07/08/24 第2回介護事業運営の適正化に関する有識者会議議事録  第2回介護事業運営の適正化に関する有識者会議 日時 平成19年8月24日(金)10:00〜12:00    霞が関東京會舘シルバースタールーム ○古都振興課長 それでは、定刻となりましたので、第2回「介護事業運営の適正化に 関する有識者会議」を開催させていただきます。  本日は、大変お忙しいところお集まりいただきまして誠にありがとうございます。  初めに、事務局の異動がございましたので御報告させていただきます。  総務課長の依田でございます。また、介護保険課長は大澤に異動いたしました。  ちょうど参りましたので、総務課長の依田でございます。  介護保険課長でございます。  続きまして、本日の出席状況でございますが、櫻井委員におかれましては、所用のた め1時間ほど遅れて御出席いただく予定、また、神作委員、少し遅れておられるようで ございますが、もうじきお見えになるかと存じます。  それでは、遠藤座長、よろしくお願いいたします。 ○遠藤座長 それでは、早速本日の議題に入りたいと思いますけれども、本日の議題は、 「介護事業運営の適正化に関するヒアリング」ということでございます。  まず、事務局から本日のヒアリングの流れについて説明をお願いしたいと思います。 よろしくお願いします。 ○榎本企画官 本日は、6団体の方からヒアリングをお願いしております。  資料をお手元にお配りしてございますが、資料1という1枚紙がございますが、これ が本日ヒアリングをお願いしております団体と発表者の方々のリストでございます。  本日おいでの皆様を御紹介させていただきたいと存じます。  まず最初に、全国老人福祉施設協議会の会長でおられます中村博彦様でございます。  同じく全国老人福祉施設協議会の経営制度委員会委員長の宮島滉至様でございます。  有限責任中間法人日本在宅介護協会の常任理事でいらっしゃいます建部悠様でござい ます。  全国介護事業者協議会の監事でいらっしゃいます馬袋秀男様でございます。  日本介護支援専門員協会の会長でいらっしゃいます木村隆次様でございます。  日本労働組合総連合会の総合政策局生活福祉局長でいらっしゃいます小島茂様でござ います。  保険者代表として、仙台市健康福祉局保険高齢部参事兼介護保険課長でいらっしゃい ます南方順一郎様でございます。  以上の方々に本日は説明、ヒアリングをよろしくお願いしたいと思っております。  そして、お手元の資料の2以下は、あらかじめヒアリングで御説明をお願いしており ます各団体の方から、御意見を簡単にまとめていただいた資料でございます。資料がお 手元にあるかどうかを確認いただければと思います。  資料2といたしまして、全国老人福祉施設協議会の提出資料。  資料3といたしまして、日本在宅介護協会の提出資料。  資料4といたしまして、全国介護事業者協議会の提出資料。  資料5、横紙でございますが、日本介護支援専門員協会からの提出資料でございます。  資料6として、連合からの提出資料でございます。  資料7として、南方仙台市課長様からの資料でございます。  あと、ちょっと追加でございますが、全国老人福祉施設協議会の方から1枚、「コム スン・くすのきの郷問題!」というタイトルでございますが、資料を提出いただいてお りますので、御確認をお願いしたいと思います。  遺漏はございませんでしょうか。  それでは、これからヒアリングを進めさせていただければと思いますが、何分にもち ょっと時間に限りがございますので、大変恐縮でございますが、本日お越しいただいた 皆様方から、それぞれ簡単に10分程度御説明をお願いいたしまして、その後、まとめ て委員の皆様と質疑、意見交換などをしていただければと考えております。  以上でございます。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  関連団体の皆様、本日は本当にありがとうございました。それでは、早速御意見を承 りたいと思います。  まず最初に、全国老人福祉施設協議会の宮島さんから御説明いただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○宮島委員長 それでは、簡単に述べさせていただきます。  まず、1番目の「広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り方について」とい うことでございますけれども、現在の介護保険法等でかなり規制はかかっておるわけで ありまして、ただ、我々がこれを見ますと、指定できない要件等でございますが、それ に類する事業をすべて指定してはならないという連座制、これの適用がございます。 我々の福祉法人がやっておりますのは、今までは施設サービスからスタートしておりま して、居宅サービスというのはそれに付随してやっているという点がございます。こう いう制度の中で、居宅サービス等で「不正又は著しく不当な行為をした者」というよう な文章で、これに適合されますと、その居宅事業のみにかかわらず、入所施設の方も連 座制をもちまして更新ができなくなるような文章でございます。これに関しては、いさ さか問題があるのではなかろうかと。  それから、責任の問題でございますけれども、法人の代表とか事業所の責任者、この 辺が全部一緒になっている。これはいささか問題があるのではなかろうかとも考えてお ります。  これで一番問題になりますのは、文章の中で「不正又は著しく不当な行為をした者」 という表現がございますが、これは一体どの程度のもの、何を指すのかという具体的な 説明が全然ございません。この辺をもう少しはっきりすることが必要ではなかろうかと 考えております。  それから、2番目の「指定事業者における法律遵守」の問題でございますけれども、 我々福祉法人といいますのは、社会福祉法における指導・監査、介護保険における指 導・監査、それからまた、これに関係なく、ほかにいろいろな法律がございまして、消 防法とか、食品衛生法、労働基準法とか、いろいろな法律のもとで、各省庁から指導・ 監査等を受けておるわけでございまして、もう少しこの辺を簡素化する必要があるので はなかろうかと考えております。と申しますのは、介護保険法で言いますサービス情報 の公表、サービス情報公表は、事業者、我々による自己チェックを都道府県に提出、そ して指定の調査機関による調査、そしてそれの後、公表というチェックもあります。ま た、第三者サービス評価、これは、グループホームとか、小規模多機能とかもそこのチ ェックを受けるわけでございまして、これをそれぞれやるということではなくて、この 3つを合わせたような形態で、もっと簡素化した、一本化したチェック機能ということ が望ましいのではなかろうかとも考えております。  3番目の「事業廃止時における利用者へのサービスの確保」ということでございます けれども、これは、かつて在宅介護支援センターというのが各中学校学区に1つという ことで、17年前だと思いますが設けられております。それが17年間、おととしぐらい まで、今でも続いているところもありますが、多くのところはこれが廃止になっており ます。こういうせっかくやっているものを急になくして、地域包括センター一本化にな ってしまうというようになっておりますけれども、これはいささか問題があるのではな かろうか。むしろ、以前の在宅介護支援センター、本当にきめ細やかに地域の方とも、 相談事とかに乗ったりできる、そういう信頼関係を持ってきたわけですから、そういう ものをもう一度考え直す必要があるのではなかろうかと考えております。  それから、その他のことになりますけれども、これはもうデータがあるので見ていた だければいいと思いますが、介護に関しての職員の不足でございます。これは、募集し てもどうやっても全然応募が来ないという状況は、もうほとんどの新聞、テレビ等で報 道が出ておりますので皆さん御存じかと思いますが、本当にこれなくしていろいろなも のが、この規制をどうこう言ってみても始まらないのではないか、これが一番大きな問 題ではなかろうかと思っております。  簡単ではございますけれども、時間もありませんので、以上で終わらせていただきま す。 ○中村会長 それでは、ちょっと続いてフォローさせていただきたいと思います。  これはもう皆さんが御存じのとおり、介護サービスの指定の類型で連座制があるとい うのは、よくわかっておることでございます。指定居宅サービスにしましては、もちろ ん70条の違反というものが出てございます。しかし、そこにございますように、すべ て指定居宅サービス事業者の指定に関しては、御存じのとおり、9項において、連座で なくして、私がつくった言葉でございますが、「全座」に適用されるようになってござ います。介護老人福祉施設は、86条でこの指定の問題というのに触れてございますけ れども、86条6項において「不正又は著しく不当な行為」を行う場合には、全部の類 型をすべて超えた形で取り消しがあるというような、類型別の「連座」から「全座制」 という重い責任を持たされているわけでございますので、是非御検討いただきたい。  これは、今、弁護士さんもおいでになっておりますけれども、御存じのとおり、不 正・不当、不正は法律違反でよくわかります。しかし、不当というのは、本当にあいま いな言葉の中で、どのような形でこの行為を指定していくのか、規定していくのか。警 察比例の原則というのがございまして、これはもう私が申し上げるまでもございません けれども、行為と処分、行為と結果というものは正比例でなくてはいけない。バランス を欠いてはならない。規模によって、大きさによって、不正があったとき、悪質によっ て、コムスンについてはもちろんのことでございますけれども、やはりこの規定につき ましては、もう一度精査をする必要が出てきているのではないか、こういうことを是非、 この不正不当な行為、そして連座制が、連座、連座という言葉が踊りながら、結果は全 座につながっておる、全事業所を対象にしておるということは考えていただきたいとい うことでございます。  それと、もう1点申し上げておきますけれども、是非申し上げておきますが、この 我々の社会福祉法人の場合に、当該法人の役員というものがございます。そして、申請 者が法人で、その「役員等」というのがございますが、この理事長、理事というのは、 本当に株式会社と違いまして、責任という問題、それから報酬をいただいておりません。 御存じのとおり、社会福祉法人は、そのできてきた結果、当事者能力の中で理事が選ば れてはおりません。社会福祉法の局長通知によって、例えば、「理事は、社会福祉事業 について学識経験を有する者。地域の福祉関係者を加えること」、こういうような規定 の中で理事が選任されておるわけでございまして、その理事は99%以上、無償でござ います。そして、当事者が理事を決めたわけではなく、行政主導によって理事が決めて おられるのが大半でございます。そういう場合に、理事の責任、役員の責任という部分 につきましても、法のもとの洗い直し、整合性というものを是非考えていただいたらと 思います。  最後に申し上げておきますが、私たちがデータとして出させていただいておりますこ の現状としての現場介護職の賃金、それから御存じのとおり離職率、これは、今日に合 わせてデータをつくらせていただいておるわけでございまして、よくよく御分析をいた だいたら、この介護人材の流出もとまるような制度提案を是非ともお願い申し上げたい。 これは、私たちが全力で今日に合わせて老施協としてデータをつくらせていただきまし たことを申し添えさせていただきます。  ありがとうございました。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  それでは、引き続きまして日本在宅介護協会の建部様から資料の御説明をお願いした いと思います。よろしくお願いします。 ○日本在宅介護協会 それでは、この資料3に沿いまして御説明申し上げたいと思いま す。  まず、1番の「規制の在り方」でございますが、今の「事業所単位の管理」というの は、やはりいろいろな、例えば老人福祉法ですとか老健法ですとか、そういったものの 事業所管理の仕組みから見ますと整合的なのではないか。そういう意味で、従来どおり 事業所単位で指定を行う、あるいは取り消しをする、この制度は維持すべきではないか と思います。  しかしながら、「連座制」の適用については、2点ほど見解がございます。  まず、 eq \o\ac(○,イ) でお示ししましたけれども、事業者の1つの事業所で取り 消しの処分がなされた場合、ぐあいよくいっているほかの地域にもこれを適用して連座 をさせるということになりますと、現状心配されているようなことが起きるわけでござ います。そこで、私ども具体的には、現在の介護保険法70条の第2項を「都道府県知 事は、……指定を拒否することができる」といったぐあいにすれば、そこに判断の余地 が出てくるのではないかということでございます。  次に、2ページ目でございますが、もう1点、この指定連座制に関しまして、非常に 「地域限定的な不正」と「横断的な不正」、これは、言葉を変えますと、その指定事業 所に起因する不正であるのか、「広域事業者」という冠がついていますので、それから いきますと、要するに本社のガバナビリティーに問題があって不正が発生しているのか。 これは私ども「地域横断的な不正」と表記させていただいていますけれども、これは、 処分のありようというのは違うのではなかろうかということでございます。  現行は、個別的な、地域限定的な不正については仕組みがあると思いますけれども、 地域横断的な不正、すなわち、本社絡み云々のときはどうしますよという規定がやや見 えないのではないかということでございます。したがって、地域横断的な不正に対処す る取り消し・指定拒否の制度としてきちんと検討すべきではなかろうかということでご ざいます。  次の(2)と(3)は、3ページにわたりますけれども、ここにお示しさせていただきました のは、いわば罰則ですとかそういったことの強化、あるいはその方法、新しいものを導 入するとかそういう視点ではなくて、むしろ不正が出ない、不正をもとから絶つという ような視点からこの法を見直す点が幾つかあるのではないでしょうかという観点から提 案させていただいております。  まず、その最初でございますけれども、やはり広域事業者という概念ですとか小規模 事業者、あるいは地域密着とかいろいろな言葉がございますけれども、もちろんサービ スは地域密着ということでしょうが、市場を開放して民営化をしてという中では、やは り介護サービス市場においても競争原理を機能させて、サービスの質的向上とか事業運 営の効率化を目指すべきであるということでございまして、地域にだけしかない、零細 な小さい単位の方がいいんだということに近い認識というのは、私どもは必ずしも適切 ではないと思います。そういった意味で、事業規模の拡大の自由度が保たれた制度を維 持していってもらいたい。新しくどういう規制を導入するにせよ、そういう観点を落と していただきたくはないということでございます。  そうしませんと、やはり労働環境の向上をするとか、サービスの質を向上する、ある いはコンプライアンス体制を維持する、構築する、教育・研修をしっかり実施していく ことが、言ってみますと、「一事業者一事業所」というようなところでどの程度期待で きるのか。ある程度まとまった経営体としてあった方が、これは一般論として向いてい るということは言えるのではないかということでございます。そういった意味でも、適 正な規模の事業拡大を目指すのは、否定されるべきことではないということでございま す。そんなことを申し上げております。  3ページ目でございますが、これも、不正が発生するのをもとから絶つという意味で 御提案させていただいていることですけれども、今は事業者のほとんどが、言いますれ ば極めて小規模で零細という状況にございます。事業者が自主管理の責任を十分果たし ていないことは否めないと思います。それは何でかといいますと、やはり小さいという こともあります。  それと、この介護保険法で求められておりますいろいろな仕組み、言葉を変えますと 規制かと思いますが、ケアプランの見直し、モニタリング、ケアカンファレンス、やれ 提供責任者の配置基準云々ということを言いましても、全部それが本当に必要なもので あるのかどうか。これは、利用者の側から見て必要なものであるのかどうか、そういっ たことも含めまして、我々は、現場から見ますとやや過剰規制ではないかという感を持 っていることは否めません。したがって、不正が発生しないようにもとから絶つ、その ためには、どこをどういうふうに、広い視点でこの介護保険を見直す必要があるのでは ないでしょうかということでございます。  この1のテーマについての結びとしまして、そういったことで、我々は、行政の皆様 方と業界団体が協同で、この点についてしっかりコンプライアンスが行き届くような仕 組みをどうするか。具体的には、仕組みをつくり、しっかり運営させ、運営がなされて いるかどうかを検証する。それで、十分でないところは是正するといった仕組みを、具 体的にはチェックリストみたいなものを、公的なものをつくってみるとかというような ことを、作業部会を設置して、協同で勉強といいますか仕組みづくりをスタートしたら いかがでしょうかということが結びでございます。この不正が発生しない仕組みづくり の中での提案でございます。  次に、2番目の「法令遵守徹底のために必要な措置」ということでございますが、こ れの(1)、(2)、(3)のところは、これも、やはり仕組みがわかりやすくて、規制の内容がわ かりやすくて、遵守しやすいという中身をつくっていかなければいけないのではないか。 それが、まず、とにかく法令を守りなさいという前提ではないかということが、(1)、(2) でお示ししていることでございます。  殊に、4ページ目の(3)、(4)のところでございますけれども、契約関係である。私ども も、不正ということで業界の会員会社でそういった処分とか処置を受ける法人が出てき まして、誠に遺憾であると思っておりますが、しかしながら、契約という規範意識から これを見てみますと、利用者との間では介護サービスの提供契約を交わして、その契約 者として、供給者としての債務はしっかり履行しておるわけです。これについては債務 不履行はないわけです。そうしますと、要するに提供サービスの品質ですとか、あるい は契約債務の履行をするという点においては不正はなかったと認識いたしております。 一方、運営規定を守っていない、運営管理上のコンプライアンスは不十分である、この 点は処分されたとおりかとは思います。  そういった意味では、この介護保険法全体の中にもう少ししっかりと保険関係者、あ るいは利用者、あるいは事業者、この三者の関係を、契約関係にあるんだということを しっかり位置づけていただく。極端にいいますと、今の法律では、契約書を交わしなさ い的な明示はないわけです。したがって、そのところを考慮していただきたいというこ とでございます。  それから、(6)ですけれども、これは、一体どういった規制があるのか、我々が調べな がら、全部を網羅して、それを正しく解釈して、しかもそれを一社一事業所みたいなと ころまで周知徹底して、それの理解についてずれがないというところをやろうと思うと、 今の仕組みでは極めて困難です。どこでどんな法が出たのやら、指導が出たのやら、解 釈通知が出たのやらということがよくわからないということでございますので、その仕 組みをつくっていただければいかがかということでございます。  3番目の「サービスの確保のために必要な措置」でございますけれども、これは、事 前届け出または事前申請という形が適切なのではないかということでございます。  もう1点は、事業廃止といいましてもいろいろな形がございますので、これは、まず そういったパターンごとに、どういうケースの場合にはどういう措置だと具体的にこれ を検討して定めていくべきではなかろうかということでございます。  最後に、4番目については、私ども、書き物としてはお示ししませんでしたけれども、 さきに老施協の皆さんから御提案いただいたようなことを私ども強く望んだわけでござ いますが、この場ではいかがかと思って書かなかったということだけでございまして、 望みは同じでございます。  済みません、時間をオーバーしました。以上です。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  それでは、引き続きまして全国介護事業者協議会の馬袋様から資料の御説明をお願い したいと思います。よろしくお願いします。 ○全国介護事業者協議会 通称民介協と呼んでおります。馬袋の方から説明させていた だきます。  まず、私どもの会ですが、訪問介護、訪問入浴を中心として全国480社の会員の組 織であります。会員の大半は、先ほどありましたように中小と言われる、地域に密着し て事業を展開している事業所が多いのも事実でございます。そういったところを踏まえ て、今回の内容に対して御説明していきたいと思います。  まず初めに、今回こういう事件が起きたことについて、現場で今起きていることの中 で一番つらいことは、ヘルパーが訪問したときに、「あんたのところは大丈夫なのか」 と言われている現状について非常につらい思いをしております。もう一つは、利用者か ら「不安だ」ということです。これは、私たち業界としても、早く信頼を回復して、地 域に密着して、安心して介護サービスが提供できるということを構築していかなければ いけない。そのことを中心に、私たちの団体として何が大切かということを中心に御報 告させていただきます。  まず初めに、資料4のところでございますけれども、1番でございますが、「広域的 な介護サービス事業者への規制の在り方」ということで、御質問の事項は2点ございま した。これに関しては、事業者が不正を未然に防止する方策ということと、不正を行っ た場合に適切に対処する方策ということでございます。ここに対して、私としては、提 案(1)のところで書かせていただいておりますが、基本的には事業所単位での規制運 用を徹底することだと思っております。そして、特に事業所は地域に密着していますの で、市町村の方々、保険者の方へ権限を移譲して運用を徹底することをお願いしたいと 思います。  そもそも今回の問題は、都道府県でたくさんある事業所を、都道府県の数名の担当者 が監査をしていくことは、物理的に無理であったのではないかと思っております。すな わち、一番地域に密着しているところが、その運用を図られることが適切であると思い ます。  規制には3つございます。事前規制と、実施指導・監査、そして自己規制があります が、その規制と権限とが、運用上の権限明文が定かではないのではないかと思っていま す。是非、基本的な運用については、市町村、保険者を中心に運用されるのがいいので はないかと思います。  (2)に、広域的に実施されているところにつきましては、やはり展開されている地 域や規模別において、県または国というような単位で事業者としての届け出、運用、そ れからコンプライアンスに関する実施状況を報告していく方法が必要ではないかと思い ます。  (3)の規制別のところについてはここに書いております。事前規制ですが、そもそ も今回起きたのは、事前規制の内容の虚偽があったと思います。なぜ虚偽があったのか というと、膨大ないろいろな処理について、実施、検証する仕組みが不適切であったの ではないかと思います。特に、人員基準とか内容は、やはりそのもの、本人であるとい うサイン、労働契約というところで、十分今の仕組みの中で、確認する仕組みをつくれ ばいいと思います。  それから、設備基準、運営基準についてですが、やはり膨大な量を県でやっていらっ しゃったために、現地を見に行くことが困難であったということだろうと思いますので、 市町村に権限移譲し、まさにどの場所で、どのようにやるのかというところを現地で確 認していただくことだと思います。そして、必要な書類は現場にあるのかをここで確認 していただけばいいのではないかと思っております。  もう一つは、管理者というのがコンプライアンスの法的遵守の担当者であることを明 示するとともに、事業者へ、この事業の法的管理の担当者を設置し、報告する体制が必 要だと思います。  (2)の実施指導・監査に関しましては、基本的には、事業所管理者に対して、地域で研 修会というのが本当に定期的にされていたのかという疑問があります。実施されている 市町村もありますが、この1年間にそういう研修会などが1回しかなかったというよう な地域の事業所からの情報もあり、これはばらばらでありますので、これを定期的にや るべきであると思います。  それから、変更届けというのが、事実上、仕組みはありますが、本当に正確に出てい るかというのは疑問があるところですので、6カ月ごとなど定期的及び変更時にどのよ うに出すのかを仕組みとして提案いたします。  それから、介護情報の公表制度が実施されました。この内容をうまく使い、調査員が、 変更の中身が本当に適切なのかを、1年に1回あるわけですから、ここで確認する仕組 みを提案いたします。  これは切に監督官庁にお願いしたいことですが、実施指導される行政の方々の内容が、 標準化教育がされていないと私ども思っております。それは、ばらつきがあるというこ とです。やはりその方々に対しての監査する側の監査技法及び知識、それから保険の適 正のことについては是非、監査される側の方はどういう教育研修を受けた方なのかを明 示していただきたい。  法令遵守のことは当然ですが、内部監査の適用と、あと内部通報、職員がこんなことがある ということを通報したときに、保護される窓口をお願いしたい。  事業者の支援計画ということでありますが、是非計画をつくって、実施した内容を開示して いただきたい。それは、事例から学ぶ体制であります。  (3)事後規制でありますが、不正を行った場合の対処ですけれども、当然、不正にはいろいろ ありますが、実施指導、監査、是正計画、その後の対策と検証という活動そのものについて、 どのような仕組みでやるかというのが、いろいろな書類を見ますがありませんので、是非これ については仕組みをつくっていただきたい。  不正事業者の公表についても、利用者の混乱を回避するために、どのようなバックアップ体 制を取って回避するのかということも必要であろうと思います。その場合に、その事業者に運 営を継続させるために何が必要かということは、管理者、マネジメントできる人材がそこに緊 急措置で入ることが適用として一番早いと思いますので、その管理者等を派遣することで緊急 避難できると思います。  2番「法令遵守の徹底」のことでありますが、基本的に、これは徹底するのが当たり前とい うことであります。いろいろな法人があるから難しいのではなくて、法令を徹底する仕組みを つくって運用することであると思います。  提案としては、(1)にありますが、事業所単位で徹底してやること、事業者については、 連座制の適用で十分法令を徹底できると思います。  それから、(2)の広域的に展開しているについては、先ほど申し上げましたとおりです。 やはり、指導監督の仕組みをつくっても、一番大切なのは企業の理念でありトップマネジメン トであると思いますので、ここまでは規制できません。これは企業の倫理でありトップマネジ メントの資質であります。  (3)具体的な方策につきましてはこちらに書かせていただいておりますが、特に(3)のとこ ろですが、解釈の標準というものをお願いしたいと思います。やはり私たちは事業者として、 現場でやっている事業所管理者は、突然来られて、これはどうなんだと言われたときに、びび って回答できないのが現状です。監査されていてですね。それで不正だと言われてしまったと きに、現場の方は混乱が起きます。では、なぜそれが不正なのかという解釈がどこにあるのか ということについては、なかなか明文化されたものがありません。よって、明文化された解釈 については、だれもがある程度わかるということにしていただかないと、受ける側にとっては 不安であります。  それから、国民の理解の問題であります。介護保険と社会福祉の役割分担について十分説明 がされていないと思います。介護保険ですべて介護が賄われる、家事が賄われるという、今で も介護は生活の利便性を補完するものではないかと誤解されている方も多くありますので、や はり保険は要介護の事故弁償であり、要介護予防への対策であるということに対しての啓蒙活 動をお願いしたい。それから、多様な事業者が適切に事業運営していくことが、いかに安定し たインフラであるかということも是非啓蒙していただきたいと思います。  2番目の「事業者廃止における利用者へのサービス確保のために必要な措置」ということで すけれども、基本的には、都道府県の中の団体等で委員会を設置して、継続及び事業所支援を することでいいと思います。  その次に、保全処置として、これはまだ検討する余地はありますが、よくあります業務代行 事業者の選定というものを設けることも、一つあろうかと思います。  その他の意見につきましては、介護報酬等のところでございます。コンプライアンス、それ から労働環境の整備ということで、多様な内容が事業者には求められています。零細事業者に とって、さまざまな制度の変更、コンプライアンスを守ることは非常に厳しいのも事実であり ますが、それを徹底できて、本当にこれならできるという運営は何なのかということを含めて、 経済的なところも支援がないと、今、非常に困難な状況にあることを申し伝えておきたいと思 います。  以上でございます。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  それでは次に、日本介護支援専門員協会の木村様から、資料の御説明をお願いしたいと思い ます。よろしくお願いします。 ○日本介護支援専門員協会 よろしくお願いします。日本介護支援専門員協会の木村です。  まず、本日、有識者会議で私どもの意見を述べさせていただく機会をいただきましてありが とうございました。  1ページめくっていただきまして、私どもの協会は、平成17年11月に介護支援専門員一人一 人が入会する職能団体として設立されました。現在、県支部は43支部、会員は47都道府県に約 4万人おります。  前回の有識者会議でデータが出ていたと思いますけれども、取り消し事例等の数字を見ます と、訪問介護事業所が全国に2万事業所あって167の取り消し、次に多いのが、全国に2万 7,000件の指定居宅介護支援事業所があって131件の取り消し事項があるということの報告があ ったということを伺っております。特に、私どもは指定居宅介護支援事業所に勤務する介護支 援専門員が非常に多いものですから、今回の意見は、「法令遵守徹底のため」というところに 特に絞って提言させていただきたいと思います。  結論から申し上げまして、人員基準等の事前チェックのところは、規制があって、もっと厳 しくするのは当たり前だと思います。税金と保険料で賄われているわけですから、入り口のと ころでまずチェックしていただきたい。問題なのは運営だと思います。そこには、やはり「ケ アマネジメントの徹底が必要」だと思います。このケアマネジメントの徹底をしていくことで、 不正が起こらないという仕組みでもともと動いているわけでございます。  3ページをごらんいただきたいのですが、釈迦に説法かもしれませんが、ケアマネジメント は、いろいろな専門領域を超えた生活課題を総合的に把握して、課題解決に向けて具体的達成 目標を定め、計画的にチームでアプローチします。1人で介護支援専門員が勝手にやるのでは ないし、訪問介護員が勝手にやるのでもないし、デイサービスの事業者が勝手にやるわけでは ありません。  プロセスを言いますと、概略でございますが、利用者がいまして、アセスメントして、そこ で介護支援専門員がいろいろな課題を抽出するわけでございますが、ケアプランの原案をつく った後に、サービス担当者会議を開催し、医師など、ほかの多くの職種の人たちがかかわって、 そしてケアプランが決定されて、当然、御本人の了解があって、そしてケアプランに基づいて 実施されていって、その効果がどうなるかということであります。そして、モニタリングを常 に繰り返して、修正をかけて自立支援をしていくという形の流れがあるわけです。  これをしっかり動かすことで、結果的に不正があるかないかというようなことがチェックさ れることになります。モニタリングのところで本当に計画どおりそのサービスが提供されたか どうかというようなことが、介護支援専門員の訪問によって確認が可能になります。そして、 結果的に、給付においてのセーフティーネット、それからケアマネジメントが充実しますと、 多くの人の目が入りますから、そのルールに基づいたことがしっかり遂行されることになりま す。  4ページでございますが、そのサービスが提供された後に、真ん中に「突合チェック」とい うのがありますけれども、左側にあります、指定居宅介護事業所が給付管理票を出します。い わゆるケアプランに基づいて。そして、右側からそれぞれの指定サービス提供事業所から介護 給付費請求書が出てまいります。そのときに一致していなければいけないわけです。ですから、 介護支援専門員が、現実にそのサービスが、右側にあります指定サービス提供事業所のサービ スが提供されたかどうかをしっかりチェックしていって、突合していくことになります。そう ならないと介護報酬は支払われないことになっています。ですから、ケアマネジメントプロセ スの中で、そのサービスが本当にしっかり入って、提供されて、自立支援の方向で行っている かどうかのチェックをもともと介護支援専門員がやることになっていて、そこを徹底していく ことが大事であります。  5ページでございますが、まず、「医療保険と介護保険の指導・監査(概要)」ということ を書きましたけれども、上の段の吹き出しのところの表現が、法律的に見ますと少し、正確に 言うと間違いだと思いますので、訂正したいと思います。「職能団体の組織が立会い」と書い てありますが、法律には、それぞれ医師、歯科医師、薬剤師等の専門家、有識者が立ち会うこ とになっておりますので、この上の段の吹き出しのところは、意味合いとして、法律的には専 門家が立ち会ってやっていると解釈していただければ結構だと思います。しかしながら、実態 は、各職能団体の方々が、有識者としてしっかり立ち会いをしているということであります。  このように、医療保険は指導から、指導の中に集団指導、集団的個別指導、個別指導の中に このようなことがありまして、共同指導、特定共同指導、さらに監査という形でこういうふう になっております。  今般、介護保険法でも、下の段にありますとおり、指導・監査がこのように変わっているわ けであります。  私どもが提案したいのは、このような有識者、専門家が立ち会って、きちんとそれを現場に 落としていくことが必要だと思いまして、6ページに提案を書かせていただきました。  まず、「指導・監査についての提案」ということで改めてお願いしたいのは、都道府県にお ける指導・監査の担当者は、はっきり言いまして、現場ではケアマネジメントをわからない担 当者が来て、いわゆる指定居宅介護支援事業所の中でのケアプランのチェックなどをしていき ます。書面のチェックとかは、私はきちんとできていないとは言いませんけれども、具体のケ アマネジメントの内容のことについては、やはり介護支援専門員の資格を持った都道府県の指 導・監査の担当者であるべきだと思います。  さらに、この指定居宅介護支援事業所の指導・監査に関しては、できれば職能団体の役員、 つまりケアマネジメントを実地にやっている専門家が立ち会うべきと考えます。しかしながら、 先ほど申しましたように、2万7,000件の事業所がありますので、全事業所に立ち入るのは大変 厳しいと思います。ですので、一つの提案として、監査に至った事業所、または広域的な事業 者の指導・監査に対して、こういうことをまずは第1段階として導入すべきではないかと考え ます。  3つ目の黒ポツでございますが、広域的な事業者についての指導・監査担当者ということで、 今は都道府県の担当者の方々がやっておりますが、医療保険に照らし合わせてみますと、広域 的なところは厚生労働省、地方厚生局の指導監督担当官が一緒にやる方がいいと思います。  それから、4つ目の黒ポツでございますが、現任者の介護支援専門員に、集団指導への年1 回出席を義務づけるということ、これも提案します。これは大変な作業かもしれませんが、私 ども職能団体として、研修会をかなりの回数重ねておりますが、いわゆる法的な根拠を持って 法令遵守等の研修に参加する義務がなければ、すべての現任者に対しての法的なことの徹底は かなり難しいことだと思います。ですので、集団指導という形で、常に法令遵守に対しての意 識を持つ、そういう理解を毎年毎年徹底していくことが必要だと思います。  それから、「介護サービス情報の公表制度」のことでございますが、大体1年やりましたけ れども、このことが利用者、つまり国民に理解されていません。国民に理解されていくという ことの中で、いわゆる法令遵守がされているか、されていないかというところは、指定居宅介 護支援事業所の公表事項の中には、ほとんどの運営基準の内容が記されていますので、そこで、 はい、いいえというところで見ていったときに、実際契約はしているけれども、契約を遂行し ている、つまりサービスを受けているさなかに、ちょっと違うのではないかというようなこと が発見される仕組みという形にもなりますので、是非国民への「介護サービス情報の公表」の 周知徹底をお願いしたいと思います。  繰り返しますけれども、立ち会いをするところに、専門家である職能団体、実地をやってい る役員等が立ち会いをし、当該指導内容等を現場に迅速に、的確に伝えていくことが、質の向 上と法令遵守に進んでいくことだと思います。  次に不正につながるところの一つの要因として、私ども団体として考えていることを述べさ せていただきます。  8ページにポンチ絵がありますけれども、「指定居宅介護支援事業所の設置状態」というの は、大きく分けまして、同一法人内に指定居宅介護支援事業所が設置され、同一法人内の、い ろいろなサービスがこの左側に記載したとおりあって、あくまでもサービスの質の向上という ことで、同一法人内でも的確にサービス適用させているということは行われていると思います。  しかしながら、まず、ケースAで考えますと、経営の実態で考えますと、指定居宅介護支援 事業所の今の報酬体系では、全く自立して経営できる内容になっていないと思います。赤字と いうことになりますと、やはり部門としては赤字でございますので、法人内で収支バランスを 取っていくことになりますと、あるところでは積極的に法人内のサービスを使う。そうなりま すと、公正・中立にやるケアマネジメントというところに若干ぶれが生じる可能性もあると思 います。ですので、あくまでも、同一法人内の事業所設置というのは全く反対しませんが、独 立してこの部門の経営が成り立つようにならなければ、公正・中立な、まさに機能的によいケ アマネジメントができないんだと思います。  ケースBに関しては、独立していくときに、だれもこの事業所を助けてくれません。ですの で、これは悪い意味で言いますと、サービス事業者となあなあの関係になって、いろいろなサ ービスを、不正があるところにチェックを入れていくとかのところに、少し甘くしてしまうみ たいなこともやりかねないと思います。ですので、全く独立した経営ができるようになれば、 本来あります公正・中立なケアマネジメントをきっちり実施して本来の機能が発揮できるとい うことがあると思います。  9ページに今申し上げたことをまとめてみました。2つのケースを考えたときに、高い倫理 観を持つことは第一義であります。しかし、経営の実態をよく見ていただきまして、一生懸命 機能的に公正・中立な運営をしたいと考えていますが、そのときに若干うまくいかないような ことにもなっているのではないかというようなことが現場から上がってきておりますので、よ ろしくお願いします。  そして、10ページでございますが、今申し上げたことの繰り返しになるかもしれませんけれ ども、「法令遵守徹底のためには」、とにかく責任者であります介護支援専門員の研修が不可 欠と考えております。申し上げました給付管理業務を担う唯一の専門職として、それからケア マネジメントプロセスをしっかり動かす立場として、不正を防ぐ立場として、それからサービ スの実態について利用者に直接聞ける立場に介護支援専門員はおります。そのモニタリングの 際に、実際にサービスが提供されたかされないかと。 ○遠藤座長 済みません、ちょっと予定をオーバーしておりますので、手短にお願いします。 ○日本介護支援専門員協会 はい。  そういうことで研修が大事だということであります。  最後になりますが、私どもは、今回のことが起こる前に、「介護支援専門員倫理綱領」を採 択しました。それから5月9日に、都道府県で行う集団指導に徹底的に協力しようと。それか ら、私ども自体の研修会で、法令遵守を前に進めることを今、行っていて、都道府県の開催状 況の報告を求めています。  それから、「事業廃止における利用者へのサービス確保に関する必要な措置」ということは、 まずは市町村において責任を持っていただくことは当たり前でありますが、今回のことに関し て、全国から情報が来ました、地域の介護支援専門員のネットワークがあって、しっかりその サービスをつなげていくには、地域の介護支援専門員が頑張ればやれるんだということがあり ます。ですから、介護支援専門員のネットワークにゆだねていきたいということであります。  以上、日本介護支援専門員協会からの提案でございます。ありがとうございました。 ○遠藤座長 どうもありがとうございました。  それでは、引き続きまして日本労働組合総連合会の小島様から資料の説明をお願いしたいと 思います。よろしくお願いします。 ○日本労働組合総連合会 連合の小島です。よろしくお願いいたします。  資料ナンバー6に私の今日のヒアリング資料、発言のポイントについて資料がありますので、 そちらをごらんいただきたいと思います。  私は、被保険者の立場あるいは利用者、そして介護労働者を代表する立場で今日は発言させ ていただきたいと思います。  ページをめくっていただきまして、今回、3点ほどこのヒアリングに当たりまして論点が示 されておりますので、それに従って基本的な考え方を述べたいと思います。必ずしも連合組織 的に今回の規制の見直しについて改めて十分に検討したわけではありませんので、これまでの 考え方をベースにした基本的な考えについて今日は述べたいと思います。  第1点目については「広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り方」でありますけれ ども、介護保険制度スタート時においては、事業者については性善説に立って、あるいはこの 間の事前規制から事後規制という流れの中で法律自体が制度設計されてきたということであり ますけれども、それだけではなかなか今回のような問題も起こってくるということがあります ので、やはり事後規制のところを徹底的な制度整備をもう一度考え直す必要があるんだろうと 思っております。そういう観点から、2つほど規制のあり方について述べたいと思います。  1つについては、今回のコムスンの問題につきましては2つほどあります。1つは、やはり 大きな法律上の問題からして、処分を受けた事業者が譲渡する場合の要件をどう考えるかとい うこと。今回については、行政指導という形で、同一グループ内への譲渡については認めない という行政指導がされましたけれども、これについて必ずしも法律的根拠があるわけではあり ませんので、この辺について、合理的にきちんとした整理をしておく必要があるだろうと思っ ております。  2つ目は連座制の問題。先ほどから何人かの御発言がありますけれども、今回の法律の中で も、指定取り消しあるいは更新を認めない要件として、条文では「不正又は著しく不当な行 為」というような表現になっておりますが、その不正又は、特に「著しく不当な行為」という ことが具体的にはどういうことを指すのか、その辺についての内容をきちんと明文化しておく 必要があるだろうと思います。その関係で言いますと、今回は更新を認めないということの連 座制の問題でありますけれども、これについても、著しく不当な行為あるいは不正な行為とい うことの明文化とともに、連座制についても内容によってある程度のランクづけをするという ことも含めて、少し法律的な検討も必要ではないかと思います。  3つ目のところにおきましては、やはり日常的に市町村が事業者等についてチェックしてい くことが必要でありますので、そのためには、市町村、保険者としての指定あるいは取り消し 権限に対する関与のあり方についてももう少し強化していく、そういう見直しも必要ではない かと思っております。  それと、何よりも今回の問題、これだけコムスンの問題が、撤退するということになります と、それだけ大きな影響がありますので、市町村、保険者としては、各サービス提供を継続的 にするという観点からしまして、特定の事業者に任せてしまうというか、そこに依存している ことについての是非についても、常日ごろから検討しておく必要があるのではないかと思って おります。  2つ目の論点であります「指定事業者における法令遵守徹底のために必要な措置」というこ とでありますけれども、これにつきましては、何といっても、やはり法律を厳格に適用すると いう強い姿勢が必要だ。今回のような強いメッセージがあって初めて、法律の遵守というのが 徹底されるんだと思います。法律の厳格な徹底と、併せて、それを日常的に指導・監査する体 制の整備が必要ではないかと思います。現行では、集団的指導あるいは実地指導というような ことが行われておりますけれども、それらをきちんと定期的に行う専門スタッフの配置という ことも併せて行う必要があると思っております。  それと、何よりも利用者、被保険者、市民などによる日常的な監視、さまざまな視点からの チェックを行っていくためには、各市町村ごとに介護保険運営協議会等を設置して、日常的に 事業者のサービス内容をチェックしていくという体制整備も必要ではないかと思っております。  3つ目の論点でありますけれども、「事業廃止時における利用者へのサービスの確保のため に必要な措置」という点であります。  やはり、第1に優先して考えるべきことは、サービスを利用している利用者への継続的なサ ービスをどう確保するかという点と、併せて、それを担保するための介護労働者、従事者の雇 用継続ということだと思っております。  もし仮に、今回のような特定の事業者の廃止、撤退ということになった場合に、その利用者 あるいは介護労働者への極めて大きな影響があるというような場合、あるいは離島とか僻地等 における事業者の撤退というようなことが起こった場合には、一定期間、次の事業者への譲渡 あるいは事業継承が行われるまでの一定の期間、一時的な公法人等による事業継続ということ も必要ではないかと思っております。  ほかの分野では、例えば銀行であれば、破綻銀行に対する一時国有化の問題とか、あるいは、 何回も言いますけれども、産業再生機構の問題、現在まだありますのは、地域の中小企業基盤 機構における中小企業再生ファンドとか、あるいは中小企業事業継承ファンドといったような ものがありますので、そういうものを参考にした何らかのそういう事業継承のあり方について も検討する必要があるのではないかと思っております。そこで働いている従業員、労働者の立 場からすれば、どういう事業者に継承されても、そこで働いている労働条件は継続されること がまず必要ではないかと思っております。それが、良質なサービスを継続的に提供することに もつながってくると思っております。  最後のページ、「その他」ということでありますけれども、今回のこの処分の問題の底流に は、何といっても、先ほどから何人も御発言がありましたが、人材不足あるいは人手不足の問 題があるんだと思っております。これは、どんなに法律あるいは規制強化をしても、人材ある いは人手不足の解消にはなりませんので、ここについては、やはりそこで働く雇用労働者の給 与を含めた労働条件の改善や定着を図ることが必要であります。  そのためには、最近取りまとめられております社会福祉法に基づく人材確保指針の実効性を どう担保するかということが必要であります。この人材確保指針の中でも、介護報酬も含めて、 働いている従業員に対する給与等の改善ということも指摘されておりますので、その意味では、 介護報酬のあり方それ自体の思い切った見直しも必要になってくるのではないかと思っており ます。  その際には、現行の介護保険をベースにして、どちらかというと広く薄くというようなサー ビス体系のまま、介護報酬を全体的に底上げするのか、あるいは自治体の本来の事業であるべ き高齢者に対する保健福祉事業の抜本的拡充と介護保険の守備範囲の見直しを含めた再編につ いても検討していく必要があるのではないかということがあります。そういうことも含めて、 是非この有識者会議の中では、そういうことについても御検討いただければと思っております。  以上であります。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  それでは、最後になりますけれども、保険者の立場から、仙台市健康福祉局保険高齢部参事 兼介護保険課長の南方様から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○仙台市 私は、全国市長会の介護保険対策特別委員会の代表幹事をさせていただいておりま す仙台市の南方でございます。とは申しましても、本日は、全国市長会加盟の805団体の総意と して御意見を申し上げるということではなく、仙台市の介護保険担当課長として、あるいはま た保険者の立場として意見を申し述べたいと思います。  それでは、お手元の資料7に基づきまして意見を申し上げます。  まず、1ページ目の上段でございますが、介護保険制度は、サービス利用者の利便性あるい は請求・支払い事務の簡素化などといった観点から、サービス事業者による受領委任払い制度 を採用しております。このことにより、サービスは現物給付化されまして、報酬を支払う保険 者の直接目の届かないところでサービス利用に関する契約が行われ、保険者は、介護レセプト という書類の審査だけで給付費を支払う仕組みとなってございます。  また一方で、利用者の選択を尊重し、画一的なサービスからの脱却、あるいはサービスの質 の向上を目指しまして、多様なサービス提供主体の参入を求めましたために、それまでの非営 利法人のみならず、利益追求を目的とする営利法人も多く参入することになりました。この現 物給付化と営利法人の参入という制度の構造的なものが、不正行為や脱法行為を惹起する危険 性を高めたことは否めない事実だと思います。  しかしながら、下段に記載しておりますように、株式会社コムスンが処分を受けたという今 回の事件を契機として、市場メカニズムを否定するのではなく、市場メカニズムがうまく機能 するためにはどうすれば良いか、そのための環境整備やルールをどのようにつくっていくかと いうことが重要ではないかと考えております。  不正の防止策としては、大きく分けると予防と摘発の2つがあると思います。また、組織的 なもの、あるいは個々的なものではその対処方法が異なるとは思いますが、いずれにいたしま しても、制度の趣旨を十分に踏まえ、いかに実効性あるものにしていくかということだろうと 思います。  2ページ目でございますが、ここには「基本的な考え方」として、以下4点ほど上げさせて いただきました。  まず初めに、法人種別で規制するかどうかという点についてでございますが、先ほども申し 上げましたように、不正を働いたものが出たからといって、市場メカニズムを否定するのは適 切ではありません。幅広くきめ細かなサービスの提供や利用者の選択性の尊重、あるいは質の 向上などといった観点から、広く門戸を開放したということは、全体として歓迎すべきことだ と思っております。したがって、営利法人を排除すべきというような議論はなじまないのでは ないかと考えております。  次に、事前規制か、事後規制かという点についてでございますが、現在でも、事業者は大変 膨大な数に上っております。また、新規申請や届出内容の変更といったものもかなり多くなっ ております。一方、行財政改革の流れの中で、人員の抑制や経費の削減についてはかなり厳し い環境にありますので、行政効率の観点から考えても、事前規制というのは現実的ではなく、 事後規制でしか対応できないのではないかと考えております。  次に、指定要件を強化するかどうかについてですが、指定基準は現在でもかなり複雑です。 介護報酬の算定基準も合わせますと1,250ページに及ぶ冊子が2冊になるなど、膨大なものとな っております。これ以上基準を複雑にすることは、かえって混乱を増やす要因になると思いま す。ただし、基準を整理し明確化を図る必要はあるのではないかと考えております。  次に、罰則を強化するかどうかという点についてですが、罰則を強化しても、不正防止に大 きな効果は期待できないと考えております。むしろ保険給付費プラス加算金相当額を「徴収 金」という形で確実に徴収できる仕組みをつくるという案はいかがかと考えております。  次に、3の「広域的な介護サービス事業者に対する規制の在り方」についてですが、指定は、 事業者単位が良いのか、事業所単位が良いのかについては、事業所ごとに人員、設備の要件が 満たされなければ、サービスの質や量は十分担保されない恐れがあります。現行どおり、現在 の事業所単位で指定すべきだと考えております。  次に、運営母体への対応をどうするかについてですが、広い範囲にまたがる場合は、都道府 県や市町村が単独で対応するのは無理でございます。運営母体が都道府県をまたがって事業を 展開している場合には国が、市町村をまたがっている場合には都道府県が、運営母体本体にも 立入検査できる仕組みをつくるべきだと思っております。  次に、いわゆる連座制についてですが、今回の事件を経験し、利用者の影響が非常に大きい ということを痛感いたしました。課題のところにも記載してございますけれども、A県内の事 業者への処分がB県内の事業所まで派生する、あるいは訪問介護事業所への処分がデイサービ スの事業所にまで派生するといったことについては、若干疑義を感じております。今回の経験 を踏まえ、不正の状況等に応じて処分対象事業所を限定するとか、新規申請のみ認めないとい ったような処分者側の裁量を認める仕組みとするのはいかがでしょうか。  また、極めて技術的なことで恐縮でございますけれども、現在の規定では、指定の取り消し はいわゆる「できる規定」となっております。しかしながら、指定の更新は「してはならな い」という規定になっておりまして、少しバランスが悪いと思いますので、これは規定の見直 しが必要なのではないかと考えております。  次に、4の「指定事業者における法令遵守のための必要な措置」についてでございますが、 この問題については、正直なところ、私もあまりよくわかりません。ただ、ここに記載してご ざいますように、法令遵守の課題は、法人の種別や法人の規模とはあまり関係ないのではない かと思っております。社会福祉法人や医療法人などについては、これまでの歴史的な経緯もあ り、ある程度でき上がっているという気がしますけれども、営利法人につきましては、行政が なかなか関知できない部分でもあります。事業者の数も多いですし、それから先ほどから市町 村がもう少し頑張れという御意見もいただいていますが、小さな規模の市町村には、そんなに 専任の職員を置くことはできません。専門的な組織もありませんので、なかなかそこまで踏み 込むことはできないと思っておりまして、ここは法人自身に頑張っていただくしかないと思っ ております。  あえて、必要な措置ということで言わせていただくとすれば、法人内にコンプライアンス委 員会の設置を義務づけたり、あるいは法人内の一部の事業所で不都合があった場合には、法人 による自主点検の実施や報告を義務づけるなどの方法はいかがかと思っております。ただし、 この場合でも、その結果をだれが確認するかということになると、行政としてはまた一つ頭痛 の種ができることにはなるとは思います。  次に、5の「事業廃止時における利用者へのサービス確保」についてでございますが、事業 廃止の原因はさまざまでございますし、また地域の実情も千差万別であるため、今回の株式会 社コムスンの不正行為の対応事案に限らず、普遍妥当性のあるセーフティーネットが必要では ないかと考えております。ここに事業廃止の例を幾つか上げさせていただきましたが、いずれ にいたしましても、サービスの提供が困難な場合には、運営基準において、他の事業所へ引き 継ぐことが義務づけられておりますので、一義的にはこの運営基準を遵守するよう事業者を指 導することが肝要かと思います。  しかしながら、いろいろな事情でサービスの提供が中断し、利用者の命や生活が脅かされる おそれがある場合には、行政が介入し、介護支援事業所等の協力を得るなどして、新たなサー ビスの提供先を確保する必要があると思います。それでもかなわぬ場合、最終的な手段として は、措置制度を活用するしかないと思っております。この場合、措置に要した費用につきまし ては、先ほども申し上げました、「徴収金」として、廃止した事業者から徴収できる仕組みを つくるべきではないかと思っております。  次に、6の「その他」でございますが、今回のコムスン事件を踏まえて申し上げたいことは、 まず第1に監査を実施した以降は、指定権者の事業廃止届を拒否できる仕組みが必要かと思い ます。第2に、私自身も規定を十分理解でしておりませんで、後でそういうことだったのかと 改めて事の重大さを知ったようなところもございました。「不正又は著しく不当な行為をした 者」の基準の明確化は必要な気がいたします。また、現在でも都道府県では他県の処分情報を 閲覧できる仕組みがございますが、国と都道府県ですとか、都道府県と市町村との連携強化に つきましては、もうひと工夫あって然るべきなのではないかと考えております。  最後になりますが、保険者として特に申し上げたいことがございます。給付費の半分は公費 で負担しておりますけれども、残りの半分は、40歳以上の方からいただいた保険料で賄ってお ります。年額1人当たり5万円という大金でございます。私ども市町村の職員は常日頃、保険 料が上がる仕組みなどについて御理解をいただくべく、住民説明会などに出かけていっていろ いろ御説明をするわけでございますけれども、その場で必ずいただく御意見は、「無駄に使う な!」「不正を許すな!」という厳しいものでございます。  また、実際にサービスを利用されている方は高齢者のわずか15%です。残りの85%の方は、 ただ保険料を払う立場の方です。保険料を納めていただくために市町村は大変な苦労をしてお ります。今は収納率98〜99%ぐらいを確保していますけれども、本当にこれはもう、全国1,800 余の自治体の職員が、涙ぐましい努力をして集めている結果なのだということでございます。 したがって、住民の理解が得られないような使い方は決して許されるべきものではないと思い ます。  確かに、厳しい処分を行うとなりますと、処分後のサービスの継続をどのように確保するか など、保険者として、また市町村としては、その対応に追われて大変な思いをすることになり ます。しかし、だからといって利用者を人質に取られているような形で不正が見逃されて良い はずがありません。特に、組織的なもの、悪意を持った意図的なものについては、断固厳しい 態度で臨む必要があると思います。  以上でございます。 ○遠藤座長 どうもありがとうございました。  最後に、非常に重いお言葉を御発言として承ったと思います。  それでは、ただいま6名の方から御説明いただいたわけですけれども、これからは、これに 伴う質疑応答という形にしたいと思います。ただいまの御発言に関しまして、御意見あるいは 御質問ございましたら、委員の方々、挙手をお願いしたいと思います。その際、どなたに対す る御質問なのかということが明らかであれば、それも初めにおっしゃっていただければと思い ます。  それでは委員の皆様はお考えいただいていると思いますので、私が多少呼び水的にお聞きし たいと思います。規制に関して、保険者、市町村が積極的に関与すべきであるというような御 議論が幾つかあったわけであります。ただ、最後の御発言の中では、どこまでできるかはなか なか難しい問題もあるというようなお話もされたわけでありますが、それに関して、都道府県 のお立場からもしあれば、お2人、小島委員あるいは狩野委員から承りたいと思います。  では、小島委員どうぞ。 ○小島委員 今の全国介護事業者協議会の馬袋監事さんから発言のあったことに対してでござ いますけれども、今回の提案としては、特に、広域的な介護サービス事業者への規制のあり方 ということに対して、現場をしっかり確認するためには、市町村が監査権限なども持ってやっ た方がいいのではないかという提案がございました。さきの仙台の課長さんからは、なかなか 難しいということがありました。私は県の立場ではございますが、やはり市町村では、1つは、 非常に千差万別、小さな市町村もございましてスタッフが十分でないところも当然ございまし て、なかなか監査するということは、事実上不十分、難しいということは思います。  それから、今回問題になっておりますのは、今でも県が指定権限を持っておるわけですけれ ども、一方では、サービス事業者としては非常に大きく全国展開されているところがあり、サ ービス水準としては非常に工夫されて、それはそれで全国展開は大変結構なことでもあると思 うわけでございます。そういう事業者に対して、チェック体制としては連座制が適用され、非 常に厳しい規制も一方ではなされるということで、連座制に対する議論はありますが、バラン スが取れていると思います。この制度をうまく運用していくためには、横の連携というものも 非常に重要でございまして、今回、県側ではうまく連携がとれずに、厚生労働省が連座制の適 用について非常に指導的な行動をなされることによってこれが適用できたわけでございます。 このような仕組みの中で権限が市町村におりていくというのは、現場を見られるという面は否 定しませんけれども、一方で、連座制の適用なんかには非常に難しい面があるということで、 この点でも、もう一つ市町村へおろしていくのは問題があるなと思います。  私ども、県が監査するなどについて、あるいは指定するなどについて、おそらく、ちょっと 現場が弱いのではないかというところからの提案だろうと思います。確かに現場をチェックす るというのは十分でない面がございまして、この辺は、こういう事件が起こったことを反省し ながら、私どもとしても、現場にもっと出かけていくことによってチェック体制を強化してい かなければならないとは思っております。そういうカバーをすることによって、都道府県レベ ルでやっていった方が、全体のシステムとしては、バランスはいいと思いますし、むしろ今回 のような問題に対する対応策ということでは、さらに県を超える仕組みを何らかの形でつくら ないと、なかなか今回のような問題を防げないと思っております。そういう面では志向する方 向が少し逆かなと私としては思いましたので、そのあたりのコメントをいただければありがた いと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございます。これに関していかがでしょうか。狩野委員、もしあれば、 関連してお答えいただければと思います。 ○狩野委員 基本的に馬袋さんのは、要は事業者指定の権限を市町村に移譲したらどうかとい う御提案、規模によってだと思いますけれども、そういう御提案だったと思いますが、やはり 地域密着型サービスの指定権限を市町村に付与してまだ間がありませんので、もう少し様子を 見るべきだと私は思っています。  それと、東京の特殊性でしょうけれども、いわゆる事業所の所在地だけをサービス提供エリ アとしている事業所は東京にはほとんどない。大体複数の区市町村をサービス提供エリアにし ておりますので、なかなか事業所所在地の保険者、区市町村に指定権限あるいは取り消しの処 分の権限を付与すると、サービス提供地域が広域にまたがりますので非常に難しい。実質的に、 区市町村単位だけでサービス提供しているような事業者というのは、東京の場合は非常に少な いのではないかと思います。  指導・検査の問題は、もう既に、今でも76条の規定で、都道府県も市町村も当然、立入検査 をすることができるようになっておりますので、その辺は、もう少し都道府県と保険者である 区市町村との連携体制をどうつくって、実効性があって、かつ効率的な検査体制をつくってい くかが課題だと私は思っています。  以上です。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  もし、老施協として何かコメントがあればお願いします。 ○宮島委員長 1点、指導・監査の件でございますけれども、特にこれで問題になりますのが、 「不正又は著しく不当な」というこの表現が、例えば都道府県での解釈も著しく違うというケ ースがあります。同じ県でも、県によっていろいろ言い方が違うと思いますけれども、私ども の県では振興局という言い方をしておりますが、そこの、同じ県の中でも、来る担当の方によ って解釈が全然違うというケースがございます。  もう一つ、我々も非常に事務が多くなっている中に、指導・監査のときに提出する書類とい うのは、莫大な書類を提出するわけで、例えば、その提出書類というのは、職員の何名かが残 業しなければ到底間に合わないような資料を提出しているわけです。そこで来られても解釈が 全然違いまして、例えば今年来たら、これはよろしいよと。だけれども、来年来られたら、こ れはだめだよと。同じことでも年によってどんどん変わるようなことがございます。ですから、 ここら辺をもっと、さっきも申し上げましたけれども、内容が一つ、全国ではっきりした表現 というのを是非使っていただきたいと考えます。 ○遠藤座長 要するに、指導等々の標準化という話ですね。直接、お2人の御意見に対してと いうことではなくてですね。はい。 ○全国介護事業者協議会 質問は私にあったのではないかと思いますが。 ○遠藤座長 そうでしたか。失礼しました。申しわけありませんでした。 ○全国介護事業者協議会 この提案の趣旨を御理解いただきたいんですが、基本的に、地域で 確実に双方で質を高めるために、どこが一番密着したらいいかという論点で御提案していると いうことであります。例えば、市町村でも、介護保険の広域連合をやっていらっしゃるところ もありますので、そういう単位でもいいと私は思います。これは、事業所の数に応じて、権限 を有する、または監査をする人が、どの割合数必要かという基準がありませんよね。ですから、 そういう意味で一番身近な市町村にというように申し上げたいんです。ですから、そういう面 での責任と権限、できる範囲の能力というところを整備していただきたいという意味として書 いたことを御理解いただければと思います。 ○遠藤座長 私の不手際で申しわけありませんでした。今のようなコメントでよろしゅうござ いますでしょうか。よろしゅうございますかという言い方もないですけれども、そのようなお 考えだということですが。  今のテーマでも結構ですし、あるいは全く関係ないテーマでも結構ですので、御質問があれ ばお願いしたいと思います。 ○小山委員 話が随分大きくなっていると思うんです。今日は、コムスンのような事件が再発 しないように皆さんはどう考えていらっしゃるのかとお聞きしましたが、何も更新制がなく、 一度認可したら認可されっ放しなので更新制を入れたと。それから、事業所単位なので、どう しても連座制とかませておかないと、一つの企業が末端まで指揮命令がきくのが当然ですから、 事業所単位に規制しているというのは、確かに会社を単位に規制しているわけではないので、 ですから、そうなると更新制と合わせて連座制を入れないといけないということだと思うんで す。そのことが悪いと言っているのか、聞きようによっては、それがまずいんだとおっしゃる んだったら、そもそも質の担保はどうしますかという最初のところに行くわけです。老施協さ んが言ったことで、もし連座制と更新制がけしからんと言うのでしたら、それはそれで根本的 に考え直さないといけないことになるので、それのお返事をひとつください。  それから、不正・不当な行為で明文化されていないからけしからんという言い方は、ごもっ ともなんです。でも、私は必ずしもそうは思わない。前回の厚生労働省からの榎本企画官から の発言の中にも、従前、人員基準、設備基準、運営基準を満たさないおそれがあって、それに 違反している場合、これが不正なのか不当なのかというところは、厚生労働省が行政の判断で つくった基準を守らないものは全部不正だと言ってしまうと、これはなかなか難しい。ですか ら、そのほかに、指導もしますし、改善してくださいね、直してくださいねという手段を行政 は取っているわけです。ですから全部、ちょっとでも基準に違反しているものは不正だという 理解ではないと思うんです。  ただ、御指導して、改善してくださいと言っているものについて横を向いていると、それは やはり著しく不当だと言わざるを得ないのではないかと思うんです。それを皆さんは、不正又 は著しく不当な行為というのは、例えば人員基準、運営基準で違反していて、改善命令とかも 聞かなくて、あるいはコムスンの事例のように突然廃止届を出すというのは、どう考えても著 しく不当ですということを書けというのだったら、その文章を書けばいいですけれども、何か、 著しく不正な行為を列挙しろとか言っているんですが、そういうものが適切なのか。言ってみ ればきれい事のように言えるんですが、本当にそれが列挙できるんですかと。ですから、運営 基準に何か違反したら、あなたは著しく不当になりますよとかなんとかというルールを決めろ といって、屋上屋を重ねるようになると思うんです。不正又は著しく不当な行為の基準の明確 化をしろとおっしゃった方々に、では、どういう方法があるのかを教えていただけたらと思い ます。 ○遠藤座長 ただいまの小山委員の御質問、これは、2つとも老施協の宮島さんからというこ とでよろしいですか。お願いします。 ○宮島委員長 まず第1に、私ども全部悪いと言っているわけではございませんで、ただ、そ の明確化をどこに線を引くかという、確かにその辺は難しいところがあろうかと思います。た だ、我々としましては、過去において、不明瞭な表現でいろいろな手段が取られてきた。先ほ ども申し上げましたけれども、都道府県で解釈が違う。同じ県でも、1年か2年で、かわられ た方で全部そこの解釈が違うという例が、そういう経験を我々何十年としてきているという経 緯がある。これは一つ御理解願いたいと思います。  それから、判断の基準を生かす、これは条文を変えるというのではありませんけれども、第 三者機関等による判断というものもこれから取り入れていただきたいというものも含んでおる わけです。そういうことで、やはり最終的にはその辺を国民の人が理解できるようにはっきり したものを、これは公表といいますか、国民に開示して理解を求めることも必要ではなかろう かということも含めております。  それから、先ほどの法令に準ずというのは、我々も当然必要なことだと考えておるわけです けれども、変な話、不正とか不当な行為、リスクも明確にしておいていただきたいというのが あるわけです。ただ、この言葉だけで全部というのは、どうも我々にとってはなじまないし、 もう一つは、これだけではないと思いますけれども、結局それも関連してくるわけですが、法 人の責任も、理事長の責任なのか、施設長の責任なのか、だれの責任なのか。これは、いわば だれがやっても連座制で全部同じことになるんですが、この辺も内容によって多少は違いがあ ってもいいのではなかろうかというのが我々の考え方だと思います。 ○遠藤座長 連座制がいけないというのであれば、質の担保はどのようにすればいいのかとい う御質問があるわけですけれども。 ○宮島委員長 必ずしも連座制がないから質がどうこうと私どもは考えていません。質の問題 ということになりますと、これは、何をもって質がいいか悪いか、これはいろいろ表現があろ うかと思います。現実に違いがあると思います。例えば人員配置でございますけれども、3対 1とか、1.5対とかという職員の配置基準の違いがありますね。そうすると何名でやるのが一番 質が担保できているのかということもはっきり明確にはなっていないわけですから、そういう もので、質の担保と言われますけれども、逆に言うと、そういう質の担保をある程度決められ るのであれば、何対1でよろしいという、その辺の基準もはっきりしていただきたいと思いま す。 ○遠藤座長 小山委員どうぞ。 ○小山委員 済みません、質問は簡単なことで、今日お話しいただいた皆様の間で、更新制、 連座制に反対だとおっしゃっている方は一人もいらっしゃらないんですねという意味です。私 が聞いていることは。ですから、話を大きくしないで、老施協さんは、更新制、連座制に反対 なんだとは言わなかったんですねと聞いているだけです。 ○宮島委員長 そのことで反対だとは言っていないです。 ○遠藤座長 木間委員どうぞ。 ○木間委員 南方課長さんにお尋ねしたいのですが、先ほど、御説明のありました小さな市町 村では無理であるということと事後規制の2点についてです。私は、馬袋さんがおっしゃいま したこととほとんど同じ考えですが、できる市町村であれば、全部でなくても、小さな市でも、 非常に積極的におやりになっているところもありますし、東京の23区のうち例えば世田谷区の 場合は80万人という人口で本当によくやっています。ですから、できる市町村であれば、実際 には馬袋さんが御提案なさったようなことを実行に移せないかということが一つです。  それから、事後規制ということが行財政改革という流れで御説明がありましたが、馬袋さん がおっしゃっているような事前規制ということでしたらできるのではないでしょうか。馬袋さ んの資料の1ページの(3)の(1)の「事前規制(届出申請・書類)」とありますが、こういう ことでも、行財政改革のもとで大変なのでできないということなのでしょうか。  その2点をお伺いしたいと思います。 ○遠藤座長 お願いいたします。 ○仙台市 お答えいたします。  私どものことだけ申し上げて恐縮ですが、私どもの市内には1,100の事業所がございます。そ して、私どもは全国的に見れば進んでいる方かなとちょっと自負しておりますけれども、去年 の4月から指導係というのをつくりまして、専任の職員7人を配置しております。そういった 中で、まず予防を中心にやっておりますし、それから特養、老健の指定監督権限も県からいた だいておりまして、一生懸命積極的にはやっておりますけれども、それでも1,100の事業所が入 れかわり立ちかわり、変更、更新という形で書類を持ってきて、それについて審査をしていく というのは本当に追いつかない仕事です。ましてこれが宮城県でいけば、3,000の事業所がある と言われていて、そこには専任の職員が6人ぐらいしかいませんので、本当に大変な思いをさ れているんだろうと思います。  行財政改革の流れと申し上げましたけれども、どこでも市町村は、本当に人員削減が至上命 題みたいになっておりまして、私のところのように指導係を専任で置いていただくなんていう ことは、本当に、もう大変感謝すべきことで、とてもほかの市町村ではなかなかできないので はないかと思っております。  まして隣の町へ行きますと、職員2人か3人ぐらいで、ケアプランのチェックから、保険給 付から、保険料から全部1カ所でやっているわけです。幾ら小さな規模の市町村といえども、 事業所は複数、2桁程度はありますので、そういった所できっちり指導・監査とか権限をやれ というのはなかなか難しいということを申し上げたところでございます。  それから、事前規制については、なかなか難しいと言いましたのは、理想は、2カ月前ぐら いに書類を持ってこさせて申請をさせて、まずその申請の書類をチェックして、でも、それは まだ予定の人員なので、4月1日に開所しましたという時点で、また実際に事業所に行って、 本当にその人たちがいるかどうかチェックしなければ、事前チェックの意味はないんだろうと 思います。行政としてはなかなかそういう対応ができない。変更があったら変更があったで、 また確認に行かなければいけない。  そうではなくて、こういうルールのもとに申請してください、届出をしてくださいと言って おいて、2年なり3年なりのスパンの間に事業所に行って、遡って書類を見せていただいて、 だめだったときはだめですよという、こういう方法しか対応しようがないということで申し上 げたところでございます。 ○遠藤座長 南方さん、ありがとうございました。  木間委員いかがでしょうか。 ○木間委員 行財政改革のもとで人員削減というのはよくわかります。私自身も、つい先ごろ まで独立行政法人におりまして、本当に人員削減で、職員がみんな大変な思いで仕事をしてい ます。わかります。だからこそ、市の方も行財政改革で市民の安全を守るという仕事がこれで いいんですか、と声を上げることも一つではないかという気がいたします。 ○遠藤座長 それは御意見ということで、何か南方さん、コメントございますか。 ○仙台市 そのことについてはこの場でお話しすることではないと思いますので、コメントを 差し控えさせていただきたいと思います。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。  狩野委員どうぞ。 ○狩野委員 在宅介護協会の方に少しお聞きしたいんですけれども、基本的に、介護保険事業 の適正化を図る上で、予防と監視と、その後の指導というものが行政として取り組まなければ いけないテーマだと思うんですが、基本的に事業者の自己点検をどう進めていくかという中で、 先ほど、どういうふうに自主管理をしていくかという話をされましたけれども、例えば東京都 も、もう3年、4年前ぐらいから、事業者の方に自己点検チェックシートとか、保険者と東京 都で協力してつくった点検シートですとか、あるいは今回の介護サービス情報公表制度でも、 あの調査項目というのは、事業者にいわば自己点検してくださいという趣旨でつくったわけで すね。そういうものを実際に現場で何で活用されていないのか。私は、先ほどの事業所と事業 者の関係がありますけれども、事業者として事業所をどう指導されているのかというのが非常 に疑問に思います。その辺を教えていただきたい。  もう1点は、法令等についても、確かに非常に多岐にわたっていろいろな通知等が出ており ますけれども、これも、いろいろな冊子で販売されたりもありますが、東京都介護サービスの 情報というホームページをもって、すべて厚生労働省等の通知等はホームページに載せて、そ こからダウンロードできるようにしているはずですけれども、そういうのを具体的に、事業者 や事業所、それから中間の支社の単位でどういうふうに活用されてやっているのかを是非教え ていただきたいと思います。 ○遠藤座長 それでは、在宅介護協会の方でおわかりになる範囲でお願いしたいと思います。 ○日本在宅介護協会 では、最初の前段の方の御質問ですけれども、確かに仕組みが全くない ということではないと思います。しかしながら、仕組みそのものも、東京都がお持ちの第三者 評価、あるいは情報開示、あるいは各事業者が自主的に業務管理の手法を導入しておるケース があるわけですね。各社、そういった仕組み自身に非常にばらつきがあります。それから、運 営の管理のところまでチェックリストに入っているケースと、そうではなくてやっていいサー ビス、やってはいけないサービス、そういったことに力点を置いたチェックリストみたいなも のでやっているところもある、仕組みを入れているところもあります。  ただ、申し上げましたように、訪問介護だけ取りましても2万数千の事業所がある中で、そ ういった仕組みを実際に運営するだけの余力といいますか、力がある事業者がどれぐらいある んだろうか、そこが問題なんです。すなわち、仕組みがあっても十分に運営されていない恐れ がある。  次に、それが運用されていたとしても、それを検証しているかどうか。どんなルールを入れ て内部監査をやっているのか。あるいは、最近のあれで言いますと、要するに内部統制の監査 をやっているのか。少なくとも、一社一事業所で、小さなところは、もともと内部統制なんて いう概念すら理解できていないのが実態ではないかと思います。その辺のところから、どうす ればすべての事業者が最低限、ミニマムのリクワイアメントを満足することができるか、そう いう仕組みを足元からもう一度つくり直す必要があるのではないかということを申し上げてい るわけです。したがって、仕組みがないということを申しているわけではございません。仕組 みがあるけれども、それぞれ、それこそ指導・監査、あるいは窓口で御指導いただく、そうい った個々人の皆様のかかわる質的なばらつきがある、あるいは時期、タイミングによってばら つきがある。  殊に、平成18年4月以前と以降では、サービス品質の基準なんかについても大いに変わって きたわけですね。その都度、そういったチェックリストですとか検査体制を更新して、是正し て、仕組みに対応できるだけの事業者がどれぐらいいるんだろうか、これが実態だということ を申し上げているわけです。その辺のところをしっかりしてやらないと、やはり指導・監査を いただいたときに、ふぐあいがありますよというものがどうしても検出されてしまうというこ とでございます。それが第1点でございます。  第2点の御質問ですけれども、これは、確かにきちんと行き届いた業務管理をしている事業 者は、お話のとおりの情報収集はできようかと思います。しかしながら、訪問介護だけ取りま しても2万4,000の事業所、この事業所全部がそういったIT環境を持っているとは言いがたい です。それ一本やりで頼って、そこで情報を流しているから、みんなそれで組織の隅々まで、 しかもオールジャパン2万4,000事業所の人たちが解釈、理解、運用を一律同じようにしなさい、 それが事業者の責務ですと言われましても、それは非常に難しい話ではないでしょうかという ことを申し上げています。すなわち、アクセスする情報ですとか仕組みが全くないということ を申し上げているわけではありません。それをどうやって簡便に、容易に、普遍的に事業者が 利用できるようにするか、それも考えていかなければいけないことではないかということでご ざいます。  以上が御質問に対するお答えでございます。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  狩野委員、いかがですか。 ○狩野委員 大体わかりました。要は、私は、事業者の責任はどこにあるのかということを聞 きたいんです。事業所を指導監督する責任は事業者にあるわけでしょう。 ○日本在宅介護協会 はい。 ○狩野委員 だから、事業者は、各事業所の管理者やサービス提供責任者に対して、どういう ふうに指導なさっているんですかということをお聞きしたいんです。 ○日本在宅介護協会 これはまさに、一般論的にはちょっと申しがたいと思いますけれども、 当然、一社一事業所というものと、それこそ多くのものと。 ○狩野委員 先生のところは、大規模、中規模なんだから、大規模や中規模の事業者は、各事 業所の管理者をどう指導しているのかということを私は今聞いているんです。一般論を聞いて いるのではないです。 ○日本在宅介護協会 私の方はきちんとやっています。それだけです。 ○遠藤座長 小山委員どうぞ。 ○小山委員 済みません、人員基準とか設備基準、運営基準をつくったから、全部100%の事業 者が100%コンプライアンスを発揮して不正がないようにするという考え方もありますけれども、 でも、罰則とかいろいろなものをつくっているということは、社会の仕組みというのは、不正 とか著しい不当な行為が起きることを想定しているわけでしょう。まず想定しているんです。  それから、もう一回はっきり言いますけれども、このコムソン事件というのは、申請したと きに、雇用実態がない人を申請して、これは、著しく不当ではなく不正なの。もうよくない。 ジェネラルスピーキングしているのではなくて、不正ですよ。この不正問題が再発するのをど うするのかという議論を国民は待っているので、私は議論の方向が違うと思います。もう一回 起きてもらったら困るんです。  多分、馬袋さんのところは小さいところだから、1社しかやっていないで4〜5人でやって いるところがなくなっても地域の中できちんと補てんできるんですけれども、何百とかいう事 業所を持っているところがこういう事故を起こしたのが今回の本質で、これだけ問題が大きく なっているのですから、たくさんの都道府県にまたがっている大規模がやることが悪いとはだ れも言っていないんです。それは資本の論理もあるので別にそれでいいんです。だけれども、 もう一回起こすと、本当にもう一回、今度はコムスンと違うところが同じことをやることにな ると、もう弁護の余地がなくなってしまうんです。  私は、そのことがすごく大事なんだろうと思っていて、私なんかでも夜眠れないんですから、 当事者で全国展開しているところがコンプライアンスを守らなかったら、今回のは、自分たち は命がなくなるということでしょう。それに対して何かお話が聞けるのかと思ったので、別に 小さいところとか、コンピューター環境がない事業者がどうの、そんなことは関係ない。そん なことはだれも心配していないんです。だけど、もし100とか200とかという事業所を持ってい らっしゃるところが、「不正等著しく不当」の文書がどうのこうのという話よりも、組織的に 不正行為を重ねているという事実がもしあったら、介護保険制度の根幹が崩れてしまうのでは ないですか。違うんですか。日本在宅介護協会にはそういう認識がないんですか。そこが問題 なんです。ですから、それは二度とないように、今最後におっしゃったことで、二度と起こし ませんと言うのだったら、二度と起こしませんと言っていただけると、では、二度と起こさな いんだなと思って安心して帰れますけれどもね。  でも、コンプライアンスを守らないと事業ができなくなるんです。プレーヤーの退場。これ はもうルールですから。それと話が少しずつみんなずれてしまうわけ。行政監査のあり方とか 法律文章の書き方という以前の問題として、私は、コムスン事件と同じ事件が、多分、日本在 宅介護協会に入っている大型の会社でもう一回起きたら、国民はそっぽを向いてしまうし、介 護保険はつぶれてしまうし、老健局長は大変だなと思いますよ。だから、その問題に対して何 かお考えをお聞かせいただきたいんです。どうお考えになっているのか。 ○遠藤座長 わかりました。それでは、今のようなお考えに対して在宅介護協会として、どの ようにお考えでしょうか、建部さんお願いします。 ○日本在宅介護協会 御指摘のとおりでございまして、二度と起きてはならない、二度とは起 こさないということは当然でございます。  極めて大きな経営体の場合、その辺のコンプライアンスを維持するために具体的にどういう ことをやっているのか、それは各社いろいろな形でやってございますけれども、介護保険法で 求められておる法規法令の遵守以外に、経済法でいろいろなことがございます。新会社法でご ざいますとか金融商品取引法でございますとか、あるいは内部情報の方のことですとか、いろ いろなことがトータルの経営体として、殊に株式を上場している、あるいはそういった資本の 公開をしている企業については、その辺のサイドからも当然に遵守を求められておるわけです。 その辺の努力は、当たり前のこととしてなされているということが前提でございます。  そういった株式を公開していないクラスの、言ってみれば中堅どころといいますか、そうい う法人につきましても、それに準じた形で各社努力をしておるという認識でございます。した がって、その辺のクラスから今回と同じような質の不正が摘発されることは、まずないだろう と協会としても願っております。ただ、これは、協会としての言い逃れではございませんけれ ども、その辺になりますと、いわゆるコーポレートガバナンスの問題でございますので、まさ に経営者の資質の問題でございます。これは、協会としてああせい、こうせいというレベルを 超えております。  そうであれば、いわゆる公益事業者となったときに内部統制監査の報告書まで義務づけるの か、義務づければいいのかというのは、包括的なコンプライアンスの仕組みとしてあるかもわ かりませんが、公益的と言いましても、これはまた極めて大きいものからそうでないものまで ありますので、そこのコストですとか、それこそ業務管理の負担といいますか、それは一律協 会として求めるというのも難しいのではないかということでございまして、ここも、やはり 個々の経営体にゆだねるということでございます。現状は、そんな判断をいたしております。  ただ、何も努力をしないのか、今回のコムスンのことについて何も反省がないのか、振り返 りがないのかというと、それは、当然そんなことはございません。深く振り返ってはおります。 したがって、私どもは二度とあってはならないので、むしろモグラたたきという表現が当たっ ているかどうかわかりませんが、あってはならない、あるとゆゆしいことになりますので、そ ういうことが出ないように、体質といいますか業界の土壌といいますか、それを耕し直す、そ れに役立つような方向でもこの介護保険法を見ていただければありがたいという意味で書いた 部分も相当ございます。当然に、御下問について、争点をずらす、視点を外すという意味で書 いたものでは決してございません。そこは御理解いただきたいと思います。  以上です。 ○遠藤座長 ありがとうございました。  では、関連しまして、お願いします。老施協の方ですね。 ○宮島委員長 先ほども申し上げましたように、我々の会員というのは99.9%が社会福祉法人 でございまして、社会福祉法のもとに指導・監査も受けます、それから別個に介護保険におけ る指導・監査も受けるわけでございまして、我々は二重にチェックされているわけです。  介護保険は社会福祉法と関係ないと思われるかもしれませんけれども、会計の中にはすべて の事業をトータルしたもの等ございますので、私は、やはり2つの法律によっていろいろ監査 を受けているという現実があることをひとつ御理解いただきたいと思います。  先ほどおっしゃいましたように、では、我々全員が何も悪いことをしていないのかと言われ ますと、それは私どもここで、いや、しませんということは申し上げられませんけれども、日 ごろからのチェック機能というものは二重三重に受けていることをひとつ御理解願いたいと思 います。  それから、大変失礼なんですが、ちょうど狩野委員さんがいらっしゃいますのでちょっとお 聞きしたいんですけれども、連座制に関係あることでございますが、文京区のくすのきの郷で すか、ここで管理者責任ということで、これは文京区が連座制で引っかかる。そういう場合、 我々の福祉法人も同じように、福祉法人は一つだけではありませんので、同じような関係で幾 つかの事業所を持っているわけです。それで一つ参考にお聞きしたいんですけれども、こうい う連座制というものを東京都はどうお考えで、これで何か問題が起きたといいますか、これは まずいのではないかというようなお考えがあるのかどうか、ちょっと今日の議論とは違うのか もわかりませんが、お聞かせ願えればと思います。 ○遠藤座長 おっしゃるとおり、今回の議論と直接関係ないと思いますけれども、この委員会 ではなく個別にお聞きしていただいた方がいいかなと思う案件でもありますが、もしお答えが できるのであるならばお願いいたします。狩野委員の御判断にお任せしたいと思います。 ○狩野委員 先ほどの御発言がありましたように、私は、やはり更新制における連座制という のは、事業者を規制する制度として有効に機能したと思っています。今回のコムスンの問題は、 直接的な連座制の適用ではありませんけれども、有効な制度ですし、これは堅持していくべき だと思っています。  お話のあった文京区の特別養護老人ホームの指定取り消しについても、事業者としての自治 体が、適正な事業所に対する指導監督を行わなかったということで、当然その内容が取り消し 処分に相当する事由があるということで取り消し処分をしたわけでして、それは、問題はない と認識しております。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  時間が来ておりますけれども、神作委員どうぞ。 ○神作委員 一言、時間超過して恐縮ですけれども、コメントさせていただきたいと思います。  前回、第1回の有識者会議でも発言させていただいたのですが、事業者単位の規制と、事業 所単位の規制のそれぞれの長短があるということを申し上げさせていただきまして、少なくと も会社を初めとした法人経営の場合には、現在の法人法、会社法の体系が、経営者あるいは理 事会が全体の法人の経営を指揮しなければならない、そういう考え方に立っているところから すると、何らかの形でもちろん法人単位での規制を検討してみるというアプローチが必要と思 われます。そのときに、連座制というのは法人単位での規制を及ぼす機能を営む非常に重要な 手段だと思うのですけれども、それで過不足がないのかを検討する必要があるのではないかと いうことを前回申し上げさせていただきました。本日の御議論を伺っておりまして、もう1点、 自分が研究しております会社法との関係で非常に興味深く思いましたのは、会社法は規模によ る規制というのを入れておりまして、例えば大会社であるのか、そうではない中小会社である のか、あるいは株式の譲渡を宣言していない公開会社であるのか、非公開会社であるのか、そ ういったさまざまな基準を入れて、きめ細かく規律をしております。  先ほどのお話の中でも、大規模な事業体と、そうではなくて零細・中小のものとがおのずか ら分かれて議論されていたように思いますけれども、これを正面から議論していく必要がある のではないかという気がいたしました。もちろん、会社法が取り入れている規模の規制をその まま適用するのであれば、少なくとも株式会社形態をとっているものについては特に介護保険 法において特段考慮する必要はないということかもしれませんが、介護保険法の適用に当たっ て何か特別な考慮をして、規模は会社法とは違った基準を取るべきである、例えば、会社法の 場合には、資本の額とか負債の額ですとか、そういうものを基準として取っているわけですけ れども、そうではなくて、介護保険法に独自の基準を採用して、規模別に適切な、やはり中小 の業者に対して余り過酷な規制をするというのは、これは望ましくないことだと思いますし、 逆に、規模が大きくて全国的に展開しているところは、相当しっかり内部統制等もしていただ かなければいけない。これは当然ではないかと思います。とすると、そういった観点からの考 察が必要であるとともに、今度は次に、それを法律のレベルでするのか、それとも自主規制の レベルでするのか等、どのレベルで規制するのかについても検討する必要があるのではないか。 自主規制の有効性、実効性等まで含めて、一体どういった手段で規律を考えていくのがいいの か。特にガバナンスの問題になりますと、これもまた前回の重複で恐縮でございますけれども、 法律で定めれば解決できるといったたぐいの問題ではございませんので、まさに実務の中で行 われることでございますので、どのように規律し実現していくのが有効なのかという観点から 考えていく必要があるのではないかと思います。  長くなって恐縮ですが、最後に1点、有識者会議のそもそもの問題の出発点だと理解してお りますのは、グループに属する1つの事業所が行われたことに対してどう対処するか。これは、 いわば事業所単位、それから事業者単位をさらに超えて、事業者グループというレベルの問題 で、そういう意味では、まだ現状ではその段階まで議論は到達していないと思いますけれども、 事業所のレベル、事業者のレベル、事業者グループのレベル、こういったさまざまなレベルの 問題は、やはりその実態に即して見ていく必要があるように思われました。   ○遠藤座長 ありがとうございました。非常に生産的な御意見をいただいたと思います。  もう予定した時間が来ているのですが、先ほどお手を挙げておられましたので、馬袋さん、 手短にお願いします。 ○全国介護事業者協議会 先ほど規模が小さいとか大きいとか出ていますけれども、そもそも 介護保険サービスの事業をしたければ、自分たちが制度を守るということで申請するんです。 だから、申請には、規制がありルールがあるということだと思います。小さい、大きいという のは、小さいけれども、その分、社長は現場に入って、法律も勉強し、内容の指示をやるんで す。大きくなって組織化にするんです。だけれども、規制とかルールを守るのは、小さい、大 きいは関係ないです。トップマネジメントとして体制をどうつくるかだけだと私は思います。  今回問われているのは、そこにあるわけです。ですから、なるべく未然に防げるように仕組 みとしてバックアップできるかというプロセスが大切です。ですから、そういう面では、全体 でとらえるというのもありますが、個々で、十分理解して仕事をする事業者の資質が問われて いると思っています。是非そのことは、事業者の育成という意味で、再度ここは徹底していく ためにも、小さくて勉強することができない、時間がないという事業者にも勉強していくため の支援が必要であります。逆に、勉強しない事業者は介護保険サービス市場から出て行けと言 われること、これは仕方がない。これが社会のルールだと思っています。そこだけは申し上げ ておきたいと思います。 ○遠藤座長 それでは櫻井委員、手短にお願いします。 ○櫻井委員 遅れて来まして大変恐縮でございますけれども、今の神作先生の御議論にちょっ とだけ上乗せして申し上げたいんです。会社法の話というのは、個別の会社にどう適用するか という話なので、ここでは介護行政をどうするかということが問題ですので、そうすると、ダ イレクトに会社に着目するのではなくて、事業者には、どういうふうにコンプライアンス体制 を整えることができるか、そういう仕組みをつくるということだと思うんですが、是非研究し ていただきたいのは、最近非常に、規制強化だけではだめだというのは当然のことで、要する に規制緩和的なこととか自主管理的なことを行政のガバナンスの中に取り込んでいくことが必 要なんです。そうすると、通関制度の方で日本版AEOという議論をやっているんですが、こ れはもともと一般的な規制があって、しかし、コンプライアンスに優良であるという事業者に ついてはプライオリティーを与えるという仕組みなんです。だから、ゴールド免許方式みたい な感じなんですけれども、そういうものを行政の中に仕組んでいくと、自主的にそちらの方に 流れていくということがあり得るので、そういう方向性でふくそう的に考えていただきたいと いうのが一つ。  それから、自主規制の話というのは、行政のガバナンスからいきますと、業界による自主規 制、それから事業者本人の自主規制、自己規制、それも当然にルールの中に入ってくるので、 それは法律とか内部ルールとかという仕分けではなくてグラデーションのある規則、レギュレ ーションととらえていただいて、全体としてうまくいくような仕組みを考えるというように発 想を転換することが必要ではないかと思います。  以上です。 ○遠藤座長 ありがとうございます。  恐らくまだ御意見はおありになる方もいらっしゃると思いますけれども、私の不手際で非常 に時間をオーバーしておりますので、このあたりで終了したいと思います。本日は、非常に重 要なことについて、実際のお立場から御議論いただけたということで、非常に活発な議論がで きたと思います。  それでは、これをもちまして第2回の会議を終了したいと思います。本日は、御出席いただ きました各団体の皆さん、本当にありがとうございました。  また、事務局から何か連絡があれば、よろしくお願いします。 ○古都振興課長 本日は、関係団体、委員の皆様、どうもありがとうございました。  次回の日程につきましては、また調整、確定次第、追って御連絡させていただきたいと思い ます。  以上でございます。 照会先  老健局振興課 辻  連絡先:03−5253−1111(3937)