07/09/27 医療機器産業政策の推進に係る懇談会 第5回議事録 (照会先)医政局経済課 中谷 03-5253-1111(内線2533) 医療機器産業政策の推進に係る懇談会 開催日:平成19年9月27日(木) 場 所:全国都市会館 第1会議室 3F ○武田課長  皆様おはようございます。定刻でございますので、医療機器産業政策の推進に係る懇 談会を開催いたします。私は、司会進行をさせていただきます医政局経済課長の武田で ございます。いつもお世話になっております。  最初に、上村厚生労働審議官よりごあいさつがございます。よろしくお願いします。 ○上村厚労省審議官  おはようございます。審議官の上村と申します。次官の江利川さんが出席の予定でご ざいましたが、急用が入り出席できなくなりました。かわって私からあいさつをさせて いただきます。  今日はお忙しい中、お集まりいただきましてまことにありがとうございます。また、 日ごろから我々の行政に対して御理解と御協力をいただき重ねて感謝を申し上げます。 お集まりの皆さん方の医療機器産業、我が国の医療機器産業が国際力を強化する、重ね て国民に医療機器に対する理解を深めてもらうことで4年半ほど前になりますが、15年 3月、後ほどその進捗状況を報告させていただきますが、「医療機器産業ビジョン」を策 定・公表し、策定後の5年間を「イノベーション促進のための集中期間」という位置づ けにして、国が行うべき施策をアクションプランとして提示し、そこに盛られた施策を 計画的かつ段階的に実施してきているところでございます。  また文部科学省や経済産業省と連携をとりながら、革新的医薬品、医療機器の創出の ための5カ年戦略といった方針をお示しし、これも「骨太の方針」に盛り込まれたとこ ろでございます。これに沿って具体的な努力も進めているところでございます。この間、 ビジョンの策定から4年半経過しましたが、成果が上がったと思われる分野もございま す。依然として国際競争が激化している、あるいは研究開発環境が十分でない、保険財 政の悪化の影響といったことがあり、残念ながら我が国の医療機器産業の国際競争力は 十分とは言いがたい状況にあると認識しているところでございます。こういった状況を 打破して皆様方の産業に国際競争力をつけてもらうといったためにも、関係者が共通の 認識をもって一緒になって取り組んでいくことが必要だと思っているところでございま す。  先ほど申し上げましたようにビジョンの策定から4年半経過したわけですが、そうい った意味で見直しの時期を迎えているわけです。今回、今後の新たな産業ビジョンの策 定に向けて検討を行っていただくことは、我が国の医療機器産業が高度化する医療への 要求、国民の要望にこたえ、国民の保健医療水準の向上に貢献していただくために非常 に重要だと考えています。  今日のこの懇談会を骨子として、活発な御議論がいただければと思っておりますので よろしくお願いしたいと思います。簡単ですが、冒頭のあいさつとさせていただきます。 ○武田課長  ありがとうございました。それでは続きまして産業界を代表いたしまして、日本医療 機器産業連合会の和地会長からごあいさつをお願いします。よろしくお願いいたします。 ○和地会長  皆さんおはようございます。医機連の会長の和地でございます。一言、産業界を代表 しましてごあいさつをさせていただきます。  今もごあいさつにありましたように、医療機器産業ビジョンが策定されましたのが平 成15年で、4年半たっております。この間、行政にもいろいろな施策を御検討いただき、 また、産業側としましてもいろいろ取り組んでまいりました。従来、ともすると医療機 器は単なる道具とみなされておりましたが、この医療機器に目を向けていただき産業と しての地位向上に御努力いただきましたことにつきまして、産業側として改めて感謝を 申し上げる次第でございます。  また、ここへ来ましてその流れは一段と加速しているように感じております。今のお 話ではありませんがイノベーション25、あるいは私もメンバーに加わらせていただいて おります「新健康フロンティア戦略」など、国家戦略に取り上げられました。また5カ 年戦略が策定され、医療機器産業のインフラ整備が動き出したと感じております。これ らの国家戦略を踏まえながら3回にわたる業界ヒアリングを経まして、新しい医療機器 産業ビジョンが現在策定されつつあり、今後の医療機器産業のあり方を示すものとして 大きな期待を持っている次第でございます。  私は、医療機器産業というのは日本の特性にマッチした産業だと認識しております。 産業としてこれから基盤を確立するために、次の4つが大事かと思っています。1つは、 医療機器と薬が混同されがちです。医療機器というのは非常に特性を持っております。 そういう医療機器の特性に見合った規制、法体系の整備が大事だと思います。2つ目は、 医療機器専門人材が非常に払底しております。この人材育成が大事かと思います。3つ 目は、日本の持つすぐれた基盤技術の糾合、連携です。日本には御承知のように非常に すぐれた要素技術を持っている会社が多くあります。これらを糾合、連携することが日 本の医療機器業界を飛躍的に強くする方法だと思います。4つ目は、医療機器の価値に 見合った評価、これをぜひもう一度見直していただきたい。以上の4つが、これからの 医療機器の産業の基盤を強化するための不可欠な要件だと思いますし、また医療機器産 業ビジョンのねらいでもあります。  日本はもとより、世界の医療に貢献できる革新的な医療機器が生まれるものと、これ らを通じて実現をしていきたいと思います。また産業側としても最大限の努力をしてま いりたいと思いますので、これからもよろしく御指導のほどお願いしたいと思います。 簡単ですが、ごあいさつにかえさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○武田課長  ありがとうございました。続きまして、本日の出席者の御紹介ですが、時間も限られ ておりますので、名札と座席表をもってかえさせていただきます。  また、本日は、産業界にかかわる方々のほか、健康保険組合連合会の対馬専務理事、 日本歯科医師会の稲垣常務理事にも御出席をいただいているとこでございます。よろし くお願いいたします。なお、日本医師会の竹嶋副会長も御出席の御予定でございました が、急遽御欠席との連絡をいただいております。  私ども事務局は、事務次官を始めとする厚生労働省の幹部で構成しております医薬 品・医療機器産業政策推進本部がございます。この本部員の出席となっておりますが、 江利川事務次官につきましては、先ほど厚生労働審議官のごあいさつの中にもありまし たが、急遽関係業務が入りまして出席が非常に難しい状況と、もし可能であれば少しで も出席をしたいという御連絡をいただいているところでございます。  なお、関係省庁からは、経済産業省商務情報政策局医療・福祉機器産業室の渡辺室長 に御出席をいただいております。出席者の御紹介は以上でございます。  さて、本日の会合はお手元の議事次第の順序で進めさせていただきたいと思います。 資料につきまして、  資料1といたしまして、医療機器産業ビジョンの進捗報告  資料2といたしまして、医療機器メーカーに関する実態調査報告概要  資料3といたしまして、新医療機器産業ビジョン策定ワーキンググループの開催概要  資料4といたしまして、新たな産業ビジョンの検討項目(案)を配付しております。  また、参考資料として参考資料1「医療機器産業ビジョンの概要」  参考資料2、「新入り機器産業ビジョン策定WG団体提出資料」  参考資料3「医療機器メーカーに関する実態調査報告書」配付してございます。後ほ ど産業界から御発言をいただきます。その際適宜ごらんいただければと思います。また、 大変資料が多くなっております。資料の不足等がございましたら事務局までお申し出く ださい。  それでは早速でございますが、議事に入らせていただきます。資料1から、私から御 説明をいたします。  資料1をごらんください。これは医療機器産業ビジョンのアクションプランの進捗状 況をまとめたものでございます。御参考までに申し上げますと、本懇談会は行政と産業 界が年に一度集まり、医療機器産業ビジョンの進捗状況をフォローアップするというこ とで開催をいたしております。本年は、産業ビジョンに定めましたアクションプランの 5年間が終了したということで進捗状況をまとめているところでございます。  進捗状況につきましては、毎年まとめてきております。昨年度の実施状況について追 加をし、その部分につきましては基本的に下線を引いておりますのでその点を注意して 見ていただければと思います。また、研究開発から実用化までの段階ごとに施策をまと めておりますので、その項目に沿って見ていただければと思います。  ごく簡単に御説明いたします。1枚めくっていただきます。2ページでございます。 研究開発のところでは、一番下のところに下線が引いてございます。「疾患の超早期診 断・治療システム」の研究開発を進めているという、平成18年度の取り組みが書かれて ございます。  それからページ番号で言いますと5ページです。治験につきましての取り組みが書か れております。6ページのところで、また下線が引いてございます。平成19年3月30 日に「新たな治験活性化5カ年計画」を策定したということが追加で書かれております。 平成19年1月14日に、通称METIS(医療技術産業戦略コンソーシアム)の医療機 器市民フォーラムにつきましても記載をさせていただいているところです。  8ページから9ページになります。薬事承認における審査基準及び評価基準の策定と いうところで、適合性認証基準数396、認証件数1,121件。そして9ページでハイリス ク医療機器の承認基準数25というところまで来ているということで、進捗状況が記載さ れております。  10ページのところでは下線が引いてございませんが、(4)販売の1つ目、医療機器 評価のあり方のところで、区分C2(新機能・新技術)につきまして、年4回を標準と して保険適用することとした。と書かれてございます。  また10ページの一番下です。医療機器業公正取引協議会におきまして、「医療機器の 立会いに関する基準」が策定されたということが書いてございます。  11ページですが、使用に関しましては平成18年、これも下線が引いてございます。 改正医療法に基づき、医療機関における安全管理体制の確保として、医療機器の保守点 検や安全使用に関するルールの制定をし、平成19年4月1日施行。と書かれてございま す。  14ページでは、国民に対する啓発活動の推進が一番下にございますが、15ページのと ころに先ほども御紹介しましたが、医療機器市民フォーラム開催の件が書かれておりま す。  そのほか、項目に沿ってまとめられておりますので後ほど御参照いただければと思い ます。  続きまして資料2をごらんいただきたいと思います。今回産業ビジョンを新しくつく るに当たりまして、私どもの方で「医療機器メーカーの経営実態にかかる経過調査と今 後の方向性について」というアンケート調査を実施いたしました。その概要についてま とめてございます。1ページ目の主なところだけ御紹介をいたします。回収状況といた しましては132件の御回答をいただいてございます。回答企業の属性を円グラフで4つ つけております。資本金でいいますと10億円以上が約30%以上、資本関係でいえば国 内が70%程度、従業員数でいえば300名以上で約5割という形で回答をいただいており ます。  2ページを見ていただきますと、医療機器産業ビジョンの評価が回答されております。 医療機器産業ビジョンに対する認識でございます。「よく知っている」が35.6%。「聞い たことがあるが、内容をあまり知らない」が54.5%。「全く知らない」という回答もわず かでございますがございました。総じて多くの方に、御認識をいただいていることだろ うと思います。  一方、国際競争力向上からの成果ですが、全体では「成果がそれなりにでている」が 21%でございますが、産業ビジョンを「よく知っている」という方々からは肯定的な評 価が多くなっております。「よく知っている」という47の回答の中で見ますと、「成果が それなりに出ている」が31.9%でございます。一方で「成果がみられない」という厳しい 評価が回答としては多くなっております。今回、本日の御意見もいただきまして、新た な産業ビジョンをつくる際の参考にさせていただきたいということでございます。  次の3ページに、それでは具体的な成果というものはアクションプランが「研究」「開 発」「生産」「販売」「使用」「情報化・その他」という医療機器に関する各段階の行程表にな っております。それぞれの成果について評価を尋ねております。これが図表の4にあら われております。総体的に申しますと、成果が上がっているのは(斜線部分)販売段階で 31%、使用段階で37.1%といった回答でやや肯定的な評価が販売・使用段階で多くなっ ている。  これにつきまして、それぞれさらにどのような点で成果が上がり、または上がってい ないと企業が感じているかという点は4ページ以降に記載をしていただいております。 この点につきましては、本日各団体の皆様方から直接御意見をいただこうと思っており ますので、逐一御紹介はいたしません。例えば4ページの研究段階のところでは、産学 官の連携の活発化といったプラスの評価をいただいている反面、アクションプランの具 体的な成果についての情報が広く公開されていないのではないかといった御意見もござ います。  開発段階では、治験に関する相談窓口に対しての肯定的な評価がある反面、さらなる 治験の活性化についての要望が出されていることかと思います。  5ページでございますが、肯定的評価の高かった販売段階、使用段階を見ていただき ますと、販売段階につきましてはC1、C2の保険適用の機会が年4回になったという こと。公正取引協議会で立ち会い基準が策定されたということが、評価点として挙がっ ております。こういった点が評価の高かった結果につながっているものではないかと思 います。  使用段階につきましては、保守管理の範囲が明確にされたこと。保守に関する医療施 設側の意識が向上したことなどが書かれておりました。なお、アンケート結果につきま しては、やや大部でございますが、報告書そのものを本日参考資料3としてございます ので参考にしていただければと思います。  連続で申しわけありません。資料3でございます。新医療機器産業ビジョン策定ワー キンググループの開催概要をお配りいたしております。これにつきましては、現行の医 療機器産業ビジョン・アクションプランの計画期間が今年度で終了になりますので、現 行ビジョンの見直しや現状分析や検証をするためにワーキンググループを設置したもの でございます。構成員につきましては、医政局長を主査といたしまして、ここに列挙し ております関係局の課長クラスに集まってきていただいております。開催実績につきま しては2ページをごらんください。関係9団体から順次意見を聴取したところでござい ます。ヒアリングを行わなかった関係団体につきましては、日本医療機器産業連合会い わゆる医機連を通じて意見収集を行ったところでございます。ことしの8月はとりわけ 暑く、また皆様方お忙しい中、3回にわたりましてお集まりをいただきました。そして 熱い御意見、御要望をいただいたところでございます。関係業界の御協力につきまして、 この場をお借りして改めて御礼を申し上げたいと思います。またいろいろな資料を出し ていただきました。本日も全部まとめてお席の方にお配りさせていただいております。 後ろに参考資料2−1とありますのが、当日実際に出された提出資料でございます。参 考資料2−2は、さらに追加で提出のあった資料でございます。  3ページ、4ページにつきましては、産業ビジョン策定ワーキンググループの設置要 綱ということになります。参考のために配付させていただきました。  説明が続いて申しわけございません。資料4の、新たな産業ビジョン策定に向けた検 討項目(案)をごらんください。先ほど申し上げましたように、平成15年3月に策定をさ れました新たな産業ビジョンにつきまして5年間ということでいいますと、来年3月末 が5年目になります。そこまで新たな産業ビジョン策定に当たりまして、先ほどの3回 にわたる意見も踏まえ検討項目を整理したのが資料4でございます。  新たな産業ビジョンの策定に当たりまして、下記の項目を踏まえつつ、産学及び関係 省庁が協力しつつ検討してはどうかということでございます。冒頭に書いてございます ように、新たな産業ビジョンにつきまして、そもそも名称につきまして医療機器産業ビ ジョンという名前でしたが、例えば「新医療機器・医療技術産業ビジョン」とする方向 で検討してはどうかと考えております。この理由につきましては後ほど出てまいります ので、見ていただきたいと思います。  構成の案としましては、1つ目、現行の医療機器産業ビジョン策定後の環境変化と評 価についてです。医療機器市場の変化、医療機器企業の経営状況の変化についてまとめ てみてはどうか。国内医療機器産業の状況や得意分野などについてまとめてみてはどう か。医療技術産業戦略コンソーシアム(METIS)の活動などにつきましても、ここ で取り上げてみてはどうかという方向でございます。  2つ目として、新産業ビジョンの対象とする範囲についてと書いております。通常の 医療機器に加えて、以下のところを対象にして考えてはどうか。治療機器及び診断機器 ということでございますが、この中に体外診断用医薬品、検査機器を含む形で医療を支 える関連技術という整理をしてはどうか。この背景には医薬品、医療機器を総合的に使 った技術というものが出てきておりますので、こういう形の整理ができるのではないか ということです。細胞組織工学に関する領域、といいますのもこの新たな医療機器、医 療技術の中で取り上げてはどうかということでございます。医療機器のうち、歯科特有 のものにつきましてもこの新産業ビジョンで取り上げてはどうかという御提案でござい ます。  そのように対象範囲を広げて考えたとしまして、どのような論点を今後取り上げてい くべきかということを3で整理をしております。前回の医療機器産業ビジョンにおきま しては、革新的な医療機器の創出を主なテーマといたしましていろいろな論点を書いて いたわけですが、新たな産業ビジョンの中では「革新的」医療機器と「改良・改善」医療機 器並びに治療と診断に領域を分けて、それぞれの特徴や課題を整理し10年後のビジョン を提案することにしてはどうかという提案をさせていただいております。  先般、8月30日になりますが、医薬品の産業ビジョンをまとめさせていただきました。 8月からワーキングの議論を始めさせていただいたわけですが、ワーキングでは医薬品 と医療機器の違いといった点について関係業界から幾つか御意見をいただきました。医 療機器の特徴の一つとして、やはり改良・改善といった点の評価が非常に大事であると いう御指摘もございました。そういう意味におきまして、革新的なものに加えて改良・ 改善型の医療機器を、医療機器ビジョンの特徴として取り上げてみたいということでご ざいます。  ビジョンの構成も医薬品も同じですが、10年後の目指すべき姿をあきらかにするビジ ョンの提案とともに、アクションプランを足元5年間で考えるという構成にしてはどう かという御提案です。  先ほど和地会長のごあいさつの中にも出てまいりましたが、「新健康フロンティア戦 略」「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」といった新たな戦略がつくられ ております。こういった点も踏まえて検討してはどうかということでございます。  ちなみに、「新健康フロンティア戦略」につきましても「革新的医薬品・医療機器創出 のための5カ年戦略」またそれぞれに基づく産官学の連携組織につきましても、特筆す べき取り組みだと思っておりますが、先ほどの資料1の進捗状況に入ってきておりませ ん。今年度の取り組みに入らないのは、ことしの3月までのものを整理させていただい たためです。つけ加えさせていただきたいと思います。  そのような観点を踏まえまして、1ページの下のところから論点整理をしております。 1つ目として研究開発・治験段階につきましては、新たに医薬品と医療機器が融合した 製品の開発といった点。精密機器・ITなど異分野技術の融合の推進という観点。医療 クラスターの構築と役割という論点。アジアの論点、こういった論点を加えてはどうか。 次のページにまいります。重要疾病分野への重点化という論点。早期診断、疾病予防の ための診断検査技術という論点を加えてはどうかということでございます。そのほか、 医工薬連携などここに掲げた論点を取り上げる予定にしてございます。  (2)としまして薬事制度です。人材育成の強化、審査官の質の向上と量的確保など に加えまして下線を引いておりますが、改良・改善といった医療機器の特徴を考慮した 承認審査のあり方といった論点。臨床研究への未承認医療機器の提供といった論点につ きましても産業ビジョンの中で取り上げていったらどうかということでございます。  (3)としまして医療保険の関係です。革新的医療機器の適正な評価に加えまして改 良・改善の医療機器の適正な評価という論点を加えてはどうかということでございます。  (4)としまして流通、使用の関係です。これも下線を引いておりますが、流通シス テムの簡素化・効率化の論点。医療機器販売業のあり方という論点です。前回ビジョン でも触れられておりますが、医療機器流通のあり方、医療機器販売業のあり方といった ことを、より突っ込んだ形で取り上げさせていただければと思っております。なお、医 薬品産業ビジョンにおきましても、流通に関しましては前回ビジョンに加えて、ことし 8月に発表したビジョンでは流通業の将来像というのも加えて整理をしておりますので、 ぜひ流通に関しても議論を深めてまいりたいと思っている次第です。その他、保守管理 サービス、医療機関における医療機器の安全管理につきましても引き続き論点として取 り上げたいということでございます。  (5)としまして情報化です。医療機器のコード化の推進などに加えて、流通面だけ でなく最終ユーザーである医療機関でもせっかく関係業界の御努力でコード化を進めて きておりますので、医療機関でのコード利用の推進という観点もつけ加えてはどうかと いう御提案でございます。  3ページ目、(6)としまして、官民の推進体制です。連携組織の設置、活用ですとか、 医療機器専門の担当窓口の設置といったことを論点として掲げさせていただいておりま す。  (7)は、今回新たにということでございます。1ページ目に書いておりましたよう に、対象範囲としまして細胞組織工学の技術分野についても視野に入れていきたい。そ の場合、細胞組織工学製品につきましては、ほかの分野と違うところも多々ございます ので、ほかの医療機器と分けて新たに章を設けることとしてはどうかという御提案です。 具体的には、その中におきまして知的財産のあり方、研究開発の支援、ベンチャー育成、 人材育成。薬事制度、医療保険における評価のあり方といった研究から薬事、保険に至 るまでの論点を改めてここで整理をしてみたらどうかということでございます。  (8)としまして、その他の論点でございます。医療のあるべき姿と医療機器メーカ ーの果たす役割。中古医療機器の取り扱い。在宅医療の現場への医療機器や医療材料の 提供体制といった論点についても掲げさせていただいております。  以上が検討項目の御提案でございます。私も説明をしながら、論点を随分広げてしま い非常に大変だという感じがしております。できるだけ来年の年度末をめどに、鋭意作 業を進めていきたいと思っております。  なお、御説明はいたしませんが参考資料の方で、参考資料1だけを見ていただきます と、これが現在の医療機器産業ビジョンの概要版でございます。目的、産業を取り巻く 背景、現在の産業の状況、国際競争力強化のための論点ということで、先ほど御説明し た点がまとめられております。御参考までに見ていただければと思います。  長くなりましたが、事務局からの説明は以上でございます。後ほど関係業界から御意 見をいただきたいと思います。とりあえず今まで御説明した資料につきまして、御質問、 御意見がありましたら今の時点で御発言をお願いしたいと思います。いかがでございま しょうか。  ございませんようでしたら、後ほどいただく御意見の中で産業ビジョンに盛り込むべ き論点についても触れていただければと思います。  それでは早速でございますが、意見交換に移らせていただければと思います。時間の 制限もございますので、各団体3分から5分程度でお願いできればと思います。まこと に申しわけございません、この席の順番ということで向こう側にお座りの和地会長から 御発言をいただければと思います。 ○和地会長  はい。最初に意見を述べさせていただきます。非常に多岐にわたる医療機器業界のさ まざまな意見を集約していただき、またビジョンとしてまとめていただいたことに感謝 を申し上げたいと思います。御承知のように、医機連だけでも全く異なる20団体で構成 されております。また日本の医療機器は30万種から50万種と言われております。そう いう非常に幅広く多岐にわたっている中でビジョンをつくっていくのは大変な作業だと 思います。その点で感謝申し上げます。  4点評価をさせていただければと思います。1つ目は、やはり医療機器だけでなく医 療技術まで対象範囲を広げていただいたことは高く評価したいと思います。医療機器の 進歩はもちろんですが、関連する医療技術の進歩が一体となって、新しい診断や治療の 向上につながると考えておりますので対象範囲の拡大は非常にいいことだと思います。  2つ目は、いわゆるブランド・ニューと改良・改善あるいは診断と治療を分けて、そ れぞれの特徴や課題を踏まえたビジョンを策定する。このアプローチは非常に実態に合 ったものだと思います。  3つ目は、何度も言っておりますが、医療機器というのは改良・改善が命です。また それが歴史でもあるわけです。改良・改善によって生み出される新しい価値について、 これまで規制の面でも評価の面でも取り上げられませんでした。革新的な医療機器によ って医療技術の進歩をもたらされたと同様に、患者さんの視点に立ち改善・改良の積み 重ねによって開発された医療機器はより使いやすい、より安全で患者さんにやさしい、 トータルで医療経済にも貢献できるといった価値があります。この点を初めてこういう ところに盛り込んでいただいたことに大変高い評価をしております。  4つ目は、改善・改良医療機器の審査のあり方、医薬品と医療機器が融合した製品の 取り扱い、あるいは細胞組織工学製品・再生医療の取り扱い、医療機器の臨床研究のあ り方など、これらは従来の医薬品を中心とした規制、法体系では取り扱いが難しかった。 ここに新たに着目していただいて、こういう形で入れていただいたということで、この 4点につきまして高い評価をしております。  1つお願いがあります。言うまでもなく医療機器は使い方が大変重要です。これを間 違えるとどんなに優秀な医療機器でも安全性が危惧されます。ましてや医療機器がこれ からますます高度化、複雑化します。その使い方のトレーニング、教育システム、メン テナンスというソフトの部分が大変重要になってきます。多分検討項目の(4)の中で 触れていただくだろうと思いますが、重要なポイントだと思いますのでぜひこの点を御 配慮いただきたいと思います。以上が私の意見でございます。 ○武田課長  ありがとうございました。では王さんお願いします。 ○王委員長  在日米国商工会議所医療機器・IVD小委員会を代表しましてお話をさせていただき たいと思います。これまで私どもワーキンググループなどを通じまして意見を述べさせ ていただきました。詳細はこちらでお話をしましたので、私どもの主張を繰り返させて いただきます。  今、和地会長のおっしゃられたことと重なる部分もかなりありますが4点ございます。 1つが、合理的で予測し得る薬事承認システムの導入。2つ目が革新的な技術が報われ るような保険償還制度の実現。3つ目が日本企業と外国企業の合弁事業等の促進。最後 に研究開発投資の促進ということをこれまで主張させていただきました。それに加えま して、今回いただきました資料を見まして私ども感じたことを述べさせていただきます。  資料2の医療機器メーカーの経営実態にかかわる経過調査と今後の方向性というアン ケート結果を見まして、そちらでも示されておりますように医療機器の供給に携わる企 業は大多数が経営環境の悪化ということを感じております。その理由は保険償還の引き 下げ、医療機関の経営悪化、薬事法改正対応のためのコスト増ということが挙げられて おります。これはACCJのメンバー各社から見ても同様な感触を持っているのではな いかと思っております。また、薬事承認審査手続につきましてもいろいろな努力をなさ れていることは理解しておりますが、やはり半数以上の企業が「変わらない」または「遅く なった」「透明性に関しても変わらない、低くなった」という回答をしております。これに 関しても、私どもメンバー各社そのような感触を持っているのではないかと思っており ます。  そのような中で医療機器、産業ビジョンなどが原動力となりまして、革新的な製品の 評価を高めていこうという動きがあることについては、例えば具体的にはC1、C2が 年4回認められるようになったということについては大きな進歩であると思います。ま た今後もぜひ医療機器の改良・改善の適正な評価が進んでいくことを期待しております。 またこのような議論の中に、医療機器として評価されるべきである体外診断機器も含ま れて議論されたことは非常に歓迎するところであります。  しかしながら最初に述べましたように医療機器業界の中では、大半の企業が経営環境 の悪化ということを感じております。国の財政逼迫にともなう医療費抑制の大きな流れ の中で、ある程度やむを得ないのではないかということは理解しておりますが、償還価 格が継続的に引き下げられるといった状況で、経営環境が好転したと思う経営者は少な いのではないかと思っております。  そのような中で我々がなすべきことは、医療機器あるいは医療サービス全体の価値あ るいはそのバリューということを積極的に患者さん、国民に訴えていくことも必要では ないかと思います。私どもでは、このような考え方に基づきまして啓蒙活動、啓発活動 をやってきているつもりでおります。一層医療機器の効用、メリットが理解されるよう に取り組んでいきたいと思っておりますが、今後行政の支援も受けて国民に対する啓発 活動といった側面についても何かしら配慮していただければと思う次第です。これはも しかすると、検討項目の論点(8)の、その他に入るのかもしれませんがそのように思 う次第です。  最後に、審査や薬事審査承認手続に関しましては、薬事制度の検討項目に改良・改善 医療機器の承認審査のあり方とあります。多くの医療機器は全くの新医療機器でない限 り、ほとんどの医療機器は改善または改良によってその価値を高めていくということで す。したがってこの領域の審査の効率化をはかり、審査期間を短縮していくということ は、医療機器業界にとって最もインパクトのある結果を生むことになると思います。例 えばここに、実質的同等性といったような概念を取り入れていただいて審査に当たって いただければと要望する次第です。以上です。ありがとうございました。 ○武田課長  ありがとうございました。続きましてEBC委員長の代理として森さんからお願いし ます。 ○森代理  EBCからは、3点提案させていただきたいと思います。1つは、医療機器産業ビジ ョンのアンケートの回答の結果を読み取りますと、回答率と評価点数の低さです。これ から見るとやはり医療機器産業ビジョンに対する認知度は限られた企業かなと思います。 今回のこの新医療機器産業ビジョンへの認識度を高めるためには、何か政策が必要かと 考えております。  2点目ですが、新医療機器産業ビジョンに関しての(3)の医療保険ですが、革新的 医療機器の適正な評価が検討項目に入っております。これは従前のものと比較して臨床 上の有効性、安全性に見合った償還価格の評価も導入していただけると理解していいの かどうか、確認させていただきたいと考えております。  医療保険に関してもう1点は、前回のEBCから第3回のヒアリング時にお願い申し 上げましたが、国民医療費の総枠の増額と医療機器への比重拡大、具体的には2015年世 界の医療費の予想がGDP比11%になると、これに向けたアクションプランを組み入れ られていないのではないかと懸念しております。とりわけ新産業ビジョンで10年後を見 据えた国際競争力強化とうたっております。そのアクションプランを検討するという上 では、現在の医療費の対GDP8%、医療機器では0.4%、この数字では国民の理解が 得られない。安心・安全の健康と安らぎへの具体的なアクションプランのキーは、EB Cとしては世界水準の国民医療費の担保と考えております。ぜひこの点を盛り込んでい ただきたいと考えております。  最後に、皆さんからもお話がありましたように、啓発活動です。これも項目(8)の その他に入ると思いますが、国民への医療機器への啓発活動のアクションプログラムを 盛り込んでいただきたい。EBCの啓発活動の方針については、この資料の中に入れて おりますのでごらんいただければありがたいと思います。以上、EBCからでございま す。 ○武田課長  ありがとうございました。今、行政に対する確認といった点もございましたが、事務 局からの回答は後ほどまとめてということにさせていただきたいと思います。引き続き 団体意見をお願いしたいと思います。日本画像医療システム工業会の猪俣さんからお願 いします。 ○猪俣会長  JIRAの猪俣でございます。これまでの説明を伺いまして、JIRAといたしまし ては4点の意見、要望を述べさせていただきたいと思います。現産業ビジョンの施策の 成果を報告いただいたわけでありますが、全体いろいろな施策が打たれているというこ とと、この課題の事柄の性格上、一つの施策で一つの成果を得るというものでなく、い ろいろな施策が推進されていって成果に結びついていくというものだろうということで、 成果といって表現できる部分が少ない、そういうことがあるのではないかと思っていま す。  もう一つ課題は、医療機器の多様性です。医薬品と医療機器の違いについての御理解 をいただいて施策が打ち出されてきていますが、とりわけ医療機器と一つにくくっても その中にはいろいろなものがあるということで、多様性や特性に沿った施策が区分され てその課題に対応した施策というもので打ち出されていかなければいけないのではない かという思いを強くいたしました。新産業ビジョンの中でそういった意味で、改良・改 善といった医療機器の特徴を考慮した承認審査のあり方、あるいは革新的、改良・改善 医療機器の適正な評価といった形で、その辺を区分していろいろな施策を打ち出そうと している新しい産業ビジョンに期待をしているところです。  2点目の要望は、施策の一貫継続性のお願いです。これは全体の取り組みということ で示されているわけですが、この産業ビジョンは厚労省主導で策定がされているわけで す。革新的医薬品、医療機器創出のための5カ年戦略等で示されているように、文科、 経産、厚労3省合同の戦略というものの観点も踏まえてということになりますと、いろ いろな施策、方針の実施に当たりまして三省連携のもとで開発から製品化、事業化に至 るまでの間の一貫継続性の推進をお願いしたいと思います。また医薬工といった連携に つきましても、そのフェーズの中での一貫性をお願いしたいと考えています。  3点目は、新産業ビジョンでの論点(1)研究開発・治験、(2)薬事制度、(3)医 療保険にまたがるものと思いますが、とりわけ新しい医療のイノベーションに対しての 貢献ということで、日本メーカーの技術力、開発力がいろいろ問題にされています。そ れについての施策が打たれていますが、技術力、開発力ばかりの問題ではなく、その後 の薬事、保険制度等とのせめぎ合いの中で開発された機器がなかなか事業に結びついて いかない。医療機器の各区分ごとの特性に即した薬事あるいは保険制度とは言いがたい 中で事業化へのめどをつけていくことが難しいという意味で開発の環境に厳しいものが あります。そのため開発の推進が行われにくい環境にあると思っています。ぜひ(2) (3)の課題を掘り下げていただき、開発環境を整える施策の着実な実現をお願いした いと思います。  4点目は、特に研究開発・治験のところです。精密機器・ITなど異分野技術との融 合の推進ということを特に取り上げていただいています。これからの10年ビジョンの中 で大きな役割を果たしてくるのは、こういった異分野技術というものとの融合がポイン トになってくると思います。バイオ、ITといった異分野技術との融合を進められてい くことになります。その意味で新産業ビジョンでは(7)に細胞組織工学製品等につい てということで、これは新たにこういったバイオの分野との組み合わせの中で従来の薬 事、その他の規制では十分に対応できないということについて章立てをして取り組むこ とだと思います。同様に、情報技術の扱いについて従来の薬事法、その他では融合分野 を取り扱いがたい部分があると思います。情報技術についての取り扱いをどうするかと いったことを諸制度の中で、ぜひ検討を深めていただくよう織り込んでいただければと 思います。以上です。 ○武田課長  ありがとうございました。ただいまの点も十分踏まえて考えていきたいと思います。 続きまして医療電子システム事業委員会を代表いたしまして福田さんお願いいたします。 ○福田代表  JEITAの福田でございます。このような懇談会の場を設けていただきまして、ま ことにありがとうございます。現状の課題と行政に対する要望を3項目お願いしたいと 思います。  現状としましては、JEITAの中の主要品目は非常に成熟している医療電子機器が 多いということで、診療報酬の影響を受けて業界としてもマイナス成長ぎみということ が挙げられております。そして高付加価値の製品へシフトしていきます。近隣の低コス トの商品がこれからも入ってくるのではないかと危惧されるといったことで、コストダ ウンをしなければ世界に勝てないといった状況です。また、新健康フロンティア戦略の 中に、健康寿命を10年間で2年伸ばすといった目標があります。そういったことへの対 応が挙げられております。  次に要望事項でございます。医療機器というものは会社内では開発できない、やはり ドクターとの綿密な共同の研究をもって開発していくことを考えますと、今以上に医工 の連携がとられませんと高度医療に対応していく高度な機器を開発することができませ ん。ぜひ医工連携が進むようにお願いしたいということです。  それから治験の不要範囲を広げていただきたい。非常に危険性の高い機器もございま すが、ほとんどリスクの低いものは、ぜひ専門家の審査を経て治験不要ということにし ていただければ非常にありがたいと思います。  もう一つは、審査の迅速化です。全体的に皆さんは早くなっていると感じていません。 ぜひそういった点は先ほど申し上げた専門的な知識を持った方に継続的に審査に当たっ ていただきたいとお願いしたいと思います。また、新医療ということになりますと、企 業としてはビジネスにつながりませんとすばらしい研究がなされていても、なかなか事 業化ができないということがございます。新技術が開発されてもビジネスにつなげてい けるように、企業の判断も必要ではないかと考えております。最後でございますが、諸 外国は大変スピードアップしております。特にアジア各国、欧米においてもスピードア ップされております、世界のスピードに負けないようにしていかなければならないとい うことがございます。よろしくお願いしたいと思います。簡単ですが以上です。 ○武田課長  ありがとうございました。続きまして日本医療機器販売業協会の会長の諸平さんお願 いいたします。 ○諸平医機連副会長  日本医療機器販売業協会の諸平と申します。発言の機会を得ましたことに感謝を申し 上げる次第でございます。  私どもの団体については、参考資料2−1の資料1に概要が書いてございます。設立 しましたのは平成10年11月でございまして、我が国唯一の医療機器販売業者としての 全国組織を立ち上げたと、それに至る経緯については行政の方の御指導もありました。 現在全国の1,285社という形で構成されております。  私どもは今まで御発言された皆さんと違いまして、業種としては歴然とした卸売業に 当たります。そうしますと、すぐに医薬品の卸と対比されるといいますか、そういう比 較の中では私どもも中医協等でお話をした経緯があります。やはり医薬品の卸さんとや っている仕事の内容については全く違うということの認識をますます深めているところ でございます。今日、御臨席の皆様にも御認識をいただければと改めてお願いを申し上 げる次第でございます。  その中で大ざっぱな話ですが、医療機器という形で法律的にはくくられておりますが 医療材料という表現も片方にございます。これは薬事法上はない言葉であろうと思いま すが、どうしても出てきます。こういうものについては「物流」といいますか「流通」と いう言葉ですか、これは医薬品の卸さんと共通する部分があるのかもしれません。そう いう部分と全くない部分とが混在しております。そのことも含めて少しお話をさせてい ただきたいと思います。  今回の新産業ビジョンの策定に向けた検討項目の中に、新規に(4)として流通、使 用の中で、流通システムの簡素化、効率化及び医療機器販売業のあり方。それから(5) の情報化の中に医療機関でのコード利用の推進がそれぞれ取り上げられております。最 初の流通システムの簡素化・効率化及び医療機器販売業のあり方につきましては、我々 の販売業の業者にとっては一番重要な検討項目だと認識しております。従来から医療機 器業界には「貸し出し」、来年4月から施行になります「立ち会い」といった不透明な取引 慣行の御指摘を受けている点がありました。御案内のように「貸し出し」については、 医療機器公正取引協議会において基準が策定されまして、2001年の8月から適応されて おります。「立ち会い」については、先ほど申しましたように来年4月から実施されるこ とが決定しているところでございます。我々業界としましては、従来から不透明な取引 慣行の是正に取り組んでいるところですが、引き続き取り組みを強化させていくという ことが必要であるということを痛感しているところでございます。  他方、医療の現場では複数の種類の機械がお互いに関連をしながら使用されることが 多く、消耗品である医療材料等組み合わせ使用されるのも一般的な状態でございます。 こられの適切な組み合わせを提案できる立場にいるのが、販売業者であるわけです。一 方、医療機関は医療機器が正しい状態で使用されるために医療機器の保守管理を行う義 務がございます。保守管理、修理は第三者に委託することが法的にできるようになって おりまして、現在多くの販売業者がこれらのメンテナンスサービスというものを請け負 っているといった実態がございます。  よって我々販売業者が物流にかかわるとともにこれらのサービスを機能的、有機的に 組み合わせ提供することで医療機関の効率的な運営に寄与し、製造販売業者との立場の 違いをはっきりさせる必要があります。薬事法でもそういうふうに定められていると認 識しているところでございます。このことが販売業者の社会的な評価を高めることにな っていくのではないかと考えているところでございます。このことについての具体的な 検討の中身につきましては、今後行政との調整を含めて検討させていただければと考え ているところでございます。  それから(5)につきましては、これまでの取り組みの中で医療機器データベースの整 備について、行政及び製造販売業者の御協力のもとに、MEDISデータベースの一元 化が達成されJANコードによる登録が推進されております。しかしバーコード貼付を 含めていまだ十分な水準ではないと我々としてはいわざるを得ないと思っております。 業界といたしましては、従来から医療機器、医療材料の流通には製造販売業者、我々販 売業者、医療機関の間を必要な情報が円滑に行き交う仕組みを構築する必要があると考 えております。しかしながら、おのおのの関係者が特有の事情を抱えているのが実態で ございます。行政におかれましては、これら関係者が共通の認識を所有するように関係 者間の調整に今まで以上に積極的にかかわっていただきますようお願いを申し上げる次 第でございます。  この件についても具体的な検討の中身については、今後行政と調整をさせていただけ ればと考えております。以上、(4)(5)の検討項目に取り上げられましたことについ て、我々として歓迎したいと考えております。以上でございます。ありがとうございま した。 ○武田課長  ありがとうございました。続きまして日本歯科商工協会を代表しまして中尾さんお願 いいたします。 ○中尾医機連常任理事  日本歯科商工協会の中尾でございます。昨年来この場で発表の時間を与えていただき ましたことを心より感謝申し上げます。  私からは歯科界の特性、それから本日お示しをいただきましたビジョン策定に向けて の検討項目のお願い事項を御案内申し上げたいと思います。  現在、皆様御高承のごとく国民の皆様方のデンタルIQが向上いたしまして、歯科医 療が国民の皆様方のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上に直結しているとい う御理解が進んでいるものと存じます。また先ほどから出ています4月に発表されまし た新健康フロンティア戦略で、健康国家づくりのための9つの項目のうち2つ、歯の健 康力と食育、これは歯科医療に関係したものでございます。さて、歯科疾患は、国民お 一人お一人の年齢とともに変化をするものでございます。幼児期から学齢期のう蝕予防 対策、成人期の歯周疾患対策、高齢期、寝たきりの方の口腔ケアが年齢とともに変化を してまいります。そして歯科の大きな特徴は、これらの処置を6万7千軒を超える個人 開業医の先生方が国民お一人お一人の生涯を通じてかかりつけ医として指導、処置を講 じるという構造になっております。また今日本は世界最速で高齢社会に向かっているわ けです。高齢者の皆さん方の社会復帰、社会参加への可能性を向上させることができる のも歯科医療でございます。歯科医療は生きる力を支える医療でございます。  そこで新たな産業ビジョン策定に向けた検討項目でございます。歯科関係を対象とす る範囲の中に加えていただきましたこと、大変心強い限りでございます。歯科が対応す る分野は(1)から(8)まで広いわけでございます。特にその中の研究開発・治験分 野です。重要疾病、予防、診断の分野につきましては、先ほどからお話をしております ように歯科は健康寿命延伸という可能性を秘めております。その意味で生きる力を支え る医療、この分野をぜひ今後お取り上げいただきたいという要望をさせていただきます。  なお、私どもは日本の優れた工業要素技術を活用していけば、必ずや国際競争力を保 持し日本国を健康国家とする一翼を担うことをお約束できるものと考えております。以 上、ありがとうございました。 ○武田課長  ありがとうございました。続きまして、日本医療産業同友会を代表いたしまして松本 さんからお願いいたします。 ○松本代表幹事  松本でございます。私は4年前の会議から参画をさせていただいております。一連の レポートを拝見いたしまして、本当にビジョン作成がここまで進んできたのかという感 慨にふけっております。今までの方と少し違いまして資料がございません。つい先だっ て8月末から9月10日までの約2週間、20人ほどの各分野の方々と欧米医療情報シス テム実態調査団という団を組みまして回ってまいりました印象を含めまして、ときには 御要望を申し上げたいと思います。  訪問先はFDAのCDRHあるいは英国のナショナルヘルスサービス、GS1、GS USA等々の公的機関です。それぞれから約10名の方、局長級を含めて出ていただきま した。また米国の10兆円規模の卸といいますか、カーディナルヘルスのようなところも 含めて、また医療機関の現場も含めて訪問いたしました。非常に強い印象を受けました。 いろいろなところ、特に公的機関を訪問しました。  例えば、さらなる安全性と生産性を高めるためにというミッション(使命)がござい ます。それに準拠してビジョンがある。そしてそれを数値化しているといいますか、実 績を数値化するといった3部構成でなっているものが多いという気がしました。例えば 全部例を挙げますと時間がありませんが、ここに英国のNHSの資料、たくさんありま すがその中でコーディングフォーサクセスという、ただバーコードをつけるのでないと いうことの中に、これは米国のCDRHなどでもそうですが、なぜそういうことをする のか、あるいはいつからするのかといったユニーク・ディバイス・アイデンティフィケ ーション(UDI)を、いつからするか、あるいは最低ここら辺から強制化するかとい うようなことをはっきりしてくる。  英国の場合に、例えば費用がなるべくもうかる方がいいということは、どこの企業も 同じだと思うのですが、そのためにはコストをかける。政府も民間もコストをかける。 反面にコストセービングがある。英国のたしか国民医療費は24兆円ぐらいだったと思い ますが、1兆5千億円ぐらいのサプライチェーンコスト、いわゆる流通コストを3年間 で節減すると、そのためには約4千5百億円の投資をするということ、これは官民一体 になってやる。具体的な手法は、例えば英国ではDHL、米国ではUPSを使うという ような手法まで入っているわけです。いずれにしましてもそういう何か数値化をすると いうことで、むだを省くということにも民間も協力をする。そういうことをやっていき ますと、このビジョンの中で日本政府、日本産業界も決してこの4年間、5年間がむだ な努力ではなかった、いいこともあるということがより明確になってくるのではないか。 その中にあって新製品、改良製品、IVD製品等々が出てくるのではないかという気が いたします。  2番目には、いきなり厚生労働白書のような白書まではいかなくても、何か医療機器 をめぐる年次報告書、アニュアル・レポートのようなものができないだろうかという気 がいたします。これは現在での統計数字のみならず、せっかくこういうビジョンができ ましたらば、サブタイトルを「現状と将来」として、何かアニュアル・レポートのような ものを官民一体になって発行していきますと継続性もそこに出てくるという気がいたし ます。  最後にFDAを訪れたときに、FDAではこういう簡単なパンフレットでなぜDSM ICA(Division of Small Manufactures International and Consumer Assistance) か、中小企業という、この資料2でも日本でも中小企業が8割方だと思いますが、アメ リカでも2002年以来売り上げでいえば100億円以下の企業をスモールビジネスと定義づ けて、それに対してはユーザーフィー あるいはファイブ・テンKにしても特別な配慮を するとか、今度ユーザーフィーが上がるようですが、その場合でもファイブ・テンKは 下げるとかそういう配慮を、特にベンチャーを育成するという場合には中小企業という ことの定義あるいはベンチャーの定義ということも含めてビジョン作成の中に入れてい ければと思います。あるいはドクターフィー、ホスピタルフィーということを診療報酬 の中で分けて、医療機器の使用可能年数というようなことからメンテナンスのことも含 めて、今までと違った視点で具体的な目標を掲げられればという気がいたしました。  以上、つい2週間ほど前に欧米を回りまして、大変新鮮な印象を受けたものですから 申し上げました。以上でございます。 ○武田課長  ありがとうございました。引き続き御意見をいただきたいと思います。日本臨床工学 技士会を代表しまして川崎さんからお願いいたします。 ○川崎会長  日本臨床工学技士会の川崎でございます。私ども臨床工学技士は医療現場で医療機器 を扱う側というような立場でございます。臨床工学技士ができたのが今から20年前の 1987年に、政府提案で臨床工学技士法という医療職ができました。その中でやはり医療 機器の専門職種、特に生命リスクの高い生命維持管理装置の操作と保守点検を業とする、 ということがうたわれて法ができたわけです。医療機関の中で工学系と医学系を修めた、 医療機器の専門職種ということです。医療機器産業ビジョンが最初にできたときに拝見 させていただき、この産業ビジョンでようやく臨床における医療機器の専門職と評価さ れたと。そして今回、医療機器管理室の設置、臨床工学技士のさらなる活用という部分 では非常に評価しておりますし、私どもとして臨床工学技士法の趣旨が理解されたもの とありがたく思っております。このことが結果として安全確保なり患者さんに直接貢献 できるという部分では、非常に前進したという感じを受けております。  医療機器管理室の設置の件ですが、30年ほど前から医療機器管理室が必要だと関係医 学会で訴えてきました。ようやく政府の施策で出てきたということでその活動が実った ものと考えます。  しかし、他の医療関係職種すべてと言っていいほど何らかの形で技術料が医療職には ついておりますが、残念ながら臨床工学技士の直接的な行為の保険点数がついておりま せん。更に医療法でも臨床工学技士の配置基準が全くないという状況があります。現代 の医療機器に支えられた医療には臨床工学技士が必ずと言って良いほど必要であり、そ の辺が今後の大きな課題です。例えば、医療機器管理室の設置を更に進展させるべきで あり、設置と同時にそのマンパワーとして臨床工学技士を適正に配置するといった方向 に押し進めるためには保険点数化、技術料といったものも必要かということで、前回の 会議でも少し要望させていただいたところでございます。  今後の新産業ビジョンを考えますと、2点ほどお願いがあります。産業ビジョンの「使 用」の中の保守点検の確実な実施を、監視する機構として第三者監視機関が必要かと考 えます。  新たな産業ビジョン策定に向けた検討項目(案)資料4の「(8)その他」のところに、 「医療のあるべき姿と医療機器メーカーの果たす役割」という項目が載っておりますが、 私ども臨床工学技士はまだ認知度が低く、臨床工学技士の活用と医療機器メーカーとの 連携に関する理解をもう少し今後煮詰めていきたいと思います。今後一層、メーカーと 現場の臨床工学技士の連携強化が不可欠となりますので、「医療のあるべき姿における、 臨床工学技士と医療機器メーカーの果たす役割」と変更を要望したいと考えております。 以上よろしくお願いいたします。 ○武田課長  ありがとうございました。続きまして、日本臨床検査薬協会の前川さんお願いいたし ます。 ○前川理事  日本臨床検査薬協会の前川でございます。本日は発言させていただく機会をいただき ましてありがとうございます。本来であれば会長が出席してお話をさせていただくので すが、あいにく先週から今週いっぱいまで海外出張ですので、私から御意見を述べさせ ていただきます。  今回の新産業ビジョンにつきまして、4点お話をさせていただければと思っておりま す。第1点は、産業ビジョンに新たに体外診断用医薬品を加えていただいたこと、これ は非常に業界としては評価しておりますし歓迎するものでございます。今まで体外診断 用医薬品は薬事法では医薬品ですが、医薬品でありながら治療薬とは少し違う扱い、あ るいは医療機器でもないということもございまして問題がありました。改正薬事法以降、 医薬品ではありますが医療機器に準じた取り扱いをしていただいているということがあ りまして、その経緯があるのでしょうが今回この医療機器の産業ビジョンに加えていた だきましたこと御礼を申し上げたいと思います。  2点目としまして、このビジョンの具体的に掲げております検討項目ですが、研究開 発からその他の項目まであります。これらの問題について医療機器の方で問題点を掲げ ておりますが、体外診断用医薬品においても非常にこれらの問題点につきまして相通じ るものがございます。細かい部分をみますと機器とは違う部分もありますが、基本的な 問題点は通じるものがありますので、細かい部分でお話をさせていただければと考えて おります。  3点目としまして、これからの体外診断用医薬品の開発としまして研究開発にもあり ますように、早期診断、疾病予防の診断技術の検査技術ということで、特にメタボリッ クシンドロームのような健診に向けた検査薬の開発、あるいは医薬品開発との連携の強 化・推進ということで、創薬と結びついた体外診断用医薬品の開発、それについて我々 としてもやっていく方向であろうと思っております。ぜひとも行政の支援をお願いした いということでございます。また、どうしても体外診断用医薬品の性能を上げるために は、標準物質の整備が必要です。あわせて促進も含めてお願いいたします。  そのほか、薬事制度、医療保険、バーコード等、体外診断用医薬品も同じように抱え ております。この辺のところもビジョンの中で御配慮をいただければと考えております。  最後になりますが、体外診断用医薬品は既に御存じのように検査機器と一体化して使 われるという形が非常に多くなっております。それとあわせて健診予防に見られますよ うに検査の重要性がますます広く重要になってくると我々は理解しております。その意 味では検査の重要性を広く国民にPRしていただくようなことも踏まえていただければ と考えております。  細かい要望等は、8月30日のヒアリングで資料を通してお話をさせていただきました が、このビジョンを通して、体外診断用医薬品で今までいろいろな懸案事項でありまし た研究開発から流通に至るまで、いろいろな問題点の解決に向け進めることは出来れば よいと考えておりますのでぜひともよろしくお願いいたします。ありがとうございまし た。 ○武田課長  ありがとうございました。御発表が最後になりますが、医機連産業戦略委員会の斎藤 さんお願いいたします。 ○斎藤委員会委員長  医機連産業戦略委員会の斎藤です。産業戦略委員会では業界団体や医機連の委員会に 対し、アクションプランの評価についてアンケート調査を行いました。本日の参考資料 2−2の中で提出させていただいております。  成果が認められる項目、認められない項目が相半ばする中で、使用段階での安全性の 確保にかかるアクションプラン、すなわち適切な使用方法の徹底や保守管理の徹底など という項目で成果を評価するという意見が目立ちました。実際、具体的な成果が出始め ていると思います。JIRAでは長年いろいろな統計をとってきていますが、大型医療 機器と言われるものの買いかえ年数や保守契約の締結率という医療安全に深くかかわる 統計を眺めますと、医療機関の経営状況の悪化にともない1990年代の早い段階からずっ と買いかえ年数が延び、保守契約率が落ちるという医療安全上好ましくない傾向が続い ていました。しかし近年の安全にかかる行政の取り組みを受け、いずれの指標にも改善 の傾向が認められます。医療も医療機器産業もいろいろな制度や規制のもとに置かれて いるだけに、政策のよしあしが与える影響は他産業に比べ非常に大きいことを実証して おり、その点産業ビジョンの持つ意味は大きいと考えます。  よい成果が出ているものがある一方で、産業ビジョンの全体目標として掲げた国際競 争力の強化については、統計上も我が国の国際競争力指数がなお悪化し続けているとい う事実を、今回のビジョン策定に当たりしっかり受けとめる必要があると考えます。  今回お示しいただいた新たな産業ビジョン策定に向けた検討項目(案)を眺めた全体的 な印象は、ほかの方々も言われておりますが、医薬品と機器との特性の違い、機器の持 つ多様性への配慮などが伺え高く評価できるものだと思います。またMETIS活動を 通して、産学合同の立場から研究開発途上のあるいは改善・改良を加えた企業の提供品 を臨床の場で合法的に研究評価できることの重要性を訴えてきましたが、そのことを薬 事制度の中で正面から取り上げていただいていることを高く評価いたします。  産業戦略委員会として、新しいビジョン策定に向けての意見、要望をアンケート調査 しました。そこで寄せられた意見が結果的に既にかなり盛り込まれている状況です。あ えて少し気づいた点としましては、「新産業ビジョンの対象とする範囲について」の中で、 医療機器のうち歯科特有のものとありますが、眼科領域などほかにも議論を要する特有 のものがあるのではないかということ。また研究開発・治験の中で、薬と機器の融合、 異分野技術の融合の推進とありますが、これを支援するためにも薬事制度の中に新しい 融合分野に対応した項目を入れていく必要があります。後は具体的なビジョンづくりの 段階で重点課題の絞り込みの必要性、制度体制の改革などによる具体的な成果目標の明 示など、同じく寄せられた意見を念頭に置いて産側として取り組みたいと思います。  また委員会の中での議論で、今後注目分野の一つとして医療経済にも貢献する予防医 療の提供も出ていました。関連する文言が示された案の中にも含まれていると考えます。 同じく注目点として、世界に先駆けて高齢化社会を迎える我が国の立場を活かした高齢 者医療のビジネスモデルのグローバルスタンダードを確立して、世界の医療に貢献する というのがあることを報告させていただきます。  最後になりますが、新しいビジョンのもと、新しいことにあるいは新しい視点で何か に取り組もうとするとき、研究開発段階であれ事業化を決断する段階であれ、企業の自 助努力はもちろんですが、関連する制度の透明性や予見性が非常に重要です。少々のリ スクを犯してでも取り組めるだけの活力、余力が企業になければ実現しません。したが って成果を上げるためにも、現状に対するカンフル剤の必要性についても合わせて検討 する価値があると考えます。以上です。 ○武田課長  ありがとうございました。以上をもちまして、関係団体からの御発表を一通りいただ いたわけでございます。お伺いしておりますと、これからのビジョンに対する期待をい ただいているようでございます。今後ぜひ期待に沿うよう頑張りたいと思います。  お配りされている資料を見ますと、今の産業戦略委員会のアンケート結果を見まして もまた私どもがやったアンケート結果も、説明を飛ばした分を王さんに指摘されてしま いましたが結構厳しいのです。やはりこれまでの5年間の評価に対して、非常に厳しい 意見が多いというのが率直なところかと思います。ぜひそういう点は産業界の御期待に 沿う方向で引き続きビジョンの策定、アクションプランの策定には取り組んでいかなけ ればならないと感じた次第でございます。  本日は特に御要望をいただいて、行政が一つ一つ回答する予定はしておりませんが幾 つか行政側に対する御意見、御要望もございました。細かくなくて結構ですが薬事、保 険、流通ということでよろしければ、薬事に関しては俵木室長から、保険に関しては医 療課長から、流通に関してはうちの主席流通指導官から一言ずつコメントをいただけれ ばと思います。 ○俵木室長  医療機器審査管理室の俵木です。幾つかコメントをさせていただきます。今貴重なお 話をたくさんいただきまして、日ごろから皆様といろいろな場でお話をお伺いしている 中でも御指摘いただいてきている点があります。幾つかお話をさせていただきたいと思 います。  まず改善・改良の審査につきまして、医療機器の特徴であります改良を重ねていくと いうことについてどういう審査を進めていくかということでございます。これは確かに いわゆる革新的な医療機器と改善・改良の医療機器というのは、審査の方法といいます かアプローチの仕方が違っております。ここはよく踏まえて対応しなければいけないと 思っております。新医療機器いわゆる革新的な医療機器については、医療技術そのもの を審査するようなところがありますので全体をどう評価していくかということがありま す。改善・改良の場合には、その改良点をどう迅速に評価していくかということが重要 です。革新的医療機器については、例えば相談事業の拡充、充実ということで、例えば FDAのモジュラー審査のような審査対象となります臨床試験または被臨床試験、動物 試験といったものをモジュールに分けて、できるだけ早い段階で審査に取り組んでいく というアプローチが非常に有効になるだろうと考えられます。一方で、改善・改良のも のについては、そういったアプローチというより、技術が確立した部分については基準 をつくっていく、または基準が難しいものについてはガイドラインをつくっていくとい うことが重要になります。一部変わっていく改良部分をどう早く審査するかというとこ ろで、アプローチの仕方を考えなければいけないと思っています。  またここは、かなり医療機器の特徴でございますが、医療機器の中にはたくさんのも のがございます。一律に共通の課題ではなく歯科は歯科、整形は整形、機械は機械とい うように、抱えている問題が違いますし審査の目のつけどころも違います。業界のそれ ぞれの業界の皆様のお知恵を拝借して進めていくしかないのかと思っています。  それから審査の見える化という御指摘がございました。予測可能性の高い審査体制を ということでございますが、今審査の見える化という一つのプロジェクトで作業を業界 の皆様にも御協力をいただいて進めているところですが、これについても各機器の特徴 を踏まえてやっていかなければいけません。審査側の見える化努力とあわせて申請者側 の見える化努力というものも進めていくことが必要なのかと思っております。審査サイ ドと申請サイド、または業界と行政とのコミュニケーションをよくしていくことが遠回 りのようで、もしかすると近道なのかなと思っておりまして、引き続きコミュニケーシ ョンの推進をしていくことが必要かと思います。  それから医療機器の使用方法についてのお話もございました。御指摘のとおり医療機 器についてはそのものの安全性・有効性を確立しましても現場でどう使われるかという ことが大きなファクターになります。使用方法についてのトレーニングであるとか、機 器そのもの引き続きのメンテナンスという問題もございますが、ここについては特に新 しい技術を使った医療機器については、近年学会の御協力もいただいて市販後の安全対 策の充実をはかってきておりますが、そういったことも引き続き重要なポイントかと考 えております。  長くなって恐縮ですが、新しい分野ということで例えば薬との組み合わせをした機器 が出てきております。そういった点、または医療機器についてのIT、情報の御指摘も ございました、医療機器の中のソフトウェアをどう担保していくかというような問題に ついては、GHTFでも大きな問題として取り上げられております。新しいアドホック が立ち上がって既に作業に入っている部分もありますし、これから立ち上がろうとして いるところもございます。重要な分野でございますので、日本としてもGHTFの動き も見ながら対応していきたいと考えております。  また治験不要の範囲の拡大と具体的な御指摘もございました。これらについても今業 界とも作業を進めているところです。皆様の御協力をいただいて進めていきたいと考え ております。以上でございます。 ○原医療課長  医療課長でございます。平成20年度の診療報酬改定に向けて現在中医協でも議論を進 めていっていただいております。その中で、先月それに向けての主な検討項目を出しま したが、その中の一つの大きな柱として医薬品や医療機器のイノベーションの評価とい う項目を立てております。それを踏まえまして現在中医協の中の薬価専門部会、医療材 料専門部会の方で、20年度改定に向けての評価をどうしていくかを検討しているところ であります。その中でイノベーティブなものについての評価をどうするかを検討してい きたいと考えております。 ○千葉流通指導官  経済課の主席流通指導官でございます。私の方から、流通関係で一言御説明したいと 思います。先ほど、医器販協の会長さんからもお話がございましたが、不透明な取引慣 行の是正にこれまで取り組んできたということでございます。やはり流通の関係では、 こういった観点からのこれからの取り組みが求められているのかと。一昨年来、公正取 引委員会が立ち入り調査に入るというニュースが多々出ているところでもございます。 そういう意味で流通の効率化、コード化、医療機器販売業者の育成といった観点から行 政として流通改善の検討会等々を開催していこうと考えております。  またコードの標準化につきましては、これまで業界主導で取り組んできたわけでござ います。先般規制改革会議の方から国での指導という観点での取り組みが求められてお ります。近々、行政通知を出させていただこうと考えております。その後につきまして は、企業の取り組み状況等について継続的にフォローアップを行いながら、コードの標 準化の充実に努めていくと考えていく。以上でございます。 ○武田課長  以上、薬事、保険、流通に関して一言ずつコメントを申し上げましたが、厚生関係の 研究開発、厚生科学について総元締めの厚生科学課長からお願いします。 ○矢島課長  厚生科学課長の矢島でございます。今日はどうもありがとうございました。お話を聞 かせていただいて少しお願いがあります。特に私ども国民の医療機器の安全、安心の話 がたくさん出てきました。やはり疾病予防、重症化予防はこれからすごく大事だと思う のです。ですので、これからこういう分野、医療費の全体の市場というのでしょうか、 医療費の枠は高齢化のピークである2025年まではふえ続けると予想されています。そう いう意味で、ふえ続ける医療費、皆さん方からすれば市場規模という考え方かと思いま す。それがふえる中で、そうはいってもやはり国民の負担がどれだけできるかという中 で効率性を求めていかなければいけない。そういう中で、ぜひそういうような医療機器 を使うことによって診断というところで重症化の防止に役立つ。それから同じ入院治療 でも早期退院を支援するような治療技術があるといった面で、もう少し前向きというの でしょうか、そういう意味で技術開発をしていただけると。医療の改善・改良みたいな ことを評価していただきたいという話がありましたが、重症化予防、早期退院を支援す る技術をぜひお願いしたいと思っています。  それから在宅医療もこれからすごく大事になってくると思います。そういう意味では 医療機器の小型化、軽量化も含めて大事になってくるのではないかと思います。そうい うことも含めてこの中に入っていると思います。そういうことも含めた点で御協力をい ただければ大変ありがたいと思っております。 ○武田課長  ありがとうございました。ことしから医薬品も医療機器も官民対話の重視ということ でいろいろ場をつくらせていただいております。そのはしりは、この産業ビジョンであ ります。産業ビジョンは冒頭の厚労審のお話の中にもありましたが、官民が共通認識を 持つということです。その官民が共通認識を持つという意味は、業界のニーズを我々も 理解するとともに国の政策の方向ということを産業界にも理解をしていただいて、お互 い目指すべきところを間違えないようにするということが大事かと思います。今、矢島 課長から重要な御指摘をいただいたと思います。  以上、行政側のコメント、追加、ほかにどなたかございますか。和地会長。 ○和地会長  一言お礼を申し上げたいと思います。今回は、3回のヒアリングそしてそれに引き続 いて今日の会議ということで、大変丁寧に業界の意見を聞いていただいたと思います。 感謝を申し上げたいと思います。  ここ数年が医療機器産業として産業基盤を確立できるかどうかの大変重要なところに 来ていると思います。そういう意味からも今回のビジョンの作成は大変大きな意味を持 っていると認識しております。あとは策定後の実行、実現をどうやっていくか、これは 行政、産業界連携して実現をはかっていくことが不可欠と思います。  私見でございますが、やはり教育と医療がプアーな国は一流国としての品格に欠ける と思います。日本の医療は、医療費がますます増加していくと思いますし、効率化等い ろいろな工夫が大事だと思います。  医療費がGDPに占める比率が、先進国の中で最も低いというのは何とも情けないと 思います。やはり一つの志を持ってこういうビジョンをつくり推進していく必要があろ うかと思います。そういう意味でも産業界としては、全力でこれに取り組んでまいりま すので、引き続き御指導、御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたしま す。今日はありがとうございました。 ○武田課長  それでは今日関係業界以外の御出席をいただいております。対馬専務、稲垣常務何か ございますでしょうか。 ○対馬専務  幾つかありまして、大体お答えいただきましたが2つあります。1つは、今回また3 月をめどに取りまとめをされるのだろうと思いますが、項目別の進捗状況はよくわかり ますが全体的に革新的医療機器の創出がどうであったか、そこが余りよく見えていない ような感じがします。そこを工夫していただければありがたいというのが一つです。も う1点ですが、C1、C2中医協で議論いたしまして年4回ということで評価をいただ きました。私どもそういった産業界、皆様方のお役に立つようなことでしかも国民にメ リットがあるということであれば、ぜひ積極的にやってまいりたいと思います。どうぞ よろしくお願いしたいと思います。 ○稲垣常務理事  日本歯科医師会の器材薬剤を担当しております稲垣と申します。今日は誠にありがと うございました。我々は、医療提供側という形でございまして、産業界の皆様、行政の 皆様のいろいろな御発言を聞いていて、皆様に支えられて我々が医療をしているのだと いうことが改めてわかりました。感謝申し上げております。足を向けて寝られないとい うことです。  歯科治療はほとんど医療機器によって行われ、薬剤の頻度が非常に低い分野でござい ます。そういう意味では歯科の医療機器によって我々は歯科医療をしていると言っても 過言ではないと思います。そういう意味で、今回の産業ビジョンで歯科医療機器と医療 技術ということを結びつけたということは、我々これから歯科の医療技術の発展という のも歯科医療機器の開発、改良がなければ成り立ちません。これについては非常に評価 をしております。それから「歯科特有のもの」という表現を入れていただきましたが、 別に歯科が特別なことをしているわけではありません、やはり法的な根拠で象徴的なの は医師法、歯科医師法という法で明確に分かれてございます。制度の面あるいは流通、 人材の面でも医科と歯科が少し乖離している部分もございます。共通な部分もあります が、その辺少し歯科特有なものという形で整理されますと良いかと思っております。そ ういう意味で、歯科がまだまだ革新的なもの、あるいは開発、改善という余地が大きく 残っております。産業という視点に立ってもぜひ歯科も注目をしていただきたいと思っ ております。  それから検討項目の2ページ目にございますが、重要疾病分野という形で書かれてお ります。重要疾病という中で、先ほど歯科商工会の中尾会長の方から生きる歯科医療と いう形で出ていますが、生きるという中にはやはり生命に関するものと生活に関するも のの2つがあると思います。どちらかというと今までは重要疾病の中で生命に関するも のというものが非常に重きを置かれていました。昨今の状態、QOLを重視するという 形で、同じ生きるという中で、生活機能というものも国民にとって重要なものであると 思います。この生活機能に重大な障害を与えるものも、重要な疾病であるという形で改 めて認識をお願いしたいと思います。今日は、改めてありがとうございました。 ○武田課長  ありがとうございました。それではそろそろこの会を締めくくりたいと思います。私 どもの上司が座っております。シナリオにはありませんが、局長一言お願いいたします。 ○外口局長  今日はずっとお話を聞かせていただきまして、改めて新医療機器産業ビジョンに対す る期待と、また我々のいいものをつくらなければいけないという責任を痛感した次第で ございます。また、新しいビジョンを今日ここにおられる方は大体わかっていることで すが、ここにおられない方々、医療関係者以外の方々にいかにこの動きを知ってもらえ るかと、この啓発活動がとても大事ではないかと考えております。そういったことも含 めて、今後経済課長を中心に行政の方もしっかり頑張っていきたいと思います。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○武田課長  それでは、議論も尽きないこととは存じますが、この辺で本日の意見交換を終了させ ていただきたいと思います。  今後、来年の春ごろをめどにいたしまして、本日いただいた御意見を踏まえ、事務局 の方で新たな産業ビジョンの検討を行ってまいりたいと思います。関係者の皆様には、 引き続き御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  また、引き続き私ども経済課を中心に、いろいろな場で業界との対話の重視というこ とをやらせていただきたいと思っております。こうした懇談会の場にとどまらず、いつ でも気軽に私どもの方に来ていろいろな御意見を言っていただければと思います。  以上をもちまして、本日の医療機器産業政策推進に係る懇談会を終了させていただき ます。本日はありがとうございました。 (終了)