07/10/03 平成19年10月3日薬事・食品衛生審議会薬事分科会議事録 薬事・食品衛生審議会 薬事分科会 議事録 1.日時及び場所   平成19年10月3日(水) 10:00〜   霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 2.出席委員(16名)五十音順 赤 堀 文 昭、 伊 賀 立 二、 池 田 康 夫、 板 倉 ゆか子、 大 野 泰 雄、 笠 貫   宏、 神 山 美智子、 黒 木 由美子、 永 井 良 三、 西 島 正 弘、 早 川 堯 夫、 藤 田 利 治、 松 本 和 則、◎望 月 正 隆、 望 月 眞 弓、○山 口   徹   ◎薬事分科会長 ○薬事分科会長代理   他 参考人1名   欠席委員(8名)   井 部 俊 子、 岩 田   誠、 河 盛 隆 造、 木 津 純 子、   佐 藤 光 源、 竹 嶋 康 弘、 本 田 佳 子、 溝 口 昌 子     3.行政機関出席者 高 橋 直 人(医薬食品局長) 黒 川 達 夫(大臣官房審議官) 中 澤 一 隆(総務課長)、田 原 孝 明(総務課医薬情報室長) 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、俵 木 登美子(医療機器審査管理室長) 松 田   勉(安全対策課長) 熊 本 宣 晴(監視指導・麻薬対策課長) 山 本   史(監視指導・麻薬対策課監視指導室長)  新 村 和 哉(血液対策課長)、植 村 展 生(血液対策企画官) 他 4.備考   分科会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○総務課長 ただ今から、薬事・食品衛生審議会薬事分科会を開催いたします。まず定足 関係です。当委員会は24名のうち、本日17名の御出席が予定されております。定足数は 13名で、すでにその数を超えた方がお見えになっておりますので、定足数に達しており ますことを御報告いたします。  議事に先立ち、医薬食品局幹部に人事異動がありましたので御紹介いたします。松田安 全対策課長でございます。 ○安全対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 熊本監視指導・麻薬対策課長でございます。 ○監視指導・麻薬対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 新村血液対策課長でございます。 ○血液対策課長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 梶尾医薬品副作用被害対策室長でございます。 ○医薬品副作用被害対策室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 田原医薬情報室長でございます。 ○医薬情報室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 山本順二化学物質安全対策室長でございます。 ○化学物質安全対策室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 山本史監視指導室長でございます。 ○監視指導室長 よろしくお願いいたします。 ○総務課長 倉持安全使用推進室長も着任しておりますが、本日は所用につき欠席してお ります。それでは分科会長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 最初に、事務局から配付資料の確認と資料作成、寄付金等に関する申し 出状況についての報告をお願いいたします。 ○総務課補佐 資料の確認をさせていただきます。審議事項については、資料No.1から資 料No.3となっております。報告事項については、資料No.4から資料No.21となっております。 その他、議事次第、座席表、名簿があります。また文書報告の資料は、すでに先生方に送 付しておりますが、お手元には参考までに、文書報告一覧を配付しております。当日の配 付資料としては資料No.3-2「審議結果報告書」を配付しております。こちらは資料No.3「医 療用具ジェイス」の審議結果報告書の差替えとなっておりますので、御確認いただきたく 存じます。恐縮ですが、報道関係者の方は、ここまでということでお願いしたいと思いま す。  続いて、平成13年1月23日の薬事分科会申合わせに基づく資料作成に関与した委員は いらっしゃいません。今年4月23日の薬事分科会申合わせに基づく寄付金等に関する申 し出は、次のとおりです。議題1「医薬品rHSA原液」については、退室委員は池田委 員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題2「医薬品レグパラ錠25mg」につ いては、退室委員は池田委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。議題3「医 療用具ジェイス」については、退室委員、議決に参加しない委員はいらっしゃいません。 本日は審議事項3件、報告事項18件が予定されております。 ○望月分科会長 では早速、議事に入ります。議事1については事務局から報告がありま したように、池田委員は退室となりますので、別室の方で待機をお願いいたします。 ── 池田委員退室 ── ○望月分科会長 議題1は、医薬品第二部会長の池田委員が退室されておりますので、部 会長代理で群馬大学大学院医学系研究科薬効動態制御学の堀内先生に、参考人としてお越 しいただいております。堀内先生、よろしくお願いいたします。  資料No.1ですが、議題1「医薬品rHSA原液、アルビースト注25%及び同5%並びに rHSA原液-バイファ、アルブレック注25%及び同5%の生物由来製品及び特定生物由 来製品の指定の要否、製造承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要 否について」です。本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る 事項ですので、「薬事分科会における確認事項」第3項に基づき、医薬品第二部会での審 議結果を踏まえ、薬事分科会にて審議を行うこととなっております。はじめに部会での審 議結果等を御報告いただいた後、当分科会で審議したいと思います。それでは堀内先生か ら御説明いただきたいと思います。 ○堀内参考人 ただいま御紹介のありました堀内でございます。池田部会長の代わりに、 遺伝子組換え人血清アルブミンについて、概要を御説明いたします。審議の詳細について は、審査管理課から説明していただきます。  人血清アルブミンは、出血性ショックによる循環血漿量が低下した際の是正、あるいは 肝硬変によるアルブミン合成低下による低アルブミン血症や出血性ショックの改善が主 な適応です。現在、日本で使用されているすべてのアルブミン製剤は、献血血漿を原料に しておりますので、血液製剤の使用指針にも含まれており、適正使用が強く要望されてい るものです。本アルブミンは、酵母に人血清アルブミン遺伝子を組み込み発現された遺伝 子組換たん白質でありまして、合成されたプレ及びプロペプチドが、宿主酵母のたん白質 分解酵素によって切断されて、成熟型人アルブミンが、培養液中に分泌されてきます。こ の酵母は、無血清で培養しておりますので、他の動物由来の血清成分は含まれておりませ ん。この培養液からアルブミンを精製したものが、本製剤です。  本年7月25日の医薬品第二部会で審議されましたが、審議のポイントの第1点は、人 アルブミンとアミノ酸配列が完全に一致すること。第2点は、ウイルスなどの感染性のリ スクが低いこと。第3点は、従来の遺伝子組換え医薬品と比べてアルブミンの場合は、1 回に使用する量が平均12.5gと、大量を投与いたしますので、酵母由来の破片あるいは 異種たん白質が混入しておりますと、アナフィラキシーショックを生ずる可能性がありま す。したがって少量を使う遺伝子組換えの医薬品と比べて、より精製度が高く、抗原物質 等不純物の除去が必要です。この3点でございますが、血漿由来のものとアルブミンとし ての性質及び有効性は同等であると判断されました。また、本剤の製造工程において、人 や動物由来の原材料が用いられていないことから、ウイルス等感染性の因子に対するリス クは回避できるものと判定いたしました。  一方、酵母由来不純物に対する安全性については、特に慎重な審議が行われました。具 体的に申しますと、米国では本薬を微量たん白製剤を安定化するための添加剤として開発 しておりました。その際に、このたん白の合成に用いるピキア酵母に対する特異的IgE 抗体を持つ健常人に投与したところ、重篤なアレルギー症状が認められましたので、□□ でのアナフィラキシー反応性を指標に、これを低減化するための精製度の高い製造方法に 変更されております。製造工程の変更後の製剤を、特異的IgE抗体陽性の人に投与した 実績はまだありませんが、国内の臨床試験で、繰り返し長期間投与しても、投与回数の増 加に伴う有害事象や副作用発現率の増加は認められておりません。また、特異的IgE抗 体陽性の場合と陰性の場合とで、有害事象や副作用の発現率に差は認められておりませ ん。  しかしながら、投与に際しては慎重を期すために、特異的IgE抗体価を測定し、原則 として抗体陽性例の投与を避けること、IgE抗体測定前に投与する場合には、リスク・ ベネフィットを考慮して、やむを得ない場合のみに投与することを使用上の注意に明記す るなどの議論を行い、1万症例の適切な製造販売後調査を行うことを条件に、承認しても 差し支えないとの結論に至りました。本薬は従来の医薬品と比べ、遺伝子組換えたん白を 大量に投与するという新しい形の薬剤ですので、薬事分科会で十分に審議していただくこ とが妥当と判断しております。なお、本薬剤は海外では開発されておりません。また本薬 剤は、血液製剤の供給と需要の全体の中で、適正に評価される必要があると考えておりま す。以上、本剤の概要を説明いたしましたが、事務局からもう少し詳しい説明をお願いし たいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございました。事務局から補足等の説明はありますか。 ○事務局 それでは資料No.1、rHSA原液等の審査の概略について、事務局から御説明 申し上げます。なお、本日はお手元にサンプルをお配りしておりますが、申請者より医療 事故防止の観点から、製剤の販売名を変更するとされております。現在、お手元にありま すのは変更前のものです。三菱ウェルファーマ株式会社より申請されているアルビースト についてはメドウェイ、株式会社バイファより申請されているアルブレックについてはス テムという名前に変更されます。併せて紙で名称変更後のものもお配りしておりますの で、御参照ください。  まず、本品目は堀内委員より御説明がありましたとおり、人血清アルブミンcDNAを、 宿主であるピキア酵母に組み込み産生させた遺伝子組換えアルブミンを有効成分とする 製剤です。その臨床試験に関する資料として、国内で実施された第I相試験、第II相試験、 第III相比較試験、長期反復投与試験等の成績が提出されているところです。なお、先ほど の御説明にもありましたとおり、途中で製法変更が行われており、長期反復投与試験及び 生物学的同等性試験は、製法変更後の製剤を用いて実施されております。  有効性に関しては、生物学的同等性試験で血漿由来アルブミン製剤との同等性が確認さ れており、また、第III相比較臨床試験においては、血清中アルブミン濃度の上昇値に、血 漿由来アルブミン製剤との同等性が認められております。  さらに長期反復投与試験においては、血清中アルブミン濃度及び膠質浸透圧の上昇並び に体重の減少が認められております。  安全性については、追加臨床試験を含めた国内臨床試験全727例において102例、14.0 %の副作用が認められ、1%以上の症例に発現した副作用として発熱、発疹、肝性脳症及 びそう痒症がありました。  長期反復投与試験においては副作用症例中、肝硬変の2例と痔出血、出血性ショックの 1例の計3例の症例が認められました。  第III相比較試験においては、本剤と血漿由来アルブミン製剤の副作用発現率に差は認め られず、繰返し投与試験においても、繰返し投与後の増加に伴う有害事象や副作用の発現 率に、増加は認められませんでした。また、特異的IgE抗体陽性例と陰性例で、有害事 象や副作用の発現率に大きな差は認められず、特異的IgE抗体陽性例24例に、皮膚や 呼吸器におけるアレルギー様症状の副作用は認められませんでした。  国内臨床試験においては、本剤投与に伴う重篤なアレルギー様症状は認められませんで したが、先ほどの御説明にもありましたとおり、米国で製造工程に問題があったと指摘さ れたことがあったものの、重篤なアレルギー症状が認められたこと、特異的IgE抗体陽 性例に発熱やそう痒症が認められていること、市販予定製剤を特異的IgE抗体陽性例へ 投与した経験がないことなどから、投与に際しては特異的IgE抗体価を測定し、原則と して抗体陽性例への投与を回避することとし、添付文書においてこれらに対する注意喚起 を行うとともに、適正使用の観点から本剤使用に際しては、患者への説明を十分に行うこ ととしております。  また、製造販売時に使用実態下での特異的IgE抗体の有無と、副作用発現状況等の安 全性情報を収集するために、1万例の使用成績調査を実施すること、IgE抗体陽性例の 安全性情報を逐次確認しつつ、100例を目標に情報を収集することとされております。加 えて肝硬変患者又はネフローゼ症候群患者に対する有効性、安全性に関する特定使用成績 調査も実施することとなっております。  以上、機構での審査及び医薬品第二部会での審議の結果、本剤は血漿由来アルブミン製 剤と同程度の有用性が期待できると考えられ、酵母由来不純物に対するアレルギー様症状 の発現のリスクは考えられるものの、製造工程を見直し、特異的IgE抗体陽性例に対す る投与を原則回避することにより、リスクの低減が図られたことから、承認して差し支え ないとの判断に至り、薬事分科会で御審議いただくことが適当との判断に至りました。な お、再審査期間は8年、原薬及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、特定生物由来製品又は 生物由来製品には該当しないとされております。  本品目についてはあらかじめ事前に、黒木委員及び望月委員から御質問をいただいてお りますので、こちらについても併せて御紹介させていただきます。  まず、黒木委員からの御質問です。審査報告書の58ページの7)の「小児への投与につ いて」の2段落目の最後の方と、添付資料のト-1042において、nHSA製剤の有害事象 の発生頻度が、小児が0.002%、成人が0.0007%と、小児の方が高い値となっております。 その詳細内容の説明及び小児投与例があれば、製造販売後、積極的に安全性調査を実施し なくてもよいかについて、説明をお願いしたいという御質問をいただいております。  御指摘の血漿由来のアルブミン製剤に関する小児における有害事象については、自発報 告を年齢別の出荷数量で割って算出したものです。また、小児・成人のいずれにおいても、 有害事象の発生頻度は極めて少なく、特に小児のみに認められる有害事象はありません。 そのため、これらのデータをもって小児における有害事象の発生頻度が特に高いというこ とを示すものではないと考えております。したがって、現段階では小児を特定して積極的 な情報提供等を実施する必要は低いものと考えています。製造販売後調査については、施 設を限定して、そこで全例調査をすることとしておりますので、小児についてもその使用 実態下での調査が可能であると考えております。  二つ目の御質問として、小用量25%20mL製剤又は5%100mL製剤について、開発の予定 等があったらコメントをお願いしたいという御質問があります。また望月委員からも、小 用量製剤が必要との機構の指摘に対して、企業は対応していないが、そのことについて、 保健診療上の配慮は国として考えているのだろうかという御質問をいただいております。 小児に通常用量製剤を用いる場合、残った製剤の一部を廃棄する必要が出てきますが、上 市後は安全性情報に留意しながら、徐々に市場に導入しようと考えているところです。し たがって小用量製剤の開発について、現時点において企業では具体的な検討は行っていな いというように聞いております。  続いて望月委員からの御質問です。□□□□量は最終製剤では検出限界以下になるの で、測定できないとなっていると理解したが、もっと精度の高い方法を開発させ、比較試 験として実施させることはできないか、という御質問をいただいております。御指摘のと おり、最終製剤における□□□□量は、検出限界以下になるものなので、比較試験として は現在設定しておりません。しかし、これは製造工程の途中段階において検出限界以下に なり、以後の工程でも、□□□□が希釈又は除去されるということを考えますと、最終製 剤で検出限界以下であることを確認することよりも、より上流の製造工程、即ち混入して いる□□□□量が検出下限付近になると考えられる工程において検討を行うことにより、 その方がより精度が高く規制できるのではないかと考えたため、最終製剤よりも上流の工 程において工程管理試験を行い、そこで□□□□量をコントロールするようにして対応し ています。  さらに、望月委員からの御質問です。製造販売後調査で1万例を追跡するというのは、 大変結構だが、それだけの症例を集めるためには何年も必要とされることから、中途から 結果を半年ごとなどで公表することが必要ではないかと思うが、いかがだろうかというこ とです。本品目の製造販売後調査の結果については、当初2年までは通常の安全性定期報 告の報告期間よりも短い3カ月ごとに、その後は半年ごとに、機構に報告されることにな っております。なお、その公表については、承認の迅速化検討会の報告においても指摘さ れているところです。具体的な方法等については現在、検討を行っているという状況です。  説明は以上です。御審議、よろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ただ今の説明について御意見、御質問等はあ りませんか。黒木委員と望月委員は、今のお答えに対しては結構ですか。 ○望月(眞)委員 私は結構です。 ○望月分科会長 ほかの先生方もいかがでしょうか。 ○板倉委員 この医薬品というのは、ある意味で血液製剤自体の問題点をクリアできる部 分もあるとは思うのですが、消費者にとってはアレルギーがどういう形で出てくるのか、 今のデータだけで大丈夫なのかどうか、ほかの不純物質が非常に大量に使われるというと ころで、どういう影響があるのかということが分かりません。今、実際に血液製剤自体が 不足しているところで、急激に導入されていった場合に、後になって問題が明らかになっ ていくということがあるのではないか、という心配を持っております。実際の供給につい てですが、急激に市場に氾濫してしまうようなことではなくて、ある程度少しずつ様子を 見ながら導入していくような仕掛けは、何か考えられていらっしゃるのでしょうか。 ○審査管理課長 御懸念については、委員の御指摘のとおりだと我々も考えております。 先ほど事務局からも御説明しましたが、企業とも相談をして、徐々に市場に出していくと いうのが1点目です。2点目は、通常の再審査期間中の報告よりも高頻度に報告をもらっ て、我々としても手を打てるという形にしています。3点目は、遺伝子組換え製剤である からといって、一時期アルブミンの使いすぎみたいなことが指摘されましたが、そういう ことがあってはならないと考えております。仮に御了解いただいて承認する際には、私ど もからも改めて通知を発出して、そういう点については徹底を図りたいと考えているとこ ろです。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。 ○堀内参考人 今の点は、大変重要な点です。遺伝子組換え医薬品が出てくると、往々に してそちらの方に急速に流れてしまうということがあります。特に血液製剤については現 在、献血で作られております。全体のバランスの中で、先ほどは少し抽象的な言い方で申 し上げましたが、もし、こちらの方に急速に流れてしまった場合に、製造工程に色々なト ラブルが起ったということが考えられますと、供給体制も大変不安定になってしまうとい うことが考えられますので、是非、安全性を担保した上で徐々に使うということと、全体 の血液製剤をどうするかというのを、十分に検討しつつ、使っていただきたいと思ってお ります。 ○望月分科会長 板倉委員の御指摘された方向で、一応進んでいるということで理解した いと思います。ほかにどなたかいかがですか。 ○笠貫委員 「IgE抗体陽性に対しては、リスク・ベネフィットを考慮して」と、添付 文書に書いてありますが、リスク・ベネフィットで頻度が不明な場合、実際にリスク・ベ ネフィットをどのように評価するかということについては、もう少し丁寧な説明が必要で はないでしょうか。 ○望月分科会長 この点に関してはいかがでしょうか。 ○審査管理課長 このアルブミンという製剤は、出血性ショック等、いわゆる緊急の場合 にも使われる用途があるのだろうと考えております。その際の考え方としては、献血由来 のアルブミンがあれば、それを使っていただくというのがあるわけです。要するに、アレ ルギーのテストをする暇もない場合です。しかし献血由来のアルブミンがそこにない場合 にどうするかという問題も、一つあるわけです。そういう意味から申し上げますと、想定 している事柄をもう少し分かりやすい形で、インタビューフォームなどの文章の中で説明 するように考えたいと思います。 ○笠貫委員 ただ今の緊急時というのは理解しますが、添付文書では「陽性患者へ投与す る際もしくは緊急時」となっていますので、わりに広い範囲でとらえられるのではないか という懸念があります。その辺の縛りというか、方向性はどう持っていかれるのでしょう か。 ○審査管理課長 この「陽性患者」というのも、陽性患者の緊急時を考えています。緊急 時として考えているのは、緊急時であって、テストをする暇がない場合というのを考えて おります。そういう意味で申し上げますと、総じて緊急的な場合を考えているわけですが、 今一度、文献等にも当たってみて、主なターゲットは、緊急時になると考えておりますが、 どういう場合があるのか、どういうことを考えているのかをもう少し分かりやすく、付属 文書の中で説明するように考えたいと思います。 ○笠貫委員 新有効成分含有医薬品の場合に、施設限定で全症例登録をするというのは、 非常に大事なモニターシステムだと思います。ここについては、具体的にどういう施設限 定をされるのですか。これは副作用の報告についての質の担保だろうと思うのです。そう いうことについて、何かお考えはありますか。 ○生物系審査第一部長 現在検討中のものは、これまでの議論を踏まえ、200施設と契約 して、その施設において使われる症例をもれなく集めていただく方向で考えております。 冒頭、審査管理課長からも御説明申し上げましたとおり、一気に販売量が増えることは心 配ですし、より早い段階で情報が集まるように方策を検討しております。 ○望月分科会長 ほかの委員から御意見はありますか。 ○板倉委員 添付文書のポイントが、非常につかみにくいという感じがします。例えば患 者の方に、両方あってどう違って、どうしますかということが、これだけできちんと説明 が受けられるのだろうかという心配を持っております。「患者への説明」にしても、非常 に目立ちにくいですし、重要な基本的注意という意味で、どういうように患者に説明する かということも含めて、きちんと書かれておりません。それから、「製造方法の変更を行 った」ということが、2ページの「その他の注意」の所にありますが、そこから一体何を 読み取ればいいのか。いわゆる日本語の表現の話になってしまうかもしれませんが、ここ に書いてあることを、受け手である医療当事者は一体どういうように解釈して、患者の方 に説明されるのだろうかという非常に基本的な部分で、もう少しきちんとリスクコミュニ ケーションができるような添付文書を、考えていただかないといけないのではないかと思 いました。 ○望月分科会長 ただ今の添付文書に関しては、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 先ほどの笠貫委員の御指摘と同じような、添付文書に係る御指摘だと考 えております。一方において添付文書というのは、やはりある程度のボリュームも考えな ければなりませんし、今、御指摘のとおり、日本語的に読めるのかという問題もあるだろ うと思います。そういう意味から申し上げると、新医薬品についてはインタビューフォー ムとか、そういう付属文書を必ず流通させるようにしておりますので、今、御指摘のあっ た「患者への説明」や「その他の注意」の解釈といった点を強調して、説明を書くように 気を付けたいと思います。 ○望月分科会長 板倉委員の御指摘に沿って指導するということでよろしいでしょうか。 ほかの委員からはありますか。  それでは議決に入ります。なお、前回の薬事分科会で、議決に関して明確にするよう、 委員からの御指摘がありました。今後は議決に参加しない委員については、後ろに席を用 意いたしますので、そこに移っていただいて、残られた委員で議決をするという形にした いと思います。よろしいでしょうか。本日は議決に参加しない委員はいらっしゃいません ので、このまま議決に入ります。部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について 製造承認を可、再審査期間は8年、原体、製剤ともに毒薬又は劇薬の指定は不要とし、生 物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とするのが適当であると認める旨、議決い たしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○望月分科会長 皆さん異議なしということで、薬事・食品衛生審議会規程第3条第1項 の規定に基づき、当分科会の議決を以って審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申するこ とといたします。答申書の文案、その他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろ しいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。なお、ただ今、委員から御指摘がありましたよ うな点については、十分に御検討いただきたいと思います。堀内先生、本日はお忙しいと ころ御参加いただきまして、ありがとうございました。  それでは次の議題に入ります。議題2については寄付金等の申し出に基づき、池田委員 は引き続き退室となっておられます。議題2は資料No.2、「医薬品レグパラ錠25mg及び同 75mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査 期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」です。この議題も審議事項です。 本品目は、既承認の類似薬がない新有効成分を含有する医薬品に係る事項ですので、薬事 分科会における確認事項第3項に基づき、医薬品第一部会での審議結果を踏まえ、薬事分 科会にて審議を行うこととなっております。はじめに、部会での審議結果等を御報告いた だいた後、当分科会で審議いたしたいと思います。それでは医薬品第一部会の部会長であ られる永井委員から、御説明いただきたいと思います。 ○永井委員 それでは資料No.2のレグパラ錠について、概要を御説明いたします。一般名 はシナカルセト塩酸塩です。これは二次性副甲状腺機能亢進症という病気に対する治療薬 です。この二次性副甲状腺機能亢進症は、慢性腎不全患者、特に透析患者等の病態の進展 に伴い、腎臓でビタミンDの活性化ができなくなるという状態が起こります。そうします と、腸管からCaの吸収低下が起こり、低Ca血症、そして燐を排泄できなくなりますの で、高燐血症が出現します。そうすると副甲状腺が刺激されて、二次的に副甲状腺ホルモ ンの分泌が亢進して発症してくるという疾患です。  副甲状腺ホルモンが過剰に分泌されますと、骨吸収が促進されます。その結果、高代謝 回転型骨障害に属する線維性骨炎という病態ができてまいります。今までの治療薬ではビ タミンDの活性化ができませんので、活性型ビタミンD製剤を投与することが行われてき たわけですが、今度はビタミンDの副作用、例えば高Ca血症等が起こってきて、いろい ろな問題を起こします。このシナカルセト塩酸塩という有効成分は、従来の薬剤とは全く 異なり、副甲状腺のCa受容体に作用します。その結果として、副甲状腺ホルモンの分泌 が抑制されます。そうしますと活性型ビタミンD製剤と異なり、血清Ca濃度の上昇を招 くことなく、副甲状腺ホルモンの濃度を抑制することができるということで、二次性副甲 状腺機能亢進症の治療の選択肢が広がることが期待されます。  本剤は、2004年に米国で承認を取得しておりますが、2007年2月の時点ではカナダ、 ヨーロッパをはじめとする世界34カ国で、透析施行中の慢性腎不全患者における二次性 副甲状腺機能亢進症で適用が承認されております。国内で実施された血液透析施行中及び 腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした臨床試験では、血清中の副 甲状腺ホルモンの濃度の低下作用が認められており、有効性は示されていると考えられて おります。  本剤については、7月26日の医薬品第一部会で審議をし、その作用機序、血清Ca濃 度の低下、あるいは心電図でQT時間がいろいろ変わったりしますので、それに関する有 害事象、あるいは薬物の相互作用等に議論があり、注意深く使うということで承認して差 し支えないという判断にいたりました。事務局から、もう少し詳しい説明をお願いいたし ます。 ○望月分科会長 それでは事務局から、補足等の御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは資料No.2、レグパラ錠の審査の概要について、臨床試験の成績を中心 に御説明申し上げます。臨床試験に関する資料としては、国内で実施された血液透析患者 を対象とした用量反応性試験、第III相試験及び長期投与試験、並びに腹膜透析患者を対象 とした一般臨床試験などの成績が提出されております。なお、副甲状腺ホルモンについて は、以下PTHと略して説明させていただきます。  まず有効性に関してです。血液透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象に、 本薬25mgを開始用量とし、血清intactPTH(iPTH)濃度及び血清Ca濃度により、 適宜用量を調節しながら、本薬又はプラセボを14週間投与した第III相の二重盲検比較試 験を実施しました。そこにおいて主要評価項目である、投与終了時における血清iPTH 濃度の250pg/mL以下達成を指標とする有効率について、プラセボ群に比べて有意に高い 有効率が認められました。また、1年間の長期投与試験における本薬の効果は減弱するこ となく、長期間の血清iPTH濃度のコントロールが可能であると判断いたしました。さ らに、腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした一般臨床試験におい ても、血清iPTH濃度低下傾向が認められ、有効性が示されていると判断いたしました。  安全性に関してですが、有害事象はプラセボ群94.4%、本薬群97.2%と、ほぼ全例に 認められました。プラセボ群よりも本薬群に多く認められた有害事象は、胃部不快感、悪 心・嘔吐といった上部消化管障害でした。また、本薬は活性型ビタミンD製剤とは逆に、 血清Ca濃度を低下させることが明らかとなっており、低Ca血症が本薬群に多く認めら れました。心電図QT補正間隔延長も、本薬群に多く発現していますが、血清Ca濃度の 低下と関連するものと考察されております。  したがって、本薬の投与に際しては、血清iPTH濃度のみならず、血清Ca濃度の推 移を観察しながら用量を調整することが必要であり、過度の血清Ca濃度低下を引き起こ すことのないよう、臨床試験で用いられた血清Ca濃度を指標とした用量調整基準を添付 文書に記載し、注意喚起をしております。製造販売後には心臓障害、血清Ca濃度低下、 骨代謝に対する影響、上部消化管障害及びCYP代謝に対する影響を重点調査項目とし て、血液透析施行中の患者を対象とした本剤長期投与時の安全性及び有効性の調査、及び 本邦では患者数が少なく、治験における症例数が限られていた腹膜透析患者に対しては、 一定期間全症例を対象とした調査を実施することを予定しております。  以上のとおり、総合機構の審査及び医薬品第一部会での審議の結果、本薬による血液及 び腹膜透析施行中の二次性副甲状腺機能亢進症患者における、血清iPTH濃度低下効果 が認められ、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を効能・効果として承認して差し支 えないと判断し、薬事分科会で審議されることが妥当と判断いたしました。なお、再審査 期間は8年、原薬及び製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、特定生物由来製品又は生物由来製 品には該当しないとされました。  本品目については望月委員より、あらかじめ御質問をいただいておりますので、併せて 御紹介いたします。HD患者での臨床薬理試験の際の投与方法、時間・時期がよく分かり ませんでした。透析日はHD終了後の投与でしょうか、HD前の投与でしょうか。非透析 日のパラメータの方が透析日より低いことが理解できませんでした。透析クリアランスが 小さいとのことなので、透析日、非透析日のどちらにおいてもいつ服用してもよいという ことであると思うが、臨床薬理試験のやり方など、概要書では把握できなかったため、確 認させてほしいとの御質問です。  御質問いただいている臨床試験ですが、「審査報告書」の39ページのいちばん下の行 から40ページにかけてある、本剤の血液透析患者を対象とした単回投与試験です。この 試験は8例の患者に対し、透析日と非透析日に各用量をそれぞれ投与して、PK、PDの 比較を行ったものです。本剤の投与方法は、非透析日において朝食後に単回経口投与し、 その後、経時的に採血をして測ります。また、透析日においては朝食後、透析直前に服用 するということで、透析中又は透析後に血液を採取しながら測定していきます。  望月委員の御質問は、40ページの表19が、本薬単回経口投与時の薬物動態パラメータ が、非透析日よりも透析日の方が高いことについてだと考えております。こちらは血漿た ん白結合率の高い医薬品で、Cmaxでもほとんどが血漿たん白と結合した状態で存在し ていると考えられるため、透析による影響を受けにくいことが推察されます。申請者は表 19の試験結果より、本剤の薬物動態が透析の影響を受けにくいと考察しているのみです が、この血漿たん白の結合率の結果については、「審査報告書」の23ページに、表11と して示しております。  このたん白結合率の高さという結果と考え合わせますと、透析日のパラメータの方が高 い値を示すことについては、以下の3点の理由があるのではないかと考えております。1 点目は本薬が透析により抽出されにくく、透析クリアランスが小さいこと。2点目は8例 の結果なので、まだ例数が少ないこともあり、標準誤差から見ても測定値のバラつきが大 きいこと。3点目は血液透析による血液濃縮の影響を受け、透析終了後の測定値が若干高 値を示している可能性があることから、この結果においては透析のパラメータの方が、非 透析よりも高いパラメータが出たのではないかと考えております。以上です。御審議、ど うぞよろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ただ今の説明について御意見、御質問等はありますか。 ○望月(眞)委員 今の御説明で大体分かったのですが、やはりこういうデータを出してい ただくときには、概要書の方でもどちらでも結構ですから、どういう時期にどういう形で 投与したのか、採血はどういう形でされたのかということを、もう少し書いていただかな いと、こちらの方でも評価できませんので、次回から是非よろしくお願いいたします。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。お願いいたします。ほかの点については、いかが でしょうか。 ○板倉委員 患者からしますと、ほかの薬との違いをですね。どういうように説明を受け て、この投与を受けるのかということが、一つ非常に気になります。自分が患者とした場 合に、非常にコントロールが難しいような感じを受けます。あと、突然死ということが書 いてありますね。理由が分からないとなりますと、万一のこととはいえども、やはり非常 に不安です。やはり医師の方が立場が上なので、患者の方としては「こちらを投与します よ」と言われたときに、「ノー」とはなかなか言いにくいわけです。どういう違いがあっ て、このメリットがどうなのかということがもう少し分からないと、確かに選択肢が広が るということは分かっても、自分が選択する立場になるのかどうかということが、疑問と して感じております。そういった点でもう少し、いわゆる素人でも分かるような形で資料 等をお作りいただければありがたいと思います。 ○望月分科会長 患者に対する情報については、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 委員が御指摘の、患者、使用者への情報提供をどうするかというのは、 非常に重要な課題だと考えております。今まで承認してきて、すでに売られている薬につ いても、特に警告が添付文書に示されているようなものを中心に、患者用の説明文書とい うのを今作り、それを医薬品機構のホームページに掲載するという活動をしているところ です。  この添付文書自体、まさに専門家向けに作られております。「審査報告書」も御了解い ただければ、できるだけ速やかに医薬品機構のホームページに出して、専門家の方々が御 覧いただけるようにいたします。一方においては御指摘のように、患者への問題というの が残ります。したがって、この品目についても患者向けの説明文書を、また作っていくこ とになると考えております。それにしても、どこにメリットがあって、どういう選択かと いうのは、書くのが非常に難しい御指摘をいただいているなと思います。我々としてもで きるだけ分かりやすい形での情報提供を、今申し上げたような形で、今後とも進めていき たいと考えている次第です。 ○望月分科会長 よろしくお願いします。患者が判断できるような、そういう情報を出し ていただきたいと思います。ほかに御意見はありますか。 ○伊賀委員 相互作用の点については、先ほどの説明でも、たん白結合率が非常に高いと いうことです。非臨床でもいいのですが、たん白結合における相互作用についての検討は されておりますか。添付文書の方には、それについては何の記載もないのですが、特に問 題はないのでしょうか。また、薬効の本体というのは、いわゆる非結合型のフリーフラク ションにかなり影響されるものですか。その点で、もしデータ等があれば説明していただ けますか。 ○新薬第一部長 機構から御説明申し上げます。委員が御指摘の相互作用に関しては、残 念ながら非臨床のデータもありません。ただ、結合部位等については同定できていますの で、理論的には同じターゲットと言いますか、同じサイトに結合するものについては、あ り得るということは類推できます。その部分は明確になっていますので、それをお考えい ただきながら、判断いただくということになるかと思います。 ○伊賀委員 要するに、たん白質のそういったものについての注意というのは、添付文書 には記載しないということですか。サイトも分かっていて想定されるのであれば、注意す べき薬剤が当然あるという前提で、今お話されたと思うのですが。 ○新薬第一部長 委員の御指摘を踏まえ、注意すべき薬剤について具体的に書けるのであ れば、そこの部分は申請者との間で書かせていただきたいと思います。ただ、そこについ てはまだ宿題というか、検討事項とさせていただければと思います。 ○望月分科会長 御検討いただけるということですね。ほかにありますか。 ○笠貫委員 QT間隔延長についてですが、血中Ca濃度との相関ということで、直接イ オンチャネルには影響ないだろうという判断だと思うのです。ただ、QT時間の何らかの 延長が77.1%という、かなり高い頻度であることと、高濃度ではKV1.5、KV4.3、K ATPの電流阻害があったということになりますと、尿毒性心筋症あるいは虚血性心疾患 が、透析患者には多く、また、起こり得る可能性が高いことから言いますと、病的心筋の 場合に、直接作用がないかどうかについては、問題になるのではないかという感じがいた します。  その中に、頻度は非常に少ないながらも、QT延長症候群が1例ありますね。書いてあ るかどうか、私は確認できなかったのですが、「QT延長症候群」という書き方になりま すと、QT延長だけではなく、トルサデ・ポアンという致死的になり得る心室心拍が起こ り得たという表現にもなりますので、それがあったかどうかについて確認をしていただけ たらと思います。  また、そういうことで透析患者は尿毒性心筋症、虚血性心疾患、左室肥大といった病的 心筋であるということと、透析の間にはもともと血中のカリウム濃度も大きく変動します から、その時にこれがどういった影響をするかということについての検討が、もしありま したら教えていただけたらと思います。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。 ○新薬第一部長 機構から御報告申し上げます。トルサ・デ・ポアンの報告については今 のところ、申請者から発生した症例はないと報告されています。2番目のカリウムのデー タはありません。ただ、私どもも心臓に関する影響については、慎重に検討すべきという ことで、製販後の調査等で重点的に見るようにという指示を出す予定です。 ○望月分科会長 いかがでしょうか。 ○笠貫委員 そういう意味で、添付文書の案としては19ページに、副作用の使用上の注 意に書いてありますね。QT延長が77%は認められることになると、どの程度延長した 場合かという目安を付けておくかどうかも、検討されてもいいのではないかと思います。 QT延長については、不確定と言いますか、予測し得ないものが残されているなら、QT 延長のところをもう少し強調してもよろしいのではないかという感じがいたします。これ が使用上の注意の案の中でも「重要な」になるのか、ランク付けがどの程度にQT延長が 捉えられているのかというのを、教えていただけたらと思います。突然死にも関係してく る問題なので、お聞きできたらと思います。 ○審査管理課長 まずQT延長に関する御指摘ですが、「審査報告書」の1の59ページ を御覧ください。ここに[2]「QT間隔延長と血清Ca濃度について」というのがあります。 今一度整理させていただきますと、心電図のQTCの間隔延長が5.2%、心電図QT延長 が1.4%、QT延長症候群が1例です。77%とおっしゃっているのは、もしかするとこの 第2パラグラフの、「QT間隔の延長が認められた患者の77%で、QT間隔とCa濃度 に負の相関が認められた」とありますので、この77%をおっしゃっているのかと思いま す。  そういう意味から申し上げますと、このQT延長は、使用上の注意においては、製造販 売後に調べなければいけない点が多々残っているというのは、委員も御指摘のとおりだと 思いますし、我々としてもそれを支持したいと思っております。しかし今の段階、あるい は世界で承認されているものを見ても、一つにはCa濃度との関係でありますから、使用 上の注意等においては、まずCa濃度等の関係を強調して、その上でQT延長についても、 副作用の項で述べるというような対策を、今のところ取っているところです。 ○望月分科会長 よろしいでしょうか。使用上の注意で、そういう点を御指摘いただくと いうことです。ほかの委員からも御意見はありますか。 ○望月(眞)委員 やはり血清Caが低下しすぎないようにというのは、とても大事なこと だと思いました。それに関連して、「審査報告書」の7ページから8ページにかけて、「製 剤設計と誤服用防止のための安全対策」というのが書かれています。今回、25mg錠と75mg 錠がありますが、私はこの時点で、サイズもすべてほとんど一緒のように読んだのです。 これは色を変えたのですか。中は同じ色ですか。事前に読んだときには、ほとんど一緒と いうように読んでしまったのです。基本的に外観上はほとんど差がないので、間違って服 用するのではないかということでその対策についてお伺いしたいです。 ○新薬第一部長 お手元にあると思いますが、実際には75mg錠の方が淡黄色です。結論 から言いますと、錠剤の色は変えてあります。そこで識別は可能と判断しております。 ○望月(眞)委員 このぐらいの色なら、透析の方で視力障害があっても、基本的に区別で きるという理解でよろしいですか。 ○新薬第一部長 一応この案で大丈夫です。さらに、念のために別途説明文書も用意させ ていただくということで、識別性については確保したいと思っております。 ○望月分科会長 ありがとうございました。ほかにはよろしいですか。特段の御異義がな いということで、議決に入ります。部会の承認・報告を踏まえ、当分科会としても本品目 について製造販売承認を可、再審査期間を8年、原体、製剤ともに毒薬又は劇薬の指定は 不要とし、生物由来製品及び特定生物由来製品の指定は不要とすることが適当であると認 める旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございました。御異義なしと認めます。それでは、薬事・食 品衛生審議会規程第3条第1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決と し、厚生労働大臣に答申することとします。答申書の文案、その他の取扱いについては、 私に御一任いただいてよろしいでしょうか。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。 ── 池田委員入室 ── ○望月分科会長 それでは、次に入ります。議題3、資料3「医療用具ジェイスの生物由 来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造承認の可否及び再審査期間の指定につい て」です。この議題も審議事項です。本品目は、既承認医療機器と基本的な構造・原理が 異なり、全くの新規性を有する医療機器ですので、「薬事分科会における確認事項」第3 項に基づき、医療機器・体外診断薬部会での審議結果を踏まえて、薬事分科会にて審議を 行うこととなっております。初めに、部会での審議結果等を御報告いただいたのち、当分 科会で審議をいたします。それでは、医療機器・体外診断薬部会の部会長である笠貫委員 から御説明をお願いします。 ○笠貫委員 それでは、資料3「医療機器自家培養表皮ジェイス」について概要を説明し ます。本品は、自家植皮のための恵皮面積が確保できない重篤な広範囲熱傷で、かつ受傷 面積として深達性II度熱傷及びIII度熱傷創の合計面積が体表面積の30%以上という重 篤な熱傷を適応対象とした自家培養表皮です。本品の推定適応患者数は、年間220〜450 人程度だと考えられております。  類似の自家培養表皮は、米国で1987年より市場導入されHDE承認申請中です。韓国 では、2002年に承認されております。国内で実施されたBurn Index30〜90の熱傷患者を 対象とした2施設2症例の臨床試験において、4週間後の表皮形成率評価により、有効性 が認められております。  本品については、8月23日、9月27日に開催された医療機器・体外診断薬部会におい て審議し、治験症例が極めて限られているため、製造販売後臨床試験を実施すること、培 養過程や異種細胞との共培養を行うため、異種由来の感染症への懸念の観点からの最終サ ンプルや使用記録の保存などについて、承認条件を付した上で承認して差し支えないとの 判断に至りました。  以上、概要を説明しましたが、事務局の方からもう少し詳しい御説明をお願いします。 ○望月分科会長 ありがとうございました。事務局から補足等の説明はありますか。 ○事務局 事務局から補足の説明をいたします。お手元の資料3と、本日配付した資料 3-2、医療機器・体外診断薬部会の審議結果報告書の差替え部分を御覧ください。資料3 の上から6番目に資料概要目次がありますが、次のページの右側に品目の概要の記述があ ります。  本品は、患者自身の皮膚組織から分離した表皮細胞を、マウスの胎児由来のフィーダー 細胞の上に播種培養してシート状にした自家培養表皮です。1975年に、ハーバード大学 の医学部のハワード・グリーン先生らによって報告された培養方法によるもので、Green 型自家培養表皮と一般的には呼ばれるものになります。いわゆる再生医療技術を応用した 医療機器としての初めての製品ということです。  こちらのものは、患者の皮膚組織を採取してから製造までには約2週間かかりますが、 本品は表皮細胞で、真皮層が付いておりません。真皮層がないため、熱傷部位にはまず死 体皮膚等の同種皮膚や人工皮膚を貼付し、真皮組織を再生させたあと本品を移植し、生着 させることによって創傷面を閉鎖しようというものです。  臨床試験の関係については、下の「資料概要ヘ」の資料になります。本品については、 国内で2施設2症例の臨床試験が実施されております。有効性についてですが、部会長か らも御説明がありましたように、4週間後の表皮形成率による有効症例数が2例というこ とで、表皮形成率が100%のものが1例、こちらは「極めて有効」というものです。表皮 形成率50%のものが1例、こちらは「有効」に相当するものです。  なお、症例数については限られているということがありますが、いわゆる重傷熱傷の中 でも、特に重篤になるBurn Index30〜90の熱傷患者を対象としていることと、適応部位 が表皮ということで、比較的客観的な評価ができるということがあり、こちらの2例で有 効性の判断はできるのではないかとの御議論をいただきました。  次に安全性ですが、有害事象は2例ともに発現しており、いわゆる細菌の感染症や急性 の肝機能障害、発熱及び炎症反応等が認められておりますが、熱傷とその治療による影響 と考えられており、本品の使用によるものではないと判断されております。特にそのうち の1例については、重篤な有害事象として急性腎不全が発生し、最終的には死亡という転 帰をたどっておりますが、重傷熱傷という原疾患に起因する感染及び感染治療薬の影響に より複合的に発症し、死に至ったのではないかということで、本品との因果関係はないと 判断されております。  なお、本品の製造過程においては、ヒトインスリン製剤に遺伝子組換えのものが使われ ておりますが、こちらはマスターセルバンクを造る際に米国及びカナダ産のウシ由来のペ プトンというものが使われております。こちらはマスターセルバンクということで、なか なか切り替えが難しいという事情もあり、実際これからインスリンとして表皮の製造に用 いていく過程においては、ウシ由来の成分の影響もだいぶ小さくなっているだろう等々あ り、部会においてはこのような米国産、カナダ産由来の成分も含まれていることを情報提 供することを前提とし、本品の使用が、ベネフィットの方がリスクを上回るだろうとの御 判断をいただいております。  また、もう1点は、本品の培養過程においてマウスの胎児由来細胞を用いているという 点ですが、こちらは平成16年に医政局から通知が出ており、「「異種移植の実施に伴う 公衆衛生上の感染症問題に関する指針」に基づく3T3J2株及び3T3NIH株をフィーダー細 胞として利用する上皮系の再生医療への指針について」というものがあり、この中では医 療機関における記録や製造したもののサンプル等、その他色々の記録は30年間保存する ことを義務づけております。そのようなこともありまして、本品は生物由来製品及び特定 生物由来製品に該当するものですが、特定生物由来製品でも通常の医療機関での保存期間 は20年となっているので、これを30年間保存することなどの承認条件を付すということ で、御審議いただきました。  以上をまとめると、総合機構における審査及び8月23日及び9月27日の医療機器・体 外診断薬部会における審議の結果、症例数が限られているものの、4週間後の表皮形成率 の評価から有効性が認められており、資料3-2にある5つの承認条件を付した上で、承認 して差し支えないとの御判断をいただき、薬事分科会で審議されることが妥当と御判断い ただいたものです。なお、再審査期間としては7年、生物由来製品及び特定生物由来製品 に該当するものと御判断いただいております。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し 上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明について御意見、 御質問をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○藤田委員 臨床試験について、2例の被験者ですが、既往に統合失調症、あるいは合併 症があるということですが、同意能力の問題があります。また、統合失調症の既往のある 患者でやらざるを得なかった事情があるのでしょうか。 ○事務局 もともと、対象患者が重傷熱傷の中でも重篤なBurn Indexで30〜90であった こともあり、一つは、通常このような火傷を負う方は事故の可能性も少数ありますが、自 殺をはかって火傷を負ったケースがあるかと思います。このような熱傷の患者を対象とし たということで、そのような背景のある方も入ってきてしまったのではないかと思いま す。  同意の取得については、本人は大変な状態になっておりますので、御家族の方等も含め て対応したということです。 ○藤田委員 御家族の同意を得ているということで、よろしいですか。 ○事務局 実地調査で確認をしております。 ○赤堀委員 この症例は少ないということは非常によく分かるのですが、2症例のうち1 症例は、残念ながら亡くなられたと。亡くなった方については、有効性の評価はできない ように思うのです。1症例でもって有効性があったということになると、本当にそれで有 効性があったかについて、部会での御議論があれば御説明いただければと思います。 ○事務局 この症例以外にも、世界的には、1975年以降Green型培養表皮でいろいろと 臨床研究が行われております。その中で、比較的皮膚が生着するという良好な成績が得ら れている背景があります。もう1症例の方は、最終的には亡くなられておりますが、評価 のエンドポイントとして押さえていた4週間後の表皮形成率の中では、きちんと綺麗に表 皮が付いていたので、表皮を生着させる効果自体は確認できるのではないかとの御判断で あったと思います。 ○池田委員 これは自家ということで、一応再生医療のプロトタイプになるかと思うので すが、今後も皮膚だけでなく、いろいろな再生医療の機器については医療機器・体外診断 薬部会で議論すると考えてよろしいのでしょうか。  もう一つは、添付文書に医療機関が書いてありますね。この医療機関をスペシファイす ることはできるのでしょうが、本品の適応対象は「適切に治療できる医療機関」と書いて あるのですが、これは資格を意識して書かれたのでしょうか。その二つをお願いします。 ○審査管理課長 1点目について、いわゆる再生医療といわれているものは、例えば白血 球に何らかの処理をして培養して免疫的な作用を期待するものから、角膜や皮膚など、か なり幅広いものがあります。今の薬事法を適用しようとすると、白血球類似の製剤は医薬 品になります。また、こういった物理的な作用を期待するものは医療機器になるわけです。 それに基づいて、薬事分科会でも医療機器部会で議論する、こちらは医薬品の関係の部会 で議論をするというのが、一つの流れになっていくのだろうと考えております。  こういった医薬品と医療機器の間に両方とも跨るというのは、アメリカにおいても同様 で、両方に跨るのだけれど、そこに対する考え方は一緒ということがありますので、ガイ ドラインや、この分科会で申し上げますと生物の基準の部会もあって、そういう所とも御 相談しながら、現実問題として進めていることになっていると思っております。今後どの ようなものが出てくるかによって、再度この分科会で御審議いただく点もあるのかなと思 いますが、現在の仕切りで言うとそのようになっているということです。 ○池田委員 ありがとうございます。ということは、今後いろいろなものが出てくる可能 性があると。その都度どのような議論の仕方をするかは、今後、事務局の方でもお考えい ただくという理解でよろしいですか。 ○審査管理課長 私どもも考えますし、必要に応じて、こういった分科会でも一つの固定 的なルールを作ることができるのか、どうすればいいのかについて、また御議論を賜るこ とも考えられます。今、現実問題として承認申請があるのはこれ1品目です。今考えるか と言われると分かりませんが、将来的にそのような場が出てくるのだろうと考えます。 ○池田委員 そうですね。新しいジャンルなので、是非どのような仕組みで議論をしてい くかをお聞きしたかったのです。これはこれでよろしいかと思います。医療機関について はいかがでしょうか。 ○事務局 医療機関についてですが、本品は自家細胞の表皮なので、完全にオーダーメイ ドの製品になっております。もう一つは、この表皮は作製するまで2週間ほどかかるので、 その間に死体皮膚や人工皮膚を使った治療ができる医療機関でないと、自ずとこの製品を 使った治療も難しいということがあります。おそらく、全国にある救急救命センターのよ うな所が、まずは対象になるのではないかと考えております。  また、製造販売後臨床試験として、現在国内13施設で30症例を対象としたものが予定 されておりますが、まずはこういった所で使っていただくのではないかと考えておりま す。 ○池田委員 適応疾患から見ると、おそらく救急救命センターのような所にしかこのよう な患者はいないと思うのですが、それはハンドリングできるということになると、別の視 点から医療機関が考えられなければいけないのかなと思うのです。救急救命センターは忙 しいセンターで、生物製剤的なものを慎重に扱える体制が取れているのかどうかが逆に心 配なのですが、その点はどうでしょうか。 ○事務局 全国津々浦々という形で対応が取られているかは、まさに委員の御指摘のとお りかと思いますが、本品の特性などがあるので、まずは計画されている13の施設を皮切 りに使っていただくということかと思っております。 ○生物系審査第二部長 総合機構の方から補足いたします。本品の使用にあたっては、専 門家の先生方にもいろいろ御相談をしたところ、通常の重傷熱傷の治療に習熟した医師、 あるいは施設であれば、本品を使用するのは問題ないだろうとの御意見をいただき、先ほ ど御説明したように、当初は13施設に限定して使用を開始します。それから、製造販売 後臨床試験及び製造販売後調査の成績等を吟味しながら、使用する医療施設を順次拡大し ていくということで、その際に対象施設についてもこちらで確認するという方策を取る予 定です。 ○望月(眞)委員 少し分からないところがあるので教えてください。この製品の場合、患 者の組織を採取したあと、また製造販売業者に戻して2週間で、それから医療機関に納品 されるという理解でよろしいでしょうか。そうすると、最終の製造物としては、患者の皮 膚を培養した状態のところまでPL法的な見方ではカバーされるという理解でよろしい ですか。 ○事務局 もの自体は患者の自己細胞による表皮なので、おそらく製造の過程が適切であ ったかどうかの観点で、そのような視点のものがかかってくるのではないかと思います。 ○望月(眞)委員 今回はそのような形だと理解しているのですが、例えば、仮に将来的に 最初の皮膚を入れる培地のような状態のものが医療機関にあって、それを医療機関の中の 製造所、例えば薬剤部の中などで培養して、それを提供することはあり得るのでしょうか。 ○事務局 これは、医療機関で医療行為の一環として機関内で培養・製造されて患者に適 応される場合には、薬事的な規制はかからなくなります。実態にはそのようなこともある かと思いますが、どちらかというと医療機関も忙しいところもあるので、きちんとした製 造技術で、一定の品質のものを造れる機関で培養された方が、製品としては一定の品質の いいものができるのではないかと思っております。 ○望月(眞)委員 そうすると、添付文書に「製造業者」や「製造所」などいろいろな言葉 が過程の中で出てきますが、今回の製剤の場合は、必ず製造販売元である所に戻ることが、 もう少し明確に分かるように書いていただいた方がいいと思います。 ○事務局 ありがとうございました。対応したいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。他にも御意見等ございますか。 ○大野委員 これを使う前提として、真皮を再生するときに、死体から取ってきた皮膚ま たは近親者から取ってきた皮膚を使うことが考えられていますけれども、できれば死体か ら取ったものを使うのがベターだと思うのですが、死体からの皮膚の供給体制は、今どう なっているのでしょうか。十分足りているのでしょうか。 ○事務局 スキンバンクネットワークというものが設けられており、そこで集めて配付が 行われています。部会の中でも、そういったバンクの取組みがもっと充実されるべきだと の御意見はいただきました。 ○大野委員 前に組織移植学会で、最近は余っていると聞いたことがあるのです。やり様 によっては、十分死体から集められるのではないかと思いますので、努力していただけれ ばありがたいと思います。 ○板倉委員 添付文書を見ると、適用対象の中で、アレルギーの方の場合は適用しないと いう禁止事項が書かれておりますが、こういったものについては、実際はなかなか重症患 者の家族まで含めて分からない部分だと思うのです。知らずに使ったということがあって も、ある程度の安全性は担保されているものなのでしょうか。  また、動物でウシ、マウス、ブタのアレルギーのある患者には使用しないことになって おりますが、牛乳等についてどう考えたらいいか教えていただきたいと思います。 ○事務局 最初の点ですが、これは培養の過程でウシやマウス、ブタの生体材料などが使 われていることもあって、念のため添付文書の中で適用しないことと書いておりますが、 実際製品に残っている量は比較的わずかですので、おそらく必ずしもアレルギーが起こる わけではないと思っております。ただ、アレルギーは非常に小さな量でも起こる可能性が ありますので、一応念のためこのような取扱にしたということです。 ○山口分科会長代理 いちばん最後に配られた資料の最後に、製品のサンプルを30年間 保存すると書かれておりますが、添付文書の(案)の最後には「医療機関において販売名等 の記録を残して20年間保存する」とあります。実際問題として、最終サンプルを30年間 医療機関で保存することは、現実的なのでしょうか。 ○事務局 もともと医政局の研究のための指針の中でも、30年保存とされております。 その意味では、添付文書は今後変えていただいて、承認条件を踏まえて再度作り直してい ただこうと思っておりますが、30年間保存していただくことを企業の方から医療機関に お願いしていただきたいと考えております。 ○山口分科会長代理 サンプルは培養した会社の方ではなくて。 ○事務局 サンプルの方は製造業者の方なので、造った業者で保管するものです。医療機 関で保存していただくのは、使用した患者を特定するためのさまざまな記録や治療記録な どです。 ○望月分科会長 ほかにはいらっしゃいますか。この件について特段の御異義はないと思 いますので、議決に入ります。  それでは、部会の報告を踏まえ、当分科会としても本品目について、製造承認を可、再 審査期間は7年、生物由来製品かつ特定生物由来製品の指定することが適当であると認め る旨、議決したいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○望月分科会長 御異議なしと認めます。それでは、薬事・食品衛生審議会規程第3条第 1項の規定に基づき、当分科会の議決をもって審議会の議決とし、厚生労働大臣に答申す ることとします。答申書の文案、その他の取扱いについては、私に御一任いただいてよろ しいでしょうか。ありがとうございました。そのようにさせていただきます。  それでは、これより報告事項に入ります。御担当の部会ごとに区切って報告をいただく ことにします。今日はだいぶ時間が過ぎてしまったので、できるだけ簡単にお願いします。 まずは、副作用・感染等被害判定第一部会より、副作用・感染等被害判定第二部会の関係 の議題4から御説明をお願いします。 ○事務局 議題4「副作用・感染等被害判定結果」について御報告します。資料は4にな ります。前回の分科会以降に、副作用・感染等被害判定第一部会が2回、第二部会が1回 開催されております。資料は、各開催ごとの資料と、いちばん上にまとめとして3回の件 数を集計した資料となっております。資料1ページ目のまとめにしたがって御報告しま す。  医薬品の副作用の判定における3回の合計の申請内訳は、新規170件、継続15件、現 況60件の計245件について御審議いただいております。審議結果は、支給決定をするこ とが適当と考えられるものが208件、内訳は、請求どおり支給決定するものが116件、請 求期間の一部について支給決定するものが90件、請求内容の一部について支給決定する ものが5件となっております。  また、不支給決定することが適当と考えられるものは36件あり、内訳は、医薬品の使 用方法が不適正であったものが10件、医薬品以外の原因であるものが18件、副作用によ る疾病に対する医療が入院を必要とする程度でない場合が6件、副作用による障害の状態 が日常生活が著しく制限される程度の状態でないものが3件、副作用の原因が厚生労働大 臣が指定する医薬品、いわゆる除外医薬品であったものが1件でした。なお、追加情報を もって審議されることが適当とされるものが1件ありました。また、生物由来製品におけ る感染等の判定については、1件について審議が行われ、感染との因果関係が認められ、 請求期間の一部について支給決定と判定されております。  以上が、副作用・感染等被害判定部会の結果報告ですが、事前に神山委員より二つ質問 をいただいているので、併せて御回答します。  1番目は、資料15ページの65番事例です。副作用として両側大腿骨骨頭壊死を生じて いるにもかかわらず、入院不相応による不支給とされているのはなぜかとの御質問です。 8ページの同様な副作用事例の69番も、両側大腿骨骨頭壊死の事例ですが、こちらは支 給と判定されているということで御質問をいただいております。15ページの65番事例は、 請求における一部期間に入院医療が実施されていましたが、その医療については医薬品の 副作用とは別に発生した蜂窩織炎に対する医療であったこと。またその他の大部分を占め る請求期間はすべて外来医療で、医療費・医療手当は不支給決定されております。  判定において、通常大腿骨の無腐性壊死に対する医療に関しては、入院を伴う手術やリ ハビリの期間について給付対象とされておりますが、当該事例は請求期間において手術な どは実施されておらず、請求された外来医療において給付の対象となる医療が実施されて いるとは判定されておりません。  8ページの69番事例は、請求者自身が障害年金の現況確認ということで提出されてお ります。判定としては、障害の状態が2級相当で変化ないことが確認され、支給継続が決 定されておりますが、医療費等の請求がないことより、入院相当の医療が実施されたかど うかの資料の提出もなく、そちらについては部会のほうでは確認事項とされておりませ ん。  二つ目の質問は、16ページの70番事例ですが、甲状腺機能亢進症にメルカゾールを使 用して不適正使用と判定されているが、その理由は何かとの質問です。同様の副作用事例 である12ページの20番事例も、メルカゾールによる無顆粒球症の事例で、そちらは支給 となっているということで御質問をいただいております。メルカゾールの添付文書の基本 的注意には、重篤な無顆粒球症が投与開始2カ月以内に発現し、死亡に至った症例も報告 されている。少なくとも、投与開始2カ月間は原則として2週間に1回、それ以降も定期 的に白血球分画を含めた血液検査を実施し、異常が認められた場合は直ちに投与を中止 し、適切な処置を行うこと、とあります。投与開始2カ月間は、重篤な副作用が発現する 恐れがあるために、2週間に1回血液検査を行うと明確に定められており、副作用の判定 においても適正使用の判断の根拠としております。  それを踏まえ、16ページの70番事例では、メルカゾール投与5週後に検査したところ で無顆粒球症が確認されておりますが、その間一度も血液検査をしておらず、不適正使用 と判定されております。12ページの20番事例については、メルカゾール投与後おおむね 2週間ごとに血液検査を実施されておりましたが、投与開始5週目に白血球が減少傾向を 示したために、その後1週後に再度血液検査を実施したところ、好中球が急激に減少して いるのが確認されております。それで無顆粒球症と診断された事例ですが、当該事例につ いては添付文書に規定される血液検査を実施しているにもかかわらず、副作用が発現した ものと考えられることより、不適正使用とまでは言えないという判定をいただいておりま す。報告は以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問は ありますか。神山委員はよろしいですか。それでは、本件については御確認いただいたも のとします。  続いて、医薬品第一・第二部会の関係の議題5〜15について説明をお願いします。 ○事務局 まず、医薬品第一部会に関する新薬の承認に関係するものです。資料5を御覧 ください。販売名はEOB・プリモビスト注シリンジ、一般名ガドキセト酸ナトリウム。 効能・効果は、磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造影です。この品目に ついては、本年7月26日に開催された医薬品第一部会において審議をいただき、提出さ れた資料より承認しても差し支えない。薬事分科会に報告する。再審査期間は8年。原薬 及び製剤は毒薬又は劇薬のいずれにも該当しない。生物由来製品及び特定生物由来製品に は該当しないとの御結論をいただいているものです。  続きまして、議題6です。販売名ディナゲスト錠1mg、一般名ジエノゲスト。効能・効 果は子宮内膜症です。こちらも、本年7月26日に開催された医薬品第一部会において御 審議いただき、提出された資料より承認して差し支えない。薬事分科会に報告する。再審 査期間は8年で、原体及び製剤は毒薬又は劇薬に該当しない。また、本品目は生物由来製 品、特定生物由来製品には該当しないとの審議結果をいただいております。  なお、この品目については、神山委員より事前に御質問をいただいております。添付文 書中の記載、重要な基本的注意(6)です。別紙4、ディナゲスト錠1mgの添付文書の右側 の2.重要な基本的注意のいちばん下の(6)ですが、「本剤の投与により更年期障害様のう つ症状を起こすことが報告されているので、本剤の使用に際しては患者の状態等を十分に 観察すること」との記載について、更年期障害様のうつ症状と限定する理由は何か、との 御質問をいただいております。これについては、臨床試験において本剤投与との因果関係 が否定できないうつ症状が認められており、このうつ症状は本剤のエストロゲン低下作用 に基づくと考えられることから、また、類薬である酢酸ブセレリンも同様に更年期障害様 のうつ症状と限定した注意喚起をしております。  議題7です。販売名レベミル注300等です。一般名はインスリン デテミル(遺伝子組換 え)です。こちらについては、本年8月29日の医薬品第一部会で御審議をいただき、承認 して差し支えないとの御結論をいただいております。  議題8、資料8です。販売名エラプレース点滴静注液6mg、一般名はイデュルスルファ ーゼ(遺伝子組換え)です。効能・効果はムコ多糖症II型で、本年8月29日に開催された 医薬品第一部会において御審議をいただきました。これについては、2ページ目の上に、 一定期間、全例調査を行うとの承認条件を付した上で、承認して差し支えないとの結論を いただいております。  議題9は、医薬品第二部会において御審議いただいた新薬に関係するものです。資料9、 販売名タルセバ錠、一般名はエルロチニブ塩酸塩。効能・効果は、切除不能な再発・進行 性で、がん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺がんです。こちらは本年7月25日に開 催された医薬品第二部会で御審議をいただき、備考欄に記載されている全症例を対象とし た調査を行うとの承認条件を付した上で、承認して差し支えないという御結論をいただい ております。本品目について、黒木委員より、事前に過量投与の項について症例があるが、 添付文書に過量投与の項がなかった。同様の内容であっても、副作用の項に記載するべき だと考えるとの御指摘をいただいており、過量投与に関する内容について審査報告書、あ るいは海外添付文書などの記載を参考に添付文書を改訂するよう、申請者に指示をしてお ります。  資料10です。販売名アラノンジー静注用250mg、一般名はネララビン。効能・効果は、 再発又は難治性の疾患であるT細胞急性リンパ性白血病及びT細胞リンパ芽球性リンパ 腫です。本年8月31日の医薬品第二部会において御審議いただき、備考欄の下の方に記 載している承認条件を付した上で、承認して差し支えないとの御結論をいただいておりま す。  資料11です。販売名は沈降新型インフルエンザワクチンH5N1「北研」です。一般 名は沈降新型インフルエンザワクチン(H5N1株)で、効能・効果は新型インフルエンザ (H5N1)の予防に使用する、とされているものです。本年8月31日の医薬品第二部会 において御審議いただき、承認して差し支えないとの御結論をいただいております。また、 資料12ですが、こちらも同様のインフルエンザワクチンH5N1で、阪大微研から申請 されたものです。こちらも同様です。  併せて、資料13ですが、生物学的製剤基準の一部改正です。今申し上げた2品目の承 認に併せて、ワクチンである本剤の基準を生物学的製剤基準に新たに設定するものです。 以上が、第二部会における新薬の承認に関する審議事項の結果です。  続きまして、資料14、希少疾病用医薬品の指定です。今回、医薬品部会において2品 目、希少疾病用医薬品の指定について御審議いただいております。2ページ目ですが、1 品目目の塩酸サプロプテリンです。高フェニルアラニン血症のうち、テトラヒドロビオプ テリン反応性のものについて、新たに予定される効能・効果としてオーファン指定の申請 があったものです。  2品目目のFTY720ですが、こちらは多発性硬化症の再発予防及び進行抑制を予定す る効能・効果としてオーファン指定の申請があり、いずれも指定して差し支えないとの御 結論をいただいております。  資料15です。医薬品アリセプト錠10mg及び同D錠10mgの毒薬又は劇薬の指定の要否 についてです。医薬品アリセプト錠については、現状5mg錠、3mg錠、0.5%細粒が存在 しているわけですが、その毒薬又は劇薬の指定については、原体毒薬、5mg以下を含有す る製剤については劇薬という指定をされていたわけです。今般、1錠中にアリセプトを 10mg含有するアリセプト錠10mg及び同D錠10mgが新たに承認されることに伴い、毒薬 ・劇薬の指定について御審議いただき、10mg錠についても劇薬であるということから毒 薬・劇薬の指定をし、今回承認されたアリセプト錠10mg、同D錠10mgを毒薬から劇薬に 指定するものです。 ○望月分科会長 ありがとうございました。医薬品第一部会長の永井委員から追加の御発 言はありますか。 ○永井委員 簡単に追加いたします。議題5のプリモビスト注射ですが、これは肝臓がん のMRI用の診断用造影剤です。今まで、細胞外の液性造影剤あるいはクッパー細胞、肝 臓の細胞に取り込まれるような造影剤が使われておりますが、これはその両方の性質を持 ったMRI用の造影剤で、診断上有用であろうということです。また、造影CTに比べて も、MRIの利点が活かされるのではないかということです。ただ、副作用の問題もあり、 従来のガドリニウムのMRI造影剤では全身性線維症という副作用が最近知られている ので、この点についても添付文書等で情報提供、あるいは製造販売後の調査が必要である ことが議論されました。  議題6のディナゲスト錠ですが、経口投与が可能な子宮内膜症の治療薬で、不正子宮出 血の頻度が高いようですが、低エストロゲン症状の発現が少ないということで、この辺り の安全性プロファイルをよく踏まえて、長期的な情報収集が必要であるということです。  議題7のレベミル注ですが、これはインスリンの結晶化ではなく、インスリンに脂肪酸 を付けてアルブミンと結合したもので、新しい作用の持続性のもので、使用前に懸濁する 必要がないという利点があるということで議論されました。  議題8は希少疾患ですが、いわゆるハンター病というムコ多糖症の患者ですが、国内で の患者数が300例ということで、この薬剤の有効性は十分期待できるということでした。 以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございました。医薬品第二部会長の池田委員から追加はあり ますか。 ○池田委員 議題9ですが、タルセバ錠はゲフィチニブが類似の薬剤として知られており ます。EGFの受容体チロシンキナーゼを阻害する抗悪性腫瘍剤です。臨床的には効果が あることが分かっているわけですが、特に安全性について部会では議論があり、国内の臨 床試験で、約5%の間質性肺炎が発現することが分かっているので、本剤の承認に関して は十分な市販後の対応を行うということで、全例調査を承認条件にしようということで す。特に、治療開始初期に、入院あるいは入院に準じた環境下で慎重に観察することを徹 底させることが必要だということが話し合われました。  議題10のアラノンジー静注薬、ネララビンですが、この適応疾患であるT細胞急性リ ンパ性白血病、あるいはT細胞リンパ芽球性リンパ腫の患者は非常に少なく、国内で年間 に新規の患者は大体600人ぐらいです。これは臨床的に効果があることが認められている ので、承認して差し支えないだろうということが部会では議論されました。  議題11、12ですが、これは説明があったようにH5N1の新しいインフルエンザで、 トリからヒトへの感染例も世界各地で報告されており、致死率も非常に高い状況で、大変 警戒されているインフルエンザです。これについては、各国で協力して、WHOを中心に 国際的にも取組みが進められている状況だと思います。このインフルエンザに対するワク チンは、通常のワクチンと違ってインフルエンザのウイルス全粒子を有効成分とするワク チンで、これで抗体価が十分上がるということですが、新しいインフルエンザがヒトに感 染した場合に、本当に発症が予防できるかどうかは、今の時点で臨床上の有効性を試験で 確認することが不可能です。しかし、このような重大な状況を念頭に置いて、ワクチンの 効能から見て重症化を防いで致死率を低下させることができるだろうとの判断の下で、備 蓄するワクチンとして承認することが妥当であろうという議論がなされました。以上簡単 に医薬品第二部会の報告をまとめさせていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございました。それでは、委員の方々から御意見、御質問が ありましたらお願いします。 ○藤田委員 議題9のタルセバ錠ですが、審査報告書の113ページで、全例調査をすると いうことですが、ILDの発現率は臨床試験では5%という御報告でした。全例調査をし て、さらにある程度以上だったらコホート研究、あるいはネステッド・ケース・コントロ ール研究をすると書かれているのですが、例えばということで書いてある発現率は、ゲフ ィニチブが6.5%、それに対して95%、信頼限界の上限を7.4にする、つまりイレッサよ りも高い所に置いているのは、特別な調査をする基準としては、もう少し下げた方がいい のではないかと思います。下限なら分かるのですが、上限を特別な調査を検討する基準と するのは不適切という気がします。 ○池田委員 委員がおっしゃるのは、市販後調査の計画の組み方の問題ですね。 ○審査管理課長 御指摘のとおり、タルセバについては、間質性肺炎への注意がいちばん 重要なものになるのだろうと考えております。したがって、全例調査を義務づけておりま すし、承認とともに我々からも通知を出して、間質性肺炎の注意を呼びかけたいと考えて おります。その上で、企業からの回答の中にそういうことが書かれているわけですが、こ れを実際に発動していく際には、今の委員の御指摘を踏まえて対応したいと思います。 ○望月分科会長 ありがとうございます。他に御意見等ございますか。 ○神山委員 私が質問した資料6の添付文書で、更年期障害様うつ症状というのは、なぜ 「更年期障害様」とわざわざ書かなければいけないのかが、御説明いただいてもよく分か らないのです。医学的には正しいのかもしれませんが、どうして「うつ症状」だけではい けないのかと。私は、昔ある薬剤を投与されていたときに、気が滅入って毎日泣いていた ことがあって、こんなことになるのだったら止めますと言って、その薬を止めたことがあ るのですが、そんな副作用があるとは信じられないと担当の医者に言われたことがありま した。だから、薬で気が滅入るようなことが起きるとしたら、そこに更年期障害様とか、 わざわざ限定するようなことを書く必要はないのではないかと思ったので質問しました。 ○望月分科会長 御もっともな質問ですが、いかがでしょうか。 ○審議役(新薬) 確かに、うつ症状全体に対して十分な注意をしなさいというのは、重要 な注意だと思います。したがって、慎重投与の項に、うつ病またはうつ状態の患者、ある いは既往のある患者に対して注意をしてお使いいただくということが、最初に書いてあり ます。その上で、この薬がエストロゲンを下げる作用を持っているので、これを起こすこ とによる薬理作用的な機序から、非常に明瞭に更年期障害のような全般的な症状が出てく ると、その中でも特にうつの症状が現れやすいことを、薬理作用に基づいた説明として書 いているものです。したがって、更年期症状様のうつだけに限定的に注意をするという受 け止め方がされるとの御指摘に関しては、誤解がないように、情報提供の際に、企業から 注意をして伝達するように指導したいと考えております。 ○望月分科会長 お分かりいただけますか。今のお答えは、指導して、多少の修正を施す という意味ですか。 ○審議役(新薬) 添付文書の記載に関しては、むしろ専門家にこの薬の作用をよく理解い ただくために、このような記述にしているもので、類薬でもそのようにしております。そ れに加えて、医療従事者あるいは患者に対する説明の中で、そのようなことに留意してい ただくように、そのような働きかけをさせていただきたいということです。 ○望月分科会長 留意していただくということでよろしいでしょうか。ほかにはいかがで すか。 ○赤堀委員 議題11、12のワクチンの件なのですが、これは承認された後にどの程度の 備蓄計画があるのか、もし分かれば教えてください。 ○血液対策企画官 新型インフルエンザ対策は、政府一丸となって対策を進めていく中 で、ワクチンの備蓄についても進めておくべきであると、いわゆるプレパンデミックの状 態ですが、まだ現在トリからヒトへの感染が確認されているウイルスを材料として、プレ パンデミックのワクチンの原液の備蓄に取り組んでいるところです。本年の2月末までに 1回目の製造を行い、1,000万人分のワクチン原液の確保を国として行ったところで、こ れは原液の形で備蓄しております。また、今年も新しいウイルス株の出現に対応できるよ うに、追加の生産を準備中です。 ○望月分科会長 他に御意見等ございますか。 ○望月(眞)委員 資料6と9についてお願いします。資料6の審査報告書の3ページです が、起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等の中で、□□□□で2002年に子宮 内膜症の治療薬として申請したのですけれども、□□□□をやらされているということ で、2007年6月現在、□□□□□□実施中となっております。この□□□□□□という のは、一体どういうことをやらされているのでしょうか。 ○審議役(新薬) 機構より御説明いたします。現在実施している□□□、□□□□□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□□□□□□、□□□□□□□□□ □検討するということでやっているそうでございます。 ○望月(眞)委員 分かりました。ありがとうございます。資料9の方になるのですけれど も、たしか眼の障害について注意喚起がかなり必要であるということを審査の過程の中で 言及されていたと思いますが、添付文書に、早期に眼の異常があらわれたら対処するとい う所が、別紙の4の2ページになりますが、2ページの右側の「その他の副作用」という 表に、「眼」という項目が、上から二つ目にありまして、そこに注4)が書いてあって、 その表の下に、注4)、眼の異常があらわれた場合には、直ちに眼科的検査を行い、適切 な処置を行うことと、これが、その対応を書いた部分という理解でよろしいでしょうか。 ○新薬第一部長 機構からお答えします。先生の御指摘の点は、そのとおりでございます。 ○望月(眞)委員 審査過程の議論の中では、もう少しきちんとした書き方の方がいいのか なと私は思ったのですけれども。 ○新薬第一部長 その点につきましては、添付文書はボリューム的なものもございますの で、この記載にさせていただきましたけれども、昨今、新薬の場合にはいろいろな資材等 を使いまして、その補足の説明、あるいは十分な情報提供をするということになっており ますので、その資材の方で、その眼に関しても十分な情報提供をさせていただきたいと。 二段構えでやりたいと考えております。 ○望月分科会長 ほかにございますか。 ○藤田委員 議題6では、臨床試験で非劣性で承認しているわけですけれども、そのマー ジンが20%となっています。プラセボと、本薬というか、従来の薬のその半分ぐらいの ところで20%というのをとったのですけれども、以前初めの頃は、同等性試験のときに は10%ぐらいがデフォルトであったと思います。20%というのは結構甘い基準かなと思 いますし、それから、用量-反応がそれほど明確ではない。他剤では高用量、低用量で違 いがあるというようなことが審査報告書に書かれてあります。その辺の所はたぶん部会の 方で十分議論されたと思うのですけれども、20%というのは他の領域も含めてよくやられ るのでしょうか。 ○審議役(新薬) 機構より御説明いたします。確かに先生がご指摘のとおり、一般的には 過去の統計ガイドラインでも10%というデータ値の設定というのは一般的とされていた ところでございます。ただ、薬効あるいはその薬剤のパワー、あるいはプラセボとの差の 大きさ、そういったものに基づいて個々にはそのデルタの値が違った値を設定する場合も ございます。本件につきましては、実際に得られている試験成績の中から、妥当適切なそ のデルタの値について検討が行われた結果としてこのような値の設定になったものでご ざいますが、これは審査の過程においても、この値が甘いのではないかということで議論 はいたしました。ただ、デルタの値そのものだけではなくて、得られました試験成績全体 を拝見しますと、やはり適切な薬効が現れているという判断が臨床的にはできるというこ とで、その点を斟酌いたしまして、最終的には承認の判断ができるとなったものでござい ます。確かにデルタが20%というのは一般的にはかなり甘い設定であろうということに ついては、審査の過程でもそのような認識を持っておりました。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。ほかには。よろしいですか。それでは本件につ いては御確認いただいたものとします。  続きまして、医療機器・体外診断薬部会の関係についての、議題16、議題17について、 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、議題16の方から説明させていただきます。資料は16-1と16-2の 二つがございます。まず16-1の別紙1をお開きいただきますと、そこに製品の外観写真 がございます。このものは、頚動脈の狭窄部位にステントを留置しようというもので、上 にありますそのデリバリーシステムと、右側にありますように2種類のステント、それか ら、拡大図の所にございますのは、その適用部位においてデリバリーシステムを操作して、 ちょうどステントを展開している図でございます。  それから、資料16-2の別紙1の方も御覧いただければと思います。もう一つの方は、 製品外観図の方にありますように、「フィルター拡大」というところに、この細いカテー テルの中のフィルターの拡大図が入っておりまして、これをそのステント留置の際に血管 の奥の方に入れまして、ステント留置する際に飛んでいく血栓などをこれでつかまえて、 血栓が脳の方に行くのを防止しようというようなものでございます。別紙2の方を御覧い ただきますと、術中の図がございまして、比較的分かりやすいかと思いますけれども、頚 動脈の所に、このようにまず、左の所にありますように、まずアンジオガードXPという、 このつかまえる方のものを入れまして、次に、バルーンカテーテルをその頚動脈の狭窄部 位に入れて膨らませて、最後にステントを入れていくわけですけれども、この際に、飛ん で行った血栓などを先ほどのアンジオガードXPでつかまえて、最後、アンジオガードX Pでつかまえたものを抜いてくるというような操作になります。  ステントの方につきましては、頚動脈内膜剥離術と申しまして、狭窄部位にあるアテロ ームなどを内膜ごと切除する外科的治療法が標準的治療法となっておりますが、これに対 しての非劣性というものが示され、確認されております。また、つかまえる方のアンジオ ガードXPでございますけれども、こちらの方も効果が確認されたということで、8月23 日の体外診断薬部会で御了承いただいたものでございます。なお、新しい機器でございま すので、承認条件として医療機関とか医師などについての条件を付させていただいており ます。  それから、資料17の方は、血管内OCTイメージワイヤーと申しまして、こちらの方 も、別紙1に、このような細いカテーテルのものがございます。なお、これは光源装置と か解析装置にくっ付けて使用するもので、このカテーテルを血管内に挿入して、これによ って赤外線で画像を得ようというものでございます。こちらの方は既にございます超音波 を用いた方法、IVUSというものがございますけれども、こちらと比較して有効性が確 認されたということで、同じく8月23日の医療機器・体外診断薬部会で了承されたもの でございます。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは、医療機器・体外診断薬部会長の笠貫 委員から、追加の御発言はございますでしょうか。 ○笠貫委員 資料16の頚動脈用ステントでございますが、これはただ今御説明ありまし たように、頚動脈狭窄患者に対して、既に頚動脈の内膜剥離術という外科的治療がスタン ダードに存在しているということと、この治療は予防的な側面を持つことから、より高い 安全性が求められるという特徴を有しておりますので、御説明がありましたように、適応 としてかなり強いしばりをつけていることです。「外科的治療が困難であって」という条 件から、さらに、無症候性と症候性の場合で厳しい条件を付けていることと、それから、 承認条件としまして、こういった治療について技術的に講習を十分受けること。それから、 外科的なことのできる医療機関であるという、条件を厳しくすることを議論しておりま す。それが、資料16-1と16-2、同様であります。  資料17は、血管内光断層撮影用カテーテルですが、これは従来、血管内視鏡、あるい はIVUSという、従来の冠動脈の血管内腔及び血管壁表層の画像の診断法は既に存在し ているわけでありますが、それについてのさらに補完的なものとして認めるということで あります。これにつきましても、技術的な問題について十分な条件を付けることで承認さ れております。以上です。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の方々からの御意見、御質問はご ざいますでしょうか。それでは、特にないということなので、本件については御確認いた だいたものとします。  続いて、議題18、日本薬局方部会の関係の議題について御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料No.18、日本薬局方の一部改正、グリセリン等について御報告させていただ きます。今回の一部改正は、既に医薬品各条に収載されております「グリセリン」及び「濃 グリセリン」の純度規定に、ジエチレングリコール及び類縁物質の規定を追加するという ものです。昨年から諸外国におきまして風邪薬や歯磨きにジエチレングリコールが混入す るという事例が発生しております。我が国におきましても、本年5月、輸入品の化粧品た る歯磨きからジエチレングリコールが検出されており、回収の措置が取られたところでご ざいます。いずれも原料といたしましてグリセリンを用いており、ジエチレングリコール を混入させたグリセリンが使用された可能性がございました。そこで、既にアメリカの薬 局方やヨーロッパの薬局方に収載されておりますグリセリンにジエチレングリコールの 純度規定が設けられているということを踏まえまして、我が国におきましても安全性を確 保するためのチェック体制の強化を図るために、グリセリン中のジエチレングリコールに つきまして欧米並の規定を設けることとしたものです。本件につきましては日本薬局方部 会におきまして御了承をいただいており、現在手続を行っているところです。通常の追補 改正とは別枠の部分改正といたしまして、迅速に改正を行うことを予定しております。以 上、御報告をさせていただきました。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の早川委員から、追加の御発言はござい ますでしょうか。 ○早川委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の方々からの御意見はございます でしょうか。特にないようですので、本件については御確認いただいたものとします。  続いて、生物由来技術部会の関係の議題19、20について、説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは議題19、資料No.19について簡単に御説明申し上げます。9月5日に 開催されました生物由来技術部会におきまして、タカラバイオ株式会社より申請されまし たTBI-0301につきまして、三つの事項について御審議をお願いいたしました。一つ目 が、遺伝子治療用医薬品の品質及び安全性の確認について。二つ目が、資料の裏側になり ますけれども、カルタヘナ法第4条に基づく第一種使用規程の承認の可否について。そし て、三つ目が、カルタヘナ法第13条に基づく第二種の使用等に関する拡散防止措置の確 認についてです。これらの審議事項につきまして御審議いただき、それぞれ承認又は確認 して差し支えないと御審議結果をいただきましたので、御報告させていただくものです。 以上でございます。 ○望月分科会長 続きまして議題20の方をお願いいたします。 ○事務局(農水) 農林水産省でございます。議題20です。今般、動物用の遺伝子組換え 生ワクチンのカルタヘナ法に基づく第一種使用規程の承認申請がございましたので、御報 告いたします。資料はNo.20です。遺伝子組換え生物等の種類の名称につきましては、猫 白血病ウイルス由来防御抗原蛋白発現遺伝子導入カナリア痘ウイルスALVACでございま す。申請者はメリアル・ジャパン株式会社でございます。これはカナリア痘ウイルスに猫 白血病のウイルスの遺伝子を導入いたしました猫用のワクチンでございます。本ワクチン につきましては、2000年にEUで承認されまして、現在、世界29カ国で承認されている ものです。本組換えウイルスは、弱毒であるカナリア痘ウイルスを宿主としておりまして、 それと同等の性状を有しておりますことから、カナリア痘ウイルスの感染動物であるカナ リア及びその他の哺乳動物に対する病原性や有害物質の産生はございません。また、猫等 の哺乳動物の細胞におきましては、新たな感染性のウイルスを産生するような増殖を示す ことはなく、また、接種動物からのウイルスの排泄もないこと等から、9月5日に開催さ れました生物由来技術部会において、本遺伝子組換え生ワクチンを第一種使用規程に従っ た使用を行う限り、生物多様性に影響が生ずるおそれはないという評価をいただいており ます。当該遺伝子組換え生ワクチンにつきましては、本使用規程承認後、治験を開始する 予定となっております。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。部会長の早川委員から、追加はございますでし ょうか。 ○早川委員 特にございません。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の方々から御意見、御質問をいた だきたいと思いますが、いかがでしょうか。特にないようですので、本件についても御確 認いただいたものとします。  続きまして、指定薬物部会の関係の議題21について説明をお願いいたします。 ○事務局 指定薬物の指定につきまして御報告をいたします。資料21でございますが、 改正薬事法の指定薬物の制度につきましては、御存じのとおり、違法ドラッグ、いわゆる 脱法ドラッグ対策としまして、昨年の薬事法改正で新たに盛り込まれたものでございま す。指定薬物に指定された物質は、乱用防止の観点から、正規用途以外での製造、輸入、 販売が禁止されまして、広告は制限されます。本年4月1日に施行されまして、現在31 物質と、それから、1植物が指定薬物として規制の対象となっているところでございます。 平成19年度の指定薬物部会は、9月20日に開催され、資料21の1ページ目の5物質に つきまして指定薬物に該当するかの御審議をいただきました。部会におきましては、いず れの物質も中枢性神経系への作用を有する蓋然性が高く、かつ、人に使用された場合には、 保健衛生上の危害が発生するおそれのあるものとして、指定薬物として指定して差し支え ないと御判断いただきました。蛇足でございますが、いずれも麻薬と構造が類似している ものでございます。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。それでは委員の方々からの御意見、御質問をい ただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。それでは本件についても 御了承いただいたものとします。  その他、何かございますでしょうか。はい、お願いします。 ○事務局(農水) 農林水産省でございます。動物用医薬品等部会から一つ御報告をさせて いただきます。事前にお送りいたしました文書報告事項の資料のうち、資料番号114番、 動物用医薬品ベトメディン チュアブル1.25mgと同2.5mgの製造販売承認の可否等につい てでございますが、申請者からの要望によりまして、製品の販売名が、ベトメディン チ ュアブルからベトメディンに変更になりますので御報告いたします。変更の理由といたし ましては、EU各国ではベトメディンとしてカプセル製剤とチュアブル製剤の2種類が、 製造販売又は承認申請されているところでございますけれども、本製剤は、日本で承認申 請時には、これにならった販売名とすることとしておりましたけれども、日本においては カプセル製剤の製造販売は行わないということで、チュアブルを削除して販売したいとい うことでございます。以上でございます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、ほかに何かご ざいますか。どうぞ。 ○審査管理課長 恐れ入ります。今日、机の上に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会文書 報告一覧というのが配付されておりますけれども、この文書報告の対象品目の中の資料の 105でございます。医薬品コンサータ錠18mg、同錠27mgの承認について報告させていた だいたものでございます。このコンサータにつきましては、本年の8月に開催された医薬 品第一部会で御審議いただいたところでございます。このコンサータですけれども、リタ リンと同じ塩酸メチルフェニデートを有効成分とするものでございます。このため、より 適切な流通管理ができないか、リタリンの、うつに関する効能・効果の取扱いなどと一緒 に、今月中にも医薬品第一部会を開催させていただいて、御検討いただきたいと考えてい るところでございます。部会の結果につきましては、分科会の委員の皆様方には、また文 書をもって御報告させていただくということで御了解願えればありがたいと考えており ます。よろしくお願い申し上げます。 ○望月分科会長 ありがとうございます。何かただ今の件で御質問ございますか。よろし いですか。なければ本日の薬事分科会を終了させていただきます。どうもありがとうござ いました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)