07/08/28 第19回 独立行政法人評価委員会 総会議事録 厚生労働省独立行政法人評価委員会(第19回) 平成19年8月28日(火) 厚生労働省専用第21会議室(17階) 開催日時:平成19年8月28日(火)9:00〜12:00 開催場所:厚生労働省専用第21会議室(17階) 出 席 者:田村委員、田宮委員、鈴木委員、岩渕委員、田極委員、猿田委員、渡辺委員、 福島委員、真野委員、大島委員、堺委員、寺山委員、宮本委員、井原委員、 篠原委員、赤川委員、山口委員、竹原委員、川北委員、佐野委員 ○井原委員長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第19回独立行政法人評価委員会の 総会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、また朝早 くからお集まりいただきまして大変ありがとうございます。本日は、武見委員、清水委 員、大道委員、永井委員、住田委員、上野谷委員、石井委員、今村委員、茂庭委員がご 欠席でございます。  では、事務局から本日の議事等について、まず説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  議事のご説明に先立ちまして、8月24日付で事務局の人事異動がございましたので、 ご紹介させていただきます。杉浦政策評価審議官でございます。 ○杉浦政策評価審議官  8月24日付で政策評価審議官を拝命しました杉浦と申します。よろしくお願いいた します。  今年の独法の見直しにつきましては、ご案内のとおり6月の骨太によりまして、本年 度で中期期間が終了するものも含めまして、それと1年前倒しでやるというようなこと が加わったこともありまして、各部会におかれまして、何かと精力的にご審議をいただ いたというふうに承知をしております。本当にこの暑い中ありがとうございました。本 日と明日の総会におきまして、整理合理化案を含めて提出をして、秋、冬に向けて案を 取りまとめていくという段取りになろうかと思います。どうかひとつこの2日間よろし くお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、議事のご説明をさせていただきます。まずは、本日と明日の2日間で審議 いただく事項をご説明させていただきます。その上で、次に本日の議事についてご説明 させていただきまして、その後、議事にかかわる「整理合理化案」に関して、ご説明を させていただこうと考えております。  まず1つ目ですが、議事次第をご覧ください。そちらは法人ごとの書きぶりとなって おりますが、本日と明日の総会で審議いただく事項のみ、まずご説明いたします。4つ ございます。1つ目が、「中期目標期間における業務実績の最終評価結果について」で ございます。2つ目が、「中期目標期間における業務実績の暫定評価結果について」で ございます。3つ目が、「組織・業務全般の見直し当初案について」でございます。4 つ目が、「整理合理化案についての報告」でございます。このようになっておりまして、 「最終評価結果」「暫定評価結果」及び「組織・業務の見直し当初案」につきましては、 既にそれぞれの部会でご審議の上、了解をいただいておりまして、それを本日と明日の 総会においてご審議いただくこととなっております。この4つについてご説明いたしま す。  1つ目の「中期目標期間における業務実績の最終評価結果について」です。お手元の 茶色い冊子、「独立行政法人評価関係資料集」の20ページをご覧ください。最終評価は 法律に基づいておりまして、「独立行政法人通則法第34条第1項」におきまして、「独 立行政法人は主務省令で定めるところにより、中期目標の期間における業務の実績につ いて、評価委員会の評価を受けなければならない」とされておりまして、これを根拠に 行われるものとなっております。つきましては、昨年度実施した暫定評価、また中期目 標期間最終年度、平成18年度の業務実績評価を踏まえまして、対象法人の所管部会で 最終評価結果(案)を作成していただいておりますので、これについてご審議いただき ます。  2つ目に「中期目標期間における業務実績の暫定評価結果について」でございます。 お手元の今の関係資料集の42ページをご覧ください。こちらは法律に基づく内容では ございませんが、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」に基 づいて実施しているところでございます。44ページでございますが、この中の「3.中 期目標に係る業務の実績に関する評価」の「(3)の(1)」におきまして、「評価結果を 次期中期目標策定等へ反映させる観点から、次の手順により中期目標期間最終年度にお いて暫定評価を行うこととする」とされております。そして、「暫定評価に当たっては、 各部会において法人からヒアリングを実施し、本基準に基づき、中期目標期間に係る一 次評価を行った上で、総会において暫定評価を決定する」とされております。つきまし ては、これまでの各年度の業務実績の評価等をもとに、対象法人の所管部会で暫定評価 結果(案)を作成していただきましたので、これについてご審議いただきます。  3つ目の「組織・業務全般の見直し当初案について」でございます。平成19年度末 に中期目標期間が終了する法人につきましては、厚生労働大臣は、独立行政法人の組織・ 業務全般の見直しをすることになっておりまして、大臣が見直しを検討するに当たりま しては、評価委員会の意見を聞かなければならないとなっております。こちらは通則法 第35条1項、2項に基づいております。また、平成20年度末に中期目標期間が終了す る法人につきましても、「経済財政改革の基本方針2007」、いわゆる「骨太」と呼んで おります基本方針2007によりまして、法人の組織・業務全般の見直しを1年前倒しで行 うこととされております。つきましては、当省より見直し当初案をご説明し、その後、 各部会で審議を行った際にいただいたご意見等を、各部会長からご報告していただいた 上で、総会のご意見をいただくことになります。  4つ目の「整理合理化案についての報告」でございますが、こちらについては後ほど 改めてご説明させていただきます。  次に、総会での審議の進め方ですが、各法人ごとに分けて進めさせていただきますの で、これに伴い、総会の途中で事務局の入れかえを行いますが、何とぞご容赦いただき ますようお願いいたします。  そして、本日の議事についてのご説明です。本日の議事についてはお手元の参考資料 6、これは資料の一番下にあると思いますが、A3版の大きな紙となっております。こ ちらのA3版の資料が参考資料6でございます。こちらの資料におきまして、この2日 間の総会で審議する法人の内容が分かるようになっておりまして、一番右のところに整 理合理化案、そして見直し当初案を兼ねる法人もございますが、その概要が書かれてご ざいます。一番左に今日と明日の日付が入っておりますが、本日、8月28日につきま しては、労働部会が所管する1から5までの5法人、勤労者退職金共済機構、高齢・障 害者雇用支援機構、労働者健康福祉機構、雇用・能力開発機構、労働政策研究・研修機 構、この5法人についての審議となっております。  まず、こちらの資料に基づいてご説明しますが、勤労者退職金共済機構につきまして は、今年度が中期目標期間の最終年度となることから、「暫定評価」「組織・業務全般 の見直し当初案」について審議いたします。なお、後ほど申し上げますが、組織・業務 全般の見直しを行う法人につきましては、「見直し当初案」が「整理合理化案」を兼ね ることとなりますので、「整理合理化案」として別途報告することはございません。  また、次の高齢・障害者雇用支援機構、こちらも勤労者退職金共済機構と同様に、今 年度が中期目標期間の最終年度となりますので、「暫定評価」と「組織・業務全般の見 直し当初案」についての審議となります。  3つ目の労働者健康福祉機構につきましては、中期目標期間は来年度までとなってお りますが、先ほど申し上げました「基本方針2007」におきまして、1年前倒しで見直し を実施することとされておりますので、「組織・業務全般の見直し当初案」についての ご審議のみとなっております。なお、先ほど申し上げましたとおり「暫定評価」はござ いません。また、「見直し当初案」が「整理合理化案」を兼ねることとなっております。  4つ目の雇用・能力開発機構でございます。こちらにつきましては、昨年度中期目標 期間が終了しましたので、昨年度実施していただいた「暫定評価」、そして先日実施し ていただきました「18年度の業務実績評価」、これらを踏まえまして、「最終評価」に ついてご審議いただきます。また、その後、「整理合理化案」についてご報告させてい ただきます。  5つ目の労働政策研究・研修機構につきましては、雇用・能力開発機構と同様に、昨 年度中期目標期間が終了いたしましたので、昨年度実施していただいた「暫定評価」、 そして先日実施していただいた「18年度の業務実績評価」を踏まえまして、「最終評価」 についてご審議いただきます。同様に「整理合理化案」についてもご報告させていただ きます。  本日の議事についての説明は以上でございます。  3つ目に「整理合理化案」について、全般のご説明をさせていただきます。まず、各 部会でご説明したところでございますが、「経済財政改革の基本方針2007」におきまし て、「独立行政法人整理合理化案」を策定することが示されまして、主務大臣は所管す るすべての独立行政法人について、8月末を目途に「整理合理化案」を策定することと されました。また、この主務大臣が策定した「整理合理化案」については、総理を本部 長とし全閣僚をメンバーとする「行政改革推進本部」に対して意見を述べる有識者の会 議である、「行政減量・効率化有識者会議」が中心となりまして、総務省の「政策評価・ 独立行政法人評価委員会」、いわゆる政・独委等と連携を図り議論を行うこととされて おりまして、平成19年内をめどに政府として「独立行政法人整理合理化計画」を策定す ることとされております。  済みません。先ほどこの参考資料6を見ていただきましたが、これと一緒に束ねてあ りました参考資料の束をご覧いただければと思います。こちらの参考資料2が「基本方 針2007」の独立行政法人関連部分を抜粋したものとなっております。この4で「公務員 制度改革」となっておりますが、5のところで「独立行政法人等の改革」の記述がござ います。  また、各独立行政法人の「整理合理化案」と本評価委員会の関係につきましては、「整 理合理化案」の策定方針が示された後にご説明するというようなことでしておりました が、去る8月10日に「独立行政法人整理合理化計画の策定に係る基本方針」が閣議決 定されております。こちらが参考資料3でございます。  そして、これから「組織・業務全般の見直し」についてご説明いたします。この動き を踏まえた中で「整理合理化案」全体のご説明もいたします。「法人の組織・業務全般 の見直し当初案について」ということで、先ほどの茶色の資料集の10ページをご覧いた だければと思います。この10ページに見直しの概要、通則法の規定と流れ、そして11 ページは概念図となっております。「組織・業務全般の見直し」につきましては10ペー ジでございますが、第35条に規定がございますように、「主務大臣は、独立行政法人の 中期目標の期間の終了時において、当該独立行政法人の業務を継続させる必要性、組織 の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要 の措置を講ずるものとする」となっておりまして、その第2項におきまして、「主務大 臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、評価委員会の意見を聴かなければな らない」とされております。  次に概念図でございます。実際の流れとしましては、これは去年の流れでございます が、この下の方に四角がありまして、「厚生労働大臣の意見聴取」となっております。 この(1)の段階が各部会、去年の例でいいますと「労働部会」と書いてございますが、労 働部会なり医療・福祉部会なり、そういった部会の意見を(1)で8月下旬に聞きまして、 その後この総会、(2)で聞くことになっております。本日の総会はこの(2)に該当するとこ ろでございます。こちらを経まして、31日に「見直し当初案」が決定されまして、「行 政改革推進本部」、あるいは事務局の方に提出しまして、その上で、流れとしましては 左側にあります「行政減量・効率化有識者会議」の意見を聞いたり、また右にございま す「政策評価・独立行政法人評価委員会(政・独委)」でヒアリング等がございまして、 それを受けて(5)でございますが、「勧告の方向性」というものが秋口、11月ごろに出さ れます。これを踏まえて11月下旬、あるいは12月上旬、この日程はまだ決まっておりま せんが、その頃にもう一度、今度は「当初」が取れた「見直し案」につきまして、部会、 総会とご審議いただく予定となっております。その上で「見直し案」が提示されまして、 見直し内容が年内に決定されるといった流れになっております。こちらが「法人の組織・ 業務全般の見直し当初案について」の説明でございました。  次に、「整理合理化案」についてのご説明をしたいと思います。先ほど申し上げまし たように、7月4日の第18回総会におきまして、「基本方針2007」に盛り込まれた「整 理合理化案」についてご説明しておりますが、この「基本方針2007」におきまして、参 考資料2の2ページに「5.独立行政法人等の改革」となっておりますが、こちらの「改 革のポイント」のところで、すべての独立行政法人101法人について、民営化や民間委 託の是非を検討し、「独立行政法人整理合理化計画」を策定するとなっております。厚 生労働省の所管は、共管法人を除きますと14法人となっております。こちらについて「整 理合理化計画」を策定するとなっております。  そして見直しにつきましては、「官から民へ」という原則と競争原則、整合性原則、 この3つの原則に基づきまして、また、全ての事務・事業について市場化テスト導入の 検討対象とするとされているところですが、それを除きまして、3ページの(4)見直 しの進め方によりまして、8月末を目途に「整理合理化案」の策定、そして審議を経ま して、年内をめどに「整理合理化計画」を策定するとされております。  また、6月28日の「行政減量・効率化有識者会議」の中で、見直し対象法人につき ましては、「整理合理化案」は「見直し当初案」を兼ねるとされております。というこ とで、「見直し当初案」を策定する法人につきましては、「整理合理化案」を改めてつ くることはございません。  ここで当省所管独立行政法人のうち、共管法人の水資源機構及び農業者年金基金を除 きまして、1年前倒しで見直しになるものも含めました「組織・業務全般の見直し」を 実施する6法人と、残りの8法人で分けた対応ということにしておりまして、今の「組 織・業務全般の見直し」を実施する6法人というのは、国立病院機構、医薬品医療機器 総合機構、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、労働者健康福祉機構、勤労者退職 金共済機構、高齢・障害者雇用支援機構になってございます。こちらにつきましては今 申し上げましたように、「見直し当初案」が「整理合理化案」を兼ねることになってお りますので、独立行政法人通則法第35条に基づきまして、部会での審議を経て、総会に おいて「見直し当初案」のご意見をいただくこととなっております。  また、見直し対象となっていない8法人につきましては、独立行政法人通則法上、「整 理合理化案」について独法評価委員会の意見を聞くこととはされておりません。こうい うこともございまして、今回の総会においてご報告という形をとらせていただきます。  なお、各法人の「整理合理化案」策定に当たりましては、独法評価委員会が毎年度実 施する各法人の業務実績の評価等も踏まえて策定してございますので、ご留意いただけ ればと思います。  最後に、「整理合理化計画」策定の今後の進め方について、概略をご説明いたします。 先ほどの参考資料の束の参考資料4をご覧いただければと思います。こちらは横表にな っておりまして、「101全独立行政法人見直しの進め方」ということで、「行政減量・効 率化有識者会議」の資料となっております。こちらは左から2番目の縦の列で「行政減 量・効率化有識者会議」について書いてございます。そしてその右に政・独委、そして 関連会議(規制改革会議等)となっておりますが、「行政減量・効率化有識者会議」で 基本方針を8月に取りまとめ、閣議決定されておりまして、各主務大臣が8月末をめど に「整理合理化案」を策定しまして、そこでまた右の方に矢印が出ておりますが、関連 会議等の意見を聞きつつ、101法人につきましては9月から、一番左に緑色で書いており ますが、「整理合理化計画案」の検討となります。そして、「行政減量・効率化有識者 会議」においてヒアリング等議論をいたします。また、先ほど申し上げました見直し対 象の35法人につきましては、政・独委の方でもまた別途「見直し当初案」について議論・ 検討を踏まえた上で、先ほど申し上げました「勧告の方向性」が11月末頃だと思いま すが、その頃に出まして、全法人の「整理合理化計画」取りまとめとあわせて、「見直 し案」の策定となるところでございます。  参考資料5でございます。こちらは今の資料の「行政減量・効率化有識者会議」のと ころのみ抽出したものでございますが、こちらも有識者会議の資料でございます。今申 し上げましたように、8月末目途で各府省の「見直し案」、こちらは「整理合理化案」 を提出しまして、9月に各府省の「見直し案」について事務局から説明したり、あるい は見直し対象法人については「見直し当初案」について総務省から説明したり、先ほど 申し上げました政・独委や行政改革会議等関連会議からのヒアリングを有識者会議でや りまして、更にその101法人の中からヒアリング対象法人の選定、そして個別法人のヒア リング、こういったことをもう1ラウンド実施しまして、その上で年内をめどに「整理 合理化計画」を政府として閣議決定するという流れになってございます。  「整理合理化案」についての説明は以上でございます。  最後に、ご説明ではございませんが、各部会における平成18年度業務実績評価につ いての報告ということで、いわゆる文章編の総合評価の結果と個別事項の評定について、 配付させていただいております。恐らく左上のところにあるのではないかと思いますが、 そちらをお配りしておりますのでご報告させていただきます。委員の皆様方には、取り まとめに際してご尽力いただき本当にありがとうございました。  以上でございます。 ○井原委員長  ありがとうございます。これから審議に入りますが、今までのところで何かご質問が あればと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、審議に移りたいと思います。まず、勤労者退職金共済機構の中期目標期間 の業務実績の暫定評価結果、これの審議が最初でございます。先ほど事務局から説明が ありましたとおり、法人を所管する労働部会において、暫定評価結果の案を検討いただ いているところでございます。これにつきましては、私は労働部会の部会長でもありま すものですから、私より報告させていただきます。  資料1−1でございます。この勤労者退職金共済機構の目的は、中小企業の相互扶助 の精神に基づき、その拠出による退職金共済制度を確立し、もって中小企業の従業員の 福祉の増進と中小企業の振興に寄与するということになっておりまして、この目的に照 らしまして、業務の効率化及び質の向上により得られた成果が、どの程度寄与するかと いう視点を中心として評価をしているところでございます。全体としては機構の目的に 資するものでありまして、適正に業務を実施したとの評価ができますが、以下の点に留 意する必要があります。これが2ページの(1)〜(4)でございます。ちょっと読みます。  (1)加入促進については、制度の安定的な運営のために、加入促進対策の費用対効果等 について検証した上で実施体制も含めた対策の見直しを行い、効率的かつ効果的な取組 を行うことを期待する。特に、平成18年度までの加入者数について目標を達成できな かった清酒製造業退職金共済事業(以下「清退共事業」という)及び林業退職金共済事 業(以下「林退共事業」という)については、それぞれの産業における事業活動の低迷 等業界固有の問題はあるものの、より一層の効率的かつ効果的な取組が求められる。  (2)制度が長期的に安定したものとなり、事業主が安心して加入できるものとなるため には、累積欠損金を解消することが重要であり、引き続き「累積欠損金解消計画」の着 実な実施が求められる。  (3)すべての加入者に最良のサービスを提供するために退職金共済業務・システムの最 適化計画の策定と併せた4事業本部一体となった更なる事務処理期間短縮方策を検討す るほか、区分経理を前提とした効率的かつ柔軟な資産運用体制の構築、競争契約の導入 による経費削減などの業務運営のより一層の効率化に努めることが重要である。  (4)職員の研修の充実や人事評価結果の活用など効率的かつ柔軟な組織・人員体制の確 立を積極的に進めているところであるが、今後もより高い成果を得るために体制やその 運用について不断の見直しを引き続き行うとともに、それを具体的な成果につなげるこ とが重要である。  その下が「具体的な評価内容」になっておりますが、ポイントだけを申し上げます。 まず、業務運営の効率化について、2ページの下の方ですが、この点に関しましては、 情勢の変化に対応した組織体制整備や、職員の資質向上のための積極的な研修の実施、 資産運用の中核人材の育成のための年金積立金管理運用独立行政法人への出向人事など を実施していることは評価できますので、各種対策を引き続き見直していくことを期待 しています。他方、業務方法の見直し等を通じ、必ずしも機構職員が実施する必要のな い業務については、費用対効果を踏まえつつ外部委託を拡大することを期待します。  3ページの(2)業務運営の効率化に伴う経費節減に関してですが、これは業務運営全体 を通じて経費節減に向けたさまざまな取組を実施した結果、一般管理費及び契約締結、 退職金給付等の運営費交付金を充当する退職金共済事業経費に係る決算額は予算額を下 回るものとなっておりまして、中期計画の節減目標の達成に向けた着実な取組がなされ ております。今後も更なる競争契約の導入により一層の経費の節減に努めるとともに、 人件費の削減に引き続き努めることを期待するということになっております。  3〜4ページにかけて、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上につ いてですが、サービスの向上として、加入者の負担軽減、意思決定・事務処理の迅速化 については、中期計画の目標を達成したことは評価できます。今後は、すべての加入者 に最良のサービスを提供するため、業務・システム最適化計画策定に併せ、4事業本部 一体となった更なる処理期間短縮方策の検討を期待します。  4ページの第3パラグラフ、情報提供の充実等につきましては、当委員会の指摘を受 けまして、ホームページの見やすさ、分かりやすさを改善したこと、相談業務について、 訪問者の声を職員にフィードバックする体制の整備に取り組んだことは評価できます。 今後も引き続き相談サービスの向上に向けて、ホームページ等を活用することにより、 被共済者が直接情報を入手できる仕組みを検討することを含め、取組の一層の拡充を期 待します。  4ページの後半の(2)加入促進対策の効果的実施につきましては、これは理事長をはじ め役職員等による訪問活動、他制度と連携した加入促進対策等の積極的な取組により、 平成18年度までにおいて、機構全体の加入者数の目標達成率が107.4%になったことは 評価できますが、平成18年度までの目標達成率を見ますと、清退共事業が88.5%、林 退共事業は70.2%と目標を達成できていないことから、各事業の産業・雇用状況を踏ま えつつ一層の取組が求められます。  また、今後、加入促進対策につきましては、引き続き個別対策の費用対効果等につい て分析を行った上で、実施体制も含めた対策の見直しを行い、効率的かつ効果的な取組 を行うことを期待します。  それから、5ページの財務内容です。累積欠損金を抱えておりますので、これの処理 につきまして、累積欠損金の具体的な解消年限、中期目標期間中の解消目標額及び年度 ごとに解消すべき累積欠損金の額としての目安額を設定した「累積欠損金解消計画」を 平成17年度に策定しておりますが、これに基づき経費の節減や収益の確保に努めるな ど、累積欠損金の解消に積極的に取り組んだ結果、機構が承継した累積欠損金のうち、 中退共事業に係るものは約3,230億円から平成18年度末は約151億円に、林退共事業 に係るものは約21億円から平成18年度末は約14億円に減少したことは評価できます。 今後とも引き続き、資産運用について安全かつ効率的な運用を基本としつつ、「累積欠損 金解消計画」の着実な実施に努めていくことを期待します。  (2)健全な資産運用等につきましては、安全かつ効率的な運用を実施する体制を活用し、 各年度において各共済事業とも概ねベンチマーク、これを設定しているのですが、それ 並み、またはそれを上回る収益を確保しており、今後もより高い成果を得るために、区 分経理を前提としつつも、より効率的かつ柔軟な資産運用体制の構築を期待するという ことになっています。  その他の業務運営につきましては6ページですが、積極的な情報の収集及び活用、そ れから建退共事業の適正化に関して着実な取組が行われておりますし、中期計画の定期 的な進行管理に関しても適正に実施しています。今後も、計画の進捗状況について入念 な検証を行いつつ、着実な業務運営の遂行を期待するということでございます。  この点について、何かご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。はい、どう ぞ。 ○山口委員  適格年金は2012年3月までに廃止をしなければいけないということになっています が、今まだ4万件余り多分残っていると思います。その大半は100人未満の中小零細企 業ということなので、年金局でやっておられる確定給付企業年金、あるいは確定拠出年 金に必ずしも移れないところが、この中小企業退職金共済の方に移ることになります。 そのための移りやすいような施策を、今ちょっと拝見していたら、新しく組織をおつく りになったというようなことが出てきて、進めておられるのだと思うのですが、いま一 つ実施されている企業への広報とか、そういったのが何か余り見えないような気がして おりまして、そういったあたりがどうなっているのかというような質問です。  それからもう一つちょっと気になったのは、4ページの下から10行目ぐらいに、「適 年受託金融機関への政策的な運用資金の配分」というのが出てくるのですが、こういう ことがいわゆる競争的入札と言っている話とどのように整合するのかという点、この2 点についてちょっとご質問をしたいと思いますのでお願いします。 ○井原委員長  はい。それを事務局からちょっと説明いただきたいと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  退職金共済機構でございますが、お答えさせていただきます。最初に、適年の移行の 関係での具体的な働きかけということでございますが、これにつきまして生保会社、あ るいは信託銀行が受託機関として機能しているわけですが、私どもとしては個別の生保 各社、あるいは個別の銀行と連携を持ちまして働きかけをしているところでございます。 具体的には、各会社からそれぞれの中小企業等に働きかけを行っていただきまして、説 明会の開催に定期的に参加するとか、あるいは個別の要請があれば、それに対応すると いったようなことを行っているところでございます。また、機構独自といたしましても、 説明会をブロック毎に開催して、積極的に展開しているところでございます。そういっ た説明の上で更に個別に聞きたい、あるいは具体的な仕組みを相談したいというところ については、個別に訪問して打ち合わせをしているところでございます。また、今年度 に入りましてからでございますが、適年移行についての手続なり、あるいはいろいろな やり方等につきまして、動画を作成いたしまして、それをホームページ上に掲載して自 由に見ていただく、あるいは各団体に送付いたしまして積極的に広報して、円滑な移行 に努力しているといった実態でございます。  あるいは制度の見直し等もございまして、平成17年度においては、適年を解約した 企業のうち中退への移行が51%、平成18年度においては45%といった形で、高い割合 で受け皿となってございます。  そういった中で政策的資金配分についてでございますが、これにつきましては適年移 行に際しましては、それまでの積立について私ども機構に引き継ぎを行うわけですが、 それの実績に応じましてインセンティブとして、当機構が行う資金運用の方に受託をお 願いしてございます。例えば一定の率を設けまして、それを超えた場合には引き継ぎ額 の一定割合、具体的には3割程度を想定してございますが、それをそちらの方に資金運 用を行っていくということで、個々の生保会社、あるいは信託銀行により積極的に取り 組んでいただけるようにということで考えているところでございます。きちんと運用し ていただくのは当然でありますので、それについては運用結果についても適正に判断を し、仮に何らかの問題があった場合には、当然しかるべき措置を講ずるというような仕 組みで事業を行っているところでございます。  以上でございます。 ○井原委員長  はい、どうぞ。 ○渡辺委員  山口委員の今のに関連して、「政策的な運用資金の配分」という表現は、私はたまたま マスコミの人間だけれども、これはやはりおかしいと思いますよ。適年はあと数年で廃 止されると。それで中退共に持っていきなさいよと。適年を受託しているのは生保、信 託ですよね。そこに対して政策的に運用資金を配分するよと、この表現は言っているわ けでしょう。非常に意図的に、適年から中退共の方に持ってきた生保、信託に対して優 遇するよという表現にとれますよね。ちょっと今のご説明はよく分からないのだけど。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  適格年金からの移行につきましては、先ほど申しましたとおり、それまでの積立につ きまして当機構に引き継ぐわけでございますが、それについて一定額以上の場合には、 それぞれの会社等に資金運用として配分するということになってございます。それにつ いては、そういったような資金運用のやり方が適正かどうかといったことも、当然私ど もも検討したわけですが、当機構におきましては資金運用について、外部の専門家から なります資金運用の評価委員会で外部評価を行ってございまして、そちらの委員会に対 してもこういったやり方でやっており、かつ事業の運営については当然きちんとチェッ クをしているということでご説明を行いまして、ご理解をいただいた上でこのような運 用をしているということでございます。 ○井原委員長  ご質問は、恐らくルールがあってそれを行っているか、それともこの政策的な配分が そのほかに全く手段がないから行っているか、ということをうまく説明できればいいの だろうと思うんですよ。そういう話でしょう。 ○渡辺委員  まあ、そういうことです。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  そういう意味では、今の政策的な資金配分につきましても一定の基準を設けてござい まして、これについてはそれぞれの生保会社、信託銀行等に周知して実施をしていると ころでございます。なお、その後の運用についても、きちんと通常の資金運用のルール にのっとってチェックをし、必要な対策を講じているという状況でございます。 ○井原委員長  結局そのときのルールですが、それは機構のルールでしょう。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。そうでございます。 ○井原委員長  だから、そのルールではちょっと説明ができないから。 ○渡辺委員  これは運用資金の配分なのですか。受託資産の配分ではなくて、運用資金の配分とい うのは、これはどういう意味ですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。適年移行で企業から引き継いだ掛金、資金につきましても、通常の掛金と同じ ように機構として資産運用して、将来の退職金等のために準備をしていくわけでござい ます。そういう意味で、運用資産の配分ということで表現させていただいてございます。  例えば生保会社の場合であれば、50億円以上引き継いだ場合には、3割程度をその委 託運用として、金銭信託等のやり方で運用をお願いしているということでございます。 当機構として、通常資金運用を行う場合には、自家運用のほかに委託運用で民間の金銭 信託等に資金拠出をしてございますので、そういったやり方と同様に行っているという ことでございます。基準としては明確に定めておりまして、それに基づいてやっている というふうに考えてございます。 ○渡辺委員  ごめんなさい、こだわって。もう1点だけ。では、A社の適年が10億円の運用資産 があると。適年は2012年末までに廃止すると。そうするとこの10億円を中退共に持っ てくる。この10億円は機構に移るわけでしょう。この10億円は従来何とか生保、何と か信託が受託していたわけだ。あなたがおっしゃるのは、この10億円を全部ではなく て、3割ぐらいをこっちの生保や信託に受託させるよと。残り7割はインハウスで、機 構でやるよということ。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  残り7割につきましては、インハウス、あるいはほかの金銭信託等委託運用を含めま して運用をしていくということでございます。 ○渡辺委員  そうすると、要するに生保、信託に対して適年をこっちに持ってきなさいと。持って きたら生保、信託に対して、言葉は悪いが、ご褒美として少しは運用をあげますよとい う話ね、簡単に言えば。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  そうでございます。それをインセンティブにして、移行促進していただいているとこ ろでございます。 ○渡辺委員  とりあえずいいです。納得できないけどしようがない。 ○井原委員長  ここで恐らくひっかかられたのは、「政策的」にという言葉はだれにとっての政策なの かというのがよくわからないんですよ、きっと。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  先ほど申し上げましたとおり、適年については中小企業も相当数実施しているわけで ございますが、先ほどお話がございましたが、これまで7万企業のうち約半分が解約し ているわけで、そのうちのかなりの部分が、何らの事後手だてもなく解約しておしまい といったような実態にもあるわけでございます。そういう意味で、できる限りそこで働 く労働者の福祉の確保という観点からも、中退は非常に有効な受け皿だと自負してござ いますので、当機構への移行を促進するという観点から、いろいろな対策を講じている わけでございますが、その中で受託機関であります生保各社、信託銀行等に対するイン センティブとして、この対策を実施しているわけでございます。そういう意味で、機構 のためになるというよりも、広く中小企業の労働者にとって退職金がきちんと維持され るということに役立つという観点で、「政策的」という表現を使わせていただいていると ころでございます。 ○井原委員長  はい、どうぞ。 ○山口委員  今回、私はおっしゃることがよく理解できましたのでこれまでのところはまあいいと 思うのですが、そういうインセンティブの手段としてこういった資金配分を使うという ことについては、やはりやや慎重になった方がいい部分があると思います。いわゆる透 明性といいますか、そういう観点では、私は企業年金の専門ですが、やはり企業年金で も以前こういうことが随分ありまして、それで取引がある金融機関にたくさん渡してし まうとかということがあった訳です。やはり受給者のためにどうあるべきかといったよ うな観点を、まず最初に考えるというようなところが非常に大事だと思います。それか ら、業者にソフトダラーでいろいろなサービスを受けるとか、そういったのも随分過去 にはありましたが、そういったことが整理されて、今日では非常に透明性の高いシステ ムといいますか、仕組みが確立していっております。ですから、インセンティブはイン センティブで別に何かはっきりつくられた方が、より分かりやすく透明性が高くなるの ではないか。今後の検討課題としてぜひ考えていただければと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  ただいまのご指摘を受けまして、私どもは引き続き努力していきたいと思っておりま す。 ○井原委員長  そのほかにございますでしょうか。はい、どうぞ。 ○岩渕委員  素人でよくわからないで口を差し挟むのはなんですが、例えば財務内容の改善で累積 欠損金の処理ということで、ここで大分劇的に改善しているようではありますが、例え ばポートフォリオか、どういうふうな格好で運営しているのかというのは、これは要す るに各部会できちんと論議された上でここに出てきているという解釈でいいのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。基本ポートフォリオにつきましては、これも外部の専門家によりまして資産運 用検討委員会等の検討の場を設けまして、そこでご審議いただいて、それを踏まえて策 定してございます。 ○岩渕委員  続いていいですか。抽象的な表現はさっきから大分聞こえているのですが、例えば何 かあった場合には、これはきちんと処理しているというような、こういったことについ ても、それぞれの担当の部会にはきちんと説明した上でということになるのですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  はい。それにつきましては、各事業ごとに資産運用委員会を設けてございまして、そ こで審議をして決定してございます。また、それらの取組結果につきましては、先ほど 申し上げました外部の専門家の方にお願いして、資産運用評価委員会を設置してござい まして、そちらの方で適切な対応をとったかどうか、運用を行ったかどうかについて事 後評価を適切にしていただいてございます。 ○岩渕委員  もう一ついいですか。独法のあり方の見直しという観点からいえば、例えば労働者の ためにという、そういう今まで政策目的としてきたことについても、見直す時期に来て いるのかなというふうに私などは思います。そういう意味でいえば、行政が、あるいは 独法がどれだけこういった事業に関与すべきかということに関する議論というのは、各 担当部会で当然なされているのではないかなと思うのですが、この評価を見ますと、非 常に評価するとか、甘い言葉がずらっと並んでいるのですね。これは一体いかがなもの か。要するに、具体的に論議に参加していませんから、皆さんはそれは自信を持ってお っしゃっているのでしょうけれども、評価の採点を見ても、ほとんど自己評価のコピー ではないかと思われるぐらい、全く変わっていないというようなこともこれありで、一 体これで政・独委や有識者会議の議論にたえられるのかどうかということも含めて、非 常に不安な気持ちになっています。この場に連なって、果たして自分自身がこの与えら れた責任を果たしているのかどうかということも含めて、非常に不安になっている。あ あいうことでありますので、どうなんでしょう、そのあたりのところというのは、要す るに政・独委、あるいはそちらの方に提出する場合は、それぞれの独法を、所管省庁の 評価委員会として一応かばう格好でやっていって、血刀を振るうのはそちらにお任せす るという態度なのか。それともある程度こちらで見直しの間引きといいますか、ある程 度の作業を考えていらっしゃるのか。そのあたりのところを含めて、ちょっと委員長に お答え願いたい。 ○井原委員長  労働部会では一応いろいろな事務局からの、各法人からの説明をいただいて、それに 対して疑問のあるところは皆さんが集中して質問をして、その結果として出てきたのが これなんですね。それで、恐らくそれだけでは不十分なところが出てくるのは当然あり 得ると思うので、その点に関しましてはこの総会でもし何かお気づきのところがあれば 言っていただいて、それでこれに対してこういう意見が別にありましたという形でこれ を大臣に提出する、そういうふうに考えておりますので、もし今日ここで何かひっかか るところがありましたら、是非おっしゃっていただければ。 ○岩渕委員  それでしたら、行政及び独立行政法人の行う事業として、現在の状況が果たして適切 かどうかに関するきちんとした見直しがやや不足しているのではないかという印象を私 は持っておりますので、是非それをお願いしたいと思います。 ○井原委員長  わかりました。それを一つつけ加えてと思います。はい、どうぞ。 ○佐野委員  ただいまの委員の趣旨と大体同じだったのですが、1点ちょっと確認といいますか追 加的に申し上げたいのは、例えば2ページを拝見いたしますと、この1ページから続い て全般的な評価ということで、(3)に留意事項の一つといたしまして、「一層の効率化に努 めることが重要である」というようなことが書かれてございます。これは個別評価を積 み上げていった結果の当機構に対する留意事項というふうに理解するのですが、2ペー ジの下以降にあります具体的な評価内容を見ますと、なぜその留意事項がついたかとい うことに結びつくところが余り見えない。  例えばこの効率化について申し上げますと、3ページの(2)にいろいろ経費削減など率 を達成して評価できると書いてあって、今後も期待しますよといったエールは送られて いるけれども、留意事項がつくような片りんが見えないんですね。同じことが4ページ でも、処理期間等について目標を達成したことは評価できるということで、今後も頑張 ってくださいねというエールは送ってあるのだけれども、留意事項に結びつくようなマ イナス的なといいますか、こういったことに注意すべきなんだよということが見えない で、全体評価としては一般論的な、今後も削減に努められたいというような記載になっ ておりまして、個別評価から全体評価にどう収れんされていったのかというところがち ょっと整合していないように思いまして、一体どっちに軸足を置いてこの機構を評価す るのか。評価できるという評価なのか。それとももっとこういうところが悪いから留意 してくれという、そこに重点があるのか。ちょっとよく分からないので。 ○井原委員長  これの評価というのは、中期目標・中期計画をまず立てますね。それを現実に達成し ているかどうかというのがここに書いてある評価であるわけです。ところがそれでは不 十分であるよ、もっとしっかりやってくれた方がいいよ、というので、そこのところに この実際の留意点というのが出てくるわけでございます。ですから、これが今後の見直 し案等につながっていくというふうに考えております。  ほかによろしゅうございますか。はい、どうぞ。 ○川北委員  資産運用に関しまして、この資料の29〜30ページにかけまして、資産の残高と決算 の利回り、それからベンチマーク対比のパフォーマンスの状況が書いてあるわけですが、 教えていただきたいのは、これは特別給付経理を含めますと、6つの区分経理がなされ て資産運用されているようですけれども、例えばそれぞれのベンチマークの利回りが相 当程度違う。運用資産の金額の小さいもののベンチマークがかなり違うというのは何と なく理解できるのですが、例えば中退共の事業給付経理は3兆5,000億円程度の資産残 高があり、また、建退共事業給付経理は9,000億円程度の資産規模があって、相当程度 資産規模が大きいにもかかわらず、例えばベンチマークを見ますと、ベンチマークの複 合でいくと、中退共の平成18年度は5.12%、建退共の方は3.73%と、相当そのベンチ マークのリターンが違う。ということは、その基準としているポートフォリオが相当違 うように見受けられるのですが、それぞれの経理において資産の内容が違うというのは、 合理的に検討された結果なのかどうなのか。そのあたりを教えていただきたいのですが。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは、お答えしたいと思います。それぞれの事業におきまして、予定運用利回り がその制度で違ってございます。その上で、中退共、林退共については累損を抱えてお りますので、それの解消についても努力をしていくということで使命を負っているわけ です。また、今ご指摘がありましたように資産規模も異なっているということで、それ ぞれ必要な運用成果を上げるためにどのような基本ポートフォリオを組んでいくかとい うことで、例えば国債等国内債にウエートを置くとか、あるいはある程度株式等にもウ エートを置いていくとか、そこはそれぞれの事業によって異なってございます。これに ついては先ほど申しましたように、外部の専門家の方を参集いたしまして、それぞれの 事業ごとにどのようなポートフォリオが適正かということをご検討いただいた上で結論 いただいて、現在実施しているところでございます。  以上でございます。 ○川北委員  よろしいですか。それに関連しましてもう一つ質問があるのですが、例えば資産残高 がすごく小さなものも含めて、一番小さいのが4億円ぐらいですか、それからあと60 何億円というのがありますが、素人というのか、外部から見ますと、こういう小さな資 産規模のものを区分経理し、今後ともこれを継続することが適切なのかどうか。かなり コストがかかって、その割には効果がそんなに大きくないのではないのか。そういう意 味では、将来統合することも検討していいのではないかと思いますが、そのあたりにつ いては現在どのようにお考えなのか、教えていただきたいのですが。 ○勤労者生活部勤労者生活課長  区分経理自体は中退法、法律に定められているところでございまして、区分経理、そ れから勘定間の資金融通の禁止といった考え方でやっております。それぞれ歴史のある、 かつ特定業種についてはそのバックになる業界の協力を得て運用している事業でござい まして、そういう共済の集団がそれぞれにあって異なるということがございます。それ ぞれについて長期的に収支均衡を図っていかなければいけないという観点で、今の区分 経理というものが定められているというふうに理解しておりまして、その考え方につい ては基本的に変えるべきところはないのではないかと思います。  ただ、その資金運用のあり方ということでいえば、今別々にやっているわけでござい ますが、将来に向けてそれを一緒にできないかどうかといったような方向は、検討課題 としてあると思っております。 ○井原委員長  それでは、よろしゅうございますでしょうか。  それでは、この全体の暫定評価といたしましては、このままで提出いたしまして、そ れに今日いただいた幾つかのご意見をつけさせていただくという形でやりたいと思いま すが、それでよろしゅうございますでしょうか。意見というのは、一つはインセンティ ブのつけ方をもうちょっと検討せよと。それから、全体に評価が甘いぞという意見も出 ていましたが、そういう点をつけ加えていただければと思います。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、次の議題に移ります。勤労者退職金共済機構の見直し当初案についてでご ざいます。見直し当初案は整理合理化案を兼ねます。まず、法人の見直し当初案の内容 につきましては、厚生労働省の担当課から説明していただきまして、その後、労働部会 の部会長である私から、8月21日の第42回労働部会での審議における意見等を報告さ せていただいた上で、各委員からご意見をいただきたいと思います。  では、担当課より説明をお願いいたします。15分程度でお願いいたします。 ○勤労者生活部勤労者生活課長  改めまして勤労者生活課長の吉本でございます。よろしくお願いいたします。  資料1−2をご覧いただきたいと存じます。「独立行政法人勤労者退職金共済機構の組 織・業務全般の見直し当初案について」ということでございます。まず、法人の事業概 要については、今までもお話がありましたが、(1)〜(3)を実施しておりまして、(1)一般の 中小企業退職金共済事業につきましては、一般の中小企業の従業員を対象といたしまし て、事業主が金融機関を通じて毎月一定の掛金を納付すると、従業員が退職したときに 機構から当該従業員に退職金を支給するといった制度でございます。  (2)の特定業種でございますが、これは特定業種において期間雇用される従業員の方が 対象ということで、現場で働く期間雇用者が共済手帳を所持いたしまして、これに事業 主が共済証紙を貼付して、業界で働くことをやめたときに機構から退職金を支給すると いうものでございまして、現在建設業、清酒製造業、林業、3業種について実施してい るところでございます。  (3)の附帯事業と申しますのは、非中小企業者の拠出によりまして、期間雇用者が中小 企業者以外の者に雇用された場合に退職金の上乗せを行うということでございまして、 建設業と清酒製造業について実施をしているところでございます。  IIの整理合理化案の概要でございますが、1.事務・事業の見直し内容について、(1) 業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置ということで、まず1つ目 に挙げておりますのは、今申しました4つの事業本部があるわけですが、その業務処理 の統一による合理化・効率化ということでございます。具体的な内容といたしましては、 一つは資産運用につきまして、これは今各事業本部でやっておりますが、資産運用に共 通する業務につきましてはできるだけ統一的に行っていくということで、合理化・効率 化を図っていきたいと思っておりまして、そのための執行体制も統一していきたいと考 えております。  また、システム管理業務につきましても、現在はそれぞれの事業ごとにそうしたシス テムを開発して運用しているといった実態でございますが、これらはいわゆるレガシー システムというようなことで、古くから引き継いでおりますシステムなものですから、 随意契約によらざるを得ないような状況がございまして、これを今後はオープンシステ ムということで刷新をいたしまして、競争入札を可能とするシステムにしていきたいと 考えております。具体的には、現在策定・検討して今年度中に策定予定の業務システム 最適化計画、これを踏まえまして執行体制の統一をすることによって、合理化・効率化 を図ってまいりたいと考えております。  (2)でございます。特別事業と申しますのは、先ほど申しました非中小企業者の拠出に よる附帯事業のことでございますが、これにつきましては先ほどもご指摘がありました ように、ちょっと事業規模が小さくなっているということがございます。建設について は資産運用を単独の組織、人員を擁してやっているところでございますが、ただいま申 しましたように、資産運用業務については執行体制を統一していきたいということで、 その中でこの特別事業の部分についても統一をしていくことになります。資産運用以外 のいわゆる管理業務につきましては、各事業本部に残るわけでございますが、この特別 事業についてはそれに係る組織人員については縮小してまいりたいと考えております。  次のページでございますが、システム刷新による経費節減でございます。先ほど申し ましたように、現在のシステムをオープンシステムにしていくことによりまして、競争 入札を可能にしてまいりたいと思っております。ランニングコストを単年度試算したと ころによりますと、2億8,000万円程度削減いたしまして、これを初期費用に充てるこ とにしてまいりたいと考えております。  (4)の外部委託等の推進でございます。これについてはこれまでもいろいろな形でやっ ておりましたが、先ほど申しました最適化計画の策定を踏まえまして、より電子化、機 械処理を拡大するでありますとか、また業務処理方法を見直すことによって外部委託で きるものはできるだけしていくということで、効率化を図ってまいりたいと思っており ます。  (5)の適年廃止に伴う見直しでございますが、これは先ほどもありましたように、この 適年からの移行促進に係るセクションを設けておりますが、これが平成23年度末で廃 止ということでございますので、それに伴いますその課の廃止を含めて、実施体制を見 直すということを考えてございます。  (2)国民サービスの向上等に対する目標を達成するための措置ということで、イの サービスの向上、(1)事務処理の迅速化でございます。これにつきましては、今期の中期 計画でもそれぞれ事務処理期間に係る目標を設定いたしまして、これは既に達成してい るところでございますが、今後は更にOCR化を促進するなどといったことで、処理期 間を短縮していけるようにしてまいりたいと思っております。  (2)相談業務の質の向上でございます。これにつきましても、研修でありますとか、あ るいはマニュアル化といったようなことで、質の向上を図ってきたわけでございますが、 今後は更に相談者の満足度調査をきちんと精査いたしまして、その結果を反映していく ことを考えてまいりたいと思っております。  (3)加入者サービス業務の重点化でございます。これはサービスの提供方法を、例えば 印刷物をできるだけやめて、ホームページでの情報提供の充実を図っていくといったよ うなこと。また、相談業務を電話からホームページに誘導していくというようなこと。 あるいは被共済者の方がそのシステムによってパスワード等を入力すれば、ご自身の退 職金が試算できるようなシステムを、もちろん個人データのそのセキュリティーを確保 するようなシステムを準備した上でということでございますが、そうしたことも可能に なるようにサービスの向上を図ってまいりたいと思っております。  ロの加入促進対策の効果的実施でございます。(1)加入目標数につきましては、これま での実績、加入状況、財務内容、それぞれの経済環境等を検証した上で、改めまして新 規に加入する被共済者数の目標というものを設定して、それに向けて取り組んでまいり たいと思います。  (2)加入促進業務の重点化でございます。これも様々な方法でやっておりますが、やは り費用対効果ということをきちんと検証して、例えば地域ごとの特性でありますとか、 あるいは普及推進員というのを50人ほど設置しておりますが、その方々の業務のあり 方の見直しといったようなことの中で、効率化を図ってまいりたいと思っております。  (3)財務内容の改善に関する事項でございます。これは先ほど来ございましたよう に、「累積欠損金解消計画」を策定いたしまして、結果といたしまして目標を大きく上回 る形で解消をしてきておりまして、中退共の事業の方の欠損金につきましては、平成19 年度中にでも解消が見込まれているところでございます。林退共の方につきましては、 まだ平成18年度末時点で14億円の欠損金が残っているということでございますが、こ れも目標以上のペースで解消してきているといった状況でございます。今後のありよう については、また新たに計画を見直してまいりたいと思っております。  2の民営化、市場化テスト、他法人への移管等についてでございますが、民営化につ きましては退職金制度の趣旨を踏まえますと、制度の継続性、資産管理の安全性、給付 の確実性をしっかり確保していかなければならないということで、国または国に準じた 主体が行うことが適当で、民営化は困難と考えております。また、本事業と趣旨・目的 及び制度設計等を同じくする事業というのは、他に存在いたしませんので、他法人への 移管・一体的な実施といったことも困難と考えております。市場化テストに関しまして は、示されております事務が私どもの独法の主要業務としては行っておりませんので、 実施は困難と考えております。なお、先ほど来申し上げておりますような効率化ですと か、あるいは外部委託の拡大といったことは、引き続き進めるよう努力してまいりたい と思っております。  最後に、業務の効率化についてでございます。一般管理費、業務費等の見直しについ て、業務運営の一層の効率化により、運営費交付金を充当する一般管理費及び退職金共 済事業経費について削減を図ってまいりたいと考えております。また、随意契約の見直 しにつきましても、引き続き一般競争入札等の導入、範囲拡大等を図りまして、透明性、 公平性を確保するとともに、効率化を進めてまいるようにやってまいりたいと思ってお ります。  以上でございます。 ○井原委員長  それでは、この見直し当初案につきまして、労働部会での審議の結果を申し上げたい と思います。見直し当初案については、基本的に了承されました。この中で特に出され た大きな意見というのは、随意契約の内容を審査する体制ですね。現実には、理事、理 事長等の段階でもってそれを審議して決定しているということですが、その体制を制度 化してほしい。制度化するような形でもって、そこで一つ一つの案件を決定してほしい と、そういう意見が強く出されました。以上でございます。  それでは、ただいま説明がありました勤労者退職金共済機構の見直し当初案につきま して、ご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。はい、どうぞ。 ○岩渕委員  質問ですが、累積欠損金が今年度にも解消かというような話でしたが、前の資料の説 明によると、金融市場の良好な状況など外生的な要因も大きく影響しているという話で すが、少なくとも今年度に入ってそんなに金融市場が好調だとは、素人考えですが思え ないのですが、それも含めて、では一体その資金運用は、ちなみにさっき説明がありま せんでしたけれども、何にどの程度配分して運用しているのかというのも、参考までに 教えていただきたいと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは、私の方からお答えさせていただきます。中退共事業につきましては、累損 解消ということで、単年度180億円を解消していくということで計画をつくっていたと ころでございます。これは民間シンクタンクに資料作成を委託しまして、将来の景気動 向等を見た上でつくったものでございます。現在の契約で180億円を単年度の解消目安 としてございまして、今年度、平成18年度末で150億円でございますので、解消が視 野に入っているということで認識しているところでございます。ただし、今委員がご指 摘のとおり、現在市場は相当大きく動いてございますので、それについては引き続き注 視し、適正な運用に努力していきたいと考えてございます。  ちなみに中退共事業におきましては、自家運用につきましては国債等を中心に55%を 自家運用で運用し、委託運用が残り45%、その大半は金銭信託でございます。  以上でございます。 ○岩渕委員  株式はどれくらいですか。国内株式。 ○井原委員長  株式がどのぐらいかわかりますか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  ちょっとお待ちくださいませ。中退共におきましては、基本ポートフォリオにて株式 については10%で、乖離許容幅をプラスマイナス4%で設定して、現在運用してござい ます。 ○井原委員長  それは委託の方ですか。自家運用の方ですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  株式はすべて委託運用でございます。失礼いたしました。 ○井原委員長  よろしゅうございますか。そのほかにございますか。  それでは、当委員会といたしまして、この見直し当初案についてご了承いただきたい と思いますが、よろしゅうございますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  はい。それでは、この案で了承といたします。ありがとうございました。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆様しばらくお待ちいただきた いと思います。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  どうもありがとうございました。 (事務局入れ替え) ○井原委員長  それでは、審議に入りたいと思います。次に、高齢・障害者雇用支援機構の中期目標 期間の業務実績の暫定評価結果の審議に入ります。こちらにつきましても、先ほど事務 局から説明がありましたとおり、法人を所管する労働部会において、暫定評価結果の案 を検討してまいりました。これにつきましても、私から報告させていただきます。  資料2−1をお開きください。1ページからが暫定評価になっております。それでは 申し上げます。この高齢・障害者雇用支援機構の目的というのは、「高年齢者等及び障害 者の職業の安定その他福祉の増進を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与する」と いうところにあります。評価はこの設立目的に照らし、どの程度寄与するものであった か、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施したかという視点に立って行って おります。結果は、全体を見回しますと、機構が主体的に改革に取り組んだ結果、中期 目標・中期計画を上回っており、着実に実績を上げていると判断できます。  一方で、今後の課題といたしまして、以下の2点に留意しながら業務を実施していく 必要があります。  (1)都道府県協会の統合による組織体制の効率化を図るとともに、高年齢者雇用アドバ イザーと障害者雇用アドバイザーの機能の統合を検討するなど、アドバイザーの一層の 質の向上を図るための取組を進め、統合によるメリットを一層発揮していくことが必要 である。単なる統合ではだめだという話ですね。  (2)サービス利用者のアンケート結果の中から、業務の改善につなげるべき点を見つけ、 現場にフィードバックするなど、アンケート結果の一層効果的な活用を図ることが必要 である。  「具体的な評価内容」は2ページでございますが、業務運営体制につきましては、本 部組織をかなり見直しております。それから、駐在事務所と障害者雇用情報センターの 統合、都道府県協会の統合の推進等、効率化に積極的に取り組んでいる点は評価できま す。  一方人件費につきましては、給与水準が国家公務員と比較してなお高い水準にあるこ とにも留意し、真摯な検討を行うとともに、職員のモチベーションの維持・向上に引き 続き努めることを期待します。  給付金・助成金の支給業務につきましては、パソコン作成用様式のダウンロードファ イルをホームページに掲載すること等により、平均処理期間の短縮を図ってきています。 特に平成18年度においては、継続雇用定着促進助成金の制度改正に伴う駆け込み申請 等により、給付金・助成金の支給件数が急増したにもかかわらず、各種の対策を講じた 結果、平均処理期間を平成14年度に比べて17.5%短縮したということは評価できます。 今後も一層の事務処理の効率化、作業効率の向上に期待いたします。  (2)でございますが、(1)高年齢者等や障害者の雇用情報等の提供等、これは機構の ホームページにつきまして、アクセス件数が目標を毎年上回るとともに、毎年順調に増 加し、平成18年度には約600万件となり、内容も充実しており評価できます。  (2)の高年齢者雇用アドバイザーによる相談・援助については、改正高年齢者雇用安定 法への対応を重点的に実施し、アンケート調査についても効果があった旨の回答が、中 期目標・中期計画に掲げる70%を毎年大きく上回っていることは評価できます。  3ページの(2)の第3パラグラフですが、啓発広報活動等の実施。定期刊行誌「エルダ ー」の発行、バックナンバーのホームページ掲載、「高齢者雇用フェスタ」でのシンポジ ウムの開催、TV放映などの啓発広報に対する取組は評価できます。今後、利用者ニー ズを踏まえつつ、定期刊行誌の内容の一層の充実や一般向け販売の拡大を含む情報発信 方法の検討など、更なる啓発広報活動の展開を期待します。  第4から第5のパラグラフ、在職者を中心とした中高年齢者に対する支援。中高年齢 者に対する高齢期の職業生活設計に関する相談については、全ての支援コーナーにおい て土日・夜間の相談を平成18年度に実施し、アンケート調査結果により満足度の高い サービスの提供をしているほか、土日・夜間、出張セミナーを積極的に実施し、中期目 標・中期計画に掲げる目標を毎年上回っていることは評価できます。  (3)の第1パラグラフ、第2パラグラフですが、職業リハビリテーションサービスの実 施、これは平成18年度末までに延べ9万人の障害者に対し、きめ細かく体系的なサー ビスを提供しています。中でも職業準備支援事業等修了者の就職率については、平成18 年度に53.5%になるなど、中期計画を、これは40%ですが、毎年度大幅に上回るとと もに、ジョブコーチ支援事業の事業終了後6カ月時点の定着率についても、平成18年 度に84.3%になるなどと、中期計画を毎年度大幅に上回っていることは評価できます。 また、精神障害者体系的支援プログラムにおける復職・雇用継続率についても、事業を 開始した平成17年度以降、中期目標・中期計画を大幅に上回っていることは評価でき ます。引き続き現在の取組の維持・改善が期待されます。  (3)の第3パラグラフの職業リハビリテーションに係る人材の育成ですが、職業リハビ リテーションの専門的知識を有する人材の育成については、ジョブコーチ養成研修対象 者数の大幅な増加が見られること、研修受講者の満足度が高いことが評価できます。特 に、発達障害者の就労に関する知識、ノウハウの付与や、地域における就労支援のネッ トワークの構築のための人材育成を図るなど、一層の取組が期待されるところです。  (3)の第4パラグラフ、職業リハビリテーションに係る調査研究については、研究成果 の質は評価できるところでありますが、今後は特に組織内外への普及・活用に力を入れ ることが期待されるところです。  次が4ページになりますが、障害者職業能力開発校については、就職率が中期目標・ 中期計画を毎年上回り、平成18年度には93.2%という高い就職率を確保していること は評価できます。引き続き、発達障害者などの就職困難性の高い障害者に対する有効な 訓練技法の開発に向けた取組が期待されます。  それから、そこの第3パラグラフですが、納付金関係業務については、制度の前提と なる収納業務が中期目標に掲げた数値(収納率99%)を毎年度上回っております。今後 とも、収納業務の高水準維持に努める必要があります。  第6パラグラフの障害者の技能競技大会、これはアビリンピックと言っていますが、 広報活動の強化等により、来場者が増加し、平成18年度には過去最多となったことは 評価できますが、今後はより一層の質的な充実が期待されます。  財務内容の改善等につきましては、予算執行等について、中期目標に沿って適切に実 施されているということでございます。  この点につきまして、またご意見、ご質問があればお願いしたいと思います。  では、よろしゅうございますでしょうか。それでは、修正意見がないようでございま すので、中期目標期間の業務実績の暫定評価結果として、法人及び総務省の政策評価・ 独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。  以上につきまして、そのような取り扱いでよろしゅうございますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  それでは、次の議題に移ります。高齢・障害者雇用支援機構の見直し当初案について、 審議に入りたいと思います。なお、この見直し当初案につきましては、先ほどと同じよ うに整理合理化案を兼ねます。まず、法人の見直し当初案につきましては、厚生労働省 の担当課から説明をいただきまして、その後、労働部会の部会長である私から、8月21 日の第42回労働部会での審議における意見等を報告させていただいた上で、各委員か らご意見をいただきたいと思います。  では、担当課より15分程度で説明をお願いいたします。 ○高齢・障害者雇用対策部企画課長  高齢・障害者雇用対策部の企画課長の長門でございます。恐縮ですが座ってご説明さ せていただきます。  お手元の資料2−2に基づきまして、「高齢・障害者雇用支援機構の組織・業務全般の 見直し当初案について」ご説明をさせていただきます。少子高齢化がより一層進展いた しますとともに、障害のある方の社会参加の意欲が大きな高まりを見せております今日 におきましては、高齢・障害者雇用支援機構が取り組んでおります業務はますますその 重要性を高めております。そういう認識のもとに、今後予想されます政策課題に対応し た業務の重点化を図るという観点から、今回の見直し案を取りまとめております。  お手元の資料の見直し案でございますが、大きく3点から成り立ちます。第1点は「高 齢者雇用支援業務について」でございます。具体的には1ページをご覧いただきますと、 (1)(2)でございますが、「給付金業務の見直し」と「事業主等に対する援助業務の 重点化」、その2点について見直しを検討いたしております。  給付金業務につきましては、(1)をご覧いただきますと、これまでの給付金は目的と いたしましては、65歳までの雇用確保措置の導入ということで施策を実施していたとこ ろでございますが、法改正によりまして、65歳までの雇用が法文上義務化されたことを 踏まえまして、今後は希望する方については「70歳まで働ける企業の実現」を目指すと いう、新たな業務に重点を移していく必要があると考えております。これにあわせまし て、(1)の2つ目の○でございますが、給付金の事業規模を平成18年度の約500億円 弱から、平成19年度には約300億円、平成20年度には200億円台へと縮小してまい ります。そうした予算規模の縮小を踏まえまして、身の丈に合ったものとするという観 点から、その支給業務について実施体制の縮小を図ることをまず掲げております。  2点目でございますが、事業主等に対する援助業務につきましては、一定の離職者に 対しまして企業が作成を義務づけられております求職活動支援書の作成支援を行う再就 職支援コンサルタント、下線を付したところでございますが、これにつきましてはその 利用状況等も踏まえまして、これを廃止することといたしたいと考えております。また あわせて、高年齢者雇用アドバイザーによる援助業務につきましては、これまでも中小 企業診断士、あるいは社会保険労務士等の民間の専門家の方にお願いいたしまして、業 務を進めてきたところでございますが、今後は(2)の2つ目の○に書いてございます が、小規模企業に重点を置いた取組を進めるとともに、相談内容につきましても65歳 までの雇用確保措置から、「70歳まで働ける企業の実現」等に業務の重点を移していく、 そういうことができるよう政策課題に応じた見直しを行ってまいりたいと考えておりま す。  また、2ページ目をご覧下さい。事業主に対します援助業務の一つといたしまして、 高齢期の職業生活設計につきまして相談支援を行う高齢期雇用就業支援コーナーの業務 を行っておりますが、これにつきましては利用者のニーズに応じた見直しを行うべく、 先ほど委員長からもご指摘がありましたが、土日・夜間におけるセミナーの開催、ある いは企業に出張いたしましてのセミナーの開催、そういったものを積極的に実施する方 向に業務を見直しまして、重点化する中で対応をしていきたいと、また、見直し後の業 務につきましては、市場化テストの導入についても行ってまいりたいと考えております。  3ページをご覧いただけますでしょうか。見直しの第2点でございますが、「障害者雇 用支援業務について」でございます。具体的には「職業リハビリテーション業務の重点 的実施」についてでございますが、第1に「政策課題に対応した職業リハビリテーショ ン業務の実施」が課題になってまいります。地域障害者職業センターにおけます職業リ ハビリテーション業務につきましては、今後は精神障害者や発達障害者といった、より 困難性の高い障害のある方に対する支援に重点を移していく方向で、見直しを行うこと にしたいと考えております。また、障害者雇用促進法の見直しにつきまして、実は昨年 7月から3つの研究会を設けまして検討を行ってきたところでございますが、今月初め にまとめられました報告書では、その中の幾つかある提言の一つの方向としまして、福 祉、教育等との連携による就労支援の推進を図るということが提言されております。お 手元の3ページの資料では(1)の○の中の黒ポツ2つ目のところでございますが、その提 言の中では、そうした観点から、「地域において就労支援を担う専門的人材の育成」、あ るいは「地域の就労支援機関に対する助言援助」、こうした業務を新たに地域障害者職業 センターの業務として法律上位置づけていくことが、方向性として示されております。 具体的には今後の法改正に向けた検討の中で、その内容が決定された段階で、業務の見 直しを行っていくこととなると思いますが、こうした観点からの見直しについても、考 えていく必要があるということを書かせていただいております。  更に3ページの一番下のところでございますが、職業リハビリテーションの実施に当 たりましては、ここでは労災病院におけますメンタルヘルスセンターにおける取組と、 地域障害者職業センターにおける精神障害者のリワーク支援の連携を掲げておりますが、 医療機関等との連携による業務展開を重視していく必要があるという観点での見直しを 書かせていただいております。  4ページにお進みください。また、職業リハビリテーション業務につきましては、「業 務運営の効率化」という観点から、3点にわたる見直しを考えております。第1点は、 せき髄損傷者職業センター、福岡県の飯塚市にございますが、これを廃止することを考 えております。同センターは労働者健康福祉機構が同じ場所に設置しております総合せ き損センター内に、せき損患者の方の職業評価等を行う施設として併設されているもの でございますが、福岡市にあります地域障害者職業センターからの出張業務により、対 応が今後可能と考えられますことから、せき髄損傷者職業センターそのものにつきまし ては廃止することにいたしたいと考えております。  第2点でございますが、地域障害者職業センターにおいて実施しておりましたOA講 習につきましても、民間への委託訓練等により代替が可能であると考えられますので、 廃止することで考えております。  第3点は、地域障害者職業センターの管理事務についてでございます。これまでは各 県にございますセンターごとに、その事務処理を行うことを原則としておりましたが、 今後はこの4ページの一番下のところに書いてございますように、全体の4分の1程度 のセンターに事務処理を集約いたしまして、ブロック単位で事務処理を行うことにより、 管理事務部門に従事する職員の集約化、効率化を図る。それによってセンターの業務運 営の効率化を進めてまいりたいと考えております。  次のページへお進みください。障害者の雇用支援業務に関するもう一つの見直しにつ きましては、「障害者雇用納付金制度の着実な運営について」でございます。これにつき ましては5ページにございますように、大きく(1)(2)の2点がございます。  第1点は、「納付金制度の見直しへの的確な対応」でございます。先ほども申し上げま したように、障害者雇用促進法の見直しについて、3つの研究会で検討が行われてきた 結果、今月初めにまとめられた報告書の中では幾つかの提言がされているわけでござい ますが、その中では納付金制度につきまして、「中小企業への適用拡大」並びに「短時間 労働・派遣労働に対する雇用率制度の適用」についても検討を行うべきということが提 言されております。こうした納付金制度の見直しへの対応は、これも具体的には今後の 法改正に向けた検討の中で、その内容が決定された段階で機構の業務の見直しを行うこ とになると思いますが、こうした納付金制度の今後予想される見直しの動きに的確に対 応していくことが必要だということを書かせていただいております。  また、5ページの(2)のところでございますが、納付金制度の運営につきましては、業 務運営の効率化を図るため、現在全国に5カ所ございます駐在事務所の廃止を考えてお ります。これらの駐在事務所は納付金制度に関する調査業務を担うものでございますが、 その機能を東京と大阪に集約いたしまして、5つの駐在事務所については廃止すること にいたしたいと考えます。  6ページをお開きいただけますでしょうか。このほかに、障害者雇用支援業務に関し ましては、「その他の事業の見直し」といたしまして、今申し上げました駐在事務所の廃 止に伴いまして、その駐在事務所で行っておりました業務についても見直しを行う。具 体的には、6ページの(1)の○の中にイロハで書いてございますが、駐在事務所で行って おりました就労支援機器等の貸出事業を、本部の方で一元化して行うことに改めるとと もに、事務所で行っておりました図書貸出事業については、利用状況を見まして必ずし もその必要性が高くないということで、その廃止を行う。そういった事業の廃止・集約 化を行うこととしております。  また、障害者職業能力開発校の運営につきましても、今後は職業訓練を行う上で、き め細かいより専門的な支援を必要とする障害者に重点を置いた運営に移行していく。  それから、障害者技能競技大会、いわゆるアビリンピックの運営につきましても、同 大会が今年静岡で行う国際大会をもって一つの区切りを迎えますことを踏まえまして、 今後は競技種目の重点化を図るとともに、新種競技につきましてはデモンストレーショ ン開催といったような開催方法を工夫する形で、事業の見直しを行っていくことを考え ております。  7ページをお開きいただけますでしょうか。最後になりますが、見直しの3番目の柱 でございます。「委託業務等の効率化について」でございます。機構の業務につきまして は、高齢者・障害者の雇用の推進に関する助成金業務や納付金制度に関する業務を、都 道府県ごとにございます地方協会に委託して実施してきております。これまでは高齢と 障害それぞれの関係で、2つの協会に委託して業務を行っておりましたが、独法になり ましたことを一つの契機といたしまして、両協会の統合を進めまして、これまでに1県 を除き全ての都道府県で協会の統合が実施できたところでございます。今後はこの地方 協会の統合の効果を発揮させるべく、一層の業務の効率化を進めて、委託費の大幅な削 減が達成されるような取組を行っていくということを、見直しの中でうたっております。  また、随意契約につきましては、地方協会に委託しております業務、先ほど申しまし た助成金の支給や納付金の徴収、こういう業務につきましては、その業務の性格という こともございまして、随意契約とせざるを得ない部分もあろうかと思いますが、それ以 外の部分につきましては、随意契約についてこれを改めていくべく積極的な見直しを行 っていく、そのような見直しを考えております。  以上でございます。 ○井原委員長  それでは、次に私から、労働部会での審議における意見等について報告させていただ きます。見直し当初案につきましては了承されました。それで、当部会では議論におい て次のような意見が出されております。1つ目は、「70歳まで働ける企業」という表現 がひとり歩きしないように注意してほしいということです。2つ目は、労災病院に限ら ず、他の組織との連携を更に進めてほしい。3つ目が、高年齢者雇用アドバイザーにつ きまして、広い専門性が求められるため、社会保険労務士に限らず幅広い人材を活用し てほしいということでございます。以上でございます。  ただいま説明がありました高齢・障害者雇用支援機構の見直し当初案につきまして、 ご意見、ご質問等があればお願いしたいと思います。はい、どうぞ。 ○真野委員  先ほど重点の話でも出ましたけれども、医療機関等との連携という話ですが、ちょっ とよく分からなかったのですが、労災病院のメンタルヘルス分野との連携というのは、 今逆にメンタルヘルスというか精神疾患の方の社会復帰も問題になっているかと思うの ですが、そういう分野に広げるという意味なのか。そうでなくて、当初の話であるもと もとやられていたところに対してのサポートを依頼しているという、どちらなのでしょ うか。 ○高齢・障害者雇用支援機構職業リハビリテーション部長  精神障害者に対する職業リハビリテーションの部分につきましては、当機構では、平 成17年10月から総合雇用対策として、いろいろなステージの部分への対応を行ってお ります。具体的に申し上げますと、現在休職中の方を職場復帰させる、あと休職には至 っていないけれども雇用を継続させる、失業中の方を就職させる、という大きく3つの 柱で事業をスタートさせてございます。その中で、この医療機関、特に労災病院等との 連携という部分については、休職されている方が一番大きくなってくるかと思いますが、 そういった方が復職できるような仕組みを制度的にもつくり上げて、うまく復職ができ るような支援を展開していこうという考え方でございます。 ○真野委員  わかりました。ちょっと私の読み方が悪かったのかもしれませんが、そのあたりが今 社会問題でもありますので、はっきり分かるような形にされるとよりいいかと思います。 よろしくお願いします。 ○井原委員長  そのほかにございますか。はい、どうぞ。 ○佐野委員  質問ですが、高年齢者雇用アドバイザーは外部専門家という注が1ページにございま すが、障害者雇用アドバイザーは機構外の専門家なのでしょうか。それとも機構内の方 なのでしょうか。 ○高齢・障害者雇用支援機構企画啓発部長  障害者雇用アドバイザーについては、いわゆる職業リハビリテーション関係、あるい は障害者雇用、企業に入って今いろいろな人事管理とか、あるいは職域開発とか、そう いったものに詳しい方となりますので、社会保険労務士など外に人材を求めるのは、な かなか難しいと思います。そこで、先ほどちょっとお話がございましたが、都道府県ご とに地方協会というのがございまして、民間で特例子会社とかあるいは障害者雇用に精 通したような方をお招きして、そこに配置をいたしまして、機構の方では更にそういっ た方々に対する様々専門的な研修の実施をいたしまして、各企業に対する障害者雇用に 対する支援、例えば就労支援機器を使ったり、あるいは助成金を活用したり、そういっ た様々なアドバイスをしていただいているということでございます。 ○井原委員長  それでは、当委員会といたしましては、見直し当初案について了承したいと思います が、よろしゅうございますか。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  それでは、そうしたいと思います。どうもありがとうございました。  それでは、ここで事務局の入れ替えがありますので、5分程度の休憩といたします。 開始時刻は10時57分にしたいと思います。 (休憩) ○井原委員長  それでは、次に労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案の審議に移りま す。この見直し当初案は整理合理化案を兼ねます。また、組織・業務全般の見直しが1 年前倒しして実施されることから、今年度は暫定評価は実施いたしません。法人の見直 し当初案の内容につきましては、厚生労働省の担当課から説明をいただきまして、その 後、労働部会の部会長である私の方から、8月21日の第42回労働部会での審議におけ る意見等を報告させていただいた上で、各委員のご意見をいただきたいと思います。  では、まず労働者健康福祉機構の見直し当初案につきまして、担当課より説明をお願 いいたします。説明は15分程度でお願いいたします。 ○労働基準局労災補償部労災管理課長  労災管理課長の前田です。よろしくお願いいたします。  資料3で、「独立行政法人労働者健康福祉機構の組織・業務全般の見直し当初案につい て」という資料です。まず、見直しに当たっての基本的な考え方を若干お話しさせてい ただきます。労働者健康福祉機構は労災の疾病に関する予防、治療、リハビリテーショ ン、職場復帰に至る一貫した高度・専門的医療を提供するとともに、職場における健康 確保のための活動の支援という、勤労者医療の分野での中核的な役割を担ってきたとい うことでございます。働く人々の健康を確保するという大きな政策目標の表裏一体とし て実施しているということです。最近でもアスベストの問題など大きな社会的関心を集 めたわけでございますが、そういう中で国民の安心を確保する上で、労災病院の果たし てきた役割は非常に大きいと思っております。これまで蓄積してきたデータに基づいて、 迅速、適切な対応を行うことができたということで、こういった問題についても早期に 対策を確立することができたと考えております。  更に、人口減少時代の中で、より高い生産性を上げ、全員参加で働くというような社 会の実現というために、そもそもできる限り多くの人々がまず働くことができる健康状 態を維持できるように、それから少なくとも仕事で健康を害して働けなくなることが起 きないようにということが重要だと思っております。特に、高齢化が進む中で、勤労者 医療につきましても、治療のみならず予防にも重点を置くとともに、不幸にして仕事の 関係で病気や事故に遭っても、それを抱えながら更に希望する人々が働き続けることが できるようにということが重要だと考えております。  機構が行う業務につきましても、こういった勤労者医療の中での中核的な役割を今後 とも担うということが必要だと思っておりますが、一方で独立行政法人としての事務・ 事業を効率的、低コストで実施できるようにということから、経営努力が必要だと考え ております。  まず、資料3の1ページで、法人の事業概要でございますが、大きく3つに分かれて おります。1つ目が、勤労者の健康確保のための事業ということであります。その中で (1)労災病院のネットワークを中心として、業務上の疾病または負傷の予防から治療、 リハビリ、職場復帰に至るまでの高度・専門的医療の提供。それから、勤労者の健康確 保のための活動を展開するということで、地域における勤労者医療の中核的役割を担う ということでございます。(1)の労災病院等の施設で医療の提供、リハビリテーション の実施などを行っているということです。それから(2)で、労災病院のネットワーク を活用しまして、産業医と産業保健関係者に対して、産業保健に対する情報提供や相談 を実施する産業保健推進センターの運営を行っております。  2つ目で、未払賃金立替払事業でございますが、これは企業が倒産して賃金が支払わ れなかったような労働者に対して、その一定額の立替払を行うということで、この機構 において事務を実施しているということです。  3つ目で、その他として、不幸にして労働災害で亡くなられた方々を慰霊するための 納骨堂の運営というものを行っております。  次に2ページをご覧いただきたいと思います。今回の見直しの内容につきましてでご ざいますが、まず1番の事務・事業の見直しについて、(1)〜(6)まで大きく6つに 分かれております。まず(1)の労災病院でございますが、この機構の実施する事務・ 事業の中で、労災病院の運営が中心的な主要な業務ということであります。これまでも 様々なご指摘をいただいておりますが、これは前身の労働福祉事業団の時代から50年 にわたって運営を行っているわけですが、労災病院を取り巻く状況は設立当時から変化 している、労災病院の担うべき役割も変化してきているということではあります。ただ、 多様化する職業や職場に関連する疾患についての適切な対応という観点で、なお高い意 義を有しており、その存在は不可欠だと考えております。しかしながら、見直すべきと ころは見直す必要があるということで、大きく4点の見直しをここに挙げております。  まず(1)は、現在の中期目標期間中に、労災病院については収支相償ということで、損 益均衡ということを目標にしておりますが、平成18年度で見ますと42億円の赤字とい うような状況でございます。これは従前と比べるとかなり改善されておりまして、今年 度、来年度、更に努力しまして収支相償を目指すということでありますが、次の中期目 標期間においては、この累積欠損金を減らすということで、当期利益を出していくとい うことがまず一つの目標ということであります。  (2)でありますが、労災病院の増改築のために、国からの施設整備費補助金というもの をこれまで措置しておりまして、平成18年度で約13億円、平成19年度で約95億円と いうことでありますが、国からの補助金については平成20年度までの措置ということ で、平成21年度以降の労災病院の増改築については自前収入によるということを、2 つ目の見直しということにしております。  (3)は、医療と職業リハビリテーションとの連携強化ということであります。特に、う つ病や精神障害の関係で、高齢・障害者雇用支援機構が地域障害者職業センターという ものを設置しまして、精神障害者の総合雇用支援の事業を実施しているということで、 雇用促進や職場復帰、雇用継続のための専門的な支援をそちらの方で行っているという ことでありますが、これについて医療との連携強化を図るということで、労災病院と地 域障害者職業センターの連携強化を図ろうと。例えば労災病院に精神障害の治療に来ら れた方が、職場復帰したいというような意向がある場合に、向こうの地域障害者職業セ ンターと連携を図っていくとか、あるいは向こうの方で雇用促進、職場復帰、雇用継続 の相談を行っておられる方が、更に医療面のアドバイスやセカンドオピニオンなどを求 めるというような場合に、労災病院の方でそういったものを受けるというようなことが 考えられます。具体的には更に今後詰めていきたいと考えております。これについては、 高・障機構の方の見直し案でも同様のものが打ち出されているということでございます。  (4)でございますが、現在労災病院の再編については、平成16年3月に再編計画をつ くりまして、37のものを30に再編するということになっております。今回ここに書い てありますのは更にその次の段階でありまして、現時点でまだ具体的にどういう案とい うものではないですが、これまでもさまざまご指摘をいただいておりまして、少なくと も不断の検討を続けていく必要があるということで、場合によっては更なる再編という ものもあり得るというようなことであります。ただ、現時点においては30の労災病院 というものは、それぞれ必要性が高いと考えております。今後更に必要に応じて、経営 状況や勤労者医療における役割等を勘案しながら、再編整理については検討をしていき たいと考えております。  (2)で労災リハビリテーション工学センターということで、これは昭和44年に義 肢装具専門の研究機関として設置したわけです。これまで40年近く経過しまして、か なりの実績を上げておりますが、他の機関においても同様の研究開発等が行われている ということもありまして、次期中期目標期間において廃止するということにしておりま す。  (3)で海外勤務健康管理センターでありますが、このセンターは海外赴任者やその 家族の健康管理をバックアップするということで、平成4年6月に設置されております。 海外赴任前及び帰国後の法定健康診断業務を実施するとともに、海外赴任者や企業など を対象に、健康に関する相談、あるいは予防接種、疾病予防、海外に医療衛生情報の提 供等を行っているということでありますが、健康診断については実際の海外赴任前、帰 国後の法定健康診断というのが一般健康診断プラスアルファといった内容で、ほかの病 院でも実施可能だというようなことから、健康診断業務は今回廃止することにして、情 報収集及び提供、健康相談の業務に特化するということにしております。  それから、海外巡回健康相談につきましては、これまで巡回健康相談チームを派遣し ていたわけですが、これについてもほかの機関において同様の事業を行っているという ような実態もあることから、今回は廃止すると。ただ、医療スタッフについての派遣要 請があった場合には、海外貢献の観点から調整し、必要な対応を行うということにして おります。  (4)の産業保健推進センターにつきましては、現在各都道府県に産業保健推進セン ターを設置しまして、産業医等産業保健関係者の活動を支援しているわけですが、それ ぞれに管理部門があるということで、これについては可能な限り本部に集約することに よって、人的削減を図っていきたいと考えております。  3ページでございます。助成金事業の中で、小規模事業場産業保健活動支援促進助成 金というのがございまして、産業医の選任義務のない小規模事業場の事業者が共同で産 業医を選任した場合に、一定の助成を行うということでありますが、これについて総務 省の行政評価・監視結果において、見直しの指摘をされております。それについては行 政の方で見直しを検討した上で、それに沿って機構の方で対応するということにしてお ります。  (5)の労災リハビリテーション作業所につきましては、これは労働災害でせき髄等 障害を負った者の自立更生のために、社会復帰に必要な生活、健康、作業等の管理を行 って社会復帰を支援するという、入所型の施設でありまして、現在8カ所あるわけです が、新規の入所者が減少しているとか、あるいは在所者の長期滞留化、高齢化等が進ん でいるという中で、今年度2カ所を廃止することにしておりまして、残りにつきまして も最終的には可能な限り次期中期目標期間中に廃止したいと。ただ、現に在所している 方がいらっしゃるということで、その退所先の確保等を配慮しながらということで、可 能な限りということにしてございます。  (6)の本部につきましても、不断の見直しが必要ということで、現在本部において は総務部、経理部等7つの部があるわけですが、効率化、スリム化の観点から組織再編 を行って、部の数の削減を図りたいと考えております。  大きな2番の民営化、市場化テスト等についてでありますが、これについては医業未 収金の回収について、現在一部の労災病院において民間の債権回収会社に委託して、そ の回収を行っているということであります。これは今後、更に拡大を図っていきたいと 考えております。  3番の業務効率化についてでございますが、これはすべての法人に共通かと思います が、アウトソーシングや給与制度の見直しによる人件費抑制、あるいは競争入札実施、 業務委託等によって業務委託費の縮減を行うということで、一般管理費の節減を図ると ともに、物品調達コストの縮減や保守契約内容の見直し等による業務費の節減に努める ということです。  また、随意契約についても、これも共通の話でありますが、一般競争入札、企画競争 等の拡大によりまして、効率的な業務を実施し、透明性、公平性を確保したいと考えて おります。  以上でございます。 ○井原委員長  それでは、次に私の方から労働部会での審議における意見等を報告させていただきま す。この見直し当初案につきましては了承されました。それから、当部会の議論におい て次のような意見が出されております。まず、欠損金とそのもととなった事業の対応関 係とお金の流れが分かりやすくなる仕組みにしてほしい。特に、この機構の場合には、 労災病院という実際の事業を抱えておりますので、それと政策的なところも別にありま すので、そこのところをうまく分離してほしいというのが具体的な内容でございます。 それからもう一つは、高齢・障害者雇用支援機構との連携の更なる強化を図ってほしい というような意見が出ております。  以上のような労働者健康福祉機構の見直し当初案につきましてのご意見、ご質問があ れば、またお願いしたいと思います。はい、どうぞ。 ○真野委員  2点お願いします。一つは、3ページの未収金の話です。最近新聞等々でもいろいろ 話題になるのですが、ある公立病院でお話を聞いたときに、委託をすると手数料やコス トがかかってしまってなかなか委託が難しいんだ、というようなお話が出たのですが、 そのあたりどのような対応なのか。場合によっては実績などをお教えください。  もう一つは、最後の方に人数が、例えば職員数等で出ていますよね。これというのは、 多分病院であれば病院全体の職員数だと思うのですが、一方では8ページに医療の質の 向上のために7対1とかそういうことを受けてでしょうか、人員を増加しているという ようなお話もありますが、人員に関して、例えば看護師さんの確保はどんな状況である とか、そのあたりをお教えいただけますか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  まず1点目の未収金の関係でございます。厚生労働省の方で未収金の関係について、 もう2回ほど会議が開かれて、未収金全体についてどうあるべきかというような議論を されておりますが、今私の方で持っているデータは平成19年8月現在の未収金の関係 でございます。それまでの間に行われたものですが、委託件数として1,700件ぐらいで、 1億8,000万円ほどあります。その中で実際に回収した金額は390件の、回収額が600 万円ぐらい、回収率が3.4%という数字です。なぜそんなに低いかといいますと、取立 不能、処分された債権ということから、債権者が死亡したとか住所が不明であるとか、 そもそもが診療行為終了後3年たっているもの、そういった債権についてのお願いをし ていることでございまして、回収率は低いですが、一つの病院の関係等について事務方 ではなかなかできませんので、そういった意味では今後とも未収金の関係については更 に拡大していきたいと、このように思っております。  以上です。 ○労働者健康福祉機構総務部長  人の関係、人件費の関係を、私の方からお答えさせていただきたいと思います。医療 の質の安全ということでございますが、やはり医療の内容について非常に複雑高度化し てきております。特に現在医師の確保、それから看護師の確保には、非常に苦労をして いる状況でございます。看護師の確保につきましては、特に7対1の入院基本料が導入 されたということで、かなり獲得競争が強まっておりまして、私どもの機構の方では平 成19年度取得が5病院ということで考えているわけですが、そういったこともありま して非常に看護師確保には苦労をしています。私どもでは看護師は8,000名ほどおりま すが、当初予定している募集人数というか、計画している人数に比べますと、やはりな かなか獲得が難しいという状況になっております。随時募集はかけている状況でござい ます。 ○真野委員  ありがとうございました。どうしてもいい方を確保するのに、またお金もかかるとい うジレンマなどもあると思いますので、今後ともよろしくお願いします。 ○井原委員長  はい、どうぞ。 ○岩渕委員  労働系の独法もかなりたくさんあって、世上言われる確かに天下り用には随分役に立 っているのだろうなとは思いますが、こちらの独法なんかだと、例えば今産業界で一番 話題になっている点といえば、30歳代のうつとか、さまざまなメンタルヘルスの分野、 こちらでも力を入れているようでありますが。一方で、労働安全衛生総合研究所という 組織もあるわけで、こういったものとの連携というのが一体どの程度なされているのか。 向こうも統合したばかりでそれどころではないということもあるのかもしれませんが、 ただこれだけみんながそれぞれに労働というふうに銘打っている以上、もう少しそうい う意味でいえば、なぜこういった組織が必要なのかというレゾンデートルをちゃんと示 す意味でも、この連携をもうちょっと強化して、実績を上げてもらいたいというのが正 直な気持ちです。  以上、何かありましたらお答えください。 ○労働者健康福祉機構総務部長  労働安全衛生総合研究所との連携は、今までの評価委員会でもご指摘をいただいてい ますので、非常に重要だと考えております。私どもの労災病院の場合は、基本的には患 者さんを診ながらそこで研究をしていくという臨床研究が中心になっておりまして、総 合研究所の方はどちらかというと基礎的な研究をやっておりまして、その中でもやはり 研究者の共同派遣ですとか、あるいはデータの交換、そういうことはやっております。 例えば石綿などの場合ですと、石綿小体の計測、精度管理に関する研究なども行ってい るわけでございますが、私ども労災病院で医師の派遣、検査技師の派遣等を研究所の方 に行っておりまして、こういった連携、更にそこは深めていきたいと考えております。 ○岩渕委員  大体こういうものは行政がちゃんとリードをしないと、現場の研究所同士で仲よくし ろとか連携をとれといっても、現実問題としては非常に無理な話でありますので、そう いう意味でいいますと、役所の中のそれぞれのセクショナリズムの方がよっぽど問題で はないかと思いますので、そのあたりのところを行政の方はきちんと対応していただき たいと思います。 ○井原委員長  そのほかに。はい、どうぞ。 ○佐野委員  先ほどの未収入金のご説明の中で、3年超のものについて外部委託で回収を図って、 その回収率が3.4%というお話がございまして、今後更に拡大を図るというふうに書い てございますが、それは3年未満のものについても外部委託で回収努力を図ろうという 意味の拡大なのでしょうか。それと、なぜ回収できないかという分析につきまして、先 ほど死亡等によりというお話もございましたが、死亡等、要するにご本人様がいらっし ゃらないときは、相続財産として次の方に回収すべく未収入金計上をしているのか。損 失処理をしないのか。その辺どういう仕組みになっているのかという2点についてお願 いしたいと思います。 ○労働者健康福祉機構経理部長  まず1点目で、後の答えでございますが、3年たった段階については当然その相続の 関係等がありますから、そちらの方にやっていくのですが、一義的には未収金といって も3カ月の関係については、医療機関の関係、健保組合等の関係から当然ずれてくるん ですけれども、そういったものについては未収金の中では取れるのですが、3カ月以上 1年未満、これは私どもでは貸倒懸念債権ということを言っております。貸倒懸念債権 としてやっているものと、それから1年超えた場合には破産更生債権、そういった区分 けをやっていまして、先ほどご説明したものはその中で特に取立不能の関係について3 年以上たっているもの、そういったものについて現実的には14病院ぐらい今やってい ますが、まずその病院についてもう少し広げていきたいというのが1点目。  それから、今先生がご指摘のものについて、取立不能の関係のみならず、もうちょっ と踏み込んだ、言うなれば貸倒懸念債権の中身を見ていきますと、生活困窮者や患者さ んのモラルの関係がございまして、ある時点のものを調べますと、患者のモラルの中で は全体の3割ぐらいあるのですが、その中でも支払い意志がない、そんな感じのものと か、生活困窮の関係についても2割ぐらいあるんですけれども、その中でも内訳的には 支払いの猶予願、こんな関係のものがあって、支払いを猶予しながらやっている、そん な問題等がございますから、個人未収金の実態についてより深めていって、その中で取 れるものは取っていきたい。その中では外部委託できるものについてもしていきたい、 このように思っております。  以上です。 ○井原委員長  よろしゅうございますか。 ○佐野委員  今のに追加しまして、年数で切って1年を超えるものについて、破産更生債権という 管理をしていらっしゃるということですが、財務諸表上もその一般未収債権とは区分し て、破産更生債権に計上していらっしゃるのかどうか。また、その場合には貸倒引当率 を高めているのかどうか。それについてお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構経理部長  貸倒引当率の関係については当然高めておりまして、昨今の中の実態等を踏まえなが ら、貸倒引当金の関係については高めておりますし、またこれについても国の方から貸 し倒れされているものについては引当金が充てられていると、こうなっております。 ○井原委員長  よろしゅうございますか。それでは、ここまでの議論を踏まえまして、当委員会とい たしましては、労働部会及び本日の総会での議論を踏まえて、引き続き厚生労働省にお いて検討を進めていただくということにいたしまして、この見直し当初案についてはこ こで了承したいと思いますが、よろしゅうございますか。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  それでは、そうさせていただきます。どうもありがとうございます。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆様しばらくお待ちください。 (事務局入れ替え) ○井原委員長  それでは、次に雇用・能力開発機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果の審議 に入りたいと思います。先ほど事務局から説明がございましたように、法人を所管する 労働部会において、最終評価結果の案を検討していただいております。これにつきまし ても、私の方から報告させていただきます。  雇用・能力開発機構については資料4−1を見ていただきたいと思いますが、それの 1ページでございます。雇用・能力開発機構の目的というのは、「良好な雇用の機会の創 出その他の雇用開発、職業能力の開発及び向上並びに勤労者の生活の安定」ということ でございまして、この目的に照らし、どの程度寄与するものであったか、効率性、有効 性等の観点から、適正に業務を実施したかなどの視点に立って、中期目標期間全般につ いて評価を行いました。結果として、おおむね適正に業務を実施してきたという評価に なっております。  一方で、今後、主に以下の点について留意する必要がある。それが1ページの下のと ころの(1)(2)(3)でございます。  (1)サービスの質の向上の指標としてアンケート調査の満足度を掲げており、中期目 標・中期計画に掲げる目標値を上回っているところであるが、否定的な回答とともに、 「どちらかといえば役に立った」等の比率が高いことについても分析を行い、満足度を 適切に業務に反映できる仕組みを検討する必要がある。  (2)第2期中期目標においても、ある特定の項目において早期に目標を達成した場合、 機構独自のより高い目標設定を行うことが望まれる。  (3)第1期中期目標期間を1年前倒ししたため達成できなかった項目(雇用促進住宅の 経費削減及び常勤職員数の削減)並びに私のしごと館の自己収入額及び経費削減は、第 2期中期目標の最優先課題として取り組んでいただきたい。  「具体的な評価内容」につきましては、2ページの2番です。そのポイントだけを申 し上げたいと思います。まず(1)の業務運営の効率化についてですが、組織体制につ きましては、本部組織及び地方組織の見直しを行っていることは評価できますが、今後 は、効率的かつ柔軟な組織・人員体制を確立する観点から、機構内における人材育成の 取組についても検討していく必要があります。  経費削減に関しましては、一般管理費及び業務経費につきましては、目標値を上回る 18.7%の削減を行ったことは評価できます。また、人事・給与制度についても必要な見 直しを行い、人件費の抑制を図っていることは評価できますが、これはより一層の取組 が求められます。  その下に個別の話が書いてありますが、それを飛ばしまして、3ページの(2)の国 民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上です。まず、(1)業績評価の実施及 び公表による業務内容の充実について。これは各業務において業績評価を行い、その結 果を業務運営に反映するとともに、その内容についてホームページ等で公開しておりま す。各業務に対する評価と改善のサイクルは、今後高いレベルで行うことを期待します。  (2)雇用開発業務で、相談業務につきましては、相談件数、評価ともに目標値を上回っ ていますが、アンケート手法等については改善の余地があることから、利用者の意見等 をより的確に把握できるようにするとともに、当該アンケート調査結果を分析して、業 務の質の向上に反映させるべきです。また、講習会・セミナー、研修等につきましては、 事業主団体や事業主のニーズ把握について工夫し、内容の見直しにつなげるサイクルの 設定が必要だということです。  4ページ、(3)職業能力開発業務についてですが、まず職業訓練の実施については、地 域の人材ニーズを把握して訓練カリキュラムの設定を行い、訓練コースの内容の見直し が実施されていることは評価できますが、人材ニーズの把握から訓練までのフィードバ ックを迅速に行うことが重要です。  在職者訓練につきましては、受講者及び受講者を派遣した事業主から高い評価を得て いますが、「どちらかといえば役に立った」との評価も多く、アンケート調査の実施に当 たっては、マイナス評価の回答も含め、受講者及び事業主の意見をより的確に把握でき るようにするとともに、当該調査結果を分析して業務の質の向上に反映できるようにす るべきです。  離職者訓練につきましては、機構施設内の訓練、民間委託の訓練とも就職率は目標値 を上回っており、これは評価できます。それから、学卒者訓練の就職率も目標値を上回 っており、また工業高校等との連携についても促進していることは評価できますが、今 後は、これについても目標を設定し取り組んでいくべきです。  新分野等への事業展開の支援については、新分野への進出のための人材育成は、十分 な情報収集能力が必要であり、組織内部に十分な知見とコーディネート能力を持った人 材の育成・蓄積が期待されます。  若年者対策については、対応が難しい面もありますが、今後も効率的かつ地道な取組 を期待します。特に私のしごと館については、サービス利用者の延べ数や満足度が目標 値を上回り、若年者のキャリア支援を総合的に支援する施設としての役割を果たしてい るものと考えられます。今後は、一層効率的な施設運営を目指すとともに、(1)仕事に対 する気づきや意識づけを一層促進し、新たな分野を含め職業への魅力を高めること、(2) 現実の労働市場の中において実際の就職につなげるための意識づけや情報提供を強化す ること、(3)職業体験を一過性の体験に終わらせず、今後の就職に結びつけていくキャリ ア支援を行っていくことにより、職業意識の形成から適職の選択、キャリア形成に至る までの体系的な事業の充実を図ることを期待します。  (4)は5ページの一番下から次の6ページわたっていますが、勤労者財産形成促進業務 につきましては、中期目標・中期計画に沿って取組を実施しており、評価できます。ま た、助成金業務については手続の簡略化や職員研修等の実施により、助成金申請者の負 担軽減、審査能力の向上等も図っております。  (5)その他です。業務内容については、ホームページにおいて、分かりやすい表現で迅 速かつ充実した内容にするとともに、アクセス件数についても目標値を上回っておりま すが、今後は、ホームページの中で利用されている情報の内容や、それぞれへのアクセ ス件数についても更に分析する必要があります。  (3)財務内容の改善についてですが、雇用促進住宅については、家賃の改定や計画 修繕の適切な実施とともに、人件費及び事務費の管理経費等を削減するなど、合理的な 経営に努めておりますが、中期目標期間を1年前倒ししたため、目標値の「おおむね3 割程度」の削減は達成しておりません。第1期中期目標期間内に達成できなかった削減 分につきましては、第2期中期目標期間において、早急かつ適正に措置されることを強 く望みます。また、運営費交付金収益の計上基準につきましては、期間進行基準や成果 進行基準の採用も検討すべきです。  常勤職員数については、期初と比べて450名の削減を行っておりますが、中期目標期 間を1年前倒ししたため、中期計画に掲げる目標値の600名の削減は達成していないと ころです。第1期中期目標期間内に達成できなかった人員削減分については、第2期中 期目標期間において、早急かつ適正に措置されることを強く望みます。人件費につきま しては、ラスパイレス指数の改善を図るべきです。また、職員のモラルの維持向上に努 めるべきです。  というのがこの雇用・能力開発機構に関する最終評価結果でございます。また何かご 意見、ご質問があればお願いしたいと思います。  よろしゅうございますでしょうか。それでは、修正意見がないようですので、中期目 標期間の業務実績の最終評価結果として、法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評 価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。  以上につきまして、そのような取り扱いでよろしゅうございますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  どうもありがとうございました。  それでは、次の議題に移ります。冒頭に事務局から説明がございましたように、法人 の整理合理化案につきまして、厚生労働省において検討し、取りまとめているところで ありまして、これについては総会への報告事項という取り扱いになっております。整理 合理化案の内容につきまして厚生労働省の担当課から説明をしていただいた後、質疑に 入りたいと思います。  では、まず雇用・能力開発機構の整理合理化案につきまして、説明をお願いいたしま す。5分程度でお願いいたします。 ○職業能力開発局総務課長補佐  それでは、資料4−2に基づきまして、能開機構の整理合理化案をご説明いたします。  まず1番の法人の事業概要ですが、公共職業訓練の実施をする、いわゆる能力開発業 務、それから企業の雇用管理改善に関する相談・講習・研修、助成金の支給を行う雇用 開発業務、それから勤労者の計画的な財産形成促進のための財形業務という3つの業務 に分類しております。  これに基づきまして、2番の方で整理しておりますが、まず職業能力開発業務につい ては、機構で行う訓練については、主にものづくり分野であって民間にできないものに 限定するという重点化を行ってまいりたいと思います。(2)のしごと館でございますが、 平成19年度からの3年間を改革期間とする改善目標、いわゆるアクションプランを策 定しております。この中ではサービス利用者の増ですとか、経費の縮減、自己収入の増 といった目標を掲げて、細かに計画をつくっておりますが、これを着実に実施して改善 を図っていきたいと考えております。  (2)の雇用開発業務ですが、大きく相談業務と助成金業務に分けております。相談 業務の中で中小企業事業主等に対する相談・援助業務については、雇用保険の業務の見 直しの中でも、より雇用に直接的に結びつく内容に特化していこうというような考え方 もございまして、中小企業の人材確保や職場定着に資する内容に重点化し、適切な目標 管理のもと、労働者の雇用の安定にとって、効率性の高い事業とするということにして おります。  それから、まだまだその改善が遅れております建設業の雇用管理は特掲しております が、これらの相談・援助業務については、更に多くの建設事業主に利用されるよう、具 体的な相談事例の公表など広報内容を充実するとともに、職員の資質の向上を図ってい くということにしております。  (2)の助成金支給業務については、雇用管理の状況やニーズを踏まえつつ、業務の種類、 実施要件について絶えず見直しを行いまして、弾力的、機動的に実施していくというこ とにしております。  (3)の財形業務ですが、業務説明会や相談業務等を通じ、事業主等から得られる意 見等を分析して、業務の質の向上に反映させる。それから、業務の実施に当たりまして は、外部委託や競争入札の導入等により、一層の効率化に努めるということにしており ます。  2番の民営化、市場化テスト等についてですが、まず(1)の「アビリティガーデン」、こ れは都内の錦糸町にございますホワイトカラーの訓練施設でございますが、これについ ては在職者訓練のうち6コースにつきまして、既に入札を終了しておりまして、この4 月から落札者による訓練事業を実施しておりますので、これを着実に行っていきたいと 考えております。  (2)の「職業能力開発促進センター」、ポリテクセンターと呼んでおりますが、ここでは 離職者に対する訓練、あるいは在職者に対する訓練を行っておりますが、在職者の訓練 のうち情報・通信系、居住系、管理・事務系といった訓練については、民間による訓練 の提供も増えてきておりますので、これらについては基本的には廃止していくというこ とで、現在作業を進めております。  (3)「私のしごと館」、これは京都にございますが、様々な展示、それから職業の体験と いうようなことを行っております。この体験事業について、この4月から3年間の期間 で市場化テストを実施しておりますので、これを着実に行っていきたいと思っておりま す。  次のページの3番、業務効率化について、まず経費の面ですが、第2期中期目標にお いては、平成18年度、第1期の最終年度になりますが、これと比べて17.8%以上の経 費の削減を行いたいと。前期、第1期におきましては15%の目標ということでやってま いりましたが、これを達成しておりますので、更に高い目標を掲げて改めて取り組んで いくということにしております。  それから、職員数についても、第2期中期目標期間の終了までに、平成23年度です が、600名を削減するということで、現在約4,000名の職員がおりますので、15%程度 の削減を行うということにしております。  最後に随意契約の見直しということで、この随意契約の範囲及び公表の範囲について は国の基準に合わせているということでございますが、国における見直しの取組を踏ま え、関連法人、あるいは特定の団体との契約のあり方の見直しなど不断の見直しを行う と。一般競争入札の導入・範囲拡大や契約の見直し等を通じた業務運営の一層の効率化 を図ってまいりたい。随意契約全体について見直し、効率化を図ってまいりたいと思っ ております。  以上でございます。 ○井原委員長  はい。ただいま説明がございました、雇用・能力開発機構の整理合理化案につきまし て、何かご質問があればお願いしたいと思います。これは報告事項の取り扱いになって おります。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、次に進めさせていただきます。ここで事務局の入れ替えを行いますので、 皆様しばらくお待ちください。 (事務局入れ替え) ○井原委員長  それでは、次に労働政策研究・研修機構の中期目標期間の業務実績の最終評価結果の 審議に入ります。先ほど事務局から説明がありましたとおり、法人を所管する労働部会 において、最終評価結果の案を検討してきたところでございます。これにつきまして、 まず労働部会の部会長である私より報告させていただきます。  資料5−1をご覧いただきたいと思います。それの1ページをお開きいただきたいと 思います。この労働政策研究・研修機構の目的は、「我が国の労働政策の立案及びその効 果的かつ効率的な推進に寄与する」というところにありまして、この目的に照らし、ど の程度寄与するものであったか、効率性、有効性等の観点から、適正に業務を実施した かなどの視点に立って評価を行ってきたところでございます。この中期目標期間全般に ついては、おおむね適正に業務を実施してきたと評価しております。  一方で、今後、主に次の点に留意する必要がございます。これは1ページの下の方に あります。  (1)既に業務実績が高い水準に達していることから、職員のモチベーションを維持しつ つ、質に重点を移していくという視点に立った取組が求められること。  (2)独立行政法人である当機構が行うことにより、効率的・効果的かつ適切に実施でき る調査研究を確実に実施する観点にも留意しつつ、より一層労働政策の企画立案等に資 する質の高い調査研究を実施するため、厚生労働省との連携を強化すること。  (3)研究者等の招へい・派遣等について、引き続き、当機構の目的に沿ったものを厳選 し、より一層効果的に実施することが重要であること。  「具体的な評価内容」につきましては、2ページの2でございます。まず(1)業務 運営の効率化についてですが、業務運営の効率化に関しては、これもいろいろ行ってま いりまして、毎年度経費を節減してまいりました。一方、一般管理費等については、平 成18年度において平成14年度予算と比較して25%に相当する額を節減することを目 標としていまして、これは平成18年度に実施しましたアスベスト対策工事という特殊 要因がありましたが、これを除きますと予算では26.1%、決算では30.1%の節減となり ました。それから、業務経費につきましては、毎年度1.3%の節減を図ることが目標と されておりましたが、これを大きく上回る節減を行っております。こういうことで一応 評価はできるのですが、今後は職員のモチベーションの維持・向上を図りつつ、質の高 い成果提供を可能にしていくという視点に立った取組に配慮すべきだということです。  次に(2)の国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上ですが、ここの ところは研究というのはまずテーマの設定があって、それをうまく実施していくことが ありますが、これは中期目標・中期計画に沿った取組を行っているということで評価で きます。それから、これを当機構において効率的・効果的かつ適切に実施する調査研究 ということをやらなければいけませんが、ここに重点を置くこと。それに留意しながら、 より一層厚生労働省の労働政策の企画立案に資する質の高い調査研究を実施するために、 厚生労働省との連携を強化するべきであるということ。  それから、調査研究の実施体制ですが、これはいろいろ工夫しておりまして、ここも 成功しているだろうという評価でございます。  それから、調査研究の成果ですが、これは内部評価と外部評価を実施しておりますが、 これは4年連続して年度計画を上回るということで、ここのところも一応評価できます。  それから、優秀な研究者を同時に確保しなければいけませんが、欠員が出たときには 任期付研究員を雇うわけですが、執筆した多くの調査研究成果が外部評価で優秀と評価 されたこと、目標管理による研究員の業績評価を導入して適切に運用していることから、 ここのところもうまく取り組んできたというように認められるわけです。  調査研究の評価については、外部評価において政策への貢献度といった視点別評価を 行うとともに、プロジェクト研究に対する厚生労働省の評価アンケートや要請研究の要 請元による評価を実施するなど、より効果的な評価を行うための取組がなされているの ですが、今後は、労働政策の企画立案等に資する質の高い調査研究を実施する観点から、 厚生労働省との連携を一層強化することを期待するということです。  (2)が労働事情・労働政策に関する情報の収集、整理です。これは企業、勤労者を対象 とする大規模調査、企業、労働組合等のモニターを対象とする調査など、労働現場にお ける最新の事情・動向を収集・整理し、政策研究の基盤を整備するための調査を各年度、 当該年度計画を上回る回数実施しました。また、調査結果は、記者発表やホームページ、 「ビジネス・レーバー・トレンド」等を通じて広く提供した結果、新聞・雑誌等の引用 件数は、中期計画の目標を4年連続して大きく上回っている点は評価できるということ です。  (3)研究者・有識者の海外からの招へい、海外派遣についてですが、当機構で行うプロ ジェクト研究との連携を重視した招へいとなるよう運用を改善した点は評価できます。 今後も、研究者等の招へい・派遣については、当機構の目的に沿ったものを厳選して、 より一層効果的に実施することが重要であるということです。  (4)調査研究結果等の成果の普及・政策提言についてですが、これは取りまとめ後速や かに、サマリーとともに報告書全文をホームページに掲載すること等により適切な形で 提供が行われており、これも利用者からのアンケート調査で評価されています。  労働政策フォーラムなど政策論議の場の提供については、ニートを初めとする若年者、 女性、高齢者の問題など時宜にかなったテーマ設定により行われていることに加え、参 加者の満足度も高く、質についても高いものであると評価できます。  調査研究成果等の研修への活用等については、研究員を労働大学校へ講師として派遣 するほか、講演依頼、政府の審議会等への対応など、外部の要請に積極的に貢献してい るといえるが、そのときに本来の研究業務に支障が出ることのないよう配慮する必要が あるということです。  (5)労働関係事務担当職員その他の関係者に対する研修等、これも工夫しながらやって おりますが、今後とも、調査研究事業との連携の取組により、双方の事業を活性化させ ていくことが望まれるということです。  最後に(3)財務内容の改善等についてですが、予算、収支計画、資金計画等につい ては、中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されており、また、施設・整備に関す る計画についても、中期目標・中期計画に基づいて適正に実施されております。  以上でございます。  この点につきましても、また何かご質問、ご意見がありましたらお願いしたいと思い ます。よろしゅうございますでしょうか。  それでは、修正意見がないようですので、中期目標期間の業務実績の最終評価結果と して、法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、こ れを公表したいと思います。 ○各委員  (了承) ○井原委員長  では、以上のように取り扱いさせていただきます。どうもありがとうございました。  それでは、最後の議題でございますが、労働政策研究・研修機構の整理合理化案につ きまして、担当課から報告をお願いします。説明時間は5分程度としていただき、その 後、質疑に入りたいと思います。では、よろしくお願いいたします。 ○労政担当参事官  労政担当の参事官の井上と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。座って説 明させていただきます。  お手元の資料5−2をご覧いただきたいと存じます。この労働政策研究・研修機構に つきましては、昨年度、平成18年度が第1期中期目標期間の最終年度であったことか ら、昨年度に中期目標期間終了時の見直しを実施したところでございます。本委員会の 総会との関係で申し上げますと、昨年12月7日の総会でご了承いただきました見直し 案に沿いまして、第2期の中期目標及び中期計画を策定し、本年4月より第2期の中期 目標期間をスタートしたところでございます。  お手元の資料の1ページのIのところをご覧いただきたいと思います。こうした経緯 から、今般の整理合理化案につきましては、昨年度の見直しによる整理合理化等を着実 に実施することを内容として進めていきたいと考えております。今般の整理合理化計画 の策定にかかわる基本方針上、労働政策研究事業などにつきましては、Iのところにご ざいますように、1つには労働政策研究事業が「研究開発型」に分類されてございます。 それから2つには、労働行政担当職員研修事業が「資産債務型(事業用)」及び「特定事 業執行型」に該当するものとして分類されてございます。  続きまして、IIの整理合理化案の概要についてご説明申し上げます。事務・事業の見 直し内容についてでございますが、(1)労働政策研究事業の関係でございます。(1)にご ざいますように、プロジェクト研究の重点化、あるいは機構がテーマ設定して実施する 研究の廃止など、研究事業の重点化を図ってまいります。(2)でございますが、研究者等 の海外からの招へいなどを第1期から半減してまいります。(3)でございますが、国際シ ンポジウム等の廃止などによりまして、成果普及・政策提言などの重点化を図ってまい ります。  (2)労働行政担当職員研修事業の関係でございますが、研究成果の研修への反映、 研修を通じて把握した現場の問題意識の研究への反映による双方の活性化を図ってまい ります。  1ページ飛んで恐縮でございますが、3ページの業務効率化をご覧いただきたいと存 じます。(1)でございますが、今申し上げましたような事務・事業の見直しによりまし て、研究費の縮減等を図りますとともに、省資源、省エネルギーや一般競争入札の積極 的な取組を継続することによりまして、一般管理費、業務費、人件費、それぞれについ て大幅な削減を考えているところでございます。対平成18年度比で平成23年度には一 般管理費15%以上、業務費20%以上、人件費14%、人員にして19人ということで考 えてございます。  そして2ページのところに戻らせていただきたいと存じます。ここでは事務事業の民 営化、市場化テスト、他法人への移管・一体的実施との関係について整理してございま す。それぞれ黒ポツのところで3つにまとめてございますが、まず1つ目は、民営化し た場合には事業の性格上収益を期待できないこと、大臣からの中期目標の指示などがな くなることから、国民生活等に密接にかかわる労働政策の適切な企画立案等ができなく なるということがございます。  2つ目には、「整理合理化計画の策定に係る基本方針」におきましては、「施設の管理・ 運営」「研修」「広報・普及啓発」等が原則として市場化テストの対象とするものとされ ておりますが、成果の普及は労働政策研究と一体的なものであること。それから、労働 大学校の警備等につきましては、既に個別に民間に委託していること。それから、研修 につきましては、司法警察権も有する監督官の地方組織も含む行政職員に対する専門知 識等を、全国斉一的に実施する必要があるといった問題がございます。  3つ目には、労働政策研究・研修機構と類似の役割を果たし得る研究機関などは見当 たらず、また既に政策研究と職員研修を一体的に実施しているという状況にございます。 こうしたことから、事務事業の民営化、市場化テスト、他法人への移管・一体的実施に ついては、いずれも実施しないということで考えているところでございます。  以上でございます。 ○井原委員長  はい。それでは、以上の説明に関しまして、何かご意見、ご質問がおありでございま すでしょうか。はい、どうぞ。 ○篠原委員  当法人に対する質問というよりは、今日あった5つに対する共通の問題ですから、評 価官室に対する質問かなという気がするのですが、参考資料3の「○基本方針の概要」、 (3)自主性・自律性の確保の中の(3)で内部統制の強化ということで、これについては いわゆる一般的には財務データの信頼性の担保ということですが、社保庁等の報道を見 ると、やはり様々な情報の信頼性の担保というのが欠けているということと、やはりそ ういう情報が経営陣に、上に行っていないのではないかということが考えられますので、 そういう認識からすると、やはり内部統制の強化というのがそれぞれの法人について一 つの重要なテーマかなという気がするのですが、どこも整理合理化案で扱っていないん ですけれども、その辺はどのように考えているのか。 ○政策評価官室長補佐  内部統制についてというご質問だと思うのですが、これは今参考資料3にあるとおっ しゃっていたと思いますが。 ○篠原委員  参考資料3の1ページ目の「○基本方針の概要」の「総論(横断的視点)」の中の(3)。 だから、今日いただいた真ん中辺の資料になる。 ○政策評価官室長補佐  参考資料3の1ページ目の「○基本方針の概要」の「1.総論」の(3)の(3)という ことで、こちらに内部統制の強化ということも書いてございます。この点につきまして は、評価官室としても重要な事項だとは考えておりますし、またこの「整理合理化計画 の策定に係る基本方針」においても、こういった観点を踏まえて見直しといいますか、 整理合理化案の策定をするようにとなっておりますので、各法人についてこれについて しっかりと確認した上で見直した案になっているのではないかと、考えてございます。 ○井原委員長  よろしゅうございますでしょうか。はい、どうぞ。 ○岩渕委員  幾つかこの整理合理化案というのを拝見して、それぞれに整合性のとれた整理合理化 案を立案なさっているとは思います。ただ、国民サイド、あるいはもう少し行政改革の 視点から見ますと、かなりスピードが遅いのではないかという印象を受けます。例えば 能開機構ですが、これは4.000人もまだいるのかという感じがどうしてもぬぐい切れな い。もちろんそれは必要な人員であることは間違いないのでしょうが、行政改革の流れ の中でいうと、いや、この程度でそれこそ政・独委をクリアできるのかと、非常に心配 になってまいりますし、これは役所の方で行政できちんとしたあれを立てているという ふうにおっしゃるのでしたら、それはおやりになってみればいいのですが、少なくとも 私自身国民の視点から、あるいは行革の視点から見たら、まだこの改革案というのは非 常に不十分であると言わざるを得ないというふうに申し上げておきたいと思います。 ○井原委員長  はい。そういうご意見がありましたということで、どうぞ、受けとめておいていただ きたいと思います。あと何かございますか。  それでは、これは報告事項の扱いですね。 ○政策評価官室長補佐  はい。整理合理化案については報告事項となっております。 ○井原委員長  はい。では、予定していた議題は以上でございますので、最後に何かご意見、ご質問 が全体としてあれば。今のも全体としてですが、よろしゅうございますか。  それでは、最後に事務局より、明日の総会について説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、明日の第20回独立行政法人評価委員会総会の日程等についてご説明いた します。会場は、本日と同じこの会場、厚生労働省庁舎17階の専用21会議室となって おります。時間は15時から18時までとなっております。議題につきましては、1つ目 が中期目標期間における業務実績の暫定評価の審議、2つ目として組織・業務全般の見 直し当初案の審議、3つ目として整理合理化案についての報告となっております。対象 法人は、本日審議を行いました5法人を除きます9法人となっております。具体的には、 のぞみの園、国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、福祉医療機構、健康・栄養研究 所、労働安全衛生総合研究所、医薬基盤研究所、施設整理機構、年金積立金管理運用法 人となっております。  まだ暑い日が続いておりますが、明日も引き続きご審議いただくことになりますので、 どうぞよろしくお願いいたします。 ○井原委員長  それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたり、どうも ありがとうございました。 <了> 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)