07/09/06 平成19年9月6日医道審議会医師分科会医師臨床研修部会議事録 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会 日時 平成19年9月6日(木) 15:00〜 場所 厚生労働省共用第7会議室 ○医師臨床研修専門官(井内) ただいまから「医道審議会医師分科会医師臨床研修部 会」を開催させていただきます。本日は、先生方にはご多忙のところご出席をいただき まして、誠にありがとうございます。本日の議事ですが「医師臨床研修制度に係る検討 について」というところで開催させていただきます。また、本日の出席ですが、吉田委 員が欠席で、長尾委員が少し遅れるということです。  今回、医政局幹部に人事異動がありましたので、ご紹介させていただきます。医政局 長の外口、審議官の宮坂です。部会の開会に当たりまして、まず外口医政局長より一言 ご挨拶を申し上げます。 ○医政局長(外口) 先月24日の人事異動で医政局長に就任いたしました外口でござい ます。この部会は初めてとなります。どうぞよろしくお願いいたします。また、先生方 におかれましては、ほとんど毎月だと思いますが、この医師臨床研修制度のあり方につ いて、ご議論をいただいているところです。この場をお借りいたしまして、改めて厚く 御礼申し上げる次第でございます。  さて、平成20年度の概算要求を先日、財務省に提出したところですが、本部会でも既 に議論されており、また去る5月31日に政府・与党において取りまとめられました緊急 医師確保対策におきましても、その中で大学病院を含む医師臨床研修病院の臨床研修制 度のあり方や、定員の見直し等を行うことにより、都市部の病院への研修医の集中の是 正に取り組むといった対策が示されております。厚生労働省といたしましても、都市部 の臨床研修病院の研修医が、一定期間、医師不足地域の臨床研修病院で研修を行うこと への支援や、医師不足地域等における研修医の確保に対する支援などを概算要求に盛り 込んでいるところです。  本日は、これまでのヒアリングや論点整理について先生方にご議論いただいたご意見 を、医師臨床研修制度のあり方についての報告書の骨子(素案)として作成いたしまし た。これについて、先生方のご議論をよろしくお願いいたします。今後とも、先生方に はなお一層のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、簡単ではございま すが、冒頭の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○医師臨床研修専門官 局長、審議官におきましては、他の公務のため途中で退席とな りますが、ご了承いただきますようよろしくお願いいたします。それでは、議事の進行 に入らせていただきます。これ以降は、部会長よろしくお願いいたします。 ○部会長(齋藤) まず初めに、本日の詳しい議事の進め方と資料について、事務局か ら説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 本日の議事の進め方ですが、まず平成18年度「臨床研修に関す る調査」報告について、事務局より20分程度説明いたします。その後、臨床研修制度に 係る報告書骨子(素案)について、20分程度説明させていただいて、これを基にご議論 をお願いしたいと考えております。  資料については、本日の議事次第、座席表、委員名簿、その下に資料1として「『臨床 研修に関する調査』報告のポイント」、資料2として「報告書骨子(素案)」という形で、 机の上に配付しております。不足等ありましたら、事務局までお申し付けください。本 日の進め方と資料については以上です。 ○部会長 最初に議題1の「平成18年度『臨床研修に関する調査報告について」の説明 をお願いします。 ○資質向上専門官(村重) 資料1「『臨床研修に関する調査』報告のポイント」は、厚 生労働科学研究費補助金の研究班、「新医師臨床研修制度の評価に関する調査研究」とい う研究班と「卒前教育から生涯教育を通じた医師教育の在り方に関する研究」班、2班 合同で調査を行っていただいた調査結果です。これは昨年も同じ調査をしており、同じ ようにまとめております。  まず、2年次の研修医に対する調査です。2年次の対象となる在籍人数が7,497人、有 効回答が得られたのが4,167人、有効回答率55.6%となっております。「臨床研修体制・ プログラムについて」ですが、臨床研修体制等についての満足度は、大学病院より臨床 研修病院において高くなっております。これは昨年の傾向とほぼ同じになっております。 下の段のグラフですが、病床規模別に見ても、病床規模が小さい病院ほど満足度が高い という傾向は弱まってきているようです。  3頁ですが、臨床研修の体制等について、満足している点、改善すべき点を質問して おります。臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」「研修に必要な症例・手技の 経験が十分」「指導医の指導が熱心」といったことが満足している点として挙げられてお ります。大学病院でも「指導医の指導が熱心」「職場の雰囲気がよい」といったことが挙 げられています。下の段のグラフですが、病床規模別に見ても、「職場の雰囲気がよい」 「指導医の指導が熱心」といったことが多く挙げられています。「コ・メディカルとの連 携がうまくいっている」といった点は、病床規模の小さい病院のほうが満足度が高いと いう結果になっております。  4頁の研修体制等で改善すべき点という質問に対しては、臨床研修病院では「教育資 源(図書など)が足りない」という回答と、「指導医から十分に教えてもらえない」とい った回答が多くなっております。大学病院では「待遇・処遇が悪い」「雑用が多い」とい った指摘が多くなっております。昨年の1年次、つまり今年の2年次と同じポピュレー ションですが、研修体制に満足していない理由として答えたのは同じような傾向になっ ており、臨床研修病院では「教育資源が足りない」「指導医から十分に教えてもらえない」。 大学病院では「待遇・処遇が悪い」「雑用が多い」といった回答になっております。  5頁の研修プログラムについての満足度ですが、臨床研修病院のほうが大学病院より も満足度が高いことになっております。昨年の2年次と比べると、病床規模別に見て、 病床規模が小さいほど満足度が高いという傾向は弱まってきております。  6頁の研修プログラムで満足している点については、臨床研修病院においては「プラ イマリ・ケアの能力を身につけられる」「複数の科を回って進路を決める参考になる」と いった回答が多く、大学病院においては「複数の科を回って進路を決める参考になる」 という回答が多くなっております。病床規模別に見ても「プライマリ・ケアの能力を身 につけられる」といったことが、病床規模の小さい病院において多くなっております。  7頁の研修プログラムについて改善すべき点ですが、臨床研修病院においても、大学 病院においても、共に「研修期間を長くしたい科と短くしたい科がある」という指摘が 多くなっております。ほかにも「1分野あたりの研修期間が短い」「将来専門とする科を もっと長く研修したい」といった回答が多くなっております。昨年の回答を見ても、「1 分野あたりの研修期間が短い」「希望する科を選択できない」といった回答が多くなって おります。  8頁の到達目標についてですが、到達目標が十分、もしくはほぼ達成されたと答えた 研修医の割合は、全体では62.6%、臨床研修病院では68.4%、大学病院では55.0%と なっております。  9頁です。「臨床研修修了後の進路について」、研修後に専門とする診療科が決まって いると答えた3,847人のうち、最も多い科は内科で11.3%となっておりました。小児科 7.6%、外科7.1%、麻酔科6.8%、産婦人科4.3%となっております。また、小児科と 麻酔科に関しては、次の頁の下のグラフにある「20代医療施設従事医師診療科割合」、 これは臨床研修制度が始まる前の平成14年のものですが、これに比べても小児科、麻酔 科に関しては高くなっているという結果です。  10頁の上の段には、昨年の2年次の研修生が答えた研修後に専門としたい診療科の割 合です。内科14.6%、外科8.9%、小児科7.5%、麻酔科5.8%、産婦人科4.9%といっ た傾向になっております。  11頁の診療科を選んだ理由です。「学問的に興味がある」71.2%、「やりがいがある」 63.0%となっており、「よい指導医がいたから」といった非常に前向きな理由が多くなっ ております。よくご指摘を受けるような「収入がよいから」とか「訴訟が少ないから」 といったことは大変少ない割合になっております。下の段のグラフですが、診療科別に 見ると、精神科、放射線科、皮膚科では「学問的に興味がある」が80%以上となってお り、産婦人科、外科、小児科、循環器科では「やりがいがある」が70%以上となってお ります。  12頁です。専門としたい診療科を変更したと答えた研修医は1,912人で、約半分の 49.7%となっております。診療科を変更した理由は、「現在専門としたい診療科を研修し て興味がわいたから」が66.7%と最も多くなっております。  13頁の「性別にみた専門としたい診療科」ですが、女性医師の割合が高いのは皮膚科 68.8%、産婦人科68.1%、麻酔科50.6%等であり、女性医師の割合が低いのは心臓血管 外科7.7%、整形外科10.4%、脳神経外科11.7%といった結果となっております。  14頁ですが、ここから1年次の研修医に対するアンケート調査結果です。対象となる 在籍する1年次の研修医は7,717人、そのうち有効回答が得られたのが4,389人、56.9% となっております。研修体制やプログラムについてですが、現在研修している病院に応 募した動機としては、臨床研修病院では「症例が多い」「研修プログラムが充実」といっ た回答が多くなっております。大学病院では「出身大学だから」という回答が最も多く なっております。  15頁ですが、こちらも2年次の研修医と傾向はほぼ同じで、研修体制等についての満 足度は、大学病院より臨床研修病院において高くなっております。病床規模別に見ても、 病床規模が小さいほど満足度が高いという傾向は、それほど強くはないという形になっ ております。  16頁の「研修体制等で満足している点、改善すべき点」という質問ですが、研修体制 等で満足している点としては、臨床研修病院においては「職場の雰囲気がよい」、大学病 院においては「指導医の指導が熱心」ということが挙げられております。病床規模別に 見ても、「職場の雰囲気がよい」と「指導医の指導が熱心」がトップに挙がっており、「コ・ メディカルとの連携がうまくいっている」は病床規模が小さい病院のほうが高い傾向に あることになります。  17頁の研修体制等で改善すべき点としては、臨床研修病院においては「教育資源(図 書など)が足りない」、大学病院においては「雑用が多い」「待遇・処遇が悪い」といっ た回答が多くなっております。病床規模別に見ても「教育資源(図書など)が足りない」 という回答は、病床規模が小さい病院のほうが高い傾向にあり、逆に病床規模が大きい 病院のほうが多い回答となっているのは「待遇・処遇が悪い」「雑用が多い」という回答 になっております。  18頁の研修プログラムについての研修医の満足度です。大学病院よりも臨床研修病院 において高い。病床規模別に見ても、病床規模が小さいほど満足度が高いといった傾向 はそれほど強くはないと、似たような傾向の結果となっております。  19頁の研修プログラムで満足している点については、臨床研修病院では「プライマ リ・ケアの能力を身につけられる」が多くなっております。臨床研修病院、大学病院と もに「複数の科を回って進路を決める参考になる」という答えが多くなっております。 病床規模別で見ると「プライマリ・ケアの能力を身につけられる」は、病床規模の小さ い病院のほうが高いことになっております。  20頁ですが、臨床研修病院、大学病院に研修プログラムで改善すべき点は「研修期間 を長くしたい科と短くしたい科がある」という答えが多くなっております。病床規模別 に見ても、全体的に「研修期間を長くしたい科と短くしたい科がある」という答えが多 くなっております。  21頁は病院を対象としたアンケートの調査になっております。対象となる病院は938 施設、うち臨床研修病院833施設、大学病院105施設となっております。有効回答を得 られた病院が830施設、全体で有効回答率は88.5%となっております。研修医からの評 価が高い点としては、臨床研修病院では「指導体制が充実」「研修プログラムが充実」「病 院の施設・設備が充実」といった答えが多くなっており、大学病院では「研修プログラ ムが充実」と答えた病院が最も多くなっております。  定員確保のために改善すべき課題として病院が挙げたのは、臨床研修病院においては 「指導体制が充実」「臨床研修予定者等への情報発信の充実」等が多くなっており、大学 病院においては「処遇・待遇の充実」「臨床研修予定者等への情報発信の充実」といった 回答が多く挙げられました。  22頁ですが、研修プログラムの特色として挙げられたのは、臨床研修病院では「特に プライマリ・ケアの習得に力を入れている」、大学病院では「選択期間を長く設けている」 という答えが挙げられています。  研修医の処遇・待遇ですが、研修医の事故に備えての病院賠償責任保険は、臨床研修 病院で80.7%、大学病院で81.9%が保障されています。23頁ですが、研修医の事故に 備えて医師賠償責任保険等の取扱いをどうしているかという質問です。臨床研修病院に おいては「病院の負担で、医師賠償責任保険に加入させている」が多く、大学病院では 「医師賠償責任保険を紹介し、任意加入させている」「個人の負担で、医師賠償責任保険 に強制加入させている」が多くなっております。  臨床研修における評価についてです。臨床研修体制について自主評価を実施している のは、臨床研修病院では22.3%、大学病院では37.1%、自主評価していないのは、臨床 研修病院では68.6%、大学病院では51.4%となっております。  24頁の臨床研修についての自主評価以外の評価を実施していますか、という質問です が、臨床研修病院では9%、大学病院では11.4%が「自主評価以外の評価を実施してい る」という回答でした。自主評価以外の評価を実施していないのは、臨床研修病院で81%、 大学病院で75.2%でした。臨床研修についての必要な評価体制についてですが、臨床研 修病院、大学病院ともに「自主評価」「第三者による評価」という回答が多くなっており ます。  25頁ですが、新医師臨床研修制度による病院の変化についてです。新制度に変わって 「よくなった」と回答したのが、臨床研修病院では49.8%、大学病院では26.7%、「悪 くなった」と回答したのが、臨床研修病院では5.8%、大学病院では15.2%となってお ります。以上で資料1の説明を終わります。 ○部会長 何かご意見、ご質問はありますでしょうか。 ○山下委員 質問とお願いをしたいと思います。1つは7,000名某のうち回答が4,000 名ということだったのですが、病院の規模別に回答率の差がありましたか。 ○資質向上専門官 病院規模別の回答率は集計をしておりません。 ○山下委員 是非それを教えてください。それをしないと、ちょっと判断できません。 もう1つはお願いというか、今後の検討課題としていただきたいのですが、同じ内容で 研修医をずっとフォローするというのは非常に大事なことなのですが、研修の意義付け というのは後期研修のため、また将来にわたってどういう医者になる、そのときにこれ が大事だったか、役に立ったかということだと思うのです。もう後期研修を始めた人た ちがいますから、2年なり3年なり、これからまた溜っていきますから、そういう人た ちにも「あのときの研修はいまに役立っていますか」というのを、是非検証していただ きたい。  そうしますと、いま分析がありましたが、若い人がかなり真面目に取り組んでいるの です。要するに、将来にわたって自分にとってどのような研修が必要であって、そのた めにこれをどう使うかというのをかなり真面目に取り組んでいます。そうすると、例え ば科を短くしたいとか長くしたいなど、いろいろな意見が出てきています。そういうも のを積み上げていくためには、終わった人が自分のキャリアにとってどれぐらい役に立 ったかと。フィックスした考え方ではなくて、フレキシブルにこれを変化させるための 情報を是非取っていただきたいです。 ○部会長 昨年も今年も共通しているのは「職場の雰囲気がよい」というのが臨床研修 病院で満足している点の1位なのですが、また小さいほうがいいというのは、結局、従 来は研修医が行かなかった300床以下の病院ですよね。雰囲気がよいというのは、そう いう所へ研修医が来たので、病院の人が親切にしてくれる、あるいは名前を覚えてもら えるなどということなのでしょうね。何となく抽象的なのですが、これはアンケートの 作り方なので、それ以外は答えようがないのですよね。  それから、改善すべき点で、大きい病院、特に大学病院で「コ・メディカルとの連携 がうまくいかない」ということが、かなり挙がってきているのです。これはどういう理 由なのでしょうか。やはり施設が大きすぎて、人間も多すぎて、研修医はあまり尊重さ れないということでしょうか。 ○山下委員 私なりにいろいろと聞いたのですが、ポイントはやはり先生がおっしゃっ たことなのです。要するに大きな病院で、例えば極端に言うと、大学病院というのは医 局の中に埋没していますから、直接看護師に接する機会というか、やはりチャンスが少 ないですよね。だけど、小さい病院というのは医者の数が少ないですから、その分コ・ メディカルというか、接する機会がものすごく多くなると思うのです。要するに、同じ 人に当たっていて、同じチャンスの中でどうかという話ではないと思います。やはり病 院の規模のそれにディペンドしたことであって、例えば大学病院がそれを疎かにしてい るということではないと思います。私も調査したわけではないのですが、いろいろな人 に聞いた範囲ではそういう話でした。 ○部会長 大学病院の話が出たのですが、改善すべき点で「待遇・処遇が悪い」という のがかなりあるのです。しかし、大学病院でもこの制度が導入される前よりも、待遇は かなり良くなっているはずですよね。 ○山下委員 比較の問題だと思います。 ○大橋委員 お願いですが、こういう形でフォローアップしていくということと、いま ご指摘がありましたように、専門研修に入った方をやるというのは非常に重要だと思う のです。もう1つ、いまの部会長のご質問にも関係すると思うのですが、地域性という のを何らかの形で入れて、1県ということは必要ないと思うのですが、東北地区とか北 海道地区などという形で分けることが、このデータをさらに解釈する上で意味があるの かという感じがいたします。処遇の点、あるいは地域格差といった辺りを我々は議論し ていく上で、全部平均してしまうというのは、地域による重さづけというのはかなり違 っているかと思うので、データはおありなのでしょうから、今後この研究班がそういう 地域施設を入れてやると、いま言ったようなところにも差が出てくるのではないかと思 うので、お願いなのです。 ○篠崎委員 これは一応、今年度で終わりなのですよね。ですから、引き続いて次年度 以降、いまのご指摘のようなことを踏まえて、厚生労働省が研究班をお作りになるとい うことではないでしょうか。 ○西澤委員 例えば満足している点、あるいは改善すべき点なのですが、1つは臨床研 修病院と大学で分けて、1つは規模で分けているのですが、それを合わせた分析、例え ば、臨床研修病院でも大学病院と同じような規模の病院があるのですが、そこで差があ るかどうか。それによって、例えば大学などはほかの職種と接する機会が少ないのは、 規模によるものか、あるいは臨床研修病院であっても大病院であれば同じなのかなど参 考になるのではないかと思うので、お願いします。 ○冨永委員 処遇の問題ですが、11頁の表では事務局から説明がありましたように、「収 入がよいから」というのは4.8%と少なくなっていますが、片方でいまご指摘のように、 大学病院等では処遇が悪いからというのがかなり高くなっており、大学病院を選ばなか った1つの要因になっていると思われます。やはり研修医は処遇を重要と考えていると 思われます。  それから「雑用が多い」というのがあります。雑用というのは個人によって受け取り 方が違いますが、必要な雑用もあると思います。「雑用」と一般的に言ったらなかなか分 かりにくいこともあるかもしれません。例えば極端に言えば、診断書を書く、点滴をと るのも雑用というのか、そうでないというのか、雑用とはいったい何かというのはなか なか判断が難しい。その人によっても取り方が違いますので、なかなか難しいと思うの です。 ○山口委員 例えば給与が安いということは、承知して選択したわけですよね。だから、 当然そのことは承知していて、ほかにメリットがある、ほかに良い点があるからと選択 していって、給与が安いと言われれば、それは当然「そうです」とつけるのです。だか ら、大きな病院の給与が悪いということが本当に不満足な点なのかどうかという話にな ると、もうちょっと違った。いちばんの基本はやはりプログラムだと思うのです。各研 修のプログラムが、どういうプログラムに対して満足度が高くて、どういうプログラム に対して満足度が低いかということが重要なのです。確かに初めから承知して行ったけ れども、満足しているかと言われれば「満足していません」という話になるので、もう ちょっと見方を変えた分析の仕方があるのかなという感じがしますけれども。 ○部会長 ほぼ出尽くしたということで、次は今日の主題ですが、本部会の報告書の骨 子(素案)が出ておりますので、これについて事務局から説明をお願いします。 ○医師臨床研修専門官 いまの『臨床研修に関する調査』報告のポイントについて、ま た何かこういった見方もしておいたほうが今後いいのではないかということがありまし たら、後日でも結構ですので、教授いただけたらと思っております。  次の資料2「報告書骨子(素案)」に入らせていただきます。進め方なのですが、とり あえず1回ざっと私が読むということでよろしいでしょうか。資料の2頁から読み上げ させていただきます。  はじめに。医師臨床研修制度は、「臨床研修は、医師が、医師として人格をかん養し、 将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、 一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、基本的な診 療能力を身につけることのできるものであること」を基本理念とし、平成16年4月から、 診療に従事しようとするすべての医師に対し臨床研修が必修化された。  新医師臨床研修制度は、今年度で4年目を迎え、平成20年3月には3期目の修了者が 誕生することとなっており、新制度の導入に伴い、基本的な診療能力を身につける機会 が増加したこと、臨床教育の重要性がこれまで以上に認識されたこと、研修医の身分と 処遇が大幅に改善され研修に専念できるようになったことなどが評価されている。  一方、研修プログラムのあり方や臨床研修病院の指定基準など、研修制度自体に関す る問題点とともに、新制度の実施を一つの契機として、医師偏在などの問題が顕在化し た点や、将来の基礎医学志望者の減少などの懸念について、関係者から指摘されている。  以上の評価・指摘、また、医療制度改革関連法の成立・施行や文部科学省における医 学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議報告に基づく医学教育改革など、医療 や医学教育を取り巻く環境の変化を踏まえ、臨床研修制度に関する厚生労働省令「この 省令の施行後五年以内に、この省令の規定について所要の検討を加え、その結果に基づ いて必要な措置を講ずるものとする」に基づき、平成18年12月から、医道審議会医師 分科会医師臨床研修部会において、新制度について所要の検討を開始した。  今回の検討においては、「国民の求める医師が育成されているか?」といった観点から の議論が行われた結果、臨床研修制度をより良いものとするよう関係者が努力する必要 があるとの結論に至った。  今後も、中長期的に制度の施行状況の検証を行う必要性を認識するとともに、現時点 において研修の質の向上を図る観点から、関係者からの課題の指摘に基づき、具体的な 運用面でいくつかの改善点について提言を行った。  部会においては、医師臨床研修制度に携わる様々な立場の方からのヒアリング(16名) を踏まえ、制度の改善・充実方策について○○回にわたり検討を重ね、意見の集約を行 ったものである。中には相反する意見もあったが、可能な限り挙げられた様々な意見を 列挙し、その対応について中長期的な方向性も含め、一定の意見の取りまとめを行った。  厚生労働省をはじめとする関係者においては、部会の意見を踏まえ、今後、臨床研修 制度がより良い医師の育成の礎となるよう、改善・充実に取り組むことを要望する、と いう始まりです。  以下、2以降の所に関しては、まさにヒアリングで出た意見、ここで議論していただ いた意見を踏まえて、項目別に並べたものです。これについてもこのまま読み上げさせ ていただきます。  研修プログラムの改善。(1)現状と課題。臨床研修制度における研修プログラムは、 「臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわら ず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に 関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよう、プライマリ・ケアの基本的な診療能力を 身につけるものであること」の基本理念を具体化するため、以下のとおり基本的診療科 をローテートする方式で実施されている。  <現在の研修プログラムについて>で、現在のルールを(1)、(2)、(3)で書いております。 下線部の所を読み上げます。内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む)、小児科、産婦人 科、精神科及び地域保健・医療については、必ず研修を行うこととし、研修期間はそれ ぞれの科目について少なくとも1月以上とすること。原則として、当初の12月は、内科、 外科及び救急部門(麻酔科を含む)において研修すること。内科については、6月以上 研修することが望ましいとあります。以下は少し省略して、次の○にいきます。  この制度の影響・効果として、臨床研修制度の必修化前(平成15年)と必修化後(平 成17年)に行われた研修医の基本的技術の修得状況に関する調査において、概ね必修化 前より向上しているとの報告がなされていることや、医療現場において、「プライマリ・ ケアへの関心を高める効果があった」と指摘がなされるなど当初期待された効果があが っているものと考える。  一方、臨床重視、プライマリ・ケア重視のスタンスが強調されることで、基礎医学を 専攻する医師の減少を招いているとの指摘もある。  複数の診療科を2年間の短期間でローテートすることから、各科の一般的な知識や技 術を短期間で多く経験することが可能となった反面、研修が細分化され、実際に習熟す るまでには至らない知識や技術が多くなったとの指摘があった。そのため、他科へコン サルトすべきか、どのような病態はどの科で診察・治療することが適切なのかといった 判断を行うことや、各科の多数の指導医との交流が可能となった点はプラスであるが、 自身で最後まで診断・治療を行うことができる技術・知識を身に付けることは難しいと の実感があり、この場合は研修期間の2年間は短いとの印象があることが指摘されてい る。  将来の専門科を既に決定している研修医の中には、臨床研修制度の中で、「原則、当初 の12月は、内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む)において研修すること」となって いることで、自身の直接的な興味と合わない研修が続くことから、2年間、臨床研修に 対してモチベーションを保つことが困難であり、この場合は2年間の研修期間は長いと の印象があることが指摘されている。  また、各臨床研修病院、大学病院から、それぞれの得意分野を生かした特徴のあるプ ログラムの選択が可能となることがより充実した研修に繋がるとの指摘があった。  医療に従事する上では、科学的視点からの医学的な理解が重要であるにもかかわらず、 基本的な診療能力の修得を重視した臨床研修によって、本質的な理解を伴わないマニュ アル的な対応が増加したとの指摘があった。  なお、現在、内科、外科及び救急部門(麻酔科を含む)、小児科、産婦人科、精神科及 び地域保健・医療については、必ず研修を行うこととされ、救急部門で麻酔科が含まれ ていることは、基本理念を踏まえた救急部での知識・技術の修得の重要性を正確に表現 していないとの指摘もあった」。  (2)今後の対応は、いま挙げられた課題について、どう対応するかということで取り まとめたものです。本制度に基づいたプログラムによる研修医の育成は、複数の診療科 の多くの症例を経験することから、幅広い知識・技術を修得することができ、基本理念 に掲げられた「一般的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適切に対応できるよ う、基本的な診療能力を身につけることができるものであること」との目的を概ね達成 できているものと考えられることから、基本的な研修プログラムの考え方については、 変更するべきではないものと考える。  しかしながら、早くから自身の専門を決定している研修医にとっては、医療へのモチ ベーションを保持することが困難であるとの指摘がなされていることも踏まえ、研修医 のローテートをより柔軟に行えるようにするとの観点から、当初の12月においても、内 科、外科、及び救急部門(麻酔科を含む)以外の診療科目の研修を可能とするよう変更 することが、より実情に合っているものと考える。  ただし、研修プログラムを柔軟に行えることを可能とすることに併せ、研修病院の研 修実施状況や、研修医の修了認定方法についての評価する仕組みがより重要となる。  医療現場において、医療を科学的視点から捉えることは、非常に重要であることは自 明のことであり、ほとんどの臨床研修施設においては、プライマリ・ケアにおいても医 学に本質的な理解を行った上で医療が行われているものと考えるが、その重要性を再認 識する必要がある。  救急部で修得すべき知識・技術と麻酔科で修得すべき知識・技術が異なることから、 救急分野の研修を麻酔科のみで行っている施設については、救急部門での研修が充実さ れることが望ましい。以上が研修プログラムの改善のところです。  次に「臨床研修の到達目標の改善」に移ります。現状と課題。現在の到達目標は、行 動目標と経験目標から構成されており、行動目標では、医療人として必要な基本姿勢・ 態度を、経験目標では、経験すべき診察法・検査・手技、経験すべき症状・病態・疾患、 特定の医療現場の経験が示されている。  到達目標は、臨床研修の中で研修すべき内容の骨子が示されているものの、特に経験 目標においては、経験する内容が決められているのみであり、医療技術・知識について の質的な評価についての言及がなされておらず、具体的な修了基準が明確でないとの指 摘がある。  項目で難易度が異なると感じている研修医も存在することから、基本的な目標と、応 用的な目標の区分など、現場でより利用しやすい目標となるような工夫も必要である。  現場では、研修医の立場からも、指導医の立場からも、レポート作成やレポートチェ ックなどの対応が煩雑となっている実情がある。  到達目標の内容については、医療技術の向上、改善に伴った変更が今後必要となるこ とは自明であることから、適時改正を行えるようにすべきである。  今後の対応。到達目標は経験すべき内容の項目を主としており、質的評価については 触れられていないが、研修医個々の医療技術の修得レベルについての質的評価は、医療 現場で指導医が判断する以上の方法はないことは自明である。また、現在、指導ガイド ラインが作成されているところであり、この中には、医療技術・知識の質的評価を行う ための整理がなされている。以上を踏まえ、研修医の医療技術・手技・知識の質的評価 は、指導ガイドラインを参考に、各臨床研修病院及び大学病院において行うことが原則 であることを明確に認識する必要がある。併せて、研修修了に必要なレポート等のフォ ームについては、今後も、各臨床研修病院及び大学病院において実情に適し、できるだ け利用されやすいものを作成し、使用することが望ましい。  今後、医学の進歩に伴い、医学的知見が変化することは不可避であることを踏まえ、 臨床研修における到達目標についても、適時、必要な変更が可能となるシステムを構築 することが重要である。また、医学部における医学教育の改善・充実の状況に応じた変 更についても適時対応する必要がある。更に、本制度を運用した経験を踏まえ、基本事 項、応用事項の分類など、より医療現場において運用しやすい形についての検討が引き 続き行われることが望ましい。なお、(今後作成される予定の)指導ガイドラインについ ても同様のシステムが構築される必要がある。  10頁、4に移ります。「臨床研修制度を含む医師育成のあり方」。現状と課題。現在、 医師の養成に関しては、医学部教育(医学部における卒前教育)、臨床研修、いわゆる後 期研修と順次行われている。  例えば、卒前教育の充実等と臨床研修の内容を合わせて見直す等、それぞれの過程を 関連させて検討するべきと考える。  臨床研修必修化と併せて行われたマッチングの導入により、以前と比べ違う大学の出 身者が同じ臨床研修病院において研修を行う状況が増えたことから、医学部(特にクリ ニカル・クラークシップ)で修得すべき医学的知識・技術、臨床研修で修得すべき医学 的知識・技術を明確化し、卒前と卒後の一貫性を担保する、シームレスなシステムの構 築の重要性が認識された。  医学生や若手の医者に臨床能力重視の傾向が出始めており、大学病院も多くの施設で 臨床教育を重視する傾向が見え始め、これまで学位、大学院など研究至上主義であった との指摘のある医師育成のあり方に対して、バランスをとる役割を臨床研修制度は果た しているとの指摘もある一方、研究業績の停滞等の基礎医学の衰退を招く要因であると の指摘もある。  今後の対応。医学部における卒前教育、医師国家試験、臨床研修、いわゆる後期研修 といった一連の医師養成過程に対する重要性を踏まえ、今後、様々な観点から検討され ることが望まれる。特に厚生労働省、文部科学省は連携・協力し、クリニカル・クラー クシップ、医師国家試験、臨床研修制度が円滑に繋がるような検討(例えば、クリニカ ル・クラークシップで修得する医療知識・技術と臨床研修で修得すべき医療知識・技術 の明確化等)を行うべきである。  現在、文部科学省においては医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂に関する恒常 的な体制の構築と改訂の検討、厚生労働省においては医師国家試験の出題の検討等が行 われているが、このような取組みを連携協力して行うための体制の整備等について速や かに検討すべきである。  また、その基本理念から、臨床研修制度において考えることが難しい基礎医学振興の 方策についても、大学院教育の充実やキャリア形成への支援等について文部科学省を中 心に十分な検討がなされることが望ましい。  5「臨床研修病院の体制等の充実」。臨床研修病院の指定基準の改善。現状と課題。現 在の臨床研修制度においては、大学病院、単独型、管理型、協力型臨床研修病院及び協 力施設が連携し、臨床研修を行っている。  臨床研修を行う病院には一定の条件を付しているということで、現在の臨床研修指定 病院(単独型)の基準を付けております。(2)で経過措置として、以前もご議論いただき ましたが、その中での経過措置の部分を付けております。  13頁の(2)今後の対応に移ります。臨床研修の質の維持・向上のために、臨床研修 病院の指定基準を、適時、見直していく必要がある。また、指導には、医学的知識・技 術と併せ、教育方法についても習熟していることが望ましいとの観点から、一定の経過 措置を設けた上で、原則として、指導医講習会を受講したことを指導医の要件とするべ きと考える。  経過措置については、著しく医師の確保が困難な地域を除き、原則として平成21年3 月をもって廃止する方向で検討すべきと考える。  「臨床研修病院の評価」。現状と課題。臨床研修病院の指定に当たっては、指定基準を 設け、当該基準に基づく審査を事前に行うことにより、臨床研修の質の確保が図られて いるところである。臨床研修の実施状況については、現時点では、その指定基準におい て、「将来、財団法人日本医療機能評価機構による第三者評価を受け、その結果を公表す ることを目指すこと」とされている。  平成18年度「臨床研修に関する調査」報告によると、臨床研修体制に係る評価として、 「第三者による評価」が必要と回答した病院が約53%、「自主評価」が約53%、「臨床研 修病院間の相互評価」が約30%となっている。一方、自主評価を実施している病院は約 24%、それ以外の評価を実施している病院は約9%程度となっている。  病院内での自己評価については積極的に進められるべきであり、第三者による外部評 価についても、将来的に進められ、より質の高い研修に繋げることが重要である。また、 今後の評価を検討するにあたっては、利用者の理解、協力、評価が得られているかどう かについての評価を行う必要がある。  (2)今後の対応。臨床研修の質の向上を図るため、研修体制について評価し公表する ことは、極めて有効な手法と考えられることから、評価のあり方や、特に第三者評価の 基準や方法、実施体制の確保について、検討を進めるべきである。  「指導体制の充実」。現状と課題。チーム主治医制の導入、指導医の病院内での位置づ けの明確化、屋根瓦方式の教育体制など、指導医に過度に負担がかからないようなシス テムをそれぞれの臨床研修病院及び大学病院において考える必要がある。  研修医が修得したい知識・技術がうまく修得できない状況を踏まえ、具体的な方策を 検討すべきである。(例)研修医が基本技術を修得することを望んでいるにもかかわらず、 指導医はより専門性の高い技術・知識を教授すべきであると考えているケース。研修医 は急性期症例に関する知識・技術を修得したいにもかかわらず、慢性期疾患の多い病棟 研修での研修が中心になっているケース。  今後の対応。指導医に過度の負担がかからないような体制(屋根瓦方式、チーム主治 医制)については、一部の先進的な臨床研修病院で取り入れられているが、全国の病院 で導入されているとは言い難い。そこで、まず、具体的にどのような取組みを行うべき なのかについて、理想的なモデルが集約・提示がなされ、全国的に周知される必要があ り、併せて、各臨床研修病院及び大学病院においても、その体制を検討することが必要 である。  「医師の地域偏在と研修医の募集定員」。現状と課題。旧制度において約「7対3」で あった大学附属病院と臨床研修病院の研修医数割合が、新制度第4期生で「45.3対54.7」 となっており、臨床研修病院を選択する研修医が多くなっている。  全国的に見て、実際の研修医数に比し研修医の募集定員が著しく過剰(例えば、平成 18年度のマッチング参加者数約8,600名に対し、研修医の募集定員数は約11,300名) となっていることは、研修体制の質を維持する上で好ましくないだけではなく、研修医 の都市部への集中を招く懸念が指摘されており、本年5月に政府・与党でとりまとめら れた「緊急医師確保対策について」でも大学病院を含む臨床研修病院の定員の是正が求 められている。  臨床研修制度は、(1)大学所属医師の減少、(2)北海道、東北、中国、四国など地方 における医師の減少などを招き、(1)地域間格差の増大、(2)診療科間の格差の増大、 (3)一部地域や、へき地医療を維持することが困難との指摘がある。  一方、臨床研修制度が始まったことで、地域による医師養成のかかわりが重要視され るようになり、地域でいろいろな連携を組みながら医師養成にかかわる必要があるとい う認識ができたとの指摘もある。  今後の対応。現在、医学部卒業生数に対し過剰ではないかと指摘されている研修員の 募集定員数について、研修体制の質を確保する観点から、その総数について調整すべき である。なお、調整に当たっては、研修医の地域毎のバランスが図られるよう配慮する 必要がある。  具体的には、研修医の募集定員数及び採用実績が、当該都道府県人口に比し著しく多 く、かつ、人口10万対医師数が全国値を上回るなどの地域の研修病院に対する募集定員 減の要請や、当該地域の研修病院の新規指定や募集定員の増員を留保するなどの方法が 考えられる。  なお、個別の医療機関の研修医募集定員の調整に当たっては、地域の医療機能や医師 派遣機能に十分配慮しながら、関係省庁との連携のもと、段階的に進めていく必要があ る。また、臨床研修制度については、大学病院の医師数の減少を招いたことから、現在 の一部地域における医師偏在の原因となっているとの指摘がある一方、大学医学部での み行われていた医師育成を、地域において主体的に実施することを検討するきっかけと なっているとの評価もあることを踏まえたモデルとなるような運用がなされている地域 を踏まえ、モデル等についても集約・提示を行うことで周知する必要がある。  「その他」。現状と課題。プログラムの変更は前年の4月30日にプログラム変更とし て申請しなければならないこと、また、協力病院の増減等の病院群変更についても、新 規申請として前年6月30日までに申請しなければならないことから、実情に合わせた柔 軟性のある変更を行いにくい、部分的な変更についてはもっと柔軟性をもたせるべきと の指摘がある。現在の状況がここにまとめたもので、「新規申請・病院群申請」の締切り は6月30日。その内容は、新たに研修病院となるという以外に、病院群の構成を変える 場合もここへ含まれます。「プログラム変更」と「年次報告」は4月30日が締切りで、 その内容はプログラムの目標、研修分野、分野毎研修期間、研修を行う病院または施設 の変更もここで変更届として出していただかなければならない。その他「変更届」とい うことで、随時というものもありますが、この上2つのものが少し柔軟性をもたせるべ きだということのご意見です。  「医学部生に対して行う臨床研修病院の見学や実習によって医学部の授業を欠席する 医学部生がいることで、医学部教育の円滑な実施が阻害されている」という指摘が現状 と課題です。  今後の対応。病院群の変更や、臨床研修プログラムの変更、協力施設の変更等につい ては、弾力的な運用を行うことを可能とする具体策を検討することとする。  医学部生に対して行う臨床研修病院の見学や実習は、休業期間中に行われるようにす ることで、医学部教育の円滑な実施を阻害しないよう配慮すべきである。  7「おわりに」。今回、制度の改善・充実方策について検討を重ね、意見の集約を行い、 現時点において研修の質の向上を図る観点から、関係者からの課題の指摘に基づき、具 体的な運用面でいくつかの改善点の提言を行い、その対応について中長期的な方向性も 含め、一定の意見の取りまとめを行った。  今後も、制度の施行状況の検証を行い、必要に応じて検討する必要性があることから、 必要に応じて所要の検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる必要があると 考える。  以上、本日の報告書骨子(素案)として提出させていただいたものです。 ○部会長 いまから1時間、これについていろいろな角度から議論していきたいと思い ます。表現の問題もあるでしょうし、もっと具体的にしたほうがいい、抽象的すぎる、 具体的すぎるなどいろいろな角度からあると思うのです。  全体の構成は「1 はじめに」から「7 おわりに」まであるのですが、「4 臨床研修制度 を含む医師育成のあり方」というのは、この制度のみならず卒前、卒後、生涯教育を含 む部分がここにあるのが適切なのか、最後のほうへ持っていったほうがいいのかという ことを含め、まず構成についてご意見はありますか。もちろん、これは臨床研修に関す る報告書ですからそれが主なところになりますが、少し包括的な部分も入っているわけ ですが、その点はいかがでしょうか。  1つの考え方は、4と5をひっくり返して、「3 臨床研修の到達目標の改善」の次に、 「臨床研修病院の体制等の充実を」を持ってきて、その次に「臨床研修制度を含む医師 育成のあり方」にして、「その他」にするとか、いろいろな考え方があると思います。「1 はじめに」から順番にディスカッションをしていき、また必要なときには戻っていただ いても結構です。「はじめに」は主な論点を押さえていると思うのですがいかがでしょう か。 ○山下委員 どこに書いたらいいのかわからないので、「はじめに」のところでお話いた します。そういう意味では、いちばん大事なことをいちばん最初に書いていただきたい と思うのです。この研修制度をどういうふうに今後評価していくか、という基本方針を どこかに書いてほしいのです。いろいろなチェックポイントは中に全部書いてあります けれども、例えば、誰がどういうふうにしてデータを集め、それを基にどういうふうに して検証をしていくか、というグランド・デザインがよくわからない。一生懸命読めば わかるのですが、それを「はじめに」のところで。だから次のところにも関係してきま すが、「研修プログラムはこれで変更しないでいいものと考える」というふうに最初にド ンと出てくると、後を読みたくなくなります。  この研修プログラムには、一体どういうところに問題があるかわからないから、例え ば卒後研修を終わった人の意見とか、その満足度とか、いろいろな面を総合して、どう いうふうにして検証をしてフレキシブルにやるのだ、という宣言がどこかにないとと思 うのです。それが、たぶん「はじめに」ではないかと思うのです。 ○部会長 先ほど山下委員が言われたロングタームのフォローアップにも関係するわけ です。目的は「国民の求める医師が育成されているか」というようなことだと思うので すが、それをどうやって検証していくかです。 ○大橋委員 私も、その視点は非常に重要だと思います。これは、国民の目指す医師育 成のグランド・デザインにおける、あくまでコモンディジーズの基本的な診療力とプラ イマリ・ケアを付けるという辺りを位置づけているのだということですが、決してこれ で終わりではなくて、その後に専門医的な育成、あるいはアカデミック構成のもの、あ るいは医療行政のものがある。そういう中の位置づけで評価しているのだということを 国民にもきちんとわかるようにしておかないと、今後のフォローアップとか、今後の問 題点が明確になってこないということがあります。せっかく最初のところに、国民の求 める医師が育成されているかというクエスチョンがありますから、そこは何かの形で明 確にしていただきたいということをお願いしたいと思います。 ○部会長 これは、あくまでも生涯教育の入口ですよね。 ○大橋委員 そういう位置づけであると思います。 ○部会長 いずれにしても、一生このまま行くわけではないですから。 ○山口委員 全体的な話でちょっと気になるところがあります。基本的な研修医の研修 プログラムは、将来の専門にかかわらず、修めるべき基本的なところを修めるという基 本的な理念があるわりには、モチベーションが下がるからそれを考慮して、それぞれ将 来早くから専門を決めている人にとっては、その方向でモチベーションを維持するため に何かというのは、この基本的な理念と矛盾しているように思うのです。  やはり、モチベーションを高める努力をする必要はあると思うのですが、将来の専門 に配慮して、その研修をこの期間にさらに広く取り入れるという方向性を示しているよ うに取れるようなものは、やはり排除すべきではないかと思うのですが、どうなのでし ょうか。 ○部会長 これは、研修の順番のことを言っていると思うのです。1年目には、将来や りたいことを少しやることも可能だというような書き方だと思うのです。原則論にあま り強く立つと、全く例外がなくなってしまうというのは避けたいということだと思うの です。 ○冨永委員 いま委員がおっしゃったことはそのとおりだと思うのです。部会長がおっ しゃったように、例えば耳鼻科へ行きたい人が、初年度から耳鼻科をやるようなカリキ ュラムを取れるかどうか。耳鼻科にかかわらず皮膚科でも何でもいいのですけれどもと いうことだろうと思うのです。この制度が出来上がるときには、医療の基本は内科だか ら、内科の診察技法等を身に付けて、2年目に専門科の研修をしたらよいという審議会 のご意向だったと思うのです。  そうしたときに、本当に耳鼻科は半年でいいのかということもあります。多くの所は、 ある科目は短いとか長いとかここに書いてありますけれども、多くのカリキュラムでは 選択研修というのがあるわけです。半年あるいはそれ以上の選択研修があるわけですか ら、そこで自分のやりたいことを十分やればいいのではないかと思います。例えば専門 科目を先に研修したい、後はどうなるの、ますますモチベーションが下がってしまうの ではないかということにもなります。基本研修科目を研修することによってそれが将来 の専門に生かせると考えておりますので、その辺はどうあるべきかということを、この 部会でちゃんとした方針で文章に盛り込むべきだろうと思っております。 ○相川委員 私も、いまのご意見に賛成です。今回の検討では、臨床研修制度を最初に 導入してきたときの考え方をしっかり堅持してさらに発展させていくのか、それとも5 頁のいちばん下の○に書いてある「指摘がされている」ということも、意見併記として 書くのかを、ここでしっかり決めておきませんと、この制度がグラグラしてしまうと思 います。  最初に制度を作ったときには矢崎委員のご指導などもあり、私もそれに賛成しました。 やはり、プライマリ・ケアの知識・技能というものは非常に大事である。その背景には、 医学教育の中で、医学部での卒業のレベルで、プライマリ・ケアの知識や、ある程度の 技能が修得されていないという日本での教育の現状を踏まえ、卒業後2年間、かつ医師 免許証を与えた上で2年間そのようなものをしっかり研修し、それから専門に行くとい う1つの考え方がありました。  過去4年間の間に、医学教育もかなりよくはなってきているものの、卒後2年間にお いてプライマリ・ケアの知識・技能を研修する必要はないというところまでは、まだ医 学生の知識・技能は進んでいないという認識です。そうしますと、今回の見直しにおい ては、まだ現時点では、卒業してからすぐに専門に行くことは好ましくないというスタ ンスを私は持っています。場合によっては、5頁のいちばん下の○の「指摘がある」と いうところは割愛したほうが、この委員会のスタンスがはっきり出るのではないかとい うことも個人的には考えています。 ○部会長 いまの点ですが、「一般的な診療において頻繁に関る負傷又は病気」というこ とですが、実際に経験すべき疾患・病態は88あります。その中には骨折、椎間板ヘルニ ア、白内障、中耳炎とか、いわゆる内科、外科ではないコモンな病気も入っているわけ です。それも基本的に必要な知識です。  将来眼科へ行くと決めている人は、例えば1年目のどこかで白内障とか緑内障とかい ろいろな研修をしても、それだけでは駄目なので、糖尿病とか高血圧といったことも知 らなければいけないということは、当然気がつくわけです。絶対にそれ以外に内科、外 科、救急以外にやってはいけないということではないと思うのです。その辺について矢 崎委員はいかがですか。 ○矢崎委員 相川委員がおっしゃられたとおりで、5頁の○が強く指摘されたという印 象はないです。従来は、自身の直接的な興味に合わせて研修をしていた。それが幅広い 臨床能力を身に付けられなかった1つの原因であるので、今後は専門分化もある程度当 然ですけれども、その周辺の診療能力も持っていただきたいということが趣旨なので、 その趣旨にちょっと合わないかなということがあります。  例えばアメリカなどでは、卒業したときに自分の専門のコース、レジデントに入りま す。それも、1年目はスーパーローテートで、昔のインターンでやります。そういう幅 広い診療能力を持つような、趣旨を生かされたようなプログラムをやっていただいて、 各人の自己の直接的な興味に合わせてプログラムを柔軟にするというのは、ちょっと趣 旨に合わないのかなということですので、その辺は考慮していただきたいと思います。 ○部会長 5頁の最後の○のところの例としては小児科の話だったと思います。小児科 志望ということが決まっているのに、1年目に小児科を全く経験できないのはというよ うな話だと思いました。 ○山下委員 別の意見を述べさせていただきたいのですが、統計を取っていただいた12 頁のところに、研修の前後において変わった人と変わらない人がほとんど同じなのです。 変わらない人が半分いるというのは重い数字だと思います。その下に、変わった人はな ぜ変わったかというと、研修で面白そうだったから変わったと。それは、この研修制度 のいい面を現しています。半分は変わっていないというのは、この人たちはいかにして モチベーションを持つかというのは非常に大きな問題だと思います。  アメリカでのレジデントというのは、確かにいろいろローテートはしますけれども、 行き先はわかっていますから、目的がはっきりしています。眼科をやるために、内科の 糖尿病を勉強するのだというモチベーションがはっきりしているから、ものすごく一生 懸命やるという面もあります。それを全員に強要する必要はありませんけれども、やは りフレキシビリティを持って、数千人の若い人たちが、いかにそれでモチベーションを 持つかということに関して言うと、変わらない半分というのを無視するのは得策ではな いと思います。変わらない人たちが、やはり内科なら内科をやりたいというふうに入っ た人たちが、内科の中でも何かをやるためにいろいろな内科を見るのだというようなこ とができる、というような必要があると思います。  そのプログラムを作ることにより、この制度が根本的な瑕疵が起きてくる。先ほどの プログラムのいちばん最初に、広い範囲の知識を持つということに関して、決定的な瑕 疵がそこで生じるとはちょっと思えないのです。いろいろなフレキシビリティを持つこ とが必要だということをどこで担保するかというのは、ちょっと時間がかかるかもしれ ませんけれども、ここでもし結論が出ないのであったら、その結論が出ないという結論 にしておいていただかないと、これでいいのだということになると全然イノベーション ができないです。  先ほど大橋委員がおっしゃったように、ある程度行ってから振り返って、全体の中で 見るというような視点を入れておいていただかないと、いつまで経っても同じことの繰 り返しということになると思います。 ○部会長 先ほどの統計を基に議論すると、半分は変わらないと。変わらない人という のは、内科とか外科とかそういう所が多いですから、それ以外の科は実際の希望者も少 ないです。それから4頁のいちばん下の調査で、「概ね必修化前より向上しているとの報 告がなされている」と書いてあります。これは後で出てきたと思うのですけれども、修 得しているかどうかではなくて、結局は経験したということですので、それは表現の問 題だと思うのです。基本的技術の経験に関しては確かに上がっています。  5頁のいちばん下の○の部分をどうするかです。篠崎委員はいかがですか。 ○篠崎委員 いままでのご議論を踏まえてお話します。最初に構成ですが、これは部会 長がおっしゃったように、確かに4と5を入れ換えたほうがいいかもしれません。育成 のあり方をその他の前ぐらいにする。医師養成と言わないで医師育成と言っているので すが、普通はよく医師養成と言いませんか、育成のほうがいいのでしょうか、それも言 葉の問題です。  山下委員がご指摘になったように、「はじめに」のところに、今回の見直しをするいち ばんの背景が足りないかもしれません。平成6年の審議会で必修化すべきという意見が 出されましたので、あの辺が原点ですから、そこを引いてくればこの背景説明はできる のではないかと思います。  山口委員がおっしゃった、プライマリ・ケアと5頁のところが反するので、これを両 方同時に書くのは変な感じがします。書き方としては、「そういう指摘がされているが」 と言って、次に「しかし・・・」なのだと書けばいいのではないでしょうか。実際にそ ういうことが指摘されたことも事実ですから。そういう人たちに対して、内科、外科、 各救急をどうしてやらなければいけないのかを説明するようなプログラムを作る、とい うような改善が必要なのではないでしょうか。確かにうちのほうで作っていました指導 ガイドラインの中に、これの説明のところの最初のオリエンテーションの部分がなかっ たかもしれません。入れてなかったかもしれないから、最初から決まっている人に対し ても幅広くやらなければいけないのかという説明を十分に行うように、そういうところ の充実も必要かもしれません。 ○部会長 6頁に行きまして「今後の対応」ですが、6頁の下2行で「基本的な研修プロ グラムの考え方については、変更するべきではない」、というのは何を指すかなのです。 次の頁のいちばん上で、少し変更したほうが実情に合っているというようなことが書い てあります。 ○医師臨床研修推進室長 事務局でこう考えているということではなくて、こういうふ うに受け止めて、こういう文章を書いたということで説明させていただきますと、基本 的な研修プログラムの考え方について変更するべきではないと書いてあるのは、基本的 に2年間で82の疾病・症例とか、こういうことを経験しましょう、こういうことをやり ましょうというのは、研修医によってフレキシブルという意味ではなくて、あくまで 8,000人みんなにやっていただきたいということはたぶん変わっていないので、その基 本的なところをやるという基本理念も変わっていない。それを実現するために何科が何 カ月ということもその基本が変わっていないので、基本的に現時点では変わらないだろ うという意味でここは書いています。  ただそうは言っても、何から学ぶかとか、どういう順番で学ぶかというのは、若干余 裕があってもいいのではないかというようなご指摘があったので、その部分については 7頁にこういう書き方をしたというようなことです。 ○部会長 7頁の下から2つ目の○のところで「科学的視点」ということが書いてある のですが、これはどういう意味なのでしょうか。プライマリ・ケアをやるときでも、や はりEBMに基づいてやるべきだという意味ですか。 ○医師臨床研修専門官 これは同じ趣旨ですけれども、おっしゃっていただいたのは、 マニュアル本のとおりにやっていることが増えているのではないか、というご指摘がヒ アリングの中にありました。いわゆる医学的にどうなっているかとか、医学的には本質 を理解してやっていない人が増えているのではないかというご指摘があったことを踏ま え、科学的な視点から医療を捕らえ、本質的な理解の下に進めることが重要だというこ とを改めて書いたということです。 ○部会長 EBMというのは、煎じ詰めればマニュアルですよね。 ○相川委員 用語なのですが、「負傷」という言葉が2頁の3行目にあります。実は、厚 生労働省令で「負傷」という言葉が使われてしまっているので、基本理念のところにも 「負傷」が出てくるのですが、医学的には「疾病」に対応して「負傷」という言葉は使 わない。「外傷」あるいは「損傷」です。  例えば、「負傷の患者が来た」とか、「負傷の患者を5人診た」とか、「負傷を管理でき る」とは言いません。しかしながら、平成15年の厚生労働省令に「負傷」という言葉が 使われてしまっているのですが、我々医者がこれを見ると違和感を感じます。いろいろ なガイドラインも、国家試験出題基準もすべて「外傷」という用語ですので、これは指 摘をしておきます。  もう1つ言葉の細かいことで恐縮ですが、「救急部門」と「救急部」という用語が分け て使われています。救急部門の中には救命センターもあるのですが、救急部というと1 つのかなり呼称的なところがあるので、それはあえて分ける必要がなければ「救急部門」 に統一したほうがよろしいような気もいたします。  もう1つはこの後の議論にも関係するのですが、この中では「研修病院」という用語 と、「臨床研修病院」と「大学病院」と3つの用語が使われています。これをずっと見て みますと、「研修病院」は大学病院と厚労省が指定する臨床研修病院との両方を含む、と いうことで「研修病院」と解釈してよろしいですね。それから「臨床研修病院」と書い てある場合には、大学病院は含まないと解釈してよろしいですね。  先ほどのアンケートなどでも、「臨床研修病院」と「大学病院」という言葉で2つに分 かれています。大体それで解釈すると整合性が取れるのですが、一部引っかかるかなと いうところもあります。その用語の使い分けについても後でご検討ください。 ○矢崎委員 「臨床研修制度を含む医師育成のあり方」を具体的に示すのが研修プログ ラムではないかと思うのです。医師育成の基本的理念があって、研修プログラムをどの ように組み立てていくかということが入ってくるのではないかと思うのです。「はじめ に」にもありますが、育成のあり方が示された後で、具体的なプログラムとかそういう ものがあったほうがいいかと思います。 ○部会長 最後ではなくて、最初のほうへ持っていくという考え方ですね。 ○矢崎委員 はい。したがって、臨床プログラムを今後改善するときに、7頁の臨床研 修医育成のあり方にも関係しますが、先ほど議論のあった、医療を科学的視点から捕ら えるというのは、いわゆるリサーチマインドを育むということで、実際の患者を診療し たときに、本当にマニュアルどおりにやれば終わりということではなくて、自分が経験 した症例に基づいて、いろいろ文献を調べて考察するということがここのポイントだと 思うのです。  アンケートで、研修病院では教育資源が不足している。図書機能が不足しているとか、 あるいはクリニカルカンファレンス、症例検討会、CPCが十分整っていないということ が、プログラムの審査のときに私もすごく感じました。したがって、研修プログラムの ときには確実にそういうことをやってもらわないと。例えばプログラムの中に大学で症 例検討会に参加しますとか、そういうことは本来自分の経験した症例に基づいていろい ろ考察することが大事なので、そういう部分をこのプログラムの審査の見直しのときに、 そういう部分もしっかり検討していただいて。医師の人格の中には、そういうリサーチ マインドを持って科学的に症例を検討するという心は、すべての医師が持っていなくて はいけない資質だと思うのです。  それが、漠然と「科学的視点から捉える」と書いてあるのですが、研修プログラムと しては、マニュアルどおりにやるということから一歩進んで、問題解決型の臨床の診療 能力を持つという意味で、プログラムの中にそういう視点も入れるということを補強し ていただきたいと思います。 ○部会長 文章を補うということですね。 ○矢崎委員 はい。 ○部会長 いま言われた、4をどこへ持っていくかというのは大変難しい問題で、もと もと臨床研修制度の見直しのディスカッションをしていたら、卒前とか後期とか生涯が 出てきたので、どういう医師をつくるかというところからこの部会の議論は始まってい ないのです。それで、後のほうにしたらどうかという意見だと思うのです。確かに2つ の考え方があります。8頁と9頁で、3番の到達目標の改善についてご意見はありますか。 ○山下委員 先ほどの必修項目ですが、これも是非見直していただきたいと思います。 私は眼科が専門なのですが、みんなが白内障の診察を経験する必要はないと思っていま す。プライマリ・ケアで、生命にかかわるようなことをまず一生懸命やってくださいと。 白内障を経験するためだけに眼科に回ってきて見せるという話になります。それは、コ モンディジーズとして数が多いから、確かに白内障というのはものすごく多いのですけ れども、本当に初期の臨床研修医にとって必要かということがあります。  ちゃんとやるのだったらものすごく時間がかかりますけれども、1回パッと見せて、 チェックして、先ほど部会長が経験だけですねとおっしゃいましたが、まさにそこがポ イントだと思うのです。それが、いかに将来にわたって役に立つかという検証を1回ど こかでしておかないと、ただ数だけ多いのです。結膜炎と白内障を見せたから一体どう なるのだという話になるのです。  議論が循環して申し訳ないのですけれども、どういう基準でこれを切ったり付けたり していくか。技術が進歩するわけですから付けると。それをどういう基準でやるかとい うことは、やはりコンセプトであり、一体何を目指したプライマリ・ケアなのか、とい う哲学が最初にないと判断のしようがないわけですから、その辺を含めた形で検討して いただきたいと思います。 ○部会長 いま言われたところは、9頁の2つ目の○です。医学の進歩に伴い、到達目 標を適時変更が可能となるシステム、と抽象的に書いてあるのですけれども、もうちょ っと具体的に恒常的な検討をするワーキンググループをつくる、というようなことを書 き込んでもいいかもしれないです。いま言われたのはそういうことでしょうか。 ○山下委員 そうです。 ○部会長 次は10頁で、矢崎委員が言われた「医師育成のあり方」という少し大きい問 題です。 ○大橋委員 私も矢崎委員が言われたとおり、最初にどうあるべきかという議論はなか ったわけです。国民という視点からいうと、研修だけ終わって医者ができるのかという 議論にどうしても持っていかれてしまうということがあります。形としてこの部分をか なり前面に出して、それでこの研修というのはどういう位置づけがあって必要なのだ、 というような構成で、先ほど矢崎委員が言われたような形にしていただくのがいいので はないかと感じます。 ○部会長 ただ、この部分はあまり具体的なことはないのです。文部科学省と厚生労働 省がもっと連携してほしいとか、一元的に考える組織が要るとか、非常に抽象的なこと が書いてあります。これを頭のところに出して、ここからどういうような医師の育成が 必要なのか、ということがなかなか具体的に浮かび上がってきにくいという印象があり ます。 ○大橋委員 ご指摘のとおりだと思うのです。医師の育成というのは生涯教育といいま すか、そこで今回目指しているプライマリ・ケア的な救急の部分以外に、より専門性を 持つのと、勤務医としてやる方と開業されている方と、大学という所でアカデミックに やるというのは、国民もある程度医者と言ってわかるわけです。具体的にそれはどうあ るべきだという議論はしていないのですけれども、そのような形で医師像というのがあ り、その医師像の中で今回のプライマリ・ケアというのは誰にも必要なのだという形の 記載でいいのではないかと思うのです。 ○部会長 次は体制の充実の問題で、指定基準のところです。経過措置を「平成21年3 月をもって廃止する」ということも書き込んであると思うのですが、いかがでしょうか。 これは12頁の下のところのアとイとウでしょうか。例えば、受入研修医の数の問題、医 療法の標準の医師数がいるかどうか、よく言われる標欠ですが、そのようなことを取っ てしまう。 ○飯沼委員 なるべく早く経過措置は中止にしてほしいと我々は思っています。12頁の (2)を廃止してしまって(1)だけにした場合に、実数としてどのぐらいの病床数が減るので しょうか。 ○部会長 それは、何かありますか。病床の数が減ることと、研修医がそこにいるかど うかはわからないですから、ちょっと違いますけれども。 ○冨永委員 この部会で、経過措置については当面の間ということで、平成21年と決ま ったことなのかどうか記憶していないのですけれども、(1)のカ、臨床研修病院は標準医 師数を有していること。臨床研修病院には協力施設は入らないのですか。単独型、管理 型、あるいは協力型臨床研修病院のことを言っているのでしょうか。 ○部会長 協力施設は入らないと思います。 ○冨永委員 なぜこういうことを言うかというと、いわゆる離島・へき地の小病院につ いてはほとんどが標欠なのです。ところが、そういう所で一生懸命やっている方の姿を 見て地域医療を学びたい、という若い医師もたくさんいるものですから。 ○部会長 協力病院は入るとしても、協力施設は入らないです。 ○山口委員 もう1つ教えていただきたいのは、医療機能評価機構の評価を受けている ということも、先ほどの研修医のアンケートにもありましたように「雑用が多い」とい うことで、その雑用のかなりの部分は書類書きであったり、インフォームド・コンセン トであったり。医療安全にかかわるような話にいろいろ手間がかかるような話を、研修 医が雑用と言っていることが非常に多いので、ああいうことが必要だということをちゃ んと理解してもらう必要があると思うのです。  その意味で医療機能評価機構の評価を受けている、ということが恒常的に必要だとい うことが病院の中にあることが研修としてかなり必要なのではないか。あたかも、でき ればそれはスキップしたいと思っている若い人が多いので、是非意識を変えていただき たいと思うのです。そういう意味で医療機能評価機構の評価を受けて、そういう医療安 全なり、情報公開みたいなことに対する対応がちゃんとできているということは、研修 に必要な要件かと思います。いま、実際にどのぐらいが医療機能評価機構のあれを受審 して認可を取っているのでしょうか。 ○部会長 知りませんけれども、たぶん大学附属病院というのは取っていない所がかな りあるのではないでしょうか。先ほどの数字はありますか。 ○医師臨床研修専門官 もう少し調べさせてください。 ○西澤委員 いまの機能評価の数字なのですが、13頁のいちばん下の「それ以外の評価 を実施している病院は約9%」ということですが、それ以外というのは自主評価以外と いうことなのか、これは機能評価機構の認定病院が入った数字なのか、入っていない数 字なのかを教えてください。 ○部会長 13頁の下2行です。 ○資質向上専門官 自主評価以外の評価というのは特に限定しておりませんので、その 病院で受けているものを含めているので、その病院が日本医療機能評価機構の評価を受 けていれば、それも含まれることになると思います。 ○西澤委員 いまは認定病院数は2,000を超えていたと思うのですけれども、全病院の 4分の1ぐらいが受けているとすれば、この9%というのはちょっとおかしいと思います。 逆に言うと、このような臨床研修病院であれば、全国の平均より高いはずではないかと 思うので、もう一回数字を見ていただけますか。 ○部会長 この評価は、病院の機能ではなくて、臨床研修に対する評価という意味だと 思うのです。 ○冨永委員 いま、財団法人医療機能評価機構は、臨床研修機能の評価もやっているの ですか。 ○医師臨床研修推進室長 していないです。 ○冨永委員 臨床研修評価に関する研究会(平成19年10月1日から「NPO法人卒後臨 床研修評価機構」に名称変更)、ここには高久先生も矢崎先生も理事として入っていらっ しゃいますが、それができたので、そこで臨床研修の評価を受けている病院が数十ある と聞いています。 ○西澤委員 それだけだとすれば、9%は多すぎます。 ○部会長 そうなのです。 ○西澤委員 基本的な考え方としてもう1つ、いま日本医療機能評価機構というのが日 本では唯一の第三者で、病院の機能評価をやっています。そこに臨床研修という付加機 能評価はないにしても、基本的にはこれを受けているということは大事だと思うので、 これを強調していただければと思います。 ○医師臨床研修推進室長 病院の数は調べて改めて報告させていただきます。 ○相川委員 臨床研修病院の指定基準ということですが、先ほど私が定義したように、 この臨床研修病院というのは厚労省が指定するものであって、大学病院を除くというこ とになっています。根本的な話をして申し訳ないのですが、臨床研修病院の指定に関し ては、私もその委員として数カ月前にも多くの病院の指定に関する審査で意見を出しま した。そのときに、前回も感じて意見を言いましたが、今回もその審査のときに感じて 意見を言いました。  厚労省が審査をしている臨床研修病院がここにある。それは、いろいろな基準で審査 するわけです。一方、大学病院の資料も参考に出てきます。その大学病院に関しては、 我々がおかしいと思っても、それを指定から外すことはいまの制度ではしていないとい うことがあります。例えば、臨床研修病院での基準で、ベッド数などから定員がある程 度決まってくるわけですが、それとは全く違う非常に大きな数の定員を、平気で出して きている大学病院があるわけです。  そうすると、厚労省として、ある程度一定の基準で臨床研修病院の定員なども含めて 指定しているのに、大学病院は確かにいろいろなレベルでは科学的にも、あるいは指導 体制も勝っているとは思いますけれども、少なくとも患者数、あるいは病床数に対する 定員ではそこに乖離が生じてしまって、全国的な臨床研修というところで、臨床研修病 院と大学病院との間で整合性が取れていないということを、もう一回指摘をしておきた いと思います。  これはお国のやることですし、ある程度整合性が取れた臨床研修制度を作っていくこ とは大事だと思います。これを、今回のこの中に盛り込むかどうか、盛り込むにはいろ いろな障害があるとは思いますけれども、少なくとも我々はそこのところを認識してお いて、大学病院なら定員を大幅に増やしてもいいのだというようなことは、将来的には 解決していくべきだと思っております。 ○部会長 いまのは12頁、13頁の体制の充実に一部出てきます。15頁でしょうか、「医 師の地域偏在と研修医の募集定員」ということで出てきます。 ○相川委員 やんわりと書いてあります。 ○部会長 そうなのです。どのように募集定員を実際の研修医数にマッチさせるかとい うことだと思うのです。あとは最後まで含めていかがでしょうか。 ○山下委員 これもかなり漠然とした議論で申し訳ないのですが、臨床研修病院の体制 についてということで、研修医のモチベーションのためには2つあると思っています。1 つは先ほどの将来にわたってのキャリアとしてどうかということ。もう1つは指導医が どれぐらい熱心かということです。自分は専攻しないつもりでも、ものすごく一生懸命 教えてくれる人がいると、それにものすごくのめり込んでしまう研修医がいっぱいいま す。だから半分が変わっているわけです。  指導医の質を高めるためにどうするか、という議論がここに書いてありますが、これ だと負担が増える一方なのです。要するに、指導医をどうやって楽にして、教育に向け させるかという議論がどこにも書いてないのです。ここで議論するべきではないかもし れないので、どこで言えばいいのかわからなかったのです。結局人の手当てをするなり しないと、指導医がバーンアウトしてしまって、全然教育どころではなくなってしまっ ています。いまは医療状態がものすごく大変な状態になって、ものすごく仕事が増えて いるところにもう1つ増える。そうすると、研修医にとっては放っておかれるというの がいちばん辛いのです。  これは全部正論ですから反論はしませんけれども、これのロジスティックスをここの 部会でなければどこかでやっていただきたい。指導医がきちんとファンクションするよ うなシステムであれば、人がちゃんとしていれば、このシステムはかなり動くと思いま す。それに関しての議論を、もしよろしければどこかでしていただきたい。指導医が大 変だ、というのはヒアリングの中で出てきたと思いますので、お願いいたします。 ○部会長 14頁、15頁でその点を「屋根瓦方式」とか「チーム主治医」とかいろいろ書 いてありますが、最終的にはお金がないとできないということです。 ○西澤委員 16頁の3つ目の○です。確かに指摘はあったのですが、実際にどうなのか ということです。大学所属医師の「所属」というのは職員なのか、ほかの研修医も全部 含めてなのか、その辺りがちょっと不明確な文章かと思います。 ○部会長 その意味を事務局に聞いてみましょう。 ○医師臨床研修専門官 これは、まさに現状と課題というところで、ヒアリングで言わ れたことをそのまま書いているところもあります。基本的に大学医局という意味でお話 をされていたのだと思います。 ○西澤委員 次の北海道、東北云々での医師の減少。これは「研修医」ではなくて「医 師」ですよね。本当に、北海道、東北で医師の数が減っているのか。 ○医師臨床研修専門官 これも、ヒアリングのときにそういうデータを示されたので、 一応書いたということではあります。 ○西澤委員 ここに書いてあると、そうだと思われがちなのです。これを見るとどれも 違うような気がするので、うまく書いていただければと思います。 ○医師臨床研修専門官 はい。 ○長尾委員 経過措置のところで、これは「平成21年3月をもって廃止する」というこ とで結構だと思います。「著しく医師の確保が困難な地域」というのはどの程度まで考え られるのかということが1つです。  それから、17頁で募集数が多いということですが、その募集定員が多い当該地域の研 修病院の新規指定等を留保するというのも、機械的にこれは絶対駄目だというようなこ とにしてしまうとちょっと問題があるかもしれません。やはりモチベーションが高くな る所はやれるような、何かの審査基準とか、審査方法というものも少しフレキシブルに 考えられるようにしたほうがいいかと思います。 ○部会長 推定なのですけれども、この辺は実際に試算してみないとわからないと思う のです。質の担保だけでいけばそれでかなり減るかもしれません。 ○飯沼委員 非常にプリミティブな話ですけれども、平成21年3月をもって廃止すると いうことは、平成21年3月の卒業生までは有効と考えるわけですか。平成20年度の卒 業生はというふうに読むわけですか。 ○医師臨床研修推進室長 平成21年3月をもってということですので、平成21年4月 から卒業生というよりも、その病院の指定に当たって基準が変わるというような考え方 です。 ○飯沼委員 平成20年度の卒業生は入らないということですね。措置はないという。 ○医師臨床研修推進室長 はい、卒業生ベースでいけばです。それに関連した経過措置 についてご質問があり、いま数字として確定しているものはないのですが、経過措置の ア、イ、ウを外したときにどうかというご質問がありました。いま、イについてだけ数 字が手元にありますので申し上げます。この医療法標準をそのまま適用すると、病院数 で申し上げますと36、そこに在籍している研修医が現時点では25という数字になって おります。  アの要件は、研修病院にはほとんどかからないだろうと。大学病院のほうはこのまま 当てはめるとかかるのですが、いまこの基準には当たらないようになっています。ウの 要件も、たぶんほとんど引っかからないだろうということなので、影響としては、いま 申し上げたイのところが大きな要素になるのかと思っています。  ただ、アの要件は厚生労働省の指定病院では当然かかるのですけれども、同じような 形でここ以外もそうですけれども、大学病院のほうにもご協力をいただいてやっていか なければいけないというご指摘だと思います。我々もそういう方向で、文部科学省と協 力してやっていかなければいけないと思っております。  いまの文章の中で、著しく不足の地域というのはどこかというのは、またご議論があ ってからだと思いますけれども、いまの厳しい社会問題化している状況を考えれば、全 国平均とかどこで線を引くかというのはあると思いますけれども、そういう所から比べ て医師が不足している所だったら配慮せざるを得ないのかということで、記載している ということです。 ○部会長 いまの経過措置と定員の問題は、実際に実行するまでに少し時間がかかりま す。しかし、他の部分の具体的提言のあることについては、やろうと思えば来年4月か らでもできるわけです。 ○冨永委員 13頁の「今後の対応」ということで、先ほどから出ている指導医の要件で すけれども、全自病協と国診協で指導医養成講習会を50回以上やっていて、もう2,000 人の指導医を出しています。それが終わったときに、指導医講習会を受けた人に感想を 20〜30秒で受けます。そうすると、目から鱗が落ちたと。いままで自分の姿だけを見せ てやってきたけれども、指導の理念とか技法ということを2泊3日で学んで、これから の指導の参考になる、非常に勉強になったという方が100%です。講習会受講は是非条 件として入れていただけたらいいのかと思います。  その指導医養成講習会の中で、指導医のことでご意見を伺うのは、先ほど言ったよう に処遇の問題です。もうバーンアウトしそうだということで、その方策として当初から 言われております「屋根瓦方式」ということもあります。責任者としてチェックすると いうことは、指定されている指導医がやったらいいのですけれども、指導体制というこ とをもう少し明記して詳しく書いていただくということ。指導料ということで予算は出 ているんだよとおっしゃるとは思うのですが、もう少しなんとかしていただきたい。約 2,000名の指導医群のすべての人がそういうことを言っています。 ○医師臨床研修専門官 いまの指導医のことは、15頁の「今後の対応」のところに、指 導医に過度の負担のかからないような体制というところで、今後少し併せてやっていか なければいけないと。実際にヒアリングで来ていただいた所でも、指導の体制、指導医 が実際直接患者をすべて診なくてもいいような体制という紹介もありましたし、いわゆ る給与がそれだけプラスされているという紹介もありましたので、そういうモデルも併 せて、どういうやり方でやっているのかというのを明確にしていく必要があるというの で書かせていただいたのです。文章がちょっと変なのでなかなかわかりにくいので、そ の辺はわかりやすく書かせていただきます。 ○部会長 いまの点は体制の問題なのですけれども、その処遇については書き込めない と。ここで書くとあまりになまなましいですか。指導医手当を出せと。 ○医師臨床研修推進室長 実際に病院の中で、金銭面も含めてどういうふうに評価する かというのは、たぶん病院の中の体制によって、そうしたほうがいいというふうに言わ れてしている病院もあれば、全員が指導医なのだから、誰に上乗せするのではないとい うような体制で取り組まれている病院もあると伺っています。そこは、ある面で現場の 判断に任せ、こちらでいろいろというのは難しいのではないかと思います。 ○山下委員 最後のところに書いてある、どうやって地域のバランスを取るかというこ とのグランド・デザインは慎重に書いていただきたい、ということをこの前も発言しま した。数で人口がどうのこうのという議論を先にする、後から来てもいいと思いますけ れども、やはり指導の体制とか質とか、どのようにして質を担保するかという議論が先 にあるべきで、これをこの報告として、提言として盛り込むかということに関して、私 ははっきり言って反対です。  要するに質の担保をする。どういう医師を育てて、そのためにはどういう症例があっ て、そのためにはどういう指導医がいて、だからここで線を引きましたというのが本来 あるべき姿で、そうしないと説明ができないと思うのです。そういうのがなくて、人口 10万がどうのこうのという議論だけというのは片手落ちだと思います。 ○部会長 やはり、両方必要ですよね。 ○医師臨床研修推進室長 基本的には質が重要だと考えておりますが、地域の分布とい うのもある面では社会的な要請であります。質の問題を別に置いておいてというわけで はなくて、要するに同じ質、基準の中で、多い所よりは少ない所。もっと言えば、多い 所には先ほどご指摘のありました新規の申請をちょっと待ってもらうとか、こちらより 少ない所を優先するとか、そういう話が今後出てくるのではないかということも含め、 これは6月に提案させていただいたのをそのまま書かせていただいています。また先生 方のご議論でいろいろ変わってくると思いますけれども、そういう位置づけです。 ○山口委員 私もちょっと違和感があります。研修の医師の話で、医師不足をこれでな んとか補填しようというニュアンスが前面に出ているというのは、ちょっとおかしいの ではないか。最終的な形として、そういうことに配慮することはあったとしても、研修 をする医師であることがまずいちばんの条件で、こういう医師でもって医師不足を解消 というのはちょっと本筋が違うのではないか。 ○部会長 そうなのです。もともと研修医が残らないために、地方の大学から地域の病 院へ出せないということで、そこのところは関接的なのです。しかし、質とかそういう ことのみにとらわれると、どうしても大都市に集中しますよね。  ほぼ時間なのですがどういたしましょうか。このたたき台で本日ご議論いただき、さ らに後からご意見をいただいてまとめるのか、あるいはもう一回ぐらいみんなで集まっ て議論したほうがいいのか、その辺はいかがでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長 本日これをお示しして、限られた時間でもありますので、ご 発言もなかなか足りないというか、もっと意見があるという先生方もいらっしゃると思 いますので、できればこの後も事務局のほうにペーパーなり何なり、あるいは電話でで も結構ですが、いろいろご意見をいただけたらと思います。  それらも含め、本日のご議論では両論併記的なというか、なかなか埋まっていない部 分もあるかと思いますので、そこは部会長と相談させていただきながら、ある程度いた だいた意見も含めて事務局のほうで文章を作らせていただきます。先生方に何回も集ま っていただくのも大変だと思いますので、メールなり何なりという手段でやり取りをさ せていただいてある程度固めていきながら、次回をいつやるかも含めてご相談させてい ただければと思います。 ○部会長 全般を通じて何かありますか。 ○冨永委員 18頁の「その他」ですけれども、4月30日現在の状況ということで、この 変更が認められるのがたぶん7月か8月ごろです。18頁の新規申請、あるいはプログラ ム変更の締切りが4月30日、6月30日になっていますけれども、新年度になった途端 に変わっているということがありますので、この辺を是非フレキシブルに年2回ないし 3回やっていただきたいと思います。例えば産婦人科、小児科がなくなって、研修の協 力病院、協力施設に変更があったときに、申請はしたけれども、まだ認められているか どうかわからないという状況が出てくると思いますので、是非よろしくお願いいたしま す。 ○部会長 いま、書類を1カ所を変えるにしても、また関係者全部の判を貰って出さな ければいけないとか、事務的にはかなり大変ですよね。本日の部会はこれで終わらせて いただきます。どうも長時間ありがとうございました。 (照会先)                   厚生労働省医政局医事課                      医師臨床研修推進室                    (代表)03−5253−1111                   (内線4123)