07/09/19 第103回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第103回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成19年9月19日(水)13:30〜 2 場所  共用第9会議室(18階) 3 出席者    委員  公益代表 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員        使用者代表:市川(隆)委員、山崎委員、輪島委員   事務局  大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        田中派遣・請負労働企画官、松原需給調整事業課長補佐、        松浦需給調整事業課長補佐、佐藤需給調整事業課長補佐 4 議題  労働力需給制度について ○清家部会長  ただいまから、第103回「労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、労働側の 古市委員がご欠席ですが、代理として全国建設労働組合総連合の山下組織部長にご出席 いただいております。よろしくお願いいたします。また、使用者側の山崎委員も10分ぐ らい遅れてご到着と伺っておりますので、開催させていただきます。  本日は、公開で「労働力需給制度について」をご審議いただきます。早速、議事に入 らせていただきます。最初の議題は「労働力需給制度について」です。事務局において 資料を作成していただいておりますので、まず事務局から資料の説明をお願いいたしま す。 ○松原補佐  私から資料について説明させていただきます。まず、資料のご確認をお願いします。 資料1「労働者派遣制度に関する検討課題」、資料2「『派遣労働者の雇用の安定』につ いての検討資料」、資料3「労働者派遣事業に係る基本的な資料」、資料4「派遣先が講 ずべき措置に関する指針の一部改正について」、資料5-1「労働者派遣と在籍型出向と の差異」、資料5-2「緊急医師確保対策関係資料」の関係で、資料5-3、資料5-4、そし て「参考」という形で付けております。お手元にない委員がいらっしゃいましたら、お 教えいただければと思います。  まず、資料1、資料2、資料3について説明させていただきます。資料1は、今後の検討 課題ということで、当部会において委員各位のご賛同を得て、今後の検討課題として策 定されたものです。本日はIの「派遣労働者の雇用の安定」の(1)(2)(3)(4)の 部分についてご議論いただくということです。その他については次回以降という形でご 議論をいただくことにさせていただきたいと思います。  続きまして資料2の1頁は、当部会において、常用型、登録型、26業務、非26業務のい ずれを議論しているのかわからないというご指摘がありましたので、縦のほうで常用型、 登録型を分けて、上下で26業務、非26業務という形で分けて、分類といいますか、整理 をしたものです。資料的には、従前、当部会にお出ししている資料からピックアップし て、比較を行っております。  (1)の常用型・26業務ですが、ソフトウェア開発、機械設計に従事する男性が多く、派 遣受入期間の制限がありません。(2)の登録型・26業務は、事務用機器操作、ファイリン グに従事する女性が多い。こちらも派遣受入期間の制限はありません。(3)常用型・非26 業務は、物の製造に従事する男性、一般事務に従事する女性が多い。派遣受入制限期間 があり、基本は1年で、最大は3年まで延長という形になっております。(4)の登録型・非 26業務も、左の(3)と同様、物の製造に従事する男性、一般事務に従事する女性が多くな っており、派遣受入期間の制限があるという形になっております。  2頁以降です。基本的に従来、当部会において提出した資料の中からピックアップし ております。2頁は、前回の部会において提出しましたが、いわゆる「派遣元事業主の 現状」です。一般労働者派遣事業主が1万4,688所、特定労働者派遣事業主が1万6,673所 となっています。前回の部会で、この一般労働者派遣事業主の「常用型+登録型」の部 分を分けて数字が出ないかという宿題がありました。原表を見ましたが分けて取れる形 になっておりませんので、そのデータ自体は出ないということでご了解いただきたいと 思います。派遣労働者数については、前回説明のとおりです。  3頁は、検討の課題の(1)の議論の取っかかりの資料として提出しております。「派 遣労働者の現状(常用型と登録型)」ということでキャプションをご覧いただくと、常 用型派遣労働者については男性が多く、1日8時間、週5日労働であり、月給が多くなっ ている。一方、登録型派遣労働者については女性が多く、1日約7時間、週約5日労働で あり時間給が多くなっております。  4頁は「派遣労働者の意識」です。これも検討課題(1)に対応する資料です。26業務 以外の常用型及び登録型において、できるだけ早く正社員として働きたいと希望する割 合が高くなっております。  5頁も(1)に対応する資料です。「派遣契約期間等」ということで、上のほうが派遣 元と派遣先の派遣契約期間について出したもの、下のほうは派遣元との雇用契約、登録 型のみ抜き出しております。派遣契約期間は3ヶ月以上6ヶ月未満、通算派遣期間は1年 以上3年未満が最も多くなっております。また、登録型については、雇用契約は3ヶ月以 上6ヶ月未満が最も多く、派遣先における同一業務で継続就業した契約の更新回数は4回 以上が最も多くなっております。  6頁、7頁、8頁については、(2)の日々雇用の派遣労働に対応している資料となって おります。これは前回説明した「日雇い派遣労働者の実態に関する調査」から抜き出し ているものです。「事業運営の実態」として、調査対象は10社でしたので、1日当たり 平均の雇用契約が1月未満の派遣労働者は10社合計で約5万3,000人。うち雇用契約が1日 単位の派遣労働者は5万1,000人となっております。  7頁の「短期派遣労働者の実態」です。短期派遣労働者については、年齢・性別のと ころに下線が引いてありますが、若年層が多く、今後の希望についても「現在のままで よい」が45.7%、「正社員」が29.6%となっております。一方、男性の若い年代である 25〜39歳では、正社員を希望する割合が多くなっています。  8頁は、前回の部会で宿題になっているものです。短期派遣労働者と直用の日雇い労 働者の比較をしてくれないかというオーダーでした。この定義ですが(注1)で、「日々 又は1ヶ月未満の契約で雇われている者」ということで比較しております。短期派遣労 働者では35歳未満の若年層が多くなっており、今後の希望については「現在のままでよ い」が45.7%となっております。一方、直用の日雇い労働者については、転職非希望者 が82.1%となっております。補足すると、いちばん下の平均月収ですが、比較をするた めにこういう形でお出ししましたが、(注3)にあるように、直用の日雇い労働者は「 賃金構造基本統計調査」からとっており、全国ベースの数字になっております。一方、 短期派遣労働者は、前回お出しした「日雇い派遣労働者の実態に関する調査」ですので、 東京・大阪を中心とした10社のデータということで、単純比較はちょっと難しい部分が あるということはご理解いただきたいと思います。  9頁は(3)の常用雇用型の派遣労働の雇用契約の申込義務に対応する資料です。派遣 期間の制限の定めがない場合にどうかんがえるかということで、派遣元事業主、派遣先 事業主においては、「廃止すべき」又は「努力義務程度に緩和」というのが多くなって おります。派遣労働者においては、「そのままでよい」が最も多くなっております。一 方で、派遣労働者においても、「常用労働者として雇われている労働者は適用除外にす べきだ」という方も一定程度みられるところです。  10頁は(4)に関連する資料です。派遣労働者のみなし雇用制度ということで、当部 会で専門の大学の先生にヒアリングをさせていただいたときの概要を付けております。 ドイツ、フランスにおいては、派遣先事業所と派遣労働者の間に、一定の場合に雇用契 約が成立したとみなす制度があるというものです。ドイツとフランスにそういう制度が 存在しておりますが、中身的には多少違いがあるという状況です。  11頁も(4)に対応するものです。派遣労働者を社員に登用する制度については、「 制度がない」とする事業所が70%ということで、最も多くなっている状況です。資料2 についての説明は以上です。  資料3は説明自体を省略させていただきますが、これは基本的な資料として出してい るものです。派遣事業所数の推移、派遣先事業所数の推移、事業所の就業の有無、派遣 労働者の主な受入れ理由など、従前お出ししている資料から、基本的なデータとして出 させていただいているものということで、説明は省略させていただきます。 ○清家部会長  ありがとうございました。まず初めに、資料1に今後の検討課題がありますが、Iの (1)と(2)について、少しご議論をいただきたいと思います。ご意見等ある方は、ど うぞご発言ください。 ○市川(佳)委員  登録型の(1)ですが、登録型というのはいままでいろいろなアンケート調査を見ても、 やはり雇用が不安定なのです。年収などのいろいろなデータを見ても、やはり登録型の ほうは問題が起きているということと、また登録型という仕組み自体に、次の(2)の日 雇いなどという想定もしていなかったことを生むような土壌があるということで、登録 型のあり方というのは、根本的に考える必要があるのではないかという問題意識も労働 組合としては持っております。  雇用の安定といったときに、登録型は派遣しているときだけ雇用関係があるのです。 派遣されている期間だけ派遣元と雇用契約がある。これも何度か説明を受けたのですが、 ちょっと意味がよくわからない。登録している状態というのは、その人はどういう状態 なのか。登録している状態だということはわかりましたが、登録している間の派遣元と 派遣労働者との関係も、法律的にどういう位置づけにあるのかというのが今一つ明確で はないということから、原則として登録型というのは、例えば専門26業務だけ制限す る。例えば専門業務だけには何とか認めるとか、本当を言うと登録型をなくしてほしい というのが労働側としての考え方ではありますが、そうもいかないでしょうから、せめ て登録型は専門業務しか認められないなどという方向の議論と検討が必要ではないかと 思います。 ○市川(隆)委員  いまのご議論はわからなくもないのですが、先ほどご紹介のあった資料2のパーセン テージですね。これは右側が登録型になるわけですが、今後も派遣労働者として働きた いというところは、おそらく同じ登録型の派遣労働者として働きたいという趣旨ではな いかと思うのです。それが26業務で37%、下の非26業務で28%ということで、同じ形で 登録型の派遣で継続して働きたいという方のパーセンテージが、かなり大きいなという 感じを持っております。これで見る限り、おっしゃるような、雇用が不安定なのでこれ をなくすべきだという議論には、すぐには結び付かないような数字ではないかという気 がしました。 ○輪島委員  資料2の1頁と2頁のところで伺いたいのです。2頁の一般の下の囲み部分の派遣労働者 数の常用雇用の61万2,000人は、一般が45万5,000人で、特定が15万6,000人となってい て、その下の常用換算の62万6,000人、193万人との関係を1頁で見ると、1頁の左側の常 用雇用の(1)と(3)で61万2,000人と読む。右側の(2)と(4)で、常用換算でいえば62万人で、登 録者という意味合いで働いているというのでは、(2)と(4)で193万人というように理解し ていいのかを教えていただきたいと思います。  2つ目は、これはちょっと瑣末な話ですが、(3)の2つ目のポツに「できるだけ早い時期 に正社員として働きたい」という表現が出ますが、この「正社員」というのは、統計で は派遣先の正社員ということを意識して聞いている設問なのかどうか、まずお伺いした いと思います。 ○松原補佐  まず、2つ目のほうで「派遣先の正社員として働きたいか」と聞いているかどうかで すが、「派遣先の」というように限定は打っておりません。「正社員として働きたいで すか」という設問になっており、派遣労働者の方にその設問について答えていただいて いるという形になっております。  1つ目のほうですが、先ほど説明しなかったのですが、4つの累計の人数を出そうとし たのですが、重なりが出て正確な人数が出ません。ですので、現時点で4つの類型につ いてそれぞれ正確にお答えできるデータは、いまのところ持ち合わせていないという状 況です。 ○輪島委員  1点目の(3)の正社員ですが、「派遣先に」と限定していないところ、いわゆる(3)の 常用型になっているわけですよね。そこであって、正社員として働きたいと言っている のがどういう意味合いなのか、もう少し教えていただきたいと思います。  2点目ですが、統計上出ないというのはしょうがないのかもしれませんが、大体、実 態としてどのようになっているのかということになると、ざっくりは先ほどの(1)と(3)で 61万人で、(2)と(4)で193万人。重複を除いたりするのでしょうけれども、ボリューム感 としては世間一般ですと派遣労働者全体では240万人、それは61万人と193万人を足すと そのようになるということなので、できればもう少し実態に合わせて、どういうものな のかというのを数字上、表す必要があるのではないか。  それから、市川委員がおっしゃった点ですが、やはりそこがねじれているのはねじれ ていて、資料2の1頁でいうと、おっしゃったのは縦で切ると、(1)・(3)と(2)・(4)に、こう いうところに区分けがあって、そこのところで選別したほうがいいということだと思う のです。ただ、こちらの市川委員がおっしゃったように、私どもとしては横で評価をす ると、(1)と(2)は受入れの期間制限がないところで言うと、「今後も派遣労働者として働 きたい」と回答しているほうが多くなっているので、ここをどのように見るのかという ことになると、ずっと私どもが主張している期間制限がないほうが、実際には雇用の安 定に資するのではないかとも思うのです。  課題になるとすると、(4)をどのようにするかという切り口で、(4)の何が問題なのかと いうことは、ようやく初めてこういう整理が出てきたので、整理して議論していないの で、もっと整理した議論が必要なのではないかと思っています。 ○清家部会長  事務局は、最初のほうの質問はいかがですか。 ○松原補佐  まず、4つの類型については正確には数値は出ないのですが、左と右、つまり常用型 と登録型ということでしたら、輪島委員がおっしゃったように、常用型が61万2,000人 程度、登録型が常用換算ですが62万6,000人というデータになります。上下のほうがち ょっと重なりがありますので、そこが出ないということでご理解いただければと思って おります。  もう1つ、今後の働き方ですが、派遣労働者に「今後の希望する働き方は何ですか」 と聞いて、選択肢が「今後も派遣労働者として続けたい」「できるだけ早い時期に正社 員として働きたい」「家庭の条件が整えば正社員として働きたい」「パートタイム・ア ルバイトとして働きたい」という項目が設けられております。基本的に「派遣先で」な どという限定は、はめておりません。この「できるだけ早い時期に正社員として働きた い」という数値を、今回出させていただいているということです。 ○北村委員  話を伺っていると、数字をどう読むかという話になってくるかと思うのです。これは かなり前に結果報告をいただいたように思いますが、たしかいくつかの派遣会社を選抜 して、そこから派遣で働いている方々にアンケートを送って、直にこちらに返すという ような手続きだったように記憶しております。  そうすると、まず選ばれる企業は、おそらくお行儀の良い企業であろう。あるいは、 企業から自分の所に登録、あるいは常用雇用している労働者にどういうバイアスがかか ってアンケートが送られたのか。あるいは、それを返してくる段階で、どういうバイア スが働いたかということについてはちょっと疑問で、私はこの数字が前提としてどんど ん独り歩きすることには、ちょっと危惧の念を覚えるのです。  そのことについて、例えば非政府機関等も含めて、いろいろな機関が調査をしておら れるわけです。それが全部並列で同じ効力を持つかどうかわからないのですが、参考と してみたい、あるいは少なくともこの数字を扱うときに、非常に慎重に条件付きという ことにすることが必要ではないかと思っています。 ○清家部会長  事務局、いかがですか。 ○松原補佐  委員のご指摘ですが、「労働力需給制度についてのアンケート調査」は、アンケート 調査として適正なものと考えております。委員がおっしゃったように、派遣元事業所5, 000事業所、派遣先1万5,000事業所。派遣労働者に対しては、いま申し上げた派遣元事 業所5,000事業所から各派遣元当たり3人選んでいただいて、1万5,000人という形で集計 をしております。派遣労働者からの集計は、当然、事業主を経由せずにやっております。 バイアスというお話がありましたが、適正なアンケートに基づいた数字であると思って おります。また、ほかの非政府機関のアンケート調査などについては、ちょっと調べて みたいと思います。 ○北村委員  非常に素朴な疑問なのですが、もし自分が派遣元会社であったならばということを考 えると、自分が指定した雇用者がどのような返事をするかということは見る機会はない わけですが、ランダムにというよりは、「じゃあ、何々さんに頼もうか」ということは 十分あり得るような気がしています。  新聞的にいうと、こういったものが出てくると、働きたい人は何パーセントみたいな ことになると、どんどんそれが世間の常識になってくるということがあって、それはや はり印象としては怖いなという気持はあります。確かに、実は「派遣でこのまま働きた い」という人が声なき声として多くいらっしゃることも承知はしていますが、法令とい うのは問題が発生する側に軸足を置くという考えに立てば、単にこちらのほうが多いか ら、少ないからということにはならないのではないかと思います。 ○鈴木課長  北村委員のご指摘はもっともで、こういうアンケート調査をやると、特に労働者調査 について、どういうやり方をしたかということがいつも問題になります。ただ、1つ、 これは私ども事務方としての言い訳になりますが、労働者の属性ごとに企業を経由せず につかまえて、それでアンケートをまいてやるというのが、まずサンプリング、それか ら回収率の問題からして非常に難しいことになり、極めて回収率が低くなるということ があります。結局そういうことで事業主を通さずにとるか、サンプルが少なくなること を覚悟でとるかというような選択で、通常の場合は若干そういうバイアスがかかる可能 性があるとしても、事業主を通じてやるというのがこういうアンケートの定番だと考え ています。  逆に、この数字があるからといって、それだけでご判断くださいというのではなくて、 そういうやり方で取ったアンケートだということを踏まえて、まさにこの部会は専門家 の皆様方に集まっていただいていますので、この数字は1つの参考としていただいて、 あとは現場の生の声を労使の皆さん方からもいただいて、ご議論いただけたらと事務局 としては思っております。 ○長谷川委員  私も北村委員の質問に対する事務局の見解は、そうだと思うのですね。だから、例え ば資料2の4頁で、26業務の常用型で働きたいと希望している人が30%で、できるだけ早 い時期に正社員で働きたいというのが27%となっていますが、そんな単純ではないと思 うのです。ただ、それぞれの4つの形で働いている労働者の大方の傾向は見ることがで きるのだと思うのです。  だから、専門26業務のところは常用型にしろ登録型にしろ、今後もこのような形で働 いていきたいという人が、どちらかといえば正社員で働きたいと思っている人よりも多 いなと、そういう傾向値は見ることができるし、一般のところの常用型については「で きるだけ早い時期に正社員として働きたい」という人がやはり派遣で働きたいという人 よりも多いなと。登録型で、「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」という人 が派遣として働きたい人よりも多いという、一般的傾向を見ることができる。  このときの正社員というのは、必ずしも派遣先の正社員ということではないと思うの です。要するに、正社員として早くどこかで、ボーナスも出て、退職金も出るようなと ころで働きたい。これは勝手な私の想像なのですが、そういうものの現れではないかと 思うのです。そういう認識をしながら、なぜこういう傾向が出てきたのかというところ の理由みたいなものを、もう少し審議会の中では議論しながら、とりわけ(3)、(4)のとこ ろで「できるだけ早い時期に正社員として働きたい」という人たちは、なぜそのように 思うのかというところを、もう少し議論していったらどうかとは思います。  先ほど労側の市川委員が言ったように、私どもでも約1年ぐらいにわたって、労働者 派遣法の改正に対してどのように取り組むべきかという議論を12回ぐらいやってきて、 先週の木曜日の中央執行委員会で確認しましたが、派遣労働者への思いというのはいろ いろあります。だから、全部駄目だなどとは言っていませんで、大体、連合はこういう 傾向があって、特にいま市川委員が言ったように、(4)の一般の登録型の問題がやはり非 常に大きいと。それぞれあるのですが、それでもこの(4)の人たちの問題が多いので、こ こをどうしていくのかという議論が必要なのではないか。そのときに、雇用の安定や公 正な処遇などということについて、視点を当てた議論が必要なのではないか。結論はあ とから言いますが、このように考えています。 ○清家部会長  はい、わかりました。 ○輪島委員  長谷川委員、結論というのは労側で取りまとまった結論ということでいいですか。 ○長谷川委員  労側のです。 ○輪島委員  それはおありになるのですね。 ○長谷川委員  先週の木曜日に確認しました。 ○輪島委員  ここでおっしゃっていただいても。 ○長谷川委員  組織の中でもいろいろな意見があったのです。だから、きれいにバシッと決まったわ けではなくて、産業別にやはり違いますし、問題意識も違うので、取りまとめは非常に 苦労したのです。だから、おそらくこの審議会もそこは一緒なのではないかと思ってい ます。ただ、問題は先ほど言ったように、雇用の安定と公正な労働条件を確保しながら、 派遣制度というものをどう活かしていくのか、その両方から考えなければいけないだろ うと思います。 ○清家部会長  ほかにいかがでしょうか。またもとに戻ることもあるかと思いますが、引き続きIの (3)および(4)、常用雇用型の派遣労働、それから派遣受入期間・派遣労働者への雇 用申込義務の辺りについて、ご議論いただきたいと思います。もちろん、前のところと も関係しますので、そちらに及んでいただいても構いません。 ○山崎委員  資料2の8頁の左側で、4つ目の○に「今後も現在のままでよい」が45.7%と書いてある のですが、「現在のままでよい」という回答が45%を超えるということは、日雇い労働 者がどのぐらいの期間勤めて働いているのか、どのような理由によって働いているのか ということが、私はちょっとよくわからないのです。こういうことに関して、実態の把 握というのは必要なのかと思ったりするのですが、この件についてはいかがでしょうか。 ○松原補佐  日雇い労働者の実態というところですが、雇用形態ですが、短期派遣労働者は(注1) にもありますように、1ヶ月未満の契約ということで取っておりますので、このうち1日 単位の方が84.0%、2〜10日までが3.3%、1ヶ月未満が3.3%という数値になっておりま す。現在のままでよいといったところですが、短期派遣で働く理由として、基本的に「 働く日時を選べて便利であるため」が47.8%、「収入の足しにするため」が36.7%とい う数値になっており、このような方々に今後の希望する形態ということでお聞きしたと ころ、「現在のままでよい」が45.7%、「正社員」という方が29.6%という数値になっ ているものです。 ○田中企画官  どのぐらい日雇いを続けてきたのかということについては、調査の範囲に限界があり ましたので、今回はそういう調査は取っておりません。そこをクロスするというのは、 ちょっとこの調査では不可能です。 ○市川(佳)委員  8頁のいま山崎委員がご指摘になった表で、「現在のままでよい」が全体の45.7%で、 男性・女性で分けたとき、どっちも平均値より高くなるということがあるのですか。数 字の問題ですけれども。 ○松原補佐  委員おっしゃるとおりですので、もう一度、精査させていただきます。 ○清家部会長  事務局、これを確認しておいてください。 ○市川(佳)委員  検討課題の(3)ですが、常用型派遣の場合、「派遣元で雇用の安定が図られており」 ということなのです。それはそうだろうと思いますが、例えば資料2の5頁で、連合の中 で派遣労働者を組織している組合の皆さんなどに聞くと、常用雇用だと言っても、雇用 契約の期間が月単位や3ヶ月や1年などで、いわゆる正社員の期間の定めのない契約とは 限らないのだと。だから、常用雇用だから安定しているから、例えば次の雇用申込義務 がなくてもいいではないかというようにはならないのだ、というような意見が派遣を組 織している組合から出されております。そういう意味で、常用の方たちの雇用契約の期 間を調べたという資料はあるのですか。 ○松原補佐  ございます。口頭で恐縮ですが、数字で言わせていただきます。派遣元との雇用契約 の期間ということですが、常用型で1ヶ月未満が0.3%、1ヶ月以上3ヶ月未満が4.2%、3 ヶ月以上6ヶ月未満が12.8%、6ヶ月以上1年未満が23.5%、1年以上3年未満が14.6%、3 年以上の期間の定めがあるが1.2%、期間の定めがないが43.2%という数字になってお ります。 ○市川(佳)委員  そういうことですと、繰り返されているのでしょうけれども、半分以上の方たちが期 間の定めがある。そういうことを考えると、簡単に(3)あるいは(4)の申込義務をど う考えるかといったときに、やはり常用だから単純に、なくてもいいというようにはい かないのかなと。  9頁の「雇用契約の申込義務に係る考え方について」を見ても、派遣労働者というこ とについてはやはり「そのままでよい」という答えも多いわけで、常用だからなくても よいというようにスッといくのかなと。労働組合としては、期間の定めのない直接雇用 を原則とすべきだというのがいちばんの基本にありますので、そう簡単に常用であれば すべて雇用が安定しているというようにはちょっと言えませんねと、意見表明ですけれ ども。 ○清家部会長  はい、わかりました。 ○輪島委員  いまの点ですが、確かに常用型といっても期間雇用だという実態があるのはそうだろ うと思います。事務局にお伺いしますが、期間雇用になっているけれども常用型だと表 現する理由は、どういうところなのでしょうか。 ○松原補佐  基本的に常用型というと、一般的には期間の定めがないと言われていますが、定義と して常用というときに、たとえ有期契約であっても、繰り返されることにより期間の定 めがない方と同視できるというような場合については、常用型という形で定義させてい ただいているという状況です。 ○山崎委員  常用型の派遣労働者については、雇用申込義務の発生を避けるために、派遣先企業が 契約を打ち切らざるを得ないということがあるのですが、そういうことになると、かえ って派遣労働者の雇用が不安定になってくるのではないかと思っております。ですから、 私はいなかったのですが、聞くところによると、たまたま労使双方ともなくしたほうが よろしいのではないかという話が出たと伺っております。私もこういう義務については 廃止したほうがよいのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。常用型派遣 における雇用申込義務は撤廃すべきだと思っております。 ○長谷川委員  1つは派遣の受入期間制限についてですが、派遣の可能期間の上限の延長ということ が、いろいろなところから提起されるわけですが、これは臨時的・一時的な労働力の需 給調整制度という原則からすると、派遣可能期間の上限は延長すべきではないと考えま す。それと同時に、派遣労働者の活用に関する理由を限定することも検討すべきではな いか。ここは有期の問題を議論する場所ではありませんが、有期について、なぜ有期に するのかという理由はやはり必要ではないかというご指摘が、最近いろいろなところか らあるのです。私はこの派遣についても、活用に対する事由を限定することによって、 臨時的・一時的な労働力の需給調整制度ということになるのではないかと思います。  それから、雇入申込義務ですが、いま山崎委員がおっしゃったように、ヒアリングに 来ていただいた派遣元事業主もそのような意見を言っていました。連合の中でも、これ は最後までもめました。嘘も隠しもなく言えば、やはり雇入申込義務は見直したほうが よいのではないかというところと、いや、そうは言っても、というところがあって、そ このところは労の中で、かなり両方の意見が出たということは報告しておきたいと思い ます。したがって、雇入申込義務を廃止することについては、なかなか難しいというの は言っておかないといけないと思っています。  みなし雇用制度について少し述べておきたいと思います。諸外国の派遣制度を見たと きに、ドイツやフランスのみなし雇用制度というのがあったと思うのです。最近の派遣 のいろいろな動向の中で、無許可とか無届出の事業者がいたり、許可基準を満たしてい ない事業者から労働者を受け入れていたとか、特定行為を行っている事業主がいて、そ ういうところから労働者を受け入れた場合、偽装請負などもあったわけですし、最近で は禁止業務への派遣も発覚したわけです。このような場合には、派遣先での期間の定め のない雇用とみなすという規定を入れることによって、派遣元、派遣先を健全化させて いくことが必要なのではないかということで、みなし雇用について、今回、法律改正が 行われるとすれば、是非このことは検討していただきたいと思います。  雇入義務の話は、先ほど言ったようにヒアリングに来ていただいた派遣元事業主など は全く山崎さんと同じように言っています。そうでないところでは、そうは言ってもと いう意見があって、そこは2つあるということだけ申し上げておきます。 ○輪島委員  私どもも、基本的にどのように考えるのかということは、まだ整理をしきれていない ので、なかなか難しいところかと思います。現状で資料2の1頁でいうと、(1)と(2)の横 で切った上のほうからすれば、やはり派遣の受入れの期間制限の40条の5の、特に(1)常 用雇用の26業務は、実態としては、ある意味で3年で切らざるを得ないということを鑑 みると、40条の5の特に(1)について言うと、見直しをする必要があるのではないかとは 思っているところです。  その点で、受入れの期間制限のところで、有期のことをどのようにするかというのは ここの審議会とは別です。ただ、ある一定程度そこの見極めがつかないと難しいと思う 部分もある。それから、有期雇用をどのように位置づけるのかという整理をある程度し ないと、そこで何で派遣の契約期間を3ヶ月未満とか1ヶ月未満にしているのか、もしく は極端に言うと日々の契約にしているのかということも、整理がつかない部分があるの かと思います。  一方、使用者側全体からすると、例えば基準法で議論された解雇法制などということ も含めた雇用期間の契約の件については、やはり議論の整理がないと、その先もう一歩 踏み込むというのは難しいかと思います。  長谷川委員にお聞きしたいのですが、みなし雇用のところで、資料1の面で見ると、 ドイツとフランスのところがあるわけですが、いまおっしゃった点はドイツのほうに近 いわけですが、そういう理解でよろしいですか。 ○長谷川委員  結構です。 ○輪島委員  いろいろ指導が増えていて、そのところ禁止業務を派遣していたりという事案を見る わけですが、その点は一定程度考え方の整理は必要なのではないかとは思います。それ から、雇入れの申込義務については、40条の5のところは整理が必要だと思っています。 ○長谷川委員  いま言われた現行法40条の5というのは、3年経ったら必ず雇用申込みをしなければな らないという法律なのかどうなのか、事務局に聞きたいのです。ここの理解がちょっと 違うのではないかと思っているのですけれども。 ○松原補佐  3年経ったら必ず申込みをしなければならないというものではありません。3年経過 後に新たに労働者を雇い入れる場合ですので、同じ業務に労働者を雇い入れる場合につ いては、いま3年間働いていらっしゃる方に対して、雇用の申込みをしなければならな いという規定です。3年経ったらすぐにということではなくて、新たに人を雇い入れる 場合ということです。 ○輪島委員  いまの点で言うと、企業側全体からすると、違法状態もしくは脱法状態なのかどうか は抜きにして、危険性を回避するという意味で、常用型の26業務でさえ、ここでは受入 れの期間制限がないわけですが、一応、3年というところを目処にして1回契約を終了す る。特に前回の法改正の前後でも、施行の前段階であっても、通算して3年になったと ころで契約を終了してしまうということが多々見られて、そこはむしろ羹に懲りてとい うわけではないのでしょうけれども、過剰な反応だったのかもしれませんが、契約を終 了したという事例が非常に多かった。それがむしろ派遣労働者にとっての雇用の安定に 不向きだったということだと思います。 ○市川(佳)委員  いまの40条の5の「新たに労働者を雇い入れる」というのは、「当該業務」というの が付くのですね。 ○松原補佐  「当該同一の業務」です。 ○市川(佳)委員  新たに雇い入れるときですね。 ○松原補佐  同じ業務に労働者を雇い入れようとするときです。 ○鎌田委員  2つほど質問があるのですが、1つは有期雇用。先ほど来問題になっているように、派 遣については有期雇用という側面もありますので、派遣と有期は密接に関連している問 題なのですが、法的な取扱いからいうと、有期雇用については例えば指針が出ています し、各種判例もあります。ところが、派遣元との関係で有期雇用にある人たちについて、 有期雇用の指針の適用があるのか、ないのか。一般論でいえばあると考えるのですが、 その辺のところをどう整理されているのか。  そして、通常の雇用主と有期労働者との関係でいうと、例えば裁判例では、反復更新 した場合には雇止めの効力を認めないという裁判例もあるのですが、派遣についてはそ もそも派先の仕事がなくなっているといった場合に、反復更新しているから雇止めはで きませんと言っても、派先の仕事がなくなっているという問題もあって、必ずしもパラ レルではないという側面もあるのです。  そうすると、有期雇用の問題プラス派遣の特殊性ということがあって、その辺の問題 というのですか、雇用の安定を考える場合の問題をどう考えればいいのかということが 1つ問題です。いまお答えにならなくても、次回の宿題というか、次回お答えいただい ても結構なのですが、とりあえず雇止めの問題と、それから指針の適用の問題、これは 派遣についてはどのように考えればいいのか。もし、いまわかればお答えいただきたい。  もう1つは日々雇用のことなのですが、検討課題のところで「登録型で、1日単位等ご く短期で働く、日々雇用の派遣について、どう考えるか」ということなのです。どう考 えるかということを考えた場合に、派遣期間あるいは派遣労働者の雇用期間が極めて短 期の派遣ということなのですが、固有の問題というのですか、日々雇用に固有の問題。 だから、派遣労働者としてある問題と、いわゆる日雇いとしてある問題ではなくて、日々 雇用の派遣として固有の問題というのはどういうものがあるのか。  例えば日雇い雇用保険が日々雇用の派遣には適用にならないなどということであれば、 特殊性として出てくるのですが、日雇い雇用保険の適用などの問題について、どのよう に考えるのか。もしおわかりであれば、固有の問題としてどういうものがあるのかとい うことをお聞かせいただければと思います。 ○鈴木課長  有期の関係ですが、有期の指針は労働基準法に基づく指針で、労働基準法の関係では、 派遣元については基本的に適用です。したがって、派遣元について有期雇用の指針も全 面的に適用になるということです。  雇止めの話ですが、これについての判例法理は、反復更新されて期間の定めのないも のに転化した場合は雇い止めとはならない、という格好になっていると思います。転化 した場合は期間の定めのないものになっているはずですので、その段階になったときに 派遣先での仕事がないとなると、これはたぶん整理解雇の問題のほうに移行して、4要 件が適用になって、その理由だけではなくて他の手続きや代替措置をとったかなど、こ の場合はほかのところに派遣する努力をしたかどうか等が問題になってくるのかと思い ますが、そこを考えた上で解雇なり雇止めが有効になるかどうかという解釈になろうか と存じます。  もう1点の日雇いの話ですが、どういう問題があるかは直接ここの場で議論いただく 格好になろうかと思いますが、事務局で考えておりますのは、日雇い派遣となると、日 々雇われることについての問題がありますが、これは確かに日雇いの直用とほぼ重なっ てくる問題となります。普通、事務局で考えている構造的な問題としては、そもそも派 遣の形態というのは、元と先が分離しております。こうした元と先が分離という状況、 これを元は雇用するなり登録するなりで一定程度雇用の安定を図っているという構造か と思っています。  実態については、日雇い派遣というのは、元で何か登録をして、例えば教育訓練をし たり、継続的にいろいろ情報を提供したりということなく、ある朝「ここに行きなさい」 と電話がかってくるという形で、元での雇用管理がほとんどなされていない。そういう 形の派遣はいいのかどうか、こういう構造的な問題があろうかと思っています。それ以 外の実態的な問題としては、またいろいろご議論いただきたいと思います。雇用保険の 関係は保険課がおりますのでお願いします。 ○長良補佐  雇用保険課でございます。いまご質問がありましたが、雇用保険、日雇労働求職者給 付という一般の被保険者とは違う形態で、特殊な給付という形です。先日、新聞報道に も載りました。これは法律上の要件では、いわゆる日々雇用される者、それから30日以 内の期間を定めて雇用される者が、2ヶ月で26日保険料を納めるという要件があるので すが、その要件を満たせば給付されるという仕掛けになっています。そういう意味で直 用と派遣との間に差がない仕組みになっていますので、今回、日雇いで派遣を営む事業 主に対しての申請を認めるという形で取扱いを行っているところです。 ○長谷川委員  日々雇用の派遣ですが、私は、日雇い派遣だとか、スポット派遣が出たときに、かつ てこの審議会で電子メールの就業条件明示を認めたことが、これにつながったのではな いかという思いを持っているのです。日雇い派遣、スポット派遣の問題は、派遣法施行 規則の第25条1項の但し書きで「ただし、同条第一項の規定による明示にあっては、労 働者派遣の実施について緊急の必要があるためあらかじめこれらの方法によることがで きない場合において、当該明示すべき」とあり、このことが結果的に日雇い派遣という か、スポット派遣の道を切り開いたのではないかと思っています。今回の日雇い派遣の 問題を考えるときに、25条1項の但し書き以降の扱いをどうするのかということと、労 働条件の明示についてきっちりさせることが必要なのではないかと思っています。  もう1つは、日雇い派遣が本当に派遣なのか、それとも職業紹介なのかということに ついての検討も必要ではないかと思っています。今後、個々の問題を検討すると思いま すが、25条の問題も是非検討していただければと思います。 ○清家部会長  ただいまの点について、事務局から何かありますか。 ○鈴木課長  25条の検討は、当然この審議会の中でやっていただければよろしいかと思いますが、 労働条件明示をどういう形でやらせるのか。これは基準法の明示のやり方も含めて、昔 からいろいろ議論があって、その中で電子メールとか、電子媒体による明示が文書明示 に当たるのかどうかというのは、いろいろ議論されてきたわけです。  現在の流れとしては、電子データ的なものも、一定の要件があろうかと思いますが、 文書として認めて、簡易迅速な形でできるようにやっていくということで、現在の解釈 もその流れに沿ってやっております。これがいいか悪いかという判断は別途ありますが、 現在はそういう流れでやっております。 ○清家部会長  長谷川委員の問題意識は、いつかここで電子メールによる条件明示を認めるというこ とにしたけれども、それが間違っていたのではないか、間違っていたというか、いまの この日々雇いの実態を見ると、反省して見直しが然るべきなのではないですかというご 意見ですね。 ○長谷川委員  自分としてはそれだったのではないかなという感じがするのです。 ○清家部会長  それはいかがでしょうか。 ○輪島委員  労働条件明示が直接つながっているかどうかというのは、少し検証してみないと何と も言えないと思います。まず長谷川委員がおっしゃった後段の日々雇用のところ、日々 の派遣が派遣なのか、職業紹介なのかというところのラップ部分というのは、ご指摘の ように、非常にあるのだろうなと。むしろ日々の雇用であれば、それは直接雇用でやる ということが原則で、そこのところで派遣を使うことについても、ある意味では想定し ていなかった部分の応用型なので、そこでの課題があればそれは整理をしなければいけ ないのだろうと思います。  その点でいうと、まず雇用保険の関係ですが、雇用保険のところで派遣元が中に入る ことによって、例えば、13日、13日で、3ヶ月目に13日の給付をもらえることになると、 言いにくいことなのですが、派遣元会社のモラルハザード。管理下にあることによって、 あなたは日々雇用、日々派遣というところでやるということを確定してしまえば、1ヶ月、 2ヶ月は日々雇用、日々派遣で、3ヶ月目には雇用保険、とセットにして3ヶ月で回ってい く雇用形態になるということは、少しモラルハザードが起きていくと、そういうことに なる危険性は十分あるのではないかと思います。  そのことが結果としては、雇用保険全体の財政の濫給のようなことに結び付くという ことも含めて、基本的な課題の整理は必要なのではないか。その点で必要な見直しも一 定程度必要になるかなと。ただ原則、派遣という仕組みの臨時的・一時的な労働力の需 給制度の根幹部分と、そこの応用で課題があるところとは切り分けて議論していただき たいと思います。 ○清家部会長  よろしいですか。雇用保険課のほうから、いまのことについてのご説明は。 ○長良補佐  いまの輪島委員のご指摘ですが、現状だけ少しご説明します。いわゆる日雇い派遣を 行う事業主から日雇い給付の保険料を払うために必要な印紙の購入通帳というのがあっ て、その申請がありました。その申請を実態調査の結果、そういった日雇いで働いてい て、雇用保険の日雇い被保険者の要件を満たすだろうという方がいらっしゃったので、 そういった事業所に対して通帳を交付したという状況です。  そういう意味で、今後、日雇い被保険者がどのぐらい出てくるか、そのうち給付まで たどり着く人がどのぐらいいるかについては、雇用保険の現場を預かる者として、まだ 把握ができていない状況です。そういう意味で、今後の動きは注意していかなければい けないと思います。  もう1つは、日雇いであれ雇用保険の給付ですので、当然失業認定を行って支給する ことになるわけですが、失業認定を行うに当たり、通常の労働者と同様認定に伴って必 要な職業相談、職業紹介を行って、できるだけ早い再就職を行っていただくというのが 制度の基本です。  特に日雇い派遣は、いろいろ言われている関係で申し上げますと、若年層の方などが 多い実態にあると聞いております。当然実態が上がってこないとわからない部分もあり ますが、そういったことに備えて、こういった方にもどういう形で職業相談なり、紹介 なりを行って、できるだけ安定した雇用に結び付けていくかが雇用保険であり、ハロー ワークの1つの大きな役割であろうと思いますので、そういったことに関して、今後検 討を進めていければと思っています。 ○輪島委員  私も新聞記事でしか読んでいないのでわからないのですが、実態調査ということで、 新聞記事にも書いてあったのですが、それは公開できるものなのかどうかということと、 記事によると、日々の派遣だが、派遣元が変わっていたと書いてありましたが、そうい うことなのかということです。  失業認定のところですが、失業認定をするときには、一般的にいえば、ほかに仕事を 探しているかとか、本当に失業状態なのかという認定をするわけですが、そこはそれな りに厳格にやるのか、ハローワークで他の仕事を紹介するということも含めてあり得る のかどうかです。 ○長良補佐  後段を申し上げますと、実はそれも今後の課題といえば課題となってくるわけですが、 日雇いの給付上は、制度上はいわゆる日々雇用なり短期雇用の紹介を行うことが前提と して制度設計されています。例えば、その職業紹介を拒んだ場合に給付制限を課すとか 一定の制裁というか、そのような手続きを踏ませることになると思います。いまの輪島 委員のお話はそれとは別に、いわゆる日々雇いなり短期雇用以外の相談なり紹介なりと いったことも、今後検討していかなければならないだろうとは思っているところです。  最初のご質問ですが、実態調査というのは個別の事業所から申請が上がってきたとい うことで、この場で個別案件としてお答えしにくい部分でして、実際に行った調査は、 上がってきた事業主に対して、そもそもあなたの所ではどういう雇用形態で働いている のかということ、そこで働いている労働者、特に複数の派遣元と雇用契約を結ぶような ケースがどの程度あるか、ということを主に調査をしています。そういう意味では個別 の調査であり、調査結果を公表するという形で我々は整理しているものではありません。 ○清家部会長  ほかにございますか。 ○市川(佳)委員  資料2の8頁の短期派遣労働者で若い方が多くて、学生のアルバイト的なのもあるでし ょうが、日雇い派遣のみの方が53.2%います。若い方が職業能力や社会人としてのいろ いろなものを身に付けて、日本を支えていく人材をつくっていかなければいけないのに、 毎日毎日電話で呼び付けられ、食べていくのもカツカツなのでしょうが、それでもいい やという生活を30歳すぎまでしてしまう人間が増えていくような雇用政策をやっていて、 この国は本当にいいのかという気がします。  これは何とかしないと、日本みたいな国は人材が最大の資源の国ですから、企業の皆 さん方だって、コスト削減とか、競争力などがあるでしょうが、最終的には人だと思う のです。優秀な人材をどれだけつくっていくかということが、長期的にいったら日本の 競争力です。  人間というのはどうしても易きに流れるのはわかるのです。就職すると人間関係のこ となど大変だと。ちょっとサボり心が出ると、1回働いて5,000円もらって、食事して、 ネットカフェで泊まるような生活が続く。本人が現在のままでいいと思っていたとして も、そういう働き方をする人を増やさないようにする。特に若い方が多いということで、 日本の将来を憂いているのです。  派遣の問題のほかにも、雇用政策として何かしら考えるべきです。短期派遣を派遣の 形態でやっていき、そのことによってこんなに増えてしまったということは考えるべき ではないかと思います。 ○山崎委員  私も市川委員のご意見に賛成です。平成19年度の東商のアンケートを実施しましたと ころ、今後の派遣労働者の受入れを縮小する予定という企業が多かったのです。どうし てなのだろうかという答えの中に、派遣法の規制が厳しくて活用しにくいということが 理由になっているのです。ですから、そういう企業が多いということは中小企業の中で も期間の制限とか、直接申し込む義務が非常にネックになっているのではないかと思い ます。  ですから、いまの市川委員の話ではないのですが、もっと受入状況を幅広く広げてい くためには、若い人たちを救うためには、中小企業でも受け入れてもらう人がたくさん になるほうがいいのではないかと思いますので、その辺を考えていただければと思いま す。 ○清家部会長  ほかによろしいですか。それではこの件についてはこの辺にさせていただきます。次 に事務局より「労働者派遣法指針の改正について」ご報告があるようですので、ご説明 をお願いいたします。 ○松原補佐  資料4です。ご報告ということで「派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部改正に ついて」です。1の「趣旨」ですが、前通常国会において、雇用対策法の一部が改正さ れ、8頁に「雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律の概要」です。3 に募集・採用に係る年齢制限の禁止の義務化というのがあって、事業主の努力義務とな っている労働者の募集・採用に係る年齢制限の禁止について義務化するという改正が行 われ、通常国会で成立しています。  9頁の2つ目の○で、合理的な理由があって例外的に年齢制限が認められる場合を厚生 労働省令で規定するという形になっています。3つ目の○では、事業主が労働者の募集・ 採用に当たって講ずべき措置として、現行年齢指針の第2の2に当たる内容(募集・採用 に当たって、職務の内容及び職務に必要とされる適性、能力、経験、技能等の程度など、 労働者が応募するに当たり必要とされる事項をできる限り明示すべきこと)を厚生労働 省令で規定しています。  10頁です。こちらも他の部会で議論され、既に省令改正及び告示改正が行われている ものですが、これが限定された、つまり年齢制限が許される類型という形になっており、 項目(1)〜(4)と※のところに2つあります。中身については、長期勤続によるキャリア形 成を図る観点から、若年者等を募集・採用する場合、新規学卒者に限るとか、そういう 募集は構わないということです。  それと技能・ノウハウ等の継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度 少ない特定の年齢層に限定して募集・採用をする。技能継承の観点から、ある年齢層が 空白というか、雇用者が極端に少ない場合において、その年齢層について募集するのを 認めるということです。  項目(3)ですが、芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請がある場合。例えば、 子役などに限定して募集をしても構わないということです。  項目(4)ですが、60歳以上の高年齢者又は特定の年齢層の雇用を促進する施策の対象と なる者に限定して募集・採用する場合。中高年トライアル雇用制度というのが、国の制 度としてありますので、そういう制度に則って特定の年齢層の場合は構いませんという ことです。  ※ですが、このほか、「労働基準法等法令の規定により年齢制限が設けられている場 合」。危険有害業務については18歳以上と法律上で規定されておりますので、そのよう な場合は年齢を限定して構わないということです。それと「定年年齢を上限として、当 該上限年齢以下の求職者を期間の定めのない雇用契約の対象として募集・採用する場合」。 例えば、定年が65歳で、65歳までの方という形で募集するのは構わないということです。  以上の6つについて、これを限定的に年齢制限ができるという形ですが、これを雇用 対策法に基づく省令に書いてあります。  1頁に戻り、今回、2の「概要」ですが、いま申し上げたような雇用対策法の改正、関 係省令等の改正等が行われましたので、これを受けて派遣先が紹介予定派遣を受け入れ る際の派遣労働者の特定等に当たり、同様に年齢の制限などを設けないようにというこ とを指針に書かせていただきました。具体的な案文については2頁からにありますが、 基本的に雇用対策法の省令、告示をそのまま書き写している形になっています。9月14 日に公示され、10月1日から雇用対策法に併せて施行するという形にしたいと考えてい ます。以上です。 ○清家部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からのご説明につきまして、 ご質問、ご意見等ございますか。雇対法の改正に併せて紹介予定派遣の部分についても このような措置を講じられたということです。よろしいですか。それでは、ただいまの 件はご説明をいただいたということで、特段ご質問がなければこれまでとさせていただ きます。  次に「緊急医師確保対策」について、前回、医政局からご説明をいただきましたこと に関して、委員の皆様方から随分たくさんのご指摘もいただいておりますので、前回の 指摘事項への回答も含めて、事務局から説明をお願いします。 ○松原補佐  資料5です。「労働者派遣と在籍型出向の差異」ということで事務局でまとめたもので す。いわゆる出向については、出向元事業主と何らかの関係を保ちながら、出向先事業 主との間において、新たな雇用契約関係に基づいて、相当期間継続的に勤務する形態と なっています。  特に在籍型出向については、出向元の会社(事業主)との雇用契約だけではなく、出 向元事業主と出向先事業主との間の出向契約によって、出向労働者を出向先事業主に雇 用させることを約して行える。出向元と出向先の両方に雇用関係があるという形をとっ ております。  しかしながら、在籍型出向の形態は、職業安定法44条により禁止されている労働者供 給事業に該当するわけで、これがただ外形上は「業として行われる」場合には、労働者 供給事業に該当するという整理をしております。ただし、在籍型出向のうち、(1)から(4) までありますが、労働者を離職させるのではなく、関係会社において雇用機会を確保す る。経営指導、技術指導の実施。職業能力開発の一環として行う。企業グループ内の人 事交流の一環として行う。このような目的を有しているものについては、出向という行 為が形式的に繰り返されたとしても、社会通念上、業として行われていると判断できる ものは少ないと考えております。 ○清家部会長  長谷川委員からご質問をお願いします。 ○長谷川委員  前回、私が労働者派遣法を活用するのではなくて、在籍出向でできないのかというこ とを申し上げたのですが、厚労省から44条に抵触する、要するに違法派遣になるという ご指摘を受けて、本日はこのようなことで厚生労働省の解釈についてお聞きしました。  偽装請負、違法派遣をするなと言っておきながら、しろということは言えないのです。 44条に抵触すると言われると何とも言えず、そこはすごく悩ましいのですが、いまでも 在籍出向でできるのではないかという思いがあるのです。資料5-1のペーパーだと、44 条に抵触すると言うことなので、在籍出向では無理があるということになるのだと思い ますが、ほかの方法はないのでしょうか。派遣では無理があります。少し思い起こして みると、建設労働者の需給調整についての議論を以前行っていたことがありますが、あ の建設労働者の需給調整のスキームを医師の場合に活用できないのかと思ったのです。  私は医師について派遣法を使うことに対して、非常に心配事があります。1つは医師 の能力が落ちないように常に研修しておかなければならないとか、医師とすれば必ず戻 ってこられ、片道ではないということが担保されるのでなければ、いくら行け行けと言 っても行かないと思います。そういういろいろな問題を解消するとすれば、派遣ではな く、建設労働者雇用改善法のスキームのほうがいいのではないかと思っていますが、い かがでしょうか。 ○鈴木課長  制度を新しく作れば当然できるわけですが、建設については特別な法律を作って派遣 元を建設事業者に限って行っています。今の提案は、もし仮に新しい法律を作って新法 として行うのであれば、技術的には可能になります。  そこでの問題点というか、法律的な整理の話になりますが、現在も確かに派遣法の中 では医療業務の派遣は禁止になっていますが、政令で例外の措置として、例えばへき地 等々について派遣元を限定しない形で認められております。その新しい制度を作る場合 には、現在の既存の制度との関係をどう整理するのか。例えば、それがもし仮に派遣元 を病院に限って派遣先も特定の病院にするのであれば、例えば元が、現在はへき地の場 合は特定されていないことに何か問題があって、そこをさらに規制するのか。もしくは 現在も政令でできているところを特別法でやる理由があるのかといった辺りが整理が必 要になるというのが、法制的な理由としての問題点かと思います。  もう1点申し上げたいのは、緊急の医師確保対策という格好でやっております。あと で医政局からも説明しますが、医師派遣という緊急医師確保対策の中での仕組みの中で、 どうしても元の病院との雇用関係を保ったまま、先で就労する。これは病院内における 継続的な勤務や、派遣であれば期間制限がかかりますので、少なくとも3年経てば戻っ てこられるという安心感から、この派遣のスキームを使いたいということです。そのと きに緊急にやる場合にはどういう形があるかというと、政令改正でも法制的には可能で あることから、今回は政令において、この形を認めていただけないかとお願いしている わけです。  ご提案は確かにごもっともなところがありますが、今回は事務局のスタンスからしま すと、派遣法の現行の枠内の政令改正で何とかお願いできないかというものです。 ○長谷川委員  例えば「参考」の緊急臨時的医師派遣の実施のところの表の、1の北海道は全国社会 保険協会連合会が、2の岩手の場合は国立病院機構、3の岩手は日赤、済生会、4が日赤、 5の和歌山は応募医師1名を派遣となっているのですが、応募医師というのは、病院が 派遣したのではないわけですね。そうしたら病院ではない派遣会社が医師派遣をやるよ うになるのではありませんか。 ○鈴木課長  例えば5とか6は新規採用という形で行っております。特に5は元がないわけですから、 いわゆる派遣形態とか労供形態ではありません。ですから、緊急臨時的に医師派遣とい うことで17頁を作っておりますが、いわゆる労働法的な意味での派遣とか労供だけでは なく、例えば日赤の中の人事異動とか、新規に医師を採用することによって病院におい ての需給調整を図るとか、研修目的で異動させるという形です。その中で1の全社連と、 3の済生会は、へき地の派遣の制度を利用して派遣でやっています。この2つの形が派遣 元と雇用を保ったまま病院に、派遣先に行っているという形で、それ以外はこういう格 好をとってはいません。  逆にいうと、こういう形の需要がある。すなわち派遣元との雇用関係を保ったまま、 安心した形で先で勤務したいというニーズが一定程度あると見込まれておりますので、 その形をやれるような格好で法的整備をお願いしたいというものです。 ○清家部会長  長谷川委員、いかがでしょうか。 ○長谷川委員  この制度は難しいですね。要するに、人の生命を担う医師を派遣という仕組みでやっ て本当にいいのかどうかについて、まだ本当に納得していないのです。だから、在籍出 向だったらいいかなと思ったら、在籍出向は44条に引っかかるということで論破されて いて、違法派遣をやれとはとても言えないので、これは無理があるなと思ったのです。 では、次にどういう仕組みがあるかというので、建設労働者の需給調整システムかと思 ったのですが、それも時間がかかって駄目だと言われてしまうと、「では派遣でいいで すか」と言われて、「ああ、そうですか」とはなれないのです。  私は派遣に対してはすごく警戒心を持っています。能力の開発や、本人たちの処遇問 題、ちゃんと医師が戻ってこられるのかどうなのかなど、お互いのさまざまな思いが、 ここで充足されるのかどうかが、まだちょっとはっきりしません。皆さんがいいと言う のだったら、私だけがこだわる必要はないのですが、まだちょっとすっきりしません。 ○輪島委員  資料5-1で「業として行われる」というのですが、今度の場合は本当に業なのかどう かというのは、もう一回説明をしていただきたいと思います。  今度のスキームの中で、病院が派遣元としての許可を取るということだと思いますが、 許可を取ったときに、その法人全体が許可を取って、そこで雇用されている医師が派遣 の仕組みで行きますということの納得性というか説明で、どういうことになるのかとい うのを、どのような手順でそのようになるのかということがよくわからないのです。  一般事業主としてのものと、派遣の事業主としての機能が、病院という中で機能が切 り分けられるのかどうか。一般的に労務管理自身がちゃんとやれているのかどうかとい う、一般論としての不安感があります。その中で非常に難しい派遣元としての機能が果 たせるのかどうかというところが、ポイントになるのではないかと思うのですが、その 辺は本当に大丈夫なのでしょうか。 ○鈴木課長  まず最初の業としてですが、これは5-1にありますように、逆に業ではないというケ ースについては、技術指導や人事交流、能力開発の一環という格好でやっているものと なります。逆にいうと、これ以外の形で単発だったとしても、継続して行うことも予想 されるという場合には、1回であっても業としてという形で整理をしていますので、こ の4つに該当しない場合は業としていくと思っていただいて結構だと思います。  派遣元が病院になるというのは、一般派遣でしたら許可、特定派遣は届出という形で やっていただくわけですが、病院の場合は常用で雇用しているケースが多いかと思いま すので、届出型の特定派遣になる可能性が高いかと思います。  ただ、その場合にも当然派遣元責任者の講習、派遣法についての理解などは、通常の 許可ないしは届出の際にやっていただくのと同じものをやっていただくわけで、そこで 派遣法についての十分な知識を得ていただいた上で派遣をするという形です。これは一 般の株式会社とも変わりませんので、それと同等の雇用管理の機能を派遣元となる病院 に果たしていただく。もし仮にそれができなくて派遣法に違反することになりましたら、 そこは然るべく処遇をという形になるわけです。 ○輪島委員  いまの点で、要は被雇用者である医師が、明日から派遣法に基づいて地域で勤務して いる。自分は派遣労働者なのだという理解はきちんと行われる、それが担保できるとい うことでしょうか。 ○松原補佐  派遣法の第32条の2項ですが、派遣元事業主はその雇用する労働者であって、派遣労 働者として雇い入れた労働者以外の者を新たに労働者派遣の対象としようとするときは、 予め当該労働者にその旨を明示し、同意を得なければならないとなりますので、突然「 あなたは明日から派遣労働者ですよ」ということは、本人の同意がないとできないとい う規定がありますので、これに基づいて適切に対応していくことになろうかと思います。 ○輪島委員  本人同意は何ですか、書面でとるわけですか。  ○松原補佐  法令上書面かどうかは明示されておりません。 ○輪島委員  一般的に労働者性の判断というところで、例えば研修医とかというところも、労働者 か何なのかというところでのいろいろな事件、事故があると思いますので、その点であ る程度クリアに、労働者である、派遣労働者としてこれから勤務するのだという、派遣 元事業主としての責務をきちんと履行するところが重要だろうと思います。 ○北村委員  身分的に本人が昨日まではその病院の歴とした雇員だったのが、明日から派遣になる ことについて疑問がありました。同意を必要とするということを知りたかったのです。 それと同時に、これはちょっと漠然とした印象なのですが、へき地ですとか、過疎地で 医師が足りないということについて、社会的に非常に関心が高くなった。それで国会等 で問題になって、では、それで派遣でというのは非常にバタバタ感があるような印象が あります。  医師というのは非常に資格性の高い職業ですので、マーケットからいったら売り手側 だと思いますが、自由に放置したらこうなったという流れの中で、派遣でどこまでカバ ーできるのか。つまり、本当にこれだけ医師にばらつきがある中で、もし派遣というシ ステムを導入したら、どの程度の効果がどのように出ているかについての目算みたいな ものがおありなのか、ということが1つあります。  既に各種の医師の募集のようなことは、特に医師の数が少ない所などでは盛んに行わ れていて、准紹介業的なことも、業ではないかもしれませんが、システムが多々あり、 かなり高額で招き入れる所も多い。それで機能していない所で派遣のシステムを導入す る。それは医師の身分保証なのかというのは疑問があります。  実態から見ていると、例えばへき地に行くのは独身の医師が短期間だけ、あるいはリ タイヤした人が、では行こうかという形で行く。これは大変失礼な言い方ですが、私が いくつか聞いた範囲では、実際にへき地で暮らしている人々にとって、その先生は有難 いと同時に、そういうことで来ているのねという妙な理解もあるということです。いち ばん知りたいのは派遣を行うことによって、どこまで問題が解決されるかについてのシ ミュレーション的なものがあるのか、目算があるのでしょうか。 ○中村企画官  今回の派遣の政令の改正を行えたとして、それによって医師不足が直ちに解消するこ とはないだろうと思います。前回も説明しましたように、医師確保対策としてさまざま な取組を進めている中の1つの柱として、今回の改正を位置づけるということです。  今日の資料に載っていますが、もともと大学にかなりの部分を担っていただいていた 医師確保の部分がかなり弱っていることがあって、医療法を改正して各都道府県に医療 対策協議会のようなものも設置し、そこでの調整に委ねる形で医師不足で困っている病 院に、実際に医師に行っていただくという取組を進めております。したがって、そうい う取組にご協力をいただく病院が実際に医師を送り出していただくときに、実際に行っ ていただく医師からすれば、その協力は県なり国の施策に協力して行くという段階であ って、辞めてまで行くのは嫌だということが現実にあります。  実際に6月に決定した緊急臨時的医師派遣システムの第一弾においても、今回送って いる病院はみんなへき地にある病院ですが、2つの病院に対しては派遣法に基づく派遣 というスキームを使っています。これから各県での医療対策協議会の取組や、さらにど うしても県レベルでの調整がつかない場合には、国の地域医療支援中央会議の場で調整 をするということで進めていきたいと考えております。  そうしたときに従来型というか、これまで一般的に行われていたような、医師不足病 院へ協力しに行く場合に、実際に病院を辞めて新しい病院で採用されるというスタイル を選択されるケースもあると思います。一方で辞めてまで行くのは嫌だが、身分がつな がるのだったら協力してもいいと言っていただく医師なり病院があったときに、そこの 方策というか、医師に実際に行っていただく手段として、今回の改正が実現した暁には 可能になるという意味で、私どもも非常に期待しております。 ○北村委員  かなり効果があるというように。対象が広がるということは私もわかるのですが。 ○中村企画官  例えば、今回、既に行っている国レベルの緊急臨時的医師派遣システムにおける3つ のケースもそうですが、同じグループ内であれば人事異動とか、あるいは実際に1年な り2年なり長く行くのでということで退職されて、新しく採用されるというスタイルを とられるケースもあると思います。ところが、やはり現実に辞めてまで行くのは嫌だが、 今いる病院の身分なり処遇は確保した上で行くのであれば協力してもいい、と言ってい ただいている医師が現にいらっしゃるのであれば、その道について是非とも実現をした いということで、今回の見直しをお願いしているということです。 ○北村委員  素朴な質問ですが、派遣社員として元の病院とは直接雇用があるわけです。しかし、 彼なり彼女なりが期待しているのは、ある一定期間が終わったら派遣社員ではない雇員 としてということですよね。 ○中村企画官  そうです。 ○北村委員  派遣される側となったときに、その身分保証はどういうことで担保されるわけですか。 もしかしたら派遣元に派遣される医師として止めおかれるかもしれないわけですね。 ○中村企画官  理論上はいるのかもしれませんが、実際に今回お願いしようとしているのも、医療対 策協議会での調整を経て、個別の病院が、個別の病院に一定期間医師を送り出すことに ついて調整が成り立った場合に、派遣という形態で行っていただくということですから、 その約束された期間が過ぎればもとの病院に戻るため、一応元の病院はこれを恒常的に やるということではなかろうと思っています。実際に行かれる医師についても、どこへ 行くかによって、例えば診療科であるとか、求められる能力に応じて、さまざまなケー スがあります。  したがって、実際にどういう医師を送り出すかについても、派遣元の病院が適切な人 材を選んで送り出すことになると思います。1人の医師が続けて派遣労働者として長期 にわたり働かれることは、当然本人の希望があれば別ですが、一般的にはあまり想定さ れないのではないかと思っています。 ○北村委員  カムバックの際の身分というのは、何らかの形でシステムとして保証されるわけです か。つまり、法令にそういうことを入れるのは難しいと思いますが、言ってみればこの 病院にしてみれば、出ていってもらったからにはという、よくある人事のあれで何とな く期待と口約束みたいなことで。ただこれは派遣と、雇用して直接その病院で働くとい うことで、身分がちょっと違ってくるので、カムバックの方法はしっかり決めておく必 要があると思われるのですが、いかがなものでしょうか。 ○中村企画官  本人の同意の取り方ということになるのでしょうか。 ○清家部会長  北村委員の言われたのは、先ほど言われたように、今まで常用で雇われていた医師に 「派遣労働者になってもらいます」と同意を得て別の病院に派遣します。でもその医師 は、たぶん元の病院に派遣労働者ではなくて、元の病院の普通の元の形の雇用形態で戻 りたい人が多いでしょう。そういう期待を何か制度的に担保することができますか、と いうご質問だと思います。  ついでに私も伺いたいのですが、もしそれが担保できるのだったら、別に派遣をとら なくても1回辞めて派遣先の病院に就職して、またその派遣先の病院を辞めて元の病院 に採用するという約束もできるのではないですかね。どうして医師がそんなに派遣にな りたいのか不思議なのですけれども。 ○中村企画官  例えば県庁所在地界隈の大病院で勤めているという状態が、一旦辞めて、地域の小さ な病院に勤務するといったときに、そこの部分の勤務経験、勤務キャリアを行かれる医 師個人がどう受け止められるかという問題もあるのではないかと思っています。ただ、 そこが気になって嫌だと言われる医師が現にあるとすれば、そこについて、具体的に元 の病院での職員という立場を維持したままで行っていただく、という方策も可能にした いということです。 ○清家部会長  派遣になりたいというのは、履歴書に小さい診療所の医師と書くのは嫌だというだけ の理由ですか。派遣中は、たとえどこかの小さい診療所の医師でも、何とか病院の医師 と履歴書に書き続けることができるというメリットを、医師は感じておられるというこ とですかしょうか。 ○鈴木課長  法制的に考えますと、たぶん転籍して、いわゆる転籍出向の形で戻ってくる約束があ ればいいのではないかというお話だと思いますが、転籍ですと一旦雇用元との関係が切 れますから、元との雇用契約が有り無しで、そこでの労働契約上の地位は大きく変わっ てきますので、それを言ってしまうと、通常の在籍出向と転籍と全く同じですねという ことになってしまうわけです。一旦切れるということについては、雇用契約上、何かあ ったときに非常に困るという意識が労働者(医師)に生じるのかなと思います。  それから戻ってきたときにどうするかですが、少なくとも派遣で行けば元との関係は 切れておりませんからここで単純に「もうあなたは戻って来たら要りませんよ」という ことになれば解雇ですから、そういう関係が続いているということは非常に大きな担保 でありますし、行くときに当然派遣労働者との同意を得ていただきますので、その段階 で戻ったときの条件等も、その間のキャリアを変えるのかどうかとか、そういうことを 決めていただいた上で同意をいただく。これをやれば制度的に担保できるかと思ってい ます。 ○市川(佳)委員  どうしても派遣でやらなければいけないのですか、という素朴な疑問がまず1つあり ます。それと、いま戻ってきたときの担保という話ですが、下手をすると、戻ってきた ら「今度はこっちの病院に派遣に行ってちょうだいね」というふうに使われてしまう医 師も出てくるのかなという心配です。そのことを法律や規則で担保することができるの か。  長谷川委員のお話ですと、在籍出向とかでやったら違反になってしまうと。医師の場 合はこれに限らないとか、あるいは緊急医療対策において医師を出向させる場合には、 在籍出向でも職業安定法違反にはならないという書き振りをすると、医師だけそういう 扱いにはできないと。例えば偽装請負の問題で、出向してなぜ医師だけいいのという話 になると聞いているから、逆に戻るときの約束を医師の場合だけきちんとこうしておき なさいと言えないでしょう。だから、派遣でやるというのは少し難しいのではないでし ょうかと思います。  それから前回も言いましたが、社会保障の問題なのです。緊急対策といっているけれ ども、そこに成り立つ、成り立たない、希望する医師がいなくても、そこに社会保障の 問題として診療科を置かなければいけないのです。緊急的と言っているのだけれども、 緊急といっても1回派遣でできるとなったら、法令改正しない限りはずっとできるとい うことですよね。そうではなくて、医療対策全体の中できちんと医師不足対策を考えな いと、派遣では、根本解決はしない。派遣以外のいい知恵を、頭のいい方が多いのだか ら出してほしいです。派遣法でやるのは、理屈でなくて納得できないのですが。 ○鎌田委員  私は実態がよくわからないので教えていただきたいだけなのですが、派遣元の病院と 派遣される医師との関係が、いわゆる派遣ということで割り切れるのか。何を考えてい るかというと、派遣したわけですが、例えばいろいろな症例や手術とかがあった場合に、 元のところに適宜来て、派遣の医師が仕事をするとか、かなりフレキシブルに派元と派 先の派遣機関を行き来する。そのようなことは想定できますか。  普通派遣というのは行ったままですね。職業能力開発だとか、技術、技能ということ があって、医師というのは必要な場合に元の病院、おそらく大きな病院だと思いますが、 そういうところに例えば研究とかいろいろなことで戻ってきて相談をするとかするので はないでしょうか。そういうのというのは派遣の枠の中で、きちんと整備できるのです か。 ○鈴木課長  たぶん医師に限らず、現在の常用型の派遣でよくあるケースだと思うのです。常用型 派遣はご存じのように通常の場合は常用で、例えば技術者の方が設計会社にいて、ニー ズがあれば派遣で派遣先に行って就労するという形で、その際にこれは派遣契約の内容 にもよるかと思いますが、派遣元で逆に就労を禁ずるという法律にはなっていないはず です。ですから、派遣元で週5日あるうちの1日働くという形の派遣だってあり得ます し、逆に派遣元での研修はあってもおかしくない話ですので、そういう形で行ったり来 たりというのは実態としてはあまり今はないかもしれませんが、派遣法上禁じているも のではないかと思います。この形で医師がそういう形で元との行き来をするということ で、かつそれが派遣契約上認められるということでしたら、法律上特に制限はないかと 思います。 ○鎌田委員  そうすると、派遣元も指揮命令できるということですか。 ○鈴木課長  派遣元の指揮命令でやるときには、それは単なる派遣元の普通の労働者として振舞っ ているということです。 ○鎌田委員  それは同時期に派遣先と派遣元が同時期に作業指揮するということですか。 ○鈴木課長  同じ期間内に両方でやるということは、あるかもしれないです。 ○鎌田委員  ちょっとわからなくなってきました。 ○清家部会長  そうしましたら、少しまた後で議論をする時間をとらせていただきたいと思います。 折角、中村企画官に資料を準備していただいておりますので、資料5-2以降の説明をお 願いいたします。いまは資料5-1を議論していますが、また後で戻らせていただきます。 ○中村企画官  すでに議論に入っていただいていますが、資料5-2から5-4まで用意させていただいて いますので、説明をさせていただきます。それと前回ご説明した資料の抜粋ということ で、参考資料を用意させていただいています。まず5-2の1頁です。前回、緊急医師確保 対策についてご説明申し上げましたが、少し背景としての医師の状況等について、今日 補足的にご説明を申し上げたいと思います。「人口10万人当たりの医師数の分布」とい う全国地図で、東側が非常に数字的に低い状況になっており、西側は人数が多いという ことで、結構医師の配置状況にも地域差があるという図です。  2頁です。「100平方km当たりの医師数の分布」で、やはり同様に西高東低ですが、若 干西で面積が広い県辺りだと数字が低くなっています。面積当たりですと、結局医療機 関へのアクセスの良し悪しということに関係する数字です。  (☆)がいくつかの県に付いているのがご覧いただけると思いますが、これが10県あ ります。人口当たり、あるいは面積当たりで見て、特に医師数が少ないエリアを昨年の 夏の段階で10県選び、医学部の定数増を容認するということで、いま現在文部科学省等 で手続きが進められています。早ければ来年度から医学部の定数が10名増えるという取 組をしているところです。ただ、医師の定数増、医学部の定数増については当然医師の 養成に6年、その後臨床研修等がありますので、実際の効果が出るにはまだ8年から10年 ぐらいは待つ必要があるという取組です。  3頁です。前回、少し医師不足の背景について何点か説明しました。その中で、従来 地域医療の確保という面で大学が果たしていた機能は非常に大きいということがありま した。それが最近は低下をしているというのが、今の医師不足問題の1つの背景になっ ているわけです。  臨床研修について、現行の新しい制度が平成16年度から始まっています。その直前の 15年度をご覧いただきますと、大学病院で医師になった後の2年間の臨床研修を受けて いる若い医師72%という状況でした。大学以外の病院で研修を受けているのが3割弱で したが、18年度を見ていただきますと、大学病院での研修が45%程度まで低下してきて いるという現状があります。市中の民間等の臨床研修病院で研修を受けられている研修 医が多いという状況があるわけで、大学がかかわる機能がかなり弱っている要因になっ ているということです。  したがって、これに代わる、あるいは補完できるような医師の確保システムを構築す る必要があるということで、県のイニシアティブに期待しながら、医療対策協議会のよ うなものを立ち上げているということで、この点については今後とも、県なり国なりの 主導による医師確保対策を進めていく必要があるという背景になっている資料です。  4頁は昨年7月の医師の需給に関する検討会報告書のときの調査のデータです。病院 勤務医が非常に大変な状況にいま置かれているということです。左下で見ていただきま すと、病院常勤医師の平均勤務時間ということで20代、30代の医師が50時間を超えてい るような状況が見てとれます。病院勤務医師の平均従業時間が週に48時間になるわけで すが、それに休憩時間や自己研修、研究等を入れると週に63時間という数字になるわけ です。  こうしたことで、病院が単独で医師の確保をそれぞれが図っていくことについても、 なかなか限度があるのではないかということで、特に産科、小児科を中心にですが拠点 病院づくりをするということで、地域での医療機能を少し見直して、中心となる病院を つくって、それ以外の病院なり診療所なりについてはサテライト化するなり、少し機能 集約化していくという取組を、各県にもお願いをしています。  特に休日・夜間に患者が殺到しているような状況に対応して、少し開業医にご活躍い ただくような形で、休日・夜間の急患センターのようなものを各自治体にも整備してい ただくというような取組もしています。また病院勤務医の問題については、次期診療報 酬改定でも検討項目の課題の1つということで掲げられていますので、そちらの議論は これからになりますが、大きな検討課題の一つということで掲げられているということ で、ご紹介申し上げます。  5頁は病院勤務医と診療所の医師の推移です。数としては両方とも増えていますが、 診療所の方が伸びが高いということです。実際に医療機関に勤める医師の中での病院勤 務医師の割合ということでは、下がってきているというのが最近の傾向です。  6頁です。女性医師が増えていることに関しての資料です。近年医師の国家試験合格 者は既に3分の1が女性医師であり、特に若年の産科、小児科辺りでは女性医師の割合が 増えている状況です。左下が産婦人科ですが、20代の医師のうち、すでに3分の2は女性 医師という状況になっています。小児科でも半分近くということになっていますが、ど うしても結婚、出産等に伴う離職があるわけで、それに対して対策を講じることが大変 重要な柱ということです。  女性医師バンクを立ち上げて、職業紹介する取組であるとか、しばらく現場を離れて いた場合に復職にあたって研修をするというような取組み。その他、従来どちらかとい うと看護師を中心にターゲットにやっていた院内保育所について、医師に限らないわけ ですが、女性の医療職種のために充実も図っているという取組みを進めているというの があります。  7頁です。医療事故関連で、紛争のプレッシャーなりリスクが高まっているという資 料を用意しています。  8頁に社団法人日本病院会が調査した報告書の中から抜粋させていただいています。 医師確保に向けて具体的に活動していますかということに対し、回答された病院のうち 94%の病院が「活動している」という回答をされています。具体的にはどのようなとこ ろに働きかけられていますか、これは複数回答になっていますが、引き続き一番多いの が「大学にお願いする」という部分です。医師自身の個人的な人脈等をたどってという ことで、「知人・友人」という辺りも大きいと。それから行政への働きかけというのも あります。  「その他」のところが43%あり、いちばん下に6番があります。その他の中でも医師 紹介業者への働きかけであるとか、インターネットによる募集、求人広告を出す、ドク ターバンクに働きかけるなど、こういったさまざまな取組みをされているというのが、 日本病院会の資料です。  5-2の9頁目は、実は資料5-3の裏に付いていて、大変恐縮です。資料5-3の裏は5-2の 続きで、病院勤務医のへき地勤務に関する意識調査で、同じく社団法人日本病院会が調 べた勤務医の意識調査です。前回、本当に医師がへき地に行きたがらないのかという指 摘もありましたので、アンケートを探してきました。へき地病院に勤務したいですかに 対して、「勤務したい」は少ないわけですが、「条件が合えば勤務したい」というのが 3割程度はいらっしゃるという数字になっています。  当然「勤務したくない」という医師もたくさんいらっしゃるわけです。では、どのよ うな条件が合えば勤務したいですかというのがQ27です。「当直回数や休日の確保」「 子どもの教育等家庭の問題」があります。また「勤務する期間」ということで、短い期 間であれば行ってもいいというお話であろうかと思っています。医師の中にも地域医療 勤務にかなり意識を持っていただいている傾向も、見て取れるのではないかと思ってい ます。  資料5-3です。医師不足病院の医師確保にご協力いただく病院に対して、いま医政局で 進めている取組を少しご紹介させていただきたいということで、ここに挙げています。 医師確保対策は今年度予算で92億円いただいていますが、来年度の概算要求としては160 億円の要求を現在させていただいたところです。そのほんの一部の内数で、特に医師確 保対策関係のうち病院関連のものを下に3つ挙げさせていただいています。特に一番上、 医師を送り出していただいた病院が、その医師のいわば穴埋めをするために、例えば宿 直の代替要員を雇い上げるとか、医療事務補助者を雇い上げるなど、そういった取組を される場合に、それに対して財政的な支援をしようということで、少し予算要求をさせ ていただいています。  医師確保に比較的困っていない病院に勤められている医師を、地域に研修で出してい ただくというような取組に対して支援をするということで、2つ目の○、3つ目の○も用 意させていただいています。以上、背景説明です。  資料5-4です。「労働者派遣法施行令の改正について」というタイトルにさせていただ いています。いま申し上げたような、さまざまな前回あるいは今回申し上げたような医 師確保対策を進めているわけですが、その大きな柱が、大学がこれまで果たしてこられ た医師確保のための機能をどう補い、あるいは各地域で新たに形づくっていくのかとい うことが1つの柱になっているわけです。そのために各都道府県において医療対策協議 会をつくっていただいて、調整を進めていただく。また、医療遺作協議会おける調整が どうしても難しければ国も関与する形で調整を行うというのが、現在進めている医師確 保対策のポイントになろうかと思います。  そうしたことで国が必要とする地域、あるいは都道府県が調整されて必要と考え医師 を確保する必要がある病院、こうしたところへの医師の派遣を可能にしていただきたい というのが、今回のお願いの趣旨です。矢印のところに書いてありますが、派遣先とし て現在医師の派遣が認められているのはへき地に限るわけですが、その範囲を「国又は 県が必要と判断する地域に所在する病院」に広げていただけないでしょうかということ です。  具体的には12頁です。いま申し上げたことで、少しへき地のみならず地域の拡大をお 願いしたいということがあります。具体的には「都道府県が地域における医療の確保の ために必要と認め、かつ、医療対策協議会においてこれを適当と認めた病院等であって、 厚生労働大臣が定めるもの」という形にできないでしょうかということです。  これを現行の私どもが進めている医師確保のスキームに照らして言えば、各都道府県 が医療対策協議会において調整された結果として、医師を送り出されるケース。各県で はなかなか手に負えないということで、その医療対策協議会の議を経て、我々のほうに 要請があって、医師の派遣が必要であると認められたケース。この2つぐらいのパター ンがあり得るということで考えています。  ちなみに「医療対策協議会」とか「地域医療支援中央会議」と申し上げていますが、 13頁以降にその資料を用意しました。医療対策協議会ですが、昨年の医療法改正で法律 上の制度として位置づけられた仕組みで、本年度の4月から施行されています。構成の ところに書いてあるように、地域の公立病院の医療関係者、診療に関する学識経験者の 団体、端的に言えば医師会等です。大学の関係者、国病機構、自治体関係者、地域住民 を代表する団体、こういった方々で構成する場ということで、各都道府県に設置をお願 いしています。そこで各地域でどの地域にどれだけの医療があるかということで、必要 な医療機能に応じて医療を確保するという観点からご議論をお願いするということです。  その結果、最後の「果たすべき機能」の3つ目の○ですが、医師の多い医療機関と医 師の少ない医療機関との間で、都道府県が主体となって必要な医師を確保するための調 整を実施する。その結果として、実際に医師を出していただくときの1つの方策として、 労働者派遣法にいう派遣という形態が採れないだろうかということで考えています。  14頁は地域医療支援中央会議です。これは総務省、文部科学省と私どもとで「地域医 療に関する関係省庁連絡会議」を設けており、その下で全国的な病院ネットワークを有 する公的医療機関の代表者等から構成する会議として設けているものです。地域に対し てさまざまな医師確保の取組事例などを紹介し、アドバイスをするという取組、専門家 の派遣に関すること、緊急避難的医師派遣に関すること等、検討を行おうということで 位置づけているもので、具体的には15頁に、その構成員のメンバー表を付けています。  参考資料に付けていた、既に第一陣として示している6カ所については、この地域医 療支援中央会議の下での議論を経て、医師の確保が必要だとの判断の下に、各病院等に ご協力を得て、医師に実際に行っていただいているというものです。  最後ですが、参考資料の中で16頁にあるのが、前回説明した緊急医師確保対策です。 17頁に現実に国レベルの調整を経て、実際に行っていただいている病院のリストです。 先ほどすでにお話させていただきましたが、いちばん上の北海道のケース、岩手県の済 生会のケースについては、現在、労働者派遣法にいうへき地への医師派遣というスキー ムを活用して、実際に医師に行っていただいているというのが現状です。私からの説明 は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。 ○清家部会長  どうもありがとうございました。それではただいまの企画官からのご説明も含めまし て、改めて何かご質問、ご意見等がありましたら承ります。 ○市川(隆)委員  先ほど来議論にもありましたように、私も前回国家資格を取った医師を労働者として 扱うこと、それを派遣法のスキームに乗せることについてものすごく違和感がありまし た。それで労働力需給という形で派遣法で派遣するというのは何事かという感じを持っ たのです。今いろいろとご説明をお伺いしていて、実際に2県へき地への派遣法を利用 した形での派遣が成立しているということですとか、医療法の体系の中でもいろいろご 努力をされているというお話もありました。地域医療協議会で十分に議論した上で、そ の地域に是非派遣をしてほしいというような議論が、医療法の体系の中の協議会できち んとなされるというお話もありました。医師も進んでそうした体系に乗ってもいいとい う事例も2件あったわけです。そういった方々、医師の選択肢を広げるという意味で、 派遣法を活用した緊急対策をすることについては、賛成してもいいのかなということで、 前回と意見を変えたような次第です。 ○市川(佳)委員  資料5-4の12頁に、施行令の内容が説明してあって、これでいきますと派遣先となる 病院はここにあるようなさまざまなところで認めた病院。いままでの議論で当然のよう に派遣元は病院だと、例えば日赤ですとか済生会と言っていますが、この政令上派遣元 が病院に限るというのはどこで担保するのですか。例えば人材ビジネスがやったとして も、こういう派遣先がここならいいとなるのですか。 ○清家部会長  では事務局からお答えいただきます。 ○中村企画官  まず医療対策協議会でご議論いただくときに、制度的に派遣元が病院に限っていると いうことではないのです。おっしゃるように民間もあり得ると思います。ただ、現実に は実際に医師を受ける側の病院としてみれば、どういう方が来られるのかということへ の不安はお持ちですので、もともと労働者派遣法の中では、その不安が医療機関からす るとネックで、今の派遣というスキームが十分に普及していないということがあるのだ ろうと思います。それは病院で既に今ご活躍いただいている医師に来ていただけるので あれば、そこの不安はかなり解消されることになると思っています。  現実には今申し上げたような形で、地域の病院関係者、自治体関係者が入るような場 である医療対策協議会という県の下に設けられる組織の中での議論となりますので、病 院以外からの医師の確保というところは、現実問題としてはかなり考えづらいのではな いかと思っております。 ○市川(佳)委員  将来的に、医師あるいは看護師を含めて、医療関係も派遣というスキームを使って需 給調整するのだと。そういうつもりがあるのかどうかということを聞きたいのです。と いうのはなぜかというと、現実としてあり得ないといっても、この法令の仕組みでいけ ば、現実として人材ビジネスは絶対に入ってくる余地があるわけです。そうすると、派 遣法はずっとそうなのですが、1個道を開くと、バーっと広まるのです。だから将来的 に医政局が、医師あるいは医療従事者の需給調整を派遣でいくのだという覚悟があって おっしゃっているのなら、反対はしますが、そうですかと言います。  とりあえず派遣でやっておけば、何とか収まるという考えは甘いと思います。これで やると、人材ビジネスも入ってきてやって、将来的には実態が増えてきて、医療も需給 調整は派遣も自由に使っていいというふうになりますよという警告をしておきます。 ○長谷川委員  やっぱりそうではないですか。私は前回のときに、派遣元は病院ですかと聞きました。 そのときに「そうだ」と言っています。そして今日聞いたら「違う」と言ったでしょう。 だから、この図でいえば派遣元と派遣先があるわけです。では医師がいるいま現行働い ている病院はどこに位置するのですか。それから医療対策協議会はどこに関与してくる のですか。派遣というスキームはこのスキームでしかないのです。だから駄目てす。図 をきちんと書いて説明してください。医療対策協議会がどこに入って、派遣先をどうい うふうに特定するのか、派遣である医師と派遣元との関係はどうなのかとか。こういう のはきちんと図を書いて説明してもらわないと納得できません。  私はあの建設の仕組みは比較的私はスキームとしてはいいスキームだと思っています。 もし医療もやるのだったら、建設の仕組みのほうが働くほうも双方が幸せだと私は思っ ています。しかし、これは将来、先ほどのスポット派遣ではありませんが、おそらくい まの緊急対策としては対応できたとしても、私たちの想像を超えたところに発展してい くのではないかと思っています。  派遣は最初の頃の専門派遣は比較的うまくいっていたのですが、一般派遣を99年に解 禁して以降、ここがすごい問題になってきているわけです。だからワーキングプアだっ たり、雇用の不安定があると言われています。いまその派遣のスキームがいっぱい言わ れているときに、医師のところではそうではないのだということが言われない限りは、 審議会員である私たちはそうですかとならないのです。  私はいちばんいいのはいろいろなことを考えたら、在籍出向型がいいなと言ったら、 今日ものの見事に44条違反だといって、製造業の違法派遣を長谷川さんは承認するのか と言われたのと同じようなことを言われたので、ああ、これは難しいですねと。私のほ うから積極的に44条違反をやれとは言えないので、仕組みとしては建設しかないのです。 それがいちばん幸せなのです。  それともう1つは、医療なのだから、同じようなシステムの中で弁護士の過疎という 問題があったのです。弁護士がゼロの所とか、1人しかいないという所に対して、司法 が隅々にまで行き渡っていないということで、どうやって弁護士の過疎地域を解消する かということについて、弁護士会はひまわり制度をつくったわけです。その中で、弁護 士ゼロの地域をなくしているわけでしょう。そういう仕組みだってあるわけです。それ に対して、私は医療は派遣を使うのはあまりにも安直だというのです。だからもう一回 考え直してきてください。 ○中村企画官  私は特に医療対策協議会の調整を受けてということを申し上げましたが、通常医師不 足で困っている病院が、まさにうちの病院でどうしても医師が見つからないので何とか してほしいということを県にお願いする。そうすると、県の中で医療対策協議会という、 その地域の大きな病院の開設者を含めてお入りいただいていますので、その中で話合い の結果、本当に医師不足で困られている病院の医療機能が必要だと判断された場合には、 では何とか助けましょうという話になるわけです。  そのときに、その医師をどこの病院から送り出していただけますかというお話をして、 今は地域医師確保のためにご協力いただくという調整を、医療対策協議会の中でやって いただいています。その結果、では協力をいただくときに、実際に医師を送り出してい ただく側が、派遣という形態を採りたいとお考えになるのか、あるいは一旦離職して、 新たに医師不足病院で新規採用という形を取るのか、そこはいくつかの選択肢があり得 るだろうと思っています。  ですから、私どもが想定しているのは、先ほどから申し上げている国レベルでの調整、 あるいは県レベルでの調整で、決まった病院同士間の医師の派遣というものを考えてい るわけです。それを法制度上どのように位置づけていくかというときに、なかなか派遣 元を病院に限定することが果たして可能なのかどうかという議論になるのではないかと 思っています。 ○長谷川委員  医師不足からではなく、派遣法を使った医師の派遣というのが、医政局が考えるよう なことになるのかというのを、もう一度厚労省と医政局でどうぞ相談してください。そ してこの図できれいに説明してください。 ○鈴木課長  5-1はもともと出向と派遣の説明のための図でしたので、当然ここには入れ込んであ りませんが、今回、全体として緊急医師不足対策の関係の医師派遣という仕組みがあっ て、その一部に派遣を取り込むという形の仕組みです。派遣法の側からは派遣元の特定 を行いませんが、全体の仕組みとして実質上派遣元も含めて、病院から病院への派遣と いうことを考えていますので、それについては次回またわかりやすく、全体を示した図 を作りましてご説明いたしたいと思います。 ○清家部会長  いま長谷川委員からございましたように、派遣元がどこになるのかということについ ては、前回のご説明と今回の説明が若干違うようなこともあるように思いますので、そ の辺を整理されて、できればわかりやすい図なども書いていただき、次回も引き続き議 論するということでよろしいですか。ではそのようにさせていただきます。それでは事 務局よりほかに何かご連絡事項はございますか。 ○松原補佐  次回の部会は9月27日(木)朝9時半から開催させていただきます。場所は安定局の13 階の職業安定局の第1会議室を予定しております。よろしくお願いいたします。 ○清家部会長  それでは次回の部会は9月27日(木)の9時半から開催させていただきますので、日程 の確保等よろしくお願いいたします。それでは以上をもちまして、第103回労働力需給 制度部会を終了いたします。なお、本日の署名委員は雇用主代表山崎委員、労働者代表 市川(佳)委員にお願いいたします。では委員の皆様、どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)