07/10/03 中央社会保険医療協議会薬価専門部会平成19年10月3日議事録 07/10/3 第41回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成19年10月3日(水)11:29〜12:18 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室  3 出 席 者  遠藤久夫部会長 土田武史委員 室谷千英委員     対馬忠明委員 小島茂委員 丸山誠委員     松浦稔明委員          鈴木満委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員          向田孝義専門委員 長野明専門委員 渡辺自修専門委員          <参考人>          (医薬工業協議会)           長野健一意見陳述人          (日医工株式会社)            島崎博意見陳述人          <事務局>          水田保険局長 木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                   4 議   題   ○薬価基準制度の見直しを行うに当たって論点 ○遠藤部会長 それでは、ただいまより、第41回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を 開催したいと思います。  まず、当部会に関する委員の選任について御報告をいたします。  9月21日付で、向田専門委員、長野専門委員及び渡辺専門委員が任期満了を迎えられて おりますが、3人の方とも、任期満了後改めて発令がなされております。  さらに、9月27日付で本部会の委員のうち4名が任期満了を迎えられております。飯沼 委員は御退任され、その後任として中川俊男委員が発令されております。また、対馬委員、 鈴木委員及び山本委員につきましては、任期満了後改めて発令されております。  社会保険医療協議会令においては、部会に属すべき委員は中央社会保険医療協議会の承認 を経て会長が指名することとされております。このため、本日の部会の開催に先立ち、中医 協の各委員に対し、土田会長からこの部会に属するべき委員についてご相談されております。 その結果を踏まえ、会長より、お手元の名簿のとおり指名されております。  それでは、新任の中川委員より一言ご挨拶をお願いしたいと思います。 ○中川委員 日本医師会の中川でございます。日本医師会では広報と医療政策を担当してお ります。よろしくお願いいたします。 ○遠藤部会長 それでは次に、委員の出欠状況について報告いたします。本日は、白石委員 が御欠席です。  また、後発医薬品の関係で、医薬工業協議会理事長の長野健一さん、日医工株式会社の島 崎博さんに参考人として御出席いただいております。よろしくお願いいたします。  なお、審議官は、公務のため欠席するとの連絡を受けております。  それでは、議事に入りたいと思います。  前回、9月19日でありますが、前回に引き続けまして薬価基準制度の見直しを行うに当 たっての論点について検討したいと思います。  今回は、薬価制度改革主要検討事項のうち、2でありました採算性に乏しい医薬品の評価 のうち、小児用医薬品及び希少疾病用医薬品の評価について議論することとしたいと思いま す。  今回も、事務局が検討事項に関連する資料を準備しておりますので、その説明を聞いた後、 薬価基準制度の見直しを行うに当たっての論点について御検討いただきたいと思います。  それでは、事務局から資料について説明をお願いしたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 薬剤管理官でございます。私の方から資料の説明をさせてい ただきたいと思います。  まず、中医協薬−1でございます。1枚目に、今部会長の方からお話しございましたよう に、今日の資料を用意させていただいているものが、いわゆる小児用医薬品の問題、それか ら希少疾病用医薬品の問題でございますが、特にここに論点で出させていただいていますよ うに、それらの加算率、加算要件をどのように考えるか、また、このような採算性に乏しい 効能効果を追加した場合の評価をどのように考えるのか、それからあとは外国と大幅に薬価 が異なる薬効群の医薬品についてのコストの評価をどう考えるかというようなことについて の関係する資料を提出させていただいております。  薬−2でございます。1ページをごらんいただきたいと思います。まず、小児用医薬品の 状況でございます。小児用医薬品につきましては、小児における治験がなかなかやりにくい というようなこともございまして、小児用の医薬品の開発がなかなか進まないという状況が ございます。そういうことにつきまして、薬事当局であります医薬食品局の方におきまして は「小児薬物療法検討会議」というものを設けまして、下のスキームにございますが、厚生 労働省が学会からの要望等を受けまして、この検討会議でエビデンスの収集・評価を行いま して、製薬企業に対して速やかな承認申請等を要請すると、こういったスキームを設けまし て小児用医薬品の開発促進策を行っているという状況にございます。  2ページをお開きいただきたいと思います。それでは、具体的にどのようなものについて 小児用医薬品の効能効果の要望があるかということでございます。2ページ目以降4枚ほど 続いておりますが、数を言いますと延べ99の薬がございまして、すべて既に承認されてい る薬の適応追加というものでございます。見ていただければそうでございますが、例えば 「アザチオプリン」とかいいますと、小児ループス腎炎、特発性関節炎の効能追加とかござ いますが、このようなさまざまな疾病の小児適応についての要望を、右側にございますよう な小児の関係の学会から多数いただいているという状況にございます。  この中で、実はこの「小児薬物療法検討会議」でこういう促進策を行いまして、実際に承 認をとったものが2つございます。今申し上げた「アザチオプリン」という、2ページの上 から5つ目の「アザチオプリン(イムラン)」というものと、それからその2つ下の「アセ トアミノフェン」というものの2つは承認されたものでございます。そのほか、効能追加に ついて承認されたものがまだございません。  続きまして6ページをお開きいただきたいと思います。それでは、こういった小児用医薬 品について、今の薬価制度上はどのようなインセンティブがあるのかということでございま す。これは前回の薬価制度改革におきまして新薬で承認された後、類似薬があるものについ ての中で小児用加算として3〜10%の加算がございます。ちなみに、また後で出てまいり ますが、市場性加算というものが3%と10%というものがございます。  続きまして7ページでございます。小児加算というのはどういう要件で認められているの かということを文書で書いてございますが、イとロの要件がございまして、その新規収載品 の主たる効能及び効果またはその効能効果に係る用法用量に小児に係るものが明示的に含ま れているということで、小児用のこういう効能、小児の用法用量はこういう用量でというこ とが明示的に薬事承認で認められているということがまず要件でございまして、その上で、 実はこの小児適応を持っているものが類似しているもの、いわゆる同様の効能効果で同様の 薬理作用があるものの中で既に小児適応をとっているものがある場合については認められな いと。逆に言えば、その類似薬の中で初めて小児適応をとったものが加算の対象になるとい うような要件になってございます。  実は、これについては、もともと上の市場性加算、これの方が古くからつくっておるもの でございますが、いわゆる希少疾病用医薬品であって、いわゆる薬理作用類似薬がないとい うことが要件になっていることを準用いたしましてつくったものでございます。これについ ては、特に類似しているものの中で一番最初に出てくるというものが、特にやはり革新性も 高く、非常にいい仕事をされたということもございますので、特にその辺についてのインセ ンティブをかけているというようなことになっているわけでございます。  8ページでございます。では、実際に18年4月から今まで小児加算はどのようなものが 対象になったのかということでございますが、小児加算に適用された例が2件ございまして、 「オゼックス」・「トスフロ」というものと「ファンガード」というものがございます。実 際にこれについては小児適応を持ったことから加算がされたわけでございますが、どちらも 小児加算として5%の加算をしております。  外国価と比較できればよかったのですが、これは外国価がちょうどないものでございまし たので、具体的に小児加算の結果どのくらい上がったかということをお示ししておりますが、 「オゼックス」・「トスフロ」の場合ですと、最終的に154円70銭でございますが、上 がった分として10円80銭上がっていると。「ファンガード」については、最終的に3, 974円でございますが、小児加算の分で222円というふうになっておるところでござい ます。  その下に、実は先ほど行った薬理作用類似薬があるということで小児加算が適用されなか った事例、実はこれが2つほどございまして、「パルミコート」と「アレグラ」がございま す。これについては右側にちょっと太い線で四角で書いてございますが、「パルミコート」 については、そのほかの「プロピオン酸フルチカゾン」、こういったもので小児適応があっ たと。それから「アレグラ」については「塩酸エピナスチン」等であったということで、類 似のもので小児適応があるということで加算の対象にならなかったというものでございます。 こういったものを外国平均価と比較した場合には、「パルミコート」で 85.6%、それから「アレグラ」で95.2%というような状況になっているわけであり ます。  次、9ページでございます。小児の効能を追加した品目の例ということでございます。実 は、小児適応を通常開発とる場合の通常のパターンは、最初に大人で取得をした上でその後 ある程度使ってから小児適応を追加するというパターンが非常に多いわけでございますが、 ただ、そういった効能追加するということについては何の薬価上のインセンティブする仕組 みはないというものでございまして、薬事の方においては今優先的な審査も行いまして、例 えば小児の悪性固形腫瘍というものはなかなか薬がないわけでございますけれども、そうい ったものの効能追加がされているということでございますが、薬価上は特段の評価する仕組 みがないという状況になってございます。  続きまして10ページでございます。希少疾病用医薬品の開発促進についてでございます。 希少疾病用医薬品については、非常に患者数が少ない疾患ということで、その開発促進を国 としてもやっていこうということで、法律上規定を置きまして、助成金の交付ですとか税制 の措置、こういったものを対象としてやっているということでございます。  次の11ページでございますけれども、これは長く10年以上やっているものでございま すけれども、これまでに希少疾病用医薬品として指定されたものが201品目、その中で承 認されたものが122品目あったという状況でございます。  続きまして12ページでございます。市場性加算の方につきまして、今までどういうもの が適用されたかと。類似薬効比較方式で市場性加算がつくもの、希少疾病用医薬品の場合に 類似薬なしと判断されて原価計算されるものが非常に多いこともございまして、類似薬効比 較方式で加算の対象になるものは非常に数が少なくなっておりますが、5年間さかのぼりま して5品目ございます。見ていただきますと、なかなか見方はどういうふうに見ていくかは ございますが、一応外国の価格と比べた場合にどういうような分布をしているかということ で見ますと、一番右側にその比較がございますけれども、非常に外国平均価よりも高いもの があったり安いものがあったり、ちょっとまちまちの傾向があるというものでございます。  続きまして13ページでございますけれども、先ほど言ったように、市場性加算も薬理作 用類似薬がありますと加算が適用されませんが、そういった理由で適用されなかったという ものが11品目あったというものでございます。このような場合に、加算の対象にはならな いというものでございます。  続きまして14ページでございます。希少疾病についても効能追加ということがよく行わ れ、特に適応外使用の関係から学会等の要望もあって、このような薬、効能追加を、希少疾 病用の効能の追加をする場合はけっこうございますけれども、薬事においては優先的な審査 が行われ医療上の必要性が高いというふうにされているものであっても加算の対象になる仕 組みはないというようなことが現状でございます。  続きまして15ページでございますけれども、これについては特に外国の価格と大幅に異 なるものがあるというようなことでつけておりますが、前回似たような資料をつけましたけ れども、口頭で申し上げた9月収載分のものを含めまして、一応グラフ化するとこのような 結果になりまして、対外国平均価で見ますと平均値は90.7%というものでございます。  16ページ以下は、その個表をリバイスしたものをおつけしているということでございま す。  私の説明は、以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまのデータに基づきまして御議論いただきたいわけでありますが、簡単 に今お話があったことを整理いたしますと、採算性に乏しい医薬品の評価ということで、小 児用医薬品とオーファンドラッグの2つを挙げられまして、それぞれについて現行の加算率 が妥当であるか。それからこの加算の要件があるわけでありますが、これが適切であるかど うかと。さらには、効能効果が追加された場合の評価がないという現状に対してそれをどう 考えるかという視点から御検討いただければということが含まれた資料だというふうに理解 しておりますので、そのような視点、あるいはそうでない視点でも結構でありますので、御 自由に御議論いただきたいと思います。 ○対馬委員 小児の方ですけれども、今3〜10%ということで前回の改定のときに新たに 設けたのですよね。それに対して今のお話ですと、率自体を3〜10%から上げたいという こともあるのですか。つまり、ここにはそういった資料なりデータなり、あと今の説明でも 要件的に厳しいという話はあったのですけれども、この加算率自体については問題意識なり データというのは出されていないように思うのですけれども。 ○遠藤部会長 すべてを包括的な議論だと思いますが、その中に当然加算率も入るとは思い ますけれども、事務局の意向としてその加算率ということについてはどういう意向があるの か、そういうような御質問だと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 実は、対馬委員のおっしゃるように、18年4月からのもの でございますので、なかなかデータ的に数がどうしてもそろわないこともございまして、そ のようなところが見えにくくなってございますけれども、事務局としての問題意識は、実際 にニーズに対応していくことを考えていくと、インセンティブとしてはこの率ではまだまだ 弱いのではないかなという問題意識を私どもとしては持っているところでございます。 ○対馬委員 そういうことであれば、またデータ等も出して、ないしは議論をさせていただ ければいいのですけれども、ただ3〜10%というのは、市場性加算の(I)と(II)、こ れが3%と10%になっていますけれども、恐らくそことの見合いで決めているのではない かと思うので、関連もよく議論しなくてはいけないのだろうと、こういうふうに思います。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  恐らくデータという点で言えば、先ほど小児加算の中で実際に加算された金額というもの が括弧の中に出ていたというようなところで見ると若干少ないのではないかと、こういう印 象で書かれていたというイメージだったのではないかと思いますけれども、いずれにしまし ても非常に重要な御指摘でありますので、そういう方向から議論していきたいと思います。 ○鈴木委員 小児の薬でございますとかオーファンは我々にとってとても大事で必要不可欠 でございますので、小児の方からは学会関係等、本当に現状は非常に投与に制限があって治 療しづらいという話もありますので、もう少し普遍的に使えるような形というのが望ましい と私は思っております。  そのために、あとはそれに見合うか見合わないかといいましょうか、今度は薬価の問題に なってくるのだろうと思います。類似薬があるかないかで相当違っていますけれども、13 ページを見ていますと、これは市場性加算、類似薬があることを理由に市場性加算が適用さ れなかったということで、例えばHIVが4種類ほどの薬がここに見られますけれども、H IV、1つ何か通ると、後から出てくるものが全部類似薬があるというふうに判断されるの であれば、それはちょっと問題ではないか。社会的なニーズというようなところも勘案され た取り扱いはされるべきであろうと思います。それが1つ。  もうあと1つは、できるかできないかわかりませんけれども、6ページに原価計算方式が ございますけれども、極端な話、ここで営業利益をゼロにしても、オーファンというような ものが例えば一定量保管されていて緊急時に間に合うのであれば、ゼロはそういうことでは いかないとは思いますけれども、こういう類似薬のないものの営業利益というようなものの 率なのでしょうけれども、こういうものを勘案しながら社会的な要請というようなものにこ たえるような薬価の方法というのはないのかなと、まずそう思いましたので、その2点を伺 いたい。 ○遠藤部会長 最初の質問は、薬理作用の類似薬というのが厳しすぎるのではないかという ようなお話だったと思いますけれども、これについては御意見としてお聞きすればよろしい ですか、それとも質問、HIVの例で……。 ○鈴木委員 いや、HIVみたいなものであれば新薬というのはそれなりに評価されるべき だと思いますので、1種類、もう開発されていれば、あとはみんな類似薬があるものという ふうに限定される取り扱いは考え直すべきではないかなというふうに思います。 ○遠藤部会長 わかりました。御意見ということですね。  もう1つの方は、原価計算方式で、そこで何か工夫ができないだろうかと、そういう御発 言だと思います。ありがとうございます。 ○渡辺専門委員 今の診療側の委員の御発言の応援ではないのですけれども、私は流通を担 当しておりまして、やはり小児科の小児病院の先生方から、ほかに適応症を有している薬剤 が非常に少ないので非常に診療所が困るというお話が多うございますので、前向きな改定を お願いいたしたいというふうに思います。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。 ○山本委員 私も同様に考えておりまして、今ここにございます資料を拝見しますと、小児 の中で言えば、先ほど鈴木先生が処方されるお立場から御意見がありました、私どもそれを 調剤する立場になるわけですけれども、添付文書等を参考にしながら調剤をするにつけても、 明確な指標がないで経験則で進むわけですので、危険ではないのでしょうが、実態として大 変難しい問題が発生しますので、そうした意味でいえば、ここに挙がっているようなものを うまく評価するような薬価上のインセンティブをつけるということは必要なのではないかな というふうに考えています。  一方、新薬の際にはまさに最初に出たもの以外、一等しか評価されないという仕組みにな っていますので、そのことについてはやみくもに小児加算がついてどんどん高い薬価がつい ていくということについては問題があろうかと思いますが、使うべき必要な医薬品が十分に 供給される体制をつくることも必要なので、例えば、先ほどは原価計算方式の御意見があり ましたけれども、途中で効能追加があるようなことについて、直ちに対応できないまでも、 例えば次の改定のときに御褒美がもらえるとか、そういうような仕組みもあってもいいので はないか。それは過大なものではなしに、その努力をした結果についてきちんと認めていた だけるような仕組みも御検討いただければ、恐らくオーファンも含めて同様のことが言える のではないかという気がいたしますので、そのこともぜひ御検討いただくなり、ここで御議 論いただければと思います。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  まさしくそういうことを今後議論していくということであります。 ○対馬委員 市場性加算のところが、ちょっと資料の意味するところがよくわからないとこ ろがあるのですけれども、12ページのオーファンドラッグですけれども、外国価格との比 較が最終的にここで問題にされているように見えるのですけれども、類似薬効比較方式の場 合には、こういったオーファン以外のものでも外国平均価格と調整しますから、そうします と結果的に1.5倍から0.75倍とばらつくわけですね。オーファンの場合は、どちらか というと採算がとれるかとれないかというのが問題で、あまり外国価格との関係が問題にな るということはないような感じもするのですけれども、ちょっとそこの意味合いがよくわか らないのですけれども。 ○遠藤部会長 それでは、これでなぜ外国平均価格と比較をしているかということでお願い します。 ○事務局(磯部薬剤管理官) 対馬委員のおっしゃるとおりでございまして、採算がとれて いるかどうかというのはなかなか見方が難しいわけですが、少なくとも外国でその価格で売 っているとすれば、それは採算がとれていると見てもいいのであろうと、それからあまりに も安ければなかなか厳しいのだろうという、そういう意味での相対的な比較はなし得るかな ということで、そういう採算がとれているかどうかの指標がなかなか出しにくいこともござ いまして、ある程度はわかりやすい指標として使っているということでございます。 ○遠藤部会長 よろしいですか。  この中に、例えば4番目ですと40.8%というようなものがあって、このような加算を 加えていても外国価格よりも半値以下になっているものがあるというようなことを、インセ ンティブとして十分かどうかということの御議論の一つの資料として出されていると、そう いうことだと思います。 ○小島委員 論点として、私の視点で整理をさせていただくと、薬−2の6ページに薬価算 定方式の全体の原則が出ていまして、有用性加算あるいは市場性加算というのは類似薬効比 較方式しかつかない、原価方式には加算がないということで、これについては全体の薬価算 定の中でどうするかというような議論も出ていますけれども、そういう全体の算定方式の中 で加算をどう考えるか、原価計算方式をどうするかということが1つと、それと、現行の制 度はベースにしながらも、小児加算については原価方式といいますか、そういうことにアド バンテージを与えるか、評価すると。あるいはオーファンドラッグについても、ここは原則 は原則だけれども、そこの2つについては特別に評価をするかどうかという、そこの判断だ ろうと思っております。ここ全体のところをどうするかというのは議論としてはなかなか難 しいところはあるのだと思いますけれども、その中でもやはり小児加算とかあるいはオーフ ァンドラッグについては特別なアドバンテージを与えてもいいのではないかというふうには 思います。 ○遠藤部会長 わかりました。ありがとうございます。  まさにそういう議論も非常に重要なわけですね。特例としてこの辺を認めていくのかどう かということだと思いますが。  ほかに何かございますでしょうか。 ○渡辺委員 この資料の中で、小児適応ということでそれぞれの小児関係の学会から、歯科 もあるのですが、たくさんの要望が出ておりますが、先ほどお話を伺いますと、この中で2 つだけが適用が通ったという。しかし、これだけの数の薬を小児科の専門の先生たちがぜひ 使いたいと、必要であると。これは先生方、臨床的には多分これをきちっとした管理の下に 行われているのではないかと。そうしますと、実際にそれが使われたときに適応症がないと いうことでもって実際の審査の段階になりますと、先生方の使用が認められないという危険 があるのですね。しかし、以前に効能効果で判断するという考え方が当然あるわけですので、 今これだけの多くの数のものが、全部ではないにしても、適用を通る前にもちゃんと効能効 果からしてこういう範囲で認められるべきだという判断がどこかでされて、臨床的にこれが 有効に使える道が必要ではないか。それが臨床の現場を、患者さんの、子供さんたちの現場 をきちっとフォローするために必要ではないかと思うのですが、そういう点についての当局 の方の御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。 ○遠藤部会長 それでは、事務局ですが、これは保険局でよろしいのですか。 ○事務局(原医療課長) 医療課長でございます。  審査に当たってどういうことをどういうふうに見ているかという点ですけれども、原則的 には薬事法上の効能効果、用法用量に沿って当然使っていただくというのが大原則ですけれ ども、例えばそうでない場合、十分に安全性が確認されている薬等について、その薬理作用 に基づいて医師が投与した場合に、そういうような形で必ず一律的に査定をされているわけ ではないと、そういうのが現状であると申し上げておきます。 ○遠藤部会長 ありがとうございます。  よろしいですか。では、手短にお願いします。 ○渡辺委員 過日の薬剤の産業界の方々にもお願いしましたが、今日もおられますので、こ れだけの数がそれぞれ要望が強く出ていると、ぜひ業界としての適用をとるご努力をお願い したいと思いますので、よろしくお願いします。 ○遠藤部会長 では、よろしくお願いいたします。  それでは、まだ御意見あるかもしれませんけれども、おおむねこの採算性のとれない医薬 品につきましては、今まで議論されたような方向で検討していこうということにつきまして は共通認識が得られたと思いますので、事務局の方で本日の議論を踏まえてもう少し整理を したような形で詰めた議論ができるような、そのような資料の作成をひとつお願いしたいと 思います。  今後また薬価制度見直しを行う上でさまざまな議論は次回以降続きますので、ひとつよろ しくお願いします。  引き続きまして、前々回の8月1日になりますが、2号側の委員から、後発医薬品の品質、 有効性、安全性等に関する公表された論文にどんなものがあるのかということが後発医薬品 企業の団体である医薬工業協議会の方に御要望があったわけですが、団体の方で検索をして それをまとめたものを本日御提出いただきましたので、その結果につきまして御説明いただ きたいと思います。よろしくお願いします。 ○長野参考人 医薬工業協議会の長野でございます。それでは、説明をさせていただきます。  ジェネリック医薬品の品質、副作用等の文献について調査をいたしました。  まず、文献検索の条件でございますが、日本での2つの主要なデータベース、医中誌WE B、それからJDreamIIを検索いたしました。検索期間は、製剤の使用期限がおおむね 3年であるということから、直近3年間の文献を調査をいたしました。この文献については、 国内の文献でいわゆるレフェリーのある、論文審査をされたものに限って今回取り上げさせ ていただきました。検索の条件としましては幾つかのキーワードを掛け合わせて、品質それ から臨床に分けて検索をいたしております。  2ページ目でございます。検索しました文献の中でも除外したものがございます。例えば 実際に試験を行っていない総説とか、あるいは添付文書だけを比較したようなもの、ここに 書いてある4種類のものについては除外をさせていただきました。その結果、採用させてい ただいた文献が、品質関係が21報、臨床関係が19報でございました。  さらに、文献につきまして、品質につきましては特にここに書いてございますように4つ に分類をいたしてまとめさせていただきました。純度を比較しているもの、純度以外の品質 を比較しているもの、味覚、服用感等の違いを取り上げているもの、それとその他といった ような分類でございます。  その結果でございます。品質関係につきましては、まず注射剤の不純物に関するものが6 報、それから不純物以外の品質に関するものが6報ございました。また、口腔内崩壊錠の崩 壊時間の違いとか味覚等の違いに関するものが4報、それからいわゆる公定の規格とは異な る試験法によって比較したものが3報ございました。  こうしたものについて、私どもでは内容をチェックし、また指摘されているものについて 関連の会社から見解を聞くといったようなことをしまして調査をいたしました結果、今回の ものについては、多くが公定規格の範囲内での変動であるとか、あるいは味覚等の違いとか、 それから公定の試験とは異なる試験法によるといったものが多くて、全体的に見れば公定の 規格から外れる製剤はなかったということでございまして、指摘のあった製剤に関しまして、 関係の会社から調査を行って、関連のデータを提出していただいたわけでございますけれど も、規格から外れるようなデータはなかったということでございます。  それから3ページ目でございます。とはいえ、中には改善をすべきものがございまして、 例えば光安定性についての改善の取り扱いといったようなものについて注意喚起をした方が いいだろうと思われるものにつきましては、関連の会社に注意喚起を行うよう要請をいたし ております。  また、このように規格の範囲内とはいえ指摘されたことについては、私どもとしても真摯 に受けとめまして、さらなる今後の品質の向上を目指したいと考えております。  次に、臨床関係でございます。臨床関係では、やはり症例の報告が多かったのですが、注 射剤の穿刺部位の発赤、浮遊感や目のただれ、アナフィラキシーショックというような症例 報告でございます。症例報告以外では、ジェネリック薬に切りかえた後の検査値が上昇した といったような臨床調査等もございました。副作用の症例につきましては、既に先発品の使 用上の注意に記載されている副作用が多いと思われましたけれども、今後この種の副作用情 報に注意するように、各社には私どもの方から要請をさせていただいております。  こうした結果でございますけれども、私ども医薬工業協議会といたしましては、協議会内 に信頼性向上のプロジェクトチームを設置いたしまして、今回の調査に限らず、今後もこの 種のジェネリックの品質問題を指摘する文献を調査して、それに応じて必要な対応を行いた いとしております。また、今回指摘のものについてもさらなる一層の品質の向上に努めたい というふうに考えております。  4ページ以降にその文献調査の結果のまとめがございます。簡単に説明させていただきま す。4ページの6つの文献につきましては、いずれも一部錠剤の溶出試験のものがございま すけれども、主として錠剤の微量成分、純度を指摘したものでございまして、いずれも公定 の規格内の変動ではあるのですが、夾雑物が多いといったような指摘でございます。中には、 既にこれらの論文を把握して品質の改善を図っておる会社もございます。そうしたものもあ るということでございます。  それから5ページ目は、純度以外の品質を比較しているものでございまして、1番目は、 この製剤中のpH調整剤に炭酸ナトリウムを使っておりますので、炭酸ガスが発生して点滴 筒内の液面をガス圧によって押し下げるといったような指摘でございます。これについては、 pH調整剤を変更するか、あるいは添付文書に注意書きをするということで解決できるとい うことで、その添付文書への記載を要請をいたしております。  それから、2番、3番、6番が溶出試験に関する指摘でございます。3番についてちょっ と補足させていただきますと、この論文では、ある社の製品で古いロットのもので溶出試験 は不適といったようなデータが出ているのですが、これについて企業側の調査を行ったとこ ろでは、当該ロットが出荷時の規格には適合しているということと、当該ロットではござい ませんけれども、これに近い時期に製造されたものの長期安定性の試験、3年間の安定性の 試験が行われておりまして、それでは規格に適合しているということでございます。この論 文で、どうして溶出試験が不適になったかは原因がわかりませんので、私どもとしてもまた 精査をいたしたいというふうに考えております。  それからあと、純度以外の点では、吸着炭による効果に違いがあるというのが4番、5番 でございます。これも会社からコメントを求めましたところ、いずれもこれは規格には適合 しているということと、インビトロのデータにおいては効果については同等であるというこ と、それと市販後の成績調査を実施しているというようなコメントをいただいております。  それから次の6ページ、あとは、味覚とかそれから製剤的な特徴、口腔内の崩壊時間とか いった、規格とは異なる点を指摘するものでございまして、こういうものは、何の対応する 必要はないと思っております。それが4番まで。それから5番、6番、7番については、規 格とは異なる試験法によって行ったものでございます。  それからエのその他は、むしろ同等以上というものでございますので、説明は省略させて いただきます。  それから7ページ目でございますが、これが臨床関係でございます。症例の報告をされて おるのが1番、3番、4番、5番、それから次のページの8番でございます。これらについ ては、使用上の注意にも記載されている副作用でございますが、今後この種の安全性情報に 努めるよう各社には要請をいたしております。  それから、2番と8番は、プラバスタチンナトリウムの先発から後発に変えたときに検査 値が上がったというようなことでございます。これについては、その変動自体が正常値のぎ りぎりのところでのわずかなものであるというようなこと、それと別の論文では有効性は同 等とするような論文もございます。大体、以上でございます。 ○遠藤部会長 ありがとうございました。  それでは、ただいまの御報告につきまして御質問、御意見あれば、承りたいと思います。 ○山本委員 大変膨大な資料をありがとうございました。むしろこちらの方から求めた十分 な資料が出ていると思って感謝しております。  ただ、ジェネリックといいますか、後発医薬品につきましては、基本的な薬剤師の立場と しても、使用促進をするという、同じお薬でありますという原則に立っておりますので、そ の部分につきましてはそのスタンスは変えないということでお聞き願いたいのですが、例え ばいただきました資料を拝見しますと、品質と臨床の部分という極めてサイエンティフィッ クな部分と、それから味、使用感という情の部分等があって、今の御説明の中でちょっと気 になりましたのは、その情に係る使用感等には対応すべき必要はないというふうに言下に切 り捨てられたのでありますけれども、まず、新しいお薬であれ、もちろん先発品であれ後発 品であれ、初めて使うときにはどちらも使用感というのはないわけですから、議論の余地は ないと思うのですが、現在後発品が問題になっていますのは、既に使われているものを同等 の他の後発品に変更しようということですから、当然その臨床的なもの、あるいは品質的な サイエンティフィックな部分につきましては、国が一定の担保をしているというスタンスは よくわかりますけれども、使い勝手ということが現場では極めて問題になりますので、その ことは科学的ではないから対応する必要はないのだというお立場につきましては、いささか 私どもとしては、現に薬を扱う者としては、よりよいものに直すというのが一定あるべきで はないかという思いがしますので、それにつきましては後ほど御意見を伺いたいと思います。  もう一点、いただいた資料の中で幾つか気になりますのは、すみません、時間が長くなっ て申し訳ございません、例えば4ページの2番であったり、あるいは6番でございますが、 注射の中に夾雑物があったと、そのことは医薬品を扱う、あるいはおつくりになる立場から すれば極めて大きな問題だと思うのですが、そのことは許容の範囲なのだということがまず あって、その後により改善しているよという反応の仕方であったり、あるいは6番も同様で ありますが、そんなことは確認済みだと、でもとりあえず考えてやろうねという御発言なの かなと。その一方で、ちゃんと効くものについては何もコメントがないというのはいささか サイエンティフィックな情報で評価しつつ仕事をしようというふうには少しわかりにくいの かなということと、7ページなどで言えば、回路の中に析出物が出ましたよ、多かったとい うことについて、安全性に影響がないのだからいいではないかというような、例えば現場で 使っている医師なり看護師なりの方々の反応はどうなるのかなというのが少々気になります ので、そのあたりのことについて、確かに規格に合っているからということにつきましては 私も承知しておりますが、現場で使ってきた、先ほど理事長は真摯に受けとめてとおっしゃ ったとすれば、まずはそうした問題点があることについてどうしてなのだということがあっ た上で、さらに事を進めていくということがないと、なかなかこれだけのものを出されて、 確かに正しいことはよくわかりますが、使用現場での信頼感というか、その辺はいかがなも のなのかなという、そのあたりをちょっとお伺いしたいのですが。 ○遠藤部会長 業界を代表して来ていただいているわけではありませんが、これをまとめる 上でのそういうような印象があったということに対して、まとめたお立場で御発言いただけ ればと思います。 ○長野参考人 私ども、まず最初に一番気にしたのは、やはり規格に合っているか合ってい ないかということでございます。これはもう法律を遵守する、コンプライアンスをするとい う点でまずそれを一番重視しておりました。ただ、先ほどから私ども申し上げております、 それだけではなくて、より一層の改善はしていきたいということは、私どもこうした指摘が あるということについて、やはり真摯に受けとめていきたいと考えておる次第でございます。  それから、この使用感の問題でございますが、確かにその医療の現場の声を聞いて、その 製剤的な改善をするということも非常に重要ではないかと考えますので、そうした御意見も 踏まえて、医薬協としてはまた会員には十分その点も徹底していきたいと思っております。 ○遠藤部会長 よろしくお願いします。山本委員、よろしいですか。  ほかにございますか。 ○鈴木委員 ちょっと直接的に関係ないかもしれませんけれども、後発品として抗がん剤も 発売されているというようなことを私は最近知ったのですけれども、いつごろから今何種類 ぐらい発売されていて、それに対するこういうような指摘というのは一切ないということで しょうか、ちょっとそこを教えていただきたいのです。 ○遠藤部会長 つぶさには多分お答えできないかと思いますが、ただ、データベースで直近 まで調べたものがこれだということですが、それであれば最後の質問についてはお答えでき るかと思います。 ○長野参考人 抗がん剤がいつごろからどれぐらいというのはちょっと今データがないので 私どもお答えできないのですが、この文献については直近3年間、現在市場に出回っておる 医薬品についての指摘は大体網羅できるだろうということで調査していただきました。この 中には抗がん剤は入っていないと考えております。 ○遠藤部会長 よろしいでしょうか。抗がん剤について何か資料の提出は必要ですか。よろ しいですか。 ○鈴木委員 はい。 ○遠藤部会長 ほかにございますか。  よろしゅうございますか。それでは、短期間にかなり精度の高いレポートをまとめていた だきまして、ありがとうございました。  それでは、ほかにもいろいろと御意見があるかと思いますけれども、時間をかなりオーバ ーしておりますので、本日、このぐらいにしたいと思いますけれども。 ○向田専門委員 すみません、ちょっとお願いがございます。 ○遠藤部会長 わかりました。向田委員、どうぞ。 ○向田専門委員 前回、事務局の御努力で膨大ないろいろなエビデンス的な資料を出してい ただいたのですが、その中に、類似薬がなく競合のない新薬でも薬価改定のたびに下がり続 けるというのがございました。これは先進諸国の中では日本だけだと思いますが、この辺に ついては8月1日の業界意見陳述で、イノベーションの評価と促進の方向性についてという 中で、その改善策も提案しております。それで、次回の薬価専門部会でその辺の若干の資料 を出させていただいて説明をさせていただきたいのですが、それへの御配慮をよろしくお願 いしたいと思います。 ○遠藤部会長 それは、そうしますと、日薬連のお立場を説明したいという、そういうよう なスタンスと受けとめてよろしいですか。 ○向田専門委員 専門委員ですから、そこまでは言えないのですが。 ○遠藤部会長 恐らく日薬連が出されている内容についての御説明と言うことだと思います が、今おっしゃられましたように、専門委員というのは基本的に団体の代表ではありません けれども、ただ、そうはいいましても、もし委員の皆様が御了承いただければ、そのような 資料提出と御報告をしていただくということをお認めいただいてもいいかと思いますが、い かがでございましょうか。日程の問題はちょっとありますが、この場でその議論をしていい かどうかということについて、特段御反対の方はいらっしゃいますか。  よろしゅうございますか。  それでは、いつになるかというのはちょっと事務局と相談して、ぜひよろしくお願いいた します。 ○向田専門委員 ありがとうございました。 ○遠藤部会長 ほかに何かございますか。  よろしゅうございますか。それでは、本日はこれにて閉会したいと思います。  次回の日程等につきましては追って事務局より御連絡いたします。ありがとうございまし た。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)