07/09/04 社会保障審議会後期高齢者後期高齢者医療の在り方に関する特別部会平成19年9月4日議事録 07/09/04 社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会          第11回議事録  (1)日時    平成19年9月4日(火)15:00〜17:02 (2)場所   厚生労働省共用第7会議室(5階) (3)出席者  糠谷真平部会長、鴨下重彦部会長代理 遠藤久夫委員、川越厚委員、 野中博委員、村松静子委員         <事務局>         水田保険局長、木倉審議官、原医療課長、深田総務課長 他 (4)議題   1.後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子(案)(たたき台)について (5)議事内容 ○糠谷部会長  それでは時間も参りましたので、これより後期高齢者医療の在り方に関する特別部会を 開催いたします。  まず、委員の出欠状況でございます。本日は、高久委員、辻本委員、堀田委員が御欠席 でございます。  次に厚生労働省において異動がございました。事務局より紹介をお願いいたします。 ○原医療課長  はい、それでは8月24日付で人事異動がございましたので紹介をさせていただきます。 まず、大臣官房審議官医療保険医政担当の木倉敬之でございます。 ○審議官  よろしくお願い申し上げます。 ○原医療課長  それから保険局の総務課長深田修でございますが、少し所用でおくれております。以上 でございます。 ○糠谷部会長  それでは、議事に移りたいと存じます。  前回の特別部会では、後期高齢者医療の診療報酬に関してこれまでなされた議論につい て、項目立ての整理をした資料をもとに再度議論を行ったところでございます。本日は、 前回もお伝えしましたとおり、前回までの議論を踏まえて「後期高齢者医療の診療報酬体 系の骨子」のたたき台としての(案)を事務局に作成をさせてございます。これについての 議論をお願いしたいと思います。  それではまず資料について、事務局から説明をお願いいたします。 ○原医療課長  はい、医療課長でございます。資料1をごらんいただきたいと思います。この特別部会 では最終的に「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」をまとめていただいて、その後、具 体的な点数構成等については中央社会保険医療協議会の方にやらせると、こういう形にな っております。今回はそのたたき台としての案を提示させていただいております。  まず前書きの部分でございます。1つ目は、今回のこの特別部会を設置するに至った経 緯ということで、それまで平成18年の健保法改正の中で書かれました「後期高齢者医療制 度」そのときの審議の中での附帯決議ですが、これにつきまして必要かつ適切な医療の確 保を前提とし、その上でその心身の特性等にふさわしい診療報酬とするため、基本的な考 え方を18年度中を目途に取りまとめる」と、これはことしの春にまとめていただいたもの です。それを国民的な議論に供した上で策定をするということでパブリックコメントをと り、最終的にこの骨子をまとめていくという作業のことを示しております。  2つ目の丸は、昨年の秋、10月からこの特別部会でいろいろ議論していただきました経 過、それから今言いましたような途中の基本的な考え方、パブリックコメントについて述 べております。部会の開催回数は最終的なところで入れたいと思っております。  そして最後の丸は、骨子についてまとめたもので、その趣旨を踏まえて中医協の方で診 療報酬案を検討してくださいということを書いてございます。  まず1番目は総論的なお話ということで、後期高齢者にふさわしい医療(基本的事項) を書いてございます。1つ目の丸のところは、基本的考え方のときにお示しをいただきま した後期高齢者の心身の特性でございます。(1)が、治療が長期化したり、あるいは複 数疾患へ罹患することが多く見られる。(2)が、認知症が症状の軽重は別として多くの 高齢者に見られる。(3)が、75歳以上の保険制度でございますので、この被保険者であ る後期高齢者は、この制度の中で、いずれ避けることができない死を迎える。このような 特性があるのではないか。このような中から、後期高齢者に対する医療に対する視点とし て3点挙げてございます。  1つ目は長期化あるいは慢性化するということから、後期高齢者の生活を重視した医療 の視点が必要である。2つ目の視点は、後期高齢者の場合当然ながら75歳以上の方々でご ざいますので、後期高齢者の尊厳に配慮した医療というものが必要ではないか。3つ目は、 患者及びその家族が安心・納得できる医療ということで視点を書いてございます。そして その次の3番目の丸でございますが、ここでは74歳以下から75歳以上に保険制度として は変わるわけですが、医療の基本的な内容は大きく変わるものではないと。それは年齢と いうよりも患者個々人の状態に応じて必要な医療が提供されるべきであるということで、 74歳以下から75歳以上にかけての、それぞれのさまざまな医療の連続性の重視を考える べきだという基本的な考え方であります。  とはいえ先ほどの後期高齢者の心身の特性等もございます。だから若年者あるいは高齢 者を通した医療全般のあるべき姿を見据えて、後期高齢者にふさわしい医療を構築してい くべきであるという総論をここで述べさせていただいております。  2番目の大きな項目は、後期高齢者医療の診療報酬に反映すべき事項です。始めの2つ の丸についてでございます。1つ目は現在に至るまで、現在も老人保健制度というものが あるわけですが、この法律の中で高齢者の医療が提供されてまいりました。この中で老人 の診療報酬制度がございまして、高齢者に対する医療について在宅医療の推進であります とか、長期にわたる療養に対する入院療養環境の向上、一般病床における長期入院の是正 あるいは漫然・画一的な診療は行わないこと等々、こういうようなことが老人の診療報酬 で随時工夫がされてきたところでもあります。したがいまして、この後期高齢者医療制度 という新しい制度におきましても従来のこのような工夫などを踏まえた上で、診療報酬全 体の評価体系と診療報酬、先ほどの後期高齢者の特性に合ったふさわしい医療、こういう ものの視点で組み合わせてつくっていくべきだということを述べております。  次のページでございます。ここは前回まででお示ししましたように、ある程度具体的な ところは外来、入院、在宅、終末期という形でくくってございます。  1つ目の外来医療でございます。ここではいろいろ議論をしていただきました。後期高 齢者の多くは何らかの疾患を持って医療機関にかかわっているということもございます。 あるいは外来で患者さんはまだ動ける状態ですので、複数医療機関を受診するということ もございます。そういうようなことから後期高齢者を一つの病気ごとに診るだけではなく、 例えば「主治医」というものを決めていただいて、その主治医の先生が担当する病気以外 にも、高齢者全体を健康面からしっかりと診ていただこうと。そのために、例えば1つ目 のポツですが医療情報、病歴ですとか受診歴、服薬状況、いろいろな医療機関への受診状 況等。ある高齢者の医療にかかわる情報については一人の方が一元的にまず把握していた だく。それからその主治医にやっていただきたいことは、自分の担当している主な病気、 例えば高血圧ですとか糖尿病などいろいろございましょうが自分が担当としている病気以 外に、この人全体の健康状況をしっかり把握していただくという意味で、前回も御説明い たしましたが例えば基本的な日常生活能力、認知機能あるいは意欲、これらについて高齢 者の総合的な評価を行っていただく。それをもとに必要な指導をやっていただくといった ことが必要ではないか。  それから、その中でもいろいろな病気が発症してまいります。専門的な治療が必要な場 合は適切な医療機関に紹介していただくと。もちろんその結果は把握していただく。この ような取り組みが主治医としては必要になるのではないか、このような総合的に高齢者を 見る取組を推進していくような診療報酬上の評価を考えるべきではないかということにし ております。  それから薬歴管理でございます。後期高齢者は薬を非常に多種類飲んでいると。それか ら先ほども述べましたように、複数医療機関から薬をもらわれることもあるということ。 薬の相互作用あるいは重複投薬を防ぐ必要があるということから、服薬あるいは投薬の状 況、情報について薬品の情報をしっかり確認できるような取り組みを進めていくべきでは ないかということでございます。  3つ目が、関係者、患者、家族との情報共有と連携でございます。外来に限らず、入院 や在宅でもそうですが、やはり一人の高齢者をめぐるさまざまなかかわりを持つ人々がお りますので、そこの間での情報の共有あるいは連携ということがキーワードになってまい ります。外来医療でございますので、患者の方は比較的動ける状態ですが、とはいえほか の医療機関あるいは介護福祉サービスが必要な場合、あるいは現に受けている場合もござ います。そういう意味ではその患者に対します医療の情報のほか、必要な先ほどの総合的 な評価の結果等も含めて、医療関係者あるいは介護福祉サービスの実施者との情報の共有 というものを進めていく必要があるのではないか。  またそれらの情報については患者やその家族にも十分に情報を提供して、納得をしてい ただく、そういう丁寧な説明が必要ではないかと考えております。具体的には、関係者が 一堂に集まってカンファレンスという形でやるやり方もございましょう、集まりにくいと いう場合には、情報の共有、連携をどう進めていくか、そういう工夫を診療報酬上考える べきと考えております。  それから入院についてです。入院の大きなところといいますか、いわゆる急性期の入院 医療等につきましては、先ほどの総論部分でもございましたように74歳以下からの連続性 という意味で大きく変えることはないと思います。ただ、比較的急性期の病院で入院して きても慢性化しやすい、あるいは退院後どうしていくのかというところが病気を持ちなが ら退院していかれる場合もございます。そういう意味で退院に着目したところをここでは 述べております。  1つ目でございます。主たる入院目的、例えば脳卒中の発作でありますとかあるいは悪 性腫瘍の手術等いろいろあると思いますが、入院当初の目的については診療計画、入院計 画を立てていただいて治療を進めていただくわけでありますが、後期高齢者の場合入院さ れている中で、先ほども出てまいりました後期高齢者の日常生活能力や認知機能等々の総 合的な評価を行っていただいて、退院後に生活をする上でどういう工夫が必要かといった 視点でもって入院中も診療計画をつくっていただきたいということでございます。退院後 を見越した診療計画、そういうものをつくっていただくことについてしっかりと診療報酬 上評価してはどうかということでございます。  2つ目でございます。入院中の評価とその結果の共有。先ほど述べましたように、入院 中に総合的な評価をしていただくとともに、その結果について今後在宅療養が必要になる 場合、医療関係者やあるいは在宅の生活を支える関係者に必要な情報を提供していくとい うこと。このあたりについても診療報酬上評価してはどうかということでございます。  それから退院後、入院から入院外の医療にスムーズに移っていくために退院前後の支援 が必要に重要だという御指摘がございました。患者さんは、やはりいろいろな場面転換の ところで非常に不安になられるということがございます。特に入院中は退院前に十分な、 例えば退院調整をしていただく、あるいは退院後に在宅医療が必要ならその場合の指導等 をしていただく、あるいは在宅の医療を担当される方々との調整、このようなところをし っかりとやっていただきたいということを考えております。  大きな3番目の在宅医療でございます。ここの1番目は先ほどとも共通いたしますが、 情報共有と連携。在宅医療でございますので、患者は余り動き回れる方々ではございませ ん。そういう意味で在宅医療の場面では、特に患者さんを中心に関係者がいろいろな形で 在宅での生活あるいは医療を支えていくということになります。在宅医療の医療面からの 支えは、主治医が当然担当していただくわけですが、ただ従事者間の情報の共有や連携を やっていただくために主治医がしっかりとやっていただく。あるいは委員会でも少し御意 見がありましたが、主治医の医療機関が持っておられる訪問看護ステーションなりが連携 のかなめになってもらってはどうかと。さらに生活を支える場面では、当然ながら介護福 祉関係者が参ります。そこの中心は多分ケアマネジャーさんでしょうから、そういう方と も情報の共有化あるいは連携をしていく。その手法については一堂に会する方法あるいは そうでない方法がございます。そういうようなものを診療報酬上評価してはどうかという ことでございます。  それから病院等による後方支援でございます。先ほど入院から在宅へ移っていく場合の スムーズな移行と申しましたが、ここでは逆に在宅での療養を進めている場合でもやはり 一時的に入院が必要な場面が出てまいります。そういうところでスムーズに入院できるよ うに後方支援をしてくれる病院との連携を持っていただくとともに、在宅での療養方針と いいますか診療方針についても引き続いていただけるように、このときに主治医がこの連 携医療機関に十分に連絡をしていただくということが必要ではないか、そのあたりを評価 してはどうかということでございます。  次のページでございます。在宅歯科診療でございます。ここではいわゆる寝たきりにな られた方々、特に口腔の衛生管理が十分でないと誤嚥性の肺炎等々の発症が高くなるとい う御指摘もございました。やはり口腔内の継続的な衛生管理が必要であろうということで、 ここでは在宅において適切な歯科診療が受けられるようにということで、ここでも診療そ のものは当然でございますが、さらにその地域の医療関係者から歯科診療について情報提 供をしていただけるような工夫が必要ではないか。  また薬の関係では、医療機関にいる間はしっかりと服薬できるわけです。家に帰って薬 袋から薬をドッと出してしまいますと、どの薬をいつ飲むのやらわからないということも ございますし飲み忘れ、飲み残しという問題がございます。そういうことがないように、 ここでも御紹介いたしましたが、お薬カレンダーのようなものを使いながら服薬の管理を しっかりしていただく必要があるだろうということでございます。  在宅医療を進める上でなくてはならいないのは、医師だけでなく訪問看護の分野でござ います。そういう意味では、現在もいろいろと緊急時の対応のための24時間体制とか重症 の加算であるとか工夫はありますが、必ずしも十分ではないという御意見もございました。 退院前後の支援ともども今回さらに充実した評価をすべきではないかということを指摘し ております。  それから居住系施設等における医療でございます。今現在、典型的な老人保健施設であ りますとか特別養護老人ホームというところにおきましては、基本的な医療なりは施設の 医師なりあるいは委嘱をしている医師なりが担当する分野はございますが、恐らく今後ど 必要になってきます、その居住を中心とした施設。こういうようなところでは、やはり外 から適切に医療を提供していく必要があるだろうと。現在の実は訪問診療の全体の体系、 在宅医療の全体の体系はどちらかというと個々の家にそれぞれ行くということを前提につ くられております。居住系施設に行くという形のものが必ずしも前提になっている体系で はございません。このあたりでは少しそういうようなものを想定した形の訪問診療なり看 護なりのことを考えていく必要があるだろうと考えております。  それから終末期おける医療でございます。終末期の医療では、ここでは議論もございま したが、いつからが終末期か難しいところがありますが本人、家族、主治医の方、こうい う方々で十分話をしていただいた上で、書面でもってどういう診療をしていくかというこ とを決めていきましょうといった話し合いをする。あるいは書面で残すというようなとこ ろについて評価をしてはどうかと。それから当然ながら、その書面にすることによってさ まざまな形で例えば訪問系のいろいろなサービスが入ってきたときに、関係者でその情報 を共有しておく必要があるだろうと。そういうようなところを考えております。  さらに最後のみとりの場面においては、特に訪問看護が果たしている役割が重要である ということもございましたので、そのあたりの評価を考えてはどうかということでありま す。  この項の最後ですが、とくにがんの末期の患者さん等々については、疼痛緩和が非常に 重要になってまいります。日本ではそういう場面での麻薬の使用量が少ないと言われてお ります。適切な麻薬を在宅でもどんどん使っていただくということが必要になろうかと思 います。ただ、一方で飲み薬とはいえ麻薬でございます。その管理や廃棄等について十分 に注意をしなければいけないということで、そういう意味では薬剤師の方にその指導をし っかりとやっていただくことが重要になると考えております。  最後に留意すべき事項ということで、制度全般にかかわる話でもあります。1つ目は、 後期高齢者を中心にその生活を全体として支えていくためには、医療関係者のみならず看 護・福祉者間のやはり連携や情報の共有というものが非常に重要なファクターであるとい うこと。それから情報の共有や連携をすることにより、検査の重複あるいは投薬の重複を 減らすこともできます。そういう意味では、医療資源の重複投入を抑制することが可能で はないかと。さらに、新たな制度でこの中では被保険者である後期高齢者、保険料として 給付費の1割を負担することにもなっておりますし、医療費の1割の自己負担もございま す。その中では制度の持続可能性に留意して効果的・効率的な医療提供の視点も必要であ ると最後は書かせていただいております。資料の説明は以上でございます。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。それでは、この「たたき台」について議論を行いたいと思いま すが、その前に、本日御欠席の高久委員から「たたき台」に関するコメントを書面でいただ いております。資料2として配付しておりますのでごらんをいただければと思います。  また辻本委員からは、たたき台の文面については特に意見はないということ。骨子がま とまり次第、中医協において骨子の項目について重点的に評価するための検討が行われる こととなるが、「重点的に評価をする」ということは、患者の立場からは「自己負担の増 加」につながるので、そういうことも頭に置いて中医協での検討を進めてほしい。といっ たコメントをいただいておりますので、お伝えをしておきます。  それでは今回も前回と同様に、項目ごとに分けて議論を行いたいと思います。なお、最 後に再度全体について振り返る機会も持ちたいと思っておりますのでよろしくお願いを申 し上げます。  それでは、今御説明のあった資料1の1ページから2ページまで、「前書き」及び「1. 後期高齢者にふさわしい医療(基本的事項)について」御質問、御意見等をお願いしたい と思います。どなたからでも結構でございます。 ○川越委員  高久先生の御意見にもございましたように、これを拝見させていただいて非常によくま とまったと申しますか、ここで議論されたことをうまくまとめていただいたなということ を正直感じております。特に、基本的事項のところを読ませていただいて、かなり突っ込 んだ表現をされているなということを思いました。例えば1ページの(3)のところです。 「いずれ避けることができない死を迎える」と、これは2ページの上の2つ目の黒丸のと ころで、やはり「いずれだれもが迎える死を前に」という表現で、ある意味でタブーであ る「死」がこういうところに出てきたということ非常に意味があるなと感じております。  今回のこの基本事項、ここに決められたことというのは「後期高齢者」といいますか接 頭語がつけられておりますけれども、ここで述べられている哲学あるいはコンセプトは、 後期高齢者という言葉を外しても通用する内容を含んでいるのではないかと思いました。  従来の医療というのは若い方を対象にした急性期医療の延長で、ある意味でコンセプト といいますかでき上がっていたと思いますが、逆に人が死ぬという当たり前のことから、 医のあり方というようなことを見なければいけないということを提示していただいたとい うことが、これは医療のあり方全般を考える上での基本、ベースあるいはたたき台といっ ていいでしょうか、いろいろな議論をするときのベースになるのではないかと思いながら 読ませていただきました。以上です。 ○糠谷部会長  ほかに、最初のパーツでございましたらお願いします。 ○野中委員  今、川越委員が言われたことはもっともと思います。この委員会は医療のあり方に関す る特別部会です。医療のあり方を後期高齢者だけではなく、若人の人たちにも該当するこ とで話せたことは意味があることと思います。全般に語られたことは医療の現場にとって は当たり前の話です。この話を具体化して現場で実施することが実は大事なことです。医 療保険制度や介護保険制度を活用して、高齢者の死も含めて幸せを実現するのは、当たり 前の話です。医療が単に病を治すといった視点の診療報酬をだけでなく、生活や人生を支 えることが現場で実現されるということが大事と思います。  後期高齢者の方々が保険料を払う、そして若人の人たちが保険料を払って日本の国民皆 保険制度は続きます。医療を受ける方だけではなく保険料を払っている方々が、こういう ことを医療に対して期待しているという視点で拝見しました。文章としてはまとまってい ると思いますが、どうやって実現するかが課題と思います。ぜひ今後の中で期待しており ます。  2ページの下の丸に、「医療の基本的な内容は74歳以下の者に対する医療と連続してい るもので、75歳以上であることをもって大きく変わるものではない」ということをきちっ と書いていただけたことも評価すべきことと思います。この部分に関しましては、ぜひ言 葉の遊びにならないように注意をしていただきたい。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。村松委員どうぞ。 ○村松委員  ありがとうございました。非常に伝えたかったことは書かれていると思います。これを 中医協がどのように読むかということが、これから一番大きな課題になるのかと思います。  一つ、どうしても何らかの言葉で加えていただきたいと思いますのは、先ほど辻本委員 から患者さんの自己負担がふえるよということを言われました。これはもっともです。も う一つ、この後期高齢者で医療と介護ということを念頭にずっと話してきたわけです。非 常にふえているのが、後期高齢者で亡くなる直前まで、亡くなっても医療機械がついてい る。それから亡くなるぎりぎりまで治療がなされていく、そこで2ページにあります安心・ 納得というところをどのようにするのか、迎える死というのは本当にだれでも来るのです が、「安らかで充実した生活」と考えると、非常にそれらが邪魔をしているケースがある。 加えてそうすることによって助かるのではないかという家族の思いもあるのだということ から、このあたりを安らかな死へ持っていくために、医療器材がついている人の介護、単 なる介護ではない、自然に逝ってほしいけれどもそうはいかないそのあたりのところにか かわる私たち看護職にとってとても大変な、また加えて家族の方たちが御苦労され悩まれ る部分でもあります。御本人もそうです。その辺が、1ページの最後のポツのあたりに医 療ニーズの多い形で生活していくんだよというのを、何かの形で入れていただければあり がたいと思いました。それだけです。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。ほかに、よろしゅうございますか、また全体として戻ること もございます。最初のパーツはとりあえずこれまでといたします。よろしければ2ページ から3ページまでの「2.後期高齢者の診療報酬に反映すべき事項」の前書きの部分と「 (1)の外来医療について」具体的な中身に入っていくわけでございます。そこのところ について御意見、御質問をお願いします。 ○野中委員  2ページ目の最初の丸に、老人診療報酬の改定等により以下云々を取り組んできたとこ ろであると書いてあるのは、確かにそうかもしれません。取り組んでいたがなぜ実現でき なかったのか、実現できた部分を含めて問題点をとらえていかないと、解決することには ならないと思うのです。議論でも、多職種協働の重要性の話もしました。それは共通な認 識です。しかし現場でなぜそれができないのか、診療報酬の改定等により目指したことが なぜ実現できなかったのかに対する問題点は把握をしていただきたいと思います。そのこ とを明確にしていただかないと次のステップに行けないのではないかと思っています。  外来の3ページ目です。主治医などいろいろな言葉で語られています。実際、患者さん が自分の病を治してもらいたい医者を決める要望を表現することが難しく、今までずっと 苦労してきたのではないかと思います。医師の能力とか患者さんの立場などいろいろ視点 があると思いますが、本来は、なじみでありそして相談しやすい医者が実は大事です。ど んな能力があっても相談したくない医師もいるわけです。患者さんが主治医を決めるので あり、その部分を表現することが今後必要と思います。  私の答えは、介護保険を申請する際、行政の窓口で「あなたの主治医はどなたですか」 と聞かれ、患者さんは主治医を答えます。しかし主治医が、まだまだ不適切な現状と認識 しております。しかし、患者さんが決める医師が大事です。その医師が、患者さんの病歴 等を把握するということは、大事ですし当然な話です。そのことを抜きに主治医は語れな いと思います。医師個人の能力も大事な部分ですが、患者さんが主治医をどう選ぶかとい う表現も大事ではないかと思います。  以上でございます。 ○村松委員  今の野中先生のお話と絡むことになると思います。本当に受ける側の人が「この先生に 診てほしい」と、そこがとても大事だろうと思います。加えてここで後期高齢者を総合的 に見る取り組みの推進ということで、主治医は次のような役割を担うことが求められてい る。そこで診療報酬が決められるということですが、主治医が役割を担ったというのはど うやって評価するのか、これは利用者の方が本当に「この先生に」とおっしゃいますと結 構スムーズにいって、納得されて、先生はこの役割を担ってくださっているというふうに なるのです。そうではない場合、ただ単に自分たちを調べて、調査をしてそして結果的に は大したことをしてくれなくて点数だけはとられるのだというふうになっていくというこ とを考えますと、役割というのがあるのであればどのように「担う」というところまで具体 的におろして、もし中医協で決められるのなら決めるようにしていただけたらありがたい と思いました。以上です。 ○糠谷部会長   どなたかございますでしょうか。よろしければ…どちらかというと、私は患者といいま すか一市民の立場としての感想で、ほかの委員の皆さん方のように医療を現場でやってお られる、あるいは現実に対応しておられる方の見方と少し違うのかもしれません。外来医 療のところで主治医、かかりつけ医、メインのお医者さんを決めるということ、それは大 変重要なことだし、できればぜひ進めてほしいことだと思うのです。現実に現状を見た場 合、例えば私の知り合いの後期高齢者ではない、60代の後半というところで、本当に5つ 6つお医者さんにかかっている。最初、内科に行ったけれど何科、何科と本当にお医者さ んを駆け回っているようです。多分そういう人が主治医となるのでしょうが、町の内科の お医者さんに行って、「これだったら、どこそこの病院の何とか先生がいいですよ」と言 われて行きましたということで、内科以外にも幾つか、ほかの病院でまた行くようになる という一般患者、一般市民はたくさんいるのだろうと思うのです。そうすると町医者の人 が、町医者というと言葉があれですが、が主治医かと言っても全体を把握するのは多分無 理ではないかと思います。そうかといって大病院の大先生でなくても中先生でも、その人 が主治医になってくれるかというと何時間待って何分医療ということで、そこの現実性が どうなるのか。それから診療報酬が上がった場合に、経費トータルとしてどうなるかとい う話は後の話だと思いますが、やはり行けば行くほど薬がふえるわけです。同じような薬 もたくさんもらうというのが今の現場はそういうことが、私の知っている範囲ですから特 殊な例かもしれません。  これは全体として非常によくまとめていただいているし、後期高齢者の医療を診療報酬 との関係でどういうふうにまとめていくのか心配していたのですが、かなりよくイメージ もわかるようにまとめていただいているので、こういう形で進めばいいと思いますがまた 後でも申し上げます。例えばここの総合的なお医者さんという場合のイメージが現実性を 持つとすれば、やはり町中のお医者さんかと思うのです。それで本当にコントロールしき れるのか、そこが少し私よくわかないものですから御専門の方、御意見を伺えればと思い ます。 ○野中委員  現実には確かにそういう部分もあると思います。患者さんの健康管理、生活も含めて診 ていくという考え方。症状に対する医療の段階によって、部会長が言われたことは変化し てくると思います。確かに、主治医という言葉で、一人の医師を考えるとなかなか難しい と思います。病院の専門医の先生もかかわりながら、患者さんの病状の安定している時期、 あるいは不安定な時期に応じて医師がどうかかわるかに主治医としての大切な役割がある と思うのです。ですから病状が急性期や不安定な時期には病院の専門的な知識を持った医 師が中心に治療する必要があります。病状が安定したときには地域の医師は病院の医師か らの治療方針等を受け継いで治療を続けていくことが重要です。その連携によって、部会 長が言われたように一人の医師に限らずいろいろな医師の協力を受けて治療が行われるこ とは当然と思います。  現場では患者さんの病状に合わせて主治医が変わっていくことは当然あります。その辺 を整理する必要があると思います。病院の外来のあり方と地域の診療所のあり方を、もう 少し整理することもしていかないとこの問題は御質問されたような形としてはいつまでも 続きます。患者さんにとっては、一人の主治医に決められてしまったら、自分の病状が不 安定なときに本当に適切な治療が受けられるかという不安はいつまでもつきまとうわけで す。私たち診療所のレベルでの治療では病状が改善出来ない場合には、専門の医師に紹介 をして治療をしていただくことを患者さんに理解していただかなければ、私たちの役割は 明確には理解されません。その辺の調整が、必要と思います。  病気か体に違和感があるときにどこに行ったらいいか、現状では最初から病院に行くこ とも一つの選択肢ですが、地域の診療所医師に相談して必要な医療に導いてもらうことも 一つの方法と思います。しかしこの方法に限ってしまうことは、国民にとって医療への選 択が狭いことになります。今後、検討しなければいけないと思っています。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。余計なことを申し上げました。ほかにどうぞ。 ○川越委員  この主治医を決めて、そういう主治医がいるという取り組みをしている主治医がいた場 合は診療報酬上の配慮をするという内容だと思うのです。ここは、今部会長もおっしゃら れたように実際問題非常に難しい問題をまだ含んでいる。考え方自体はよろしいと思うの です。だけど実際、主治医というここで表現している主治医のディフィニションといいま すか定義がまずなされていません。言葉としても野中先生おっしゃられたように「かかり つけ医」「総合診療医」と表現される方もいらっしゃいます。定義がはっきりしていない ということが一つあると思います。  それから3つのポツで書かれていること、これはある意味でこういうことをする医者が 主治医だということという見方もできます。あるいは主治医というのは、こういうファン クションを持った者だという見方もできるということです。この考え方いわゆるゲートキ ーパー的な役割をする医者が必要ではないかという考え方はよくわかるのですが、ちょっ とここまで踏み込んでいいのかなということに関しては、多分野中先生も同じ御意見では ないかと思っていますがどうでしょうか。 ○野中委員  選ばれる主治医として、この様な姿勢を持とうという気持ち。一方で選ぶ患者さんとし て、選択肢が多少ずれる部分があることは、昔からかかりつけ医の議論をしていると、選 ばれる方の議論と選ぶ方の議論がいつも違っていて、理解がしにくい話になってしまいま す。 ○村松委員  少し違うことですが3ページの関係者、患者、家族との情報共有と連携というところを 読みますと、2行目に「現に受けている場合も少なくない」とあります。実際、私ども看 護職としても受診のときに付き添って、そこで話すことによって初めて情報共有ができた り、連携が図れたりということはとても多いことです。ところが実際には、制度上受診同 行というのは点数はつきません。そういうことから考えたとき、受診時に情報共有という のもとても大事なんだよと、それから連携を図るという意味でも医療の受け手が主役です が、その傍らで付き添って、ふだんの生活あるいは治療の進み具合等を先生にお伝えする ことも大事だ、必要だということを加えていただけたらと思います。 ○野中委員  主治医の話は、病院に入院している場合は限られた空間ですからそこで主治医という話 は非常によくわかります。しかし患者さんが地域という病院とは異なる空間では、主治医 が不明確になります。患者さんの病状にとって今診ている先生ではなく別の先生に診ても らった方がいい、体の痛い場所によっても違うことがあります。そのことをどうするのか で齟齬があると思うのです。しかし考えていただきたいのは、今まで病気で受診していた のであれば、今まで受診していた先生に身体の状態を訴えていただいて、そこで必要な医 療をどこで受けていただくべきかを、地域の先生が検討して選択して説明することは患者 さんにとって大事なことと思います。そういう活動はしていただきたい。  問題は、今まで医者にかかったことがなくて初めて体に違和感を持ったときに、どこに どう相談して治療を受けたらいいかについて、国民が戸惑っているということです。そこ には、様々な検査や治療ができる病院の方がいいと思うことは、患者さんにとっては当然 です。ですからその様な行動を阻害する制度が良いのかどうか。しかし、診療所の医師と すれば、相談してくだされば自分の医師としての限界と患者さんにとっての適切な医療機 関を勧めることは、選ばれる医師としては必要です。もちろん今村松委員が言われたよう に、地域の看護師さんとは限らず保健師さんとか、いろいろな職種の人たちと連携する事 も大事と思います。  患者さんの病状そして日常的な生活部分はむしろ多職種が参画するカンファレンスある いは情報共有という作業で評価していくことが適切と考えます。以上です。 ○川越委員  この主治医のところ、最初に外来医療の中で出てきています。かなり重要な方向づけに なるのではないかと思います。事務局の方で具体的にもう少しこれをどういう形に持って いこうとされているか、もし差し支えなければ説明していただければと思います。 ○糠谷部会長  そうですね。事務局、現時点でどんなイメージを持っているかというのをお話ししてい ただけますか。 ○原医療課長  もともといろいろ議論する経過の中でかかりつけ医とかいろいろな言葉を使っておりま したけれど、ここでは「主治医」という言葉にさせていただきました。実は、介護保険で主 治医という言葉も使っているということもあって主治医というふうにしています。それは 何かといいますと、複数のいろいろな病気を持っていて、その病気をそれぞれの診療所で あるいは病院でその治療をするということは、それはそれでいいですが、一人の人の全体 を把握してその人全体の必要な例えば福祉のサービスが必要だといろいろありますから、 その人を人として全体をとらえてくれる人をここでは主治医と呼んでいる。やっていただ きたいことは、ここに3つ書いてあることであって、ある意味でいえばこういうことをや ってもらう人を仮に主治医と言っているというふうに御理解をいただきたい。  想定をしておりますのは、いきなり初めて病気になって初めてどこに行くかとか、そう いう場面ではなく、恐らく75歳以上の方は相当部分が既に受診をしているということがあ りますので、多分慢性疾患、何か持っているかもわからない、そうしたらそれをずっと診 ておられる方がその人の生活状況も多分御存じでしょうから、その他の受診歴やそういう ものをその人に把握していただく。それから自分が担当している病気以外にも、例えば高 血圧でかかっている人がひょっとしたら糖尿病傾向が出てくるかもわからないと、そうい うことも心配しながら例えば年に何回かはそういう検査もしてくださいと、そういうよう な全体のその人の健康状態をしっかり把握してもらうということが必要なのではないかと いうことで、こういうような形でまとめたということです。 ○川越委員  よくわかりました。ただ私この問題については、この会の中でもかなり突っ込んだ話し 合いがなされたことがあったと記憶しております。そのときに思ったことは、主治医とい うのは、だれがなるかという問題が私余り発言しなかったと思うのですが、思いながら聞 いておりました。といいますのは、この間高久先生が隣にいらしたのですが、高久先生を 主治医だと思っていらっしゃる患者さんもいらっしゃるわけです。いい悪いは別にいたし まして、医療課長さんがおっしゃったように、確かに介護保険の中に「主治医」という言葉 が出てまいります。これは介護認定するときの主治医の意見書というのがございまして、 主治医がその意見書を書かなくてはいけないという格好になっています。あれを書く方は、 現実にだれが書くかといいますと、多くといいますか病院の医者が書いてもいいという格 好になっていますし、地域のふだん診ている先生が書いてもいいという格好になっておる わけです。そういう意味からいいますと、主治医といってもどこの医療機関に属している とか、あるいはどういう立場の医者でないといけないという表現が別になされていません。 ですからただこういう形で今その主治医制ということを、これからも医療保険の方にも進 めていくということになったら、何といいますかだれでも診ている方だったらいいのだと いう、だれでもという言い方は失礼ですが、病院の医師でもいいのかというようなことを 考えるのか、あるいはもっともっと本当に地域に密着したといいますか生活に密着したと いうことを考えるとなれば、やはり診療所の医者がやっていくのがいいのではないかとい うことを私など思うわけです。その辺についてはいかがでございましょうか。 ○原医療課長  最終的に、これを診療報酬で評価していくときにどういう条件をつけるかについて、必 ずしも細かく決めているわけではありませんが、最初にありましたように患者さんに当然 選んでいただくことにはなると思います。患者さんに対して、これから1年間こういう計 画で、こういうように主たる病気の治療とは別にこういうような健康についてこういうよ うなことをやっていきましょうということを御了解いただいた上で、主治医機能としてい ろいろやっていただくことになると思います。ですからそのときには、患者さんがどなた かを選ぶかということになると思います。主としてそういう役割を担うのは、想定として は診療所というふうには考えております。では、病院は絶対だめなのかというところにつ いては、これからの議論ではあろうかと思います。 ○糠谷部会長  遠藤委員、鴨下部会長代理、何かこの関係でございますか。 ○遠藤委員  外来のことにつきましては、私の方もここでの主治医の機能というのが必ずしも十分よ くわからないという話を申し上げました。前回随分しゃべりましたのできょうはちょっと 黙っていました。これを読む限りにおいては、先ほど来少し出ておりますように患者さん のフリーアクセスを主治医が介入することによって制約を与えるとか、そういうようなこ とは特にここでは書かれていないように受け止められるので、これをそのまま読めばある いは今の課長さんのお話を承ると、ある種の全身的な健康管理のアドバイザー的な、そう いうような位置づけとして受け止められるわけです。それがいつまでもそういう位置づけ 機能でいいのかどうかという問題はありましょうが、少なくともこの段階ではそのように 私は理解をしていたわけです。  それから診療所の医師がいいのか、病院の医師がいいのかというところは非常に難しい ところであります。75歳以上になるとちょっとわかりませんが、もう少し若い世代の場合 は、自分の病気がある人たちは病院に頻繁に行っていて、そこがある意味では1年間で接 触する医師としては一番多いというケースがあります。その先生を主治医だというあるい はかかりつけ医だとする。そのようなアンケート調査があります。そういうことがあるも のですから、この段階でそこら辺をどううまく分けられるのかというのは確かに難しい議 論になるかと思います。  最初の段階では余り分けなくてもいいのかなという感じもしますが、今後やりながら検 討していくということなのかと、そのように理解をしていたわけです。以上でございます。 ○鴨下部会長代理  私は、これは非常によくまとまっていると思います。ただやはり野中委員が最初におっ しゃったように医療の現場でこれがどれだけ実現するかがかぎだと思うのです。その点は 全く野中委員と考えは同じです。むしろ読んでいて、多少違和感があると思いますのは、 これは後期高齢者についてのペーパーです。それにしては、例えば1ページの一番下の小 さいポツの、そこのところみんなそうですが「後期高齢者の生活を重視した医療」というの でなく、患者の生活を重視した医療、患者の尊厳に配慮した医療、患者及びその家族が安 心・納得できる医療というふうにした方が文章としてはわかりがいいのではないかと思い ます。  それから後の方に食い込みますが、「診療報酬上の評価の在り方について検討する」とい う言葉が10何回出ているのです。この辺も、一般的に保険局の報告書がこういうのであれ ば納得するのですが、何度も何度もルダンダントでもう少し言葉の整理ができないものか という大変失礼かもしれませんが、そういうことを感じましたので発言させていただきま す。 ○原医療課長  「後期高齢者の生活を重視した医療」というフレーズですが、これは実は基本的考え方 をまとめていただいたときに、全部頭はそういう形になっていたと。基本的考え方の視点 のところの言葉をそのまま持ってきたのでこういう形になっております。変えろというこ とであれば、後期患者さん、後期高齢者が対象ですので患者さんといってもいいかもわか りません。  もう1点の、まとめ言葉といいますか、最後の言葉が一緒だと。逆に統一をして書いて いるということです。基本的にこれはここでまとめていただいて、中医協においてこれを 診療報酬上具体的な点数構成をつくれというものになるものですから、こういう書き方を しています。それから語尾が余りいろいろと揺れ動くと、さもこっちは重くて、こっちは 軽いとかいろいろ意味をとられるので全く同じ文章にして、くどいようですが同じ形にし てあるということでございます。 ○糠谷部会長  それではまた全体で議論残るところもあるかと思いますが、時間の関係もございますの で次のパーツに移らせていただきたいと思います。「2.(2)の入院医療について」、 3ページから4ページまでのところの御議論をお願いしたいと思います。 ○野中委員  入院医療につきましては、75歳から入院の医療が74歳までの入院医療と、特に変わる ことはないと記載していると理解します。その辺ではいろいろ課題はあると思います。今 回この入院医療では退院の大事さを訴えてきました。その為入院治療よりも退院について 重点的に書いていただいたと認識します。入院から退院に向けての治療内容について何の 変化ないと思っています。 診療所の医師として、在宅医療とか外来医療の現場では、患者さんに必要な医療を提供し たいと思って病院に紹介して、入院治療など適切に検査や治療をしていただくことは大事 です。しかしやはり退院時の調整を適切にやっていただけると、患者さんが退院されて診 療所の外来に移られても適切な医療が提供できます。在宅という選択をされた患者さんに 対しても、あるいは施設を選んだ患者さんにとっても、病院の退院調整が適切であれば国 民にとって充実した医療と思える筈です。がんの末期や終末期であろうとも、同様と強く 思いますので今回繰り返し発言をさせていただきました。取り上げていただいた事を本当 に感謝します。  しかし書いていただくのはいいのですが、実際に実現できる様に診療報酬として評価す ることが実際にできるのかどうか、それが一番の不安です。それが実現できるためにどう するかという視点で中医協等でその報酬を考えていただけるかどうかが一番不安なところ です。多職種連携による退院調整にはさまざまな形がありますが、一つの中には提案され たCGAもあります。しかしCGAを単に実施するという話ではなく、CGAは多職種連 携の実現を言っているわけですから、その多職種連携を一人一人の患者さん対して、退院 に際して実施しそして一つの方向性を患者さんや御家族に説明して御理解いただく、そし て在宅等を理解していただく、そういう積み重ねが、医療が国民にとって温かいものであ り、そして高齢者の幸せは、医療や介護の関係者だけではなく地域の住民の方も含めて、 そういう連携があるからこそ実現できると思います。そういう視点で、このことを考えて いただきたい。繰り返しになりますが、現実に多職種連携が今までよりも現場で実現され る事を。よろしくどうぞお願いしたいと思います。 ○川越委員  野中委員と多少重複すると思いますが、やはり退院前後の支援は非常に大事でありそれ をしっかり書いていただいたことはすごくよかったと思います。退院されるとき、病院か ら家に帰るときというのは患者さん家族は一番不安になるときです。そこをしっかり支え ることは基本的な視点だろうと思います。医師に関しては、現体系、診療報酬体系の中で 十分とはいえないかもしれませんがかなりの優遇策が講じられているように思います。た だ、現実にこれを利用するドクターが少ないということがあります。それをどういう具合 に考えるかといいますと、点数が低いという考え方もあるかもわかりませんが多分現実は ドクターが忙しいということに尽きるのではないかと思います。つまり忙しいドクターに これ以上の負担を強いるのは無理ではないかというのが正直に考えているところでござい ます。  ではどうしたらいいかという問題ですが、やはり看護師の力がこういう退院前後の支援 で十分発揮できるようなシステム、あるいは優遇策を考えるべきではないかということを 考えております。  看護師の力をどう考えたらいいかということになると思いますが、2つの方向があると 思います。1つは病院サイドの問題、2つ目は在宅サイドの問題だろうと思います。病院 サイドは、私が関係しているいろいろな病院から退院して帰ってくるところがありますが、 連携の場に病院の専門のナースが必ずしもいないということがときにあります。ですから 必ず、いわゆるソーシャルワーカーだけでなく看護師が存在するような形を考えていくべ きではないかと思います。この間少し申し上げましたが、その看護師はやはり在宅のこと がわかっている、つまり在宅を経験したような看護師が必ずいるというような格好を考え ていただきたいと思います。  在宅サイドの方からは、現在訪問看護師が病院に行って共同加算が通るということが可 能ですが、点数がちょっと低いのではないかと思います。600点でしょうか、間違いない と思うのですが現時点では600点が設定されていると思うのです。これはもう少し看護師 の力を引き出すということからいいますと、点数的な配慮をしていただければよろしいの ではないかということがあります。それから月1回に限ってというような回数制限がござ います。その辺のことも医師並みに変えるということが可能であれば考えていただければ よろしいのではないかということです。私自身医師会に属している医者ですが、残念なが ら私自身が退院の連携の場に行くことはほとんど不可能です。ですから看護師さんに頑張 っていただくという形をこれから進めていくべきであろうと思います。そういう点での配 慮を考えていただきたいと考えております。 ○村松委員  今、川越委員が看護師の動きということでお話をいただいたのですが、加えて非常に重 い方が帰ってこられる場合に、何度か病棟へ足を運びそして調整をしてくるということ、 もちろんドクターも行かれる場合もあります。そういうことがありますので、できました ら今共同加算料のことを言われたのですが、ケースによって何回か行ってもいいような工 夫をしていただきたいと思います。とっても大事なところで、退院調整というのは単なる 連携ではなく、訪問看護師あるいは在宅医が加わって調整したり、あるいは指導というも のをどこまでしてどう受け止めるかというのが大事になってくるかと思います。そのあた りも加えて御検討いただけたらありがたいと思います。  もう1点あります。退院後の生活を見越した計画的な入院医療ということです。4ペー ジの上から4行目に「診療計画が策定され」とあります。まさに退院調整とも絡んでくる のですが、病院のナースも忙しい、忙しい中でどうしても診療計画だけに偏った計画書が 私どもに来るということも多々ございます。ここにできましたら、継続看護計画みたいな、 やはり生活を見越しているわけですから、もう少し継続看護というところを強調して加え ていただけたけたらありがたいと思いました。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。ほかに、野中委員どうぞ。 ○野中委員  追加です。訪問看護師さんが現場で苦労されるのは、いわゆる「療養所の世話」であっ て、看護師さんにとって大事なことなのです。しかし病院で「療養上の世話」が適切に実 施されているか、看護師さんを非難するつもりは全くありませんが、「診療の補助」に忙 しくて「療養上の世話」が、病院の医療においてないがしろにされていることが大きな問 題と思います。看護師さんの「療養上の世話」が病院で発揮できていれば、訪問看護師さ んとして点数の問題や待遇の問題もあると思いますが、もっと誇りを持ってもらえる視点 でも、この退院調整の大事さを言っているわけです。  医師の方も忙しい、看護師さんも忙しい現場であることは否定しません。しかし患者さ んが退院をされて在宅で生活するために何が必要か、やはり退院調整で病気とともに在宅 で生活できる計画を現場の医師や訪問看護師に伝える事が不可欠です。忙しい事を理由に その計画を作成しなければ患者さんは在宅の生活を選べない。在宅を選択したい人にとっ て、もっと選択できるようにすべきと言っているのです。在宅療養支援診療所が1万カ所 できたといっても、それだけでは足りません。現場の医師あるいはさまざまな人たちに、 在宅生活の大事さを認識してもらう。そのためには忙しいけれどもカンファレンスや情報 を共有し、患者さんの生活に必要な計画を作成する作業ができる診療報酬体系をつくるこ とにより、在宅をサポートする医療機関がふえる、あるいは訪問看護師さんがふえる。そ こにもっと目を向けていただきたいと言っているのです。確かに現場では忙しくて患者宅 に行く暇がないという医師もいます。でもそういう行動をやってほしいと表現するのが診 療報酬と考えます。今やっていることを単に評価するのでなく、やるべき必要なこと、や ってほしいことを提案するのが診療報酬と思います。いろいろな議論があると思いますが、 評価をすることから始まるべきと思っていますので、つけ加えます。 ○糠谷部会長  ほかに、この部分でございますでしょうか。よろしければ次のパートに移りたいと思い ます。「2.(3)の在宅医療について」、「(4)の終末期における医療について」の ところで御意見、御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。 ○鴨下部会長代理  「(4)終末期における医療について」とありますが、「終末期医療について」でいいの ではないでしょうか。ほかは「外来医療について」「入院医療について」「在宅医療につ いて」と素直に書いてありますので。 ○野中委員  在宅医療における主治医は外来の場合と比較して明確です。在宅医療の主治医は在宅医 療を始める場合に明確に患者さんから意志を伝えるからです。しかし現状では、在宅医療 に対して取り組める医師や取り組めない医師もいます。その在宅医療の主治医としても、 私は内科ですが皮膚科とか耳鼻科等の先生方の協力も得て活動します。その辺で主治医等 という言葉も課題と思います。ここは事務局に検討していただきたいと思います。しかし 外来よりは在宅医療における主治医という問題は、決める事の負担は軽いと思います。  繰り返しになりますが、要は患者さんがその地域で生活して幸せになるためには、多職 種が連携することが最も必要であり、そこをコーディネートしていくことは医師としても 大事です。その辺に関しては、この文章は適切と考えます。  もう一つ、病院等による後方支援は大きな問題と思います。住みなれた地域でどうして も死にたいと希望されて、亡くなられる方はいいのですが、その過程において、病状が不 安定な場合専門医の診断あるいはアドバイス、検査等が必要なときもあります。病状が安 定していても、時には病院で総合的に検診をしていただく事により、安定した在宅医療を 推進する事も可能です。病状の安定した方を定期的に診ることは、病院にとってはそんな には難しくないのですが患者さんの病状が不安定になったとき、今後の方針を決定する事 が在宅の現場だけでは困難な場合もあり、その際患者さんを病院で受けてもらえるかどう か、現実には東京といえどもなかなか機能していない。やはり病院が高齢者であっても一 時目的として、短期間でもいいからその機能を発揮することも大事と思います。  ことしの夏は熱中症が話題になりました。もともと診ている患者さんではありませんで したが、つい先日熱中症で緊急対応である大学病院に入院しました。3日間ぐらい治療を 受けて軽快し退院されました。その日にケアマネが患者さんの家をお邪魔したら再び39 度の熱が出ていて、病院に入院をお願いしましたが、断られました。後でわかりましたが 救急病院の入院中、認知症もあり暴れたり大声を出したということで、治療は無理という ことで退院を指示され、また家族も拘束される姿を見て退院するしかないということでし た。最終的には私の診療所に相談があり入院していただきました。確かに、点滴を抜去す るとか大声を上げますがケアにて落ちつかれました。特に後期高齢者で認知症を抱える患 者さんに対しても、そういう治療を行う後方病院がないのが現実です。入院が受けられる 体制をつくるかも必要と思います。  その後の5ページに移りますが、在宅歯科や在宅療養とさまざまありますが、そこでも 各職種が連携をして必要なケア、あるいは必要な医療が提供できると書いてあるので、問 題はないかと思います。訪問看護はもっと評価しなければ、現場で人が少ないということ があります。関係する職種の人が少ないことは提供する側にとっても余裕がない、サービ スを受ける人にとっても余裕がない。このことが一番不幸と思います。このことに対して も配慮をしていただく必要があると思います。以上です。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。川越委員どうぞ。 ○川越委員  私、実は最近、心筋梗塞になりかかりました。都内のある病院でステントを入れました。 夜救急病院に行ったのですが、症状が大してひどくなかったから、そこの当直医がどうい う仕事をしているのかというのを見ていました。今野中先生が言われたような熱中症とい いますか日射病で脱水になって点滴をする必要があるだろうという患者さんの相談があっ たのです。彼は私が医者としてかどうかわかりませんが、どうしてこの治療を家でやって くれないのかなということをちらっとこぼしてらしたのです。それは要するに補液をして 脱水を改善すれば多分熱も下がるだろうし、落ち着くだろうという当直医の見立てだった のだろうと思います。そのことを聞いたときに、やはり病院と開業医といいますか診療所 の医者が非常に連携をしながら地域で患者さん家族が安心して過ごせるよう、医療的なサ ービスを提供すると、これは大原則であることは間違いないのですがやはり在宅を担う医 療機関にかなりのものが要求されてきた時代になったのだということを思いました。  それはつまり在宅医療を担う医療機関には、やはり私がこういう医療にかかわるように なった20年前と比べて医療環境が大分変わってきたのです。変わったという意味は、昔は 在宅でできなかったことが家で普通にできるようになったと。いろいろな整備がされたこ とによって在宅でできる医療の質が上がってきたということがあります。そういう意味か ら言いますと在宅医療を担う医療医師等にとっては、やはり臨床的なかなり力とかあるい はパッションというようなものが当然なこととして求められてきた時代になったと思って おります。  それから御承知のように、今例えば何かあるからすぐ入院させるという時代ではなくな ったのです。いいか悪いかは別にして、例えば専門しているがんの方がいらっしゃいます が、当然短い期間で亡くなる。最後に、大変になったら入院させればいいという考え方が 当然あるわけです。それが実際問題非常に難しくなってきたという現実がございます。そ ういう意味からいいますと、こういう在宅医療というものの中にやはり専門性というもの がどうしても要求される時代になってきたなということをすごく感じるわけです。非常に 高齢者のように安定していて、ほとんど医療的なことをしないで見守るだけでいいという ような方もいらっしゃいますし、刻々と変化していく方もいらっしゃる。従来ですと、病 院でバックアップすることが必要な方もいらっしゃいますが、実は病院と同じことが在宅 でできる時代になりましたので、逆にそういう力が求められてくるということになったの ではないかと思います。  今、野中先生がおっしゃったように在宅療養支援診療所が全国1万カ所できております。 これは臨床的な能力ということよりも24時間体制をしっかり行うかどうかということが 一番問われているシステムでございます。やはり在宅療養支援診療所の中に、ある意味で 体を張って在宅の患者さんを守ろうという、決意表明のような制度だと思いますが、そう いう中にこういう医療の臨床的な力というものが組み込まれていかなければいけないので はないかと。総論的な話でございますが、そういうことを感じております。 ○糠谷部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでございますか。 ○村松委員  全体的には、これで自分の中では納得しています。ただ留意すべき事項の中に幾つか入 れていただきたいと思うことがあります。一つは、訪問看護に関して言いますと医療保険 と介護保険の制度間が非常に整合されてないといいますか、できてきたプロセスも違うと いうこともありますがとても複雑です。ですからこのあたりは少し調整いただきたいと思 います。  もう1点は、居住系の施設というのは何年か先に死を迎える、10年あるいは20年先に 非常に多くなるのではないかと思うのです。そこへ入る際に無理なく入れるようにといい ますか、医療職も私たちも、福祉職は別なのか中にいると思うのですが、足りない部分が もう少しスムーズに入れるような工夫をしていただくことも必要かと思います。  もう2点、疼痛緩和ケアのところです。薬剤師さんの24時間稼動というのはほとんど見 られません。実際、お薬に関していいますと24時間、薬剤師さんが握っていてそしてドク ターが持っていらっしゃらない場合もあるということも含めて、やはり24時間というのを ぜひ推進していただきたいということです。もう1点は、疼痛緩和というのは先生の薬の 使い方で全く違う。それで言いますと、医師は医師として緩和医療というところをきちっ と学べる体制をとらなければいけないのではないか。例えば先ほど熱中症のお話がありま したが、この件についてもあるいはがんの患者さんの痛み、疼痛コントロールにしても医 師の力、臨床の力というのは看護職としてももちろんですが求めたい、お互いに医師は医 師として、看護師は看護師として、介護士は介護士としてせめてそこをもう少し磨かなけ ればいけないのではないか。それは何らかの形で加えた上で、これで私としては納得でき るということです。ありがとうございました。 ○野中委員  24時間で思い出しましたが、24時間の実現には、個人で24時間を確立する方法と連携 をして24時間を実現する方法があります。工夫が必要と思います。以前診療報酬には在総 診があり、24時間連携加算がありました。当初は個人の医療機関の24時間体制を評価し ました。その後に診療所と病院との連携、そして地域の連携が追加して評価されました。 個人の評価は高く、地域の連携への評価は低かった。診療所個々の24時間を評価すること は大事と思います。私の診療所でも複数の医者でそれを実現することができました。しか し考えてみると地域の医師会による連携がもっと評価されるべきでした。当時の診療報酬 ではその点数は全く低くてだれも見向きもしなかった。私の知っている医師会では、患者 さんの情報をかばんに入れて、必要なときにはかぎをあけてその情報を見て、当番医が在 宅医療を提供する仕組みをつくられました。議論が必要と思いますが、24時間連携加算に 関しては、個人と、地域を今後検討すべきと思います。  在宅療養支援診療所として頑張っている診療所は、自然と複数の医師が集まって24時間 体制をつくっている。困難と思っている診療所の多くは一人の診療所です。在宅医療が広 がるためには、地域での診療所の連携がかぎと思います。地域の患者さんとのなじみの関 係を含めて、高齢者の幸せにつながると思います。そういう視点で点数を検討いただきた いと思います。以上です。 ○川越委員  在宅医療を考える中で連携ということが非常に重要であると、これは皆さん異論ないと いうことを思いましたし、むしろそれをどういう具合に実質的なものにしたらいいかとい うことで議論が進んでいると思います。私見を述べさせていただきたいと思いますが、ト ップに持ってこられたように、在宅医療においては情報共有と連携が非常に大事であると いうことを掲げていただいた、本当にそのとおりだと思うのです。これからの日本の在宅 医療を考えていくに当たって、連携というものをどういう具合に考えていくか。つまり具 体性をどのように形にしていくかということが問われていると思います。それが、野中先 生がおっしゃられた医者の中でそういう連携をつくるべきではないという考え方も確かに あると思うのです。私自身は、在宅医療特に私が関係している医療依存度が非常に高い、 医療者が本当に頑張らなければいけないという医療においては、医師と看護師の連携とい うことを評価していかなければいけないと思います。在宅療養支援診療所の中で24時間ケ アをやっている診療所、それと連携して24時間ケアをする訪問看護ステーションというこ とは、ある意味で点数的な優遇策が講じられているのはそのとおりですが、それをもっと 踏み込んだ形の連携という形を考えていかなければいけないのではないかと考えておりま す。  それは先ほど村松委員が言われましたように、例えば疼痛緩和のことに関して連携する 医者が勝手と言いますか、言葉がまずいのですが、別々のといいますかやり方が違うとい うことを言われました。これは現在の医師法の体系からいいますと医行為に関して個々の 医者が出す指示はある意味で絶対視されます。その点をこのやり方でやりなさいという形 で医師に押しけるのは無理だと思うのです。だけど医師と訪問看護師が連携するときには、 共通したコンセプトといいますか、考え方がないと非常に難しいということを思っている わけです。私の班会議でやっていることは連携をどういう形にもっていくかということで す。当初、医師が包括指示を出して看護師の裁量権でそれをやっていくということを考え ましたが、現実にはそれが法的な壁があって非常に難しいということがわかった。今考え ていることは、約束指示というものをもっともっと活用すること。具体的には、標準的な 約束指示を連携する訪問看護ステーションに医師があらかじめ出しておくと、例えば疼痛 緩和だったらこういうやり方、基本的にはWHOのやり方に従って、それからレスキュー のときはこうする、あるいはオピュート変えるときはこうするということです。それは、 こういう力を持った看護師さんのときは、看護師の裁量でやっていいとか、そういう標準 的な指示を出しておいて、それを個々の患者さんに診察して個別的な約束指示を出すとい うことを考えております。  骨子は、やはり医師自身も末期がんの方の症状緩和で一番大事な疼痛緩和をするために は、どういうことをすることが必要だということを考え直す、勉強し直します。そしてそ のやり方をやるということを看護師さんたちと共有していると非常に現場がスムーズにい く。例えば夜中に「痛い」と言われて、わざわざ医師を起こしてその指示をもらうというこ ともないです。  それから私たちの班会議でやっていることは、死亡診断のところです。医師が行くまで 看護師さんが何も手を出せないでじっと見ている。そういうことがないような形を考えよ うということをやっております。横道にそれましたけれども、在宅医療において一番大事 な連携ということは、チームとして機能する仕組みを考える必要があると。それは医師が 一定の治療方針を示さなければいけない、そしてそれを文章で示してチームで共有すると いう形、これが連携の基本姿勢になっていくのではないかと考えております。在宅医療の 連携ということ、特に要求されるのはたくさんの在宅医療がありますが、私たちが関係し ている末期がんの方の在宅医療です。今、本当にたくさんの患者さんが在宅に出てきてお ります。一日に7件の依頼が来るということも実はあります。そういう形で、どんどん患 者さんがふえています。その中でよりいい医療を提供するということになりますと、そう いうチームとしての力を高める、評価するという仕組みをぜひ考えていただきたいと思い ます。以上です。 ○鴨下委員  終末期医療で、これは(4)となっていますが、外来、入院あるいは在宅いずれにもか かわることです。ですから横並びというのは、そういう意味では少しおかしいような気が します。それはそれとして、やはり一番大事なのは在宅での終末期医療ということですか ら、高久委員がお出しになったこのペーパーの特に最後の3行あたりが丸の新しい項目と してこの中につけ加えていただくことはいかがでしょうか。こういう時代がいずれ遠から ず来ると思います。今、病院での人工呼吸器をどうするということが問題になっています が、時期尚早でしょうか。私は大事なことではないかと思います。 ○原医療課長  医師会でも、このターミナルケアのところまとめられたというふうに聞いております。 いずれにしても一人の医師がいろいろとやってしまうのはよくないという御趣旨だろうと 思うのです。診療報酬でどうやっていくかのときに、どのぐらいのステージで書面に残す といってもどのぐらいのものを書いていくのかというところの問題もあります。それから 複数の医師を考えたときに、ここでは地区の医師会というふうに限定的に書いておられま すけれども必ずしもそうでない、医師会を通さないでやるやり方もある。病院と連携する などあります。ここの趣旨は最後に書き込めるかどうかわかりませんが、その意味は含め て少なくとも点数を考えるときには検討していきたいと思っています。文章的にここを直 せるかどうかは、また次回までに考えていきたいと思います。 ○遠藤委員  先ほど来緩和ケアの話が出ておりましたが、ここの文章の中では緩和ケアの薬剤管理に ついて報酬をどうするかということが書かれているわけです。在宅でのみとりということ をいった場合に先ほどより川越委員がおっしゃっておられますように、末期がんの患者の みとりというのがふえてくるということですので、在宅での緩和ケアの普及のためにはこ ういった疼痛緩和ケアの評価といったこともこの中に一言入れておいてもよろしいのでは ないかと思います。以上です。  かつて在宅ではなくて、施設ホスピスはたしか診療報酬を包括化して少し点数を上げた というところでかなりふえてきたわけです。そういう意味である程度診療報酬との関係も あるかと思いますし、これはむしろ川越委員にお聞きしたいのですが本当にそれなりのス キルを持って在宅で緩和ケアができるドクターがどれほどおられるのか、不足なのかどう か、私は不足だという認識ですがいかがでしょうか。 ○川越委員  おっしゃられるように現時点では本当に絶対数少ないと思います。ただ、ではいないか というとそうではないです。若い先生がふえてきております。これから私自身はそれほど 悲観していない。ただ、教育の機会とかそれがないということを考えなければいけない。 昨今の情勢、つまり物すごい勢いでがん患者さんが在宅に帰ってくるという現状がござい ます。それを考えたときに、まさにさまよう末期がん患者といいますか、がん患者という 現状が本当に出てくるのではないかと、在宅の方がもっともっと頑張らなければいけない ということをしみじみ感じております。遠藤委員が心配されていること、本当にそのとお りだろうと思います。 ○糠谷部会長  事務局の方、何かありますか。 ○川越委員  疼痛緩和のところはよくまとまっていますが、実は麻薬管理マニュアルが昨年12月でし たか改定になりました。麻薬の在宅での使用をかなり緩和していただきました。例えば麻 薬の運搬に関して、委嘱された看護師さんが行っていいとか本当に踏み込んだ表現ですが ボランティアという表現で、例えば隣の方にお願いして取りに行ってもらうとかそういう こともやっていいんですよという、そこまで踏み込んだ改定をしていただいた。それから ファクス調剤のことが麻薬においても可能になった、あるいは管下での調剤開始が可能に なったといった本当に踏み込んだ、病院の方の麻薬のこともかなり改定されていますが、 そういったことがせっかく前向きの改定がなされておりますので、それが後ろ向きになら ないようにと思います。これちょっと読みますと、管理とか指導といったことが書いてご ざいます。昔風の麻薬管理という感じが出ております。ぜひ関連のところと調整して表現 をもう少しやわらかくやっていただきたいと思います。 ○糠谷部会長  それでは最後の留意すべき事項も含めまして、きょうの議論全体に関するところで御意 見等ございましたら、まだ10分ほどございます。よろしくお願いいたします。 ○野中委員  最後に、「効果的な医療」というのはわかるのですが、「効率的な医療」という言葉には 多少疑問があります。ひとり歩きするとそこが不安になります。効果的な医療のためには、 何が必要か、繰り返しになりますが特に在宅で患者さん、高齢者が住みなれた地域で生活 するためには、入院からの退院の調整が今の医療には最も足りないと思います。川越先生 の専門的な部分もあると思いますが、在宅ではさまざまな勉強をさせていただきました。 病院では経験できないことを現場で経験しました。病院の先生たちと連携をする。例えば 病院にお邪魔をしてあらためて医療の現場を見、体験して学ぶ。川越先生が言われるよう に、麻薬の適正な使用に対するカリキュラムは必要なことは当然です。その為、今後私た ちは勉強していかなくてはならない。しかし、そこには情熱と病院の先生方との連携をす る、あるいは看護師さんと連携をして患者さんの生活をつくっていくことが本来の目的で す。そういう面では、繰り返しになりますが退院調整が現場で実施されることを診療報酬 で考えていただきたいと思います。  これから骨子案がだんだん熟成されると思いますが、ぜひ言葉の遊びにならないように、 現場で着実にこのことが実現できる事が必要と思います。介護保険にいろいろかかわって きましたが、どうしても「何をやったら幾ら」と考えすぎる。現場で専門職として必要な ことは、患者さんにとって必要なことを実現することが私たちに求められているわけです。 何をやったら幾らではなく、患者さんの希望される生活の実現が評価されるべきです。そ のことを実現できるような体制を再構築することが大事です。ぜひ言葉の遊びをしないよ うに、診療報酬できょうこのたたき台の骨子が実現できることを期待しております。  言うのはやさしいのですが、実現することは非常に難しいことは十分私も承知しており ますが、頑張っていただきたいと思います。以上です。 ○糠谷部会長  ほかにございますか。よろしゅうございますか。部会長としてというよりも、若干いつ ものことで素人としての感想になるかもしれません。先ほど鴨下委員が言われたように、 ここで診療報酬上の評価のあり方について検討しろというのがたくさん出てきているわけ です。私もこれ最後のまとめとして、最初どういうイメージになるのかと思っていたのが かなりはっきりしてきたので、大変よくできていると思います。  一つだけ世の中がどう見るのかということを考えたときに、今回の一番のポイントは個 別具体のこうこうこういうものについてはこう考えなさいというのがあるのと、それから 情報の共有と連携について診療報酬を考えなさいというのがあるわけです。情報の共有と 連携もかなり具体的にイメージができるものもあるけれども、一方では先ほどの主治医、 かかりつけ医といろいろな人の連携みたいなところのように、もう一つイメージが、イメ ージはあるけれども具体的にどういうことなのかということがわからないところもありま す。ここでの評価を検討しろというのは、下げなさいといっているのはあるのかもしれま せんが大体は皆さん積極的に上げなさいという、積極的評価をしなさいという部分が多分、 恐らくそういうことですね。それで辻本委員がコメントしておられるのとは若干意味が違 うのかもしれないけれども、患者負担がふえるのではないかという話。もう一つは国民経 済的にというと大げさですが、後期高齢者特別部会が言うべきことではないので、ほかの 人が考えてくれるといえばそれまでですが、新しい制度をつくるという以上はそういうふ うに評価をした結果として効率化される部分もある、無駄が排除される部分もある。全体 としてどうなのと、新しいことをやるとすれば、プラ・マイゼロなのか本当はプラスがあ ってしかるべきですね。  世の中の常識から言えば、これは医療の現場をやっておられる方の前でこんなことを言 うと大変失礼なことですが、情報の共有と連携というのは何かやるときは当たり前ではな いのというイメージ、医療はなかなかそうはいかないというのは私もこの場に何度もお邪 魔してわかってきているのですが、何かそういう点についての叙述はなくてもいいのかも しれませんが、聞かれたときに私がどう答えたらいいのかというぐらい、これまとめて記 者発表するときに部会長は出ないでいいというのであればいいのですが、質問されたとき にどう答えたらいいのということも少し考えていただければありがたいと冗談ですが、ち ょっとそういうことで何か。 ○原医療課長  確かにここは診療報酬をつくっていく上でのフレーズになっているので、どうしても関 係者が何をするかみたいな形で実は書かれてしまっております。そういう意味では逆に、 じゃあこういう診療報酬ができることによって後期高齢者の医療がどうなるのか、患者さ んとしてどういう医療が実現されるのかというものについて、しっかりとしたイメージま ではちょっとまだつくり上げていないのです。次回までに、行く行くうまくなればこうい うような医療が実現するのですよと、そのような少しイメージ的なものを工夫してみたい と思います。  それからお金の面でどうなのか、実は診療報酬の改定率が幾らになるのかというところ にかかってきますので、これは年末になるまでわかりません。確かに項目的には積極的な 評価の項目が多数ございます。一方、例えば重複投薬や重複受診というものが抑制される なら節減にもなります。あるいは入院医療から在宅医療へ行く場合に、多くの場合はかな り節減になります。そういう意味ではそのあたりも含めて、あるいは改定率がどうなるか も含めて値づけそのものについては中医協の方で十分議論していきたいと。総額が幾らに なるかについては、この場では何とも言えないということでございます。 ○糠谷部会長  大体時間が参っていますが、よろしゅうございますか。それでは時間も参りましたので 本日の議論はここまでにしたいと思います。  本日いただきました議論を踏まえて、事務局において「骨子案(たたき台)」を修正して お示しできればと考えております。  また、委員の皆様におかれましては、本日いただきました意見のほかにもまた御意見ご ざいましたら事務局あてに文章で御意見をいただくようお願い申し上げます。本日御欠席 の方にもその旨事務局よりお伝えさせていただきます。各委員の皆様から書面でいただい た意見につきましては、委員全員にお伝えすることといたします。  また、前回の部会でもお伝えしていたとおり、本日提示された「たたき台」については、 当社会保障審議会の医療部会及び医療保険部会においても議論をお願いすることとしたい と思います。両部会には、本日の本特別部会での議論を伝えるとともに、両部会でなされ た議論につきましては、本特別部会の皆様にお伝えすることといたします。事務局には、 両部会における議論も合わせて踏まえた整理をお願いいたします。  次回の特別部会の予定でございますが、事務局から説明をお願いいたします。 ○原医療課長  はい、医療部会、医療保険部会との関係もございますので、また調整をして連絡させて いただきます。 ○糠谷部会長  それでは、本日はこれにて終了といたします。どうもありがとうございました。     【照会先】     厚生労働省保険局医療課企画法令第1係      代表 03−5253−1111(内線3288)