07/09/26 第6回雇用均等分科会家内労働部会議事録 第6回労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会 日時:2007年9月26日(水) 10:30〜12:00 場所:厚生労働省専用第12会議室(5階) 出席者: 公益代表   今田部会長、水野部会長代理、相澤委員、石田委員、  家内労働者代表   加藤久美子委員、加藤昇委員、川本委員、佐藤委員、古川委員  委託者代表   小林委員、橋本委員、山口委員、山本委員、横山委員  事務局   村木審議官、高崎短時間・在宅労働課長、富田調査官、佐々木課長補佐 議題:  1. 部会長及び部会長代理の選出について  2. 第8次最低工賃新設・改正計画の実施結果及び第9次最低工賃新設・改正計画について  3. 平成20年度家内労働関係予算概算要求の概要  4. 平成18年度家内労働調査結果について  5. その他   資料:  資料No.1 労働政策審議会雇用均等分科会家内労働部会委員名簿  資料No.2 労働政策審議会令  資料No.3 第8次最低工賃新設・改正計画の実施結果(平成19年8月末日現在)  資料No.4 第9次最低工賃新設・改正計画  資料No.5 平成20年度家内労働関係予算概算要求の概要  資料No.6 平成18年度家内労働調査結果  資料No.7 家内労働関係資料  ○高崎短時間・在宅労働課長  委員がおそろいになりましたので、若干早いようですが、ただ今より、第6回労働政策審議会 雇用均等分科会家内労働部会を開催したいと思います。  私は短時間・在宅労働課長をしています当部会担当の高崎です。どうぞよろしくお願いいたし ます。  本日は、奥田委員が欠席ですけれども、定足数には達していますので部会として成立していま す。また本部会は公開となっています。その取扱いについては以前ご承認いただきました「労働 政策審議会雇用均等分科会家内労働部会の公開について」という取り決めに従って開催していま す。  本日は委員改選後最初の会合ということで、部会長、部会長代理を選任していただくことにな りますが、それまでの間、私の方で進行を進めさせていただきたいと思います。  それでは議事に入ります前に、初会合ということで、お手元の資料No.1を見ていただければと 思いますが、委員の名簿をお配りしています。この名簿に沿いまして、ご出席の委員の皆さまを ご紹介したいと思います。  まず公益委員ですが、相澤委員です。 ○相澤委員  よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  次に石田委員です。 ○石田委員  石田です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  今田委員。 ○今田部会長  今田です。どうぞよろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  水野委員です。 ○水野部会長代理  水野です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  続きまして家内労働者代表委員として、加藤久美子委員です。 ○加藤久美子委員  加藤です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  加藤 昇委員。 ○加藤 昇委員  加藤です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  川本委員。 ○川本委員  川本です。どうぞよろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  佐藤委員。 ○佐藤委員  よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  古川委員。 ○古川委員  古川です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  続きまして委託者代表の委員として、小林委員。 ○小林委員  小林です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  橋本委員。 ○橋本委員  橋本です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  山口委員。 ○山口委員  山口です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  山本委員。 ○山本委員  山本です。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  横山委員。 ○横山委員  横山です。どうぞよろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  次に、本日の議事に入ります前に、雇用均等・児童家庭局審議官の村木より一言ご挨拶をさせ ていただきたいと思います。 ○村木審議官  審議官をさせていただいています村木です。どうぞよろしくお願いします。  今日は委員の改選後、初めての部会ということです。本当にお忙しい中をご参集いただきまし て、あらためて御礼を申し上げます。  家内労働部会そのものは今回で6回目ということです。家内労働法が制定されてちょうど37年 経っています。そのころ日本の家内労働者は約200万人と覚えたわけですが、これが現在約19万人 ということで、非常に大きく減少してきているわけです。ただ足元の状況を見ますと、一部の地 域では業界が好況だということで、家内労働者が若干ではありますが増えている地域もあると伺 っているところです。そうした中で全体として5割は60歳代ということで、大変高齢化も進んでい るというような状況にあります。  数は減っていると言いましても、大切な我が国の経済の支え手です。この方々の労働条件の確 保、向上、生活の安定をしっかりと図っていくということで、この部会でいろいろな議論をして いただきたいと思っています。  数が減っていることもありまして、正直に申し上げると、予算要求等でも、もう少し減らすこ とはできないのかというような見直しのこともかなり言われることもあるわけですが、私どもは 大事な家内労働者の労働条件の確保、特に健康の確保等についての指導などにつきましては、で きるだけ後退させたくないということで、予算確保を一生懸命にやっていきたいと考えています。  また労働条件面では、去年ご議論いただきました「第9次最低工賃新設・改正計画」に則りまし て、しっかりと各地域で計画的な最低工賃の見直しを推進していくということで、さまざまな面 で家内労働者の労働条件の確保のための施策を引き続きしっかりとやってまいりたいと思ってい ます。  今日の会合では第9次、あるいは第8次の計画の実施結果や、この夏に概算要求を出しました平 成20年度の関係予算の概要等についてご報告をさせていただきたいと思っています。どうぞ各委 員の忌憚のないご意見をお聞かせいただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは議事に入らせていただければと思います。議事につきましては、お手元の議事次第に 沿って進めてまいりたいと思っています。  まず議題の1「部会長及び部会長代理の選出について」です。部会長の選任については、お手元 に資料No.2として「労働政策審議会令」をお配りしていますが、この審議会令の第7条第6項に部会 長の選任方法が定めてあり、「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のう ちから、当該部会に属する委員が選挙する」となっています。この「委員」と言いますのは、労 働政策審議会の本審の委員を指します。本審の委員で本部会に所属していただいていますのは、 今田委員お一人ということになっています。そういう意味から、部会長については今田委員にお 願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  それでは今田部会長に部会長ご就任のご挨拶を一言いただいた上で、今後の議事進行をお願い したいと思います。今田部会長よろしくお願いします。 ○今田部会長  今田です。誠に僭越ですが、ルールということですので、私が部会長を引き受けさせていただ きます。よろしくお願いします。  では、議事を進行させていただきます。今、高崎短時間・在宅労働課長からお話があったよう に、部会長代理の選任という手続きをさせていただきます。同じく「労働政策審議会令」第7条第 8項の規定によって、部会長があらかじめ指名することとなっており、水野委員にお願いしたいと 思います。よろしくお願いします。 ○水野部会長代理  よろしくお願いします。 ○今田部会長  それでは、次の議事に移らせていただきます。議事の2「第8次最低工賃新設・改正計画の実施 結果及び第9次最低工賃新設・改正計画について」、事務局より説明をお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは説明させていただきます。お手元にお配りしてあります資料No.3-1、3-2、4-1、4-2の 4枚の資料に沿いまして、ただ今よりご説明申し上げたいと思います。  資料の説明に入ります前に、新任の委員もいらっしゃいますので、まず最低工賃制度について 簡単にご説明させていただければと思います。  家内労働者については、労働条件の向上、生活の安定を図ることを目的として家内労働法とい う法律がありまして、家内労働手帳の交付、工賃支払いの確保、あるいは本日の議論になります 最低工賃、安全・衛生の措置などについて、その最低基準を定めているところです。  この家内労働法の第8条第1項において、最低工賃については、工賃の低廉な家内労働者の労働 条件の改善を図るため必要があると認めるときは、厚生労働大臣または都道府県労働局長が審議 会の意見を聴き、最低工賃を決定することができる。審議会の意見を尊重して決定することがで きるとなっています。また、ある物品について、その一定の単位ごとに工賃の最低額を決めてい ただくことになり、その額は最低工賃を決定しようとする地域内において、当該家内労働者と同 一または類似の業務に従事する労働者に適用される最低賃金との均衡を考慮して決定するという ことになっています。  具体的には都道府県労働局におかれています地方労働審議会の中の最低工賃専門部会で調査・ 審議を行った上で、その意見を尊重して、最低工賃を決定しています。現状では、平成19年8月末 現在の決定件数については全国で135件となっています。そのように最低工賃を定めていくわけで すけれども、最低工賃の新設あるいは改正を計画的に進めていくということが大事なので、その ことを目的として、都道府県労働局長が最低工賃の新設・改正に取り組む具体的職種を設定した 計画を策定して、その計画に基づいて計画的に最低工賃の新設・改正を行ってきているというこ とで、現行は第9次の計画というものがあるわけですが、この策定自体は、最初は昭和58年から 3カ年計画として実施しているところで、平成19年度、本年度が第9次計画の初年度という形にな っています。昨年開かれました当部会におきまして、第9次の計画についてご審議いただきまして、 方針を定めていただき、それに基づいて私どもで第9次計画を作って現在運用していると、そうい う流れになっています。  少し前置きが長くなりましたが、資料の説明に入らせていただければと思います。  最初に資料No.3の第8次計画の資料をご覧いただければと思います。第8次最低工賃新設・改正計 画の実施結果の状況ですけれども、これは昨年度まで、平成16年度から18年度までの3カ年を計画 期間として定められていたものです。一番下の段に、第8次計画全体の実施結果を取りまとめてい ますので、そちらをご覧いただければと思いますけれども、第8次計画については3年間で170件の 改正予定としたわけです。結果的には新設1件、改正42件、廃止16件となっていまして、あとは見 送り答申及び審議中ということになっています。  見送り答申についてですが、これは改正諮問を行ったものの、金額、件名、工程等、すべて前 回と同じ内容とする旨の答申を得た場合を指しているということで、こちらが6件ということです。  ここの表にあります審議中は福岡の電気機械器具製造業最低工賃で、平成19年3月に諮問され、 現在審議中で10月に次の審議会が開催されると聞いています。  改正諮問見送りが96件あり、全体の56.5%を占めています。これについては改正諮問を行う前 に工賃相場等の実態を調査して、どの程度の工賃の改正が行えるかをあらかじめ調べた結果、関 係委員、公労使間で、今回は工賃額の改正は行わない旨の合意を得た場合に、改正諮問見送りと いう形になっているものです。見送りました理由については、経済情勢が厳しく、工賃相場が上 がっていない、類似作業を行う労働者の賃金が上がっていない、あるいは家内労働者数が仕事量 より減少しているという需給バランスといったようなことが上げられているところです。  その他に未着手が8件ありますが、その理由としては、産地が台風、災害に遭ったために、工賃 改正のための実態調査等を見合わせたということで、未着手となったというものですが、この8件 はいずれにしましても、平成19年からの新しい計画期間内において、それぞれ着手予定となって います。以上が資料No.3-1、3-2の第8次の計画の実施結果についての報告です。  続きまして、新しい第9次最低工賃新設・改正計画についてご説明したいと思います。  お手元にお配りしてあります資料No.4-1と4-2の関係です。  その前に最低工賃の現状について、資料No.4-3と4-4をまず見ていただければと思います。そちら のデータの資料で説明させていただきたいと思います。  資料No.4-3の説明ですが、平成10年の第6次計画策定時においては、委託者総数が約3万2,000人。  その内最低工賃が適用される委託者が約1万5,000人。家内労働者総数が約46万2,000人。そのう ち最低工賃が適用される家内労働者数が約18万8,000人というような状況でしたが、今回第9次の計 画策定時点である本年、平成19年3月時点の状況ですけれども、委託者総数が約1万4,000人。最低 工賃が適用される委託者数が約8,000人。家内労働者数が約19万2,000人。最低工賃が適用される家 内労働者数が約9万人。いずれも大幅に減少しているという状況になっています。  続きまして資料No.4-4、最低工賃の決定件数の状況ですけれども、同じく第6次の計画時点であり ます平成10年と比較しますと、平成10年が183件でしたが、本年3月時点では135件と減少している 状況です。これが概況で、このような状況を受けて、第9次の計画を進めていくということになる わけです。  資料No.4-1ですが、昨年度この部会においてご承認いただきました「第9次最低工賃新設・改正計 画方針」に基づきまして、各都道府県労働局が改正計画を策定したところで、それを取りまとめた ものが、お手元にお配りしてあります資料No.4-2の表になるわけです。  この表の説明ですが、例えば平成19年度に改正を予定していますものは青色の文字で、平成20年 度に予定しているものは緑色の文字、平成21年度に予定しているものはピンク色の文字で表示して います。なお一番右端にありますオレンジ色の文字で書かれているものについては、その工賃が適 用される家内労働者数が300人未満ということで、この300人未満については工賃の改正をどうする かについて、それぞれの業界の動向を考慮して改正を検討するとされているところで、今の時点で 改正の予定年度が決定されていないという状況にあるものです。  今申し上げました第9次の計画に基づきまして、各都道府県が引き続き最低工賃の計画的改正等を 進めていくわけです。それによりまして、工賃が低廉な家内労働者の労働条件の改善を図ってまい りたいと考えています。  厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課では、各労働局で適宜見直しが行われます ように全体として進行・管理をしていきたいと考えているところです。以上、長くなりましたけれ ども、平成18年度の計画実施状況と平成19年度の第9次の計画の内容についての説明です。 ○今田部会長  ただ今の事務局のご説明についてご意見・ご質問がありましたらどうぞ。 ○加藤 昇委員  2点ご質問というのか、お伺いしたいと思いますが、一つは最低工賃の適用者数などがかなり減少 していると、ただ今のご説明であったわけですけれども、職種別といいますか、産業別といいますか、 全体として共通した傾向なのか、何かその辺の記録がわかれば教えていただきたいのが第1点です。  2点目はただ今のご説明で、昭和58年から一応3カ年計画を立てて進めているということでしたけれ ども、3カ年計画と改正サイクルの関係について教えていただければと思います。  例えば近年では改正サイクルが3年や3年以上となっているようですけれども、3カ年計画との絡み で、おおむね3年に1回ぐらいずつ改正していくという計画が前提になっているのかどうか、その辺を 教えていただけますか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  産業別の状況については、今確認していますので、後ほど担当からご報告しますけれども、改正の 周期については特段これでなければいけないという周期が決まっているわけではないですけれども、 そうは言っても毎年ということになれば、それはそれで非常に作業としては出てくるわけですし、そ もそも賃金工賃の相場がそのように毎回改正するような状況で動いているのかということもあると思 いますが、その辺りは多分過去のこの部会あるいはその前身でありました審議会時代も、周期につい てもっと短くするべきではないかというご主張がある一方で、そこまで頻繁に改正する現状ではない のではないかというご意見等もあって、そういう意味ではこの部会の議論も踏まえて、ここのところ は少なくても3年間で回ってきているということだろうと思います。私が記憶していますのに、昨年 のこの部会におきましても、家内労働者代表委員から、もう少しスパンを短くできないのかというご 意見を伺ったことを記憶していますけれども、その際にもそういう議論はあったかと思います。現実 問題として第8次の計画、第9次の計画をお手元にお配りしてありますけれども、これはこれで3年で 回したとしても、これだけの工賃の実態調査をしたり、関係者の意見集約をしたり、あるいは改正す るとなれば、議論していくことになるわけでして、それはそれでそれなりの作業として労働局でもや ってきているということだろうと思います。これまでの経緯等の中で3年ということが一応コンセン サスといいますか、総意としては3年ぐらいでということで、昨年お示ししました第9次の計画方針に ついても、そういう方向でご承認いただいているということだと思います。そういう意味では本年度 が第1次年度ですので、それに続いて19、20、21年とやらせていただくことになっています。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  あと産業別について。 ○佐々木課長補佐  産業別、職種別に適用の家内労働者が分析できるかという点ですけれども、恐縮ですが、それぞれの 最低工賃にどれだけ適用される家内労働者がいるかということについては、本日お配りしたこの最低工 賃適用一覧の中で、個別に載っています。産業別、職種別ということだと、これをそれぞれ拾っていか なくてはならないわけですが、いま手元にはありませんので、今後分析して情報提供させていただきた いと思います。 ○加藤 昇委員  ご説明でよくわかりましたが、私がお伺いしたかったのは、第9次の計画などでは、例えば最低工賃の 改正については「前回の改正から3年以上経過しているもの」ということですので、一応3年周期を基本 にした計画が立てられているということですが、昭和58年から3年計画で運用していたということですけ れども、それは必ずしも第9次の計画に記載してあるような3年計画を前提にした計画ではなかったとい うことですよね。そうすると過去の周期はもっと短いケースもあったのではないかと想定するのですが、 その辺はいかがですか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  手元の資料で見る限りは、昭和58年に計画してからずっと3年間ということでやってきているようです。 ○加藤 昇委員  昭和58年以降は大体改正サイクルとしても3年サイクルで回していると考えてよろしいのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そうです。 ○今田部会長  他にありますか。 ○佐藤委員  国会ではまだ始まっていないようですが、ここで今労働法制の関係を言いますと最低賃金の問題でい わゆる生計費原則と言いますか、生活保護基準との均衡の問題ということで出てきている問題があろう かと思いますが、家内労働者の最低工賃の問題は家内労働法で規定されているわけですが、全体的ない わゆる労働者の最低賃金の改正の問題と家内労働者の最低工賃の問題についてこの辺はどのように今事 務局の方ではお考えになっているのか。実際現場で私も最低工賃の改定審議にかかわってきたこともあ るのですが、その都度いわゆる最低賃金の引き上げがいろいろ議論になってきた経緯もあるので、実際 上今年はさまざまな議論はありましたけれども、従来より大幅に改定されてきている問題もありますの で、家内労働者の最低工賃の在り方問題も含めてその辺どうお考えになっているのか、お聞きしたい。 ○高崎短時間・在宅労働課長  ただ今最低賃金との関係につきまして、ご質問いただいたところです。  ご案内のとおり、最低賃金法の改正につきましては、現在開催されている臨時国会におきまして先の 通常国会から継続案件になっております。これについては国会に出ているということでございまして、 まだ成立はいたしておりません。その中身は多岐にわたるわけでございますけれども、一つの大きなも のといたしまして生活保護との整合性と言いますか、はっきり言ってしまえば地域によっては生活保護 の金額と最低賃金で得られる所得が逆転しているような地域もあるというような状況もあるわけで、そ の辺につきましては整合性をとるべきではないかということがあって、そういう旨の改定規定等も入っ ているということです。先の通常国会で成立していれば、またそういう形で今回夏の最低賃金の見直し が行われたかもしれませんが、現状は成立しないという状況で、他方政府部内に置かれておりました底 上げ戦略の方で最低賃金制度などについても、長期的に見れば中小企業におきます負担減の措置も併せ て講じる中で見直していくべきという方向性がある中で、今年の夏の最低賃金改定額につきましては、 ご案内のとおり例年に比べますと少し引き上げ幅が大きくなっている状況です。  家内労働の方ですが、先ほど冒頭でご説明しましたとおり、家内労働の最低工賃につきましても、い わば同一または類似の業務に従事する地域の労働者の最低賃金額との均衡を考慮して決定していくとい うことになっていまして、最低工賃独自の体系としてというよりは、そこはやはり同じ地域において同 じような仕事している、雇用者であります労働者と受託者であります家内労働者の額が大きく乖離して いることは道義に反するわけです。そこを均衡していきましょうという考え方があるわけですので、そ ういう意味からしますと最低賃金の方が今申し上げましたように全体的な見直しの中で一方的に上げる のはともかくといたしまして、生活保護との整合性の問題でありますとか、あるいは経済状況が今後ど うなっていくのかわかりませんけれども拡大基調でいくあるいは成長力を底上げしていく中において、 それを労働者に還元していく形の中で引き上げられていけばそれに均衡していく形で最低工賃も上がっ ていくというような全体のスキームになっていくということでございますが、ただ現実問題は冒頭申し 上げましたとおり、そこは地域の審議会の場でそこで一番実情を知っております公益側・労働者側・使 用者側の3者の方々が話し合って決めていただくという自体はルールとしてありますので、その中で私 どもとしては最低賃金の状況等も情報提供していく中で、もっと言えば労働局の中で担当部局は同じで すので、そこにおいて情報としてはいわば自動的に共有されているという状況の中でございますので、 そのようなことで地域の最低工賃の審議会におきまして見直しが行われていくということを私どもは期 待しているということです。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。 ○加藤久美子委員  質問です。最低工賃の計画の方針の中では家内労働者らも300人程度存在するものというのが対象にな っていますけれども、先ほどのご説明ですと300人未満のところでも業界の動向を見ながら、ということ もございましたけれども年々最低工賃の適用労働者が減っていますし、300人未満でも改定があり得ると いうように聞いたのですがそういう理解でよろしいのでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長  お答えいたします。今まさにお手元にお配りしています資料No.4-1で「第9次最低工賃新設・改正計画方 針」 というものが掲げられています。そこにおきまして「300人程度」と書いています。趣旨といたしま して最低工賃の設定自体が公的な権限の行使でして、対象指数があまりにも小さいということになります と、それはそれでいかがなものかということもあって、やはりある程度の規模ということで一応「300人」 ということで線を引かせていただいているということでございます。  ただ、もちろんそれは一つの目安と言いますか方針であり、それ以下であっても地域としてそこの最低 工賃について見直そうあるいは見直すかどうかも含めて調査をしようということでそういう合意が成され れば、そこでそれに従ってやっていただけるわけでございまして、現状はやっていただいていると理解し ています。ただそれは一応目安として「300人」と切っている以上はそれ以下については別に私ども国の側 で必ず見直しなさいよという形にはなってはいないということです。 ○今田部会長  他にご意見は。 ○加藤 昇委員  一言だけお願いというか意見を申し上げたいのですが。「第9次」の計画については決定されている計 画でございますので、計画に沿って着実に実施されるということを希望したいと思いますが、今後の在り 方ということで考えますと、先ほども質疑がありましたけれども、例えば最低賃金との均衡なりバランス が一つの焦点になるのだろうと思いますが、最低賃金については毎年一応金額改正が行われているという のが現状でございますし、それなりにこのデフレの間でも一定の引き上げがなされてきていることもござ いますので、3年サイクルということで良いのかどうか、バランスがくずれないように今後改定サイクルの 在り方についても検討をしておく必要があるのではないかという感想でございます。意見と言うか感想で ございますけれども申し上げておきます。 ○今田部会長  お答えは、よろしいですね。 ○加藤 昇委員  いいです。 ○今田部会長  何か事務局からそれについてのお答えは必要でしょうか。よろしいですか。では承っておくということ で。他にご意見ございますでしょうか。それではご意見が出たと思いますので、次の議題に移らせていた だきます。お手元の議事次第にありますように議事の3として「平成20年度家内労働関係予算概算要求の概 要」について事務局より説明をお願いいたします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  それでは引き続き私の方から説明いたします。お手元にお配りしています資料No.5を見ていただければと 思います。平成20年度家内労働関係予算の概算要求を8月末に提出しているところです。その概要について 説明させていただきます。要求総額はお手元の資料にありますとおり、全体で35百万円となっています。  その内訳としましては家内労働者に対して家内労働法の周知を行うためのパンフレット等を作成する経 費が7百万円、家内労働者や委託者に対して安全衛生指導員というものを巡回させて指導を行う経費が26百 万円でございます。さらに来年度といたしましては新規に危険有害業務に従事しています家内労働者を対 象としました健康相談会というものを実施するところです。これに要する経費が2百万円という要求になっ ています。この3つ目に説明しました健康相談会につきましては平成18年度までは特殊健康診断の費用の補 助という形で予算を組んでおりましたものを見直しまして健康相談会という形で要求させていただいてい ます。以上が家内労働関係予算の概要です。  ご参考までにテレワーク、要するに製造ではない在宅の業務の関係、特にインターネット、情報通信機 器を使いました在宅の業務をテレワークと言っていますがこちらの予算もあるわけです。こちらの方も参 考までにご説明させていただきます。  まず実態調査を行うということで、その調査の経費といたしまして21百円、あとそういうテレワーク系 の在宅ワークの関係につきましては法的スキームがないわけですので、従来ガイドラインという形で啓発 ・周知をしているところです。その周知・啓発に関する経費が約7百万円。それから支援事業としまして実 施しています委託事業経費が59百万円というようになっています。以上でございます。 ○今田部会長  今のご説明についてご意見、ご質問ございますか。 ○佐藤委員  先般東京都の産業労働局のいわゆる家内労働担当の方と議論する場があったのですが、今年も厚生労働省 に対して東京都の方から家内労働にかかわるいわゆる来年度の予算要求ということでの要望を提出したとい う話を伺ったのですが、いわゆるILO条約の在宅労働にかかわる条約の家内労働の批准の問題も含めて幾 つかの項目を出されているということなのですが、そういういわゆる自治体からの予算要望についてどのよ うな取扱いになっているのか、実際上具体的な予算措置にかかわらない項目等も要望されていると思ってい るのですが、その辺も含めて何かあればお話いただければと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  家内労働に関しましては自治体の方からも各種要望をいただいているところです。  特に今ご指摘がありましたILO条約の批准の関係ですが、これにつきましては以前にもご説明しているかと 思いますけれども、この条約自体の批准の可否についての政府としての見解といたしましては、在宅労働の ILO条約177号のことだろうと思いますが、1996年に採択されているものです。要するに自宅で報酬を受けて いろいろな製品なりサービスを行う在宅形態の労働者について特に賃金につきまして均等待遇というものを 求める、かつそれに沿うような国内施策というものを検討・実施するということが義務付けられているもの であるわけでございますが、これにつきましては少なくとも、実は家内労働だけではなくていわゆる労働者 もそうなのですけれども、労働市場なり賃金の決定システムとしまして均等待遇という形で導入することに ついては現状では難しいということです。そういう意味では現状の労働市場を前提とする限り、この177号条 約を批准するというような環境は整ってはいないということが私どもの見解です。  ただこの条約を批准しないからといっていわゆる均等かどうかはともかく、先ほども言いましたけれども、 労働者との間の均衡を考慮していくということは家内労働法のなかに入っておりますスキームでございまし て、それに基づいて、先ほど私がご説明したことの繰り返しになりますので説明はしませんけれども、今後 とも地域の同一または類似の業務に従事しています家内労働者と賃金労働者との間の均衡という問題につい ては然るべく情報提供等を努めてまいりたいと思いますし、それに沿った形で地域におきまして最低工賃の 見直しが行われることを期待しているところです。 ○橋本委員  予算ですけれども、全体としてはあまり毎年変わってはいないと思うのですが、3年ぐらいの推移がわかっ たら教えてください。それから予算要求のときは当然家内労働者の数が何人というのは一つの基準になると 思うのですが、その場合ここで言う家内労働というのはいわゆる最新のデータで言いますと19万2千人とか、 それから適用の家内労働者数9万人などどちらの数字を使ってやっているのか、その辺がわかれば教えてい ただきたいということと、どうもやはり全体としては予算があまりにも少なすぎるという感じを持っており ますので、よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  予算につきましてはもちろん数だけの問題で予算を議論するということではないと思いますけれども、た だその一方でやはり対象者数というものを無視して予算要求にはならない。特に査定する側と言いますか予 算を出す側から見ますと、やはりそれは原則的に言えば対象数が減れば予算規模自体は見直していくという ことが方針であるというのは事実であろうと思います。額で見ますと平成18年の予算額が4,600万円、平成19 年度が4,100万円、平成20年度の要求が3,500万円ということで、急激に下がっているということではござい ませんけれども毎年数百万円のオーダーで減少はしてきているところです。これにつきましては、私どもと してはもちろん必要性は説明しつつも中身についてはより効果的なものに見直すことで対策について欠ける ことがないようにしていきたいと思っています。正直申し上げますと、相当厳しいことを実は言われており ます。それはそもそも、例えば先ほど申し上げましたけれども特殊健康診断の補助ということで予算を組む のですが、現状はなかなかそれで受診していただけない。それはメニューとしての問題がある以上に今自治 体の方でも随分高齢者の方々を対象にしていろいろな健診のメニューを充実させてきており、そことの重複 なりダブり感みたいなものなどもいろいろあって、「そこはどうなんだ」という話の中で「そもそももう要 らないのではないか」と「そちらの方に全部任せてしまえばよいのではないか」という極端なことを言われ るわけですけれども、私どもとしてそのようなことで「そうしましょう」と言うのは簡単なのですが、やは りそこは家内労働者の方がやはり現実問題として危険有害業務に従事されている方が多いということが事実 としてあるわけです。それについて特殊健康診断の補助という形でやっていたものが健康の分野から何もな くなってしまうということではいけないということは先ほど言いましたとおりなのですが、そうは言っても、 「では実施率がここまで低いならどうするのだ」と言われたときに、同じようなものを引き続き要求してい きますということではこれは最終的にばっさり切られてしまうという可能性もあるわけです。やはり健診が、 逆に言えばどこかの機関で代わりがあるとすれば、現実問題でそこまでいかないまでも日々感じておられる 健康不安あるいは体調の不安やそういうものを健診という形でなくても気軽にご相談いただけるような相談 会みたいなものはやはりあってよいのではないかと考えまして、今回、平成20年度につきましては健康相談 会という形で行いたい。そうであれば逆にむしろ広くいろいろな不安を抱えておられる方が来ていただける ということになるという形で見直しさせていただいているところです。 ○佐々木課長補佐  積算根拠につきましては直接的にこの20万人すべてに回れるような要求の形にはなってはおりません。  ただ当然20万人の家内労働者がいてそれが前年度からどれぐらい減少しているのかということも踏まえて、 それぞれの家内労働者の作業をしている場所や委託事業所に巡回指導している指導員について要求させてい ただいておりますが、こちらについては昨年度の実績等も踏まえて見直しを図った上で要求させていただい ております。 ○水野部会長代理  参考の方で書かれたテレワークの関係予算について少しお伺いしたいのですが。  従来ここのところは、何年かこの部会に所属させていただきまして、いわば日本全体の構造の反映ではあ るのだと思うのですが、製造業が空洞化してきて、労働者側の方は最低工賃をもう少し上げるように言われ 使用者側の方は「こんな高いものを支払って今頼めませんよ」と「全部中国に出してしまっていますから」 というようなやりとりがされる中で、非常に不毛な作業をしているという気がしておりました。  一方では日本の中のそういう在宅労働者たちが非常に安い賃金で労働契約ではなくて委託やあるいは委任 契約というような形で、一日ものすごく長時間コンピューターの前で働いても生活を維持できないような形 の労働をしている。それはなかなか外注できない日本語能力を使っての労働ですから日本の中で行われてい るという労働状態の変更があって、そしてそういう構造変革に似合う形での、日本語労働者などの労働契約 という形で労働法の保護を受けない労働者たちの全体の保護をどこの場所で議論をしていただいているので すかという話に何度かなったのです。この場でお互いにみんな嘆き合うというのではなくて、どこかでは建 設的に議論をしていただいているはずでしょうから、ここは取りあえず非常に先細りになっていったにしろ、 まだわずかに残っている製造業の家内労働者の方々のことを取りあえずは考えましょうということで終わっ ていたのですが、ここの参考に挙げておられるテレワークの関連予算がまさに毎年そういう形でみんなで嘆 き合って終わっていたことを考えてくださるような場の予算になっているのか、そしてそのような審議が進 んでいるとすれば、そことの連携ということも考えたいと思うのですが、そういういわば厚生労働省のお考 えの枠組みと全体の施策の進行の今後の設計についてできればお伺いしたいのです。よろしくお願いします。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そちらの関係につきまして説明させていただきます。まさにご案内のとおり、いわゆる家内労働法でいう ところの家内労働者の数が減っている一方で、テレワークあるいはテレワークに限らず在宅形態でいわゆる サービスの方を提供している形態あるいは物の加工といったものの労働者の数が多分増えているのであろう ということは言われていますし、実はこれについては政府部内におきましては「テレワーク人口倍増アクシ ョンプラン」というものがあります。なぜ倍増なのかということは私もわからないのですが、少子高齢化な りで、労働者がどんどん減っていく中でいろいろな働き方を認めていくべきだということが主張であります。 あるいはワーク・ライフ・バランスという形で職場と住居が一緒なのですから、そういう意味でも今後伸ば していくべき形態という中で、政府としては中身はともかく倍増するという計画が実施されているというこ とですけれども、そこの倍増というのは当然のことながら条件が幾つかありまして、その一つが適正な就業 環境の下での倍増となっています。  ではそのプラン全体としてどうまわしていくかということに関してインフラの整備であれば総務省あるい は国土交通省だろうと思います。あるいは委託者の方の事業振興ということであれば経済産業省が所管され ていることだろうと思います。ただこのプラン自体に厚生労働省も参加しており、そこで参加している意味 はまさに私が申し上げました適正な就業の下でなければ、極端な話でそんなことはないと思いますが仮に非 常に適正でない状況であるとすれば伸びていくこと自体が難しいでしょうし、そこで必要なルールを作って いかなければならないという形になっております。  実は政府部内としてそういう各省庁がそれぞれの所管のところで動いているのですけれども、厚生労働省 は今何を実施しているかと言いますと、そうはいっても現状を知らなければ、そもそも対策が必要ないかも しれない、もしかしたら今でも十分快適になっていてそれでいいのかもしれない、でもそうではないかもし れない。その実態を把握した上でなければそもそも対策の是非・可否、そういうものを議論する前提が欠け ているではないかという認識で、若干対策的には後手に回っているのですが、平成20年度につきましては実 態調査をそれなりの規模で実施したいということです。2千百万円の予算ですが、調査予算としては結構なも のであり、それはそれなりの位置付けで厚生労働省としても少なくとも実態の把握をしていきたいと考えて います。  どういう場で検討がなされるのですかという話がありましたけれども、労働政策審議会の方針でやられる 分にはいいのだと思いますが、現状においては労働政策審議会の中の雇用均等分科会が一義的には所管にな ると思いますけれども、ただ現状においてそういう議論がされているかというと、実はされていないという のが事実です。それはもちろんそういう必要があるのかもしれませんけれども、私どもとして今考えていま すのはやはりそこで議論するにしろ、しないにしろ基礎となるデータなしで、感想論ばかり議論しても仕方 がないという思いもありまして、今回予算を要求しているということです。いずれ結果等をまとめて公表す るという形になると思いますが、もし何かそこにおいて政策的なアクションなり何なりが必要だというよう な状況が判明すれば、当然そこは先ほど言いました倍増プランというものが政府部内にあるわけですので、 そことの関係において必要な対応が出てくると思いますし、その場合には当然労働政策審議会など適当な場 で議論をされるということです。それは別に今から予定しているわけではありませんけれども、そういうこ とも可能性としてはあるのではないかと思います。その際に、当部会の方で担当しています製造系の在宅就 業の現状なり法的な枠組みなどが参考にされることになるもかもしれませんし、あるいは合同で何か議論す るというようなことが必要になってくるのかもしれませんけれども、そこはまだ予見をもって言える状況に なく、ただ、可能性としてはそういういろいろなチョイスはあるのだろうとは思います。 ○山本委員  今の意見をいろいろ伺っておりまして、製造業の家庭内労働の今の賃金の中身ですが、これは製造業だけ に当てはめなければいけないものなのかどうかという、その辺の縛りが何によってされているのかというの が疑問です。それから新設というところで、どういうものが新設のプライオリティーが高いかということが 最初に書いてありますが、「関係団体等から新設の要請がなされているもの」や「継続性のある業種で家内 労働者数が相当数存在するもの」それから「他地域との関連性が強いもの」というのがプライオリティーが 高いとなっておりますけれども、今のようなお話を聞くと、世の中が変化していけばそういうものに該当し ない中に実は家庭内労働の問題が起きているという危険性はないのかということを感じます。今度のテレワ ークなどの調査をするとわかってくるのでしょうけれども、むしろ家庭内労働者数が減っているというよう に表向きは見えていて、実は形を変えて他のところには多くの家庭内労働者が存在しているということが起 きていて、そこが見落とされているのかなという感じも少ししました。  今のようなことで、新設についての最初の3つのプライオリティーというのは、喉元を締めているような ことになっているので、実際の社会の変化を吸収するだけの広がりを持てないまま、ここが一つの抑制源に なっているのかなというような感じも少ししたのですが、その辺はいかがでしょうか。 ○高崎短時間・在宅労働課長 お手元の資料No.4-1の第9次の計画方針の2の新設のところに3つの要件を掲げており、ここに該当するもの について優先的に検討を行うという形に整理されています。これ自体が抑制源になっているのではないかと いうご指摘あるいは問題意識が示されましたが、最低工賃、もっと申し上げますと現行の家内労働法という のは、在宅において作業する業務の中でいわゆる製造と言いますか、物の加工などをしている人たちのみを 対象として法律が立てられているということであります。そこで働く労働者の方々については、現状では先 ほど外国との業務分担の話などが出ましたけれども、いろいろな要因において数が非常に減少してきている ということだろうと思います。そういう中にあって新設するということになりますと、いわばある意味特殊 な状況が生じた場合に新設ということになるのだろうと思いますけれども、そこはやはり新しい分野でそう いう製造等の仕事が生じて、そこで作ってほしいというニーズがあるとか、あるいはそこで働く人が非常に 増えているのにそこにないのはやはりおかしいというような中で生じてくるのかなと思います。これはこれ で製造系の家内労働者の最低工賃の新設の基準としてはそれなりの機能を果たし得るのかなと思います。  現状はそれによってどんどん新設される状況にないだけで、状況が生じればそこは一つの受け止められる 方針になっていくのかなと思っています。ただ問題なのは、そもそも製造系の在宅形態のものに限っては、 家内労働法というものが今日的に見て良いのか悪いのかというのは、水野委員が問題提起をされたところで ございますし、山本委員からも同様の感想やご意見をいただいたところです。  私どもも実はそこは問題意識として持っていて、ただ多分ここはある意味私の個人的な意見になるかもし れませんが、家内労働は製造系、危険・有害な仕事であるということと、やはりテレワークに代表されるよ うな作業とはそういう意味では少し違う。ただし、例えば目が非常に疲れたりあるいは家内労働者と同じに 生活との切り離しというものがなかなかうまくいかないとか、あるいはどうやって管理するのか、あるいは 非常に工程面でのいろいろなものがきつ過ぎて、生活との両立ができないといった問題があるという意味で は、もしかしたら家内労働者と共通する部分があるのかもしれない。そういう意味では家内労働者と共通す る点もあれば相違点もある。そうなってくると必要とされる対策の有無も含めてやはり違う。でもそれを議 論するには実態を把握してからでないと始まらないということで、今回予算要求をしていくということでご ざいます。  そういう意味では私どもとしては結構大きく踏み出していると言いますか、約2,100万円の予算要求をして 、少なくとも実態を見てからきちんと議論しましょうということで考えてます。それは多分昨年度までとは 状況が違っているのではないか。それは私どもだけが言っているのではなくて、先ほども言いましたように 政府全体の方針でもあるし、今回新しく総理になられました福田総理の政権公約の中にもテレワークを倍増 するということが載っていて、政府部内の中でも少子化の問題やワーク・ライフ・バランスの問題などいろ いろな切り口からも、一つの重要な政策課題として浮上してきていますので、私どもがどうこうというより も検討せざるを得ないという、お尻に火が付いているということがあると思います。そういう中で、では従 来のものをどうしていくのかというのは、それとは別途きちんと議論をしなければいけないと思っています。 ○山本委員  どうもありがとうございます。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。 ○加藤久美子委員  在宅就業者の実態調査に期待したいと思います。よろしくお願いします。予算の関係で1点質問ですが、 家内労働者の健康相談の実施の経費が200万円という、全国的に見て200万円というのは大変小規模だなと思 いますけれども、これはどのような形のものを計画されるのでしょうか。200万円というのは47都道府県の中 で割っても少ないだろうし。少し教えてください。 ○高崎短時間・在宅労働課長  これはまだ要求段階ですので、最終的に予算のセットがどうなるかということはありますが、現時点での 私どもの考え方は、例えば相談会をやるとなれば、当然医師を雇うとか場所を借り上げるということになる わけです。それはそれなりにお金がかかります。それで来た人が仮に1人だとしたら、それはそれでその人に とっては良かったということかもしれませんが、先ほど言った財政の論理からするとそれは許されない話で、 そうなってくると47都道府県すべて相談会ということにはなりません。それはある程度の規模があって相談 者がある程度見込まれるというところで集約してやっていく。「では近くで相談会が開かれない場合はどう するのですか」という場合は、別の相談の場を探してやっていただくことになるだろうと思います。少なく とも私どもとしては、ある程度家内労働者数がまとまった地域で参加者が見込まれるところに集中的にやる ということです。予算が少ないと、先ほどお話がありましたが、謝金と場所を借りるお金だけですので事業 費としてお金がかかるという事業ではありません。それなりの規模の相談会ができるという経費にはなって いると思います。そもそも相談会という形で、何千万とか何億円かかるという話ではないわけです。そこは 最小限ということかもしれませんけれども、一応手当てをするということで、逆に言えば47都道府県すべて で相談会を行うということではありません。 ○今田部会長  よろしいでしょうか。他にございますか。それでは次の議事に移らせていただいてよろしいでしょうか。  それでは次の第4の議事に移らせていただきます。「平成18年度家内労働調査結果について」事務局よりご 説明いただきます。よろしくお願いします。 ○佐々木課長補佐  「平成18年度家内労働調査結果について」ご説明させていただきます。  お手元の資料No.6として、紙で印刷したものと冊子の形になっているものを二つお配りしています。時間の 都合もありますので紙で配りしたものを中心にご説明させていただきたいと思います。  大変恐縮ですが、冊子でお配りさせていただいた方の中に正誤表をはさんでお配りしています。記載ミス があり1カ所間違えた結果、いろいろな所で同じ数字が使われているものですから、かなり間違っているよ うな感じですが、石川県の家内労働従事者数で記載ミスがあったものですから、冊子を後ほどご覧いただく 場合には、その正誤表を参照いただければと思っています。よろしくお願いします。  では、内容についてご説明させていただきます。「平成18年度家内労働概況調査」「家内労働等実態調査」、 平成18年度においてはこの二種類の調査を実施しました。概況調査の方は、都道府県の労働局において家内 労働法第26条に基づく委託状況届、監督指導結果、関係団体への照会などを通して、毎年10月1日現在の家内 労働者数、委託者数等を業種別、類型別、男女別に把握して家内労働対策の基礎資料としているものです。  それから「家内労働等実態調査」につきましては、これまで委託者、家内労働者そして家内労働類似の就 労形態ということで在宅就業、こういったものについて、テーマを毎年変えながら承認統計という形で実施 してきたものです。平成18年度のテーマは家内労働者の調査ということになっています。  まず概況調査の方から説明させていただきます。紙で配らせていただいている方の資料をご覧いただけれ ばと思います。  1ページ目の「家内労働従事者」ですが、家内労働従事者数は20万711人と昨年より1万5,914人減少してい ます。このうち家内労働者は19万1,995人、家内労働者とともに同居の親族などが補助者として従事している ものが8,716人ということになっています。この家内労働者について2以下で書いています。  家内労働者の推移ですが、ご承知のように家内労働法は昭和45年に制定したわけですが、それ以降につい ては昭和48年がピークでした。家内労働者自体としては184万4,400人という数字となっています。この年を ピークとして減少を続けてきているという状況です。平成18年の減少幅は資料にも書いていますように7.3% となっていて、昨年の減少幅は4.2%ですので、かなり上回っているような感じになっています。ただ、それ までの減少幅についても大体8〜9%台、多いときには12〜13%台の減少幅のときもありました。ある意味で 平均的な減少幅と考えていただいてよいかと思います。  続きまして男女別です。男女別で見ますと女性が90.7%という状況になっています。  類型別では家庭の主婦などが世帯の本業とは別に従事している内職的家内労働者数が18万371人で93.9%を 占めるという状況になっています。世帯主が本業として従事しているような場合を専業的家内労働者と呼ぶ わけですが、こちらは9,107人、4.7%という状況になっています。  それから業種別も例年と大きく変わるものではありませんが、一番多いのが「衣服、その他の繊維製品製 造業」です。こちらは5万5,578人で全体の約3割を占めるに至っています。2番目として玩具、人形、造花、 漆器などの製造に携わっている「その他(雑貨等)」というくくりになっていますが、こちらが15.7%という 状況で、3番目に多いのが「電気機械器具製造業」で15.4%です。この3業種で全体の6割を占めるという状況 になっています。  逆に減少幅の多い業種は「情報通信機械器具」で前年比24.6%減、それから「印刷・同関連及び出版業(う ちワープロ作業)」こちらについては前年比13.2%減となっています。  それから都道府県別ですが、家内労働者数1万人を超えているのが、これも前年と同様になりますが、静岡 県、東京都、愛知県、大阪府の4都府県という状況になっています。また前年と比べて増加しているのは石川 県、岡山県、高知県の3県という状況になっています。こちらについてはデータ上では原因がなかなかわから ないわけですが、実際に事務を担当している都道府県の労働局に確認してみたところ、いずれも自動車産業 の関係で委託量が増加したのが背景にあるのではないかという担当者の感触を伺っています。  それから次のページの危険有害業務についてですが、こちらの総数は2万607人という状況になっています。  家内労働従事者に占める割合も10.3%となっています。  3点目は委託者の状況です。委託者の状況は1万3,999人という数になっています。業種別に見ますとやはり 家内労働者の業種別の状況と同様に「衣服、その他の繊維製品製造業」が全体の38.6%、その次が「電気機械 器具製造業」こちらが10.6%、「その他(雑貨等)」が10.2%という状況で、こちらも3業種合わせて全体の6割 を占めるという状況になっています。家内労働概況調査については以上です。  1枚めくっていただいて、「家内労働等実態調査(家内労働者調査)」について簡単にご説明させていただき ます。  家内労働者調査につきましては、先ほどご説明したように毎年テーマを変えて調査を実施しています。  平成18年度実施したわけですが、その前に行ったのは平成15年度ということになっています。 平成15年度 に実施した家内労働者調査と比較しております。この調査項目自体は平成15年度の調査とほぼ同じ内容で実施 しています。調査は全国の家内労働者の中から一定の方法によって抽出した数、2,898人の方に調査票を送付 して実施しています。結果的に2,651人の方から回答いただき、回収率は91.5%という状況になっています。  調査の主な内容としては、家内労働者の属性、就業日数、就業時間数、工賃額、就業意識などについて、平 成18年9月30日現在の状況を把握したものになっています。調査の結果は資料の4枚目からのとおりです。  まず家内労働者の属性ということです。「年齢」については「60〜70歳未満」という層にいる方が最も多く、 こちらが3割近くを占めているという状況になっています。平成15年度調査でも28.6%ですので、若干増加し たという状況になっています。それから70歳以上という方も白い表紙の報告書に詳細は載っていますけれども、 70歳以上の方も15.4%という状況になっていて、60歳以上の方が全体の45%、約5割近くを占める状況になっ ています。  それから平均年齢は55.9歳と前回調査55.0歳より0.9歳ほど上昇しているという状況になっています。  2番の「経験年数」ですが「10年以上」が48.6%で約5割と最も多くなっています。次いで「3〜6年未満」が 21.2%、「1〜3年未満」が13.7%、平均経験年数は12.1年というようになっています。  それから「世帯主(主たる家計維持者)との関係」ですが、家内労働者本人が世帯主というのは全体の15%、 逆に言いますと世帯主以外の方が85%という状況になっています。しかしながら、報告書の12ページのところ に書いていますので後ほどご参照いただきたいと思いますが、男性の場合については世帯主である方というの が84.8%と逆の状況になっています。  それから「世帯主の就業状況及び月収額(家内労働者が「世帯主の妻」の場合)」についてですが、家内労働 者が世帯主の配偶者である場合、世帯主の就業状況について世帯主が雇用労働者であるという方が57.4%とい う状況になっていて、その際の平均月収額について最も多いのが「15〜25万円未満」で、25.2%という状況に なっています。  それから5番の「1か月の就業日数」ですが、これは平成18年9月の就業日数になります。「20〜25日未満」 が最も多くて39.8%という状況になっています。平均就業日数は18.4日という状況になっています。平均就業 時間数も平成18年9月のものですが、「4〜6時間未満」が33.7%と最も多い状況になっています。平均の時間 は5.6時間となっています。  それから「仕事量の変動」ですが、3年前と比較して減ったと答えた割合は36.2%、前回調査が47.5%です ので10ポイントほど減少しています。「変わらない」と答えた方が46.7%、「仕事量が増えた」と答えた方が 10.9%という状況になっています。業種別では金属製品において「仕事量が増えた」と答えた割合が一番高く なっていて、「仕事量が減った」と答えた割合では「印刷・同関連」でお答えになられた方の割合が一番高い という状況になっています。  それから次のページが工賃額になります。1カ月当たりの月収額になりますが、こちらについては「2〜4万 円未満」という方が一番多くて33.2%という状況になっています。平均工賃月収額については4万5,162円とい う状況になっています。  9番に「1時間当たりの工賃額」について書いていますが、こちらも「200〜400円未満」の方が35.6%で一番 多いという状況で、全体でも800円未満という方が9割弱という状況になっています。  それから「必要経費」についても「必要経費あり」と答えた方は全体の20.3%という状況になっています。 その答えた方の平均の必要経費額は1万1,083円です。  それから「工賃の支払い」ですが、工賃の支払いは金融機関を通してというのが最も多くて44.3%という状 況になっていますし、「1か月に1回支払われている」状況にある方が95.7%で、ほとんどの方がこういう状 況になっています。  「受託関係」につきまして、原材料とか加工品の受渡し場所は「自宅」と答えた方が62.0%という状況にな っています。委託契約の方法として「家内労働手帳」を交付されている方が77.6%という状況になっています。 それ以外で何らかの文書によって委託契約を締結しているという方は全体で9割を超える状況にはなっていま すが、口約束という状況も8.6%程度見られます。  それから13番「安全衛生等」の関係です。  調査したもののうち、災害発生のおそれのある機械・原材料を使用している方は17.4%の割合となっていま す。その場合、使用している機械・原材料で一番多いのが「織機・ニット編機・撚糸機・合糸機」こういった ものが約4割となっていまして、複数回答になっていますけれど、次いで接着剤などを使っている方が32.3% という状況になっています。こういった方で危害を防止するための措置を講じている割合というのが32.5%、 前回調査が40.9%ですので若干下がっているという状況になっています。それから健康診断につきまして予算 でもいろいろご説明しましたが、過去1年間に健康診断を受診した割合が65.7%となっています。この受診し た方のうち、市町村などが行う健康診断を受診した方がそのほとんど98.9%を占める状況になっています。  それで「特殊健康診断」(有機溶剤・鉛等)の受診というのは1.1%という状況になっています。受診した場 合、委託者側の指導があったかどうかということも聞いていますが、こちらは6.9%に留まっているというこ とになっています。まこちらは報告書で後ほどご覧いただきければと思いますが、28ページに記載している受 診していない理由として「必要性を感じていない」と答えられた方が54.6%と約半数を占める状況に至ってい ます。それから過去2年間に家内労働を原因とするけが、病気ですが、こちらについては0.7%と平成15年度に 比べ若干下がっているという状況になっています。  最後に家内労働者の就労意識ですが、「なぜ家内労働を選ぶのか」で、「家計の補助のため」と答えた方が 約6割という状況です。その他に「余暇時間を活用するため」が35.8%、「自分の自由になるお金を得るため」 が33.3%という状況になっています。  選んだ理由としては「都合のよい時期・時間に働けるから」というものが60%と最も多い状況になっていま すが、こちらも報告書に書いていますけれども「家事・育児のため外に出て働けない」と答えた方も約3割近 く28.6%いらっしゃるという状況になっています。家内労働以外の仕事の有無、それから家内労働を始める 直前の仕事ですが、家内労働以外の仕事を「していない」と答えた方が83.7%と大半を占めています。家内労 働以外の仕事はしていないと答えた方のうち、直前の仕事は何をしていたかという質問をしていますが、「何 もしていなかった」と答えた方が40.2%という状況になっています。それからその次にパートタイマー、正社 員をやっていたという順になっています。家内労働の継続希望について「続けたい」が87.2%という状況にな っています。「やめたい」と答えた方は12.8%いらっしゃるわけですが、こちらは報告書に詳細が記載されて いますが、「やめたい」と答えた方について「今後何をやりたいか」ということをお聞きしています。 「パートタイマーになりたい」と答えた方が37.7%と一番多い状況、次いで「仕事はしたくない」と答えた方 が24.1%、「正社員になりたい」と答えた方が10.6%という状況になっています。  最後に家内労働をする上で困っていることについては、約半数の方が「困っていることはない」と答えてい ます。「困っている」と答えた方の理由としては「工賃が安い」「仕事があったりなかったりする」こういっ たものが半数以上で、それぞれ68.8%、55.0%という状況になっています。  駆け足で恐縮ですが、以上が調査の説明になります。 ○今田部会長  ありがとうございました。これについて何かご質問がありましたらどうぞ。よろしいでしょうか。  一応今日の議事については終了しました。他に何かご意見がございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。  では以上をもちまして議事が終わりました。本日の部会はこれで終了させていただきたいと思います。議事 録の署名委員は委託者側として山本委員、よろしくお願いします。家内労働者側として川本委員、よろしくお 願いします。それではありがとうございました。終了させていただきます。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局短時間・在宅労働課家内労働係(7879)