07/09/10 第78回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 日時:2007年9月10日(月) 17:00〜19:00 場所:厚生労働省 共用第6会議室(2階) 出席者:  労側委員:岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、龍井委員  使側委員:川崎委員、吉川委員、松井委員、山崎委員、山本委員  公益委員:林分科会長、今田委員、佐藤委員、田島委員 ○林分科会長  定刻を過ぎましたので、ただ今から第78回労働政策審議会雇用均等分科会を開催し ます。本日は樋口委員と奥山委員が欠席されています。斉藤千秋委員と佐藤委員は少 し遅れて来られます。  それでは早速議題に入ります。本日の議題は「男女雇用機会均等対策基本方針(第2 次)(骨子案)について」と「平成20年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求概要につい て」です。最初の議題の「男女雇用機会均等対策基本方針(第2次)(骨子案)について」 の説明を事務局からお願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  それではお手元の資料No.1をご覧ください。「男女雇用機会均等対策基本方針につい て」は、均等法の第四条に基づきまして「雇用の分野における男女の均等な機会及び待 遇の確保等に関する施策の基本となるべき方針(以下『男女雇用機会均等対策基本方針』 という。)を定めるものとする」とされているところです。  これまでの策定経過については、昭和61年に均等法が施行された翌年の昭和62年に、 第1次女子労働者福祉対策基本方針を策定して、その後一度改定しましたが、平成9年 に均等法の改正がありました。これが平成11年に施行されましたので、平成12年から 5年の運用期間ということで、男女雇用機会均等対策基本方針が策定されたところです。 この運用期間は平成16年までだったわけですが、当時は既に均等法の改正議論が始ま っていましたので、基本方針の改定をしばらく見送ることにして、今回改正法の施行に 伴い第2次の基本方針を策定することとしたわけです。下に参照条文として第四条を載 せていますが、基本方針に定める事項として「男性労働者及び女性労働者のそれぞれの 職業生活の動向に関する事項」と「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確 保等について講じようとする施策の基本となるべき事項」の二つが掲げられていまして、 策定の手続としてはこの労働政策審議会と都道府県知事の意見を求めるとされています。 なお現在の雇用機会均等対策基本方針につきましては参考資料のNo.1にご用意していま す。  続きまして資料No..2をご覧ください。今回策定しようとする基本方針の骨子案をお示 ししています。まず第1の「男性労働者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向」 の部分ですが、前回ご報告申し上げました研究会報告における分析を踏まえまして「経 済社会の動向」「職業生活の動向」を示しています。記述のバックグラウンドとなるデ ータにつきましては、参考資料のNo.2としてご用意していますので、適宜ご参照いただ ければと思います。  景気動向と少子化の進行について触れた後で、「雇用の動向」に入りますが、労働力 人口の動向、また女性労働力率の動向について記しまして、また前回ご指摘がありまし た従業上の種別の動向としては、自営業主、家族従業者が減少する一方で雇用が増えて いると。それも女性の増加に引っ張られて全体が増加しているということです。  それから「労働力の質的変化」としては女性の勤続年数は近年横ばい、高学歴化が進 展していること。また就業形態の多様化が進展して非正規雇用者割合が上昇しているこ と。さらには職業別の動向についても見てまいります。「労働力需給の見通し」は雇用 政策研究会の出した見通しどおりですが、今後、労働力人口が減少する中で女性労働力 に期待される部分が大きいこと。また「労働条件」の部分では賃金格差の動向や労働時 間の動向を見ています。  さらに「企業の雇用管理」の状況ですけれども、前回の調査結果でご紹介した通り、 女性の管理職比率の上昇やセクシュアルハラスメント防止対策等の進展の一方で、採用 やポジティブ・アクションについて、やや停滞気味な数値が出ていると。また雇用均等 室での法律の施行状況から把握したところによると、相談や調停、あっせんの動向につ いて、特にセクシュアルハラスメントが多いというような形の結果が出ています。  また、育児・介護休業制度につきましては、規定の整備が進みまして女性の取得率は 上昇傾向にありますが、男性については低いことなど、またパートタイム労働者の状況 については、近年増加する中で、一般労働者との賃金格差が大きいということなどを記 すことにしています。  企業の雇用管理の変化の状況については、賃金制度の見直しの動きやコース別雇用管 理制度の動向、非正規労働者の活用の進展等を見ていきまして、「男女労働者の意識の 変化と就業パターン」に関しましては、女性の職業については継続就業型が良いとする 意識が高くなってきている一方で、女性の7割が第1子出産の際に離職をする、また男性 の育児、家事関連時間はいまだに少ないとことなどを示しています。  「3まとめ」の部分ですが、前回ご報告した研究会報告も参考にしながら、均等法施 行以来、企業の雇用管理における取り組みに進展は見られるものの、実態面での課題が まだ見られて実質的な機会均等が確保された状況とはなっていない。その一方で少子高 齢化が進展し、仕事と生活の関係に関する考え方も多様化しているという具合に総括を しています。  第2の部分にまいりますが、「施策の基本的となるべき事項」です。基本的な考え方 をまとめてありますが、この部分につきましては前回の研究会報告結果を参考にして、 またそれを踏まえてここでのご議論もありました。これを総合して私どもで考え方を整 理して箇条書きではなく若干書き込んでご用意しています。まず、究極的に目指すもの、 在り方としては均等法の基本的理念です。すなわち、「労働者が性別により差別される ことなく、また、女性労働者にあっては母性を尊重されつつ、充実した職業生活を営む ことができるようにする」ということが目指すべき究極目標ということで第1パラグラ フに書いています。その上で現状を見ますと、過去2回の法改正で法制上の整備はほぼ 完成型に近づいたといえますが、20年の法施行を経てもなお実質的な機会均等が確保さ れたとは言い難い状況が見られ、ことに近年改善に向けた動きに鈍化が見られます。こ うした実態面での男女格差が縮小していかないことの背景には、まず就業継続を希望し ながらも離職を余儀なくされる場合を含め、出産・育児等により離職する女性が依然と して多く、女性の継続的な職業キャリア形成が困難となっていること。基幹的労働者の 多くは長時間労働や随時転居転動が可能であることなどを前提とした働き方が一般的で あること。こうした中で、女性が家庭生活を営みながら就業を継続するに際しての将来 ビジョンが描きにくくなっていることなどがあるものと考えられます。またこの三つは いわば悪循環しているのではないかと考えています。  一方その環境要因として少子化の進展の中で、女性の就業率向上や個人の職業生活期 間の長期化が喫緊の課題であるということ。そして多様化の中で、男女労働者がともに 性別にかかわらず主体的に働き方やキャリア形成パターンを選択することができること が求められていること。こういうことが指摘できます。こうしたことを踏まえまして、 法の基本的理念を実現するために、当面5年程度の間にとるべき施策の基本的考え方と しては、法制上の機会均等の確保の上に、今後は実質上の機会均等の確保を目指すとい うことを打ち出しています。そうした観点から施策の整理として、まずは均等法の規定 の確実な履行確保を前提とした上で、女性が職業人生における明確な展望を描きつつ働 き続けることをより容易にすること、すなわち、働き続けることを希望する者が就業意 欲を失うことなくその能力を発揮・伸長できる環境を整備すること。また二つ目として、 同時に、男女にかかわらず、仕事上の責任を果たしつつ人生の各段階に応じた多様な希 望を実現できること、すなわち仕事と生活の調和を図るための条件整備が必要であると いうこと。そして、これら二つの実現を図るには、行政として法の履行確保をしていく だけではなく、現実に企業内で雇用管理制度や運用の見直しが行われるということが不 可欠ですので、これを促進していくための行政の手段としては、ポジティブ・アクショ ンに対する支援の一環として、施策を進めていくことが効果的であるとしています。  さらに現実には妊娠・出産等でいったん離職する女性が多いので、これらの方々の再 就職・再就業が重要であること。また施策の推進の際には非正規労働者に対しても均等 法はもちろん適用されるわけですから、そうしたことに対して意を用いる必要があると しています。  こうした考え方に立った上で整理した具体的施策として、5ページ以降に書いてあり ますが、まず「就業意欲を失うことなくその能力を伸長・発揮できるための環境整備」 として1番目には「公正な処遇の確保」です。ここでは「均等法の履行確保」として、 調停制度の利用促進、非正規労働者に関連した雇用管理にも重点を置きながらの法律の 施行、また間接差別の対象となる措置の見直しの検討、妊娠・出産等の不利益扱いの判 断基準などの明確化も含めたきちんとした対応というようなことを行いたいと考えてい ます。次に「男女間賃金格差の縮小」に向けた格差規定要因等の調査研究、またコース 別雇用管理の運用実態把握と適正な運用の促進、そしてエはいわゆるキャリアリカバリ ーに向けた取り組みの促進といったことを挙げています。  二つ目は「セクシュアルハラスメント防止対策の推進」で、ここでは前回ご紹介した 調査結果にも表れていました規模別の課題に応じたきめ細かな対策を想定しています。  三つ目は「女性の能力発揮のための支援」で、性別役割分担意識など企業の雇用管理 以外の外部要因による部分もあるというご指摘が前回ありましたことから、引き続き女 子学生の進路選択等に際しての支援を進めていくことや、また在職中の女性に対する適 切な相談サービスの提供、また能力開発機会の提供といったことを掲げています。  四つ目には「母性健康管理対策の推進」です。  次の大きな二つ目として、一つ目の継続就労を支えていくことを中心とした施策と並 びまして、まさに車の両輪として推進していくべき施策が、二つ目の「仕事と生活の調 和の推進」です。ここでは仕事と子育ての両立支援として、育児休業等の定着促進、子 育てのための柔軟な働き方の実現に向けた検討、次世代育成支援の取り組み、介護関連 の制度の定着促進と、さらに助成措置の活用や生産性向上につながる仕事の見直し等の 取り組み支援などの職場環境づくりの促進、また地域における保育・介護サービスの充 実などを掲げています。  これら二つの大きな柱に関連する企業の取り組みを促進するための行政手段として 「ポジティブ・アクションの推進」ということが三つ目の柱です。ここでは前回も出さ れましたポジティブ・アクションの趣旨がまだ浸透していないということ、また中小企 業では意識しなくても取り組まれているのではないかといったようなご指摘も参考にし ながら、従来よりも少々ポジティブ・アクションの概念を広めにとらえられるような位 置付けを明確にする書き方にしています。ここも他のところ以上にこの段階では書き込 んだ中身にしています。まずポジティブ・アクションが広がっていかない背景として、 これが女性のみに対する特別な措置であるというイメージや、法に示された現状分析、 目標設定、体制整備というような取り組み手法自体が、どちらかといえば大企業の雇用 管理になじむものであるといったことがあるのではないかと。そこでポジティブ・アク ションというのは、本来男女双方を対象とした雇用管理の見直しも含めて、幅広い取り 組みが手法としてあり得るものであるし、また究極的な目標は男女格差の解消であると しても、そのブレークダウンした目標においては、仕事と生活の調和や労働時間短縮に 向けた業務改革なども含まれるということを明示した上で、これらの認識も含めたポジ ティブ・アクションの趣旨・内容について理解の促進を図ること。特に中小企業の実態 に応じた取り組みやすい方法や好事例について、より積極的に提供を図るというような ことを行っていきたいと考えています。  「多様な就業パターンの選択が可能となるような条件整備」としては、パートタイム 労働対策としてパートタイム労働法の施行や職務分析の手法や比較に係る情報収集、そ して在宅就業対策、再就職や企業に向けた支援といったことを掲げています。さらに労 使団体との連携をはじめ、関係者・関係機関との連携、また行政推進体制の充実、強化 について書いていきたいと考えています。  以上、骨子案についてご説明しましたが、現行の方針と比較した場合の特徴点として は、あえて申し上げれば、現状に照らして女性の職業キャリアの継続ということを意識 的に打ち出してサポートしていく姿勢を示せるような構造にしたということと、ポジテ ィブ・アクションの位置付けを広めにとらえ、積極的な活用を図って定着を促していき たいということ。また非正規労働者に対する配慮と規模別対策に意を用いていくという 姿勢を随所に示せるような配慮をしたというところです。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局の説明につきまして、ご質問等 がありましたらお願いしたいと思いますが、まず1ページから3ページまでの「男性労働 者及び女性労働者のそれぞれの職業生活の動向」という項でまとめた点について、ご質 問・ご意見をお願いしたいと思います。 ○山崎委員  その前に少しお聞きしたいことがあるのですが、今までもこの基本方針は平成12年 度のものが5年間続いてありましたが、これがどの程度行き渡ったのかが、一つ疑問で 残るところです。  それからもう一つ、古い基本方針を見ますと、費用面の援助制度を活用する、あるい は支援等の拡充を行う、施策を推進するなど、いろいろな必要性を説いているのですが、 どの程度これによって施策が講じられてきたのか、あるいはまたその施策が満たされて いるのか、充足率のようなもの。その施策が実際に受ける側にどんな評価を得ているの かというような何かその体系図といいますか、一覧表。この項目についてはこういう施 策、支援措置が講じられたという項目別の一覧表など、評価、体系図といいますか、施 策の一覧のようなものがあるとわかりやすいし、何かこれからやるときに論じやすいの ではないかと思いますが、そういうものは用意していただけるのでしょうか。 ○安藤雇用均等政策課長  次回までにご用意しておきます。 ○林分科会長  ではその他にご意見は。 ○松井委員  今の山崎委員の指摘に対して、少し付け加えて申し上げますと、要するに基本方針が あって、それに対する施策があって、そして恐らく今日の参考資料の2はその結果がま たどうなっているのかということになっているのだと思います。ですからどういう施策 をやった結果がどのように変わったのかということが分析的にわかるものがあると大変 ありがたいと思います。それは佐藤委員が座長でなさった研究会がまさにそうなのかも しれないのですけれども、それを一連のものとして、もう少し理解しやすいものという ことが、山崎委員が申し上げた趣旨で、私どもとしても今後は基本方針をさらに作って いくのであるならば、同じことを書いて何も進まなかったのかどうかなど、やはり第1 次の男女雇用機会均等対策基本方針の成果がどうだったのかということをこの審議会な りに一応ざっと見る作業はやった上で、次の作業に行ってはどうかという趣旨だと思い ます。 ○安藤雇用均等政策課長  整理したものをご用意したいと思います。 ○林分科会長  では吉川委員。 ○吉川委員  資料2の1ページの1の「労働力の質的変化」のところですけれども、そこの○の二つ 目に「就業形態の多様化が進展し、女性、男性ともに正規の職員・従業員が減少傾向 にある」と書いてこのように断定していますけれども、総務省の労働力調査によります と、昨年平成18年からは少しずつですけれども正規労働者が増えていると思います。 そうした動向についても踏まえた上で記載するべきではないかと感じます。  それからもう一つ、同じページの一番下の「労働条件」の二つ目の○のところに「子 育て世代の男性の多くが長時間労働」とやはり書いてありますけれども、やはり総務省 の労働力調査によれば、30歳代の男性の割合は2004年から徐々に下がってきていますの で、数字が23.8%から21.7%になっていると思います。この割合が高いか低いかという のは別問題ですけれども、徐々に減ってきているという事実を踏まえて記載していただ けたらと感じます。以上です。 ○林分科会長  安藤雇用均等政策課長、どうぞ。 ○安藤雇用均等政策課長  非正規の労働者数につきましては、平成18年度から反転しているのではないかとい うお話ですが、あまり足元の1年ごとの動きを追うというのも何だと思いますので、若 干長期的なトレンドを書いているとご理解いただけたらありがたいと思います。  後段の部分につきましては、むしろおっしゃったように、水準がいかがなものかとい うことが最近指摘されている話ではないかと思いますが、ご指摘の点については考慮し たいと思います。 ○松井委員  2ページの(2)のウのところですが、その3番目の○で「パートタイム労働者と一般労 働者の時間当たり賃金の格差は大きく、特に男性において大きい」と書いてあることに ついて、次の項目になるのかもしれませんが、5ページの「2具体的施策」の(1)のイの 「男女間賃金格差の縮小」で、格差を生む規定要因等々を調査・研究するということも 書かれています。後でこういう研究もするということであるならば、こういう格差が生 まれているという一般的な数値を書くときにも、どうしてそうなっているのかをわかる 範囲できめ細かく書いてもらうよう注意をしてもらえるとありがたいと思います。 ○林分科会長  お答えはよろしいですか。 ○安藤雇用均等政策課長  きめ細かい要因がわからないので調査・研究をしたいと思っているところですが、お っしゃるように平均賃金などの格差はさまざまな要因が含まれていますので、そういっ た趣旨について書き込んでいきたいと思っています。 ○鴨委員  今と同じところなのですけれども、ここが少しわかりにくいのは、まず初めに賃金格 差が大きいとなっています。ここはいわゆる男女合わせてのパートタイム労働者の賃金 格差が大きいという意味で書かれているのかというのが一つと、それから特に男性にお いて大きいというのは、これは男性のいわゆる正規労働者を100としたときに、男性パ ートと比べて大きいということが書かれていると思いますが、そうであるならば、もう 一つ、男性を100としたときに女性のパートの賃金格差はもっと大きいわけですよね。 これは男女の均等ということをもう少しここに書くべきではないだろうかと思いますが、 いかがですか。 ○安藤雇用均等政策課長  一般労働者の男性の賃金と、パートの女性の賃金という形での比較ということですか ら、男女賃金格差を均等の枠組みの中で評価しようとするときには、むしろ一般労働者 の中での男女間の賃金格差、パートタイム労働者の中での男女間賃金格差という形にブ レークダウンしていって、同じ条件の者同士の比較をしていかないと、なかなか均等法 のいわゆる性差別の対象部分がわからなくなるのではないかと考えていまして、ここの 部分につきましてはパートタイム労働対策の枠組みの中で物事を見ようとしていますの で、このように男女計の比較と、さらに男性についての一般労働者、パートタイム労働 者という比較になっているとご理解をいただけたらと思います。 ○齊藤惠子委員  1ページの「労働条件」の1番目の○ですが、「賃金格差は、徐々にではあるが縮小傾 向」となって、実際に縮小傾向にもありましたが、直近の2年間は逆戻り現象が見られ ているので、そこの原因をきちんと押さえておくべきではないかと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  直近の2年間については、いろいろな要因があろうかと思われますが、まだそれは明 らかになっていない部分もありますし、足元のことですので、これは長期的なトレンド で見ていきたいと思っています。 ○川崎委員  3ページの「まとめ」ですけれども、いろいろと昭和60年からやってきてはいるもの の、働き方を見た場合に、男性と比較して女性の労働者が実質的な機会の均等が確保さ れた状況にはなっていないというようなコメントがあると思いますけれども、機会の均 等は法的には担保されました。ところが実質的といったところが書かれているわけです けれども、どういった状態までそれを求めていくのか。実際に働いている人たちがいろ いろな働き方が出てきたり、意識の面でも変わってきている中で、どこをゴールの設定 としてやっていくのかといったところを、ある程度幅がないと、何か一律的なものを求 めていくのかというと、それはまた違う。そうだとすると、その実質的というのは、あ る程度の幅を持ったところで明らかにするところがないと、なかなか具体的な施策に落 とすときの考え方が難しいのかと思いまして、少しこの辺をひもといていただくといっ たようなところも検討してほしいと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  ここで実質的な機会均等といっているのは、制定当初から必ずしも均等法は結果の平 等を求めるものではないというスタンスはずっと堅持しているところで、あくまでも機 会の均等です。そうした場合に行政としてやはり目指すべきは、希望する人がそのよう な就業形態なり、ポジションまでいけないということであったり、入職段階で差別され るということがあってはならないということで、それが第一だと思います。それのため のメルクマールとして、恐らく潜在就業希望率的なものがあるかもしれません。それか ら、欧米先進国と比べて、ここまで差が付いているというようなことや、そういった数 字を幾つか出していますが、必ずしもそれが目指すべき目標だというのではなくて、や はりそれは一つのメルクマールとして見ていくものにすぎないと思います。その部分が 機会の均等の実質化に向けて取り組むときの一つのよすがといいますか、きっかけにな るという位置付けだと考えています。 ○龍井委員  まとめの評価の部分に入っていくと、入り口論のそもそもの話に戻っていくので、私 もなるべく遠慮したいと思っていますが、ただ気になるのは、男性の長時間化というの が一方で何カ所か指摘されて、ところが問題なのは、分布で見ないとわからないわけで すけれども、女性たちの多くの人たちの傾向でいうと、長時間化が進んでいると。それ で今までですと、非正規というと女性割合が高いという話で大体くくれていたのですけ れども、見直しの5年ということでいうと若年を中心に男性の非正規も増えてくる。そ うすると、先ほどの話とのかかわりで、どことどこを比較するかということで、実質的 な均等というのが、例えばこのときの議論で間接差別のパート問題が起きたときに、そ の問題をここで蒸し返そうというのではありません。それがあったときに、それは性差 別ではなくて雇用形態差別ですと整理をされていくと。そうすると結局男性も長時間化 をし、傾向が強まり、非正規割合が増えていく。女性も従来と同じ延長の非正規割合が 増えると同時に長時間化も進んでいくという、その形態だけとらえると、まさにこれは 実質的な均等と言えないわけではないけれども、私どもはそれが望ましい均等と全然思 っていないわけです。だからここの書きぶりがその両方の面の問題点。キーワードはこ こにも書かれている仕事と生活の調和という方向が、ここは少しあいまいな表現で影響 を与え、考え方も多様化しているとなっていて、では後ほども出てくるのですが、この 5年間で望ましいワーク・ライフ・バランスの方向に進んでいるかというと、ここも評 価は分かれると思いますけれども、私たちは思っていないです。その辺を少し私どもが 言ったような言いぶりで書けというと、これは当然異論が出てくるので、ただ問題の整 理としてはそういう傾向を指摘しないと、やはり20年前の均等法ができたときの状況と、 10年前の改正の状況と、そして今回の今直面しているものとは、やはり物差し自体も少 しずつ変わるのが当然だと思いますので、何かその辺の問題意識はちりばめてほしいと 思います。少し工夫をしてくださいという程度の発言です。 ○林分科会長  それはよろしいですね。工夫をお願いしたいということで、特に回答ということでは ないと。 ○今田委員  恐らく法律的な均等状況、それが数値で測られる均等状況。それに加えて基本方針で は、しつこく基本になる考え方という、4ページのところに書いている、要するに「将 来ビジョンを持って主体的に選択をして男女とも就業生活を全うする」それが基本的に 目指すべきものというか、実質的な均等状況というか、そこだというふうにこの文章は 理解できるのですけれども、そうではないのですか。この哲学は、この第2次案の考え 方は形式的な法律的な平等、均等の枠組みができて、なおかつ実質的にいかない。その 間にいろいろと諸問題がある。それを端的に整理すると、ここの4ページに書いてある ような女性が家庭生活を営みながらそれを継続していけない、長期的なビジョンを持っ て仕事と生活を調和しながらやっていけない状況にあって、それをきちんと環境整備し ていきましょうという、そこが実質的な平等を実現するためのポイントだという主張な のではないですか。だからここでいっている実質的な平等というのは、法律の枠組みで もないし、形式的に男女が同じ就業率で正社員に就いて、パートタイムは同じように賃 金も同じというようなのではなくて、男も女もともに自分の長期的なビジョンを持って 一律的に選択をして就業生活を全うする。それが実質的な平等ということではないので すか。私は説明が下手でわかりにくいのですけれども、私は、この基本はそのように理 解をしています。違うのですか。 ○林分科会長  今4ページ以降の話になりましたが、1ページから3ページ目の議論を一応これで。 次の。 ○今田委員  だから4ページ以降の中身を言っているわけで、頭は後ろのさわりでしょう。 ○林分科会長  そうです。4ページ以降の議論に入るという形で、もうよろしいでしょうか。 ○松井委員  現状分析の中で簡単には触れられているのですけれども、就業意識が変わったなどい ろいろと意識面での記述もありますが、主としてそうではなくて、結果に基づいたもの が中心になって書かれていると理解します。ではその結果になっているものが、言って みれば全部企業側の責任だというような書きぶりではなくて、今、今田委員がおっしゃ ったことも踏まえて言うならば、いろいろな人がいるので、多様な選択肢があって、機 会があって、選ぶ範囲が広がってきているというようなことがもう少しわかるようなも のを書いてもらえればと思います。そう申しますのは、実質的なということで、3ペー ジのところから議論が起きているというのは、4ページ以降も実質的に何か均等確保と いうことが命題になっているようですけれども、問題解決のためには、企業の雇用管理 上の取り組みはまだまだ進める面があるのかもしれませんけれども、やはり働く人たち 本人の問題もあるでしょうし、もう一つ核家族化が進んでいる中においては、社会的イ ンフラの整備の部分もやはり充実させてもらう必要もあるという面があると思います。 ですから、この基本方針は都道府県知事にも意見を聞くそうですので、そういう面での 目配せや、本来記述ももう少しあってもよいのではないかと思います。 ○吉川委員  すみません。もう一度お願いします。1ページの先ほどの「労働力の質的変化」の2 番目の○の所のお答えに対してなのですけれども、まだ目先のことだからうんぬんと いうお話がありましたけれども、少なくとも2006年の第1四半期からずっと1年半、ず っと減少しているにもかかわらず、それが長期の中で評価されないということ自体が、 企業としても一生懸命取り組んでいることが評価されないというような印象に受け取ら れてしまうということは大変残念に思いますが、先ほど組合の方からも、多分同じとこ ろの指摘があったと思いますが、何かその辺、ただ減少傾向だけではなくて、ここ1年 半上昇しているわけですから、そういったことも何か少し考慮していただけたらと思い ますので、よろしく再検討のほどお願いしたいと思います。 ○林分科会長  では事務局でも検討していただくとしまして、4ページ以降の議論に入っていきたい と思います。ご意見・ご質問等がありましたらお願いします。第2の「1施策について の基本的考え方」。「具体的施策」の前までをまず議論したいと思います。フルセン テンスで書き下した文ということです。 ○龍井委員  細かいところにいく前に、この書きぶりですが、先ほども出たところと関連します けれども、この流れが第2パラグラフつまり「法制上の整備はほぼ完成型に近づいた」 というのは何のことだろうという、これは本当にそう思われたりすると困るのですが。  その上で、下から3分の1ぐらいに、「従って今後は実質上の」という、その枠組み 自体については少し認識が違うということがありますので、先ほどから問題になってい る「実質上」が一つのキーワードになっているのだとすれば、もう少しここは丁寧な記 述が要るのかもしれませんが。まず質問にしましょうか。どういう意味合いで使われて いるのか。我々はそう思っていないので、お願いします。 ○安藤雇用均等政策課長  ここで「完成型」と書いているのは、均等法が昭和60年にできたときに、たくさん 宿題がありましたし、片面性もありましたし、努力義務規定というものもありました。 そうしたものがこの間の改正で一通り解決を見たので、その意味でその当時の宿題が終 わったなという趣旨です。おっしゃる通り、均等法はこれまで社会の情勢に応じて進化 してきた法律ですので、その性格自体を否定するものではありませんから、そういった 趣旨が出てくるような書きぶりを次回は考えたいと思っています。 ○川崎委員  先ほどの質問と関連してくると思いますが「均等法についてはほぼ完成型に近づきま した」ということで、完成型に近づいたので、この4ページの下から二つ目のパラグラ フになるのでしょうか。そういう意味では「法の履行確保のみならず、各企業における 雇用管理制度及びその運用の見直しが不可欠である」と。法律は完成型に近づいたので、 そこの運用については企業に求めていくというような論調で書かれているように見受け られるのですけれども、前段の議論の中でもありましたように、少し企業の努力以外に も社会的なインフラや個々人の働く意識など、いろいろな面。あるいは税制などにも目 配りしていかないと、企業の運用だけで均等が確保されていくといった論調での書きぶ りよりは、もう少し幅広い視点が必要だというようなところも考慮していただくような コメントにしてほしいと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  書きぶりはまた工夫したいと思っていますけれども、基本的にはこの基本方針という のは、行政が何をやるかということをお示しするものですので、ここで申し上げている 「法の履行確保」というのは行政として法律を施行していくという部分の根幹部分です。 そうしたことがあった上で、法違反でないという状況だけで世の中が変わるのかといえ ばそうではないというのは、まさにポジティブ・アクションの理念とするところですの で、そうした取り組みが個々の企業で行われるようにするには、行政として何をしたら よいのかといったことを書いていきたいと思っています。もちろん、これまで行ってき た性別役割分担意識に対する啓発といったようなものも大変重要なことだと考えていま すし、社会的なインフラの部分についても、中に入ってくるものであろうと思っていま す。 ○鴨委員  4ページの第2の1の上の方にあります「実態面での男女格差が縮小していかないこと の背景には」ということで、「就業継続を希望しながらも離職を余儀なくされる場合を 含め」の次のところですけれども、「出産・育児等により離職する女性が依然として多 く」。これは確かに実際に多いですよね。それでこの書きぶりですけれども、最初のと ころでは「離職を余儀なくされる場合を含め」次に「出産・育児等により離職する女性 が依然として多く」という書きぶりになっているということは、この「出産・育児等に より離職する」ということは、いわゆる女性の側の意識の問題を前面に出している書き ぶりなのか、その辺をお聞きしたいということと、それからもう一つ、そのように受け 止められるという意味でお聞きしたいということと、それからその下の部分で、「女性 が家庭生活を営みながら就業を継続するに際しての将来ビジョンが描きにくくなってい る」というところが、少し言葉を含めて意味合いがよくわかりにくいのです。何をここ で言いたかったのかを教えてください。 ○安藤雇用均等政策課長  前段の部分は第1子の出産でお辞めになる方が7割おられるということですので、や はりそのこと自体が、継続的な職業キャリア形成が困難になっている。どこかで中断し なければならない、それでまた戻ってくるのがなかなか難しいといったようなことを生 んでいる事実には変わりがありませんので、あえて「離職を余儀なくされる場合」だけ ではなくて、辞めるという選択をしているという実態を含めて、この前段部分には書き たかったので若干広く書いています。意識がどうこうということではなくて、事実とし てそういう状態があるということを書いたつもりです。  それから後の方ですけれども、恐らく若い女性が家庭生活を営みながら自分はどうや って働いていこうかと思ったときに、具体的な展望が開けなかったり、ロールモデルの ようなものがない中でビジョンが開けなかったりする。そういう状況になっているので はないかと。そういうことを書いたつもりです。なかなかそれを実際にされている方が 少ないということもありますし、周りの働き方を見ていて、これでできるのだろうかと いう不安感もあるだろうと。その辺のところを「将来ビジョンが描きにくくなっている」 という言い方で表現したつもりです。 ○龍井委員  関連してよろしいでしょうか。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  前回もご質問したことと重なりますが、先ほどのお話では、キャリア形成の問題が計 画の中で一つの特徴として位置付けられたということですが、論点は二つあると思って いて、一つは、ここでは主体的にキャリアを選択することができることが求められてい るというのは、かなりこれは個別企業努力にとどまらない仕組みというか、援助の制度 というのか、そういう意味では幅広いものが必要なことは間違いないのですが、片方で 今の論点と重なるのは、結局均等法の個別の管轄というのか、テリトリーでいうと、そ の後も個別企業内でキャリア形成をすることについての検討待遇というのか、あるいは 機会確保というのか、それが、その面でどういう課題が残っているだろうかということ については後ほどの施策とも関連しますが、もう少し突っ込みがほしいということがあ ります。従ってそこの問題指摘がもう少しあってもよいのではないか。その場合に一つ の指摘は、今、現に起きているように、キャリアを選ぼうとすると出産や育児との二者 択一の中で、辞めないとしても断念を余儀なくされていくような、つまりキャリアを指 向しようとすると、ここで書かれている男性正社員的な働き方に合わせざるを得ないと いう問題と、それからもう一つは、いわゆる雇用管理区分の問題やコース別で議論され てきたように、どんな人でも機会が与えられていくものなのだということが、かなり弱 まっていると。両面のことがありますので、整理をすると、企業内の均等法のテリトリ ーでできることと、それから仕組みや社会でできる課題をもう少し鮮明にしてもらうと 後の具体的な施策につながると思いますので、せっかくキャリアをキーワードにするの であれば、その辺の解明を前回の報告書とも関連しますが、きちんとしていただければ と思います。 ○安藤雇用均等政策課長  ここで言っているキャリアというのは必ずしも企業内だけの話でもないと思っていま して、均等法も入職段階での機会の均等ということもありますから、そういう意味で広 めの対応が可能ではないかと思っています。研究会のときにもご議論がありましたけれ ども、必ずしも継続就業といっても1企業内での継続就業がすべてではないという考え 方もありますので、そういった出入りの部分も含めて、均等法として果たしていく役割 はあると思っています。 ○吉川委員  やはり働き方。7割が第1子出産で退職するということで、その人その人の働くことに 対する価値判断というものもあると思います。そしてそういった実質上のことをよく踏 まえるということとともに、企業にだけそうしたことをこうしてほしい、ああしてほし いとと望むだけではなくて、やはりこの取り組みについては企業の努力は当然必要です けれども、そこだけでは網羅できない、もっと社会的な取り組みも全体的に必要ではな いかと思いますので、そうした観点からも強調していただけたらと思います。 ○林分科会長  今のは、ご要望として。 ○山本委員  少し今の意見にも関連するかもしれませんが、女性が継続して就業していくことが不 可能になるという理由がいわゆる企業側のいろいろな仕組みや受け入れの体制など、そ ういうことに要因があるようなトーンが非常に強くというのですか、バックボーンにそ ういう考え方がいまだにあって、従って均等法自体が十分に今ランニングしている状態 なのかということが、まだまだ不十分であろうということなのですが、逆に言うと女性 の労働意欲という問題です。そういう観点から物を見たときに、実際にやはり出産や育 児に対する価値観は、まだかなり高いですから、そういう視点も実はそこには働いてい て、いわゆる働きたいけれども、働けなくなるという感性よりも、むしろそういうこと を生活の中の重点として非常に貴重に感じているがために、仕事の継続性よりはそちら を選んでいくという女性の中にある本性的なものの考えようというものが、実はその中 にはあるのではないかという気が私もします。実際に企業がそういう場面を提供しよう としても、むしろ逆に、今はそういう状況ではないということから、むしろ自分の母性 を中心にした生活を求めようとする場合も当然あるわけで、そういうことはこういう中 でなかなか表現しづらい問題ですけれども、そこが男女の根本的な違いということにも なろうかと思いますけれども、若干そういうこともあるので、その辺はこういうものに は反映しきれないとは思いますが、生活上の価値観の男女の相違ということも少し触れ ていかないと、実際にそういう枠を広げるということだけで、女性がどんどん仕事の場 に入ってこられるのかどうかということについては、若干疑問があるような気がします ので。そのような点が感じられます。 ○佐藤委員  よろしいですか。 ○林分科会長  はい、佐藤委員。 ○佐藤委員  7割が辞めるというところに議論が集中しているので。女性もキャリアと結婚や出産 のことについて、いろいろな考え方で多様化しています。ただ時系列で見れば、結婚や 子どもが生まれても働き続けたいというのが増えているのは間違いありません。でも全 員がそうというわけではなくて、これはいろいろな調査を見ても、希望としては結婚や 出産があっても仕事を続けたいという女性が増えています。その上で7割辞めていると いうことですから、この中にもちろん家事・育児に専念したいので自主的に辞めた人も います。いろいろなデータで、これが半分ぐらいです。ただ他方で、続けたかったのだ けれども両立が困難で辞めた人、あるいは辞めさせられたという人も実際にいて、合わ せると3割ぐらいあるのです。もちろん自主的に辞めたという中にも、夫の子育てのか かわり方で変わる可能性があるとは思いますが、それは一つの選択だとすれば、あと3 割ぐらいは続けたかったけれども、例えば育児休業を取りにくいなど、そういうことで 辞めた人がいるわけです。ここについては、もう少し企業としても取り組みがあるでし ょうし、もちろん保育園に入れられそうにないので辞めたという人もいますから、社会 的なそういう基盤整備はもちろん必要で、全部企業の責任だというつもりはありません。 そういう意味で、やはり続けたいけれども辞めざるを得なかった人たちがもう少し続け られるような仕組みを、企業も社会的にも整備していただきたいという趣旨で、7割全 部がそうだという意味ではありません。 ○今田委員  それに加えて、4ページの意味は下から2パラグラフに「また、同時に、男女にかか わらず、仕事上の責任を果たしつつ」うんぬんは、つまりここで問題にしているのは、 女性も辞めて出産して子育てに専念したい人もいれば、そうではない人もいるだろうし、 でもパートナーの男性にもいろいろなものがあって、家族で仕事をする人は二人で家庭 を営みながら決断すると。そういうことですよね。女性だけの雇用管理の問題だけでは なくて、この問題は男女がというのをこの均等法の枠組みの中で、ここはやはりかなり 重要な部分なので、個別の男性、女性が働きたい、辞めたいというのは、ある意味では 事実あるでしょうけれども、この方針はそういうことではなくて、それをどう考えて行 政としてどういう枠組みで対応していくかというときには、特にここは重要で、男性も 入れている、想定されているということが重要になっているというか、そこはやはり外 してはいけないのではないかと思います。 ○龍井委員  関連で、よろしいですか。 ○林分科会長  はい、龍井委員。 ○龍井委員  同じ意見ですが、やはりこの間、均等法が20年経って、その辺の考え方はできるだ け共有したいと思うのは、やはり男性が基軸で、そこから見て女性差別、従ってそこに 合わせる均等といったパターンが、やはりもうそうではなくなりつつある。従って言葉 尻で恐縮ですが、先ほどの「本性」ということは多分もう大体なくなりつつあって、や はりそれは結果として、まさに夫の専業主夫があることもあり得るし、それはいろいろ な多様化はそういうこともあり得る。だからそういうことが可能になるような、どうな るかということは誰も規定できないわけで、ただそれがどちらか一方しか選べないこと は辞めようとなっているので、その辺は多分つまり子どもがいることで労働意欲が低下 する男性もいて不思議ではないし、そういうことが当たり前になるようにするという方 向をできたら共有したいと思います。 ○佐藤委員  よろしいでしょうか ○林分科会長  はい、佐藤委員。 ○佐藤委員  研究会で議論したときにも、やはり現状の男性の働き方に女性が乗れるようにして均 等を図るということでやってきたわけですけれども、やはりこれからは男性もという言 い方はおかしいけれども、特定な働き方を前提としているというものを少し変えていか ないと実質的という均等は実現できないだろうと。もちろん長く働くのが悪いという意 味ではありません。ただし、長く働くような働き方しか受けられない職場は変えていか なければいけないだろうと。男性も妻がフルタイムの仕事を持っている人もいるわけで すし、男性もいろいろな働き方を選択できる仕組みに変えていかないと男女の均等はな かなか実現しにくいのではないかというような議論をしました。そういう意味ではポジ ティブ・アクションの中にワーク・ライフ・バランスという働き方の見直しを入れてい くことが大事だというのは、一応ここにも入っていますけれども、そういう意味では新 しい政策で、ポジティブ・アクションをかなり広めに取るというのも、その辺から出て くるのではないかと思っています。 ○林分科会長  この4ページから5ページに掛けての「基本となるべき事項」という「基本的考え方」 については一応皆さんのご意見を伺ったということで、次の5ページの「具体的施策」 に入っていきたいと思います。なるべく個別の具体的な施策というより、やはりこうい う一応趣旨に基づいたものを施策として考えるという形で、具体的にこの施策をやるこ とを求めるということではなく、もう少し大きな立場で議論をしていただきたいと思い ますが。「具体的施策」でご意見・ご質問等がありましたら、お願いします。 ○龍井委員  今の話の続きだけ先に言わせていただくと、6ページの(2)の大きな柱になっています 「仕事と生活の調和」が佐藤委員が言われたような、そういう見通しでこれを位置付け るとすると、少しここでは狭いかなと。いわゆる古典的なというか、今までの女性の両 立支援と読み取られかねないので、それは今のような考え方が共有できるのであれば、 むしろここは大胆に広げて項目の立て方も工夫されたらどうかと思います。 ○林分科会長  この柱立てとして、今のご意見に基づくと、2の中に例えばどういう柱立てを入れる ことになりますか。 ○龍井委員  入れるというより、これは男女問わずだと思いますけれども、ア、イ、ウ、エがどち らかというと、仕事と子育て、あるいは両立といった概念で、今の調和が可能になる条 件づくりというのは、そのア、イ、ウ、エともう一つ大きなくくりで、各論よりそうい う働き方の見直しのような立て方でやる大きな項目を起こして、それを具体的に特に男 女平等の視点から何が必要かというように具体化する。そういう大項目ですよね。 ○佐藤委員  質問ですが、ポジティブ・アクションにはワーク・ライフ・バランスも入っているの ですよね。というのではなくて、どのようなイメージですか。 ○今田委員  3と4でカバーしているのではないですか。 ○龍井委員  ただ、その中でポジティブ・アクション、必ずしも競合されないような制度の検討で あるとか、あるいは多分これは文書の性格付けとして、例えば新たな予算措置などそう いうバックグラウンドになるデータになっていくと思うので、そういう項目が抽象的で あれ一般的であれポジティブ・アクションとは別にそういう施策を担保するような書き ぶりはあるのではないかと、ダブッていれば。という趣旨です。 ○吉川委員  5ページの「具体的施策」の(1)(1)アの下から二つ目の「間接差別となる措置の見直 し検討」と書いてありますが、間接差別につきましては、今年4月に施行されたばかり でございまして、この施行状況を十分に評価した上で、それから見直しの検討をすべき であると思いますので、ここでこれを入れるということは時期尚早だと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  この部分につきましては私どもも、国会審議の中でも問題になっていましたし、国会 からいただいた附帯決議の中で施行状況を勘案して機動的な対応を図るという宿題をい ただいているところですので、これは前回の基本方針の場合もそうでしたが、審議会な り国会なりで宿題をいただいた部分についてはやはりこれは誠実に書かせていただきた いと思っています。特にこの法は5年の見直し規定が国会修正で付けられました。その 見直し期間にかかわらず機動的にということが附帯決議で書かれています。となります と、この方針は5年の運用期間ですから、やはりこの期間で一定の対応を図っていく姿 勢は出しておくべきだと思っています。 ○吉川委員  そうしましたら、できれば今までの施行状況などをお知らせいただけたらと思います。 ○安藤雇用均等政策課長  施行されてまだ半年ですので、今すぐ見直すということではございませんので、施行 状況なり判例等の動向を把握した上で対応したいと思っています。 ○鴨委員  今のところに関連するのですが、この措置の見直し検討という意味合いですが、一応 「間接差別」については三つ限りではないというようになっていると思いますので、こ の措置の見直しということは三つ限りではないというところについて、広げていくとい う意味合いで、ここに「検討する」と載っているということでよろしいですか。 ○安藤雇用均等政策課長  検討の結果、広げるかどうかについてはここでは約束するものではございませんが、 その対象となる措置についての見直しということでいただいていますので、そのような 方向で検討したいと思っています。 ○山崎委員  6ページの「ポジティブ・アクションの推進」なのですが、「中小企業への広がりも 不十分」と書かれていますが、これは確かに中小企業の経営者は知らない方が多いし、 法律的には男女共同参画社会基本法では何か積極的改善措置ぐらいの話ですよね。これ が横文字になっていてなかなか普及していないということがあるのですが、やはり経営 者にそれが普及すれば、中小企業の方もきちんとした対応も取れると思います。後は経 営者の理解と決断に委ねるところが非常に大きいと思うのです。ですから、これは施策 を普及させるための何か方策というものを、この最後の「行政推進体制の充実、強化」 の一番下にあるのですけれども、もう少し具体的にこういう形で下まで普及させる、そ ういう行政としての方針を何か描いていただいた方がよいのではないかという気がしま す。パンフレットにしても100万部ぐらいの単位で刷っているのかもしれませんけれども、 400何十万事業所があるわけですからできれば全部に、予算の関係もありますけれども 何らかの形で行き渡るような、とにかく知らなければ何もできないわけですから、私ど も団体の役割かもしれませんけれども、できればそういう方策をきちんと描いていただ きたいと思います。 ○齋藤惠子委員  5ページ(2)の「セクシュアルハラスメント防止対策の推進」ですが、情報提供だけで なくて、企業の管理職や相談窓口担当者の研修会の開催なども含めて引き続き行政とし て進めていただきたいと思います。それからその次の(3)「女性の能力発揮のための支援」 の部分なのですが、進路選択や能力開発だけではなくて、男女学生に対しての労働基準 法や均等法や育児介護休業法等の周知も必要なのではないかと思うので、その辺もお願 いしたいのですが。 ○安藤雇用均等対策課長  具体的な施策を網羅的に書くことは難しいかもしれませんが、実際に施策を推進する 上では工夫させていただきたいと思っています。 ○林分科会長  これは(6)の方の中に含まれているということでよろしいですね。 ○安藤雇用均等政策課長  はい。 ○斉藤千秋委員  要望ということになると思うのですが、実質上の機会均等の確保という視点から今回 具体的な施策の中に「男女間賃金格差の縮小」、「仕事と生活の調和の推進」と「ポジ ティブ・アクションの推進」という大きなテーマが入っています。私などの感覚的な話 になってしまうのですが、やはり育児休職を取ったりすると、その育児休職に当たる年 齢が企業の中でいう昇格の年齢と当たっていたりというようなことで、その期間に就業 できなかったということが結果的な賃金格差になってしまうのではないかと。そういう ことからすると、両立支援、30代などで子育てを選択し一時休職を取り短時間勤務で働 くと言うようなワークスタイルを選んでいくと、それが結果的に企業の中でのポジティ ブ・アクションが遅れる、あるいはそれに乗れないという実態があるのではないかとい うこともあり、こういう基本方針で実質上の機会均等の確保というようなことで基本方 針を掲げていただくのであれば、この辺の関係というか、ぜひいろいろな調査や研究を 含めて一定のその方向性のようなものを出せるとよいのではないかということで、ぜひ その部分も視野に入れて、一つ一つに個別を見ていくというよりは相関関係のようなも のもぜひ研究していただきたいという要望です。 ○安藤雇用均等政策課長  今のことに関連した施策といたしましては2(1)(1)のエの所、今現に21世紀職業財 団に委託研究として佐藤先生にやっていただいている研究です。その妊娠期間や妊娠・ 出産にかかる休業期間、育児も含めてですけれども、公平性・納得性の高い評価・処遇 をどのように実現していくのかということについて、実際に企業の方々にいろいろと事 例を伺ったりしているところです。こういったものが最終的にはポジティブ・アクショ ンのツールとして何か生かせるところはないだろうかとも思っています。 ○龍井委員  関連でよろしいでしょうか。今の点のご説明のプラスで(1)(1)のアの最後の行に好 事例と対照的に「不利益取扱いへの対応」と。そういうケースについてもやはり実態把 握をきちんとされて、何が問題なのかということをもう少し具体的な指標につなげてい ただけると助かるなと。好事例だけで頑張るというのもそれはそれでポジティブ・アク ション的なことはとても重要だし、ヒントになるとは思うのですけれども、トラブルが あったり、あるいは問題があるケースについての実態把握もここで併せてやっていただ ければと思います。 ○松井委員  今龍井委員がおっしゃった不利益取扱いの実態把握というのは、うまく載せられるな らやっていただきたいと思います。賃金格差のところで育児休職が結果的に昇進の遅れ になってしまうというようなご指摘がありましたけれども、それならばその場合今回の 均等法において「妊娠・出産等を事由とする不利益取扱い」で相当事細かに企業側への 指針となるものが示されていると思います。そういうことからすると、まずそこの部分 での着実な施行というか、まず企業側がそれを十分理解してやっていくということが先 にあって、均等法が結果の平等を求めるものでないというならば、そこがどんな形でや られようとしているのかを把握する必要があります。それからもう一つ、企業側の声と して申し上げておきたいのは、今回の均等法における不利益取扱いの拡充において、他 との例えば私傷病休業との均衡を図るなどいろいろと事細かになっていると思います。 ですから、実態把握まではまず難しいと思いますので、こうになっているのだというこ とを企業側に対して、きめ細かくお知らせをするようなものが、まず最初にここに書か れていないと、現実には難しいのではないかと思います。  それから、賃金格差の要因はこれから分析するということだと思いますけれども、こ こに、ではどのくらいのものを書くのかがイメージできない。書くならばどういうこと があり得るのかということだけの例示だけでもしておくのか、それすらしないのかとい うことがまず疑問に感じます。  それからもう一点、最後は質問なのですけれども、この男女間賃金格差の問題につい て、確かかつて厚生労働省の事務局で専門家の方を集めて研究会を設置したと思うので すけれども、そこでの結論はどうなったのかということを私どもにお知らせをいただい た上で、ではそこを踏まえてさらにやるとしたらどういうことがあるのかということを きちんと踏まえた上で検討を進めてもらえればと思います。たしか村木審議官に、以前 こういうものをやるということを言われた記憶がありましたので、昔のことをもう少し 教えてもらえるとありがたいのですが。 ○村木審議官  研究会もやらせていただき、その結果を一応ガイドラインのような形で、強制的なも のではなくて、こういう目で自分の企業の中の賃金を見て、こういうことを改正のメル クマールにしてほしいということでガイドラインを出すところまではやりました。そう いう意味では賃金格差のことはかなり昔からいろいろな検討をしてきたので一定のベー スはあると思いますが、雇用形態も非常に変わっています。最近の雇用情勢も吉川委員 がおっしゃったように足元の情勢なども変わっていますから、やはり最新時点のもので もう一回検討し、今の時代に合った形の施策をやっていくことでさらに検討が必要なの だろうと思います。そういう意味ではベーシックなことはここにある程度書けますし、 さらにやはり今の時点での検討というのは非常に大事になってくるということで、この 辺を書き込めばと思っています。 ○佐藤委員  先ほど育児休業を取る時期と従来のその企業内のキャリア関係で昇進昇格で非常に大 事な時期であるということで、一つは不利益扱いはなくしていかなければならない。た だ、それがあったとしても今よりは遅れるということはある。でもこれだと遅れるので はないと考えていくことがとても大事だと思います。つまり育児休業を取って、企業は 別にその育児休業を取ったこと自体を持ってきて不利益な扱いするわけではないけれど も、例えば育児休業を取って1年2年後職業能力が落ちて貢献度が低くなって評価が低 くなることがありますね。これは不利益扱いではないわけですよね。そうすると取らな い人と比べて遅れるのです。でもこれは遅れではないのです。つまり取らない人を基準 に考えている発想なので、これはやはり変えていかなければならないだろうと。そうい う取らない人がずっといてこれがベースで、それから「遅れる、遅れない」ということ をまず変えていくということが、ここの話ではないのですが、極端に言うとそれがおか しい。これからだんだんいろいろな形でキャリアを中断することが出てくるというのが 当たり前で、ある面では誰が基準という標準がなくなるということだと思います。です から私は不利益扱いをなくしていく必要はあると思うのですけれども、やはり遅れると いう考え方をなくしていかなければならないと思っています。ここで書くことではあり ません。 ○安藤雇用均等政策課長  (1)(1)アの「不利益取扱い」は、ここでくくりを見ていただければわかりますよう に、均等法の履行確保、行政として法律を施行していくことの中身として書いておりま すので、おっしゃったような実態把握ということになりますと、法施行そのものでござ います。ここで意図しているのは指針も出しましたけれども、そのままずばりの事例が 世の中に転がっているわけではありませんので、それはやはり施行の中できっちりと実 態を把握しながら考え方をより明らかにしていきたいということです。 ○松井委員  5ページ2(1)(2)の「セクシュアルハラスメント防止対策の推進」で「積極的な行政 指導の実施」とあります。それから他にも何カ所か、次の6ページの(4)の「母性健康管 理の対策の推進」の所でも「積極的な」と付いています。確かもう少し他の所にもあっ たような気がするのですけれども、その趣旨というのは何かあるでしょうか。それを教 えてもらえるとありがたい。 ○安藤雇用均等政策課長  セクシュアルハラスメントと母性健康管理対策につきましては、前回の改正のときに 強化が図られた部分でございますので、そこにつきましては、やはり行政として前向き に対応していきたいという趣旨でございます。 ○林分科会長  その他、ご意見はございませんか。 ○松井委員  後ろの方の7ページになりますけれども、(5)「関係者・関係機関との連携」と(6) 「行政推進体制の充実、強化」で、(6)は厚生労働省がやることだけという整理になっ ているのでしょうか。これが質問です。それで(5)の「関係者・関係機関との連携」 で、下から二つ目のポツの「税制や社会保障制度についての検討」など、これも本当は 非常に重要な項目だと思うのですけれども、ここはどのくらいのことをここに書こうと するのかという疑問があります。疑問と言うか質問をします。それから「地方公共団体 が行う関係施策との連携」、ここは、本当は非常に重要な部分があると思うのですが、都 道府県知事がこの基本方針を見て意見を聞きたいと言われても、ここに書いてあること が少ないと意見を言う気も起きないのではないかと思いますので、本来ここは、もう少 し充実した書き方があってもよいのではないかと思います。本当に他の項目に比べると あまりにも少ないのではないかという気がします。最後のは意見です。 ○安藤雇用均等政策課長  前段部分の(5)(6)の関係と言いますか、(5)は外部との連携、(6)はどちらかと 言うと自分のところの身内の話です。その中で「税制や社会保障制度」につきましては、 前回のところでも書いていますけれども、基本的に担当部局としては当局ではありませ んので、いろいろ提言したり注意を喚起していくということをこれまでもやってきまし たし研究もしてまいりました。それで片付いた部分もありましすし、片付かない部分も ある。そのことについて引き続きやっていこうということです。  それから地方公共団体については、おっしゃる通りですので、これはあくまで骨子で すから、これに肉付けをしていく段階でおっしゃったような趣旨のことを書き込んでい きたいと思っています。 ○林分科会長  他にご質問・ご意見がございませんようでしたら、今日の議論を踏まえまして事務局 で文書による基本方針(案)を作成していただいて次回お示しいただきたいと思います。  続きまして議題2の「平成20年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求概要について」 に入りたいと思います。まず事務局から説明をお願いいたします。 ○高倉総務課長  それでは、資料のNo.3「平成20年度予算雇用均等・児童家庭局概算要求の概要」に沿 ってご説明させていただきたいと思います。全体の総論と言うのでしょうか基調といた しまして冒頭に書いています通り、「人口減少社会の到来を踏まえた少子化対策の推進、 仕事と生活の調和と公正かつ多様な働き方の実現」、これらを柱としています。この資 料の1ページ目の上の柱書きの方で書いていますけれども、従来からの流れを踏まえた予 算ということですので、特に、3行目の「子ども・子育て応援プラン(平成16年12月)」 の文章、また昨年の6月の「新たな少子化対策について」この辺りが少子化対策の推進 の基本骨格になっていますので、それらに基づいて施策の拡充に努めます。そして、こ れはまだ現在進行形ですけれども、「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略検討会 議」においては、6月に中間まとめを出していただいておりまして、年末に向けてさらに 全体像のとりまとめを出していこうとしておりますが、それを踏まえて総合的に推進す るという整理としています。  特にということで、それぞれの議論の中でも大きく最優先ということで出てきており ますワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、企業への支援あるいは成果の周知とい ったことで社会的気運の醸成・意識改革を推進していきたいということです。  また、具体的な労働政策の展開ということでパートタイム労働者の均衡待遇確保ある いは男女雇用機会均等の更なる推進、こういったことを柱としております。  主要事項としまして大きく2つのくくり、その下のページにあります少子化対策の推 進関係と◎で下にある「公正かつ多様な働き方を実現できる労働環境の整備」といった 大きな柱立てでございまして、また少子化対策の推進の方に、いわゆる保育その他地域 における対策の推進と並びましてワーク・ライフ・バランスの実現ということも雇用均 等・児童家庭局としては少子化対策の推進という観点の中でも大きなことということで、 そういう項目整理で掲げています。  2ページ目をご覧いただきたいと思います。計数の概況です。一般会計につきまして は対前年度で295億円の増、3.3%の伸びで9,104億円の要求です。特別会計につきま しては児童手当勘定が67億円の増、17.1%の増の459億円、労働保険特別会計では24 億円増で、19.1%の増ということで151億円の増の要求をしているということです。  具体的な施策につきましては3ページから時間の関係でかいつまんでご紹介させてい ただきます。まず少子化の対策の推進の関係で、地域における対策推進、一つ目が「地 域の子育て支援の推進」ということです。4項目ほどこの中にあります。(1)「すべて の家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実」ということで、従来からのいわゆる 「ソフト交付金」というもので、その内訳としての対象となる事業の中で幾つか新規事 業を盛り込みつつ従来からのものも継続していこうということです。次の4ページです けれども、このソフト交付金以外には「地域における子育て支援拠点の拡充」をしてい く、また「中・高校生と乳幼児のふれあう機会の推進」事業、そして「ハードの交付金」 こういった項目をそれぞれ充実していこうと思っています。この分野の大きな2番目と しては、保育の充実でございまして「待機児童ゼロ作戦の推進など」ということで伸ば していくため必要な予算を計上しています。  また右の5ページの(3)ですけれども、これは特に文部科学省と連携をして推進し ています「放課後子どもプラン」を着実に伸ばしていきたいということで掲げています。  4つ目が児童手当の国庫負担金、これは昨年度の乳幼児加算の引き上げの満年度化と いうことが増の主な要因です。  この少子化対策関係で大きな2番目は「児童虐待への対応など要保護児童対策等の充 実」です。(1)の「虐待を受けた子ども等への支援の強化」では、発生予防あるいは 早期発見・早期対応といったことを、また6ページは、特に来年度に向けて力を入れて いこうということで、審議会等も動き出していますが、「社会的養護体制の拡充」とい うことで、特に「里親制度の拡充」をしていきたいというようなことをはじめとして各 種の予算を盛り込んでいます。  また(2)としてはドメスティック・バイオレンスへの対策等への推進も引き続き充 実していきたいということで掲げています。  3番目は、「母子家庭等自立支援対策の推進」ということです。これは(1)としまし てやはり自立のための就業支援ということが非常に重点であるということで、予算額と しては実際の手当よりは少ない額ですけれども、引き続き充実していこうというもので す。(2)が経済的支援ということです。ここには貸付金や児童扶養手当というものが入 っています。  続きまして7ページは「母子保健医療の充実」です。これは、ごく最近でも奈良県等 の事例等で大きな問題になっていますけれども、初期から後期まで含めた「周産期医療 体制等の推進」、これは引き続き重点として取り組んでいきます。また、新たなものと しましては次の○で「子どもの心の診療拠点病院の整備」で、これはさまざまな子供の 心の問題や、児童虐待や発達障害等に対応するための都道府県単位における拠点病院を 中核として整備して、また連携を図っていきたいというものです。「不妊治療等への支 援」も引き続き充実していこうということです。  少子化対策案件で、もう一つ大きな柱立てとしてワーク・ライフ・バランスの実現を 掲げています。具体的な内訳として3点ほど掲げており、まずは「企業における次世代 育成支援の取組の一層の推進」をしようと、次世代育成支援対策推進センターを中心に 事業をしていこうということです。  8ページですが、「仕事と家庭の両立が図れる環境整備の推進」をしていくということ で、短時間勤務制度の導入・定着支援の拡充と事業所内託児施設の設置・運営等の支援 と、そして新規ですが男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発にも取り組んでまいり たいということで予算を計上しています。  (3)はテレワークの普及促進というものです。  最後になりますけれども、9ページでもう一つの大きな当局の柱である「公正かつ多 様な働き方を実現できる労働環境の整備」、大きく3点です。  1点目が、「持続的なキャリア形成の実現」、本日の議論の中でもいろいろとキーワー ドとして出てきておりますけれども、その辺りの女性の職業キャリアの継続可能となる 環境整備のための取組の支援ということ。また(2)では起業に対する支援の実施とい うことでメンター事業等です。  大きな2番目は「パートタイム労働者の均衡待遇確保と短時間正社員制度の導入促進」 です。せっかく成立させていただいた改正パートタイム労働法を本当に実のあるものに していくための事業主支援の充実ということで、きりのよい数字のところまで予算を増 額して要求していこうとしています。  3番目の男女雇用機会均等について更なる推進ということで、これもパートタイム労 働法と比べますと若干額が小さくなっていますけれども、引き続き職場における男女雇 用機会均等の推進のための予算を計上して要求しているところです。  少し時間の関係で、かいつまんだ説明でしたが、以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。それではただいまの事務局からの説明につきまして、ご質 問等がありましたら、お願いします。 ○岡本委員  6ページの母子家庭のところの(2)なのですが、この経済的支援は大変重要な施策だ と思いますので、ぜひ充実していただきたいと思うのですが、※の部分の行間をもう少 し説明をしていただきたいと思います。  それから8ページの新規の男性の意識啓発の推進の所なのですが、子育て期の20、30 才台の男性は比較的子育てに参加したいという男性が多いと思います。現に私の周りで も多いわけですけれども、そのことがなかなか職場環境や上司の理解の不足ということ で現実的には参加しにくいというか、かかわれないということがあると思いますので、 この対象は、やはりこの意識啓発をする対象は、むしろ子育て期の男性というよりは上 司と言うのでしょうか、経営者であり、もう少し上の方たちを対象にした内容にするべ きではないかという気がします。これからの中身だと思いますが、意見として申し上げ ておきます。 ○高倉総務課長  今のご意見の方はありがとうございました。そういったことを含めて、上司とも含め て意識を変えていけるようなものにしなければならないというのはご指摘の通りと考え ております。ご質問の6ページの一番下の児童扶養手当の※の所につきまして、先ほど 説明を省略してしまいまして失礼しました。ここは児童扶養手当法の5年前の制度改正 のもので、漫然と支給を続けていくことは良くないのではないかと、やはり自立支援・ 就労支援というものを重視して考えていくべきだといった観点で法律改正がなされた際 に、その施行の5年後である平成20年4月から支給期間と手当額の関係を見直すべし といった宿題が法制化されておりまして、具体的ないろいろな措置を政令で定めていく という枠組みになっています。要は具体的には5年以上経った場合の一部支給停止をど のように考えるかといった問題です。この点につきましては、今後年末の予算編成に向 けまして具体的な施策のあり方の検討をしてまいりたいと考えています。現時点で具体 的なものが決まっているわけではありません。法改正のときの附帯決議等におきまして、 そうは言っても就業支援の状況等を踏まえていくべきであるということになっています し、母子家庭当事者の団体等も含めて幅広く関係者の意見を聞きながら検討してまいり たいと考えています。 ○定塚職業家庭両立課長  8ページの「男性の仕事と育児の両立に関する意識啓発の推進」ということで、ご質 問いただいたと思いますけれども、実は事業主・経営者、管理職向けのものということ では、すでに助成金もありますし、また男性が育児参加できるワーク・ライフ・バラン スということで、冊子なども作って啓発をしています。今回は、両立について男性が両 立しやすいための制度とか支援とか、どういったところで情報が得られるかとか、そう いった情報も含めて、働く父親に対してのツールのようなものとしてのハンドブックと いうことで考えています。 ○鴨委員  9ページの1番の「持続的キャリア形成の実現」ですけれども、先ほどからキャリア 形成ということが何回も言われていた割には、本当に若干ですが、この予算削減ですよ ね。そこの意味合いがよくわからない。これからキャリア形成をと言っている割には、 どうしてここが削減されたのかなと思います。  2番目のパートタイム労働者のところですが、よくわからないのですが、均衡待遇推 進コンサルタントの配置によるアドバイスという、今までのパートタイム労働法の中で は、短時間雇用管理者を事業所において専任するように努めなさいということはあった わけですけれども、今回この均衡待遇推進コンサルタントというのは何なのですか。イ メージとして、外部にこういうものを作って企業が頼むのか、行政が送り込んでくるの か、よくわからないので、この意味合いを教えてください。 ○安藤雇用均等政策課長  持続的なキャリア形成の実現のところに「女性の職業キャリアの継続が可能となる環 境整備と企業支援」と入っていますが、若干減っているということでしたが、この中に 女性と仕事総合支援事業というのがありまして、三田にある「女性と仕事の未来館」の 管理経費の部分を、かなり今回工夫して削っています。そうしたことで事業費自体はな るべく落とさないようにということで配慮しながらやった結果ですので、ご理解をいた だければと思います。 ○高崎短時間・在宅労働課長  パート関係の均衡待遇推進コンサルタントについてご質問いただいたのですが、法律 といいますか、パート対策を進めていく上で、まず大きくあげて二つあると思います。 事業主に対して法的に問題が出る場合に指導するという側面と、法に則して事業主が何 か取り組もうとする場合に、技術的な問題などいろいろな専門的知識の問題で、十分に 手が回らない。大手なら自分でできるのかもしれませんけれども、中小の場合はなかな か自分ではできないのでそこを支援していくという、二つの手法があると思います。も ちろん指導の部分については、厚生労働省や都道府県労働局雇用均等室の職員が中心に なって施行していくのですが、そこで手一杯とは言いませんが、支援の方まで手が回ら ない、あるいはノウハウ的にも十分でない場合に、支援の方を民間のノウハウを持って いる方を、均等室の非常勤の職員として委嘱をして、そういう方が事業主の方から教え てと言われた場合に出向いていって、パートとの均衡待遇というのは、まさに働き・貢 献に応じた待遇ということであり、その辺りを例えば他の会社ではこういうのがありま すよとか、アドバイスをするというものです。 ○鴨委員  そうしますと今のお話ですと、いわゆる均等室の方で、均等室がしきれないところに ついて、専門の人をつくって、各企業に送り込むという言葉はよくないのですが、指導 に行かせるという考えですね。例えば民間の企業をつくって、そこに何か補助金を下ろ すみたいな考え方ではないということですね。 ○高崎短時間・在宅労働課長  そういうことです。ただ指導というのが行政権限の行使という意味の指導だとすれば、 それは職員がするということで、コンサルタントの方が指導するということではないと 思います。アドバイスをしていくということだと思います。いずれにしても行政の機能 の一つとして、行政の職員として行くということで、例えば短時間雇用管理者とは別に、 コンサルタントを企業においてもらうという意味ではないということです。 ○山本委員  先ほどの話の中で、ポジティブ・アクションというのはまだまだ普及不足という話が ありますけれども、理解としては雇用均等・機会均等のさらなる推進ですとか、ワーク・ ライフ・バランスという中に、これらのポジティブ・アクション等の推進に関する予算 というのは、少しなりとも付いているのかどうかという辺りはどうでしょうか。 ○安藤雇用均等政策課長  「女性の職業キャリアの継続が可能となる環境整備」の中にも、例えばセミナーの実 施を委託していますが、そういったものの経費ですとか、実際に機会均等推進責任者も お願いしていまして、企業にダイレクトに情報提供するような仕組みも雇用均等室で持 っています。そういったものについての経費ですとか、行政としてポジティブ・アクシ ョンを普及啓発するための経費もこの中に入っています。 ○山本委員  ありがとうございました。要するにポジティブ・アクションということ自体があまり 普及していないということがあると思うので、そういうところも少し、それを飛び越え て具体的な施策の方ばかりに入っていっても、ポジティブ・アクション自体がまだ浸透 していないという点もあると思いますので、その点もお願いできたらありがたいです。 ○吉川委員  3ページの「地域の子育て支援」ですが、(1)○の「様々な子育て支援事業について、 『子ども・子育て応援プラン』」とありますが、文部科学省の方でも、放課後子どもプ ランがあったと思いますが、そことこれはリンクしてどうのと聞いたのですが、これと はまた別のものですか。これはそれとリンクしているものなのでしょうか。 ○高倉総務課長  今おっしゃったのは5ページに書いています「放課後子どもプラン」でしょうか。こ の5ページに書いている放課後子どもプランは、まさに文部科学省が実施する「放課後 子ども教室推進事業」と一体的あるいは連携してという形で実施するということで、 いわば両省の実質的な共同事業というものです。 ○吉川委員  ありがとうございます。 ○松井委員  8ページの「仕事と家庭の両立の環境整備」ですが、外枠では相当大きく、中の説明 は一部分にとどまっていると思いますが、それ以外のところで、どれくらいここの部分 は重点的な施策をやっているのか。それがワーク・ライフ・バランスの実現というとこ ろの大項目で見ると、ほとんどここの(2)のところの予算で、充当されてしまっている ように見えるのですが、もう少しこの8ページの(2)の中の施策はどのようなことを考え ておられるのか、教えていただければと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  (2)の内訳として掲げられている項目としては、大きいものとしては2番目の○に書か れている「事業所内託児施設設置・運営の助成金」がありますが、その他に「両立支援 レベルアップ助成金」であるとか「中小企業子育て支援助成金」であるとか、各種の企 業向けの助成金制度が大半を占めています。 ○林分科会長  その他、ご質問等ありませんか。 ○龍井委員  時間が限られていますので同じ論点は繰り返したくないのですが、先ほどの9ぺージ の「パートタイムの均等待遇にかかわる推進コンサルタント」というのは、どんな方が 想定されているのかわからないのですが、こういう方がいらしたら紹介してほしいと思 っています。法律の趣旨とは違うものなので、これは正直な話、あまり予算消化になら ずに、人選を厳しくしていただいて、本当に指導ではないとおっしゃいましたが、それ が本当にひな形になるような人選に当たっていただきたいという注文です。  もう1点は、少しおこがましい言い方で恐縮なのですか、タイトルがよくわからなく て、政策のメッセージの方向がよくわからないのです。「人口減少社会の到来を踏まえ た少子化対策」というのは、ある程度その到来を覚悟した上で、それを何か切り替えよ うとするのか。そこはあきらめた上で施策を講じようとしているのか。前段の子どもと 家庭の時には、もう少しいろいろなメッセージがあると思うのですが、正直言って、こ の一連の施策の中で、これという目玉が見えないのと、特に岡本委員が指摘した母子家 庭支援がもっと前面に出てくるのかなと思うと予算も増えていないし、今言っても仕方 がないのですけれども、タイトルのあいまいさにかまけず、メッセージを出していただ けるようにお願いしたいと思います。余計な注文ですが。 ○大谷局長  少子化対策について、「到来を踏まえて」という言葉はいろいろな意味があると思い ますが、これは政府全体を挙げてこういったことに対して重点戦略会議という場でも大 きな枠組みで議論をしています。そしてむしろ目玉という考えがありましたが、ある意 味ではメニューはほとんどそろっていて、あとはその量とスピードでもありますが、そ れプラス今回二つ目の◇で「仕事と生活のワーク・ライフ・バランス」という新しい考 え方を、より大きな柱を掲げたということが、目玉という言い方は適当かどうかわかり ませんが、今回の大きな特色ということで、そこのところが今回のむしろ大きな特色と 理解しています。 ○佐藤委員  確認ですが、コンサルタントは今21世紀職業財団にもいますよね。ではなくて今度 の均等室に置くのですか。そういうことなのですね。21世紀職業財団のものとは別です ね。 ○林分科会長  はい、斉藤委員。 ○斉藤千秋委員  時間も限られているので、簡潔に。今回の予算の中で児童虐待の対応ということの予 算が増えているのですが、社会的に児童虐待の問題は非常に大きな問題だと思うのです が、児童虐待されてしまった子どもへの支援というよりも、児童虐待をしてしまう親の、 特に母親の子育ての負担感のようなものに対する支援というところが、これを見る限り ではあまり見えない気がしていますので、一番近いところでは生後4カ月までの全戸訪 問事業、こんにちは赤ちゃん事業というのが、一番母親のサポートという意味でつなが っていくと思いますので、ぜひ内訳の中だと思うのですが、この事業は発生予防対策の 推進ということにはなっているのですけれども、ここが重要だと思っていますので、ぜ ひここをきめ細やかに地方自治体に対しても予算化していくというところを徹底してい ただきたいと思います。 ○林分科会長  ご要望ということで承っておきます。 ○斉藤千秋委員  要望でいいです。 ○林分科会長  その他、特にご意見等ありますか。では時間がまいりましたので、本日はこのくらい にさせていただきたいと思います。本日の署名委員は斉藤千秋委員と川崎委員にお願い します。最後に事務局より次回の予定について連絡があるということなのでお願いしま す。 ○高倉総務課長  次回につきましては恐縮ですが、まだ日時・場所ともに調整中ですので、調整でき次 第ご連絡させていただきたいと思います。 ○林分科会長  それでは本日の分科会はこれで終了します。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836)