本体ということを考えてございます。 作残試験では、代謝物1つについて分析が行われてございますけれども、作物残留試 験の成績から、この対象物につきましては定量下限未満ということが確認されてござい ますので、規制の対象といたしましては本体のみということにしたいと考えてございま す。 また、食品安全委員会の暴露評価上でも、本体のみで設定しているということでござ います。 「(2)基準値案」でございますが、46ページに表でまとめてございます。作物残留 試験の結果から、米につきましては0.05ppm、魚介類につきましては先ほどの推定残留 量から0.02ppmということで案として設定してございます。 これらにつきまして「(3)暴露評価」でございますが、47ページでございます。摂 取量と基準値案を掛けたTMDI評価でADI 比、国民平均で2.6%、幼小児の方で4.5 %、妊婦の方で2.0%、高齢者の方で2.6%ということで、いずれも80%以下というこ とを確認してございます。 「答申(案)」といたしまして、48ページに米と魚介類の基準ということでまとめて ございます。 以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの説明についての御質問、コメント はございますでしょうか。 青木先生、お願いします。 ○青木委員 済みません、教えてください。この魚介類の推定残留量のところで、ブル ーギルを用いて濃縮性試験を実施されておりますけれども、濃縮性試験というのは蓄積 と思ってよろしいのでしょうか。蓄積量とは別のものでしょうか。私、文献の68を読ん でいないものですからあれなんですけれども、わかりましたら教えていただけませんで しょうか。 ○大野部会長 ちょっと説明をお願いします。 ○加藤委員 生物間を通じての生物濃縮ということではなくて、個体内での濃縮という 意味です。 ○青木委員 濃縮ですから、それは蓄積と考えていいわけですか。 ○加藤委員 蓄積とお考えいただいて結構です。蓄積で平衡状態になったときの濃縮率 という意味です。 ○青木委員 ありがとうございました。 ○大野部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、コメントございますでしょう か。 山内先生、お願いします。 ○山内委員 教えていただきたいんですけれども、前にも水中での残留の話がありまし たので、忘れているのかもしれませんが、43ページに計算上の推定残留量は0.017024p pm ということですが、これをもって基準値にされるときに、0.02ということで四捨五 入して高目になっていますけれども、これはこういう設定にする根拠はどのように考え ればよろしかったんでしょうか。単純に考えると、残留予測がこうだからそれより低目 に基準値を設定されるともっと厳しい感じになりますけれども、その辺りのところをち ょっと教えてください。 ○大野部会長 事務局、どうですか。 ○事務局 この値が推定残留量ということで0.017024ppmとなるわけですけれども、通 常の農作物の残留試験から基準を検討するのと同時に、余裕をみて設定してございます。 ○大野部会長 これは推定残留量も計算値からいうと、推定残留量の最大値がかなり安 全を見込んだ推定値になっていると思うんですけれども、それを更に丸めて若干多目に するということによって、普通に適切に使っている限りにおいてはそれを超えることは ないだろうという形で設定している。ほかの植物の残留と同じような考えだと思うんで す。合計してADIを超えてしまうようだと困るけれども、それを超えなければよろしい のではないかという考えでいっているんだと思うんです。よろしいですか。 ○山内委員 ありがとうございました。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。 それでは、特に御意見ございませんようでしたら、この報告案をもってこの部会の報 告としたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただき ます。 それでは、次の品目、農薬チアジニルについての説明をお願いいたします。 ○事務局 農薬チアジニルにつきまして、資料3−1、3−2に従いまして御説明を申 し上げます。 資料の1ページからは、食品安全委員会の農薬評価書ということで、現在パブリック コメント中のものでございまして、10月19日まで募集されているということでござい ます。資料をめくっていただきまして、4ページにこの農薬の「審議の経緯」につきま してまとめてございます。 平成15年の4月に初回農薬登録が米についてされているものでございます。当初は本 基準という形で残留基準はされてございませんで、ポジティブリスト導入時に暫定基準 として告示をされたものでございます。食中安全委員会の方にポジティブリスト制度導 入時に残留基準を設定したというものについての評価依頼をしてございまして、本年の 7月に農林水産省の方から当省の方に魚介類への基準の設定ということで要請があった ということでございます。今回、米の部分と魚介類への基準の設定という部分について 御審議いただくというものでございます。 評価につきましては、資料22ページからまとめられてございます。このものにつきま しては、動物体内試験でラットを用いた試験でございます。主な排泄経路は胆汁排泄で、 大部分が糞尿中に排出されているということでございます。 植物体内試験につきましては、米で実施されているということでございます。 毒性試験でございますけれども、後段から出てございまして、チアジニルの投与の影 響は主に肝臓と腎臓に認められたということでございます。 急性毒性についてはラット、マウス及びウサギで、亜急性毒性についてはラット、イ ヌで試験が行われております。 慢性毒性についてイヌで実施された試験がされてございます。 慢性毒性と発がん性のラットにおける併合試験でございますけれども、ラットについ ては発がん性は認められなかったということでございます。マウスについて発がん性試 験の中で、肝細胞腺腫の発生頻度の増加が見られたということでございますけれども、 この発生機序については、遺伝毒性メカニズムとは考え難く、本剤評価に当たり閾値を 設定することは可能という評価でございます。 繁殖試験、発生毒性試験については影響がないということと、遺伝毒性試験でも陰性 ということが確認されてございます。 無毒性量につきましては、一覧表として24ページから掲載されてございます。この中 で25ページのイヌの試験での1年間慢性毒性試験の無毒性量。雌雄で4mg/kg 体重/ 日という値を最小値ということでADI の設定根拠にしてございます。安全係数100 で除 しまして、ADI といたしましては0.04mg/kg 体重/ 日と評価されてございます。 部会の報告案でございますが、31ページからまとめてございます。この剤は殺菌剤と いうことで、稲病原菌、これはいもち病に効くということで、抵抗性を誘導するという ことです。 「化学名」「構造式」についてはこの記載のとおりでございます。 作物残留試験につきましては、38ページの横表に、結果として表でまとめてございま す。この結果をもちまして、基準値の設定をしてございます。 戻っていただきまして、資料の34ページでございますが、7番から先ほどの剤と同じ ようにこの剤も米に使われるということで、水田から水系を通じた魚介類への残留が想 定されるということで、魚介類の基準値設定について農水省から要請がございました。 このため、評価方法に従いまして、推定残留量を試算したところでございます。 その結果が35ページでございますけれども、本剤につきましては、水田のみで使用さ れるということがございますので、水田PECのみを算出してございます。0.29 ppbと いうことです。 この剤につきましても、コイを用いた濃縮性の試験が実測されてございまして、その 実測値19を濃縮係数として用いてございます。 推定残留量といたしましては、試算されているとおり0.02755 ppm ということで計算 してございます。 8番目といたしまして、乳汁への残留性試験というのも試みられてございます。チア ジニルと代謝物を7日間カプセル投与して乳汁の残留について測定しています。違う代 謝物についても投与して乳汁中を測定してございますけれども、いずれも残留量は検出 限界未満だということでございます。 「9.ADI の評価」でございますが、先ほどの食品安全委員会の評価書のとおりでご ざいます。36ページにまたがってございますけれども、ADI といたしまして0.04mg/kg 体重/日でございます。 「10.諸外国の状況」でございますけれども、国際基準も設定されていない。また、 主要5か国についても基準値の設定はないということでございます。 「11.基準値案」でございますけれども、作物残留試験の結果ではチアジニルと2つ の代謝物の分析が行われてございます。この結果を見ますと、チアジニルのほか、代謝 物についても同等以上の残留が想定されるということでございました。その結果につき ましては、先ほどの残留試験の結果のところでございますが、38ページでございます。 最大残留量という形で一番右端のカラムで記載してございますけれども、チアジニル 本体、SV−03という代謝物、SV−04という代謝物という順番で/で区分して書いて ございますが、例えば一番上の結果でいきますと、圃場Aでチアジニルは0.01ppm未満、 次のSV−03でいくと0.19ppm、SV−04で0.03ppmということで、ほかの結果も同様 でございますけれども、本体と同等以上の残留が想定されるということでございました。 規制対象といたしましては、農作物にあっては、本体とこれら2つの代謝物の和とい うことで考えてございます。 また、水産物、魚介類につきましては、この魚介類の推定残留量を算出する際に得ら れた実測値のBCFとか水産PECの算定というのが、チアジニル本体のみを対象とし ているということでございますので、水産物の規制対象といたしましては、このチアジ ニル本体のみということで考えてございます。 基準値案につきましては、これらの残留試験、残留量の試算の結果から39ページにま とめてございますけれども、米につきましては、現行は暫定基準でございますけれども、 1をそのまま維持して基準値案としては1ppm。魚介類につきましては先ほどの推定残留 量から0.03ppmという値で基準値案をまとめてございます。 これらについて暴露評価をした結果が40ページでございます。米と魚介類につきまし ては、基準値案に摂取量を掛けたTMDI評価でございますけれども、国民平均といた しましては8.8 %、幼少児の方で15.7%、妊婦の方で6.4 %、高齢者の方で8.8 %と いうことで、いずれもADI の80%以下というのを確認してございます。 最後に「答申(案)」といたしまして、41ページに基準値案をまとめてございます。 以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、御質問、 コメントございますでしょうか。 佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 教えていただきたいんですが、32ページに「5.適用病害虫の範囲及び 使用方法」の表がございますが、真ん中の2番の使用時期のところに「葉いもちの初発 20〜7日前」と書かれているんですけれども、素人考えですけれども、葉いもちが発生 する前に、発生するという何か予測が付くという意味なんでしょうか。 ○大野部会長 いかがでしょうか。だれか御存じでしょうか。お願いします。 ○農林水産省 まず、いもちが出る時期というのは大体決まっておりまして、移植して から数十日ということで、6月〜7月くらいに出るんです。まずその時期が大体決まっ ているということと、気象条件。天候不順が続きますと、特に霧雨のような雨が降って 暖かいときとかそういうときに出ることが今までの研究でわかっていますので、ある程 度1週間ぐらい前には予測がつきますので、そういうことである程度出る時期がわかり ます。 移植した後の田植えの苗が圃場の隅に残っているところに、いもちが最初に出やすい ので、そういうところの観察をして、移植用の苗が残っているところに出たいもちを見 ることによって、ある程度発生がわかります。 ○志賀委員 ちょっとよろしいですか。 ○大野部会長 お願いします。 ○志賀委員 今の件、私の断片的な知識、聞いた話ですけれども、1つは特に殺菌剤、 植物の病害の場合には、やはり病気が出てから防除していたのでは間に合わないという ので、事前に予測する。そのための発生予察事業もございますし、そのシステムの中で 予測をして事前に殺菌剤などを適切に使うというのが基本だと理解しております。 そのために予察方式がいろいろ開発されているんだと思うんですけれども、特にいも ち病に関しては日本で非常に重要な病害であるということもございましょうけれども、 シミュレーションが確立されていまして、発生量並びに発生時期についてはかなり正確 に予測をして防除を適切に行うというシステムが特にいもちの場合はできていると聞い ております。 ○大野部会長 ありがとうございます。よろしいですか。 斉藤先生、お願いします。 ○斉藤委員 非常につまらないことで恐縮なんですけれども、委員会の方の最初の7ペ ージに示されている構造式と部会案の方の31ページ、表記法が若干異なるんですけれど も、これはわざと変えていらしたんでしょうか。同じだから構わないんですが、ただ、 表記が。 ○事務局 構造式の図ですね。これは既存の資料から張り付けて取っているも ので、その資料の違いで多分表記方法が変わっているだけで、あえてということではな いんです。 ○斉藤委員 あえて変えたわけではない。 ○事務局 はい。参照した資料が違うということで、もしこちらの方が適正だとかがあ れば変えますが、いかがでしょうか。 ○斉藤委員 委員会のものは変えてあったので、なぜ委員会のをそのまま採用しなかっ たかなと思っただけですので、結構です。 ○大野部会長 なるほど。この書き方はいろいろ先生によって違うみたいですね。どこ を重視するかによって書き方は違ってきてしまうわけです。それは難しいところがある ようですけれども、どうもありがとうございました。 ほかにございますでしょうか。佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 作物残留試験で、検出限界は書かれていますが、これは検出限界と定量 限界は区別して使っていらっしゃるのでしょうか。作残データは、0.01未満は不等号で 示されているんで、一応定量限界かなという感じはするんですが、提出資料に基づいて 使われるとか、そういう区別をされているのかどうかお伺いしたいんです。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 ちょっと今、調べてみます。これは幾つか試験がございますけれども、最初 の粒剤等を用いた試験につきましては、検出限界であった。一部フロアブルを使った試 験につきましては、定量限界でやっているということでございますので、もし記載方法 が不適切でしたら、また御相談させていただいて、まとめて御確認させていただきたい と思います。 ○大野部会長 では、確認すると。通常これは定量限界と書くのがいいのではないかな と思うんですけれども、どうなんですか。ちょっと確認して、また佐々木先生とも相談 してくださるようお願いします。 ほかにございますでしょうか。お願いします。 ○加藤委員 これは平成11年に残留試験のガイドラインが改正されて、それ以前は定量 限界という概念がなくて、検出限界だけだったんです。それが平成11年度から途中でガ イドラインが変わりまして、定量限界という概念で、通常ですと0.01ppm 。70%以上1 10 %以内であれば定量限界ということで使うようになりまして、ですから、ちょうど切 り替えのところの部分が混じっているんだと思います。 ○大野部会長 既存の規制は、検出限界と書いてあるのと定量限界と両方ある。新しい ものは定量限界でやるということですか。 ○加藤委員 はい。以前の検出限界の取り方は、実際上は定量限界に近いものです。本 来、ぎりぎりの検出限界ではなくて、それに確実に定量性があり得るぐらいのレベルの ところを検出限界にしていますが、定量限界と同じと考えていただいても大丈夫です。 ○大野部会長 それを見ていただいて、定量限界については判断してよろしければ定量 限界という形で書き直すということでよろしいでしょうか。 ○加藤委員 そうですね。 ○大野部会長 では、そのようにお願いいたします。佐々木先生、チェックをお願いい たします。 ○佐々木委員 恐らく、今、加藤先生がおっしゃったように、従来から検出限界といい ながらそれ以上は数値化していたので、定量限界として実際はデータが出されていると 思いますので、定量限界と書いた方がデータ的には不等号が書いてある以上はよろしい のではないかと思います。 ○大野部会長 実際のデータで定量限界とこの数字を求めてあればいいですけれども、 そこは確認しないとちょっと不安ですね。それはちょっと確認をお願いいたします。 ○事務局 確認して、書きぶりにつきましてはメール等で先生方に確認いただいて、部 会報告案という形で固めたいと思います。 ○大野部会長 私がちょっと気になったのは、お米の中は本体と代謝物と両方を含んで 定量することになっているんですけれども、水産物については本体だけというところが 気になっていたんですけれども、そういうことでよろしいのか。よく見てみると、水産 物中には代謝物は蓄積しないんですね。水中とか光分解とか、そういうところの中には 代謝物が出てこない。だから、代謝物は水産物中については測定対象物としなくてもい い。ところが植物、お米の場合にはそれがかなり含まれているから対象物とするという ことで理解できたんです。 ほかに何かございますでしょうか。 ○加藤委員 実はこの魚介類については、先生が今おっしゃったように、魚介類中でど の代謝物が生成しているのか、どの程度の量あるのか。それに関する試験は、現在まだ 要求されていないといいますか試験方法もないという状態で、データが実際には全くな い状態です。 ただ、蓋然性として、水中にある代謝物、分解物がどれぐらい蓄積し得るのか、それ はPECの計算のときにBCFを実測ではなくてlog Pow から足すという方式で計算 することはできます。そちらからいきますと、この化合物につきましては、Fという代 謝物、分解物、これは水中にほとんどありませんけれども、Dについては土壌中で生成 する。光は割合単純に分解される可能性がありますけれども、土壌吸着計数が低いです ので、水中では恐らく存在している、検出されるだろうと思います。 ただ、log Pow からいきますと、親化合物よりもlog Pow は小さいので、それが蓄積 する可能性は低い。ただ、反対にもう一つ、では魚体中に取り込まれた親化合物から代 謝物がどれぐらいできるか。それについてできるのかできないのか、どれぐらいできる のかという情報が全く現状ではない。取れるシステムがないという状態です。 ですから、現状では基準値の中にそういう不確定要因がいっぱい入ったものを規制対 象に入れてしまうことは問題があるのではないかということで、入れられないというこ とです。 反対に、例えばBCFの試験のときに、標識体を使って試験をしたり、その時点まで にいろいろわかっていることからある程度代謝物を想定して、その代謝物も分析して、 それも含んでいる形でBCFという計算を仮にやっていれば、そういうデータはここの ところに利用していくことは可能だろうと思います。現状では、まだちょっとそこまで は至っていないということです。 ○大野部会長 わかりました。ちょっと誤解があったようです。ありがとうございます。 ほかに質問、コメントございますでしょうか。 それでは、提示された報告案を若干定量限界、検出限界という問題がございますけれ ども、それについては確認していただいて、必要に応じて修正するということを前提に この案を認めていただけますでしょうか。よろしいですか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 どうもありがとうございました。では若干修正が必要になるかもしれま せんけれども、必要に応じて修正したものを報告案とさせていただきます。 それでは、ニトラピリンについて御説明お願いいたします。 ○事務局 続きまして、資料4−1、4−2に基づきまして、農薬ニトラピリンについ て御説明を申し上げます。 資料4−1は食品安全委員会の評価書でございます。 4ページに本剤の「審議の経緯」ということで記載されてございますが、これは日本 では登録がない農薬でございまして、ポジティブリスト制度導入時に海外基準を参考に 基準を設定したというものでございます。平成17年11月29日に告示をしたものでござ いまして、評価計画に従って、食品安全委員会の方に評価をいただいているというもの でございます。 資料の17ページに評価結果がまとめてございます。 この剤につきましては、海外の評価書等を参考に食中毒安全委員会の方で評価を実施 したということでございます。動物体内運命試験につきましては、ラット、マウスの結 果から、尿中に排出されることが確認されている。 植物体内運命試験では、親化合物は検出されずに、代謝物6−CPAが検出されてい るということでございます。 急性毒性試験ラット、マウス、ウサギの結果、また急性につきましてはラット、マウ ス、イヌ、ウサギの結果等が見られてございます。慢性毒性についてはラットとイヌに ついて見られているということでございます。 発がん試験でラットは腎腫瘍が見られるということでございます。また、マウスの雌 雄で肝細胞腺腫、前胃乳頭腫、雌でハーダー腺腫というものの頻度が増加したというこ とでございますけれども、ラットの腎腫瘍につきましては、ラットの雄に特異的なグロ ブリン腎症に関連したものだということ。マウスの腫瘍についてもヒトと関連性は考え られないということでございます。発生機序につきましても、双方遺伝毒性のメカニズ ムは否定されているということでございます。 代謝物に関する毒性のデータは限定的ではあるが、親化合物よりも強い毒性を示す証 拠は認められなかったという結果でございます。 毒性評価の結果については18ページから無毒性量の一覧でまとめてございまして、無 毒性量の最小値といたしましては、19ページのイヌの慢性毒性試験の結果でございます けれども、雌雄で無毒性量3mg/kg体重/ 日という値を根拠としまして、ADI は安全係数 100 で除しまして、0.03mg/Kg 体重/日という評価でございます。 この評価に基づきまして、部会報告書案としてまとめてございますのが23ページから でございます。農薬ニトラピリンということで、「用途」といたしましては殺菌剤とい うことでございますが、これは植物に直接殺菌作用があるというわけではなくて、土壌 中の亜硝酸生成菌に特異的に作用して、土壌中のアンモニウム性窒素の消失を抑制する という作用があるということでございます。 「化学名」「構造式」につきましては、記載のとおりということでございます。この 剤につきましては、我が国は現在登録がないということで、ポジティブリスト制度導入 時に海外の基準を参考に基準を設定してございますので、その部分の御審議ということ でございます。 24ページに海外における使用方法ということでございますけれども、とうもろこし、 小麦、こうりゃんについて記載してございます。作物残留試験の結果は、27ページに表 でまとめてございます。それぞれこうりゃん、小麦、とうもろこしの結果でございます。 25ページ、ADI の評価につきましては、先ほどの食中毒安全委員会の評価書どおりA DI 0.03mg/kg 体重/日ということでございます。 海外の状況でございますけれども、国際基準は設定されていないという状況でござい ますが、米国でとうもろこし、小麦等に基準値が設定されていることで、今回の参考と した基準値も米国の基準値でございます。作残データにつきましても、アメリカのデー タを基にして作成してございます。 「基準値案」でございますけれども、規制の対象といたましては、作残試験の結果、 また食品安全委員会の評価でもございますけれども、本体と代謝物6−CPAが検出さ れるということがございますので、規制の対象といたしましてはニトラピリン本体と6 −CPAという代謝物の和という形で規制されてございます。 6−CPAについては、遊離酸と抱合体も含まれるという形で規制をするということ を考えてございます。 「基準値案」でございますけれども、28ページの表でございます。網掛けになってい るところが現行基準。これはポジティブリスト制度で米国の基準を参考に設定したとい う部分でございます。今回、小麦、とうもろこし、こうりゃん、その他の穀類に分類さ れてございますけれども、そこの作物残留試験データが出てございましたので、それを 基に基準値といたしまして、現行の米国の基準0.1ppm をそれぞれ維持するという案で ございます。 暫定基準では0.05ppmという形で畜産物について基準を設定してございますけれども、 これは米国においてもこの部分につきましては削除予定ということがございまして、今 回我が方でも削除する方向で案を出させていただいてございます。これらに基づきまし て、暴露評価をしたものが29ページでございます。 基準値案と摂取量を掛け合わせたTMDI評価で試算したところ、ADI 比といたしま して、国民平均0.7 %、幼少児の方で1.8 %、妊婦の方で0.8 %、高齢者の方で0.5 %ということで、いずれもADI の80%以下ということを確認してございます。 30ページに「答申(案)」といたしまして、基準値案、小麦、とうもろこし、その他 穀類ということでまとめてございます。 以上でございます。 ○大野部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局の御説明についての質問、 コメントをお願いいたします。 佐々木先生、お願いします。 ○佐々木委員 また、定量限界、検出限界の件なんですが、25ページの下から5行目は 定量限界に訂正が可能なのではないかと思いますが、よろしいでしょうか。 ○河村補佐 「DCMについては全例において」というところですね。 ○佐々木委員 はい。 ○事務局 これは定量限界ということで訂正させていただきます。 ○大野部会長 24ページの方で「定量限界 0.05ppm」と書いてあるんですね。 では、そのように修正をお願いいたします。 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。 それでは、この「ニトラピリン」の報告(案)について、これを部会としての報告と してよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。 次は「ノバルロン」についての御説明をお願いいたします。 ○事務局 続きまして、農薬ノバルロンにつきまして御説明申し上げます。 資料5−1、5−2に基づきまして御説明申し上げますが、この資料5−1食品安全 委員会の評価書で「第3版」となってございます。これは今回この剤につきましては3 回目の御審議ということであります。 めくっていただきまして、資料の4ページ目でございますけれども、16年7月に「初 回農薬登録」ということで残留基準の設定につきまして検討を開始したところでござい ます。当初は「キャベツ」と「なす」ということで、新規登録ということです。 その後、残留基準の設定で適用拡大の部分、またポジティブリスト制度導入というこ とで暫定基準を置いたという部分の見直し。また、海外の基準を参考にした設定要請と いうことでインポートトレランスの要請がございました部分ということで、これは2回 目でございますけれども、検討をいただいて、19年5月に告示をしたというものでござ います。 更に今回適用拡大ということで、これは5ページの上から2行目に「ミニト マト、ピーマン、いちご」というものについての適用拡大の連絡がございまして、この 部分について基準の設定ということで食品安全委員会に評価を依頼したというところで ございます。 毒性評価については、7ページ「要約」を書いてございます。中身的には変わってご ざいませんので、要約で御説明申し上げますと、それぞれ毒性試験等をした結果、ADI といたしましては、最後の行で0.0011mg/Kg 体重/日ということで評価してございます。 内容的には変わっていませんので、毒性評価の部分については省略させていただきま す。 33ページから部会報告書(案)ということでございます。 「用途」といたしましては、殺虫剤ということで、さまざまな昆虫の幼虫に対して作 用するということでございます。 化学名」「構造式」については記載のとおりでございます。 今回適用拡大につきまして、使用方法でございますけれども、四角囲みしてございま す「ミニトマト」「ピーマン」「いちご」の部分が今回適用拡大の申請がされていると いう部分でございます。 また、従前より海外の基準等を参考にした部分につきましては、その使用方法につい て(2)で記載させていただいてございます。 「6.作物残留試験結果」については、38ページから表でまとめてございます。 今回の「ピーマン」「いちご」「ミニトマト」、最後の3つのカラムでございますけ れども、そこの部分が今回新しく加わった部分でございます。このデータに基づきまし て、基準値設定を検討したということでございます。 37ページに戻っていただきまして、「ADI の評価」ですが、先ほどの食品安全委員会 の評価書のとおり0.011mg/Kg体重/日ということでございます。 「8.諸外国における状況」でございますけれども、国際基準も設定されているとい うことでございます。 また、米国でばれいしょ、りんご等に基準値が設定されている。オーストラリアで綿 実に基準値が設定されているという状況があるということでございます。 「規制対象」につきましては、「ノバルロン」本体ということでございます。ここも 従前どおりでございます。 「基準値案」は別紙の2でございまして、今回、登録の有無のところに「申」という 字が書いてございますが、そこが今回再検討していただく部分でございまして「トマト、 ピーマン、いちご」の部分でございます。 「トマト」につきましては、普通のトマトで基準値を1ppmと設定してございますけ れども、今回ミニトマトのデータに基づきまして、2ppmで上方修正してございます。 ピーマンにつきましては、新規ということで、作残データに基づきまして、0.7ppm とい う基準。 「いちご」につきましても、新規ということで2ppmという基準を(案)とし て提示させていただいてございます。 新しく加わった部分を入れた暴露評価の結果が41ページでございます。TMDI評価で いきますと、国民平均で140%、幼小児でも331%、妊婦で140%、高齢者の方で136.1 %ということで、ADI比が80%をオーバーするということでございますので、より精密な 暴露評価ということで、EDI 試算をしてございます。この結果が国民平均で23.2%、幼 小児の方で65.5%、妊婦の方で23.4%、高齢者の方で22.3%ということで、いずれもA DI比が80%を超えないということを確認してございます。 先ほど「えだまめ」の説明を忘れていまして、「えだまめ」につきまして、今回コー デックスの基準ができまして、40ページの中段よりちょっと上、「しょうが」の下に「え だまめ」がございます。「その他うり科野菜」と「その他の野菜」の間に入ってござい ますけれども、今回コーデックスの基準が0.01ppmというのがありますので、ここも追 加でございます。それも加えた形で答申(案)ということで、「トマト、ピーマン、え だまめ、いちご」ということでまとめてございます。 以上でございます。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。ただいまの御説明について、質問、御 意見ございますでしょうか。 加藤委員お願いします。 ○加藤委員 用語でちょっとミスタイプが幾つかあるような感じがしますので、お話し します。 37ページの「8.諸外国における状況」のところで、「じゃがいも」と「ばいれしょ」 のことなんですが、最初のパラグラフは綿実、じゃがいも。米、カナダ、EU云々のと ころの2行目のところは「ばれいしょ」のところで、同じものが「ばれいしょ」と「じ ゃがいも」となっていますので、「ばれいしょ」に統一するということ。 もう一つは、40ページの表の一番上の方です。「ばれいしょ」のちょっと下、一番右 のカラム「作物残留試験成績」の「米国のじゃがいも参照」になっておりますので、「ば れいしょ」に直していただくことが必要だと思います。 以上です。 ○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。 そのほか御質問、コメントございますでしょうか。 ○志賀委員 あえてという感じもしますし、初版、第2版でどうなっていたかというこ ともあるんですけれども、資料5−2の33ページの「用途」のところで、食品安全委員 会のものにもありますように、これは脱皮阻害剤ですね。脱皮阻害剤というのは、殺虫 剤の中でかなりはっきりした特徴ですので、アセチルグルコサミン生成を阻害し、脱皮 を阻害することと考えられるというふうに脱皮阻害を明記した方が、より一般にはわか りやすいのではないかという気がいたしました。 ○大野部会長 追加するということでよろしいでしょうか。 ○事務局 追加いたします。 ○大野部会長 お願いいたします。 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。若干言葉の表現の修正がございましたけ れども、内容的には特に問題ないということで、修正の上で本部会の報告とさせていた だいてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、この(案)を報告とさせていただきます。どうもありがとう ございました。 次に「メタアルテヒド」についての御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料6−1、資料6−2に基づきまして、農薬メタアルデヒドに ついて御説明申し上げます。 資料6−1は食品安全委員会の評価書でございます。 4ページ「審議の経緯」が記載されてございます。かなり昔、昭和56年に農薬登録、 非食用作物ということで登録されてございます。 その後、平成15年に稲への適用拡大ということで、農林水産省から連絡がございまし て、基準の設定を行ってきたわけでございます。 資料30ページ「III .総合評価」といたしまして、評価をまとめているものでござい ますが、動物体内運命試験につきましては、ラットを用いた試験で、主な排泄経路は呼 気中だったということでございます。 植物体内運命試験につきまして、水稲、いちご、てんさいを用いた試験が実施されて ございます。 毒性試験につきましては、中段から下くらいでございますけれども、急性毒性試験は ラット、マウス。また、亜急性毒性につきましては、ラット、マウス、イヌ。慢性毒性 試験につきましては、イヌを用いた試験が行われてございます。 慢性毒性試験/発がん性併合試験でのラットの試験で、最高用量群で肝腫瘍のプロモ ーション作用を示したということでございますが、発生機序は非遺伝毒性のメカニズム であったということでございます。 マウスについての発がん性試験では、発がん性はなかったということでございます。 また、繁殖性試験、発生毒性試験でも異常はなかったということでございます。 遺伝毒性試験でもその作用は陰性であったということでございます。 神経症状についての考察がなされてございまして、31ページの中段「メタアルデヒド の神経毒性発現機序については以下のように考察した」ということでございまして、本 剤の安全性につきましては、急速に代謝されるということ、神経毒性については、高用 量を投与して、血中濃度が一定以上に増加するようになってから発現するということ、 神経系の器質的変化がないということです。以上のことから体内から消失するとともに、 正常に回復すると考えられたという評価でございます。 無毒性料の一覧表につきましては、31ページから32ページにわたって掲載されてご ざいますけれども、ラットの2年間慢性毒性/発がん性併合試験、31ページの一番下で ございます。 雄の2.2mg/Kg 体重/日という無毒性量をADI 設定根拠にしているということで、3 2ページの下にADI といたしまして、0.022mg/Kg体重/日ということで評価してござい ます。 部会の報告(案)といたしましては、37ページからまとめてございます。 「品目名」はメタアルデヒドということでございます。 「用途」といたしましては、殺虫剤、中でもナメクジ駆除剤ということで、作用機構 といたしましては、ナメクジ類、カタツムリ類、淡水性リンゴガイ科巻貝の経口吸収及 び腹足部からの接触吸収で、筋肉が収縮して麻痺が起こるということで、殺虫作用を発 現するということでございます。 「化学名」「構造式」については、記載のとおりでございます。 本剤につきましては、先ほど申しましたように、当初食用作物には登録がなかった物 質でございまして、今回、米に適用拡大ということでございます。 また、ポジティブリスト制度導入時に、海外の基準を参考に基準を設定したというと ころがございます。そこの部分の御審議をいただくということでございます。 使用方法につきましては、38ページでございます。米についての使用方法ということ でまとめてございます。 作物残留試験につきましては、41ページにまとめてございます。 上の表が我が国の方でやられてございます米の作物残留試験の結果で、また、2段目 の海外作物残留試験の一覧表ということで、これはオーストラリアの方で実施されまし た小麦と「なたね」での残留試験の結果ということでございます。 これらに基づきまして、基準値を検討したということでございます。 38ページに戻りまして、「7.ADI の評価」は、食品安全委員会の評価結果のとおり でございます。39ページにわたってございますけれども、ADI は0.022mg/Kg体重/day ということでございます。 「8.諸外国における状況」でございますが、国際基準は設定されていないというこ とでございますが、オーストラリアで穀類、果実に基準値が設定されているということ でございます。 「9.基準値案」ですが、残留の規制対象といたしましては、メタアルデヒド本体と いうことを考えてございます。 「基準値案」につきましては、42ページから表で掲載させていただいてございます。 ここで「基準値現行」ということで、網かけになっている部分がございますが、ここ がポジティブリスト制度導入時にオーストラリアの基準を基に、基準を設定した部分で ございます。 今回、その部分の見直しも含め、作物残留試験のデータを収集したところでございま すけれども、オーストラリアの方から提出がございましたのが、先ほどの残留試験の結 果がまとまったところでごらんいただきましたけれども、小麦のデータとなたねのデー タということでございますので、今回それに該当する部分のみ、基準値の設定の検討を 行う。その他の部分につきましては、データの提出がございませんので、今回削除する という案で提案させていただいております。 米につきましては、我が国の作残試験の結果に基づきまして、0.2ppm。 小麦につきましては、オーストラリア等では1ppmという基準を置いてございますけ れども、作残試験の結果を見ますと、0.05ppm未満ということでございますので、0.2pp m ということで置いてございます。 とうもろこしにつきましては、小麦のデータを参考に0.2ppm ということで、現行は 1ppmでございますけれども、下方修正ということでございます。 43ページ、「なたね」について、今回データの提出がございましたので、現行はござ いませんけれども、「なたね」に0.2 という値を設定する。 「なたね」のデータを参考に、その他のスパイスについて0.2ppm という値を設定す るということでございます。 これらについて暴露評価をしたものが44ページの表にまとめたものでございます。 ADI 比としては、国民平均で5.3%、幼少児の方が10.9%、妊婦の方で4.5%、高齢 者の方で4.7%ということで、ADI 比80%以下を確認させていただいてございます。 答申(案)といたしまして、45ページにまとめてございますが「米、小麦、とうもろ こし、なたね、その他のスパイス」ということで、いずれも0.2ppmという基準値でまと めてございます。 以上でございます。 ○大野部会長 どうもありがとうございました。 ただいまの事務局の説明についてのコメント、御意見ございますでしょうか。 ○志賀委員 食品安全委員会の方の評価書なんですけれども、27ページの「文献におけ る各種試験」というのがございまして、この中の文章の3行目以降「2年間慢性毒性/ 発がん性併合試験において、500ppm投与群」云々とございまして、2行下の行に(表2 5参照)とございます。 私が見た限りでは、この表25からこの内容がどうも読み取れないんですが、もし、お わかりの方いらしたら、済みませんけれども、教えていただければと思います。 それから、表25に関しましても、表25にあります「初発日/瀕死状態日」タイトル から、この表が、例えば「19/28 」とか、これが素直に読みますと、この表のタイトル から何を表している表なのかがわからなかったんです。 ○大野部会長 そうですね。これは後脚麻痺のことしか言っていないわけですね。 ○志賀委員 数値もこのとおりに見ますと、表25のタイトルでは「初発日/瀕死状態日」 となっていまして、それが一体「19/28」とか「641 /641」というのは、641 匹中641 匹という意味かなとも思ったんですが、少なくともタイトルからはぴんと来なかったと いうことでございます。 ○大野部会長 わかりにくいですね。5個並んでいるところはどういうことなのか。そ れぞれの個体のことを言っているんですかね。1匹は19日で出て、もう1匹は641 日 で出ているという意味なんですかね。2年間だからあり得ますね。 ○志賀委員 何日目という意味ですね。 ○大野部会長 そういうことですね。後脚麻痺については、表25でわかるわけですね。 ただ、脊椎前彎症がこのときに出たのかどうかというのはこの表ではわからないですね。 それから「脊髄を横断する病変が」というのはよくわからないですね。 これは食品安全委員会で確認していただいたらいかがですかね。 ○事務局 今、御指摘いただいた部分につきまして、食品安全委員会の方に記載文につ いて確認させていただきたいと思います。この部分の記載ぶりと、基準値(案)と特に 関係なければ、この部会は切り離して御検討いただければ思います。 ○大野部会長 食品安全委員会の方のパブリック・コメントは終わったものですかね。 ○事務局 そうです。 ○大野部会長 なかなか取扱いは難しいと思いますけれども、これはどういう意味なの か、確認しておいてください。「脊髄を横断する病変」ということと、表25の記載内容 と、この文章とが合わないところがあるというところです。 ○事務局 確認次第、先生方の方に結果をお知らせするということで進めたいと思いま す。 ○大野部会長 よろしくお願いいたします。 そのほかございますでしょうか。ございませんでしょうか。 それでは、このメタアルデヒドについての報告(案)ですけれども、これを当部会の 報告としてよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。 今日の審議品目については終わりまして、あと「その他」ということですけれども、 何かございますでしょうか。 ○事務局 今後の手続について説明させていただきたいと思います。 本日御審議いただきました農薬「オキサジアルキル」及び「チアジニル」につきまし ては、食品安全委員会からの通知を待ちまして、ご指摘いただいた点を修正した上で部 会報告書とさせていただくこととしたいと思います。 農薬「ニトラピリン」「ノバルロン」「フェンヘキサミド」「メタアルデヒド」の4 剤につきましては、食品安全委員会からの通知を既に受けておりますことから、ご指摘 いただいた点を修正した上で、本案をもちまして、部会報告書とさせていただきたいと 思います。 今後の手続につきまして、食品衛生分科会にお諮りするとともに、農薬6剤につきま して、パブリック・コメント、WTO通報の手続を進める予定としております。 今後の部会の開催日程について御連絡させていただきたいと思います。 次回の本部会の開催日程につきましては、10月23日火曜日、午前中に厚生労働省共 用第8会議室を予定してございます。詳細につきましては、追って御連絡申し上げます。 ○大野部会長 どうもありがとうございます。次回は10月23日ということでございま す。よろしくお願いいたします。 そのほかございますでしょうか。 ○事務局 ほかに議事はございません。 ○大野部会長 委員の先生方、特にございませんか。 それでは、どうもありがとうございました。 以上をもちまして、本日の部会を終了させていただきます。どうもありがとうござい ました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線2487、2489)