07/08/20 独立行政法人評価委員会年金部会議事録掲載 第15回 独立行政法人評価委員会 年金部会 日時 平成19年8月20日(月)10:00〜 場所 厚生労働省専用第18〜20会議室 ○部会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第15回独立行政法人評価委員会年 金部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まり をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、竹原委員が御欠席でございま す。  それでは、初めに事務局から本日の議事について簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事でございますが、財務諸表等に関する意見、総合評価及び見直し当初案を 中心に御審議を進めていただきたいと思います。これに伴いまして、本日の部会の途中 で事務局の入れ替えを行いますが、御容赦くださいますようお願いいたします。  まず、財務諸表についてでございます。法人の財務諸表等に関する意見につきまして は、各法人共通の流れとなりますが、担当委員でございます佐野先生から、ヒアリング の結果を御報告いただき、それを踏まえ御審議をいただきたいと思います。  次に、平成18年度業務実績について、前回の個別評価の結果に基づき、起草委員に おいて起草いただきました総合評価の案につきまして、御審議をいただきたいと思いま す。また、これまで皆様に御記入いただきました評価シートの原本につきましては、御 参照いただけるよう、お手元に置かせていただいております。後ほど、本日の御審議等 を踏まえまして、評価シートを確定いただく時間を設けさせていただきますので、よろ しくお願いいたしたいと思います。  最後に、農業者年金基金の組織・業務全般の見直し当初案について御審議をいただき たいと思います。なお、本日の見直し当初案につきましては、主務省たる農林水産省に おきまして現在検討中のものであり、見直し当初案に係る資料については、机上配付資 料として御用意させていただいております。委員の皆様におかれましては、見直し当初 案の内容については御公表されないよう、十分に御留意いただければと思います。  議事については以上でございます。 ○部会長  議事に入ります前に、事務局より参考資料の説明がありますので、よろしくお願いい たします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、参考資料について御説明いたします。参考資料の1をご覧いただきたいと 思います。こちらにつきましては、総務省行政管理局長から各府省の独立行政法人評価 委員長あてに出されたものでございます。これは、「独立行政法人評価委員会における「独 立行政法人の役員の報酬等及び職員の給与水準」の活用について(依頼)」というもので ございます。  具体的な内容ですが、10ページをご覧いただきたいと思います。前回、前々回の部会 でも御審議いただいておりますが、職員の給与水準等におきまして、全法人の状況を総 務省が取りまとめたものでございます。対国家公務員指数、平成17年度、平成18年度、 それから対他法人指数について取りまとめたものでございます。御留意いただくべき事 項といたしましては、今回総務省が取りまとめた資料におきましては、特に地域差や学 歴差を調整した数値が記載されておりません。前回までに御審議いただいたものにつき ましては、地域差等を考慮した係数を別途お示ししておりますので、これに留意する必 要があると考えております。  それから、参考資料以外のもので机上配付資料が1枚ございます。机上配付資料で一 番上に出したものでございますが、これにつきましては、前回の部会で佐野委員より御 質問いただいておりました、「常勤監事がいる場合の非常勤監事の報酬について」という もので整理したものでございます。この中でも特に、上から4つ目の、福祉医療機構で ございますが、報酬月額の欄が378千円と、他と比べて若干高くなっております。これ につきましては、出勤頻度が他の法人より2倍程度多いということが要因であると考え ているところでございます。  以上、御確認いただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○部会長  それでは審議に入りたいと思います。まずは、総合評価書、財務諸表等に関する意見 につきましては、起草委員の先生方に、お忙しい中、御尽力をいただきまして誠にあり がとうございました。  初めに、年金・健康保険福祉施設整理機構について審議をいたします。まず最初に、 財務諸表等に関する意見について審議に入ります。財務諸表につきましては、独立行政 法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聞いた上で、厚生労働 大臣が承認することとされております。それでは、財務諸表等につきまして、担当の委 員であります佐野委員から御説明をお願いいたします。よろしくお願いします。 ○佐野委員  私は、財務諸表を拝見いたしまして気づいた点を何点か申し上げたいと思います。  昨年、同部会におきまして、決算報告書におけます予算差異の件と、消費税の税抜き、 税込み処理についてお話しさせていただいたところです。お手元にあります資料では、 皆様の水色のファイルの下に財務諸表、資料6−2というのがあるようでございますの で、これの44ページを見ていただくと、決算報告書ということで、予算に対して決算 の執行状況がどうであったかという、予算、決算、差異という比較にフォーマットされ ております書類が載っていると思いますので、それをごらんいただくと分かりやすいか と思います。  昨年私が疑問に思って提案させていただいたところが、予算、決算、差異のこの差異 欄につきまして、収入と支出で差し引きの仕方が異なりますねと。収入についてはたし か決算から予算を引きまして、支出については予算から決算を引くので、大変可視的に、 見たときに見づらいですねと。これは厚労省さんの方で統一的な扱いはいかがですか、 というようなお話をさせていただいたことがございます。独法基準では基準がございま せん。今般ごらんいただきますように、本機構におきましては、差異欄をB−Aという ふうに明示的に表示していただきまして、決算から予算を引いていることが明示されて いて、大変分かりやすくなったと思っております。これはどちらからどちらを引くとい う決めがございませんので、このようにこの機構はBからAを引いた、決算から予算を 引いたということで、見た目に分かりやすくなっていると思いますが、一般的には予算、 決算、差異と並んでおりますと、左から順次計算式に当てはめていくということで、予 算から決算を引いてどれだけ予算の執行残があるかというようなことを見るのかなと思 いますが、決めがない以上、このように明瞭的に記載していただいたことで大変結構か と思います。  予算差異がちょっと多くなっておりますが、これはここにありますように落札額が計 画を上回ったためというように記載がございまして、それぞれ事由があることというふ うに判断できますので、執行状況も大変よろしかったのではないかと思っております。  それから、消費税につきましては、昨年も税抜き処理、税込み処理、これは注記情報 として、それぞれの組織がどちらの方法で会計処理をしているかというのが注意喚起さ れているので、これはどちらでも結構ですということもお話しいたしまして、また基準 でもそうなっているところであります。たしか昨年の厚労省さんのお調べいただいた中 では、税抜き処理、つまり裸価格ですね。105円で買っても100円が本体価格で5円が 消費税ですというときには、100円が商品価格、そして5円が仮払消費税、もしくは借 受消費税と。こういった税抜き処理を行っているところが、厚労省管轄で2法人ぐらい あるというふうに昨年伺ったと思います。当年もこの機構さんは少ない税抜き処理を行 っている一つということで、継続して税抜きを行っておりますので、特に自己収入など を他法人と比較する場合には、他法人が多くの場合税込み処理になっていて、こちらは 税抜きになっているので、少し実績が他に比べると低く見えてしまうという問題があり ますよと。これはそのままになっているようでございます。これもいずれも認められて いる処理ですのでどちらでもよろしくて、かつ注記情報が入っているのでこれも結構だ と思いました。  それからその他、今年この整理機構さんについて特段の問題点はないのですが、お手 元資料6−2の最後の方に監事の意見と会計監査人の意見がございます。監事の意見の 中にも、監査の方法といたしまして、監事さんは会計監査人から監査に関する報告説明 を受けて、それぞれ検討を加えたという下りがございまして、問題は認められなかった という結論を下しております。また、会計監査人にある監査法人トーマツさんの方から も、問題はないというように意見が出されているところでございます。私もヒアリング をした中で拝見したところ、特段の問題は認められませんでした。  以上です。 ○部会長  はい。ただいま御報告をいただきました、年金・健康保険福祉施設整理機構の財務諸 表等につきまして、御意見がございましたらお願いをいたします。  それでは、修正意見がないようでございますので、平成18年度の財務諸表について の意見書として資料1−1を取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。その ように取り扱ってよろしいでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  では、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。  続きまして、年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価について審議をしたいと思 います。まず事務局から、「平成18年度業務実績全般の評価」という総論部分を中心に 御紹介をいただきまして、その上で、起草委員であります川北委員から御講評をいただ くという形で進めてまいりたいと思います。  それでは、よろしくお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、資料1−2でございます。「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構 の平成18年度の業務実績の評価結果(案)」でございます。読み上げる形で進めさせて いただきたいと思います。 1.平成18年度業務実績について (1)評価の視点  独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(以下「施設整理機構」という)は、 厚生年金保険法第79条又は国民年金法第74条の施設及び健康保険法第150条第1項又 は第2項の事業の用に供する施設(以下「年金福祉施設等」という)の譲渡又は廃止等 の業務を行うことにより、年金福祉施設等の整理を図り、もって厚生年金保険事業、国 民年金事業及び政府が管掌する健康保険事業の適切な財政運営に資することを目的とし て、平成17年10月1日に新たに発足した独立行政法人である。  今年度の施設整理機構の業務実績の評価は、平成17年10月に厚生労働大臣が定めた 中期目標(平成17年度〜22年度)の第2年度(平成18年4月〜19年3月)の達成度 についての評価である。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」及び個 別項目毎の評価の視点等に基づき、平成17年度の業務実績の評価において示した課題 等、さらには、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意見や取組 方針も踏まえ、評価を実施した。  年金福祉施設等は、年金資金等の損失を最小化するという考え方に立って、平成22 年9月までの5年間に、全て譲渡又は廃止することとされており、施設整理機構は、極 力譲渡価格は高く、かつ全ての施設を譲渡するという、両立が困難な2つの大きな使命 (ミッション)を与えられている。  したがって、施設整理機構の評価に当たっては、 ・中期目標期間の最終の事業年度(平成22年度)までに、全ての出資対象施設の譲渡 又は廃止をする ・各年度にあっては、年度計画に定める譲渡予定対象施設の譲渡又は廃止をする ・年金資金等の損失を最小化する観点から、適正な譲渡価格を設定する  といった事項についての達成状況、具体的な取組方法、又はその取組における創意工 夫を評価の基本とし、その上で、委託先公益法人等の従業員の雇用への配慮及び地方公 共団体との相談など、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて考慮した総 合的な評価を実施することとした。  また、施設整理機構の設置目的を達成するに当たって、トップマネジメント機能が有 効に発揮されたかについても評価した。 (2)平成18年度業務実績全般の評価  平成18年度における譲渡業務の実績は、落札ベースで62施設81物件約287億円の 売却額であり、件数は平成18年度計画を下回っているが、売却額では29億円上回り、 出資価格対比では139.1%の実績となり、発足以来の実績でも売却額350億円で、出資 価格対比140.9%となっている。これは、都市部における不動産市況の改善という背景 はあるものの、事業価値、不動産調査の詳細等を提示したマーケティング活動や銀行、 地元有力企業等からの情報収集等の取組の成果と認められ大いに評価できる。  また、平均応札件数及び落札率とも大幅に改善しており、マーケティング活動を本格 化したことに加えて、最低売却価格を入札前に開示する入札方式の導入等の取組による 成果が表れているものと認められる。  施設の事業継続については、前述のように事業価値、不動産調査の詳細及びキャッシ ュフローに着目したマーケティング活動等の結果、施設譲渡時に事業を行っていた45 施設のうち8割にあたる35施設について事業が継続されており、公共性に配慮した事 業継続の取組は大きく評価できる。  施設従業員の雇用についても、施設の事業継続を図ることにより、施設譲渡時に従業 員がいた45施設のうち6割にあたる28施設において雇用の継続が図られており、想定 以上の実績を上げている。  一方、譲渡業務を行うための業務経費については、必要最小限の経費の執行に努めた ことや最適な販売形態に向けて工夫・努力した結果、予算に対して5,968百万円の節減 がされたことは評価できる。  経費予算については、今後も大幅な節減が期待される。  これらを踏まえると、本格的な譲渡業務が開始された初年度である平成18年度の業 務実績については、施設整理機構の設立目的に沿って、適切に業務を実施したと評価で きる。  また、施設譲渡の過程で発生する様々なリスクに対する対応を始めとして、施設整理 機構の業務運営において、トップマネジメント機能が有効に発揮されており、引き続き 指導力を発揮した積極的な取組を大いに期待したい。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目 に関する評価資料については、別紙として添付した。 2.具体的な評価内容  以下につきましては、少し割愛をさせていただきながら、読み上げの形で進めさせて いただきます。 (1)効率的な業務運営体制の確立  施設譲渡業務のより一層の効率化、情報共有による推進体制の強化を図るため、3グ ループ体制から2部体制に見直しを行うとともに、不動産取引に係る機構業務の特殊性 を考慮した危機管理体制の強化を図るなど、業務推進に向けた体制整備を積極的に行っ ている。  また、平成17年度に実施した総合アドバイザー業務及び事業デューディリジェンス (適正評価)業務の報告を受け、不動産及び事業の現状把握等を行うこと等により、業 務の外部委託の成果を施設の譲渡計画策定及びマーケティング活動に活用している。  危機管理体制への対応、外部委託の実施が、機動的かつコスト意識を持って行われた ことは大いに評価できる。 (2)業務管理の充実  資産等に関する情報について、データベース化等の措置を講じるとともに、外部活用 による文書管理を徹底する等、情報管理体制の確立等、体制の充実に努めている。  業務の進捗管理については、引き続き定例会議等で行うとともに、情報を共有し日々 の管理を行える体制をシステムとして整備しており、内部での役職員の意志・情報の交 換が良く行われている点について評価できる。  また、業務遂行上生じうる多様なリスクに対して、潜在的なリスクへの事前対応等、 施設譲渡の過程で発生する様々なリスクに対して、適切にかつ厳格に対応している。ま た偽情報については、関係当局との連携体制の構築・強化や、迅速に当該情報内容をホ ームページに掲載し、周知徹底と被害の未然防止に万全を期していると認められ、業務 遂行上生じうる多様なリスクに対して適切に対処しており、大いに評価できる。 (3)業務運営の効率化に伴う経費節減  業務経費の執行については、予算に対し5,968百万円の節減であり、必要最小限の経 費の執行及び費用対効果を踏まえた効率的な執行に努めたことなど、最適な販売形態に 向けて工夫・努力した結果、大幅な削減が計られたとして大いに評価できる。  今後とも販売価格との関連にも留意しつつ経費予算についての経費節減に努められた い。 (4)各施設の経営状況等の把握  外部のコンサルタントである総合アドバイザーを活用し、全施設についての事業調査、 不動産調査を実施し、事業としての今後の可能性及び不動産としての対応方針を示した 有効なマーケティング資料が整備され、活用されている状況は評価できる。 (5)施設整理機構の業務内容に関する地方公共団体への説明  地公体等の意向を幅広く聴取し、その意向を踏まえたマーケティング活動が行われて いる。  また、施設機能の存続を希望する地公体に対して、事業継続となった場合の固定資産 税減免や補助金等の交付、施設利用促進などの支援策の取り付けに尽力し、約40団体 から固定資産税減免等の支援策実施の意向表明を受けたことについては、大きな成果と 評価できる。 (6)年金福祉施設等の譲渡又は廃止  平成18年度の売却額は、落札ベースで81物件約287億円であり、件数では平成18 年度計画を下回っているが、売却額では29億円上回り、簿価対比では141億円、出資 価格対比では80億円のプラスの実績となり、発足以来の実績は売却額350億円で、簿 価対比172億円、出資価格対比102億円のプラスとなっており、都市部における不動産 市況の改善という背景はあるものの、実績は大いに評価できる。  落札率についても、マーケティング活動を本格化したことに加えて、最低売却価格を 入札前に開示する入札方式の導入等により、92.1%へ大幅な改善がみられる。  施設の事業継続については、事業継続を前提とした購入希望者に対する事業価値の向 上に向けたインセンティブとして、(1)事業継続となった場合の固定資産税の減免や補助 金等の交付、(2)既存不適格となっている施設に係る土地の用途変更、及び(3)施設が事業 継続となった場合の施設利用に関する地方公共団体の支援表明などについて、各施設が 所在する地域の地方公共団体と折衝を行い、約40団体から固定資産税減免等の支援策 実施の意向表明を受けるなど、事業継続のための様々な取組がされている。  この結果、施設譲渡時に事業を行っていた35施設について事業が継続されている。 さらに、事業が継続されなかった事例についてもカルチャー教室の引継ぎ等、事業継続 の受け皿を確保している。  施設従業員の雇用については、事業継続を行うことを表明している買受検討者に対し ては、事前に従業員の再雇用を依頼し、また、落札者が事業継続を予定している場合に は、従業員の再雇用に向けた面接の機会等の設定に注力し、さらに施設の廃止に当たっ ては、厚労省職業安定局を通じて、公共職業安定所等へ情報提供を行っている。  上記のように、事業を継続した譲渡及び雇用継続の取組により、28施設について雇用 が継続されていることは、想定以上の実績を上げていると大いに評価できる。  なお、雇用、事業の継続を維持する上で国民年金健康保養センター「ひみ」のケース のような、職員が共同で購入した「MBO」の事例は、1つの有効な手段と考える。  今後とも積極的な売却戦略を展開して、譲渡件数も含めて目的達成に向けて努力され るとともに、売却業務のより一層の透明性の確保に努力されることを期待する。 (7)年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全  譲渡するまでの間、年金福祉施設等の資産価値の維持改善を行う必要があることから、 施設訪問の都度、事業調査の結果把握した経営状況に基づき、事業価値の向上に向けた 個別指導を実施している。  また、経営を継続することが不適切と認められる施設については、平成18年度譲渡 計画に織り込み、順次、運営委託契約を解除し運営を停止している。当該施設の都合に より運営を停止しなければならなくなった場合であっても、施設の事業価値・施設の劣 化防止を目的として、民間事業者との間で、管理運営委託を実施するなど、施設の管理・ 運営については、適切に行われていると評価できる。 (8)買受需要の把握及び開拓  事業継続での買受先の開拓及びファンドを含めた全国展開企業を中心にマーケティン グ活動を行っている。  また、情報収集方法としては、銀行、地元有力企業等を幅広く活用している。このよ うな取組の結果、平均応札件数は、前年の2.0件から4.1件に、落札率についても45.0% から92.1%へ大幅に改善しており、適切なマーケティング活動等の成果と大いに評価で きる。 (9)情報の提供  施設整理機構の運営状況等に関する情報については、適宜ホームページに掲載し、積 極的かつ適切な提供を行っている。  譲渡の対象に関する情報について、ホームページをバージョンアップし、入札公告中 の施設を一覧可能とした等の改善を行っており、情報開示は適切に行われているものと 評価できる。今後ともわかりやすいホームページの作成等、更なる充実を期待したい。 (10)財務内容の改善に関する事項  予算、収支計画及び資金計画については、経費の節減を見込んだ中期計画の予算を作 成し、当該予算による運営が適切に行われている。  収支計画における収益の部は予算比17億円プラス、費用の部は予算比181億円マイ ナスであり、その結果、総利益は120億円となり、予算比198億円プラスとなっている。  収益の部の実績が予算を上回った主たる要因は、施設譲渡により生じた収入が、予算 対比14億円プラスと大幅に上回ったためである。  予算差異はあるものの、収入増、経費節減を図った結果であり、大いに評価ができる。 (11)その他業務運営に関する事項  人事については、職員の専門性を高め、その勤務成績を考慮した人事評価を実施する ため、譲渡専門職員については、民間に準じ成果主義に基づく実績評価を、一般職員に ついては、国家公務員に準じた実績評価と能力評価による評価制度を導入するなど、計 画通り適切に行われている。  国庫納付金については、平成17年度分は、決算結了後、平成18年9月11日に速や かに納付が完了、平成18年度分は適切に額の確定を行い、決算結了後できるだけ速や かに納付することとしている。なお、国庫納付金の算定に当たっては、19年度収入の状 況を加味し、19年度予算比25億円の増を予定しており、国庫納付は適切に行われてい る。  外部の有識者からなる譲渡業務諮問委員会については、入札参加資格に規定する「そ の他当機構が不適当と認めた者」の具体的事項、最低売却価格公表ルールの見直し等に ついて諮問し、諮問委員会が様々な懸案に対して機動的に対処した点は評価できる。  施設整理機構の保有する個人情報については、適切に管理されており、引き続き適切 な管理に努められたい。  以上でございます。 ○部会長代理  では、講評ということで私の方から。繰り返しになるところはなるべく避けまして、 私の意見を申し上げますと、結論として、非常に弾力的にかつ工夫を凝らして業務の執 行がなされていると考えております。  工夫としましては、売却、リスクの対応、雇用の確保など、いろいろな面で実行され ているわけですが、一つは外部の機能を有効に活用されて、その結果をマーケティング に活用されているということ。それから、入札なども初年度の応札率がそんなに高くな かったというところを、経験を踏まえられて、翌年度から最低売却価格を入札前に開示 するような方法を採用されている。それから、地公体と交渉されて、事業を継続したと きの税の問題とか、そういう工夫もなされている。それからあと、諮問会議ということ もありました。外部の知恵をうまく活用されて、業務の執行に有効な意見をその諮問会 議から得られている。そういういろいろな工夫がなされている結果、売却額はアップさ れていますし、それから費用の面でも余分なものは使わない。かつ事業の継続というこ とで、その施設の取り壊し費用なども削減されているということで、この平成18年度 については、目に見えて大きな成果を上げられていると思います。もちろん地価の上昇 という、外部環境がすごく良くなってきたということもあるわけですが、それ以上にい ろいろな工夫をされている。その結果、平成18年度の成果につながっているのではな いかなと思いました。  今後まだ残り3年あるわけですね。ということで、その間、地価の上昇等の外部のい い環境が継続するのかどうか、これはよく分かりません。その中で特段売りやすいもの から売ってられるわけでもないということで、今後の3年間、平成22年9月で処分を 完了する、その計画の達成に向けて、さらに大きな成果を上げていっていただければい いのではないかと思いました。  以上でございます。 ○部会長  ただいま御報告をいただきました総合評価書(案)につきまして、御意見等がござい ましたらお願いをいたします。 ○大野委員  すみません。よろしいでしょうか。こちらの評価結果の中で、雇用についての評価が 書かれておりまして、今年度は6割ぐらいの法人で雇用の継続が維持されたというよう な記述がありましたが、高い売却価格を目指しつつ、雇用、あるいは公共性を配慮しな がらの売却を進めていかなければいけないということで、非常に難しい中で雇用を6割 達成してくださったということでは、非常に評価できる実績であったと言えるかと思い ます。  それでこの中で、例えば2ページの中で、「想定以上の実績を上げている」といったよ うな記述があったかと思いますが、6割で雇用が維持されたというのは、当初の予定よ りもかなり上回る雇用実績であったという評価で、そうしますと来年度以降については、 この6割というのは達成できれば非常によい実績であって、6割以下になる可能性も 重々にあるというようなことで理解してもよろしいのでしょうか、という点について1 点お伺いできればと思います。 ○部会長  これについていかがでしょうか。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  お答えをいたします。正確に申し上げますと、6割の施設で雇用が維持されたという ことでございまして、全体の雇用人数は5割弱でございます。したがいまして、6割の 施設でもう退職した方もいらっしゃると。正確なところはそういうことだということ。  今の御質問に関しましては、先般申し上げましたとおり、事業として売るものに関し ましては、事業は人と物と金と情報、この4つがセットでございますので、人というの は極めて重要な要素でございます。したがいまして、事業として譲渡を受ける側も、人 はぜひ雇用したいというニーズはあるわけでございまして、事業としてできるだけ売る ことによってそれを達成していきたいと考えております。  これは、私どもが引き受けました当初の想定といたしましては、全員解雇だったわけ ですね。要するに不動産売却でございますので、一部生きたまま売ったものも過去あっ たようでございますが、基本的には施設を閉鎖して、不動産として譲渡していくという のが、私どもが受けたとき、初めこういうふうにやってくださいというように言われた のはそういうことだったわけです。しかし、それではもったいないですよということで 変えてきたわけでございまして、おっしゃるとおり、「想定」という言葉がどういう意味 を持つかということについては、私どもが申し上げるべき点ではないと思いますが、私 どもとしてはより努力をしていくと。  ただ、高く売ることが最大のミッションでございますので、雇用を維持することが高 く売れないということになるとすれば、その雇用は捨てなければならないということで ございまして、例えば東京厚生年金会館でございますとか大阪厚生年金会館というのは、 これは数百人規模の方々が働いていらっしゃるわけです。この機能がもし維持できない と。非常に高く売れるでしょうから。そうしますとやはり下がることになります。した がいまして、その売り方として、一つ一つについてどう適切であったかということを踏 まえて、その結果として雇用がどう維持されたかという判断だと思います。そこは私ど もの考え方をその都度御説明申し上げてまいりたいと思っております。  これで答えになっていますでしょうか。 ○大野委員  ありがとうございました。 ○部会長  今の御質問の関連でいえば、文章表現として「想定」というものがはっきりしていな いから、「想定以上の実績」といったような表現は余り適切ではないのではないか、とい うような受けとめ方をすればいいのでしょうか。 ○大野委員  そうですね。一瞬この文章を見たときに、「想定以上の実績を」といった場合に、「想 定」という御説明が多分この会議の中ではなかったと思いますので、その点について少 しお聞かせいただければと思ったぐらいです。 ○部会長  はい、光多委員どうぞ。 ○光多委員  これ全般についてですが、今おっしゃったところが一番、実はこの評価についてもま だ少し統一していないところがあって、中期計画よりも大幅に上昇した場合とか、やや 上回った場合とか、大体そのとおりだというところで、SやAやBがあるわけですよね。 正直言うと、中期計画から見ると大体そのとおりやっているので、そういう点でいくと Bなのです。  ただ、この「想定以上」ということですが、私は正直言って、こういう公的な資産を 民間の観点でおやりになるということであれば、これはかなり高い評価ですが、民間の 行動パターンでいくとこれは当然なんですね。すべて民間とすれば多分これ以外のやり 方はないと思います。ただ、一応独立行政法人という形の中に、民間のそういうやり方 を入れたという形で、非常に評価が上がったという点で評価していいのではないかと思 います。その辺がやはり評価の視点としてはもう少しきちんと詰めなければいけない話 だと思いますが、今おっしゃった「想定以上」というのは、私の理解では、一般的に大 体こういう施設を処分して、特に従業員の雇用というのは、私が当初からかなり強くお 願いしていた経緯もありますが、一般的に大体このくらいだろうと想定されていたより はかなり高かったという感じの意味だと私は思います。だから、計画以上という意味で はなくて、一般的にこのくらいの形だったら、私は正直言ってその2〜3割ぐらいはで きるのかなというぐらいの感じだったのですが、そういう当初想定された一般的なレベ ルよりは、かなり高かったという意味で考えていただいていいのではないかなと思いま す。 ○部会長  ほかの委員の方からこの件について何か。はい、佐野委員。 ○佐野委員  ここは従業員の雇用への配慮をしながら、最大ミッションである売却物件を高値で売 ろうということだと思うのです。そうすると、ただ社会的な責任として、民間企業であ っても雇用の継続を視野に入れながらということは配慮が必要だよという程度であって、 私はここでパーセンテージを示して想定以上の実績を上げたというのは、今、光多委員 がおっしゃったように、普通に思っているよりは良くやったねということで、計画に対 して想定以上の成果を上げたからプラス評価をするということではないというのに賛成 ですが、その辺が今の御説明のやりとりを聞いていると、民間では当然だというところ にちょっとひっかかりがあって、最大ミッションを実行するために、犠牲にしなければ ならないものを犠牲にするというのはやはりあってしかるべき。ただ、それが今の実勢 社会の中で社会的な責任を果たそうという部分と、最大ミッションが何かというのの兼 ね合いだと思うんですね。もちろん利益追求するために、例えば賞味期限を延ばしてし まったという、ああいう不正はいけない。それから、そのために人を犠牲にしてはいけ ないというようなことはあって、社会的責任を果たさなければいけないというのはわか るのですが、当機構の場合は雇用の継続を配慮しながら行うということだから、62%と いうところに評価の視点を持ってきてしまって高い評価をするというのは必要がないの だろうというふうに、結論的には光多委員と同じですが、ちょっと書きぶりについては 異論があるといいますか。 ○光多委員  私が申し上げたのは少し誤解があると思うのですが、民間であればこのくらい当然だ というのは、この部分だけではなくて全般の話ですね。例えばリスクへの対応とか売り 方とか、これについてはまず民間であれば当然こういうやり方をされますし、多分これ 以外のやり方がないのだろうと。ちょっと次の段階で、じゃ、この問題については計画 どおりではなくて想定以上ということなので、民間でいくと場合によればそういうこと を知らなくて、とにかく一番高い値で売ってしまったかもしれませんが、これはやはり この評価部会で、そこについては考慮してくださいよという一つの足かせをはめたので、 そこについてはかなりいろいろ苦労されてやっていただいたという形です。だから、こ の表現ですが、計画以上ではないのですね。「想定以上」というのは、省略されていると すれば、「一般的に想定される以上の実績を上げられた」という表現だと思いますが、何 かもっとよい表現があればあれですが。 ○佐野委員  想定する必要は、文字化することは全くないのではないかなと思います。つまり、雇 用に配慮して売却するということが評価の視点になっておりますので、ちゃんと雇用に 配慮した売却が行われたという、雇用に関しての部分についてはそれだけでいいと思い ますので、5ページの真ん中辺のところの(6)の最後の部分、「62%について雇用が 継続されていることは、想定以上の実績を上げていると大いに評価できる」というとこ ろは、単に「62%について雇用が継続されていることは評価できる」という程度で、「想 定以上」というのはあくまでも文字外のことでよろしいのではないかなと私は思います。 ○光多委員  確かに「想定」というのはちょっとあいまいですね。正直言って、私たちが気持ちの 中で思っていたより以上のという、そういう意味が「想定以上」という表現になってい るので、余りあいまいな表現は抜いていただいても結構かと思いますが。 ○部会長  それでは、今御意見がございましたように、この部分については「大いに評価できる」 という、「大いに」は入れていいですかね。 ○佐野委員  ちょっと「大いに」が出たのでついでに申し上げますと、随所に「大いに」が多いで すね。やはりどこかちょっとポイントを絞って、例えばここですとやはり最大のものは 経費削減しながら簿価を下回ることなく国庫納付を行う、つまり売却をして行うという ところだから、そこに最大の焦点があって、そこがよくできているということを大いに 評価して、あとはもうちょっとめり張りをつけていただかないと。当整理機構の場合は 結果として非常にいい業務を行ったということは十分分かるのですが、余りにも「大い に評価できる」があり過ぎて、何か当たり前になってしまうともったいないなと思うの で、ちょっとその辺はめり張りがあった方がいいかなと。 ○光多委員  私も民間でこういう評価というのを随分やってきたのですが、民間の場合にこの「大 いに」という表現は使いませんよね。実際に民間の手法をおやりになって、これを行政 用語で評価したものだからこうなっていて、Sの場合には「大いに」を入れろという話 になっているものですから、今回Sが非常に多かったので「大いに」が増えて、しかし 確かにこれは普通の文章表現としては余り、「大いに」がたくさんあってちょっと。ただ、 これはそういう基準らしいですね。これだけSが多いと、多分厚労省の独法の中で、こ こが一番高い評価になってしまう可能性もありますね。したがって、この「大いに」が これだけ大盤振る舞いされているという結果になっているのですね。ほかに何かいい表 現があればいいのですが、ただこれは全体の評価の中で、Sがついたときには「大いに」 という表現を使うのが一般的に行われているみたいですが。 ○部会長  ほかの委員から何かありますか。よろしいですか。そうしたら、「大いに」という表現 が多いということですから、この部分は「想定以上の実績を上げていると大いに」とい うところまでをカットさせていただくということにしてはどうかと思います。あわせて、 2ページのまとめのところでも、「想定以上の実績を上げている」というのが、ちょうど 真ん中あたりに出てまいります。ここも今の話とつじつまを合わせるという観点では、 「相当の実績を上げている」という程度にしてはどうかと思いますが、よろしゅうござ いますでしょうか。  それでは、今いただきました御意見は、申し上げましたような形で修正をいたしまし て、平成18年度の業務実績の評価結果として、各法人及び総務省政策評価・独立行政 法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表したいと考えております。  なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要になった場合の対応につき ましては、私の方に御一任いただきたいと存じます。以上につきまして、そのように取 り計らってよろしゅうございますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。最後に、法人の理 事長さんよりコメントをいただけましたらよろしくお願いいたします。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  大変ありがとうございました。大変高い御評価をいただけたと思っておりまして、心 から感謝をいたしております。また、今いただきました御意見及びこの御評価の中の文 章の行間にございます、我々が努力すべき点はまだまだ多々あると思っています。さら にその努力を続けてまいりたいと考えています。  それから、川北先生から最後の御講評のときに民間としての工夫、あるいは光多先生 から民間としては当然ではないかと、こういう御意見はまさにそのとおりだと思ってお りまして、独立行政法人であるというこの自由度を極力最大限に使いつつ、当初の目的 を果たすべく努力をしていきたいと。  ただ1点申し上げたいと思っておりますのが、私どももやはりスタートした時点で、 従来政府が行ってきた対応をそのまま踏襲した部分がかなりございました。この部分に ついては、実はこの1年半の間に、というのは2年弱でございましょうか、基本的には かなりの部分がいろいろな形で否定されてきていると考えております。これを、今まで 政府がこのようにやってきたので、そこはそのまま踏襲するというところを一つ一つ綿 密にチェックをしていかないと、やはりいろいろな意見、御批判にたえられないという ふうに思っているところでございまして、本年度も種々の改善と申し上げたら言葉が適 切でないかもしれませんが、変更を加えてきておりますが、細心の注意を払って引き続 き変えるべき点は変えてまいりたいと考えています。  私どもに対しましては、種々の意見、批判というのがございます。我々としてもそれ に対してきちっと対応していかなければいけないと思っておりますが、一方で民間から みんな来ておりますので、いわれなきといっては言い過ぎかもわかりませんが、なかな か苦労する面が多いというのも事実でございます。しかし、このような御評価をいただ きましたことについては、私どもとしても大変ありがたいと思っておりまして、引き続 き志と勇気を持ってこの仕事を完遂したいと考えております。  どうもありがとうございました。 ○部会長  ありがとうございました。では、現在までの意見・報告等を踏まえまして、個別評定 を修正したい方は、ここで評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきますの で、よろしくお願いいたします。なお、修正に当たりまして、事務局より留意事項があ るとのことですのでお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  留意事項でございます。前回までに御記入いただきました個別評価シートについては、 A3のものでございますが、机の上に置かせていただいているところでございます。本 日の財務諸表等に関する御報告等によりまして、個別評価の修正が必要となった場合に つきましては、机上に置いてあります赤鉛筆で御修正をお願いしたいと思います。また、 修正、追加した等のコメントにつきましては、場所がわかるように附せんを張っていた だきたいと思います。また、机上配付資料といたしまして、「個別項目に関する評価結果」 でございますが、未定稿のものを各委員の先生の名前が入ったものだけを配付してござ います。これも御参考にしていただきたいと思います。最後に、作業に当たりまして、 これまでの個別評価に係る関係資料についてごらんになりたい場合については、机上の 方に用意しておりますので、適宜御活用いただきたいと思います。  以上でございます。 ○部会長  では、適宜修正等をお願いいたしますが、修正に当たっての質問事項等がありました らお願いをします。  それでは、5分ほどお時間をとらせていただきますので、評価シートの確認や修正を お願いいたします。 (各委員評価シート記入) ○部会長  よろしいでしょうか。それでは、これをもって、年金・健康保険福祉施設整理機構の 平成18年度業務実績評価及び財務諸表等に関する意見を取りまとめさせていただきま す。なお、まだ書き足りない方におかれましては、審議を進めさせていただきますので、 適宜記載をお願いいたします。  各評価書には、評価結果の別添として、評価シートの集約版が添付されておりますが、 本日、評価の確定を行っていただいたことにより、S〜Dの評定が変更になった場合、 また、コメントが修正、追加等された場合は、これらを反映した評価シートの集約版を 添付することといたします。評価シートの集約版について、誤字脱字、事実誤認などに よる修正が必要になった場合の対応につきましても、私に御一任をいただきたいと存じ ます。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆様しばらくお待ちください。 どうもありがとうございました。 (事務局入れかえ) ○部会長  それでは、年金積立金管理運用独立行政法人について審議をいたします。最初に財務 諸表等について、担当の委員であります佐野委員から御説明をお願いいたします。よろ しくお願いします。 ○佐野委員  皆様のお手元の資料では、水色のファイルの下の1−3に、平成18事業年度の財務 諸表がそろえられているものと思いますので、ご覧いただければと思います。先ほども 予算差異と消費税のお話につきましては、その記載について申し上げたところですので、 重複するので具体的な内容については避けますが、結果といたしましては当独立行政法 人におきましても、決算報告書の予算、決算、差異の欄につきましては、先ほどの法人 と同様に収支ともに決算欄から予算欄を差し引いて、可視的にその状況が分かるように なっているということでございます。また、消費税については、税込み処理を採用して いる法人ということでございます。  お手元の資料1−3の一番後ろの方の135ページ以降に、監事の監査報告書と会計監 査人の監査報告書が添付されております。135ページにありますように、監事からは、 会計監査人である監査法人から諸事説明を受けて問題がなかった、監査の方法について も問題がなかったという御意見をいただいているところでございます。また、会計監査 人からも、決算処理についての問題はなかったという意見をいただいているところで、 私からも特段申し上げることはございません。  1点だけ、御参考までに申し上げたいと思います。お手元資料の3ページに貸借対照 表がございます。貸借対照表を拝見したときに、一番大きな額で動きがあって目につい たのが、上の方の流動資産の中にあります未収金、239億円が計上されている未収入金 についてちょっと目を引きまして、これは参考情報として皆様に御案内するものでござ いますが、この未収入金239億円のうち、236億円がいわゆる後発事象にかかわる修正 でございました。これは、米国主権免税訴訟に関する合意書の締結等により、平成19 年5月にこれが確定したものでございます。したがって、5月に確定したので3月31 日現在では未収入金としての確定が見ていないということで、一般的にはこれは中期開 示、開示後発事象と言いますが、決算日後こういった事象がありました、したがって236 億円の還付金が回収されます、といったようなことを中期として開示するのが一般的な のですが、当法人におきましてはこれを修正後発事象というくくりにいたしまして、決 算書類を3月31日現在の未収入金として計上いたしました。したがってこの未収入金 が236億円、膨らんでおりまして239億円になっているわけでございます。  これについて私の方も法人の方から御意見を伺い、またそういった話があったという ことでの会計監査人からの意見も法人を通して聞いたところですが、最終的にこれは会 計的に言っております修正後発事象として、決算書類を修正してよいものであろうとい うふうに私も判断いたしました。これは御承知のように後発事象ですから、決算日の後、 発生した事象ということになります。しかしながら、既にその原因が決算日前に生じて いて、そしてその確定がほぼ見込めると。相当高い程度に認められて、決算書類の作成 日現在、3月31日現在の会計的な状況を判断するのに修正した方が分かりやすい、客 観的で追加的な証拠を提供するに値するというものは、決算書類を修正してしまうとい うのが会計のやり方でございます。したがって、5月に未収入金が確定したわけでござ いますが、3月31日にもう原因となる事象があったということ。それと、決算書類を 作成する日現在、この収入が確定しているということをもって決算書類を修正した、修 正後発事象として扱ったということでございます。これについては、未収入金が多額に 計上されておりますが、法人並びに会計監査人の判断でよろしかろうというふうに私も 判断いたしましたので、追加的に御報告させていただくものでございます。  その他特段の特記すべき事項はございませんでした。以上です。 ○部会長  ただいま御報告をいただきました年金積立金管理運用独立行政法人の財務諸表等につ きまして、御意見がございましたらお願いをいたします。  それでは、修正意見がないようでございますので、平成18年度の財務諸表について の意見書として資料2−1を取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思います。以上 につきまして、そのように取り扱ってよろしいでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次に年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について審議いたしたい と思います。まず最初に、年金積立金運用報告書及び年金福祉研究会に関する調査につ いて、年金局より御説明をいただき、これに対する質疑を行います。それでは、年金局 の方からよろしくお願いをいたします。 ○大臣官房参事官  資金運用担当参事官でございます。お手元の資料、あらかじめお配りさせていただき ました資料2−3、それから先ほど別途お配りさせていただきました「年金福祉研究会 に関する調査について(概要)」という1枚ものの資料でございますが、この2つの資料 につきまして概要を御説明させていただきます。  まず初めに、「年金福祉研究会に関する調査ついて(概要)」という資料でございます。 この件は、去る4月に国会での御指摘を受け、各種の国会での御審議や、独立行政法人 自らによります内部調査により、その事件の解明が図られ、それらについて8月の上旬 に関係職員の処分が行われたというものでございます。ただし、この事案につきまして は、これから御説明しますように年金福祉事業団、あるいは年金資金運用基金と申しま す、この独法が引き継ぎました業務をかつてやっておりました団体において行われてい た業務であり、その業務が最近になりまして明らかになった結果、独立行政法人が引き 継いだ業務を整理するという位置づけのもとで内部的な調査が行われ、引き継いだ職員 の中で関係職員がおりましたので、それらに対する処分が行われたという案件でござい ます。したがいまして、独立行政法人としての評価に対してこれをどのように扱うのか ということは、若干御意見もあろうかと思われるところではございますが、4月以降こ の問題につきまして時々新聞に報道がされ、あるいは8月の上旬に関係職員の処分が行 われました際にも、これにつきましてその報道があったところでもございます。したが いまして、本来業務と離れたところで行われたものであること、あるいはその寄託を受 けました年金保険料、年金の積立金を毀損したものではないといったことではあるとは いえ、この評価委員会に評価をまさに行っていただいておりますこの直前におきまして、 こういった問題が世の中に報道等を通じて明らかになっているということを考えますと、 この問題についてどうすべきなのかという起草委員の先生方からの御指摘などもありま して、総合評価の中に何らかの形でやはり言及すべきではないのかということでござい ましたので、資料として本日この年金福祉研究会に関する調査につきましての概要を御 説明することとしたものでございます。  その概要でございますが、時間も限られておりますので、少し飛ばしながらの御説明 で恐縮でございますけれども、先ほど申しましたようにこの研究会と称しますものは、 (1)の1つ目の○にございますように、独法に先行します年金福祉事業団時代の相当 以前から、非公式な任意組織として行われたものであるということでございます。何を やっていたかということでございますが、1つ目の○の下の括弧の中にございます【研 究会の主たる業務】の部分ですが、当時この先行しておりました年金福祉事業団、ある いは年金資金運用基金におきまして、年金積立金の市場における運用以外に、年金担保 融資、あるいは住宅融資といったような融資業務を行っており、これらに係ります業者 の申請書類、あるいはその融資事業に携わっておりました関係金融機関に対するマニュ アル等の加除式の例規集といったものを、この非公式の任意団体としての研究会が印刷 製本し、作成販売していたというものでございます。その販売によって得られた収入に つきましては、平成7年からは税理士に依頼して税務処理が行われ、2つ目の○にござ いますが、平成13年、この年金資金運用基金の業務の一部が独立行政法人の福祉医療 機構に移管され、それに伴って融資業務が非常に縮小いたしましたので、収入が急減し、 平成14年以降は税申告は不要であるということで、税理士の先生と御相談した結果、 このような措置がとられてきたということでございます。  使途でございますが、(1)の一番下にございますけれども、当然のことながらそうい った書類、マニュアル等の印刷製本代、通信運搬費、あるいはこの業務に携わる職員を 当時の事業団ではなくこの研究会が雇い上げておりましたので、その職員に対する人件 費などといった、本来業務的なコストのほか、例えば全職員が参加する忘年会や新年会、 あるいは総務部の職員が関与した飲食代等といった形に費消されていたというものでご ざいます。  (1)にございますものは、ある意味では税理士の先生にも相談しながら、税務署等 に申告し適正に税務処理が行われていたものでございますが、(2)にございますように、 類似する名称のもう一つの団体が実は平成7年につくられておりまして、この団体にお きましても同じような業務を行っていたわけでございますが、他方こちらの団体が行っ ておりました業務につきましては、税務処理が行われていなかったということでござい ました。  以上のような形でこの研究会につきましての問題点が発覚いたしましたので、独法に おきましてかつての年金福祉事業団、あるいは年金資金運用基金におけるこれらの事象 につきましての調査を行い、その結果、研究会としてどのようなことを行っていたのか といったようなものをまとめたものが(3)でございます。結局この研究会が行ってお りましたのは、それらの印刷販売業務等から生じた剰余を職員の飲食代にも費消してし まった。さらに、年金福祉研究会と類似する名称の年金福祉普及研究会名義の別の口座 を設け、これらにつきまして税務処理が適切に行われていなかった。このような状況が 長期間にわたり放置されていた。少し細かいお話ではございますが、税法上税務書類と いうものは7年間の保存義務が課せられているわけではございますが、年金資金運用基 金が廃止される際に、担当部長が既にこれはもう関係ないものという認識のもとに、そ れを廃棄してしまったということでございます。また、これらの調査の過程におきまし て、年金福祉普及研究会という類似する名称の団体がもう一つ存在していたと、そこが 何をしていたのかにつきまして、関係者からの詳しい説明がなかなか得られなかったと いうことは非常に問題であったという報告書をまとめ、関係する国会議員の先生にも御 報告したところでございます。また、その結果を報道関係者にも公表しておりまして、 それに基づきまして幾つかの記事があったということでございます。  この調査の結果を受けまして、独立行政法人におきましては、既に先ほど申しました ように、8月上旬にまた引き継いだ現職の職員につきまして内規に基づく制裁を行い、 所要の手続をとったということでございます。  先ほど申しましたように、この事案そのものは確かに年金福祉事業団、あるいは年金 資金運用基金が行っておりました年金関係の融資にかかわる事業ということで、現在の 独立行政法人そのものが主体的に関与したものではなく、また現在の独立行政法人がや っております資金運用業務と全く別の部分で行われていた、当時は2つの業務を行って いたということでございますので、切り離された方の業務で行っていたということでは ございましたが、独立行政法人になってから、先ほど申しましたように事案が明らかに なり、調査が行われ、その結果に基づく処分を行ったということにつきましての新聞報 道もあったことから、総合評価に盛り込むべく、概要につきまして御説明するための資 料を用意させていただきました。  それから、もう一つの少し厚い方の資料2−3をご覧いただきたいと思います。こち らの方は前回の評価委員会の最後のところでも言及させていただきましたが、年金積立 金の運用につきましては、もちろん市場における対ベンチマークの収益率、長期安定的 な運用といったものも必要なわけではございますが、他方におきまして制度設計との関 係で年金給付、あるいは年金の保険料給付、年金の制度設計に対してどのような効果が あったのかといったものを、別途また評価することが必要になっております。それにつ きましての報告書でございます。  まず、恐縮ですが2ページの概要をご覧いただきたいと思います。前回、委員会にお きまして法人から法人自身が管理しております市場運用分、あるいは財投債の引き受け た部分につきましての収益について、報告をいただいたところでございますが、年金の 積立金の運用はもう一つ、現在は社会保険庁の年金特別会計から直接財政融資に預託さ れている部分といったものもございます。それにつきまして整理いたしましたのが、2 ページの1の(1)でございます。平成18年度、かつて年金福祉事業団が当時の財投から 借りておりました承継資産と呼ばれているものも含めた総合的な年金積立金全体の合計 の運用結果は、1の(1)の一番右側の合計の「承継資産の損益を含んだ場合」ということ ころにございますように、資産額が149兆円余り、収益額が45,000億円余りというこ とで、率に換算しますと3.10%ということでございました。ちなみに年金の積立金の運 用につきましては、単年度のこの数字だけですべてを語るということができませんので、 参考値といたしまして(2)にございますように、同様に計算いたしました積立金全体の過 去数年間の利回りの幾何平均を掲げさせていただいております。過去6年間、あるいは 過去3年間、過去5年間と掲げておりますが、積立金の寄託を受けながらの運用を始め た平成13年度からの過去6年間の平均収益率は3.26%です。あるいは普通の受託先の 運用機関を評価する場合に、3年、あるいは5年という期間で評価することが多ござい ますので、それにあわせまして運用独法を含めました、あるいは財投を含めました全体 の積立金の運用利回りを計算いたしますと、平均で過去3年間ですと4.20%、5年間で すと3.52%という数字でございました。  先ほど申しましたように、これらの利回りが年金財政の制度設計との関係でどのよう の意味を持つのかということを分析したものでございまして、概要は3ページにあると おりでございます。ただ、3ページの部分は非常に肝心な部分でございますので、恐縮 ですが本文の23ページをご覧いただきたいと思います。  第3章の「年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価」ということでござ います。ここのページの一番下の(3)実質的な運用利回りによる評価ということでご ざいます。これからやろうとしていることにつきまして、簡単に御説明させていただく 文章でございますが、御案内のとおり年金を受け取り始めますときの年金額というのは、 名目賃金上昇率に応じて決まっており、受給された後は、物価に応じて改定されるとい うのが基本でございます。こうした仕組のもと長期的に見ますと、制度としての年金が 抱えます年金の給付費は、名目賃金上昇率に連動して増加するということになっており ます。  そこで24ページの1行目、「したがって」とありますが、運用収入のうち賃金上昇率 を上回る分が、年金財政上の実質的な収益となるということでございます。このため、 運用実績を評価するということは、すなわち名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し 引きました「実質的な運用利回り」の実績と、財政検証(平成16年財政再計算)―― 現在はまだ財政再計算ですが――が前提としております「実質的な運用利回り」、この2 つを比較することが適当であるということでございます。  そこで同じページの(4)でございますが、平成16年の財政再計算におきましては、 平成20(2008)年度までは当時の「改革と展望」に準拠し、平成21(2009)年度以降 は構造改革の実行を前提とした平均的な名目運用利回り、賃金上昇率といったものを見 込んでおります。その結果は表2−14のとおりでございます。2008年度までは各年度 ごとに厚生年金、国民年金、それぞれごとに期待される名目運用利回り、賃金上昇率、 あるいは実質的な運用利回りといったものを設定しております。したがって、平成18 年度の年金積立金全体の運用が年金財政に与える影響を評価するということになります と、まず第一に平成18年度の数字につきまして、実績と、この2−14の表で与えられ ております平成18年度の実質的な運用利回り、この2つを比較することが必要になり ます。また、先ほど申しましたように、積立金の運用ということになりますと、単年度 だけで比較してよしあしを評価することは適当とは考えられませんので、それをもう少 し長期的に過去にさかのぼった結果、この実質的な運用利回りが制度設計に対して、実 績がどのくらいあったのかといったことを見ることが必要になろうかと考えております。  そこで25ページでございますが、平成18年度単年度の結論につきましては、表2− 15のとおりでございます。年金の制度、厚生年金、国民年金、それぞれごとに数字を計 算しておりますが、例えば大宗を占めます厚生年金で申しますと、平成18年度の名目 運用利回りは、先ほど申し上げましたように3.10%ということでございました。これに 対しまして、名目賃金上昇率の実績値は0.01%でございましたので、結局先ほど御説明 いたしました実質的な運用利回りはこの差分となりますので、3.09%ということになり ます。他方、先ほどの表2−14で与えられましたように、当時現在の制度設計のもとで、 平成16年財政再計算のもとで期待されております実質的な運用利回りは、厚生年金の 場合0.21%ということでございますので、実績の3.09%と予定の0.21%を比べますと、 表の一つ下の欄にございますように、2.88%上回ったということが言えるということで ございます。  なお、国民年金につきましては同様に計算いたしますと、実際の実績の実質的な運用 利回りが財政再計算上の前提を上回った率は、同じく2.88%ということになっておりま す。  また、先ほども申しましたように、平成18年度単年度だけで制度全体につきまして の影響を評価することができませんので、26ページ、27ページにございますように、 過去数年間につきまして同様に単年度ごとに計算されます実質的な運用利回りの実績と、 それから前提値の幾何平均によりまして数年間のものを計算したものが、表2−16と表 2−17の2つでございます。過去何年間やるのかにつきましては、いろいろ考え方があ ろうかと思いますので、まず現在の制度設計のもとになりました平成16年財政再計算 の推計初年度からということで、過去4年間分を計算いたしますと、厚生年金におきま しては、実績と財政再計算上の前提はそれぞれ4.55%と0.94%ということで、実績が前 提を3.61%上回ったと。国民年金におきましては3.66%上回っているということになり ます。  また、御参考までに申し上げますと、財投からの借り入れをするのでなく、厚生労働 大臣から寄託を受けました寄託金で運用を始めたのが平成13年度ですので、平成13年 度までさかのぼりました過去6年間の運用実績につきまして、同様に計算いたしました 幾何平均の数字は表2−17のとおりでございます。厚生年金におきましては、実質的な 運用利回りの実績値が前提値を上回った率が2.66%、国民年金におきましては2.56%と いうことでございます。  したがいまして、以上御説明申し上げましたように、平成18年度単年度、あるいは 平成15年度からの4年間の過去の実績値、あるいは平成13年度までさかのぼりました 6年間の実績のいずれをとってみましても、実績が前提を上回っているということでご ざいまして、(4)のまとめにございますように、最後の行でございますが、年金積立金 の運用は年金財政にプラスの影響を与えるという評価をすることができるというもので ございます。  以上でございます。 ○部会長  ただいまの御説明につきまして御質問等がございましたら。よろしいですか。  それでは、続きまして事務局から、「平成18年度業務実績全般の評価」という総論部 分を中心に御紹介をいただきまして、その上で、起草委員であります大野委員から御講 評をいただくという形で進めてまいりたいと思います。よろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、資料2−2「年金積立金管理運用独立行政法人平成18年度業務実績評価 結果(案)」でございます。  読み上げながらの形で進めたいと思います。 1.平成18年度業務実績について (1)評価の視点  年金積立金管理運用独立行政法人(以下「管理運用法人」という)は、厚生年金保険 法(昭和二十九年法律第百十五号)及び国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号) の規定に基づき厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、そ の収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の安定 に資することを目的として、平成18年4月1日に発足した独立行政法人である。  今年度の管理運用法人の業務実績の評価は、平成18年4月に厚生労働大臣が定めた 中期目標(平成18年度〜平成21年度)の初年度(平成18年4月〜平成19年3月)の 達成度についての評価である。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」及び個 別評価項目毎の評価の視点等に基づき、また総務省の政策評価・独立行政法人評価委員 会から寄せられた取組方針も踏まえ、評価を実施した。  管理運用法人は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効率的に 年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国民生活の安定 に貢献するという使命を負っている。  したがって、管理運用法人の評価に当たっては、その使命を果たすために行われた具 体的な取組、又はその取組における創意工夫を評価の基本とし、その上で、中期目標等 に定める事項が適切に行われたかについて総合的な評価を実施することとしている。  平成18年度においては、管理運用法人を立ち上げた初年度であることを踏まえ、平 成19年度以降の業務を円滑に遂行できる体制を構築できたかという点に重点を置いた 評価を実施することとした。  なお、年金積立金の運用は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的に行う こととされていることから、管理運用法人における年金積立金の管理及び運用の評価に ついても、長期的な視点で評価することが重要である。 (2)平成18年度業務実績全般の評価 ア 管理運営体制全般に関する事項  管理運用法人の使命は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な運用を行 うことにより、年金事業の運営の安定に資することである。  独立行政法人設立初年度に当たる平成18年度においては、管理運用法人は、前身で ある年金資金運用基金から引き継いだ業務運営体制を改善するため、組織編成を見直し た。管理運用法人が担う使命を果たすため、効率的な業務運営体制の基盤の構築に着手 したことは評価できる。  特に、年金積立金の管理及び運用に関する情報システムの構築については、中期目標 等において求められている時期よりも前倒しで、業務・システム最適化計画を決定し、 公表したことは高く評価できる。今後は、システムによって得られる情報を活用して、 業務の効率化やより適切な管理運用に実際に生かしていくことを期待したい。  また、人事評価制度の実施や職員の資格の取得の促進など、組織の業務運営能力及び 専門性の更なる向上のための取組を期待したい。  なお、管理運用法人に先行する旧年金福祉事業団等の内部に設けられた任意団体が当 時行っていた融資事業に関連する事業を行い、その収益の一部が職員の飲食に費消され ていた等の問題が平成19年4月に指摘され、管理運用法人により今月上旬に関係役職 員の処分が行われた。本件は、管理運用法人の本来の業務と離れて行われたものであり、 また、税金又は年金積立金が流用されているわけではなかったとはいえ、法人の社会的 信用を失墜するものであり、コンプライアンスを含めた業務運営管理のより一層の強化 を期待したい。 イ 年金積立金の管理及び運用全般に関する事項  平成18年度における取組として、特筆すべき事項としては、年金積立金運用におけ るリスク管理の基盤の整備が挙げられる。すなわち、管理運用法人が年金積立金の管理 及び運用を行うに当たって管理すべきリスク項目について体系的に整理し、それを踏ま えた見直しを行った結果、旧年金資金運用基金における管理項目の大幅な修正が行われ た。この点については、リスク管理に関する管理運用法人の強い意欲が感じられ、大い に評価する。今後は、新たなリスク管理項目に基づき、リスク管理の具体的な考え方や 基準を定め、リスク管理がより適切に行われるように努められたい。  その他、運用受託機関の管理及び評価に関しては、運用体制に不備が見られた既存の 運用受託機関を解約するなど、ベンチマーク収益率確保のための取組の適切な実施が図 られている。  これらの取組の結果、平成18年度においては、外国株式を除き、各資産とも概ねベ ンチマーク並みの収益率を得ることができたことは評価に値する。  なお、積立金の運用結果については、単年度の実績評価だけではなく、長期的に見る ことが重要である。平成19年度以降についても継続的に努力を行い、長期的に実質的 な運用利回りの確保に努められたい。 ウ 年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価  名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」について、 年金積立金の運用実績と平成16年財政再計算上の前提を比較すると、平成18年度単年 度、平成15年度(平成16年財政再計算の推計初年度)からの4年間、平成13年度(年 金積立金の自主運用の開始年度)からの6年間のいずれについても、運用実績が財政再 計算上の前提を上回っており、運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価する ことができる。  なお、年金積立金の運用については、長期的な視点から安全かつ効率的に行うことと されており、運用実績の年金財政に与える影響についても、長期的な観点から評価する ことが重要である。 エ 平成18年度業務実績全般の評価  以上を踏まえると、独立行政法人に移行後初年度に当たる平成18年度の業務実績に ついては、法人の管理運営体制については、今後業務を円滑に遂行するために必要な基 盤づくりができていると評価することができる。  また、年金積立金の管理及び運用に関する事項については、全体としては管理運用法 人の設立目的に沿って適切に業務を実施したと評価できる。  しかし、年金積立金の運用については、長期的な観点から評価されるものであって、 短期的な実績のみにより評価できるものではない。今後も年金積立金の安全かつ効率的 な運用が実施されていくことを大いに期待したい。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目 に関する評価資料については、別紙として添付した。 2.具体的な評価内容  以下につきましては、少し割愛しながら読み上げの形で進めたいと思います。 (1)業務運営の効率化に関する事項  まず、組織再編、人員配置及び業務運営体制の見直しについては、積極的な対応がな されている。特に、人材の専門性の高度化を進めるための対策については精力的に取組 が行われている。  例えば、運用経験者の中途採用については、外部の高い専門性を持った人材の採用を 行っており、最大限の努力を行っていると評価できる。また、職員の専門性向上のため の職員研修についても、大学院入学の補助制度が創設されるなど、内容の充実及び拡大 に注力していると認められる。今後も、人材の確保及び育成のために、限られた経営資 源の中で、例えば報酬体系の見直しや報酬以外の様々な手段により、応募や働き続ける インセンティブとなるような工夫を行うなど、引き続き更なる努力を求めたい。  業務管理の充実については、経営管理会議の設置をはじめ、年度計画の達成状況の把 握ができる体制ができている。また、内部統制を含めた業務管理の充実を図るための整 備の一環として、役職員の行動規範の制定など、職員の意識改革への取組がなされてい る。  内部評価及び内部監査については、監査体制の強化が図られており、中期計画に沿っ た対応が行われていると評価できる。構築された監査体制が適切に機能することを期待 したい。  資産統合管理システムの整備及び業務システム最適化については、特に中期目標等の 要請よりも1年前倒しで計画を決定し公表しており、前向きに取り組んでいることは高 く評価できる。今後は、システムを実際の業務上の意思決定の場面においてどのように 活用するかという点について更に検討を進め、業務のより一層の改善につなげることが 必要である。  業務運営の効率化に伴う経費節減については、管理運用委託手数料の水準については 節減が図られており、相当低い水準にあるものと認められる。また、契約に関しては、 従来より少額な契約についても一般競争入札を実施するなどの見直しを行った結果、一 般競争入札、企画競争入札の件数が前年を上回った。しかし、なお総契約件数の大半が 随意契約であるという現状にあるため、契約方法の見直しを一層進め、経費節減を図る よう求めたい。 (2)業務の質の向上に関する事項及び財務内容の改善に関する事項  受託者責任の徹底への取組については、意思決定の仕組みの構築による責任体制の明 確化など、着実に取組が行われている。また、自家運用の資産管理機関及び取引先に対 しては、取引に関する守秘義務の徹底が図られているか、確認を行っており、取引先に 対しての受託者責任の徹底についても積極的に取り組んでいると評価できる。コンプラ イアンスへの対応については、引き続き積極的に取り組んでいただきたい。  情報公開に係る取組については、分かりやすいホームページ作成を心がけるなど、取 組が認められる。情報公開への益々の努力を期待したい。  財務内容の改善に関する事項については、経費削減目標を達成するため、平成17年 度と比較して一般経費及び業務経費ともに経費削減及び事業の効率化が行われており、 予算の適切かつ効率的な執行がなされていると評価できる。平成19年度以降において も財務内容の改善について引き続き努力されたい。 (3)年金積立金の管理及び運用に関する事項  平成18年度においては、管理運用法人は、中期目標等で求められているとおり、平 成16年財政再計算における経済前提を踏まえて、ポートフォリオ全体のリスクが最小 となるような資産構成割合を導く方法により、基本ポートフォリオを策定した。また、 平成18年度及び平成19年度の移行ポートフォリオについても、平成20年度末におけ る基本ポートフォリオへの円滑な移行という目標を踏まえて策定されたと認められる。  なお、今後ダウンサイドリスクに関する検討を行うことや、平成19年度限りで終了 した後の将来の財投債運用の在り方など、運用リスクの管理に関する諸課題について検 討を深めることも必要であり、今後行われる基本ポートフォリオの見直しや運用の在り 方の検討においては、これらの点を含めた作業が行われることを期待する。  運用受託機関の管理及び評価に関しては、運用体制に不備が見られた既存の運用受託 機関を解約するなど、ベンチマーク収益率確保のための取組の適切な実施が図られてい る。  これらの取組の結果、平成18年度においては、外国株式を除き、各資産とも概ねベ ンチマーク並みの収益率を得ることができたことは評価に値する。  ただし、外国株式のアクティブ運用において、直近3年・5年のいずれについても運 用受託機関の大半がベンチマーク収益率を下回っている。この点についての対応及び改 善を図る必要がある。  管理運用法人における投資行動においては、市場の価格形成や民間の投資行動を歪め ないように配慮しなければならない。市場への資金配分を特定の時期に集中させないよ うに行うなどの配慮が見られ、真摯に取り組んでいると評価できる。これからも市場の 実情を踏まえつつ、マーケットインパクトへの配慮を心がけていただきたい。 (4)年金積立金の管理及び運用に関し遵守すべき事項  各資産のベンチマーク収益率を確保するための取組として、特筆すべき事項としては、 年金積立金運用におけるリスク管理の基盤の整備が挙げられる。すなわち、管理すべき リスク項目について体系的に整理し、それを踏まえた見直しを行った結果、旧年金資金 運用基金における管理項目の大幅な修正が行われた。この点については、リスク管理に 関する強い意欲が感じられ、大いに評価する。  また、運用受託機関に対し、遵守すべきガイドラインを示すことや、遵守状況を逐一 把握することを通じて、運用受託機関に対するリスク管理が適切に行われている。管理 運用機関としての積極的な体制が作られていると評価することができる。  なお、自家運用については、自家運用ガイドラインを定めた上で、運用状況及びリス ク負担の状況について確認を行っている。  このように、リスク管理を中心とした運用状況全体の分析及び管理においては、管理 運用法人の努力の跡が見られ、大いに評価できる。今後は、新たなリスク管理項目に基 づき、リスク管理の具体的な考え方や基準を定め、リスク管理がより適切に行われるよ う努められたい。  (5)年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価  管理運用法人の総合評価においては、独立行政法人通則法に基づく個別評価を補足す る観点から、個別評価の分析結果と併せて、年金積立金の運用が年金財政に与える影響 についての検証報告の内容を考慮して、総合評価を行うこととなっている。  公的年金の年金給付額は、長期的に見ると名目賃金上昇率に連動して増加することと なるため、運用収入のうち賃金上昇率を上回る分が、年金財政上の実質的な収益となる。 このため、運用実績の評価は名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的 な運用利回り」について、運用実績と平成16年財政再計算における前提とを比較して 行う。  実質的な運用利回りについて、年金積立金全体の運用実績と平成16年財政再計算上 の前提を比較すると、まず、平成18年度単年度については、運用実績が財政再計算上 の前提を2.88%上回っている。  また、平成16年財政再計算は、平成14年度末積立金を基礎として推計を行っている ため、平成16年財政再計算に対して運用実績がどの程度乖離しているかを見る場合に は、平成15年度以降について比較することが適当である。平成15年度から平成18年 度までの4年間の実質的な運用利回りについて、年平均3.61%、さらに平成13年度か らの6年間の実質的な運用利回りについても、年平均2.66%上回っている。  以上のことから、積立金運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価すること ができる。  なお、年金積立金の運用については、長期的な視点から安全かつ効率的に行うことと されており、運用実績の年金財政に与える影響についても、長期的な観点から評価する ことが重要である。  以上でございます。 ○部会長  続きまして、大野委員の方から講評をお願いします。 ○大野委員  年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価の起草委員として、私と竹原委員で検討 を行いまして、総合的評価書を起草いたしました。本日、竹原委員が御欠席であります ので、私が代行して御説明をさせていただきます。  評価書は他の先行法人の例に倣い、「評価の視点」「平成18年度業務実績全般の評価」 及び「具体的な評価内容」の3部構成としております。  「評価の視点」の部分においては、特に初年度の評価であることを考慮し、今後の業 務を円滑に遂行できる体制を構築できたか。また、年金積立金の管理運用の性格に基づ く評価の必要性などについて盛り込みました。  「全般の評価」といたしましては、年金積立金管理運用独法に与えられた使命を果た すための役割に必要な基盤づくりが、順調に行われていることを評価いたしました。平 成18年度における取組は概ね評価されるものでありますが、その中でもリスク管理の 基盤の整備については、様々な対応がとられ、大いに評価できるものとしております。  その他、運用の面以外につきましても、例えば情報システムの体制づくりの前倒しで すとか、あるいは見やすいホームページの作成ですとか、あるいは人事体制の見直しで すとか、業務面につきましても、様々な取組がなされていると判断しております。  年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響については、運用実績は平成18年度 単年度のみならず、4年、あるいは6年といった中期的に見ましても、財政再計算上の 前提を上回っており、年金財政に対してプラスの影響を与えるものというふうに評価で きるものと考えております。  運用評価につきましては、どのようなことを独法がなされたかといったことだけでは なくて、マーケットの環境ですとか、あるいは賃金がなかなか上昇しないといったよう なマクロ環境の状況に大きく依存する面もあるわけですが、とにもかくにも高い運用パ フォーマンスが達成できれば、それは年金財政にとっては安定化に寄与するということ で、大いに期待できるものと思いますが、ベンチマーク収益率を上回るようなパフォー マンスを今後とも中長期的に達成していただけるように、様々な取組をしていただけれ ばと思っています。  「具体的な評価内容」の部分におきましては、評価シートのコメントや前回の部会に おける議論をもとに、基本的に「大いに評価できる」「評価できる」としておりますが、 独法初年度であることを踏まえまして、さらに積極的な取組を期待する部分については、 その旨を指摘させていただいております。  私からの報告は以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、ただいま御報告いただきました総合評価書(案) につきまして、御意見がございましたら委員の方からお願いをいたします。 ○部会長代理  何カ所か出てくる言葉ですが、例えば2ページ目の下から5行目に、「ベンチマーク収 益率確保」という言葉が出てきます。ここを読んでいてかなり違和感があったのは、ア クティブ運用をされているということも含めると、ベンチマーク収益率確保だけではな くて、プラスアルファを目指しているというふうに私は認識していたのですが、ただそ の額がすごく大きなというか、運用のファンド自体がすごく大きな機関ですので、プラ スアルファの率というのはすごく小さいとは思うのですが、ベンチマーク収益率確保だ けで満足されているような、何かそういう書きぶりがいいのかどうか。ベンチマーク対 比、プラスアルファを狙っている。それの確保のための取組が適切になされている。そ ういう評価ではないのかなと私は思ったのですが、このあたりはいかがでしょうか。 ○大臣官房参事官  事務局が起草委員の先生方の御指示も受けながら作業をさせていただきましたので、 若干御説明させていただきます。確かに川北委員の御指摘の点もあろうかと思いますが、 一方におきまして、この独立行政法人の仕組みにおきましては、中期目標に基づきこの 法人がきちんと運用したかどうかの評価ということになりますし、またその中期目標に 基づいて中期計画を独法自らが作成し、それをきちんと実行できたのかということの御 評価をいただくということでございます。  そこで翻って、そうしますとその中期目標がどうなっているのかということでござい ますが、中期目標におきましてはベンチマーク収益率の確保の部分につきまして、各年 度においては確保に努める、あるいは通期におきまして、中期目標期間にベンチマーク 収益率を確保するという、その2つを、片や努力目標ではございますが、そういう形で 掲げておりますので、それとの平仄をとるという観点におきましては、事務局の案とい たしまして両委員に御提示しましたときに、こういった表現とさせていただいていると ころではございます。 ○部会長  よろしゅうございますでしょうか。ほかに何か御意見はございますでしょうか。 ○光多委員  「てにをは」に属するちょっと細かな表現のことで恐縮でございますが、3点ほどお 伺いしたいのですが、1つは4ページの入札の件です。「なお総契約件数の大半が随意契 約であるという現状にあるため、契約方法の見直しを一層進め」というのは、確かこれ は金額が小さいやつではなかったかと思うのですが、これはやはりこういう形で評価と してお入れになった方がいいのでしょうか。ちょっとよく分かりませんが、企画競争入 札とか色々やっておられるわけですよね。余り小さいやつまで一般競争入札をやると、 かえって事務手続が煩雑になりますし、この辺のところについては評価の中にやはりこ ういう形を入れて、逆に行くと、ではどの辺まで随意契約を減らすことを考えるという 形で理解したらいいのかというのが第1点です。  2つ目は6ページですが、リスク管理のところで、かなり色々な形でやって大幅な修 正が行われた。この点についてはリスク管理に関する強い意欲が感じられ、大いに評価 するということです。先ほどの議論の延長になりますが、ちょっと感覚的な、感性的な 表現がありますが、意欲というよりは、例えばリスク管理に関する管理運用法人につい て、体制がきちんと整備されたものとみなされというか、これは事実で評価した方がい いのかもしれないなという感じがいたしました。  3つ目ですが、やはり6ページの真ん中あたりで、リスク管理を中心とした管理につ いて「大いに評価できる」。この「大いに」というのは、先ほどのようにかなり一番高い、 高ランクの表現だと思っておりますが、「大いに評価できる」のですが、「今後はより適 切に行われるように努められたい」という形になると、大いに評価できて、なおかつよ り適切にというところが、雲の上みたいに「大いに」のもっと上をやらなければいけな いという話になるかと思うのですが。  「てにをは」みたいな話で恐縮ですが、その3点だけ。 ○部会長  これについて何か御意見は。 ○大野委員  前回の議論の中にも「大いに」という言葉はSランクの評価に対応する表現であると いったような議論があったかと思いますが、Sランクであれば「大いに」という評価を つけるといったようなルールも特にありませんので、ここに「大いに」という言葉を入 れることについて、これは訂正すべきだということでありましたら、この言葉は修正す るといったようなことで対応させていただく方がよろしいのではないかと、私自身は思 います。  あと、入札の件につきましては、こちらも今後契約方法について見直しを検討されて いらっしゃるといったような御説明が、前回の評価をさせていただくに当たってあった かと思いますので、それに基づいての表現であるというふうに私は理解しておりますが、 その中で若干文面を修正した方がよろしいということがありましたら、その点について は修正の手続をさせていただければと思います。 ○部会長  これは何か事務局の方から御意見はありますか。 ○大臣官房参事官  前回、個別のシートで独法が御説明をいたしましたときに、まず契約につきましては、 一般競争入札化は進める方針ではあるけれども、平成18年度におきましては比較的金 額規模の小さいものに限って、まだ件数、したがって金額的にも少ないという状況にあ るので、これは引き続き改善に向けて努力するという御説明だったかと思います。4ペ ージにつきまして「しかし」以下のところの文章ですが、「総契約件数の大半が随意契約 であるという現状にあるため、契約方法の見直しを一層進め」というような表現は、あ る意味では前回の委員会の御結果に沿った表現ではないかと思ってはおります。  あと、今、起草委員からのお話がありましたので御指示に従いますが、例えば「強い 意欲が感じられ」という部分につきましては、光多委員から御指示があったような形、 御提案があったような形で、もう少し事実的なということであれば、起草委員あるいは 部会長に御相談した上で修正するということは、それはそれでより適切な表現という意 味では望ましいことではないかと思われます。  また、リスク管理につきましては、御案内のとおり、リスク管理の方法であるとか考 え方、あるいはリスクそのものをどう認識するかという、リスクそのものとは何かとい う問題といった意味で、技術的あるいは科学的な専門的な進化といったものは日々ある ということでございますので、今できていることは十分かもしれないけれども、それで おしまいであるということではなく、まだ次のステップがあるという意味では、先ほど 委員の御指摘のように屋上屋を架して最高限度のものを独法に求めるということは、公 的年金の積立金の運用を担当している独法に対して期待していいことではないのかと思 います。 ○部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。はい。 ○佐野委員  ちょっと確認ですが、今の随契の金額基準につきましては、国の方で全体的に見直し を行い、随契金額基準は確か500万円から250万円ぐらいに下げて、その適用を流して はいないのでしょうか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長  既に私どものホームページ等で随意契約の状況については公表してしておりますが、 随意契約の基準につきましては、全く国の基準と一緒の金額基準で既に行っているとこ ろでございます。 ○佐野委員  そうしますと契約に関しては、従来より少額な契約についても入札を実施するなどと 書いてございますが、これは国の基準に基づいて法人の契約基準を見直して改定したと いうことではないということになるわけですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人管理部長  これは規定を改正したということではございませんが、国の基準も他の独法も基準は 同じだと思います。例えば随意契約で役務の提供は、100万円以下のものについては随 意契約をしてよいというような規定になっているわけですが、あえて私どもは90万円 とか80万円というようなものにつきましても、競争制を導入したということで、ここ に御説明させていただいたところでございます。 ○佐野委員  今の御説明を勘案しますと、この4ページの契約に関しての記載ぶりについては、少 額な契約についても入札を実施するなど云々というふうな書き方が誤解を招くのではな いか。いわゆる金額基準がないところに小さい金額まで持ってきたようなイメージにな るのと、総契約件数の大半が随契であるということについては、これは金額基準を考慮 しない記載になっているのでは。今の御説明だと、多分規定自体の見直しを進めている という現状があるのか。それともなくて、規定に見合うように実態を持っていこうとし ているのかが明示的に書かれていないので、その辺の記載ぶりを検討されてはいかがか なと思います。 ○部会長  ほかに御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。  それでは、総合評価書についていろいろ御意見をいただきました。光多委員の方から は、「強い意欲」という情緒的な表現ではなくて事実に基づく評価をした方がいいのでは ないか、といったような御意見がございましたし、今、佐野委員の方からは、一般競争 入札並びに随意契約に関する記述について、もう少し文意がはっきり通るように工夫し てはどうか、といったような御意見もいただきましたので、そういった委員の御意見を 反映した形で修正を加えまして、平成18年度の業務実績の評価結果として、各法人及 び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これを公表してい きたいと考えております。  具体的な字句等の修正につきましては、私が事務局と調整して決めさせていただくと いう形で、御一任をいただけるでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  最後に法人の理事長さんよりコメントをいただけましたらお願いをいたします。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  ありがとうございます。私の方から2点ほど感想を申し上げさせていただきたいと思 いますが、一つは年金福祉研究会の件、あと一つは全般的な評価ということでございま す。  まず1点目の年金福祉研究会の件につきましては、先ほど事務局の方からご説明があ りましたとおりで、理事長も含めて関係者の処分を行ったとところであり、重く受けと めているわけでございます。ただ私どもは平成18事業年度の業務実績の評価には、こ の事案はなじまないのではないかと考えており、このパラグラフが入ったことについて はかなり驚いているところです。  その理由としては、一つは事実関係で、研究会は管理運用法人及びその前身である年 金福祉事業団、年金資金運用基金とは別の任意団体であり、この管理運用法人の発足前 に既に解散をしていることでございます。したがいまして、直接には当法人の管理運用 業務とは関係がないということがもちろんあるわけです。また、研究会が実態的に活動 していた年金福祉事業団、あるいは年金資金運用基金時代を含めて、本来業務における 経理との混同や公費の流用が行われていたということはありませんので、そうした事実 関係が平成18事業年度の評価になじまないと考えた理由です。  もう一つの理由は、監督と評価ということに関するものでございます。平成18事業 年度評価にはなじまないといっても、確かに過去のいわゆる不祥事があったことに対し て、監督官庁の立場からすれば、何らかの監督指導を行わざるを得ないということであ ろうと思いますし、それは年金福祉事業団、あるいは年金資金運用基金が廃止されてい る以上、その法的な性格を引き継いだ管理運用法人に対して行うことになるのであろう と思います。監督指導の観点からということでこのパラグラフを読めば、平成18事業 年度ということではなく、もう少し長い期間にわたってのことについて書かれており、 それはそれで納得できるわけでございます。ただ、私の理解では、業務実績の評価とい うものが、監督官庁ではなくて評価委員によって行われるというような仕組みは、監督 という機能と評価という機能を分離するという考え方ではないかと思っております。そ うしますと、評価委員会の名前で監督指導の内容とするような文章を上位の委員会に提 出され、報告書の中に入れられるというのは、その辺の機能分離の考え方になじまない のではないかという気がします。したがって今申し上げた事実関係、あるいは評価と監 督の分離というようなことから、平成18事業年度の評価にはなじまないというふうに 思ってい次第でございます。  2点目の研究会以外の一般的な評価につきましては、私どもが管理運用法人発足初年 度において考えてきたこと、あるいは実行してきたことを御理解いただき、全体として 高い評価をいただいたことに対しましてお礼を申し上げたいと思います。もちろん評価 報告の中にもあって、先ほど大野委員からもお話がありましたように、これは初年度に おいて今後の業務を円滑に遂行できる基盤づくりができている段階にすぎないというこ とは、私どもは十分に承知をしております。そうした初年度に築いた基盤の上に立って、 今後管理運用業務を効率化し、改善を進めいくことが、これからの本当の課題であろう と考えております。今後も私どもとしてはそうした方向で努力を重ねていく所存であり ますので、よろしくお願いをいたしたいと思っております。  以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。それでは、これまでの意見・報告等を踏まえまして、個別 評定を修正したい方は、ここで評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきま すので、よろしくお願いをいたします。それでは、5分ほどお時間をとらせていただき ますので、評価シートの確認や修正をお願いいたします。 ○光多委員  ちょっと済みません。一つよろしいですか。 ○部会長  はい。 ○光多委員  今理事長からありましたこの年金福祉研究会の話ですが、確かに2ページにこう書い てあって、何がしかの評価にかかわるような表現になっているんですね。具体的な評価 でいくと、例えばこの中でいくと、「業務管理の充実」とか、どこかに反映させているか というと、そういう形で実はやってこなかったのです。確かに問題提起、おっしゃると おりだと思いますし、このままとして何かの形でこの中に、やはりどこかに評価を反映 させるのか。または、確かにおっしゃるようにこれは評価委員会ですから、この最後に 例えば注みたいにして、こういうことがあったのだけれども、評価委員会としてはこれ は評価の対象外と置いたという形で置いていただくか。それでこの評価には反映させな いのか。ちょっとその辺だけ少し部会長の……。 ○部会長  今理事長から独法としてのお考えもお伺いしたところであり、我々起草委員の方でこ ういう原案を作ってきたわけですね。前回実は8月6日にこの年金部会は開かれており まして、この事案はそれより前にもう既に報道されておりました。それで、その場で独 法の方からは報告はなかったということでありますから、今理事長さんがおっしゃった ようなことで、独立行政法人としてはこの委員会になじむものではないというお考えで あったのだろうなと思います。ただ、私どもといたしましては、この起草委員会の方で つくっていただきました案のとおり、やはり従来の法人の引き継いだ事業を継承してい る法人であるこの独法が、全く関係なしというふうに考えるのはやはり至当ではないと 思っておりますし、そういう意味では今、光多委員がどこの項目で書くのがいいのかと いう御質問があったわけですが、それも含めてこの「業務管理の充実」といった項目に するか、あるいは最後に何か付記するというのも、各委員の皆様方の御判断でやってい ただければいいのではないか。あるいは理事長さんがおっしゃったように、これは関係 ないという判断をされて修正をされないということも、各委員の御判断でよろしいかと 思います。ちなみに、私は書くとすれば「業務管理の充実」というところにコメントし ようかなと思っておりますが、そういう形で進めていただければと思います。  ほかに何か御質問は。よろしいですか。はい。 ○佐野委員  私は基本的には光多委員のおっしゃったことに賛成ですが、その前提としてちょっと 確認を。これは記載を見ますと、管理運用法人により関係職員が処分されたとございま すが、この管理運用法人というのは今まさにやっている、対象となっているところです ね。ということは、引き継ぎは、不正があってその該当職員も法人の中の職員として在 職していたということでよろしいのですね。 ○部会長  事実の確認ですが、そういうことでよろしいのですね。 ○大臣官房参事官  処分を受けました職員は何人かおりますが、その職員は昔、年金福祉事業団から在籍 しており、年金資金運用基金を経て、現在の管理運用独法に在籍している職員というこ とでございます。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  逆に言えば、既に辞めている人に対しては、私どもの処分権は及ばないということで ございます。 ○佐野委員  ちょっと細かい問題になるでしょうけれども、この総合意見に反映する、しないとい うのは、独法にとっても非常に大きな問題だと思うので、あえて確認をさせていただき たいのですが、その問題が発生したのはさかのぼってのことでしょうけれども、それを 摘出といいますか、検出したのはいつの時点になるのでしょうか。 ○大臣官房参事官  直接的に私どもに国会でこういう御質問がありましたのは、今年の4月4日の衆議院 厚生労働委員会でございます。それが契機です。 ○佐野委員  ということは、この独法が立ち上がって、その方が在職期間中、また独法の管理が進 行しているさなかには、独法自身の手でその問題について検出することはできなかった ということでよろしゅうございますか。 ○大臣官房参事官  他方におきまして、その研究会そのものは独法になる直前にもう解散しておりました ので、独法になりましてからは研究会の業務そのものはなくなっておりました。ですの で、少し時系列できちんと申し上げますと、現在のような一部適切、一部不適切な事業 が営まれていたというのは、年金福祉事業団時代の平成7年以降でございます。それが 年金資金運用基金に至りましても、この年金福祉研究会というものが存在し、若干の活 動を行い、ただしそれは平成18年3月31日、平成17年度末、年金資金運用基金が解 散するときにこの研究会は解散されておりまして、平成18年4月1日、独法になりま してからは、その研究会は存在しておりません。 ○佐野委員  平成18年4月1日に引き継いだときの事業団からの財産継承というのはあったので しようか。 ○大臣官房参事官  主たる業務につきまして、年金福祉事業団が幾つかの業務を持っておりましたので、 それはあるものは平成18年3月31日、平成17年度末までに撤退し、すべて清算し、 あるものは福祉医療機構に引き継ぎ、あるものが独立行政法人に引き継がれたと。その 中で、独立行政法人がある意味では総合的な受け皿のような形での権利義務を承継する という形で、資産、あるいは権利義務の承継が行われております。 ○佐野委員  預貯金は引き継ぎがあったのですか。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  ここで問題になったのは、我々の本来業務とは全く関係のないところですので、引き 継ぎの対象ではございません。 ○佐野委員  承知しているのですが、時系列も今理解しているつもりですけれども、視点を変えま すと、対象外の業務だからということが該当する職員が在籍中に行われたことを掌握す る、しないというのは、内部統制上の管理の問題であって、そういうことがされている ことを承知する、しないということ自体に、当時のだと思いますけれども、管理責任が あるないという問題に波及すると思うんですね。それは内部統制の問題であると。だか ら、簿外のものがつくられたこと、簿外なので関係がないという割り切りは、ちょっと やはりこれは内部統制の問題としてはできないのではないかなという視点で、今伺って いるわけでございます。  総合評価に盛り込むことについては、主査がもちろん最終的な御判断をされるのだと 思いますが、私が思いましたのは、やはり光多委員がおっしゃったように、もし当独法 になるときにそういう問題の財産が引き継がれずに、例えば今おっしゃったように簿外 であるから引き継ぎは当然なかったんだよということになるのか。それとも引き継ぐべ き財産をすべて網羅的に引き継ぐべきであったのに、本来業務でないところから派生し た販売収入は見えなかったので引き継がなかった。これが許容されるのかどうかという ところに係るのかなと、1点思ったわけです。それと、その職員が在職期間中に行った 業務について、適正な評価を下していたかどうかについても、この独法の問題ですので 評価の対象になるのかなと。その辺のちょっとすみ分けを、頭の整理をしたかったもの ですから、確認させていただきました。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  その資金は、独法に引き継ぐというような性格のものではないということは御理解い ただきたいと思います。我々の正式の財産ではないので、それが把握できなくずれ込ん だということについては、私どもは反省をし、処分を行っているわけですが、本来業務 と関係のないところで、実績評価を行うのはなじまないのではないかというふうに申し 上げているわけで、何も反省すべきことはないということを申し上げているつもりはご ざいません。 ○部会長  よろしいですか。それでは、これをもって、年金積立金管理運用独立行政法人の平成 18年度業務実績評価及び財務諸表等に関する意見を取りまとめさせていただきます。な お、まだ書き足りない方におかれましては、審議を進めてまいりますので、適宜記載を お願いいたします。なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版につきまして、誤字脱 字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につきましては、私に御一任を いただきたく存じます。  それでは、ここで事務局の入れかえを行いますので、皆様しばらくお待ちください。 (事務局入れかえ) ○部会長  それでは、次の議題といたしまして、農業者年金基金の組織・業務全般の見直し当初 案について御審議をいただきます。法人所管課から説明をお願いいたします。 ○年金局企業年金国民年金基金課長  年金局の企業年金国民年金基金課長でございます。それでは、御説明をさせていただ きます。  まず、農業者年金基金について、共管法人でございますが、今回の意見の位置づけで ございます。恐縮でございますが、独立行政法人評価関係資料集、冊子の10ページを お開きいただきたいと存じます。10ページの関係法令、通則法でございますが、第35 条で、御案内のとおりでございますけれども、中期目標の期間の終了時において、継続 する必要性、組織の在り方、その他組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果 に基づき、所要の措置を講ずると。主務大臣はその検討を行うに当たって、評価委員会 の意見を聞かなければならないということで、この規定に沿った意見をいただくという ことでございます。  それから、恐縮ですが、同じ資料集の8ページでございます。今回の意見聴取の手続 でございますが、業績評価の中で総会の議決事項と部会の議決事項がございますが、今 回は総会の議決事項の中のIIの意見の提出に関する事項、中期目標期間終了時の組織及 び業務の全般にわたる検討に際しての意見提出ということでございます。通常でありま すと、総会議決事項でございますけれども、その上の文字が書いてあるところのただし 書きでございますが、「ただし、共管法人であって、他府省の所管に係るものについて、 総会の議決を必要とする事項のうち、1及び2の事項に関しては部会の議決を委員会の 議決とする」ということで、この評価委員会で定められておりまして、そういったこと で今回の意見提出に関しては部会の議決で委員会としての議決となると、こういうこと になっております。以上が手続に関する事項でございます。  続きまして内容でございますが、分厚いクリップでとめてある資料の最後に、机上配 付資料というものがございます。今回の独立行政法人農業者年金基金の関係でございま すが、共管法人でございますけれども、基本的には農林水産省でも同じ資料を配付とい うでございまして、まだ農林水産省の手続が終わっていないということから、今回机上 配付資料とさせていただいております。  ナンバーを振っておりませんで恐縮でございますが、机上配付資料の2つ目の7ペー ジものの資料をお手元にお開きいただきたいと存じます。この資料の5ページでござい ますが、「組織形態の見直しに係る当初案」とございます。農業者年金基金は組織・業務 とも農林水産省、厚生労働省共管でございますが、このうち厚生労働省と共管の部分は、 真ん中の「組織形態について上記措置を講ずる理由」のうち、(2)の経過的に行う事業(旧 制度)の年金に係るものでございます。平成13年から新しい加入者については確定拠 出型、いわゆる401(k)型の年金になっているわけですが、その前の制度につきまし ては、基本的には国庫負担と保険料で賄うと、こういう経過的な新規管理がない加入者 に係る年金がございます。ここの部分が共管部分ということでございます。  ここに書いてあることでございますが、現在、基金は旧制度に係る年金等の給付事業 を行っておりますけれども、これは平成13年にもう年金としてなかなか成り立たない ということで、国庫負担を大幅に投入することを含めて、抜本的改正を行うとともに、 支給水準の引き下げ等の措置も行われたものでございます。そういう意味では、制度の 改革としては平成13年に措置済みということで、そういったものを経過的に淡々と行 っているということで、事業の必要性自体はあるのではないかということでございます。  また、他の年金制度と異なりまして、経営移譲年金ということで、農業を経営移譲し ているかどうかというような要件もございまして、基本的には全国統一的な判断を要す るということでございますし、専門的な業務でもあろうということでございます。  以上から、制度発足以来、特殊法人たる農業者年金基金でこの事業を行ってきたわけ でございますが、廃止は適当ではない、廃止することはできないということでございま す。評価委員会で御意見をいただく部分はこの部分のみでございます。  参考までに農業者年金基金全般について、簡単にでございますが、御紹介をさせてい ただきたいと存じます。机上配付資料の最初の資料、横長の1枚もののパワーポイント の資料でございます。農林水産省の所管にかかわる部分でございますが、農業者年金基 金全体については、業務・組織の見直しとして、ここに書いてあるようなことを考えて いるということでございます。  一つは業務の見直し、業務の効率化ということでございますが、特別相談活動事業の 廃止ということでございます。これは現在、相談事業については各種委託で行っている ほか、農業者年金基金でも直轄で相談事業を行っておりますが、効率性の観点等から、 こういった直轄の相談事業を廃止することとしているということでございます。それか ら、その下に「定額割の見直し」「加入推進にインセンティブを与える委託費の配分」と ございます。これは業務を市区町村の農業委員会、あるいは農協に委託して実施してお りますけれども、定額割の部分と実績割の部分がございますが、定額割の部分を縮小し まして実績割の部分を多くするなどによりまして、より効率的な実績に応じた配分にし ていこうと、こういうものでございます。  また、組織の見直しとしては地方連絡事務所、現在北海道と九州がございますが、組 織の効率化、合理化の観点から廃止する。あるいは人件費については計画的に削減して きておりますが、今後とも計画的に削減すると、こういった内容が盛り込まれておりま す。  簡単ですが以上でございます。 ○部会長  ありがとうございました。ただいまの御説明について、御質問等がございましたらお 願いいたします。はい、安達委員どうぞ。 ○安達委員  農業者年金に関しましては、最初は豊かな老後などということで、すばらしいかけ声 で、山形からこれが出た県でありますので、私も山形ですので非常に印象深いのですが、 結果的には80%の、もうTO方法を先取りするような年金制度であったということで、 今末端で年金は信用できないという第一声になってしまったのが農業者年金だったと。 それが今国民年金や厚生年金などにまで拡大しているという状況を見ますと、もう少し この辺は慎重に、真剣に、やはり掛金を出した、捻出した農家の皆さんを考えるべきで あったと思います。  農家から見ますと、年金を親切に支給してくれるという制度ではなくて、いかにして 支給しないかというような制度だけが目に見えまして、例えば経営移譲しないからだめ だとか、いろいろな条件を付して支給をしないということでは、非常に農家の人たちは 印象に残っている。最後はその80%だったと。最初から最後まで信用できる制度でなか ったというふうに言われてしまったのが、やはり最大のネックだったと思います。今後 こういうふうな不義をどうやって国が回復をしていくのかということは、大きな課題だ と思います。今の加入者の8万人というような農業者年金で、「年金がありますよ」と言 えるものではないと思います。ただ、農業者にやはり年金が、普通ですとただではない わけですので、個人の経営ですから、国民年金の基礎年金しかないわけです。そういう 意味では、やはりもう少し農業者に対する何らかの手当てが必要であろうと私たちは思 っております。  特に、今法人化を進める、大型化を進めて、雇用をして農業を経営してほしいという ような、農林省からの強い指導などもあるわけです。担い手になれということも、いつ も機会をとらえて農林省も担い手、担い手と言っているわけですが、実際にはその生涯 所得、例えば認定農業者の生涯所得目標が2,000時間労働で2億円などと山形では設定 しておりますが、それが達成できない状況の中に担い手になれということは、人生の進 路を誤ったものにさせるということになるのだと思います。もう少しこの辺についても、 やはり真剣に農林行政の中では、農業をやっている人たちのことも考えてほしいと思い ます。  実際の年金の運用についてやっていらっしゃる皆さんにこういう酷なことを申し上げ るわけでありますが、実際これは制度上の不備だったし、それから農業に対する国全体 の取り組む姿勢だと思います。そういうような意味では農業は要らないと。足りない食 料は外国から買えと。高い農産物なんか生産する必要がないと。余ったものはもう捨て ろというような、非常に冷たい農林行政の流れだと言わざるを得ないと思います。やは りもう少しこれから視点を変えて、農業をきちんと確立させていかないと、食料も自給 できない。40%を割った独立国家なんていうのはあり得ないわけですから、もう国の独 立に帰属するような食料問題だと。その問題意識を持っていないということだと思いま す。ちょっと私は大変な暴言か苦言になりますが、やはり食料自給率が50%にも足りな いわけですから、40%を今切ろうとしているわけです。こういうふうな中に独立国家な んていうことが言えるのか。国連の常任理事国になろうなんてことは、さらさらそんな ことやれるわけがないだろうと。食料を自給できなければ、国のジュチョウができない わけですから。  そんなことで、年金を通してこんなことを申し上げて大変申しわけありませんが、ひ とつ年金制度については考え直す必要があるのかなというように思います。7万人、8 万人の加入で年金ではあり得ないと思いますので。例えばこれをあずかっている事務担 当の農協や市町村の農業委員会、今、農業委員会もどんどん合併してしまって、だんだ ん広くなっています。実情がわからないようなことになっているわけです。そういうふ うな意味では、もう県の農業会議あたりに窓口を1本に絞って、行政の簡素化を図ると。 それで、今までのような農地の管理の中で、農地の移動によって年金を支給しないとい うようなやり方ではなくて、もう少しここはこれまで掛けた人たちへの配慮ですから、 もうその辺は枠を外してもいいのかなという気が私はします。  そんな意味で、年金の支給に関しての組織は必要なわけですから、それは守ってほし いと思いますが、それにあわせてもう少し年金についてもう一度考えてもらえればと思 います。  以上です。 ○部会長  何か事務局、御意見はありますか。 ○年金局企業年金国民年金基金課長  今御指摘いただいたところは、農業政策の中での年金制度の位置づけを含めて、非常 に大きな課題であると、御意見をいただいたと認識しております。ただ、ちょっと所管 といたしましては農林水産省に係る部分かと思いますので、今日いただいた御意見につ いては、農林水産省にもしっかりとお伝えをさせていただきたいと思います。 ○安達委員  独法でやるような話ではないと思いますが、実際は制度の上で運用されるわけですの で、運用できるような制度をやはりしっかり構築してもらわないと困るということだと 思いますので、お願いします。 ○部会長  それでは、主管省であります農林水産省の方に今の御意見もしっかりお伝えいただく ということで、組織・業務の見直し当初案に係る当評価委員会からの意見として、この 案でもって農林水産省独立行政法人評価委員会に通知したいと存じます。意見書の文面 につきましては、私の方に御一任をいただきたく存じます。  以上につきまして、そのような取り扱いでよろしゅうございますでしょうか。 ○各委員  (了承) ○部会長  ありがとうございました。それでは、本日の議事は以上でございます。なお、本日御 審議いただきました総合評価と財務諸表等についての意見につきましては、厚生労働省 独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまして、当部会の決定が評価委 員会の決定となり、法令に基づき、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会への通知、 公表等の手続が行われることになります。  それでは、事務局より、独立行政法人整理合理化案についての報告、今後の予定等連 絡事項について説明をお願いいたします。 ○政策評価官  政策評価官でございます。この7月、8月と猛暑が続きます中、所管していただいて おります法人の年度評価、さらには本日の農年基金の組織・業務の見直し等につきまし て、数回にわたり熱心な御審議をいただきまして、改めてお礼を申し上げる次第でござ います。  この部会を開かせていただく冒頭に、この夏は整理合理化案をまとめる夏になってい る、それは骨太の方針で6月に決まっているというお話を申し上げましたが、それ以降、 若干状況等新たなものが出てまいりましたので、御報告をいたします。  独立行政法人の改革につきましては、6月にまとめられたいわゆる閣議決定である骨 太の方針で、全ての法人についての整理合理化案を、各省庁は8月いっぱいにまとめる という形になっておりまして、その後、12月までそれを更に行政改革本部なり総務省の 政・独委で議論をして、年末に政府全体としての合理化計画をまとめるということでご ざいます。  8月10日には、その独立行政法人の整理合理化の基本方針というのが出たわけでご ざいますが、今後の進め方として2パターンあるということでございます。一つは、今 御議論いただいた農年基金、これは主管省庁が農水省ですから農水省の方で手続を進め られると思いますが、これにつきましては各省庁の出す整理合理化案というのは、組織・ 業務の見直し案を兼ねたものとするという形になっているわけでございまして、したが いまして、本年度組織・業務を見直すことになっている法人、さらには骨太の方針で来 年度見直すことになっていたものも1年前倒しで見直せということになっておりますか ら、それについてもこの独立行政法人評価委員会の部会、総会で組織・業務の見直し案 を御議論いただいて、それを整理合理化案としてまとめる、こういう形になってくるわ けでございます。厚労省所管では6法人ございますが、年金部会におきましては農水省 所管の農年基金以外はないということになっているところでございます。  しかし一方で、組織・業務の見直しをやらない法人についても、何らかの整理合理化 案を出さなければいけないという形になっておりますが、これにつきましては必ずしも 独立行政法人評価委員会の方の議を経て意見を出すということには、法律上なっており ませんものですから、この28日、29日に総会を開かせていただきますが、その場でま とまっておりますれば、整理合理化案について御報告を申し上げることになるのかなと 思っています。ただ、厚生労働省でつくらせていただく整理合理化案につきましては、 本評価委員会で御議論いただいております、年度ごとの総合評価の結果などを踏まえた 整理合理化案というものをまとめたいと思っているところでございます。  いずれにいたしましても、総会メンバーの委員の先生方には28日なり29日に御報告 できるものがあればいたしますし、臨時委員の先生方につきましては、総会で報告でき る場合の資料につきましては、後日送付をさせていただくということでお許し願えれば と思ってございます。以上でございます。  本日の資料につきましては、個別評価シート以外はお持ち帰りいただいて結構でござ いますし、それ以外の資料につきましてもお申しつけいただければ、後ほど郵送させて いただきます。なお、御議論いただきました農年基金の見直し当初案につきましては、 まだ農水省の方でも正式手続は踏んでいない案ということでございますので、対外的な 公表については控えていただければ大変ありがたいと思っております。  次回の本年金部会の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。よろ しくお願いいたします。以上でございます。 ○部会長  それでは、本日の部会はこれにて終了とさせていただきます。長い時間にわたりまし て熱心な御審議をどうもありがとうございました。 <了> 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電 話: 03−5253−1111(内線7784)