07/10/01 第79回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第79回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2007年10月1日(月) 18:00〜20:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  労側委員:岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、龍井委員  使側委員:吉川委員、松井委員、山崎委員、  公益委員:林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員 事務局:   大谷雇用均等・児童家庭局長、村木審議官、高倉総務課長   安藤雇用均等政策課長、高崎短時間・在宅労働課長、定塚職業家庭両立課長   大地均等業務指導室長、阿部育児・介護休業推進室長 議題:   1. 男女雇用機会均等対策基本方針(第2次)(案)について   2. その他 配布資料:  No.1  男女雇用機会均等対策基本方針(第2次)(案)  No.2  男女雇用機会均等対策基本方針とその実施状況 参考資料:  No.1.  男女雇用機会均等対策基本方針(平成12年7月)  No.2.  「男女労働者それぞれの職業生活の動向」 ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から第79回労働政策審議会雇用均等分科会を開催しま す。本日は山本委員と川崎委員が欠席です。奥山委員と樋口委員は、遅れてご出席との 連絡をいただいております。  それでは早速議題に入ります。本日の議題は「男女雇用機会均等対策基本方針(案)に ついて」です。では、「男女雇用機会均等対策基本方針(案)について」の説明を事務局 からお願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  ご説明させていただきます。配布資料として2種類を用意しておりますけれども、そ のうちの資料No.2の方からご覧ください。これは前回ご意見がありました、現行のもの といいますか前に作成しました基本方針とその実施状況についてまとめたものをという ご要望がありましたので、それをまとめたものです。左から「項目」がありまして、そ こに書かれた「内容」を掲げまして、真ん中に「実施事項」、右側にこれに関連する指 標の動きをまとめてあります。第1と第2に分かれておりますが、そのうち第2の部分に 当たります「施策の基本となるべき事項」の部分についてのとりまとめです。項目の「 (1)男女雇用均等確保対策の推進」では、まず「履行確保」としまして、この下では法 律の施行と月間を中心にした啓発を実施しまして、コース別雇用管理については留意事 項の作成、周知・指導、さらに女子学生の就職状況把握とそれに基づく指導や啓発を行 っております。次のページをご覧ください。ポジティブ・アクションに関しましては、 企業トップにご参集いただいて「女性の活躍推進協議会」を設置して、ご提言をいただ いたり、委員の方々にそれぞれご活動いただいたりしております。さらに、均等推進企 業表彰ですとか、ノウハウ普及のための各種の会議を開催し、また推進方策についての 検討につきましては、法改正に当たりまして検討して改正法で一定の措置をいたしまし た。セクシュアルハラスメント防止対策につきましては、法施行、ビデオ作成、実践講 習の実施、またセクシュアルハラスメントカウンセラーというものを47都道府県の均等 室に置きまして、相談体制の充実を図っております。「均等確保対策の幅広い検討」に つきましては、改正法に検討結果を反映いたしました。  次の「(2)母性健康管理対策の推進」では法施行がありまして、市町村の母子保健担 当部局との連携、妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いにつきましては、先の法改正 で措置をしております。  次のページをご覧ください。「(3)仕事と育児・介護との両立支援の推進」では、法の 履行確保、時間外労働免除請求等のあり方等の検討結果、これについては2回の法改正 で措置をしております。介護につきましても法改正を行っております。職場環境作りに つきましては、ファミリー・フレンドリー企業の普及ですとか、助成金の支給によりま す企業の取組の支援の実施、時短促進等を行ってまいりました。地域における支援サー ビスの充実の項ではフレーフレー・テレフォン事業、ファミリー・サポート・センター 事業の拡充を図ってきております。  「(4)多様な就業ニーズを踏まえた女性の能力発揮の促進」では、パートタイム労働 法の施行ですとか、助成金による企業の取組支援、また在宅ワークにつきましてはガイ ドラインの策定・周知等を行っております。  「(5)女性の能力発揮促進のための援助」では、女子高生・女子大生のための意識啓 発、在職中の女性に対するキャリアアップセミナーですとか、カウンセリングの実施、 また自発的な能力開発への支援を行いまして、さらに再就職希望者の支援事業も実施し てきております。母子家庭の母についての対策につきましては、関連法規の下で自立支 援を行ってきております。再就職支援につきましては、女性の再チャレンジプランによ りまして、総合的な推進を図ってきております。起業支援につきましても、セミナー、 情報提供、またメンター紹介事業などを始めています。均等確保のための条件整備のと ころでは、個別紛争解決援助制度につきましては別途創設をいたしましたし、税制・社 会保障制度等のあり方に関する検討も関係機関により各種検討されまして、一定の措置 をされた部分があります。以上のように、前回策定の基本方針に沿いまして、これまで 施策の充実、法改正を進めてきたところです。これが、資料No.2です。  続きまして、資料No.1をご覧ください。前回お示しした骨子に肉付けをしました第2次 基本方針の(案)の説明をしますが、大きな流れは、前回お示しした骨子に書いておりま したものと変わっておりませんので、なるべく簡単にご説明したいと思っております。  まず冒頭に、「はじめに」がありますが、ここは今回初めてお示しするところです。 前回策定のものと同様の導入部分をつけたとご理解いただければと思います。法改正と の事実関係と基本方針の位置付け、また最後の行ですが、運営期間を平成19年度から平 成23年度の5年間とするというようなことが書いてあります。  次の「第1.男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向」の部分では、最 初のパラグラフのところで一般経済の動向について書き、次に少子化の動向について触 れております。さらに次のページでは、「2.男女労働者の職業生活の動向」の雇用の部 分に入りますが、労働力人口の状況、また女性のM字カーブの動向、従業上の地位別に 見た労働力人口の動きについて触れております。質的な変化といったところでは、骨子 に沿いまして、女性の勤続年数の状況、高学歴化、就業形態の多様化について書いてお りますが、前回のご意見を踏まえまして、正規従業員の動向については、足元の増加の 動きについても書き込んでおります。続いて、失業の状況、それから今後の労働力需給 の見通し、その中には女性労働力への期待というものが書かれております。労働条件の ところにつきましては、男女間賃金格差と労働時間の状況について書いておりますが、 前回までのご議論を踏まえまして、平均賃金格差にはさまざまな要因が含まれるといっ たくだりについて補足をしております。  「(2)企業の雇用管理」につきましては、均等法の認識・定着が広がりまして、女性 の管理職割合も上昇していること、またセクシュアルハラスメントへの対策ですとか、 母性健康管理措置に係る規定の導入も進んでいるという状況をまず書いておりまして、 一方で取組に一部停滞が見られる旨を指摘しております。法律施行状況の中からは、相 談の4割がセクシュアルハラスメントであること、また調停の申請件数等についても触 れております。  次の育児・介護休業制度に関する部分ですが、制度の定着が進んでおりまして、育児 休業取得率は女性では上昇しており、活用が広がっておりますけれども、男性について はまだ低いということ。また介護休業につきましては、全体の4分の1が男性であること 等について記しております。パートタイム労働者の雇用管理の改善等の状況につきまし ては、パートタイム労働者の多様化が進んでいるということ、勤続年数には長期化が見 られ、労働時間については短時間傾向が見られるというようなこと。また時間当たりの 男女間賃金格差について見ますと、一般労働者よりも格差は小さいのですが、一般とパ ートタイム労働者の格差を見ると、これは男性においてより大きいというようなこと を記しております。  次の、企業の雇用管理の変化のところでは、経済社会状況の変化の中で、賃金制度な どの見直しが進んでいるというようなこと。それから非正規雇用の活用の状況を見まし ても多様化が見られる。コース別雇用管理制度についても同様に多様化の状況が見られ るというようなことについて指摘をしております。  次の、意識変化と就業のパターンのことについてですが、女性が職業を持つことにつ いては継続就業志向が高まっていること、その一方で7割の女性が第1子出産を機に離職 すること、また生活を優先する働き方への志向が高まる一方で、共働き家庭の男性の育 児時間・家事時間が少ないままであるというようなことを書いております。以上をまと めて、「まとめ」というところに総括しておりますけれども、この部分は前回の骨子で お示ししたものと同様です。  続きまして、7ページの「第2.雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保 等について講じようとする施策の基本となるべき事項」をご覧ください。「1.施策につ いての基本的考え方」については、前回も書き込んで、大体これくらいのボリュームに なっておりましたので、ほぼ同じ内容になっております。  「2.具体的施策」の部分は、(1)と(1)の間に、骨子にはなかった柱書きを簡単に付け ております。「(1)公正な処遇の確保」の最初は、「均等法の履行確保」です。ここでは、 行政指導、労働局長の紛争解決の援助、調停といった法律に規定されました行政手段の 施行についてのスタンスを書いておりまして、さらに周知・啓発を行うということ。そ れから、骨子にもありました、男性差別への的確な対応、パートや派遣といった非正規 労働者への対応、間接差別につきまして施行状況や裁判例等の実態を把握した上で検討 をして、必要な対応を取るということ。妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いについ ては、施行状況を把握して、判断基準の明確化を図るということにしております。  次の「男女間賃金格差の縮小」の項では、前回ご指摘のありました平成14年に行った 調査研究とその結果に基づくガイドラインを作成し、普及したという取組について書き 込みました上で、格差要因への対応につきましては詳細な分析が必要であるとしまして 、調査・研究を実施して、それらを踏まえて具体的かつ効果的な方策を検討して、ガイ ドラインを通じて労使に情報を提供し、その取組を促すとしております。  次の「コース別雇用管理の適正な運用の促進」につきましては、骨子の通り、留意事 項の周知と指導、それからコースの多様化等の現状を踏まえまして、さらに実態把握を 行って、効果的な方策を検討するということにしております。  次の「妊娠、出産、育児等による休業期間等に対する公平性及び納得性の高い評価及 び処遇の推進」につきましては、これらの休業等が極端なハンディにならないような人 事管理制度や能力評価制度のあり方について調査研究をして、企業の雇用管理の見直し に際して、そうした視点からの取組が行われるように支援するとしております。次の「 (2)セクシュアルハラスメント防止対策の推進」につきましては、セクシュアルハラスメ ントというのは、離職にいたる深刻な事案も少なくないという実態にかんがみまして、 積極的に行政指導を行うこと。また、企業規模によって課題が異なっているという実情 を踏まえまして、きめ細かなノウハウ提供・情報提供を行っていくということを書いて おります。「(3)女性の能力発揮のための支援」につきましては、まず「女子学生に対す る支援」といたしまして、関係機関との連携の下、個人の適正能力に合った進路選択・ 職業選択ができるように、また、将来生活のビジョン形成に資するような情報提供を行 うということにしております。さらに「在職中の女性に対する能力開発等の支援」につ きましても、いわゆる先輩の女性があまり身近にはおられないという環境を踏まえまし て、相談体制の充実やキャリアアップ支援を行っていくということ。また、そうした支 援のノウハウを地方公共団体の女性センターなどに提供しまして、拡大していきたいと いうことにしております。「(4)母性健康管理対策の推進」のところでは、法に規定され た内容の周知徹底・支援・情報提供を行うということ。それから均等法の母性健康管理 措置やこれにかかわる不利益取扱い禁止の違反についての行政指導の実施、また、個別 事案解決の迅速化を図るということとしております。  次の「(2)仕事と生活の調和の実現に向けた取組」ですが、前回までにこの部分と均 等施策との関係でありますとか、ワーク・ライフ・バランスの打ち出し方といったよう なことにつきまして、さまざまなご意見を頂戴いたしましたので、(2)のところは柱書 きの 部分を少し長めに書き込んでおります。(2)から入りまして、(1)つまり均等施策との関 係につきまして、均等対策と合わせて仕事と生活の調和に向けた条件整備が必要である といったこと、また、このことは我が国経済社会の長期的安定・持続可能性にとっても 必要不可欠であるといったことを指摘いたしまして、さらに有配偶女性のみならず、男 性も含めて現在の基幹的労働者に見られるような働き方というのは、さまざまなニーズ を抱える労働者の働き方の選択肢を狭めることになっているといったことから、働き方 の見直しが必要であるという指摘をしております。これを踏まえて、仕事と生活の調和 に向けた取組を推進する。特に、育児・介護期における仕事と家庭の両立支援対策が必 要であるということで、労使団体・地方公共団体との均一な連携に留意するというよう なことが書いてあります。  その次からは、具体的な取組になるわけですが、ここのところでは、まず「ア.仕事 と生活の調和の実現に向けた取組」ということで、項を一つ新しく起こしております。 これは骨子に無かったところです。ここでは、働き方の改革に向けた企業の取組の支援 をするとともに、社会的な気運の醸成を図るということにしております。  次に、「イ.育児休業や短時間勤務制度等、仕事と子育ての両立を図るための制度の 一層の普及・定着」としまして、制度の普及・定着に向けた行政指導、短時間勤務や在 宅勤務などの柔軟な働き方の実現に向けた制度の在り方等について検討。また、地方公 共団体とも連携しながら、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定・実施す ること。また、認定に向けた取組を促進するということにしております。  次の「ウ.介護休業その他仕事と介護の両立のための制度の定着促進等」としまして は、制度の一層の周知徹底、規定整備の徹底に向けた指導の実施。さらに、介護を行う 労働者の実態把握をした上で、制度の在り方等についての検討を行うとしております。  また、「エ.両立が容易になるような職場環境づくりの促進」としましては、組織風 土の改革、働き方の見直し、固定的な性別役割分担見直し等に向けました意識啓発を進 めて、助成措置の活用などにより労使の取組を支援するということにしております。フ ァミリー・フレンドリー企業を目指す企業の取組への支援につきましても書いておりま す。  次の、「オ.地域等における支援サービスの充実」のところでは、両立を図るために は企業の取組のみならず、地域において多様な支援サービスが整備されることが重要で あるとした上で、関係機関との連携の下、保育所受入児童数の拡大、多様な保育ニーズ ヘの対応、放課後児童クラブの設置促進といったような子育て支援、あるいは介護サー ビスの充実に取り組むこととしております。また、ファミリー・サポート・センター事 業や突発的、専門的ニーズに対応するための緊急サポートネットワーク事業を推進する こととしております。  次の、「(3)ポジティブ・アクションの推進」については、前回も比較的書き込んだ 形でお示ししておりましたところですけれども、最初のパラグラフで、ポジティブ・ア クションの意義について書き込んでお出ししております。この中身の書き振りは、これ までも言ってきたことでありますが、法規定の遵守だけではなくて事実上生じている格 差に着目して、その解消を目指して企業が自主的に取り組むことが望ましい。それは、 ひいては企業にとっても人材の有効活用というメリットにつながりますということを書 いております。それ以降は概ね骨子に示した通りの書き振りになっておりまして、ポジ ティブ・アクションへの正しい理解が未だというところがありますから、ポジティブ・ アクションというのは広い概念の取組を含み得るものであるということについて書いて おりまして、具体的な取組につきましては、14ページの12行目から書いておりますが、 一層の周知徹底、具体的なノウハウ提供に当たっての中小企業への配慮を行いつつ的確 な助言をするというようなこと、また業種別・地域別な実態も踏まえて効果的支援を行 う、より効果的な推進方策の検討を行うということにしております。  「(4)多様な就業パターンの選択が可能となるような条件整備」につきましては、柱 書きの部分で再就職・再就業のための環境整備が必要であるといったこと。それから、 パートタイム労働者等の非正規労働者が増加する中で、正規労働者との均衡待遇確保が 求められている。とりわけ、「短時間正社員」の普及が期待される。柔軟な働き方とし ての在宅就業、起業も注目されているというようなことを指摘しております。  具体的施策として、まず「パートタイム労働対策」につきましては骨子の通りですが 、改正パートタイム労働法の周知徹底、均衡待遇確保への行政指導、職務分析の手法や 比較に係る情報収集、短時間正社員制度の定着への取組といったことを行うこととして おります。次の「在宅就業対策」につきましては、実態把握を行って必要な施策の検討 を行うということにしております。「再就職支援」につきましては、マザーズハローワ ークとの連携の下、再就職情報の提供、セミナー開催、その他、計画的な就業準備の支 援を行うとともに、特に母子家庭の母について自立と生活の向上が図られるよう、福祉 ・安定行政などとも連携しまして、きめ細かな就業支援を推進するということにしてお ります。次の「起業支援」につきましては、女性は起業に必要な就業経験や知識が不足 しがちであるといったことを踏まえまして、情報提供でありますとか、メンターからの 助言・相談等による支援を行うとともに、支援のノウハウにつきましては、これもまた 地方公共団体の女性センターなどへの提供を行っていきたいということです。  次の「(5)関係者・関係機関との連携」につきましては、まず労使団体との緊密な連 携による企業の取組の促進、雇用機会均等推進責任者への的確な情報提供、また働き方 の選択に対して中立的な税制・社会保障制度等に関する関係者・関係機関による検討の 促進、さらに、地方公共団体との連携・協力を実施していくということにしております 。  「(6)行政推進体制の充実、強化」につきましては、労働局における労働基準行政、 職業安定行政との連携、情報技術の活用等によるサービスの質的向上と業務効率化を図 ることとしております。以上が説明です。 ○林分科会長  ありがとうございました。ただ今の事務局の説明につきまして、これから審議に入り たいと思いますが、長いので2部に分け、まず「はじめに」と「第1.男性労働者及び女 性労働者のそれぞれの職業生活の動向」の1ページから6ページの部分で、ご質問・ご意 見はございますか。 ○山崎委員  お聞きしたいのですけれども、5ページの中ほどにある「エ.企業の雇用管理の変化」 の下から3行目に「中小規模企業」という書き方があります。その他は全体を見ても「 中小企業」という書き方をしているのですが、これは何か意味があるのでしょうか。 ○安藤雇用均等政策課長  特に意味はありませんので、後ほど用語の整理をさせていただきたいと思います。 ○林分科会長  他にご質問・ご意見はありませんか。 ○松井委員  7ページ以降の具体的施策の方にかかわってくると思うのですけれども、ここはいわ ば現状分析編だと思うのですが、後ろの方の施策では中小企業は進んでいないとか、問 題だという指摘もあり、例えば介護休業と育児休業の取得の実態が書かれている部分が あったりしますが、ここに書いてあるのは後ろの施策を導く前提となっているという考 え方なのでしょうか。分断しているので意見が言いにくいのですけれども、コース別雇 用管理のところについては、具体的施策の方には大企業・中小企業の区別なく書いてあ って、後の議論でもう一度やればよいと思うのですけれども、セクシュアルハラスメン トのところでは中小企業の取組が足りないと書かれていたり、ポジティブ・アクション のところでも確か中小企業への何らかの取組の促進というようなことが書かれていたの ですけれども、そういうことを全部には記述してはいないけれども施策の方にはすると か。つまり、現状分析と今後の施策の方向性や対策などというところのつながりはうま くできているのでしょうかという漠とした質問です。 ○安藤雇用均等政策課長  一応、現状分析に基づいて施策を書いたつもりです。今、ご指摘がありましたところ につきましては、コース別雇用管理では従来大企業型という形であったものが中小に広 がってきているというようなことにつきましては、恐らく実態がだいぶ従前と異なって きているのではないかという意識を持っておりまして、それを施策のところで実態把握 につなげたいという思いで記述しております。セクシュアルハラスメントにつきまして は、以前調査結果をご紹介しました。大企業も中小企業もご対応はいただいているので すが、例えば実際に事例が挙がってくるのは大企業の方が多いとか、規模別に状況が異 なるのかと思われました。そうなりますと、必要なノウハウに違いが出てくるだろうと 。 そこのところは、むしろ十把一絡げで対応するのではなくて、支援をするときにはそう いった中身の違う対応をしなければいけないのではないかということで中小のことも書 いております。  それから、ポジティブ・アクションにつきましては中小企業の取組の促進ということ で特に書いていますが、この背景にありますのは、確かに中小企業での取組の広がりが ないという事実がベースにあります。やはりポジティブ・アクションのイメージそのも のが大企業向けであるというように取られてきたという部分について特に意識をしまし たので、あえて施策のところでも中小企業というように出させていただいたというとこ ろで、十把一からげに大規模、中小企業という対比で実態は遅れているから中小企業と いうものを具体的施策の中に書いたというようには認識していません。 ○松井委員  ありがとうございます。 ○林分科会長  他にご意見等がなければ、「第2」の方に進みますけれども、よろしいでしょうか。 それでは「第2」の「施策の基本になるべき事項」についてご質問ご意見等がありまし たら、お願いいたします。7ページ以降です。 ○龍井委員  とりあえず1点は、前回指摘させていただいて修文をしていただいた所なのですが、 7ページの1の第2パラグラフの1行目で「課題についてほぼ解決して」となっているの ですが、基本的な問題だけで解決したのかというのは異論もあるところだと思いますの で、指摘されていた具体的な課題を明示した表現に直していただけたらと思いますが、 いかがでしょうか。 ○安藤雇用均等政策課長  確認をさせていただいてよろしいでしょうか。7ページの第2の1の第2パラグラフの冒 頭の所ですね。「均等法制定当時に指摘されていた法制上の課題については」というこ とについて具体的にということですので、例えばこの冒頭に片面性であるとか努力義務 規定といったような前回私がお答えしたようなことを書けばよいということですか。 ○龍井委員  はい。 ○安藤雇用均等政策課長  わかりました。 ○山崎委員  10ページですが、セクシュアルハラスメントのことは安藤雇用均等政策課長から先ほ どお話があったのですが、「企業規模が小さくなるほど」というくだりがあります。「 問題把握に課題が」と。これは考え方によるともう既に企業内でこういう問題は解決さ れていて、あまり相談が出てこない、逆に言うとむしろ「もう、いいのではないか」と いうようなことにも取れますし、逆にこの書き方からするとセクシュアルハラスメント があるのに相談してこないという場合に、データ的なものがあるのかどうかということ 。逆に言うとイメージも中小企業の方が悪いのでこの記述はどうかなと思います。もう 少し良い言い方がないのかと思います。  それともう1点、最後の所に「企業規模別の実態に応じたきめ細かな情報提供」うん ぬんとありますが、これは先ほど言いましたようにポジティブ・アクションの所には中 小企業のことは書いてあるのですが、やはり一括した画一的な施策ではなくて中小・零 細いろいろありますので、それに応じたきめ細かな施策を展開していただきたいと思っ ているわけです。そうしますと各部門の所ではなくて、例えば最初の2の「基本的考え 方」の最後の3行でこうした考え方に立っているようですが、その辺りは企業規模の実 態を踏まえた上での情報提供だけではなくて、施策の展開をしていくことも少し考慮し て書いていただくことはできないかと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  後段部分については工夫をしてみたいと思います。前段部分を確認させていただきま すと、問題把握に課題があるといったようなところについて事実関係の記述というよう な理解でよろしいでしょうか。 ○山崎委員  事実関係の記述であれば、前段のそういう実態が動向の方に出てくるのではないです か。それに基づいて、そういうものがあればそれに応じた書き方をされても構わないと 思います。 ○安藤雇用均等政策課長  では事実関係に基づいて整理をさせていただくということで。 ○山崎委員  はい。それと後半の中小企業に関したセクシュアルハラスメントやポジティブ・アク ションだけではなくて全体をカバーするような書き方をしていただけないものかと思い ます。 ○安藤雇用均等政策課長  「基本的考え方」の所に工夫をさせていただきたいと思います。もし山崎委員の方で 、中小企業の実態に即してセクシュアルハラスメント対策としてこういう形のものが効 果的だというようなことを把握しておられるのなら、お知恵をちょうだいしたいと思い ますが。 ○山崎委員  実態の報告がないものですから。データ的なものがないので、資料に基づいて言える ということはないのですが。 ○松井委員  すみません、関連して。私も先ほど問題意識としていましたのは、例えば10ページに 書いてあることは、企業におけるセクシュアルハラスメントの防止対策では「担当者や 窓口の設置などの制度的な体制は整いつつある」けれども、「企業規模が小さくなるほ ど相談実績のある企業割合の低下がみられ」、これは中小企業内ではセクシュアルハラ スメントの問題がきちんと把握されていないということを悪く書き過ぎている。それは 何を根拠に、どうなのだとはっきりおっしゃっていただかなければ困るということを、 山崎委員は申し上げているのだと思います。相談実績が少ないのは、企業規模における 何らかの特徴があるとかないとかという実態を踏まえた上で、こういうことを書いてい ただかなければ非常に問題だという指摘だとまず私は認識しました。ですからここら辺 の書きぶりについても、山崎委員は先ほど中小企業に応じた全体の対策をしてください と言いつつ、ここの書き方が問題と言っていますので、少し書き方についての配慮をお 願いできればと思います。  それから別件で、少し細かい所なのですが、7ページの所で既に前回のときも出てい たと思うのですが、「基本的考え方」の二つ目のパラグラフで、龍井委員がこだわると 言うのであるならば、例えばその3行目から4行目の「確保されたとは言い難い状況が随 所にみられ」で「随所」と言わなくとも、「見られ」くらいでよいのではないかと思う ことと、同じパラグラフの下から3行目は「転居転勤が可能であることなどを前提とし た働き方が一般的であること」でなくて、「働き方が見られる」などにし、なんとなく すべて「一般的」とか「男性労働者を中心とした」うんぬんが「一般的」だとまでは、 もう少し弱めて言っていただけないのかなと。「見られ」くらいのやわらかい表現がな いのかなというのは、前回申し上げなかったのですけれども、気になるところです。  それともう1点、後ろの「具体的施策」で確か社会的インフラサービスの提供の所で 働き方の見直しだけではなくて社会的インフラが重要だという書きぶりがありますので 、例えば7ページで今申し上げた二つ目のパラグラフの5行目「こうした実態面での男女 格差が縮小していかないことの背景には」の次の辺りに「保育所など社会的インフラの 未整備等により」ということで、後は雇用の部分にもつなげてもらえると。ここに書い てあるのは雇用の部分だけが中心になってしまっていて、それ以外の所にもやはり企業 としてはある程度お願いしたいという気持ちがありますので、そのような記述を少し加 えてもらえるとありがたいと思います。以上です。 ○安藤雇用均等政策課長  今の部分なのですが、7ページの「就業継続を希望しながらも離職を余儀なくされる 場合もあるも含め」という所の頭に背景事情を書き込むと。その部分について社会的イ ンフラの未整備等というご意見だと思うのですが、お手元の参考資料でも用意している のですが、参考資料の2で数字を前からご用意しておりますけれども、これのバックグ ランドになっているデータとしましては、「就業継続を希望しながらも離職を余儀なく される場合も含め」多くが辞めている所は60ページぐらいの所です。図表6に女性が出 産、1年前に雇用されていて辞めたという方の理由が書いてあります。この中で「離職 を余儀なくされた」という言い方ができるのは、大体3割であろうというような説明を 差し上げたかと思いますけれども、その部分が、仕事を続けたかったが仕事と育児の両 立が難しいので辞めたというものと、解雇された、退職勧奨されたというものが挙がっ ておりますので、このデータに基づいて書かせていただくのであれば、その「離職を余 儀なくされた理由」の第1の部分で、「仕事と育児の難しさ」からということでよろし いでしょうか。 ○松井委員  その場合、「社会的インフラの未整備等もあって」というものもあって、なおかつ今 のような表現ならいかがでしょうか。「も」も「あって」ですから。 ○安藤雇用均等政策課長  「も」もあるのは否定しないのですけれども、その中で多分一番大きな理由というの は「体力がない」などそういう部分が挙げられています。これは、やはりデータから言 えることですので、両立する自信とか、要は「施設・サービスがなかった」とお答えに なる方のパーセンテージというのは、少なくとも1位、2位を争うようなパーセンテージ で挙がってくるわけでもないのです。そういったそのデータを拝見しますと、そこだけ 特出しするというのはむしろ事実に即して書いたという形にはならないかなという気 がします。 ○林分科会長  頭の部分には入ってないのですけれども、後の方でそこに触れているということで、 特に頭の所ではクローズアップしないということでいかがでしょう。 ○松井委員  いいえ、確かに均等法上の整備というのは、今回言わばこれまで法制定時からの宿題 のようなものは終わって、さらに実施的なことをいろいろな形で求めていこうというの であるならば、やはり社会的背景の一つであるインフラの状況というものも踏まえた上 でやっていくというのが基本的な考え方であってもよいのではないか。と申しますのは 「仕事と家庭の生活の調和」の項目もまた特出しということで後ろにも出てきているの ならば、どうして「基本的考え方」にそういうものも一つ入っていてもそんな悪いこと ではないのではないかと私は思います。 ○樋口委員  松井委員、どこにどういう文章を。もう一度ご説明いただけますか。 ○松井委員  7ページの二つ目のパラグラフの5行目の最後で「こうした実態面での男女格差が縮小 していかないことの背景には」の次に「例えば保育所など社会的インフラの未整備等に より」というフレーズを入れてもらえたらということを申し上げたわけです。「もあり 」です。「があり」と言っていることではないので、全体的な状況については就業継続 したいと言っても就業継続しない人の割合もまた大きいことからすると、働く場が厳し いということもあるのかもしれませんが、なかなか育児休業を取ったとしてもその先が またもっと難しいというのも、やはり否定しきれないのではないかと。企業側だけに今 度は均等法の基本方針だから企業がやれということなのかもしれませんけれども、後ろ の方で社会的インフラの整備の問題、地方公共団体との連携というものもありますので 、少し基本的な考え方の中に一言ぐらい入れてもらってもよいのではないかと申し上げ た次第です。 ○佐藤委員  松井委員の確認で、いいですか。この文章は長いので分けた方がよいと思いますけれ ど、そうすると女性が継続就業しながらできない、もちろん自主的に辞める人もいるわ けですけれども、二つあって地域の保育サービス等といろんな企業の両立施策が活用で きないということは入れてよいわけですね。それだけ書かれているのでもう一つあるの ではないかということですか。 ○松井委員  そういうことです。 ○佐藤委員  両方書く。 ○吉川委員  今の問題に関連するのですが、13ページのオの「地域等における支援サービスの充実 」という所がありますが、今のお話の中にも例えば仕事を続けたかったが仕事ができず 両立の難しさで負けたというときに、体力がないという答えで、施設うんぬんというこ とではないというお答えがありましたが、預けに行く場所が遠いなどいろいろな問題が あって、体力がなかなか続かないということもあると聞いています。特に都市部では認 可保育所が不足していて、それによって仕事と家庭の両立が難しいという声が多くある と思います。東京都では今認証保育所制度がありますけれども、それもまだまだ十分で はなく待機児童が多いのが現状ですので、何かそこに対する緩和策というか別な形での サポートを、ぜひ進めていただきたいと思います。この部分については以上ですが、続 けてよろしいでしょうか。変えますか。 ○林分科会長  この部分について他の方、ご意見ありますか。 ○安藤雇用均等政策課長  今、松井委員からの社会的インフラの話をここに盛り込むということですけれども、 特にご異論がなければ工夫させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○松井委員  お願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  それから2番目の吉川委員のオの所の「支援サービスの充実」ですが、これはご要望 ということで具体的な施策の中に反映していくと、実施をする段階で反映していくとい うことでよろしいでしょうか。 ○吉川委員  要望としてお願いします。 ○佐藤委員  先ほど松井委員が言われたように入れた方が、オが書き易くなるのではないかと思い ます。オがあるわけだから、極端な言い方をするとオがなければ書かなくともよい。デ ータ的にもあると思いますので、オを書くデータにもなるというように理解してよいの ではという気がします。 ○林分科会長  その他の点について何かご意見ありますか。 ○鴨委員  9ページの「妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いについて」ですが、「事例収集 に努め、不利益取扱いの判断基準の明確化を図ると」とここに書いています。それで不 利益取扱いをめぐっては何をもって不利益とするのかということについて、かなり個別 の事例で、ケース・バイ・ケースで判断がいろいろあるだろうと思います。具体的に「 明確化を図る」ということは、具体的に事例の中でいわゆるガイドライン的なものをこ れから作っていくということと、とらえてよろしいですか。この辺をもう少し具体的に お願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  これは既に均等室でも、幾つか事例が挙がってきています。個別事例を把握する中で 、やはりいろいろな複雑な要素が絡み合った事例というのも多々ありまして、なかなか 指針の例示通りの案件があるわけではありません。そうしたことから、施行していく中 で個別具体的な事例を私どもも十分収集ができると思います。その中で判断基準を明確 化していく。この明確化の仕方として、どういう形になるかということについては、ま た検討の上でということになるかと思いますけれども、場合によっては、通達の改正で あるとか指針の改正であるとかと言ったような形になるかもしれません。 ○林分科会長  よろしいですか。 ○鴨委員  少し付け加えまして、特に7割の人が結局辞めざるを得ない現状があるというのが、 このアンケートにも出ているわけでありまして、それで70%が辞めていく中身に、これ はかなり取扱いのところというのは関係してくるであろうと思います。私自身も言いな がらどうやれば7割の人の実態調査的なものができるのかという具体案が浮かばないで 言っていて申し訳ないですけれども、7割が辞めていかざるを得ないということについ ての、これからかなりそこをもう少し、特に女性が働き続けていくことからしても、全 体の具体的な実態調査をぜひ進めていただきたいことは要望したいと思います。 ○林分科会長  7割は辞めたという、辞めているという事実ですね。辞めざるを得ないと取っていら っしゃるわけですか。 ○安藤雇用均等政策課長  7割というのは、状態として出産を境にお辞めになっているという事実関係だけです ので、その中身について直接把握した統計はありませんが、ご用意している資料の図表 60の所で、別の資料で辞めた理由を聞いています。この理由によりますと、50%の方は 自分で子育てをしたかったと。言わば辞めざるを得なかったというよりは自発的に辞め ているというのが現状です。ただやはり3割程度の方は続けたかったけれども辞めてい る、あるいは解雇された、退職勧奨されたということで辞めておられますので、その部 分については当面やはり辞めざるを得なかったというとらえ方をして施策のターゲット になっていくのだろうと思います。 ○今田委員  そういう結婚や出産などで就業し続けるかどうかについて長年調査をやってきた者と して、一言だけ。こういう意識調査というものを聞いても、結果については十分留意し て使用することが必要なのではないかと思います。というのは、実際に事実として7割 の人が辞めているわけです。例え調査をやっても、辞めた人になぜ辞めたのですかと聞 いたときに、本当の事実の原因が正確な回答で出てくるのかというと大きな疑問がある わけです。会社も働きにくかったり、家庭の方もうまくいかなかったりと、そういうい ろいろな複合的な要因があって結論として辞めたというときに、子育てしたかったと答 える女性だっているわけです。意識調査というのは一応参考にはなるということが一つ 、それでそういう意識調査を補う方法として、情報として我々がやっているような樋口 委員や佐藤委員などもやられるのですけれど、意識とは違って客観的におかれた状況の 変数を子育ての支援者がいたか、保育園が利用できたか、あるいは育児休業制度がどん な制度だったのかという客観的な事情を調査してその結果でそういう人が辞めた、こう いう支援のある人は辞めない確立が高いとか、そういう本人がどうかとは別の客観的な 事情で辞める、辞めないということをやっている。それはいろいろなデータがあるわけ です。そういうこととやはり意識調査のデータも重要ですからよく突き合わせて、恐ら く事務局の方はそういう両方のことをきちんと基礎において議論されているのだろうと 思いますけれども、そういう結果として今はもっとさらに先鋭化した問題に関してはま た調査をやったり、意識調査や事実に関する調査をやって明らかにしていくということ なのだろうと思いました。あえてコメントさせていただきました。 ○林分科会長  先ほど挙手されていた龍井委員、ご意見ありますか。 ○龍井委員  別の話題になりますが、二つ前の話題で、セクシュアルハラスメントの防止対策に関 連してなのですが、先ほど規模別の問題の生じ方がどうかということと、結論も規模別 の実態に応じたきめ細かな情報提供とかですが、もう一つこれもデータの裏付けがない ので記載の書きぶりはお任せしますけれど、私どもの問題意識は、今回措置義務にあっ た「体制が整いつつあるが」その続きはむしろそういうところでも問題が生じていると 、それがどっちが多いか少ないかはあまり重要ではなくて、措置がとられたからといっ て必ずしも問題が生じない、問題解決が進んでいるというわけではないということに則 した、まさにきめ細かな情報提供が必要だと思うのです。ですから当然その体制整備と いうのは一律にいくわけではないから、一つの要因でも出てきますけれど、むしろ問題 意識としては措置を取った上でどういう工夫やノウハウを出されているか、あるいはそ の件をどうしているかという、これは私は必ずしも定量的なものではなくて、それでう まくいったことの情報を集めて我々でやりますから、そういうことの積み重ねで実効性 を高めていくことが必要だと思いますので、その点は何らかの記載はしていただきたい と思います。 ○林分科会長  ここの部分は「大企業においてはセクシュアルハラスメントが生じた際の具体的な対 応ノウハウの不足に課題がみられる」という所に続けてという感じになるのですか。 ○龍井委員  そうです。それから今申し上げたのは規模ということではなく、規模要因ではないの で、むしろ問題意識としては、ここの言葉でいうと「体制が整ったとしても」というそ ちらの問題意識です。 ○安藤雇用均等政策課長  体制を整えるだけではなくて、それがきちんとワークするということが重要だという 指摘ということでよろしいですか。 ○松井委員  そうであるならば、大企業や中小企業などと書かないで、おっしゃられていることは 制度があるから本当にうまくいくかどうかというのはご指摘の通りだと思いますので、 それはセクシュアルハラスメントのところだけではないと思います。ですから書き方に ついては確かにむずかしいと思うのですけれども、よりセクシュアルハラスメントの問 題、窓口が設置されていると変に注目されて電話をしにくかったというのは、義務化さ れた施行の当初にはやはりありましたので、問題がきちんと解決する仕組みが今後とも 運用されていくような、あるいはそういうベストプラクティスをうまく学んでいかれる ようなそういう全体の記述にしたらどうなのでしょうか。中小企業はまた問題で、大企 業も問題もまた問題とここに書いてあるのは何なのかなと改めて読むとそんな感じがし ます。この点は以上です。  1点だけもう一つ、少し戻らせていただいてよろしいでしょうか。9ページの「男女間 賃金格差の縮小」ですけれども、今回パート労働法を来年4月から施行するに伴いまし て、恐らく仕事とか職務ということについて考慮してそれで均衡していくということに なっていると理解するのですけれども、必ずしもこの格差を生む要因などに仕事という ことはあまり書いていなくて、もしかして賃金決定方法というのが、もう少し手前で書 かれているのかもしれませんが、仕事と能力評価制度という感じに留まっているという 気がします。それならばやはりこの辺の部分については、職務・仕事を遂行される職務 に応じて賃金が払われていく中でも、さらに男女間の賃金格差があるのかどうかという ことを方向としては求めていくべきではないかと思います。そういう観点からすると、 「ガイドラインを通じて労使に情報提供をし」と最後の方に書いてありますが、これも 私の知る限りにおいて、ガイドラインはあまり知っている人もいないみたいですので、 それならもう少し自主的取り組みを推進するということを、より前面に出していただい た上で、何かやっていくということが求められないのかというのが意見です。 ○樋口委員  松井委員の言っていることはもっともという感じで、今ご指摘の2点は、ぜひ制度が より設けられるということだけではなくて、結局は運用が重要だということで、その運 用で女性があるいは男性が、それをどのように利用しやすい状況を作っていくかという ような、そこのところに全てが掛かってきているという感じがするのです。我々が今調 査しているところにおいても、同じ制度があってもそれが利用しやすいかどうかによっ ては、全く女性の定着率が違うという結果が出てきますし、またここのところ景気が回 復して人材を確保しようという中において、それに取り組む企業が増えてきているとい うところで、定着率はまだ発表していないのですが、非常に上がっているという結果も 出てきていることで、やはり運用は大切だということもあります。あるいは賃金の決定 についても、やはり職務や仕事に応じて賃金が決定されていく流れがないと、なかなか 男女間の賃金格差というのが埋まっていかないということもありますので、ぜひそこの ところは記述していただきたいと思います。 ○林分科会長  事務局の方でご検討いただくということになると思います。 ○吉川委員  今のところの後ろから3行目の「不合理な格差」というのはどういう意味で書かれた のかお聞きしようと思いましたが、今の樋口委員のお話で了解いたしました。それから 15ページの「パートタイム労働対策」について、「短時間正社員制度については、社会 的に定着するよう一層の取組に努める」と書いてありますが、現状はどの程度なのか、 そのことをどの程度把握していらっしゃるのかを教えていただきたいということが1点 と、それから16ページの「関係者・関係機関との連携」のところで、上から6行目の「 個人の働き方の選択に大きな関わりを持つ税制や社会保障制度等」と書いてありますが 、実際にはやはり勤務時間とかその他いろいろな要素を併せて検討して選択されている と思いますので、「個人の働き方の選択に大きな関わり」というのも、「かかわりのあ る税制や社会保障など」という文章にしていただいたらよいのではないかと思いました ので、一応ここは提案ということにさせていただきたいと思います。以上です。 ○高崎短時間・在宅労働課長  前段の短時間正社員制度のところでございますが、実態につきましては、短時間正社 員制度は例えば育児とか介護の時期だけ勤務時間が短くなるというような形の、いわゆ る育児・介護休業制度としてそれなりに存在して、あるいはそれについてのデータ等は あるわけですが、ここで書いてありますのは、そういうものにとらわれずに、広い意味 での短時間正社員という意味で、それについて実態はどこまで広がっているかというこ とについての直接的なデータはないという現状にあります。ただ事例等で把握している 限りでは、それほど広く一般的な制度としての短時間正社員制度というのは普及してい る、あるいは定着しているという状況にはないと理解しています。ただ今後の働き方の 多様化というようなことであれば、是非とも進めていくべき制度ということで、実はこ れは今に始まったものではございません。厚生労働省としても過去にそれについてのマ ニュアル作りでありますとか、あるいはそれを活用する形で、事業主団体でモデル的に 取り組んでもらったりするような場合は、その支援メニューみたいなものは行ってきて います。そういう意味では、まだまだということもございますので、来年度に向けまし てはその辺りの実態の把握から始まりまして、あるいはマニュアルも今のものでよいの かどうかという検証も含めて取り組む予算を一応要求しているところでございまして、 そういう方向で進めていきたいということです。 ○吉川委員  育児や介護のときの短時間正社員制度というのはある程度わかるのですが、それ以外 のところというのは、結果的には失業対策とかそういう意味での提案だったのですか。 短時間正社員制度が社会的に定着するように取り組む必要がどこまであるのかと感じる のです。 ○高崎短時間・在宅労働課長  もちろん、いわゆる緊急避難的な措置、いわゆるワークシェアリングというような位 置付けの中での短時間勤務というものがあるというのは事実だろうと思いますし、それ はそれで一つ、ある時期においては有効な政策だろうと思いますが、ここで書いてあり ますのはそういういわば緊急避難的な措置ではなくて、今後少子高齢化が進んでいく、 あるいは労働力人口が減少していく中で、個人の労働に対する意識なども変わってくる 。今までのように夫婦で働くことだけではないという人たちも増えてくる、あるいはい ろいろな事情でそういうこともできない人たちも増えてくる中で、要するに働き方とい うのは多様化すればするほど、それによって労働市場に参入していただける労働者が増 えるわけですので、それはメインにするとか、それだけにするとか、そういうことでは ありません。いわばお店に並べる商品作りとして、短時間正社員制度というのもあって よいのではないかということでありますし、もちろんそれが典型的には育児や介護の時 期 が義務的な休暇の時期とは関係なく、「私は子どもが小学校を卒業するまで」とか、「 中学を卒業するまで」とか、「高校を卒業するまでは自分で」というようなことであれ ば、その制度の組み合わせとかいろいろな意味でもう少し広がりのあるものとして、短 時間正社員制度というものを位置付けていきたいということです。 ○吉川委員  「一層の取り組み」と書いてあるところに、私は違和感を感じたものですから。 ○松井委員  ちょうど同じところなのですが、短時間正社員は「一層の取り組みに努める」という ことで、二つ上のパートタイム労働法の「積極的な行政指導」とはもちろんレベル感は 全然違うという理解でよろしいのでしょうね、ということがまず確認の質問です。まず お願いしたいことは、前回のときにも積極的行政指導とそうでないものと、どのように 違うのかと。回答をいただいたのですが、全然覚えていないくらい違いがよくわからな かったというのが率直な感想です。ぜひこのような言葉は、言葉で結構ですが、今回の パートタイム労働法は、企業としては雇用管理に取り組みを進めていくメニューは相当 多いと理解していますし、先ほどの短時間正社員制度というものでいうと、フルタイム への転換みたいなものもあったりとか、いろいろやるべきことが多い。さらに義務化と 努力義務のところというのは、企業側からすると非常にわかりにくいというのが実態で す。ですから、ぜひ積極的な行政指導と言いつつも、違いがよくわかるような形で、そ して場合によっては企業が行う雇用管理について、雇用均等室ごとの対応が北と南では 全く違うとか、そのようなことが起きないようにしてほしい。そういう記述がもしここ に書けるならお願いしたいと思います。以上です。 ○佐藤委員  質問が二つあるのですが。その前に短時間正社員制度ですが、冗談でもなくて正しい 理解だと思うのですが、パート労働法改正案で差別的待遇の禁止がありましたよね。あ のような人たちの差別がなくなれば、それは短時間正社員です。短時間だけれども正社 員と同じ処遇ですから。あそこは差別的禁止がなく、そういう人がいて、それが是正さ れればそれは短時間正社員だと思いますので、それが増える可能性はあります。伺いた いのは二つあって、確認なのですが、14ページのポジティブ・アクションの中で、14ペ ージの上から4行目の「優遇措置」、その少し下の「まずポジティブ・アクションは女 性に対する優遇措置」とあります。「優遇措置」の使い方なのですが、これは今までも 使っていたのか。積極的是正措置と言っていたことなのか確認です。ですから女性が営 業事務ばかりで、営業に配置するために女性のみ教育訓練するということであれば、従 来は積極的是正措置。「優遇措置」は今まで使っていたのかということが一つです。積 極的是正措置と言っていたのかということが一つです。  もう一つは、10ページの上から5行目の「出産や育児期間の取得が処遇上極端なハン ディ」の理解ですが、妊娠・出産・育児休業取得の不利益取扱いは禁止になっているわ けですね。極端なハンディであれ、ちょっとしたハンディであれ、不利益取扱いであれ ばそれは駄目なのです。だから不利益取扱いは禁止と、このハンディは違うのかという ところで、不利益取扱いではなくハンディで、極端でなければよいのか、少しならよい のか。ここのところがよくわからない。ハンディというのは不利益取扱いと違うとすれ ば何なのだろうか。少しのハンディならよいのか。極端なハンディはよくないのか。不 利益取扱いは禁止なのです。少しの不利益取扱いでも駄目なのだと思いますので。例え ばある女性が育児休業を取って、3年くらいでまた育児休業を取るとすると、5年間で2 年とか2年半職場から離れていた。先ほど仕事に応じてという処遇でその通り評価して、 評価が下がってしまうことがある。これは別に不利益取扱いでもないと思うのです。そ の後また仕事に慣れてきたら、他の人と同じに評価される。これは全然不利益取扱いで はないわけですが、少しでも遅れるのはハンディだという解釈でそれを是正しろという ことなのか、それを説明していただければと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  今の佐藤委員の前半のポジティブ・アクションの優遇措置の使い方が積極的是正措置 ではないかというところですね。確かに法律上は積極的是正措置でしたか。 ○佐藤委員  障害を取り除くという言い方だったと思うのですが。28ページです。「改善すること を目的として行うという措置」。優遇措置というのは言葉としてどうもよくないという 気もするのですが。 ○安藤雇用均等政策課長  どのレベルで言っていたかということですね。そこは確認して工夫させていただきま す。   ○佐藤委員  ずっと使っているのなら別ですが。「優遇」というのはイメージとしてよくないと思 っただけなのです。 ○安藤雇用均等政策課長  一般の方たちにそういう気持ちがあって、むしろ広がらなかったのではないかという 思いがありましたので、「そういう下駄を履かせるのがポジティブ・アクションでしょ う」ととられているがゆえに、取り組みが広がらなかったという反省がございましたの で。 ○佐藤委員  だったら括弧付けで使うとか、本来優遇措置ととらえられたという言い方のほうが、 積極的是正措置と後ろの方で使う方がよいのではないですか。 ○安藤雇用均等政策課長  わかりました。工夫させていただきます。ありがとうございます。それから「極端な ハンディ」ですが、これはそこに書いてございますように、長期的に見ても取り返しが つかないというような程度のハンディが極端なハンディなのだろうと思っていますが、 確かにおっしゃるように、不利益取扱いの部分は不利益取扱いとして縛りが掛かってい ますので、例えばその公平性・納得性の高い人事管理制度や能力評価制度の在り方につ いては、今佐藤委員に研究していただいているわけですが、評価に当たっては私傷病と の比較というのが不利益取扱いの一つのメルクマールになっているわけで、その場合に 私傷病の取扱いと違うやり方で評価をするということになれば、不利益取扱いというこ とはありますが、同じやり方であったとしても、例えばしばらく休んでいた場合には自 動的に評価をある程度下げてしまうというような運用が行われているような制度の下で は、やはり納得性というものはあまり得られないだろう。その後で公平性みたいなもの を、働いている方も含めてどのようにしていくかということは、その企業の雇用管理制 度の在り方とも絡めていろいろなことを考えていかなくてはいけないと思うのですが、 そういう部分では不利益取扱いの問題だけでは片付かないところがあるのかと思います 。 ○佐藤委員  今のところについて言いますと、不利益取扱いの指針で入っていますよね。あれを広 げていくという議論の仕方もあると思うのです。不利益取扱いに入らないものがあると。 だから不利益取扱いを増やしていく対応をするという考え方が、不利益取扱いではない のだけど、何かやってはいけないものがあるというのは非常にやりにくいのではないか。 これはやはりよくないのです。ここの書き方は。でも不利益取扱いではないというのは 企業としては非常にやりにくいかなという気がするので、現状の不利益取扱いの範囲に ついて、先ほど言いました入らないものがあるという、他のものを見直すという書き方 ならまだよくわかるのですが、極端なハンディはよくないという趣旨だと思うのですが 、でもそれは不利益取扱いではないというのはどうしたらよいのかという気もします。 皆さんはどうお考えですか。 ○松井委員  恐らくここは出産や育児期間が処遇上極端なハンディというか、これは休業を取って いるときという整理なのですか。単に出産をしたときとか育児のときとか、その辺をも う少し整理をしておいた方がよいということと、課長がおっしゃっていたように、これ が極端と書いていなくても、それが他の私傷病と比べても明らかに異なる取り扱いとい うことで言うのかどうか、ということはもう少し論点があると思うのです。私どもとし てはここだけがハンディで、他のところにもハンディを背負わせているのなら、同じよ うにやって欲しいという希望が1点あります。それと先ほど男女賃金格差の縮小のとこ ろで申し上げるのを忘れてしまったのですが、ここも本当は仕事に応じて対応していく ということで、もう少しやったらどうかという書きぶりに直していくということで、こ ういうことを取った者が明らかにハンディとならないようにという趣旨なのだと、私と しては理解したいです。「少しだけでもやったら、それなら許して」ということを言う つもりはないのですが、書きぶりは、佐藤委員のご指摘は極端にならないとしても、何 か変なことをしては駄目ですよということを言われたいのですか。 ○佐藤委員  不利益取扱い禁止でカバーすれば書く必要がないのではないか。つまり仕事で評価し て、先ほどの5年間のうち2年育児休業を取ったら、多分仕事の評価が落ちる人が出てく る。これは別に不利益取扱いではなくて、その通り評価しているわけですね。さらに3 年経ってきちんと仕事ができればその評価をすればよい。これは不利益取扱いではない。 これはハンディでもないというのが一つの解釈ではないか。これはハンディだという書 き方ではないかという気がしています。だからそこの分かれ目だと思うのです。不利益 取扱いがなければ遅れでもなんでもないというふうになるのも一つの整理です。 ○松井委員  それは佐藤委員のおっしゃる通りだと思います。だからそこをもう一つきちんとした 形で対応しておけば、ここは削除ということになるのだと思うのです。きっと役所とし てはこういう研究をどこかで密かにやろうとしていることが書いてあるのかと。行政の 支援をするつもりはないのですが、ここに敢えて書いてある意図は何なのでしょうかと 反対に質問したいです。 ○安藤雇用均等政策課長  この部分についてはすでに一つ調査研究が発していまして、佐藤委員に座長をしてい ただいて、こういった人事管理制度・能力評価制度を企業の人事労務担当の方に集まっ ていただいて、実態をお伺いしているところです。私どもの思いとしては、そうした中 で申し上げたような不利益取扱いというわけではないけれども、こういう視点から人事 管理制度や能力評価制度について見直しされたら、もっと公平性・納得性が高くなりま すというような共通の視点が見つかれば、その部分についてはむしろポジティブ・アク ションを進めていただくときの材料ともなるだろうという気持ちで始めたところでござ います。ですから考え方によっては、新たな不利益取扱いの要素となっていくというこ とも考えられるのかもしれませんが、今のところはまだ実態そのものを把握している段 階でございますので、そこは法違反とは言えないけれども、望ましい在り方というのは これまでもコース別雇用管理でも男女間賃金格差でもポジティブ・アクションの中でも 示してきたところでございますので、いわばこれもそれと同じアプローチかなと今のと ころは思っています。 ○樋口委員  そろそろ細かい雇用管理について、どこまで政府が立ち入っていくのかということに ついては、考えるべき時期に来ているのかもしれない。むしろ結果を問う。それに対し てそれに向かってどうするかというのは、個別企業のやり方ということはあると思うの です。それをここで今論点として出すつもりはないのですが、どこまでが本当に効果が ある施策であるのかということについて、今回もこれは指針ですからいいとして、この 後の展開を考えていく上で、今までのやり方を更に細かくしてやっていくのかというこ とについては、ぜひ検討していく余地が、そろそろ来ていると思います。むしろ、やは り目標あるいは結果、目標数値を問うとか、それが達成されるかどうかというのは、ど のように個別企業がやるのか。それについては政府が支援することがあるのかもしれま せんが、直接政府がやらなくてもよいことがあるというようになってきていると思いま す。賃金であれば、例えば男女間の平均賃金の格差を平均賃金でみて何%にするか、と いうようなことまであっても、それを達成しないのだったらどうしてだと、というとこ ろを問うていくという話でないと、議論がすごく細かくなってきていますよね。だから なかなか一般企業が、特に中小企業が等々と考えると、追いついていけないというとこ ろがあるわけで、そこまで含めて効果を上げるためにはどうしたらよいのかということ は、その政策手段、戦略を考えた方がいいかもしれないと聞いていて感じました。今の 発言は後でカットしてもらってもいいのですが。 ○佐藤委員  書き方で、多分不利益取扱いではないにしても、出産・育児休業の取得が、処遇にど のように反映されるかによって取得をためらうのではないかという状況がないかどうか 見直すという書き方でよいと思うのです。ですから書き方です。ハンディというのはあ まり使わない方がいいかなというだけなのです。 ○岡本委員  今の問題に関連してなのですが、確かに目標を立ててそれに向かって対応していくと いうのは非常に大事だと思いますが、現実としてはなかなか出産・育児休業等を取った ときの処遇上の問題というのは、労使で議論するということは非常にしにくい課題なの です。制度として、例えば休職期間中はこういう人事評価をしますよというようなこと は議論できたとしても、ここで言っているのは更にそれを超えて、数年間なぜか低いと いうようなことに対して、私たちはこれにどう対応していけばよいのだろうと常に非常 に悩むわけです。この議論をしていくと、能力評価というのは当然人事権であるわけで すから、なかなか組合も突っ込むことができないという状況がある中で、この研究をさ れることには、実は非常に期待をしていまして、どういうことが結果的にできるのかと いうこともなかなかわかりませんが、ぜひここのところが一般的にどういうものがある のかということも含めて、私たちも知っていきたいと思っています。ご意見もよくわか りますが、なかなか私たちから見ると、そういったことの調査等々もぜひ国の中でやっ ていただきたいという思いもあります。 ○樋口委員  今の例で言えば、それについてはむしろ差別禁止という話です。差別禁止をどのよう に当てはめるかという話であって、雇用管理をどうするかという、こうした方がよいと いう話というのは、ちょっとどうかと思います。法律が曖昧なのです。努力義務自体が 曖昧だと私は思っているのです。何が禁止されていて、何が認められているのかという ところが、だんだんわからなくなってくる。線引きがアンビギュアスになってきていて、 法律ができたものの実効というか本当に成果が上がるのかというところを問うていく必 要があって、それについてこれはもう駄目なのだ、これは禁止なのだというようなとこ ろを線がはっきり引ければよいのですが、それを引くための研究は必要だろうと思うの です。そういう感じがしています。 ○龍井委員  関連でいいですか。結構この問題は法律論に近い議論になっているので言いにくいの ですが、私たちの思っている均等というのは100対80が100対100になるのか、80対80に なるのか、90対90になるのか。そこは方向性というのは一定含まれていると思ったので す。ですから、今の文章に出てくるように、長時間がスタンダードな働き方で、そこが 100だと、みんながそこになれば100になるということが必ずしも望ましいわけではない。 均等法でどこまでできるかわかりませんけれども。前回佐藤さんが言われたのかな。そ うすると当然の権利を取ること自体が、むしろそこがスタンダードになって作られる制 度設計と、当然の権利なのだけど取得することがまさにここで書けているように、程度 問題はともかくとして、例えば後ろめたかったりマイナスになることが想定される制度 設計になっていたり。だからそこを樋口委員がおっしゃるような、差別禁止とか不利益 取扱いとかというだけでは割り切れないものがあるので、私はそこはまさに自主的取り 組みを前提に、何が起きているか、どこで悩んでいるのか、どういう設計ができている のかということは、大いに研究の余地があると思っているのです。つまり原則の強調を するだけではいかないところについて、その状況にはいみじくもご指摘の通りなので、 そこはその素材を見た上で議論すればよいのではないかという期待を含めて、私はこれ があって然るべきではないかと思います。 ○樋口委員  あって然るべきだろうと思いますが、例えば資料No.2というのが今日配布されている わけです。ここに実施事項があって、関係指標というのが並んでいるわけです。こうい った実施事項を実施することによって、関係指標が向上するということだろうと思うの ですね。ここを通っていかないと、関係指標といったものが本当にこれで上がったのか どうか。左側が妥協案だと言っていても、なかなかこの関係というか目的とするところ が上がっていかないという状況があるわけで、これの連動をちゃんとやはりチェックし ていくということが必要で、左側だけ議論していてももう仕方がないでしょうというつ もりで申し上げたのですが、もう言いません。 ○林分科会長  他の論点についてご意見はございますか。 ○齊藤惠子委員  細かいことで大変申し訳ないのですが、14ページの(4)5行目くらいからの「正規労働 者との間の均衡待遇の確保」。これ以降パートタイム労働対策の方にも均衡待遇の確保 という言葉が見られるのですが、前回の改正パートタイム労働法の中で均等の部分が入 ってきましたので、均衡だけでなく、均等・均衡待遇という言葉にならないでしょうか というのが1点です。もう1点が、パートタイム労働対策の5行目ですが、「職務分析の 手法や比較に係る内外の情報収集を行う」と書いてありますが、ここは情報収集だけで なくて、前回の附帯決議のところに「情報収集をするとともに事業主に対してそれらを 提供することによりその取り組みを支援すること」ということまで書いてありますので、 もう少し記述をしていただければありがたいと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  均衡・均等につきましては議論する際にもありましたが、私どもではパート法もそう なのですが、使っていますワーディングとして均衡と書いてありましても、それは実態 が同じ場合には同じという意味で均等を当然含む概念ということは繰り返し申し上げま したところでありまして、あえてそれについてはいろいろな立場からのご議論もありま したので、それを飲み込んで均衡という言葉で法律上も整理してあるということです。 逆に法律上は均衡待遇ということで整理されているもので、同じ整理の中で基本方針に 均等がまた特出しされてくると、ではその違いは何かということになりますので、そこ は別に否定するものでは決してありません。そういうことでご理解いただきたいです。 あとは後段の職務分析の表現につきましては、附帯決議はご指摘通りものがありますの で、確かに情報収集するだけでは活かされないわけでもありますので、そこは工夫の余 地はあるのかと思います。 ○林分科会長  他にご意見はありませんか。 ○松井委員  今日ご欠席されている川崎委員が、確か前回指摘されたと思うのですが、ポジティブ ・アクションのところについて、14ページの四つ目のところでしょうか。優遇措置のみ を言うものではないという認識を含めてうんぬんといろいろ書かれていて、本当にポジ ティブ・アクションはこんなに範囲が広かったのかなということをあらためて思ったと ころです。両立支援策も含めていろいろやるというのがポジティブ・アクションであっ たのかどうかというのは、私自身としても「そうだったのか。知らなかった」という認 識です。佐藤委員にとっては当たり前だったのかもしれませんが。これを進めていく中 で、先ほど樋口委員がおっしゃったことをもう少し思い起こしてみると、企業側からす ると、うんざりするほどたくさん書いてあるという感じがしないわけではなくて、本当 にやる肝は何なのだというところがあり全体的にもっとシンプルに書けないのかという 感想を持ちます。と申しますのは、数値目標を立てるかどうかは別として、その働きに 応じた形の処遇をしていくのが均等法でもパート法でも基本だと思うのですね。そうい う一本筋が通った中で、「ではこういうことをやっていくのですよ」という書き方に改 められないのか。それともこれは行政が立てる基本方針で、雇用均等・児童家庭局の中 のそれぞれの課がやるべきことをばらけて書いてあるのかどうかという、皮肉っぽい感 想を持たざるを得ない状況だと思います。  それから次が9ページの一番下の「コース別雇用管理」についてですが、「実態把握 を行い、コース別雇用管理の適正な運用のための効果的な方策を検討する」というのは、 具体的にどんなことを考えているのでしょうか。それともう一つ、実態把握面のところ で、中小企業もコース別雇用管理を入れてきたと書いてありますけれども、私の知る限 りにおいて、中小企業はコース別雇用管理まではあまり考えていない部分もあるのでは ないかと思います。これは言ってみれば、転勤もあるような大企業向けと言っては変で すけれども、それが中心になっているということがありますので、ここで少し、より効 果的な方策の検討というのはどのようなことを考えているのかというのが質問です。  それともう一つ、同じページで上に戻っていくと、転勤の有り無しの間接差別のとこ ろの三つの要件のうちの一つに確かあったと思いますが、ここで「実態を把握した上で 検討し、対象事項の追加、見直し等必要な対応を行う」と書かれていますが、今年から 施行されたばかりですが、どのぐらい実態把握を既にしているのか今後の見通しも含め て、どういうことを考えているのか、附帯決議には付いていたということも知っている のですが、ここまで書いてあるということは何か具体策を既に検討しているのか、その 点を質問させていただきたいと思います。 ○佐藤委員  ポジティブ・アクションを最初にやったときに、21世紀職業財団でポジティブ・アク ションの枠組みを作って、雇用均等・児童家庭局もそれを配っていると思いますが、一 応ポジティブ・アクションはいつからできているかを整理していて、採用拡大、配置職 域の拡大と縦への拡大と職場風土の改革と、もう一つは両立支援です。ですからポジテ ィブ・アクションを作ったときに、一応両立支援は入っていました。方法はそれでやっ てきていると思います。 ○松井委員  その後の宣伝の仕方もよくなかったのかもしれませんが、あまりそのように理解して いる企業はほとんどないのではないかという気がします。私の不勉強かもしれませんが。 ○安藤雇用均等政策課長  今のところはまさにそのような実態が明らかになってまいりましたので、あらためて 周知の徹底を一生懸命にやりたいと思っています。それとコース別雇用管理について。 ○佐藤委員  少しいいですか。これは多分、職種別採用など全部がコース別なのです。ですから調 査票を見ていただきますと、職種別採用などいろいろなものが入っているのです。です から一般的に思えるコース別以外にも広く取っていますから、中小企業でもあると。少 し設問を説明していただいた方がよいと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  そのようなことでありまして、いわゆる総合職・一般職といったパターン以外のもの も、把握しています。それはいわゆる集団的雇用管理のやり方として、採用しているの でしょう。そのパーセンテージが中小企業でも高くなってきているというのは、それは 雇用管理基本調査の中で出てきた数値で、そういった実情を見ますと、いわゆる総合職、 一般職・転勤の有り無しのようなもの以外の部分も含めて、もう1回把握し直して、今 の総合職・一般職タイプのコース別を想定しているガイドラインでは、そぐわない部分 というのはないのかというようなところを問題視しています。  それから間接差別の実態把握の件ですけれども、おっしゃる通りまだ6カ月しか施行 していませんので、きちんとした施行状況把握はできていませんが、具体的な事案が出 てきたら、随時挙げてくるようにということで指示も出しています。ですから当然一定 期間を置いた段階で、施行状況について取りまとめをするという形になるかと思います。 そうしたことと、その間の裁判例などの動向、あるいは陳情などで挙がってくるケース もあるかもしれません。そういったことをとらえてやっていくと。基本的には私どもの 施行窓口からの情報をまとめていくというようなことが中心になっています。 ○松井委員  もしそれであるならば、ここの単に「検討し」ではなくて「十分検討し」や「深く検 討し」など、そうでないとまだ施行されたばかりで、なぜこんな言葉で書かれてしまう のかというのが率直な感想ですので、少し文言については確認してもらえればと思いま す。  あとコース別雇用管理について、もし山崎委員から何か意見があればお願いしたいの ですが。 ○山崎委員  意見と言うよりは、コース別雇用管理そのものの軸自体が中小企業、零細企業などで は全く取っていません。たぶん中小企業といっても、中堅中小企業の大きい所の数字で はないかと思います。中小企業の本当に零細の30人以下の5人〜20人などという所は そんなことは全然ないと思います。もっとも中小企業が努力して大きくなって中堅へと、 大きい道へどんどん行くのですけれども、そういうところはきちんとやってください。 ○安藤雇用均等政策課長  おっしゃる通りで、調査自体が30人以上規模の企業でやっていますので、5〜29人の 層については把握できていません。その調査の中で、例えば30〜99人が伸びていたとい うような動きが見られているというのが近年の動向ですので、その部分についての実態 把握も含めてやっていこうと思っています。 ○山崎委員  14ページですけれども、ここにやはり先ほどのポジティブ・アクションがあったので すが、一番下に「諸外国の取組事例等を参考にしつつ、ポジティブ・アクションをより 効果的に推進するための方策の検討を行う」と、ここにもあるのですけれども、これは 例えば上の方でいろいろな国民的気運を高める、あるいは企業訪問でいろいろな助言を 行うというようなことも一つの方策ですよね。これをまた「方策の検討を行う」という のは特に意味合いがあるのですか。むしろここで方策そのものを方針として書くという のが妥当ではないかと思いますが、特に何か効果的に推進される方策の検討など、言い 換えを作るなりしてやるなど、そういうような意味なのでしょうか。 ○安藤雇用均等政策課長  今の段階で明確にビジョンを持っているわけではありませんが、この部分については、 諸外国事例ということもありますので、ポジティブ・アクション推進の制度的枠組みに ついての検討になると思っています。ご承知の通り、前回の改正のときにも一つの軸と して挙がっていましたので、そういったことも視野に入れながら情報収集、検討をして まいりたいと思います。 ○林分科会長  他にご意見はありませんか。 ○斉藤千秋委員  11ページのイの「在職中の女性に対する能力開発等の支援」の2行目に「若い女性が 就業を継続する」とありますが、「若い」は要るのかと非常に読んでいて気になったの ですが、これは要らないのではないかと。 ○安藤雇用均等政策課長  ご指摘ありがとうございます。削除します。 ○林分科会長  それでは他に。岡本委員。 ○岡本委員  1件、細かいことですが、先ほど吉川委員がおっしゃったことに安藤雇用均等政策課 長から答弁がなかったので言おうかどうか迷っていたのですけれども、16ページの最後 のところの「関係者・関係機関との連携」で、「大きな関わり」の「大きな」を削除し たらどうかというお話があったのですが、確かに全般的なところでいえば、個人の働き 方の選択に働く場所や、職場環境、労働条件など、そういったことが大きく関係すると 思いますけれども、ここの項目では「関係機関との連携」という中に入っていますし、 特に税制などというところから見ると、やはりパートの方たちの選択の中に大きなかか わりを持っていると思いますので、ここはやはりそのまま「大きな」を入れておいて、 その意識を持っているということで、関係機関との交渉をしていただいた方がよいので はないかと思いましたので、ここは入れておくべきではないかと思いました。 ○吉川委員  では意見として。ここに「大きな関わり」が入ると、「税制や社会保障制度等」とい うところに非常にウエートが掛かるので、それだけではないという意味でこれを外した らよいのではないかという意見なのです。 ○岡本委員  ここに焦点を当てたいということで書いているのかなと思ったので、むしろあった方 が良いと思いました。多分そんなにこのことの議論が大きく変わるわけではないと思い ます。   ○林分科会長  双方のご要望ということで、後で検討するということにさせていただいて、他にご意 見がないということでありましたら、今後のスケジュール等について事務局からお願い します。 ○安藤雇用均等政策課長  この男女雇用機会均等対策基本方針(第2次)(案)ですが、この後地方公共団体、都道 府県知事の意見を聞くことになっていますので、本日の案をもって意見照会を行い、そ の意見を踏まえた結果、また本日のご議論を踏まえて修正したものを次回にお示しした いと思っています。 ○林分科会長  では本日の議論を踏まえて、事務局で基本方針案策定事業をさらに進めるようにお願 いします。その上で、次回は諮問していただくことになるかと思います。  では時間もまいりましたので本日はこのぐらいにさせていただきたいと思います。本 日の署名委員は齊藤惠子委員、吉川委員にお願いします。最後に事務局より次回の予定 について連絡があるということなのでお願いします。 ○高倉総務課長  次回については日時・場所をまだ調整中ですので、決まり次第ご連絡をさせていただ きます。以上です。 ○林分科会長  それでは本日の分科会はこれで終了させていただきます。遅くまでご苦労さまでした。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836)