07/09/20 第27回社会保障審議会医療保険部会平成19年9月20日議事録         社会保障審議会医療保険部会(第27回)議事録                             平成19年9月20日(木)                    専用第18〜20会議室(合同庁舎5号館17階)  糠谷部会長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより第27回医 療保険部会を開催いたします。委員の皆様には、本日は御多忙の折、お集まりをいただ きまして大変ありがとうございます。  開会の前に、委員の異動について御報告申し上げます。井伊委員が退任され、新しい 委員は現在、選任中とのことでございます。  本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は岩村委員、逢見委員、大内委員 より、御欠席の連絡をいただいております。続きまして欠席委員のかわりに出席される 方についてお諮りいたします。逢見委員の代理として小島参考人の御出席につき、御承 認をいただければと思いますが、よろしいでしょうか。 (異議なし)  糠谷部会長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。  それから、前回の医療保険部会以降、厚生労働省保険局幹部にも人事異動がありまし たので、事務局より御紹介をお願いします。  深田課長 それでは御紹介いたします。最初に、医療保険・医政担当審議官の木倉で ございます。  木倉審議官 木倉でございます。よろしくお願い申し上げます。  深田課長 それから、保険局総務課医療費適正化対策推進室長の大西でございます。  大西室長 大西でございます。よろしくお願いいたします。  深田課長 それから、保険局総務課長になりました深田でございます。どうぞよろし くお願いいたします。また、本日は社会保険庁の運営部長の石井も、異動で新しく新任 になりましたけれども、本日は所用のために少しおくれて来るということでございます。 以上でございます。  糠谷部会長 それでは議事に入らせていただきます。本日の議題の1つ目として、現 在、後期高齢者医療のあり方に関する特別部会で検討が進められており、先日、9月4 日の特別部会において、事務局より提出されました「後期高齢者医療の診療報酬体系の 骨子(案)(たたき台)」について、御議論をいただきたいと思います。まず事務局より 説明を受けた上で、委員の皆様から御意見等をいただき、特別部会における後期高齢者 医療の診療報酬体系の骨子の取りまとめに向けた議論に供していきたいと思います。  議題の2つ目としまして、「平成20年度の診療報酬改定に向けた検討について」が挙 がっております。これに関しては、中医協のあり方に関する有識者会議報告書に基づき、 診療報酬の改定に当たっては、社会保障審議会医療部会及び医療保険部会において定め る診療報酬改定の基本方針に沿って、中医協において議論することとされております。 平成20年度診療報酬改定に向けて、この診療報酬改定の基本方針を定める必要がある ことから、今回より議論していただくこととしております。  議題の3つ目といたしまして、「平成20年度予算概算要求について」が挙がっており ます。これに関しては、被用者保険間の格差の解消について、今回、御議論をいただき たいと思います。  それでは、まず事務局より、「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)(たたき 台)」について、説明をお願いいたします。本日は大変議題が多く、手際よくやりたい と思いますので、御協力をお願いいたします。それではまず、事務局より、「後期高齢 者医療の診療報酬体系の骨子(案)(たたき台)」について、説明をお願いいたします。 多くの委員にできる限り御発言をいただくため、事務局からの説明は簡潔にお願いいた します。  原課長 医療課長でございます。お手元の資料1-1と資料1-2でございます。資 料1-2の方を先にごらんいただきたいと思います。これまでの検討状況について、簡 単に御紹介いたします。  1ページ目でございますが、後期高齢者医療の診療報酬について、どうするか。その ために、医療のあり方に関する特別部会を、社会保障審議会の中に、昨年の10月、設 置していただきました。特別部会の部会長には、本部会の糠谷部会長にお願いをしてお ります。  2ページ目でございますけれども、この特別部会で昨年の10月から今年の3月まで、 現場のさまざまな意見のヒアリング等、あるいは、中での議論を踏まえまして、基本的 考え方の取りまとめをしてまいったところでございます。最終的に4月の11日に、基 本的考え方を取りまとめまして、それに基づきまして、パブリックコメントをとったと ころでございます。それらも踏まえて、今年の6月、7月には、特別部会で医療の、診 療報酬改定に向けての具体的なあり方について、議論をいただきました。  今月の4日に、11回目の特別部会を開きまして、今回、御紹介いたします診療報酬 体系の骨子(案)のたたき台を、事務局から提示をさせていただいたところでございま す。先日、14日の医療部会で、このたたき台について御意見をちょうだいいたしまし たし、きょう、御意見をいただいた上で、来月のできるだけ早い時期に、後期高齢者医 療の診療報酬体系の骨子の取りまとめを、特別部会で行っていきたいと考えております。 それを踏まえまして、中医協において、個別の点数について議論を進めたいと考えてお ります。  3ページ目は、診療報酬改定全体のスケジュールですが、9月の末から10月、11月、 12月にかけて、具体的に中医協の方で、点数に向けての基本的な問題について、いろ いろと議論をしていくことになっておりまして、その中で、この後期高齢者医療の診療 報酬体系についても議論していただくことにしております。  4ページ目でございますが、これは先ほど申しました、4月に取りまとめていただい た基本的考え方についてをシェーマにしたものでございます。参考にごらんください。  それでは資料1-1、たたき台について、簡潔に御説明をいたします。まず、前段に 3つほど丸があります。これは、この後期高齢者医療の診療報酬体系を決めるに当たっ ての経緯等について述べたものでございます。説明は省略させていただきます。  1番目の項目としては、後期高齢者にふさわしい医療(基本的事項)として、ここで は、先ほどの基本的考え方にありました、後期高齢者の心身の特性について、3点ほど まとめております。そして、これらの特性から、具体的にどのような考え方で医療を考 えていくのか、その視点について、これも基本的考え方に述べました3点--1つ目は 後期高齢者の生活を重視した医療。これは慢性的な疾患が多いということから、生活を 重視した医療が必要であるということ。2点目は、次のページになりますが、尊厳に配 慮した医療ということ。これは後期高齢者の長い人生というものもありますし、それか ら、例えば認知症等も見られることから、やはりその後期高齢者の尊厳を重視した医療 が必要であろうということ。それから3点目は、後期高齢者及びその家族が安心・納得 できる医療。そのような視点が必要だというふうにまとめております。  それから次の2つの段落ですが、これは、例えば74歳までの状況と、75歳になって、 人体の状況が急激に変わるわけではない。また、疾病の発生状況から見ても、74歳以 下と75歳以上について、基本的なところで大きく医療として変わるものではないとい うことから、基本的な内容は74歳以下と連続しているものであるという認識を示して おります。ただ、その中でも、やはり後期高齢者により特性のある、先ほどのさまざま な状況がありますので、それらにふさわしい医療というものを体系立てていってはどう か。そのような、特徴あるところを踏まえて、次に2段目以降の具体的な話を構成して おります。  2項目目、後期高齢者医療の診療報酬に反映すべき事項ということであります。後期 高齢者の医療の診療報酬に関しましては、老人保健法のもとで、老人診療報酬という体 系ができ上がっていたわけであります。この中では、やはり高齢者にふさわしい医療と いうものを、長年、工夫をしてきたところがございます。ただ、その中で、うまくいっ た点、余りうまくいかなかった点、さまざまございますが、それらの利点や、あるいは 反省点を踏まえて、それらも生かしながら、今回の診療報酬体系を考えてはどうかとい う点を述べたところでございます。  3ページ目でございますけれども、ここからは、外来医療、それから入院医療、それ から在宅医療、それから終末期の医療、4つの医療の場面に基づいてまとめております。 外来医療についてですが、3点出しております。  1つ目は、後期高齢者を総合的に診る取り組みの推進。先ほどの、心身の特性から言 いますと、外来医療の場面というのは、まだ、後期高齢者の患者さんそのものは外来に 通えるという状況ですので、寝たきりの状況ではない。そういう中での医療というのを、 場面を考えますと、慢性的な疾患を多くの方が持っておられまして、しかも複数の疾患 を持っていることから、複数の医療機関にかかることも多々ある。ただ、そういう中で、 やはり後期高齢者御本人を一人の人として、全体を、医療的な面から全体にその方を診 ていただく主治医というものを求めていってはどうかということでございます。  その主治医の役割としては、ここでは3点にまとめております。例えば病歴、受診歴、 服薬状況等、医療の状況について、他の医療機関の状況も含めて把握をしていただくこ と。それから2つ目には、基本的な日常生活の能力や認知機能、意欲等、例えば一つの 慢性疾患、例えば高血圧で受診をしておられる方であっても、高血圧の治療だけではな く、その人全体として、特に後期高齢者ですので、さまざまな疾患が発生してくる可能 性がありますので、そういうものをしっかりと、年に何回か、総合的な評価を行って、 しっかり把握していただく、それを療養や生活指導で活用していただく。このような役 割。  それから、自己の専門的な分野でない治療が必要な場合も当然考えられますので、そ ういう場合には、適切な医療機関に紹介をしていただく。それは情報共有をしていただ いて、もちろんその治療内容もしっかりと把握していただく。このような役割をしてい ただけるような主治医というもの、これを評価してはどうかということでございます。  2段目は、外来医療における分野で、先ほど申しましたように、複数の医療機関に受 診する場合も多々ございまして、そういう場合、よく、重複して投薬される内容として は、胃薬等があります。いわゆる胃薬などは、いろいろな医療機関でもらわれる可能性 があります。いわゆる重複投薬というものを防いでいく必要もあるでしょう。そういう 中で、十分な情報の管理、薬歴の管理をしっかりとやっていくということが重要である。  それから3点目は、この後も多々出てまいりますけれども、医療関係者のみならず、 患者や家族と情報の共有をしていただく。それと、医療機関同士であれば連携というも のも重要になる。これは、さまざまな医療や福祉のサービスが、1人の人をめぐってか かわっていくわけですので、そのときに、その患者さんの状態をみんなで一定に共有を して、その人にふさわしいサービスが、それぞれの場面でどうあるかというものを考え てもらうために、その情報の共有化を進めてはどうかということでございます。  手段としては、そういう関係の方々が一堂に集まるカンファレンスの形式もあります が、それ以外も、なかなか集まれない場合も想定されますので、その情報の共有化と連 携の強化というものを、診療報酬上、考えてはどうかということでございます。  入院医療についてでございますが、先ほども述べましたように、多くの場面での、急 性期の治療そのものについては、恐らく74歳以下と変わることはないと考えられます が、ただ、だんだん、75歳以降になってきますと、やはり慢性化をしやすい、あるい は治りにくい、あるいは後遺症が残る、そういうふうなことも多々考えられますので、 ここでは退院後の生活というものをしっかりと見据えた形のものを考えてはどうかとい うことでございます。  1点目は、入院中に、退院後の生活を見越した入院治療というものを考えてはどうか、 と。もちろん、例えば急性期の何らかの疾患で入ったとして、その治療そのものは入院 医療の中でやっていくわけでありますが、一定段階になりますと、退院を視野に入れた 中で、入院中でもさまざまな治療が必要になる場面が出てまいります。そのための計画 的な治療を評価してはどうかということであります。  それから、先ほど外来でも出てまいりましたけれども、2点目は、入院中に主たる目 的の病気以外も含めて、その方の、医療面からの全体的な状況の把握、総合的な評価と 言っておりますが、そういうものをしっかりとしていただいた上で、退院後のさまざま な必要なサービスを結びつけていただく。そのようなことも考えてはどうか、と。  それから3点目は、特に高齢者になってまいりますと、環境の変化というのは非常に 大きなストレスになりますので、特に入院から退院へ向けての、その準備というのが非 常に重要である。そのための、退院の調整であるとか、あるいは退院前の指導とか、そ のあたりは重点的に評価をすべきではないかということでございます。これによって、 入院から退院後の治療への、スムーズな転換というものが考えられると考えております。  3点目、在宅医療でございますが、通院ができない状況になってまいりますと、どう しても、その方がおられる場所へ行って治療をする必要があるし、そういう場面が出て まいります。その中での重要な事項として、何点かを述べております。1番目が、先ほ ど少し触れましたが、情報共有と連携。まさしく在宅医療になりますと、特に福祉サー ビス、介護サービス、こういうものがたくさんかかわってまいりますので、そういう場 面で、医療関係者とそういう福祉関係者との情報共有と、それから適切なサービスの形 態といいますか、サービスを適切にしていただくための情報共有と連携、そのための仕 組みを考えてはどうか、と。  それから2点目でございますが、先ほどは入院から退院へ向けてのスムーズな流れと いうものを考えましたが、在宅医療においても、在宅医療から入院が必要な場面も多々 出てまいりますので、円滑な入院に向けての連携というものができるような、そういう 仕組みを考えてはどうか。そのために、診療所等と病院等の連携を、しっかりと考えて いきたい。強化をしてはどうかということであります。  5ページ目ですが、在宅の歯科診療。特に、いわゆる寝たきり状態になりますと、ど うしても口腔の衛生管理が行き届かない。そのために誤嚥性の肺炎なども発生しやすく なるというようなことも言われておりますので、そういう意味では、口腔衛生管理とい うのは非常に重要な点であります。そういう意味で、口腔衛生の管理や、あるいは在宅 における歯科治療といったものを、しっかりとしていただく必要があるという点でござ います。  それから、在宅療養における服薬支援でありますが、特に在宅医療の場面で、薬がた くさん出るわけですけれど、薬袋から開けてしまいますと、どの薬をいつ飲むのかとい うのが、だんだんわからなくなる。そういうふうなことも多々あって、飲み忘れという こともあるというふうな状況ですので、そういうことのないような工夫、在宅での服薬 の管理をしっかりと指導していただこうという点でございます。  それから、在宅医療を進める上で、なくてはならないのが訪問看護の体制でございま す。訪問看護の役割は重要でありまして、ただ、退院前後からの支援、あるいは緊急時 の対応、あるいは非常に頻繁に行かなければいけない状況が出てきたりと、そういうふ うなことが多々あるということですので、そういう点について診療報酬上、十分に評価 をすべきではないかという点でございます。  それから、在宅医療という言葉ですけれど、必ずしも自宅という場面ではなく、これ からますますふえてくる後期高齢者の方々において、その医療をどの場面で見ていくか というときに、特に介護施設と言われている中でも、居住系の施設というものが、これ からますます重要になってくるだろう、ますます必要になってくるだろうと考えており まして、そういう場面における医療をどうしていくか、その工夫もしていく必要がある ということでございます。  4点目は、終末期における医療についてということで、この場面、終末期の医療を、 これでもって規定をするというわけではありませんが、ただ、終末期の医療に臨んで患 者さんがどのような医療を望まれるのか、あるいは家族がどのようにそれを理解するの か、そういうところで十分な話し合いといいますか、十分な情報提供が必要であろう、 と。その上で、御本人が、どのような終末期の医療を望むのかという点を、文書でもっ て示しておく必要があるのではないか。これはもちろん、診療内容そのものは、やはり 時と場合によっては、どんどん変わってまいりますので、それはその場面によって、そ の書面を変えていけばいいわけですけれど、書面でもってしっかりと情報の共有をしよ う、と。そういうものを評価してはどうか。それによって、医師のみならず訪問看護師 さん、あるいは訪問薬剤師さん、訪問歯科医師、そういうふうな関係者がそこへ行った ときにも、どのような終末期を望んでおられるのかということをしっかりと皆で考えた 上で、そのサービス提供を考えていく必要があると考えております。  終末期医療の2点目、疼痛緩和ケアでございます。日本の死亡率は、やはりがんでの 死亡率が1位という状態が、当面ずっと続くわけでありますけれども、特にがんの末期 の疼痛緩和というものは、当然ながら必要になりますし、それから在宅でのターミナル ケアを考えたときに、そこでの疼痛緩和というものは非常に重要になる。そういう意味 で、在宅における疼痛緩和ケアをしっかりと進めていく必要がある。その上で、特に麻 薬を頻繁に使うようになりますので、その管理について、しっかりとやっていただく必 要がある。もちろん疼痛緩和そのもの、治療そのものも重要でありますし、それから、 あわせて麻薬の管理をしっかりと、薬剤師さんを中心に指導していっていただきたいと いうことでございます。  そのほか、留意すべき事項として3点ほど述べておりまして、先ほどから述べました ように、後期高齢者は、生活をしながら治療を受けるという場面が多く出てまいります ので、そのためには、そこにかかわっている医療関係者や、あるいは介護・福祉関係者 等、こういう方々での連携を進めるための情報の共有が非常に重要であるという認識を しています。  それから、こういう連携や情報共有によって何が得られるかというと、適切なサービ ス、それから重複しているようなサービスの節約といいますか、そういうものの抑制と いうものが考えられる。  それから、この新たな制度で、被保険者の後期高齢者は、1割の自己負担を持ちます し、あるいは保険料としても給付費の1割を負担することになってまいりますので、そ のためにも、制度の持続性等を考えた上で、やはり効果的・効率的な医療提供の視点は やはり必要であろうという認識を示しているものであります。  以上が、今回お示ししたたたき台でございます。どうぞよろしく、御意見をちょうだ いしたいと思います。  糠谷部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明や資料に関する質 問も含めまして、御自由に意見交換をお願いできればと思います。なお、資料を提出い ただいている委員もおられますが、御指名は特にいたしませんので、補足等、説明の必 要な方がありましたら、あわせて御発言をいただければと思います。それでは、お願い をいたします。  鈴木委員 この後期高齢者医療制度の議論が始まってから、総合科の創設とか人頭払 いとか、いろいろな議論がなされましたけれど、前回行われた医療部会では、そういう ことは一切考えていないということですので、衣の下によろいを着ていないのであれば、 少し穏やかな表現に、文言を変えていただきたいというのが意見です。  それは、例えば2ページ目、下から2番目の、「みだりに行わない」というところと か、3ページ目の外来医療のところの「一元的に把握する」とか、あるいは最終、6ペ ージ目の、今、最後に御説明がありましたけれども、「効果的・効率的」、「重複」とい うような言葉は、もう少し穏やかな表現に変えられないかというところが、まず一点で す。  それから2点目ですけれど、これは事務局への質問になると思います。4ページ目、 情報共有と連携のところで、「主治医等が中心となって」ということですけれど、医療 面での中心が、医師以外の者が中心になるというのは、ちょっと考えがたいので、その 辺の御説明をちょうだいしたいというのが2点目です。  3点目は、5ページの一番最後の段落、下から2行目ですけれど、終末期の医療とい うのは非常に重いと思いますし、これからも重要な課題となっていくというふうに考え ているのですけれど、看取りで、訪問看護だけではなく、「訪問診療・訪問看護が果た している役割を踏まえて」というふうに加筆していただきたい。この3点でございます。  原課長 まず一点目ですが、表現について御意見をいただきました。例えば2ページ 目の、「検査、投薬等はみだりに行わない」というのは、今の療養担当規則の中に、こ の文言がありますので、そのまま引用したということであります。従来からも、やはり、 何となく漫然とやってきたというところが、多分、あったということを踏まえて、療養 担当規則でも、このような言葉が使われているのだろうと思います。そのあたりは、ま た、検討してみたいと思います。  それから3ページ目の、「一元的に把握」ということですが、これはいろいろな医療 機関へ行っておられて、ただ、主治医がやはりしっかりと把握してもらうという必要が ある。主治医はいろんなところの情報をしっかりと持ってください、と。そういう意味 で「一元的に」ということで、別にその人だけが持つという意味ではなくて、主治医と しては情報をしっかりと持ってくださいという、そういう意味あいで使っています。  それから最後のところ、「効果的・効率的な医療」は、やはり求めざるを得ないので はないかと……。  鈴木委員 重複投薬は、やはり防がなければなりませんので。  原課長 重複投薬は、やはり、むだはむだなので、できるだけ避けるということは、 やはり必要なのではないかという認識のもとに書いております。御返答は、ちょっと、 そういうことだけにさせていただきます。  2点目、4ページ目の在宅医療についての1行目、「後期高齢者の在宅療養を医療面 から支えるには」云々とあって、その後に「主治医等が」とある、この「等」が何かと いう御質問ですが、ここは、だれが何をするかというところでいきますと、何をやって いただくかというと、情報の共有や連携を図る。具体的な情報のやりとりとか、それを やっていただくというための役割ということで、ここでは何を考えているかといいます と、特に在宅療養支援診療所などに併設されている訪問看護ステーション等があります と、忙しい主治医ではなく、この訪問看護ステーションの看護師が、そういう情報のや りとりの中心になっている場合も多々あるというふうに聞いていますので、そういう意 味での「等」をつけている。医療そのものをやるわけではなくて、情報の共有化のため の役割という意味で、そういうものを想定しております。  それから3点目は5ページの、看取りのところの最後の2行ですね。ここは決して、 訪問診療をないがしろにしているわけではなくて、訪問診療がなければ最後の死亡診断 もできませんので、当然でありますけれども、ただ、これはあえて、委員の意見から出 てきたので、この2行をつけ加えてありますのは、今の、現在の体系の中ではやはり訪 問看護の分が非常に少ない。特に、だんだん末期が近づくにつれて、訪問看護は頻繁に 行かなければいけないというような場面がある中での、その評価が低いので、という意 見があったので、ここでは、そういう形で書いてあります。訪問診療も当然ながら重要 だという認識をしておりますので、そのあたりはまた工夫をしてみたいと思います。  神田委員 いよいよ後期高齢者医療制度というのが、来年から本格的に動き出すわけ でありまして、私ども都道府県あるいは市町村の立場で言いますと、その受け皿になる 後期高齢者の保険の仕組みなどを、今、鋭意、広域連合として準備に取りかかっており ます。かなり進んでおりまして、今、特に私どもが関心がありますのは、この保険料が どうなるだろうかということ。それから、こうした新しい形での医療がどう変わってい くのだろうかということ。この2つが、やはり住民の関心事でもありますし、地方行政 にとりましても大きな関心の的であります。  きょう、いろいろお示しをいただいたわけでありますけれども、正直に申し上げて、 もう、いよいよこれをスタートしなければならないときに、私は、この議論は大分おく れているのではないかと思っております。後期高齢者の医療がどうあるべきか。もう、 今は具体的な準備作業にどんどん入っていかなければならない時期だけに、ちょっと、 その意味では心配をしております。  ただ、きょうお示しをいただいたものの基本的な事項、それから方向性、これはよく 考えてあると、一定の評価をしたいと思っております。後期高齢者の特性というものを 考えますと、やはりこうしたきめ細やかな情報共有やら連携が、どうしても重要になっ てまいりますので、方向性は評価をしたいと思います。  さてそこで、個々、具体的に2〜3、申し上げたいわけでありますが、前回ここへ出 していただいた際には、総合的に診る医師というような概念だったろうと思います。今 回、それが主治医というような形で表現ぶりが変わってきたわけでありまして、トータ ルコーディネーターとしての主治医は、私は、方向性は間違っていないと思いますけれ ども、どのように制度設計するのか。あるいは、この主治医というものが、具体的にど ういう役割を担うかについては、いささか、まだ漠然としたところがございます。これ は早く詰めなければなりませんし、もう少し詳しく御説明いただけるものであれば、御 説明をいただきたいと、そのように感じております。  特に、この主治医のあり方については、あるいは総合的に診る医師のあり方について は、だれが担うのかということもありますけれども、そういう人材が地域に十分確保さ れているのかどうか。そうすると、主治医たるべき役割を担う方を、どう育成教育して いくのか。実はこれは、今、医師不足なんかの問題で、政策医療やら僻地医療やら、さ まざまな医療を求める声が高まっている中で、教育やら、その育成方法は、これと軌を 一にするものだと思うんです。ですから、中長期的に眺めた場合に、こうした人材育成 が、将来の、今、大変深刻になっている医師不足とも相共通する問題がありますので、 ぜひともそんなことでお考えがあればお聞かせいただきたいと思いますし、その中身の 充実を図っていく必要があるんだろうと思います。  それから、きょうは診療報酬上の配慮ということですが、ここに御指摘いただいてい るさまざまなことは、私どもも基本的には理解できるものでありますが、今申し上げた、 一番現場に近い人間の立場で言えば、もう少し、制度設計あるいは具体的な中身につい て、ちょっとスピードアップをしないと、もう、いよいよ始まるものがどうなっていく のか、大変心配でありますので、今申し上げたことを含めて、一度、考え方やら、ある いは方向性などがありましたら、お示しをいただきたいと思っております。以上です。  糠谷部会長 たくさん御発言がありそうですから、とりあえず御意見を先に伺いたい と思います。なお、きょうは議題が多いため、できるだけ簡潔に、ポイントを述べてい ただければと思います。それでは河内山委員、どうぞ。  河内山委員 神田委員が御指摘になった点は、私も全く同感でございまして、後ほど また御回答なり御意見をいただきたいと思いますが、ちょっと根幹的な話でございます が、先週末から、公明党の北側幹事長が、後期高齢者の医療制度そのものなのかどうか わかりませんが、凍結を含めた見直しをすべきではないかというような御発言があった り、あるいは今、総裁選挙に出ておられます福田先生が、これもまた高齢者の負担の問 題かと思いますが、見直しを必要とされるというような話がございます。負担の方はと もかくとしまして--というか、これも、ともかくというような簡単な話ではないかも しれませんが、制度そのものを凍結するというのは、手続き的にどういうことが考えら れるのか。  逆に言いますと、もし本当に手続きを踏んでやられるのであれば、既に後期高齢者の 医療の広域連合の準備もし、またそれにかかわって全国の市町村は、国保あるいは関係 するさまざまな現在の仕組みを転換するために、システム改修等をぎりぎりのタイミン グでやっていますので、まあこれは事実上、大混乱に陥る可能性がありますし、財政負 担の問題も解決しておりませんので、後期高齢者の医療制度そのものの話だけではなく て、これから先、かなり、市町村財政の、ぎりぎり厳しい中で負担をしているというこ とを考えますと、もう一回何か負担を求められるようなことがありますと、これは、か なり地方財政にとって厳しい、かなりぎりぎりの状況に置かれるのではないか。そんな ことも、ぜひ、御理解をいただいた上での話になるように、これはぜひお願いをしたい と思います。以上でございます。  糠谷部会長 それでは齊藤委員、多田委員の順にお願いいたします。  齊藤委員 経団連からは意見を提出しておりますので、簡単に申し上げます。今、河 内山委員や神田委員からおっしゃったのと一緒なんですけれど、まず、スタートしなけ ればならないという意味では、情報の共有化の方向性が非常に重要であり、情報を共有 化したり透明度を上げるために、ICT化は、ずっと今まで訴えてきていましたとおり 早く具体化していただきたいと考えます。社会保障カードの導入などが行われないと、 なかなか情報共有できないだろうというのが一点です。  また、河内山委員のおっしゃったように、この制度を支える現役世代の納得性も、重 要であり、我々が提出いたしました意見には包括化であるとか、いろいろ入れておりま すので、これをぜひ仕組みの中にビルトインしていただけたらと、思いますので、よろ しくお願いいたします。  多田委員 後期高齢者を総合的に見る取り組み、この点については神田委員も御指摘 でありましたけれども、どうもよくわからないということでございます。だれが、どう いうふうに選ぶのか、ちっともわからない。これは患者さんの方で適当な人を選んで、 そして、その先生がこれを受けるということなのか。受診した疾病ごとに診療した先生 が、「おれが主治医だ」と言ったら、どうなるのか。どういうことを考えているんだろ うかというのが、さっぱり見えない。その辺が明らかにならないと、将来のこの後期高 齢者の医療の中核になる、このシステム全体が、どういうふうに組まれていくのかとい うことが全く見えなくなってしまうということですので、そこをまず、どうしても明ら かにしてほしいというのが一点でございます。  それから、そもそもこの後期高齢者医療を独立の制度として組み上げたときの議論と しては、これから老人医療の飛躍的な増加ということを、どういうふうにコントロール していくかということと、後期高齢者にも適切な医療をどういうふうにして提供してい くかということと、この両立をどういうふうに図るかということに、非常な問題意識が あったんだというふうに思いますけれども、どうも今回、お見受けするところ、非常に 拡大してくる、この後期高齢者への医療というものに対して、どういう構えで向かおう としているのかというのが、何か曖昧になってしまったというような感じがしてしまっ てなりません。特に75歳を境に、前後は同じだよというような話を非常に強調してく るなんていうことになると、それで制度を分けるのは、一体、患者負担を取るために、 あるいは分けるために、あるいはどこかから財源を持ってくるために、この制度をつく っただけじゃないか、みたいな話になりかねない。何かこう、基本の構えが少し理解で きないところが出てきてしまったなあというのが、私の率直な感想でございます。  そういうことからいって、今回は、とにかくこれは施行をしなければいけないわけで すし、時間的にも大変難しい問題があるだろうと思いますから、原点に立ち返っての、 本当の議論というものを、もう一回やる、きちっとした場を、ひとつ、ぜひとも御用意 いただきたいという、これは希望ですが、そういうことを申し上げておきたいと思いま す。  糠谷部会長 ありがとうございました。それでは対馬委員、古橋委員の順にお願いい たします。申しわけありませんけれど、できるだけ簡潔にお願いします。  対馬委員 はい、簡潔にいたします。全体的には、これはよくできていると思うんで すが、ただ、肝心の、先ほどから出ていますように、主治医というところが、どうも従 来の--例えば主治医というのは疾病的に診るというイメージが非常に強いんだろうと 思うんです。それで、これまでの議論というのは、総合医、全体的に診る、そこが一つ のキーワードで、また、それは非常に重要だろうというふうに思うんです。また、ある 種の方向性であるとか理念を出しているんだろう、と。ですから、そこを変えていると いうのが、ちょっとよくわからない。健保連の主張も、当面、すぐに総合医的なことと いうのは難しいかもしれないけれども、できるだけ、そういう方向に一歩一歩進めてい くということでありますので、やはりこの、総合的に診る医師という概念を、もっと強 く出した方がいいんじゃないかというふうに思います。  古橋委員 意見書を出させていただいておりますので、ごらんいただければと思いま すが、その中で、先ほど神田委員からもありましたように、もう時が迫っている中で、 来年4月に向けてどういうふうに固めていくかというあたりは非常に重要で急がれるこ とと思っております。私は、生活を重く見た中の医療であるというあたりの基本的考え 方に同意する立場で、ぜひとも、この後期高齢者医療は、やはり医師は中心にはなりな がらも、医師が支配するのではなくてチームでやっていくこと、と、地域の中で連携し ながらやっていくんだという点を、国民的な合意を得ながら進めることが重要で、大き な医療の転換、新しい切り口の医療というものを、開き進める必要があろうかと思いま す。  そういう中では、それぞれの職種の専門性を重視した裁量権というようなものも、あ る意味で入れていかないと、医師だけが指示者であるということでは成り立たないだろ うと思っております。そういう点では、チームを重視することと、やはり看護職であれ ば、訪問の場面の中で、医師と相談し連携しながらも判断していく、世話をする、とい うあたりについては判断権というようなものを、やはり重視してほしいと思います。  もう一つは、総合的に診る医師の存在は重要と思っております。その名称はいろいろ あろうかと思いますが、その医師が決まっていく中で大事なことは、人口過密の土地と 過疎の土地とでは、態様が異なり、コミュニティがよく形成されているところと、そう でないところとの様相が非常に違ってくるわけであります。特に過密な都市などでは、 主治医、あるいはそうした方がいらしたとしても、高齢者の受療行動は、不安や孤独か らも頻回受診とか重複投薬などが完全に解消されるわけではないとも思われます。そう いう点では、地域でそういう人を支えていく相談体制、来るのを待つのではなくてデリ バリーで支えていく、地域の中でそういう相談支援体制というものを、やはり新たに構 築し、保健師、メディカルソーシャルワーカーの機能を、あわせて整えていくというこ とも非常に大事だろうと思っております。  山本(信)委員 今回のたたき台を拝見しまして、いわゆる高齢者の抱える問題を的 確にとらえたまとめ方で、大変うまくまとまっていると思いますし、そのご努力を評価 しております。そのうえで、私は薬剤師でありますので、どうしても薬のことが気にな るわけですが、とりわけ高齢者の問題が提起された際には、薬の使い方が多い、あるい は重複が多いといったような議論がありました。そうした視点でたたき台を拝見します と、一貫して、どのステージにおいても、入院、外来、あるいは在宅、終末期を含めて、 薬の問題が重要との記述がございますし、その管理をどう進めていくかということの必 要性がうたわれております。  そうした観点からしますと、まずは、薬をどう服薬指導していくか、そしてどう管理 をしていくかという問題と、もう一点は、情報の共有--非常に難しい問題があろうか と思いますが、少なくとも医薬品に関してその患者がどういう薬をどのように飲んでい るかという情報を、薬剤師だけではなく、あるいは医師だけではなく、それぞれの関係 者が、それぞれに確認をし、情報を共有するということが必要だと理解しています。私 が提出しました意見書にも記載しましたが、現在、多くの薬局で、多くの患者さんがお 薬手帳、いわゆる患者さんが持ち歩く薬歴と言ったらいいと思いますが、御自分がどん な薬を飲んでいるかといったような情報を持って歩いておられますので、そうしたイン フラをうまく活用しながら情報共有の手段とする。先ほどIT化のお話もありましたけ れど、まず、そこに行くまでの段階として、既にそうしたものがあるわけですので、ま ずはそういう部分からはじめる。高齢者にとっても医薬品は極めて重要でありますし、 終末期の麻薬であればその管理には専門的な知識も要りますしまた廃棄も大変難しいも のですので、薬に関る部分は薬剤師に仕事をせよという意味と私は理解しておりますの で、後期高齢者医療制度の中で十分な仕事ができる、あるいはそういったものが評価さ れるような、保険制度とすることが必要ではないかと考えております。  山本(文)委員 短く言います。5ページのところに訪問とか在宅とか、いろいろ書 かれていますが、これは地域間格差を考えていくと、ここに書かれているように、全国 で平等に実施ができるとは考えられませんが、そういう点についてはどう考えているの か。第一には医師の問題、それから看護師の問題、等々を考えていくと、不足している 地域のところは、どういうふうにしてやっていくのか。同じように平等でやるなんてい うことは到底できない。そうしますと、手当ての十分行き届く地域と届かない地域とが 生まれてくるわけです。そういうことがわかりながら、それを実施するというのは、い かがなものかと思いますので、そのあたりを、どうカバーしていくかを教えてください。  それからもう一つ、簡単に言いますけれど、この高齢者医療でございますけれども、 高齢者医療は、今、だれも、ほとんどの人が知らないんです。知っている人は、ここに おられる方ぐらいのものではないかと思われます。だから高齢者医療というのが、一体 どんなものであるかということを、特に75歳以上の人たちは、その点は余りよくわか っていない。まだそこまで広報が行き届いていないんです。  この高齢者医療は、もう御存じのように、だれかじゃないけれど、地域で保険事業を やらないところは、厚労省がペナルティーをつくって、補助金をカットするぞとか、そ ういうことを言われたんです。そういうことを言うことが、大体、厚労省は間違ってい ますよ。そんなことを言わせてはいけないと思うんです。県の課長たちに、「君らが言 わせたのか」と言ったら、「いえ、私どもはそんなことは言っておりません。厚労省が 言った」と、こう言うんですよ。だからそのあたり、ペナルティーの話なんかをして、 保険で受診をしないものはみんなそういうことをやるんだと、こういうことを言ってい ますから、そんなことを考えるお暇があるならば、それよりも高齢者医療がうまくいく かいかないかですよ。これは保険料が、今はゼロなんですよ。75歳以上の人たちの 85%は国民健康保険に加入している。国民健康保険に加入している人たちは、ほとんど が家族で保険料を処理されている。ですから、今度は新たに自分が納入者になっていく わけですから、言うならば、私のところなんかは一番高い保険料になる可能性がある。  そうなりますと、払えるところと払えないところが出てくる。それも地域格差が出て くるんです。もう、そういうことで、この保険料もうまくいくだろうかと心配を、今、 しています。正直なところを申し上げると、私は県の広域連合の連合長は市が出ていま すから、私が副連合長です。きょう、この議会を開いて、保険料のことについてどうす るかを協議しましょうということになっているんです。そうなっているんですけれど、 協議するにも協議のしようがないんですよ。これは厚労省の方は御存じだと思いますが、 協議のしようがないんです。ですから、早く協議ができるようにしてあげることが1点 目。  2点目は、この高齢者医療保険を高額なものに絶対にしないことです。したら、恐ら く発足時から混乱が起こる可能性が高いと私は思っていますので、いつか、これがまた 影響を与えて瓦解するという可能性も、ないとは言えません。ですから、この制度は決 していいものではないと私は思うんですけれども、75歳以上の人たちが一番医療費を 使うからこういうふうにするんだということを、もう、わかった人はそう言っているん ですよ。75歳になったら一番医療費を使うから、こんな高い保険料を払うようになる んだということを言っているんですね。だからもう少し理解ができるような、そういう ふうなやり方をすることの方が望ましいと思います。同時にまた実施をするならば、皆 さんが喜んで、この高齢者医療保険制度は実施ができるようにすべきだと思いますので、 もう少し慎重な検討を……。  糠谷部会長 御趣旨はよくわかりますので。  山本(文)委員 ちょっと待ってください。これは大事なんですよ。だから、もう少 し真剣に、慎重に検討した上で、それを出してください。そうしないと、もう、来年の 4月から実施しなければならない、保険料を決めなければならない。みんな困っている んですよ。よその県は知りませんが、私のところは確かにそのとおりです。だから、そ のあたりを考えて、高齢者医療保険制度については、十分な御配慮を願いたいというふ うに思います。これは意見です。以上です。  糠谷部会長 それでは渡辺委員、どうぞ。  渡辺委員 私は歯科医療の立場で申し上げますが、前回のこの部会において、歯科医 療は生活を支える医療であり、そして元気な高齢者をつくり、健康寿命を延長するんだ という意味で、この後期高齢者医療制度の目的にかなうためには、歯科診療が非常に重 要である旨、発言させていただきました。  さて、この、本日出ました後期高齢者医療制度の骨子は、特別部会が大変御努力され てまとめられ、また、事務局の御努力にも敬意を表したいと思いますが、大変コンパク トに記載されておりますので、なかなか見えないところが多々あると思いますが、総括 的に評価をしていきたいと思っております。  外来医療について申し上げたい点がございます。国民の権利として、フリーアクセス は守らなければいけない。患者さんが主体的に選んだ医院においては、そのお医者さん は当然、「私が一生懸命診よう」という気持ちになるでしょう。現在もそうしていると 思います。そういう方が、ここに書いてあるような役割を果たすということは、当然、 あり得ることですが、こうしたことをもってして、人頭払い制度等への関連づけという ことは避けるべきだろうというふうに考えております。  それから、外来もそうですし、在宅診療についてもそうですが、歯科医療の特性を踏 まえますと、治療そのものについては出来高払いでなければならないと思います。しか し、患者さんの機能が回復して、その機能を維持管理していこうという部分については、 総合的な評価をするということも意味があるというふうに考えております。  なお、外来、入院、また、在宅、もろもろについて、情報の共有と連携という、これ は非常に重要な点でありますし、当然、その情報の中には、口腔の機能の状況、口腔状 態の状況、日常生活能力云々というところにおいても、口腔の機能がどうなのか。そう いうところの口腔にかかわる機能、また状況の情報が的確に含まれていないと、本当に お一人の患者さんを総括的に把握するということは不可能だろうと思いますので、その 点をぜひ、よろしく、十分に御検討をお願いしたいと思っております。  在宅医療の歯科について特に申し上げたい点がございます。現在、歯科診療所で、在 宅に出てる診療所、歯科医院は、おおむね1万2,000軒相当です。積極的にすごく回数 を出られる方もあるでしょうし、月に1〜2回求められて行くところもあるでしょう。 トータルとして、そういうところでありますが、これからの在宅療養をしっかりと支援 していくというためには、これが少なくとも倍の、2万5,000軒ぐらいの歯科医院が積 極的に出向いていくということが必要だろうと思って、日本歯科医師会としても、その 推進を図りたいと思っておりますが、現在、在宅診療に大変高いハードルがあります。  一つは、診療サイドから見ますと、非常に難しい、困難な臨床の現場になるわけです。 在宅が治療室になるわけですから、大変難しい状況です。しかも、患者さんも複数の疾 患を持って、心身の機能が大変落ちている方を診る。そういう患者さんを診るというわ けですが、現在の診療報酬体系の中では、そうした診療行為が、十分に適切に評価され ていない。やはりこれは、これを機に、適切な評価が必要だろうと思っております。  それから、そうした診療所、歯科医院ですね、そういう在宅療養をしている方を一生 懸命支えるという、そういう歯科医院に対しての、施設としての評価も、この制度の中 で必要ではないかというふうに考えているところであります。  それからもう一点、特別部会の検討の中でも出ておりましたが、歯科の受診が必要で あるのに受けていない高齢者が多いという御報告があります。これを解消するためには、 この75歳の後期高齢に入ったことを契機に、定期的にしっかりと、後期高齢者の口腔 の診断を制度化する必要があるのではないか、と。そうして、その必要性をしっかりと 患者さんにわかってもらい、また、我々も、医療機関の連携に、そのデータ、情報を使 っていくということが必要だろうと思っております。  それからもう一点は、実際に今、患者さんサイドからも、また、他の医療機関の方か らも、どこがこうした在宅歯科診療をしてくれるかわからない、と。また、患者さんも 遠慮をしているというところがあります。それを解消するためには、そういう問い合わ せに対して紹介をするような、これは仮称でありますが、地域歯科医療センターという ような、そういう紹介機能を備えたセンターの設置が必要だろうということを考えてお りますので、ぜひ、その実現に向けてお願いをしたい。以上であります。  糠谷部会長 ありがとうございました。まだ御発言があろうかと思いますが、次の議 題の説明を受けた後、御発言の機会を設けますので、そのときに、あわせて御発言願い ます。  ということで、申しわけないのですが、次の議題に移らせていただきたいと思います けれども、特に事務局の方で、今までの御質問、御意見の中で、例えば主治医と総合的 医師の話とか、まあ政治の話はともかく、その点だけ御説明をいただいて、次の議題に 移らせていただきたいと思いますが。  原課長 医療課長でございます。今回、「主治医」という言葉を使わせていただきま したけれども、もともと「総合的に診る医師」という言い方をしていました。ここは先 ほどからも御意見がございましたけれども、標榜科としての総合診療医とか総合診療科 とかが、今、議論されているところでありますけれども、それと直接リンクするもので はないという考えで、ここではあえて「主治医」という言葉を使わせていただきました。 それから、そのほかにも「かかりつけ医」という言葉もありますけれども、それについ ては、いろいろな御意見があったので、ここでは「主治医」という言葉を使ったという ことであります。  標榜科目としての総合診療科と違うという点は、総合診療科という場合には、普通は、 いろいろな診療科--耳鼻科、眼科、小児科等を含めて総合的に診る能力があるという のが総合科というふうに認識していまして、ここで言っている、総合的に診てください ということは、ここでは特に後期高齢者ですので、その後期高齢者を全体として診てく れるお医者さんという、そういうふうな意味あいを込めて扱っているわけでして、決し て、標榜科としての総合診療科というのとはリンクしていない。もちろん、全部を診ら れる人が診てくれれば、それに越したことはないんですが、ここでは、そこまでは想定 していない。  これの育成とか、それから教育をどうするかとか、それから、どういう仕事をするの か。その辺が曖昧だという御議論ですけれども、ここでは、今回、3点ほど、こういう 役割をお願いしていきたいということをお示ししております。またもう少し具体的にも、 それは多分、中医協で議論していただくことになると思いますけれども、制度論として、 登録をしてどうのこうのということを、今、事務局で考えているわけではありませんの で、恐らく診療報酬上、こういう役割をしてくれる人について点数をつけていく、そう いうふうな方法を考えているわけで、制度論としての「主治医」というものをつくって いこうというわけではない。こういう役割をしてくれる人を、ここでは「主治医」とい う名前をつけていますけれど、そういう人たちに対して診療報酬上、評価をしていく。 そういう方法を考えているというのが、今現在の状況です。今後、中医協でいろいろ細 かい議論がされると思います。  深田課長 河内山先生から、政党からいろんなお話が出ているということでしたが、 済みません、我々の方も、実はすべてを把握できているわけではありませんで、新聞情 報で見る限りというのが今の状況でございます。ただ、我々として申しますのは、先生 がおっしゃっているとおり、いろいろ、各方面に御努力をいただいて準備を進めていた だいているところですので、円滑な施行に向けて努力をしていくということで、お願い をしていきたいというふうに思っております。  神田課長 山本委員からありました点について、少しお話しさせていただきたいと思 います。後期高齢者医療の広報については、御指摘のように、保険料を新しく徴収する ということでありますけれども、先ほどのお話にもありましたように、今、国民健康保 険でも保険料を負担しているものが基本的には振りかわる、と。確かに、お一人お一人 が被保険者になりますので、新しく納付義務者にはなるということでありますが、国民 健康保険の中でも、御負担いただいているものの振りかえだということですとか、それ から低所得者の方々には軽減措置があるということも含めて、8月6日の全国会議の際 に、リーフレットの原案みたいなものをお示しさせていただいておりますが、今後、政 府広報等を活用して、十分、周知広報に努めていきたいというふうに思っております。  それから、広域連合で保険料を算定することができないではないかということですが、 具体的に、全国平均所得ですとか、そういうものがわからないと保険料計算ができない という点がありますので、その係数等につきましては、先般、各広域連合の方に情報提 供をさせていただいておりますので、数字的なものについては計算ができる前提が、今、 整っているということになっていると思います。  糠谷部会長 それでは、本日いただきました御意見は、まだ後から出てくる部分も含 めまして、事務局でまとめまして、後期高齢者医療のあり方に関する特別部会でまとめ ていくことになりますので、特別部会に私の方から報告をさせていただきたいと思いま すので、そういうことで御了解をいただければと思います。よろしくお願いを申し上げ ます。  それでは、とりあえずこのパートは終わらせていただきまして、次に、平成20年度 の診療報酬改定に向けた検討について、説明をお願いいたします。  原課長 医療課長でございます。資料2-1と2-2がございます。資料2-2の方 は、ここで述べます2-1についての参考資料として、いろいろ集めてありますので、 後で御参考にごらんいただきたいと思います。時間もありませんので、資料2-1を、 簡潔に説明させていただきます。  平成20年度の診療報酬改定に向けて、この医療保険部会でも、基本的方針を決めて いただくということになります。そのための、一番初めの資料として、これを出させて いただいております。ここで出しておりますのは、医療部会にも出したものでございま す。これを踏まえて、これから議論を進めていっていただきたいと思います。  項目として1から5までありますが、まず1番目は、よりよい医療の提供を目指すた めの評価ということであります。そのための1つ目が、医療の実情を踏まえた視点から の検討。医師不足が叫ばれる中で、特に勤務医の負担が非常に重くなっているのではな いか。それをいかにしていくかというのが1点目であります。またそれから、医師不足 の場面として、救急や産科、小児科といった場面での医師が少ない。そういうところで、 これを逆に、診療報酬上は重点的に評価すべきではないかというのが2点目でございま す。  それから2つ目の、医療機関・薬局の機能を踏まえた視点からの検討ということで、 ここでは外来医療の評価のあり方をどうするか。それから、入院医療の評価のあり方を どうするか。このあたりを、ここは細かく議論していけばきりがありませんけれども、 こういうものを考えております。  2ページ目、3点目の、個別の医療施策を推進する視点からの検討ということで、こ こでは2つ挙げてございます。1つ目は、先日施行されました、がん対策基本法がござ いまして、それを踏まえて、がん対策を推進するということ、これについてどうしてい くか。ここでは、がん対策推進基本計画というものがつくられておりますので、これに 基づいて推進をするための評価というものを考えていきたい。  それから2点目、心の問題等への対応ということで、ここでは年間の自殺者数が3万 人を超えて久しいわけでありますけれども、やはり心の病気ということで、その背景に は、しっかりと精神科医療に結びつけるという対策が必要だということも言われており ますので、そのようなものとか、あるいはもう1点としては、子供の心の問題というこ とも非常に重要な問題として挙がっておりますので、このあたりを評価してはどうかと いうことでございます。  それから大きな2つ目、患者の視点の重視ということで、安心・納得できる医療の評 価の検討。平成18年においても、医療費の内容のわかる領収書を発行していただくと いうことにしたわけでありますが、それらの状況等を踏まえて、さらに、さまざまな情 報提供のあり方について検討していってはどうか、と。  それから大きな3点目、医療技術の適正な評価。真の医療ニーズに沿った医療の評価 というのが1点目でありますが、これは、ここで書いてありますように7対1入院基本 料というものがありまして、手厚い看護をしているところの評価を、平成18年度に行 ったわけでありますけれども、必ずしも手厚い看護が必要でないところまで、この7対 1をとっているのではないかという状況もありますので、そのあたりは本当に必要なと ころに必要な配置ができるようなものを考えていってはどうか、と。ここで紹介してい るのはその点でございます。  次のページですが、2として医療技術の評価・再評価。これは年々新しく、あるいは 高度化する医療技術について、適正なものを保険導入するとともに、保険導入後、大分 こなれてきた技術については、もう少し点数的に考えてはどうかということであります。  それから医療の質の評価ですけれど、今までいろいろな施設基準というものをつくっ て、こういうふうな施設がある、あるいは、こういうふうな人材がいる、そういうふう なところについて評価をつけてきて、これである一定の質を評価してきたわけですが、 もう少し踏み込んだ中で、何らかの質の評価ができないかということを検討していきた いと考えております。  大きな4番目、革新的新薬・医療機器等イノベーションの適切な評価と後発品の使用 促進ということで、やはり、いいものについてはいい評価をしていこう、と。そのかわ り、逆に特許切れをした医薬品等について、後発品の置きかえを進めていくことによっ て、全体として適正な医薬品や医療機器の費用にしていってはどうかということであり ます。  そのほかの重要項目として、歯科診療の問題があります。平成18年度、文書による 情報提供というのはたくさんつくりましたけれども、残りについて再検証してはどうか。 それから、DPCのあり方の検討。DPCという、急性期病院における包括支払いの方 式ですが、ここを希望する医療機関が多数出てまいりましたので、この際、その基準を どうするかということについて検討が必要であるということをお示ししております。  最後のページですが、診療報酬の改定結果検証を踏まえた検討ということで、平成 18年改定から、大きなもの、あるいは主要なものについて、改定結果を検証していっ て、それを次の改定に結びつけていこうということがありまして、現在、9項目につい て詳しい調査・分析をしております。これらについて、どうするか。  そのほか、初診料の電子加算、あるいは、その他、政策的に導入した項目、あるいは、 ここではちょっと触れられませんが、地域連携の問題等々について、さらにどう検討す るかということが、項目として挙げられると思います。以上でございます。  糠谷部会長 ありがとうございました。診療報酬改定についての議論は、本日がスタ ートでございます。きょうは十分な時間が確保できないかとは思いますけれども、ただ いまの説明についての質問も含めて、御自由に意見交換をお願いできればと思います。  それでは岩本委員、それから小島参考人の順で、先ほどのことも含めてで結構ですの で簡潔にお願い申し上げます。  岩本委員 先ほどのことに関しての意見になるんですけれど、根本的な考え方として、 こちらの資料は後期高齢者のあり方を踏まえた上で、その診療報酬体系について骨子が 出てきたということなんですけれど、後期高齢者の医療のあり方として何か望ましいも のがあったとして、それを何から何まで診療報酬で実現できるという話でもないという ことが基本だと思います。  そういう考え方を私は持っておりますので、その立場から見た懸念が幾つかございま して、一つは先ほどから議論になっています、主治医の問題です。主治医というのは、 これは患者の方から見て1人いればいいという話なんですけれど、診療報酬でそういう ことができるのかどうかというと、技術的に非常に難しい問題があるかと思います。先 ほどの御説明を聞いた限りでは、ここで書かれているようなことをすれば、それで、診 療報酬で手厚く見てくれるというふうなことで、たくさんの人が主治医として手を挙げ てしまうということになりはしないかということです。  また、何人ものお医者さんにかかっている老人から見ますと、その何人ものお医者さ んが、皆さん、主治医だということで、レセプトが全部通ってしまうようなことになっ てしまっては、結局、全く機能しないんじゃないかというふうに思います。そのあたり の手だてがしっかりできていなければ、要するに診療報酬の方で、この主治医の働きを してもらいたいということが手段としてうまく機能しないということになるんじゃない かと思いますので、バッサリ、このことは落としてもらっても構わないというふうに思 います。  ただ基本は、高齢者医療のあり方として、こういうことをしなければいけないという のが、いろいろとあるんですけれど、診療報酬でできることは何かということで絞って、 診療報酬の体系を議論するということでいいんじゃないかなあというふうに思っており ます。  あと一つ、またちょっと拡大されるのが懸念されるものがありまして、終末期医療の ところで、「終末期の病状や緊急時の対応等について、あらかじめ家族等に情報提供等 を行う」というふうに書いてありますが、この「あらかじめ」というところの線引きで すけれど、どのあたりが「あらかじめ」になるのか。そういうふうな可能性が生じる前 に、そういうことをするとなった場合、例えば具体例でいきますと、がんが発見されて、 外科手術をすれば95%の確率で正常に戻れる、ただ5%の確率で転移して終末期に行 くかもしれないといった場合に、こういうことを説明するのかどうか。恐らく、そうい うことは説明されてもありがた迷惑であって、とりあえずは外科手術をして、転移した ら転移したで、そこから考えるということだと思うんです。  ですから、もう少し切迫した状況だと思うんですが、そのあたりのことがはっきりし ないまま、ただここで書かれていくと、どんどん、どんどん、拡大解釈されていくので はないかというふうな懸念がありますので、やはり慎重に、きっちりその機能を見た上 で、本当に必要なところだけ書き込むということがいいのではないかという気がいたし ます。以上です。  小島参考人 私も、先ほどの後期高齢者の診療報酬体系のあり方についてです。一つ は基本的なところの質問と、それから3点ほど意見を申し上げます。資料1-1の2ペ ージにある、基本的事項のところで指摘をされている、医療については74歳以下と75 歳以上では、基本的には内容は変わらないんだという指摘、そこについては、まさにそ うだろうと思っております。そういう観点からすると、今回の後期高齢者の診療報酬体 系を別立てでつくるということが、最終的なアウトプットとしてどういうことになるの か、ちょっとそのイメージが見えない。  例えば具体的に言いますと、入院基本料、あるいは療養病床における医療区分1、2、 3の点数を、74歳以下と75歳で点数を変えるのか。DPCも同じように、74歳と75 歳で点数を別の体系にするという考え方でいくのか。あるいは従来の入院基本料という ような体系とは全く別の体系として組み立てるのかというところが、どうもイメージが 見えないところなんです。これは基本的な質問です。  それからあとは意見になります。同じ2ページの、ここでは2番の、診療報酬に反映 すべき事項のところです。ここで指摘されているように、これまで老人診療報酬の見直 しで、在宅医療の推進、あるいは長期入院の是正、重複受診の是正といったような見直 しが行われてきたということが指摘されています。引き続きそういう点については見直 しを進めていく必要があるだろうと思います。そのためにも、診療報酬については、当 然これは治療内容の標準化とか、あるいは医療の質ということの担保を前提に、診療報 酬の包括化などを推進していく必要があるのではないかと思っております。そこが1点 目です。  それと、その観点で3ページ目、これは先ほど何人かの委員からも指摘されています けれど、総合的に診る主治医の役割、機能ということです。ここで指摘されているよう な内容については、基本的には、方向としてはそういう必要性はあるだろうと思ってお ります。そのためには、それなりの専門性というのが必要でしょうし、専門医としての 認定あるいは制度化ということが必要になってくるのではないか。それが、そうすぐに できないとすれば、その間をどうするのかというのが、各委員の指摘されている、疑問 ということになってくるのではないかと思っております。  それから3ページ目の下の、入院医療について。これも、ここで指摘されているよう に、入院時から退院時まで含めた診療計画というものの策定ということと、それから入 院中あるいは退院後についても、福祉・介護関係者との情報の共有化を図るということ で、それについては基本的に、当然必要だろうと思っております。患者自身も、そうい う情報を共有化するという意味では、退院時の患者への文書説明の徹底なり義務化、こ れは入院時と同じように、退院時についても、そういう必要があるのではないかと思い ます。  それから最後ですけれど、5ページの、居住系施設における医療というところで指摘 されている、居住系施設への外部からの医療の提供に対する適正な評価のあり方につい て検討すべきであるということ。多分、ここで言わんとすることは、医療保険と介護保 険との関係、あるいは併用も含めてどう整理するかということだと思いますので、そう いう観点からの整理というのが当然必要になってくるのではないかと思います。以上が 後期高齢者に対する診療報酬のところで、質問については後ほど答えていただきたいと 思います。  それから、次期診療報酬改定に向けた検討についてということで、きょうが第1回目 の議論です。前回、18年度の診療報酬改定における、基本方針を取りまとめたときは、 確か4つの視点というのが示されていたと思います。1つ目は、患者から見てわかりや すく患者の生活の質を高める医療の実現。以下、4つの視点から指摘をされておりまし た。今回は、この1ページ目にあるように、地域の産科を初めとする医師不足等、緊急 課題といいますか、そういうことを強く意識して、まずはその視点からの、この1番で 示しているような、よりよい医療の提供を目指すための評価ということ。これはつい最 近起こった、奈良県における出産に伴うたらい回しといったような悲惨な事件も起こっ ておりますので、当然、緊急の課題として、次期改定において、まずはそこを手当てす るということについては、理解ができるところです。  それから2ページ目にあります、入院医療の評価のあり方ですが、ここで指摘されて いるのは、病院の入院機能をもっと充実させるという視点から出されている。大病院が 入院医療の比率を高める、そういう取り組みを支援するということですけれど、問題と しては、外来患者を多く大病院が受け入れているということ、それを是正するというこ とだと思います。今、外来患者が大病院に集中するのは患者の意識の問題もありますが、 病院の経営上の問題もある。外来を多く抱えないと、経営が厳しいということがありま す。そのため、入院患者で十分、病院が経営できるといったような診療報酬上の配分の 見直しということが、基本的に必要になってくるだろうと思います。  それと2ページの2つ目の、患者の視点の重視。ここでは領収書の発行の義務づけに ついて指摘をされております。これについては前回のところでも指摘をされておりまし た、さまざまな、医学管理料といったようなものについての見直しといいますか、そう いうことが必要ではないかということ。それともう一つ、これは薬剤にかかわるところ で、今、薬代の175円以下のものについては、その内容をレセプトに書かなくてもいい ということになっています。やはり175円ルールということについても見直すというこ とが必要になる。当然これは、レセプトの電子化ということを推進するに当たって、そ こは見直す必要があるだろう。それがやはり、患者の視点の重視ということにもつなが っていくだろうと思います。  最後、3ページの5番のところで、上記以外の重要項目として、幾つか指摘をされて います。3番のところで、診療報酬改定の結果検証を踏まえた検討ということが指摘さ れています。ニコチン依存症等がありますけれど、前回の改定でも、コンタクトレンズ にかかわる診療報酬の大幅な見直しがされております。その後の検証も踏まえて、それ についての、さらなる見直しというのも必要ではないかということを、要望としてつけ 加えたいと思います。以上です。  糠谷部会長 では神田委員、お願いいたします。  神田委員 地方にとりまして、今、最大の、医療をめぐる問題の一つは医師不足です。 これはもう、悲鳴が上がっております。果たすべき機能が果たせない病院が続出してお りまして、地域の医療をこれから維持できるかどうかという、ぎりぎりのところまで来 ております。その医師不足対策のための診療報酬改定ということを配慮していただくの は大賛成でありまして、ぜひともこれはお進めいただきたい。  特に病院勤務医の負担軽減をどうしていくのか。私は、そのためには、地域の開業医 の皆様方のお力を借りなければ、もう、仕方がないと思っております。そのためには、 その地域の開業医の皆様方が、例えば救急医療、一次医療など、政策医療に協力してい ただくというためのインセンティブとして、診療報酬上配慮をする。これは今、小児科 では行われておりますけれども、小児科以外の分野でも、ぜひとも必要だと考えている ところでございます。  それから、もちろん病院勤務医の過重労働を解消するための、診療報酬上の見直しと いうものも配慮されるべきです。それから産婦人科医ですが、まだ総数は減少傾向にあ ります。その結果として、帝王切開が大変ふえている。子供を産むのは、もう、手術を 経由しなければならないということで、生理現象ではなく病理現象になってきた。大変 危惧されるところでございます。したがって、このハイリスク分娩に関する診療報酬は、 前回も改定時に御配慮いただいたわけですけれども、さらに増額する必要があるのでは ないだろうかと思っております。  それから小児科についても同様でありまして、これも前回、配慮をしていただいたわ けですけれど、とりあえず休日・夜間における小児救急など、診療報酬については一定 の配慮をなされるべきであろうと、そのように思っております。  それから、ここにも書き込んでありますので、安心いたしましたけれども、看護師不 足も大変顕著でありまして、7対1の関係が、一部の大病院に看護師がシフトするとい うような現状を生んでいることを、これから、どう適正化していくかということが大変 重要な課題ですので、急性期など、手厚い看護が必要な病院に7対1を導入してもらう のは、もちろん結構でありますけれども、経過的な措置としては、やはりどこかに集中 しないと、偏頗な看護体制が構築されてしまい、それに取り残されたところが、満足な 医療を提供できないということになりますので、この点についても、改定上、配慮が必 要であろうと思っております。以上です。  鈴木委員 20年度の診療報酬の改定に向けた、具体的な検討項目が挙がっています が、検討項目に関しては異議はございません。内容に関してはいろいろ議論が必要だと は思いますけれど、小島参考人からの発言の指導管理料というような問題も、おたがい に理解を深めないと、議論にならないかもしれませんので、そこはきちんとした明確な 判断を示していきたいと思っております。  なおかつ、今現在、医療の崩壊が危惧されている中で、勤務医に対する負担軽減とい うことは本当に必須ですので、これはありがたいと思います。しかしながら、勤務医の 負担を、すぐに取ってやれるというのは、文書の作成が膨大にふえておりまして、10 年前と比較すると倍になっている。例えば輸血にしても、もう、全血輸血ではなくて成 分輸血になっていますので、今まで1枚で済んでいたところが4枚書かなくてはいけな い。  これは患者の同意書が必要ですので、説明をした上に同意ということになりますと、 それが単純計算でも4倍になってまいりますので、非常に、医者としての勤務というよ うなことに従事するのに大幅な制限を受けているというような状況ですので、その辺を 含めた軽減措置をとっていただければ大変ありがたいと思いますが、日医で試算をした ところ、医師2名に対して1人のメディカルクラークといいますか、医療事務といいま すか、医療秘書といいますか、そういうものをつけたとすると、ざっと3,500億のお金 が必要だという概算が出ていますので、相当な医療費が必要になるということを御理解 いただきたいというふうに考えております。  それから、これはちょっと、前の高齢者関係で申しわけないと思いますけれど、総合 的に診る取り組みであるとか、医師の育成というようなお話がありました。これは日本 医師会こそがやらねばならない仕事でありまして、生涯学習を通じて、現在、カリキュ ラムとか単位数というものの取り組みにかかっておりますので、しばらく御猶予をいた だきたいと思いますが、一生懸命、対応をいたします。  渡辺委員 歯科の立場で一言申し上げたいと思いますが、歯科診療の特性を踏まえた 適正な評価の検討ということで、次に内容が書いてありますけれど、文章については、 これは十分検討するということが検証部会からも出てきておりますので、それをお願い したいと思います。このガイドラインの見直しなんですが、やはり患者さんに、安全で 安心できる診療を、円滑に提供するということが非常に重要です。そういう意味で、こ のガイドラインを見直す際には、それを十分考えて行わないといけない、絵に描いた餅 であってはならないと思います。  それがうまくいかないと、歯科医療の円滑な提供が非常に難しくなるというふうに考 えております。過日、18年度の医療費の動向が発表されましたが、18年度改定で歯科 はマイナス1.5%であるべき本来の改定率の2.6倍ものマイナスであったということで、 大変、今、臨床現場は混乱している状態がありますので、その点も踏まえて、適切な評 価を検討していただきたいという考えであります。  山本(信)委員 先ほど部会長からお話がありましたが、今日は第1回目の議論であ りますので、全体に政策的な方向性が示されることははやむを得ないと思いますが、こ の後、当然、中医協に送るための細かな議論になるわけですから、その段階では、より 議論しやすいように、もう少し細かな部分もお示しいただきたいと思います。  それからもう一点、大変些末なところで申しわけないのですけれど、3ページに後発 品に関する記載があります。イノベーションの評価については私も賛成ですけれど、そ の一方で、医療費の問題を考えると、後発品を使っていくということについても、私ど もとしても、薬剤師の立場からも、積極的に協力したいと思っております。しかし、こ こでは、「後発品への置きかえが着実に進むような方策を検討する」という、数文字で 終わっておりますけれども、具体的にはやはりインフラをきちんと整備していただかな いと、なかなか容易ではありません。  私どもは薬をそろえて待たなくてはなりません。そのための準備というものも大変大 きいものです。そうした目に見えない部分も、報酬の中で評価できるような仕組みを、 ぜひ、この議論の中で取り上げていただき、中医協の方に送っていただきたいと考えて おりますので、よろしくお願いいたします。  齊藤委員 本日は第1回ということで方向性など今提案されているのは、よくわかり、 こういうのは全部いいことなんですけれど、やはり診療報酬の改定については、予算が あるわけですから、アウトとインの関係やだれがどういうふうに負担するのかをしっか り考えて、そこはやはり強弱をつけて、効率化とか効果的という視点を忘れずに、その 結果、政府が約束されている社会保障関係費の削減につながるというふうになればいい なあと感じております。  古橋委員 それぞれ取り組まれるということを期待するわけですけれども、一つは、 高齢化時代を迎える中で、在宅医療というものが急激に拡大していくかどうかは別でご ざいます。これは国民が選択するかどうかということにかかりますけれども、やはりこ れからの時代の中では、在宅医療を、それなりに重視した診療報酬改定、あるいは地域 での連携ということも具体的に仕組まれて、そして成果が挙がるというようなことを検 分した上でのことではあろうかと思いますけれども、そういうものを重視していく視点 が要ると思います。  もう一つは、一番最初に出ております、病院勤務医の負担増という問題は、永年言わ れておりましたけれども、日本の医療提供体制とか診療報酬の仕組みの中でも、人の配 置については、本当に先送りされてきました。それは看護師なども顕著でありまして、 やっとそこに7対1看護配置という転換点が来たのですが、医療現場に混乱が起きた。 看護職を1人でも欲しいという病院が相当出たということがございますけれども、もう これからは人の配置というものを、診療報酬でも評価するというあたりは、しっかり一 つの柱にしていくということが必要だろうと思います。そこがないと、結局この制度の 中で、個々の医師が、個々のナースが疲れ果てて、その職種から撤退していくというこ とがあるわけですので、護送船団で足りないから押さえ込んでいくという方向ではなく て、重点的に必要なところには突き抜けて置いていく、そこを報酬でもきちっととらえ ていくということが大事だと思います。  もう一点ですけれども、入院医療の中で、先ほど小島参考人もおっしゃいましたとお り、大病院へ殺到する外来患者は、果たして診療報酬というカードで分散できるのかど うかというあたりは、大病院、特定機能病院なんかのトップの皆さんは、外来の多くの 患者数もあって経営が成り立っていること。また外来患者があって入院医療の内容も発 展し、開発されるという意見をおっしゃっています。大病院から外来患者さんをシフト していく点については、かなりの異論反論があるだろうと思います。そのあたりについ ては、単に報酬という切り口だけでの議論ではなくて、やはり医療提供体制とか、入院、 外来、あるいは急性期、亜急性期、回復期、慢性期、在宅等の体系の整理も、また一方 で要るのではないでしょうか。すべてが診療報酬で解決するものではないと、私もその ように思います。  糠谷部会長 それでは西村委員、どうぞ。  西村委員 私、この後の話についてちょっと意見があるので、後で一緒に申し上げて もいいでしょうか。  糠谷部会長 はい、結構です。それでは、まだ御意見もあろうかと思いますが、今お 話しのように、もう一つの議題がありますので、そちらの方に移りたいと思いますが、 事務局から今の議題で何か特にということはございますか。  小島参考人 先ほど私、質問を一つさせていただきましたので、それについてのお答 えをお願いいたします。  原課長 後期高齢者の部分での質問で、その全体の体系をどのように考えるのかとい う御質問だったと思います。私どもで考えておりますのは、全く別体系のものを考えて いくということではなくて、先ほど具体的におっしゃいましたけれども、例えば点数が 少し違うとか、そういうものも含めて、それと、特徴的なものは後期高齢者の診療報酬 だけに出てくるような点数、そういうふうな形になるのではないかと考えております。  糠谷部会長 よろしいでしょうか。それでは次の議題、平成20年度予算概算要求に ついての説明をお願いいたします。  深田課長 それでは、資料3-1から幾つか資料がついておりまして、3-1から 3-5までの資料をごらんいただきながら、御説明させていただきたいというふうに思 います。  平成20年度の予算要求に関しましては、厚生労働省全体として2,200億円の自然増 の圧縮を求められたところでございます。これに、どのように対応していくかというこ とですが、社会保障制度の給付をめぐる環境としては、これまでも経済財政諮問会議を 初め、改革努力の継続をしていくということをうたわれておりまして、今後ともさらに 増大していく社会保障給付について、保険料や税負担が大きくなる、この中で、いかに して国費を--この場合は概算要求ですので国費になりますけれども、これについてい かにして削減をしていくかということが、一つ、求められているということでございま す。  最初に資料3-2をごらんいただきたいと思います。その中で、我々の方で御提案を させていただいております内容について、きょうは御説明したいと思いますが、資料 3-2で、まず、平成20年度の予算要求について、どんな形になっているかというの を御説明したいというふうに思います。平成20年度予算要求につきましては、「骨太の 方針2007」を基礎として、概算、シーリングなども決まっているところでございます けれども、「骨太の方針2007」については2ページの上の方にアンダーラインを引いて いますように、「基本方針2006」で示された歳出・歳入一体改革を確実に実現するとい うことでございまして、2ページ目の一番下のところのアンダーラインにありますよう に、「基本方針2006」で示された5年間の歳出削減を実現していくということを示され たところでございます。  基本的には3ページにございますが、下のところ、「基本方針2006」の中で、社会保 障についてはどういうことを考えていくかということですが、枠で囲った中の2つ目の ところにありますように、現役世代の負担が過度のものとならないよう社会保障制度全 般について不断の見直しを行い、セーフティーネットとして求められる水準に配慮しな がら、給付の伸びを抑制するということで、4ページ目の一番下のアンダーラインのと ころにありますように、過去5年間の改革を踏まえ--1.1兆円が国庫ベースで出たと いうことですが、これを踏まえ、今後5年間においても改革努力を継続するということ でありまして、これを「骨太の方針2007」でも踏襲して、実際に行っていくというこ とですが、3ページの真ん中あたりに、中略の下のアンダーラインにありますように、 「基本方針2007」におきましては、23年度までの5年間に実施すべき歳出改革の内容 は、機械的に5年間均等に歳出削減を行うことを想定したものではないということが、 この中にはありましたけれども、その後、5ページをごらんいただきたいと思いますが、 経済財政諮問会議の方で、いろいろ議論がなされまして、まず、民間議員の方から御提 案された内容として、アンダーラインにありますように、20年度予算の骨格という形 で、国の一般会計ベースで2,200億円の抑制を行うというふうに提案をされまして、経 済財政諮問会議の取りまとめというところにあります、一番下の方のアンダーラインで ございますが、同様な取りまとめということになったということでございます。  それを踏まえまして、6ページ目でございますが、20年度の厚生労働省の所管予算 についての概算要求基準はどういうふうになったかということでございます。年金医療 にかかる経費につきましては、自然増が7,500億円あるという中で、5,300億円は自然 増として認め、2,200億円を削減するということで示されたところでございます。これ については、いろんな施策の中での圧縮というのも、当然、社会保障給付全体で検討す る中ではございますけれども、実際の削減方策につきましては、ここにもありますよう に、予算編成過程において引き続き検討することとされたところでございます。  具体的には、これらを踏まえまして、保険局の方で、これまでいろんな検討も進めら れておりました医療制度改革の延長線の中に被用者保険におきます格差の解消を盛り込 んだ財政調整というものが、一つ提案できないかということで、一つの提案として、提 案をさせていただいているところでございます。  資料3-1の、2ページ目の2というところをごらんください。最初に、これまで、 18年度改正までで、いろんな改革を行ってきたところでございますけれども、結果、 どういうふうになっているかということを簡単に御説明したいと思います。最近の状況 で考えていきますと、まず、最初にありますように、これまで給付の抑制を図っていこ うということで、患者負担も原則3割統一ということになっておりまして、来年4月か らは、70〜74歳の方も2割負担をお願いするということで、引き続き、患者負担の引 き上げをお願いしてきているところでございます。  また、次に(2)にあるように、診療報酬につきましても、ネットで3回連続マイナ ス改定ということでありまして、18年は3.16%のマイナスということになりまして、 診療報酬での対応というのは、なかなか難度が高い問題というふうに考えております。 また、患者負担の方の関係につきましても、相当の負担をこれまでお願いしてきたとこ ろでございまして、これ以上の負担増というのも、なかなか難しい状況ではないかとい うふうに考えます。  一方、これまでの制度改革の中で、国民皆保険をどうやって守っていくかということ について、随分、議論をしていただいているところでございますが、医療費適正化など の保険者努力は当然やっていただくということでお願いをしながらも、医療保険の保険 者同士の中での助け合いを強化してきているという歴史ではないかというふうに思って おります。  まず、最初に高齢者についてですが、新たな高齢者医療制度というのを創設しており まして、これは20年4月からの施行ということになりますけれども、要は被用者保険 あるいは国保を通じた各保険者の負担の公平化を図っていくというようなことを行って いるところでございます。また、国民健康保険につきましても、都道府県単位で保険財 政共同安定化事業というものを創設しまして、高額なレセプトについて、保険料の平準 化の方向に一歩進み出しているところでございます。一方、被用者保険についてでござ いますが、高齢者については、地域保険も含めた形での助け合いというものを、今回、 確立していただいたということでございますけれども、一部、実施されている高額なレ セプトについての助け合いというのがございますけれども、格差解消に向けての手だて というのは、十分には講じられていないのが今の状況ではないかというふうに考えてい るところでございます。  こうした制度改正の経緯を踏まえ、また、最近の被用者保険間の格差という状況を考 えると、助け合いの強化を図っていくということを何とかできないだろうかということ で、一つ御提案をさせていただきたいというふうに思います。  次に3ページ目をごらんください。被用者保険における格差が存在・拡大してきてい るということでありまして、きょうは入口部分でございますので、どんな状況かという のを御説明したいと思いますが、お手元の資料3-4をお開きください。資料3-4の 最初の1ページ目でございますが、代表的な被用者保険の制度、3つを簡単に比較した ものでございます。加入者数にすると政管健保は約3,500万人強、組合健保が全体で 3,000万人、それから共済組合が約1,000万人というような状況にございますが、老人 加入率にはかなりの差がついているということと、それから平均報酬額についても、や はり少し差がついているというような状況かというふうに思います。  そこで1ページおめくりいただきたいと思います。まず、被用者保険における医療費、 つまり保険者から見た場合の費用の方でございます。出ていく費用の方の大きな部分で ございますが、1人当たり医療費を年齢別に見ていくということで、政管一般と組合、 国保と、この3つをサンプルでとったもので並べております。これで見ていただきます と、被用者保険にあります政管と組合については、高齢化に進むにつれて少し差がつい てきているところですが、若い世代については余り大きな差はついていないということ でございます。  次のページをごらんください。実際には、保険料というのは報酬に乗率を掛けていた だくという形になっております。実際に、その基礎になる報酬については、かなりの格 差がついているということでありまして、4ページ目の表を見ていただきますと、政管 が全体で380万円強、組合が約550万円弱ということですので、この差でいくと平均約 1.4倍の差になっております。また、ピーク時で見ていただきますと1.6倍という差が 現実にはついているということでございます。  また、その傾向が最近拡大してきているというのが次の5ページ目です。途中、総報 酬制に変わったりはしておりますけれども、政府管掌健康保険の右の方の下の方をごら んいただきますと、10年度以降ですが、政管についてはずっとマイナスが続いており まして、17年の総報酬で何とかゼロというような状況になったということでございま す。組合管掌の方は、マイナスのところも実はございますけれども、少し持ち直してい るか、という状況ではないかというふうに思っていまして、この差がやはり拡大をして きているのではないかというふうに思っております。  次に6ページ、保険料率の格差でございます。報酬が実際に、今言ったような状況に ありますので、じゃあ保険料率に直していくとどうなるかということですが、13年、 14年は、これは標準報酬の時代です。総報酬になってからですが、現実には政管は82 パーミルでずっと推移しておりますけれども、健保組合、それから共済組合は、それぞ れ平均の保険料率と政管との差を見ていただくと、その差は拡大してきているというよ うな状況にございます。  また、7ページをごらんいただきますと、個々の健康保険組合の中においても実は大 きな差がありまして、個々の健保組合の保険料率は、それぞれの財政事情によって変わ ってくるものでございますけれども、最低が31.2、最高が95パーミル超ということで 大きなバラツキがございます。中でも政管が82パーミルですので、これを上回る組合 数は、約1,600組合のうちで387組合、約4分の1というような状況に、現在なってい るということでございます。  それから次のページは、本人の負担ということでございます。保険料については労使 折半というのを原則にしながら、労使交渉などによって負担の割合を労使で変えていく ということが可能となっておりますけれども、これを見ていただきますと、政管は大体、 本人の負担割合は50%となっておりますが、総報酬階級別に並べていきますと、報酬 が高い大企業の健保組合ほど、本人負担が低くなっているということでありまして、本 人の負担ということに着目していくと、その格差というのは、さらに大きくなっている というような状況にございます。  ということで、資料3-1にまた戻っていただきまして、3ページ目の3番でござい ますが、こういった被用者保険における格差というものが、厳然と存在しておりまして、 拡大もしてきているという中でありまして、こういった格差をどういう形で解消してい くかということも一つの課題ではないかというふうに考えております。  4番ですが、具体的な方策でございます。実際には、これは後でごらんいただきたい と思いますけれども、資料3-5につけておりますが、これまでも、昭和30年代から 制度間の給付と負担の不均衡を是正するというための、いろんな財政調整制度など、い ろんな制度についての提案というのがなされてきたところでありまして、大きいところ で言いますと、37年を契機にして、42年、それから47年、法律が出たりしたときも実 はございます。53年も法律が出たんですが、結局、55年のときに修正をされていると いうことでありまして、これまでも長い歴史の中で、医療保険の中では歴史のあるお話 でございます。  今回、シーリングということで、かなりの財政上の、国庫の削減というのが大きな目 標となり、それが契機になったところでございますが、一つ、被用者保険内における格 差の解消を図るということで、財政的な点の解決もつかないかということで考えたもの でございます。  資料3-1の4番にありますように、一つは、これまでのやり方というのは、政管に は国庫負担というのが、若人の世代で言いますと13%入っているところでございます けれども、これをふやしていくという形も一つの方法かというふうには思いますが、非 常に国家財政が厳しい中でございます。国・地方を通じた借金の総額などは御存じのと おりでございまして、国家財政が非常に厳しい中、政管健保に国庫負担をつけてさらに 拡張していくというような手段をとることは、なかなか、もう、これ以上のことは限界 ではないかというふうになっております。  また一方、こういった格差もある中でございますので、サラリーマン相互の助け合い を強化するという方策として、これは一つの御提案ということで我々が考えているとこ ろでございますが、65歳未満の医療費については、被用者保険間での財政調整を行う ことが考えられるのではないかというふうに考えておりまして、少なくとも65歳以上 につきましては、前期高齢者あるいは後期高齢者医療ということで、助け合い制度は、 被用者保険、地域保険も含めた上での形ができ上がっておりますので、65歳未満の医 療費について行うことができないものだろうかというふうに考えております。その際、 実際には、保険者間につきましては、自主・自立を尊重するという観点を、当然、踏ま えながら、例えば医療費の2分の1について調整するということで、具体的には所得と いった保険者努力の及ばない要因を調整する一方、医療費の適正化努力が保険料率に反 映される仕組みということにならないものだろうかというふうに考えているところでご ざいます。  具体的な計算までは十分にしきれておりませんが、4ページ目、5ページ目が、その 参考になる、どういう形になるかというイメージ図でございます。政管につきましては、 保険料率で取っている部分の上に国庫負担ということで、給付費の13%分が載ってい るというのが今の姿でございます。これで、それぞれ所得なりで調整をしていくという 形で、出し側に回るのが健保組合、共済組合、それからもらい側に回るのは、大きく言 うと政管健保ということになっていくかと思います。  お手元に1枚紙をつけているかと思いますが、未定稿と書いたものでございます。仮 に65歳未満の方にかかる医療給付費の2分の1を調整対象として按分するとした場合 の試算ということで、きょうはおつけしておりますので、ごらんいただきたいというふ うに思っております。これは粗い試算でございまして、どういうふうにやったかといい ますと、試算上は医療費格差を考慮せず、調整対象となる医療給付費を単純に総報酬総 額で按分した結果ということでございます。以上でございます。  糠谷部会長 ありがとうございました。被保険者間の格差の解消についての議論はき ょうが初めてでございます。いろいろ御議論もあろうと思いますけれども、時間の許す 範囲内でやらせていただきたいと思います。  西村委員 今の話で私が最初に口火を切ると、ちょっと、超越的な話になるかもしれ ませんが、ぜひとも申し上げたいことがあります。今、特に資料3-4を中心に説明を いただきました。そして3-5の、これまでの経過を拝見すると、制度間の調整が相当 長期にわたって議論されていたことは存じておりますが、実は今、昨今起きている現象 は、もうちょっと突っ込んだ議論をする必要があるのではないかと私は考えております。 それは制度間の違いの根っ子のところに、個人間の違いというのが生じております。  つまり平均を見ると、政管健保の被用者は所得が低く、そうでない、組合の方が高い ということですが、この平均の議論とは別に、組合の中にも低い方がおられる。政管の 中にも高い方がおられます。それを無視して平均だけで議論をすると、確かにさっきの 数字で、総報酬でいくと、相当大きな差がついているということはわかります。一つは、 この部会でやはり議論すべきことは、給与の格差、所得の格差が、今、生じていること を、どうするかということではないような気がします。つまり、それは国全体でもうち ょっとしっかり考えるべきことであって、実は国保の問題も、大都市と地方の格差をど う考えるかということは、ちょっと別のところで議論していただく必要があると思いま す。その議論と、つまり所得が高いから保険料が少なくて済んでいるという議論と、同 じ所得なのに政管健保の人がたくさん払っているというその現状を、やはり分けて議論 していただきたい。私はやはり、その後者をもっとクローズアップして説得していただ かないと、財政調整の問題がなかなか解決できないのではないかというふうに思います。  それから、あわせて、今の話と関係しますが、事業主の負担をどのように考えるかと いうことは、残念ながら今までの制度の経緯等で、実は経済学者は結構議論をしている んですが、今までの報告の中に、あんまりクローズアップされておりません。ずっとこ れは混乱したまま、例えば国保とサラリーマンの関係も混乱したまま議論が進んできた。 何も議論しないで進んできたという経過がございます。ですから、やはり事業主負担に ついて、経済学者は割とはっきりした考えを持っていまして、これは所得の一部だ、と。 つまり、あるAさんという被保険者のために会社が払うのは、この人の給料の部分だ、 と。だから言い方を変えると、所得税を少なく払っているわけです。そういう問題が一 方であって、事業主の負担をどういうふうに考えるかということを考えないと、これは 当然、経団連さんなんかは、給料が高いのをけしからんと言われたらやっていられない という意向は大変よくわかります。  それからもう一つ、やはり昨今、議論しないといけないのは、今申した事業主の努力 ということです。これは山本委員に失礼な言い方になるかもしれませんが、また、これ は非常に難しい問題ですが、やはり一定限度、健保組合は経営努力をしてきたと思いま す。病気にならないように、一生懸命努力をした。その結果、それがある程度、保険料 に反映するという仕組みは、さっきの、健診を受けないと、という御批判がありました けれど、これからやはり、ある程度考える必要があると思いますので、経営努力につい てもどのように考えるか。  大変僭越な言い方ですが、昨今の社会保険庁のスキャンダルを考えると、社会保険庁 の経営者としての、政管健保経営者としての経営努力には、疑いを持たざるを得ないの で、今、分割の話は出ておりますが、早急にこの問題と絡めて、やはり、経営努力に関 する評価も--これははっきり言って、客観的にデータをとることは難しいです。どこ まで経営努力をしたかといっても、そんなのはわかりません。だけど、これはえいやあ ということで、頑張った分として、これだけは格差が出るのは当然だという考え方を入 れるしかないと、私は考えております。  そういう意味で、ちょっと今回の報告に関しては、今申した3点、経営努力、それか ら事業主負担、それから個人が同じ所得の場合に中小企業の人と大企業の人がどれだけ 負担が違うかという話を、やはり高い人、低い人、簡単に言うと3つぐらいで結構です から、データがいただきたいというのが一つでございます。  申しわけありませんが、私、ちょっとさっき遠慮したので、もう少し発言させていた だきます。もう一つの話ですが、これもちょっと率直な意見を申し上げたいと思います。 ちょっと言葉にこだわるようですが、革新的新薬に対しての適正な評価という項目が、 予算要求でもございました。骨太方針でもございました。経済財政諮問会議等で議論が されておりました。やはりそこで厚労省としては、あるいはこの部会としては、もしそ ういう画期的な新薬が開発されたら、それに応じて社会保障給付費は拡大するのかどう かという議論は、ぜひ、してほしいと思うんです。なかったら、削減はやむを得ないと 思います。だけど、もしも画期的新薬ができたり、あるいは新たないろんな技術進歩が 起きれば、医療費を上げるのは、それは恐らく国民的合意ではないかと思うので、経団 連さんは社会保障削減を言っているからこうだという議論をされますが、私は、製薬メ ーカーにとって、これは、そこをはっきりさせないと、意欲をそぐということになると 思います。  それに関して、もう一つございます。それは医療費削減の対象の中に、医療機器、そ れから医薬品が載っておりますが、いわゆるIT化についての議論が載っておりません。 私、最近、いろんな病院で、電子カルテ化、IT化の話を伺っているのですが、実は大 部分のところで全然役に立っていない。コストも下がっていない。仕事ばかりふえた。 お医者さんの仕事がふえた。さっき鈴木委員がおっしゃったように、お医者さんの仕事 がふえた。そういう議論がございます。これは、医療の効率化のために使うはずであっ たIT化が、どうもそういうふうになっていない。これについても経済学者の議論が世 界中でなされておりますから、そんな簡単な答えではないということはわかっておりま すが、ただ具体的な問題として、やはりそこの適正な評価というものが、これからはぜ ひ必要ではないかと思います。  失礼ですが、これに関して鈴木委員に、ぜひとも申し上げたいことがありまして、さ っき、医療秘書を雇うと3,500億要るという話がございました。私は全くそれに賛成で ございます。この分を上げることは、私は、いいと思います。ただ、先ほどその前に、 鈴木委員は、「主治医等」の「等」がひっかかるというふうにおっしゃいました。私の 印象は、やはりあらゆる分野で、医師が全部やろうとするから大変なことが今起きてい る、と。しかも医師の給料は、最近は低いですが、幾ら低いといっても看護師さんや医 療秘書よりも高いです。ですから、やはり、もうちょっと自分たちが今までやっていた 仕事で、人に任すことができる仕事を、どのようにしたら任せられるかという努力は、 ぜひとも医師会でやっていただきたい。「主治医等」の「等」が入っても、入った状態 でできるような状態をいかにしてつくるかという議論はぜひお願いしたいと、私は考え ております。  ついでに言うと、医師がやっている仕事をどこに回すかというと、看護師さんに回す 場合が結構あります。看護師さんの仕事が忙しい。それで今、最終的に来ているのは医 療秘書さんを雇おうという状況になっているんですね。特にこれは、私の知る限り、地 方でかなり深刻な問題が生じておりまして、特にIT系の企業さんが、地方の病院に対 して、あんまり優秀な人材を送らない。ですからIT系の、いわゆるSEというんです が、SEさんも入ってという形で医療費の削減ができる可能性は十分あると思います。 そういうことを含めて、やはりこの場で--この場は支払い側と診療側が、いつも何か 対立しているような感じがしますので、両方が協力して、IT産業が入っていって、そ こで医療費がこんなふうに質も下げずに削減できましたよという事例を、やはり示すと いうことも、これからの課題だと思うので、表面的には今の話で、医薬品・医療機器だ けではなくて、IT産業についての見直しというのを提案したいと思います。以上です。  糠谷部会長 ありがとうございました。予定の時間がまいっておりますけれども、こ の議論は引き続き次回以降もやることになりますので、きょう、どうしてもという御意 見がありましたら、若干、時間の延長をさせていただきますけれども。  山本(文)委員 1分で結構です。西村委員が言われたことで間違っていることは、 私の言い方が悪かったと思うんですけれど、健診のことを、県の担当課長が医師会の人 に、よく話しておけばよかった。それを、ただペナルティーが来るから全部協力してく れと、こういう言い方だったんですよ。健診をどういう人たちが受けるかについては、 私はよく知っているわけです。その私にそう言うんですよ、私どもに。だから、そうい うことを言って回る人たちが、もう少しよく理解ができるよう、わかっていなければ人 に説明ができない。だから健診は大いに結構なんですよ。私は決してそれを反対してい ない。ただ、そういうふうな説明をするようなことを、国や県がしたのではないかと、 さっき言ったんです。ちょっと皮肉でしたけれどね。本当は、わかっていないんですよ。 説明する側の方がわかっていない。それがもう少しわかるように説明したらどうですか と、こう言ったんです。ですから、反対をしているわけではありません。誤解のないよ うにしてください。  糠谷部会長 それでは磯部委員、どうぞ。  磯部委員 時間がないと思いますので一言だけにします。今の西村先生の御意見と結 論的には同じことになると思いますけれど、この問題は、やはりじっくり検討するに値 するだろうと思います。ただ、最初のご説明のなかで、一方では非常に長い歴史のある 長年の懸案であるということを言いつつ、同時に他方では、来年の予算の概算請求とい う文脈のなかでとりあえず何とかしなければならないという説明もされるので、ちょっ とそこのところがわかりにくくなっており、重点はどちらにあるのだろうかと、やや悩 ましい感じです。しかしやはりこれは、本質的に制度内在的に検討すべき必然性のある 課題だろうと思います。もちろん経営努力に帰せられる部分もあるだろうし、他方で、 経営努力という以前の要素もあるだろうと思われます。その辺のところがもう少し明確 になるような資料なども用意していただいて、ぜひ、落ち着いて議論をしていくべき問 題であるというふうに思った次第です。  糠谷部会長 それでは鈴木委員、それから小島参考人ということでお願いいたします。  鈴木委員 皆さんに認識していただきたいんですけれど、直近のOECDのヘルスデ ータでは、2003年で日本は18位だったんですけれど、22位になりまして、イギリスは 19位で追い抜かれておりますので、それほど日本の医療が危機に瀕しているというこ とを、よく御認識いただきたいと思います。  糠谷部会長 それでは小島参考人。  小島参考人 では一言だけ。今回の政管健保の国庫負担削減に伴う被用者間の格差是 正という考え方については、基本的には現段階では反対である、認められない、と一言 言っておきたいと思います。それと、来年度の予算編成で、2,200億 社会保障関係を 圧縮するということですけれど、一律的に削減・抑制する、ということ自体が問題だと 思います。  対馬委員 この問題は非常に重要な問題ですから、次回、ぜひ早期にやっていただき たい。私どもは反対ですので、そのことだけ申し上げておきたいと思います。  糠谷部会長 この問題は次回以降、引き続き議論をしていくということだと思います ので、そういうことで御理解をいただきたいと思います。ちょっと時間が押しておりま すけれども、最後の議題、その他といたしまして、産科医療補償制度構築に向けてのこ れまでの取り組み状況についての報告があるということですので、事務局から簡単にお 願いいたします。  岡本参事官 時間も過ぎておりますので、簡単に御説明申し上げたいと思います。資 料4を御用意いたしております。「産科医療補償制度構築に向けてのこれまでの取り組 み状況」という資料でございますが、まず2枚目を見ていただきたいとお思います。平 成18年の11月29日に、自由民主党から「産科医療における無過失補償制度の枠組み について」ということで、2枚目、3枚目、4枚目で案が提示をされております。  1枚目に戻っていただきまして、それを受けまして、平成18年度の補正予算におき まして、「産科無過失補償制度創設事業」というものを計上いたしまして、これを平成 19年の2月からでありますけれども、この検討を、財団法人の日本医療機能評価機構 に委託をいたしております。昨日、9月19日までに、今まで2回ほどヒアリングを行 うとともに、いろいろ検討を行ってきたわけでございます。  基本的に、今、提示をされている枠組みでありますが、2枚目の方をごらんいただき たいと思います。分娩時の医療事故におきましては、過失の有無の判断が非常に困難な 場合が多くて、裁判で争われる傾向があるというようなことから、それが一つの産科医 不足の理由として挙げられているということがある。それを踏まえまして、安心して産 科医療を受けられる環境整備の一環として、そこに書いてある3つ、つまり早期に救済 をする、それから紛争の早期解決を図る、それから事故の原因分析をして産科医療の向 上を図るという、こういう3つの目的を持った仕組みとして創設するということでござ います。  制度の運営主体として、医師会との連携のもとに運営組織を設置し、そこが補償対象 か審査を行い、事故原因の分析を行う。それから、医療機関や助産所単位で加入をする 保険ということで、民間の保険--下の方にあります4のところでありますけれども、 保険会社に保険料を支払うような形、それから保険料の負担に伴い分娩費用が上昇した 場合は、出産育児一時金での対応を検討するということであります。それから、その支 払いにつきましては、受け取り代理等の仕組みも活用することを検討するということで あります。  それから補償の対象者としては、通常の妊娠・分娩にもかかわらず脳性麻痺となった 場合とするということでありますが、この具体的な通常の分娩の定義、または障害の程 度、対象者の発生件数の調査など、制度の詳細な仕組みについては事務的に検討という ことになっているわけでありまして、これを今、医療機能評価機構の方の検討会で検討 しているところでございます。  それから補償の額等につきましては、これも検討事項ということでございます。  その次のページ、審査及び過失責任との関係でありますが、過失等が認められた場合 につきましては、医師賠償責任保険等に求償をするという仕組みでございます。それか ら、これは民間の保険を活用するということではございますけれども、国の支援という ことで8にありますように、産科医の確保、それから事故原因の分析を通じて安心でき る産科医療が確保され、ひいては少子化対策にも資すること、ということがありますの で、国はこの制度設計を今やっているところでありますが、それとともに事務に要する 費用の支援を検討するということでございます。  仕組みとして、シェーマとしてはその4枚目に書いてありますが、5ページ目に、今、 検討している委員の名簿をつけてあります。それから6ページ以降でありますけれども、 昨日、第7回をやりまして、ちょっと資料の準備が間に合っておりませんけれども、今 まで7回、ここは6回目となっておりますけれども、7回までの議論で同じ資料が提示 をされておりますので、基本的には、この自民党から示された枠組みの中で、制度構築 に当たって、いろいろな作業をしているということでございます。まだ検討途中でござ いまして、先ほど言いましたけれども、特に補償の対象者等につきましては、今後、事 務局から案を提示し、一層議論を深めていくということにいたしております。  とりあえず、まだ、検討の途上でありますけれども、今の検討状況について御報告を させていただきました。  糠谷部会長 ありがとうございました。ただいま御説明いただきました事項について は、時間の関係もございますので、御質問等がございましたら、事務局までお問い合わ せをいただければと思います。  よろしければ、時間が若干、超過をしたしましたけれども、本日はこれまでとさせて いただきたいと思います。今後の開催時期はまだ未定でございますけれども、開催が決 まり次第、事務局より御連絡いたしたいと思います。本日は議題がたくさんありまして、 議事運営が若干延びましたけれども、長い間御議論をいただきまして、ありがとうござ いました。これにて終了させていただきます。 (終了) (照会先)                          保険局総務課企画調査係                          TEL.03(5253)1111                                (内線5219)