07/08/24 独立行政法人評価委員会国立病院部会第22回議事録掲載 独立行政法人評価委員会 国立病院部会(第22回)議事録 平成19年8月24日(金) 厚生労働省 共用第8会議室 ○猿田部会長  定刻になりましたので、ただいまから独立行政法人評価委員会第22回国立病院部会を 始めさせていただきます。委員の先生方、それから皆様方、大変お忙しいところ、また、 非常にまだ暑い中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。  本日の出席状況ですけれど、夏目委員と山田委員が御欠席ということと、それから部 会長代理の永井先生がちょっと遅れて出席してくださるということでございますが、時 間の都合もありますので始めさせていただきたいと思います。  まず最初に、事務局から御説明をよろしくお願い申し上げます。 ○政策評価官室長補佐  それでは、本日の議事について御説明申し上げたいと思います。本日は、国立病院機 構の組織・業務全般の見直し当初案について御審議を進めていただきたいと思っており ます。組織・業務全般の見直し当初案についてでございますが、御審議をいただく根拠 等について御説明をいたします。お手元の「独立行政法人評価関係資料集」の10ページ、 11ページをご覧いただきたいと思います。  10ページでございますが、表紙に「独立行政法人の組織・業務全般の見直し概要」と 書いたものでございます。一番上の四角の中でございますが、独立行政法人通則法35 条を記載しております。読み上げさせていただきます。  第35条「主務大臣は、独立行政法人の中期目標の期間の終了時において、当該独立行 政法人の業務を継続させる必要性、組織のあり方、その他その組織及び業務の全般にわ たる検討を行い、その結果に基づき所要の措置を講ずるものとする」。また、この第2項 において「主務大臣は、前項の規定による検討を行うに当たっては、評価委員会の意見 を聞かなければならない」とされているところでございます。そして、本日、ここで評 価をいただくということでございます。  また、独立行政法人につきましては、今般、整理合理化計画案というものを策定する とされているところでございますが、先般の部会においてお話し申し上げておりますが、 経済財政改革の基本方針2007、いわゆる骨太の方針でございますが、こちらにおいて独 立行政法人の整理合理化案を策定すること、と示されております。主務大臣は、所管す るすべての独立行政法人について8月末をめどに整理合理化案を策定すること、とされ たところでございます。また、この主務大臣が策定した整理合理化案については、総理 を本部長とした全閣僚をメンバーといたします行政改革推進本部に対して意見を述べる 行政減量・効率化有識者会議が中心となりまして、総務省の政策評価・独立行政法人評 価委員会、いわゆる政・独委というところでございますが、こちらとの連携を図りまし て議論を行うこととされております。その上で、平成19年内、本年内をめどに政府とし ての独立行政法人整理合理化計画を策定すること、とされているところでございます。  各独立行政法人の整理合理化計画案と本評価委員会の関係についてでございますが、 整理合理化案の策定方針が示された後に関係を御説明することとなっておりました。こ れにつきましては、去る8月10日に「独立行政法人整理合理化計画」の策定に係る基本 方針というものが閣議決定されております。これについては後ほど詳しく御説明します が、本日配付しております参考資料1がこれに該当するものでございます。  組織・業務全般の見直しの対象法人とそうでない法人の二つに分けて、以下のとおり に今後進めたいと考えているところでございます。  まず、当省所管の独立行政法人のうち、共管法人として、水資源機構と農業者年金基 金がございますが、この法人を除きまして1年前倒しで見直しとなったものも含め、組 織・業務全般の見直しを実施する法人、当国立病院機構を含めました6法人につきまし ては、見直し当初案が整理合理化案を兼ねることとされております。したがいまして、 部会での見直し当初案の審議を経まして、来週開催いたします総会において見直し当初 案の意見をいただくことになると考えております。  また、見直し対象法人以外の当省所管8法人については、独立行政法人通則法では整 理合理化案につき評価委員会の意見をいただくこととはされていないということもござ いまして、来週の28日、また29日の総会において整理合理化案を報告させていただき たいと考えております。  なお、整理合理化案については、本評価委員会から毎年度いただいております総合評 価の結果等も踏まえて策定しているということでございます。  また、当国立病院機構でございますが、先ほど申し上げましたいわゆる骨太の方針に おきまして、本来であれば20年度終了後に組織・業務の見直しを考えるということでご ざいましたが、1年前倒しで組織・業務全般の見直しもせよということが言われている ために、今般、見直しを行うということで、本日、御審議を賜りたいということでござ います。  それでは、独立行政法人の整理合理化計画の策定に係る基本方針、資料の参考1につ いて御説明をしたいと思います。  まず1ページ、「要旨」でございます。考え方でございますが、二つ目の○「基本方針 の概要」とございます。大きく二つございまして、全法人に共通する部分の総論である 横断的な視点として三つございます。事務・事業及び組織の見直し、それから運営の徹 底した効率化、三つ目が自主性・自立性の確保という点でございます。  また、二つ目で各論として事務・事業及び法人の類型別の視点ということで、六つの 類型に分類されております。当国立病院機構については、最終の12、13ページをご覧い ただきたいと思います。13ページの上から三つ目のくくりでございますが、資産債務型、 23法人ある中の一つとして国立病院機構が書かれております。また、下から二つ目のく くりの特定事業執行型、48法人あるうちの1法人として国立病院機構が分類されており ます。  この考え方でございますが、12ページの3番目に資産債務型とございまして、事業用 として特定の政策目標を達成するため、土地・建物などの資産を保有するものという分 類、それから5番目、(3)特定事業執行型として、医療・福祉・検査・審査などの業務 を行っているものという分類で示されているところでございます。  具体的な内容でございますが、1ページの横断的な視点でございます。事務・事業及 び組織の見直しでは、具体的に事務・事業のゼロベースでの見直し、二つ目で民営化の 検討、官民競争入札などの適用や他の法人への移管、三つ目で非公務員化、最後に、こ れらに対応した組織面の見直し、とされております。  二つ目の視点では、運営の徹底した効率化のところで、具体的には経費削減の徹底、 二つ目で関連法人などとの間の資金の流れに関する情報公開による透明性の確保、三つ 目で随意契約の見直しによる経費削減、四つ目で保有資産の見直し、とされております。  三つ目の視点は、自主性・自立性の確保の欄でございます。具体的には、中期目標明 確化のための具体的指標の設定、二つ目で国民の意見を運営や評価に反映、三つ目で内 部統制の強化、四つ目で国以外からの財源の確保、とされております。  今度は各論の事務・事業及び法人の類型別の視点でございますが、これについては10 ページをごらんいただきたいと思います。当国立病院機構については資産債務型、特定 事業執行型という二つの分類にされておりますが、こちらも読み上げる形で御説明いた します。  まず10ページの3の資産債務型は、大きく事業用資産とその他の資産とに分けられて おります。  事業用資産におきましては、一つ目は、実物資産については事務・事業の見直しに応 じて不要となった土地・建物などの資産の売却、国庫返納等を行うこと。  二つ目で、継続する事業に資産が必要な場合にも民間からの貸借などの活用により、 原則として売却する。また、自らの保有が必要不可欠な場合にも、その一層の有効活用 を図ることとし、独立行政法人間または独立行政法人と国との共同保有、共同利用の可 能性についても検討する。  三つ目は、金融資産については事務・事業の見直しに応じて不要となった金融資産の 売却やそれに伴う積立金の国庫返納を行うとともに、既存貸付金の売却、証券化の検討・ 促進や、不良化している貸付の早期処分等により、金融債権については圧縮の方向で見 直しを行う。また、金融資産の運用については、運用の効率性の向上に向けて運用体制 の確立と運用方針の明確化を図る。  その他の資産については、保有することについて特段の合理的な理由のない資産につ いては原則として民間に売却する、ということが言われております。  11ページでございますが、5番目の特定事業執行型でございます。大きく五つござい ます。  一つ目は、官民競争入札等の積極的な適用を図る。  二つ目は、個々の利用者に受益が生じる事務・事業については、受益者負担の適正化 の観点から、受益者に対して適切な負担を求める。特に利用者が営利性、事業性を有す る場合には、少なくとも維持管理などの運営コストを賄えるよう、利用料等を見直す。  三つ目として、効果的・効率的な運営を図るため、複数の法人が実施する類似の事務・ 事業を一体的に実施する。同様に、法人が複数の施設を分散して設置し、各施設で同様 の事務・事業を実施している場合、それらを一体的に実施する。  四つ目は、試験・教育・研修・指導については、効果的・効率的な運営を図るため、 関連する研究開発業務を行っている法人の事務・事業と一体で実施することを検討する。  五つ目は、情報発信・展示・普及・助言等については、透明性の向上に向けて事業効 果の試算の対外的説明を積極的に実施する。  これについて言われております。  以上の基本方針の内容を踏まえまして、整理合理化案を兼ねます本日御審議いただく 見直し当初案の作成をしているという状況でございます。  先ほど御説明しました資料集の10ページ、11ページにお戻りいただきたいと思いま す。11ページの部分でございますが、今回、御審議をいただいた後の流れについて、若 干御説明をしたいと思います。まず、本日、御審議をいただきますが、来週の火曜、水 曜の総会において御審議をいただくことになります。  その後の流れでございますが、表では厚生労働大臣から矢印が上に出ておりますが、 (3)法人の見直し当初案の提示ということで、行政改革推進本部に提出することになりま す。これは、行政減量・効率化有識者会議から求めに応じて意見が出される予定になっ ております。  右側の政・独委からは勧告の方向性の決定ということで、これまでも昨年見直した法 人においても同様に政・独委から意見が出ているということが5番目でございます。  これを受けまして、当厚生労働省においては本国立病院部会でまた御議論いただきた いと思っておりますし、これを踏まえて総会でも御議論をいただきたいと考えておりま す。最終的に法人としての見直し案につきましては、8番でございますが、行政改革推 進本部に最終的なものを提出し、最終的には冬の閣議において決定するという流れでご ざいます。  本日の見直し当初案についての取り扱いでございます。本日は未だ現在検討中のもの でございまして、見直し当初案に係る資料については、後ほど御説明いたしますが、机 上配付資料として配付いたしております。本件については本日限りということで、委員 の皆様におきましては取り扱いに御留意いただきますよう、お願いいたします。  議事については以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。今、早足で御説明いただきましたが、委員の先生方、 よろしいでしょうか。こういった形での進め方だということでございます。  それでは、事務局から参考資料の説明をお願いできますでしょうか。 ○政策評価官室長補佐  それでは、もう1点、参考資料の御説明をいたします。資料の参考2をご覧いただき たいと思います。こちらは、総務省の行政管理局長から各府省の独立行政法人評価委員 会の委員長あてに出された事務連絡でございます。本部会においても、当機構の給与体 系についてはラスパイレス指数というものを部会の中で御説明しております。この取り 扱いでございますが、こちらは総務省が全法人の状況をまとめたものとして御参考まで に送ってきたものと認識をしております。中身を見ていただければ分かるのですが、該 当ページは10ページ、11ページでございます。  10ページに「職員の給与水準」というものがございまして、厚生労働省のところに当 国立病院機構とございます。対国家公務員の推移としては、17年度で比較しますと96.9、 18年度でみますと96.2とやや低くなっているところでございます。また、他法人との 比較でも89.76%ということで、やや低くなっております。国立病院機構においてはや や低くなっているということでございますが、厚労省が所管しております他法人につい てはやや高いところもございます。この見方でございますが、これはあくまで対国家公 務員指数、それから他の独立行政法人との単純比較をした数字でございまして、一方で 本独法評価委員会でやっていただいている他の法人でございますが、地域差とか学歴の 差、これらを考慮いたしますとそう遜色はないといった報告もございます。この見方に ついては、その辺に留意する必要があると考えております。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。国立病院機構の報酬が少し低 いということでございますが。  特に御意見がないようでしたら、それでは最初の議事に入りたいと思います。まずは 国立病院機構の組織・業務全般の見直しの当初案について審議をいただくということで ございますが、法人所管課より御説明のほど、よろしくお願いいたします。 ○国立病院機構管理室長  それでは、国立病院機構の見直し当初案について御説明させていただきます。  初めに、机上配付資料として1から4までございます。これが見直し当初案の全体で ございます。これら資料の様式については、行政改革推進本部及び総務省から指定され たもので、全ての独立行政法人について共通でございます。  このうち、資料1については見直し当初案の概略をごく短くまとめたものでございま す。資料2については、国立病院機構の沿革、役職員、予算推移、それから既に前回及 び前々回の部会において御審議いただきました平成18年度業務実績等を記述してござ います。したがいまして、資料1及び資料2は適宜御参照いただければ幸いでございま す。本日の説明は、資料3及び資料4に沿って行わせていただきたいと存じます。  なお、机上配付の参考資料という形で、本見直し当初案の概要を我々独自にまとめた ものも、全くの参考でございますが、置かせていただいております。  それでは、見直し当初案の具体的内容の説明に移ります。机上配付資料3をご覧いた だきたいと存じます。  1ページから2ページにかけては、まず国立病院機構の事務・事業全般について不可 欠なものかどうかについて、民間等における実施状況、国の施策との整合性、これまで の政・独委やこちらの評価委員会等からの指摘に対する措置、これは別紙1という形で 後ろにつけてございますが、それから財政といった観点から検討してございます。結論 としましては、「すべて真に不可欠」ということで結論づけてございます。  駆け足で恐縮でございますが、3ページがまさに今回の見直しのメインの内容の記述 でございます。個別事業ごとの見直しの方向性、その理由を記述してございます。  まず上の段をご覧ください。1番の「診療事業」については、第1点として、国の医 療政策や国民の医療需要の変化を踏まえつつ、国立病院機構が担ってきた医療やその向 上を図るための臨床研究、研究研修を引き続き実施すること。  第2点として、結核、重症心身障害児、筋ジストロフィ児に対する医療等、他の設置 主体では必ずしも実施されないおそれのある医療について、セーフティネットの機能を 果たすべく、全国規模で展開すること。  第3点として、次期中期目標の作成に当たっては、医療制度改革に対応した4疾病5 事業、すなわち、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病に対する医療、及び緊急救急、災害 医療、へき地医療、周産期医療、小児医療などについて地域医療との連携を推進するこ と。  第4点として、機構の全国的なネットワークによるスケールメリットを生かし、医療 の標準化に着手すること。  第5点として、医師不足問題に直面する地域医療を支えるために全国ネットワークを 一層活用すること、としてございます。  次に2番目の「臨床研究事業」につきましては、EBMの推進、医療技術の開発やそ の臨床導入の推進、質の高い大規模な治験の実施体制の充実強化等により、我が国の医 療の標準化や質の向上に寄与すること、としております。  また、3番目の「教育研修事業」につきましては、質の高い医療従事者の養成、若手 医師の育成、地域社会に貢献する教育活動を引き続き実施すること、としております。  以上の措置につきまして、それぞれの理由を3ページの下段に記述しております。詳 細は省略いたしますが、いずれもご覧のとおり、医療制度改革を初めとします国の医療 政策推進の観点から求められるもの、と論じております。  次に、4ページ及び5ページでございます。これは、国立病院機構の事務・事業を切 り出しまして、民営化や市場化テスト、他法人への移管、または他法人との一体的実施、 これがそれぞれできるかどうかについて検討する部分でございます。  以上申しましたもののうち、まず市場化テストの部分は、4ページの下段の欄に記述 してございますように、医業未収金の徴収業務につきまして平成20年度から民間競争入 札を実施すること、としてございます。  他方、民営化、移管または一体的実施といったものにつきましては、4ページの上段 及び5ページに渡って記述してございますが、結論としては、いずれも不可としてござ います。その理由としては、国立病院機構の事務・事業は国の医療政策に沿って行われ るべきでありまして、収益性が最重視されるべきではないということ。診療事業、臨床 研究事業及び教育研修事業は一体的に行われる必要があること。それから、他の法人で こうした国立病院機構の設立目的に沿うものがないこと、といったことを理由として詳 述してございます。  次に、6ページは組織の見直しについて記述しております。いわゆる政策医療を遂行 するためには、引き続き独立行政法人の形態を維持すべきとしつつ、非公務員化につい ては「検討」と記述いたしております。「検討」としております理由は、非公務員化した 場合に職員に争議権が認められることとなりますが、その場合でも災害緊急医療の遂行 を初めとする国立病院機構の事務・事業に支障をきたさないための体制整備や運営のあ り方に関して、全国146の施設について具体的検証が必要であるからでございます。  なお、この組織の見直しに関連して、経営上及び地域の医療事情等を考慮しまして、 一般病床、結核病床、精神病床を含めた適切な病床規模による運営はしっかり図ってい きたいということ。それから、国から引き継いだ再編成計画の着実な実施についてもし っかり行っていく、ということを記述してございます。  7ページから11ページまでの部分は、先ほど若干申しましたこれまでの評価委員会か らの指摘につきまして、どういうことをやってきたかという措置をまとめた表でござい ます。時間の関係で説明は省略いたしますが、今回の御議論の中で適宜御参照いただけ れば幸いでございます。  次に12ページ、二つ目の大きな柱でございます「運営の徹底した効率化」について記 述してございます。  まず(1)「効率化の徹底」でございますが、給与水準について引き続き見直すという こと。職員配置については、非効率となっている病棟の整理・集約によるなど、収益に 見合った配置とすること。一般管理費の関係で、本部・ブロック組織の見直しなどによ り管理部門の効率化を図り、一般管理費の縮減について引き続き努力するということ。 民間委託による経費節減について、医事業務などの従来の業務委託に加えまして、業務 委託分野の拡大などによる更なる節減に努力すること、などとしてございます。  13ページ、情報公開の関係でございます。見直しの方向として、随意契約に関する情 報公開の拡大について検討すること、としてございます。  (3)「随意契約の見直し」の欄に「別紙2」という記述がございます。これは、平成 18年度に締結した随意契約の点検を踏まえた見直し計画を書く部分でございますが、こ れにつきましては9月末までに別途、総務省に提出することになっておりますので、今 回の資料には含まれておりません。  (4)「保有資産の見直し」は、後ほど机上配付資料4で別紙3を含め、まとめて御説 明いたしたいと思います。  次に、だいぶございますが14ページから50ページまで続く資料の部分は国立病院機 構の随意契約の相手方リストをまとめたものでございますので、説明は省略いたします。  次に51ページ、大きな柱の3番目の「法人の自主性・自立性確保」の措置についてで ございます。これにつきましては、今後の取組方針ということでそれぞれの項目ごとに 記述してございますが、次期中期目標の設定に当たっては、定量的な指標を設定するこ と。運営については外部有識者の意見を取り入れる仕組みを検討すること。内部統制機 能の充実強化を図るために、平成20年度からのコンプライアンス制度の導入について検 討していくこと。最後に、部門別・診療科別決算における費用分析手法及び精度向上を 検討すること、としております。  52ページ、自己収入の増大に関しましては、診療報酬改定の状況等を踏まえた経営努 力、資産の有効活用などに努力すること、情報公開については、ホームページの見直し による積極的かつタイムリーな情報公開を可能とすることなどを行うこと、としており ます。  次に机上配付資料4は、法人の類型別の措置について特掲したものでございます。先 ほど御説明がありましたとおり、国立病院機構は資産債務型、それから特定事業執行型 の二つに分類されております。1ページは、資産債務型としての措置ということでござ います。具体的には、2ページ以降に別紙3として添付してございます。  まず実物資産に関しては、国立病院機構は資料4の2ページから22ページに及ぶ部分 にリストアップされました実物資産を保有しております。それらについて今後の取組と してどうするかということが書いてあるのが23ページでございます。ご覧いただきます ように、措置としては、廃止した病院や廃止する養成所などの遊休資産について、売却、 貸付等に努めることとしてございます。  次に、金融資産に関しての措置でございます。国立病院機構は、24ページにある金融 資産を保有しております。  これに対する今後の取組ということで、25ページの表の中段部分でございますが、医 業未収金について不良債権の発生防止や適切な回収に努めるとともに、債権回収の民間 委託について、先ほど申しました市場化テストによる民間競争入札を行い、不良化した 債権の適正な早期回収に役立てること、としてございます。そして一番下の欄では、金 融資産の運用については安定した収益の確保を図ること、としてございます。  26ページは、特定事業執行型としての措置ということでございます。内容は、先ほど 資料3で御説明申し上げたものを再掲したものがほとんどでございますが、新たな記述 部分としては中段の「受益者特定」の見直し案でございます。看護師等の養成所の授業 料等について、他の設置主体の養成所における授業料を考慮して学生の適正負担に努め ていく、ということを記述してございます。  大変駆け足で恐縮でございましたが、概要は以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。かなりスピードが速かったと思いますけども、つい ていくのが大変かと。どなたか、何でも結構でございますが御意見をいただければと思 います。 ○住田委員  随所に医業未収金の民間への委託というのが書いてあるのですけど、これは非常に難 しいと思うのです。具体的にはどういうことをイメージしているのですか。 ○国立病院機構企画経営部長  今回の見直しは、省の方のお考えということではございますが、事実関係として私ど もから御説明をさせていただきます。  医業未収金につきましては、この評価委員会で年度評価を御議論いただく際にも議論 になりましたが、別途、いわゆる市場化テストを政府として取り組む議論の中で、仕組 みとして多くの企業といいましょうか、民間関係者の方々が市場化テストになじむ官業 についてそれぞれ言ってきなさい、募集をします、という仕組みの中で、サービサーの 方々を中心に、私ども国立病院機構を含め官業が持っている債権を回収するという業務 に我々民間企業を活用してほしい、そのために市場化テストという枠組みを使ってほし いという御要望が内閣府にあったようです。その中で私どもの国立病院機構が持ってお ります患者様方への未収金についても債権回収という形で、既に市場化テストという形 をとることなく、今、現状において私どもの病院は職員が取り組んでいたり、あるいは 一部の病院でサービサーの方の活用をさせていただいているという実態の中で、まずは 実験的にだと思いますけれども、市場化テストという枠組みを使って機構が持っている 債権を民間企業の方々の参入をお願いして、その結果、どれぐらいのコストがかかった のか、どれぐらいの成果が得られたのか、それが、機構職員が今まで行っていたものと 比較して有為なのかどうなのかという検証をした上で今後の方針を決めなさい、という 市場化テスト一般の枠組みの中のテーマとして取り上げられるといいましょうか、そう いう議論がありますので、私どもとしてみれば、省からそのような内閣全体の方針がお 示しいただければ、その枠組みに乗って、今までやっておりました機構職員の取組とは 別に、幾つかの分野で実験的に民間企業の方々の取組をお願いして比較検証をするとい う仕組みに乗っていこうということを考えております。  ただ、現実問題としまして、今のサービサーが法的な枠組みの中で認められておりま すのは、「債権がありますよ」ということを債務者に御連絡をする。私どもの話で言うと、 「あなた、病院に対して未払い金がありますね」、ということをお伝えいただくというプ ロセスと、実際に行っていわゆる債権回収を図るという二つの段階があるのですが、現 在のサービサー法の法的枠組みによれば、少なくとも病院が持っている患者さんの未収 金は回収までは弁護士法とか他の法的な枠組みの中で認められておりませんので、あく までもお伝えをする。債権のありかを御連絡をするというところまでがサービサーの 方々が担い得る仕事だと承知をしております。その枠組みの中で今回、このような形で やってみて、議論として、これは私が言うのが適当かどうかわかりませんけれども、市 場化テストの中ではそういう形で民間サービサーの方々の業務範囲が決められている規 制を含めて、ある程度検証することもできるのではないかという問題意識をもって取り 組まれるということでございますので、私ども機構としては、国立病院機構の債権につ いてそういう形で意欲的に取り組みたいというのが内閣の方に取り上げられており、内 閣としてもそういうのはどうだろうかという御議論があるようですので、省から指示が あればそれに入っていきたい。  ただし、まずは債権の御案内まででありますので回収段階全般までには入りませんけ れども、その一歩を進めていきたいというふうに、今回、こういう形で方針が出れば取 り組んでいきたいと思っております。 ○住田委員  そんな大したことではないですね。教えるだけですから(笑声)。肝心なのは、分かり やすくいったら患者様から取り立てることで、今、大変雄弁にお話しになったけれども、 ただ教えるだけ、ノーティスだけですね。それでは債権の本当の回収の施策というのは 次の段階と考えていいわけですか。 ○国立病院機構企画経営部長  最終的な仕組みについては、これから検討した上で市場化テストに入っていくかと思 いますが、私ども機構として今後検討しなければならないと思っておりますのは、この 市場化テストという流れの中でどのように対応するかという部分と、それとは別に、こ れに限らず、日々の業務の中では、今、住田委員のおっしゃったように、まず債権の発 生の段階できちっと丁寧に対応させていただくこと、あるいは患者さんに対してきちっ としたアナウンスをしていくこと、働きかけをしていくことと思っておりますので、そ れは、今回の大きな意味での次期に向けての見直しとは別に日常的に取り組んでまいり たいと思っております。 ○猿田部会長  よろしいでしょうか。 ○国立病院課長  今の補足でございますが、今、市場化テストでは、担当部長からお話がございました ように督促ということと、督促に応じて患者様の方に出向いて料金を回収していくとい うことであります。そして、督促については、弁護士法からみて法律行為でございます からできない。したがって、回収というのはサービサー法においてできるようになって おりますので、ここの回収の部分をやっていこうということで、この市場化テストにつ いては担当の部署から私どもの方にお話があるということでございます。補足でござい ます。 ○渡辺委員  今の課長のは、一般的に回収はできるのですか。督促しかできないと私は聞いている のだけれども。 ○国立病院課長  督促こそできない……。 ○渡辺委員  督促はやってはだめなの。 ○国立病院課長  督促はできない。 ○渡辺委員  病院側が、「あなた、まだ払ってませんよ。払ってくださいよ」と、これは言えないの ですか。 ○国立病院課長  病院側が督促をするのは当然ですが、サービサーが督促をするということは法律行為 にかかわりますので、代理人としての働きはできない。したがって、これをできるのは 弁護士なり法的行為を代位として行えるような位置づけを持った者ができると。 ○渡辺委員  督促できるのは。 ○国立病院課長  はい。これは限られております。 ○渡辺委員  市場化テストをやったときに、では民間のだれかが渡辺という患者のところへいって、 「あなたは払っていないから払いなさい」と、これはできるわけですね。 ○国立病院課長  「払いなさい」というのは督促行為です。 ○渡辺委員  これはだめ。 ○国立病院課長  はい。「払いなさい」というのは。それは督促行為。 ○渡辺委員  それはだめ。細かいことで議論するつもりはないけれども。 ○国立病院機構管理室長  いわゆる物理的な「あなた、払わなければいけませんよ」という事実行為と、法律行 為としての督促というのは別でございまして、法律行為としてのきちんとした督促とい うのは、今は詳細な知識を持ち合わせておりませんが、裁判所も絡んでちゃんとした法 律行為として行う、そういうことは弁護士法上ひっかかってくる。そこはできませんと いう趣旨でございます。 ○渡辺委員  要するに平たく言えば、市場化テスト、先ほど吉田部長がおっしゃったのも、これは 民間に任せてみようじゃないかという動きが現に内閣にもありますよね。未収金の額も すごいし、効果が上がるのじゃないかといった場合に、具体的に民間に何をやらせるか まで明らかにならないと、市場化テストの意味がないというのかな、どこまでやれるの と、確かに聞いても、医療の債務は強制的に取れないと。ましてや差し押さえできない わけだから、どこまで効果あるの、何やるの、というところがね。これは内閣の話だか ら、今、国立病院課長に言ってもしょうがないかもしれないけれど、どこまでやるか具 体的にならないとね。 ○国立病院課長  したがって、先ほど回収というか集金代行業務、そういうことを今後、この市場化テ ストにおいて民間に入札の対象としてこの対象範囲を提示して、そして手を挙げてきて いただくということになります。その際には、どういうやり方でやるかというのがきち っと公明正大に分かるような形で出していただいて、第三者機関なりで審議をしていた だいた上でその手続を踏んでいくということになってきます。 ○住田委員  こだわるわけではないのですけど、第1ページにばっちり書いてあるから非常に目に つくのだけれど、あなたの言った答えと文章とちょっと整合性が取れないのではないか と思うのですよ。例えば債権回収の民間委託というのは、民間に委託して債権回収を頼 むということでしょう、文章は。そして、来年度から市場化テストにおいて民間競争入 札ということは、民間の回収できる機関を選んでやらせるということでしょう。ですか ら結局は先ほどのアナウンスの幾ら債権がありますよというだけではなくて、求めてい るところはそれでは意味のないことですよ。機構からでもできることですから。要する に債権回収ということを基本的な目標として民間に、民間というのは弁護士も含めてそ ういうふうに委託してしまうことでしょう。民間委託をできる・できないではなくて、 この文章だと、してしまうのですよ。そうでしょう。ですから、はっきり言って書いて いる文章と答えと整合性が全然ないのですよ。 ○国立病院機構企画経営部長  今、住田委員からお話のありましたところを省の方で整理していただくと思いますが、 少し私の言葉が、先ほど管理室長に補足していただいた言葉にありましたように、若干、 一般用語を使ったので、かえって委員の皆様方は誤解をされたのかもしれません。サー ビサーというのが本来、一番特殊性を持っているのは、債権者の債権を仮に自分のもの として、機構の債権をA社ならA社のものとして、A社の債権として法律関係として入 り込むというところがサービサーの一つの特色だとすると、そのような形で債権を国立 病院機構から病院の未収金債権を代位して、それを自らのものとして取り立てるという 言葉はどうかと思いますが、回収に入るということは、サービサー法の中で一定の分野 の債権しか代位ができないということが義務づけられておりますので、そこまでのサー ビサーとしての代位は今回の市場化テストにおいても行えないと私どもは承知をしてお ります。  ただ、その場合にいう、それに限らない、まさに集金代行であるとかあるいはアナウ ンスとか、あるいはその前提となりますいろいろな調査業務については、私ども機構が 従来行っていましたうちの職員がやっていたものについて、もっと民間活用という道が あるのではないかという視点から比較検証がされるということであろうかと思いますけ れども、今おっしゃっていただいたように、具体的なところには法律の制約でございま すとか現状ですとかというところをもう少し詰めて、実際に入るまでは内閣府とも相談 をしなければならないかなと、実施主体の私どもとしては思っております。 ○猿田部会長  この前のときも、かなりの額が今はひっかかっていますから、そこのところをどうも っていくかということは重要な点ですよね。 ○渡辺委員  別の話なのですが、全体のあれとして、内閣の行革本部のあれは整理合理化という書 き方をして、こちらとしても整理合理化案を審議するわけでしょう。しかし、整理合理 化というところは、行革本部は当然なのだけれど、要するに削れ、合理化しろ、整理し ろと、売却しろ、あるいは市場化テストをやれといったことが参考1のあれにはずっと 書いてあるのだけれども、例えば国立病院機構という医療という現業を持っているとこ ろは、この中にもちょっと書いてあったけれども、新しい需要の発生とか、まさに医療 政策の変更とか、そういうものによって新しいミッションが出てくるわけですよね。つ まり「整理合理化案について」と我々がまとめたとしても、ではその新しいミッション があるからこういうこともしなければいけないね、みたいなことは、今回、我々が審議 する対象となるのですか、ならないのですか。その点をちょっと。 ○国立病院課長  今回の整理合理化案でございますが、見方はゼロベースの視点でということであって も、今後出てくるであろう需要に対して的確に対応し、そして効率的に、かつ自律的に 運営していくということになります。したがって、今回の整理合理化案の中に盛り込ま せていただいた事柄についても、診療事業の中においては、今般、医療制度改革がござ いましたので、したがって4疾病5事業などに対応した地域医療と連携した体制づくり とか、それから臨床研究になりますが、これは革新的医薬費及び医療機器、5カ年戦略、 経産省、文科省、厚生労働省等で策定いたしました政策がございますが、これに基づい て治験体系を強化していこうとか、こういった新たな政策に対応した形で事務・事業の 見直しを行い、強化しているというものも入れさせていただいております。 ○大道委員  別の件でございます。いただいた内容の中では、資料3の横断的視点の中の組織関係 の(5)ですが、非公務員化の可否についての書き込みを簡潔にといえば簡潔に記載を してあるのですが、この課題はかねてから議論をしたというよりは少なくとも論点には 挙がっていたはずなのですが、直接的には6ページになります。ここに書いてあるとこ ろで、具体的に検証が必要ということは、つまり、今度の業務見直しについて検証が必 要なので、次期5カ年計画云々みたいなところとのかかわりは、見直しとの関係はまだ よく分からないところがあるのですが、検証が必要なので具体的にどうするというのは、 いつ決めることになるのか、あるいは次回の5カ年の中の年次計画とどういう関係にな るのですかね。一般的な意味では公務員型の一方での限界がかなり経験されたような状 況もあるし、かといって非公務員型にすれば、ここにもあるようにさまざまな相違点の 問題などが出てきますよと、こういうことを挙げてはいるのですが、ここをこの評価委 員会の委員としてはどういうふうに受けとめて、意見を申し上げるのは、「検討してます」 「ああ、そうですか」という問題なのかなと、ちょっとそんな気がしたのでお尋ねする のですけど、この辺の受けとめ方を御説明いただければと思います。 ○国立病院課長  ここに「検討」と書きましたのは、先ほども担当室長からお話しをいたしましたよう に、特定独法にした経緯としては、災害医療とかそういった危機管理的な医療を行うに 当たって争議権を付与する職員のあり方はいかがかということで特定独法という流れに なったわけであります。したがってここについてはもう少し、非公務員型になった場合 においてもそういう災害医療的な危機管理に必要な体制が十分整うのかどうか。  あるいはもう1点でありますが、他の経営主体が参入しないような医療というものも ございますので、非公務員になった場合においても的確なる事業が実施できるような状 況がいかがかどうか、こういったものを点検していきたいということで「検討」という ことであります。  流れとしては、非公務員型の独立行政法人への移行に向けて、どういうような点に留 意しながら、あるいは留意すべき点があるのか、こういった問題を検討すべきだという ことを御指摘いただければということで、このように整理いたしました。 ○大道委員  検討するのは分かるのですけど、それが検討してある種、結論みたいなものが公務員 型でいくのか、それとも非公務員型にするのかというのは、どういう流れの中で決まっ て法人に反映されるのか、そこら辺の関係をお尋ねしているのですけどね。ずっと検討 するのですか。 ○国立病院課長  これは、いずれにしても中期目標期間が終了するまでの間には結論を得たいと、そう いうことです。 ○大道委員  それだったらそういうことで。 ○国立病院課長  それに基づいて非公務員型ということになりますと今の国立病院機構法の改正という ことにもなりますので、しかるべき手続に入っていくということであります。 ○大道委員  ちょっと付言ですけど、今、緊急的な災害医療等について言及されましたが、確かに 公務員であるがゆえの、最終的には大臣の指揮下に入るという基本的な公務員の責務が あるということを多分認識しておっしゃっておられるのだと思うのですが、これは一つ の事例ですから何とも言えませんが、今回、評価作業の中で立川の災害医療センターを 見せていただきましたが、ここでは皮肉なことに公務員型であるがゆえに災害的な医療 発動の中で産婦人科医が確保できない、小児科医が確保できない、特に小児科医の確保 ができないというようなことで現場の管理者は大変苦しんでおられたわけですよね。む しろ直接的には公務員型の制約であるがゆえに医師が確保できないのだということを、 我々評価委員に強くアピールしたような経緯もあります。  だからどうこうというわけではないので、そういう個別事例的なことだけでは公務員 型、非公務員型というのは判断できないことは分かりますけど、医療の現場の従来の考 え方、価値観とは別の実情というのは次から次へ出ていますので、ぜひ次期計画に向け てある意味では早々に結論を出さなければならないようなふうに改めて受けとめました ので、ひとつ是非検証作業を進めていただきたいなと思います。  以上です。 ○猿田部会長  流れとすれば、非公務員型への方向を一応考えているわけですね。そのときのメリッ ト、デメリットのところと、どういうふうにもっていけるかですね。そこは一歩一歩進 めていかなければいけないかと思いますけれども。ほかに御意見はございませんでしょ うか。  僕はちょっと気になっていたのは、医師の派遣の問題ですね。これを具体的にどうや っていくかということは難しい問題だと思うのですけど、何か意見はございますか。 ○国立病院課長  医師の派遣ということで書かせていただきましたのが、今、厚生労働省におきまして 各都道府県において医師確保が困難な場合、都道府県の要請を受けて医師派遣について 検討する場を設けております。そういった検討の場に国立病院機構も参加しております ので、そのようなシステムの中でできる範囲で協力をしていくということであります。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかにどなたかございませんでしょうか。できるだけ意見 をいただいておいた方が、来週の総会のときにこちらからの報告をしなければいけない ということなので。 ○渡辺委員  これは参考資料というまとめの、あくまでも参考で分かるので、これは我々がつくら なければいけない、ひと言でいうと、もうちょっと具体的に、先ほどの市場化テストも そうだけれども、先ほどから具体的に踏み込んだ表現というのはどうなのかなという気 がしているのです。例えば今、猿田部会長もおっしゃったけれども医師不足問題、これ が悪いといっているのではないのですが、「医師不足問題の全国ネットワークを一層活 用」というのをもうちょっと踏み込んで、こういうふうに国立病院機構は果たすのだよ とか、その上もそうなのだけれども、どの程度の踏み込みでこれを我々が書くべきなの か、そこが私自身がピントが合わないというかイメージがつかめないのですが、それを どのように厚生労働省としてお考えになっているのですか。やはり整理合理化案を内閣 から突きつけられて、我々評価委員会が国立病院機構のあり方と組織の見直しを書くわ けでしょう。そしてそこに新しいミッションも当然あるという中で、もうちょっと踏み 込んだ方がいいのではないかなという気もするのだけれど、その辺をざっくばらんに感 想を。 ○国立病院課長  全体としての踏み込みは、医療政策についてかなり突っ込んでやりますよというよう なことは、医療制度改革に対する対応とか治験体制の対応というのは先ほど説明させて いただいた状況であります。医師不足については、国立病院機構においても医師の確保 というのは、他の経営主体と同様にかなり汗をかきながらやっておりますし、配置定員 についても他の経営主体以上にあるというものでもないわけであります。ただ、それに 対しては、国立病院機構ということで国民の期待がありますので、そういったものに対 して政策的な判断からできる範囲の中で協力していこうということでありますので、こ れについて余り踏み込んで、では、といって、そうすると本体の方がおろそかになる可 能性もありますし、そこはなかなか渡辺委員のおっしゃるようなことまでは書き切れな かったということでございます。 ○渡辺委員  いろいろ私が言っているのは、整理合理化案で、例えば未収金は市場化テストの対象 としてやりますよ、と。簡単に言えば。そして非公務員型でいきますよ、なぜならば、 この辺はかなり明快なのです。一番肝心の診療事業についても書いてはいるのだけれど も、診療事業について国立病院機構の146の役割をもうちょっと打ち出していいのでは ないか。そういう印象が強いのでね。そうしないと、国立病院機構の整理合理化案を評 価委員会がまとめたなどといっても、未収金の市場化テストと非公務員型ということを 例えば提言したとしても、国民にとって一番肝心なのは診療事業なので、治験その他も もちろん必要だけれども、一番は地域医療をどう確保するか。医師不足は、課長がおっ しゃったように本体が不足しているからそんなに余裕がないのは分かるけれども、診療 事業でもうちょっと4疾病5事業についても地域連携の推進はもちろんそのとおりなの だけれども、例えば来年4月から都道府県が地域医療計画をつくるわけですね。その中 において国立病院がどういう役割を果たすとか、その辺までの踏み込みというのは言い にくいのかな、という気がしたのです。 ○国立病院課長  国立病院、療養所ができて、そして更に平成16年度に機構ができた以降、では新たな 事由で何か今、渡辺委員がおっしゃったような国立病院機構に対して要請が出てきたも のがあるかということになれば、それは医療観察法病棟の話とかそういったことであり ます。それはどういうことかというと、机上配付参考資料、診療事業(2)で書いています が、他の経営主体では必ずしも実施されないおそれのある医療についてセーフティネッ トの役割をしていこう、こういったところについては地道にやってきているということ で、こういう地道なところをパッとうまく書くのはなかなか難しくて、いずれにしても こういった医療観察法病棟等、新たなニーズが出てきたということについても的確に対 応していくと。したがって、こういったところがまさに国立病院機構が独立行政法人と して存在する一つの重要な位置づけを持った役割だと思っておりますので、これを今後、 新たな需要が出てきたときに的確に対応していくというようなことで考えていきたいと 思っております。  実際にどのような事案が出てくるかというのは、これは政策の状況によって明らかに なってくるわけでありますが、今のところ、そういうものがまだわかっておりませんの で、(2)のような書き方をさせていただいた。 ○渡辺委員  逆に言うと、ナショナルセンターは独法化されるのは2年後でしたっけ。 ○国立病院課長  22年度です。 ○渡辺委員  3年後だっけ。そうすると、ナショセンは独法化して、例えば戸山町の国立国際医療 センターは新しいミッションとして肝炎とかエイズとか感染症で、ほかもあるけれど、 そういうミッションでいくぞ、みたいなことを出していますね。あと、がんセンター、 循環器センター、いろいろ出すと思うのだけれど、逆に言えばある意味で素人目で、国 民というとオーバーだけれども、では六つ、七つ、ナショセンの新しい独法としてのミ ッションと国立病院機構の146の機構としてのミッションは当然違うと思うのだけれど も、その違いもちゃんと明確にアピールすべきではないかという気持ちがあるから、課 長のおっしゃるのは分かるのだけれども、一方で3年後にナショセンが独法化してしま うのだもの。そしてみんな六つか七つと数は少ないから、新たなミッションでやるのだ といっているわけで。もちろん国立病院機構は地道にこれまでなさっているのは評価す るし、いいのだけれども、行革本部などの言い方は相当すさまじいですからね、裏を言 えば。そうすると、派手にやる必要はないけれども、ある程度は強くアピールする、そ ういう気持ちがあるものだからそういうことをくどく言っているわけで、済みません。 ○猿田部会長  ほかに御意見はございませんか。今の渡辺先生の意見は非常に重要な点でございます けれども、これはなかなかまた難しい問題でもありますね。 ○大道委員  今の渡辺委員の御意見と関係するのかもしれませんが、お聞かせいただくと、今のた またま心神喪失者等の医療観察法関連の医療であるとか様々な政策的医療はもちろんそ のとおりだと思うのですけど、他方、多くの他の病院がやっている一般的な医療とのか かわりから言いますと、かなりの部分が一般の医療機関と同じような医療を国立病院機 構の医療はやっているではないかという意見は、相変わらず根強くあるようなところが あって、今回は業務の見直しの中で、その全てが政策的な意味合いがあって、だからこ そ国立病院機構の病院群は必要なのだという言い方も、基本的にはこの間の評価の一連 の中でしっかりやっておられると思うから、私はこの体制は決して悪いことではない、 むしろ今後続くべきだと思っているのですけれども、しかしこういう局面になりますと、 今、少し触れたようなところのあたりにどう対処していくのかというのは、結構大変だ なという思いを強くするのですね。  そして渡辺先生がおっしゃったように、例えば(3)の地域医療との連携の推進というの を、今の国が求めている4疾病5事業の連携の中で、他のナショセンが多少ともかかわ りづらいようなところを、より地域医療に密着したような形でやるとか、今いわれてい る総合的な診療機能を有する医師、あるいは国も提案されている在宅主治医の方向など 出てきているわけです。  個人的には私はああいう流れは非常に重要だと。我が国で十分対応してこられなかっ た部分なのではないかと思ってはいるのですが、国立病院機構の病院が地域医療との連 携の推進というところで、そこらあたりに手がかかるのかかからないのか、ここらあた りをしっかり触れることで、冒頭に申し上げた、他の医療機関と同じようなことをやっ ていて何で国立病院機構なのか、あるいは、何ゆえ独立行政法人なのかというふうな意 見にどう対処していくかというとき、何か書いておいた方がいいのではないのかなとい う気はするのですが、そこまで踏み込めないのもやむを得ないかなという気持ちもかな りあります。何とも中途半端な意見で恐縮なのですけど、そんな思いをしています。 ○猿田部会長  今のことは確かに重要なのだけど、どこまで実際に入り込むかというところが非常に 難しいと思うのですね。だから政策医療の部分との関係、それから先ほどからナショセ ンの問題がございますね、そのあたりをどのようにアピールしていくかですね。 ○国立病院課長  私どもは、整理合理化案の様式ということについては、総務省から提示された様式で ありましたのでこういった書き方になっております。ただし、こういった書き方ではあ りますものの、これを踏まえていろいろディスカッションされますので、そういったデ ィスカッションの中を通じて言っていきたいと思っております。例えば他の経営主体が 参入できないような医療、まさにそういった医療を旧療養所等がやっております。旧国 立病院のようなところと一緒になってやることによってです。他の参入できないような ところはなかなか医師の確保も難しい、あるいは経済的な基盤が脆弱である可能性もあ る。したがって、国立病院機構が他の例えば県立病院と同じようなことをやっているで はないかと言いつつも、そこはある程度差別化はしてやりながら、この病院の持ってい る人的、資金的な面による補完をしながら、国立病院機構として最も求められているコ アの部分をきちっとやっていく、というようなことを考えておりますので、そういった 考えの中で今回の法人事業の事務・事業の見直しも整理してみたということもございま す。 ○渡辺委員  国立病院課長の言葉に反対するわけではないですが、私は、もし146あって、今おっ しゃったいわゆる政策医療と呼ばれる分野、民間が入ってこられない不採算分野のとこ ろもいいけれども、すぐれた治験をやったり、例えば具体例を挙げると駒沢の東京医療 センターというのは患者も外来も多いし、あそこは不採算というよりむしろ都市におけ る外来の非常に信頼の高い、例えばですよ、というような病院があっていいと思うので す。都市部の国立病院として非常に信頼高く。もちろん、地方の療養所を始めとして不 採算でやらざるを得ないところもある。それが集まってこそ146の機構であって、そう いうところを、課長に失礼だけど、もし不採算、民間が入ってこられないところ云々と いったら、もっと病院機構そのものは、ではそういうところだけやれという理論に拍車 をかけかねない。そう受けとめられてしまう。 ○国立病院課長  そういうふうには言っておりませんので、相互補助しながらやっているということと、 それから病院についても、しかるべき治験体制もとりつつ政策医療も他の経営主体と差 別化になるようなこともやっております。そこは渡辺委員のおっしゃっているところと 違わないと思いますが。 ○渡辺委員  もう1点、それと違うけど、例えば逆に今、自治体病院1000が、ある自治体というの は赤字だからだめだ、独法とか民営化とかいわれていますね、例えば。自治体と国立を 対比したときに。国立病院146がこういった整理合理化案を出されてきていなかったら、 我々が新たな合理化案を出すというときに、なぜ必要かということをめり張りというの かな、それは先ほど大道先生もおっしゃったけれども、踏み込むというか具体的にこう いうミッションがあってこうだから、これは増やさなければいかんよ、これはこうだよ、 政策医療はこうだよとか、こういう治験はこうだよとか、146もあって、一般にマスコ ミも含めて、私も加担していますが、とにかくなんだこれは、国立病院、なんで必要な のという疑問を抱かせてはいけないわけです。はっきり言えば。そういった意味で具体 的かつめり張りのある我々の意見書というのかな、それが必要だという思いが強いとい うことです。 ○辻本委員  この話が的外れかどうかちょっと不安で、発言していいかどうか迷ったのですけれど、 現場に幾つかお招きいただいて、現場を見せていただいております。西日本のある大き な国立病院ですけれど、それまでは重心などそうした療養型ということを中心に置いて 医療をやってきた。もちろん器は大きいし、外来も一生懸命やっていらっしゃるのです けれど、この病院はホスピスも含めて重心など、そうした長期療養の必要な患者さんと いうことで、特にナースたちがゆっくり寄り添う気持ちを持って今まで仕事をしてきた。 ところが、この独法化においてやはり生き残りをかけて新しい方針ということでいえば、 がん治療で地域の方たちに新しい医療、最新の取組を提供していきたいという、言って みれば看護業務も全然違う方向で二極化が始まっている。  その中で誰が一番苦しんでいるか。現場のナースたちが、今まで割とゆっくりとのん びりと、患者さんのベッドサイドでじっくりということを旨として仕事をしてきた人た ちが、一部、そうした病院の方向転換によって、いってみれば2週間の急性期医療の意 識に急激に変化しなければならないジレンマの悩みを、私は直接聞いたりしているので すね。  そうすると、国立機構の病院の役割は一体なんなのだろうと疑問を感じてしまう訳で すね。何がいいのか、何が悪いのか、じゃあどうすればいいのかという正解など、私は 全く持ち合わせていないのですけれど、ここで、あるいは上部でそうした形とかそうい うものがどんどん仕組まれていく中で、現場で働く人たちがついていけないような状況 が今起きているのではないのかなと。そうしたジレンマは、ひいては患者さんに返って いく問題ではないかということを、少し胸を痛めながら現場の方のお話を私は聞かせて いただいたことが幾度かあるのですね。  だから何が言いたいのかということがうまくまとめられないのですけれど、そういう 現場のお話を聞けば聞くほど、これからの機構が一体どうなっていくのだろうというよ うな、多少こういう役をいただく中で私なりに不安になったり、あるいは現場の方のお 気持ちを考えると切なくなったりというようなことを今、渡辺さんのお話をお聞きしな がら思い起こして聞いておりました。だから何ということではないのですけれど、やは り現場が主役でもあるということを忘れて語ってはいけないなということをあえて申し 上げておきたいと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございます。これだけの146もの病院があって全国に散らばっていますか ら、先ほど渡辺先生がおっしゃったのは、例えば東京医療センターのようなああいう状 態もあれば、全く違う領域での医療もあるし、非常にそれは難しい。確かに今は一つの 過渡期でございますから、それをどういうふうにもっていくのが一番いいかということ が一番難しいところだと思うのですね。ですから、渡辺先生のおっしゃること、辻本先 生のおっしゃることはよく分かるのですけど、なかなか難しいところですよね。そのあ たり、課長さんの方で何か御意見はございますか。 ○国立病院機構副理事長  具体的にどこの病院でということをもう少し言っていただけると、多分もう少し補足 できるのではないかと思いますが、想像いたしますに、重心、筋ジスをやって、あと結 核医療を持っていて、なおかつ一般病床を持っているというところにおいて、私どもが 重心、筋ジスを放棄してがんに急に転換するとか、そういうことは人材的にもあり得な いと思います。そうではなくて、多分重心、筋ジスは移行前よりは充実はしていると思 うのです。ただ、結核については患者さん自体が減ってきているという状況がありまし て、その中で、例えば肺がんとか同じ呼吸器のドクターの中でも、そういうものに充実 するというか、そちらの方にむしろ需要に合わせてシフトしてきている、そういうこと はあるのではないかと思います。もし違うあれであれば、また詳しく調べて指導もして いきたいと思います。 ○猿田部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。皆様から出ているように、一歩突っ込んだ形 での書類にしたいということはよく分かるのですけれども、それ以外のところでどうで しょうかね。 ○永井部会長代理  私も地域医療との連携のところ、この辺がもうちょっと具体的なイメージが出てくる と強くなるのではないかと思うのです。例えば最近、自治体との連携ということが少し 緩和されるような方向があるのではないかと思うのですね。例の地域財政再建法の縛り で自治体と国立病院はなかなか連携が難しかったと思うのですけども、あの辺が少し解 釈が変わっているように思うのですが、それをうまく利用して地域との連携を具体化す ることはできないのだろうかと。例えば救急医療を自治体と国立病院が一緒にやるとか、 そういうのが見えてくるとすごくアピールするのではないかと思うのですけど。 ○国立病院課長  医療制度改革に対応したということで、地域医療の連携ということになっております。 ここでは、今後、医療計画の中でこういった主要事業を担う医療機関を選んでいく。そ してそこにおいて地域医療を展開していただくことになりますので、平成18年度の実績 にも紹介させていただいたように、拠点的な医療機関に手を挙げてきている国立病院機 構の病院は増えてきておりますので、そういった何らかの形でこのような医療計画に沿 った対応をする病院として手を挙げてくる、というやり方が出てくるということかと思 います。  また、今、財政的な問題については総務省とも地財特措法の見直しということで相談 をさせていただいているという状況でございます。 ○渡辺委員  永井先生のに関連するのだけれど、例えば熊本県、国立熊本があって、国立熊本大学 があって、済生会があって、日赤があってと、熊本市内に急性期の大病院が大きくいえ ば四つある。そうすると地域医療計画の中において、一般からみると市内にそんな四つ もいらないじゃないかという意見も一方である。そういった来年4月から都道府県が地 域医療について連携していくというところで、熊本にこだわらないのだけど、今たまた ま思いついたから言っているだけであって、そういうような具体的な、例えば国立熊本 はこういう役割でいくのだよとか、そういうぐらいの踏み込み、具体性が必要ではない かと。国立病院は、療養所は別として急性期の国病のあり方といったときに、これから は一律では難しいと思うのですよ。だから先ほどから踏み込みとか、永井先生がおっし ゃるのとちょっとニュアンスが違うかもしれないけれども、私はそういう意味で、個別 に全部いうのは無理にしても、難しいことは分かるけれどもそれが描けるような踏み込 みがないかなという思いが強いから言っているだけでして。希望です。 ○猿田部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。皆様方のおっしゃる意見、すべておっしゃる とおりだと思うのですけれど、実際に、では具体的にというとなかなか難しいですね、 本当に146の。今日出た御意見を総会のときにこちらとしては報告しなければいけない ことになると思うのですけれど、どれも重要な問題ですけれども、一番最初に出ました 未収金をどういうふうに扱うかということ、これをもっと具体的に確かにやっていかな ければいけない、その方針が示されなければいけないだろうということも大切ですし、 それからやはり重要なのは、これからの公務員型、非公務員型の大道先生のおっしゃっ たこの問題も、やはりここから先にいって必ず、方向とすれば非公務員型にしていくと いう方向で動くと思うのですけれど、それを具体的に考えていかなければいけないだろ うと。それから、一番今、臨床上では問題になっている医師不足の問題をどういう形で もう少し具体的に示されていくかという問題。それから、非常に重要な国立病院機構と しての特徴を出すために、地域医療とほかの病院との連携そのほか、それをどういった 形にやっていくか、こういったところがポイントで、実際にそういったところをもう一 歩踏み込んだ形でまとめられれば一番いいだろうと。そのまとめ方がなかなか難しいと 思うのですけれど、これは具体的にもう少し考えていかなければいけないと思うのです。 今挙げていただいた皆様方の御意見をまとめると、そういうところではないかと思いま す。  もう一つ重要なのは、これからのナショナルセンターの問題との関係ですね。どのよ うに仕事を分担して考えていくかということは非常に重要だと思うのですけれど、確か に今までの国立病院機構としての特に重症心身障害者の問題、筋ジスの問題、結核の問 題とか、そういったところは確かにナショナルセンターとは違うところで残ってくる部 分があると思うのですけども、そのあたりの関係はもう少し考えていかなければいけな いと思うのですけれど、何か、あと特にこの委員会として強調していかなければいけな い面がございますれば。 ○大道委員  私はむしろこれまでやってきた極めてすぐれた実績を更にいろいろな意味で発展させ ていくという趣旨では、これも机上配付の総括版の(4)の140余りの国立病院機構の病院 群が「医療の標準化に着手」とありますけれど、これはもう着手しておられるのではな いかと思うので、これをむしろ発展させるというか推進するとか、本当の意味で我が国 の医療の標準化に寄与するというような趣旨のことをもうちょっと強調してもいいので はないかなと。確かに難しいところもあるので、そこらは総会に向けてというか、今度 の総務省の対独立行政法人の業務の見直しについてはもうちょっと強調してもいいので はないかなと思います。  関連させれば、次のページの(2)の臨床研究事業なども、多くの病院群があって初 めて成果を上げるということで、実際に成果を上げていらっしゃるわけですから、この あたりは、より強調してというか、しっかりお述べいただくことの方が、我が国の医療 にとって非常に重要であるということを的確に示すことになるのではないかと思います ので。やや蛇足になりますけれども。 ○猿田部会長  ありがとうございます。良い点を強調しようということですね。 ○永井部会長代理  今の臨床研究事業のところで、細かいことになりますけれども、EBMの推進という のがうたってあるのですが、「EBMの推進」というと根拠に基づく医療の推進というこ とで、自分たちで根拠をつくるというよりも既にある根拠を使って医療をやりましょう、 というようにとらえられないかと懸念するのです。だからむしろ「EBMのための臨床 研究の推進」というようなスタンスを打ち出した方がよろしいかなと思うのですが。治 験のことについては「治験の実施体制の充実・強化」と書いてありますが、EBMをつ くるということは国立病院機構の大きな役割として位置づけた方がよろしいかと思いま す。 ○猿田部会長  ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。言葉の使い方の問題ですね。 ○国立病院機構企画経営部長  ちょっと話を戻すようですが、全体のおまとめに入られているようなので、事実関係 を言うタイミングを失したということで、ひと言だけ余分なことを。  先ほど永井委員あるいは渡辺委員からお話しいただきましたように、地域との連携と いうことを今後どう考えていくか。今回はまさに省の方で私ども機構にミッションを与 えていただく側の議論だとは思いますけれども、機構としては日々、地域医療の中にい るわけでございまして、次期、それぞれの都道府県における地域医療計画の見直しの中 で、マクロとしてもさることながら、個々の病院が4疾患5事業、特にそれぞれの病院 がこれまで築いてきました最近の実績をもとに医療計画、いろいろな指定病院制度とか 拠点病院という形でそれぞれの地域で仕組みが体系化されるような流れになっておりま す。都道府県レベルで病院がなるべく私どもの仲間のうちでチームを組んで、行政ある いは関係者にアピールしながらきちっとしてポジションを占めるといいましょうか、あ るいは評価をいただくという取組はこれまでも続けておりますし、今後も一層続けてま いりたいと思います。  それと同時に、研究のところでもお話しいただきましたように、個々の病院がその地 域においてどのようなポジションを占めさせていただけるかという視点と、ネットワー クを組んでいることによる研究面あるいは臨床面において幾つか、私ども国立病院機構 として取り組んだことについて自負する部分とまだまだ課題があると思っている部分と ございますので、その部分をあわせてその地域における急性期型のNHO病院というも のの位置づけ、あるいは全体におけるその病院の位置づけの両方をもう少し今後、日々 の活動の中で明確にさせていただきたいと思います。  余分なことをもう一つ言いますと、永井委員から地財特措法についてコメントをいた だきまして、これまでも私ども機構、理事長初めいろいろなところでアピールをさせて いただいております。最近、医師確保の文脈の中で若干弾力化という部分もあろうかと 思いますけれども、必ずしも具体的な仕組みで地域医療、救急とか何かの分野で緩んで いるわけではございません。ただ、国立病院課長からありましたように、議論がだんだ んそういう形でしていただけるようになったというのは、我々からすると大変ありがた い状況でございますので、御支援をいただきたいと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかに御意見はございますでしょうか。各委員の先生から 御意見をいただきましたように、確かにもう一歩踏み込んだ形で示されればいいと思う のですが、なかなか今の状況で具体的にどう踏み込むかというのは難しいのですけれど も、一応、今、各委員の先生からいただいた意見があったということで、できればもう 一回、私、事務局の方々と相談させていただいて、特に先ほど挙げたような点が重要で ございますので、それを、もう来週になってしまっているものですから、28日、29日の 総会ではそういった意見をいただいたということで報告へもっていこうと思うのですが、 その点、どうでしょうか。特にそのときにこの評価委員会として強調しておかなければ いけない点があれば。具体的にどう踏み込むかというのはなかなか難しい問題でござい ますけども、特に今の地域医療との連携の問題は非常に重要でございますし、ほかにこ れという御意見がいただければ助かりますけれども。 ○渡辺委員  ある意味で安直な手なのだけれども、特に今後、地域医療もそうですし、医療制度改 革で特に来年の4月からほとんどスタートするという動きがある中で、簡単に結論を先 に言うと、こういった我々がつくるという前提の文章を更に具体的に詰めていくとか、 何かそういう文章を入れることでとりあえず今回は。逃げるわけではないのだけれど、 そういう具体的なことを更に今後やっていく必要があるのだよ、ということをコメント して書いておくということなのではないかと思うのですけどね。 ○猿田部会長  その中に特に一番というのは何がありますかね。 ○渡辺委員  ということは結局、国病が、先ほどあったけれども、政策医療は大事、しかし診療事 業でたまたま熊本とか東京医療センターの名前を出しましたけども、そういった急性期 ですばらしい水準のことをやっているそのものが見直しの対象になっては困るわけです。 個人的な意見でいっても。その診療内容みたいなもの、治験も含めて、それが伝わるよ うなことが一番重要かなと、私は思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。 ○国立病院機構管理室長  例えばおっしゃられた趣旨は、「地域ニーズに合致したきめの細かい」とかそんなよう な感じの、ということですね。 ○渡辺委員  新聞的にはそれでもだめだよ。だめといったけど、何かそういうことをもうちょっと 散りばめて、更に具体的にやるんだよ、というニュアンスが伝わるようなね。 ○猿田部会長  確かにここまで随分やってきたわけですよ。非常に効果が出てきて、だから、あとも う一歩、どうしていったらいいだろうかなというところがね。今いただいた渡辺先生の 御意見などを含めまして、私の方でもう一回そこを事務局と検討させていただいて最終 点検にもっていきたい、ということでよろしいでしょうか。先ほどいただいた皆様方の 意見はしっかり活かした形で総会でも報告させていただいてですね。もしよろしければ そういった形でお任せいただくということでよろしいですか。  (「はい」の声あり)  では、総会ではそういう方向で報告をさせていただくことにいたしまして、それでは 最後に、理事長からひと言。 ○国立病院機構理事長  2回にわたって18年度の医療事業とその基盤となる経営努力につきまして、我々の自 主的な取組の成果に高い評価をいただきまして、大変ありがとうございました。また、 本日は機構の組織・業務の見直し案、大変な大部の資料に基づいて検討していただきま して、誠にありがとうございました。  独法化の見直しの激しい議論の中で、今、御指摘があったような例えば旧療養所の病 院と国立病院を切り離してはどうかとか、あるいは黒字の病院は民営に移管したらどう かとか、あるいは146は大きすぎるのでブロックごとで分けたらいいのではないかとい うような議論が恐らくあると思います。その中で、やはり我々は146の病院で一体とな って運営するのがベストであるという戦略をはっきり明示して、めり張りの効いた今御 指摘のあった方向性を立ててやっていかないと、この議論の中で埋没してしまうのでは ないかと強く危機感を抱いております。  今御指摘のように、単に言い訳的なことではなくて積極的に打って出るようなそうい うめり張りのある事実をつくりあげて、今までの通り一遍の政策医療をやっていくとい うことでは通らないと思いますので、そういうことでもう少しきめ細かく検討していこ うと思っておりましたところ、ナショナルセンターの独法化、特に非特定の独法化の議 論が今、集中的に行われまして、政策的な戦略で国立病院機構はちょっとメインのテー マから外れてしまって、御指摘のように生ぬるいことに終わっていると思います。我々 もこのままでは、独法化の議論の中で単に146のネットワークを活かしてということだ けでは通らないと思うのですね。ですから、なぜそれが必要かとういことをはっきり納 得できるようなことを事実として提示していかない限り、なかなか難しいと思います。  全く御指摘のとおりのことですので、もう少し気合いを入れて(笑声)、業績評価にあ って見直しについては我々もそんなに、担当の事務局は一生懸命やっていただいたので すが、私自身も余りそれを細かく指示していませんでしたので、もうちょっと本腰を入 れて。御指摘のEBMの推進は、事業報告のときはEBMのエビデンスをつくっている ということをみんなに言っていたのですけれど、今、見直していきますとそういう文言 が足りないと。いろいろな御指摘があるので、私も少し気合いを入れてやっていきたい と思いますので、今後とも御指導をよろしくお願いしたいと思います。  どうもありがとうございました。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。特に今、矢崎先生がおっしゃったように、146の各 違いが随分ありますからね。それをどう考えていくか。それを一つにするのは、先生が おっしゃったように難しい問題で、これは本当に真剣に考えていかなければいけないと 思います。ありがとうございました。ほかに御意見がなければ。 ○辻本委員  先ほどいいかげんな言い方になってしまって反省しているのですけど、国立病院へ行 って、私は国民、患者の立場で診療を見せていただくときに、重心というところが非常 に大きな役割をしている。今度の総会など、総務省を説得するだけではなくて国民を説 得することだと思うのですね。その国民のすべての人に重心の医療を国立病院が一生懸 命やっているのだということをどれぐらい周知徹底しているかといえば、ほとんど知ら ないと思うのです。身の周りにそういう病いを持った人だったら実感しているかもしれ ないけれど、あとの人は全く日常的に情報も入ってこない。だから国立病院がどういう ところを一生懸命やっていて、それを保つためにこういう病院もあるんですよ、そうい ったことをもっともっと国民にわかりやすくアピールしていただきたいなということを、 あえて申し上げておきたいと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。貴重な御意見だと思います。ほかに御意見はないでしょう か。  もしないようでしたら、一応本日の議論するところは以上でございますけど、事務局 の方で何かほかに。 ○政策評価官室長補佐  7月、8月と猛暑の中を先生方には御議論をいただきまして、どうもありがとうござ いました。改めて御礼を申し上げたいと思います。  また、本日の資料でございますが、お持ち帰りいただいても結構でございますし、ま た事務局にお申し出くだされば郵送をさせていただきたいと思いますので、よろしくお 願いいたします。  重ね重ね申し上げますけれども、本日御審議いただいた内容等につきましては、現段 階においては公表されないよう、取り扱いには御留意いただきたいと思います。  次回の国立病院部会の開催は、また追って御連絡をさしあげたいと思います。  また、総会メンバーの皆様方におきましては、来週の8月28日、29日と総会がござ いますので、出席の方をよろしくお願いしたいと思います。  以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ほかに追加する御意見は。  もしございませんようでしたら、本日は本当に御熱心に御審議いただきまして、あり がとうございました。もう一回、私も事務局の方々と相談して、総会のときにはうまく 説明できるようにしたいと思います。  どうも本日はありがとうございました。 (了) 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)