資料3

規制改革要望(平成19年度)
全国規模の規制改革要望に対する各省庁からの回答について
(平成19年7月26日)
全国規模の規制改革要望に対する各省庁からの回答への再検討要請について
(平成19年8月7日)

【求める措置の具体的内容】

「民間事業者による電子化された診療録等の外部保存」

情報の漏洩防止対策などに対し一定の要件を満たす民間事業者(Pマーク、ISMS、ISO等の取得事業者)であれば、電子化された診療情報等の保存を可能とすべきである。

【具体的事業の実施内容・提案理由】

必要な技術及び運用管理能力を有する民間事業者が診療情報の外部保存を効率的に行うことにより、データ保管に要するコスト削減が期待できる。医療機関にとっても投資コストを削減することが可能となる。

また、診療情報の保存については、医療機関の機能分化・連携が進展していく中で、各医療機関ごと独自で対応するよりも、専門的に取扱う事業者が一括して情報を集積・管理する方が、医療機関同士の情報共有が促進され、患者本位の医療提供体制が確立されると考える。

「『全国規模の規制改革・民間開放要望』に対する各省庁からの再回答について」(平成19年1月15日)で厚生労働省が指摘している、情報漏洩や不正使用に対しては、

(1)  厚労省が民間のデータの保存・管理方法等に関するガイドラインを定め運用ルールを策定し責任分界点等を明確にする、

(2)  不正使用等に対しては該当企業名の公表等の措置を講ずること

で、防止可能と考える。

【該当法令等】

「診療録等の保存を行う場所についての一部改正について」(平成17年3月31日医政発第0331010号/保発第0331006号)

「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律等の施行等について」(平成17年3月31日医政発第0331009号/薬食発第0331020号/保発第0331005号)

【制度の現状】

診療録等の外部保存を行う際の基準は、電気通信回線を通じて外部保存を行う場合にあっては、保存に係るホストコンピュータ、サーバ等の情報処理機器が医療法第1条の5第1項に規定する病院又は同条第2項に規定する診療所その他これに準ずるものとして医療法人等が適切に管理する場所に置かれるものであることとされている。

電子化された診療録および診療諸記録の保存場所は、(1)病院、(2)診療所、(3)医療法人等が適切に管理する場所、(4)行政機関が開設したデータセンター、(5)医療機関等が震災対策等の危機管理上の目的で確保した安全な場所に限られており、民間事業者が設置したデータセンター等における保存は認められていない。

【厚生労働省の回答】

診療情報等の外部保存を効率的に行うことは、データ保管に要するコスト削減が期待できるものの、医療情報は、個人の生命身体に関わる情報であることから、外部保存を受託する機関については、蓄積された情報を当該機関等が不当に利用することへの国民の危惧があることを踏まえ、個人情報保護法や刑法等の関係法律により、格別の安全管理措置を講じることが求められている。情報漏洩や不正使用に対して、企業名の公表といった社会的制裁を課したとしても、個人情報保護法、刑法や身分法に定める罰則と同等の効力を発揮するものではなく、また一概に民間事業者の開設したデータセンター等が行政機関の開設したデータセンター等と比して利用料等が安価であるとは言えない。

一方、医療機関等が震災対策等の危機管理上の目的により、確保した安全な場所で、一定の要件を満たす場合においては、民間機関が受託機関になることを妨げていない。

【規制改革会議事務局の裁定(再検討要請)】

要望者からの下記再意見を踏まえ、再検討をお願い致します。

震災対策等の危機管理上の目的での民間事業の受託については、『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第2版」(82ページ 8.1.2外部保存を受託する機関の限定C-(4)医療機関等が震災対策等の危機管理上の目的で確保した安全な場所)において、その要件が但し書きとして明記はされているが、同記載内容では必ずしも民間事業者が受託機関になれることが読み取れるものではないため、それが可能であることを明示的に記載すべきである。併せて、民間事業者たる外部保存受託機関に求められる最低限の要件を明確にすべきである。

【再検討要請に対する厚生労働省の対応】

民間事業者が外部保存受託機関となる際に求められる要件として、セキュリティ機能要件等に加えて、外部保存受託機関による商用利用や第三者提供等を厳格に禁じたうえで、委託者との間の責任分界点を明確化するために契約上明記すべき事項等について、平成19年度から検討を開始する。


(参 考)

規制改革会議について

規制改革・民間開放推進会議(平成16年4月〜平成19年1月)終了以降も規制改革をより一層推進するため、平成19年1月、内閣総理大臣の諮問に応じ、民間有識者15名から構成される規制改革会議を内閣府に設置。

内閣府本府組織令(抄)

内閣は、内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)の規定に基づき、この政令を制定する。

第二章 審議会等

(設置)

第三十八条 法律の規定により置かれる審議会等のほか、本府に、次の審議会等を置く。

規制改革会議

税制調査会

(規制改革会議)

第三十九条 規制改革会議は、次に掲げる事務をつかさどる。

一 経済に関する基本的かつ重要な政策に関する施策を推進する観点から、内閣総理大臣の諮問に応じ、経済社会の構造改革を進める上で必要な規制の在り方の改革(国及び地方公共団体の事務及び事業を民間に開放することによる規制の在り方の改革を含む。)に関する基本的事項を総合的に調査審議すること。

二 内閣総理大臣の諮問に応じ、市場開放問題に係る苦情処理に関する関係行政機関の事務の調整に関する重要事項を調査審議すること。

三 前二号に掲げる諮問に関連する事項に関し、内閣総理大臣に意見を述べること。

2. 前項に定めるもののほか、規制改革会議に関し必要な事項については、規制改革会議令(平成十九年政令第十四号)の定めるところによる。

附則

(規制改革会議の設置期間の特例)

第七条 規制 二十二年三月三十一日まで置かれるものとする。


【委員名簿】

議   長 草刈 隆郎 日本郵船株式会社代表取締役会長
議長代理 八田 達夫 政策研究大学院大学学長
委   員 有富 慶二 ヤマトホールディングス株式会社取締役会長











安念 潤司 成蹊大学法科大学院教授
翁 百合 株式会社日本総合研究所理事
小田原 榮 東京都八王子市教育委員長
川上 康男 株式会社長府製作所取締役社長
木場 弘子 キャスター・千葉大学特命教授
白石 真澄 関西大学政策創造学部教授
中条 潮 慶応義塾大学商学部教授
福井 秀夫 政策研究大学院大学教授
本田 桂子 マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン プリンシパル
松井 道夫 松井証券株式会社代表取締役社長
松本 洋 アドベントインターナショナル日本代表兼マネジングパートナー
米田 雅子 慶應義塾大学理工学部教授 NPO法人建築技術支援協会常務理事

【専門委員名簿】

医療タスクフォース

阿曽沼元博 国際医療福祉大学国際医療福祉総合研究所教授

長谷川友紀 東邦大学医学部教授


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