07/08/17 第36回独立行政法人評価委員会調査研究部会議事録 独立行政法人評価委員会 調査研究部会(第36回)議事録 平成19年8月17日(金) 厚生労働省専用第21会議室 ○田村部会長  定刻より少し早いようでございますけど、ただ今から第36回独立行政法人評価委員会 調査研究部会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中お 集まりいただきましてまことにありがとうございます。  今回は、武見委員が御欠席でございます。  それでは、初めに事務局から本日の議事について簡単に御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事につきましては、財務諸表に関する意見及び総合評価を各法人ごとに分け て審議を進めていただきます。これに伴いまして本日の部会の途中で事務局の入れ替え を行いますが、御容赦くださいますようお願いいたします。  一つ目に、まず財務諸表に関する意見について御審議いただきます。各法人の財務諸 表に関する意見については、担当委員である岩淵委員、清水委員からヒアリングの結果 を御報告いただき、それを踏まえ、御審議いただきます。  次に、平成18年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき起草委員に おいて起草いただいた総合評価の案について御審議いただきます。  また、これまで皆様に御記入いただきました評価シートの原本につきましては、御参 照いただけるようにお手元に置かせていただいております。後ほど、本日の審議等を踏 まえ、評価シートを確定いただく時間を設けさせていただきますので、よろしくお願い します。  議事については以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  記事に入る前に、事務局より参考資料の御説明がございますので、よろしくお願いい たします。 ○政策評価官室長補佐  参考資料の1をご覧ください。独立行政法人評価委員会における「独立行政法人の役 員の報酬等及び職員の給与水準」の活用について、でございます。この資料は、各法人 共通の数字をまとめたものを政独委から送ってきたものでございます。特にラスパイレ ス指数につきましては、これまで個別の法人ごとの資料においては指標が高くなってい る場合の要因が具体的に記入されていること、特にこの要因が地域や学歴によるものの 場合は、地域差や学歴差を調整した数値が記載されていたこと、また、今回の資料にお きましてはこれらのことが記載されておりませんので、原数値のみが記載されておりま すことに留意する必要があると考えております。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは審議に入りますが、まずは総合評価書、財務諸表に関する意見につきまして は、起草委員の方々にはお忙しい中御尽力いただきましてありがとうございました。  初めに、労働安全衛生総合研究所について審議いたします。  まず最初に、財務諸表に関する意見についての審議に入ります。財務諸表につきまし ては、独立行政法人通則法38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見を聴いた上で 厚生労働大臣が承認すること、とされております。  それでは財務諸表につきまして、担当の委員である岩淵委員、清水委員から、先般開 催されました財務諸表等ヒアリングの内容を中心に意見書(案)の内容も含め、簡単に 御説明をお願いいたします。  まず、清水委員からお願いいたします。よろしくお願いします。 ○清水委員  資料の1−2に意見書(案)がございます。労働安全衛生総合研究所につきましては、 財務諸表を検討いたしましたけれども、特に修正を要する点がございませんでしたので、 このとおり承認することが適当であると考えております。  そのほかにコメントを何点か申し上げてよろしいでしょうか。効率化の達成について は岩淵委員からコメントがあると思います。私からは2点申し上げたいと思います。  受託研究収入ということで損益計算書上、3,400万円計上されております。これは、 前年度の2法人の合計よりも上回っているということで評価されるわけですが、16年度 以前の2法人合計の水準にはまだ達していない状況でございます。今後は、過去の水準 を取り戻すような努力をしていただきたいと考えております。この点については、総合 評価の方にはコメントをしておりません。  そのほか、評価ができる点としましては、特許実施契約を4件締結されたということ で32万円程度を獲得されるなど、努力の成果は評価されるところと考えております。  また、効率的な研究施設の設備、研究施設の利用ということで、使用状況、コスト、 その成果をレビューされたということで、稼動率等の調査を行われた上でその結果を踏 まえて有効活用を図ろうとされている点につきましても評価させていただきたいと思い ます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  続きまして、岩淵委員からお願いいたします。 ○岩淵委員  コメントは、原案の段階では、そこに書かれている「今後は2法人の統合効果をさら に発揮することが期待される」、その間に「統合効果をさらに発揮し、一層の効果を達成 することが期待される」という表現になっていましたが、法人からの要請によって「一 層の効果を達成する」というところが今案では落ちております。これにつきましては、 やはり統合効果をさらに発揮することが具体的に何を意味するかということも含めまし て、「一層の効果を達成する」という文言が入った方がより正確にきちんと表現できると いうこともありまして、復活すべきであると思います。  なお、申し上げておきますけれども、法人に原案をお見せすることは、基本的には事 実関係の誤りがあるかないか、そのことを確認するためでありまして、こういう表現ぶ りについて削ってくれとかというのは越権行為というか、どちらが評価するのか訳が分 からないということでありまして、今後はどの法人も厳に慎んでいただきたいと思いま す。  例えば法人の存続についての懸念とかさまざまな思いもあるのでしょうけれども、し かしこういう形で一層の効率化を徹底している努力の姿勢を見せることが存続につなが ると私は確信いたしているわけでございますので、そのあたりも意のあるところをお含 みおきいただきたいと思います。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいま御報告をいただきました労働安全衛生総合研究所の財務諸表につ きまして、御意見等がございましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。今の岩 淵委員の表現のところは、総合評価のところで対応したらよろしいですね。それでは、 財務諸表につきましては修正意見がないようでございますので、平成18年度の財務諸表 についての意見書として資料1−2を取りまとめ、厚生労働大臣に提出したいと思いま す。以上につきまして、そのような取り扱いをするということでよろしいでしょうか。  (「結構です」の声あり)  ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  では次に、労働安全衛生総合研究所の総合評価について審議いたします。審議につき ましては、まず事務局より総合的評価書(案)について概要の御説明を行い、その上で 起草委員から今回の総合的評価についてコメントをいただき、その後、御審議をいただ ければと考えております。  では事務局より、総合的評価書(案)の概要説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  評価結果の資料3−4の1ページをお開きください。独立行政法人労働安全衛生総合 研究所は、産業安全研究所と産業医学総合研究所を統合し、平成18年4月に新たに発足 した研究所でございます。今年度の当研究所の業務実績の評価は、研究所発足後、初め ての評価であり、発足に合わせて大臣が定めました中期目標、18年度から22年度の期 間の初年度における達成度について評価を行うものでございます。  独立行政法人につきましては、弾力的、効率的な業務運営を通じて業務の効率性の向 上、質の向上、透明性の向上を図ることにより、国民の求める成果を得ることが共通の 課題となっておりますが、当研究所の中期目標期間における初年度の業務においては、 地理的に離れた二つの研究所を組織的、業務的に統合し、統合による効果が得られる効 率的な運営体制を構築することが一つの重要な課題であった、とされております。  これらの点を踏まえまして、当委員会におきましては、厚生労働省所管独立行政法人 の業務の実績に関する評価の基準及び個別項目ごとの評価の視点等に基づきまして、ま た、総務省政独委から寄せられた意見や取組み方針も踏まえて評価を実施したところで ございます。  具体的中身につきましては、2ページの2「具体的な評価内容」でございます。  (1)業務運営の効率化に関する措置について  平成18年度から労働安全衛生総合研究所として発足したことに伴いまして、同法人は 総務部及び研究企画調整部を理事長直属部門とすることにより、両組織の一体的な業務 運営の体制を構築したところでございます。また、新たな研究所が研究対象とする安全、 健康、環境の3研究領域ごとに領域長を設定し、統合効果を得つつ効率化を図っている ことは評価できる、とされております。また、今後もさらなる統合の推進を期待すると ともに、統合に向けた取組みの効果について見極めたい、とされております。  それから、運営会議を初めとするさまざまなレベルで打合せ会議を設けること等によ りまして、内部進行管理の充実を図るための取組みを進めていることは評価できる、と されております。しかしながら、今後、地区の間の個人業績の評価方法等の一元化に取 り組む必要がある、とされております。  経費削減や施設・設備の効率化利用につきましては、光熱水料の削減や研究施設・設 備の利用状況調査に基づいて維持コストの削減を実現しておりまして評価できる、とさ れております。  (2)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する措置について  (1)労働現場等のニーズを踏まえた業務運営及び調査研究について  シンポジウム、情報交換会、学会等を通じて、経営者団体、労働組合、行政、学識経 験者、業界団体等から積極的に情報収集を行い、研究ニーズを把握したことは評価でき る、とされております。  また、プロジェクト研究につきましては国の計画等を踏まえて課題を設定し、社会ニ ーズ及び到達目標を明確にした上で評価を行うとともに、評価結果を研究費配分に反映 させるなど、工夫を行っており、また、研究成果は行政の通達やJISの改定に活用さ れており、評価できる、とされております。  基盤的研究につきましては、成果がプロジェクト研究やISO規格の改定に活用され るなど、成果を上げているところでございます。  (2)学際的な研究の実施、研究項目の重点化及び研究の評価について  学際的な研究の推進につきましては、過労運転、腰痛など、産業安全と労働衛生の両 分野の研究者が共同で取り組んでおり評価できる、とされております。今後、統合によ る具体的な成果としてこれらの研究の成果が得られることが期待される、とされており ます。  研究項目の重点化につきましては、プロジェクト研究の重点化を図り、これによりま して課題数を約3割削減するなど、成果を上げているところでございます。  研究評価につきましては、内部評価や外部専門家による評価を行いまして、その結果 に基づいて研究計画の見直しや研究予算配分への反映を行っておりまして、一定の評価 はできるとされておりますが、一方で地区間での評価の統一化を図る必要がある、と指 摘をされているところでございます。  (3)成果の積極的な普及・活用について  多くの研究職員が国内外の基準制定、改定にかかわる検討会等の委員となっておりま して、自動回転ドア、振動工具、石綿関連疾患等の基準等の社会的ニーズの高い分野に おいて研究成果が、JIS、ISO、労災認定基準、行政通達等に活かされており、そ の社会的貢献度は極めて高いと評価できる、とされております。  また、研究成果の国内外への普及についてでございますが、論文発表数が年度計画を 大幅に上回っており、また、原著論文の8割が国際学会誌に掲載されるとともに、講演 会、シンポジウム等、情報交流に努めており、高く評価できる、とされております。  特許につきましては新たに7件の査定を受けており、うち2件が登録手続に入ってお りまして、一定評価できるものの、なお一層の努力が期待される、とされております。  (4)労働災害の原因の調査等について  災害調査業務につきましては、労働災害調査分析センターを設置し、新たに37件の労 働災害調査等を実施したところでございます。さまざまに行政に対して積極的に貢献を しており、その活動と実績は高く評価できる、とされております。  (5)外部機関との協力について  研究所が発行する国際学術誌である『Industrial Health』につきましては、掲載論文 数が増えまして、そのうち特に欧米からの投稿の増加が顕著であるということで、また、 インパクトファクターも大幅に上昇するなど、海外からも高い評価を受けているところ でございます。また、この学術誌の発行回数を増やすとともに、安全と衛生の両分野に またがった和文の学術誌の発行にも取り組むことされているところで、その成果が期待 される、とされております。  若手研究者の育成として、新たに四つの大学と連携大学院協定を締結し、多くの若手 研究者を研修員として受入れておりまして評価できる、とされております。  また、WHO労働衛生研究センターとして再指定を受けるとともに、多くの海外研究 機関と共同研究を進めるなど、国際的な協力を積極的に推進しており評価できる、とさ れております。  (3)財務内容の改善等について  (1)運営費交付金以外の収入について  競争的資金に積極的に応募しまして、合計30件、約1億円以上の研究資金を獲得した ほか、受託研究を11件獲得しており、取組みが評価できる、とされております。  また、経費の節減につきましては、光熱水料の削減、人件費の削減等、経費の削減に 努めており、またそれを予算額を下回る執行を確保しており評価できる、とされており ます。今後は、統合された研究所であることの効果をさらに発揮することが期待される、 とされております。  (3)人事計画について  研究員の確保につきましては、公募により高い研究業績を有する若手研究員を採用す るなど、努力がみられるが、年齢の高い研究職員が多いので、計画的かつ効率的な人事 計画を進めていく必要がある、とされております。  1ページの1の(2)に戻ります。「平成18年度業務実績全般の評価」でございます。  平成18年度は二つの研究所の統合後の初年度であることから、理事長を中心に総務及 び研究企画部門を一体化したこと。全体を大きく三つの研究領域に分けて研究を推進す る体制を構築したこと。研究の実施状況を把握し、管理するため、さまざまな打ち合わ せ会議の場を設け、個人の研究業績を評価し、評価結果に基づいて研究費配分を行う仕 組みを構築したことなど、統合に向けて精力的に多くの取り組みが行われたことは評価 できる、とされております。今後、これらの取組みの効果を見極める必要があるが、さ らなる統合の推進を図っていくことが望まれる、とされております。  また、研究所は労働者の安全及び健康の確保に資する調査研究や労働災害の原因調査 といった公平性、中立性の求められる重要な業務を担っており、調査研究につきまして は、行政のニーズ、社会的ニーズの把握に積極的に努め、研究成果はJIS、ISOの 基準や行政通達等に反映されるなど、多くの社会的貢献を行っている、とされておりま す。  さらに、統合による効果として、安全分野と衛生分野が協力することにより高い効果 が期待される分野において、学際的研究を推進するための体制を構築するなどの取組み を評価できる、とされております。また、論文の発表数が大幅に増加したり、また、原 著論文の8割が国際学会誌に掲載されている。それから、研究所発行の国際学術誌への 欧米からの投稿論文が増加し、インパクトファクターが上昇するなど、海外からの評価 が高まっているところでございます。  これらを踏まえますと、平成18年度の業務実績につきましては、二つの研究所の有機 的な統合に向けて具体的な実績を上げたこと、研究成果が国の基準に反映されるなど、 多くの社会的貢献を行ったことなどから、研究所の目的である職場における労働者の安 全及び健康の確保に資するものであり、高い水準で業務を実施したと評価できる、とさ れております。なお、今後も引き続き組織的、業務的な統合をより一層推進することと、 産業安全分野及び労働衛生分野の研究領域の学際的研究による成果を上げることに留意 するよう期待する、とされているところでございます。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。  続きまして、起草委員を代表いたしまして私から発言をさせていただきます。  ただいま、詳細について御説明がございましたが、独立行政法人労働安全衛生総合研 究所は産業安全研究所と産業医学総合研究所が統合されまして、平成18年4月に新たに 発足したという研究所でございまして、今回の評価は研究所発足後初めての評価になり ます。そういった意味では、地理的にも離れた二つの研究所を組織的、業務的に統合し て、統合による効果が得られるような効率的な運営体制が構築できているかどうかとい うのが一つの重要なポイントになりますし、この研究所の本来業務でございます職場に おける労働者の安全及び健康の確保に資する研究がいかに行われているかをみることが 大きな視点でございました。  評価の結果は、先ほど詳細については御説明がございましたが、統合に向けて精力的 に多くの取組みが行われ、二つの研究所が有機的な結合に向けて具体的な実績を上げた ことは評価できると思います。そして、研究成果につきましても国の基準に反映される といった社会的貢献も多大であったことから、研究所の本来の目的である職場における 労働者の安全及び健康の確保に資するということで、高い水準で業務を実施したという 点が評価できるのではないかということでございます。  今後も引き続きまして、組織的、業務的な統合をより一層推進していただきまして、 産業安全分野及び労働衛生分野の研究領域の学際的な研究による成果を上げることに留 意していただきたい。また、それを期待しているということでございます。  以上でございますけども、ただいま報告いたしました総合的評価書(案)につきまし て御意見等がございましたら、いただきたいと思います。いかがでしょうか。一つは、 先ほど岩淵委員からお話がございました点がございます。先ほどの岩淵委員の件は、報 告書の中に反映するということでよろしいでしょうか。  (「結構です」の声あり)  そのほかに、何か御意見はございませんでしょうか。  それでは、そのほかに特に修正意見がないようでございますので、平成18年度の業務 実績の評価結果として、法人及び総務省政策評価独立行政法人評価委員会にお伝えする とともに、これを公表させていただきたいと思います。なお、先ほどの点については修 正をさせていただきまして確認をさせていただきたいと思います。  なお、この後、誤字脱字、あるいは事実誤認などによる修正が必要となった場合の対 応につきましては、私に一任させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 ○中村委員  ちょっと確認させてほしいのですが、総合評価の文言については賛成なのですけれど も、この後ろに評価シートが添付されて一つの評価報告となると考えてよろしいのです ね。そのときに、これは我々サイドの問題なのですけれども、6の2を見て下さい。6 の2の我々の評定はAになっておりまして、理由及び特記事項がずらずらと書いてあり ます。これは我々サイドで確認したいのですが、その中で、下から二つ目に「プロジェ クト研究に関して着実に成果を上げている反面、プロジェクト研究の進め方について問 題点のあることがわかった。問題点の整理、解決の道筋を検討してほしい」ということ で、プロジェクト研究そのものに問題があるという文言があります。一方、他の評価で はプロジェクト研究も「貢献度が高い」とか「適切に進められている」というトーンに 対してここの文言はちょっと異質になっております。ここを書かれた委員の先生、もし 補足がありましたらお願いしたいという気がするのですが。 ○田村部会長  何か今の御発言についてございますでしょうか。実はこの評価シートについては、あ と、最終確認をさせていただく時間を設けておりまして、その後、提出された資料等も 踏まえて見直しをしていただきますので。 ○中村委員  まだ若干時間はあるわけですね。 ○田村部会長  はい。その時点で修正はもちろん可能でございます。 ○中村委員  ただ、できればここの意見については「問題点の整理解決の道筋」とあり、他の先生 と少しトーンが違うので、ここについては適切に対応した方がよろしいのではないでし ょうか。 ○岩淵委員  そういう表現があるのでしたら、具体的にどういうことなのかというのは意見を聞き たいですね。 ○中村委員  我々もこの点、ああ、そうだね、ということで確認しておきたい、情報を共有してお きたいですね。大事な指摘だと思うのですが、どんなものなのでしょうかね。 ○田村部会長  いかがでしょう。何か。 ○酒井委員  書いたのは私のようなのですけども、すぐには頭が切りかえられないので、後ほどお 答えするということでよろしいでしょうか。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。 ○中村委員  大体書かれている文言が共通なのですけど、ここだけちょっと異質だったので確認し たいと思いまして。すみません。 ○田村部会長  では、この件については後ほどまた。  それでは、大幅な修正等はないように思いますので、誤字脱字、あるいは事実誤認な どによる修正については一任させていただきたいと思いますし、先ほどの岩淵委員の意 見については修正することで、私の方で確認をさせていただきたいと思います。  なお、先ほどの6−2のところの表現については、後ほど酒井委員からもお話がある かと思いますが、それを踏まえて、もし何か評価書(案)の表現等に変更があるようで あれば、これはお諮りさせていただきたいと思います。それでは、労働安全衛生総合研 究所の件についてはそういう方向で対応させていただきたいと思います。  最後に、法人の理事長よりコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○労働安全衛生総合研究所理事長  どうも、御審議ありがとうございました。今回の評価結果の重みを十分厳粛に受けと めさせていただきまして、今後、一層の改善に努めさせていただきたいと思っておりま す。  評価結果でございますが、前回、私の立場で全般的に法人の長としてのリーダーシッ プを中心にどのように運営したかということを申し上げたのですが、その内容が十分に 御理解いただけたことと感謝申し上げます。  実際に独立行政法人の運営につきましては、社会的に非常に難しい運営だと考えてお ります。これが効果的に,独立行政法人としての法律が定める改善が進んでいくために は、幾つかの基本的なレベルでの機能が効果的に働く必要があると思っています。一番 大事なのは、国及び国の評価委員会からの御意見でございます。例えばこの委員会。2 番目は主務省の支援でございます。3番目は、所内の,特に役員の独立行政法人の理解 と理事長への協力でございます。4番目が、一般職員の理解と努力でございます。今回 は、昨年の統合を契機にいたしまして、これらがかなりそれぞれのレベルで進んだと思 いまして、その結果が今回の評価結果につながったと理解しております。こういう意味 で、関係された全員の方々に、御協力と御理解を感謝申し上げたいと思っております。  ただ、今回の評価結果で、私の立場で二つの大事な改善点が指摘されたと思っており ます。  1番目は個人の業績評価の問題でございまして、清瀬地区と川崎地区とで評価方法が 違う,これはまだ統合されていないとの指摘です。これはそのとおりでございまして、 確かにこれが現時点で一番大事な問題でございます。ほかの統合がかなり進んだのにこ れができなかったのには理由がございます。この件に関しては今現在、進めております が、今後特に所の役員及び部長クラスに統合の理解をいただけるように、理事長として 一層の努力をさせていただきたいと思っております。  2番目は、人事計画の問題でございます。片側では、高年齢で古手の研究員がたくさ んいる。人数が多い。それに対して、新規に採用した若手任期つき研究員を中心とする 若い方々は、業績が高レベルの方々が多い。このギャップを人事計画としてどのように 改善するかという問題でございます。これも今後、同じように効果的な計画を進める必 要があると思っておりますし、今年度、進めている途中でございます。  最後でございますが、岩淵委員からの越権行為だという御指摘の項目でございます。 この点について、法人の長として私はこれを聞いておりませんものですが、そのような ことがありましたならば、この場で法人としておわび申し上げます。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、こ こで評価シートの修正、確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお願いい たします。なお、修正に当たりましては事務局より留意事項があるとのことでございま すので、よろしく御説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  前回までに御記入いただきました個別評価シートが机の上にございますので、ご覧く ださい。本日の財務諸表等に関する報告等によりまして個別評価の修正が必要となった 場合には、赤鉛筆で御修正いただければと考えております。また、修正のあるページに 付箋を張っていただきまして、どこが修正になったか事務局で分かるようにしていただ ければと考えております。  また、机上配付しております「個別項目に関する評価結果(未定稿)」という表でござ いますが、これは現時点でいただいている評点を、Sが5点、Aが4点、Bが3点とい った形で点数化したものでございます。御参考までにご覧ください。委員名は空欄とな っておりまして、委員各自には御自身のお名前のみしか分からないようになっていると いうことでございます。  最後ですが、作業に当たりましてこれまでの個別評価に関する資料をご覧になりたい 場合には、事務局において数部用意してございますので、お申しつけいただければと思 います。  今申し上げました個別項目に関する評価結果、労働安全衛生総合研究所については2 ページ目になっておりますので、御留意ください。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。では、適宜、修正等をお願いしたいと思いますが、修正に あたりましての質問事項等がありましたらお願いします。よろしいですか。それでは、 5分ほどお時間をとらせていただきたいと思いますので、評価シートの確認や修正をお 願いいたします。 (評価シート記入)  よろしいでしょうか。それでは、これをもって労働安全衛生総合研究所の平成18年度 業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。各評価書に は、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されておりますが、本日、評価の 確定を行っていただいたことによりまして、SないしDの評定が変更になった場合、ま たはコメントが修正、追加等なされた場合は、これらを反映した評価シートの集約版を 添付させていただきます。評価シートの集約版につきましては、誤字脱字、事実誤認な どによる修正が必要になった場合の対応につきましては、私に一任させていただきたい と思います。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆さん、しばらくお待ちいただ きたいと思います。  それでは、国立健康・栄養研究所の財務諸表に関する意見についての審議に入りたい と思います。  まず、清水委員から簡潔に御説明をお願いいたします。 ○清水委員  先ほどの資料1−1でございますが、財務諸表に関する意見につきましては、検討し ました結果、特に修正を要する点はございませんでしたので、このとおり承認すること が適当であると考えております。  合わせて、総合評価の方に入れていただいたコメントについても御説明申し上げたい と思います。後からの事務局の説明を省いていただくためにも、ここで説明させていた だきたいと思います。  まず全般的に、御質問にも多分出たと思うのですが、経常費用というのは前年よりか なり上回っている状況なのですが、それに対して経費の節減率が達成できているという ことで違和感を感じられるところもあったのではないかと思います。これは、内容を検 討しますと自己収入がかなり増えているということで、それに対応する原価部分、受託 経費に回る部分がかなり増えたということで、その運営費交付金を財源とする支出が減 ったということで効率化が達成できている、という御説明でございました。  今回は配賦計算までは厳密には調査する時間はなかったわけですけれども、今後とも 受託経費の割合が高いわけですので、そちらに配分される経費の配賦率というものを適 正に保つことが経費の削減率を判定する上でも必要なことであろうと思いますので、そ の点の配賦基準については毎年見直していただいて、適正に保つことをお願いしたいと 思っております。それが1点目でございます。  それから栄養情報担当認定事業でございますが、収益と費用の差が2,400万円という ことでかなりの利益が上がっているように思われます。今後はいろいろ費用が見込まれ る、例えばフォローアップ研修ですとか、あるいは非常勤職員を雇用される御予定と伺 っており、そういったことでそれが使われていく見込みであるということですが、そも そも当事業は利益獲得が第一の目的ではございませんので、その事業計画等を適宜見直 しながら単価の改定の可能性とかあるいはサービス内容の充実を図っていただきたいと 考えております。  3点目に、当研究所の特徴としましては、他の組織の職員を受け入れて組織上も重要 なポストにつけているという、要するに戦力をかなり外部の要員によっているというと ころがあろうかと思います。そうしながらも報酬が支払われていない人員もあるわけで す。それ以外でも、研修目的で受け入れている人材ですとか、こちらは組織上、明示さ れないわけですが、あるいは併任職員というものもいらっしゃるように伺っています。 これらの方々は当研究所の業績に直接的、間接的に大きく貢献されているということで はありますが、他の研究所などと比べますとそのあたりが事業報告書には余り詳細には 報告されていないことが気になります。したがいまして、当研究所を支える人的資源と してこれらの人員の活動を詳細に開示されることは、当研究所の実績としても重要であ ると思いますし、また、透明性の観点からも有用と考えますので、今後は積極的な情報 開示を御検討いただきたいと思います。  4番目はテクニカルな点、損益計算書と決算報告書の集計区分がかなり違っているわ けですが、そのあたりを会計基準に載っているひな型どおり、概要の説明をいただきた いということでございます。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  引き続きまして、岩淵委員からお願いいたします。 ○岩淵委員  総合評価にかかわることでありますが、しかも繰り返しになって恐縮なのですが、N R事業についてひと言だけ申し上げておきます。極めて公益性あるいは公共性の高い事 業であるという前提に立ちますと、収益事業ということとは一線を画すということは当 然のことでございますが、しかもその上に独立行政法人としてこれを運営するというそ の立場の変化と事業の性格ということも含めて、事業の性格から始まって再検討が必要 で、現実に再検討を始められているということなので、大変よくお分かりだなとは思い ます。しかし、その場合にも、余計なことを何度も言うようですが、とにかくそういう 意味でいいますと独立行政法人の立場、位置付け、それからこの事業の公共性という位 置付け、それと収益事業ではないという、下世話にいえば何とか流の家元みたいな格好 での収益の上げ方に多少でも似たような疑念を抱かれるようなことになりますと、これ は制度全体、あるいは研究所全体の存在意義にかかわりますので、ひとつその点は厳し く御検討願いたいとお願い申し上げておきます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、ただいま御報告いただきました国立健康・栄養研究所の財務諸表につきま して、御意見等がございましたらいただきたいと思います。いかがでしょうか。よろし いでしょうか。  それでは、今、御発言いただいた内容を踏まえて対応させていただくということでよ ろしくお願いしたいと思いますが、特段、修正意見等はないように思いますので、平成 18年度の財務諸表についての意見書としましては、資料1−1の取りまとめを厚生労働 大臣に提出したいと思います。以上につきまして、そのような取扱いをすることでよろ しいでしょうか。  (「結構です」の声あり)  ありがとうございました。では、そういう方向で対応させていただきたいと思います。  次に、国立健康・栄養研究所の総合評価について審議させていただきたいと思います。 まず、事務局より総合的評価書(案)の概要説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  資料2−4になりますが、国立健康・栄養研究所の平成18年度業務実績の評価結果に ついて御説明いたします。  1ページをご覧ください。独立行政法人国立健康・栄養研究所は、厚生労働省の附属 機関であった国立健康・栄養研究所が平成13年4月に新たに独立行政法人として発足し たものである、ということでございます。今年度の当研究所の業務実績の評価は、第2 期中期目標、期間は18年度から22年度となっておりますが、その初年度の達成度につ いての評価でございます。  当研究所に対しては、国の付属機関から独立行政法人となった経緯を踏まえ、第1期 中期目標期間に引き続き、弾力的、効果的な業務運営を通じて業務の効率性の向上、質 の向上、透明性の向上により国民の求める成果を得ることが強く求められている、とさ れております。  当委員会におきましては、厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基 準、及び個別項目ごとの評価の視点等に基づきまして、平成17年度までの業務実績の評 価において示された課題等、さらには総務省政独委から寄せられた意見、取り組み方針 も踏まえ、評価を実施したところでございます。  2ページ、2「具体的な評価の内容」でございます。  (1)国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項  (1)研究に関する事項  三つの重点調査研究、『生活習慣病予防のための運動と食事の併用効果に関する研究』 『日本人の食生活の多様化と健康への影響に関する栄養疫学的研究』『「健康食品」を対 象とした食品成分の有効性評価及び健康影響評価に関する調査研究』につきましては、 食生活及び運動を通じた国民の健康づくりやメタボリックシンドローム対策等を推進す る上で必要なエビデンスの構築に貢献した、とされております。特に運動指針(エクサ サイズガイド)の策定においては、研究所が中心的な役割を果たし、基礎となるエビデ ンスの構築とともに、専門職への普及啓発も含めて積極的な対応がなされていることは 高く評価できる、とされております。  また、重点調査研究以外に関しましても、創造的研究として所内の若手研究者から公 募を行い、質の高い研究テーマを選択し研究が行われておる、とされております。研究 成果につきましては、質の高い学術雑誌への掲載等、積極的な発表が行われており、成 果は評価できる、とされております。  研究成果を社会に広く還元するための取組みも積極的に行われており、一般向けの普 及啓発のための公開セミナーに加えて、専門家向けのセミナーを時宜を得て戦略的に行 っている点は評価できる、とされております。  研究の実施体制等につきましては、第2期中期計画の初年度に当たり組織の再構築を 行い、人や予算の配置、配分にメリハリをつけ、業務の円滑かつ確実な実施基盤を整え たことは評価できる、とされております。  また、当研究所には客員研究員としてほかの組織の職員を受け入れ、組織上も重要な ポストに位置付けながら報酬を支払っていない人員、あるいは研修目的等で受入れ、組 織上明示されない人員も存在する、とされております。これらの人員につきましては、 当研究所の業績に直接的、間接的に寄与しているにもかかわらず事業報告上では報告さ れていない。また、これらの人員の活動を事業報告書で開示することは、当研究所の実 績としても重要であるし、また、透明性の観点からも有用なことと考えるため、今後は 積極的な情報開示を行うことが適当である、とされております。  (2)「法律に基づく業務、社会的・行政ニーズ、国際協力等に関する事項」でございま す。  健康増進法に基づく業務としまして、メタボリックシンドローム対策の計画、評価に 対応するために、国民健康・栄養調査の早期集計、分析に努めるなど、適切な対応がな され、評価できる、とされております。  社会的・行政ニーズへの対応としては、厚生労働省や内閣府との間で実務者レベルの 情報及び意見交換会を行い、行政ニーズに適宜対応したところでございますが、また一 方で一般市民との情報交換についてはさらなる取組みをすることが必要である、とされ ております。  また国際協力につきましては、アジア地域における栄養学の研究及び技術協力の拠点 としての役割を研究所が担えるように、人材育成、共同研究等について中期計画に沿っ た成果を上げている、とされております。  栄養情報担当者(NR)制度につきましては、養成講座の数及び受験者数が着実に増 加しており、社会的なニーズ及び認知が高まっていると思われますが、NRの人材活用、 質的向上等に向けての取り組みをさらに積極的に行う必要がある、とされております。 また、NR業務の効率化を進めるとともに、NR制度のあり方について検討を開始した ことは評価できる、とされております。なお、NR認定事業につきましては、一定の利 益は上がっているが、当事業は収益獲得が主目的ではないため、単価改定の検討やサー ビス内容の充実等を図っていく必要がある、とされております。  (3)情報発信の推進に関する事項  情報センターを新たに設置し、積極的な情報発信、研究成果の国民への還元を目指し た取組み体制の強化を図り、当研究所の公式ホームページ等の維持管理及び更新などを 行っている、ということでございます。今後はコンテンツの内容について工夫する等の 積極的な取組みに期待する、とされております。  (2)業務運営の改善及び効率化に関する事項  運営体制の改善に関する事項につきまして、毎週、朝のプログラムリーダー会議、イ ブニングトークなどにより、重要な情報及び意識の共有化が進められたことと、運営体 制の改善に努めたことは評価できる、とされております。  (2)研究・業務組織の最適化に関する事項  民間企業、大学、その他の機関からの研究者の受入れ等やそれらの機関への研究所員 の派遣を行い、若手研究者等の育成に寄与したこと等は評価できる、とされております。  (3)職員の人事の適正化に関する事項  研究所が重点的に取り組むべき課題に関する研究業務に従事する若手研究者の公募を 行い、3名の研究者の採用を行った。研究補助員についても必要な人材を雇用し、研究 業務の実施体制を整備したことは評価できる、とされております。  また、人事の適正化のため、各研究員に関しては所属するプログラムやセンターの実 績、並びにそれらへの貢献度及び研究業績を、昇給、昇任あるいは賞与の算定に際して 考慮した、とされております。事務職員についても、意欲及び取組み姿勢等について評 価を行い、昇給、昇任等に反映させている、としております。今後とも人事の透明性等 を保つ努力を期待する、とされております。  (4)事務等の効率化・合理化に関する事項  外部研究費の獲得及び対外的な業務を行う業務課を事務部門に新たに設け、研究部門 がより研究に専念できる体制を構築したところでございます。さらに、電子掲示板、研 究費等執行状況確認システム等の活用を開始し、業務の効率化につながりつつある、と されております。  (5)評価の充実に関する事項  評価の仕組みをより研究所組織、機能に着目した形に改め、各プログラム、センター の中での構成員の役割期待と実績という観点から内部評価を行っていることは評価でき る、とされております。  (6)業務運営全体での効率化  原則、一般競争による物品の購入、役務契約等により、業務の質の低下を招くことな く経費の削減を図ったことは評価できるが、今後も引き続きさらなる努力を期待する、 とされております。  (3)財務内容の改善に関する事項  (1)外部研究資金その他の自己収入の増加に関する事項  より質の高い研究に重点を置いた外部研究資金の獲得に努め、研究的資金や共同研究 資金ともに平成17年度実績を上回っている、とされております。  (2)経費の抑制に関する事項  各プログラムセンターごとの予算執行状況を月ごとに集計したものを公開し、効率的 な資金運営を図った、とされております。  (3)財務会計事項については損益計算書と決算報告書の集計区分が異なっているにもか かわらず、その要因については決算報告書上で説明されていない。独立行政法人会計基 準に従い、その相違の概要を決算報告書上で説明する必要がある、とされております。  (4)その他の業務運営に関する重要事項  研究所のセキュリティポリシーについての研修会を実施し、セキュリティに対する意 識を向上させている。また、ハード面についてはファイヤーウオールシステムを導入す るなど、必要な取組みが行われている、とされているところでございます。  1ページに戻りまして、1の(2)平成18年度業務実績全般の評価  第2期中期計画に移行し、研究所の理念がより明確に打ち出され、栄養及び運動にか かわる我が国の中心的な研究機関として、質が高く社会的にも重要な研究を遂行してい こうという姿勢は高く評価できる。重点特化した三つの研究プロジェクトの中では、特 にメタボリックシンドロームを含む生活習慣病予防ための運動と食事の併用効果に関す る研究において、新しい運動基準及び運動指針(エクササイズガイド)の策定に当たっ ての学術的な貢献は高く評価できる。また、研究所全体として質の高い論文が国際的に 多数発表されていることは評価できる。  研究成果の普及及び活用については、平成20年度からの医療制度構造改革の流れにタ イムリーに対応し、一般向けの公開セミナー及び専門家向けのセミナーを積極的に行い、 エクササイズガイド、都道府県健康増進計画、特定健診・保健指導等に従事する人材の 育成に寄与したことは高く評価できる、とされております。  一方で、次のような積極的な取組みがなされた、とされております。第1期中期計画 における研究部門の組織を全面的に見直し、プログラム−プロジェクト制に移行し、研 究の効率的で横断的な業務運営を図ったことは評価できる、とされております。  研究所が重点的に取り組むべき課題についての研究業務に従事する必要な人材につい て、中期的な視点から若手研究者の採用を行い、的確に配置したことは評価できる、と されております。また、研究組織体制の見直しにあわせて業務の効率化を図るため、事 業部に業務課を設け、研究者の事務的あるいは対外的な業務を実行する体制を作り、研 究環境を大きく改善した、とされております。  これらを踏まえると、平成18年度の実績評価においては、全体として当研究所の目的 である国民の健康の保持及び増進に関する調査研究、並びに国民の栄養その他国民の食 生活に関する調査研究等を行うことによる公衆衛生の向上及び増進に資するものであり、 適正に業務を実施したと評価できる、とされております。  一方で、以下の点に留意する必要があると、3点示されております。  1点目、健康食品に関する正しい知識について、国民への普及啓発に資する情報発信 方法をさらに充実する必要がある。  2点目、平成18年度において事務部門に業務課を設けたところであるが、今後は業務 課が機能を発揮し、効率的に活用されるよう工夫する必要がある。  3点目、経費節減の取り組みに工夫をこらし、競争的資金等の外部資金を多く多領域 により獲得し、業務のより効率的な実施につなげる必要がある、とされております。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、起草委員からコメントをお願いしたいと思います。起草委員を代表されま して、政安委員からよろしくお願いいたします。 ○政安委員  平成20年度からの医療制度構造改革に向けて運動指針であるエクササイズガイドの 策定に大変貢献されて、その後、公開セミナー等によって人材育成に大変寄与されたこ とを高く評価できるとともに、重点的研究においても研究員を採用されて的確に配置し たり、本日、数も出ておりますが、補助員とかそういうところを的確に育成しながら研 究を進めているところを高く評価したいと思っています。しかし、一方ではNR制度の 方ですが、資質的向上に向けてぜひ努力していただきたい。栄養情報が氾濫している中 で質を担保するということであれば、やはり定期的に研修制度を設けるなどの企画をし ていただきたい。  最後になりますが、事務部門に業務課を設けていただいて、より研究員が研究しやす い体制を整えているところでございますが、その機能を十分に発揮されて、よりよい研 究になることを望んでおります。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。それでは、ただいまから御報告をいただきました総合評価 書(案)について御意見等がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょう か。何かございますでしょうか。  それでは修正意見がないようでございますので、平成18年度の業務実績の評価結果と して、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えするとともに、これ を公表したいと思います。  なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につき ましては、私に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。ありがと うございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。  最後に、法人の理事長よりコメントをいただきたいと思います。よろしくお願いしま す。 ○国立健康・栄養研究所理事長  平成18年度の業務研究につきまして評価していただきまして、どうもありがとうござ いました。  私が理事長に赴任しましたときに、複雑系の概念を生み出したサンタフェの研究所の ようにしたいと思って2年間頑張ってまいりまして、おかげさまで連携大学院とか行政、 各学会といろいろな連携が少しずつ強くなってまいりました。一番うれしいのが、研究 所員全員がとにかく研究が楽しい、それから研究が生きがいだという人が少しずつ多く なってきた。ほとんど今、その理念でまとまりつつあるといっていいと思います。  2点目は、中期計画を無事スタートすることができまして、大臣からの指定のあった ことを粛々と進めてまいりたいと思います。  3点目でありますが、やはり栄養と健康というのは非常に長いライフスパンの問題で ありますので、中期計画を超えて10年、20年後に日本に何が起きるのか、そのあたり も予見しながら国民の付託にこたえ、かつ国際社会にも貢献できるような研究所であり たいというように思っています。  どうもありがとうございました。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方がいら っしゃいましたら、ここで5分ほど時間を取りますので、評価シートの修正、確定の時 間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。修正等がございましたら、この 5分のうちにお願いできればと思います。 (評価シート記入)  よろしいでしょうか。それでは、これをもちまして国立健康・栄養研究所の平成18 年度業務実績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。なお、 先ほどと同様に、評価シートの集約版につきまして、誤字脱字、事実誤認などによる修 正があった場合の対応につきましては私の方に一任させていただきたいと思いますが、 よろしくお願いいたします。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、またしばらく、皆さんお待ちい ただきたいと思います。  それでは、次に医薬基盤研究所について行いたいと思います。  議事に入る前に、医薬基盤研究所より前回の個別評価の部会におきまして委員より御 意見のございました資料がお手元に配付されておりますので、法人より簡単に御説明を お願いいたします。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  前回の調査研究部会で御指摘いただきました平成18年度の医薬基盤研究所の共同研 究、受託研究、それから特許の一覧につきまして作成いたしまして、お手元に配付させ ていただいております。共同研究、受託研究につきましては、一般に公開はなかなか難 しいところがございますので、そこら辺は御配慮いただきたいと思っております。特許 の方につきましては1年半非公開という原則がございますので、そこら辺も御配慮いた だければと思っております。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいま御説明をいただきました内容について、御質問等 がありましたらお願いいたします。何か御質問等はございますでしょうか。よろしいで しょうか。  それでは次に進めさせていただきまして、財務諸表に関する意見についての審議に入 らせていただきます。  まず、清水委員から簡潔に御説明をお願いいたします。 ○清水委員  先ほどの資料1−3でございますが、先ほどと同じように財務諸表を検討させていた だきましたが、特に修正を要する事項はございませんでしたので、このとおり承認させ ていただくことが適当だと考えております。  合わせまして、総合評価書にコメントを入れていただいた点、2点について御説明申 し上げます。  1点目が、医薬品医療機器実用化研究支援事業というものがございます。これは出資 金見合いで委託費を出している事業でございますが、出資金見合いで返還をすることが 予定されていますので、収益性に重点が置かれているということでございます。こちら については、事業採択時及びそれ以降、毎年、企業から報告を求めるとともに外部評価 を行うことによってその収益性は把握している、とされていますが、研究所自体として 収益見通しが必ずしも明確ではないことが挙げられます。そして、企業からのヒアリン グや外部評価委員の意見も参考にしながら、それだけではなくて独自の調査結果等を踏 まえて研究所としての収益見通しを毎期、明確にしておく必要があると考えております。  2点目ですが、かなり大きな金額の繰越欠損金280億がございます。こちらの主要因 は承継業務、出資事業から発生した損失であるということでございますが、この事業に ついては中期計画上、出資法人に対し、毎年度、事業状況等について報告を求め、研究 成果の事業化、収益化を促す措置をとること、とされておりますが、実際には成果の活 用状況について、年1回、書面で報告を求め、成果管理委員の意見を聴くにとどまって いるように思われます。  ちなみに、平成18年度は関係会社評価損、清算損、1億9000万が発生しているだけ で、収益はゼロという状況でございます。ちなみに、これまでも当事業からは配当の実 績はないということでございます。研究成果の事業化、収益化を促すために研究所とし て行うべき事項を年度計画に具体的に記載するとともに、当年度、どのような努力を行 ったかについて適切に説明をしていただきたいと考えております。  以上、この2点につきましては総合評価の方に入れていただいております。  それから、もう少し細かい点で2点、申し上げておきたいと思います。研究業務費、 基盤的研究費という費目がございます。こちらを前年度の数値と比較しましたときに、 当年度、9倍ぐらいになっているという大きな変動があるように見受けられるのですが、 これについてお尋ねしましたところ、この原因は17年度の減価償却費の計上区分が間違 っていたということでございました。既に過年度のことでございますので修正のしよう がないわけですけれども、今後はこういった誤りのないように努めていただきたいと思 っております。  もう1点は運営費交付金。これは必要な費用を支出するために国から受け取るお金な のですが、こちらが18年度末で6億8000万程度残っております。この要因をお伺いし ましたところ、昨年度も御説明があったということなのですが、このうちの大きなもの がNMRですか、たんぱく質構造解析装置の導入というものが、その敷地の変更などを 原因として導入、本格運用が約2年ほど遅れているということが要因ということでござ います。こちらについては中期計画の期間の中で予定どおり完成されるという御説明で はございますが、このあたりについても今後、我々としては注視していく必要があるか と思っております。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  続きまして、岩淵委員からお願いいたします。 ○岩淵委員  その欠損金の問題についてですが、これは今回の業績評価ということとはまた別の視 点で、もう一度、制度の見直しを、これは行政の方でやってほしいと思います。と申し ますのは、確かに今までの配当といいますか、リターンが全くゼロという状況の中でず っときているということであれば、本来、もし単なる研究の助成であれば、それはまた 別の枠組みで、別の視点で別の選択もあり得ると思うのですが、制度としてそのように リターンを一応求めながら、しかも現実には全くそれが実施されていないということは、 やはりこれは制度的な問題がもしかしたらあるのではないかということであります。  先ほど、他の研究所では新しく始まった事業の見直しを早くもやっているという報告 もございましたけれども、この制度はずっと継承で引きずってきている問題であり、も ともと医薬品の開発にかかる費用にすればさほど大きくないという意見もあるでしょう。 ただ、国民の税金をこういう形で投入して、それに対する明確な制度的な裏打ちがきち んとされているかというと、ヒアリングでもいろいろ聞いてみたのですけれども、例え ば、過去のものはもうどうしようもないのだということだったり、あるいはノウハウと かそういったものが別の企業に移っていて、もう手の打ちようがないとかさまざまな、 ですからそれは研究所にそのことを、ではどうしろといっても多分これは難しい話で、 これは制度の問題ですので、これは行政の責任だと私は思います。  ですから、この事業といいますか、このあり方をもう一度このあたりで見直す必要が どうしてもあるのではないかと思います。ですから今回の報告書の中に、できれば関連 部分の一番最後のところに、行政においてもう一度制度についての見直しが求められる、 ということを入れていただけると、私としては大変いいのではないかなと思っておりま す。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただ今、御報告をいただきました医薬基盤研究所の財務諸 表につきまして、御意見等がございましたらいただきたいと思います。先ほど、岩淵委 員の御提案の中で、行政として対応についてのお話がございましたけれども、何かこの 件について御発言はございますか。あるいは、今後、御検討いただくということでよろ しいかと思うのですが、そういうことでよろしいですか。 ○厚生科学課研究企画官  はい。 ○田村部会長  それではそのあたり、行政としてもぜひ御検討いただければと思います。  あと、この総合評価書の中に制度の見直しが求められる、という項目をぜひ入れてほ しいという岩淵委員の御提案でございますが、この件についてはいかがでしょうか。 ○酒井委員  私は個人的には賛成なのですけれども、この問題について研究所自身がどのように考 えているのか、一応お考えをお聞きしたいと思いますけれども。 ○田村部会長  研究所としては、何かその件についてお考えはございますでしょうか。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  出資事業につきましては平成15年度に廃止されまして、基盤研は出資法人の株式を継 承いたしまして、旧医薬品機構の時代には特許権を製薬企業に積極的に売り込むよう、 出資法人を指導したり同出先をあっせんしたりしてまいりました。そうした努力もあり まして、今は製薬企業等において成果を活用した製品開発が進められて、臨床試験が実 施される段階まできております。こうした現在の状況におきましては、基盤研としては 出資法人を通じて製薬企業等における製品開発等の状況を適宜把握して、外部専門家の 意見を踏まえながら収益の可能性を検証していくのが中心にならざるを得ないと考えて おります。  この出資事業の見直しがありまして、その見直しの結果、実用化研究支援事業という 形でスタートをしているわけですけれども、この実用化研究支援事業に係る収益見通し につきましては、今年度から実用化研究評価委員会に収益評価部会というのも設置いた しまして、収益見通しについての採択時の評価体制の強化を図ったところでございます。 今後ともこの事業につきましては、ベンチャーキャピタリストなどの専門家の活用を図 りながら調査可能な分は調査を行い、収益性を重視した評価を行ってまいりたいと考え ております。 ○田村部会長  ありがとうございました。いかがでしょうか。 ○酒井委員  そういうことですけれども、今、岩淵委員がおっしゃっているのは、行政のところへ あげて検討した方がいいということをおっしゃっているので、そのことについて研究所 としては。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  検討していただければ。ほかの省庁でも同じような事業がございますので。 ○田村部会長  この件はよろしゅうございますか。何かこの件について御発言はございますか。 ○清水委員  岩淵委員の御意見に賛成ですが、これはただ独立行政法人に対する評価だと思います ので、そこのところをどうやって調整を図るかだと思うのですが、もし書くとすれば、 独立行政法人側からそういったことの見直しも、これまでの経緯も踏まえて働きかける べきだとか、そういった表現にならざるを得ないのかなと思いますが。 ○田村部会長  表現としてはそうなるのではないかと思います。評価委員会としては一応そういう文 言で入れさせていただいて、今後は行政の方で御検討いただくことでよろしいでしょう か。研究所の方もそういうお考えのようでございますので、よろしいでしょうか。  ではこの件は、独立行政法人が行政に対して要請すべきであるとか、そういうトーン の表現を入れることにさせていただきたいと思います。そういうことでよろしいでしょ うか。 ○岩淵委員  それはちょっとかわいそうというか、現状はかわいそうですよね。要するに我が委員 会として、行政がきちんと検討すべきであると、単にそれだけの文言でいいと思うので、 さほど違和感はないのではないかと思いますが。それは委員長のお考えどおりにやって いただければと思います。 ○田村部会長  よろしいですか。では、そのあたりのトーンをうまく書いていただくということで、 私の方で確認させていただきたいと思います。今の御趣旨を踏まえて表現を一筆入れさ せていただくということにさせていただきたいと思います。  ほかに何か御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 ○医薬基盤研究所企画調整部長  先ほどの岩淵委員からの御指摘のところは、ありがたい話なのですけれども、ただ、 行政の方でお考えいただくにしても、行政の方の話なのであれなのですが、一たん基本 的に事業的には終わった事業でございますので、それをどう見直すかというのは実際問 題としてはひょっとしたら難しいのかなと、こちらからは思うのですけども。 ○岩淵委員  意味合いとしては、それを継承して、見直した上で行われている研究助成事業がそれ を引き継いでやっていますよね。そのことも当然のことながら、これから先のあり方で も見直す必要がある、そういう趣旨なのですよね。その方は全然問題ないとお考えにな のですか。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  実用化研究事業の方の見直しを行うということでしょうか。 ○岩淵委員  それも含めて、今までの繰越欠損金の問題も当然のことながら見直していただきたい と。 ○医薬基盤研究所研究振興部長  現在走っております事業の見直しは可能かと思いますけれども、収益性を上げるため にどのように今後もやっていったらいいかというような観点でよろしいですか。 ○岩淵委員  はい、二つの問題点をやっていただきたいと思います。 ○田村部会長  よろしいでしょうか。ほかに何か御意見はございますでしょうか。  それでは、先ほどの件について加えさせていただくということのほか、特に修正意見 はないようでございますので、平成18年度の財務諸表についての意見書といたしまして は、資料1−3を取りまとめまして厚生労働大臣に提出したいと思います。以上につき まして、そういう取扱いでよろしいでしょうか。それでは、そのようにさせていただき たいと思います。ありがとうございました。  では最後に、医薬基盤研究所の総合評価について審議させていただきたいと思います。 まず、事務局より総合的評価書(案)の概要説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  資料4−4「独立行政法人医薬基盤研究所の平成18年度の業務実績の評価結果」をご 覧ください。  1ページ、独立行政法人医薬基盤研究所は、厚生労働省所管の施設等機関である国立 医薬品食品衛生研究所等の組織の一部を統合しまして、平成17年4月に新たな独立行政 法人として発足したものでございます。医薬基盤研究所の設立は、医薬品等に対する規 制と振興の分離を図りつつ、さまざまな組織に分かれていた創薬支援にかかわる部門を 統合するとともに、独立行政法人という柔軟な組織形態を活かして産学官連携を推進し ようとするものでございます。  また、当研究所の目的は、基盤的技術研究、生物資源研究、研究開発振興の3事業を 行うことにより、製薬企業や大学等における創薬研究を支援し、画期的な医薬品等の研 究開発を促進することでございます  当研究所の業績評価に当たっては、統合組織としていわゆる統合効果も発揮しつつ、 こうした設立経緯や設立目的などに基づき、当研究所が提供する基盤技術、生物資源、 研究資金が製薬企業や大学にとって有効であり、中長期的に医薬品等の研究開発に役立 つものとなっているかという観点から評価を行うものとした、とされております。  今年度の当研究所の業績評価は、第2期目の中期目標期間である平成17年度から21 年度の第2年度目の達成度についての評価でございます。  当委員会におきましては、厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基 準及び個別項目ごとの評価の視点等に基づき、平成17年度の業務実績の評価において示 された課題等、さらには総務省の政独委から寄せられた意見や取組み方針も踏まえ、評 価を実施したところでございます。  2ページの2の「具体的な評価内容」でございます。  (1)業務運営の効率化について  機動的かつ効率的な業務運営に関しましては、幹部会や将来構想委員会等を活用し、 理事長の経営判断が迅速に業務運営に反映されるように努めてきたこと等は評価できる、 とされております。  業務運営の効率化に伴う経費削減等に関しましては、一般管理費及び人件費について 予算の範囲内で執行されております。また、事務費につきましては執行額が予算額を上 回っておりますが、これは後述する新型インフルエンザ対策を優先した結果であり、や むを得ない面もありますが、こうした緊急事態への対応策について検討しておく必要が ある、とされております。また、光熱水料、複写機使用料等、経費削減に地道に取り組 んでいる、とされております。  (2)国民に対して提供するサービス、その他業務の質の向上について  A 全体的事項  外部評価は適切に実施されており、評価結果を踏まえた研究計画の見直しや資金配分 等が行われている点は評価できる、とされておりますが、一方で、今後は研究所の業務 運営についてより多くの意見を聴取することを検討されたい、とされております。  また、成果の普及につきましては、発表論文数は中期計画の目標を上回っており、ま たインパクトファクターの高い学術誌への掲載が多いなど、水準も高い点が評価できる、 とされております。学会発表についても前年度を上回っております。大阪本所の一般公 開には極めて多数の来場者があり、研究所への理解を深めることに努めている、とされ ております。  連携大学院につきましては、神戸大学大学院との間で協定を締結したほか、外部との 研究交流が進展している点は評価できる、とされております。今後とも透明性の確保に さらに留意していく必要がある、とされております。  B 個別的事項  (1)基盤的技術研究  基盤的技術研究につきましては、ニーズを踏まえつつ、医薬品等の開発に資する共通 的技術の開発が行われ、着実な成果が得られている、とされております。トキシコゲノ ミクスプロジェクトにつきましては世界的な研究成果が得られており、新たな研究プロ ジェクトの進捗に期待する、とされております。  また、バイオインフォマティクスプロジェクトを新たに設置するなど、研究体制の充 実が図られている、とされております。  その他の研究プロジェクトについてもさまざまな研究結果が得られ、論文、学会発表 に積極的に取り組んでいる、とされております。  (2)生物資源研究  生物資源研究につきましては、生物資源の収集・保存・品質管理・供給等が着実に実 施されるとともに、これらの業務に不可欠な研究開発や新たな生物資源の開発等が適切 に実施されている、とされております。  平成18年度におきましては、再生医療研究等に不可欠なES細胞について、保存・品 質管理法等に関する研究を進めており、ヒトES細胞の配分機関としての機能を果たす ことも視野に入れつつ取組みが進められていることは評価できる、とされております。 また、アンケート調査結果等を踏まえ、要望の強かったウイルス汚染検査を行った培養 細胞の分譲に係る体制整備を進めるなどの点は評価できる、とされております。また、 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団との協力関係については、生物資源バンク事業 における両者の役割分担を契約上、明確にするとともに、同財団から費用徴収を行うな ど、適切な対応が図られている、とされております。  薬用植物資源研究センターにおきましては、収集・保存・栽培技術の確立等を着実に 行うだけでなく、新品種の実用化に向けた研究など、企業との共同研究を進めた点は評 価できる、とされております。  霊長類医科学研究センターにおきましては、質の高い研究用の霊長類の供給と、これ を活用した医科学研究を着実に実施するとともに、企業との共同研究を行った点は評価 できる、とされております。  (3)研究開発振興  有望な案件を発掘するために、ベンチャーキャピタリスト等との情報交換が適切に実 施されている、とされております。  また、希少疾病用医薬品等開発振興業務につきましては、新型インフルエンザ対策と て国は平成18年4月に希少疾病用医薬品の指定基準を改正し、また、同年6月に新型イ ンフルエンザワクチン4品目を指定しましたが、研究所はこうした動きに迅速に対応し、 助成金交付に係る手続を早急に進め、指定4品目に対して4億円を超える助成金を緊急 に交付したことは評価できる、とされております。  基礎研究推進事業につきましては、平成18年度の新規募集から若手研究者の募集枠を 設けるなど、公募テーマの設定を適切に行うとともに、委託先研究機関の評価、進捗管 理を適切に実施したことは評価できる、とされております。  実用化研究支援事業につきましては、委託先企業の収益性について研究所としての収 益見通しが必ずしも明確でない面もあることから、今後は研究所独自の調査データ等を 踏まえつつ、収益見通しを毎年明確にしていく必要がある、とされております。  (3)財務内容の改善等について  一般管理費及び人件費につきましては、所定の削減率を織り込んだ予算計画の範囲内 で執行されている、とされています。事業費につきましては執行額が予算を超過してお り、これは新型インフルエンザ対策を優先した結果でありますが、今後はこうした事態 のへの対応方策についてもあらかじめ検討していくことを期待する、とされております。  競争的研究資金や共同研究受託研究など、外部資金の確保が積極的に行われている点 は評価できる、とされております。また、利用者からの費用徴収を進めている点は評価 できる、とされております。  研究員の採用は着実に進められているが、今後とも必要な研究プロジェクトを設置し、 研究員の確保を図るべきである、とされております。  人事評価制度につきましては平成18年度から試行が行われているが、試行結果の検証 を行い、本格実施に向けた準備を進めるべき、とされております。  資産の活用状況については、研究施設の土地、建物、各種研究機器などの資産を保有 しているが、これらの資産は各種研究活動や生物資源事業等に有効に活用されている、 とされております。  1ページに戻りまして、1の(2)「平成18年度業務実績全般の評価」でございます。  平成18年度においては、基盤的研究部門と生物資源研究部門との間で共同研究を進め るとともに、委託先研究機関への指導、助言を行うなど、統合効果を発揮した業務運営 に努めたことは評価できる、とされております。  研究成果としては、トキシコゲノミクスプロジェクトにより、世界最大のデータ量と 世界でも類をみない高品質データを格納した「トキシコゲノミクスデータベース」を完 成するとともに、医薬品安全性予測システムを構築したことは評価できる、とされてお ります。これらの成果は、医薬品開発の効率化と安全性の向上に寄与するものであり、 今後の成果活用に期待する、とされております。  平成18年度業務実績については、全体として研究所の目的である画期的な医薬品等の 開発支援に資するものであり、適切に業務を実施したと評価できる、とされております が、一方で、以下の3点について留意する必要がある、とされております。  1点目、繰越欠損金については、そのほとんどが独立行政法人医薬品医療機器総合研 究機構から継承したものであるが、研究振興勘定に関しては収益可能性の高い案件の採 択に努めるとともに、承継勘定に関しては研究成果の事業化、収益化を促すために研究 所として行うべき事項を年度計画に具体的に記載するとともに、当年度にどのような努 力が行われたかについて適切な説明を行う必要がある、とされております。  2点目、研究所の研究成果等は、企業や大学における研究活動に活用されることを目 的としているが、今後とも研究成果等をできるだけ分かりやすく広報し、成果の普及に 努めるべきである、とされております。  3点目、製薬企業や大学等を対象として生物資源バンク事業に係るアンケート調査を 実施し、その結果を踏まえた事業実施に努めているが、今後とも社会的ニーズや政策的 ニーズを適切に把握しつつ、これらを踏まえた事業展開に努めるべきである、とされて おります。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、起草委員からコメントをお願いしたいと思います。起草委員を代表いたし まして、鈴木部会長代理からよろしくお願いいたします。 ○鈴木部会長代理  医薬基盤研究所は、その設立目的に沿って業務を着実に展開し、目に見える統合効果 を上げつつあるように思われます。そのことを評価した上で、幾つかの要望事項を研究 所内と所外に分けて重ねて申し述べます。  まず、所内に対しては、業務運営情報の開示をさらに徹底させ、所員の一体感を高め ることによって研究所の発展を確固なものにしていただきたいと思います。  次に所外に対しては、第1点として、研究所は社会的及び政策的ニーズに適切にこた えつつ所外との連携を進めておられますが、まだ完全にニーズを把握しきれていない部 分があるように思われます。特に生物資源研究では、さまざまな方法を導入、駆使する ことによって社会的ニーズをより正確に把握し、生物資源の収集、保存、供給に計画的 に取り組んでいただきたい。  第2点として、研究所の性格上、外部との研究交流は今後ますます複雑な形態をとり ながら進展していくと考えられますが、その過程で強く求められることは、事業の中立 性、公正性を保証するため、社会に対する事業の透明性を高めることであると思われま す。この点をぜひ御留意いただきたいと考えております。  以上です。 ○田村部会長  ありがとうございました。ただいま御報告いただきました総合評価書(案)につきま して御意見等がございましたら、いただきたいと思います。いかがでしょうか。 ○清水委員  細かいことで恐縮なのですが、2ページの(1)、先ほどの繰越欠損金のところなのです けれども、ここで「研究振興勘定に関しては収益可能性の高い案件の採択に努めるとと もに」という文章が入っているのですが、確かにひょっとしたら将来的な潜在的な欠損 金になる可能性のある部分なのですが、この部分が承継勘定の部分とごっちゃになって いますので、ここの部分をここから削除して、その次に文章として、そして先ほど岩淵 委員のおっしゃったようなことを含めて、「研究振興勘定に関しては収益可能性の高い案 件の採択に努めるとともに」と独立した文章にしまして、「行政とともに過去の出資事業 の成果等も勘案して事業のあり方について検討することが期待される」ぐらいのことを 入れればいかがかと思うのですが。 ○田村部会長  ありがとうございました。そういった形に表現を変えてはどうかという御提案でござ いますが。先ほどの岩淵委員の意見も踏まえた形での訂正の提案でございますが。  (「同意します」の声あり)  よろしゅうございますか。それでは、そこの文章を今、御提案になったような形で修 正させていただきたいと思います。そのほか、何か。 ○中村委員  同じページの2の(1)なのですけれども、業務運営の効率化について肯定的な評価 をしておりますが、その中で3行目に「所内共用LANシステムを大幅に充実、強化さ れたことは評価できる」とありますが、これですと、単にハードを充実させたというこ とであって、業務運営の効率化とどうなのだという話とちょっとかい離があるかなと思 いますので、「所内共用LANシステム」の前に「業務運営に資する所内共用LANシス テムが大幅に」という形で明確にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○田村部会長  ただいまの御提案、いかがでしょうか。よろしいですか。  それでは、今の中村委員からの御提案については、その表現をこの中に入れたいと思 いますので、よろしくお願いいたします。  ほかに何か御意見はございますでしょうか。  それでは、今、御提案いただきました2点につきまして修正をさせていただきますが、 その他の修正意見はないようでございますので、平成18年度の業務実績の評価結果とし て、法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委員会に2点を修正した形でお伝えす るとともに、これを公表させていただきたいと思います。  なお、この後、誤字脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対応につき ましては、私の方に一任させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。あり がとうございました。それでは、そのような形で対応させていただきたいと思います。  最後に、法人の理事長よりコメントをいただけたらと思いますが、よろしくお願いい たします。 ○医薬基盤研究所理事長  長時間にわたりましていろいろなアドバイスをいただきまして、ありがとうございま す。委員の先生方の御意見に沿いまして、毎年毎年でございますけれども、来年、本年 と3年目になりますけれども、より一層効率化、透明化を担保する研究所にしていきた いと思っておりますので、どうぞ今後とも御指導のほど、よろしくお願いいたします。 ありがとうございました。 ○田村部会長  ありがとうございました。  それでは、現在までの意見、報告等を踏まえまして個別評定を修正したい方は、ここ で5分ほど時間を取りますので、評価シートの修正、確定をお願いできたらと思います。 よろしくお願いいたします。 (評価シート記入)  よろしいでしょうか。それでは、これをもって医薬基盤研究所の平成18年度業務実績 評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。  なお、先ほどと同様に評価シートの集約版につきまして、誤字脱字、事実誤認などに よる修正があった場合の対応につきましては、私に御一任いただきたいと思います。  それでは、本日の議事は以上です。  なお、本日、御審議いただいた総合評価と財務諸表についての意見につきましては、 厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規程に基づきまして、当部会の決 定が評価委員会の決定となります。また、法令に基づき、総務省の政策評価・独立行政 法人評価委員会への通知及び公表の手続が行われることになります。  それでは、事務局より独立行政法人整理合理化案についての報告、今後の予定等、連 絡事項についての説明をお願いいたします。 ○政策評価官  本日の御審議で、この夏の調査研究部会の審議は終了になります。猛暑が続きます中、 御審議等におきまして御協力いただきましたことに感謝を申し上げる次第でございます。  報告事項が1点ございます。  一つは、本部会、さらにはその前の総会でお話しをしたところでございますこの夏の 独立行政法人の整理合理化案の策定の件でございます。6月のいわゆる政府の骨太の方 針に基づきまして、全法人について整理合理化案をこの夏にまとめて、それから秋には 政府の行革本部なり総務省の政独委で審議をしていくことになっているわけでございま すけれども、この8月10日に改めましてその整理合理化案の基本方針を閣議決定によっ て決められたところでございます。  そこでは2パターンの整理合理化案の策定について記されておりまして、お手元の資 料集の7ページの左に当省所管の独立行政法人のリストがございます。水資源機構と農 業者年金基金はそれぞれ国土交通省と農林水産省が主管省庁でございますので、それを 除きまして14、私どもの省庁は所管しておりますが、そのうち、本年度をもって組織・ 業務全般の見直しをすることとなっている法人、いわゆる中期目標期間が終わろうとす る法人、さらには、基本方針では来年、それを予定することになっている法人について も前倒しで組織・業務全般の見直しをするというのが6法人ございます。上から順番に、 国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、のぞみの園、労福機構、勤退機構、高障機構 でございます。これについては、組織業務の見直し当初案というものが整理合理化案を 兼ねることになっているわけでございます。  したがいまして組織・業務の見直し案につきましては、独立行政法人通則法でそれぞ れの省の評価委員会の御意見を伺って決めることとされておりますので、改めて部会で 見直し当初案を御審議いただきます。本部会については3法人とも該当いたしません。。  ただ、それ以外の8法人につきましては、通則法上は整理合理化というものについて 評価委員会の意見を聴くことにはなっておりませんので、厚生労働省において整理合理 化案を取りまとめ、28日、29日に総会を予定しておりますので、総会で報告を申し上げ たいと思っております。  ただ、私どもの省としての整理合理化案といったものをまとめる際には、本日も御議 論いただきましたけれども、それぞれの部会において毎年度の総合評価というものも実 施していただいているところでございますので、その総合評価の結果なども踏まえた上 で、今後、策定をしていきたいと考えているところでございます。臨時委員の皆様には、 その総会後に当部会の3法人についての整理合理化案と関係資料をお送りしたいと思っ ております。  今後の予定でございますが、本日御審議いただきました総合評価書につきましては、 部会長とも御相談をさせていただいて所与の修正を加えて、後日、確定版を先生方に送 付をさせていただきます。  再来週の28日、29日には総会の開催が予定されております。28日は午前9時から、 29日は午後3時からでございます。詳細は改めて通知を送らせていただきます。  次回の本部会につきましては、秋以降の開催を予定しております。議事日程等が決ま りましたら、委員の皆様には改めて御連絡を申し上げるということでございます。  以上でございます。 ○田村部会長  ありがとうございました。  本日の部会は以上でございます。本日は、長時間にわたりましてありがとうございま した。  なお、先ほど使用いたしました医薬基盤研究所の提出資料につきましては、事務局で 後ほど回収いたしますので、持ち帰らないようにお願いいたします。  どうも、本日はありがとうございました。 −了− 照会先:政策統括官付政策評価官室 企画係 電話 :03-5253-1111(内線7783)