07/09/12 第5回ホームレスの実態に関する全国調査検討会 議事録 第5回 ホームレスの実態に関する全国調査検討会 厚生労働省社会・援護局 第5回 ホームレスの実態に関する全国調査検討会議事録  日時:2007年9月12日(水)14:00〜15:58  場所:厚生労働省専用第12会議室 出席者  委員   岩田座長、阿部委員、大橋委員、駒村委員、廣川委員、古屋委員、森田委員、安江委   員、山田委員  行政担当官   社会・援護局:中村局長、社会・援護局総務課:藤木課長、社会・援護局地域福祉課   :藤崎課長、社会・援護局地域福祉課:島村課長補佐、職業安定局雇用開発課就労支   援室:北條室長、国土交通省総合政策局安心生活政策課:小野田課長補佐 議事次第  1.開会  2.議事   (1)ホームレスの実態に関する全国調査結果の分析について   (2)その他  3.閉会 配付資料  資料1.「平成19年ホームレスの実態に関する全国調査(生活自体調査)」の分析結果(案)  参考資料1.調査票  参考資料2.純集計表  参考資料3.クロス表 ○岩田座長  ただいまから、第5回ホームレスの実態に関する全国調査検討会を開会いたします。き ょうは、足元のお悪いところをどうもありがとうございました。  最初に、委員の出席状況と配付資料の確認について、事務局よりお願いいたします。 ○島村課長補佐  本日は、大橋委員は若干おくれているという状況でございます。それ以外の委員には御 出席をいただいております。  なお、人事異動によりまして委員の一部に異動がございましたので、御紹介をいたしま す。東京都の福祉保健局生活福祉部副参事.廣川委員でございます。 ○廣川委員  廣川でございます。よろしくお願いします。 ○島村課長補佐  また、社会・援護局の人事異動によりまして事務局の異動がございましたので、御紹介 をいたします。社会・援護局総務課長の藤木でございます。 ○藤木課長  藤木です。よろしくお願いします。 ○島村課長補佐  続きまして、本日の配付資料の確認をいたします。  資料1.「平成19年ホームレスの実態に関する全国調査(生活実態調査)」の分析結果(案)  参考資料1.生活実態調査票  参考資料2.単純集計表  参考資料3.クロス集計表  4月にまとめましたホームレスの実態に関する全国調査報告書  以上でございます。もし御不足等がございましたら、お申し出いただきたいと思います。  会議に先立ちまして、地域福祉課長より発言させていただきます。 ○藤崎課長  皆さん、こんにちは。本日は、大変お忙しい中を御出席いただきましてありがとうござ いました。  まず初めに、今回、検討会の分析結果の報告を取りまとめるに当たりまして、さきの7 月18日に検討会を開きましたときにいろいろ先生方から御意見が出されました部分を含 めまして、岩田座長と阿部委員に大変お忙しい中をさらに作業を進めていただきまして、 大変いいまとめをしていただきました。この場を借りまして御礼申し上げたいと思います。 どうもありがとうございました。きょうは、その岩田先生と阿部委員でおまとめいただい た分析結果について御議論いただければと思っております。  もう1点、先週末に発生しました台風9号による多摩川河口の河川敷におきますホーム レスの被害についてでありますが、多摩川の河川敷に起居するホームレスにつきましては 国土交通省さんで河川事務所が調べておりまして、本年、6月、7月調査の結果を見ます と、大田区とか東京都側で590人、川崎市側で278人で、合計868名が確認されていたと ころであります。今回の台風の接近に伴いまして、多摩川の増水が予測されたことから国 土交通省の河川事務所の職員の皆さんや大田区等の自治体の皆さんが個別に避難するよう、 呼びかけていただきましたけれども、これに応じなかった方々が増水した河川に取り残さ れたということです。東京都消防庁等によりましてほとんどの方が救出されたということ であります。  今後は各自治体におきまして、今回のような危険な状態が予測される場合には避難に応 じていただけるように、またこのような危険な状態が起こり得る場所等には日ごろから立 ち入らないように働きかけることが必要ではないかと考えています。  以上です。どうもありがとうございました。 ○岩田座長  この場合は、救出した後はどんなふうに。 ○藤崎課長  まだそこまで報告がきておりません。私どもは数も確認しようと思ったのですが、それ もまだ確認がとれておりません。 ○岩田座長  これは東京都の福祉も一緒に行くのですか。 ○廣川委員  個別的には区の方で行ったのだと思います。管理が東京都ではなくて国管理河川ですの で、一義的には国ということになるのですが、ただ、そうはいっても大田区と世田谷区は 接していますので、東京都の共同事業でも、こういうシステムがあるという呼びかけは日 ごろからしています。 ○岩田座長  それでは、本日の議事に入りたいと思います。  先ほど課長の御発言にもありましたように、前回の委員会において報告書(案)につい てのいろいろな御意見、御要望をいただきましたので、それを踏まえてデータチェックを 8月の半ばぐらいまでかかって、すべての個票に戻ってクリーニングをしました。幾つか 非該当のケースとみなされるというのがあったり、幾つか直しまして修正したデータで、 前回、幾つかのタイプを考えてはどうかということがございましたので、その点から、必 ずしも十分ではないのですがホームレスの存在形態といいますか、特にホームレス経験と いうことで三つのタイプに分けたのと、それから制度利用のタイプを二つつくりまして、 主としてそれを中心に分析をしました。  8月の半ば以降から分析をして、かなり大慌てで文章化したということで文章もこなれ ていませんし、私と阿部さんの間で行ったり来たりしましたので、図表も色がついていた りついていなかったり表現もいろいろという感じではありますが、それをまた非常に短期 間に事務局で修正していただいたのが最終的に送付され、2回送付されたと思いますが、 最後に送付されたものです。きょう、それがございますので、最終的な修正案について概 略御説明いただきまして、これについての御議論をいただきたいと思います。  なお、クロス表というのを最後につけていますが、それは、先ほど言いました野宿期間 から割り出した野宿経験タイプというのと、年齢と収入と制度利用のタイプと地域と、そ れから地域の移動タイプですね、これはかなり東京、大阪からリクエストがあって、調査 設定のときはすごく丁寧な移動の設定をしているのですが、なかなか移動まで分析する余 裕がありませんでしたので、非常に単純なものだけですが、県外からきたのか、同一県内 で別市町村なのか、同一県内、同一市区町村なのか、直前のところだけですが、それだけ でクロスをかけています。県外といっても、東京、神奈川などというときは多摩川を渡れ ばすぐということもあるので、広域移動かどうかというのはなかなか難しいのですが、一 つの目安として、かなり細かい分析は今後やるということで、今回は六つの基軸でクロス 集計をとって、これを巻末につける。このクロス集計を基本にして、一部、項目同士のク ロスとかというのもやっていますが、この軸同士のクロスも中ではやっていますが、こう いう形で分析をいたしました。  最終的な内容というより文言の修正を統一的な形でしていただきまして、読み手にわか りやすい表現にしていただいたということと、余り誤解されないような表現にしていただ いたというのが主なところですが、それでは、その修正部分を含めて概略、事務局から御 説明をお願いしたいと思います。 ○島村課長補佐  それでは、報告書全体はページ数も多くなっておりますので、分析の視点の部分と要約 の部分、それから最後のまとめの部分について修正後の文章で読みあげをさせていただき たいと思います。報告書の(案)1ページの部分からでございます。 1.分析の視点と結果の要約 1−1.分析の視点  平成15年「ホームレスの実態に関する全国調査」は、平成15年8月に成立した「ホー ムレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づき、「ホームレスの自立の支援等に関す る基本方針」(平成15年7月)を策定するための基礎資料として行われた初の全国調査で あった。今回調査は、特別措置法の見直し検討のために再度行われたものであるが、前回 調査との違いは、この4年間に特別措置法による本格的なホームレス対策が実施されたこ と、及び景気の回復等、経済環境の変化がある。したがって、今回調査は、前回調査以降、 我が国のホームレス状況にどのような変化が生まれているのかを把握することに主眼があ る。  その一つは、数の変化である。既報の概数調査によれば、ホームレスの数は4年前の平 成15年全国調査に比して減少している。また、生活実態調査の単純集計結果では、ホーム レスの高齢化及び野宿期間の長期化の傾向が示されている。これらの結果は、この4年間 の環境変化の中でホームレスの新規参入が減り、問題の主軸が長期固定化したホームレス に移りつつあることを示唆しているといえよう。  だが、むろん新規参入がなくなったわけではない。単純集計結果でも、その4割は「今 回の野宿」期間は3年未満であると答えている。さらに、ホームレスの中には、路上と屋 根のある場所での生活を行き来する層が確認されており、新規参入と長期固定化というシ ンプルな区分けだけではこの間のホームレスの変化は把握できない。むしろ、この4年の 間に新規にホームレスになった人、路上に長くとどまっている人、また、路上と屋根のあ る場所を行き来している人を区別した上で、それぞれの差異や特徴を明らかにすることが 重要と思われる。  また、こうした幾つかのタイプに分かれるであろう今日のホームレスの問題を考える上 で、この4年の間に拡充されたホームレス対策との関連を検討しておくことも不可欠であ る。ホームレスの長期固定化や路上と屋根のある場所の行き来は、対策の方からみればそ の新たな課題を示唆するものでもあり、長期固定化や行き来をしているホームレスと制度 利用の状況の検討が必要となる。  そこで、検討会では、まず(1)今回調査対象者の野宿経験を基軸として、この4年間 のホームレス新規参入層、長期固定層及び路上と屋根のある生活との行き来をしている層 を識別し、この三つのタイプの特徴を明らかにすることによって4年間のホームレスの変 容を検討することとした。  また(2)ホームレス政策の全体評価そのものは、既に路上を脱却した人々の実態も踏 まえねばならないが、制度利用をタイプ化し、これと上記(1)や次の(3)に示される 年齢や地域などとの関連を明らかにすることによって、今後の政策への示唆が得られると 判断した。  この二つの分析軸のほか、(3)平均年齢は高齢化しているが、年齢、階層別の動向、固 定層の増大は、路上での仕事などから得られる収入との関連も大きいだろうということか ら、収入階級別の動向、さらに具体的な対策の異なる地域区分別及び地域移動の大きさが 対策の焦点となっているところから、地域移動タイプ別のクロス集計も行った。  本報告書は、主に(1)(2)による分析を行い、その中で必要に応じて年齢や地域、収 入について検討しているが、(3)を含めて巻末にクロス集計を添付した。  (1)(2)(3)の具体的なタイプ分けの方法は、以下のとおりである。  (1)野宿経験タイプ  生活実態調査対象者の野宿経験については、前回調査時点の平成15年(4年前)を一つ の基軸にして、今回の調査対象者が前回の時点でも既に野宿をしていたのか、それともそ れ以降、野宿をするようになったのかに区分すると、前者は長期固定化したホームレス、 後者は前回調査以降に新規参入したホームレスと考えることができる。ただし、新規参入 した人々の中には、平成15年以前にも野宿経験のある人々も存在している。これは、野宿 生活からの脱却が比較的短期であって、野宿と屋根のある生活を行ったり来たりしている 人々と考えられる。そこで、ここでは今回の野宿の期間と初めて野宿した時期の二つを利 用して、次の三つのタイプ(以下、野宿経験タイプ)に区分した。  野宿経験タイプ  (1)長期層   今回野宿が4年以上。  (2)流動層   今回野宿が4年未満で、初めて野宿が4年以上前。  (3)新規参入層 今回野宿が4年未満で、初めての野宿も4年未満。  ここで4年前を基軸にしたのは、単に前回調査を目安としただけであるが、この4年間 の変化を踏まえると、本格的な対策導入以前と以降、あるいは景気回復等経済環境変化が 明確になる以前と以降、というように考えることができる。  (2)制度利用タイプ(ホームレス対策)  次に、政策のあり方への示唆の視点から、利用の度合い別に制度利用タイプを次の五つ に区分した。  a.制度利用なしタイプ  b.その他の支援利用タイプ  c.巡回相談員利用タイプ(bの利用も含まれる)  d.シェルター利用タイプ(b、cの利用も含まれる)  e.自立支援センター利用タイプ(b、c、dの利用も含まれる)  この区分では、「タイプa」は自立支援センター、シェルター、巡回相談員、その他のホ ームレス支援のどれも利用していないグループであり、制度利用度が一番低いと定義する。 「タイプbその他の支援利用タイプ」は、c、d、eいずれの制度も利用していないが、 何かほかのホームレス制度を利用したタイプである。「タイプc〜d」は、タイプcからd までが標準的なホームレス自立支援のステップになっていることが多いため、タイプeで はc、dを、タイプdではcを利用している人が多いことを前提に、それぞれの制度以外 の制度利用をした人も含めている。また、これらの制度利用をした人は、bを利用してい ることも少なくないので、bの利用があっても、c、d、eの利用があればそれぞれの制 度利用のタイプに区分した。つまり、この区分では下へいくほど制度利用度が高いことが 仮定されている。  むろん、東京都などのように独自の地域生活移行支援事業などを実施している場合、こ れだけの利用者はbとなり、必ずしも制度利用度が低いとはいえない。また、生活保護な どの制度利用についてはこれに含まれないため、別途、これとの関連をみておくことが必 要となる。  (3)その他の区分  年齢別クロス集計は、年齢を4区分(45歳未満、45歳〜54歳、55歳から64歳、65歳 以上)とした。  収入区分は、収入なし、5万円未満、5万円以上の3区分とした。  地域区分は5区分(東京23区、大阪市、名古屋市、川崎市、その他)とした。これはも っぱら生活実態調査の調査数に依拠したものであり、100票以上の東京23区、大阪市、名 古屋市、川崎市と100票に満たない地域は一括をしたものである。  地域移動タイプについては、現在、野宿生活をしている市町村に、野宿以前からいた(同 一県内同一市町村内)、同一県内の別の市町村から流入、別の県からの流入、の3区分を利 用した。  注:図とクロス集計について  すべての単純集計票には、基本的に欠損値を示している。割合(%)については欠損値 を含む割合である。図については基本的に欠損値を明記しておらず、割合の計算からも欠 損値を除いている。クロス集計は、分析の視点を明瞭化するために男性サンプルに限って いる。 1−2.要約  1.野宿経験タイプからみたホームレスの分布  今回調査の対象者の野宿経験を前回調査時点(4年前)を基軸として(1)長期層(今回野 宿が4年以上)、(2)流動層(今回野宿が4年未満で、初めての野宿が4年以上前)、(3)新規 参入層(今回野宿が4年未満で、初めての野宿も4年未満)に区分してみると、現時点の ホームレスの構成として以下が指摘できる。  (1)野宿経験が長期にわたる人々の増加  今回調査時点のホームレスは、長期層が全体の48%(男性のみでは49%)を占め、特に 東京23区などでその傾向が顕著である。場所は、河川や公園など、周辺部が中心であり、 小屋やテントなどを常設する人が多くなっている。  (2)新規参入層の存在  新規参入層は全体の32%であり、女性のみでみると52%になっている。今回概数調査で 数がふえている地区を含めて、ホームレスの集中していなかったその他地域で新規参入層 の割合が高く、39%となっている。新規参入層は駅周辺にやや多くなっており、段ボール や敷物程度で寝場所をつくるか、あるいは寝場所をつくらない人もいる。  (3)路上と屋根のある場所を行き来する流動層の存在  長期層と新規参入層の間に路上での野宿と屋根のある場所を行き来している流動層があ る。これらの人々は、ホームレスからの脱却が一時的で、繰り返し「再路上化」をしてい るグループと考えられ、全体の18%がこの層である。  2.今回野宿の形態  今回の野宿の間もずっと路上で寝泊まりしている人もいれば、一時的に病院や自立支援 センター、あるいは仕事先の宿舎やドヤ、ホテルなどで寝泊まりした経験がある人々もい る。長期層、新規参入層では7割以上がずっと路上にいるが、流動層では5割弱が一時的 にほかの場所で寝泊まりしている。つまり流動層は、ほかの場所との行き来をしながらな かなか路上から脱却する条件を持ちにくいグループととらえられる。  3.全体的な高齢化の進行と新規参入層における年齢層の両極化  年齢構成は、前回と比べると55から64歳、65歳以上の年齢幅が割合がふえており、全 体として高齢化している。前回調査を今回と同じように長期層、新規参入層、流動層と区 別すると(ただし、5年前を基準)、長期層では前回と比べると55から64歳層でふくらん でおり、新規参入層では45歳の若い層と65歳以上の両極でふえている。  4.三つの野宿経験タイプ(長期層、流動層、新規参入層)の特徴  (1)職業経験  長期層、流動層は、ホームレスになる直前の職業でも、これまでの最長職でも、建築技 能従事者、建設作業従事者、生産技能職が多いが、新規参入層では、このほか、サービス、 運輸、通信などの職種の割合が比較的高い。また、従業上の地位でも、長期層、流動層が 常勤と日雇に二分されるのに対して、新規参入層では経営者、自営などの日雇以外の形態 の割合が比較的高いことが示されている。  (2)路上生活の直前の住居形態  新規参入層においては、持家、民間賃貸などの普通住居と公営住宅等で6割近くとなり、 その他の層に比べて10ポイント以上も多い。これに対して長期層や流動層では、飯場や寮 などの労働に関連した住居が多くなっている。  (3)寄せ場経験及び借金の状況  流動層は、その約半数が寄せ場経験を持ち、新規参入層は3割弱が借金を抱えている。  (4)路上生活での仕事  長期層の8割は廃品回収を中心とした仕事をしており、月5万円未満の収入を得ている。 流動層、新規参入層では、仕事をする人の割合はやや減少している。また、新規参入層は 廃品回収のほか、建設日雇がやや多い。  (5)健康問題  年齢や野宿タイプにかかわらず、半数が「悪いところがある」としている。これに対し て、6割以上が何の対処もしていない。  (6)路上で困っていること  「困っていることがない」とした割合は、長期層がやや多くなっており、流動層、新規 参入層では少ない。具体的に困っていることについては、すべての層で「食事」「入浴」「洗 濯」などの項目で困っているとする割合が高い。なお、流動層、新規参入層では「寝場所」 「雨や寒さ」で困ったとする割合が長期層より多くなっている。  5.ホームレス支援制度の利用タイプ  さきの分析の視点で区分したa〜eの五つの制度利用タイプについて、さらに三つのタ イプに整理し、A制度利用なし型(何の制度も利用せずに路上にいるグループ(タイプa))、 B巡回相談その他支援のみ活用型(その他の支援や巡回相談を適宜利用しながら路上にい るグループ(タイプb、c))、C自立支援センター等活用型(ホームレス支援の中核をな すシェルターや自立支援センターを利用したことがありながら「再路上化」したグループ (d、e))の三つにくくり直すと、A制度利用なし型は34%、B巡回相談その他支援の み活用型が最も多く49%、C自立支援センター等活用型は18%である。  6.支援制度利用タイプの地域差及び野宿経験タイプの相違点  (1)支援制度利用の地域差  大阪市では、a制度利用なしタイプは20%と最も低くなっており、c巡回相談員利用タ イプは39%、dシェルター利用タイプ及びe自立支援センター利用タイプの「再路上化」 型は28%に達している。一方、名古屋市では53%と、過半数がa制度利用なしタイプであ る。「その他」の地域では自立支援センターやシェルターが設置されていないところが多い ためか、dシェルター利用タイプとe自立支援センター利用タイプは少なく、巡回相談員 やその他の支援利用が主なものである。  (2)流動層でのセンター等を経由した再路上化  流動層でdシェルター利用タイプ、eセンター利用タイプの再路上化型が相対的に多く なっており、とりわけセンター利用の割合は22%と極めて高い。また、新規参入層と長期 層においては、e自立支援センター利用タイプは新規参入層の方が多いものの、a制度利 用なしタイプ、bその他支援利用タイプ、c巡回相談員利用タイプ、dシェルター利用タ イプではほとんど同じ割合となっている。  (3)今回の野宿形態別の支援制度利用状況  今回の野宿形態では、ずっと路上にいる人の37%はA制度利用なし型で、この割合はほ かの形態(「一時的に病院や施設利用をした」人及び「ときどきドヤやホテルに泊まってい た」人)よりも高い。また、「一時的に病院や施設利用した」人の46%、及び「ときどき ドヤやホテルに泊まっていた」人の24%がC自立支援センター等活用型の「再路上化」で あるが、この割合は「ずっと路上にいる」人の場合よりも高くなっている。  (4)自立支援センター利用経験者が路上に戻った理由  センターを利用して「再路上化」した者のセンター退所理由は、「規則違反・自主退所・ 無断退所」による退所が40%、「期限到来」による退所が24%で、その合計は約3分の2 いる。次いで、就労を通じた後に路上に戻ったのは18%(「会社の寮・住み込み等による 就労退所」9%、「アパートを確保しての就労退所」9%)、生活保護を通して路上に戻った のは5%となっている。  なお、この割合は、18年度中に自立支援センターを退所した者全員の退所理由の場合に 比べ、就職及び生活保護によって退所した人の割合は少ない。  (5)支援制度利用タイプ別の生活上の困難の種類  支援制度利用と路上生活上の困難の種類には一定の関係があるとみられる。制度利用な しの場合では、「特に困っていることはない」の割合がほかのタイプに比べると高い。  (6)支援制度利用状況と健康状態  支援制度利用度合いの高い人ほど、「身体の具合の悪いところがある」人及び「入院経験 を持っている」人の割合が高い。  7.生活保護の利用経験  生活保護の利用経験は4分の1ほどが持っているが、年齢別ではほとんど差がない。野 宿経験タイプでは流動層で41%が生活保護利用経験を持っている。流動層は、ホームレス 支援制度の利用も高かったが生活保護の利用度も高い。生活保護利用の内容は、4割以上 が入院に際した利用であるが、流動層では保護施設の利用も多い。  8.路上生活者の公的年金保険料納付状況  約3分の2(65.9%)の路上生活者が、公的年金保険料を納付した経験があると回答し ている。また、納付してきた年金の種類は、厚生年金が68%と大多数を占め、次が国民年 金であり16%となっている。また、公的年金保険料を納付した経験があると回答した者の 中で、25年以上の納付歴を持つと回答した者は16%であり、彼らは既に基礎年金の受給権 を持っていると考えられる。  ちなみに、今回調査では88名が路上で年金を受給しており、その6割強が制度利用なし のタイプaと巡回相談のタイプcである。  9.今後の希望する生活  今後の希望する生活については、全体では「きちんと就職」が最も多いが、その割合は 前回に比べ減少している(49.7%から37.0%)。路上で都市雑業をしながらの生活の継続 ととらえられる「都市雑業」(9.1%)、行政による支援を希望している「行政支援と軽い仕 事」(10.9%)、「福祉利用」(11.4%)などは、前回より増加の傾向をみせている。  また、自由回答に比較的多くみられた「年金生活」と「故郷へ帰る・子供のところにい く」を項目としてみると、それぞれ1%、0.9%の人が希望している。  「就職」の希望は新規参入層の54%、流動層の44%に比べて長期層は28%と低く、長 期層では都市雑業による自活を希望する割合がほかのタイプよりも多い。  10.求職活動  現実に求職活動中または予定しているのは年齢が比較的に若い層であり、65歳以上にな ると活動中が10%、予定が9%と少なくなっており、求職活動をしない割合は8割以上と なっている。全就職希望者724名(男性のみ)だけを取り上げると、実際に求職活動をし ているのは就業希望者の37%、今後する予定の人を含めても72%であり、約3割(27.8%) の人は就職希望が求職活動に結びついていない。  11.就職するために最も望む支援  就職するために望む支援としては、いずれの年代も、また、野宿経験や支援制度利用タ イプの差異を超えて、「住所設定のためのアパートがほしい」とする者の割合が最も大きい。 次いで身元保証の援助であり、就職そのものというより、地域住民としての定着や信用に 対する援助を希望している。  仕事に関しては、45歳未満を除くと、相談や情報、訓練などよりも、仕事先の開拓の方 が多くなっており、特に65歳以上でこの希望が大きくなっている。より直接的な支援を望 んでいるということであろう。ただし、e自立支援センター利用タイプで、やや職業訓練 や講習の割合が多くなっているのは、自立支援センターでの経験からその重要性を理解し ているのかもしれない。  12.自立支援センターの認知度  相対的に若い層ほどセンターを知っており、また、利用もしくは利用希望を持っている。 高齢層ではセンターの存在すら知らない人が多い。野宿経験タイプでみると、流動層で自 立支援センターの利用及び認知度が高くなっている。新規参入層は長期層より若干認知度 が高い。  地域別では、自立支援センターを知らないという人の比率が、センターを設置していな いところが多い「その他」で45%になっているだけでなく、設置している川崎(40%)、 東京(32%)でも高かった。  13.まとめ  ●ホームレスは、長期路上へ滞留する長期層、あるいは屋根のある場所と路上を行き来 する流動層、新たに路上へ参入する新規層など、異なった構成があり、こうした異なった 構成を十分を理解し、きめ細かく問題を把握していくことが重要である。また、これに応 じて、対策も当然、多様なメニューを含む検討をする必要があろう。  ●また、今日のホームレスは、全く制度を利用していない人、相談レベルの利用にとど まる人、シェルターやセンターを利用した後、「再路上化」した人に区分できる。この三つ の区分は、支援制度の問題点として三つの課題を投げかけている。  第1は、全く制度を利用していないホームレスへの支援をどうするか。  第2は、相談その他支援レベルの利用をしながらも、路上での生活継続(都市雑業)を 現実的な選択肢としている人々が最も多かったが、これらの人々への現実性のある支援策 をどうするか。  第3に、制度を利用しながら「再路上化」した人々は、制度利用にも就職活動にもほか のホームレスより活発でありながら「再路上化」している。その原因や解決策を明らかに していくには、この調査のほか、シェルターやセンターの全体的な評価が必要である。  ●ホームレスが就職するために望む支援については、年齢、野宿経験などの差を超えて、 アパートによる住所設定への支援、次いで身元保証、仕事先の開拓が期待されている。こ れは、スキルの獲得や情報の提供などを中心とする自立支援策に比べて、ホームレスの人々 にとってはより現実的支援の希望であるともいえる。このほか、年金受給で暮らしていき たいとの希望もあり、従来の自立支援に加え、それぞれの地域の多様なホームレスの構成 や、ホームレス生活の現実を反映した多様なメニューの可能性を検討していくことが、効 果ある支援に結びついていくと思われる。  以上が、分析の視点及び要約の部分になります。  続きまして、一番最後のまとめ部分について読みあげをさせていただきたいと思います。 報告書(案)の50ページからになります。 6.まとめ  以上の分析から、今後のホームレス対策において基本的に留意すべき点をまとめとして 述べておきたい。  【三つの野宿経験タイプ(長期層、流動層、新規参入層)】  今回調査で把握されたホームレスは、ホームレス拡大のいわば頂点にあったとも考えら れる前回調査時点と異なって、新たにホームレスとなる新規参入層が減少し、長期路上へ 滞留する長期層及び屋根のある場所と路上を行き来する流動層を中心に構成されており、 その意味でホームレス問題の局面が大きく変わってきたことが確認された。  だが、概数調査の結果によると、地域によってはホームレス数がふえているところもあ り、新たに路上へ参入する人々も存在している。長期層、流動層、新規参入層の特徴をそ れぞれ区別しながらきめ細かく問題を把握していくことが重要である。これに応じて、対 策も当然多様なメニューを含む必要があろう。  また、これらの三つの野宿経験タイプの構成割合については、若干の地域差が存在し、 概数調査におけるホームレス生活場所の構成割合の変化から、野宿する場所が「公園」か ら「河川」「その他施設」へ分散している傾向もみてとれる。このような地域差や生活場所 の変化も踏まえ、ホームレス対策の検討をする必要があるのではないか。  【支援制度利用の問題点】  支援制度の利用状況からホームレスを三つに区分すると、以下のようになる。  ・全く制度を利用していない人  ・相談その他支援レベルの利用にとどまる人  ・シェルターやセンターを利用した後、再路上した人  これら三つの区分から、支援制度の問題点として次の三つの課題を投げかけていると思 われる。  第1は、全く制度を利用していない人が長期層や「ずっと路上」にいる人々に多く存在 しているが、なぜ制度につながらないかということである。この点とかかわって、シェル ターや自立支援センターの存在すら知らない人々がセンターを設置している地域も含めて かなり存在していることや、自立支援センターを知っていながら、その4分の3は入所し ていないことに留意すべきであろう。  第2は、相談その他支援レベルの利用をしながらも、路上での生活継続(都市雑業)を 現実的な選択肢としている人々が最も多かった。第1の区分も含めて、こうした人々は一 般生活への不適応とみなされがちであるが、不適応というよりはホームレスの人々の現実 的な選択の結果であるともいえよう。したがって、これらの人々への現実性のある支援策 は何かということが再度検討される必要がある。また、一部の路上生活者の中には、セン ターなど、自立支援センター制度利用が病気や健康不安と結びついて理解されており、積 極的に就労自立をする道筋として理解されていないことをどう考えたらよいか、という課 題もある。  第3に、制度を利用しながら「再路上化」した人々は、制度利用にも就職活動にもほか のホームレスより活発でありながら「再路上化」している。その原因や解決策を明らかに していくには、この調査のほか、シェルターやセンターの全体的な評価を待たなければな らない。ただ、今回調査結果では、センター利用者は生活保護の経験も相対的に多く、そ のきっかけの多くは入院や健康問題があったことが明らかになっている。これらを含めた 多面的な分析が今後、必要となろう。  【ホームレスの希望する援助】  ホームレスが就職するための望む支援については、年齢、野宿経験などの差を超えて、 「アパートによる住所設定」への支援、次いで身元保証、また仕事先の開拓が期待されて いる。これは、スキルの獲得や情報の提供などを中心とする自立支援策に比べて、ホーム レスの人々にとってはより現実的支援の希望であり、市民としての信用や安定を取り戻す 支援の要請ともいえる。  なお、今後望んでいる生活の自由記入の中に、年金受給で暮らしていきたいとの希望も あり、加入歴の状況を見ると、それも一つの選択肢として可能であるともいえる。むろん、 この前提として住所設定は不可欠なものとなろう。  いずれにせよ、従来のような自立支援に加え、それぞれの地域の多様なホームレスの構 成やホームレス生活の現実を反映した多様なメニューの可能性を検討していくことが、効 果ある支援に結びついていくのではなかろうか。  以上でございます。 ○岩田座長  どうもありがとうございました。まだ表現が変なところがありまして、文章上はもうち ょっと直さなければならないところがあると思うのですが、内容的な点で、もちろん表現 上でも結構ですから、どうぞ御自由にどこからでもこの報告書について御意見を伺いたい と思います。  かなり煩雑なあれで、分けたのにまた三つにくくったり、野宿経験と今回野宿とか、も うちょっと最初のところの言葉の説明というか区分を丁寧にした方がいいかなとは思って いますけれども。 ○森田委員  今、座長がおっしゃったこととかかわるのですが、今の三つのタイプ、この前申し上げ たようにタイプ分けをして詳細に分析していただき、大変ありがたいところで、しかも非 常にバランスの効いたいろいろと問題点を含みながら分析をされておられるというのは、 大変高い評価を私も持っております。ただ、この名称ですね。長期層、流動層、新規参入 層というのは、確かに前回調査の4年前と比較せざるを得ないのでこういう形になるのだ ろうと思うのですが、実際に我々が野宿生活者に対して持っている新規参入というイメー ジ、ましてや流動というのがどういう層なのか、そのイメージの中身の実態が非常につか みにくいのですね。これは自立支援法というのが施行されて、その間の効果というものも みる意味合いで、ある意味では新規参入というのはボーダーライン層も含めて出入りして いる非常に動く部分というのは、これは今の調査の範囲外なのですが、非常に今、問題に なっていると思うのです。これは今回のカバレッジではできないとすると、法施行以降、 流動してきた層というのをはっきりと明言された方がいいのではなかろうか。  流動層に関しましても、層が18%ぐらいですのでちょっとイメージがわかりにくいので すね。4年前にも野宿していてどこかへいって、そしてまた再び4年の間に再路上化した という層なのですが、これは内容をあらわしてしまうと非常に難しいのですが、流動も内 容をあらわすから難しくなるのですが、長期化へ移行する層がかなり含まれているのでは ないか。そうすると長期化というのが一つ固定されているとすれば、その次の層はそこへ 移行していく層、あるいはこれからターゲットになっていく問題になる層、というような 位置づけを持っておいた方がいいのではないかなという気がするのです。  流動というと、つまり4年単位で動いたり往還するのではなくて、もっと短期に出入り する、言葉の上でそういうイメージがありますので。 ○岩田座長  それが、16ページの図の8を見ていただきたいのだけど、本当はここからタイプ化をつ くろうかなと思ったのですが、細かくなりすぎるのでできなかったのです。やはり質問が 大変難しくて、野宿期間というのは何回やっても失敗するのだけれども、今回の野宿とい う意味もどういうふうに了解されたかという問題もあるのですが、これで見ると流動層と いうのは半分が今回も流動しているのですね。新規参入層と長期の7割はずっと路上なの ですが、その一部は流動しているので、もしかするとこの赤いのと黄色いのは流動の方に 入れてしまってもいいのかもしれないようなものなのです。  それを、比較的長いスパンでみたときの流動という意味と、今回のように4年の間でも ちょこまか動いている。基本的に流動層にそれが多いとみなしてそのタイプでやったので す。そして、「流動」というのも何かいい名前があったら変えたいと思うのですが、大阪調 査が往還型でしたか、だけど名古屋で使ったら悪いかなと、大阪の特許かなと思って(笑 声)。 ○森田委員  いえいえ、特許ではなくて、使っていただいて。 ○岩田座長  往還型とか巡回型とか、何かいいあれがあればぜひ。 ○森田委員  いい名称があれば、それにこしたことはないという点はあるのですが。 ○岩田座長  「行ったり来たり型」とか。行ったり来たりというと、確かに。ただ、流動の方により 短期流動も多いのです。そして、やってみたら数がそんなに多いわけではないので、細か く分類すると難しいところもあるのですが、そこと長期層がふえているのです。  そして性格も、特に制度利用は当然ですが、この中に制度利用が入っているからですが、 本当に違うタイプで出てくるのです。だから、図の8から何とかしようと思ったのですが あきらめて、今回、何かいい御意見があれば。 ○森田委員  何かお気づきのことがあれば。大変御苦労はわかるのですが、非常にイメージが。 ○岩田座長  大阪の往還というのは、もうちょっと短期で使っているのですよね。 ○森田委員  ええ、そうです。 ○岩田座長  一番いいのは、追跡調査みたいなのができればすごくはっきり出てくるのですが。 ○森田委員  今回は定点調査ですからね。 ○山田委員  難しいのですよ。長い目でみたら制度利用型で要領よく生きている層というか、そうい う生き方ね、あるときはシェルター利用して、あるときは違うところを利用して、あるい は福祉も利用してとか、それはある意味では一つの固定層なのですよね。そういう人もい るし。 ○岩田座長  そうですね。そういう方は寄せ場経験が、ここだけとても高く出るのです。それは、ホ ームレス対策以前に寄せ場対策でシェルターなどを経験している層も含まれている。 ○森田委員  日雇に野宿が組み込まれたこういう生活と思っている人たちですね。 ○岩田座長  何かいい言葉が。 ○山田委員  かといって、それ以上にはいけない。もうそういうスタイルとして固定している層と、 またそうでない層がいるから、私はよくわかりません。難しいですね。 ○森田委員  だから、往還しながら長期にわたっていく人たちも随分この中にいる。 ○山田委員  長期のスタイルというのは、ドタッとというか、地べたにずうっとしている層と、ある いはそういうスタイルで長期にずうっと、それが私のスタイルですねん、という方もいら っしゃるわけなのです。 ○岩田座長  往還が長期化しているというわけね。 ○森田委員  そうそう。 ○岩田座長  長期往還層ですね。だから広義の意味のホームレスなのですが、日本の場合はホームレ ス定義が路上に限定されているので。 ○森田委員  いずれにしても、そこは再野宿化というのがキーワードになるのだろうと思うのです。 ○岩田座長  そのほか、今のこととの関連でも、あるいは全く別のことでも結構ですが。 ○森田委員  これは今のところと関連するのですが、最初の「分析の視点」のところで、第2パラグ ラフの最後のところ、「問題の主軸が長期固定化したホームレスに移りつつあることを示唆 している」、ここへ絞り込んでしまっていいわけですか。上の「ホームレスの新規参入が減 り」の「新規参入」が何を意味するのか、定義の前にきてしまっているから、ここでいう 「制度後の参入が減り」というような意味でとらえれば正確になるのでしょうけれども、 しかしホームレス問題というのは今回の調査の範囲の中で、もちろんこれは長期固定化し たというのは一つの傾向として出てきていますので、長期化したホームレスというのは一 つの重要な問題として浮上したということはいえると思うのですが、ホームレス問題の主 軸がここに移りつつあると、一般論としてここへ全部網をかぶせてしまって、それでいい のかなという気もしないでもないのです。  というのは、屋根のあるというのは、例えば先生のおっしゃるようにボーダーライン層 を含み込んで屋根のある生活と路上、こういう形態を含むのかどうかということは、ここ の調査の中ではもちろんそれが厳密に、屋根のあるというのはそういうものではない、ボ ーダーライン層は含まないというぐあいには考えていらっしゃるでしょうけれども、現実 にホームレスの実態の中では新たにボーダーライン層というのも浮かび上がってきている。 ○岩田座長  ボーダーラインというのは。 ○森田委員  つまり、今、さまざまな非正規雇用の形、あるいは派遣労働者など、そういう人たちが ホームレスへ動く可能性が非常に高くなってきている、そういう方向に移行しつつある部 分も否定はできないけれど、この調査ではもちろんそういう部分をはかっていらっしゃら ない。 ○山田委員  予防策との関連もどう出るか。結果として路上で生活している。 ○岩田座長  それが大前提なのですよ。 ○山田委員  新規参入層の人たちに対するところにもかかってくるのかもしれないのですが。 ○中村局長  おっしゃっているのは、シェルターなどは使っていないということを言いたいわけです か。事実の問題、つまり、数が減っているということは、出ていく人が多くて入ってくる 人が少なくなっているから減るという話なのかと思っているのですが、だからトータルの 数が概数調査で減っている。それが一つですね。それをどう解釈するかという話だと思う のです。その新規参入が減りというのがファクトではないという感じなのですかね。何を 御心配されているのか、分析の話ですから大事なところだと思うので。 ○森田委員  つまり、この調査ではホームレスを輩出してくる構造的な分析にまでは及んでいないわ けですので、その部分の評価に関しては非常に難しくなってくる。だから調査票の部分で、 これは新規参入というのを言葉で、今のように法制度施行以降の新規参入型とされるかど ういうタイプにされるか知らないけれども、そのタイプが減ってきているということは調 査の中からいえると思います。  ただ、現象としてホームレス問題全体を押さえたときに、新たな新規参入の部分につい てはわからない。あるいは、その出入りに関しては我々はまだこの調査の中では明らかに できていない部分があって、なおかつ、今、その新規参入の部分でどれだけ動態的にダイ ナミックに出入りが動いているのか、ここのところの測定はなかなかできないけれども、 しかし今、いろいろなところでは問題があるのではなかろうかといわれている問題が含ま れている。とすれば、長期化だけに限定しても、ホームレスの問題の主軸をそこに絞り込 んでしまうことに問題はないのでしょうかと。むしろこの調査票からそれが一つの重要な 問題として明らかになったということはいえた、ということはいってもいいだろうという のが私の言う意味です。 ○藤崎課長  今回の調査でも野宿経験のタイプを長期層と流動層と新規参入層に分けてそれぞれクロ スして、新規参入層の例えば何を希望しているかとかというのをすべてとっていますので、 それはそれぞれの層で先生が言われたような状態像は出てくるとは思うのです。 ○岩田座長  森田先生がおっしゃるのは、要約の最初の書き出しのところが、特に初めだから余計誤 解されるといけないということだろうと思うのです。厳密に言うと法律の前の調査なので、 そして4年といった場合、法律施行以降とはいえないのですよね。厳密にいうとね。同じ 年なのですけれども。つまり、前回との比較でどう変わったかということを分析しますよ ということで、最初に新規というのはこの4年の間に新たに入ったというような、それで 「新規参入」とここでは呼ぶというような注釈をつけて、「問題の主軸」というのはとって、 問題はもうちょっと多様になっているというふうに。これは実は「示唆しているといえよ う。だが」と否定するのですけれども、パラグラフだけであれだと思うので、その辺を、 では。 ○森田委員  上の2行と下の4行とが少し論理上、展開がね。むしろ下の4行に合わせて上の方を表 現されたらと思います。 ○安江委員  森田先生のおっしゃっているいわゆるネットカフェ難民と言われているような人とか新 しいホームレスというような、マスコミでもいろいろ報道がありますが、今回の調査で新 規参入の層にネットカフェなどを利用している人が多いかどうかとか、その調査の日に路 上にいた人ですので、路上生活ホームレスの定義と、固定の住居を持たないで、でも路上 には落ちないで暮らしている人の問題を、施策がどうやってカバーしていくかという議論 になれば別ですが、今回のこの実態調査という意味では全くわかりませんよね。その日に 駅で寝ていた人をとったわけですものね。 ○岩田座長  新規参入が減ったというのを、ホームレス定義、だから路上で見る限りという意味です よね。16ページの図の8を見ていただくと、新規参入の87人ですか、もしもネットカフ ェとか漫画喫茶とかが入るとすればこの赤いところなのですね。これはこの4年の間にで すね。たがら病院なども含めると3割ぐらいは長期層でも新規層でもそういうのはもちろ んあるから、路上との行き来というのは当然あるのですよ。だから、先ほどの往還の意味 するところはもうちょっと大きくなる可能性は今後あると思いますけどね。 ○森田委員  いずれのタイプも含まれてきますから。 ○岩田座長  ただ、今回調査でそこまで言及できるかどうかというのは。ホームレス問題全体として 研究的に、あるいは実践的な意味でどの辺まで視野を広げるかというのはいろいろあり得 ると思うのですが、限定をもうちょっとかけて、法のいう路上で暮らすというような限り でみればという感じ。 ○森田委員  それで結構だと思います。 ○大橋委員  言葉の問題については、これは流動とか長期というのは4年という調査の年限で決まっ てくるものですから、少し慎重にした方がいい。流動というより再流入のようなのが具体 的な意味なので、流動というと、ホームレスの行動のようなものがそこに反映されている というようなもうちょっと深い意味を持ってきますので、一応年限は調査年限ということ で決まっていますので、ちょっと考えてもいいかなとは思います。  もう一つ、今回の概数の減少は新規参入が減った。これは、例えばなぜ減ったのかとい うことで、例えばクロスの方でみると、東京などは新規流入の割合が少ないですよね。だ からかなり景気の影響を受けていますので、景気変動による新規参入とか再流入のような 層が、再流入については前回調査ではわからない。そういう点では、その辺のメカニズム を少し思い描いて、これからの問題は長期のホームレス対策が大事だというような帰結ま ですぐもっていっていいのかと。また今後、景気が悪くなってふえたらどうするのだろう かというような気もしますので、その辺もちょっと気になったところです。  ついでに、この資料の中で長期と所得のところ、私、収入関数をはじいてみたのです。 そうしたら、流動が非常に長い人は所得が高いという結果が出てきていますしね。ところ がこの調査ですと、5万円以下、5万円以上という所得区分でやっていて、はっきりした 結果が出ていないのですね。そこのところは私の計算した結果とちょっと違うなと思いま した。 ○岩田座長  そうですね。全体でいうと、むしろ5万未満のところが。 ○大橋委員  はい。そして5万未満、5万以上というのも、なぜこういうふうに切れるのだろうかと いうのもあれですから、単純に関数をはじけばすぐ出てくるところですが。 ○岩田座長  ちなみに、先生はどの区分でなさったのですか。 ○大橋委員  所得ですか。所得をそのまま聞いていますから、そのまま対数をとって被説明変数にし て推計した。経験年数というのか、それはプラスで優位で聞いていますので。 ○中村局長  そうすると、どんな感じになるのですか。 ○大橋委員  きょうは持ってこなかったのですが、全体として経験年数というのはかなり効いている。 それから、仕事としていろいろなことをやっている人は、余り収入は多くないのですね。 建設なら建設に特化している人、運輸なら運輸に特化している人は割合よくて、その他も ろもろの仕事をやっている人は所得が余り多くない。そして、三つ以上仕事をやっている 人はサンプルで3人ぐらいいましたが、必ずしも多くは稼いでいなかった。 ○岩田座長  特化しているというのは、路上での仕事がということですね。 ○大橋委員  はい。 ○岩田座長  日雇の方が高いですか。 ○大橋委員  日雇……。 ○岩田座長  ほとんどが廃品なのですね。廃品回収と日雇タイプがあって、建設と運輸に大体分かれ て、あと、清掃とかごちゃごちゃと入ってくるのですが。 ○大橋委員  その他というのはよくわからなかったのですが、廃品回収とその他とリンクしてやって いる人が非常に多いのですが、余り儲かっていないですね。廃品回収は余り割のいい仕事 ではない。それから、セールスはもっと悪い。切符とかですね。  それと住みかでは、ここでは長期層に河川と公園が多いのですが、大体住みかでリグレ ースすると、一番稼げるのは河川か公園です。悪いのは路上、駅です。またこれはその他 があるのですが、その他というのは、多分高速道路下とかその辺に住んでいる人ではない かと思うのですが、その人たちの所得は3番手ぐらいの結果が出ています。 ○岩田座長  割合それが野宿経験タイプと重なっていまして。 ○大橋委員  野宿経験とどこに住むかというのは非常にプルーシャルな問題でして、次第にみんない いところを見つけていく。それが同時に長期化させる要因ですね。だから、公園か河川で 見つければ非常に幸せ。これは小さな幸せかもしれませんけれども、これはそのままでい いという層ができあがっていく。だから、ここでいう流動層とか新規参入層が次第にどち らかに分かれていくと思うのです。例えば公園とか河川でも、私が公園でどこかいいとこ ろを見つけて、あしたからホームレスやりますといっても、たたき出されるのではないか と思いますね。それがいわば既得権益のようなものになっているのではないか。  実は私は、ホームレスの実態といっても全く知らないので、本当のコンジェクチャーだ けなのですが、そうすると、そういうところで何とかうまく見つけて、どうもそれなりの かなりオーガナイズされた世界のようなので、そういうところに定着した人はすごく幸せ。 そして雨露も余り問題ないという回答も結構多いし、食べ物も。そういう点では、そうい う住みかがどういうふうに見つかるかというプロセスが非常に大事になってくるというよ うなに分析結果から出ていましたね。  そうすると、そういう人たちをなくすにはどうしたらいいか。自立支援センターは、そ ういう人たちは幸せというと変ですけど、ある程度定着していますから、余り意味ないと 思っているわけです。だから、そういう人たちを何とかするには公園から締め出すしかな いのですよ。その締め出すということがいいか悪いかということについては、このデータ からは読み取れなかったのは残念ですが、そういう感じの話がこれからもすごくきれいに 出ていると思いましたが、そのようなイメージで。 ○岩田座長  公園の場合はすごく多様で、河川もそうだと思うのですが、例えば特定公園は日雇の小 さな寄せ場とくっついた公園というのがあって、先生がおっしゃるように住みかと仕事と いうのがセットになって見つける、偶然ということもあるのですが、だからそこから動か ないことが生きていくためであると。河川の場合は、大阪はわかりませんが、東京の場合 は河川に廃品回収の仕切り場があって、多摩川沿いにそういうのがあったりしますから、 それはワンセットなのですね。 ○大橋委員  河川が一番実入りはいいですね。 ○岩田座長  それは、廃品回収が本格的に多分。それと自転車を持っているとか、やはり生産手段を。 ○大橋委員  ただ、河川は滞在年数というのかホームレス年数は余り長くないですね。長いのですけ ど公園よりは短い。やはり川などは流されるからかなと思ってみていましたけど。公園は 安全ですよね。 ○岩田座長  川の方がより周縁的なので、余り動かなくて済むというか。公園はそんなにきちっと小 屋をつくったりするのは、だんだん制限されていますから、畳まなければいけないし。地 域にもよるのですが、東京と大阪だけの調査ならもうちょっと見当もつくのですが、非常 に広いので、公園といってもどの公園かとか、どの川かみたいな、大阪などでも道路でも 何か意味があるのですよね。  だけど、おっしゃるようにある程度定着層が出て構造化されると、私もそこまで考えな かったけれど、往還的な生活形態が長くできてしまっている層がいるというのは、そうで すね。だから、そういう生活構造をある程度生かしながら路上から脱却するにはどうした らいいかというようなことは大事な点だと思うのです。廃品回収のような仕事を生かすと か。 ○大橋委員  廃品回収でもいいスポット、値段の高いものが手に入るスポット、同じ廃品回収でも、 長期やっている人は多分いいスポットを知っていると思うのです。そこで結構実入りがい いとか、いろいろあると思うのですが。 ○岩田座長  もちろん先生がおっしゃったように、それ自体も経済状況によって紙の値段も上がった り下がったり、紙ぐらいではだめだから、銅線とか。 ○大橋委員  この辺の認識がある程度固まれば、最後の自立支援センターの政策評価もスムーズにで きるのではないかと思ったのです。ただ、最後の自立支援センターについての評価のとこ ろは、今のような考え方でみているとちょっと気になったところがあるのです。 ○岩田座長  例えばもうちょっと……。 ○大橋委員  自立支援センターについての評価は一番最後になると思ったのですが、要するに長期の 人は、何か新しい技術などを身につけてもともと自立しようと思っていない人が多いわけ ですから、自立支援センターというのはそういう人に対する制度ではなくて、むしろここ でいう流動層とか新規参入層に対する支援ですね。したがってそういうことをみていると、 「自立支援センターを知っていながらその4分の2は入所していないことに留意すべきで あろう」とか、やや批判するような言い方ですが、むしろもう定着しているホームレスが 多いわけですから、そういうホームレスに自立支援センターのようなものを用意してもし かたがないという気がするのですね。むしろ流動層とか新規参入層に対する、自立支援セ ンターというのはそういうものだと考えれば、その人たちが何を考えているかということ が非常に大事ではないかなと。 ○岩田座長  そこは書いたつもりなのですけどね。希望では圧倒的に住所設定とか身元保証とかが多 いです。だから一番いいのは、その近くのアパートで廃品回収したいわけです。そういう 選択肢がどの程度可能かというのはなかなか難しい問題があると思うのですけれど、雇用 労働市場に参入するにはやや難しい層もいるということは考えなければならない、という ことはいえると思います。 ○大橋委員  ただ、運輸とか建設を専門にやっている人は、家さえちゃんと用意すればこれは抜け出 せるのではないですかね。 ○岩田座長  私は健康問題がかなりあるのではないかと思ったのです。もちろん年齢も高いですから、 高血圧とかそういうのもあるのだけれども、やはり依存症というかアルコールの問題とか そういう問題を抱えている層もいますし、借金などを抱えているのもいますから、そう単 純な。一つ一つを明らかにするのはこういう調査では難しいのですが。ただ、おっしゃる ように幾つか、一本線では無理だというか、実際、自立支援センターが割合成功している のは比較的新しい人にやったとき。3カ月以内とかですね。 ○大橋委員  自立支援センターなどでも、なぜ入らないのというと、住みかの問題は非常に頭にある のですね。一たん入って期間が短すぎるから、戻ったら自分の場所がなくなってしまうと。 ○岩田座長  だからとても現実的な合理的な選択なのですよ。 ○大橋委員  もう既にそこで既得権益を得ている人については、対策は別と考えないといけない。 ○岩田座長  そうですね。だから、東京都のような対策が出てこざるを得なくなったということは。 ただ、技能を非常に持っていて、建設の日雇などでやっていても、体を悪くしたりけがを したりという経験を持っている人が多くて、バブルみたいになれば別ですが、前回調査よ りさらに建設がうんと今回、強く出てきている印象を持っているのです。新規層ですけど ね。だから、残ってしまった層と、もともと建設日雇で、日雇だけではないのですね、常 用労働者が予想以上に多くて、それが年金にも反映されているので、日雇タイプではなく て建設とか製造業に。 ○大橋委員  常用タイプで最低賃金で賃金をもらっておれば、ホームレスをやっていなくてもいいよ うに思うのですけどね。それは不思議ですね。 ○岩田座長  向こうの宿舎が労働型宿舎なのですよ。それと、家族を形成していなくて、もともとの 生活構造が労働とくっついてしまっているのです。だから地域生活みたいのを形成してい ないので、労働の方があやしくなったり自分の体が悪くなったりしたときに、いきなり住 居不安定みたいになる。 ○大橋委員  ホームレスの実態については私は知りませんので、データだけから読むと、ちょっと読 み足りないかもしれません。 ○岩田座長  政策については、さらに自立支援センターそれ自体の評価とか、あるいは地域ごとにや っている独自の対策などもありますから、そういう対策の効果を総合的に判断して、それ でなおかつ路上にいる人はこういう人というような突き合わせをして、先生がおっしゃっ たようなことも含めて考えていく必要があると思います。  そうすると先ほどの型ですが、流動層は先生の御意見では再路上層とか。 ○大橋委員  そうですね。要するに4年前の調査でそういう意味ですから、往還というのももう既に 理論的な香りがしすぎてしまう。かなり4年という制度的なところからの定義が入ってい ますから、もうちょっと素直な方がいいかなと思うのですが。 ○岩田座長  再路上層ですね。 ○森田委員  クロス集計の中に再路上化の問題が入っているのですよ。流動層は再路上化が多い、こ ういう表現がどこかにあったと思うのです。そうすると、二重にトートロジーになってし まいますので、名前を変えなければいけないかなと思って、私も、再路上化か再流入とい うのが一つの考え方だなと思っていたのですが、その辺を注意して今の言葉を使っていた だいて。 ○大橋委員  具体的な区別方法としては結構差がありますから、これでもちろんいいのだと思います けれども。 ○岩田座長  自立支援センターの経験者は再路上だといったのですが、例えばドヤとか飯場とかを行 き来するとか、ああいうのは往還的な。 ○森田委員  こういうグンカンみたいなね、そういうものがありますから。 ○山田委員  病院から2カ月後ぐらいに軽快、退院で、すぐ路上ということですね。 ○大橋委員  往還というのは比較的短期ですか。ときどきドヤにいくとかときどき何とかというのが ありましたね。それを往還というのですか。 ○森田委員  長期もあるのですよね。 ○大橋委員  だから、ベースは自分の住みかは例えば河川敷だけれども、ときたま調子が悪くなると ドヤとかそういったところへいって一息ついて、また戻ってくるという。 ○岩田座長  いや、それはちょっと。 ○大橋委員  だめですか、それは。(笑声) ○山田委員  そういう人もたまにいますよ。 ○岩田座長  だから逆にこちらがベースで、ときどき野宿というのが多分最初のパターンだと思いま す。それがだんだん野宿が多くなるというのを、私たちはホームレスと呼んでいるのです。 だから、例えばどこからを野宿期間と呼ぶかというときにいつも頭が痛いわけですけど、 野宿が多くなったのはいつからですか、と聞いているのです。 ○森田委員  もともと日雇労働というのは、例えばお天気が雨続きになれば収入がなくて、こういう タイプが中心だった。それが徐々に仕事が減り……。 ○岩田座長  ホームレスとホームレスではないというのが必ずしもクリアではないのです。だからそ の間に膨大ないろいろなタイプのグレーゾーン層というのが。 ○大橋委員  ここでは基本的には、例えばネットカフェでずっといてお金がなくなってしまって野宿 した。それが初回の野宿。 ○岩田座長  そういう場合もありますね。だから、落とした二つの個票があるのですが、それはどう 読んでも今は路上で寝ていない。どうして調査に入ってしまったのかわからないのだけれ ども、ただ、それはそう言いたくなくて、いいときのことばかり話したのかもしれないの で、調査を受けるときの心情というのもありますから難しいのですけどね。 ○安江委員  往還というのは、少なくとも日本のホームレスの定義では路上で寝ることとほかの場所 で寝ることの、飯場でもネットカフェでも、それが自分の契約したアパートでもいいので すが、とにかく路上で寝ることとほかの場所の行き来のことを大体イメージしていますよ ね。 ○大橋委員  ここで長期というのは、長期の人でも往還をしている人がいるというのはデータがあり ましたよね。 ○岩田座長  そうです。3割ぐらいはそうなのです。その場合は短期と一応考えている。 ○大橋委員  だから私は、往還とおっしゃったときに、ああ、短期のことをおっしゃっているのだな というふうに。 ○岩田座長  長期というのは、ここでは4年とか、前回比較では5年。前回は幅で聞いてしまってい るものですから、5年でみているのですが。では、「再流入」とかそういう言葉にしますか ね。そして、「長期固定化」というとちょっと強いので、「長期化」と。 ○森田委員  長期と固定化とまた違いますからね。 ○岩田座長  はい。そのほか、いかがでしょうか。 ○安江委員  ここには、就労支援でもないですけど、住所を設定して就職活動ができるようにといい ますか、というふうに書いてあるのですが、先ほど先生が、空き缶集めをしていてアパー トに入るのが彼らにとって最もいいあれではないかとおっしゃったので、そういうふうに 都市雑業とかをしながらでもアパートに入れるというか、そういう解決といいますか、こ こでは設問自体が就職をするということ、求職活動をしているかどうかとかいろいろ聞い てくる。そして当事者たちの答えも、住所設定するためにアパートに入りたい、そういう 選択肢になっていますので、何か就職することと自前の都市雑業で暮らしているというこ とがうまく整合されていないといいますか、空き缶集めをしてアパートに入るというサポ ートといいますかメニューが、もっと何らかの形でこういう検討会でも考えられるとすれ ば、とてもいいと思うのです。これまではこの席ではそういうことは余り、少なくとも施 策のレベルでは就職するといいますか、常用ではないにしても、自立支援事業というのは 空き缶集めは入っていないといいますか、空き缶集めの収入だけでアパートを借りること ができないせいもありますが、余り口にのぼらなかったと思うのですが、そういうことを もっと考えるというか、そういうのはどこかに入るでしょうか。 ○岩田座長  今回のは調査の分析報告なので、調査が就職活動と書いて希望と書いてあるのですが、 もちろん書かれたものの中には、年金で暮らしたいとかそういうのも入ってくるので、そ う思っていないで書かれているという感じもあることはあるのです。だからそういうニュ アンスのことは書きましたが、それはさらに、特に全国的なレベルで考えるというより、 むしろ地域の実態に即して地域がいろいろなメニューを考えていくという感じの方がフィ ットするかなとも思ったのですが、ニュアンスとしては、就職も大事だけれども希望とは ちょっとズレてくるというか。 ○安江委員  希望とはズレているということはこの報告書に載るのでしょうか。 ○岩田座長  そうです。逆にいうと、そういう選択肢に何か触れるような支援があると、もうちょっ と乗ってくるとか、路上からの脱出のきっかけになるとか、そういうニュアンスにはなる と思うのですが。先ほどの大橋先生の御発言のような考え方もあるし、政策的には同じデ ータを使ってもいろいろな考え方が当然できてくるとは思うのですが。 ○森田委員  大橋先生が先ほどおっしゃった御意見ですが、今回のメインの長期化、これの位置づけ というのですか、評価にもかかわる部分だろうと思うのです。例えばおっしゃった経済の 変動要因が大きいわけで、1ページの第3パラグラフの終わりの方に、「今日のホームレス の問題を考える上で、この4年の間に拡充されたホームレス対策との関連」、これは大事な ことなのですね。ここで結局、若年層が自立していったり、あるいは短期流入の脱野宿化 といいますか、そういうものが進みながらある意味では長期化というのも一つの線として あらわれてくるわけですから、ここのところでホームレス対策並びに雇用動向の変動とい いますか、こういう具合に抽象的にその関連もそこで入れておかれれば、大橋先生の御意 見も入ってくるのではないかと思います。経済変動というのは大きなファクターでござい ますので。 ○安江委員  それで私はわからなかったのですが、大橋先生が、運輸や建設でと。そして運輸の日雇 といいますのは、今、ホームレスの人がやっているあれで、日通のアルバイトとか引っ越 しの手伝いとか、そのことなのでしょうか。 ○大橋委員  引っ越し屋さんね。はい。実入りはいいですよね。 ○安江委員  実入りはよかったですか。 ○大橋委員  はい。建設が一番よくて、2番手に運輸。ただし、これは兼ねている人はだめです。だ から、運輸なら運輸専門にやっている人、建設なら建設専門に。だからこれは常傭労働者 でしょうね。その人たちの所得はプラスで優位ですね。あと、幾つもやっている人は、ま あ普通です。悪いのはチケット売りとかです。缶拾いだけ専門にやっている人は悪い。も うちょっとデータを整理してみますが、そういう結果が出ていましたね。 ○安江委員  運輸でも、常用というか登録をして日払いか何かだと思いますが。それから、先ほど大 橋先生が、常用できたのにどうしてホームレスをやるようになるかともおっしゃっていま したが、私が実際に知っている例でも、50歳ぐらいでリストラされると結構路上にきてい る方が多いので、その人が厚生年金か、それは受給資格までの間とか思っているかもしれ ませんが、常用でも結構路上にきていますよね。それは何が悪かったといえるのでしょう か、というか……。 ○大橋委員  それは私の方が聞きたいのですけどね。 ○岩田座長  新規参入の場合は借金がはっきり出ています。ただ、年金などもそう高いわけではない でしょう。就業以外の収入というのもあるのです。年金だとか、若干ですけど。それから、 路上でだれかからちょっともらったとか、ちょっとあるのですが、基本的にはもちろん働 いてということで。恐らく変動が大きいでしょうから、先生が専業的とおっしゃるのは、 例えば親方とかそういうのとくっつけていて、かなりコンスタントに仕事が出やすいタイ プ。でも、それだったら本当はドヤでいけるのです。だから、路上にいるということは、 そこよりは低いとみるか、ドヤとの行き来とみるかですね。 ○阿部委員  そんなに数はなかったですね。月でもせいぜい数万ですから、それで1日数千円ずつと られていくほどの収入はないと思います。やはり路上が主に。 ○岩田座長  この中では。そして、確かに例えば医療機関にはかからないけれども売薬を買うという のは明らかに収入の高い層で、これでいうと5万円以上でそちらの傾向が出るとか、そう いうように住宅費以外の例えば食べ物を買うとか、たまにお風呂屋さんにいくとか、薬も 買えるという程度には差がつくのですが、路上をはっきり脱却するようなコンスタントな 収入になっているかどうかはわからないですね。 ○大橋委員  ただ、運輸でもサンプル数は少ないです。8です。むしろ運輸とほかとを絡めてやって いる人の方が14あったのかな。だからそちらの方が多いのです。だから、複数でやってい る人の方が数は多い。ただ、建設については比較的、建設しか○を打っていなかった人が 多いという状況です。 ○岩田座長  だから、建設でもちょっと技能職で働ける可能性があるのかもしれません。  そのほか、いかがでしょうか。 ○駒村委員  細かいことですが、40ページは年金のところで、この数字は25年以上払っている人で すから免除のことは考えていないのでしょうけれども、16%というのはクロス集計からは きざみの関係で読み取れないという理解でいいのですよね。25年以上の加入歴を持つ人が 16%だという記述があって、どこから読み取ればいいのかなと思って。 ○阿部委員  ですから25年は別に計算しました。クロス集計だけではなくて。 ○駒村委員  別に計算したから、クロス集計からは読み取れない。クロス集計表の92ページでも読み 取れないので、阿部先生が独自に25年以上ということでやられているわけですね。  記述なのですが、41ページの「公的年金受給権の実現」というふうにつながっていくわ けですが、一つ、これは単に教えてもらいたいのですが、こういう人たちは免除はどうな っているのでしょうかね。免除の指導みたいなものはやっているのでしょうか。 ○安江委員  出会えば。 ○駒村委員  出会えば免除の指導をしてあげているのですね。 ○安江委員  はい。行政の応急相談窓口ですとか自立支援センターの相談員ですとか、出会えばそう いうことは。 ○駒村委員  わかりました。 ○岩田座長  社会保険事務所の相談員の方やボランティアの方が同道されて調べて、あることがわか ったりというのも結構経験します。大体高齢者の場合は、しっかりこの辺に持っている中 に年金証書をやはり持っているのですよ。だから本当に労働者なのですね。後生大事に持 っています。 ○駒村委員  その88人の人が現にもらっているという数字は、それはそれで別にあるということでい いわけですね。わかりました。 ○山田委員  年金の問題でいつも突き当たるのは、入院して初めていろいろ調査したら年金を持って いることがわかって、とにかく住所設定をしないことには手続がまずとれないわけです。 だから、病院ではまずだめというわけです。半年入院しているのだけどもだめだと。3カ 月以上入院したらオーケーではないかといっても、だめですね。結局は置き場所がなくて、 しかたないから私のところなどに置かせてくれないかという形がありまして、では年金手 続をとるためということで置いたときがあるのです。そこら辺は、では年金の人などの住 所をどう設定するか。年金だけではないですけど、非常に住所設定がほしいとみんなおっ しゃっているでしょう。公的制度をどう活用するか、たちまち住所の問題にぶち当たりま すから、これは切実な問題としてあるのですね。そこら辺については、それはあとの政策 の問題ですけれども。 ○阿部委員  今おっしゃったように、住む場所としての住所設定ではなくて、手続のための住所設定 という意味ですよね。 ○山田委員  厳密には基本台帳法によると、実際に住んでいる居住実態に基づいて登録しなさい、と。 病院であろうが水の上であろうが空の上であろうが、というのが前提ですから。ところが、 病院は拒否しますし。 ○阿部委員  公園でもだめですかね。 ○山田委員  ええ、どこもだめなわけですから、そこで支援がとまってしまうのですよね。そこら辺 はどういうふうにやるかは別にして、カバーするような仕組みをあとあと考えてもらった らどうかなと。 ○岩田座長  年金はたまたま自由記入のところで出てきて、これ自体は聞いていますが、年金で暮ら したいというのが出てきて、それとうちに帰りたいというのと、あとで自由記入の中から 拾い上げたのです。だからそれをもともと選択肢の中に入れておけば、もうちょっと高く 出たかもしれないなという感じはもっています。改めてそういう意味では、ほとんど男性 で、ほぼひとりで働いて暮らしてきた人たちなので、その証というか、年金についてはあ る思い入れがあるような印象を受けました。  年齢もちょっと高くなっているということもあるので、先ほどから出ている自立支援セ ンターでもう一回労働市場に通常の雇用労働者として再参入していくというルート以外に、 幾つかの違う選択肢が考えられてもいいかなという感じなのです。 ○駒村委員  免除を積極的に使ってあげれば、もっとたくさん救済をできるのかなと。これは納付期 間でもかなりしっかりもっているような感じもしますので。 ○岩田座長  現実的には個々のキャッチをして、その辺までうまいことコンタクトがつけば、きっと そういう方向にいくのだろうと思うのです。やりは住宅設定がネックではありますね。難 しいですね。 ○古屋委員  大阪でございますが、今回の調査で大阪市は前回に比べまして大幅に減ったということ で、それはこの間の施策の効果だと基本的には思っております。もちろん景気の回復もあ るのだと思うのですが。ただ、実際には、この調査でもはっきりされているように、必ず しも皆さんが自立支援策に乗っているわけでもないですし、制度に乗ったとしても、その 後、うまいことつながっていかないという現実が浮き彫りにされているかと思うのです。 しかし大幅に数が減ったという意味においては、いろいろな政策が功を奏したとは思って います。  ただ、現実にいえば、東京都さんでもそうだと思いますが、相当の長期層が依然として 残っておりますし、なかなか助言・指導を聞いていただけない方が相当移動層にもいらっ しゃるということでは、施策を重点的にかなりのボリュームでやってきたにもかかわらず、 私は個人的には、大都市の課題として、なおかつその部分は依然として残っているような 気がしてしかたがないのです。冒頭の話にも出ましたが、河川敷に非常に多くのホームレ スの方がおられるということですし、そこら辺は大阪でも一緒の傾向でございます。  そういう意味からすれば、今回の調査結果の数字とすれば効果がありましたよというこ とはいえるのでしょうけれども、なかなか大都市課題ということを調査結果をもとに表現 するというのは、全国調査ですから非常に難しいかなという気がするのですが、ただ、こ の野宿経験タイプと地域という表がございますね。東京23区、大阪、名古屋、川崎その他 で。そして、東京都さんとか大阪、名古屋、川崎というのは長期層が50%ぐらいあるとい うことで、施策をいろいろ講じた結果としてなおかつこれだけの長期層が残っているとい うのは、大都市であるがゆえにこういう結果になっているのかなと。  私どもの都市の実感としても、自立支援策、景気の回復、それと福祉的援護、もろもろ 合わせますともっと大幅にホームレスが減ってもおかしくない。しかし今のところ、現状 の数にとどまっているという印象を非常に強くしております。繰り返しになりますが、こ の調査でそこら辺が明確に浮き彫りになっているとは思いませんけれども、何らかの形で 大都市の課題としてはまだ依然としてホームレスの問題は大きいのだというところは表現 いただきたいなという思いは抱くところでございます。 ○岩田座長  東京都はいかがですか。 ○廣川委員  私は今回からなのですが、以前の資料などを見せていただいて、調査自体は全国ベース でやられていますので、東京だけのことというのは申し上げられないのですが、今、大阪 さんがおっしゃったように、やはり東京と大阪、名古屋は一番数が多いと思うのです。そ れと、層のタイプ別というのは私もよくわからないのですが、長期、こういう形で大まか には分かれるのかなと思います。今おっしゃったように、東京の場合も区部に3500人ぐら いですか。プラス多摩川とか荒川に大体1000人ぐらいいらっしゃるのです。ですから、そ れを入れると4500〜4600人という数字ですね。  これは結論のところなのでしょうけれども、自立支援センターに入るタイプの方と、今、 東京都は、ここにも書いていただきましたが地域生活移行支援事業というのを独自にやっ ていますが、この事業に入る方は全然違うタイプなのです。いわゆるここでいう長期層の タイプの方が地域生活移行支援事業を利用されるということになっています。  自立支援センターは、東京都の方で言わせていただくと、平成12年ぐらいから始めてい まして、その間、新規の流入層とかそういった方たちは自立支援センターの利用率は非常 に高いということです。先生がおっしゃっているように3カ月から5カ月未満の方が半数 以上です。その制度に乗らない方のためにどうしようかという特別対策に平成16年から地 域生活移行支援事業というのを始めて、今年度で終わりなのですが、自立支援センターは 集団生活、それから、今は都市雑業をやっているのでそういうところにはいきたくないと いう方ばかりですから、その方たちが巡回相談事業で自立支援システムに誘導してもなか なか入っていただけない。そのためにそういう特別事業をやったわけなのです。  それは効果としては、大規模公園、例えば新宿の中央公園とか代々木公園からは目に見 えて数は減っています。東京都も概数調査というので都独自に2月と8月に数字をつくっ ているのですが、地域生活移行支援事業でやった地区については数字は100人単位で落ち ていますので、効果はあったといえると思います。  今、問題になっているのは、長期層の中でも特に東京都の場合、隅田川が東京都の所管 河川ですので、隅田川地域を19年度はやろうとしておりますので、そこで、先ほどどなた かがおっしゃられましたが、排除すればいいという話ではなくて、その方たちは生きてい ますのでどこかにいかなくてはいけない。そこを動いていただくには次のメニューを考え ないと問題は解決しないという立場を東京都はとっていますので、今回、そういう事業を やるということでかなり減ってくると思います。ただ、こういう形で全国調査の結果をま とめていただいて、今後、まとめのところが非常に重要になってくるのかなという感じが します。  1点だけ、数が減っているということで、東京都も国の補助金がまた減らされるのでは ないかと非常に危惧しておりますので、いろいろなことでこの検討会の中身を反映をして、 減ったけれどもいろいろな対策に対応していただきたいという思いはございます。まだま だ問題は解決していないという立場でございます。 ○岩田座長  ありがとうございました。 ○森田委員  最後のまとめの文章ですが、これは私は行政側ではございませんので、実態の中からま とめの第3パラグラフに、「だが、概数調査の結果によると、地域によってはホームレスの 数がふえているところもあり、新たに路上」が入っている。この間に「減少はしていても 依然として多いところ」というのを実態として押さえておくべきではなかろうかと。つま り、減少はしているけれども依然として多い。 ○岩田座長  難しい言い方ですね。(笑声) ○森田委員  つまりそれは大都市の意味なのですけどね。 ○岩田座長  わかりました。それでは、いろいろな御意見をいただきまして、この後でデータの取り 扱いについても事務局からどういうふうにできるかという話があると思いますが、この検 討会の報告としては、きょう御議論いただきました案を基礎にして、三つのタイプの表現 とか、制度だけではなくて景気変動といいますか経済動向の変化の問題を一部加えるとか、 長期の人たちが、数は減っても絶対数としては依然大都市には存在しているというような ことを加えて書き直すというのを、もしよろしければ私と事務局に御一任いただければ、 それで取りまとめをしまして、皆様方にもお届けしたいと思いますが、よろしいでしょう か。  (「結構です」の声あり)  ありがとうございます。 ○大橋委員  景気の話なのですが、地域差というのですか、景気のいい地域と景気のよくない地域で、 東京のあれは比率をみると長期層が非常に多いのですね。だから、時間軸だけではなくて 地域の軸も少し考慮していただいたらいいかなと思います。 ○岩田座長  地域は、特にその他のところがかなり細かく出てしまっているのでなかなか分析がしに くいというのと、先ほどの特に地域移動の問題や、地域ごとの政策のタイプの違いみたな のを入れないと本当は分析できないので、そこのところは今回は甘いのです。その辺を先 生方に今後いろいろ補っていただいて、あるいは各自治体でもぜひ、それぞれのところで 分析されていると思いますけれども、おまとめいただきたいと思います。よろしいでしょ うか。  それでは、事務局からデータの取り扱いや今後のことについて。 ○島村課長補佐  今後、各委員の皆様で独自の分析等々でデータの使用が必要であるという場合には、必 要な手続をとった上で御使用いただきたいと思いますので、事前に申し入れをお願いをし たいと思います。 ○中村局長  それは、承認統計になっているからでしょう。 ○島村課長補佐  はい。 ○中村局長  この統計は承認統計になっているので、役所が承認しなければならないという手続にな っております。もちろん、委員の先生方がさらに分析していただくなり研究に使っていた だくことは本当に大歓迎でございますので、委員の先生方には御自由に使っていただきた いと考えておりますが、手続がありますので、必ず御承認いたしますので、どうかお使い になるときにご一報をいただければすぐ手続をとらせていただく、そういう意味でござい ます。どうぞよろしくお願いします。 ○大橋委員  その後、データクリーニングしていただいたのですよね。その後のデータはいただけな いのですか。 ○岩田座長  それは、もちろんそれが前提になりますので、それはいいのですよね。 ○大橋委員  承認の手続にはどのくらいの時間がかかるものなのですか。 ○藤崎課長  これは総務省の承認統計なのですが、私ども厚生労働省で承認できることを手続を取り ましたので、そんなに時間はかからないでできます。 ○中村局長  ですから、御心配なく言っていただければまず大丈夫だということです。 ○岩田座長  せっかくいろいろやった調査で、まだ使い切れていない部分がいろいろありまして、ぜ ひ分析していただいて、する前に、どういうことに使うということをいっていただいて、 なおかつ結果についてもぜひ。 ○中村局長  教えていただければ。(笑声) ○森田委員  この報告書はいつ公表なり記者レクなり、何かそういう制約はありますか。 ○島村課長補佐  先ほど座長からございましたとおり、事務局と座長と調整をさせていただきながら……。 ○藤崎課長  とにかく、固まったら直ちにやるつもりですので。 ○森田委員  私は、それまでに我々がこれを慎重に扱うべきかどうかという問題をお伺いしているの です。 ○藤崎課長  本日のは案で、最終版ではありませんので、これで公表ということにはなりません。 ○中村局長  先ほどのお名前の話とかそういうのもありますから。ただ、余り遅くならないように、 できるだけ急いでやりたいと思っていますので、近日中ということで御了解いただきたい と思います。 ○森田委員  わかりました。また、期間等を御連絡いただければ非常にありがたいと思います。 ○中村局長  もちろん、公表して使っていただけるものをお送りしないといけないと思うので。 ○森田委員  よろしくお願いします。 ○島村課長補佐  では、局長からひと言。 ○中村局長  昨年7月から5回にわたって検討していただきまして、本当にありがとうございました。 きょうのお話も聞かせていただきましたけれど、やはりデータにあらわれている部分とそ うでない部分ということもありますし、今回の調査は前回調査との変動ということで4年 で区切らせていただきましたので、そういった意味では長期の方でも往還していらっしゃ る方もいると思いますし、新規参入者の方の中でも短期間で往還している人もいるのでは ないかと思いますので、そういうことも気をつけてやらなければならないということは感 じました。  それから、大阪市、東京都の方から大都市問題だというお話がありました。確かに東京、 大阪の両方で8000人を超えております。全体が1万8000人ですから、まずは両巨頭に頑 張っていただくことが日本のホームレス問題の一つの解決につながると思っておりますの で、我々もそのつもりで、ほかに川崎市さんとか名古屋というのと四つぐらいですか、と にかく指定都市、中核都市を入れれば4分の3がホームレスの方をカバーしているわけで、 まさに大都市問題、都市問題だということでございます。  それから、これは調査の分析でございますので、ここで示唆していただいたことを、先 ほどのアパートの話もございますし、山田さんがおっしゃった住所をどうしているかとい うようなのは、対策の中でよく考えていかなければならない問題だと思います。我々はこ の分析結果を踏まえて、どんなメニューがあるのかもう一回、それこそ大都市の皆さんと も御相談しながら、政府として何ができるかというのはやってまいりたいと思いますので、 どうぞ今後ともよろしくお願いをいたします。  ありがとうございました。座長、本当にありがとうございました。 ○岩田座長  それでは、以上をもってこの会議を終了いたします。どうもありがとうございました。 (了) 照会先 [ホームレスの実態に関する全国調査検討会事務局]   厚生労働省社会・援護局地域福祉課 TEL 03-5253-1111(内線2855、2858) FAX 03-3592-1459 36