07/09/11 平成19年9月11日先進医療専門家会議議事録 第22回先進医療専門家会議議事録 (1)日時  平成19年9月11日(火)10:00〜12:05 (2)場所  全国都市会館 第1会議室(3階) (3)出席者 猿田座長、吉田座長代理、赤川構成員、飯島構成員、加藤構成員、        金子構成員、北村構成員、田中(憲)構成員、田中(良)構成員、        谷川原構成員、辻構成員、戸山構成員、樋口構成員、渡邊構成員、        事務局:医療課長、医療課企画官、保険医療企画調査室長、        歯科医療管理官、薬剤管理官、医療指導監査室長、        医政局研究開発振興課長、医薬食品局審査管理課長、        医薬食品局医療機器審査管理室長、他 (4)議題  ○先進医療の科学的評価(7月受付分)について        ○先進医療の科学的評価(1月受付分)について        ○先進医療の届出状況(8月受付分)について        ○臨床的な使用確認試験について        ○先進医療の保険導入等について        ○先進医療の施設基準の見直し等について        ○その他 (5)議事内容 ○猿田座長  おはようございます。時間になりましたので、第22回の先進医療専門家会議を始めさ せていただきます。新しい学期が始まり、皆様方、お忙しいところをお集まりいただきま して、どうもありがとうございました。  本日の構成員の出席状況ですが、新井構成員、岩砂構成員、笹子構成員、竹中構成員、 坪田構成員、永井構成員、福井構成員が御欠席ということでございます。それから、赤川 構成員が、交通の関係で少しおくれて出席なさるということでございます。どうぞよろし くお願いいたします。  それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、先進医療の科学的評価につい て。7月受付分に関して、まず、事務局の方から御説明いただきたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○事務局  おはようございます。医療課中野でございます。資料の先−1に基づきまして、御説明 をさせていただきます。平成19年の7月受付分の先進医療の届出状況でございますが、 84番から87番まで、4技術ございます。最初の技術、84番でございますけれども、「色 素性乾皮症に係る遺伝子診断」ということで、適応症は色素性乾皮症ということでござい ます。先進医療の費用については、それぞれ、このような金額となっております。  続きまして2ペ−ジ目でございます。その84番のところでございますが、事前評価担 当構成員は飯島構成員にお願いをしております。総評は適ということで、また後ほど別紙 1、ペ−ジ数で言えば3ペ−ジから5ペ−ジでございますけれども、そちらの方をごらん いただきながら、構成員の方から詳しく御説明をお願いしたいと思っております。  また1ペ−ジ戻っていただきまして、85番でございますけれども、「先天性高インスリ ン血症に係る遺伝子診断」という先進医療名でございまして、適応症は先天性高インスリ ン血症。費用は、それぞれ以下のとおりになっております。  そして2ペ−ジ目をお開きください。こちらは渡邊構成員に事前の評価をお願いしてお ります。総評は適ということで御評価をいただいておりますので、また後ほど、渡邊構成 員から別紙2に基づきまして、6ペ−ジから8ペ−ジまでにございますけれども、御説明 をいただきたいと考えております。  また1ペ−ジに戻っていただきまして、86番は「ポジトロン断層撮影画像による不安 定プラ−クの検出」ということで、こちらの方は、適応症は頸動脈エコ−にてプラ−クが 検出された症例ということで、費用は記載のとおりになっております。この技術に関しま して、2ペ−ジ目でございますが、薬事法上の適応外に当たるということで、事務局から 返戻をさせていただいております。  そして87番の技術でございますけれども、「アポタイズ回折型眼内レンズを用いた水晶 体再建術」ということで、適応症は白内障手術後の無水晶体眼の近用、遠用の視力補正 (多焦点機構)及びこれに伴う眼鏡依存度の軽減というようなものになっておりまして、 費用はこの様になっております。2ペ−ジ目をごらんいただきまして、その他の対応のと ころでございますけれども、今回書類が整っていなかったということがわかりましたので、 返戻をさせていただいております。  今回の7月受付分としては以上でございます。84番と85番に関しまして、飯島構成員 と渡邊構成員より御説明をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。4つのうちの84と85が、先生方の評価をいただいて、 一応、適ということでございます。早速ですけれども、84番に関しまして、事前評価を 担当されました飯島先生の方から、技術の内容と評価結果の御説明をお願いいたします。 ○飯島構成員  それでは御審議のほど、お願い申し上げます。3ペ−ジを見ていただくと、ここに技術 の概略がありますので、簡単に御説明申し上げたいと思います。  Xeroderma Pigmentosum、色素性乾皮症という疾患は、これは紫外線によるDNA損傷の 修復機序の障害による高発がん性の疾患でありまして、これには8つの相補性群といって 亜群があります。ヌクレオチドの除去修復機構というのが、NERと申しますけれど、これ の障害のされ方によって、A群から7群と、それから別の機序で起こるV群という、全部 で8つの亜群があります。そしてその修復能が低いほど皮膚症状が重症ということは、基 底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫といった皮膚がんが多発してまいります。幼少時 から皮膚がんが多発してくるという疾患です。  日本人ではA群とV群が最多であり、この遺伝子で大体のことがわかってきたわけです が、群によって発がん性が全部違います。この病気の最も大事なことは、紫外線からの防 御を徹底することによって発がんが防御できる。群によって、その指導の仕方が少し異な ってまいります。したがって、群の同定が非常に大事になっています。今回は、これを遺 伝子診断しようということです。なお頻度は、これは常染色体性劣性遺伝ですので、全人 口に対する発生頻度は10万人に1ないし2.5ということで、そう多い疾患ではありませ んけれども、10万につき1程度はあるという疾患です。  これにつきまして、今回、これを色素性乾皮症の遺伝子診断でその亜群を決定して、そ れ以後の発がんを予防する対策を指導するというのが、この技術でございます。そして、 これにつきましては、慎重に審議させていただきましたけれども、次の4ペ−ジをごらん ください。先進医療の名称は、「色素性乾皮症に係る遺伝子診断」です。適応症は妥当で ある。有効性は従来の技術に対して従来の技術というのは、ファイブロブラストを培養し、 それに対する光線の感受性を見るという、非常に手間のかかる検査をしていましたけれど、 その技術を用いるより、やや有効である。それから安全性は問題ありません。それから技 術的成熟度は、当該分野を専門とし数多くの経験を積んだ医師または医師の指導下であれ ば行えるということでB判定にさせていただきました。それから社会的妥当性については、 倫理的問題等はありません。それから現時点での普及性は、罹患率、有病率から勘案して、 普及していない。Cということで、普及はしていないということです。それから、既に保 険導入されている医療技術に比較して、やや効率的であるということは間違いありません。 それから将来の保険収載の必要性。これはAであり、将来的に保険収載を行うことが妥当 である。総評としては適と判定いたしました。  続きまして、当該技術の医療機関の要件について、審議させていただきました。診療科 は皮膚科です。資格は、皮膚科専門医というのは、正確に申しますと、日本皮膚科学会認 定専門医。これは5年以上の経験で取得できます。それから当該技術の経験年数は3年と させていただきました。それから経験症例数は3例以上が必要と考えます。それから医療 機関の要件ですが、実施診療科の医師数、これは要でありまして、2名以上必要だろう、 と。それから他の診療科については、これは不要だと思います。看護配置は特に問題はあ りません。それから医療従事者は臨床検査技師。前回の議論にありましたように、臨床検 査技師というのが絡んでまいりますので、これが必要と考えました。病床数は不要です。 診療科は皮膚科です。  当直体制、これは何かあった場合の対応を考えて、要と判定させていただきました。そ れから緊急手術等の実施体制、これも要。また、院内検査も要といたしました。他の医療 機関との連携体制は不要。それから医療機器の保守管理体制は要。倫理委員会の設置は要。 それから医療安全管理委員会の設置は要。医療機関としての当該技術の実施症例数は3例 以上。それから頻回の実績報告は、これはそんなに多い症例ではありませんので、何例と いうことが、なかなか規定しにくい疾患と思いますので、これは不要とさせていただきま した。ということで、この「色素性乾皮症に係る遺伝子診断」の適格性及び医療機関の要 件について、このように審査させていただきました。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、お話がありましたように、医療技術の面、それか ら施設の面でも問題はないだろう、と。特に遺伝的な診断上、非常に価値ある診断方法で あるということですが、どなたか御意見はございますか。 ○辻構成員  この概要を見ますと、紫外線感受性や相補性群の判定を行い、それとカップルした形で の遺伝子診断ということですので、このXP群に関しては、非常にレベルの高い診断技術 だと思います。この病気が非常にまれな病気であることを考えると、こういう検査体制と いうのは、日本に1カ所あれば、それ十分だと思いますけれど、前回も指摘させていただ いたように、全国の患者さんが、この診断技術を利用できる形、つまりその医療機関を受 診しなくても、むしろそのサ−ビスを享受できる体制というものをつくって、日本で、こ のような高度な診断をサ−ビスとして提供できるところが1カ所あれば十分であるという 点が、本当に求められるところではないかと思います。  ですから、ぜひ、そういうフレ−ムワ−クを実現することを、同時に考えていただかな いと、逆に、こういうことをやっているところが維持できなくなると思います。自分のと ころだけで、1年に1例も来ないかもしれないものに対して、こういう体制を維持するこ とというのは、極めて難しいと思うので、そういう意味でも、体制を維持することも含め て、全国的な視野で、ネットワ−クで利用できるというところも含めて考えていただくの が、やはり必須ではないかというふうに思います。  それから、細かいことですけれど、「既に保険導入されている医療技術に比較して」と いう文言のところですけれど、これは、何と比較しているのかよくわからないのですが、 保険導入されているものとは比較にならない診断価値があると、私は思うわけですけれど。 比較する対象となる診断技術はあるのでしょうか。。 ○飯島構成員  これは考えますと、ファイブロブラストを使って、そのファイブロブラストに対する紫 外線感受性を見る、これは保険導入されていませんので、確かに数段違いますから、そこ のところは、BではなくてAの評価の方がよろしいかと思います。辻先生の御指摘のとお りで、格段に効率的である。ちょっと勘違いしていました。これは保険導入されていませ んので。御指摘ありがとうございました。 ○猿田座長  それから、今、お話があったような施設の問題ですが、そこはどうでしょうか。 ○飯島構成員  これをできるのは、実は、今回は関西地方の1施設かと思います。この関連するもう1 施設が、従来、私たちとして、論文的には承知しているものでありまして、現在、その2 施設しかできていませんので、そういう体制をぜひともバックアップしていただければあ りがたいというふうに思います。ありがとうございます。 ○猿田座長  その点、事務局の方で何か御意見はありますか。 ○事務局  前回の会議で御指摘をいただきましたので、今回御議論をいただきたいと思いましたが、 議題が多いため、次回以降、辻先生と御相談をした上で、これについて検討をさせていた だきたいと思っております。 ○猿田座長  ありがとうございます。こういった問題は、必ずまた出てきますので、もう、今からそ ういった形での体制を考えておいた方がよろしいかと思います。辻先生、どうもありがと うございました。ほかに、いかがでしょうか。 ○北村構成員  遺伝子診断が先進医療の申請にたくさん来るんですが、却下されたものも幾つかあるん ですね。そのときの却下理由が、やはり、その診断が何らかの先進医療という、治療を中 心としたものにつながるかどうかが判定基準ということで、これを確認しますと、やはり 早期から対症療法が可能であるということが記載されていますので、この遺伝子診断が適 正な治療への道筋をつけるということでよろしいんですか。 ○飯島構成員  群によって、指導の強さというか、紫外線防御をどの程度にきっちり厳密にやるかとい う程度が違ってまいりますので、その相補性群を決めてやることが非常に重要ということ で、これが日常生活指導の紫外線防御の指導の強さにかかわってくる。それがすなわち治 療ということにつながるわけです。 ○北村構成員  今後とも、遺伝子診断の申請には、その観点を重視するということで、よろしいんです ね。 ○辻構成員  これは深く議論した方がいいと思います。つまり、そういうまれな疾患に対して、正確 な診断を行って、直接の治療、対症療法はない場合であっても、その予後、自然歴がわか るということは、医療の基本だと思います。ですから、何らかの形で治療法につながるも ののみに限定するというのは、私は、もっと深く議論すべき問題だと思います。 ○北村構成員  実は私どもから申請したのが却下されたということがありまして、その大きな理由は、 今、診断がついたからといって、直ちに治療法につながる道がないではないか、というこ とだったんです。それは特殊な心筋症の遺伝子診断だったんですけれど。ですから、やは り、そのル−ルを守るのであれば、公平・公正に、その根底を守ってもらわないと。もう 一度申請するかという話も、実は、ないわけではないんです。その辺が非常に厄介になる ので、やはり、さまざまな遺伝子診断がたくさん出てくると思うんです。そのときに、ど のようにするのか。これは明らかに遺伝性の疾患ですから、そういう場合は非常にわかり やすいと思いますけれど、必ずしも明確でない遺伝性のものに診断を入れていく場合、例 えば糖尿病の亜型の診断をするとか、そういったときに、何らかの判定基準がないと、遺 伝子診断というのは今から山のようにあるだろう、と。そこをやはり、先生がおっしゃる ようにディスカッションをして、明確にする必要があるのではないかと思いますけれど。 ○加藤構成員  遺伝子診断と治療の件ですけれど、辻先生の意見に賛成です。必ずしも遺伝子診断を行 って、それがもとで治療につながるということに限りませんので。あくまでも正確な診断 を行うという意味での先進医療ということでは結びつきますけれど、それがもとで、すぐ 手術に入るとか内科的な治療を行うかというと、そこまでは、遺伝子診断というのは行か ないと思いますので、今の北村先生と辻先生の折衷案みたいな話になってしまいますけれ ど、そんなふうな感じがいたします。 ○猿田座長  結局、今までの経過で、いろんなものがどんどん出てきて、だからもう一回、今お話の あったような整理の仕方をちゃんとしておかなくてはいけない。これは確かだと思うんで す。例えば高度先進のときから始まったわけですね。そのときも、ただ出てきたものを評 価して、そこでよければということで通したところがありますから、これだけたくさん出 てくるようになったので、もう一回、今言われたことをしっかり考えた方がいい。事務局 の方とも相談するということで、どうでしょうか。 ○事務局  先−6の資料をごらんください。保険導入の資料です。先進医療は、将来的な保険導入 のための評価を考えている枠組みでございまして、そういったことでの前提というのが、 まず、この先進医療の枠組みとしてあるということを御理解いただければと思っておりま す。 ○医療課長  保険に入れる場合に、診断を確定するだけでは患者の負担を求めることはできないと思 います。先ほど辻先生がおっしゃったように、診断をして、その予後がどうかというのも、 それはある意味では研究になるわけで、直接、患者本人にメリットがないと、患者からお 金を取るということはできないと思います。そういう意味で、従来も、例えばヘリコバク タ−のときもそうでしたけれど、治す薬剤が承認されていない段階では、検査法はありま したけれども、そのときは保険に入れていないわけです。調べても治療法がなければ、調 べる意味がないということから、保険の本体ではそういう扱いをしていますので、ここの 段階でも、やはり治療に結びつかないと、ただ調べるだけというのであれば、やはり患者 さんに対してどう説明するのかということがあるので、そういう意味では、やはり治療法 に結びつかないものについては、先進医療では取り扱わないという方向で考えていただけ たらと思います。 ○辻構成員  診断を確定することが研究であるとか、治療に結びつかないことは保険で認めないとい うことは、これは根本的に考え直すべき問題だと私は思います。それは医療の基本ですよ ね。正しい診断をつけるということは、医療の出発点であるわけです。それを保険で認め ないということは、これは医療に対して、私は、根本的な問題を提起していると思います。  例えば、例をあげると、遺伝子診断をすれば診断が確定できるという疾患があって、そ れは保険では全く認められていない、先進医療でも適応にならない、だけど隔靴掻痒のよ うな、さまざまな検査は、全部、保険診療でに通るんです。例えば私どもの領域だと、画 像診断、脳波検査、全部、保険に通りますよ。だからこれは、すごく矛盾があると思いま す。遺伝子診断に関して、診断を正確に確定するということは、すべての出発点であって、 医療の基本だと私は思います。これを研究であると位置づけるというのは、これが医療課 長の口から出るということ自体が、私は、これは大きな問題だと、本当に思います。 ○猿田座長  私が今、判断したのは、しっかり正しい診断をつけて、それによって何らかの形で将来 の治療に結びつくということであれば、それは保険に通るというふうに、私はとったんで すけれど。そういうことですよね、 ○医療課長  いえ、別に診断を確定することを否定しているわけではなくて、それは辻先生のおっし ゃるとおりだと思いますけれど、それを、患者さんに負担を求めるかどうかという観点が どうしても必要になりますので、そのときに、基本的には、例えば、いわゆる普通の予防 事業については、保険では見ないという分け方をしているわけです。予防そのものが有効 であるとかないとか、そういうことを議論しているわけではなくて、基本的には疾病の治 療というのを原則に、保険事項として扱っているということから、診断するだけでは、や はり保険適用としては余り適切でないというふうに判断をしているからです。内容そのも のを否定しているわけでは、もちろんありません。 ○飯島構成員  今の、保険導入するかどうかという概念とは別に、例えば今のこの技術の関して言えば、 これは患者さんのQOLを高めるという視点で、これがとらえられるわけです。もちろん 治療の一環でもありますけれど、むしろ例えば、先ほど出てきた親近者の話にしても先天 性疾患にしても、結局、正しく診断することが患者さんのQOLを高めるという概念で、 そこで保険の導入しにくいものは、むしろ先進医療でというような発想が正しいのではな いかというふうに考えるのですけれど、いかがでしょうか。多分、辻先生の発言も、その 辺にあるんじゃないかと思うんですが。 ○医療課長  高度先進の場合と違って、先進医療の場合、あくまでも保険導入をするまでの評価をし ようということでやっていますので、将来、保険導入の可能性がないものについては、先 進医療としては認めないということを、過去にも議論があったと思いますが、患者のQO Lにとって、それはいいのかもしれないけれど、保険としては採用できないという技術だ から、あのときは却下の御判断をいただいたと理解しております。  だから、医療に関することのすべてを医療保険で見ろと言われると、今、そうでなくて も医療費の現状が厳しい中で、非常に難しい。無理が出てくると思いますので、今のとこ ろ、先ほど言ったような形で、治療に結びつく技術について保険で見ていくというふうな 考え方を通したいと思っております。 ○辻構成員  正確な診断を行って、その病気に関するすべての医療情報を患者さんに提供するという ことは、私は、医療の基本だと思います。これは、この先進医療だけの問題ではなくて、 日本全体の医療における問題だと思います。  今、研究とおっしゃいましたけれど、研究レベルで、つまり遺伝子探索を行って、遺伝 子を発見して、という、そういうプロセスのところは、確かに研究で背負えるところです けれども、そのプロセスが終わって、ある程度確立したものというのは、実は研究という 位置づけにもならない。研究者は、研究のためにそういったことはしない。遺伝子診断に ついて、先進医療としても認めない。それから、保険でも認めない。そうなりますと、こ れは、日本からその技術が消えてしまいます。前回も指摘しましたけれど、非常にまれな 先天代謝異常などの診断技術というのは、今、日本から消えつつあるんです。やれるとこ ろが、なくなってきている。つまり、そういう診断技術を維持することをサポ−トできる システムがないからです。  だから基本に戻って、やはりまれな疾患であって、直接的な治療法がないとしても、正 確な診断をつけて、その疾患についてのすべての医療情報、予後情報、自然歴、そういっ たものを提供するということを、医療のフレ−ムワ−クの中にしっかりと位置づけないと、 とんでもないことになると私は思います。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますか。今の辻先生の意見は大切な意見ですから、それは承って おいて、また後で検討させていただきます。非常に重要な問題ですが、これもまた、よく 検討をさせていただいて、ということになりますけれど、ほかに御意見はありませんか。 要するに、これからも多分、遺伝子診断はいろんなことが出てきますから、基本的な考え は先ほど課長さんが言ったような、治療法に結びつくようなことがあればということでや っていきますけれど、ただ、いろんなものがありますので、そのあたりのところは、私と しても事務局とよく検討させていただきたいと思います。辻先生の御意見は承っておきま すので。後でまた、保険導入のところでも、これは議論が出てくると思いますので、そこ のところで議論させていただくということで。  それでは、飯島先生に事前評価していただきました、この84番について、お認めいた だいたことにさせていただいて、よろしいでしょうか。 ○事務局  事務局でございます。一つ確認をさせていただきたいと思います。遺伝子診断というこ とですが、遺伝病かどうかということについて、確認させていただきます。この技術は、 特に遺伝病ではないというようなことでしょうか。 ○飯島構成員  この疾患が遺伝病かどうかという御質問ですか。 ○事務局  はい。 ○飯島構成員  これは常染色体性劣性遺伝です。 ○事務局  そうしますと、遺伝カウンセリングの必要性や臨床遺伝専門医といった専門医の資格と いった要件について、記載する必要があると思われますが、いかがでしょうか。 ○飯島構成員  御指摘いただき、ありがとうございます。これには遺伝カウンセリングが必要かと思い ます。 ○事務局  更に、倫理委員会の審査体制のところについて、また後ほど課題のところで御議論いた だく予定ではありますが、この技術では、要となっておりますけれども、開催の条件等は どのようにお考えでしょうか。 ○飯島構成員  この技術を開始するときに、倫理委員会できちっと論議しなさいということであって、 その事例の1例1例についてしなさいということで書いたわけではありません。 ○事務局  では、初回のみということで要件を記載してもよろしいでしょうか。 ○飯島構成員  開始時ですね。 ○事務局  はい、そうです。では、そのように条件を追記させていただきたいと思います。 ○飯島構成員  よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  実は、これは後ほどの議題で、どういう形で倫理委員会をやっていくかということを、 議論させていただこうということになっています。 ○飯島構成員  わかりました。 ○北村構成員  これは1患者について、一生に1回の検査でいいわけですか。 ○飯島構成員  はい。 ○北村構成員  そうですね。ですから、こういうのはもう、本当に、乳児期、幼児期に、何らかの形で 発がん性の高い難病ですから、乳幼児期に、何らかの公的な資金で診断をつけてしま うというのが、やはり日本の医療のあり方と思いますね。課長のお気持ちもわかりますけ れど、辻先生のお気持ちもよくわかるわけで……。今後、やはり日本の子供の、こういう 難病に対する姿勢として、幼児期に、もう、診断がつくわけですから、やはり調べるのを、 子供の検診の公的費用の中にも含み込めるような形に、ぜひ、お願いしたいと思います。 ○辻構成員  これは、いろいろ検討していただいたらいいと思いますが,例えば米国ですと、CLIA ですか、そういう形での検査の認定を行って費用を取るというようなシステムがあるとい うふうに聞いていますし、イギリスとか、ヨ−ロッパの方は、むしろネットワ−クで、公 的にそれを負担するようなシステムの中で検査体制を維持しているというふうに聞いてい ますので、そういうふうに、まれな疾患の遺伝子診断、あるいは生化学診断といったもの を、日本としてどういうふうに維持、提供、サ−ビスしていくかというのは大きな問題な んですね。それを、どういうふうに構築するかというのを、今,行わないと、日本からは、 そのような技術が失われていく可能性があるんです。このXPのことをやっているところ も、多分、主任研究者がいなくなったら危ないと私は思うんですけれど、そういう問題を 常に抱えているんですね。だから、そこをどういうふうに構築するかというのは、この会 議の枠を越える問題かもしれませんけれど、大いに検討していただきたいと私は思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。承りまして、検討する方向で行きます。それでは、時間の関 係もございますので、今の飯島先生の件はお認めいただいたこととさせていただきます。 (異議なし)  ありがとうございました。  続きまして、整理番号の85番。これは渡邊先生の方で事前評価をしていただきました。 渡邊先生、よろしくお願いいたします。 ○渡邊構成員  6ペ−ジです。これは遺伝子診断の検査で、先ほどと全く類似したものですので、同じ 議論があるかもしれません。この先天性高インスリン血症は、常染色体性劣性遺伝疾患で ありまして、まれに優性遺伝もあると思うんですけれど、そういうことになっている遺伝 性の疾患でございます。  発生頻度は5万人に1人と言われている、まれな疾患でありまして、病因は膵臓β細胞 の過形成、病理学的にはネジディオブラスト−シスというそうですが、それによるインス リンの過剰分泌にあります。多くの症例が生後1日目から数カ月以内に、持続性の高イン スリン血症による重篤な低血糖に陥る疾患です。診断は血糖値あるいは血中のインスリン の値、あるいは遊離脂肪酸などを測定をすることや、各種臨床症状によって行われていま す。治療はグルコ−スの24時間点滴などが必要ですし、内科的には投薬を行っています が、効果が十分でない場合は、膵臓の亜全摘手術が行われています。  6ペ−ジに書いてあるように、この原因遺伝子は、カルシウムATPチャネルの2つのサ ブユニットのSUR1(スルホニンウレアリセプタ−1)とか、そこに書いてある、合計6 種類の遺伝子がありますが、重篤な症例のほとんどは、このSUR1遺伝子です。これらの 遺伝子を検出することによって、この領域の確定診断が得られるわけですが、大体、検出 率が72%ぐらいと言われています。これは末梢血から採血して、DNAをとって、各遺伝子 に特異的なプライマ−を用いてDNAを増幅し、その塩基配列をシ−クエンサ−で解析して もらうという技術です。  ここにあるように遺伝形式、それから家族解析を行って、病理組織像の関係から手術適 応判定や切除範囲決定の際、参考にするほか、やはり、これが重症であるかどうかの予後 判定に有用であるということでございます。  参考までに、日本小児内分泌学会から本症の診断と治療のガイドラインが発表されてい まして、本診断は、このガイドラインによりますと、この遺伝子診断が本症の確定診断と 予後推定に有用というふうに記載されております。  今回は、きょうの構成員である小児科の加藤先生にも、最終的なチェックをしていただ きました。ほか3人の、この疾患に関する専門の先生の御意見も伺いまして、全部で4人 のうち3人の先生が妥当であるということでした。多数決で決めるのは何ですが、一応、 今の議論では、こういうふうな先天性疾患が、遺伝異常で起こっているという確定診断を するということが、もし有用であるとすれば、そうすれば、それは、これで適当ではない かということでございます。臨床的にも、治療の選択や予後判定に有用であるということ でございます。  その次のペ−ジ、7ペ−ジにありますように、この適応症としては妥当であるというこ とでありまして、有効性は、これは辻先生にまた「大幅に有効」と言われるかもしれませ んが、一応、「やや有効」になっています。従来、これは遺伝子診断をしなくても診断で きて治療できてしまうのではないかというのがあるものですから、これはそういう観点か ら「やや有効」ということであります。これを本当に診断するということであれば、大幅 に有効かもしれません。  それから安全性は、これは遺伝子検査だから問題ありませんし、当該分野を専門とし経 験を積んだ医師または医師の指導下であれば行えます。倫理的問題は、本当はあるんです けれど、ここで「ない」というのは、倫理委員会をきちんと通すということと、それから 遺伝子カウンセリングを受けるということであれば、倫理的問題はないという意味で、 「ない」としています。  それから、これは有病率から勘案して、5万人に1人ですから、普及していません。  導入されている医療技術に比較して、「やや効率的」ですが、将来的に保険収載を行う ことが妥当と思われます。妥当でないと有効でないということが厚労省としてはあります ので、これもなかなか難しいんですが、今、辻先生が言われたように、保険収載を行うこ とが妥当でないとこれが通らないということになると困りますので、この議論はちゃんと していただきたい。我々として、こういうふうなことを全部決めるには、今の議論がちゃ んとしないと、はっきり言って、決定できないんです。ですから、ここに書いてあるもの が、非常に今の議論と矛盾して、難しい判断になってしまうので、その辺はよろしくお願 いします。  総合判定としては、ガイドラインもありますし、適ということであります。  8ペ−ジに行きまして、小児科または小児外科。これは手術することがありますので、 その診療科が必要でありますし、また、小児専門医、小児外科専門医または臨床遺伝専門 医が、この間の委員会で、そういうことが必要であるということでしたので、加えており ます。  それから経験年数は3年以上、当該技術の経験年数は1年以上。まれな疾患ですので、 1例以上あればいいんじゃないかということです。その次の実施診療科の医師数は、常勤 医師が1名以上。他診療科の医師数は不要。看護配置は不要。これは臨床検査技師が必要 ということです。  また、病床数は不要。診療科は小児科または小児外科。当直体制は不要、緊急手術の実 施体制も不要、院内検査(24時間実施体制)は要、他の医療機関との連携体制は不要。 医療機器の保守管理体制は要。倫理委員会による審査体制は、さっきありましたように、 実施医療機関における初回症例についてだけ、これを開催していただきたい。それから医 療安全管理委員会の設置は要。まれな疾患ですし、実施症例数は1症例でないと、なかな か難しいんじゃないかと思います。遺伝子カウンセリングの実施体制が必要。頻回の実績 報告は不要です。これは加藤先生にもお話を聞きまして、複数の施設でこれをやっている んですけれど、九州で2施設、山口で1施設というふうに数施設ということで、そんなに 多くは、もちろんやっていません。多くは、1施設でかなりやっている技術です。一応、 私の見解としては、これは適ということで判断させていただきました。よろしくお願いい たします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。やはり遺伝子診断ということでございます。先ほどか らありました、保険収載の問題のことがありますけれど、全体として、どなたか御意見は ありますか。加藤先生、これは今、どのくらいの症例数があるんですか。 ○加藤構成員  申しわけございません。症例数に関しては調べていませんけれど、これをやっているの は北大と京大と秋田大学でやっているということでありまして、各施設から、これらの大 学に依頼が来ているということのようです。それで、先ほどのお話と全く同じことになっ て恐縮ですけれど、これを診断方法として、先進医療として認めるということはよろしい と思うんですけれども、この診断方法によって、その治療方法を決定するということでは、 また、ない。また先ほどと同じ話になってしまって恐縮ですけれど、確定診断をする上に おいては必要であるけれども、これをもとにして治療方法が決定されるわけではない。こ の方法で診断されたもので、多くの例が膵臓の亜全摘を行ってしまう場合があって、その ことによって逆に糖尿病を併発してしまうというようなこともありますので、この中にち ょっとそういう文章がありましたから、若干、それが気になっていたわけですけれど、そ れがなくて、この診断方法だけを取り上げて、その確定的な診断ができるという意味にお いては、先進医療において認めていいのではないかというのが私の考えです。以上でござ います。 ○渡邊構成員  ほかの先生に聞きましたら、一番多いところで年間4例か5例をするぐらいだそうです。 さっき言いましたように5万人に1人ぐらいですので、すごくまれな病気だと思います。 ○金子構成員  先ほどからの議論の続きですけれど、やはり疾患のある患者さんが、御自分の診断を得 るというのは、一つの権利みたいなものだと思うんです。ですから、それが治療に結びつ くかとかどうかは別の問題として患者さんによっては、このお金を払ってその診断を受け たいという人も、もちろん、当然あるわけですから、そういう診断だけでも、これは先進 医療として認めて当然いいのではないかというふうに私は思いますけれど。 ○猿田座長  もう一つ難しいのは、先ほどあった保険収載のことで、ここのところは、これから、言 葉はよく考えていきたいと思います。 ○辻構成員  私も、お認めするのが良いという立場ですが,現場の感覚からすると、特に診断を確定 するだけにとどまる場合の遺伝子診断で、高額な先進医療の自己負担をするというフレ− ムワ−クが、どれぐらい機能するかという問題は一方にあるだろうと思います。これは, 先ほど、医療課長が指摘した問題にも多少関連するかもしれないです.つまり御自分にと って混合診療のような位置づけでもって、その高額な負担を、診断確定のところに基本的 にはとどまる性質のものを受けるかどうか、それだけの負担をするかどうかという問題が あって、そういう場合は、やはり実績も伸びないと思うし、実施例があまり出ないという ようなことが、現状、起こり得るのではないかと思います。  そうすると、やはりそういうものは、保険診療の中でお認めして、御本人の御負担を非 常に少ない形で、きちっとした診断確定をできるようにするということを急いだ方が、実 は、そういう病気の場合には、より、良いのではないか。あるいは、そうでなければ別の 形で、そういった診断のプロセスを負担する仕組みをつくってあげるか。混合診療の中で、 診断にとどまるようなものを、高額のものとしてお認めしても、なかなか実施例が伸びな い可能性がある。結果的に、患者さんにとって、恩恵を受けられないということが起こり 得る。そういうことがあるので、やはり保険収載に持って行くか、それができないんだっ たら、何か公的な形で負担するようなフレ−ムワ−クをつくるか、そういうことをしなく てはいけないと思います。今、年間実施例が4〜5例といいますと、逆に、それを行って いる研究室にとっては、経済的にもペイしないし、本当に維持できるかという心配は、や はりあると思います。だから私は、さまざまな問題があると思います。 ○渡邊構成員  実は、既に次の遺伝子診断について書けというのが来ているんです。やはり、最終的に はもう少し議論するにしても、ここの今の議論で、当面、例えば遺伝子診断で確定診断が できれば、その患者さんにとっていいという、そういうことでよろしいですか。そういう ふうに、一応の判定基準を決めていただかないと、またこんな議論になってしまうので、 そういうふうにしていただければいいということで、よろしいですね。 ○猿田座長  はい。おっしゃるとおりだと思いますので。これから、いろんな病気のことも出てきま すけれど、ともかく今のことについて、基本的な考えはそういう形で行きましょう。そう でないと進みませんから。  ほかに御意見はありますか。先ほどの、値段の問題は7万3,000円ぐらいということで したけれど、まあまあ、妥当な線でついているのではないかと思います。ほかに御意見が なければ、この85番の「先天性高インスリン血症に係る遺伝子診断」を、お認めいただ いたことにさせていただきますが、よろしいでしょうか。 (異議なし)  どうもありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。一応、先 ほど御説明がありましたように、84と85が検討のもので、86と87は、もう一回、少し、 書類上の不備その他ということですので。それでは、これで7月の受付分は終わらせてい ただきまして、その次に行きたいと思います。  次は、お手元の議題にありますように、今年の1月に受け付けました先進医療の科学的 評価のところで保留となっていたものがあります。その後、担当の先生からの御意見を伺 いまして、出てきたので、これは赤川先生が関係していますけれど、まず、事務局の方か ら御説明をいただきたいと思います。 ○事務局  それでは、先−2の資料をごらんください。先ほど、座長の方からもお話がございまし たけれども、受付番号58の、「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレ−ション法」と いう先進医療の技術でございますが、これにつきましては平成19年の1月9日に受け付 けをさせていただきまして、3月8日の先進医療専門家会議において、その、先進医療と しての適当かどうかの御判断をいただいたところでございます。  その会議の中では、先進医療としては適当であるという御判断をいただきましたけれど も、その会議の中で、一つ問題がありまして、3ペ−ジをごらんいただきたいと思います。 3ペ−ジの上の段のところの4つ目に、歯周組織再生誘導材料の塗布と填入というところ がありますが、この技術に用いる再生誘導材料に関して、その針の部分のところが目詰ま りをするというふうな御報告がありまして、この3月の、実際に審査をやっていた段階で、 この製品については自主回収というふうな措置がとられています。3月8日の専門家会議 の結論といたしましては、この技術自体は先進医療としては適当と判断しましょう、と。 ただし、そういった自主回収というふうな形でのお話がありましたので、その自主回収の ための原因が特定され、製品が流通した段階になるまで保留をしようというふうな御判断 をいただいたところでございます。  その後、いろいろ、メ−カ−の方でも、この不具合が生じた原因等を特定いたしまして、 最終的にはそのカニュ−レの製造過程において、カニュ−レのハブに孔を開けるための金 属棒の破折が原因であったというふうなところの原因を特定いたしまして、そこの部分を 改善いたしまして、7月23日に、実際には再販を開始させていただいているというとこ ろでございます。  実際に7月23日から販売が開始されまして、市場に流通しているというふうなことを 踏まえまして、事務局といたしましては、前回の、3月8日の御議論で、適というふうな 形での御判断をいただいておりますので、この後、通例の流れに沿って、先進医療として お認めいただけないかというふうなことを考えているところでございます。以上でござい ます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、御説明があったとおりですが、赤川先生の方から、 御説明をよろしくお願いいたします。 ○赤川構成員  今の説明にあった通りであります。シリンジのところの一番先のところが詰まっていた ということだけで、特に健康被害が起こっていませんでしたが、それでもメ−カ−の方か らの自主回収が行われました。その後、メ−カ−が不都合を改善して、その結果を東京都 の方もOKを出しているということですから、問題はないと考えます。 ○猿田座長  ありがとうございました。この件に関しましては、技術的な問題に関しては既に先生方 に御議論いただき、お認めいただいていて、今の、針の部分だけということでしたので、 それが、ちゃんとしたものができたということです。よろしいでしょうか。特に御意見が ないようでしたら、そういうことで、これはお認めいただいたことにさせていただきます。 (異議なし)  どうもありがとうございました。  それではその次の、先進医療の届出状況(8月受付分)について、お願いいたします。 ○事務局  それでは、先−3に基づきまして、御説明をさせていただきます。8月受付分の先進医 療の新規届出技術でございます。今回、7技術が届出されております。具体的には「セメ ント固定人工股関節再置換術におけるコンピュ−タ−支援フルオロナビゲ−ションを用い たセメント除去術」という技術と、「凍結保存ヒト組織の臨床使用」、そして「Real Time PCRを用いたEBウィルス感染症の迅速診断」、「骨移動による骨軟部腫瘍切除後骨欠損の 関節温存型再建」、「画像支援ナビゲ−ションによる肝切除手術」、「腹腔鏡下直腸固定術」、 そして「腹腔鏡補助下肝切除術」というような7技術になっております。次回の会議にお きまして、御審議をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、御説明がありましたように、8月は大分、出てき ておりまして、7つということですが、何か御意見はございますか。それぞれ先生方に事 前評価をお願いするということで、もう審査していただいているかと思いますけれど、よ ろしいでしょうか。 (異議なし)  それでは、そういった形で、これもお認めいただいたこととさせていただきます。  それでは続きまして、前回の会議での課題ということで、先−4の資料があります。事 務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局  先−4をごらんください。前回の、8月2日の第21回の先進医療専門家会議において 御議論をいただきましたもので、再度、御検討をということで課題とされた事案のうち、 今回、2つにつきまして、事務局において整理をさせていただきましたので、御意見、御 審議を賜りたいと思っております。  まず1点目が、遺伝カウンセリングと臨床遺伝専門医に関して、追記するかどうかとい うことに関してでございます。次の2ペ−ジ目でございますけれども、こちらの表で先進 医療技術の、今現在、既存の34技術について、遺伝性に関係するものをすべてピックア ップさせていただきました。事務局でピックアップした技術の中で、遺伝病という形で遺 伝カウンセリング及び臨床遺伝専門医についての追記の必要性があるものについて、御意 見を、構成員の先生方から伺い、そして座長とも御相談をした上で、右のような、遺伝カ ウンセリングの要件の要・不要、それから臨床遺伝専門医の可否という「○」「×」で整 理をさせていただいたところでございます。  遺伝病にかかる要件について、統一した形で修正をするということで、事務局として整 理をさせていただきましたけれども、これに関して、こういう方向性でよろしいかどうか ということを、今回、確認させていただきたいというのが1点でございます。  続きまして2点目は、倫理委員会についてです。4ペ−ジ目をごらんいただきますと、 平成19年の1月12日の先進医療専門家会議で、この要件の見直しに当たって、こういっ た形での基本的な考え方をお示しさせていただいて、御了承いただいているところでござ います。この9番目に、倫理委員会というところがございます。ここにありますように、 グル−プの1・2、あるいはグル−プの6から10、そういったものについては、倫理委 員会の設置が必要であるという方向性で考えてはどうかということと、移植については、 先日、医療課長の方からも御説明がありましたけれども、移植については、原則として倫 理委員会を、移植の前に開催するということを要件とすることとしてはどうかということ。 また、検査や診断に関する技術については、倫理委員会の開催条件を必ず決定しておくと いうような形での方向性について、お示しをさせていただきまして、御了承いただいたと ころでございます。  こういったことを受けまして、今回、1ペ−ジ目に再度お戻りいただけますでしょうか。 下の方にお示しした3つの丸印のような形で、今後、変更してはどうかということで、御 審議をお願いしたいと思っております。1つ目は、「倫理委員会による審査体制」という ような項目がございますけれども、これにつきましては、「審査体制」では、なかなかわ かりにくいということですので、「倫理委員会の設置」について、「要・不要」というよう な形で、言葉の修正をさせていただければという変更案でございます。  そして、「倫理委員会の設置」についての「要・不要」で、要の場合に関しまして、2 つ目でございますけれども、「審査開催の条件」というものを、必ず記載するというよう な形で、例文としては、以下の5つのような形の例文を、今回、事務局で考えさせていた だいております。「必要に応じて事前に開催する」、「実施医療機関における初回症例につ いては事前に必ず開催する」、「○例目まで事前に毎回開催する」、「事前に毎回開催する」、 「その他」というような形での記載を必ずさせていただくというような形で取り組んでは どうかということで、事務局案を出させていただいております。  最後に、遺伝病にかかる技術に関しまして、「実施医療機関における初回症例について は事前に必ず開催する」というような形でどうかということで、今回、御提案をさせてい ただいております。  以上3つと、それから遺伝カウンセリングと臨床遺伝専門医の別表に関しまして、御審 議のほど、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、御説明いただきましたように2つの問題がありま して、一つは先ほどお話があった、2ペ−ジ目のところで、先進医療で今まで遺伝性の技 術として認められてきたものでございますけれども、そこにおいて遺伝カウンセリングの 要件、必要かそうでないかということ。それからもう一つは、臨床遺伝専門医の必要性の 問題。これを先生方からお伺いいたしまして、一応こういう形で御意見をいただいて、整 理をさせていただきました。ざっと見ていただきまして、問題があるかどうか、御確認を お願いいたします。先生方から御意見をいただいて、一応こういうふうに整理をさせてい ただいたということですが、いかがでしょうか。 ○辻構成員  最後のところ、一番下のところの「初回症例については事前に必ず開催する」という表 記ですけれど……。 ○猿田座長  ちょっと待ってください。先にこちらの方を……。 ○辻構成員  そうですか、わかりました。 ○猿田座長  済みません、倫理委員会の問題の前に、先進医療技術の方を審議させていただきますの で。これは大体、皆さんの御意見をいただいているわけですが、よろしいでしょうか。 (異議なし)  では、これはお認めいただいたこととさせていただきます。今度はその次の、今お話の ありました、倫理委員会の開催について。それでは辻先生、どうぞ。 ○辻構成員  一番下のところの、「初回症例については事前に必ず開催する」という表記の仕方です けれど、現場の感覚からすると、最初の症例に関して開催するというよりは、むしろ検査 を開始するに当たって倫理委員会を開催するといいますか、倫理委員会を開催することを 必要条件とするのはいいと思いますが、最初の症例について開催するというよりは、むし ろ、「その技術を開始するに当たって倫理委員会を開催する」とした方が、現場的にはよ くわかる気がします。 ○猿田座長  ありがとうございました。今、お話がありましたように、ここの「実施医療機関におけ る初回症例」というのを、「その技術を最初に行うに当たって」というふうにした方がい いのではないか、と。まあ、言葉は考えますけれど、「医療技術を開始するに当たって」 とか、そういうことだと思います。事務局、いかがですか。 ○事務局  今の御説明で修正いたしますと、「当該技術を開始するに当たって、事前に倫理委員会 を開催する」というような形の文言でよろしいでしょうか。 ○辻構成員  はい。 ○事務局  ほかの先生方もよろしければ、そのように修正をさせていただきます。 ○猿田座長  ほかに御意見はございますか。大体、妥当ではないかと思いますけれど、今、最後のと ころだけ、「初回症例」ではなくて「当該技術を開始するに当たって」という形に変更さ せていただきたいと思います。  では一応こういった形で、これから進めさせていただいて、よろしいでしょうか。 ○医療課長  事務局からで何ですけれど、先ほどの、例えば検体を、その技術を持っているところに 送って検査をしていくという体制をとった場合に、送る側が患者さんを持っているわけで すから、そこが最終的な責任を持たなくてはいけないし、それは当然、先進医療の技術が あるところで、届出はしてもらわなくてはいけないというふうに考えているんですが、そ の患者さんを持っている医療機関が、大きい病院であれば、倫理委員会というのは当然持 っておられると思いますが、そうでないような場合も、これからそういう、検体を出して いいということになれば、出てくると思います。  そのためには、例えば学会で、いろいろと代行的に審査をされるという体制をとってお られると思いますが、その場合は、実は設置を要件にすると、小さな医療機関ではできな くなってしまうということがありますので、ここはやはり、置かなければいけないという 意味と、それから開催はしなさいというか、審査はしなさいという意味と、ここは若干、 多分、これから変わってくると思われます。その場合において、どの様に考えるのかとい うことを、疑問に思ったわけですが、ちょっとここの文言を、完全に設置を全部、要件に してしまうと、先ほどのような形で、恐らく診療所レベルでは多分、遺伝子に関して何も できなくなるだろうということもありますので、もう少し文言は、そういう場合も想定し て、何か考えるかどうかだと思います。 ○猿田座長  そうですね、ですから診療所の場合は別扱いの形を考える。それをしなければいけない のではないか、と。やはり、それはもう、全体的に考えなければいけませんから。別扱い で、どういう文章をつくるかですね。そこのところは、また……。 ○辻構成員  もしそういう、ネットワ−クで依頼するということが具体化するようですと、今の御指 摘のように、依頼する側の要件というのは、また別途、適切に定める必要があると思いま す。この要件を、すぐ、依頼する側に適用するのではなくて、依頼する側の要件として、 別に、適切な設定が必要だろうと思います。 ○猿田座長  そうですね。では、そこの点はもう一度検討させていただいて、ここにかけさせていた だくということで、よろしいでしょうか。ちょっと、文章を考えなくてはいけませんし、 それからいろんな要件を当たらなくてはいけないと思いますので。では、そこは、そうい う形でお認めいただいたこととさせていただきます。ほかに、いかがでしょうか。 (異議なし)  倫理委員会の問題は、一応、この形にさせていただきます。それでは、よろしくお願い いたします。ありがとうございました。  続きまして、今度は第5番目の、「臨床的な使用確認試験」でございます。これは高度 先進から先進の方に持って行くことにおいて、今、動き出したものです。それでは、御説 明をよろしくお願いいたします。 ○医政局研究開発振興課長  医政局研究開発振興課でございます。お手元の資料、先−5に基づきまして、「臨床的 な使用確認試験」の経過の御報告をさせていただきます。この先−5の1ペ−ジ目をごら んください。経緯にありますように、既に先生方には御案内のとおり、18年10月の法改 正を受けまして、薬事法の未承認または適応外に該当する薬物などを用いた技術につきま しては、今年度一杯、平成19年度一杯までで先進医療から除外される。それまで時限的 に先進医療として扱う。これらの技術について、その後、20年度以降使うためには、そ の下にあります1〜3のいずれかに該当する場合に限って使用できるということに、中医 協の場でさせていただいたというふうに伺っております。この中で、3の、有効性等の一 定の要件を満たす医療技術を対象とする「臨床的な使用確認試験」を実施すること、この ことにつきまして、医政局でその検討を担当し検討しているところでございます。  これを受けまして、こちらの下にございますように、繰り返しになりますが、「臨床的 な使用確認試験」の対象とすべき技術の要件等について検討するために、「臨床的な使用 確認試験に関する検討会」を、医政局に設置いたしまして、今年の6月7日に第1回の検 討会を開催したところでございます。  次のペ−ジをごらんください。2ペ−ジ目、3ペ−ジ目に、その検討会の概要について 記載をしております。この検討会は、猿田先生初め8人の先生に、検討会の委員をお願い しておりまして、3ペ−ジにありますような開催要綱によって、特に2の検討事項のとこ ろにありますように、「臨床的な使用確認試験」の基本的な考え方や要件等の検討、また、 「臨床的な使用確認試験」の対象技術の選定について検討を行うために設置したものでご ざいます。  それではまた、1ペ−ジ目にお戻りいただきまして、これまでの検討の状況でございま す。1、2、3というふうに枠で囲ってございますが、まず1の「臨床的な使用確認試 験」の要件であります。検討会において御議論をいただきまして、別紙2のとおり、まと めたところでございます。別紙2は4ペ−ジ目にありますので、ごらんください。4ペ− ジ、「臨床的な使用確認試験」の要件であります。少し読み上げながら御説明をいたしま す。この要件は、薬事法上の適応外使用に当たる医薬品・医療機器を試験的に使用するこ とにより、有効性、安全性に関するエビデンスを収集できる試験であることを確保するこ とを目的に行うものでございます。この要件の適合性について、使用確認試験ごとに確認 をするということでまとめていただいております。なお、使用確認試験につきましては、 厚生労働大臣の定める先進医療などの施設基準の各号に規定する医療技術のみを対象とさ せていただいております。  まず、1から4まで要件がございますが、1は医療機関の要件であります。医療機関の 要件のついては、厚生労働大臣の定める先進医療などの施設基準に合致するもの、これを 要件としています。  2番目、試験の実施体制に関する事項ですが、3つありまして、まず1として、デ−タ マネ−ジメント体制、臨床研究のデ−タのマネ−ジメント体制があること。2として、有 効性や安全性等を確認できる試験計画・プロトコ−ルになっていること。また、3として、 多施設で共同研究をする場合には、多施設共同研究のモニタリング体制ということで、ど んな研究を行っているかを常時チェックするような体制が確保されていること。この3つ の要件を、試験の実施体制に関する基準としております。  3番目は倫理的妥当性に関する事項ですが、1として、万一不幸な転帰となった場合、 想定外の転帰になったような場合に、補償の内容、治療の内容、合併症や副作用の可能性 及び費用等について、患者やその家族に、文書により説明して同意を得ること。また、2 として、厚生労働省が事前の通告なく実施のプロトコ−ルや内容についてのチェックを行 うことがあるので、それを了承していただくこと。  また4番目、最後の基準です。これは付加的なものですが、厚生労働科学研究費等、研 究開発振興課で担当しております「臨床試験推進研究事業」というものがありまして、こ ういう公的研究費で支援を受けている場合、もしくは応募中である場合、こういうことも 含めて患者さんに説明をしその旨を示していただくこと。  この4つを要件としてはいかがかということで、検討会でおまとめをいただいたところ でございます。  1ペ−ジにお戻りいただきます。2、申請対象となる技術ですが、これらにつきまして は、この専門家会議から、18技術がこれに該当するというふうにされたところですが、 そのうちの一部、3つにつきましては、省内での検討の結果、「臨床的な使用確認試験」 の該当技術にはならないのではないかというようなことから、残りの15技術について申 請の対象としたところでございます。3技術については、引き続き先進医療で扱うことが 適当なのではないかというような、省内議論でございました。  現在、これら15技術につきまして、各医療機関から申請を行っていただいているとこ ろですが、既に大変多くの医療機関から申請がなされておりまして、おかげさまで、比較 的円滑に進んでいるものというふうに考えております。  3、今後の予定についてでございます。今後は来る11月上旬を目途に、臨床的な使用 確認試験に関する検討会を、再度、開催いたしまして、そこで、先ほど試験計画ごとに評 価をするというふうに申し上げましたが、その妥当性の検討を行っていただく予定でござ います。  なお、5ペ−ジ目に、実際の技術、18技術の一覧表を掲載しております。また、6ペ −ジ目に、今後の進め方が記載されております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。 ○医療課長  6ペ−ジ目の、今後の進め方について、一言御説明をさせていただきます。今、新木課 長の方から、11月上旬を目途に、臨床的な使用確認試験に関する検討会で検討していた だくということで、技術と医療機関が決まってまいります。それにつきましては、それで 決まった後、中医協の場において、これを、恐らく評価療養の形になると思いますが、そ の中で扱っていくこととしたいと思っておりまして、議論をいただくということになりま す。  その、使用確認試験をいつまで続けるかという問題も、他方ではありますが、いずれ終 了いたしますので、終了して、その医薬品あるいは医療機器について、適応の拡大になる わけですので、一部変更承認が得られた場合は、原則としては、先進医療として戻す。あ るいは、ものによっては、そのときの議論によっては、すぐに保険導入ということもあり 得るかもしれませんが、原則としては先進医療として位置づけて、将来的に保険給付の対 象とすべきかの検討をさらに進めていくというふうに考えております。また、この使用確 認試験の実施状況等については、この会議に、必要に応じて報告することとしております。  なお、3つの技術についてですけれども、これについては、薬事法の承認を得る必要が ないということに決まりましたので、いずれこの先進医療の方に戻すという形で考えてお ります。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。御説明いただきましたが、どなたか御意見はございま すか。特に5ペ−ジ目の、先進医療の技術の中で、10と17と18に関しては、特に試験 をやらなくてもいいだろうということでありまして、残りの15の技術に関しまして、臨 床的な使用確認試験をやっていただくということで、このような形にしたわけですけれど も、かなりのところから応募が来ているということでございます。これは急いで、来年の 3月までに対応しなければいけないということです。 ○北村構成員  この高度先進医療からの移行で、使用確認試験ということを行って移行させる、先進医 療に戻す、あるいは一部は保険になるかもしれない、と。そのとおりで大変結構なことだ と思うんですが、こういった、使用確認試験というものを、やはりある程度、この15課 題に限ってしまわずに、少し検討していただきたいと思うことが少しあるので申し上げた いと思います。  薬事法上の未承認機器とか、あるいは適応外の薬品使用は、すべて50年前にできた療 担規則によって、全額患者負担か全額病院あるいは研究費負担かというので、やはり、大 変現場が混乱してくる状態があると思います。特に医療機器などは、大から小までありま すけれども、外科医等、あるいは外科系の人、医師たちが使う器具の一体的な技術でもあ りますので、その器具が、簡単なものであっても未承認であれば、一律に、この「一律に」 というのを記録から抜かしてもらうと困るんですが、一律に保険等も、絶対、合わせては ならないというのは、やはり現場としては、もう、動けないという……。特に先駆的医療 を義務づけられている施設とか、そういったところでは、大変難しい問題が起こります。  すべての保険医療機関でそれができるというようなことは、不可能と思いますが、やは り遺伝子治療、あるいは再生医療については今行われているように、厚生労働省に申請し て行うような臨床研究の部門には、やはりそれを拡大していただいて、評価療養として、 承認をするとかしていただきたい。基準の設定も必要ですし、医療機関を限定するという ことで、高度先進医療の時代に持っていた利点を、この臨床確認試験に移行させるような ことを、やはり少し幅を広げていただきたいというふうに思うんですが。  これは厚労省の中でも、保険局はその点について、規則の改定が必要になるかもしれま せんが、やはりこの時期、50年前のその規則にしばられて、医療クラスタ−あるいは臨 床試験をやるのに、薬事承認が得られなければ、全額研究費負担あるいは全額患者負担と いうのでは、実質的に進めない問題が多々起こってきています。ですから、こういった問 題の解決の中にあって、もう少し広く、そういったものの扱いを、保険局としても柔軟に 考えていただきたいと思います。  何度も同じようなことを言って恐縮ですが、ぜひこれは、大学病院もそうでしょうし、 ナショナルセンタ−もそうですが、やはり今の研究費を全額、患者の食事代あるいは治療 の抗生物質代に充てて、入院基本費用まで研究費から出せという形では難しい。高度先進 医療に認められていた5人をやるのが精一杯でしょう。ですから、高度先進医療において 認められていたいいところを、何らかの形でつないでもらいたいと思っています ○猿田座長  何か御意見はございますか。 ○医政局研究開発振興課長  私のところが臨床研究の推進を担当しておりますので、必ずしも原課長と同じ意見では ない部分もあろうかと思いますが、臨床研究を推進する、特にイノベ−ションだとか、新 しい医療を国民の方に提供していくという観点からは、臨床研究の一層の推進が必要であ るというのは、改めて私から申し上げるまでもないことだと思いますが、それを進めるた めに、実は現在、医政局の中で、臨床研究の倫理指針のあり方の検討というのを行ってお りますが、それとあわせまして、臨床研究の推進方策についても検討をしていただいてい るところでございます。そこの専門家の先生方の意見としても、先ほど北村先生から御指 摘の、保険との併用といいますか調整というのは、大変重要な課題であるというふうな指 摘を受けておりまして、ものによっても、薬事法承認の、医療機器か薬か等々、臨床試験 研究の内容によっても取り扱いは若干変えていかなければいけない、カテゴリ−をつくっ てグル−プごとの特性にふさわしい保険との併用ということを考えなければいけない点も 出てくるのかもしれませんが、いずれにしても、保険との、臨床研究を進める上で現実的 なものを、限られた医療費というのは承知しているところでございますが、医政局として は、ぜひ、保険局で御検討いただきたい。何か、陳情の場のようになってしまいましたが、 そういう状況でございます。 ○辻構成員  薬事法絡みでないにしても、トランスレ−ショナルリサ−チをやれと言っていて、実際 のところは、非常に窮屈な費用負担を強いているわけです。だから本当にトランスレ−シ ョナルリサ−チで先進的にやるというんだったら、やはり、もっと抜本的に考えた方が良 いと思います。 ○猿田座長  実は私、トランスレ−ショナルリサ−チの支援ディレクタ−をしていて、実はきのう、 文科省で大分議論してきましたが、その問題は出ました。やはり、ゆっくりと対策を考え ていこうということですから、それはまた次のときに議論したいと思います。 ○医療課長  毎回、いろいろと聞かせていただいておりますが、保険の立場からいくと、やはり、安 全性、有効性が担保されている技術あるいはもの、それらを使うというのが大原則ですの で、だれがじゃあ、それを補償してくれるのかということになると思います。医療を行う に当たって、医師が責任を持ってやられる、それは構わないと思いますが、やはり保険に 入れる場合には、客観的に証明をしていただく必要がある。  それが、一つは薬事法の承認という形になっていますので、実はそれを抜きにして、先 に、一部、保険で使いながら、保険外併用療養をやってしまいますと、ものをつくってい る方は、それで売れるし、使ってもらえるし、あえて薬事法の、適応外の承認をとらなく ても構わないわけです。承認をとるのは面倒くさいですから。やはり、きちんと証明して もらいたいし、そういうアクションを起こしてもらわなくてはいけない。そういう意味が あるわけです。  先生はきっと、これはこれに使ってもいいだろう、と。だれが考えても、きっとこれは 適応外と言うけれども、ほとんど同じではないかというようなこともあると思います。で も、それは、やはり薬事法の承認をとっていただかないと、それが有効なのか安全なのか という客観的な証明にならないということがあります。あまり保険の方で緩めると、また、 その承認に向けての申請をしなくなるというようなこともありますので、そのあたりは兼 ね合いの問題だろうと思います。  今回のこの使用確認試験については、これである程度のデ−タが集まってくれば、いろ いろな道がありますので、いずれ承認に向けてアクションを起こしてもらうということを お願いしているわけでして、今回は、既に適用していたものですから、それまでのつなぎ として、これが入っているということになります。 ○北村構成員  しかし、例えば新しい医療機器を使用するのにも、最初の高度先進医療の場合は、5例 臨床研究を研究費で充てる。それぐらいの、数千万円ぐらい、1例一千万円ぐらいの費用 は出たんですけれど、しかし現実として、新しい技術を用いないで旧式の技術で治療をし ても、やはり保険適応があるわけです。それは既に承認されていますから。その中に、一 部新しい未承認技術の臨床安全試験と、我々は言いたいですけれども、それを開始する場 合において、入院から退院までの間、全額をみんな研究費で賄うということ、あるいはそ れを全額患者負担にせよというのは、数の制限をしていて、高度先進医療のときには、何 度も言いますが、5例があったから、それでやってきたわけです。今度、それがなくなっ てしまいますと、どこか別の施設が申請(先進医療)してくれるのを待つほかない。日本 の医療機器は弱小で、とても1台か2台か3台かというようなものに治験を行う能力がな いような場合、何らかの形で、医師の、この臨床確認試験のような方法を、申請制にして いただけないかなあと思うわけです。  例えば遺伝子治療、再生医療も厚生労働省に申請していますけれど、そこで申請して許 可が出た新しい技術を用い未承認技術を行うと、療担規則第18条の適用になってしまい ます。 ○猿田座長  ありがとうございました。よく承っておいて、これはまた先の問題で、いろいろなとこ ろで出てきますので。今、保険の問題が出ましたが、時間のこともありますので次に進み まして7番目の、先進医療の保険導入の方に移らせていただきます。これは今度、ここの ところでの保険導入です。それでは事務局からお願いいたします。 ○事務局  先−6の資料をごらんください。先進医療の保険導入等についてということで、前回の 会議におきまして、スケジュ−ルをお示しいたしましたとおり、本日の会議では、現在の 先進医療について実施している技術に関しまして、保険導入等をするための評価を、12 月上旬までを目途に決定するために、実施をしていただくという内容について、御審議を 賜りたいと思っております。  1の現状にもありますとおり、先進医療については将来的には保険導入のための評価を 行うということで、保険診療との併用を認められているということがありますので、そう いった、実施している保険医療機関から定期的に報告を求めております。その報告に基づ きまして、今回、評価をしてまいりたいということですが、2つ目に、保険導入案という 形で、3つお示しをしておりますけれども、保険導入等に対する評価案といたしましては、 実績報告書等に基づきまして、「有効性」、「安全性」、「技術的成熟度」、「社会的妥当性」、 「普及性」、「効率性」等というような形で、3ペ−ジ目にもありますような評価表で検討 するというような形で、事務局の案をお示しさせていただいております。  そして3番目の、評価の対象技術の範囲といたしましては、既に先進医療となっている 技術ということで、19年度における実績報告の対象となった技術というような形で評価 をしていただきたい。ただ、先ほどもありました、薬事法上の未承認、適応外に該当する 15技術につきましては、そういったものを除いたものというような形で対象とさせてい ただきたいというふうに考えております。次の2ペ−ジ目は、その保険適用までの流れを イメ−ジ化した参考資料ですので、ごらんいただければと思っております。  そして3ペ−ジ目に、その具体的な評価の判定方法、判定の項目等を記載しております。 これについては読み上げながら御説明をしたいと思いますけれども、全体の総合判定は、 先ほど6つ申しましたけれども、そういったものについての勘案をして、優先的に保険導 入が妥当である、あるいは保険導入が妥当、現状どおり先進医療が適当、先進医療から削 除するのが適当、というのを判定していただきます。  個別の評価項目といたしましては、1から8まであります。有効性については、従来の 技術を用いるよりも大幅に有効、やや有効、同程度または劣る、というような形でのラン クづけをしていただきたいと思っております。また、安全性という項目に関しましては、 問題なし、余り問題なし、問題ありというような形での評価をしていただきたいと思って おります。  また、技術的成熟度に関しましては、Aが、当該分野を専門とし経験を積んだ医師また は医師の指導下であれば行える。B区分としましては、当該分野を専門とし数多く経験を 積んだ医師または医師の指導下であれば行える。C区分としましては、当該分野を専門と し、かなりの経験を積んだ医師を中心とした診療体制をとっていないと行えないようなも のである。このような区分であるということです。  それから、社会的妥当性については、倫理的問題等がある、ない、というようなことと、 理由を記載していただきたいと考えております。また、普及性についても、かなり普及し ている、ある程度普及している、普及していない、というような形で御検討をお願いした いと思っております。  効率性につきましても、既に保険導入されている技術と比較して、大幅に効率的、やや 効率的、効率性は同程度または劣る、というような形での評価。そして、将来の保険収載 の可能性ということで、将来的な保険収載の可能性は、かなり高い、ある程度高い、高い とは言えない、または低い、というような形での評価。そして実施体制について、特に考 慮すべき事項があるかないか、というような形で考えております。  お気づきの方もいらっしゃると思いますけれども、これについての個別評価に関しては、 具体的には先ほどから御審議をいただいております新規の技術の導入の評価表の、評価用 紙(第1号)の、先進医療としての適格性の評価シ−トを基本にしております。例えば先 −1の資料の4ペ−ジ、あるいは7ペ−ジにあるような、そういった先進技術としての適 格性の、それぞれの項目の適格性、そこについての記載をそのまま流用させていただいて おりますが、一部、7番目の保険収載の可能性のところについては変更をさせていただい ております。また、こういったことについて、先ほどからの御議論がございますので、こ ういった評価案について、御審議をいただきたいと思います。また、今後のスケジュ−ル といたしましては、この評価案にしたがって、それぞれの技術について先生方に御担当を お願いいたしまして、評価をしてまいりたいというような形で考えておりますので、その 点につきましても、御協力のほど、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今、御説明がありましたように、高度先進から保険へ 持って行ったときも同じようなやり方でやっておりまして、一番重要なところは3ペ−ジ 目にあるような総合判定と、それから今まで先生方が事前評価のときに使ったやり方でや っているということでございます。  それで、もちろんレフェリ−の先生というか、意見をいただくのは、大体、2人か3人 ぐらいの先生に、1つの技術に関して御意見をいただいて、ここで議論して決めていくと いうことですね。3人ぐらいを考えているんですよね、どうですか人数は。 ○事務局  事務局案としましては、前回の高度先進医療における保険導入を参考に、3人ぐらいを 目安にと考えております。 ○猿田座長  実は、2人だと、意見が分かれたときにどうしたらいいかということがあるものですか ら、3人で、専門の近い先生方が、大体、詳しそうなところを選んでいただいて、やって いただくということになりますけれど。実際、ここでかけるときの議論は、これから問題 になると思いますけれど、方向とすれば、そういう形かと思います。 ○辻構成員  質問ですけれど、この3ペ−ジに、普及性というのがあります。普及している、してい ない、というのがありますが、これは保険導入のときの要件に、かなり影響すると理解し てよろしいのでしょうか。 ○事務局  個別の評価というよりは、総合判定のところが、かなり重要であるというふうに考えて おります。 ○辻構成員  比較的、普遍的に行われる技術であれば、これでいいと思いますが、逆に、非常にまれ な疾患の場合、特に遺伝子診断ではそうですけれど、まれである疾患が切り捨てられると いいますか、行き場がなくなってしまうということが起こり得ると思います。ですから、 疾患の性質によって、やはり弾力的に考えていただくということが必要ではないかと思う のですけれど。 ○事務局  基本的には、罹患率や有病率を勘案するという評価もございますし、また、それぞれ3 人の先生方から御意見をいただきます。当会議において、保険導入に当たってどういう技 術なのか、どのレベルに行っているのかということを、こうした評価をもとに議論してい ただきたいというふうに考えております。 ○辻構成員  やはりストレ−トに読むと、ドキッとします。つまりこれだと、まれな病気は切り捨て みたいな、そういうスタンスが見えるわけです。頻度の高いものは保険で行きますよ、ま れな病気は該当しませんよ、というふうに読めてしまう。 ○事務局  ただ、ほかの項目で、きちんと、有効であったり安全性も高かったり、あるいは技術的 成熟度も高かったりといったところも踏まえたうえで、総合的に判断するということです。 ○猿田座長  実際に、ここでまた議論をさせていただきまして、それぞれについてやっていきますの で。先生のおっしゃることは、よくわかりますので。 ○辻構成員  患者さんから見ると、やはり、まれな病気になったら、ものすごく不利という感じにな りますよ。 ○医療課長  いえ、そうではなくて、例えば年間10例しか発症しない病気でも、その10例のうちの 例えば半分以上にこの技術が使われるということであれば、普及しているという、そうい う理解ですので、絶対数が多いかどうかという問題ではありません。そのために「罹患率、 あるいは有病率から勘案して」と書いてありますので。 ○辻構成員  そうしたら、今、課長さんがおっしゃったような形を、少し追加していただいたらいい んじゃないでしょうか.普及ということに関しては,つまり、まれであっても、例えば 10例であっても、その多くに適用されているということがわかるように、この場合は, やはり普及性に該当するということがわかる項目があるといいと思います。 ○医療課長  「有病率から勘案して」という修飾語句がついているので、それで御理解いただけるだ ろうと思っているんですけれど。まれな病気でも、まれなりに、それなりにこの技術が広 く行われるという、そういう理解をしてください。 ○辻構成員  わかりました。 ○金子構成員  手術する立場からしますと、この2番の安全性というのがありますけれど、例えばC 「問題あり(重い副作用、合併症が発生することあり)」というのは、これは手術によっ ては、もともと内在しているような場合もあって、もちろん頻度が高くてはいけないわけ ですけれど、Cでもいい場合もあるというふうに考えていいということでしょうか。 ○猿田座長  これは、ざっくばらんに先生方の御意見を、一応、入れていただいて、それで、ここで 議論させていただきますので。いろんな言葉の問題以上に、それぞれの状況によって考え ていくということです。 ○金子構成員  成熟度に関しても同じですね。 ○猿田座長  はい、おっしゃるとおりです。 ○金子構成員  当然、Cのものも、かなり出てきて構わないということですね。 ○猿田座長  はい。 ○金子構成員  もう一つ、後で御審議いただくものでもありますけれど、「顔面骨または頭蓋骨の観血 的移動術」という先進医療がありまして、これは実は、この数年、実績がゼロなんですね。 そうしますと、これでいくと、もう全く、先進医療を取りやめということになるのかなあ とも思うのですけれど、これは先天異常に限っているものですから、実際にはされている んですけれど、ほとんどが育成医療の適用を受けているので、これに出てこないという側 面があります。そういう場合は、この実数を出して、それを勘案していただくとか、そう いうふうなことは可能なのでしょうか。 ○猿田座長  それはまた、ここで議論させていただいて、例えば高度先進の場合も、そういうことが よくあったんですけれど、本当に全く人がいなくなって、できないということであれば、 また考えますし、それはもう、その技術によって違いますので、今、先生がおっしゃった ように、非常にまれな疾患の場合は、それは非常に少ないですから、そういったことも勘 案した上で議論していくということで、やはりここで議論させていただきたいと思います。 ○金子構成員  わかりました。 ○猿田座長  ほかに、ございますか。一応こういう形でやっていって、実際、先生方とここで議論を させていただくと、よくわかるかと思いますけれど。一応、この形でさせていただくとい うことで、お認めいただきたいと思います。 (一同了承)  時間の関係もありますので、8番目の、先進医療の施設基準の見直しについて、事務局 の方から、よろしくお願いいたします。 ○事務局  先−7の資料をごらんください。先生方のところには、紙ファイルの方に、評価した先 生方から修正をいただいた内容の資料もございますけれども、この先−7の資料にありま すとおり、今回、お二方の先生から見直しをいたいだた9つの技術に関しまして、御審議 をお願いしたいと思っております。  この全体の資料のペ−ジ構成は、最初のペ−ジに概要、そして次のペ−ジに事務局案と いうような形のつづり方で、9つの技術がございます。また、紙ファイルの方に関しまし ては、それぞれを評価した先生が、手書きで修正をしていただいた内容とコメントを、つ づらせていただいております。個々の先生方に御説明をいただいて、その後、事務局から 事務局案について御説明をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いい たします。 ○猿田座長  それでは早速ですが、金子先生から、最初に第9番でございます。よろしくお願いいた します。 ○金子構成員  これは今ちょっとお話しした技術でございますけれども、頭蓋顎顔面外科という分野で、 適応は頭蓋縫合早期癒合症、あるいは狭頭症というもので、頭蓋骨の縫合の早期癒合によ って、狭頭症による頭蓋亢進あるいは眼球突出、後鼻孔閉鎖、咬合不全といった症状を来 す疾患、あるいは眼窩隔離症といって、眼球が左右に、非常に離れていて、両眼視機能や 整容に問題がある。あるいは高度の顔面の形成不全を生ずる先天異常に対して、頭蓋骨あ るいは顔面骨を切開して、それを所定の場所に移動させて固定し、形態的・機能的な改善 を図るという手術でございます。これに関しては、昭和60年11月から高度先進になって いまして、8施設ぐらいでしょうか、それらの施設で施行されているという技術でござい ます。これに関しての見直しということです。 ○事務局  2ペ−ジ目にある事務局案でございますが、今回見直しをさせていただいたところは、 下線の部分についてでございます。基本的には、1の実施責任医師の要件のところで、資 格、診療科のところには耳鼻科を追加させていただいております。また、当該診療科の経 験年数としては、不要から、6年以上というような形での修正をさせていただいておりま す。  また、看護配置に関しては、今回、不要だったものを、10対1看護以上というような 形での修正。そして病床数についても、不要から、1床以上ということで、要というよう な形に修正をさせていただいております。  それから診療科については、少し見やすくというか、わかりやすくするということで、 ちょっと量的には多くなってしまいましたけれども、どういう関係で診療科が必要なのか ということで記載を修正させていただいております。  また、当直体制については、要となっておりますが、今回は外科系当直医師というよう な要件を、委員からの御意見も踏まえて、追加をさせていただいております。  倫理委員会の審査体制に関しましては、当初、要ということであったわけですけれど、 今回から不要というような形での修正をさせていただいております。  その他の事項に関しまして、これまで記載はございませんでしたが、重症度に応じICU 等の体制を備えていること、というような形での追加をさせていただいております。  事務局案としては、以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。どなたか、御意見はありせんか。金子先生、何かござ いますか。 ○金子構成員  外科系当直医師と言いましたのは、今までは実施科医師の当直ということだったので、 ほとんど大学病院クラスでないと、これができませんでした。そういうことで、ちょっと 広げさせていただくという意味あいがございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。 ○事務局  一つ先ほど説明が漏れていました。資格、診療科で、これまでは皮膚科と歯科口腔外科 がございましたが、今回、削除させていただいております。 ○赤川構成員  診療科のところで、歯科口腔外科等専門医を削られたということですが、これは歯科口 腔外科の方では、こういう手術をもう全くやっていないという事例があったからでしょう か。 ○金子構成員  実際、この技術を申請しているのは、全部、形成外科です。口腔外科はなかったと思い ます。それから、口腔外科でされる顎骨の移動に関しては、保険で収載されています。こ れは、それより上の顔面という意味あいです。 ○赤川構成員  わかりました。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。 (異議なし)  それでは、お認めいただいたということで、その次の第18番目、「実物大臓器立体モデ ルによる手術計画」です。これも金子先生、よろしくお願いいたします。 ○金子構成員  これはCT画像を撮りまして、それによって3次元表示ができるようになって、その後、 それを立体モデルにして臓器の、特に骨の立体モデルをつくって、それによってシミュレ −ション等の手術計画を行う。特にまれな疾患であるとか、あるいは、もともとは頭蓋顔 面骨から始まったんですが、だんだんと、骨盤、あるいは大腿骨と、いろんな全身の骨に 応用されている技術でございます。 ○事務局  4ペ−ジ目の事務局案でございます。先生からの御意見も踏まえまして、今回、下線の 部分を修正しているわけですけれど、まず、当該診療科の経験年数というところで、不要 というのを、4年という形での変更をさせていただいております。また、当該技術の経験 年数に関しては、前回の5年以上というのを、1年以上というふうに変更しております。 その下にまいりまして、医療機関の要件の、看護配置のところが、不要という形でござい ましたけれども、今回、10対1看護以上が必要であるというような修正。そして2つ下 の病床数のところが不要となっていたのが、1床以上要というような形での修正をさせて いただいております。また、当直体制のところでは、追加ということで、外科系当直医師 の項目を追加しております。今回の修正について、事務局案は以上でございます。 ○猿田座長  この診療科のところも、これだけ幅広くなるわけですね。 ○事務局  記載事項と致しましては、それぞれ、整形外科の場合はどういう担当科かという形で、 並列関係を見直した修正となっておりますので、言葉を修正したということにとどまって おります。 ○猿田座長  金子先生、よろしいですか。 ○金子構成員  これは手術計画ということで、手術を前提としてということで、手術ができるような病 院の体制であるということにいたしました。 ○猿田座長  ありがとうございました。どなたか、御意見はございますか。それほど大きな見直しで はないと思いますが。 (異議なし)  それでは、お認めいただいたこととさせていただきます。どうもありがとうございまし た。  続きまして39番、「三次元形状解析による顔面の形態的診断」です。 ○金子構成員  これはレ−ザ−光を利用した、非接触の三次元形状計測装置です。これはもともと産業 用に使われているものですが、これを顔面の皮膚表面の変形に用いるということで、もと もとは鼻骨骨折等、CTによる被爆を防ぐというか、どちらかというと表面形状なんです けれど、CTによる光線被爆はなくて、形状の三次元デ−タが得られるということでやら れております。ただ、これは薬事承認が下りている機械が1種類だけということになりま して、余り普及していないというのが現状でございます。 ○事務局  事務局案でございます。6ペ−ジ目にございますとおり、また下線部についての修正を させていただいておりますが、まず、実施責任医師の要件の3つ目、当該診療科の経験年 数のところに関しまして、前回、不要となっていたものを、4年以上というような修正を いたしております。また、経験年数に関しましては、要5年以上という形のものについて、 今回、1年以上というような修正をいたしております。  また、医療機関の要件のところでございますけれども、この実施診療科の医師数のとこ ろの、具体的内容のところで、常勤医師または歯科医師2名以上となっておりましたとこ ろを、1名以上という修正をいたしております。それから他診療科の医師数については、 要というふうになっていたところを、今回は不要ということで御了承いただければ、具体 的内容のところの麻酔科医1名以上というのも削除させていただきたいと思っております。  その下にまいりまして、当直体制に関しまして、前回、要という形であったものを不要 というふうに修正。緊急手術の実施体制も同様に要から不要に。院内検査も要から不要に というような修正です。さらに、もう少し下にまいりまして、医療安全管理委員会につい ても、要から不要に修正をいたしております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。そうすると問題のところは、先ほどあった他の診療科 のところですね。これは不要ということですが、金子先生、よろしいですね。 ○金子構成員  はい、結構です。 ○猿田座長  そうすれば、麻酔科も要らないということになりますね。ありがとうございました。ほ かにないようでしたら、これもお認めいただいたこととさせていただきます。 (異議なし)  ありがとうございました。それでは続きまして、52番の乳房温存療法について、お願 いいたします。 ○金子構成員  これは私、専門ではございませんけれども、乳房温存療法における鏡視下手術というこ とで、腋窩の小さな切開から内視鏡補助下にリンパ節郭清を行うという技術です。それほ ど多くの施設では行われていないということで、最近は特にセンチネルリンパ節生検が盛 んになったので、少ないけれども技術としてはこのまま継続するのがよいだろうという御 意見でした。 ○事務局  事務局案、8ペ−ジ目でございます。要件の見直しは要ということで、今回も下線部分 について修正をさせていただいております。当該診療科の経験年数が、前回は不要となっ ていたものを、5年以上という形の修正。そして経験年数に関しても、要、5年以上とな っていたものを3年以上ということで修正をさせていただいております。また、実施者と して、今まで不要であったものが、5例以上必要というような形の追加。  そして2の、医療機関の要件のところでは、今回、実施診療科の医師数のところが要で、 前回までは3年以上でしたけれど、今回、2年以上というような形での修正をさせていた だいております。また、看護配置に関しましては、不要となっていたところが10対1看 護以上の要というような修正。そして病床数に関して不要となっていたのが、今回から1 床以上の要というような形での修正。そして当直体制に関しては、外科系当直医について の追加というような修正と、あとは倫理委員会による審査のところでは、要であったとこ ろが不要というような形での修正をさせていただいております。  また、3番目のその他の要件の、頻回の実績報告に関しても、以前は要というふうにな っていましたが、不要という形での修正をさせていただいております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今の御説明について、どなたか御質問はありますか。 そんなに大きな点ではないと思いますが、もし御意見がなければ、これもお認めいただい たこととさせていただきます。 (異議なし)  金子先生、どうもありがとうございました。  それでは続きまして、田中先生の領域に入らせていただきます。まず、5番の「強度変 調放射線治療」、よろしくお願いいたします。 ○田中(良)構成員  最初に少し補足説明をさせていただきます。この紙ファイルは確かに私の方から出した んですけれど、かなり時間がたっていまして、見直しますと、また、いろいろな矛盾点な どにも気づきました。その後、事務局とも、いろいろやりとりをしまして、それで今の資 料案のようになっておりますので、御了解いただければと思います。  5番の、「強度変調放射線治療」は、これはリニアックによる高エネルギ−の放射線治 療で、今まで以上に病巣部に的確に放射線を集中的に照射できるという技術で、昨年でし たでしょうか、この先進医療で認められて、数はちょっと不正確ですけれど、十数施設か ら申請されて、今、行われていると思っております。  基本的には、腫瘍の局所制御率が上がるということと、それから重要な臓器、組織なん かへの障害が減るということで、現在、安全性・有効性を確証しつつ行われているわけで あります。以上が概論となります。 ○事務局  事務局案は10ペ−ジ目でございます。こちらも先ほどと同様、下線の部分に関しまし て修正をさせていただいております。まず1つ目は、実施責任医師の要件の、経験年数の ところに関しまして、以前は不要となっていたところを要ということで、5年以上に修正 させていただいております。また、実施者としての経験症例数についても、前回、10例 であったところを5例というような形での修正をしております。  また、下の方にまいりまして、倫理委員会による審査体制のところでございますけれど も、これに関しましては、倫理的に問題の起きる可能性のある症例に関して適宜開催する、 というような修正をさせていただいております。この、倫理委員会の条件に関しまして、 もし何か、ほかに適切なコメント、文言等があれば、御指摘をいただければと思っており ますけれども、今回の事務局案の修正は以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。田中先生、こういうことでよろしいですね。 ○田中(良)構成員  はい、結構です。 ○猿田座長  どなたか、御意見はございますか。特になければ、この形でお認めいただいたこととさ せていただきます。 (異議なし)  ありがとうございました。  続きまして、46番の「悪性腫瘍に対する陽子線治療」です。 ○田中(良)構成員  最初の申請では、「悪性腫瘍に対する粒子線治療」ということになっておりまして、実 際にはこれは、陽子線を用いた治療ですので、それでタイトル自体も「陽子線治療」とい うふうに直させていただきました。  これはまだ、2〜3施設ぐらいしかありませんけれど、陽子線に独特の、ブラッグピ− クといって、飛程の終末部で特異的に線量分布が高くなる、そういう特徴を生かした治療 施設です。あとは、私の方の意見でも書いていますけれど、経験年数のところで、一応、 5年以上とか、その辺のところを気づきましたので、書かせていただきました。以上です。 ○事務局  事務局案は12ペ−ジでございます。先ほどと同様、下線部分の修正ですが、構成員か ら御説明がありました、経験症例数の変更と、2番目の医療機関の要件のところでは、医 師数が常勤医師5名となっていたものを2名以上に修正しております。その他、下線部分 としましては、当直体制のところに関して要となっていたのが不要ということで、以下同 様に、緊急手術の実施体制、院内検査、他の医療機関との連携というものに関しまして、 要から不要に変更しております。不要の場合に関しましては、連携の具体的な内容の、緊 急手術の実施というものも削除させていただきたいと考えております。また、倫理委員会 による審査体制についても、先ほどと同様で、倫理的に問題の起きる可能性のある症例に 関して適宜開催する、というような追記をさせていただいております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。ちょっと確認ですけれど、12ペ−ジのタイトルとい うことで、よろしいわけですね。「陽子線」ということですね。 ○事務局  説明が漏れておりました。申しわけありません。 ○猿田座長  田中先生、よろしいですね。 ○田中(良)構成員  はい、そのとおりです。 ○猿田座長  ほかに御意見がなければ、これも、そのままお認めいただいたこととさせていただきま す。 (異議なし)  ありがとうございました。  それでは続きまして、60番の「固形がんに対する重粒子線治療」です。 ○田中(良)構成員  先ほどは陽子線でしたけれど、それよりも重い粒子で荷電粒子線ということで、現在は 炭素線なんですが、それが放医研と、それから兵庫の施設で行われております。見直し欄 ですが、経験年数のところと、それから、あとは先ほどあった、当直体制とか緊急手術と か、その辺に関しては、特別、この治療でそれに該当するような出来事というのは起こら ないだろうということで、不要にさせていただいています。そんなところが、この変更の 要点です。 ○事務局  事務局案は14ペ−ジ目でございます。先ほど構成員より説明のあった部分の修正が、 下線の部分で修正されておりますが、一つだけ追加をいたしますと、先ほどもそうですけ れど、下線を引き忘れておりましたが、2の、医療機関の要件の医師数のところの、具体 的内容に常勤医師2名とあります。前回は5名でしたが、2名に修正しております。下線 の引き忘れは以上でございます。その他、下線部については、先ほどの構成員からの御説 明どおりでございます。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今の件について、どなたか御質問はございますか。特 になければ、これもお認めいただいたこととさせていただきます。 (異議なし)  ありがとうございました。続きまして62番です。 ○田中(良)構成員  これは、技術としては診断技術でありまして、糖尿病による下肢の循環障害とか、ある いは神経障害などに合併する、足の病変、壊疽とか潰瘍とか、その辺のところに対する 確定診断を高めるということで、MRIの装置を用いて、燐の31のスペクトロスコピ−、 それとケミカルシフトの画像で解析したいというわけであります。  これについては、該当する施設へ、私から電話で問い合わせをしまして、自筆で書いた ものがありますが、検査時間が長いということ。これはコイルを足にあてがって、それで 弱い信号なものですから、繰り返し検出しなくてはいけないということで、30〜40分ぐ らいかかるとか、それから年間どのぐらい行われているかという問い合わせに関しては、 数例程度であるというような御返事をいただいております。ただ、解析ソフトが改良され れば、もう少し早くなるだろうということでした。  この見直し案のところで、ちょっと気になった点がありました。例えば2の医療機関の 要件の、その他の医療従事者の配置というところで、不要になっているんですが、MRIの 装置を使ってスペクトロスコピ−をだれがやるかということで、普通、診療放射線技師が 一般に行われているし、あるいはそれ以外の臨床工学士でもよろしいんですけれど、どな たかあった方がいいんじゃないかなあというふうなことに気づきました。  それから、その2段下の、診療科のところで、要はいいんですけれど、「内科の場合は 内科及び麻酔科、放射線科の場合は放射線科及び麻酔科」とあります。これがちょっと、 今、気づいたんですけれど。それから、そのもうちょっと上の、他の診療科の医師数のと ころにも、「麻酔科医1名以上」というのがあるんですね。この診断技術には、麻酔科医 は要らないんじゃないかと思うんです。このあたり、今気づいたことですけれど。 ○猿田座長  ありがとうございました。それを含めて、事務局の方は、どうですか。 ○事務局  事務局案は17ペ−ジでございますけれども、先ほどと同様に下線部分について修正を させていただいております。先ほどの御意見の中で、一つ、他の診療科の医師数のところ の麻酔科医の部分と、診療科のところでの麻酔科のことについては、削除した方がよろし いということでしょうか。そうすると、あとは、その他の医療従事者の配置に関しては、 診療放射線技師という形での修正でよろしいでしょうか。一応、そういったことの修正を させていただいた上で、最終的な事務局案という形にさせていただきたいと思います。 ○猿田座長  田中先生、それでよろしいですか。 ○田中(良)構成員  はい。それから、倫理委員会の審査体制は、不要のままでよろしかったでしょうか。 ○猿田座長  これはいいでしょう。 ○田中(良)構成員  はい、わかりました。私の方では、最初、要にしてあったんですけれど。 ○事務局  いえ、いただいたものはそうなっておりません。 ○田中(良)構成員  済みません、次のものと勘違いしていました。不要で結構です。 ○猿田座長  特に御意見がなければ、これもお認めいただいたということで、よろしいでしょうか。 (異議なし)  ありがとうございました。  では、最後になりますけれど、A8、「胸部悪性腫瘍に対するラジオ波焼灼療法」です。 ○田中(良)構成員  これは呼吸器外科の領域でもあるんですが、胸部の悪性腫瘍に対して外科的手術、ある いはその対応が非常に難しいような場合に、ラジオ波の電極を刺して、それで凝固壊死を 起こすというような技術です。これはいわゆるインタ−ベンションの技術を応用していま すので、それぞれ実施するドクタ−、それから施設についての要件について、もう一度、 見直させていただきました。私の方で気づいたのは、呼吸器外科または放射線科でよろし いんですが、針を刺すときに、どうしてもCTガイド下でやるということで、呼吸器外科 の場合には、やはり放射線科医が立ち会っている方がいいだろうということ、それから何 かの不測の事態のときに麻酔科的な管理も必要になってくるということで、コメントをさ せていただいております。そんなところです。 ○事務局  19ペ−ジですけれど、同様に下線部分を修正させていただいております。実施責任医 師の要件のところの診療科に関しましては、放射線科を追加させていただいておりますし、 また、その下の資格についても放射線科専門医を追加させていただいております。また、 経験年数についても不要となっていたものを5年以上というような形で修正しております し、その経験症例数については特に記載していなかったのを、10例以上というような形 で修正させていただいております。  それから、2の、医療機関の要件のところでは、医師数が医師3名以上であったところ を2名以上に修正させていただいておりますし、他診療科の医師数のところに関しまして も、麻酔科医1名以上、病理検査部門が設置され病理医を1名以上というような形での、 用語の修正をさせていただいております。また、診療科に関しましても、用語の見直しを させていただいております。倫理委員会については、開催条件のところの追加というよう な形での修正をさせていただいております。以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。放射線の方の追加があったということですが、どなた か御質問はございますか。特にないようでしたら、これもお認めいただいたこととさせて いただきます。 (異議なし)  以上で、この施設見直しの、金子先生の分と田中先生の分を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。  最後に事務局から、今後の予定等についてお願いいたします。 ○事務局  今後のスケジュ−ルに関しましては、未定でございます。今後、決定次第、早急に御案 内いたしたいと思います。お忙しいところ申しわけありませんが、出席の程よろしくお願 いいたします。以上でございます。 ○猿田座長  ありがとうございました。きょう、宿題をいただきました件に関しましては、また、い ろいろと相談をさせていただきます。すぐには返答ができないかもしれませんけれど、必 ずまた議論させていただいて、ここで報告させていただきます。それから、保険の導入の ことに関しましても、この委員会にかけてやっていきますので。  少々時間が超過してしまいましたが、御協力ありがとうございました。これで終わらせ ていただきます。 (終了) 【照会先】  厚生労働省保険局医療課医療係  代表 03−5253−1111(内線3276) 2